JP2016172890A - コーティング層、圧縮機、および、コーティング層の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】固形物を含む腐食性の流体を取り扱う際の耐腐食性、および、耐摩耗性の両方を十分に確保しつつ、信頼性、および、製造性の低下を抑制する。【解決手段】コーティング層は、母材9上に層状に形成されたニッケル基合金、又は、コバルト基合金からなる耐食層11を備えるコーティング層であって、耐食層11は、耐食層11を形成するニッケル基合金、又は、コバルト基合金よりも硬度の高い材料から形成された複数の硬質粒子Kを層内に有する【選択図】図2
Description
この発明は、コーティング層、圧縮機、および、コーティング層の製造方法に関する。
圧縮機にあっては、非特許文献1のような海底生産システム(Subsea Production System)や、非特許文献2のような浮体式海洋石油貯蔵設備(Floating Production Storage and Offloading、FPSO)に使用されるものが知られている。非特許文献1の海底生産システムに使用される圧縮機は、例えば、海底に設置されて海底から数千mの深さまで掘削した生産井から原油や天然ガス等が混在した生産流体を海上に送り出す用途で用いられる。一方で、非特許文献2の浮体式海洋石油貯蔵設備に使用される圧縮機は、船舶等の海上設備に設置される。
三菱重工技報 Vol.34 No.5 P310−P313
Turbomachinery International September/October 2014 P18−P24
一般に用いられる圧縮機の場合、取り扱う流体は精製されている場合が多い。しかし、非特許文献1や非特許文献2で用いる圧縮機の場合、その取り扱う流体は、フィルタ等により前処理がされているものの、十分に固形物の除去がなされていない場合がある。例えば、フィルタ等による前処理としては、10μm以下の固形物を98%程度分離できるものもあるが、残りの数%が残留してしまう。また、非特許文献1や非特許文献2で取り扱う流体の場合、10μmの固形物は、硬質であることが多い。
一方で、非特許文献1や非特許文献2で取り扱う流体には、硫黄などの腐食成分が含まれている。そのため、非特許文献1や非特許文献2で用いる圧縮機には、流体と接する部分に、腐食対策として溶射などの表面処理が施されている。
しかしながら、このような腐食対策の表面処理では、上述した流体に含まれる残留した固形物によって摩耗や剥離が生じてしまい、腐食の進行を抑制できなくなる場合がある。
しかしながら、このような腐食対策の表面処理では、上述した流体に含まれる残留した固形物によって摩耗や剥離が生じてしまい、腐食の進行を抑制できなくなる場合がある。
また、一般に、溶射による表面処理は、耐摩耗性を向上させる際に、Mo,W,C等の硬化元素を多く添加するため、その硬度を上昇させる。この硬度の上昇により、上記表面処理は、延性が低下し、疲労強度が低下してしまう。そのため、ヒビ、割れ等が生じる可能性がある。
さらに、溶射による表面処理は、特に硬質の皮膜の場合には、微小なピンホールが形成されることが多く、腐食環境が非常に厳しい場合には耐食性が充分ではない場合がある。
つまり、溶射による表面処理の耐摩耗性を向上させようとすると、十分な耐腐食性を確保することができない可能性がある。
さらに、溶射による表面処理は、特に硬質の皮膜の場合には、微小なピンホールが形成されることが多く、腐食環境が非常に厳しい場合には耐食性が充分ではない場合がある。
つまり、溶射による表面処理の耐摩耗性を向上させようとすると、十分な耐腐食性を確保することができない可能性がある。
この発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、固形物を含む腐食性の流体を取り扱う際の耐腐食性、および、耐摩耗性の両方を十分に確保することができるコーティング層、圧縮機、および、コーティング層の製造方法を提供することを目的とする。
