以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。本実施形態に係るドア開閉装置2は、例えば半導体の製造工程において用いられ、図1に示すように、クリーンルーム内において、搬送室3の壁面の一部を構成し、搬送室3と収納容器4との間で被搬送物Wの出し入れを行うためのものである。以下では、ドア開閉装置2が、本発明に係る搬送装置の一例であるEFEM1(Equipment Front End Module)の一部を構成するロードポートであって、被搬送物Wである例えばウェーハを収納容器4(例えばFOUP)と搬送室3(ウェーハ搬送室)の間で出し入れ処理する態様について説明する。なお、EFEMで取り扱うウェーハのサイズはSEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)規格として標準化されているが、生産性向上の観点からウェーハの大径化が進められ、これまでの直径300(半径150)mmから直径450(半径225)mm乃至直径500(半径250)mmのウェーハへの移行が推進されている。
本実施形態に係るドア開閉装置2は、図1乃至図4に示すように、搬送室3の壁面3Aの一部を構成し、且つ搬送室3の内部空間3Sを開放するための開口21aが形成された板状をなすフレーム21と、フレーム21の開口21aを開閉するドア部22と、フレーム21に略水平姿勢で設けた載置台23とを備えている。ここで、搬送室3の内部空間3Sを開放するための開口21aは、フレーム21によって仕切られる空間である搬送室3の内部空間3Sを開放するためにフレーム21に形成された開口である。なお、図2及び図3は、図1で示す載置台23の下方に設けた外部カバー20(図2参照)を取外し、内部構造の一部を露出させた状態を示している。
フレーム21は、起立姿勢で配置され、載置台23上に載置した収納容器4の搬出入口41と連通し得る大きさの開口21aを有する略矩形板状のものである。本実施形態のドア開閉装置2は、フレーム21を搬送室3に密着させた状態で使用可能なものである。また、フレーム21の下端には、キャスタ及び設置脚を有する脚部24を設けている。本実施形態では、両側方に起立させた支柱211と、これら支柱211により支持されたフレーム本体212と、フレーム本体212に略矩形状に開放された窓部213に取り付けられたウインドウユニット214とを備えたフレーム21を適用している。
ウインドウユニット214は、収納容器4の蓋部22と対向する位置に設けられており、このウインドウユニット214に設けた開口215が、本発明におけるフレーム21に形成された開口21aに相当する。
ここで、本実施形態でいう略矩形とは、四辺を備える長方形を基本形状としながら四隅を円弧によって滑らかにつないだ形状をいう。なお、図示していないが、フレーム本体212のうち搬送室側の面(前面)の外周近傍には、矩形枠状に形成された弾性材としてのガスケットを設け、搬送室3のうちフレーム21が装着される開口の縁部近傍にガスケットを接触させることで、フレーム本体212と搬送室との隙間を無くし、フレーム本体212と搬送室3との隙間を通じて搬送室3の内部空間3Sから外部へのガスの漏れを抑制するようにしている。
ドア開閉装置2の載置台23は、フレーム21のうち高さ方向中央よりもやや上方寄りの位置に略水平姿勢で配置される水平基台25(支持台)の上部に設けられる。この載置台23は、収納容器本体42の内部空間4Sを開閉可能とする蓋部43をドア部22に対向させる向きで収納容器4を載置可能なものである。また、載置台23は、図5及び図6に示すように、収納容器4の蓋部43がフレーム21の開口21aに接近する所定のドッキング位置(図6参照)と、蓋部43をドッキング位置よりもフレーム21から所定距離離間した位置(図5参照)との間で、フレーム21に対して進退移動可能に構成されている。載置台23は、図2に示すように、上向きに突出させた複数の突起231を有し、これらの突起231を収納容器4の底面に形成された穴(図示省略)に係合させることで、載置台23上における収納容器4の位置決めを図っている。なお、図5及び図6等では、載置台23上における収納容器4の載置状態として、載置台23の上面に収納容器4の底面が接触している状態を示している。しかしながら、実際には、載置台23の上面よりも上方に突出している複数の位置決め用突起231が、収納容器4の底面に形成された有底の穴に係合することで収納容器4を支持しており、載置台23の上面と収納容器4の底面は相互に接触せず、載置台23の上面と収納容器4の底面の間に所定の隙間が形成されるように規定されている。また、載置台23に対して収納容器4を固定するためのロック爪232を設けている。このロック爪232を収納容器4の底面に設けた被ロック部(図示省略)に引っ掛けて固定したロック状態にすることで、位置決め用の突起231と協働して収納容器4を載置台23上における適正な位置に案内しながら固定することができる。また、収納容器4の底面に設けた被ロック部に対するロック爪232のロック状態を解除することで収納容器4を載置台23から離間可能な状態にすることができる。
本実施形態では、このようなロードポートの載置台23に載置した収納容器4とフレーム21が並ぶ前後方向D(図1等参照)において、フレーム21側を前方と定義し、収納容器4側を後方と定義する。
本実施形態のドア開閉装置2は、載置台23上の所定箇所に複数のノズル261を設けている。これらのノズル261は、収納容器4の底面側から当該収納容器4内に窒素ガスや不活性ガス又はドライエア等の適宜選択された気体である環境ガス(パージガスとも称され、主に窒素ガスやドライエアが用いられる)を注入し、収納容器4内の気体雰囲気を環境ガスに置換可能なボトムパージ部26を構成するものとして備えられたものである。しかしながら、本実施形態のドア開閉装置2では、これら予め載置台23上に設けられているノズル261を、後述する圧力調整部6の一部を構成するノズルとして利用している。これら複数のノズル261は、本来であれば、環境ガスを収納容器4内に注入するボトムパージ注入用ノズルや、収納容器4内の気体雰囲気を排出するボトムパージ排出用ノズルとして機能するものであり、例えば載置台23の幅方向に沿って離間した位置に対にして設けることができ。また、これら複数のノズル261は、収納容器4の底部に設けた注入口及び排出口(ともに図示省略)に嵌合した状態で連結可能なものである。各ノズル261(ボトムパージ注入用ノズル、ボトムパージ排出用ノズル)又は注入口及び排出口は、気体の逆流を規制する弁機能を有するものである。各ノズル261(ボトムパージ注入用ノズル、ボトムパージ排出用ノズル)と収納容器4の注入口及び排出口との嵌合部分は、ノズル261に設けたパッキン等によって密閉状態になる。なお、本実施形態のドア開閉装置2は、載置台23上に収納容器4が載置されていない状態であれば、各ノズル261(ボトムパージ注入用ノズル、ボトムパージ排出用ノズル)を載置台23の上面よりも下方に位置付けている。そして、載置台23に設けた例えば加圧センサの被押圧部を収納容器4のうち底面部が押圧したことを検出した際に、制御部2Cからの信号によって、各ノズル261(ボトムパージ注入用ノズル、ボトムパージ排出用ノズル)を上方に進出させて収納容器4の注入口と排出口にそれぞれ連結するように構成している。
ドア部22は、収納容器4の蓋部43に当該ドア部22を連結して、蓋部43を収納容器本体42から取り外し可能な蓋連結状態と、蓋部43に対する連結状態を解除し、且つ蓋部43を収納容器本体42に取り付けた蓋連結解除状態との間で切り替え可能な連結機構221(図4参照)を備えている。ドア部22は、連結機構221によって蓋部43を一体化した状態で保持したまま所定の移動経路に沿って移動可能なものである。本実施形態のドア開閉装置2は、図5乃至図8に示すように、ドア部22を、当該ドア部22が保持する蓋部43によって収納容器本体42の内部空間4Sを密閉する全閉位置(C)と、当該ドア部22が保持する蓋部43を収納容器本体42から離間させて当該収納容器本体42の内部空間4Sを搬送室3内に向かって前方に全開放させる全開位置(O)との間で移動可能に構成している。本実施形態では、図8に示す全開位置(O)に位置付けたドア部22の姿勢を、図5及び図6に示す全閉位置(C)に位置付けたドア部22の起立姿勢と同じ姿勢に設定し、全開位置(O)と全閉位置(C)との間も起立姿勢を維持したまま移動するように設定している。すなわち、全開位置(O)と全閉位置(C)との間におけるドア部22の移動経路は、全閉位置(C)にあるドア部22をその高さ位置を維持したまま搬送室3側へ移動させた経路(水平経路)と、全開位置(O)にあるドア部22をその前後位置を維持したまま上方へ移動させた経路(鉛直経路)とからなり、水平経路と鉛直経路が交わるポイントにおいて、ドア部22の移動方向が水平方向から鉛直方向に、或いは鉛直方向から水平方向に切り替わる。この水平経路と鉛直経路が交わるポイントにおいて、ドア部22は、図7に示す移動方向切替位置(P)に位置付けられる。同図から把握できるように、移動方向切替位置(P)に位置付けたドア部22が鉛直方向及び水平方向の何れにも移動できるように、移動方向切替位置(P)に位置付けたドア部22に保持される収納容器4の蓋部43は、ドア部22と共にフレーム21よりも前方の位置(収納容器本体42から完全に離間し、搬送室3の内部空間3Sに配置される位置)に位置付けられる。特に、後述するように本実施形態のドア開閉装置2はチャンバ5を備えている。そのため、少なくともドア部22の全閉位置(C)と移動方向切替位置(P)との間の移動がチャンバ5の内部空間5Sで行われるように構成している。また、移動方向切替位置(P)を経由して全閉位置(C)と全開位置(O)との間で移動するドア部22がチャンバ5と干渉しないように構成している。
このようなドア部22の移動は、ドア開閉装置2に設けたドア移動機構27によって実現している。ドア移動機構27は、図5乃至図8に示すように、ドア部22を支持する支持フレーム271と、スライド支持部272を介して支持フレーム271を前後方向Dに移動可能に支持する可動ブロック273と、可動ブロック273を上下方向Hに移動可能に支持するスライドレール274と、ドア部22の水平経路に沿った前後方向Dの移動、及び鉛直経路に沿った上下方向Hの移動を行わせるための駆動源(例えば図示しないアクチュエータ)とを備えている。このアクチュエータに対して制御部2Cから駆動指令を与えることで、ドア部22を前後方向D及び上下方向に移動させるものである。なお、前後移動用のアクチュエータと、上下移動用のアクチュエータとを別々に備えた態様であってもよいし、共通のアクチュエータを駆動源として前後移動及び上下移動を行う態様であってもよい。
支持フレーム271は、ドア部22の後部下方を支持するものである。この支持フレーム271は、下方に向かって延材した後に、フレーム21に形成したスリット状の挿通孔21bを通過して搬送室3の外側(載置台23側)に張り出した略クランク上の形状をしている。この支持フレーム271を支持するためのスライド支持部272、可動ブロック273、スライドレール274もフレーム21よりも載置台23側、つまり搬送室3の外側に配置している。これらスライド支持部272、可動ブロック273、スライドレール274は、ドア部22を移動させる際の摺動箇所となる。本実施形態では、これらを搬送室3の外側に配置することで、ドア部22の移動時にパーティクルが万が一発生した場合であっても、挿通孔21bを微小なスリット状に設定していることにより、搬送室3内にパーティクルが進入する事態を防止・抑制することができる。また、ドア移動機構27のうち搬送室3の外側に配置されるパーツや部分、具体的には、支持フレーム271の一部、スライド支持部272、可動ブロック273及びスライドレール274を被覆するカバー28を設けている。これにより、フレーム21に形成した上述の挿通孔21bを通じて搬送室3内の環境ガスがEFEM1の外部に流出しないように設定している。
また、本実施形態に係るドア開閉装置2は、図1、図5乃至図8に示すように、フレーム21の開口21aよりも搬送室3側に設けられるチャンバ5を備えている。このチャンバ5は、ドア部22によって内部空間を開放した状態にある収納容器4を収納容器4の前面側から遮蔽し得るものである。なお、図1では、チャンバ5全体を陰線(一点鎖線)で示し、ドア開閉装置2の側断面を示す図5乃至図8では、チャンバ5全体を側断面ではなく側面図として模式的に示している。また、図2乃至図4ではチャンバ5を省略している。
チャンバ5は、収納容器4の搬出入口41及びフレーム21の開口21aと対向する位置に設けられる。そして、本実施形態では、ドア部22を全開位置(O)に移動させて蓋部43による密閉状態が解除された収納容器4の内部空間4Sを前方に開放した際に、当該収納容器4の内部空間4Sが連通する空間をチャンバ5で少なくとも前後方向に遮断するように構成している。つまり、収納容器4の内部空間4Sが連通する空間をチャンバ5の内部空間5Sに制限し得るものである。このチャンバ5は、フレーム21に形成した開口21aの開口寸法よりも一回り大きい起立壁51と、この起立壁51の両側縁からそれぞれフレーム21側に延伸する左右一対の側壁52と、起立壁51の上縁及び下縁からそれぞれフレーム21側に延伸する上壁53及び底壁54とを一体ないし一体的に設けたものである。そして、チャンバ5の内部空間5Sは、ドア部22を全閉位置(C)に位置付けている場合、チャンバ5の各壁51,52,53,54とフレーム21及びドア部22によって密閉または略密閉された空間になる。また、ドア部22を全開位置(O)に移動させた場合、チャンバ5の内部空間5Sは、搬出入口41及びフレーム21の開口21aを介して収納容器4の内部空間4Sに連通する密閉または略密閉された空間になる。
