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JP2016164134A - 新規なチオエーテル結合とメルカプト基を有するグリコールウリル類とその利用 - Google Patents

新規なチオエーテル結合とメルカプト基を有するグリコールウリル類とその利用 Download PDF

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JP2016164134A JP2015045375A JP2015045375A JP2016164134A JP 2016164134 A JP2016164134 A JP 2016164134A JP 2015045375 A JP2015045375 A JP 2015045375A JP 2015045375 A JP2015045375 A JP 2015045375A JP 2016164134 A JP2016164134 A JP 2016164134A
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Abstract

【課題】低いガラス転移点を有する硬化物を与えるエポキシ樹脂用硬化剤の提供。【解決手段】式(I)で表される化合物を硬化剤として含むエポキシ樹脂組成物。(R1はSを含有してもよいCH2基)【選択図】なし

Description

本発明は、新規なチオエーテル結合とメルカプト基を有するグリコールウリル類とその利用、特に、エポキシ樹脂用硬化剤としての利用、更には、そのようなエポキシ樹脂用硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物と、そのようなエポキシ樹脂組成物を含む接着剤とシール剤に関する。
グリコールウリル類は4個の尿素系窒素を環構造中に有するヘテロ環化合物であって、上記尿素系窒素の反応性を利用して、種々の用途や新規な機能性化合物の製造に用いられている。例えば、分子中に4個のアリル基を有するテトラアリルグリコールウリル類が知られている(特許文献1参照)。
また、分子内に複数のチオール基(メルカプト基)を有する化合物は、例えば、エポキシ樹脂用硬化剤としてよく知られている。例えば、硬化剤としてポリチオール化合物を用いると共に、アミン類とエポキシ化合物との反応生成物を硬化促進剤として含むエポキシ樹脂組成物が提案されている。このエポキシ樹脂組成物は可使時間が長く、しかも、比較的低温で速やかに硬化するとされている(特許文献2参照)。
更に、分子内に1個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物と分子内に少なくとも1個の第1級及び/又は第2級アミノ基を有する化合物との反応生成物を硬化促進剤として含むエポキシ樹脂組成物も提案されており、このエポキシ樹脂組成物も可使時間が長く、すぐれた硬化性を有するとされている(特許文献3参照)。
一方、トリチオールイソシアヌレートとも呼ばれるトリス(3−メルカプトプロピル)イソシアヌレートは、分子中にエステル基をもたないことから、耐水性にすぐれるエポキシ樹脂硬化物を与える硬化剤として提案されている(特許文献4及び5参照)。
しかしながら、上記イソシアヌレート類をエポキシ樹脂用硬化剤として使用した場合、得られるエポキシ樹脂は、耐加水分解性にはすぐれるものの、高い架橋密度構造を有することから、ガラス転移点が高すぎると共に、脆いという問題を有する。
そこで、耐加水分解性にすぐれると共に、低いガラス転移点を有する硬化物を与えるエポキシ樹脂用硬化剤が要望されている。
特開平11−171887号公報 特開平6−211969号公報 特開平6−211970号公報 特開2012−153794号公報 特開平2−038418号公報
本発明は、エポキシ樹脂用硬化剤における上述した事情に鑑みてなされたものであって、耐加水分解性にすぐれると共に、低いガラス転移点を有する硬化物を与えるエポキシ樹脂用硬化剤として有用な新規なチオエーテル結合とメルカプト基を有するグリコールウリル類と、そのようなチオエーテル結合とメルカプト基を有するグリコールウリル類を硬化剤として含むエポキシ樹脂組成物を提供することを目的とする。更に、本発明は、そのようなエポキシ樹脂組成物を含む接着剤及びシール剤を提供することを目的とする。
本発明によれば、一般式(I)
Figure 2016164134
(式中、R1は一般式(a)
Figure 2016164134
、一般式(b)
Figure 2016164134
又は一般式(c)
Figure 2016164134
で表される2価基を示し、nは2〜12の整数である。)
で表されるチオエーテル結合とメルカプト基を有するグリコールウリル類が提供される。
また、本発明によれば、上記チオエーテル結合とメルカプト基を有するグリコールウリル類を含むエポキシ樹脂用硬化剤が提供される。
更に、本発明によれば、上記エポキシ樹脂用硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物が提供される。
即ち、本発明によれば、上記エポキシ樹脂用硬化剤とアミン類からなる硬化促進剤を含むエポキシ樹脂組成物が提供され、また、上記エポキシ樹脂用硬化剤を含み、アミン類とエポキシ化合物との反応生成物を硬化促進剤として含むエポキシ樹脂組成物が提供され、また、上記エポキシ樹脂用硬化剤を含み、分子内に1個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物と分子内に少なくとも1個の第1級及び/又は第2級アミノ基を有する化合物との反応生成物を硬化促進剤として含むエポキシ樹脂組成物が提供される。
上記に加えて、本発明によれば、上述したエポキシ樹脂組成物を含む接着剤及びシール剤が提供される。
本発明によるチオエーテル結合とメルカプト基を有するグリコールウリル類は、グリコールウリル類の有する4個の窒素原子上の水素原子がチオエーテル結合とメルカプト基を有する置換基にて置換された新規な化合物である。
このようなチオエーテル結合とメルカプト基を有するグリコールウリル類は、新規な含硫黄化合物の合成中間体等として有用であるのみならず、分子中にエステル基をもたないので、従来のポリチオール類よりも、耐加水分解性にすぐれるエポキシ樹脂硬化物を与えるエポキシ樹脂用硬化剤として有用である。更に、チオエーテル結合とメルカプト基を有する置換基が長鎖構造を有することから、架橋密度が適度に低いので、低いガラス転移点を有して、柔軟なエポキシ樹脂硬化物を与えることができる。
従ってまた、本発明によれば、このようなエポキシ樹脂組成物を含み、耐加水分解性にすぐれ、低弾性で柔軟性にすぐれた接着剤及びシール剤を得ることができる。
1,3,4,6−テトラキス[3−(2−メルカプトエチルスルファニル)プロピル]グリコールウリルのIRスペクトルである。 1,3,4,6−テトラキス[3−(4−メルカプトブチルスルファニル)プロピル]グリコールウリルのIRスペクトルである。 1,3,4,6−テトラキス{3−[2−(2−メルカプトエチルスルファニル)エチルスルファニル]プロピル}グリコールウリルのIRスペクトルである。
本発明による新規なチオエーテル結合とメルカプト基を有するグリコールウリル類(以下、単に、本発明のグリコールウリル類という。)は、一般式(I)