この発明の第一態様によれば、コーティング層は、母材上に層状に形成されたニッケル基合金、又は、コバルト基合金からなる耐食層を備えるコーティング層であって、前記耐食層が、前記耐食層を形成するニッケル基合金、又は、前記コバルト基合金よりも硬度の高い材料から形成された複数の硬質粒子を層内に有する。
このように構成することで、ニッケル基合金、又は、コバルト基合金の有する耐食性によって、母材に腐食性の流体が接触することを抑制できる。さらに耐食層の層内に硬質粒子が含まれることによって、腐食性の流体に含まれる固形物が衝突した場合、耐食層の硬質粒子にはじかれる。また、層内に硬質粒子を含むことで、耐食層自体の硬度を増加させることができる。そのため、流体に含まれる固形物の衝突による耐食層の摩耗を抑制できる。
その結果、固形物を含む腐食性の流体を取り扱う際の耐腐食性、および、耐摩耗性の両方を十分に確保することができる。
このように構成することで、ニッケル基合金、又は、コバルト基合金の有する耐食性によって、母材に腐食性の流体が接触することを抑制できる。さらに耐食層の層内に硬質粒子が含まれることによって、腐食性の流体に含まれる固形物が衝突した場合、耐食層の硬質粒子にはじかれる。また、層内に硬質粒子を含むことで、耐食層自体の硬度を増加させることができる。そのため、流体に含まれる固形物の衝突による耐食層の摩耗を抑制できる。
その結果、固形物を含む腐食性の流体を取り扱う際の耐腐食性、および、耐摩耗性の両方を十分に確保することができる。
この発明の第二態様によれば、コーティング層は、第一態様における耐食層が、前記ニッケル基合金、又は、前記コバルト基合金に対して、50〜90vol%の前記硬質粒子を含むようにしてもよい。
このように構成することで、ニッケル基合金、又は、コバルト基合金による耐食性を確保しつつ、流体に含まれる固形物が衝突することによる耐食層の摩耗を、より効果的に抑制できる。
このように構成することで、ニッケル基合金、又は、コバルト基合金による耐食性を確保しつつ、流体に含まれる固形物が衝突することによる耐食層の摩耗を、より効果的に抑制できる。
この発明の第三態様によれば、コーティング層は、第一又は第二態様の前記硬質粒子が、タングステンカーバイト、炭化クロム、アルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、および、立方晶窒化ホウ素のうち、少なくとも一つ、または二つ以上から形成された粒子を含むようにしても良い。
このように構成することで、硬質粒子の硬度をニッケル基合金、コバルト基合金よりも高くして流体に含まれる固形物が衝突することによる耐食層の摩耗を、より効果的に抑制できる。
このように構成することで、硬質粒子の硬度をニッケル基合金、コバルト基合金よりも高くして流体に含まれる固形物が衝突することによる耐食層の摩耗を、より効果的に抑制できる。
この発明の第四態様によれば、圧縮機は、第一態様から第三態様の何れかのコーティング層を備える。
これにより、固形物を含む腐食性の流体を扱う圧縮機において、流体と接触する部分の腐食や摩耗を抑制できる。そのため、信頼性の向上を図ることができる。
これにより、固形物を含む腐食性の流体を扱う圧縮機において、流体と接触する部分の腐食や摩耗を抑制できる。そのため、信頼性の向上を図ることができる。
この発明の第五態様によれば、コーティング層の製造方法は、ニッケル基合金の粉末、又は、コバルト基合金の粉末に、前記ニッケル基合金、および、前記前記コバルト基合金よりも硬度の高い材料から形成された複数の硬質粒子を混合して溶射材を作成する溶射材作成工程と、前記溶射材を母材の表面に溶射する溶射工程と、を含む。
このようにすることで、耐食性と、耐摩耗性との両方を有するコーティング層を容易に形成することができる。
このようにすることで、耐食性と、耐摩耗性との両方を有するコーティング層を容易に形成することができる。
上記コーティング層によれば、固形物を含む腐食性の流体を取り扱う際の耐腐食性、および、耐摩耗性の両方を十分に確保することができる。
次に、この発明の実施形態に係るコーティング層、圧縮機、および、コーティング層の製造方法を図面に基づき説明する。
