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JP2016153729A - 変形量測定構造体 - Google Patents

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JP2016153729A JP2015031337A JP2015031337A JP2016153729A JP 2016153729 A JP2016153729 A JP 2016153729A JP 2015031337 A JP2015031337 A JP 2015031337A JP 2015031337 A JP2015031337 A JP 2015031337A JP 2016153729 A JP2016153729 A JP 2016153729A
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渉 高橋
有作 ▲高▼垣
有作 ▲高▼垣
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吉川 均
Hitoshi Yoshikawa
均 吉川
陽 加藤
Yo Kato
陽 加藤
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Abstract

【課題】 測定対象物の動きを阻害することなく、測定対象物の伸びまたは曲げによる変形量を繰り返し精度良く測定することができる変形量測定構造体を提供する。
【解決手段】 変形量測定構造体1は、伸び変形または曲げ変形する基材10と、基材10の表面に配置され、エラストマーを含む誘電層12と、誘電層12を挟んで配置されエラストマーおよび導電材を含む一対の電極層13a、13bと、一対の電極層13a、13bの少なくとも一方の表面に配置されエラストマーを含む保護層14a、14bと、を有し、基材10の変形に追従して伸縮するセンサ素子11と、を備え、誘電層12および保護層14a、14bの少なくとも一方の引張永久歪みは10%以下であり、センサ素子11から出力される静電容量の変化に基づいて、基材10の伸びまたは曲げによる変形量を測定する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、伸び変形または曲げ変形する基材の変形量を静電容量の変化から測定する変形量測定構造体に関する。
荷重分布や部材の変形などを検出する手段として、エラストマーを使用した柔軟なセンサの開発が進められている。例えば、特許文献1〜4に記載されているように、エラストマー製の誘電層を挟むように電極層を配置して、静電容量型センサを構成することができる。静電容量型センサにおいては、圧縮や伸長などにより誘電層の厚さ、すなわち電極層間距離が小さくなると、静電容量が大きくなる。また、電極層の面積が大きくなると、静電容量が大きくなる。したがって、静電容量型センサによると、静電容量の変化に基づいて、測定対象物に加えられた荷重や、測定対象物の伸び量などの変形量を検出することができる。
エラストマー製の誘電層を備える静電容量型センサにおいては、測定対象物の変形に追従して誘電層と電極層とが一体になって変形できるように、電極層にも柔軟な導電材料が使用されている。例えば、特許文献4に記載されている静電容量型センサにおいては、クッションなどの柔らかい物の伸縮歪み量を測定するために、電極層の材料としてカーボンナノチューブを使用し、かつ、電極層の厚さを薄くして、誘電層に対する追従性を向上させている。
特開2011−2256号公報 特開2009−20006号公報 特開2010−43881号公報 特開2014−81355号公報
これまでは、測定対象物の動きを阻害することなく測定対象物の変形に追従できるように、誘電層や電極層の材料を検討し、センサの柔軟性を向上させてきた。誘電層としては、ウレタンゴムなどの柔軟なエラストマーが用いられる。しかしながら、柔軟なエラストマーは、伸縮を繰り返すとへたりやすい。すなわち、伸縮を繰り返すうちに誘電層が元の形状に戻りにくくなる。静電容量型センサにおいて、誘電層の伸び量と静電容量の変化との関係を予め作製しておくと、出力された静電容量の変化から測定対象物の伸び量を測定することができる。しかしながら、誘電層がへたると、誘電層の伸縮の仕方が変わるため、測定対象物の変形に応じて予め設定した静電容量値と出力値とが異なってくる。このため、測定対象物の伸び量を正確に測定することができない。また、応力−歪み(伸び量)線図を予め作製しておくことにより、静電容量の変化から算出された伸び量に基づいて、測定対象物に生じる応力をも測定することができる。しかしながら、誘電層がへたると、伸び量の正確な測定ができないため、応力を正確に測定することもできない。
誘電層の耐へたり性を向上させるためには、例えば、エラストマーの架橋密度を大きくすることが考えられる。エラストマーの架橋密度を大きくすると弾性率が上昇するため、耐へたり性に有利になる。しかしながら、誘電層の弾性率が大きくなると、測定対象物の変形に対する追従性が低下してしまう。このため、誘電層のエラストマー種を変更したり、エラストマーの架橋密度を調整するだけでは、柔軟性と耐へたり性とを共に満足できるレベルにすることは難しい。
一方、センサの感度(S/N比(Signal−Noise Ratio:信号雑音比))を向上させるためには、誘電層の比誘電率を大きくすることが望ましい。例えば、比誘電率が大きいエラストマーを用いたり、エラストマーにチタン酸バリウム粒子などの誘電性粒子を配合して、誘電層の比誘電率を大きくすることができる。しかしながら、本発明者が検討したところ、誘電層に誘電性粒子を配合すると、誘電性粒子とエラストマーとが剥離することにより、耐へたり性がより低下することがわかった。したがって、耐へたり性を確保しつつ誘電層の比誘電率を大きくすることも難しい。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、測定対象物の動きを阻害することなく、測定対象物の伸びまたは曲げによる変形量を繰り返し精度良く測定することができる変形量測定構造体を提供することを課題とする。
(1)本発明の第一の変形量測定構造体は、伸び変形または曲げ変形する基材と、該基材の表面に配置され、エラストマーを含む誘電層と、該誘電層を挟んで配置されエラストマーおよび導電材を含む一対の電極層と、一対の該電極層の少なくとも一方の表面に配置されエラストマーを含む保護層と、を有し、該基材の変形に追従して伸縮するセンサ素子と、を備え、該誘電層および該保護層の少なくとも一方の引張永久歪みは10%以下であり、該センサ素子から出力される静電容量の変化に基づいて、該基材の伸びまたは曲げによる変形量を測定することを特徴とする。
本発明の第一の変形量測定構造体を構成する基材は、測定対象物である。基材は、伸び変形または曲げ変形するものであれば特に限定されない。基材の材質としては、例えば、樹脂、エラストマー、布などが挙げられる。布には、天然繊維や合成繊維の織物、編み物、不織布などが含まれる。基材としては、例えば、衣服、サポーターなどの伸縮可能な状態に加工したもの、およびこれらを積層させたものなどが挙げられる。
本発明の第一の変形量測定構造体により測定される「基材の伸びまたは曲げによる変形量」には、基材の伸び量、曲げ角度、基材の応力などが含まれる(以下、本発明の第二、第三の変形量測定構造体において同じ)。
本発明の第一の変形量測定構造体を構成するセンサ素子は、保護層を有する。保護層は、一対の電極層の片方または両方における誘電層とは反対側の表面に配置される。保護層を配置すると、外部からの機械的応力によるセンサ素子の破壊を抑制できると共に、外部の温度変化を誘電層に伝えにくくする効果が得られる。
