JP2016188332A - 自動車車体用クリヤー塗料組成物、自動車車体用複層塗膜の形成方法及び自動車車体用複層塗膜 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐候性を有し、かつ、従来に比べクリヤー塗膜における可視光線の透過率の高い、自動車車体用クリヤー塗膜組成物、及び自動車車体用複層塗膜の形成方法及び自動車車体用複層塗膜を提供する。
【解決手段】バインダー成分(a)、有機系紫外線吸収剤(b)、ヒンダードアミン系光安定剤(c)及び微粒子酸化チタン(d)を含有する自動車車体用クリヤー塗料組成物であって、前記微粒子酸化チタン(d)の一次粒子の平均粒子径が、10nm以上、50nm以下であり、バインダー成分(a)の固形分に対して、前記微粒子酸化チタン(d)のPWCが、0.025質量部以上、0.050質量部以下である、自動車車体用クリヤー塗料組成物等である。
【選択図】なし
【解決手段】バインダー成分(a)、有機系紫外線吸収剤(b)、ヒンダードアミン系光安定剤(c)及び微粒子酸化チタン(d)を含有する自動車車体用クリヤー塗料組成物であって、前記微粒子酸化チタン(d)の一次粒子の平均粒子径が、10nm以上、50nm以下であり、バインダー成分(a)の固形分に対して、前記微粒子酸化チタン(d)のPWCが、0.025質量部以上、0.050質量部以下である、自動車車体用クリヤー塗料組成物等である。
【選択図】なし
Description
本発明は、自動車車体用クリヤー塗料組成物、この自動車車体用クリヤー塗料組成物を用いた自動車車体用複層塗膜の形成方法、及びこの形成方法により得られる自動車車体用複層塗膜に関する。
自動車車体は、通常、美観や耐候性等の各種機能の付与の観点から、塗膜が形成される。
特に、耐候性の観点から、紫外線吸収機能を有するクリヤー塗料組成物としては、ベンゾフェノンやベンゾトリアゾール系の有機系紫外線吸収剤を含有したクリヤー塗料組成物が一般的に使用されている。有機系紫外線吸収剤を含有したクリヤー塗料組成物は、紫外線の吸収能力に優れているものの、紫外線の吸収に伴って、有機系紫外線吸収剤自体が劣化して変色する場合がある。また、長期間にわたって使用される場合には、有機系紫外線吸収剤がブリードアウトにより塗膜の表面に出てくる可能性があるため、経時的に塗膜中の有機系紫外線吸収剤の濃度が低下して、耐候性等の性能低下が懸念される。
特に、耐候性の観点から、紫外線吸収機能を有するクリヤー塗料組成物としては、ベンゾフェノンやベンゾトリアゾール系の有機系紫外線吸収剤を含有したクリヤー塗料組成物が一般的に使用されている。有機系紫外線吸収剤を含有したクリヤー塗料組成物は、紫外線の吸収能力に優れているものの、紫外線の吸収に伴って、有機系紫外線吸収剤自体が劣化して変色する場合がある。また、長期間にわたって使用される場合には、有機系紫外線吸収剤がブリードアウトにより塗膜の表面に出てくる可能性があるため、経時的に塗膜中の有機系紫外線吸収剤の濃度が低下して、耐候性等の性能低下が懸念される。
一方、無機系の紫外線吸収剤として、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム等の金属酸化物の微粒子が挙げられる。これら無機系の紫外線吸収剤は、自身が酸化して変色することはなく、また、塗膜表面へブリードアウトすることもない。しかし、無機系の紫外線吸収剤のみで所定の耐候性を得ようとすると、クリヤー塗膜の透明性が低下し、その結果、自動車車体の美観も損なわれてしまう虞がある。
そこで、特許文献1には、平均一次粒子径10〜50nmの粒径の無機紫外線吸収剤をアミノ基含有アルコキシシランで表面処理してなる表面処理微粒子を、酸基含有分散剤を用いて分散してなる分散体とバインダー成分を含有してなるクリヤ塗料組成物が開示されている。また、特定の平均粒子径を有する無機紫外線吸収剤として、酸化チタン、酸化亜鉛及び酸化セリウムが例示され、前記表面処理微粒子の含有量が、バインダー成分100質量部に対して、0.5〜10質量部であることが記載されている。
特許文献1に記載のクリヤー塗料組成物を用いて形成されたクリヤー塗膜は、紫外線吸収剤として、特定の平均粒子径を有する無機紫外線吸収剤を特定の表面処理を施してなる表面処理微粒子のみを用いている。したがって、前記表面処理微粒子がクリヤー塗膜中に良好に分散されているとしても、クリヤー塗膜が所定の耐候性を有するためには、前記表面処理微粒子の含有量が、バインダー成分100質量部に対して、0.5〜10質量部とやや多めに添加される必要がある。その結果、得られるクリヤー塗膜は、紫外線に対して所定の耐候性を有するものの、可視光線に対する透過率の低下は否めない。
一方、自動車車体用複層塗膜は、自動車車体の美観を演出する上で重要な役割を有する。そして、この複層塗膜の最上膜となるクリヤー塗膜における可視光線の透過率が高いほど、クリヤー塗膜より下層の複層塗膜により色相、彩度及び明度、光輝性等が鮮やかに発現される。
一方、自動車車体用複層塗膜は、自動車車体の美観を演出する上で重要な役割を有する。そして、この複層塗膜の最上膜となるクリヤー塗膜における可視光線の透過率が高いほど、クリヤー塗膜より下層の複層塗膜により色相、彩度及び明度、光輝性等が鮮やかに発現される。
本発明の目的は、従来と同様以上の耐候性を有するとともに、従来に比べクリヤー塗膜における可視光線の透過率の高い、自動車車体用クリヤー塗膜組成物を提供することである。
また、本発明の他の目的は、従来と同様以上の耐候性を有するとともに、従来に比べクリヤー塗膜における可視光線の透過率の高く、美観性に優れた、自動車車体用複層塗膜の形成方法及び自動車車体用複層塗膜を提供することである。
また、本発明の他の目的は、従来と同様以上の耐候性を有するとともに、従来に比べクリヤー塗膜における可視光線の透過率の高く、美観性に優れた、自動車車体用複層塗膜の形成方法及び自動車車体用複層塗膜を提供することである。
本発明者らは、特に、自動車車体用の塗装に使用されるクリヤー塗料組成物において、一次粒子の平均粒子径が10〜50nmの微粒子酸化チタンを少量添加することで、紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤の添加量を従来に比べ低下させることができ、得られる自動車車体用複層塗膜は従来と同等以上の耐候性を有し、かつ、クリヤー塗膜は従来に比べ可視光線の透過率が高くなることを見出し、本発明に至った。すなわち本発明は、下記の通りである。
[1] バインダー成分(a)、有機系紫外線吸収剤(b)、ヒンダードアミン系光安定剤(c)及び微粒子酸化チタン(d)を含有する自動車車体用クリヤー塗料組成物であって、前記微粒子酸化チタン(d)の一次粒子の平均粒子径が、10nm以上、50nm以下であり、バインダー成分(a)の固形分に対して、前記微粒子酸化チタン(d)のPWCが、0.025質量部以上、0.050質量部以下である、自動車車体用クリヤー塗料組成物。
[2] バインダー成分(a)の固形分に対して、前記有機系紫外線吸収剤(b)のPWCが、1質量部以上、3質量部以下であり、バインダー成分(a)の固形分に対して、前記ヒンダードアミン系光安定剤(c)のPWCが、0.5質量部以上、1.5質量部以下である、[1]に記載の自動車車体用クリヤー塗料組成物。
[3] 下地塗膜を形成した基材上に、ベース塗膜を形成し、さらにその上にクリヤー塗膜を形成する、自動車車体用複層塗膜の形成方法であって、クリヤー塗膜を形成する自動車車体用クリヤー塗料組成物が、バインダー成分(a)、有機系紫外線吸収剤(b)、ヒンダードアミン系光安定剤(c)及び微粒子酸化チタン(d)を含み、前記微粒子酸化チタン(d)の一次粒子の平均粒子径が、10nm以上、50nm以下であり、バインダー成分(a)の固形分に対して、前記微粒子酸化チタン(d)のPWCが、0.025質量部以上、0.050質量部以下である、自動車車体用複層塗膜の形成方法。
[4] バインダー成分(a)の固形分に対して、前記有機系紫外線吸収剤(b)のPWCが、1質量部以上、3質量部以下であり、バインダー成分(a)の固形分に対して、前記ヒンダードアミン系光安定剤(c)のPWCが、0.5質量部以上、1.5質量部以下である、[3]に記載の自動車車体用複層塗膜の形成方法。
[5] [3]又は[4]に記載の方法によって形成される、ベース塗膜と、クリヤー塗膜とを含む、自動車車体用複層塗膜。