Figure 2016164134
(式中、R1は一般式(a)
Figure 2016164134
、一般式(b)
Figure 2016164134
又は一般式(c)
Figure 2016164134
で表される2価基を示し、nは2〜12の整数である。)
で表される。
本発明のグリコールウリル類の好ましい具体例として、例えば、
1,3,4,6−テトラキス[3−(2−メルカプトエチルスルファニル)プロピル]グリコールウリル、
1,3,4,6−テトラキス[3−(3−メルカプトプロピルスルファニル)プロピル]グリコールウリル、
1,3,4,6−テトラキス[3−(4−メルカプトブチルスルファニル)プロピル]グリコールウリル、
1,3,4,6−テトラキス[3−(5−メルカプトペンチルスルファニル)プロピル]グリコールウリル、
1,3,4,6−テトラキス[3−(6−メルカプトヘキシルスルファニル)プロピル]グリコールウリル、
1,3,4,6−テトラキス[3−(8−メルカプトオクチルスルファニル)プロピル]グリコールウリル、
1,3,4,6−テトラキス[3−(10−メルカプトデシルスルファニル)プロピル]グリコールウリル、
1,3,4,6−テトラキス[3−(12−メルカプトドデシルスルファニル)プロピル]グリコールウリル、
1,3,4,6−テトラキス{3−[2−(2−メルカプトエチルスルファニル)エチルスルファニル]プロピル}グリコールウリル、
1,3,4,6−テトラキス(3−{2−[2−(2−メルカプトエトキシ)エトキシ]エチルスルファニル}プロピル)グリコールウリル
等を挙げることができる。
上記一般式(I)で表される本発明のグリコールウリル類は、化学式(II)
Figure 2016164134
で表される1,3,4,6−テトラアリルグリコールウリルに、必要に応じて、適宜の溶媒中、触媒の存在下に一般式(III)
HS−R1−SH
(III)
(式中、R1は一般式(a)
Figure 2016164134
、一般式(b)
Figure 2016164134
又は一般式(c)
Figure 2016164134
で表される2価基を示し、nは2〜12の整数である。)
で表されるジチオール類を反応させることによって得ることができる。
上記ジチオール類として、例えば、
1,2−エタンジチオール、
1,3−プロパンジチオール、
1,4−ブタンジチオール、
1,5−ペンタンジチオール、
1,6−ヘキサンジチオール、
1,7−ヘプタンジチオール、
1,8−オクタンジチオール、
1,9−ノナンジチオール、
1,10−デカンジチオール、
1,11−ウンデカンジチオール、
1,12−ドデカンジチオール、
ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、
3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジチオール
等を挙げることができる。
上記1,3,4,6−テトラアリルグリコールウリルと上記ジチオール類との反応において、上記ジチオール類は1,3,4,6−テトラアリルグリコールウリル1モル部に対して、通常、4.0〜200モル部の割合にて用いられ、好ましくは、4.0〜100モル部の割合にて用いられる。
上記1,3,4,6−テトラアリルグリコールウリルと上記ジチオール類との反応において触媒を用いることができる。上記触媒としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリルや過酸化ベンゾイルが好ましく用いられる。このような触媒は1,3,4,6−テトラアリルグリコールウリル1モル部に対して、通常、0.001〜1.2モル部の範囲で用いられ、好ましくは、0.005〜0.4モル部の範囲にて用いられる。
上記1,3,4,6−テトラアリルグリコールウリルと上記ジチオール類との反応において、必要に応じて、溶媒を用いてもよい。溶媒は、反応を阻害しない限りは、特に、制限されることはないが、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールのようなアルコール類、ヘキサン、ヘプタンのような脂肪族炭化水素類、アセトン、2−ブタノンのようなケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチルのようなエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロトリフルオロメタン、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンのようなハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテルのようなエーテル類、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルホスホロトリアミドのようなアミド類、ジメチルスルホキシドのようなスルホキシド類等が用いられる。このような溶媒は、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられる。
上記1,3,4,6−テトラアリルグリコールウリルと上記ジチオール類との反応は、通常、−10〜200℃の範囲の温度で行われ、好ましくは、25℃〜150℃の範囲の温度で行われる。また、反応時間は、反応温度にもよるが、通常、1〜24時間の範囲であり、好ましくは、1〜6時間の範囲である。
上記1,3,4,6−テトラアリルグリコールウリルと上記ジチオール類との反応の終了後、得られた反応混合物から過剰のジチオール類と溶媒を留去した後、残留物として、上記一般式(I)で表される本発明のグリコールウリル類を得ることができる。また、例えば、抽出操作やカラムクロマトグラフィ等の方法によって、得られた反応混合物から目的とする上記一般式(I)で表される本発明のグリコールウリル類を分離し、精製してもよい。
本発明のグリコールウリル類は、新規な含硫黄化合物の合成中間体のほか、特に、エポキシ樹脂用硬化剤として有用である。
本発明によるエポキシ樹脂用硬化剤は、上述した本発明のグリコールウリル類を含む。本発明のグリコールウリル類を硬化剤として含むエポキシ樹脂組成物は、耐加水分解性にすぐれているのみならず、従来、知られているエポキシ樹脂組成物に比べて、架橋密度が適度に低く、低いガラス転移点を有し、柔軟な硬化物を与える。
更に、本発明によるエポキシ樹脂組成物は、アミン類からなる硬化促進剤に代えて、又はアミン類からなる硬化促進剤と共に、アミン類とエポキシ化合物との反応生成物からなる硬化促進剤や、分子内に1個以上のイソシアネート基を有する化合物と分子内に少なくとも1個の第1級及び/又は第2級アミノ基を有する化合物との反応生成物からなる硬化促進剤を含んでもよい。
本発明によるエポキシ樹脂用硬化剤は、上記本発明のグリコールウリル類と共に、一般式(IV)
Figure 2016164134
(式中、R2は一般式(a)
Figure 2016164134
、一般式(b)
Figure 2016164134
又は一般式(c)
Figure 2016164134
で表される2価基を示し、nは2〜12の整数である。)
で表されるチオエーテル結合とメルカプト基を有するイソシアヌレート類を含んでいてもよい。