センサ素子において、誘電層および保護層の少なくとも一方の引張永久歪みは10%以下である。本明細書における引張永久歪みとしては、JIS K 6273:2006に規定される短冊状試験片を用いた定伸長引張永久歪み試験を、試験片に与える伸び50%、試験温度50℃、試験時間20時間という条件で行い測定された値を採用する。
誘電層および保護層は、エラストマーを含むため柔軟であるが、引張永久歪みが10%以下の場合には耐へたり性に優れる。例えば、誘電層および保護層の両方の引張永久歪みが10%以下である場合、センサ素子全体の耐へたり性が向上する。仮に電極層にへたりが生じても、電極層は誘電層および保護層に引っ張られて元の形状に戻ることができる。これにより、誘電層、電極、保護層は一体となって伸縮する。よって、センサ素子は、伸縮を繰り返しても、基材の変形に応じた静電容量を出力することができる。
一方、誘電層のみの引張永久歪みが10%以下であってもよい。この場合、誘電層は、保護層や電極層が元の形状に戻るのを助ける役割を果たす。すなわち、仮に保護層や電極層にへたりが生じても、保護層や電極層は誘電層に引っ張られて元の形状に戻ることができる。これにより、保護層および電極層は誘電層と一体となって伸縮する。よって、センサ素子は、伸縮を繰り返しても、基材の変形に応じた静電容量を出力することができる。
他方、保護層のみの引張永久歪みが10%以下であってもよい。この場合、保護層は、誘電層や電極層が元の形状に戻るのを助ける役割を果たす。すなわち、仮に誘電層や電極層にへたりが生じても、誘電層や電極層は保護層に引っ張られて元の形状に戻ることができる。これにより、誘電層および電極層は保護層と一体となって伸縮する。よって、センサ素子は、伸縮を繰り返しても、基材の変形に応じた静電容量を出力することができる。
このように、本発明の第一の変形量測定構造体においては、センサ素子の柔軟性を確保しつつ、(a)誘電層および保護層の耐へたり性を向上させる、あるいは(b)保護層の耐へたり性を誘電層で補う、あるいは(c)誘電層の耐へたり性を保護層で補うことにより、センサ素子全体の耐へたり性を向上させている。したがって、本発明の第一の変形量測定構造体によると、基材の動きを阻害することなく、基材の伸びまたは曲げによる変形量を繰り返し精度良く測定することができる。
また、保護層のみの引張永久歪みが10%以下である場合には、保護層によりセンサ素子の耐へたり性を確保できるため、誘電層には耐へたり性とは別の特性を付与することができる。例えば、誘電層に誘電性粒子を配合して、誘電層の比誘電率を大きくすることができる。このように、保護層と誘電層とにおいて機能分離をすることにより、耐久性だけでなくセンサ素子の性能をも向上させることができる。
(2)好ましくは、上記(1)の構成において、前記センサ素子における前記誘電層、前記電極層、および前記保護層の各々の弾性率と断面積とが、次式(I)、(II)、(III)のいずれかを満たす構成とするとよい。
(i)該誘電層および該保護層のうち該保護層のみの引張永久歪みが10%以下である場合
(EeSe+EySy)<EcSc ・・・(I)
(ii)該誘電層および該保護層のうち該誘電層のみの引張永久歪みが10%以下である場合
(EeSe+EcSc)<EySy ・・・(II)
(iii)該保護層および該誘電層の引張永久歪みがいずれも10%以下である場合
EeSe<(EcSc+EySy) ・・・(III)
[Ee:電極層の弾性率、Se:電極層の断面積、Ey:誘電層の弾性率、Sy:誘電層の断面積、Ec:保護層の弾性率、Sc:保護層の断面積]
電極層、誘電層、保護層の断面積は、各々、センサ素子が変形していない自然状態において、センサ素子を積層方向に切断した場合の積層部分の断面積である。電極層の断面積は、誘電層を挟む二つの電極層の断面積の合計である。保護層が二つ配置される場合、保護層の断面積は、二つの保護層の断面積の合計である。なお、二つの電極層の弾性率が異なる場合には、各層ごとに弾性率×断面積を計算して、それらの和を使用する。保護層についても同様である。例えば、一方の電極層の弾性率がEe、断面積がSe、他方の電極層の弾性率がEe、断面積がSeである場合、式(I)中のEeSeは、(EeSe+EeSe)となる。
弾性率としては、JIS K 7127:1999に規定される引張試験を行い、得られた応力−伸び曲線から算出した値を採用する。試験片には、試験片タイプ2を使用することとする。
センサ素子の耐へたり性は、ばね定数が大きい層の耐へたり性に大きく影響される。誘電層、電極層、および保護層の伸縮方向におけるばね定数は、各層を構成する材料の弾性率と、各層の積層方向(伸縮方向に直交する方向に相当)の断面積に依存する。本構成によると、(i)〜(iii)のいずれの場合においても、ばね定数が大きい層の引張永久歪みが10%以下になる。これにより、耐へたり性に優れるセンサ素子を構成することができる。
(3)好ましくは、上記(1)または(2)の構成において、前記誘電層および前記保護層の少なくとも一方の前記エラストマーは、環状分子と、該環状分子の開口部を貫通し該環状分子に包接される直鎖状分子と、を持つ環動分子を介した架橋構造を有し、該エラストマーのポリマー鎖の少なくとも一部は該環状分子と架橋しており、該環状分子が該直鎖状分子に沿って動くことにより架橋点が移動するものである構成とするとよい。
本構成において、エラストマーは、環動分子を介した架橋構造を有すれば、自身のポリマー鎖同士が架橋していても、架橋していなくてもよい。環動分子は、環状分子と直鎖状分子とを持つ。環状分子は、直鎖状分子に沿って移動することができる。エラストマーのポリマー鎖の少なくとも一部は、環状分子と架橋している。このため、環状分子の移動に伴い、架橋点も移動する。環動分子を介さない通常の架橋構造においては、架橋点は固定される。このため、伸縮を繰り返すと架橋点に応力が集中し、架橋鎖やポリマー鎖が切断されてへたりが生じやすい。これに対して、架橋点が移動するエラストマーにおいては、伸縮を繰り返しても応力は架橋点に集中することなく、エラストマー全体に分散される。したがって、当該エラストマーを使用することにより、エラストマー自身の柔軟性(低弾性)を維持しつつ、耐へたり性に優れる誘電層、保護層を実現することができる。
例えば、誘電層のエラストマーとして、環動分子を介した架橋構造を有するエラストマーを用いた場合には、比誘電率が大きい無機粒子、有機粒子、ポリマー、可塑剤などを配合しても、誘電層の耐へたり性が低下しにくい。比誘電率が大きい成分を配合して誘電層の比誘電率を大きくすることができるため、耐久性は勿論、センサ素子の性能をも向上させることができる。
(4)本発明の第二の変形量測定構造体は、伸び変形または曲げ変形する基材と、該基材の表面に配置され、エラストマーを含む誘電層と、該誘電層を挟んで配置されエラストマーおよび導電材を含む一対の電極層と、を有し、該基材の変形に追従して伸縮するセンサ素子と、を備え、該誘電層の該エラストマーは、環状分子と、該環状分子の開口部を貫通し該環状分子に包接される直鎖状分子と、を持つ環動分子を介した架橋構造を有し、該エラストマーのポリマー鎖の少なくとも一部は該環状分子と架橋しており、該環状分子が該直鎖状分子に沿って動くことにより架橋点が移動するものであり、該センサ素子から出力される静電容量の変化に基づいて、該基材の伸びまたは曲げによる変形量を測定することを特徴とする。
本発明の第二の変形量測定構造体を構成する基材は、測定対象物である。基材は、本発明の第一の変形量測定構造体における基材と同じであり、伸び変形または曲げ変形するものであれば特に限定されない。