[2] バインダー成分(a)の固形分に対して、前記有機系紫外線吸収剤(b)のPWCが、1質量部以上、3質量部以下であり、バインダー成分(a)の固形分に対して、前記ヒンダードアミン系光安定剤(c)のPWCが、0.5質量部以上、1.5質量部以下である、[1]に記載の自動車車体用クリヤー塗料組成物。
[3] 下地塗膜を形成した基材上に、ベース塗膜を形成し、さらにその上にクリヤー塗膜を形成する、自動車車体用複層塗膜の形成方法であって、クリヤー塗膜を形成する自動車車体用クリヤー塗料組成物が、バインダー成分(a)、有機系紫外線吸収剤(b)、ヒンダードアミン系光安定剤(c)及び微粒子酸化チタン(d)を含み、前記微粒子酸化チタン(d)の一次粒子の平均粒子径が、10nm以上、50nm以下であり、バインダー成分(a)の固形分に対して、前記微粒子酸化チタン(d)のPWCが、0.025質量部以上、0.050質量部以下である、自動車車体用複層塗膜の形成方法。
[4] バインダー成分(a)の固形分に対して、前記有機系紫外線吸収剤(b)のPWCが、1質量部以上、3質量部以下であり、バインダー成分(a)の固形分に対して、前記ヒンダードアミン系光安定剤(c)のPWCが、0.5質量部以上、1.5質量部以下である、[3]に記載の自動車車体用複層塗膜の形成方法。
[5] [3]又は[4]に記載の方法によって形成される、ベース塗膜と、クリヤー塗膜とを含む、自動車車体用複層塗膜。
本発明によれば、従来に比べ可視光線の透過率が高く、美観性に優れたクリヤー塗膜を得ることができるクリヤー塗料組成物であって、かつ、当該クリヤー塗膜を用いた自動車車体用複層塗膜においても優れた耐候性が得られるクリヤー塗料組成物を提供することができる。
[自動車車体用クリヤー塗料組成物]
本発明の自動車車体用クリヤー塗料組成物は、バインダー成分(a)、有機系紫外線吸収剤(b)、ヒンダードアミン系光安定剤(c)及び微粒子酸化チタン(d)を含有する自動車車体用クリヤー塗料組成物であって、前記微粒子酸化チタン(d)は、一次粒子の平均粒子径が、10nm以上、100nm以下であり、バインダー成分(a)の固形分に対して、前記微粒子酸化チタン(d)の含有割合(以下、PWCという)が、0.025質量部以上、0.050質量部以下である。なお、ここで、バインダー成分(a)に対する、前記微粒子酸化チタン(d)の含有割合(PWC)とは、質量部換算で、(微粒子酸化チタン(d)/(バインダー成分(a)+微粒子酸化チタン(d))のことをいう。
本発明の自動車車体用クリヤー塗料組成物は、バインダー成分(a)、有機系紫外線吸収剤(b)、ヒンダードアミン系光安定剤(c)及び微粒子酸化チタン(d)を含有する自動車車体用クリヤー塗料組成物であって、前記微粒子酸化チタン(d)は、一次粒子の平均粒子径が、10nm以上、100nm以下であり、バインダー成分(a)の固形分に対して、前記微粒子酸化チタン(d)の含有割合(以下、PWCという)が、0.025質量部以上、0.050質量部以下である。なお、ここで、バインダー成分(a)に対する、前記微粒子酸化チタン(d)の含有割合(PWC)とは、質量部換算で、(微粒子酸化チタン(d)/(バインダー成分(a)+微粒子酸化チタン(d))のことをいう。
ここで、微粒子酸化チタン(d)は、一次粒子の平均粒子径が、10nm以上、100nm以下で、かつ、バインダー成分(a)の固形分に対して微粒子酸化チタン(d)の含有割合(PWC)が0.025質量部以上、0.050質量部以下であることにより、有機系紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤の添加量を従来に比べ低減させることで、得られるクリヤー塗膜の可視光線透過率を実用レベルに上げたとしても、当該クリヤー塗膜を用いた自動車車体用複層塗膜は従来と同等以上の耐候性を有する。
また、微粒子酸化チタン(d)の一次粒子の平均粒子径は、クリヤー塗膜の可視光線の透過率及び光沢度の観点から、好ましくは10nm以上、50nm以下であり、より好ましくは40nm以上、50nm以下である。
また、微粒子酸化チタン(d)の一次粒子の平均粒子径は、クリヤー塗膜の可視光線の透過率及び光沢度の観点から、好ましくは10nm以上、50nm以下であり、より好ましくは40nm以上、50nm以下である。
また、本発明の自動車車体用クリヤー塗料組成物は、前記微粒子酸化チタン(d)は、一次粒子の平均粒子径が、10nm以上、100nm以下であり、バインダー成分(a)の固形分に対して微粒子酸化チタン(d)の含有割合(PWC)が、0.025質量部以上、0.050質量部以下である。バインダー成分(a)の固形分に対して、前記有機系紫外線吸収剤(b)の含有割合(PWC)が、好ましくは1質量部以上、3質量部以下であり、クリヤー塗膜の色差の観点から、より好ましくは2質量部以上、3質量部以下である。
また、バインダー成分(a)の固形分に対して、自動車車体用クリヤー塗料組成物に含まれる、前記ヒンダードアミン系光安定剤(c)のPWCが、好ましくは0.5質量部以上、1.5質量部以下であり、より好ましくは、クリヤー塗膜の色差の観点から、より好ましくは1質量部以上、1.5質量部以下である。
なお、ここで、バインダー成分(a)に対する、前記有機系紫外線吸収剤(b)の含有割合(PWC)とは、質量部換算で、(有機系紫外線吸収剤(b)/(バインダー成分(a)+有機系紫外線吸収剤(b))のことをいう。また、バインダー成分(a)に対する、前記ヒンダードアミン系光安定剤(c)の含有割合(PWC)とは、質量部換算で、(ヒンダードアミン系光安定剤(c)/(バインダー成分(a)+ヒンダードアミン系光安定剤(c))のことをいう。
また、バインダー成分(a)の固形分に対して、自動車車体用クリヤー塗料組成物に含まれる、前記ヒンダードアミン系光安定剤(c)のPWCが、好ましくは0.5質量部以上、1.5質量部以下であり、より好ましくは、クリヤー塗膜の色差の観点から、より好ましくは1質量部以上、1.5質量部以下である。
なお、ここで、バインダー成分(a)に対する、前記有機系紫外線吸収剤(b)の含有割合(PWC)とは、質量部換算で、(有機系紫外線吸収剤(b)/(バインダー成分(a)+有機系紫外線吸収剤(b))のことをいう。また、バインダー成分(a)に対する、前記ヒンダードアミン系光安定剤(c)の含有割合(PWC)とは、質量部換算で、(ヒンダードアミン系光安定剤(c)/(バインダー成分(a)+ヒンダードアミン系光安定剤(c))のことをいう。
本発明の自動車車体用クリヤー塗料組成物を用いて得られるクリヤー塗膜において、本発明で用いる「微粒子酸化チタン」は、1次粒子の平均粒径が10nm以上、50nm以下であり、従来の粒子径の大きい酸化チタンに比べ、クリヤー塗料及びクリヤー塗膜における分散性が高い。したがって、「微粒子酸化チタン」を、従来の無機紫外線吸収剤の添加量に比べ少量の添加であったとしても、クリヤー塗膜の耐候性は従来と同等以上であり、かつ、クリヤー塗膜の可視光線の透過率は従来に比べ高くなると推察される。さらに、「微粒子酸化チタン」は、従来の粒径の大きい酸化チタンに比べ、有機成分に対する分散性が良いことから、本願発明で、「微粒子酸化チタン」と併用される「紫外線吸収剤」と「ヒンダードアミン系光安定剤」に対しても、分散性がよいと考えられる。したがって、本発明で用いる、いかなる「紫外線吸収剤」及び「ヒンダードアミン系光安定剤」に、本発明で用いる「微粒子酸化チタン」を組み合わせても、クリヤー塗膜の耐候性は従来と同等以上であり、かつ、クリヤー塗膜の可視光線の透過率は従来に比べ高くなるものと推察される。
自動車車体用クリヤー塗料組成物は、溶剤型、水性型、粉体型などの種々の形態をとることができる。溶剤型塗料又は水性塗料としては、一液型塗料を用いてもよいし、二液型ウレタン樹脂塗料などのような二液型塗料を用いてもよい。
また、後述する自動車車体用複層塗膜の形成方法において用いられる、自動車車体用クリヤー塗料組成物は、有機溶媒のPWCによる環境に与える影響の観点から、20℃におけるフォードカップNo.4で20〜50秒の粘度となるように希釈した時のクリヤー塗料組成物の固形分が50質量%以上である溶剤型クリヤー塗料組成物又は水性型クリヤー塗料組成物、あるいは、粉体型クリヤー塗料組成物であることが好ましい。
また、後述する自動車車体用複層塗膜の形成方法において用いられる、自動車車体用クリヤー塗料組成物は、有機溶媒のPWCによる環境に与える影響の観点から、20℃におけるフォードカップNo.4で20〜50秒の粘度となるように希釈した時のクリヤー塗料組成物の固形分が50質量%以上である溶剤型クリヤー塗料組成物又は水性型クリヤー塗料組成物、あるいは、粉体型クリヤー塗料組成物であることが好ましい。