上記一般式(IV)で表されるチオエーテル結合とメルカプト基を有するイソシアヌレート類のうち、2価基R2が一般式(a)であって、nが2であるもの、即ち、
1,3,5−トリス[3−(2−メルカプトエチルスルファニル)プロピル]イソシアヌレート
は特開平2−38418号公報において既に知られている。
しかし、上記一般式(IV)で表されるチオエーテル結合とメルカプト基を有するイソシアヌレート類のうち、2価基R2が一般式(a)であって、nが3〜12の整数であるものは新規物質である。
2価基R2が一般式(b)又は(c)であるものは、特開平2−38418号公報において既に知られている。
上記一般式(IV)で表されるチオエーテル結合とメルカプト基を有するイソシアヌレート類のうち、2価基R2が一般式(a)であって、nが3〜12の整数であるものの好ましい具体例として、例えば、
1,3,5−トリス[3−(3−メルカプトプロピルスルファニル)プロピル]イソシアヌレート、
1,3,5−トリス[3−(4−メルカプトブチルスルファニル)プロピル]イソシアヌレート、
1,3,5−トリス[3−(5−メルカプトペンチルスルファニル)プロピル]イソシアヌレート、
1,3,5−トリス[3−(6−メルカプトヘキシルスルファニル)プロピル]イソシアヌレート、
1,3,5−トリス[3−(8−メルカプトオクチルスルファニル)プロピル]イソシアヌレート、
1,3,5−トリス[3−(10−メルカプトデシルスルファニル)プロピル]イソシアヌレート、
1,3,5−トリス[3−(12−メルカプトドデシルスルファニル)プロピル]イソシアヌレート
等を挙げることができる。
上記一般式(IV)で表されるチオエーテル結合とメルカプト基を有するイソシアヌレート類のうち、2価基R2が一般式(b)であるものの好ましい具体例として、例えば、
1,3,5−トリス{3−[2−(2−メルカプトエチルスルファニル)エチルスルファニル]プロピル}イソシアヌレート
を挙げることができる。
また、上記一般式(IV)で表されるチオエーテル結合とメルカプト基を有するイソシアヌレート類のうち、2価基R2が一般式(c)であるものの好ましい具体例として、例えば、
1,3,5−トリス(3−{2−[2−(2−メルカプトエトキシ)エトキシ]エチルスルファニル}プロピル)イソシアヌレート
を挙げることができる。
上記一般式(IV)で表されるチオエーテル結合とメルカプト基を有するイソシアヌレート類のうち、2価基R2が一般式(a)であるものは、化学式(V)
Figure 2016164134
で表される1,3,5−トリアリルイソシアヌレートに、必要に応じて、適宜の溶媒中、触媒の存在下に、一般式(VI)
HS−R2−SH
(VI)
(式中、R2は一般式(a)
Figure 2016164134
で表される2価基を示し、nは3〜12の整数である。)
で表されるジチオール類を反応させることによって得ることができる。
上記ジチオール類として、例えば、
1,3−プロパンジチオール、
1,4−ブタンジチオール、
1,5−ペンタンジチオール、
1,6−ヘキサンジチオール、
1,7−ヘプタンジチオール、
1,8−オクタンジチオール、
1,9−ノナンジチオール、
1,10−デカンジチオール、
1,11−ウンデカンジチオール、
1,12−ドデカンジチオール
等を挙げることができる。
上記1,3,5−トリアリルイソシアヌレートと上記ジチオール類との反応において、上記ジチオール類は、1,3,5−トリアリルイソシアヌレート1モル部に対して、通常、4.0〜200モル部の割合にて用いられ、好ましくは、4.0〜100モル部の割合にて用いられる。
上記1,3,5−トリアリルイソシアヌレートと上記ジチオール類との反応において触媒を用いることができる。上記触媒としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリルや過酸化ベンゾイルが好ましく用いられる。このような触媒は、1,3,5−トリアリルイソシアヌレート1モル部に対して、通常、0.001〜1.2モル部の割合にて用いられ、好ましくは、0.005〜0.4モル部の割合にて用いられる。
上記1,3,5−トリアリルイソシアヌレートと上記ジチオール類との反応において、必要に応じて、溶媒を用いてもよい。溶媒は、反応を阻害しない限りは、特に、制限されることはないが、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールのようなアルコール類、ヘキサン、ヘプタンのような脂肪族炭化水素類、アセトン、2−ブタノンのようなケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチルのようなエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロトリフルオロメタン、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンのようなハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテルのようなエーテル類、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルホスホロトリアミドのようなアミド類、ジメチルスルホキシドのようなスルホキシド類等を挙げることができる。このような溶媒は、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられる。
上記1,3,5−トリアリルイソシアヌレートと上記ジチオール類との反応は、通常、−10〜200℃の範囲の温度で行なわれ、好ましくは、25〜150℃の範囲の温度で行なわれる。また、反応時間は、反応温度にもよるが、通常、1〜24時間の範囲であり、好ましくは、1〜6時間の範囲である。
上記1,3,5−トリアリルイソシアヌレートと上記ジチオール類との反応の終了後、得られた反応混合物から過剰のジチオール類と溶媒を留去した後、残留物として、一般式(IV)で表されるチオエーテル結合とメルカプト基を有するイソシアヌレート類を得ることができる。また、例えば、抽出操作やカラムクロマトグラフィ等の方法によって、得られた反応混合物から目的とする上記一般式(IV)で表されるチオエーテル結合とメルカプト基を有するイソシアヌレート類を分離、精製してもよい。
本発明において、上記エポキシ樹脂とは、平均して1分子当り2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物をいい、従って、よく知られているように、そのようなエポキシ樹脂として、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、カテコール、レゾルシノール等の多価フェノール、グリセリンやポリエチレングリコール等の多価アルコールとエピクロルヒドリンを反応させて得られるポリグリシジルエーテル類、p−ヒドロキシ安息香酸、β−ヒドロキシナフトエ酸のようなヒドロキシカルボン酸とエピクロルヒドリンを反応させて得られるグリシジルエーテルエステル類、フタル酸、テレフタル酸のようなポリカルボン酸とエピクロルヒドリンを反応させて得られるポリグリシジルエステル類、更に、エポキシ化フェノールノボラック樹脂、エポキシ化クレゾールノボラック樹脂、エポキシ化ポリオレフィン、環式脂肪族エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂等を挙げることができるが、しかし、本発明において、エポキシ樹脂は上記例示に限定されるものではない。