センサ素子の誘電層としては、環動分子を介した架橋構造を有するエラストマーを使用する。エラストマーは、環動分子を介した架橋構造を有すれば、自身のポリマー鎖同士が架橋していても、架橋していなくてもよい。上述したように、環動分子を介した架橋構造を有するエラストマーを使用すると、誘電層の柔軟性を維持しつつ耐へたり性を向上させることができる。センサ素子が耐へたり性に優れる誘電層を備えることにより、仮に保護層や電極層にへたりが生じても、保護層や電極層は誘電層に引っ張られて元の形状に戻ることができる。これにより、保護層および電極層は誘電層と一体となって伸縮する。よって、センサ素子は、伸縮を繰り返しても、基材の変形に応じた静電容量を出力することができる。したがって、本発明の第二の変形量測定構造体によると、測定対象物である基材の動きを阻害することなく、基材の伸びまたは曲げによる変形量を繰り返し精度良く測定することができる。
また、上記(3)の構成において説明したように、本構成の誘電層は、比誘電率が大きい無機粒子、有機粒子、ポリマー、可塑剤などを配合しても、耐へたり性が低下しにくい。比誘電率が大きい成分を配合して誘電層の比誘電率を大きくすることができるため、耐久性は勿論、センサ素子の性能をも向上させることができる。
(5)本発明の第三の変形量測定構造体は、伸び変形または曲げ変形する基材と、該基材の表面に配置され、エラストマーを含む誘電層と、該誘電層を挟んで配置されエラストマーおよび導電材を含む一対の電極層と、を有し、該基材の変形に追従して伸縮するセンサ素子と、を備え、該基材の引張永久歪みは10%以下であり、該基材および該センサ素子を、各々面方向において同じ一方向に伸長した場合に、該基材のばね定数は該センサ素子のばね定数よりも大きく、該センサ素子から出力される静電容量の変化に基づいて、該基材の伸びまたは曲げによる変形量を測定することを特徴とする。
本発明の第三の変形量測定構造体を構成する基材は、測定対象物である。基材は、引張永久歪みが10%以下であり、面方向のばね定数がセンサ素子のばね定数よりも大きいという点で限定される以外は、本発明の第一の変形量測定構造体における基材と同じである。本発明の第三の変形量測定構造体において、「面方向」は、基材およびセンサ素子の積層方向に対して直交する方向である。本発明の第三の変形量測定構造体において、「ばね定数」は、基材とセンサ素子との各々の荷重−変位特性における0〜10%伸びまでの傾きである。
本発明の第三の変形量測定構造体において、基材の引張永久歪みは10%以下であり、基材の面方向のばね定数はセンサ素子の面方向のばね定数よりも大きい。このため、基材はセンサ素子よりもへたりにくく、センサ素子が元の形状に戻るのを助ける役割を果たす。よって、仮にセンサ素子の誘電層などにへたりが生じても、センサ素子は基材に引っ張られて元の形状に戻ることができる。これにより、センサ素子は基材の変形に追従して伸縮する。したがって、センサ素子は、伸縮を繰り返しても、基材の変形に応じた静電容量を出力することができる。
このように、本発明の第三の変形量測定構造体においては、測定対象物である基材を、引張永久歪みが10%以下であり、かつ、センサ素子よりもばね定数が大きいものに限定することにより、センサ素子の耐へたり性の課題を解決している。本発明の第三の変形量測定構造体によると、基材の動きを阻害することなく、基材の伸びまたは曲げによる変形量を繰り返し精度良く測定することができる。勿論、本発明の第三の変形量測定構造体においても、上記(1)〜(4)において説明した形態、すなわち、誘電層の引張永久歪みが10%以下である形態、誘電層のエラストマーとして環動分子を介した架橋構造を有するものを使用する形態などを採用することができる。
(6)好ましくは、上記(5)の構成において、前記センサ素子は、さらに、一対の前記電極層の少なくとも一方の表面に配置されエラストマーを含む保護層を有する構成とするとよい。
保護層は、一対の電極層の片方または両方における誘電層とは反対側の表面に配置される。上述したように、保護層を配置すると、外部からの機械的応力によるセンサ素子の破壊を抑制できると共に、外部の温度変化を誘電層に伝えにくくする効果が得られる。また、保護層の引張永久歪みが10%以下である場合には、センサ素子の耐へたり性が向上する。
(7)好ましくは、上記(1)ないし(6)のいずれかの構成において、前記誘電層の比誘電率は、5以上である構成とするとよい。
本構成によると、センサ素子から出力される静電容量の値が大きくなり、センサ素子の感度(S/N比)が向上する。
(8)好ましくは、上記(1)ないし(7)のいずれかの構成において、前記誘電層は、誘電性粒子を含む構成とするとよい。
誘電性粒子には、比誘電率が大きい無機粒子および有機粒子が含まれる。誘電性粒子の比誘電率は、10以上、さらには200以上が望ましい。本構成によると、誘電層の比誘電率を大きくすることができる。これにより、基材の変形に対する静電容量の値が大きくなり、センサ素子の感度(S/N比)を向上させることができる。
第一実施形態の変形量測定構造体の上面図である。 図1のII−II断面図である。 第二実施形態の変形量測定構造体の上面図である。 図3のIV−IV断面図である 第三実施形態の変形量測定構造体の上面図である。 図5のVI−VI断面図である。
以下、本発明の変形量測定構造体の実施形態について説明する。
<第一実施形態>
本発明の第一の変形量測定構造体の実施形態を示す。まず、本実施形態の変形量測定構造体の構成について説明する。図1に、変形量測定構造体の上面図を示す。図2に、図1のII−II断面図を示す。図1のII−II断面は、センサ素子の伸縮方向に直交する積層方向の断面である。図1においては、最上面の保護層の下側に配置される電極層を透過して示す。図1において、前後左右方向は基材およびセンサ素子の面方向に対応する。図2において、上下方向は積層方向に対応する。図1、図2に示すように、変形量測定構造体1は、基材10と、センサ素子11と、備えている。
基材10は、ポリエステル網((株)相互理化学硝子製作所製)からなる。基材10は、左右方向に伸び変形したり、下方に開口するC字状に曲げ変形する。センサ素子11は、基材10の上面に配置されている。センサ素子11は、誘電層12と、一対の電極層13a、13bと、一対の保護層14a、14bと、を備えている。
誘電層12は、左右方向に延びる長方形状を呈している。誘電層12の前後方向の長さ(幅)は10mm、左右方向の長さは50mm、厚さは300μmである。誘電層12は、ウレタンゴムと、チタン酸バリウム粒子と、を含んでいる。ウレタンゴムは、本発明におけるエラストマーの概念に含まれる。チタン酸バリウム粒子は、本発明における誘電性粒子の概念に含まれる。誘電層12の比誘電率は12である。誘電層12の弾性率(Ey)は3MPa、II−II断面の断面積(Sy)は3×10−6である。
一対の電極層13a、13bは、各々、左右方向に延びる長方形状を呈している。電極層13aは誘電層12の上面に配置されている。電極層13bは誘電層12の下面に配置されている。電極層13a、13bの幅および左右方向の長さは、誘電層12と同じである。電極層13a、13bの厚さはいずれも50μmである。電極層13a、13bは、アクリルゴムおよびカーボンブラックを含んでいる。電極層13a、13bの弾性率(Ee)はいずれも1MPa、II−II断面の断面積(Se)は合計1×10−6である。電極層13a、13bには、図示しない配線が接続されている。電極層13a、13bは、配線を介して、図示しない制御装置に接続されている。
一対の保護層14a、14bは、各々、左右方向に延びる長方形状を呈している。保護層14aは、電極層13aの上面に配置されている。保護層14aは、誘電層12および電極層13a、13bを被覆している。保護層14bは電極層13bの下面に配置されている。保護層14a、14bは、幅10mm、左右方向の長さ50mmの領域で、誘電層12および電極層13a、13bに積層されている。保護層14a、14bの厚さは200μmである。保護層14a、14bは、ウレタンゴムと、ポリロタキサンと、を含んでいる。ウレタンゴムは、ポリロタキサンを介した架橋構造を有している。ポリロタキサンの環状分子はα−シクロデキストリン、直鎖状分子はポリエチレングリコール、封鎖基はアダマンタン基である。保護層14a、14bの弾性率(Ec)はいずれも4MPa、II−II断面の断面積(Sc)は合計4×10−6である。保護層14a、14bの引張永久歪みは1%である。