この実施形態における圧縮機1は、海底数百から数千mに存在する油ガス田の生産井から採取された油・ガス等の生産流体を圧送する。この圧縮機1は、例えば、海洋油ガス田開発方式の一つである海底生産システム(Subsea Production System)に使用されて海底に設けられたり、浮体式海洋石油貯蔵設備(Floating Production Storage and Offloading、FPSO)に使用されて海上に設けられたりする。この圧縮機1が取り扱う流体には、硫黄等の金属を腐食させる腐食成分が含まれるとともに、フィルタ(図示せず)により除去できなかった10μm以下の固形物が数%含まれている。
この実施形態における圧縮機1は、海底数百から数千mに存在する油ガス田の生産井から採取された油・ガス等の生産流体を圧送する。この圧縮機1は、例えば、海洋油ガス田開発方式の一つである海底生産システム(Subsea Production System)に使用されて海底に設けられたり、浮体式海洋石油貯蔵設備(Floating Production Storage and Offloading、FPSO)に使用されて海上に設けられたりする。この圧縮機1が取り扱う流体には、硫黄等の金属を腐食させる腐食成分が含まれるとともに、フィルタ(図示せず)により除去できなかった10μm以下の固形物が数%含まれている。
図1は、この発明の実施形態における圧縮機の概略構成図である。
図1に示すように、圧縮機1は、ケーシング2と、回転軸3と、軸受部4と、インペラ5と、を備えている。この実施形態の説明において、圧縮機1として遠心圧縮機を例示しているが、軸流圧縮機であっても良い。
図1に示すように、圧縮機1は、ケーシング2と、回転軸3と、軸受部4と、インペラ5と、を備えている。この実施形態の説明において、圧縮機1として遠心圧縮機を例示しているが、軸流圧縮機であっても良い。
ケーシング2は、その内部に回転軸3、軸受部4、インペラ5をそれぞれ収容している。このケーシング2は、インペラ5とともに、圧縮する流体Gが流れる流路を形成する。
回転軸3は、軸受部4を介して軸線O回りに回転可能に支持されている。この回転軸3には、モータ等の回転動力源(図示せず)が連係される。つまり、回転動力源を駆動することで、回転軸3が回転可能となっている。
軸受部4は、ジャーナル軸受41と、スラスト軸受42と備えている。この実施形態の軸受部4は、2つのジャーナル軸受41と、1つのスラスト軸受42とをそれぞれ備えている。ジャーナル軸受41は、回転軸3に対して軸線Oを基準とする径方向に作用する荷重を支持する。一方で、スラスト軸受42は、回転軸3から径方向外側に突出するスラストカラー3aを介して、回転軸3に対して軸線O方向に作用する荷重を支持する。
インペラ5は、回転軸3に固定され、回転軸3とともに高速回転する。これにより、インペラ5は、吸込み口(図示せず)からケーシング2の内部に流入した流体Gを圧縮して、吐出口(図示せず)から圧縮流体Gcとして吐出する。この実施形態におけるインペラ5は、軸線O方向に複数設けられ、流体Gは、各インペラ5によって段階的に圧縮されて圧縮流体Gcとなる。
図2は、この発明の実施形態におけるインペラ表面の拡大断面図である。
図2に示すように、インペラ5は、その母材9の表面にコーティング層10を有している。母材9は、例えば、ステンレス鋼で形成される。コーティング層10は、母材9の耐食性、および、耐摩耗性を担保する。このコーティング層10は、耐食層11を備えている。
図2に示すように、インペラ5は、その母材9の表面にコーティング層10を有している。母材9は、例えば、ステンレス鋼で形成される。コーティング層10は、母材9の耐食性、および、耐摩耗性を担保する。このコーティング層10は、耐食層11を備えている。
耐食層11は、インペラ5の母材9の表面を覆うようにして層状に形成される。この耐食層11は、ニッケル基合金、又は、コバルト基合金、より具体的には、クロム濃度が20wt%以上のニッケル基合金、又は、クロム濃度が20wt%以上のコバルト基合金により層状に形成されている。耐食層11は、この耐食層11を形成するニッケル基合金、又は、コバルト基合金よりも硬度の高い材料により形成される複数の硬質粒子Kを層内に有している。この実施形態における耐食層11は、ニッケル基合金のクロム濃度、および、コバルト基合金のクロム濃度が共に20〜50wt%とされている。ここで、クロム濃度が20wt%を下回る場合は、摩耗し易くなり、クロム濃度が50wt%を上回る場合は、硬度が上昇しすぎて、ピンホール等が形成され耐食性が低下するとともに、延性の低下により疲労強度が低下して取り扱いが難しくなる。