例えば、本発明によれば、上記エポキシ樹脂として、分子内に2個以上のエポキシ基を有するグリシジルグリコールウリル類も用いることができる。
そのようなグリシジルグリコールウリル類は、一般式(VII)
Figure 2016164134
(式中、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜4の低級アルキル基又はフェニル基を示し、R3、R4及びR5の少なくとも1つはグリシジル基であり、残余はそれぞれ独立に水素原子又はグリシジル基を示す。)
で表される。
従って、そのようなグリシジルグリコールウリル類として、例えば、
1,3−ジグリシジルグリコールウリル、
1,4−ジグリシジルグリコールウリル、
1,6−ジグリシジルグリコールウリル、
1,3,4−トリグリシジルグリコールウリル、
1,3,4,6−テトラグリシジルグリコールウリル、
1,3−ジグリシジル−3a−メチルグリコールウリル、
1,4−ジグリシジル−3a−メチルグリコールウリル、
1,6−ジグリシジル−3a−メチルグリコールウリル、
1,3,4−トリグリシジル−3a−メチルグリコールウリル、
1,3,4,6−テトラグリシジル−3a−メチルグリコールウリル、
1,3−ジグリシジル−3a,6a−ジメチルグリコールウリル、
1,4−ジグリシジル−3a,6a−ジメチルグリコールウリル、
1,6−ジグリシジル−3a,6a−ジメチルグリコールウリル、
1,3,4−トリグリシジル−3a,6a−ジメチルグリコールウリル、
1,3,4,6−テトラグリシジル−3a,6a−ジメチルグリコールウリル、
1,3−ジグリシジル−3a,6a−ジフェニルグリコールウリル、
1,4−ジグリシジル−3a,6a−ジフェニルグリコールウリル、
1,6−ジグリシジル−3a,6a−ジフェニルグリコールウリル、
1,3,4−トリグリシジル−3a,6a−ジフェニルグリコールウリル、
1,3,4,6−テトラグリシジル−3a,6a−ジフェニルグリコールウリル
等を挙げることができる。
上記一般式(VII)で表されるグリシジルグリコールウリル類は、一般式(VIII)
Figure 2016164134
(式中、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜4の低級アルキル基又はフェニル基を示し、R6、R7及びR8の少なくとも1つはアリル基であり、残余はそれぞれ独立に水素原子又はアリル基を示す。)
で表されるアリルグリコールウリル類に酸化剤を作用させて、上記アリルグリコールウリル類の有するアリル基の炭素間二重結合を酸化し、エポキシ化することによって得ることができる。
一般に、炭素間二重結合を酸化して、エポキシ化する方法は、既によく知られており、本発明においては、そのような方法によることができる。そのような方法として、例えば、オキソン試薬、過酢酸、メタクロロ過安息香酸等の過酸を用いる方法を挙げることができる。
上記方法において、過酸は、アリルグリコールウリル類の有するアリル基に対して、好ましくは、1.0〜5.0当量の割合で用いられる。
反応溶媒は、反応を阻害しない限りは、特に制限されることなく、任意のものを用いることができるが、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロトリフルオロメタン、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンのようなハロゲン化炭化水素類は好ましく用いることができる反応溶媒である。
上記過酸を用いてアリルグリコールウリル類を酸化するときの反応温度は、通常、−10〜150℃の範囲であり、好ましくは、0℃〜100℃の範囲である。また、反応時間は、反応温度にもよるが、通常、1〜24時間の範囲であり、好ましくは、1〜6時間の範囲である。
反応終了後、得られた反応混合物から抽出したり、又は適宜の溶媒中から結晶化させ、濾別したりすることによって、目的とするグリシジルグリコールウリル類を得ることができる。
上記一般式(VIII)で表されるアリルグリコールウリル類のうち、代表例として、R1及びR2がいずれも水素原子であるアリルグリコールウリル類、例えば、1,3−ジアリルグリコールウリル、1,4−ジアリルグリコールウリル及び1,3,4−トリアリルグリコールウリルの製造について説明する。
上記1,3−ジアリルグリコールウリル、1,4−ジアリルグリコールウリル及び1,3,4−トリアリルグリコールウリルはそれぞれ、通常、下記の第1工程と第2工程によって得ることができる。
1,3−ジアリルグリコールウリルは、第1工程において、尿素とグリオキザールを通常、水中にて塩基触媒の存在下に反応させ、次いで、かくして得られた反応生成物を第2工程において、通常、水中にて酸触媒の存在下にジアリル尿素と反応させることによって得ることができる。
1,4−ジアリルグリコールウリルは、第1工程において、アリル尿素とグリオキザールを通常、水中にて塩基触媒の存在下に反応させ、次いで、かくして得られた反応生成物を第2工程において、通常、水中にて酸触媒の存在下にアリル尿素と反応させることによって得ることができる。また、1,4−ジアリルグリコールウリルは、アリル尿素とグリオキザールを、第1工程を経ずに第2工程の条件で反応させることによっても得ることができる。
また、1,3,4−トリアリルグリコールウリルは、第1工程において、アリル尿素とグリオキザールを通常、水中にて塩基触媒の存在下に反応させ、次いで、かくして得られた反応生成物を第2工程において、通常、水中にて酸触媒の存在下にジアリル尿素と反応させることによって得ることができる。
上記1,3−ジアリルグリコールウリル、1,4−ジアリルグリコールウリル及び1,3,4−トリアリルグリコールウリルのいずれの製造においても、第1工程において、グリオキザールは、尿素又はアリル尿素1モル部に対して、通常、0.5〜2.0モル部の範囲で用いられ、好ましくは、0.8〜1.6モル部の範囲で用いられる。
上記第1工程において用いられる塩基触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化物や、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸塩を挙げることができる。これら塩基触媒は、尿素又はアリル尿素1モル部に対して、通常、0.1〜1.0モル部の範囲で用いられる。
また、上記第1工程において、溶媒は、反応を阻害しない限りは、特に制限されることなく、任意のものを用いることができる、例えば、水は好ましく用いることができる反応溶媒である。
上記第1工程における反応温度は、通常、−10〜150℃の範囲であり、好ましくは、0℃〜100℃の範囲である。反応時間は、反応温度にもよるが、通常、1〜24時間の範囲であり、好ましくは、1〜6時間の範囲である。
上記第1工程の終了後、過剰のグリオキザールと溶媒を留去して、反応生成物を濃縮物として得、これを第2工程に供してもよく、また、第1工程の終了後、得られた反応混合物をそのまま、第2工程に供してもよい。