次に、本実施形態の変形量測定構造体の動きについて説明する。一対の電極層13a、13bには、制御装置から電圧が印加されている。センサ素子11により、基材10が変形する前の自然状態の静電容量が出力される。基材10が左右方向に伸長すると、センサ素子11も基材10と共に伸長する。この際、誘電層12の厚さは薄くなり、電極層13a、13bの面積が大きくなる。これにより、電極層13a、13b間の静電容量は大きくなる。制御装置には、予め、静電容量の変化とセンサ素子11の伸び量との関係を示すマップ、およびセンサ素子11の伸び量と応力との関係を示すマップが、格納されている。センサ素子11により、基材10の伸長時の静電容量が出力されると、伸長前後の静電容量の変化量から、基材10の伸び量が算出される。基材10の伸び量から応力が算出される。
次に、本実施形態の変形量測定構造体の作用効果について説明する。変形量測定構造体1においては、誘電層12および電極層13a、13bを覆うように保護層14a、14bが配置されている。よって、外部からの機械的応力によるセンサ素子11の破壊が抑制される。また、外部の温度変化が誘電層12に伝わりにくい。保護層14a、14bは、ポリロタキサンを介した架橋構造を有するウレタンゴムからなる。当該ウレタンゴムにおいては、架橋点が固定されておらず変形時にスライドするため、伸縮を繰り返しても、架橋点に応力が集中しにくい。また、保護層14a、14bの引張永久歪みは10%以下である。このため、保護層14a、14bは、柔軟(低弾性)であり、かつ、耐へたり性に優れる。
センサ素子11を構成する部材のうち、引張永久歪みが10%以下であるのは保護層14a、14bのみである。ここで、誘電層12、電極層13a、13b、および保護層14a、14bの各々の弾性率と断面積との関係は、式(I)の(EeSe+EySy)<EcScを満たしている。すなわち、センサ素子11において、最もばね定数が大きいと見なされる保護層14a、14bが耐へたり性にも優れている。よって、誘電層12および電極13a、13bにへたりが生じても、誘電層12および電極13a、13bは、保護層14a、14bに引っ張られて元の形状に戻ることができる。このため、センサ素子11は、伸縮を繰り返しても、基材10の変形に応じた静電容量を出力することができる。したがって、変形量測定構造体1によると、基材10の動きを阻害することなく、基材10の伸び量および応力を繰り返し精度良く測定することができる。
誘電層12、保護層14a、14bに含まれるウレタンゴムは、粘着性を有している。このため、誘電層12、電極層13a、13b、保護層14a、14bの層間密着性が高い。また、保護層14bと基材10との間の密着性も高い。よって、伸縮を繰り返しても、センサ素子11の構成部材同士、およびセンサ素子11と基材10とが剥離しにくい。この点においても、センサ素子21は耐久性に優れる。
また、誘電層12には、チタン酸バリウム粒子が含有されている。このため、誘電層12の比誘電率は大きい。変形量測定構造体1においては、保護層14a、14bにて耐へたり性を向上させ、誘電層12にて比誘電率を大きくするという機能分離がされている。したがって、変形量測定構造体1においては、耐久性だけでなくセンサ素子11の感度(S/N比)も高い。
<第二実施形態>
本発明の第二の変形量測定構造体の実施形態を示す。まず、本実施形態の変形量測定構造体の構成について説明する。図3に、変形量測定構造体の上面図を示す。図4に、図3のIV−IV断面図を示す。図3のIV−IV断面は、センサ素子の伸縮方向に直交する積層方向の断面である。図3において、前後左右方向は基材およびセンサ素子の面方向に対応する。図4において、上下方向は積層方向に対応する。図3、図4に示すように、変形量測定構造体2は、基材20と、センサ素子21と、備えている。
基材20は、ポリエステル網((株)相互理化学硝子製作所製)からなる。基材20は、左右方向に伸び変形したり、下方に開口するC字状に曲げ変形する。センサ素子21は、基材20の上面に配置されている。センサ素子21は、誘電層22と、一対の電極層23a、23bと、を備えている。
誘電層22は、左右方向に延びる長方形状を呈している。誘電層22の前後方向の長さ(幅)は10mm、左右方向の長さは50mm、厚さは300μmである。誘電層22は、ウレタンゴムと、ポリロタキサンと、チタン酸バリウム粒子と、を含んでいる。ウレタンゴムは、ポリロタキサンを介した架橋構造を有している。ポリロタキサンの環状分子はα−シクロデキストリン、直鎖状分子はポリエチレングリコール、封鎖基はアダマンタン基である。誘電層22の比誘電率は12である。
一対の電極層23a、23bは、各々、左右方向に延びる長方形状を呈している。電極層23aは誘電層22の上面に配置されている。電極層23bは誘電層22の下面に配置されている。電極層23a、23bの前後方向および左右方向の長さは、誘電層22のそれと同じである。電極層23a、23bの厚さは50μmである。電極層23a、23bは、アクリルゴムおよびカーボンブラックを含んでいる。電極層23a、23bには、図示しない配線が接続されている。電極層23a、23bは、配線を介して、図示しない制御装置に接続されている。
次に、本実施形態の変形量測定構造体の動きについて説明する。一対の電極層23a、23bには、制御装置から電圧が印加されている。センサ素子21により、基材20が変形する前の自然状態の静電容量が出力される。基材20が下方に開口するC字状に曲げ変形すると、センサ素子21も基材20と共に曲げ変形する。この際、誘電層22の厚さは薄くなり、電極層23aの面積が大きくなる。これにより、電極層23a、23b間の静電容量は大きくなる。制御装置には、予め、静電容量の変化とセンサ素子21の曲げ角度との関係を示すマップが、格納されている。センサ素子21により、基材20の曲げ変形時の静電容量が出力されると、変形前後の静電容量の変化量から、基材20の曲げ角度が算出される。
次に、本実施形態の変形量測定構造体の作用効果について説明する。変形量測定構造体2においては、誘電層22の材料として、ポリロタキサンを介した架橋構造を有するウレタンゴムを使用する。当該ウレタンゴムにおいては、架橋点が固定されておらず変形時にスライドするため、伸縮を繰り返しても、架橋点に応力が集中しにくい。このため、誘電層22は、柔軟(低弾性)であり、かつ、耐へたり性に優れる。よって、センサ素子21は、伸縮を繰り返しても、基材20の変形に応じた静電容量を出力することができる。また、当該ウレタンゴムは、粘着性を有している。このため、誘電層22と電極層23a、23bとの密着性が高い。よって、伸縮を繰り返しても、誘電層22と電極層23a、23bとが剥離しにくい。この点においても、センサ素子21は耐久性に優れる。したがって、変形量測定構造体2によると、基材20の動きを阻害することなく、基材20の伸び量および応力を繰り返し精度良く測定することができる。
また、誘電層22には、チタン酸バリウム粒子が含有されている。このため、誘電層22の比誘電率は大きい。したがって、変形量測定構造体2においては、耐久性だけでなくセンサ素子21の感度(S/N比)も高い。
<第三実施形態>