本実施形態のドア開閉装置2では、チャンバ5を、図示しないチャンバ移動機構によって、フレーム21の開口21aを搬送室3側から被覆する遮蔽位置(図5乃至図8参照)と、開口21aに通じる収納容器4の内部空間4Sを搬送室3の内部空間3S、ひいては処理装置Mの内部空間MSに開放し得るチャンバ退避位置(図示省略)との間で移動可能に構成している。チャンバ移動機構としては、チャンバ5を水平駆動させるためのエアシリンダと、チャンバ5の水平動作をガイドするガイドレール部と、チャンバ5を昇降駆動させるためのエアシリンダと、チャンバ5の昇降動作をガイドするガイドレール部とを用いたものを挙げることができる。本実施形態のドア開閉装置2は、ドア部22及びチャンバ5をそれぞれ相互に独立して移動可能に設定している。また、チャンバ5の底壁54には、これら各部材や機構が通過可能な開口部やスリットを形成している(図示省略)。これにより、チャンバ5を遮蔽位置に設定した状態においてドア部22を移動させた際に、ドア部22やドア移動機構27がチャンバ5と干渉する事態を回避することができる。
本実施形態では、チャンバ5内に窒素ガス等の環境ガスを供給するガス供給用ノズル55と、チャンバ5内に充填された環境ガスをチャンバ5外に排出するガス排出用ノズル56とを備えたチャンバ5を適用している。チャンバ5の上壁53に設けたガス供給用ノズル55からガス供給用ノズル55から環境ガスをチャンバ5内に供給するチャンバ内パージ処理を実施することができる。このチャンバ内パージ処理を実施すると、チャンバ5の底壁54に設けたガス排出用ノズル56からチャンバ5内の気体雰囲気を排出するように構成している。すなわち、本実施形態のドア開閉装置2は、チャンバ5の内部空間5Sに充満していた空気や空気以外の清浄度が低い環境ガスなどの気体を、このガス排出用ノズル56を通じてチャンバ5の外へ排出するように構成し、ガス供給用ノズル55から供給する環境ガスをチャンバ5内に高濃度で充填できるようにしている。なお、ガス供給用ノズル55及びガス排出用ノズル56は、気体の逆流を規制する弁機能を有するものである。
また、本実施形態に係るドア開閉装置2は、フレーム21に形成した開口21aとは別の経路を用いてチャンバ5の内部空間5Sと収納容器4の内部空間4Sを相互に連通させる圧力調整部6を備えている。
本実施形態の圧力調整部6は、チャンバ5の内部空間5Sに供給した環境ガスを当該チャンバ5の外部に排出するガス排出部61と、収納容器4の内部空間4Sに環境ガスを導入するガス導入部63と、ガス排出部61とガス導入部63の間に配置されるガス排気経路62とを備えている。ガス排気経路62の上流端はガス排出部61に連結されている。ガス排気経路62の下流端はガス導入部63に連結されている。このようなガス排気経路62を通じて、チャンバ5内から排出される環境ガスを収納容器4内に導入することができる。本実施形態では、上述のチャンバ5の底壁54に設けたガス排出用ノズル56によってガス排出部61を構成している。また、載置台23に設けたノズル261のうちボトムパージ注入用ノズルによってガス導入部63を構成している。ここで、図5乃至図8では、載置台23上において前後方向Dに離間する位置に設けた複数のノズル261のうち相対的にフレーム21側のノズル261をガス導入部63として機能させている態様を例示している。また、本実施形態の圧力調整部6は、ガス排気経路62を、上流端をガス排出用ノズル56に連結した排気チューブによって構成している。そして、この排気チューブ62の下流端をガス導入部63として機能するノズル261に連結している。
図6乃至図8に模式的に示すように、圧力調整部8を構成する排気チューブ62のうち上流端と下流端との間の所定部分は、フレーム21を厚み方向(前後方向)に貫通したり、水平基台25及び載置台23を高さ方向に貫通している。なお、これらフレーム21、水平基台25及び載置台23のうち排気チューブ62が貫通する部分に適宜のシール処理を施している。これにより、貫通部分の隙間による密閉性の低下を防止・抑制することができる。また、本実施形態では、チャンバ5の移動や載置台23の移動にも追従可能なフレキシブル性或いは伸縮性(蛇腹タイプも含む)に優れた排気チューブ62を適用している。排気チューブ62のうちガス排出用ノズル56やガス導入用ノズル63との嵌合部分は、パッキン等によって密閉状態にしている。
さらに、本実施形態に係るドア開閉装置2は、図9に示すように、開口42の周縁近傍に設けた中空弾性シール部Sと、ドッキング位置に位置付けた載置台23上の収納容器4がフレーム21から離間する方向(後方)に移動することを規制する移動規制部Lとを備えている。本実施形態では、中空弾性シール部S及び移動規制部Lを、上述のウインドウユニット214としてユニット化している。
このウインドウユニット214は、図2乃至図4及び図9に示すように、中央部分に略矩形状の開口215を形成した枠形状をなす窓枠部216と、中空弾性シール部Sと、移動規制部Lとを備えている。
窓枠部216は、収納容器4の蓋部43と対向する位置に設けられたものである。窓枠部216には、収納容器4の蓋部43の外周(外寸)よりも僅かに大きい開口寸法に設定した開口215が形成されている。この開口215を通じて、ドア部22に保持された状態にある蓋部43が搬送室3内側へ移動できるように構成している。
中空弾性シール部Sは、フレーム21のうち開口21aの開口縁近傍領域において開口21aを周回するように設けられる。フレーム21にウインドウユニット214を取り付けた構成を採用している本実施形態では、窓枠部216のうち開口215の開口縁近傍領域において開口215を周回する位置に中空弾性シール部Sを設けている。より具体的には、窓枠部216の背面216Aのうち、収納容器本体42の前面42Bであって且つ後述するシール面(収納容器本体42のうち蓋部43の周囲部分に設定した面)と対向する位置に中空弾性シール部Sを周回させて取り付けている。矩形状をなす開口215の開口縁近傍において開口215を周回するように配置された中空弾性シール部Sは、図9に示すように、収納容器4側から見て略矩形状をなす。したがって、中空弾性シール部Sは、開口215の開口上縁近傍に配置されている上辺部分SA、開口215の開口下縁近傍に配置されている下辺部分SB、開口215の開口両側縁近傍にそれぞれ配置されている側辺部分SCに大別することができる。これら四つの辺部分SA,SB,SCを備える長方形を基本形状とした本実施形態の中空弾性シール部Sは、四隅を円弧によって滑らかにつないだ形状を有する。
そして、中空弾性シール部Sは、収縮状態(1)と膨張状態(2)との間で状態変化可能なものである。本実施形態における中空弾性シール部Sは、図9乃至図11に示すように、内部が中空であって全体として開口21aを周回するリング状の中空部S1と、中空部S1の内部に連通する流体通路S2(図示例では流通孔)とを備えている。中空弾性シール部Sは、流体通路S2を通じて供給された流体によって中空部S1の圧力が上がることで膨張状態になる。また、中空弾性シール部Sは、供給された流体を中空部S1から流体通路S2を通じて排出して当該中空部S1の圧力を下げることによって収縮状態になる。すなわち、本実施形態では、中空弾性シール部Sとして、インフラートシールを適用している。中空弾性シール部Sは、中空部S1及び流体通路S2をそれぞれ1つずつ備えている。
本実施形態のドア開閉装置2では、窓枠部216の背面216Aに、開口215の開口縁近傍を周回するように断面が凹形状となる中空弾性シール取付溝(図10において中空部S1が嵌まっている凹部)を形成している。この中空弾性シール取付溝に中空部S1を挿入した状態で緊密に取り付けている。なお、中空部S1は、接着剤やボルト等の適宜の手段によって中空弾性シール取付溝から抜け外れないように取り付けられる。この取付状態において、中空部S1のうちフレーム21側の所定部分のみが中空弾性シール取付溝に収容される一方、他の部分(収納容器4側の所定部分)は中空弾性シール取付溝に収容されずに中空弾性シール取付溝の外に露出している。
そして、中空弾性シール部Sが図10に示す収縮状態(1)にある場合に、中空部S1に連通する流体通路S2を通じて所定のガス供給部から流体を中空部S1に供給して圧力を上げる。すると、中空弾性シール部Sは、図11に示すように、中空部S1のうち中空弾性シール取付溝の外に露出している部分を収納容器4側(後方)に向かって膨張させた膨張状態(2)になる。なお、図11では、所定のドッキング位置に位置付けた載置台23上に載置されている収納容器4を想像線で示している。そして、同図には、収納容器4との接触が生じない条件下における中空弾性シール部Sの膨張状態(2)を模式的に示している。
一方、図12には、所定のドッキング位置に位置付けた載置台23上に載置されている収納容器4に対して、収縮状態(1)から膨張状態(2)に変化した中空弾性シール部Sが弾接している時点を示している。同図に示すように、所定のドッキング位置に位置付けた載置台23上に載置されている収納容器本体42の前面42Bに対して、膨張状態(2)にある中空部S1が弾接する。すなわち、本実施形態では、収納容器4のうち中空弾性シール部Sが弾接する収納容器本体42の前面42Bをシール面に設定している。そして、このシール面に中空弾性シール部Sを弾接させることで良好なシール領域を形成することができる。
本実施形態では、中空弾性シール部Sを収縮状態(1)にした場合にも中空部S1の一部が中空弾性シール取付溝の外に露出している。しかしながら、後述するように、所定のドッキング位置に位置付けた載置台23に載置されている収納容器4のシール面(収納容器本体42の前面42B)が、収縮状態(1)にある中空弾性シール部Sに当接しない程度に接近するように設定している。また、中空部S1に供給される流体は、搬送室3内に供給する環境ガスや、収納容器4内に供給する環境ガスを使用することができる。
本実施形態では、膨張状態(2)にある中空弾性シール部Sに対して、流体通路S2を通じて中空部S1内を真空吸引することにより、中空弾性シール部Sを膨張状態(2)から図10に示す収縮状態(1)に変化させるように構成している。具体的には、中空部S1へ環境ガスを供給する環境ガス供給経路S3を流体通路S2の上流端に接続し、環境ガス供給経路S3にガス供給切替スイッチS4を設けている。また、環境ガス供給経路S3には、中空部S1内を真空吸引するバキューム経路S5を接続し、バキューム経路S5にガス排気切替スイッチS6を設けている。これら各スイッチS4,S6は例えば開閉弁(切替弁)で構成することができる。そして、各スイッチS4,S6の開閉状態を後述するように適宜切り替えることで、中空弾性シール部Sを収縮状態(1)と膨張状態(2)との間で状態変化させることができる。
なお、図5乃至図8では、中空弾性シール部Sを黒く塗りつぶした略楕円形状のマークで模式的に示している。また、図6乃至図8では、収納容器本体42の前面(シール面)がフレーム21(ウインドウユニット214)に接触しているが、実際には、収納容器本体42のシール面はフレーム21(ウインドウユニット214)に接触しない。上述したように、収納容器本体42のシール面は、膨張状態(2)にある中空弾性シール部Sを介してフレーム21(ウインドウユニット214)に接触している。
移動規制部Lは、ドッキング位置に位置付けた載置台23上の収納容器4がフレーム21から離間する方向(後方)に移動することを規制する移動規制状態(3)と、ドッキング位置に位置付けた載置台23上の収納容器4がフレーム21から離間する方向へ移動することを許容する移動許容状態(4)との間で切替可能なものである。すなわち、移動規制部Lは、移動規制状態(3)になることで、所定のドッキング位置に位置付けた載置台23上に載置されている収納容器4を保持することが可能である。
本実施形態における移動規制部Lは、図9等に示すように、収納容器本体42のうち蓋部43の周囲部分に設けられた鍔部45に係合可能な係合片L1と、係合片L1を鍔部45に係合させた状態でフレーム21側に移動させる引き込み部L2とを備えている。このような移動規制部Lは、収納容器本体42の鍔部45を係合片L1とフレーム21との間に挟み込む状態で保持可能なクランプ機能を発揮する。本実施形態では、フレーム21にウインドウユニット214を設けている。したがって、移動規制部Lは、収納容器本体42の鍔部45を係合片L1とウインドウユニット214の窓枠部216との間に挟み込む機能を有する。