<バインダー成分(a)>
バインダー成分としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテル樹脂及びこれらの変性樹脂などから選ばれた少なくとも1種の熱硬化性樹脂と、必要に応じて硬化剤を含むものなどを用いることができる。また、硬化剤は、たとえば、アミノ樹脂及び/又はブロックイソシアネート化合物、アミン系硬化剤、ポリアミド系硬化剤、多価カルボン酸等が用いられる。
バインダー成分としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテル樹脂及びこれらの変性樹脂などから選ばれた少なくとも1種の熱硬化性樹脂と、必要に応じて硬化剤を含むものなどを用いることができる。また、硬化剤は、たとえば、アミノ樹脂及び/又はブロックイソシアネート化合物、アミン系硬化剤、ポリアミド系硬化剤、多価カルボン酸等が用いられる。
自動車車体用クリヤー塗料組成物が溶剤型クリヤー塗料組成物の場合、好ましい例としては、透明性あるいは耐酸エッチング性などの点から、アクリル樹脂及び/又はポリエステル樹脂と、アミノ樹脂及び/又はイソシアネートとの組み合わせ、あるいはカルボン酸/エポキシ硬化系を有するアクリル樹脂及び/又はポリエステル樹脂などを挙げることができる。
また、自動車車体用クリヤー塗料組成物が水性型クリヤー塗料組成物の場合、たとえば、上記溶剤型クリヤー塗料組成物の例として挙げたものに含有される塗膜形成性樹脂を、塩基で中和して水性化した樹脂を含有するものを挙げることができる。この中和は重合の前又は後に、ジメチルエタノールアミン及びトリエチルアミンのような3級アミンを添加することにより行うことができる。
<有機系紫外線吸収剤(b)>
有機系紫外線吸収剤(b)としては、たとえば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、液状紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、たとえば、商品名「TINUVIN P」、「TINUVIN P FL」、「TINUVIN 234」、「TINUVIN 326」、「TINUVIN FL」、「TINUVIN 329」、「TINUVIN 329F」、「TINUVIN 900」(前述の商品は、いずれもBASF社製である)、商品名「アデカスタブ LA−29」(IUPAC名:2−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール)、商品名「アデカスタブ LA−31」、「アデカスタブ LA−31RG」、「アデカスタブ LA−31G」(いずれも、IUPAC名:2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール])、商品名「アデカスタブ LA−32」(IUPAC名:2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール)、商品名「アデカスタブ LA−36」、「アデカスタブ LA−36RG」(いずれも、IUPAC名:2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)(後段の商品は、いずれも株式会社ADEKA製である)等が挙げられる。ここで、「TINUVIN」は、BASF社の登録商標である。以下同様である。また、「アデカスタブ」は、株式会社ADEKAの登録商標である。以下同様である。
液状紫外線吸収剤としては、たとえば、商品名「TINUVIN 213」、「TINUVIN 571」(いずれもBASF社製)が挙げられる。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、たとえば、商品名「TINUVIN 1577ED」(BASF社製)、商品名「アデカスタブ LA−46」(IUPAC名:2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[2−(2−エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ]フェノール)、商品名「アデカスタブ LA−F70」(IUPAC名:2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシ−3−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン)(後段の商品は、いずれも株式会社ADEKA製である)等が挙げられる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、たとえば、商品名「CHIMASSORB 81」、「CHIMASSORB 81 FL」(いずれもBASF社製)、商品名「アデカスタブ 1413」(IUPAC名:[2−ヒドロキシ−4−(オクチルオキシ)フェニル](フェニル)メタノン)(株式会社ADEKA製)等が挙げられる。ここで、「CHIMASSORB」は、BASF社の登録商標である。以下同様である。
ベンゾエート系紫外線吸収剤としては、たとえば、商品名「TINUVIN 120」(BASF社製)が挙げられる。
有機系紫外線吸収剤(b)としては、たとえば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、液状紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、たとえば、商品名「TINUVIN P」、「TINUVIN P FL」、「TINUVIN 234」、「TINUVIN 326」、「TINUVIN FL」、「TINUVIN 329」、「TINUVIN 329F」、「TINUVIN 900」(前述の商品は、いずれもBASF社製である)、商品名「アデカスタブ LA−29」(IUPAC名:2−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール)、商品名「アデカスタブ LA−31」、「アデカスタブ LA−31RG」、「アデカスタブ LA−31G」(いずれも、IUPAC名:2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール])、商品名「アデカスタブ LA−32」(IUPAC名:2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール)、商品名「アデカスタブ LA−36」、「アデカスタブ LA−36RG」(いずれも、IUPAC名:2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)(後段の商品は、いずれも株式会社ADEKA製である)等が挙げられる。ここで、「TINUVIN」は、BASF社の登録商標である。以下同様である。また、「アデカスタブ」は、株式会社ADEKAの登録商標である。以下同様である。
液状紫外線吸収剤としては、たとえば、商品名「TINUVIN 213」、「TINUVIN 571」(いずれもBASF社製)が挙げられる。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、たとえば、商品名「TINUVIN 1577ED」(BASF社製)、商品名「アデカスタブ LA−46」(IUPAC名:2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[2−(2−エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ]フェノール)、商品名「アデカスタブ LA−F70」(IUPAC名:2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシ−3−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン)(後段の商品は、いずれも株式会社ADEKA製である)等が挙げられる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、たとえば、商品名「CHIMASSORB 81」、「CHIMASSORB 81 FL」(いずれもBASF社製)、商品名「アデカスタブ 1413」(IUPAC名:[2−ヒドロキシ−4−(オクチルオキシ)フェニル](フェニル)メタノン)(株式会社ADEKA製)等が挙げられる。ここで、「CHIMASSORB」は、BASF社の登録商標である。以下同様である。