上記第2工程においては、アリル尿素又はジアリル尿素は、第1工程において用いた尿素又はアリル尿素1モル部に対して、通常、0.2〜2.0モル部の範囲で用いられ、好ましくは、0.3〜1.5モル部の範囲で用いられる。尚、1,4−ジアリルグリコールウリルを、アリル尿素とグリオキザールから第1工程を経ずに、第2工程の条件で反応させて得る場合、グリオキザールは、アリル尿素1モル部に対して、通常、0.2〜1.0モル部の範囲で用いられ、好ましくは、0.3〜0.7モル部の範囲で用いられる。
上記第2工程において用いられる酸触媒としては、硫酸、塩酸、硝酸、酢酸、ギ酸、トルエンスルホン酸等を挙げることができる。これらの酸触媒は、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これら酸触媒は、第1工程において用いた尿素又はアリル尿素1モル部に対して、通常、0.1〜100モル部の範囲で用いられる。
上記第2工程においても、溶媒は、反応を阻害しない限りは、特に制限されることなく、任意のものを用いることができるが、通常、上記第1工程と同じ水が好ましく用いられる。
上記第2工程における反応温度は、通常、−10〜200℃の範囲であり、好ましくは、0℃〜150℃の範囲である。反応時間は、反応温度のもよるが、通常、1〜24時間の範囲であり、好ましくは、1〜12時間の範囲である。
第2工程の終了後、得られた反応混合物から抽出操作等によって、生成したアリルグリコールウリル類を適宜に取り出すことができる。必要であれば、更に水等の溶媒による洗浄、活性炭処理、シリカゲルクロマトグラフィー等によって、得られたアリルグリコールウリル類を精製することができる。
上記一般式(VIII)で表されるアリルグリコールウリル類であって、7位置及び/又は8位置に低級アルキル基及び/又はフェニル基を有するものは、上述したそれぞれの製造方法において、置換基として、目的とするアリルグリコールウリル類に対応して、低級アルキル基及び/又はフェニル基を有するグリオキザール類を用いることによって得ることができる。
例えば、1,3,4−トリアリル−3a,6a−ジフェニルグリコールウリルは、上述した1,3,4−トリアリルグリコールウリルの製造において、グリオキザールに代えて、ジフェニルグリオキザールを用いることによって得ることができる。
本発明によるエポキシ樹脂組成物におけるアミン類からなる硬化促進剤としては、従来から知られているように、エポキシ基と付加反応し得る活性水素を分子内に1個以上有すると共に、第1級アミノ基、第2級アミノ基及び第3級アミノ基から選ばれるアミノ基を分子内に少なくとも1個有するものであればよい。このようなアミン類からなる硬化促進剤として、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、n−プロピルアミン、2−ヒドロキシエチルアミノプロピルアミン、シクロヘキシルアミン、4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタンのような脂肪族アミン類、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、o−メチルアニリン等の芳香族アミン類、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾリン、2,4−ジメチルイミダゾリン、ピペリジン、ピペラジンのような窒素含有複素環化合物等を挙げることができる。しかし、本発明において、アミン類からなる硬化促進剤は上記例示に限定されるものではない。
更に、本発明によるエポキシ樹脂組成物においては、上述したアミン類からなる硬化促進剤以外にも、アミン類とエポキシ化合物との反応生成物や、また、分子内に1個以上のイソシアネート基を有する化合物と分子内に少なくとも1個の第1級及び/又は第2級アミノ基を有する化合物との反応生成物を硬化促進剤として用いることができる。
上記アミン類とエポキシ化合物との反応生成物は、室温ではエポキシ樹脂に不溶性の固体であって、加熱することによって可溶化して、硬化促進剤として機能するので、潜在性硬化促進剤ともいわれている。以下、上記アミン類とエポキシ化合物との反応生成物からなる硬化促進剤を潜在性硬化促進剤という。このような潜在性硬化促進剤は、イソシアネート化合物や酸性化合物にて表面処理されていてもよい。
上記潜在性硬化促進剤の製造に用いるエポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、カテコール、レゾルシノール等の多価フェノール又はグリセリンやポリエチレングリコールのような多価アルコールとエピクロルヒドリンを反応させて得られるポリグリシジルエーテル、p−ヒドロキシ安息香酸、β−ヒドロキシナフトエ酸のようなヒドロキシカルボン酸とエピクロルヒドリンを反応させて得られるグリシジルエーテルエステル、フタル酸、テレフタル酸のようなポリカルボン酸とエピクロルヒドリンを反応させて得られるポリグリシジルエステル、4,4′−ジアミノジフェニルメタンやm−アミノフェノール等とエピクロルヒドリンを反応させて得られるグリシジルアミン化合物、更には、エポキシ化フェノールノボラック樹脂、エポキシ化クレゾールノボラック樹脂、エポキシ化ポリオレフィン等の多官能性エポキシ化合物や、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート等の単官能性エポキシ化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、上記潜在性硬化促進剤の製造に用いるアミン類は、エポキシ基と付加反応し得る活性水素を分子内に1個以上有すると共に、第1級アミノ基、第2級アミノ基及び第3級アミノ基から選ばれるアミノ基を少なくとも1個、分子内に有するものであればよい。
このようなアミン類として、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、n−プロピルアミン、2−ヒドロキシエチルアミノプロピルアミン、シクロヘキシルアミン、4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタンのような脂肪族アミン類、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、o−メチルアニリン等の芳香族アミン化合物、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾリン、2,4−ジメチルイミダゾリン、ピペリジン、ピペラジンのような窒素含有複素環化合物等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