引き込み部L2は、窓枠部216に形成した孔部を貫通する姿勢で配置され、前後方向Dに進退移動可能なシャフトL3と、シャフトL3の基端部側に設けられ、当該シャフトL3を進退移動させるためのシリンダL4とを主体とするものである。シャフトL3の外周には、軸方向に沿って90°位相がねじれたガイド溝L3aを形成している(図9参照)。そして、窓枠部216側に固定したガイドピン(図示省略)がガイド溝L3aに対してシャフトL3の径方向から挿入した状態となっている。これにより、シャフトL3の進退動作に伴ってガイド溝L3aがガイドピンに案内されて、シャフトL3全体が軸中心回りに90°回動する構成になる。
シリンダL4は、搬送室3の内部空間3Sに配置されるものである。なお、搬送室3の内部空間3Sにチャンバ5を配置した本実施形態では、チャンバ5の内部空間5SにシリンダL4が配置される。このシリンダL4に基端部を保持されているシャフトL3の先端側領域は、搬送室Lの外側、つまりフレーム21の最背面21Aよりも後方(収納容器4側)に配されることになる(図2及び図9参照)。シリンダL4は、窓枠部216に固定したシリンダ支持部L5によって支持されている。
係合片L1は、図9及び図13に示すように、基端L1aをシャフトL3の先端に取り付け、基端L1aからシャフトL3の径方向外側(シャフト53の軸中心から離間する方向)に向かって先端51bを延在させた形状を有する。そして、シリンダL4によってシャフトL3を所定の基準位置よりも搬送室3から離間する方向(後方)に向かって所定距離移動させる。すると、係合片L1がシャフトL3と同一方向に移動しつつ先端L1bを含む全体が前後方向Dにおいて収納容器4に対面しない非対面姿勢(図13には、非対面姿勢の一例として係合片L1の先端L1bが上方向を向く姿勢を想像線で示す)になる。なお、本実施形態では、係合片L1に他の部材が巻き込まれることを防止すべく、係合片L1の周囲に適宜のカバーL6を設けることもできる。
また、係合片51が非対面姿勢をとる位置まで後方に向かって移動させたシャフトL3を、搬送室3側(前方)に向かって所定距離移動させる(引き込ませる)。すると、係合片L1はシャフトL3と同一方向に移動しつつ先端L1bを含む所定領域が前後方向Dにおいて収納容器4に対面する対面姿勢(図13には、対面姿勢の一例として係合片L1の先端L1bが水平方向を向く姿勢を実線で示す)になる。
本実施形態に係るドア開閉装置2は、係合片L1を非対面姿勢にすることで、収納容器4を載置している載置台23を、収納容器4の蓋部43が開口21a,215に接近する所定のドッキング位置と、ドッキング位置よりも搬送室3から所定距離離間した位置との間で移動させることができる。すなわち、移動規制部Lは、係合片L1を非対面姿勢にすることで移動許容状態(4)になる。
このような移動規制部Lは、係合片L1を非対面姿勢にした状態で、アンドッキング位置にある載置台23を、収納容器4を載置したままドッキング位置に移動させた時点以降に、非対面姿勢にある係合片L1をシャフトL3とともに搬送室3側に引き込む方向に移動させて非対面姿勢から対面姿勢に変更する。すると、係合片L1を収納容器本体42の前面42Bにおいて外側方に張り出した鍔部45に係合させることができる。そして、シャフトL3を搬送室3側に向かって引き込むことで、係合片L1と収納容器4の鍔部45との係合状態を維持したまま係合片L1が搬送室3側(前方)に引き込まれる。その結果、収納容器4の鍔部45を係合片L1とフレーム21の間に挟み込む状態になり、ドッキング位置に位置付けた載置台23上の収納容器4がフレーム21から離間する方向に移動することを規制することができる。すなわち、移動規制部Lは、係合片L1を非対面姿勢から対面姿勢に変更させて、その係合片L1を引き込み部L2によってフレーム21側に引き込むことで移動規制状態(3)になる。
本実施形態では、載置台23を所定のドッキング位置に位置付けた時点で、収納容器本体42の前面42Bが、所定寸法の隙間を隔ててフレーム21の背面21A(窓枠部216の背面216A)に接近するように設定している。また、移動規制部Lを移動許容状態(4)から移動規制状態(3)に切り替えた場合においても、収納容器本体42の前面42Bとフレーム21の背面21A(窓枠部216の背面216A)の間には所定寸法の隙間が確保されている。
本実施形態のドア開閉装置2では、このような移動規制部Lを、図2及び図9に示すように、フレーム21のうち略矩形状をなす開口21aの両サイドにおける上端近傍及び下端近傍の合計4箇所にそれぞれ配置している。具体的には、ウインドウユニット214のうち窓枠部216のうち略矩形状をなす開口215の両側部において上下方向に離間させた合計4箇所に移動規制部Lを配置している。
上記のように構成したドア開閉装置2は、制御部2Cから各部に駆動指令を与えることで所定の動作を実行する。本実施形態のEFEM1は、このようなドア開閉装置2を、搬送室3の一つの壁面3Aに複数(例えば3台)並べて配置している。上述したように、収納容器4とフレーム21が並ぶ前後方向Dにおいて、フレーム21側を前方と定義し、収納容器4側を後方と定義した本実施形態において、搬送室3のうちドア開閉装置2を配置した壁面3Aは背面と捉えることができる。
EFEM1は、図1に示すように、共通のクリーンルーム内に相互に隣接する位置に設けたドア開閉装置2(ロードポート)及び搬送室3を主体として構成されたものである。EFEM1の作動は、ドア開閉装置2のコントローラ(図2に示す制御部2C)や、EFEM1全体のコントローラ(図1に示す制御部3C)によって制御される。
搬送室3のうちドア開閉装置2を配置した壁面3A(背面)に対向する壁面3Bには例えば処理装置M(半導体処理装置)が隣接して設けられる。クリーンルームにおいて、処理装置Mの内部空間MS、搬送室3の内部空間3S及びドア開閉装置2上に載置される収納容器4の内部空間4Sは高清浄度に維持される。一方、ドア開閉装置2を配置した空間、換言すれば処理装置M外、EFEM1外は比較的低清浄度となる。なお、図1は、ドア開閉装置2及び搬送室3の相対位置関係、及びこれらドア開閉装置2及び搬送室3を備えたEFEM1と、処理装置Mとの相対位置関係を模式的に示した側面図である。
処理装置Mは、相対的に搬送室3に近い位置に配置したロードロック室と、相対的に搬送室3から遠い位置に配置した処理装置本体とを備えたものである。本実施形態では、図1に示すように、EFEM1の前後方向Dにおいてドア開閉装置2、搬送室3、処理装置Mをこの順で相互に密接させて配置している。なお、処理装置Mの作動は、処理装置Mのコントローラ(図1に示す制御部MC)によって制御される。ここで、処理装置M全体のコントローラである制御部MCや、EFEM1全体のコントローラである制御部3Cは、ドア開閉装置2の制御部2Cの上位コントローラである。
搬送室3は、被搬送物WであるウェーハWを収納容器4と処理装置Mとの間で搬送可能な搬送ロボット31を内部空間3Sに設けている。搬送ロボット31は、例えば複数のリンク要素を相互に水平旋回可能に連結し、先端部にハンドを設けたアームと、アームの基端部を構成するアームベースを旋回可能に支持し且つ搬送室3の幅方向(ドア開閉装置2の並列方向)に走行する走行部とを備え、アーム長が最小になる折畳状態と、アーム長が折畳状態時よりも長くなる伸長状態との間で形状が変わるリンク構造(多関節構造)のものである。なお、搬送室3の側面にバッファステーション、アライナの何れか一方または両方を配置したEFEMを構成することも可能である。
搬送室3は、ドア開閉装置2及び処理装置Mが接続されることによって、内部空間3Sが略密閉された状態となる。搬送室3内は、図示しないガス供給口及びガス排出口を用いて環境ガスによるパージ処理を行うことで、環境ガス濃度を高めることが可能となっている。そして、ウェーハ搬送室3の上部にファンフィルタユニット32を設けて下方に向けてガスを送出し、下部に設けたケミカルフィルタよりガスの吸引を行う。吸引したガスは、循環ダクト321を介して上部のファンフィルタユニット32に向けて戻される。こうすることで、搬送室3の内部空間3Sで上方から下方に向かう気流であるダウンフローを形成する。したがって、搬送室3内のガスを循環させて清浄な状態に維持することができる。また、搬送室3の内部空間3SにウェーハWの表面を汚染するパーティクルが存在した場合であっても、ダウンフローによってパーティクルを下方に押し下げ、搬送中のウェーハWの表面へのパーティクルの付着を抑制することが可能となる。図1には、ファンフィルタユニット32によるガスの流れを矢印で模式的に示している。
このような環境ガス濃度の高い搬送室3の内部空間3Sに上述のチャンバ5を配置した本実施形態では、チャンバ5の内部空間5Sに対する環境ガスのパージ処理(チャンバ内パージ処理)を、搬送室3の内部空間3Sに対する環境ガスのパージ処理と同時に、或いは個別に実施できるように制御している。つまり、上述のチャンバ5の上壁53に設けたガス供給用ノズル55は、チャンバ内パージ処理専用のガス供給源から供給される環境ガスをチャンバ5内に供給するものであってもよいし、搬送室3内に供給される環境ガスをそのままチャンバ5内に供給するものであってもよい。
本実施形態では、収納容器4としてFOUPを適用している。本実施形態における収納容器4は、前面(フレーム21側の面)に形成した搬出入口41を通じて内部空間4Sを前方にのみ開放可能な収納容器本体42と、搬出入口41を開閉可能な蓋部43を備えている。収納容器4は、内部に複数枚の被搬送物WであるウェーハWを上下方向Hに多段状に収容し、搬出入口41を介してこれらウェーハWを出し入れ可能に構成された既知のものである。
収納容器本体42は、背壁、左右一対の側壁、上壁及び底壁を一体に有する。これら各壁によって囲まれる内部空間4Sに被搬送物Wを複数段所定ピッチで載せることが可能な棚部421(ウェーハ載置部)を備えたものである。収納容器本体42を構成する各壁同士の境界部分は緩やかな湾曲形状をなす。また、上壁における上向面の中央部に、収納容器搬送装置(例えばOHT:Over Head Transport)等に把持されるフランジ部を設けている。収納容器本体42の前端部には、他の部分よりも上方及び両側方に突出させた鍔部45を設けている。つまり、収納容器本体42のうち、蓋部43が配置される領域の周囲部分に鍔部45を設けている。本実施形態では、この鍔部45に対して上述した移動規制部Lの係合片L1が係合するように設定している。
蓋部43は、ドア開閉装置2の載置台23に載置された状態においてドア開閉装置2のドア部22と対面するものであり、概略板状をなす。蓋部43の高さ寸法は、ドア部22のうち蓋部43に密着し得る面の高さ寸法と略等しく設定されている。なお、図5等では、ドア部22のうち蓋部43に密着し得る面の高さ寸法よりも僅かに大きい高さ寸法に設定された蓋部43を模式的に示している。蓋部43には、この蓋部43を収納容器本体42にロックし得るラッチ部(図示省略)を設けている。また、図14に示すように、蓋部43の内向き面431にはリテーナ44を設けている。リテーナ44は、蓋部43に一体又は一体的に設けられたものでもよいが、蓋部43に着脱可能に設けたものであれば、損傷した場合等には該当するリテーナ44だけを交換するだけで対応することができる。さらに、一枚のウェーハを保持するリテーナの数は単数又は複数の何れであってもよく、リテーナ44の形状も適宜変更することも可能である。このような、収納容器4内に収納されたウェーハWを蓋部43の内向き面431側から弾性変形しながら保持してウェーハ押さえとして機能するリテーナ44を蓋部43の内向き面431(具体的には内向き面431に形成した凹部432)に設けている。これにより、収納容器4内における各被搬送物Wの収納位置を位置決めするとともに、薄く脆弱なウェーハ等の被搬送物Wの損傷を防止することができる。なお、内向き面431のうち搬出入口41を蓋部43で閉止した状態において収納容器本体42に接触または近接する所定の部分(図示例では内向き面431の両サイド)にガスケット433を設けている。そして、蓋部43の内向き面431よりも優先してガスケット433を収納容器本体42に接触させて弾性変形させることで、収納容器4の内部空間4Sを完全密閉できるように構成されている。なお、図14ではチャンバ5を省略している。
本実施形態に係るドア開閉装置2は、制御部2Cから各部に駆動指令を与えることで所定の動作を実行する。本実施形態では、ドア開閉装置2が有する制御部2Cから各部に駆動指令を与えるように構成している。制御部2Cは、記憶部と、ROMと、RAMと、I/Oポートと、CPUと、外部の表示装置(不図示)等との間でのデータの入出力を行う入出力インタフェース(IF)と、これらを相互に接続して各部の間で情報を伝達するバスとを備えた構成を有する。記憶部には、このドア開閉装置2で実行される処理の種類に応じて、制御手順が記憶されている。つまり、この記憶部には、装置各部の所定の動作プログラムが格納されている。
このように、本実施形態におけるプログラムは、非一時的なコンピュータ読取可能な記録媒体(ハードディスク等)に実行可能なプログラムとして格納されているものである。ROMは、ハードディスク、EEPROM、フラッシュメモリなどから構成され、CPUの動作プログラムなどを記憶する記録媒体である。RAMは、CPUのワークエリアなどとして機能する。I/Oポートは、例えば、CPUが出力する制御信号を装置の各部へ出力したり、センサからの情報をCPUに供給する。CPUは、制御部2Cの中枢を構成し、ROMに記憶された動作プログラムを実行する。CPUは、記憶部に記憶されているプログラムに沿ってドア開閉装置の動作を制御する。記憶部に記憶されているプログラム内容は、ドア開閉装置2を備えたEFEM1の使用方法及び作用と併せて、EFEM1の動作フローを示す図15及び図16等を参照しながら説明する。