ベンゾエート系紫外線吸収剤としては、たとえば、商品名「TINUVIN 120」(BASF社製)が挙げられる。
<ヒンダードアミン系光安定剤(c)>
ヒンダードアミン系光安定剤(c)としては、耐候性を向上させるために光安定化剤として、ヒンダードアミン系光安定剤(c)を用いる。ヒンダードアミン系光安定化剤としては、例えば、商品名「CHIMASSORB 2020 FDL」、「CHIMASSORB 944 FDL」、「TINUVIN 622 SF」、「TINUVIN 144」、「TINUVIN 292」、「TINUVIN PA144」、「TINUVIN 765」、「TINUVIN 770 DF」、「TINUVIN 111 FDL」、「TINUVIN 783 FDL」、「TINUVIN 791 FB」(いずれもBASF社製)が挙げられる。
ヒンダードアミン系光安定剤(c)としては、耐候性を向上させるために光安定化剤として、ヒンダードアミン系光安定剤(c)を用いる。ヒンダードアミン系光安定化剤としては、例えば、商品名「CHIMASSORB 2020 FDL」、「CHIMASSORB 944 FDL」、「TINUVIN 622 SF」、「TINUVIN 144」、「TINUVIN 292」、「TINUVIN PA144」、「TINUVIN 765」、「TINUVIN 770 DF」、「TINUVIN 111 FDL」、「TINUVIN 783 FDL」、「TINUVIN 791 FB」(いずれもBASF社製)が挙げられる。
<微粒子酸化チタン(d)>
微粒子酸化チタン(d)とは、1次粒子の平均粒子径が10nm以上、50nm以下である酸化チタンの粒子をいう。
微粒子酸化チタン(d)としては、商品名「MT−100S」、「MT−100T」、「MT−100TV」、「MT−100Z」、「MT−100F」、「MT−150W」、「MT−100AQ」、「MT−100SA」、「MT−100HD」、「MT−100SAS」、「MT−500SAS」、「MT−500B」、「MT−500H」、「MT−500SA」、「MT−500HD」、「SMT−100SAS」、「SMT−500SAS」、「MT−600B」、「MT−600SA」、「MT−700HD」(いずれも、テイカ株式会社製)、商品名「TTO−51」、「TTO−55」(いずれも、石原産業株式会社製)、商品名「STR−60」、「STR−100」(いずれも、堺化学工業株式会社製)等が挙げられ、これらの少なくとも1種類又は2種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、自動車車体用クリヤー塗料組成物における、微粒子酸化チタンの分散性の観点から、「MT−700HD」(テイカ株式会社製)が好ましい。
微粒子酸化チタン(d)とは、1次粒子の平均粒子径が10nm以上、50nm以下である酸化チタンの粒子をいう。
微粒子酸化チタン(d)としては、商品名「MT−100S」、「MT−100T」、「MT−100TV」、「MT−100Z」、「MT−100F」、「MT−150W」、「MT−100AQ」、「MT−100SA」、「MT−100HD」、「MT−100SAS」、「MT−500SAS」、「MT−500B」、「MT−500H」、「MT−500SA」、「MT−500HD」、「SMT−100SAS」、「SMT−500SAS」、「MT−600B」、「MT−600SA」、「MT−700HD」(いずれも、テイカ株式会社製)、商品名「TTO−51」、「TTO−55」(いずれも、石原産業株式会社製)、商品名「STR−60」、「STR−100」(いずれも、堺化学工業株式会社製)等が挙げられ、これらの少なくとも1種類又は2種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、自動車車体用クリヤー塗料組成物における、微粒子酸化チタンの分散性の観点から、「MT−700HD」(テイカ株式会社製)が好ましい。
〔微粒子酸化チタンの1次粒子の平均粒子径の測定方法〕
上述した微粒子酸化チタンの1次粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)写真によって50個の微粒子酸化チタンの長径を計測し、それらを平均することで求めた個数平均値である。なお、後述する実施例においても、同様に測定した。
上述した微粒子酸化チタンの1次粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)写真によって50個の微粒子酸化チタンの長径を計測し、それらを平均することで求めた個数平均値である。なお、後述する実施例においても、同様に測定した。
<その他の添加剤>
自動車車体用クリヤー塗料組成物は、必要に応じて、その透明性を損なわない範囲で、あるいは下地の意匠性を妨げない程度であれば、着色顔料、体質顔料、改質剤、レベリング剤、分散剤、消泡剤などの添加剤を配合することができる。
さらに、自動車車体用クリヤー塗料組成物には、塗装作業性を確保するために、粘性制御剤が添加されていることが好ましい。粘性制御剤は、一般にチクソトロピー性を示すものを使用できる。例えば、このようなものとして、従来から公知のものを使用することができる。また、必要により、硬化触媒、表面調整剤などを含むことができる。
自動車車体用クリヤー塗料組成物は、必要に応じて、その透明性を損なわない範囲で、あるいは下地の意匠性を妨げない程度であれば、着色顔料、体質顔料、改質剤、レベリング剤、分散剤、消泡剤などの添加剤を配合することができる。
さらに、自動車車体用クリヤー塗料組成物には、塗装作業性を確保するために、粘性制御剤が添加されていることが好ましい。粘性制御剤は、一般にチクソトロピー性を示すものを使用できる。例えば、このようなものとして、従来から公知のものを使用することができる。また、必要により、硬化触媒、表面調整剤などを含むことができる。
[自動車車体用複層塗膜の形成方法]
本発明の自動車車体用複層塗膜の形成方法は、下地塗膜を形成した基材上に、ベース塗膜を形成し、さらにその上にクリヤー塗膜を形成する、自動車車体用複層塗膜の形成方法であって、クリヤー塗膜を形成する自動車車体用クリヤー塗料組成物が、バインダー成分(a)、紫外線吸収剤(b)、ヒンダードアミン系光安定剤(c)及び微粒子酸化チタン(d)を含み、前記微粒子酸化チタン(d)の一次粒子の平均粒子径が、10nm以上、50nm以下であり、バインダー成分(a)の固形分に対して、前記微粒子酸化チタン(d)のPWCが、0.025質量部以上、0.050質量部以下である。
さらに、本発明の自動車車体用複層塗膜の形成方法は、バインダー成分(a)の固形分に対して、前記有機系紫外線吸収剤(b)のPWCが、1質量部以上、3質量部以下であることが好ましく、また、バインダー成分(a)の固形分に対して、前記ヒンダードアミン系光安定剤(c)のPWCが、0.5質量部以上、1.5質量部以下であることが好ましい。
なお、前記「クリヤー塗膜を形成する自動車車体用クリヤー塗料組成物」は、上述の「自動車車体用クリヤー塗料組成物」と同一であることから、ここでは、各成分及びその具体例についての説明は省略する。
本発明の自動車車体用複層塗膜の形成方法は、下地塗膜を形成した基材上に、ベース塗膜を形成し、さらにその上にクリヤー塗膜を形成する、自動車車体用複層塗膜の形成方法であって、クリヤー塗膜を形成する自動車車体用クリヤー塗料組成物が、バインダー成分(a)、紫外線吸収剤(b)、ヒンダードアミン系光安定剤(c)及び微粒子酸化チタン(d)を含み、前記微粒子酸化チタン(d)の一次粒子の平均粒子径が、10nm以上、50nm以下であり、バインダー成分(a)の固形分に対して、前記微粒子酸化チタン(d)のPWCが、0.025質量部以上、0.050質量部以下である。
さらに、本発明の自動車車体用複層塗膜の形成方法は、バインダー成分(a)の固形分に対して、前記有機系紫外線吸収剤(b)のPWCが、1質量部以上、3質量部以下であることが好ましく、また、バインダー成分(a)の固形分に対して、前記ヒンダードアミン系光安定剤(c)のPWCが、0.5質量部以上、1.5質量部以下であることが好ましい。
