以下、実施形態の粘着テープ及び紙葉類の綴じ方法を、図面を参照して説明する。なお以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。
ここで、X方向、Y方向、及びZ方向を定義する。X方向及びY方向は、粘着テープの表面に沿う方向である。X方向は、「第1方向」の一例である。X方向は、粘着テープの幅方向である。Y方向は、「第2方向」の一例である。Y方向は、粘着テープの長さ方向である。Y方向は、X方向に交差する(例えば略直交する)方向である。Z方向は、粘着テープの厚さ方向である。Z方向は、X方向及びY方向に交差する(例えば略直交する)方向である。
(第1の実施形態)
図1から図10を参照して、第1の実施形態の粘着テープ1及び紙葉類の綴じ方法を説明する。図1は、粘着テープ1の構成例を示す断面図である。図1に示すように、粘着テープ1は、粘着層11、保護フィルム(基材)12、及び剥離フィルム13を有する。
なお本願では、説明の便宜上、粘着テープ1の使用時に粘着面を露出させるために剥がされるフィルムを「剥離フィルム」と称する。一方で、粘着テープ1の使用状態においても粘着層11を保護するフィルムを「保護フィルム」と称する。これら「剥離フィルム」及び「保護フィルム」との名称は、両者を区別するために便宜上付けられたものである。
そのため、これらフィルム12,13は、別の名称で称されるものでもよい。
また本願でいう「フィルム」とは、後述する紙葉類との区別のために付された名称である。このため「フィルム」との用語は、シート状の部材を幅広く意味し、その材料が合成樹脂材に限定されるものではない。本願でいう「フィルム」は、「シート部材」と称されてもよい。
まず、粘着層11について説明する。
図2は、粘着テープ1の使用状態を示す断面図である。図2に示すように、粘着テープ1は、剥離フィルム13を剥離した上で、粘着層11を被着体Aに貼り付けて使用される。詳しく述べると、粘着層11は、粘着面(取付面)11sを有する。粘着面11sは、被着体Aに接着される。これにより、粘着層11が被着体Aに接着される。
ここで、被着体Aは、特に限定されない。被着体Aは、紙材、木材、布材、合成樹脂材、金属材など、種々の部材が広く該当する。例えば、被着体Aは、紙葉類である。なお本願でいう「紙葉類」とは、シート状の部材を幅広く意味する。例えば、紙葉類は、画像が印刷された(または印刷される)シート状の記録媒体(以下、シートという)である。例えば、紙葉類は、紙製または合成樹脂製のシートである。
一方で、粘着層11は、引き伸ばされることで被着体Aから剥離可能な性質を持つ。例えば、粘着層11は、被着体Aの表面(被着面)と略平行な方向に引き伸ばされることで、被着体Aから剥離可能である。例えば、粘着層11は、図2中のY方向に引き伸ばされることで、被着体Aから剥離可能である。
粘着層11の材料は、特に限定されない。例えば、粘着層11は、共同技研化学株式会社のメークリンゲル(登録商標) (Mayclean gel)で形成される。なお、粘着層11は、共同技研化学株式会社のルネサスゲル(Renesas gel)で形成されてもよい。また粘着層11は、スリーエムカンパニーのコマンド(COMMAND)(登録商標)タブと同様の材料で形成されてもよい。
粘着層11の厚さは、特に限定されない。例えば、粘着層11の厚さは、10μm〜500μmである。具体的な一例では、粘着層11の厚さは、300μmである。
次に、保護フィルム12について説明する。
図1に示すように、保護フィルム12は、粘着層11の片面側に設けられ、粘着層11を保護する。保護フィルム12は、粘着層11に重ねられる。これにより、保護フィルム12は、粘着層11を覆う。なお本願でいう「保護フィルム12は、粘着層11の片面側に設けられる(重ねられる、覆う)」とは、保護フィルム12が粘着層11に直接に接する場合に限定されない。「保護フィルム12は、粘着層11の片面側に設けられる(重ねられる、覆う)」とは、保護フィルム12と粘着層11との間に他の部材が介在する場合も含む。なお、保護フィルム12と粘着層11との間に他の部材が介在する場合の例は、第3の実施形態として後述する。