先ず、搬送室3のうちドア開閉装置2を配置した共通の壁面3Aに沿って延伸する直線上の搬送ライン(動線)で作動するOHT等の収納容器搬送装置により収納容器4がドア開閉装置2の上方まで搬送され、載置台23上に載置される。この際、例えば載置台23に設けた位置決め用突起231が収納容器4の位置決め用凹部に嵌まる。また、制御部2Cが、載置台23上のロック爪232をロック状態にする(ロック処理St1)。具体的には、収納容器4の底面に設けた被ロック部(図示省略)に対して、載置台23上のロック爪232を引っ掛けて固定することでロック状態になる。これにより、収納容器4を載置台23上の所定の正規位置に載置して固定することができる。本実施形態では、搬送室3の幅方向に3台並べて配置したドア開閉装置2の載置台23にそれぞれ収納容器4を載置することができる。また、収納容器4が載置台23上に所定の位置に載置されているか否かを検出する着座センサ(図示省略)により収納容器4が載置台23上の正規位置に載置されたことを検出するように構成することもできる。
次いで、本実施形態のドア開閉装置2では、制御部2Cが、図5に示す位置にある載置台23を図6に示すドッキング位置まで移動させる(ドッキング処理St2)。すなわち、図5に示す位置にある載置台23をフレーム21に向かって前進させて、フレーム21のうち開口21aの周縁における最も収納容器本体42に近いフレーム最背面21Aに収納容器4の前面(相互に面一な収納容器本体42の前面42B及び蓋部43の外向き面434)を所定距離まで接近させる。このドッキング処理St2を実行するまでは、移動規制部Lが、係合片L1を非対面姿勢にした移動許容状態(4)に維持されている。また、このドッキング処理St2を実行するまでは、中空弾性シール部Sが収縮状態(1)に維持されている。なお、図5等における符号21Bが指す面は、フレーム21のうち開口21a(窓枠部216の開口215)の周縁において収納容器本体42から最も遠いフレーム最前面である。
そして、載置台22を所定のドッキング位置まで移動させると、本実施形態のドア開閉装置2では、制御部2Cが、移動規制部Lを用いて収納容器4の少なくとも両サイドを保持して固定する処理(収納容器クランプ処理St3)を行う。具体的には、移動規制部Lの引き込み部L2によって係合片L1をフレーム21側に引き込む。すると、係合片L1は非対面姿勢から対面姿勢に切り替わり、収納容器本体42の鍔部45に係合した状態になる。この状態で、ドッキング位置に位置付けた載置台23上の収納容器4の鍔部45を、移動規制部Lの係合片L1とフレーム最背面21A(窓枠部216の背面216A)との間で挟み込むことができる。すなわち、収納容器クランプ処理St3は、移動規制部Lを移動許容状態(4)から移動規制状態(3)に切り替える処理で実現できる。
なお、移動規制部Lを移動許容状態(4)から移動規制状態(3)に切り替えるタイミングは、載置台23をドッキング位置に位置付けた時点以降であって、収縮状態(1)にある中空弾性シール部Sを膨張状態(2)に変化させる前であればよい。したがって、載置台23をドッキング位置に位置付けた直後に、移動規制部Lを移動許容状態(4)から移動規制状態(3)に切り替える構成にしてもよい。また、載置台23をドッキング位置に位置付けてから所定時間経過後に、移動規制部Lを移動許容状態(4)から移動規制状態(3)に切り替える構成にしてもよい。
本実施形態のドア開閉装置2では、収納容器クランプ処理をSt3完了した時点において収縮状態(1)にある中空弾性シール部Sが、収納容器本体42の前面42Bに接近するように設定している。つまり、収納容器クランプ処理St3を完了した時点では、収縮状態(1)にある中空弾性シール部Sが収納容器本体42の前面42Bに当接しないように設定している(図10参照)。
次いで、本実施形態のドア開閉装置2では、制御部2Cが、収納容器クランプ処理St3を完了する時点まで収縮状態(1)に設定していた中空弾性シール部(2)を膨張状態に状態変化させて、フレーム21に形成した開口21a(窓枠部216の開口215)の近傍における収納容器4とフレーム21との隙間を塞ぐ処理(シール処理St4)を実施する。すなわち、シール処理St4実施前までは閉状態にあったガス供給切替スイッチS4を開状態に切り替えるとともに、シール処理St4実施前までは開状態にあったガス排気切替スイッチS6を閉状態に切り替える。すると、中空部S1に連通する流体通路S2(流通孔)を通じて所定のガス供給源から流体が中空部S1に供給される。これにより、中空部S1内の圧力を上げて、中空部S1を図10に示す収縮状態から後方(収納容器4側)に向かって膨張させた図12に示す膨張状態に状態変化させることができる。その結果、中空弾性シール部Sと、ドッキング位置に位置付けた載置台23上に載置されている収納容器4のうちシール面に設定した収納容器本体42の前面42Bとが弾接する。このシール処理St4を経ることにより、収納容器本体42の前面42Bに弾接させた中空弾性シール部Sに作用する供給圧力がシール面圧となり、良好なシール領域が形成される。
本実施形態において、シール処理St4によって中空弾性シール部Sが弾接する部分は、収納容器本体42の前面42Bのうち収納容器4の搬出入口41の近傍を周回する部分である。さらに具体的に、シール処理St4によって中空弾性シール部Sの上辺部分SA及び両側辺部分SC(図9参照)が弾接する部分は、収納容器4の搬出入口41の近傍を周回する部分のうち収納容器本体42の前端部に設けた鍔部45の前面である。また、鍔部45は、収納容器本体42の前端部において上方及び両側方に突出させて設けたものである。つまり、収納容器本体42の前端部において下方に突出する鍔部は設けられていない。したがって、シール処理St4によって中空弾性シール部Sの下辺部分SBは、収納容器本体42の前端部における下端側の前面である。
本実施形態のドア開閉装置2では、収納容器本体42の前面42Bをシール面とし、このシール面に対して中空弾性シール部Sの中空部S1自体が膨張して面圧を負荷することができる。その結果、振動等によってシール面が変動した場合にも直ちに追随することが可能なシール領域を確保することができる。
シール処理St4を実施して、中空弾性シール部Sが膨張状態(2)に変化することで、収納容器4にはフレーム21から離間する方向に押圧される力が作用する。しかしながら、本実施形態のドア開閉装置2では、収納容器クランプ処理St3を経ることによって、ドッキング位置に位置付けた載置台23上の収納容器4を移動規制部Lで固定した状態を維持することができる。このため、中空弾性シール部Sに押圧される収納容器4がフレーム21から離間する方向に移動したり、傾動する事態を防止することができる。特に、本実施形態では、略矩形状をなす開口21a,215の両サイドにおける上端近傍及び下端近傍の合計4箇所に移動規制部Lを配置している。これにより、ドッキング位置に位置付けた載置台23上の収納容器4のうち、収納容器本体42の前端部における両サイドの上端近傍及び下端近傍の合計4箇所を、各移動規制部Lで固定することができる。
本実施形態のドア開閉装置2では、制御部2Cが、シール処理St4に続いて、連結機構221を蓋連結状態に切り替える(蓋連結処理St5)。この処理により、予め全閉位置(C)で待機させているドア部22に蓋部43を連結機構221で連結して密着状態で保持することができる。また、収納容器本体42から蓋部43を取り外し可能な状態になる。また、本実施形態のドア開閉装置2では、載置台23上の正規位置に収納容器4が載置された時点で、制御部2Cが、載置台23に設けた例えば加圧センサの被押圧部を収納容器4のうち底面部が押圧したことを検出する。これをきっかけに、制御部2Cが、載置台23に設けたノズル261(ガス導入部63として機能するノズルを含む全てのノズル261)を載置台23の上面よりも上方へ進出させる駆動命令(信号)を与える。その結果、これら各ノズル261を収納容器4の注入口と排出口にそれぞれ連結し、収納容器4内に対するパージ処理を実行可能な状態になる。
引き続き、本実施形態のドア開閉装置2では、制御部2Cが、チャンバ5内に対して環境ガスを供給するチャンバ内パージ処理St6を実行する。このチャンバ内パージ処理St6は、適宜の環境ガス供給源から供給される環境ガスを、チャンバ5の上壁53に設けたガス供給用ノズル55からチャンバ5内に注入して、チャンバ5内を環境ガスに置換する処理である。このようなチャンバ内パージ処理St6を実行することにより、チャンバ5の底壁54に設けたガス排出用ノズル56(ガス排出部61)からチャンバ5内の気体雰囲気が排出される。その排出された気体雰囲気(排出ガス)は、排気チューブ62を通って、載置台23に設けたノズル261のうち排気チューブ62の下流端が接続されてガス導入部63として機能するノズル261から収納容器4の内部空間4Sに導入される。これにより、収納容器4の内部空間4Sは、チャンバ5の内部空間5Sと同じ環境ガスで充填され、収納容器4の内部空間4Sの圧力が、チャンバ5の内部空間5Sの圧力と等しくなる。
すなわち、本実施形態では、収納容器4の内部空間4Sを密閉した状態でチャンバ内パージ処理St6を行い、当該パージ処理St6が施されたチャンバ5の内部空間5Sから、開口21aとは別の経路を用いた圧力調整部6によって収納容器4の内部空間4Sに対してチャンバ5内の環境ガスを導入して、収納容器4の内部空間4Sの圧力をチャンバ5の内部空間5Sの圧力と均一にする圧力調整処理St7を実施している。圧力調整処理St7の実行中は、載置台23に設けたノズル261のうち、収納容器4に形成された排出口に連結され且つ圧力調整部6の排気チューブ62が接続されていないノズル261(ボトムパージ排出用ノズル)から収納容器4内の気体雰囲気を排出し、その排出した気体雰囲気(この気体雰囲気は、圧力調整処理実行開始から所定時間までは空気や空気以外の清浄度が低い環境ガスであり、当該所定時間経過後は収納容器4の内部空間4Sに充填された環境ガスである)を、図示しない適宜の排気経路を通じて収納容器4内及び搬送室3内に連通していない適宜の空間に排気するように構成している。これにより、ガス導入部63として機能するノズル261から供給する環境ガスを収納容器4内に高濃度で充填できるようにしている。このような圧力調整処理St7を実施することによって、収納容器4の内部空間4Sを環境ガスで満たして、収納容器4内の水分濃度及び酸素濃度をそれぞれ所定値以下にまで低下させて収納容器4内における被搬送物Wの周囲環境を低湿度環境及び低酸素環境にする。したがって、圧力調整処理St7は、収納容器4の内部空間4Sを環境ガスに置換する処理(収納容器内パージ処理)を兼ねる処理であると捉えることもできる。
そして、本実施形態のドア開閉装置2では、制御部2Cが、圧力調整処理St7に続いて、蓋部43をドア部22とともに移動させて、フレーム21の開口21a及び収納容器4の搬出入口41を開放して、収納容器4内の密閉状態を解除する処理(収納容器密閉解除処理St8)を実行する。具体的には、制御部2Cが、図7及び図8に示すように、ドア部22をドア移動機構27により全閉位置(C)からチャンバ5の内部空間5Sにおいて搬送室3側に向かって上述の水平経路に沿って所定距離移動させる。さらに、制御部2Cが、図7及び図8に示すように、上述の移動方向切替位置(P)に到達したドア部22を上述の鉛直経路に沿って所定距離降下させて全開位置(O)に位置付ける。この収納容器密閉解除処理St8を実行する時点では、上述の圧力調整処理St7によってチャンバ5の内部空間5Sと収納容器4の内部空間4Sの圧力差をなくした状態にあるため、ドア部22をチャンバ5の内部空間5S側に移動させる処理をスムーズ且つ適切に行うことができる。なお、収納容器密閉解除処理St8は、収納容器4内を開放する処理であることから、「収納容器開放処理」とも言える。
引き続いて、本実施形態のドア開閉装置2では、制御部2Cが、チャンバ5を、遮蔽位置から、開口21aに通じる収納容器4の内部空間4Sを搬送室3の内部空間3S、ひいては処理装置Mの内部空間MSに開放し得るチャンバ退避位置(図示省略)に移動させる処理(チャンバ退避処理St9)を実行する。これにより、収納容器本体42の内部空間4S及び搬送室3の内部空間3Sがチャンバ5に遮蔽されずに相互に連通した状態になる。なお、チャンバ内パージ処理St6を実行した後に、ドア部22を全閉位置(C)から移動方向切替位置(P)まで移動させて、その位置で一旦待機させた状態で、チャンバ5を遮蔽位置からチャンバ退避位置に移動させ、その後に、ドア部22を移動方向切替位置(P)から全開位置(O)に移動させる処理手順を採用することも可能である。また、本実施形態では、圧力調整処理St7を完了した後の適宜の時点、例えばチャンバ退避処理St9を実行する前の時点で、チャンバ5の内部空間5Sに対する環境ガスの供給を停止しておくことで、ガス使用量及びガス使用時間を制限し、コストの削減を図ることもできる。