なお、前記「クリヤー塗膜を形成する自動車車体用クリヤー塗料組成物」は、上述の「自動車車体用クリヤー塗料組成物」と同一であることから、ここでは、各成分及びその具体例についての説明は省略する。
<被塗物>
本発明の自動車車体用複層塗膜の形成方法において、被塗物は、導電性の基材(例えば、自動車車体及びその部品)を予め脱脂処理や化成処理(リン酸塩又はジルコニウム塩などによる化成処理など)を施した後、電着塗装、中塗り塗装などの下地塗装を施したものをいう。
本発明の自動車車体用複層塗膜の形成方法において、被塗物は、導電性の基材(例えば、自動車車体及びその部品)を予め脱脂処理や化成処理(リン酸塩又はジルコニウム塩などによる化成処理など)を施した後、電着塗装、中塗り塗装などの下地塗装を施したものをいう。
電着塗装は、鋼板などの導電性の被塗物に電着塗膜を形成して防錆性を付与することを目的として行われるものである。このような電着塗膜を形成することのできる電着塗料組成物としては、特に限定はなく、当業者によく知られているカチオン型電着塗料組成物及びアニオン型電着塗料組成物をいずれも使用することができる。防錆性の観点からカチオン型電着塗料組成物が好ましく、なかでも、エポキシ系のカチオン型電着塗料組成物が特に好ましい。
本発明において、被塗物が自動車車体である場合、電着塗膜形成前に、脱脂、水洗、化成皮膜形成、水洗、純水洗、乾燥までの前処理を従来公知の方法で行うことが好ましい。電着塗膜形成方法は、従来公知の方法の中から、適当な方法を任意に選択すればよい。また、電着塗膜形成条件、焼き付け硬化条件、電着塗膜の厚さなどに関しても、被塗物の種類及び使用する電着塗料組成物の種類などに応じて、適宜決定することができる。
中塗り塗装は、必要に応じて形成された電着塗膜の上に中塗り塗膜を形成して、下地隠蔽性、耐チッピング性、上塗り塗膜との密着性などの性能の向上を目的として行われる。また中塗り塗膜は、最終の複層塗膜を平滑にし、外観の良好な塗膜とするための下地としても機能する。中塗り塗膜はさらに、電着塗膜と上塗り塗膜との間のバインダーとなり、かつ、塗膜表面を通じて到達する紫外線や水などによる塗膜の劣化に対する耐候性を向上させることができる。
中塗り塗膜を形成することができる中塗り塗料組成物としては、特に制限はなく、当業者によく知られている溶剤型塗料のほか、水性塗料、粉体塗料又はハイソリッド型塗料なども用いることができる。具体的には、アルキッド/メラミン系樹脂又はオイルフリーポリエステル/メラミン系樹脂塗料、アクリル樹脂及び/又はポリエステル樹脂とアミノ樹脂及び/又はイソシアネート硬化剤とを組み合わせた中塗り塗料組成物など、従来公知の中塗り塗料組成物の中から適宜選択して用いることができる。
中塗り塗膜の形成方法は、従来公知の方法の中から適当な方法を任意に選択することができる。また、本発明では、カーボンブラックと二酸化チタンとを主要顔料としたグレー系中塗り塗料組成物や、上塗り塗膜との明度及び色相を合わせたセットグレーや各種の着色顔料を組み合わせた、いわゆるカラー中塗り塗料組成物を用いることができる。これらのカラー中塗り塗料組成物は、中塗り塗膜と上塗り塗膜との複合色を発現させ、意匠性をさらに高めることができる。また、これらの中塗り塗料組成物に、アルミニウム粉、マイカ粉などの扁平顔料を添加してもよい。さらに、中塗り塗料組成物には、塗料に通常添加することのできる添加剤、例えば、表面調整剤、酸化防止剤、消泡剤などを配合してもよい。中塗り塗膜の乾燥膜厚は、20〜100μmが好ましく、より好ましくは30〜50μmである。
中塗り塗膜は、被塗物又は電着塗膜の上に塗装された後、未硬化の状態でも用いることができ、また硬化させた状態で用いることもできる。上記中塗り塗膜を硬化させる場合には、硬化温度は100〜180℃、好ましくは120〜160℃に設定することで高い架橋度の硬化塗膜が得られる。硬化温度を上記範囲内にすることで、硬化が不十分になること及び塗膜が固く脆くなることが抑制される。硬化時間は硬化温度により変化するが、120〜160℃で10〜30分が適当である。
<ベース塗膜及びクリヤー塗膜の形成方法>
本発明の自動車車体用複層塗膜の形成方法では、下地塗膜を形成した基材上に、ベース塗料組成物、上述の自動車車体用クリヤー塗料組成物(以下、「クリヤー塗料組成物」と略す場合がある)を、順次、ウェットオンウェットで塗装し、次いでこれらの塗膜を同時に硬化させる、2コート1ベークの方法で塗膜形成を行うことが好ましい。また、下地塗膜を形成した基材上に、上記ベース塗料組成物を塗装して硬化させた後にクリヤー塗料組成物を塗装して硬化させる、2コート2ベーク塗装方法にも適用できる。
本発明の自動車車体用複層塗膜の形成方法では、下地塗膜を形成した基材上に、ベース塗料組成物、上述の自動車車体用クリヤー塗料組成物(以下、「クリヤー塗料組成物」と略す場合がある)を、順次、ウェットオンウェットで塗装し、次いでこれらの塗膜を同時に硬化させる、2コート1ベークの方法で塗膜形成を行うことが好ましい。また、下地塗膜を形成した基材上に、上記ベース塗料組成物を塗装して硬化させた後にクリヤー塗料組成物を塗装して硬化させる、2コート2ベーク塗装方法にも適用できる。
上記ベース塗料組成物の塗装方法は、例えば、自動車車体などに塗装する場合には、意匠性を高めるためにエアー静電スプレー塗装による多ステージ塗装、好ましくは2ステージで塗装する方法、あるいは、エアー静電スプレー塗装と、通称「μμ(マイクロマイクロ)ベル」、「μ(マイクロ)ベル」又は「メタベル」などと言われる回転霧化式の静電塗装機とを組み合わせた塗装方法であることが好ましい。
上記ベース塗料組成物の塗布により形成されるベース塗膜の乾燥膜厚は所望の用途により変化するが、多くの場合、下限5μm、上限30μmであることが好ましい。ベース塗膜の感想膜厚を上記範囲にすることで、下地が隠蔽できず膜切れが発生することが抑制され、塗装時に流れなどの不具合が生じることが防止される。
上記2コート1ベークにより複層塗膜を形成する場合においては、上記ベース塗料組成物を塗装した後、加熱硬化させることなく、クリヤー塗料組成物を塗装する工程に移る。この場合において、必要に応じて、クリヤー塗料組成物を塗装する前に、加熱硬化(焼付け)処理で用いられる温度より低い温度、例えば40〜100℃で1〜10分間加熱して水分などの溶媒を揮散させる、プレヒート工程を行ってもよい。
上記クリヤー塗料組成物の塗装方法としては、上記ベース塗料組成物と同様に、上述の回転霧化式の静電塗装機により塗装する方法が好ましい。上記クリヤー塗料組成物により形成されるクリヤー塗膜の乾燥膜厚は、一般に、下限20μm、上限70μmが好ましい。20μm未満であると、下地の凹凸の隠蔽が不充分であるおそれがある。70μmを超えると、塗装時にワキあるいはタレなどの不具合が生じるおそれがある。上記下限は25μmであることがより好ましく、上記上限は60μmであることがより好ましい。
2コート1ベーク法においては上記ベース塗料組成物及びクリヤー塗料組成物を塗装した後、これらの未硬化の塗膜を硬化させる。硬化温度は、下限100℃、上限180℃であることが好ましい。100℃未満であると、硬化が不充分となるおそれがある。180℃を超えると、塗膜が固く脆くなるおそれがある。高い架橋度の硬化塗膜を得られる点で、下限は120℃であることがより好ましく、上限は160℃であることがより好ましい。硬化時間は硬化温度により変化するが、120〜160℃の場合、10〜30分が好ましい。
また、2コート2ベークにより複層塗膜を形成する場合は、上記ベース塗料組成物を塗装した後、例えば120〜160℃で10〜30分間加熱して硬化させ、次いでクリヤー塗料組成物を上記と同様に塗装した後に、例えば120〜160℃で10〜30分間加熱して、硬化させるのが好ましい。
本発明の複層塗膜形成方法により形成される複層塗膜の膜厚は、下限30μm、上限300μmであることが好ましい。複層塗膜の膜厚を上記範囲にすることで、膜自体の強度の低下が抑制され、耐候性等の膜物性の低下が防止される。なお、複合塗膜の膜物性の観点から、上記下限は50μmであることがより好ましく、上記上限は250μmであることがより好ましい。
〔ベース塗料組成物〕
本発明の自動車車体用複層塗膜の形成方法に用いられる、ベース塗料組成物は、硬化型塗料組成物、乾燥型塗料組成物のいずれであってもよく、膜形成性成分と、着色成分および/または光輝材とを含んでいる。
本発明の自動車車体用複層塗膜の形成方法に用いられる、ベース塗料組成物は、硬化型塗料組成物、乾燥型塗料組成物のいずれであってもよく、膜形成性成分と、着色成分および/または光輝材とを含んでいる。