本発明の第三の変形量測定構造体の実施形態を示す。まず、本実施形態の変形量測定構造体の構成について説明する。図5に、変形量測定構造体の上面図を示す。図6に、図5のVI−VI断面図を示す。図5のVI−VI断面は、センサ素子の伸縮方向に直交する積層方向の断面である。図5においては、保護層の下側に配置される電極層を透過して示す。図5において、前後左右方向は基材およびセンサ素子の面方向に対応する。図6において、上下方向は積層方向に対応する。図5、図6に示すように、変形量測定構造体3は、基材30と、センサ素子31と、備えている。
基材30は、アズワン(株)から販売されている商品「ワンサポーター」からなる。基材30は、左右方向に伸び変形する。基材30の引張永久歪みは3%であり、左右方向におけるばね定数は315Nである。センサ素子31は、基材30の上面に配置されている。センサ素子31は、誘電層32と、一対の電極層33a、33bと、保護層34aと、を備えている。
誘電層32は、左右方向に延びる長方形状を呈している。誘電層32の前後方向の長さ(幅)は10mm、左右方向の長さは50mm、厚さは300μmである。誘電層32は、ウレタンゴムを含んでいる。誘電層32の比誘電率は8である。
一対の電極層33a、33bは、各々、左右方向に延びる長方形状を呈している。電極層33aは誘電層32の上面に配置されている。電極層33bは誘電層32の下面に配置されている。電極層33a、33bの幅および左右方向の長さは、誘電層32と同じである。電極層33a、33bの厚さはいずれも50μmである。電極層33a、33bは、アクリルゴムおよびカーボンブラックを含んでいる。電極層33a、33bには、図示しない配線が接続されている。電極層33a、33bは、配線を介して、図示しない制御装置に接続されている。
保護層34aは、左右方向に延びる長方形状を呈している。保護層34aは、電極層33aの上面に配置されている。保護層34aは、誘電層32および電極層33a、33bを被覆している。保護層34aは、幅10mm、左右方向の長さ50mmの領域で、誘電層32および電極層33a、33bに積層されている。保護層34aの厚さは300μmである。保護層34aは、ウレタンゴムを含んでいる。
基材30およびセンサ素子31を、各々、左右方向に伸長した場合、基材30のばね定数は、センサ素子31のばね定数よりも大きい。具体的には、基材30のばね定数は、センサ素子31のばね定数の約20倍である。
次に、本実施形態の変形量測定構造体の動きについて説明する。一対の電極層33a、33bには、制御装置から電圧が印加されている。センサ素子31により、基材30が変形する前の自然状態の静電容量が出力される。基材30が左右方向に伸長すると、センサ素子31も基材30と共に伸長する。この際、誘電層32の厚さは薄くなり、電極層33a、33bの面積が大きくなる。これにより、電極層33a、33b間の静電容量は大きくなる。制御装置には、予め、静電容量の変化とセンサ素子31の伸び量との関係を示すマップが、格納されている。センサ素子31により、基材30の伸長時の静電容量が出力されると、伸長前後の静電容量の変化量から、基材30の伸び量が算出される。
次に、本実施形態の変形量測定構造体の作用効果について説明する。変形量測定構造体3においては、基材30の引張永久歪みは10%以下であり、かつ、伸長方向における基材30のばね定数がセンサ素子31のばね定数よりも大きい。すなわち、基材30はセンサ素子31よりもへたりにくい。このため、仮に誘電層32にへたりが生じても、誘電層32は基材30に引っ張られて元の形状に戻ることができる。これにより、センサ素子31は、伸縮を繰り返しても、基材30の変形に応じた静電容量を出力することができる。したがって、変形量測定構造体3によると、基材30の動きを阻害することなく、基材30の伸び量を繰り返し精度良く測定することができる。
<その他>
以上、本発明の変形量測定構造体の実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
例えば、上記第一実施形態においては、保護層を電極層の上面または下面の一方のみに配置してもよい。また、保護層だけでなく、誘電層のエラストマーについても、ポリロタキサンを介した架橋構造を有するものにしてもよい。また、誘電層の引張永久歪みが10%以下であってもよい。一方、誘電層の引張永久歪みが10%以下であれば、必ずしも保護層の引張永久歪みは10%以下でなくてもよい。誘電層および保護層の少なくとも一方の引張永久歪みが10%以下であれば、保護層および誘電層の構成は限定されない。保護層のエラストマーは、必ずしもポリロタキサンを介した架橋構造を有しなくてもよい。
上記第三実施形態においては、保護層を配置しなくてもよい。一方、基材と電極層との間にさらに保護層を配置してもよい。また、誘電層および保護層のいずれか、または両方のエラストマーを、ポリロタキサンを介した架橋構造を有するものにしてもよい。伸長方向における基材のばね定数は、センサ素子のばね定数よりも大きければよく、例えばセンサ素子のばね定数の2倍以上であるとよい。センサ素子のばね定数は、基材の伸縮を阻害しないという観点から小さいほど望ましい。センサ素子のばね定数は、300N以下、200N以下、さらには100N以下であると好適である。
いずれの実施形態においても、測定する基材の変形量は、基材の変形態様に応じて、伸び量、曲げ角度、応力など適宜決定すればよい。基材、誘電層、保護層、電極層の各々の構成材料も限定されない。
誘電層のエラストマーとしては、比誘電率が比較的大きいものを採用することが望ましい。例えば、比誘電率が5以上(測定周波数100Hz)のものが好適である。このようなエラストマーとしては、ウレタンゴムの他、シリコーンゴム、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(H−NBR)、アクリルゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、ブチルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、フッ素ゴム、エピクロルヒドリンゴム、クロロプレンゴム、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレンなどが挙げられる。
誘電層の比誘電率を大きくするという観点から、上記第一実施形態のように、誘電層に誘電性粒子を含有させてもよい。誘電性粒子は、マトリクスのエラストマーよりも、比誘電率が大きい粒子であればよい。例えば、チタン酸バリウムの他、チタン酸ジルコン酸鉛、ランタンドープチタン酸ジルコン酸鉛、チタン酸ストロンチウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ビスマスバリウムなどの無機粒子が好適である。誘電性粒子としては、これらの一種を単独で、あるいは二種以上を混合して用いることができる。なかでも、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛などの強誘電体の粒子が好適である。強誘電体粒子に分極処理を施すことにより、圧電性を発現させることができる。これにより、基材の変形量だけでなく、変形時の加速度も測定することができる。
保護層のエラストマーは、柔軟性、引張永久歪みなどを考慮して選択すればよい。例えば、ウレタンゴムの他、シリコーンゴム、NBR、H−NBR、エチレン−プロピレン共重合ゴム、EPDM、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレンなどが挙げられる。