ニッケル基合金としては、例えば、Ni−20Cr、Ni−50Cr、ハステロイX(登録商標:Ni−22Cr−1.5Co−9Mo−0.6W−18.5Fe)、および、インコネル625(登録商標:Ni−21.5Cr−9Mo−3.6Nb−0.2Al−0.2Ti−2.5Fe)などを用いることができる。また、コバルト基合金としては、例えば、Haynes alloy 188(登録商標:Co−22Cr−14W−3Fe),CoNiCrAlY(Co−32Ni−21Cr−8Al−0.5Y)や,CoCrAlY(Co−29Cr−6Al−0.8Y)等を用いることができる。耐食層11の厚さは、例えば、20μm〜1mm程度とされる。ここで、ニッケル基合金、および、コバルト基合金の硬度は、ビッカース硬さでHV300程度である。つまり、この実施形態におけるニッケル基合金、および、コバルト基合金は、それぞれ延性があり疲労強度が十分に確保される。そのため、硬度が過度に高いことによるヒビや割れ等は生じ難くなっている。
硬質粒子Kとしては、例えば、タングステンカーバイト(WC)、炭化クロム(Cr3C2)、炭化ケイ素(SiC)、窒化ケイ素(Si3N4)、立方晶窒化ホウ素(Cbn)、および、酸化アルミニウム(Al2O3)などを用いることができる。硬質粒子Kの硬度は、例えば、ビッカース硬さで、タングステンカーバイトでHV2500程度、炭化クロムでHV1300程度である。さらに、炭化ケイ素でHV2400程度、窒化ケイ素でHV1800程度、立方晶窒化ホウ素でHV5000程度、酸化アルミニウムでHV2200程度となる。さらに、硬質粒子Kは、粒径が5〜50μmに形成されている。ここで、硬質粒子Kの粒径が5μmを下回ると、摩耗に対する抵抗が低下すると共に,成膜時に凝集しやすくなり,不均一な組織となりやすい。一方で、硬質粒子Kの粒径が50μmを上回ると、耐食層11の層内に硬質粒子Kを分散させることが困難になる。
耐食層11は、ニッケル基合金、又は、コバルト基合金に対して、50〜90vol%の硬質粒子Kを含んでいる。言い換えれば、耐食層11は、10〜50vol%のニッケル基合金、又は、コバルト基合金を含んでいる。耐食層11の層内において、複数の硬質粒子Kは、均一に分散するようにして配置されている。ここで、ニッケル基合金、又は、コバルト基合金に対する硬質粒子Kの割合が50vol%を下回ると、流体Gに含まれる固形物が硬質粒子Kに衝突する確率が低下して耐食層11の摩耗を十分に低減できない。一方で、ニッケル基合金、又は、コバルト基合金に対する硬質粒子Kの割合が90vol%を上回ると、耐食層11の殆んどが硬質粒子Kとなるため、耐食層11の緻密さが低下し過ぎて、腐食性の流体Gに対して十分な耐食性能を発揮できなくなる。
耐食層11は、溶射によって形成することができる。この溶射の方法としては、例えば、低圧プラズマ溶射、大気圧中におけるプラズマ溶射、および、超高速溶射等、種々の溶射方法を採用できる。この溶射で用いる溶射材は、ニッケル基合金の粉末、又は、コバルト基合金の粉末に対して、硬質粒子Kを予め混合したものを用いることができる。このように硬質粒子Kを、ニッケル基合金の粉末、又は、コバルト基合金の粉末に対して上述した割合(vol%)で混合する。
次に、この実施形態におけるコーティング層の製造方法について図面を参照しながら説明する。
図3は、この発明の実施形態におけるコーティング層の製造方法の処理フローである。
図3に示すように、まず、溶射材を作成する(ステップS01;溶射材作成工程)。より具体的には、ニッケル基合金の粉末(例えば、平均粒径50μm程度)、又は、コバルト基合金の粉末(例えば、平均粒径50μm程度)に、これらニッケル基合金、および、コバルト基合金よりも硬度の高い材料から形成された硬質粒子Kを50〜90vol%(例えば、75vol%)混合する。