上述したアミン類のなかで、分子内に第3級アミノ基を有する第3級アミン類は、すぐれた硬化促進性を有する潜在性硬化促進剤を与える原料である。そのような第3級アミン類の具体例としては、例えば、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジ−n−プロピルアミノプロピルアミン、ジブチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノエチルアミン、ジエチルアミノエチルアミン、N−メチルピペラジン等のようなアミン類、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール化合物等のような分子内に第3級アミノ基を有する第1級又は第2級アミン類や、2−ジメチルアミノエタノール、1−メチル−2−ジメチルアミノエタノール、1−フェノキシメチル−2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、1−ブトキシメチル−2−ジメチルアミノエタノール、1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)−2−フェニルイミダゾリン、1−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル)−2−メチルイミダゾリン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N−β−ヒドロキシエチルホルモリン、2−ジメチルアミノエタンチオール、2−メルカプトピリジン、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、4−メルカプトピリジン、N,N−ジメチルアミノ安息香酸、N,N−ジメチルグリシン、ニコチン酸、イソニコチン酸、ピコリン酸、N,N−ジメチルグリシンヒドラジド、N,N−ジメチルプロピオン酸ヒドラジド、ニコチン酸ヒドラジド、イソニコチン酸ヒドラジド等のような、分子内に3級アミノ基を有するアルコール類、フェノール類、チオール類、カルボン酸類、ヒドラジド類等を挙げることができる。
本発明によるエポキシ樹脂組成物の保存安定性を更に向上させるために、上記潜在性硬化促進剤を製造する際に、第3成分として分子内に活性水素を2個以上有する活性水素化合物を加えることもできる。このような活性水素化合物として、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ヒドロキノン、カテコール、レゾルシノール、ピロガロール、フェノールノボラック樹脂等の多価フェノール類、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類、アジピン酸、フタル酸等の多価カルボン酸類、1,2−エタンジチオール、2−メルカプトエタノール、1−メルカプト−3−フェノキシ−2−プロパノール、メルカプト酢酸、アントラニル酸、乳酸等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
更に、潜在性硬化促進剤の製造の際に、表面処理剤として用いられるイソシアネート化合物としては、例えば、n−ブチルイソシアネート、イソプロピルイソシアネート、フェニルイソシアネート、ベンジルイソシアネート等のような単官能イソシアネート化合物、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルイレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート等のような多官能イソシアネート化合物を挙げることができる。
上記多官能イソシアネート化合物に代えて、上記多官能イソシアネート化合物と活性水素化合物との反応によって得られる末端イソシアネート基含有化合物も用いることができる。このような化合物の例としては、トルイレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの反応により得られる末端イソシアネート基を有する付加反応物、トルイレンジイソシアネートとペンタエリスリトールの反応により得られる末端イソシアネート基を有する付加反応物等を挙げることができる。
しかし、潜在性硬化促進剤の製造の際に、表面処理剤として用いられるイソシアネート化合物は、上記に限定されるものではない。
また、潜在性硬化促進剤の製造の際に、表面処理剤として用いられる酸性物質は、気体、液体又は固体のいずれでもよく、また、無機酸、有機酸のいずれでもよく、例えば、炭酸ガス、亜硫酸ガス、硫酸、塩酸、シュウ酸、リン酸、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、アジピン酸、カプロン酸、乳酸、琥珀酸、酒石酸、セバシン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸、ホウ酸、タンニン酸、アルギン酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、フェノール、ピロガロール、フェノール樹脂、レゾルシン樹脂等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
上述した潜在性硬化促進剤は、上記エポキシ化合物と上記アミン類と、必要に応じて、上記活性水素化合物を混合し、室温から200℃の温度において反応させた後、固化、粉砕するか、又はメチルエチルケトン、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の溶媒中で反応させ、脱溶媒後、固形分を粉砕することによって容易に得ることができる。
本発明によるエポキシ樹脂組成物において、本発明のグリコールウリル類は、エポキシ樹脂のエポキシ当量数に対する本発明のグリコールウリル類のSH当量数の比、即ち、本発明のグリコールウリル類のSH当量数/エポキシ樹脂のエポキシ当量数なる当量数比が0.5〜1.2となるように用いられる。また、上記潜在性硬化促進剤は、エポキシ樹脂100重量部に対して、通常、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。
上記潜在性硬化促進剤は市販品を用いることができる。そのような市販品として、例えば、「アミキュア PN−23」(味の素ファインテクノ(株)商品名)、「アミキュア PN−H」(味の素ファインテクノ(株)商品名)、「アミキュア MY−24」(味の素ファインテクノ(株)商品名)、「ノバキュア HX−3742」(旭化成(株)商品名)、「ノバキュア HX−3721」(旭化成(株)商品名)等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明によるエポキシ樹脂組成物は、必要に応じて充填剤、希釈剤、溶剤、顔料、可撓性付与剤、カップリング剤、酸化防止剤等、種々の添加剤を含むことができる。
本発明によるエポキシ樹脂組成物において、上記添加剤としてイソシアネート基含有化合物を用いた場合は、エポキシ樹脂組成物の硬化性を著しく損なうことなく、その接着力を向上させることができる。
そのようなイソシアネート基含有化合物は、特に限定されるものではないが、例えば、n−ブチルイソシアネート、イソプロピルイソシアネート、2−クロロエチルイソシアネート、フェニルイソシアネート、p−クロロフェニルイソシアネート、ベンジルイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2−エチルフェニルイソシアネート、2,6−ジメチルフェニルイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート等を挙げることができる。
