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JP2016162538A - リチウムイオン二次電池用セパレータ及びそれを用いてなるリチウムイオン二次電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用セパレータ及びそれを用いてなるリチウムイオン二次電池 Download PDF

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JP2016162538A JP2015038424A JP2015038424A JP2016162538A JP 2016162538 A JP2016162538 A JP 2016162538A JP 2015038424 A JP2015038424 A JP 2015038424A JP 2015038424 A JP2015038424 A JP 2015038424A JP 2016162538 A JP2016162538 A JP 2016162538A
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誉子 笠井
Takako Kasai
誉子 笠井
兵頭 建二
Kenji Hyodo
建二 兵頭
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Abstract

【課題】電池の小型化・高容量化と安全性に寄与するリチウムイオン二次電池用セパレータと、前記リチウムイオン二次電池用セパレータを用いてなるリチウムイオン二次電池の提供。【解決手段】不織布又はフィルム基材の片面に負極活物質を塗工してなるリチウムイオン二次電池用セパレータ。前記負極活物質がリチウムチタン酸化物を含んでいても良い。また、正極、電解液、負極集電体と前記リチウムイオン二次電池用セパレータを用いてなるリチウムイオン二次電池。【選択図】なし

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用セパレータ及びそれを用いてなるリチウムイオン二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は、通常、正極活物質を集電体に塗工した正極と、負極活物質を集電体に塗工した負極と、正極と負極の接触を防ぐリチウムイオン二次電池用セパレータとを積層して筐体に入れ、電解液を注入した後、封をして製造される。近年の高エネルギー密度化の要求に伴い、リチウムイオン二次電池は小型化が求められるが、体積あたりの容量を上げるためにリチウムイオン二次電池用セパレータを薄くすると、積層や捲回の際の強度不足や異物混入による短絡など、生産性や安全性の面で問題があった。
特許文献1では、電極上に多孔質層を形成することで、電極とリチウムイオン二次電池用セパレータを一体化させ、リチウムイオン二次電池用セパレータを薄膜化できるとしているが、有機溶媒に溶かしたポリマーを塗工する工程に加えて、溶媒を除いて多孔質化する工程が必要となるため、工数が多くなること、有機溶媒回収のためのコストがかかることなどの問題があった。
特許文献2では、基板(セパレータ)の表面に凹部を設けて電極材を充填することで、リチウムイオン二次電池用セパレータと電極を一体化させ、正極と負極の距離を短絡の危険性なく近づけることができるとしているが、凹部を設けることのできる多孔質材料の素材に制限があるという問題があった。
特開2012−212692号公報 特開2013−200962号公報
本発明は、上記実情を鑑みたものであって、電池の小型化・高容量化と安全性に寄与するリチウムイオン二次電池用セパレータと、それを用いてなるリチウムイオン二次電池を提供することにある。
上記課題を解決するために鋭意研究した結果、
(1)不織布又はフィルム基材の片面に負極活物質を塗工してなるリチウムイオン二次電池用セパレータ、
(2)基材が不織布である上記(1)記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ、
(3)負極活物質がリチウムチタン酸化物を含む上記(1)又は(2)記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ、
(4)正極、電解液、負極集電体と上記(1)〜(3)のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用セパレータとを含有してなるリチウムイオン二次電池、
を見出した。
本発明によれば、不織布又はフィルム基材の片面に負極活物質を塗工してなるリチウムイオン二次電池用セパレータを用いることにより、負極活物質を負極集電体に塗工する必要がなくなるため、体積当たりの電池の高容量化が可能になる。また、負極活物質塗工によってリチウムイオン二次電池用セパレータの耐熱性が上がるため、安全性の高いリチウムイオン二次電池を得ることができる。