上記膜形成性成分としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂成分を例示することができる。ベース塗料が硬化型塗料である場合には、上記樹脂成分のうち硬化官能基を有するものと、これらの官能基に応じたアミノ樹脂や必要によりブロック化されたイソシアネート樹脂等の硬化剤との組合せを例示することができる。
上記着色成分としては、例えば、二酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄、黄色酸化鉄等の無機着色顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、カルバゾールバイオレット、アントラピリジン、アゾオレンジ、フラバンスロンイエロー、イソインドリンイエロー、アゾイエロー、インダスロンブルー、ジブロムアンザスロンレッド、ペリレンレッド、アゾレッド、アントラキノンレッド、キナクリドンレッド等の有機着色顔料等、1:2クロム錯体ブラック、1:2クロム錯体イエロー、1:2コバルト錯体イエロー等の染料を、例示することができる。
また、上記光輝材としては、例えば、上記アルミニウム粉、アルミナ粉、ガラス粉、ブロンズ粉、銅粉、スズ粉、亜鉛粉、リン化鉄、金属コーティングマイカ粉、二酸化チタンコーティングマイカ粉、二酸化チタンコーティングガラス粉等を例示することができる。
ベース塗料の着色成分および光輝材の含有量としては特に限定されないが、意匠性の観点から、塗料中の樹脂固形分に対して1〜60質量%であることが好ましい。ここで、本発明でいう塗料中の樹脂固形分とは、上記膜形成性成分の固形分重量をいう。なお、本発明の自動車車体用高意匠性塗装塗膜形成方法に用いられるベース塗料は、意匠性の観点から、上記光輝材を含んでいることが好ましい。
ベース塗料は、さらに、樹脂粒子を含むことができる。上記樹脂粒子を含むことによって、塗布時および塗布後の塗膜の粘性を制御することができ、例えば、ベース塗膜上に上塗り塗膜の層間のなじみや反転を抑制することができる。上記樹脂粒子としては特に限定されず、例えば、有機媒体中で、有機溶剤に可溶な部分と不溶な部分を有するポリエステル樹脂またはアルキド樹脂の存在下でエチレン性不飽和モノマーを重合させて得られるNAD粒子と呼ばれるアクリル樹脂粒子や、水性媒体中で、界面活性剤を存在下でエチレン性不飽和モノマーを乳化重合させて得られるアクリル樹脂粒子等を例示することができる。これらの樹脂粒子は、架橋樹脂粒子であってもよいし、非架橋樹脂粒子であってもよい。上記樹脂粒子の平均粒子径は、貯蔵安定性の観点から、20〜500nmであることが好ましい。ベース塗料中の樹脂粒子のPWCとしては、通常、塗料中の樹脂固形分に対して1〜20質量%である。
ベース塗料は、必要に応じて、体質顔料、硬化触媒、表面調整剤、紫外線吸収剤、光安定剤、当業者によってよく知られているものを含むことができる。なお、ベース塗料の形態としては特に限定されず、溶剤型、水分散型または水溶型のいずれであってもよい。
[自動車車体用複層塗膜]
本発明の自動車車体用複層塗膜は、上述した自動車車体用複層塗膜の形成方法によって形成される、ベース塗膜と、クリヤー塗膜とを含む。
図1に、本発明の自動車車体用複層塗膜の構造の一例を示す。
図1に示すように、本発明の自動車車体用複層塗膜は、基材10の表面に、上述した電着塗膜12、中塗り塗膜14、ベース塗膜16、クリヤー塗膜18が順次形成されて成る。
なお、各塗膜を形成するための塗料及び塗料組成物、並びに、各塗膜の形成方法については上述したので、ここでの説明は省略する。
本発明の自動車車体用複層塗膜は、上述した自動車車体用複層塗膜の形成方法によって形成される、ベース塗膜と、クリヤー塗膜とを含む。
図1に、本発明の自動車車体用複層塗膜の構造の一例を示す。
図1に示すように、本発明の自動車車体用複層塗膜は、基材10の表面に、上述した電着塗膜12、中塗り塗膜14、ベース塗膜16、クリヤー塗膜18が順次形成されて成る。
なお、各塗膜を形成するための塗料及び塗料組成物、並びに、各塗膜の形成方法については上述したので、ここでの説明は省略する。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。下記実施例中、「部」及び「%」は、特に断りのない限り質量基準である。
[製造例1]
微粒子酸化チタンの分散液は、表1に示す成分配合で作製した。
微粒子酸化チタンの分散液は、表1に示す成分配合で作製した。
*1:商品名「ソルフィット」(登録商標)(アルコール系溶剤、株式会社クラレ製)、IUPAC名:3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール(CAS:56539−66−3)
*2:商品名「MT−700HD」(テイカ株式会社製、1次粒子の平均粒子径:50nm)
*3:商品名「ACR−421」(日本ペイント株式会社製、固形分:50質量%)
*2:商品名「MT−700HD」(テイカ株式会社製、1次粒子の平均粒子径:50nm)
*3:商品名「ACR−421」(日本ペイント株式会社製、固形分:50質量%)
[製造例2]
有機系紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤添加前のプレクリヤー塗料組成物は、表2に示す成分配合で作製した。
なお、本明細書では、以下、バインダー成分の固形分に対して、各成分の含有割合(「PWC」ともいう)を『質量部』を用いて記載する。
有機系紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤添加前のプレクリヤー塗料組成物は、表2に示す成分配合で作製した。
なお、本明細書では、以下、バインダー成分の固形分に対して、各成分の含有割合(「PWC」ともいう)を『質量部』を用いて記載する。
*4:クリヤー塗料;商品名「MAC 0−1820」(日本ペイント株式会社製、カルボン酸/エポキシ硬化型溶剤型塗料、バインダー成分;酸ハーフエステル含有アクリル樹脂、エポキシ/水酸基含有アクリル樹脂、低分子オリゴマー、固形分:54質量%)
*5:商品名「Solvesso 150」(東燃ゼネラル石油株式会社製、芳香族系炭化水素溶剤、「Solvesso」は東燃ゼネラル石油株式会社の登録商標である。)
*5:商品名「Solvesso 150」(東燃ゼネラル石油株式会社製、芳香族系炭化水素溶剤、「Solvesso」は東燃ゼネラル石油株式会社の登録商標である。)
<実施例1−a>
表2に示すクリヤー塗料中のバインダー成分の固形分に対して、微粒子酸化チタンの含有割合(「PWC」ともいう)を0.025質量部含む「プレクリヤー塗料組成物」に、バインダー成分の固形分に対して、有機紫外線吸収剤のPWCが1質量部、ヒンダードアミン系光安定剤のPWCが0.5質量部となるように添加して、攪拌装置により30分間攪拌処理して、「クリヤー塗料組成物」を調製した。
<実施例1−b>
表2に示すクリヤー塗料中のバインダー成分の固形分に対して、微粒子酸化チタンのPWCを0.050質量部含む「プレクリヤー塗料組成物」に、バインダー成分の固形分に対して、有機紫外線吸収剤のPWCが1質量部、ヒンダードアミン系光安定剤のPWCが0.5質量部となるように添加して、攪拌装置により30分間攪拌処理して、「クリヤー塗料組成物」を調製した。
表2に示すクリヤー塗料中のバインダー成分の固形分に対して、微粒子酸化チタンの含有割合(「PWC」ともいう)を0.025質量部含む「プレクリヤー塗料組成物」に、バインダー成分の固形分に対して、有機紫外線吸収剤のPWCが1質量部、ヒンダードアミン系光安定剤のPWCが0.5質量部となるように添加して、攪拌装置により30分間攪拌処理して、「クリヤー塗料組成物」を調製した。
<実施例1−b>
表2に示すクリヤー塗料中のバインダー成分の固形分に対して、微粒子酸化チタンのPWCを0.050質量部含む「プレクリヤー塗料組成物」に、バインダー成分の固形分に対して、有機紫外線吸収剤のPWCが1質量部、ヒンダードアミン系光安定剤のPWCが0.5質量部となるように添加して、攪拌装置により30分間攪拌処理して、「クリヤー塗料組成物」を調製した。
<参考例1>
実施例1−aにおける、微粒子酸化チタンを含まず、有機系紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤のPWCが実施例1−aの2倍量で添加されている以外、実施例1−aに準拠して、クリヤー塗料組成物を調製した。