誘電層、保護層に含有される環動分子は、環状分子と、該環状分子の開口部を貫通し該環状分子に包接される直鎖状分子と、を持つ。環状分子の種類は、特に限定されない。例えば、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンなどが挙げられる。環状分子は、エラストマーの原料ポリマーと架橋するために、エポキシ基、グリシジル基、−OH、−SH、−NH、−COOH、−SOH、−POHなどの反応基を有することが望ましい。例えば、α−シクロデキストリンなどの−OHの一部を、他の反応基に置換してもよい。また、α−シクロデキストリンなどが化学修飾されていても構わない。化学修飾としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ヘキサノイル基、メチル基、エチル基、プロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、1,2−ジヒドロキシプロピル基、シクロヘキシル基、ブチルカルバモイル基、ヘキシルカルバモイル基、フェニル基、カプロラクトン基、アルコキシシラン基、アクリロイル基、メタクリロイル基、シンナモイル基などの反応基を、環状分子に結合させればよい。また、ポリカプロラクトンやポリカーボネートなどのポリマー鎖を、直接あるいは上記反応基を介して結合させてもよい。
直鎖状分子の種類は、特に限定されない。例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタ)アクリル酸、セルロース系樹脂(カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなど)、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリビニルメチルエーテル、ポリアミン、ポリエチレンイミン、カゼイン、ゼラチン、でんぷんなどの親水性ポリマーが挙げられる。なかでも、ポリエチレングリコールが好適である。
直鎖状分子の両末端には、環状分子が脱離しないように、封鎖基が配置されていてもよい。封鎖基としては、ジニトロフェニル基類、シクロデキストリン類、アダマンタン基類、トリチル基類、フルオレセイン類、シルセスキオキサン類、ピレン類、置換ベンゼン類、置換されていてもよい多核芳香族類、およびステロイド類などが挙げられる。
電極層のエラストマーは、柔軟性、誘電層に対する粘着性などを考慮して選択すればよい。例えば、アクリルゴムの他、シリコーンゴム、ウレタンゴム、ウレアゴム、フッ素ゴム、H−NBR、および各種の熱可塑性エラストマーが挙げられる。
電極層の導電材の種類は、特に限定されない。例えば、銀、金、銅、ニッケル、ロジウム、パラジウム、クロム、チタン、白金、鉄、およびこれらの合金などからなる金属粒子、酸化亜鉛、酸化チタンなどからなる金属酸化物粒子、チタンカーボネートなどからなる金属炭化物粒子、銀、金、銅、白金、およびニッケルなどからなる金属ナノワイヤ、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト、およびグラフェンなどの導電性炭素材料の中から、適宜選択すればよい。また、銀被覆銅粒子など、金属で被覆された粒子を用いてもよい。導電材としては、これらの一種を単独で、あるいは二種以上を混合して用いることができる。
センサの感度(S/N比)を向上させるという観点から、電極層の電極抵抗は小さい方が望ましい。具体的には、電極層の体積抵抗率は1×10Ω・cm以下、好ましくは1×10−1Ω・cm以下であるとよい。
基材とセンサ素子との密着性を向上させるという観点から、基材とセンサ素子とを熱で圧着したり、柔軟な粘着剤、接着剤などにより接着することが望ましい。また、センサ素子のセンシングに寄与しない部分を基材に縫い付けてもよい。
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
<誘電層の製造>
[誘電層1]
まず、反応容器にポリカーボネートジオール(旭化成ケミカルズ(株)「デュラノ−ル(登録商標)T5650J」、分子量800)を30.0質量部入れ、攪拌しながら減圧脱水を2時間実施した。次に、反応容器内を窒素置換した。それから、反応容器内にヘキサメチレンジイソシアネート(旭化成ケミカルズ(株)「デュラネート(登録商標)D201)46.6質量部、および1,4−フェニレンジイソシアナート(東京化成工業(株)製)6.05質量部を滴下し、窒素気流下100℃にて4時間攪拌して、イソシアネート末端プレポリマーAを合成した。続いて、ポリカーボネートジオール(同上)20.0質量部と、イソシアネート末端プレポリマーA18.6質量部と、トリエチレンジアミン0.01質量部と、を配合し、攪拌後に減圧脱泡して、ウレタン反応液を調製した。調製したウレタン反応液をPET製の基板上に塗布し、乾燥させた後、150℃で3時間加熱して、幅25mm、長さ50mmの短冊状の誘電層1を製造した。誘電層の幅および長さは、以下の誘電層2〜5においても同じである。
[誘電層2]
ポリカーボネートジオール(同上)20.0質量部と、水酸基を有する修飾ポリロタキサン(アドバンスト・ソフトマテリアルズ(株)製「SH3400P」)2.2質量部と、合成したイソシアネート末端プレポリマーA19.7質量部と、トリエチレンジアミン0.01質量部と、を配合し、攪拌後に減圧脱泡して、ウレタン反応液を調製した。水酸基を有する修飾ポリロタキサンの環状分子はα−シクロデキストリン、直鎖状分子はポリエチレングリコール、封鎖基はアダマンタン基である。調製したウレタン反応液をPET製の基板上に塗布し、乾燥させた後、150℃で3時間加熱して短冊状の誘電層2を製造した。
[誘電層3]
ポリカーボネートジオール(同上)20.0質量部と、水酸基を有する修飾ポリロタキサン(同上)5.0質量部と、合成したイソシアネート末端プレポリマーA21.0質量部と、トリエチレンジアミン0.01質量部と、を配合し、攪拌後に減圧脱泡して、ウレタン反応液を調製した。調製したウレタン反応液をPET製の基板上に塗布し、乾燥させた後、150℃で3時間加熱して短冊状の誘電層3を製造した。
[誘電層4]
誘電層3の製造に使用したウレタン反応液に、チタン酸バリウム粉末(堺化学工業(株)「KZM50」)をウレタンポリマー100質量部に対して20質量部加え、3本ロールで分散した。この反応液を、PET製の基板上に塗布し、乾燥させた後、150℃で3時間加熱して短冊状の誘電層4を製造した。
[誘電層5]
まず、カルボキシル基変性水素化ニトリルゴム(ランクセス社製「テルバン(登録商標)XT8889」)を、アセチルアセトンに溶解して、固形分濃度が12質量%のポリマー溶液を調製した。次に、調製したポリマー溶液に、架橋剤として有機金属化合物のテトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタンを、ポリマー分100質量部に対して5質量部混合した。続いて、この溶液にチタン酸バリウム粉末の分散液を加えて、原料液を調製した。チタン酸バリウム粉末の分散液は、ポリマー分100質量部に対してチタン酸バリウム粉末が80質量部になるように加えた。それから、調製した原料液をPET製の基板上に塗布し、乾燥させた後、150℃で1時間加熱して短冊状の誘電層5を製造した。
チタン酸バリウム粉末の分散液は、次のようにして製造した。まず、チタン酸バリウム粉末(戸田工業(株)製「BT−TO−020RF」)を溶剤のアセチルアセトンに加えて予備分散液を調製した。次に、予備分散液を湿式ビーズミル(ウィリー・エ・バッコーフェン社製「リサーチラボ」、使用メディア径:0.1mm)を用いてメカノケミカル処理した。処理後の液を、フィルター((株)ロキテクノ製「LPJ−MPX−006−N2」)に通して分散液とした。
製造した誘電層の材料および物性を表1に示す。表1中、比誘電率、切断時伸び、引張永久歪み、弾性率の測定方法は、以下の通りである。切断時伸び、引張永久歪み、弾性率の測定方法については、後述する電極層、保護層においても同じである。
[比誘電率]
誘電層をサンプルホルダー(ソーラトロン社製、12962A型)に設置し、誘電率測定インターフェイス(同社製、1296型)および周波数応答アナライザー(同社製、1255B型)を併用して、比誘電率を測定した(周波数100Hz)。