保護フィルム12の材料は、特に限定されない。例えば、保護フィルム12は、合成樹脂製のシートである。具体的な一例では、保護フィルム12は、PET(Poly Ethylene Terephthalate)で形成される。なお、保護フィルム12は、紙材または布材(例えば不織布)などで形成されてもよい。
保護フィルム12の厚さは、特に限定されない。例えば、保護フィルム12の厚さは、3μm〜100μmである。具体的な一例では、保護フィルム12の厚さは、15μmである。
図3は、保護フィルム12の平面図である。図3に示すように、保護フィルム12は、第1端部(第1側部、第1縁部)12aと、第2端部(第2側部、第2縁部)12bとを有する。第1端部12a及び第2端部12bは、保護フィルム12のX方向の両端部である。
また、保護フィルム12は、第3端部12cと、第4端部12dとを有する。第3端部12c及び第4端部12dは、保護フィルム12のY方向の両端部である。なおここで、中心線Cを定義する。中心線Cは、保護フィルム12をY方向に横切る。中心線Cは、保護フィルム12のX方向の中央を通る。
次に、保護フィルム12に設けられる切れ目について説明する。
本願では、説明の便宜上、保護フィルム12の厚さ方向(Z方向)において保護フィルム12を貫通する切れ目を「スリット」と称する。一方、保護フィルム12の厚さ方向において保護フィルム12を貫通しない切れ目を「溝」と称する。本実施形態は、保護フィルム12に複数のスリットが設けられる例である。
なお本願でいう「スリット」とは、保護フィルム12に設けられる貫通した切れ込みを幅広く意味する。すなわち、本願でいう「スリット」は、空隙を有するスリットに限定されない。本願でいう「スリット」は、空隙を有しないスリットでもよい。なお「空隙を有するスリット」とは、スリットが設けられた部位に空間的な隙間(孔)が形成されるものである。「空隙を有しないスリット」とは、スリットが設けられた部位に空間的な隙間が実質的に形成されない(切断面のみが存在する)ものである。すなわち「空隙を有しないスリット」とは、スリットの両側に位置する2つの面が、スリットを閉じるように互いに接するものである。
図3に示すように、本実施形態では、保護フィルム12は、複数の中央スリット21と、複数の端部スリット22とを有する。中央スリット21は、「第1切れ目」及び「第1スリット」のそれぞれ一例である。端部スリット22は、「第2切れ目」及び「第2スリット」のそれぞれ一例である。なおここで、「中央スリット」及び「端部スリット」との名称は、両者を区別するために便宜上付けられたものである。そのため、これら名称は、これらスリットの形状や構成を特に限定するものではない。
中央スリット21は、少なくとも一部がX方向に延びている。例えば、中央スリット21は、その全長に亘ってX方向に直線状に延びている。中央スリット21は、第1端部21aと第2端部21bとを有する。第1端部21a及び第2端部21bは、中央スリット21のX方向の両端部である。中央スリット21の第1端部21a及び第2端部21bは、保護フィルム12のX方向の両端部12a,12bより内側に配置される。すなわち、中央スリット21は、保護フィルム12のX方向の両端部12a,12bから離れている。中央スリット21のX方向の両端部21a,21bは、保護フィルム12のX方向の両端部12a,12bまで達していない。
これにより、保護フィルム12は、第1接続部(第1非切断部)31と、第2接続部(第2非切断部)32とを有する。
第1接続部31は、中央スリット21の第1端部21aと保護フィルム12の第1端部12aとの間に位置する。第1接続部31では、Y方向において保護フィルム12が連続している。
第2接続部32は、中央スリット21の第2端部21bと保護フィルム12の第2端部12bとの間に位置する。第2接続部32では、Y方向において保護フィルム12が連続している。