以下、本発明のリチウムイオン二次電池用セパレータと、それを用いてなるリチウムイオン二次電池について詳説する。
本発明のリチウムイオン二次電池用セパレータは、不織布又はフィルム基材の片面に負極活物質を塗工してなる。不織布又はフィルム基材と負極活物質とが一体化するため、負極活物質を負極集電体に塗工する必要がなくなる。これにより集電体金属箔を薄くすることができる他、蒸着法やスパッタリング法などの薄膜形成法で負極集電体を形成することも可能になるため、リチウムイオン電池に組んだ際、体積当たりの容量が高くなる。また、金属酸化物や炭素材料である負極活物質を不織布又はフィルム基材に塗工することで、不織布又はフィルム基材のみの場合よりも、リチウムイオン二次電池用セパレータの耐熱性が上がる。これにより熱暴走を起こしにくい安全なリチウムイオン電池を得ることができる。
不織布の構成材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びそれらの誘導体、芳香族ポリエステル、全芳香族ポリエステル等のポリエステル、ポリオレフィン、アクリル、ポリアセタール、ポリカーボネート、脂肪族ポリケトン、芳香族ポリケトン、脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド、全芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリベンゾイミダゾール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリ(パラ−フェニレンベンゾビスチアゾール)、ポリ(パラ−フェニレン−2,6−ベンゾビスオキサゾール)、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルアルコール、ポリウレタン及びポリ塩化ビニル等の樹脂からなる繊維並びにセルロース繊維等が挙げられる。該不織布は、これらの構成材料の2種以上を含有していても構わない。
不織布の製造方法には制限がなく、例えば、スパンボンド法、メルトブロー法、乾式法、湿式法、エレクトロスピニング法等の方法によって製造したものを使用することができる。得られたリチウムイオン二次電池用セパレータは、必要に応じて、カレンダー処理、熱カレンダー処理、熱処理などが施される。
フィルム基材としては、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのオレフィン系の多孔質フィルムが挙げられる。
負極活物質を含有する塗工液を、不織布又はフィルム基材に塗工する方法に特に制限はなく、例えば、従来公知のエアドクターコーター、ブレードコーター、ナイフコーター、ロッドコーター、スクイズコーター、含浸コーター、グラビアコーター、キスロールコーター、ダイコーター、リバースロールコーター、トランスファーロールコーター、スプレーコーター等が挙げられる。
上記の塗工方法により、均一な塗工層を作製するために、必要に応じて、消泡剤、ぬれ
剤等を塗工液中に適宜添加することができる。
本発明のリチウムイオン二次電池用セパレータには、不織布を使用することがより好ましい。不織布は目の開きが大きく、塗工した負極活物質が孔に入り込むため、フィルム基材を用いた場合に比べて全体の厚みを薄くできる。また、ポリエチレンテレフタレート等の高融点の材料を用いることで、フィルム基材に比べて耐熱性が高くなる。さらに、フィルム基材に比べて電解液の保液性が高いため、リチウムイオン二次電池に組んだ際、良好なサイクル特性を得ることができる。
不織布又はフィルム基材は、α−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ等のアルミナ、ベーマイト等のアルミナ水和物、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウムなどの無機顔料を含有していてもよい。無機顔料は塗工や含浸によって、不織布又はフィルム基材に付着させる方法、繊維材料やフィルム基材の材料と混合して不織布やフィルム基材を製造する方法等で、無機顔料を不織布又はフィルム基材に含有させることができる。本発明においては、リチウムイオン二次電池用セパレータの片面の一番上の層は、負極活物質を含有してなる塗工層である必要がある。
本発明におけるリチウムイオン二次電池用セパレータでは、負極活物質を塗工・乾燥後、塗工層表面の平坦化や厚みをコントロールする目的でカレンダー処理によって、リチウムイオン二次電池用セパレータを平滑化してもよい。
負極活物質としては、リチウムチタン酸化物、SiO、SnO、黒鉛やコークスなどの炭素材料等のリチウムイオンを挿入脱離することが可能な材料又はその組み合わせが挙げられる。