[切断時伸び]
JIS K 6251:2010に規定される引張試験を行い、切断時伸びを算出した。試験片の形状はダンベル状5号形とした。
[引張永久歪み]
JIS K 6273:2006に規定される短冊状試験片を用いた定伸長引張永久歪み試験を、試験片に与える伸び50%、試験温度50℃、試験時間20時間という条件で行い、引張永久歪みを算出した。
[弾性率]
JIS K 7127:1999に規定される引張試験を行い、得られた応力−伸び曲線から弾性率を算出した。試験片の形状は試験片タイプ2とした。
Figure 2016153729
<電極層の製造>
[電極層1]
まず、アクリルゴムポリマー(日本ゼオン(株)製「Nipol(登録商標)AR42W」)100質量部と、架橋剤のイソホロンジアミン0.25質量部と、をロール練り機で混合し、混合物を調製した。次に、混合物を、溶剤のエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートに溶解して、ポリマー溶液を調製した。続いて、調製したポリマー溶液に、カーボンナノチューブ(昭和電工(株)製「VGCF(登録商標)」、繊維径150nm、長さ10μm)35質量部と、導電性カーボンブラック(ケッチェンブラックインターナショナル社製「ケッチェンブラックEC300J」)18質量部と、分散剤としてアミノ基を含む高分子化合物(ビックケミー・ジャパン(株)製「BYK−185」)20質量部と、を添加して、三本ロールで混練りして導電塗料を調製した。そして、導電塗料をPET製の基板上にバーコート法により塗布し、乾燥させた後、150℃で1時間加熱して、幅15mm、長さ40mmの短冊状の電極層1を製造した。製造した電極層1の体積抵抗率は0.05Ω・cmであった。体積抵抗率については、JIS K6271:2008に規定される平行端子電極法に準じて測定した。測定は、直流電圧100Vを印加して行った。
製造した電極の材料および物性を表2に示す。
Figure 2016153729
<保護層の製造>
[保護層1]
シリコーンゴム(信越化学工業(株)製「KE1935」)のA液とB液とを同じ質量で混合し、真空脱泡して気泡を抜いた後、150℃で30分間プレス成形した。これを150℃で4時間熱処理し、幅25mm、長さ50mmの短冊状の保護層1を製造した。保護層の幅および長さは、以下の保護層2〜7においても同じである。
[保護層2]
まず、反応容器にポリカーボネートジオール(同上)を30.0質量部入れ、攪拌しながら減圧脱水を2時間実施した。次に、反応容器内を窒素置換した。それから、反応容器内にヘキサメチレンジイソシアネート(同上)21.9質量部、および1,4−フェニレンジイソシアナート(同上)10.0質量部を滴下し、窒素気流下100℃にて4時間攪拌して、イソシアネート末端プレポリマーBを合成した。続いて、ポリカーボネートジオール(同上)20.0質量部と、イソシアネート末端プレポリマーB18.6質量部と、トリエチレンジアミン0.01質量部と、を配合し、攪拌後に減圧脱泡して、ウレタン反応液を調製した。調製したウレタン反応液をPET製の基板上に塗布し、乾燥させた後、150℃で3時間加熱して短冊状の保護層2を製造した。
[保護層3]
誘電層2と同様にして保護層3を製造した。
[保護層4]
シリコーンゴムを、信越化学工業(株)製「KE1950−10」に変更した以外は、保護層1と同様にして保護層4を製造した。
[保護層5]
まず、反応容器にポリカーボネートジオール(同上)を30.0質量部入れ、攪拌しながら減圧脱水を2時間実施した。次に、反応容器内を窒素置換した。それから、反応容器内にヘキサメチレンジイソシアネート(同上)85.0質量部を滴下し、窒素気流下100℃にて4時間攪拌して、イソシアネート末端プレポリマーCを合成した。続いて、ポリカーボネートジオール(同上)20.0質量部と、水酸基を有する修飾ポリロタキサン(同上)2.2質量部と、イソシアネート末端プレポリマーC19.7質量部と、トリエチレンジアミン0.01質量部と、を配合し、攪拌後に減圧脱泡して、ウレタン反応液を調製した。調製したウレタン反応液をPET製の基板上に塗布し、乾燥させた後、150℃で3時間加熱して短冊状の保護層5を製造した。
[保護層6]
誘電層3と同様にして保護層6を製造した。
[保護層7]
誘電層1と同様にして保護層7を製造した。
製造した保護層の材料および物性を表3に示す。
Figure 2016153729
<変形量測定構造体の製造>
誘電層、電極層、保護層を適宜組み合わせて、次のようにしてセンサ素子を製造した。まず、誘電層の厚さ方向の二面(上面および下面)に各々電極層を配置して、ラミネーター(フジプラ(株)製「LPD3223」)を用いて誘電層と電極層とを圧着した。次に、電極層に保護層を積層して、ラミネーター(同上)を用いて保護層と電極層とを圧着した。なお、シリコーンゴム製の保護層(保護層1、保護層4)を用いる場合には、前処理としてエキシマ処理を施してから電極層と圧着した。エキシマ処理には、浜松ホトニクス(株)製エキシマランプ光源「FLAT EXCIMER」を使用した。
得られたセンサ素子と基材とを接着剤により接着し、さらに周囲を縫い付けて、変形量測定構造体を製造した。保護層を備えるセンサ素子は、基材側から順に、保護層/電極層/誘電層/電極層/保護層という構成を有しており(前出図2参照)、保護層を備えないセンサ素子(後出の表4中、実施例9)は、基材側から順に、電極層/誘電層/電極層(前出図4参照)という構成を有している。
使用した基材は以下の通りである。基材のばね定数は、基材をセンサ素子の長手方向と同方向に伸長した場合の荷重−変位特性における0〜10%伸びまでの傾きである。
[基材1]
アズワン(株)から販売されている商品「ワンサポーター」(引張永久歪み3%、ばね定数315N)。
[基材2]
三ツ星靴下(株)製「べスケア弾性ストッキング」(引張永久歪み6%、ばね定数580N)。
[基材3]
アキレス(株)製の軟質ポリウレタンフォーム「OY」(引張永久歪み18%、ばね定数30N)。
[基材4]
保護層2と同じウレタンゴム(引張永久歪み9%、ばね定数56N)。
<変形量測定構造体の評価>
製造した変形量測定構造体について、基材を変形させる前の初期の静電容量を測定した。それから、基材を長手方向に繰り返し伸縮させた。具体的には、20%伸長−復元というサイクルを10万回繰り返した。その後再び静電容量を測定し、初期の静電容量に対する変化率を算出した。
表4〜表6に、製造した変形量測定構造体の構成と、静電容量の測定結果と、を示す。表4および表5には、実施例の変形量測定構造体を、表6には比較例の変形量測定構造体を示す。表4〜表6中、各層の断面積は、短手方向の断面積(幅×厚さ)である。電極層における弾性率と断面積との積(EeSe)は、センサ素子を構成する2層分の値である。保護層における弾性率と断面積との積(EcSc)も、センサ素子を構成する保護層2層分の値である。
Figure 2016153729
Figure 2016153729
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表4および表5において、実施例1〜8、10〜12の変形量測定構造体を構成するセンサ素子は、保護層を有する。このうち、実施例1〜3においては、誘電層の引張永久歪みは10%を超えているが、保護層の引張永久歪みは10%以下である。加えて(EeSe+EySy)<EcScを満足する。このため、保護層により誘電層の耐へたり性を補うことができ、後述する比較例1、2と比較して、伸縮を繰り返しても静電容量の変化率は小さくなった。実施例12においては、(EeSe+EySy)<EcScを満足しないものの、保護層の引張永久歪みは10%以下である。加えて、基材1の引張永久歪みは10%以下であり、伸縮方向における基材1のばね定数は同方向におけるセンサ素子のばね定数よりも大きい。このため、比較例1、2と比較して、伸縮を繰り返しても静電容量の変化率は小さくなった。