そして、収納容器本体42の内部空間4Sと搬送室3の内部空間3Sとを連通させた状態で、搬送室3の内部空間3Sに設けた搬送ロボット31が収納容器4内にアクセスして、被搬送物Wに対する搬送処理を実施する(搬送処理St10)。搬送処理St10において実施可能な搬送処理内容は、搬送ロボット31がハンドで収納容器4内の被搬送物Wを取り出す処理や、製造装置Mによる適宜の処理を終えた処理済みの被搬送物Wをハンドで収納容器4内に入れる処理である。例えば搬送処理St10によって収納容器4内の被搬送物Wを搬送室3内に搬送した場合、搬送室3内に搬送された被搬送物Wは、搬送ロボット31によって処理装置M(具体的にはロードロック室)に搬送したり、バッファステーション又はアライナに搬送される。また、製造装置Mによる適宜の処理を終えた処理済みの被搬送物Wは、搬送ロボット31によって処理装置Mの内部空間MSから収納容器4の内部空間4Sに直接収納されたり、バッファステーションを経由してから収納容器4の内部空間4Sに順次収納される。
そして、本実施形態に係るドア開閉装置2では、収納容器4に対する搬送ロボット31の次のアクセスを実行する場合(図15におけるSt11;Yes)、搬送処理St6を繰り返し行う。本実施形態に係るドア開閉装置2では、収納容器4内の被搬送物Wが全て処理装置Mによる処理工程を終えたものになると、制御部2Cが、次の搬送処理を実行しない場合(図15におけるSt11;No)の処理を実行する。つまり、制御部2Cが、ドア移動機構27によりドア部22を全閉位置(C)に移動させて、フレーム21の開口21a及び収納容器4の搬出入口41を閉止して、収納容器4の内部空間4Sを密閉する処理(収納容器密閉処理St12、図16参照)を実行する。具体的には、制御部2Cが、図7及び図8に示すように、ドア部22を上述の鉛直経路に沿って所定距離上昇させて全開位置(O)から移動方向切替位置(P)まで移動させる。続いて、制御部2Cが、移動方向切替位置(P)に到達したドア部22を搬送室3から離間する方向(後方)に向かって上述の水平経路に沿って所定距離移動させる。その結果、フレーム21の開口21a及び収納容器4の搬出入口41は閉止されて、収納容器4の内部空間4Sは密閉状態になる。この収納容器密閉処理St12に伴って、蓋部43の内向き面431に設けたリテーナ44が、弾性変形しながら被搬送物Wのエッジを保持し、収納容器4に収納されている全ての被搬送物Wを正規の収納位置に位置決めすることができる(図14参照)。
次いで、本実施形態のドア開閉装置2では、制御部2Cが、チャンバ5をチャンバ退避位置から遮蔽位置に移動させる処理(チャンバ遮蔽処理St13)を実行する。続いて、本実施形態のドア開閉装置2では、制御部2Cが、上述のチャンバ内パージ処理St6及び圧力調整処理St7とそれぞれ同じ処理内容である第二次チャンバ内パージ処理St14及び第二次圧力調整処理St15を実行する。なお、ドア部22を全開位置(O)から移動方向切替位置(P)まで移動させ、その位置で一旦待機させた状態で、チャンバ遮蔽処理St13を実行してから、第二次チャンバ内パージ処理St14及び第二次圧力調整処理St15を実行し、その後に、ドア部22を移動方向切替位置(P)から全閉位置(C)に移動させる処理手順を採用することも可能である。また、本実施形態では、チャンバ内パージ処理St6を開始した後の適宜の時点でチャンバ5の内部空間5Sに対する環境ガスの供給を停止することにより、ガスの使用量及び使用時間を制限し、コストの削減を図ることが可能である。
引き続いて、本実施形態に係るドア開閉装置2では、制御部2Cが、連結機構221を蓋連結状態から蓋連結解除状態に切り替える処理(蓋連結解除処理St16)を実行する。この処理により、連結機構221によるドア部22と蓋部43の連結状態(蓋連結状態)を解除して、収納容器本体42に蓋部43を取り付けることができる。
次いで、本実施形態に係るドア開閉装置2では、制御部2Cが、蓋連結解除処理St16に続いて、中空弾性シール部Sを膨張状態(2)から収縮状態(1)に状態変化させて、中空弾性シール部1による収納容器本体42の前面42Bとフレーム21とのシール状態を解除する処理(シール解除処理St17)を実行する。すなわち、シール処理St4の開始後からシール解除処理St17実施前まで開状態に維持されているガス供給切替スイッチS4を閉状態に切り替えるとともに、シール処理St4の開始後からシール解除処理St17実施前まで閉状態に維持されているガス排気切替スイッチS6を開状態に切り替える。すると、流体通路S2を通じて中空部S1内は真空吸引される。したがって、中空部S1内に供給されていた流体を中空部S1から排出することができる。これにより、中空部S1の圧力を下げて、中空弾性シール部Sを図12に示す膨張状態(2)から図10に示す収縮状態(1)に変化させることができる。その結果、中空弾性シール部Sと、ドッキング位置に位置付けた載置台23上に載置されている収納容器4の前面42Bとの弾接状態が解除される。
本実施形態に係るドア開閉装置2では、制御部2Cが、シール解除処理St17に続いて、移動規制部Lによる収納容器4の固定状態(クランプ状態)を解除する収納容器クランプ解除処理St18を行う。具体的には、移動規制部Lの引き込み部L2によってフレーム21側に引き込まれた位置にある係合片L1を、シャフトL3とともにフレーム21から離間する方向に移動させる。すると、係合片L1が対面姿勢から非対面姿勢に自動的に切り替わり、収納容器本体42の鍔部45に対する係合片L1の係合状態が解除され、移動規制部Lによる収納容器4の固定状態を解除することができる。すなわち、収納容器クランプ解除処理St18は、移動規制部Lを移動規制状態(3)から移動許容状態(4)に切り替える処理で実現できる。
次いで、本実施形態のドア開閉装置2では、制御部2Cが、載置台23をフレーム21から離間する方向に後退させる処理(ドッキング解除処理St19)を実行する。また、制御部2Cが、載置台23上のロック爪232で収納容器4をロックしている状態を解除する(ロック解除処理St20)。具体的には、収納容器4の底面に設けた被ロック部に対するロック爪232のロック状態を解除する。これにより、所定の処理を終えた被搬送物Wを格納した収納容器4は、各ドア開閉装置2の載置台23上から収納容器搬送装置に引き渡され、次工程へと運び出される。
以上のように、本実施形態に係るドア開閉装置2は、フレーム21のうち開口21aの開口縁近傍領域において開口21aを周回するように中空弾性シール部Sを設け、この中空弾性シール部Sを収縮状態(1)と膨張状態(2)との間で状態変化可能に構成している。したがって、載置台23上に載置した収納容器4の蓋部43が開口21aに接近する所定のドッキング位置に載置台23を位置付けた状態で、収縮状態(1)にある中空弾性シール部Sを膨張状態(2)に変化させることにより、収納容器本体42のうち蓋部43の周囲部分に設定したシール面、つまり本実施形態であれば収納容器本体42の前面42Bに、中空弾性シール部Sを弾接させて良好なシール領域を形成することができる。その結果、フレーム21に形成した開口21aを周回するシール領域を介して収納容器4とフレーム21とを相互に密着させることができる。
しかも、本実施形態に係るドア開閉装置2によれば、フレーム21の開口21aと収納容器本体42との隙間であって収納容器4の外部及び搬送室3の外部に連通し得る領域をシール領域で密閉することで、収納容器4内を収納容器4外の雰囲気(外気)から遮断することができる。また、本実施形態のドア開閉装置2は、収納容器本体42のシール面に膨張状態(2)の中空弾性シール部Sを弾接させることで形成したシール領域を通じて外部から空気等が収納容器4内や搬送室3内に流入する事態も防止・抑制することができる。その結果、被搬送物の品質向上を図ることが可能である。
さらに、本実施形態に係るドア開閉装置2は、収納容器本体42のうち蓋部43の周囲部分に設定したシール面に対して、収縮状態(1)から膨張状態(2)に状態変化させた中空弾性シール部Sを弾接させることでシール領域を形成する構成を採用している。このため、本実施形態において形成されるシール領域のシール性(密閉性)を、Oリングなどの可撓性に劣る弾性材に対して収納容器本体42のシール面を押し付けることで形成されるシール領域のシール性よりも高くすることができる。したがって、収納容器4内や搬送室3内に環境ガスが供給される使用状況下であっても、環境ガスがシール領域から収納容器4の外部や搬送室3の外部へ流出する事態を防止することができる。また、上述の中空弾性シール部Sを用いることによって、比較的大きな隙間に対してもシールが可能である。
特に、本実施形態に係るドア開閉装置2は、少なくともフレーム21の開口21aの上端近傍に移動規制部Lを設けている。そして、移動規制部Lが、ドッキング位置に位置付けた載置台23上の収納容器4がフレーム21から離間する方向に移動することを規制する移動規制状態(3)と、ドッキング位置に位置付けた載置台23上の収納容器4がフレーム21から離間する方向に移動することを許容する移動許容状態(4)との間で切替可能なものである。したがって、載置台23をドッキング位置に位置付けた時点以降に、移動規制部Lを移動許容状態(4)から移動規制状態(3)に切り替えて、移動規制状態(3)を維持したまま、収縮状態(1)にある中空弾性シール部Sを膨張状態(2)に変化させることで、以下の作用効果を奏する。すなわち、ドッキング位置に位置付けた載置台23上の収納容器4に対して中空弾性シール部Sを収縮状態(1)から膨張状態(3)に変化させた場合に、フレーム21から離間する方向に押圧する力が収容容器4に作用しても、少なくとも開口21aの上端近傍に設けた移動規制状態(3)にある移動規制部Lによって収納容器4の移動や傾動を防止・抑制することができる。その結果、ドッキング位置に位置付けた載置台23上の収納容器4がフレーム21から離間する方向に移動したり、傾動することで生じ得る収納容器4内でのパーティクルの舞い上がりや被搬送物Wの位置ズレの発生を回避することができる。
また、本実施形態では、移動規制部Lとして、収納容器本体42のうち蓋部43の周囲部分に設けられた鍔部45に係合可能な係合片L1と、係合片L1を鍔部45に係合させた状態でフレーム21側に移動させることが可能な引き込み部L2とを備えたもの適用している。このような移動規制部Lであるため、係合片L1に係合させた収納容器本体42の鍔部45をフレーム21側に引き込む動作により、収納容器本体42のうち蓋部43の周囲部分に設定したシール面に対する中空弾性シール部Sの密着度を高める(密着面積を大きく)ことができる。その結果、シール領域のより一層良好なシール性を確保することができる。本実施形態においてシール領域を形成する「シール面」は、「収納容器本体42のうち蓋部43の周囲部分に設定した面」である。本実施形態では、収納容器本体43のうち蓋部43の周囲部分において上方及び外側方に突出させた鍔部45を設けた収納容器4を採用しており、中空シール部Sの上辺部分SA及び両側辺部分SCが鍔部45の前面に弾接する。したがって、鍔部45の前面は、シール処理St4によって中空弾性シール部Sが弾接するシール面として機能する。
加えて、本実施形態に係るドア開閉装置2は、略矩形状をなす開口21aの両サイドにおける上端近傍及び下端近傍にそれぞれ移動規制部Lを配置した構成を採用している。これにより、ドッキング位置に位置付けた載置台23上の収納容器4に対して中空弾性シール部Sを膨張させて密着させる際に、収納容器4がフレーム21から離間する方向へ移動したり、傾動する事態をより確実に防止することができる。
特に、本実施形態に係るドア開閉装置2では、中空部S1に供給された流体によって中空部S1の圧力が上がることで膨張状態(2)になり、供給された流体を中空部S1から排出して中空部S1の圧力を下げることによって収縮状態(1)になる中空弾性シール部を適用している。これにより、中空部S1内における供給圧力がそのままシール面圧となり、良好なシール機能を発揮する。また、収納容器本体42のシール面に対して中空部S1自体が膨張して面圧を負荷することができ、振動等によってシール面が変動した場合にも直ちに追随することが可能なシール領域を形成することができる。
また、本実施形態に係る搬送装置(EFEM1)は、搬送室3と、搬送室3の壁面3Aに設けた上述の構成を有するドア開閉装置2と、搬送室3内に設けられ、且つドア開閉装置2の載置台23上の収納容器4と搬送室3と間で被搬送物Wを出し入れ可能な搬送ロボット31とを備えているため、ドア開閉装置2が奏する上述の作用効果を得て、フレーム21のうち開口21aの周辺部分と収納容器4との隙間をなくし、その隙間を通じて、収納容器4内や搬送室3内の環境ガスが収納容器4の外部や搬送室3の外部へ流出する事態や、外部から空気等が収納容器4内や搬送室3内に流入する事態を防止・抑制することができる。