リチウムイオン二次電池用セパレータの負極活物質の塗工量は、電池の容量に応じて自由に設計できる。付着量を増やすため、塗工層を2層以上設けてもよい。
負極活物質を不織布又はフィルム基材に付着させるためにバインダーポリマーを使用することができる。バインダーポリマーとしては、電気化学的に安定かつ非水電解液に対して安定であれば特に制限はない。具体的には、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、アクリレート共重合体、スチレンブタジエンラテックス(SBR)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリウレタン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、カルボキシメチルセルロースの塩、ヒドロキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体等が挙げられる。また、これらの樹脂の一部に、非水電解液への溶解を防止するために架橋構造を導入したものも用いることができる。これらのバインダーポリマーは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、スチレンブタジエンラテックス(SBR)、アクリレート共重合体が特に好ましい。
バインダーポリマーの添加量としては、負極活物質に対し、2質量%以上25質量%以下が好ましい。負極活物質間及び負極活物質と不織布又はフィルム基材との接着性の点から、3質量%以上20質量%以下がより好ましい。
負極活物質塗工液を形成するための媒体としては、負極活物質、バインダーポリマー、及び必要に応じて添加される分散剤、増粘剤、消泡剤、ぬれ剤を溶解又は分散できる溶媒であれば特に制限はない。具体的には、水、アルコール類、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、アセトン等が挙げられる。これらの溶媒は1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。この中でも、塗工及び乾燥後の媒体回収の容易さや、環境負荷の問題から、水を用いることが好ましい。
本発明におけるリチウムイオン二次電池用セパレータに使用する負極活物質としては、リチウムチタン酸化物を用いることが好ましい。不織布を用いる場合においては、特に好ましい。リチウムチタン酸化物は他の負極材料に比べ導電性が低いため、不織布に塗工して裏抜けし、正極と接触した場合でも短絡電流が流れ難いためである。リチウムチタン酸化物には、SiO、SnOや炭素材料に比べ、リチウムイオン挿入脱離時の体積変化が小さく、サイクル特性が良好である、リチウムイオンを吸蔵したときの電位がリチウム電極基準で1.55Vと高いため、リチウムデンドライトの析出による短絡を起こし難く、安全性が高い等の利点もある。
リチウムイオン二次電池の正極活物質としては、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム等の遷移金属とリチウムの複合酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガンの複合酸化物、リチウムニッケルコバルトアルミニウム複合酸化物等の、複数の遷移金属とリチウムの複合酸化物、リン酸鉄リチウム又はリン酸鉄リチウムとマンガン、クロム、コバルト、銅、ニッケル、バナジウム、モリブデン、チタン、亜鉛、アルミニウム、ガリウム、マグネシウム、ホウ素、ニオブから選ばれる1種以上の金属を複合化した活物質等を用いることができる。
リチウムイオン二次電池の負極集電体としては、アルミニウム箔、銅箔、白金箔などの金属箔が挙げられる。また、蒸着法、スパッタリング法などの薄膜形成法により、リチウムイオン二次電池用セパレータの負極活物質を塗工した面にこれらの金属からなる負極集電体を形成させてもよい。
リチウムイオン二次電池の電解液には、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメトキシエタン、ジメトキシメタン、これらの混合溶媒などの有機溶媒にリチウム塩を溶解させたものが用いられる。リチウム塩としては、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)や四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)等が挙げられる。