前出表1に示すように、ポリロタキサンを介した架橋構造を有するエラストマーを含む誘電層2〜4においては、引張永久歪みが10%以下になった。誘電層4においては、誘電性粒子を含んでいても、引張永久歪みが10%以下になった。このうち、誘電層3を備える実施例5、10においては、保護層の引張永久歪みは10%を超えているが、誘電層の引張永久歪みは10%以下である。加えて(EeSe+EcSc)<EySyを満足する。このため、誘電層により保護層の耐へたり性を補うことができ、比較例1、2と比較して、伸縮を繰り返しても静電容量の変化率は小さくなった。また、実施例4、6、7においては、保護層および誘電層の両方の引張永久歪みが10%以下である。加えてEeSe<(EcSc+EySy)を満足する。この場合、静電容量の変化率はより小さく5%以下になった。また、誘電性粒子を含む誘電層4、5を備える実施例7、8においても、誘電層および保護層、あるいは保護層のみの耐へたり性が高いため、静電容量の変化率は小さくなった。
実施例11においては、誘電層および保護層の引張永久歪みがいずれも10%を超えている。また、誘電層のエラストマーは、ポリロタキサンを介した架橋構造を有しない。しかし、基材1の引張永久歪みは10%以下であり、伸縮方向における基材1のばね定数は同方向におけるセンサ素子のばね定数よりも大きい。このため、比較例1、2と比較して、伸縮を繰り返しても静電容量の変化率は小さくなった。
実施例9の変形量測定構造体を構成するセンサ素子は、保護層を有しない。しかし、誘電層3のエラストマーはポリロタキサンを介した架橋構造を有する。このため、誘電層3の引張永久歪みは10%以下であり、誘電層3の耐へたり性が高い。また、伸縮方向における基材のばね定数は、同方向におけるセンサ素子のばね定数よりも大きい(約3.8倍)。したがって、実施例9の変形量測定構造体においても、比較例1、2と比較して、静電容量の変化率は小さくなった。
一方、表6に示すように、比較例1、2の変形量測定構造体は、実施例11の変形量測定構造体と同じセンサ素子を備える。しかし、比較例1の変形量測定構造体を構成する基材3の引張永久歪みは10%より大きい。加えて、伸縮方向における基材3のばね定数は同方向におけるセンサ素子のばね定数よりも小さい。このため、伸縮を繰り返した後の静電容量の変化率は17%になった。比較例2の変形量測定構造体を構成する基材4の引張永久歪みは10%以下である。しかし、伸縮方向における基材4のばね定数は同方向におけるセンサ素子のばね定数よりも小さい。このため、伸縮を繰り返した後の静電容量の変化率は15%になった。
変形前後における静電容量の変化率が小さいと、基材の伸びまたは曲げによる変形量を繰り返し精度良く測定することができる。静電容量の変化率が小さいものほど、高いセンシング精度が要求される用途に用いることができる。例えば、20%伸長−復元を10万回繰り返した場合の静電容量変化率は、12%以下であることが望ましい。10%以下、さらには5%以下であるとより好適である。
本発明の変形量測定構造体は、例えば、ウエアラブルデバイス、パワードスーツ、パワーアシスト装置、介護用、産業用のロボットなどに好適である。
1:変形量測定構造体、10:基材、11:センサ素子、12:誘電層、13a、13b:電極層、14a、14b:保護層。
2:変形量測定構造体、20:基材、21:センサ素子、22:誘電層、23a、23b:電極層。
3:変形量測定構造体、30:基材、31:センサ素子、32:誘電層、33a、33b:電極層、34a:保護層。

Claims (8)

  1. 伸び変形または曲げ変形する基材と、
    該基材の表面に配置され、エラストマーを含む誘電層と、該誘電層を挟んで配置されエラストマーおよび導電材を含む一対の電極層と、一対の該電極層の少なくとも一方の表面に配置されエラストマーを含む保護層と、を有し、該基材の変形に追従して伸縮するセンサ素子と、を備え、
    該誘電層および該保護層の少なくとも一方の引張永久歪みは10%以下であり、
    該センサ素子から出力される静電容量の変化に基づいて、該基材の伸びまたは曲げによる変形量を測定することを特徴とする変形量測定構造体。
  2. 前記センサ素子における前記誘電層、前記電極層、および前記保護層の各々の弾性率と断面積とが、次式(I)、(II)、(III)のいずれかを満たす請求項1に記載の変形量測定構造体。
    (i)該誘電層および該保護層のうち該保護層のみの引張永久歪みが10%以下である場合
    (EeSe+EySy)<EcSc ・・・(I)
    (ii)該誘電層および該保護層のうち該誘電層のみの引張永久歪みが10%以下である場合
    (EeSe+EcSc)<EySy ・・・(II)
    (iii)該保護層および該誘電層の引張永久歪みがいずれも10%以下である場合
    EeSe<(EcSc+EySy) ・・・(III)
    [Ee:電極層の弾性率、Se:電極層の断面積、Ey:誘電層の弾性率、Sy:誘電層の断面積、Ec:保護層の弾性率、Sc:保護層の断面積]
  3. 前記誘電層および前記保護層の少なくとも一方の前記エラストマーは、環状分子と、該環状分子の開口部を貫通し該環状分子に包接される直鎖状分子と、を持つ環動分子を介した架橋構造を有し、該エラストマーのポリマー鎖の少なくとも一部は該環状分子と架橋しており、該環状分子が該直鎖状分子に沿って動くことにより架橋点が移動するものである請求項1または請求項2に記載の変形量測定構造体。
  4. 伸び変形または曲げ変形する基材と、
    該基材の表面に配置され、エラストマーを含む誘電層と、該誘電層を挟んで配置されエラストマーおよび導電材を含む一対の電極層と、を有し、該基材の変形に追従して伸縮するセンサ素子と、を備え、
    該誘電層の該エラストマーは、環状分子と、該環状分子の開口部を貫通し該環状分子に包接される直鎖状分子と、を持つ環動分子を介した架橋構造を有し、該エラストマーのポリマー鎖の少なくとも一部は該環状分子と架橋しており、該環状分子が該直鎖状分子に沿って動くことにより架橋点が移動するものであり、
    該センサ素子から出力される静電容量の変化に基づいて、該基材の伸びまたは曲げによる変形量を測定することを特徴とする変形量測定構造体。
  5. 伸び変形または曲げ変形する基材と、
    該基材の表面に配置され、エラストマーを含む誘電層と、該誘電層を挟んで配置されエラストマーおよび導電材を含む一対の電極層と、を有し、該基材の変形に追従して伸縮するセンサ素子と、を備え、
    該基材の引張永久歪みは10%以下であり、
    該基材および該センサ素子を、各々面方向において同じ一方向に伸長した場合に、該基材のばね定数は該センサ素子のばね定数よりも大きく、
    該センサ素子から出力される静電容量の変化に基づいて、該基材の伸びまたは曲げによる変形量を測定することを特徴とする変形量測定構造体。
  6. 前記センサ素子は、さらに、一対の前記電極層の少なくとも一方の表面に配置されエラストマーを含む保護層を有する請求項5に記載の変形量測定構造体。
  7. 前記誘電層の比誘電率は、5以上である請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の変形量測定構造体。
  8. 前記誘電層は、誘電性粒子を含む請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の変形量測定構造体。
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