同様に、端部スリット22は、少なくとも一部がX方向に延びている。例えば、端部スリット22は、その全長に亘ってX方向に直線状に延びている。ただし、端部スリット22は、保護フィルム12の第1端部12a及び第2端部12bのいずれか一方に達する。
より詳しく述べると、複数の端部スリット22は、第1群G1に属する端部スリット22Aと、第2群G2に属する端部スリット22Bとを含む。
第1群G1の端部スリット22Aは、保護フィルム12の第1端部12aと中心線Cとの間に配置される。端部スリット22Aは、保護フィルム12の第1端部12aに達する。ただし、端部スリット22Aは、保護フィルム12のX方向の中央には達しない。
第2群G2の端部スリット22Bは、保護フィルム12の第2端部12bと中心線Cとの間に配置される。端部スリット22Bは、保護フィルム12の第2端部12bに達する。ただし、端部スリット22Bは、保護フィルム12のX方向の中央には達しない。
端部スリット22Aと、端部スリット22Bとは、X方向において互いに略同一直線上に位置する。端部スリット22Aと、端部スリット22Bとは、互いに略同じ形状を有する。例えば、端部スリット22Aと、端部スリット22Bとは、互いに略同じ長さを有する。
端部スリット22Aと、端部スリット22Bとは、X方向において、互いに離れている。これにより、保護フィルム12は、第3接続部(第3非切断部)33を有する。第3接続部33は、端部スリット22Aと、端部スリット22Bとの間に位置する。第3接続部33では、Y方向において保護フィルム12が連続している。
本実施形態では、複数の中央スリット21及び複数の端部スリット22は、Y方向において交互に配置される。端部スリット22は、Y方向において中央スリット21と並ぶ部分R1を含む。
次に、粘着テープ1の厚さ方向におけるスリット21,22の形状について説明する。
図4は、図3中に示された粘着テープ1のF4−F4線に沿う断面図である。図4に示すように、保護フィルム12は、第1面41と、第2面42とを有する。第1面41は、粘着層11側に位置する。第2面42は、第1面41とは反対側に位置する。第2面42は、粘着テープ1の外表面の一部を形成する。
本実施形態では、中央スリット21及び端部スリット22は、保護フィルム12の厚さ方向(Z方向)において保護フィルム12を貫通している。すなわち、中央スリット21及び端部スリット22は、第2面42側から保護フィルム12に形成される。そして中央スリット21及び端部スリット22は、第1面41に達する。中央スリット21及び端部スリット22は、例えばレーザーカッターで形成される。
中央スリット21及び端部スリット22は、保護フィルム12と粘着層11とが一体に合わされた後に、形成される。この場合、中央スリット21及び端部スリット22の先端は、粘着層11に入り込んでもよい。なお、中央スリット21及び端部スリット22は、保護フィルム12と粘着層11とが一体に合わされる前に、形成されてもよい。
図5は、保護フィルム12の引き伸ばされた状態を示す。図5に示すように、本実施形態の保護フィルム12は、上記の中央スリット21及び端部スリット22を有することで、Y方向に引き伸ばし可能である。具体的には、保護フィルム12は、粘着層11が引き伸ばされるときに、粘着層11と一緒に引き伸ばし可能である。保護フィルム12は、粘着層11がY方向に引き伸ばされるとき、中央スリット21及び端部スリット22のY方向の幅が大きくなることで、Y方向に引き伸ばし可能である。
より詳しく述べると、中央スリット21は、粘着層11がY方向に引き伸ばされるとき、中心線Cの近くで大きく開く。ただし、中央スリット21は、保護フィルム12のX方向の端部12a,12bの近くではあまり大きく開かない。言い換えると、保護フィルム12の中央スリット21は、中心線Cの近くにおいて保護フィルム12のX方向の端部12a,12bよりも大きく開く。