本発明におけるリチウムイオン二次電池は、不織布又はフィルム基材の片面に負極活物質を塗工してなる本発明のリチウムイオン二次電池用セパレータと、上記の正極、電解液、負極集電体とを含有してなる。本発明のリチウムイオン二次電池用セパレータは、不織布又はフィルム基材と負極活物質とを一体化させた構造であるため、リチウムイオン二次電池用セパレータの負極活物質が塗工された面が負極集電体側に接するように配置する。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。
<不織布の作製>
繊度0.06dtex(平均繊維径2.4μm)、繊維長3mmの配向結晶化ポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維45質量部と繊度0.1dtex(平均繊維径3.0μm)、繊維長3mmの配向結晶化PET系短繊維15質量部と繊度0.2dtex(平均繊維径4.3μm)、繊維長3mmの単一成分型バインダー用PET系短繊維(軟化点120℃、融点230℃)40質量部とを一緒に混合し、パルパーにより水中で離解させ、アジテーターによる撹拌のもと、濃度1質量%の均一な抄造用スラリーを調製した。円網抄紙機を用い、この抄造用スラリーを湿式方式で抄き上げ、150℃のシリンダードライヤーによって、バインダー用PET系短繊維を接着させて不織布強度を発現させ、目付15.0g/mの不織布とした。さらに、この不織布を金属ロール−金属ロールからなる1ニップの熱カレンダーを使用して、ロール温度185℃、線圧740N/cm、搬送速度20m/分で加熱処理を実施し、厚み25μmの不織布を作製した。
<フィルム基材>
フィルムには、セルガード社製PPフィルム(厚み25μm)を使用した。
<塗工液1の作製>
負極活物質として平均粒子径0.6μmのリチウムチタン酸化物(LiTi12)を固形分換算で100質量部、花王社製ポイズ(登録商標)520を固形分換算で0.4質量部をホモジナイザーにて混合、撹拌し、次いでカルボキシメチルセルロースナトリウム塩(1質量%水溶液B粘度7000mPa・s、エーテル化度0.7)を固形分換算で1.5質量部を混合、撹拌し、次に、スチレンブタジエンラテックスを固形分換算で5.0質量部を混合、撹拌し、さらに、イオン交換水を加えて、固形分濃度25質量%の塗工液1を作製した。
<塗工液2の作製>
負極活物質としてメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)を固形分換算で100質量部、アセチレンブラックを固形分換算で3.0質量部、花王社製ポイズ(登録商標)520を固形分換算で0.4質量部をホモジナイザーにて混合、撹拌し、次いでカルボキシメチルセルロースナトリウム塩(1質量%水溶液B粘度7000mPa・s、エーテル化度0.7)を固形分換算で1.5質量部を混合、撹拌し、次に、スチレンブタジエンラテックスを固形分換算で5.0質量部を混合、撹拌し、さらに、イオン交換水を加えて、固形分濃度25質量%の塗工液2を作製した。
<実施例1>
上記不織布の片面に塗工液1を固形分付着量が40g/mとなるように塗工・乾燥して、リチウムイオン二次電池用セパレータとした。
<実施例2>
上記不織布の片面に塗工液2を固形分付着量が20g/mとなるように塗工・乾燥してリチウムイオン二次電池用セパレータとした。
<実施例3>
上記フィルム基材の片面に塗工液1を固形分付着量が40g/mとなるように塗工・乾燥してリチウムイオン二次電池用セパレータとした。
<実施例4>
上記フィルム基材の片面に塗工液2を固形分付着量が20g/mとなるように塗工・乾燥してリチウムイオン二次電池用セパレータとした。
<比較例1>
上記不織布をそのままリチウムイオン二次電池用セパレータとして使用した。
<比較例2>
上記フィルム基材をそのままリチウムイオン二次電池用セパレータとして使用した。
<比較例3>
上記不織布の両面に塗工液1を固形分付着量が合計40g/mとなるように塗工・乾燥してリチウムイオン二次電池用セパレータとした。
<正極>
過マンガン酸リチウム(LiMn)、導電助剤のアセチレンブラック、結着剤のポリフッ化ビニリデンを質量比率で95:2:3に混合し、N−メチル−2−ピロリドンに分散させたスラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔集電体に塗工・乾燥して、正極とした。
<負極1>
厚さ20μmのアルミニウム箔を負極1とした。
<負極2>
平均粒子径0.6μmのリチウムチタン酸化物(LiTi12)、導電助剤のアセチレンブラック、結着剤のスチレンブタジエンラテックスを質量比率で94:3:3に混合しに混合し、水に分散させたスラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔集電体に塗工・乾燥して負極2とした。
<電解液>
電解液には、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネートを体積比1:1:1で混合した溶媒に、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を1.0Mとなるように溶解させたものを用いた。