実施例1−aにおける、微粒子酸化チタンを含まず、有機系紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤のPWCが実施例1−aの2倍量で添加されている以外、実施例1−aに準拠して、クリヤー塗料組成物を調製した。
<参考例2>
実施例1−aにおける、微粒子酸化チタンを含まない以外、実施例1−aに準拠して、クリヤー塗料組成物を調製した。
実施例1−aにおける、微粒子酸化チタンを含まない以外、実施例1−aに準拠して、クリヤー塗料組成物を調製した。
<比較例1>
実施例1−aにおいて、バインダー成分の固形分に対して、微粒子酸化チタンのPWCを5質量部とした以外、実施例1−aに準拠して、クリヤー塗料組成物を調製した。
実施例1−aにおいて、バインダー成分の固形分に対して、微粒子酸化チタンのPWCを5質量部とした以外、実施例1−aに準拠して、クリヤー塗料組成物を調製した。
〔試験用クリヤー塗膜の作成〕
実施例1−a及び1−b、参考例1及び2、比較例1で得られた各クリヤー塗料組成物をブリキ板上に乾燥膜厚が30μmとなるようにエアスプレー塗布し、140℃で30分間加熱硬化させた。その後、ブリキ板から硬化塗膜を剥がし、幅1cm×長さ30cm×膜厚30μmの各試験用塗膜を作成した。作成した各試験用塗膜を下記評価試験に供した。得られた結果を、表3に示す。
実施例1−a及び1−b、参考例1及び2、比較例1で得られた各クリヤー塗料組成物をブリキ板上に乾燥膜厚が30μmとなるようにエアスプレー塗布し、140℃で30分間加熱硬化させた。その後、ブリキ板から硬化塗膜を剥がし、幅1cm×長さ30cm×膜厚30μmの各試験用塗膜を作成した。作成した各試験用塗膜を下記評価試験に供した。得られた結果を、表3に示す。
〔紫外線透過率及び可視光線透過率〕
日立分光光度計U−3000(商品名、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて、上記試験用塗膜及びリファレンス用塗膜の波長500nmから300nmまでの透過率を測定した。下記式により試験用塗膜の透過率をリファレンス用塗膜の透過率で補正して、各波長の透過率(%)を求めた。
上記式により求めた透過率(%)のうち、波長300〜400nmの透過率(%)を紫外線透過率とし、波長400〜700nmの透過率(%)を可視光透過率として、表3に示した。
なお、表3では、クリヤー塗料組成物中の配合量の異なる成分について明示するとともに、評価結果を記載した。
日立分光光度計U−3000(商品名、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて、上記試験用塗膜及びリファレンス用塗膜の波長500nmから300nmまでの透過率を測定した。下記式により試験用塗膜の透過率をリファレンス用塗膜の透過率で補正して、各波長の透過率(%)を求めた。
上記式により求めた透過率(%)のうち、波長300〜400nmの透過率(%)を紫外線透過率とし、波長400〜700nmの透過率(%)を可視光透過率として、表3に示した。
なお、表3では、クリヤー塗料組成物中の配合量の異なる成分について明示するとともに、評価結果を記載した。
*2、*4、*5:前述同様であるため、ここでの記載は省略する。
*6:「UVA」は、紫外線吸収剤の略称であり、「HALS」は、ヒンダードアミン系光安定剤の略称である。紫外線吸収剤として、商品名「TINUVIN900」(BASF社製)を使用し、ヒンダードアミン系光安定剤として、商品名「TINUVIN144」(BASF社製)を使用した。
*6:「UVA」は、紫外線吸収剤の略称であり、「HALS」は、ヒンダードアミン系光安定剤の略称である。紫外線吸収剤として、商品名「TINUVIN900」(BASF社製)を使用し、ヒンダードアミン系光安定剤として、商品名「TINUVIN144」(BASF社製)を使用した。
表3に示すように、微粒子酸化チタンを従来に比べ少量添加することにより、紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤の添加量を減らしても、紫外線透過率を維持しつつ、可視光線の透過率を高く保つことができることが分かった。
<実施例2>
〔複層塗膜の形成〕
ダル鋼板(長さ300mm、幅100mm及び厚さ0.8mm)を、商品名「サーフクリア EC92」(日本ペイント株式会社製)を用いて脱脂処理を行い、次いで、リン酸亜鉛処理剤(商品名「サーフファイン GL1/サーフダイン SD6350」、日本ペイント株式会社製)を使用して化成処理した後、カチオン電着塗料(商品名「パワーニクスPN 1010E」、日本ペイント株式会社製)を乾燥膜厚が25μmとなるように電着塗装した。次いで、160℃で30分間焼き付けた後、中塗り塗料として、ポリエステル/メラミン系グレー中塗り塗料(商品名「オルガP−30−8005」、日本ペイント株式会社製)を酢酸エチル/ソルベッソ100/ブチルジグリコールアセテート=1/1/1(質量比)を用いて、フォードカップNo.4による粘度が30秒となるように調整し、回転式静電塗装機を用いて中塗り塗装を行い、140℃で30分間の条件で焼き付け乾燥し、平均乾燥膜厚30μmの中塗り塗膜を形成した。
〔複層塗膜の形成〕
ダル鋼板(長さ300mm、幅100mm及び厚さ0.8mm)を、商品名「サーフクリア EC92」(日本ペイント株式会社製)を用いて脱脂処理を行い、次いで、リン酸亜鉛処理剤(商品名「サーフファイン GL1/サーフダイン SD6350」、日本ペイント株式会社製)を使用して化成処理した後、カチオン電着塗料(商品名「パワーニクスPN 1010E」、日本ペイント株式会社製)を乾燥膜厚が25μmとなるように電着塗装した。次いで、160℃で30分間焼き付けた後、中塗り塗料として、ポリエステル/メラミン系グレー中塗り塗料(商品名「オルガP−30−8005」、日本ペイント株式会社製)を酢酸エチル/ソルベッソ100/ブチルジグリコールアセテート=1/1/1(質量比)を用いて、フォードカップNo.4による粘度が30秒となるように調整し、回転式静電塗装機を用いて中塗り塗装を行い、140℃で30分間の条件で焼き付け乾燥し、平均乾燥膜厚30μmの中塗り塗膜を形成した。
さらに、中塗り塗膜の上に、ベース塗料(商品名「SPM−350#5A#」、日本ペイント株式会社製)を平均乾燥膜厚が15μmになるようにスプレー塗装した。塗装は静電塗装機(「AutoREA」、ABBインダストリー社製)を用い、霧化圧2.0kg/cm2で行った。塗装中のブースの雰囲気は温度25℃、湿度75%に保持した。60秒間のセッティングの後、塗装後3分間セッティングし、80℃で5分間プレヒートした後、その上にウェットオンウェットで、表4に示す配合成分のクリヤー塗料組成物を、乾燥膜厚が35μmになるようにスプレー塗装し、室温で7分間セッティングし、140℃の温度で30分間焼き付けて、2コート1ベーク(2C1B)により複層塗膜を形成した。
ここで、実施例2の複層塗膜に用いたクリヤー組成物は、実施例1のクリヤー塗料組成物と同じである。
ここで、実施例2の複層塗膜に用いたクリヤー組成物は、実施例1のクリヤー塗料組成物と同じである。
<実施例3〜7、比較例2〜11>
実施例1のクリヤー塗料組成物中の有機系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤及び微粒子酸化チタンを、表4、5に示す組成に代えた以外は、実施例2に準拠して、複層塗膜を形成した。
実施例1のクリヤー塗料組成物中の有機系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤及び微粒子酸化チタンを、表4、5に示す組成に代えた以外は、実施例2に準拠して、複層塗膜を形成した。
<実施例8>
実施例1に用いた、クリヤー塗料組成物中の微粒子酸化チタン(商品名「MT−700HD」、テイカ株式会社製、1次粒子の平均粒子径:50nm)を、微粒子酸化チタン(商品名「MT−100S」、テイカ株式会社製、1次粒子の平均粒子径:15nm)に代えた以外は、実施例2に準拠して、表4に示す複層塗膜を形成した。
実施例1に用いた、クリヤー塗料組成物中の微粒子酸化チタン(商品名「MT−700HD」、テイカ株式会社製、1次粒子の平均粒子径:50nm)を、微粒子酸化チタン(商品名「MT−100S」、テイカ株式会社製、1次粒子の平均粒子径:15nm)に代えた以外は、実施例2に準拠して、表4に示す複層塗膜を形成した。