図3は、この発明の実施形態におけるコーティング層の製造方法の処理フローである。
図3に示すように、まず、溶射材を作成する(ステップS01;溶射材作成工程)。より具体的には、ニッケル基合金の粉末(例えば、平均粒径50μm程度)、又は、コバルト基合金の粉末(例えば、平均粒径50μm程度)に、これらニッケル基合金、および、コバルト基合金よりも硬度の高い材料から形成された硬質粒子Kを50〜90vol%(例えば、75vol%)混合する。
次いで、作成した溶射材を、母材9の表面に溶射する(ステップS02;溶射工程)。溶射の方法としては、例えば、低圧プラズマ溶射、大気圧中におけるプラズマ溶射、および、超高速溶射等、種々の溶射方法を採用できる。この溶射によって、母材9の表面を覆うようにして、例えば、20μm〜1mm程度の耐食層11を形成する。これにより、層内に硬質粒子Kが一様に分散された耐食層11が形成される。
したがって、上述した実施形態によれば、ニッケル基合金、又は、コバルト基合金の有する耐食性によって、母材9に腐食性の流体Gが接触することを抑制できる。さらに耐食層11の層内に硬質粒子Kが含まれることによって、腐食性の流体Gに含まれる固形物Sが耐食層11の表面に衝突した場合に、耐食層11の硬質粒子Kにはじかれる。また、層内に硬質粒子Kを含むことで、耐食層11自体の硬度を増加させることができる。そのため、流体Gに含まれる固形物Sの衝突による耐食層11の摩耗を抑制できる。その結果、固形物Sを含む腐食性の流体Gを取り扱う際の耐腐食性、および、耐摩耗性の両方を十分に確保することができる。
さらに、耐食層11が、50〜90vol%の硬質粒子Kを含むので、ニッケル基合金、又は、コバルト基合金による耐食性を確保しつつ、流体Gに含まれる固形物Sが衝突することによる耐食層11の摩耗を、より効果的に抑制できる。
さらに、硬質粒子Kが、タングステンカーバイト、炭化クロム、アルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、および、立方晶窒化ホウ素のうち、少なくとも一つから形成されているため、硬質粒子Kの硬度をニッケル基合金、コバルト基合金よりも高くして流体Gに含まれる固形物Sが衝突することによる耐食層11の摩耗を、より効果的に抑制できる。
さらに、硬質粒子Kが、タングステンカーバイト、炭化クロム、アルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、および、立方晶窒化ホウ素のうち、少なくとも一つから形成されているため、硬質粒子Kの硬度をニッケル基合金、コバルト基合金よりも高くして流体Gに含まれる固形物Sが衝突することによる耐食層11の摩耗を、より効果的に抑制できる。
さらに、ニッケル基合金の粉末、又は、コバルト基合金の粉末に、硬質粒子Kを混合して溶射材を作成し、この溶射材を母材9に吹き付けるだけで耐食層11を形成することができる。そのため、耐食性、および、耐摩耗性に優れた耐食層11を容易に形成することができる。
さらに、上述した実施形態の圧縮機1によれば、流体Gと接触する部分の腐食や摩耗を抑制できる。そのため、信頼性の向上を図ることができる。
この発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、実施形態で挙げた具体的な形状や構成等は一例にすぎず、適宜変更が可能である。
例えば、上述した実施形態における圧縮機1は、海底生産システム、浮体式海洋石油貯蔵設備に使用される場合を例示した。しかし、この発明は、これら海底生産システム、浮体式海洋石油貯蔵設備で用いられる圧縮機に限られない。
さらに、上述した実施形態においては、インペラ5が3つ並んで設けられる場合について説明したが、これに限られない。例えば、インペラ5を2つ以下備える圧縮機や4つ以上備える圧縮機にも適用できる。
さらに、上述した実施形態においては、硬質粒子Kが、タングステンカーバイト、炭化クロム、アルミナ、および、立方晶窒化ホウ素のうち、単一の粒子を用いる場合を例示した。しかし、硬質粒子Kは、タングステンカーバイト、炭化クロム、アルミナ、窒化ケイ素,炭化ケイ素,および、立方晶窒化ホウ素の各粒子のうち、複数種類の粒子を混ぜて使用し各硬質粒子単体特性の相乗効果による、更なる耐食性も期待出来る。