<リチウムイオン二次電池>
表1に示した、リチウムイオン二次電池用セパレータ、負極の組み合わせに、上記正極と電解液を使用して設計容量10mAhのリチウムイオン二次電池を作製した。このとき、リチウムイオン二次電池用セパレータ1〜4の塗工面は、負極1に接するようにした。
Figure 2016162538
実施例1〜4及び比較例1〜3について、下記評価を行い、結果を表2に示した。
[リチウムイオン二次電池用セパレータと負極の合計厚み]
リチウムイオン二次電池用セパレータと負極を重ね合わせた状態で厚みを測定した。なお、本発明の厚みはJISB7502に規定された方法により測定した値、つまり、5N荷重時の外側マイクロメーターにより測定された値を意味する。
[リチウムイオン二次電池用セパレータの耐熱性]
実施例1〜4、比較例1〜3の各リチウムイオン二次電池用セパレータを10cm角にカットし、MD方向(機械的送り方向)の長さを0.1mm単位まで計測した後、180℃で2時間処理した。下記式で熱収縮率を算出し、次の基準で評価して表2に示した。
熱収縮率(%)=[(180℃保存前のリチウムイオン二次電池用セパレータ長さ)−(180℃保存後のリチウムイオン二次電池用セパレータ長さ)]/(180℃保存前のリチウムイオン二次電池用セパレータ長さ)×100
◎:熱収縮率が2.0%未満である。
○:熱収縮率が2.0%以上5.0%未満である。
△:熱収縮率が5.0%以上である。
[サイクル特性(100サイクル後の容量維持率)]
実施例1及び3並びに比較例1〜3のリチウムイオン二次電池用セパレータを用いてなるリチウムイオン二次電池について、10mA定電流、2.7Vで定電圧充電30分した後、10mA定電流放電試験(1.5Vカット)を繰り返して行った。
実施例2及び4のリチウムイオン二次電池用セパレータを用いてなるリチウムイオン二次電池について、10mA定電流、4.2V定電圧充電30分した後、10mA定電流放電試験(2.8Vカット)を繰り返して行った。
100サイクル繰り返した後での容量維持率(100サイクル後/1サイクル容量)を算出し、次の基準で評価した。
◎:100サイクル後の容量維持率が、90%以上である。
○:100サイクル後の容量維持率が、80%以上90%未満である。
△:100サイクル後の容量維持率が、80%未満である。
Figure 2016162538
表2に示したように、実施例1〜4のリチウムイオン二次電池用セパレータは、不織布又はフィルム基材の片面に負極活物質を塗工しているため、リチウムイオン二次電池用セパレータと負極の合計厚みが薄く、耐熱性が高く、リチウムイオン二次電池に組んだ際のサイクル特性が良好であった。
一方、比較例1及び2のリチウムイオン二次電池用セパレータは、不織布又はフィルム基材をそのままリチウムイオン二次電池用セパレータとして使用し、負極集電体に負極活物質を塗工しているため、リチウムイオン二次電池用セパレータと負極の合計厚みが厚くなっていた。比較例3のリチウムイオン二次電池用セパレータは、不織布の両面に負極活物質を塗工しているため、正極側の負極活物質と正極との間で反応が起き、サイクル特性が悪くなっていた。
実施例1〜4を比較すると、実施例1及び2は不織布を使用しているため、フィルム基材を使用した実施例3及び4と比較して、リチウムイオン二次電池用セパレータと負極の合計厚みが薄く、耐熱性も良好だった。これは不織布自体の耐熱性がフィルムと比較して高いこと、不織布の孔に負極活物質が入り込むことで、塗工層の厚みが薄くなったことが要因である。また、実施例1は、保液性の高い不織布を用いているのに加え、負極活物質にリチウムの挿入脱離時の体積変化が小さいリチウムチタン酸化物を使用しているため、負極活物質にMCMBを使用した実施例2やフィルム基材を使用した実施例3及び4と比較して、良好なサイクル特性を示していた。
本発明の活用例としては、リチウムイオン二次電池用セパレータ及びこれを利用したリチウムイオン二次電池が好適である。

Claims (4)

  1. 不織布又はフィルム基材の片面に負極活物質を塗工してなるリチウムイオン二次電池用セパレータ。
  2. 基材が不織布である請求項1記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
  3. 負極活物質がリチウムチタン酸化物を含む請求項1又は2記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
  4. 正極、電解液、負極集電体と請求項1〜3のいずれか記載のリチウムイオン二次電池用セパレータとを含有してなるリチウムイオン二次電池。
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