このようなイソシアネート基含有化合物は、エポキシ樹脂100重量部に対して、通常、0.1〜20重量部の範囲で用いられる。
本発明によれば、分子内に1個以上のイソシアネート基を有する化合物と分子内に少なくとも1個の第1級及び/又は第2級アミノ基を有する化合物との反応生成物も硬化促進剤として用いることができる。
このような硬化促進剤は、分子内に1個以上のイソシアネート基を有する化合物と第1級及び/又は第2級アミノ基を有する化合物をジクロロメタン等の有機溶剤中で反応させることによって得ることができる。
上記分子内に1個以上のイソシアネート基を有する化合物としては、例えば、n−ブチルイソシアネート、イソプロピルイソシアネート、2−クロロエチルイソシアネート、フェニルイソシアネート、p−ブロモフェニルイソシアネート、m−クロロフェニルイソシアネート、o−クロロフェニルイソシアネート、p−クロロフェニルイソシアネート、2,5−ジクロロフェニルイソシアネート、3,4−ジクロロフェニルイソシアネート、2,6−ジメチルフェニルイソシアネート、o−フルオロフェニルイソシアネート、p−フルオロフェニルイソシアネート、m−トリルイソシアネート、p−トリルイソシアネート、o−トリフルオロメチルフェニルイソシアネート、m−トリフルオロメチルフェニルイソシアネート、ベンジルイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4−トルイレンジイソシアネート、2,6−トルイレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、2,2−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、p−フェニレンジイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、トリス−(3−イソシアナト−4−メチルフェニル)イソシアヌレート、トリス−(6−イソシアナトヘキシル)イソシアヌレート等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
また、上記分子内に少なくとも1つの第1級及び/又は第2級アミノ基を有する化合物としては、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−n−エタノールアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、モルホリン、ピペリジン、2,6−ジメチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、ベンジルアミン、N−メチルベンジルアミン、シクロヘキシルアミン、メタキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1,1−ジメチルヒドラジン等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
上述したように、本発明によるエポキシ樹脂組成物は、従来、知られているエポキシ樹脂組成物に比べて、耐加水分解性にすぐれており、更に、耐熱性や湿性等においてもすぐれており、接着剤やシール剤として好適に用いることができる。即ち、本発明による接着剤は、上述したエポキシ樹脂組成物を含み、また、本発明によるシール剤は上述したエポキシ樹脂組成物を含む。
本発明による接着剤及びシール剤は、更に添加剤を含んでいてもよい。そのような添加剤としては、例えば、ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、硫酸バリウム等の流動挙動調整剤、アルミナ等の熱伝導付与剤、銀、カーボン等の導電性付与剤、顔料、染料等の着色剤等を挙げることができる。これらの添加剤は、3本ロール、プラネタリーミキサー等、従来、知られている通常の混合機を用いて、上述したエポキシ樹脂組成物に混合することができる。
以下に本発明を実施例によって説明するが、本発明はそれら実施例によって特に限定されるものではない。
実施例1
(1,3,4,6−テトラキス[3−(2−メルカプトエチルスルファニル)プロピル]グリコールウリルの合成)
温度計を備えた100mLフラスコに、1,3,4,6−テトラアリルグリコールウリル907mg(3.0mmol)、1,2−エチレンジチオール11.3g(120mmol)及びテトラヒドロフラン12mLを入れ、これにアゾビスイソブチロニトリル59mg(0.36mmol)を加えた後、撹拌しながら、70℃にて3時間反応を行った。反応終了後、減圧下、100℃で濃縮し、1,3,4,6−テトラキス[3−(2−メルカプトエチルスルファニル)プロピル]グリコールウリル1.89gを透明液体として得た。収率93%。
得られた1,3,4,6−テトラキス[3−(2−メルカプトエチルスルファニル)プロピル]グリコールウリルのIRスペクトルを図1に示す。また、そのH−NMRスペクトル(CDCl)におけるδ値は下記のとおりであった。
5.24(s,2H),3.55−3.61(m,4H),3.25−3.32(m,4H),2.73−2.79(m,16H),2.57(t,8H),1.90−1.96(m,4H),1.83−1.86(m,4H),1.74(t,4H)
実施例2
(1,3,4,6−テトラキス[3−(4−メルカプトブチルスルファニル)プロピル]グリコールウリルの合成)
温度計を備えた50mLフラスコに、1,3,4,6−テトラアリルグリコールウリル300mg(1.0mmol)、1,4−ブタンジチオール4.89g(40mmol)を入れ、これにアゾビスイソブチロニトリル20mg(0.12mmol)を加えた後、窒素雰囲気下、撹拌しながら、70℃にて3時間反応を行った。
得られた反応混合物を、減圧下、120℃で濃縮した後、カラムクロマトグラフィによる精製を行った。溶離液にはクロロホルムを用いた。得られた溶液を濃縮し、1,3,4,6−テトラキス[3−(4−メルカプトブチルスルファニル)プロピル]グリコールウリル450mgを淡黄色油状物として得た。収率59%。
得られた1,3,4,6−テトラキス[3−(4−メルカプトブチルスルファニル)プロピル]グリコールウリルのIRスペクトルを図2に示す。また、そのH−NMRスペクトル(CDCl3)におけるδ値は下記のとおりであった。
5.23(s,2H),3.55−3.62(m,4H),3.25−3.32(m,4H),2.68−2.73(m,8H),2.50−2.59(m,28H),1.91−2.01(m,4H),1.76−1.85(m,8H),1.69−1.74(m,4H)
実施例3
(1,3,4,6−テトラキス{3−[2−(2−メルカプトエチルスルファニル)エチルスルファニル]プロピル}グリコールウリルの合成)
温度計を備えた100mLフラスコに、1,3,4,6−テトラアリルグリコールウリル1.51g(5.0mmol)、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド30.9g(200mmol)を入れ、これにアゾビスイソブチロニトリル100mg(0.6mmol)を加えた後、窒素雰囲気下、撹拌しながら、70℃にて3時間反応を行った。