また、本実施形態では、上述のドア開閉装置2を利用した収納容器4のドッキング方法として、収納容器4を載置した載置台23を、蓋部43が開口21aに接近する所定のドッキング位置に移動させた後に、収縮状態(1)にある中空弾性シール部Sを膨張状態(2)に変化させて、収納容器本体42のうち蓋部43の周囲部分に設定したシール面に中空弾性シール部Sを弾接させてシール領域を形成するシール処理St4を経る方法を採用している。したがって、フレーム21の開口21aと収納容器本体42との隙間、つまり、収納容器4の内部空間4Sや搬送室3の内部空間3Sが外部に連通し得る隙間を密閉することができ、載置台23上に載置される収納容器4の内部空間4Sと搬送室3の内部空間3Sとを連通させた際の良好な密閉性を確保することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述の実施形態では、フレームのうち開口の開口縁近傍において開口を周回するように中空弾性シール部を設け、シール処理を実施することで、ドッキング位置に位置付けた載置台上の収納容器の前面に対して、中空弾性シール部が後方(収納容器側)に膨張して弾接する構成を例示した。この構成に代えて、中空弾性シール部をフレームのうち開口の開口縁において開口を周回するように中空弾性シール部を設けた構成を採用することができる。このような構成を適用する好適な場合として、収納容器の蓋部がフレームの開口に接近する所定のドッキング位置に載置台を位置付けた状態において、蓋部が開口に接近して到達している態様を挙げることができる。
つまり、図17に示すように、載置台23を所定のドッキング位置に位置付けた状態において、収納容器4の蓋部43がフレーム21の開口21a(ウインドウユニット214の開口215)に接近して到達するように設定されている場合、収納容器本体42の前面42Bは、フレーム21に形成した開口21aの開口後縁よりも前方に位置付けられる。このような構成において、フレーム21のうち開口21aの開口縁において開口を周回するように設けた中空弾性シール部Sが収縮状態(1)にあれば、収納容器本体42の前端部に中空弾性シール部Sが接触しないように設定しておく。そして、中空弾性シール部Sを収縮状態(1)から膨張状態(2)に状態変化させると、中空弾性シール部Sが開口21aの開口寸法を狭くする方向(開口21aの中心に向かう方向)に膨張して、収納容器本体42の前端部に弾接する。これにより、フレーム21の開口21aと収納容器本体42との隙間を密閉することができる。
図17に示す構成を採用した場合、シール処理によって中空弾性シール部Sが弾接する対象であるシール面は、載置台23を所定のドッキング位置に位置付けた状態において、収納容器本体42のうち蓋部43の周囲部分であって且つ開口21aの開口縁に対面する面である。具体的には、収納容器本体42のうち、前後方向Dと直交する方向において開口21aの開口縁に対面する面がシール面として機能する。したがって、収納容器本体42の前端部における上向き面、下向き面、及び側面が、シール面として機能する。そして、これらシール面に膨張状態の中空弾性シール部Sを弾接させることでシール領域を形成することができる。なお、図17に示すように、収納容器本体42の前端部に鍔部45を設けている場合は、鍔部45の上向き面や側面がシール面として機能する。
図17に示す構成を採用した場合、収縮状態及び膨張状態にある中空弾性シール部がフレームの厚み内に収まるように設定することができる。一方、収縮状態及び膨張状態にある中空弾性シール部がフレームの厚み内に収まらずに、フレーム21の最前面21Bまたは最背面21Aの少なくとも何れか一方の面よりも前方または後方にはみ出す形態となってもよい。
また、載置台のドッキング位置は、収納容器本体の前端部がフレームの開口フレームにおける中空弾性シール部の配置箇所等の仕様に応じて適宜設定することが可能である。
例えば図17に示すように構成のように、ドッキング位置に位置付けた載置台上の収納容器に対して、中空弾性シール部を収縮状態から膨張状態に変化させた場合、収容容器に対してフレームから離間する方向に押圧する力が作用しない構成であれば、移動規制部を省略することが可能である。移動規制部が不要であれば、移動規制部を備えた態様と比較して構造の簡素化を図ることができる。
本発明における中空弾性シール部は、収縮状態と膨張状態の間で状態変化可能なものであればよい。したがって、上述した構成のいわゆるインフラートシール以外のパーツや機構を用いて中空弾性シール部を構成することも可能である。
また、フレームに形成された開口を周回する中空弾性シール部を、高さ方向あるいは前後方向に所定ピッチで複数段状に配置してもよい。この場合、複数の中空弾性シール部を配置したことでシール領域が広くなり、より一層高いシール性を確保することができる。また、一つの中空弾性シール部のシール機能が低下した場合においても、他の中空弾性シール部が有効なシール機能を確保することで、シール領域の良好なシール性を確保することができる。
また、フレームに形成された開口に沿って複数の中空弾性シール要素を順番に並べて配置することで、開口を周回するように配置された中空弾性シール部を構成することも可能である。
移動規制部を配置する箇所は適宜選択することができる。一例として、収納容器本体の上端部における両サイド以外の部分(例えば幅方向中央部分)を保持可能な移動規制部を備えたドア開閉装置であってもよい。また、移動規制部の数を変更することも可能である。
さらにはまた、前記実施形態で例示したクランプ機能を発揮する移動規制部に代えて、または加えて、クランプ機能は発揮しないが適宜の手段によりロック機能またはホールド機能を発揮することで、ドッキング位置に位置付けた載置台上の収納容器がフレームから離間する方向に移動したり、傾動することを規制可能な移動規制部を適用することもできる。
また、中空弾性シール部及び移動規制部をユニット化してフレームに配置してもよいし、中空弾性シール部及び移動規制部をユニット化せずに個別に配置してもよい。上記実施形態におけるウインドウユニット214を省略した構成を採用する場合、フレーム本体212に開口21aが直接形成されたフレームを適用することができる。
上述の実施形態では、搬送室内にチャンバを配置した構成を例示したが、搬送室内にチャンバが配置されない構成を採用することが可能である。搬送室内にチャンバが配置されない構成であれば、圧力調整部も省略することができる。この場合、チャンバ内パージ処理や圧力調整処理も省略される。
なお、チャンバ及び圧力調整部を備えたドア開閉装置として、例えば、図18に示すように、ガス排出部61’をフレーム21に設け、このガス排出部61’に上流端を連結したガス排気経路62’を備えた圧力調整部6’を採用することができる。フレーム21に設けたガス排出部61’は、チャンバ5の内部空間5Sに連通する貫通孔である。このガス排出部61’にガス排気経路62’の上流端を密着させている。ガス排気経路62’の大部分は、上述のカバー28内に配置される。ガス排気経路62’のうち少なくとも上述のカバー28内に配置される部分は、チューブによって形成される。ガス排気経路62’の下流端は、ガス導入部63に密着している。このような圧力調整部6’により、チャンバ内パージ処理によってチャンバ5内に供給する環境ガスは、ガス排出部61’、ガス排気経路62’及びガス導入部63をこの順に通過して収納容器4の内部空間4Sに導入される。したがって、このような圧力調整部6’を通じてチャンバ5の内部空間5Sと収納容器4の内部空間4Sの圧力差をなくすことができる。このようなガス排気経路62’であれば、チャンバ5の移動に追従して移動または変形可能であるという条件が要求されない。したがって、ガス排気経路62’を構成する部材の選択や、設置スペース上の設計自由度が高まる。ガス排気経路62’として、図18に示すように、ガス排出部61’から流れてくるチャンバ5内の環境ガスをガス導入部63に向かわせる経路(圧力調整経路)に加えて、ガス排出部61’から流れてくるチャンバ5内の環境ガスを適宜の排気空間(例えば搬送室の内部空間)に向かわせる経路(排気経路)を有する構成を採用することができる。図18には、排気経路の下流端を、フレーム21のうち上述のカバー28の内部空間と搬送室の内部空間を連通する位置に設けた貫通孔64’に密着させている。この場合、ガス排出部61’から流れてくるチャンバ5内の環境ガスの排気経路を、圧力調整経路または排気経路の何れかに切替可能な構成(例えば切替弁を配置する構成)にすればよい。
また、ドア部が、全閉位置と全開位置との間の移動の全部または一部に回転動作を伴うものであっても構わない。例えば、図19及び図20に示すように、全閉位置(C)と移動方向切替位置(P)との間におけるドア部22の移動を回転動作に設定しつつ、移動方向切替位置(P)と全開位置(O)との間におけるドア部22の移動を直線動作に設定する構成を挙げることができる。この場合、移動方向切替位置(P)に位置付けたドア部22の姿勢は、所定角度傾斜した姿勢となる。この傾斜姿勢を維持したまま移動方向切替位置(P)と全開位置(O)の間で移動することになる。なお、図19及び図20では一部省略しているドア移動機構27の具体的な構成や駆動源も適宜変更することができる。
また、上述の実施形態では、被搬送物の出し入れ処理中はドア部を全開位置に待機させるように構成した態様を例示した。このような態様に代えて、例えば、図21に示すように、被搬送物Wの出し入れ処理中はその被搬送物Wを収納容器4に対して出し入れするために必要な分だけ収納容器本体42の内部空間4Sを開放する中途開放位置(I)にドア部22を待機させるように構成することも可能である。このような構成であれば、被搬送物Wの出し入れ処理中における収納容器本体42の内部空間4Sの高さ方向における開放度合いを効果的に低減することが可能である。したがって、収納容器本体42の内部空間4Sを開放した時点で収納容器4内のパージ濃度は一旦低下し、水分濃度が上昇するが、その上昇した水分濃度を所定値の低水分濃度に戻すまでの時間を短縮することができる。さらに、ドア部22を全閉位置(C)と全開位置(O)の間で移動させる態様よりも、ドア部22の移動ストロークの短縮化を図ることができるというメリットもある。なお、全開位置(O)の設定次第では、収納容器4内の最下段の位置に収納される被搬送物Wの出し入れ処理中の中途開放位置が、全開位置(O)と同じ位置または略同じ位置になる場合もある。なお、図21では、チャンバを省略している。
本発明に係るドア開閉装置は、搬送装置の一例であるEFEMの一部を構成するものとして使用可能であることは上述した通りである。したがって、EFEM以外の搬送装置やソータ装置の一部を構成するものとして使用することも可能である。ソータ装置は、搬送室の壁面に本発明に係るドア開閉装置を複数配置し、各ドア開閉装置の載置台上に載置した収納容器間で被搬送物を搬送室内に設けた搬送ロボットによって入替可能な装置である。搬送室の共通の壁面に複数のドア開閉装置を配置したソータ装置、或いは搬送室の相互に異なる壁面(例えば前壁と後壁のように対向する壁面)にそれぞれ1又は複数のドア開閉装置を配置したソータ装置、あるいは何れかの側面にバッファステーションやアライナを配置し、各ドア開閉装置の載置台上に載置した収納容器同士、或いは、収納容器とバッファステーションまたはアライナとの間で被搬送物を搬送ロボットによって入替・出し入れ可能なソータ装置、これら何れであっても構わない。
このようなソータ装置であれば、上述の構成を有するドア開閉装置を備えていることによって、上述した作用効果を得ることができ、被搬送物の出し入れ処理を好適に行うことができる。
搬送室の壁面に配置するドア開閉装置は1台であってもよい。
上述した実施形態では、被搬送物としてウェーハを例示したが、被搬送物が、レティクル、液晶基板、ガラス基板、カルチャープレート、培養容器、ディッシュ、或いはシャーレ等であってもよい。すなわち、本発明は、半導体、液晶、細胞培養等の各種分野での容器に収容される搬送対象の搬送技術に適用することができる。
また、本発明に係るドア開閉装置は、ロードポートに限定されず、収納容器と搬送室のインターフェース部分として機能する用途で使用可能なものである。
収納容器内のパージ処理として、上述したボトムパージ処理に加えて、または代えて、収納容器の内部空間の前方から環境ガスを供給するいわゆるフロントパージ処理を適用することも可能である。フロントパージ処理を実行するフロントパージ部は、収納容器本体または蓋体に設けてもよいし、ドア開閉装置に設けてもよい。本発明における収納容器は、上述の実施形態で述べたように、ドア開閉装置の載置台上に載置された時点以降の適宜のタイミングでパージ処理が施される収納容器であってもよい。しかしながら、本発明における収納容器として、ドア開閉装置の載置台上に載置された時点以降の適宜のタイミングでパージ処理が施されない収納容器や、載置台上に載置されるよりも前の時点で予めパージ処理が施されている収納容器を適用することもできる。ドア開閉装置の載置台上に載置されるよりも前の時点で予め施されるパージ処理のタイミングの具体例としては、複数の収納容器を保管可能な保管庫に保管されている時点、ドア開閉装置とは別の専用パージステーション上に載置されている時点、他の被搬送物製造装置における製造工程中の適宜の時点乃至製造完了後の適宜の時点を挙げることができる。
収納容器の種類やタイプ、搬送室の具体的な構成や機能も適宜変更することができる。パージ処理に要する環境ガスとして、窒素ガスやドライエア以外の気体を適用しても構わない。