さらに、上述した実施形態においては、母材9の表面に耐食層11が直接形成される場合を例示した。しかし、耐食層11は、最外層に形成されていればよく、例えば、耐食層11と、母材9との間に他の層を設けるようにしても良い。
1 圧縮機
2 ケーシング
3 回転軸
4 軸受部
5 インペラ(インペラ本体)
9 母材
10 コーティング層
11 耐食層
12 耐摩耗層
41 ジャーナル軸受
42 スラスト軸受
G 流体
Gc 圧縮流体
K 硬質粒子
S 固形物
2 ケーシング
3 回転軸
4 軸受部
5 インペラ(インペラ本体)
9 母材
10 コーティング層
11 耐食層
12 耐摩耗層
41 ジャーナル軸受
42 スラスト軸受
G 流体
Gc 圧縮流体
K 硬質粒子
S 固形物
Claims (5)
- 母材上に層状に形成されたニッケル基合金、又は、コバルト基合金からなる耐食層を備えるコーティング層であって、
前記耐食層は、前記耐食層を形成するニッケル基合金、又は、前記コバルト基合金よりも硬度の高い材料から形成された複数の硬質粒子を層内に有するコーティング層。 - 前記耐食層は、
前記ニッケル基合金、又は、前記コバルト基合金に対して、50〜90vol%の前記硬質粒子を含む請求項1に記載のコーティング層。 - 前記硬質粒子は、タングステンカーバイト、炭化クロム、アルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、および、立方晶窒化ホウ素のうち、少なくとも一つ、または二つ以上から形成された粒子を含む請求項1又は2に記載のコーティング層。
- 請求項1から3の何れか一項に記載のコーティング層を備える圧縮機。
- ニッケル基合金の粉末、又は、コバルト基合金の粉末に、前記ニッケル基合金、および、前記前記コバルト基合金よりも硬度の高い材料から形成された複数の硬質粒子を混合して溶射材を作成する溶射材作成工程と、
前記溶射材を母材の表面に溶射する溶射工程と、を含むコーティング層の製造方法。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015052878A JP2016172890A (ja) | 2015-03-17 | 2015-03-17 | コーティング層、圧縮機、および、コーティング層の製造方法 |
PCT/JP2015/082392 WO2016143197A1 (ja) | 2015-03-10 | 2015-11-18 | コーティング層、圧縮機、コーティング層の製造方法、インペラ、インペラの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2015052878A JP2016172890A (ja) | 2015-03-17 | 2015-03-17 | コーティング層、圧縮機、および、コーティング層の製造方法 |
Publications (1)
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JP2016172890A true JP2016172890A (ja) | 2016-09-29 |
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ID=57008758
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2015052878A Pending JP2016172890A (ja) | 2015-03-10 | 2015-03-17 | コーティング層、圧縮機、および、コーティング層の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2016172890A (ja) |
-
2015
- 2015-03-17 JP JP2015052878A patent/JP2016172890A/ja active Pending
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