一方で、端部スリット22は、粘着層11がY方向に引き伸ばされるとき、保護フィルム12のX方向の端部12a,12bの近くで大きく開く。ただし、端部スリット22は、中心線Cの近くではあまり大きく開かない。言い換えると、保護フィルム12の端部スリット22は、X方向の端部12a,12bにおいて中心線Cの近くよりも大きく開く。
上記のような中央スリット21と端部スリット22とが交互に配置されることで、保護フィルム12は、全体として鎖状に変形してY方向に伸びる。
ここで、例えば、保護フィルム12は、粘着層11が被着体Aから剥離するまで、粘着層11と一体である。なお、保護フィルム12は、粘着層11と一緒に一定量だけ引き伸ばされた後、粘着層11が被着体Aから剥離する前に、粘着層11から剥離してもよい。
また別の観点では、保護フィルム12は、該保護フィルム12の一部が引きちぎられることで、粘着層11と一緒に引き伸ばされてもよい。例えば、図5に示すように、保護フィルム12の第1から第3の接続部31,32,33には、保護フィルム12が引き伸ばされるときに応力集中が生じる。保護フィルム12は、粘着層11と一緒に引き伸ばされるとき、これら接続部31,32,33の一部または全部が引きちぎられることで、粘着層11と一緒に引き伸ばされてもよい。
次に、剥離フィルム13について説明する。
図1に示すように、剥離フィルム13は、粘着層11に対して、保護フィルム12とは反対側に位置する。剥離フィルム13は、粘着テープ1の使用前に、粘着層11の粘着面11sを覆う。剥離フィルム13は、粘着テープ1の使用時に、粘着層11から取り外される。これにより、粘着面11sが粘着テープ1の外部に露出する。これにより、粘着層11が被着体Aに接着可能になる。なお、剥離フィルム13は、粘着テープ1がロール状で提供される場合は、省略されてもよい。
剥離フィルム13の材料は、特に限定されない。例えば、剥離フィルム13は、紙製または合成樹脂製のシートである。
剥離フィルム13の厚さは、特に限定されない。例えば、剥離フィルム13の厚さは、50μm〜200μmである。具体的な一例では、剥離フィルム13の厚さは、100μmである。
次に、粘着テープ1を用いた紙葉類の綴じ方法の一例について説明する。
図6は、粘着テープ1によって綴じられる紙葉類の束50を示す平面図である。本実施形態の綴じ方法では、まず、複数の紙葉類51を互いに重ねる。これにより、紙葉類51の束50が作られる。
ここで、紙葉類の束50について詳しく説明する。
図7は、紙葉類の束50を示す断面図である。図7に示すように、紙葉類の束50は、第1紙葉類51Aと、第2紙葉類51Bと、第3紙葉類51Cとを含む。
第1紙葉類51Aは、複数の紙葉類51のうち、最前面(図7中の最上面)に位置する。第1紙葉類51Aは、紙葉類の束50の表紙を形成する。
第2紙葉類51Bは、第1紙葉類51Aとは反対側に位置する。すなわち、第2紙葉類51Bは、複数の紙葉類51のうち、最後面(図7中の最下面)に位置する。第2紙葉類51Bは、紙葉類の束50の裏表紙を形成する。
第3紙葉類51Cは、複数の紙葉類51のうち、第1紙葉類51Aと第2紙葉類51Bとの間に位置する。第3紙葉類51Cは、紙葉類の束50の中間頁を形成する。第3紙葉類51Cは、1枚でもよく、複数枚でもよい。また第3紙葉類51Cは、無くてもよい。
すなわち、紙葉類の束50は、第1紙葉類51Aと第2紙葉類51Bのみによって形成されてもよい。
また別の観点で見ると、紙葉類の束50は、第1面50aと、第2面50bと、側部50cとを有する。第1面50aは、第1紙葉類51Aによって形成される。第2面50bは、第2紙葉類51Bによって形成される。第2面50bは、第1面50aとは反対側に位置する。側部50cは、第1面50aと第2面50bとの間に位置する。側部50cは、複数の紙葉類51の側面によって形成される。例えば、紙葉類の束50が第3紙葉類51Cを有する場合、側部50cは、第1紙葉類51A、第2紙葉類51B、及び第3紙葉類51Cの側面によって形成される。なお、紙葉類の束50が第3紙葉類51Cを有しない場合、側部50cは、第1紙葉類51A及び第2紙葉類51Bの側面によって形成される。