搬送ロボットとして、被搬送物把持部(上述の実施形態であればハンド)を複数有するものを適用することができる。また、被搬送物把持部がハンド以外の所定のパーツ等から構成された搬送ロボットを適用することもできる。また、搬送ロボットは、搬送室内に配置されるものであればよい。搬送ロボットを備えたドア開閉装置であってよい。
上述の実施形態では、ドア開閉装置2が制御部2Cを備え、ドア部22の移動等、各部の作動を制御部2Cが司る態様を例示した。この態様に代えて、ドア開閉装置の上位の装置(上述の実施形態であればEFEM、あるいは処理装置)の作動を司る制御部(上位コントローラである上述のEFEM全体の制御部3Mや処理装置Mの制御部MC)によって、ドア開閉装置の作動も司るように構成することも可能である。
また、上述の制御部は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、汎用コンピュータに、上述の処理を実行するためのプログラムを格納した記録媒体(フレキシブルディスク、CD−ROMなど)から当該プログラムをインストールすることにより、上述の処理を実行する制御部を構成することができる。そして、これらのプログラムを供給するための手段は任意である。上述のように所定の記録媒体を介して供給できる他、例えば、通信回線、通信ネットワーク、通信システムなどを介して供給してもよい。この場合、例えば、通信ネットワークの掲示板(BBS)に当該プログラムを掲示し、これをネットワークを介して搬送波に重畳して提供してもよい。そして、このように提供されたプログラムを起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上述の処理を実行することができる。
また、例えば、EFEM以外の搬送装置として、例えば、図22に示すように、SMIF(standard of mechanical interface)システム1を挙げることができる。SMIFシステム1では、底に蓋部43が設けられた収納容器4を、フレーム21の一部に形成した載置台23に載置した状態で、収納容器4の下方から蓋部43をドア部22によって開閉することができる。また、SMIFシステムでは、例えばウェーハである被搬送物を収容したカセットと呼ばれる収容ケース(図示省略)を、収納容器4の蓋部43上に固定し、ドア部22の昇降移動に伴って、搬送室3内に搬送可能な状態に待機させたり、収納容器内4Sに搬送することができる。以下に、本発明に係るドア開閉装置2を適用した搬送装置1(SMIFシステム)の一例を第2実施形態として説明する。
第2実施形態に係るドア開閉装置2は、例えば半導体の製造工程において用いられ、図22に示すように、クリーンルーム内において、ローダと称される搬送室3の壁面の一部を構成し、搬送室3と収納容器4との間で被搬送物Wの出し入れを行うためのものである。第2実施形態に係るドア開閉装置2は、搬送室3の壁面3Aの一部を構成するフレーム21と、フレーム21に形成した開口21aを開閉するドア部22と、フレーム21のうち、収納容器4の内部空間4Sを開閉可能とする蓋部43をドア部22に対向させる向きで収納容器4を載置可能な位置に形成された載置台23とを備えている。
フレーム21は、中空箱状をなし、上壁211を載置部23として機能させている。そして、載置台23として機能するフレーム21の上壁211に、フレーム21に仕切られる空間(フレームの内部空間21S)を開放するための開口21aを形成している。この開口21aは、載置台23上に載置した収納容器4の搬出入口41と連通し得る大きさを有する。また、この開口21aは、載置台23の平面視中央部分に形成されている。第2実施形態のドア開閉装置2は、このようなフレーム21を搬送室3に密着させた状態で使用可能なものである。なお、フレーム21のうち搬送室3の内部空間3Sと、フレーム21の内部空間21Sとを仕切る起立壁212の一部に、相互の内部空間3S,21Sを連通させる開口212aを形成している。
ドア部22は、収納容器4の蓋部43に当該ドア部22を連結して、蓋部43を収納容器本体42から取り外し可能な蓋連結状態と、蓋部43に対する連結状態を解除し、且つ蓋部43を収納容器本体42に取り付けた蓋連結解除状態との間で切り替え可能な連結機構(図示省略)を備えている。ドア部22は、連結機構によって蓋部43を一体化した状態で保持したまま所定の移動経路に沿って移動可能なものである。第2実施形態のドア開閉装置2は、ドア部22を、当該ドア部22が保持する蓋部43によって収納容器本体42の内部空間4Sを密閉する全閉位置(図22参照)と、当該ドア部22が保持する蓋部43を収納容器本体42から離間させて当該収納容器本体42の内部空間4Sをフレーム21の内部空間21Sに向かって下方に全開放させる全開位置(図示省略)との間で移動可能に構成している。第2実施形態では、図22に示す全閉位置にドア部22を、その姿勢を維持したまま全開位置まで移動可能に設定している。すなわち、全閉位置と全開位置との間におけるドア部22の移動経路は、全閉位置にあるドア部22をその前後位置を維持したまま下方へ移動させた経路(鉛直経路)である。
このようなドア部22の移動は、ドア開閉装置2に設けたドア移動機構27によって実現している。ドア移動機構27は、ドア部22を支持した状態で昇降可能な昇降部271と、昇降部271を駆動させる駆動源(例えば図示しないアクチュエータ)とを備えている。このアクチュエータに対して制御部から駆動指令を与えることで、ドア部22を上下方向に移動させることができる。
また、第2実施形態に係るドア開閉装置2は、開口42の周縁近傍に設けた中空弾性シール部Sと、載置台23上の所定のドッキング位置に載置した収納容器4がフレーム21から離間する方向(上方)に移動することを規制する移動規制部Lとを備えている。
中空弾性シール部Sは、フレーム21のうち開口21aの開口縁近傍領域において開口21aを周回するように設けられる。フレーム21の一部に載置台23を形成している第2実施形態では、載置台23の平面視中央部分に形成した開口21aの開口縁近傍領域において開口215を周回する位置に中空弾性シール部Sを設けている。より具体的には、載置台23の上向き面23Tのうち、収納容器本体42の下向き面42Uであって且つ後述するシール面(収納容器本体42のうち蓋部43の周囲部分に設定した面)と対向する位置に中空弾性シール部Sを周回させて取り付けている。矩形状をなす開口21aの開口縁近傍において開口21aを周回するように配置された中空弾性シール部Sは、平面視略矩形状をなす。第2実施形態では、中空弾性シール部Sを、前後方向Dに所定ピッチで複数段(図示例では2段)状に配置している。
そして、中空弾性シール部Sは、図22に示す膨張状態と図示しない収縮状態との間で状態変化可能なものである。第2実施形態における中空弾性シール部Sは、上述の実施形態における中空弾性シール部Sの構成と同様にインフラートシールを適用している。すなわち、中空弾性シール部Sは、内部が中空であって全体として開口21aを周回するリング状の中空部と、中空部の内部に連通する流体通路(流通孔)とを備えている。中空弾性シール部Sは、流体通路を通じて供給された流体によって中空部の圧力が上がることで膨張状態になる。また、中空弾性シール部Sは、供給された流体を中空部から流体通路を通じて排出して当該中空部の圧力を下げることによって収縮状態になる。中空弾性シール部Sは、中空部及び流体通路Sをそれぞれ1つずつ備えている。
第2実施形態のドア開閉装置2では、載置台23の上向き面23Tに、開口21aの開口縁近傍を周回するように断面が凹形状となる中空弾性シール取付溝を形成している。この中空弾性シール取付溝に中空部を挿入した状態で緊密に取り付けている。なお、中空部は、接着剤やボルト等の適宜の手段によって中空弾性シール取付溝から抜け外れないように取り付けられる。この取付状態において、中空部のうちフレーム21側の所定部分のみが中空弾性シール取付溝に収容される一方、他の部分(収納容器4側の所定部分)は中空弾性シール取付溝に収容されずに中空弾性シール取付溝の外に露出している。そして、中空弾性シール部Sが収縮状態にある場合に、中空部に連通する流体通路を通じて所定のガス供給部から流体を中空部に供給して圧力を上げると、中空弾性シール部Sは、中空部のうち中空弾性シール取付溝の外に露出している部分を収納容器4側(上方)に向かって膨張させた膨張状態になる。
図22に示すように、載置台23上の所定のドッキング位置に載置した収納容器本体42の下向き面42Uに対して、膨張状態にある中空弾性シール部Sが弾接する。すなわち、本実施形態では、収納容器4のうち中空弾性シール部Sが弾接する収納容器本体42の下向き面をシール面に設定している。そして、このシール面に中空弾性シール部Sを弾接させることで良好なシール領域を形成することができる。
本実施形態では、中空弾性シール部Sを収縮状態にした場合にも中空部の一部が中空弾性シール取付溝の外に露出している。載置台23上の所定のドッキング位置に載置した収納容器4のシール面(収納容器本体42の下向き面42U)が、収縮状態にある中空弾性シール部Sに接触するように設定している。なお、載置台23上の所定のドッキング位置に載置した収納容器4のシール面が、収縮状態にある中空弾性シール部Sよりも優先して他のパーツに接触させることによって、収縮状態にある中空弾性シール部Sに当接しない程度に接近するように設定した構成を採用してもよい。また、中空部S1に供給される流体は、搬送室3内に供給する環境ガスや、収納容器4内に供給する環境ガスを使用することができる。
第2実施形態では、膨張状態にある中空弾性シール部Sに対して、流体通路S2を通じて中空部内を真空吸引することにより、中空弾性シール部Sを膨張状態から収縮状態に変化させることができる。
なお、図22では、中空弾性シール部Sを黒く塗りつぶした略円形状のマークで模式的に示している。同図からも把握できるように、第2実施形態では、フレーム21(具体的には載置台23)の下向き面とドア部23との間にも中空弾性シール部Sを配置している。
移動規制部Lは、載置台23上のドッキング位置に載置した収納容器4がフレーム21から離間する方向(上方)に移動することを規制する移動規制状態(図22参照)と、載置台23上のドッキング位置に載置した収納容器4がフレーム21から離間する方向へ移動することを許容する移動許容状態(図示省略)との間で切替可能なものである。すなわち、移動規制部Lは、移動規制状態になることで、載置台23上の所定のドッキング位置に載置した収納容器4を保持することが可能である。
本実施形態における移動規制部Lは、収納容器本体42のうち蓋部43の周囲部分に設けられた鍔部45に係合可能な係合片L1を主体としてなる。なお、係合片L1を鍔部45に係合させた状態でフレーム21側に移動させる引き込み部を備えた移動規制部を採用することもできる。このような移動規制部Lは、収納容器本体42の鍔部45を係合片L1とフレーム21との間に挟み込む状態で保持可能なクランプ機能を発揮する。
係合片L1は、高さ方向Hにおいて収納容器4に対面する対面姿勢(図22参照)と、少高さ方向Hにおいて収納容器4に対面しない非対面姿勢(図示省略)との間で可動する。
第2実施形態に係るドア開閉装置2は、係合片L1を非対面姿勢にすることで、載置台23の上方から収納容器4を、蓋部43が開口21aに接近する所定のドッキング位置に載置したり、ドッキング位置に載置されている収納容器を載置台23の上方へ移動させることができる。すなわち、移動規制部Lは、係合片L1を非対面姿勢にすることで移動許容状態になる。
このような移動規制部Lは、係合片L1を非対面姿勢にした状態で収納容器4を載置台23上のドッキング位置に載置させ、その時点以降に、非対面姿勢にある係合片L1を非対面姿勢から対面姿勢に変更する。すると、係合片L1を収納容器本体42の下端部において外側方に張り出した鍔部45に係合させることができる。その結果、収納容器4の鍔部45を係合片L1とフレーム21(具体的には載置台23)の間に挟み込む状態になり、ドッキング位置に載置した収納容器4がフレーム21から離間する方向に移動することを規制することができる。すなわち、移動規制部Lは、係合片L1を非対面姿勢から対面姿勢に変更させることで移動規制状態になる。
第2実施形態のドア開閉装置2では、このような移動規制部Lを、収納容器4の鍔部45の四隅近傍をクランプ可能な位置、すなわち合計4箇所に配置している。
上記のように構成したドア開閉装置2は、ドア開閉装置2のコントローラ(制御部)から各部に駆動指令を与えることで所定の動作を実行する。このようなドア開閉装置2を、搬送室3の一つの壁面3Aに複数(例えば3台)並べて配置することができる。
図22に示すように、第2実施形態に係る搬送装置1は、共通のクリーンルーム内に相互に隣接する位置に設けたドア開閉装置2及び搬送室であるローダ3を主体として構成されたものである。搬送装置1の作動は、ドア開閉装置2のコントローラや、搬送装置1全体のコントローラによって制御される。搬送室3のうちドア開閉装置2を配置した壁面3Aに対向する壁面には例えば図示しない処理装置(半導体処理装置)が隣接して設けられる。なお、処理装置の作動は、処理装置のコントローラによって制御される。ここで、処理装置全体のコントローラや、搬送装置1全体のコントローラは、ドア開閉装置2の制御部の上位コントローラである。