<実施例9>
実施例1に用いた、クリヤー塗料組成物中の微粒子酸化チタン(商品名「MT−700HD」、テイカ株式会社製、1次粒子の平均粒子径:50nm)を、微粒子酸化チタン(商品名「MT−500SA」、テイカ株式会社製、1次粒子の平均粒子径:35nm)に代えた以外は、実施例2に準拠して、表4に示す複層塗膜を形成した。
実施例1に用いた、クリヤー塗料組成物中の微粒子酸化チタン(商品名「MT−700HD」、テイカ株式会社製、1次粒子の平均粒子径:50nm)を、微粒子酸化チタン(商品名「MT−500SA」、テイカ株式会社製、1次粒子の平均粒子径:35nm)に代えた以外は、実施例2に準拠して、表4に示す複層塗膜を形成した。
〔評価方法〕
<Xenon法>
JIS K5600−7−7のキセノンランプ法に従い、スーパーキセノンウェザーメーターSX2−75(スガ試験機株式会社製)に、複層塗膜が形成された試験片(以下「試験片」と略す)を取り付け、擬似太陽光を照度180W/m2にて2000時間の促進暴露を実施した。
(光沢)
促進暴露後、JIS Z 8741(鏡面光沢度−測定方法)及びASTM D 523に規定された表面光沢系を用いて、試験片表面の60°グロス値を測定した。なお、60°グロス値は光沢計(micro−TRI−gloss、BYK−Gardner社製)を用いて測定した。合格点は、「80以上」とした。
(色差)
促進暴露後、試験片の色差を、CR400(コニカミノルタ社製)によりL値を測定し、試験前のL値に対する変化の絶対値|ΔL|の大きさで評価した。色差は小さい方が良好であることを示す。
<Xenon法>
JIS K5600−7−7のキセノンランプ法に従い、スーパーキセノンウェザーメーターSX2−75(スガ試験機株式会社製)に、複層塗膜が形成された試験片(以下「試験片」と略す)を取り付け、擬似太陽光を照度180W/m2にて2000時間の促進暴露を実施した。
(光沢)
促進暴露後、JIS Z 8741(鏡面光沢度−測定方法)及びASTM D 523に規定された表面光沢系を用いて、試験片表面の60°グロス値を測定した。なお、60°グロス値は光沢計(micro−TRI−gloss、BYK−Gardner社製)を用いて測定した。合格点は、「80以上」とした。
(色差)
促進暴露後、試験片の色差を、CR400(コニカミノルタ社製)によりL値を測定し、試験前のL値に対する変化の絶対値|ΔL|の大きさで評価した。色差は小さい方が良好であることを示す。
<DPW法>
試験片を促進耐候性試験QUVとして(スガ試験機株式会社製、商品名「デューパネルコントロールウェザーメーター(FDP)」)を使用し、光照射は擬似太陽光を照度180W/m2、70℃で8時間、結露50℃で4時間、計12時間を1サイクルとし、これを250時間繰り返す。)にかけた。
(ワレ)
目視にて評価した。塗面の連続性が、ひび状、クラック状に断絶されている場合、「ワレ」と判定した。「ワレ」の数値は、ワレが発生した時間(hour)を評価した結果であり、この数値が高いほど、耐候性が高いことを示す。
(光沢)
促進暴露後、JIS Z 8741(鏡面光沢度−測定方法)及びASTM D 523に規定された表面光沢系を用いて、試験片表面の60°グロス値を測定した。なお、60°グロス値は光沢計(micro−TRI−gloss、BYK−Gardner社製)を用いて測定した。合格点は、「80以上」とした。
試験片を促進耐候性試験QUVとして(スガ試験機株式会社製、商品名「デューパネルコントロールウェザーメーター(FDP)」)を使用し、光照射は擬似太陽光を照度180W/m2、70℃で8時間、結露50℃で4時間、計12時間を1サイクルとし、これを250時間繰り返す。)にかけた。
(ワレ)
目視にて評価した。塗面の連続性が、ひび状、クラック状に断絶されている場合、「ワレ」と判定した。「ワレ」の数値は、ワレが発生した時間(hour)を評価した結果であり、この数値が高いほど、耐候性が高いことを示す。
(光沢)
促進暴露後、JIS Z 8741(鏡面光沢度−測定方法)及びASTM D 523に規定された表面光沢系を用いて、試験片表面の60°グロス値を測定した。なお、60°グロス値は光沢計(micro−TRI−gloss、BYK−Gardner社製)を用いて測定した。合格点は、「80以上」とした。
*4、*5、*6:前述同様であるため、ここでの記載は省略する。
*7:商品名「MT−700HD」(テイカ株式会社製、1次粒子の平均粒子径:50nm)
*7:商品名「MT−700HD」(テイカ株式会社製、1次粒子の平均粒子径:50nm)
*4、*5、*6、*7:前述同様であるため、ここでの記載は省略する。
表4,5に示されるとおり、実施例により得られた複層塗膜は、Xenon法及びDPW法のいずれの促進耐候性試験法においても、比較例に比べ、耐候性が高いことが分かった。また、微粒子酸化チタンを少量添加することにより、紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤の添加量を減らしても、充分に耐候性をすることも分かった。
本発明の自動車車体用クリヤー塗料組成物を用いた、自動車車体用複層塗膜の形成方法は、特に、自動車車体及び部品などの塗装に適用し、耐候性に優れた複層塗膜を提供することができる。
10 基材、12 電着塗膜、14 中塗り塗膜、16 ベース塗膜、18 クリヤー塗膜。
Claims (5)
- バインダー成分(a)、有機系紫外線吸収剤(b)、ヒンダードアミン系光安定剤(c)及び微粒子酸化チタン(d)を含有する自動車車体用クリヤー塗料組成物であって、
前記微粒子酸化チタン(d)の一次粒子の平均粒子径が、10nm以上、50nm以下であり、
バインダー成分(a)の固形分に対して、微粒子酸化チタン(d)のPWCが、0.025質量部以上、0.050質量部以下であることを特徴とする自動車車体用クリヤー塗料組成物。 - バインダー成分(a)の固形分に対して、前記有機系紫外線吸収剤(b)のPWCが、1質量部以上、3質量部以下であり、
バインダー成分(a)の固形分に対して、前記ヒンダードアミン系光安定剤(c)のPWCが、0.5質量部以上、1.5質量部以下である、請求項1に記載の自動車車体用クリヤー塗料組成物。 - 下地塗膜を形成した基材上に、ベース塗膜を形成し、さらにその上にクリヤー塗膜を形成する、自動車車体用複層塗膜の形成方法であって、
クリヤー塗膜を形成する自動車車体用クリヤー塗料組成物が、バインダー成分(a)、有機系紫外線吸収剤(b)、ヒンダードアミン系光安定剤(c)及び微粒子酸化チタン(d)を含み、
前記微粒子酸化チタン(d)の一次粒子の平均粒子径が、10nm以上、50nm以下であり、
バインダー成分(a)の固形分に対して、前記微粒子酸化チタン(d)のPWCが、0.025質量部以上、0.050質量部以下であることを特徴とする自動車車体用複層塗膜の形成方法。 - バインダー成分(a)の固形分に対して、前記有機系紫外線吸収剤(b)のPWCが、1質量部以上、3質量部以下であり、
バインダー成分(a)の固形分に対して、前記ヒンダードアミン系光安定剤(c)のPWCが、0.5質量部以上、1.5質量部以下である、請求項3に記載の自動車車体用複層塗膜の形成方法。 - 請求項3又は4に記載の方法によって形成される、ベース塗膜と、クリヤー塗膜とを含む、自動車車体用複層塗膜。
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WO2018143219A1 (ja) * | 2017-02-01 | 2018-08-09 | 日本ペイント・オートモーティブコーティングス株式会社 | 積層塗膜、塗装物及び積層塗膜の形成方法 |
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2015
- 2015-03-30 JP JP2015069544A patent/JP2016188332A/ja active Pending
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KR20180101031A (ko) * | 2017-03-03 | 2018-09-12 | (주)엘지하우시스 | 고광택 코팅 조성물 및 이를 이용한 필름 |
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