ここで、図6及び図7に示すように、紙葉類の束50は、一つの縁部61を有する。図7に示すように、本実施形態の綴じ方法では、複数の紙葉類51は、上記の縁部61において、互いに少しずつずらされる。
この場合、上記の紙葉類の束50の側部50cは、複数の紙葉類51の側面と、隣の紙葉類51に対してずらされることで隣の紙葉類51に重ならない紙葉類51の表面とによって形成される。すなわち、紙葉類の束50の側部50cは、図7に示すように、階段状に形成される。この場合、側部50cが直線状に形成される場合に比べて、側部50cの粘着層11に接触する表面積が増加する。
次に、紙葉類の束50に粘着テープ1を取り付ける方法を説明する。
図6に示すように、本実施形態の綴じ方法では、粘着テープ1のY方向を、紙葉類の束50の縁部61の縁辺61aに交差させる。例えば、粘着テープ1のY方向を、紙葉類の束50の縁部61の縁辺61aに略直交させる。
そして、紙葉類の束50の縁部61において、束50の第1面50a、第2面50b、及び側部50cを粘着テープ1でとめる。すなわち、束50の第1面50a、第2面50b、及び側部50cの各々に粘着テープ1を接着させる。換言すれば、紙葉類の束50の縁部61を、粘着テープ1で3方向から包む。これにより、複数の紙葉類51が粘着テープ1によって綴じられる。
以上のように、粘着テープ1は、紙葉類の束50の縁部61に接着される。本実施形態では、紙葉類の束50の縁部61では、複数の紙葉類51が互いにずらされる。粘着テープ1は、階段状に形成された紙葉類の束50の側部50cに貼り付けられる。これにより本実施形態の綴じ方法では、第3紙葉類51Cと粘着テープ1との接着面積を大きくすることができる。
なお、図8は、本実施形態の紙葉類の綴じ方法の一つの変形例を示す。図8に示すように、紙葉類の束50の側部50cは、直線状に整えられてもよい。すなわち、紙葉類の束50の縁部61において、複数の紙葉類51は互いにずらされなくてもよい。このような構成においても、複数の紙葉類51を粘着テープ1によって綴じることができる。
次に、粘着テープ1の取り外し方法について説明する。
まず、粘着テープ1から第3紙葉類51Cを取り外す。
図9は、粘着テープ1から第3紙葉類51Cを取り外す方法を示す。図9に示すように、まず、第1紙葉類51Aと第2紙葉類51Bとを大きく開く。そして、第1紙葉類51Aと第2紙葉類51Bとの間から第3紙葉類51Cを取り外す。ここで、第3紙葉類51Cと粘着テープ1との接着面積は、第1紙葉類51Aまたは第2紙葉類51Bと粘着テープ1との接着面積に比べて小さい。そのため、粘着テープ1から離れる方向(例えば、図9におけるY方向、またはX方向及びY方向に交差する方向)に第3紙葉類51Cを少し強く引っ張ると、粘着テープ1から第3紙葉類51Cを容易に取り外すことができる。
なお、粘着テープ1から第3紙葉類51Cを取り外す前に(または取り外す作業と同時に)、粘着テープ1をY方向に引き伸ばすように第1紙葉類51Aと第2紙葉類51Bとを引っ張ってもよい。粘着テープ1がY方向に引き伸ばされると、粘着層11が引き伸ばされ、第3紙葉類51Cと粘着層11との接触面積が小さくなる。これにより、粘着テープ1から第3紙葉類51Cをさらに取り外しやすくすることができる。
次に、粘着テープ1から第1紙葉類51A及び第2紙葉類51Bを取り外す。
図10は、粘着テープ1から第1紙葉類51A及び第2紙葉類51Bを取り外す方法を示す。なお図10では、説明の便宜上、一つの粘着テープ1を模式的に拡大して示す。図10に示すように、第1紙葉類51Aと第2紙葉類51Bとを開いた状態で、粘着テープ1を指で押さえる。そして、粘着テープ1に対して第1紙葉類51A及び第2紙葉類51Bを同時または順次に外側に引っ張る。これにより、粘着層11がY方向に引き伸ばされる。このとき、本実施形態の粘着テープ1では、粘着層11と保護フィルム12とが一緒にY方向に引き伸ばされる。