搬送室であるローダ3は、収納容器4の内部空間4Sからフレーム21の内部空間21Sに移動したカセット(被搬送物Wが収容されたカセット)を処理装置に搬送したり、処理装置から取り出したカセットをドア搬送装置2のドア部22に搬送可能なものである。搬送室3は、ドア開閉装置2及び処理装置Mが接続されることによって、内部空間3Sが略密閉された状態となる。搬送室3内は、図示しないガス供給口及びガス排出口を用いて環境ガスによるパージ処理を行うことで、環境ガス濃度を高めることが可能となっている。
第2実施形態では、下端に形成した搬出入口41を通じて内部空間4Sを下方にのみ開放可能な収納容器本体42と、搬出入口41を開閉可能な蓋部43を備えた収納容器4を適用している。そして、収納容器4の内部空間4Sには、複数枚の被搬送物であるウェーハを上下方向Hに多段状に収容したカセット(図示省略)が蓋部43上にセットされ、搬出入口41を介してこれらウェーハをカセットごと出し入れ可能に構成された既知のものである。
収納容器本体42の下端部には、他の部分よりも外方に突出させた鍔部45を設けている。つまり、収納容器本体42のうち、蓋部43が配置される領域の周囲部分に鍔部45を設けている。本実施形態では、この鍔部45に対して上述した移動規制部Lの係合片L1が係合するように設定している。
蓋部43は、収納容器4を載置台23上のドッキング位置に載置した状態においてドア開閉装置2のドア部22と対面するものであり、概略板状をなす。蓋部43には、この蓋部43を収納容器本体42にロックし得るラッチ部(図示省略)を設けている。なお、蓋部43のうち搬出入口41を蓋部43で閉止した状態において収納容器本体42に接触または近接する所定の部分にガスケット433を設けている。そして、蓋部43の上向き面よりも優先してガスケット433を収納容器本体42に接触させて弾性変形させることで、収納容器4の内部空間4Sを完全密閉できるように構成されている。
本実施形態に係るドア開閉装置2は、所定の制御部(この制御部は、ドア開閉装置2の制御部であってもよいし、上述の上位コントローラであってもよい)から各部に駆動指令を与えることで所定の動作を実行する。制御部の記憶部には、装置各部の所定の動作プログラムが格納されている。このプログラムは、非一時的なコンピュータ読取可能な記録媒体(ハードディスク等)に実行可能なプログラムとして格納されているものである。ドア開閉装置2を備えた搬送装置1の使用方法及び作用は以下の通りである。
先ず、搬送室3のうちドア開閉装置2を配置した共通の壁面3Aに沿って延伸する直線上の搬送ライン(動線)で作動するOHT等の収納容器搬送装置により収納容器4がドア開閉装置2の上方まで搬送され、載置台23上に載置される。この際、例えば載置台23に設けた位置決め用突起が収納容器4の位置決め用凹部に嵌まる。また、制御部が、載置台23上の図示しないロック爪をロック状態にする。これにより、収納容器4を載置台23上の所定のドッキング位置に載置して固定するドッキング処理を行うことができる。第2実施形態では、搬送室3の幅方向に3台並べて配置したドア開閉装置2の載置台23にそれぞれ収納容器4を載置することができる。また、収納容器4が載置台23上に所定のドッキング位置に載置されているか否かを検出する着座センサ(図示省略)により収納容器4が載置台23上のドッキング位置に載置されたことを検出するように構成することもできる。ドッキング処理を実行するまでは、移動規制部Lが、係合片L1を非対面姿勢にした移動許容状態に維持されている。また、このドッキング処理を実行するまでは、中空弾性シール部Sが収縮状態に維持されている。
そして、第2実施形態のドア開閉装置2では、制御部が、移動規制部Lを用いて収納容器4の鍔部45を保持して固定する処理(収納容器クランプ処理)を行う。具体的には、移動規制部Lの係合片L1を、非対面姿勢から対面姿勢に切り替えて収納容器本体42の鍔部45に係合させる。この状態で、載置台23上のドッキング位置に載置した収納容器4の鍔部45を、移動規制部Lの係合片L1とフレーム23の上向き面23Tとの間で挟み込むことができる。すなわち、収納容器クランプ処理は、移動規制部Lを移動許容状態から移動規制状態に切り替える処理で実現できる。
なお、移動規制部Lを移動許容状態から移動規制状態に切り替えるタイミングは、載置台23上のドッキング位置に収納容器4を載置した時点以降であって、収縮状態にある中空弾性シール部Sを膨張状態に変化させる前であればよい。したがって、載置台23上のドッキング位置に収納容器4を載置した直後に、移動規制部Lを移動許容状態から移動規制状態に切り替える構成にしてもよい。また、載置台23上のドッキング位置に収納容器4を載置してから所定時間経過後に、移動規制部Lを移動許容状態から移動規制状態に切り替える構成にしてもよい。
第2実施形態のドア開閉装置2では、収納容器クランプ処理を完了した時点において収縮状態にある中空弾性シール部Sが、収納容器本体42の下向き面42Uに接触するように設定している。
次いで、第2実施形態のドア開閉装置2では、制御部が、収納容器クランプ処理を完了する時点まで収縮状態に設定していた中空弾性シール部を膨張状態に状態変化させて、フレーム21に形成した開口21aの近傍における収納容器4とフレーム21との隙間を塞ぐ処理(シール処理)を実施する。その結果、中空弾性シール部Sと、載置台23上のドッキング位置に載置した収納容器4のうちシール面に設定した収納容器本体42の下向き面42Uとが弾接する。このシール処理を経ることにより、収納容器本体42の下向き面42Uに弾接させた中空弾性シール部Sに作用する供給圧力がシール面圧となり、良好なシール領域が形成される。
第2実施形態において、シール処理によって中空弾性シール部Sが弾接する部分は、収納容器本体42の下向き面42U(鍔部45の下向き面)のうち収納容器4の搬出入口41の近傍を周回する部分である。
第2実施形態のドア開閉装置2では、収納容器本体42の下向き面42Uをシール面とし、このシール面に対して中空弾性シール部Sの中空部S1自体が膨張して面圧を負荷することができる。その結果、振動等によってシール面が変動した場合にも直ちに追随することが可能なシール領域を確保することができる。
シール処理を実施して、中空弾性シール部Sが膨張状態に変化することで、収納容器4にはフレーム21から離間する方向に押圧される力が作用する。しかしながら、本実施形態のドア開閉装置2では、収納容器クランプ処理を経ることによって、載置台23上のドッキング位置に載置した収納容器4を移動規制部Lで固定した状態を維持することができる。このため、中空弾性シール部Sに押圧される収納容器4がフレーム21から離間する方向に移動したり、傾動する事態を防止することができる。特に、本実施形態では、平面視矩形状をなす鍔部45の四隅近傍を保持可能な位置に移動規制部Lを配置している。
第2実施形態のドア開閉装置2では、制御部が、シール処理に続いて、連結機構を蓋連結状態に切り替える(蓋連結処理)。この処理により、予め全閉位置で待機させているドア部22に蓋部43を連結機構で連結して密着状態で保持することができる。また、収納容器本体42から蓋部43を取り外し可能な状態になる。また、第2実施形態のドア開閉装置2では、載置台23上のドッキング位置に収納容器4が載置された時点以降の適宜のタイミングで、制御部が、収納容器4内に対するパージ処理を実行することができる。
そして、第2実施形態のドア開閉装置2では、制御部が、蓋部43をドア部22とともに移動させて、フレーム21の開口21a及び収納容器4の搬出入口41を開放して、収納容器4内の密閉状態を解除する処理(収納容器密閉解除処理)を実行する。具体的には、制御部が、ドア部22をドア移動機構27により全閉位置からフレーム21の内部空間21Sに向かって下方へ所定距離移動させる。なお、収納容器密閉解除処理は、収納容器4内を開放する処理であることから、「収納容器開放処理」とも言える。
引き続いて、第2実施形態のドア開閉装置2では、収納容器本体42の内部空間4Sと搬送室3の内部空間3Sとを連通させた状態で、制御部が、蓋部43上のカセットを搬送室2に搬送する処理(搬送処理)を実施する。搬送室3内に搬送されたカセットは、処理装置に搬送されたり、バッファステーションに搬送される。また、処理装置による適宜の処理を終えた処理済みのウェーハが収容されたカセットは、搬送室3の内部空間3Sを経由して、全開位置に位置付けたドア部22に保持されている蓋部43上に載置される。
次いで、第2実施形態に係るドア開閉装置2では、制御部が、ドア移動機構27によりドア部22を全閉位置に移動させて、フレーム21の開口21a及び収納容器4の搬出入口41を閉止して、収納容器4の内部空間4Sを密閉する処理(収納容器密閉処理)を実行する。具体的には、制御部が、全開位置にあるドア部22を所定距離上昇させて全閉位置まで移動させる。その結果、フレーム21の開口21a及び収納容器4の搬出入口41は閉止されて、収納容器4の内部空間4Sは密閉状態になる。
引き続いて、第2実施形態に係るドア開閉装置2では、制御部が、連結機構を蓋連結状態から蓋連結解除状態に切り替える処理(蓋連結解除処理)を実行する。この処理により、連結機構221によるドア部22と蓋部43の連結状態(蓋連結状態)を解除して、収納容器本体42に蓋部43を取り付けることができる。
次いで、第2実施形態に係るドア開閉装置2では、制御部が、蓋連結解除処理に続いて、中空弾性シール部Sを膨張状態から収縮状態に状態変化させて、中空弾性シール部1による収納容器本体42の下向き面42Uとフレーム21とのシール状態を解除する処理(シール解除処理)を実行する。その結果、中空弾性シール部Sと、載置台23上のドッキング位置に載置した収納容器4の下向き面42Uとの弾接状態が解除される。
第2実施形態に係るドア開閉装置2では、制御部が、シール解除処理に続いて、移動規制部Lによる収納容器4の固定状態(クランプ状態)を解除する収納容器クランプ解除処理を行う。具体的には、係合片L1を対面姿勢から非対面姿勢に切り替えて、収納容器本体42の鍔部45に対する係合片L1の係合状態を解除し、移動規制部Lによる収納容器4の固定状態を解除する。すなわち、収納容器クランプ解除処理St18は、移動規制部Lを移動規制状態から移動許容状態に切り替える処理で実現できる。
次いで、第2実施形態のドア開閉装置2では、制御部が、載置台23上のロック爪で収納容器4をロックしている状態を解除して、載置台23上の収納容器4を上方へ移動可能な状態にする処理(ドッキング解除処理)を実行する。これにより、所定の処理を終えた被搬送物Wが収容されたカセットを格納した収納容器4は、各ドア開閉装置2の載置台23上から収納容器搬送装置に引き渡され、次工程へと運び出される。
以上のように、第2実施形態に係るドア開閉装置2は、フレーム21のうち開口21aの開口縁近傍領域において開口21aを周回するように中空弾性シール部Sを設け、この中空弾性シール部Sを収縮状態と膨張状態との間で状態変化可能に構成している。したがって、収納容器4の蓋部43が開口21aに接近する載置台23上の所定のドッキング位置に収納容器4を載置した状態で、収縮状態にある中空弾性シール部Sを膨張状態に変化させることにより、収納容器本体のうち蓋部43の周囲部分に設定したシール面、つまり本実施形態であれば収納容器本体42の下向き面42Uに、中空弾性シール部Sを弾接させて良好なシール領域を形成することができる。その結果、フレーム21に形成した開口21aを周回するシール領域を介して収納容器4とフレーム21とを相互に密着させることができる。
しかも、第2実施形態に係るドア開閉装置2によれば、フレーム21の開口21aと収納容器本体42との隙間であって収納容器4の外部及び搬送室3の外部に連通し得る領域をシール領域で密閉することで、収納容器4内を収納容器4外の雰囲気(外気)から遮断することができ、シール領域を通じて外部から空気等が収納容器4内や搬送室3内に流入する事態を防止・抑制することができる。その結果、被搬送物の品質向上を図ることが可能である。その他、上述の実施形態と同様または略同様の作用効果を第2実施形態に係るドア開閉装置2であっても得ることができる。
このような第2実施形態に係るドア開閉装置2は、SMIFシステム(SMIFローダーとも呼ばれる)に好適に適用することができる。
特に、第2実施形態では、上述のドア開閉装置2を利用した収納容器4のドッキング方法として、収納容器4を、載置台23上の所定のドッキング位置に載置した後に、収縮状態にある中空弾性シール部Sを膨張状態に変化させて、収納容器本体42のうち蓋部43の周囲部分に設定したシール面に中空弾性シール部Sを弾接させてシール領域を形成するシール処理を経る方法を採用している。したがって、フレーム21の開口21aと収納容器本体42との隙間を確実に密閉することができる。
第2実施形態として示した本発明に係るドア開閉装置は、上述の搬送装置以外の搬送装置やソータ装置の一部を構成するものとして使用することも可能である。
なお、上述した各種変形例は、第2の実施形態に係る本発明のドア開閉装置にも適用することができる。
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。