得られた反応混合物を、減圧下、120℃で濃縮した後、カラムクロマトグラフィによる精製を行った。溶離液にはクロロホルムを用いた。得られた溶液を濃縮し、1,3,4,6−テトラキス{3−[2−(2−メルカプトエチルスルファニル)エチルスルファニル]プロピル}グリコールウリル2.71gを淡黄色結晶として得た。収率59%。
得られた1,3,4,6−テトラキス{3−[2−(2−メルカプトエチルスルファニル)エチルスルファニル]プロピル}グリコールウリルのIRスペクトルを図3に示す。また、そのH−NMRスペクトル(CDCl3)におけるδ値は下記のとおりであった。
5.24(s,2H),3.54−3.62(m,4H),3.24−3.32(m,4H),2.70−2.89(m,32H),2.56−2.61(m,8H),1.92−2.01(m,4H),1.79−1.89(m,4H),1.74−1.78(m,4H)
(エポキシ樹脂組成物の調製)
以下においては、エポキシ樹脂(三菱化学(株)製「jER828」)に上記実施例1で得られた1,3,4,6−テトラキス[3−(2−メルカプトエチルスルファニル)プロピル]グリコールウリル、上記実施例2で得られた1,3,4,6−テトラキス[3−(4−メルカプトブチルスルファニル)プロピル]グリコールウリル及び上記実施例3で得られた1,3,4,6−テトラキス{3−[2−(2−メルカプトエチルスルファニル)エチルスルファニル]プロピル}グリコールウリルをそれぞれ硬化剤として配合し、硬化促進剤として固体分散型アミンアダクト系潜在性硬化促進剤(味の素ファインテクノ(株)製「アミキュアPN−23」)をそれぞれ配合してエポキシ樹脂組成物を調製した。
比較のために、硬化剤として、次式(1)
Figure 2016164134
で表される1,3,5−トリス(3−メルカプトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン(昭和電工(株)製「カレンズMT NR1」、以下、チオール化合物(1)という。)及び次式(2)
Figure 2016164134
で表されるトリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)(SC有機化学(株)製「TMMP」、以下、チオール化合物(2)という。)を硬化剤として用いた以外は、上記と同様にして、それぞれエポキシ樹脂組成物を調製した。
実施例4
エポキシ樹脂100重量部に1,3,4,6−テトラキス[3−(2−メルカプトエチルスルファニル)プロピル]グリコールウリル90重量部と潜在性硬化促進剤2重量部を混合して、エポキシ樹脂組成物を調製した。
実施例5
実施例4において、1,3,4,6−テトラキス[3−(2−メルカプトエチルスルファニル)プロピル]グリコールウリル90重量部に代えて、1,3,4,6−テトラキス[3−(4−メルカプトブチルスルファニル)プロピル]グリコールウリル105重量部を用いた以外は、同様にして、エポキシ樹脂組成物を調製した。
実施例6
実施例4において、1,3,4,6−テトラキス[3−(2−メルカプトエチルスルファニル)プロピル]グリコールウリル90重量部に代えて、1,3,4,6−テトラキス{3−[2−(2−メルカプトエチルスルファニル)エチルスルファニル]プロピル}グリコールウリル122重量部を用いた以外は、同様にして、エポキシ樹脂組成物を調製した。
比較例1
実施例4において、1,3,4,6−テトラキス[3−(2−メルカプトエチルスルファニル)プロピル]グリコールウリル90重量部に代えて、チオール化合物(1)107重量部を用いた以外は、同様にして、エポキシ樹脂組成物を調製した。
比較例2
実施例4において、1,3,4,6−テトラキス[3−(2−メルカプトエチルスルファニル)プロピル]グリコールウリル90重量部に代えて、チオール化合物(2)75重量部を用いた以外は、同様にして、エポキシ樹脂組成物を調製した。
(エポキシ樹脂組成物の硬化物の耐湿性の測定)
上記実施例4〜6、比較例1及び2において得られたエポキシ樹脂組成物をブラスト処理したアルミニウム板(A5052P、100×25×1.6mm、TP技研社製)に塗布し、80℃で60分間、硬化させて試験片を作製した。
作製した試験片について、作製直後のものと、85℃で85%RH恒温恒湿槽で1000時間曝露させたものの引張せん断接着強さをそれぞれJIS K6850に準拠して測定した。結果を表1に示す。
Figure 2016164134
本発明のグリコールウリル類を硬化剤として配合したエポキシ樹脂組成物の硬化物は、耐湿試験後の引張せん断接着強さが作製直後と実質的に同じであって、チオール化合物(1)及びチオール化合物(2)をそれぞれ硬化剤として配合したエポキシ樹脂組成物の硬化物に比べて、耐湿性にすぐれていることが示される。
本発明のグリコールウリル類は、新規な含硫黄化合物の合成中間体として有用であるほか、特に、エポキシ樹脂用硬化剤として有用である。
また、このように、本発明のグリコールウリル類を硬化剤として含むエポキシ樹脂組成物は、接着、シーリング、封止、注型、成型、塗装、コーティング等の用途に好適に用いることができる。

Claims (8)

  1. 一般式(I)
    Figure 2016164134
    (式中、R1は一般式(a)
    Figure 2016164134
    、一般式(b)
    Figure 2016164134
    又は一般式(c)
    Figure 2016164134
    で表される2価基を示し、nは2〜12の整数である。)
    で表されるチオエーテル結合とメルカプト基を有するグリコールウリル類。
  2. 一般式(I)
    Figure 2016164134
    (式中、R1は一般式(a)
    Figure 2016164134
    、一般式(b)
    Figure 2016164134
    又は一般式(c)
    Figure 2016164134
    で表される2価基を示し、nは2〜12の整数である。)
    で表されるチオエーテル結合とメルカプト基を有するグリコールウリル類を含むエポキシ樹脂用硬化剤。
  3. 請求項2に記載のエポキシ樹脂用硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物。
  4. アミン類からなる硬化促進剤を含む請求項3に記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. アミン類とエポキシ化合物との反応生成物を硬化促進剤として含む請求項3に記載のエポキシ樹脂組成物。
  6. 分子内に1個以上のイソシアネート基を有する化合物と分子内に少なくとも1個の第1級及び/又は第2級アミノ基を有する化合物との反応生成物を硬化促進剤として含む請求項3に記載のエポキシ樹脂組成物。
  7. 請求項3から6のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を含む接着剤。
  8. 請求項3から6のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を含むシール剤。


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