粘着層11は、第1紙葉類51A及び第2紙葉類51Bに対して一定以上の量だけ引き伸ばされると、第1紙葉類51A及び第2紙葉類51Bから剥離する。これにより、粘着テープ1から第1紙葉類51A及び第2紙葉類51Bが取り外される。より詳しく述べると、粘着層11が引き伸ばされると、粘着層11と第1紙葉類51A及び第2紙葉類51Bとの間の粘着面積が徐々に減少する。これにより、粘着層11は、第1紙葉類51A及び第2紙葉類51Bの表面を傷つけることなく、第1紙葉類51A及び第2紙葉類51Bから剥離することができる。
以上のような構成によれば、被着体Aから容易に剥がすことができる粘着テープ1及びその粘着テープ1を用いた紙葉類の綴じ方法を提供することができる。
ここで比較のため、粘着層に比べて伸びにくい材料で保護フィルムが形成される場合を考える。この場合、粘着層を引き伸ばそうとしても、保護フィルムが粘着層の伸びを邪魔する可能性がある。そのため、粘着テープを被着体から取り外すとき、先に保護フィルムを粘着層から取り外す作業が必要になる可能性がある。粘着層から保護フィルムを先に取り外す作業は、煩雑になりやすい。そのため、上記のような粘着テープは、利便性の観点で改良の余地がある。
そこで、本実施形態の粘着テープ1は、引き伸ばされることで被着体Aから剥離可能な粘着層11と、粘着層11を保護する保護フィルム12とを備える。保護フィルム12は、少なくとも一部がX方向に延びた中央スリット21を有する。保護フィルム12は、X方向に交差するY方向に引き伸ばし可能である。
このような構成によれば、粘着層11を引き伸ばして被着体Aから剥離させるとき、粘着層11と保護フィルム12とを一緒に引き伸ばすことができる。これにより、粘着層11から保護フィルム12を先に取り外す必要がなくなる。すなわち、粘着層11から保護フィルム12を先に取り外すような煩雑な作業を省略することができる。これにより、ユーザーの利便性を高めることができる。
粘着テープ1は、Y方向において一定の強度(剛性)が期待される場合もある。例えば、紙葉類51を綴じた粘着テープ1が不意に伸びると、紙葉類51がバラバラになる可能性がある。
ここで、保護フィルム12のX方向の両端部12a,12bのいずれか一方に達するスリットが設けられると、保護フィルム12のY方向の強度が低下しやすい。その理由としては、保護フィルム12の端部に達するスリットが設けられると、保護フィルム12は、X方向においてスリットの片側に位置する領域のみでY方向の力を受けるためである。このため、Y方向の力が保護フィルム12の特定の領域に集中しやすい。このため、保護フィルム12のY方向の強度が低下しやすい。
一方で、本実施形態では、中央スリット21のX方向の両端部21a,21bは、保護フィルム12のX方向の両端部12a,12bより内側に配置される。このような構成によれば、保護フィルム12は、X方向においてスリットの両側に位置する複数の領域(第1及び第2の接続部31,32)でY方向の力を受けることができる。このため、Y方向の力が保護フィルム12の特定の領域に集中しにくい。このため、保護フィルム12のY方向の強度が低下しにくい。これにより、本実施形態の粘着テープ1は、Y方向において、伸びやすさに加えて一定の強度を確保することができる。なおこの場合でも、粘着テープ1の取り外し時には、粘着テープ1を強く引っ張り接続部31,32の一部または全部を引きちぎることで、粘着テープ1を確実に伸ばすことができる。
本実施形態では、保護フィルム12は、中央スリット21に加えて、端部スリット22を有する。端部スリット22は、少なくとも一部がX方向に延びている。端部スリット22は、保護フィルム12のX方向の両端部12a,12bのいずれか一方に達する。端部スリット22は、Y方向において中央スリット21と並ぶ部分R1を含む。
このような構成によれば、中央スリット21と端部スリット22との間の領域は、保護フィルム12が引き伸ばされるとき、X方向に対して斜めに変形する(例えば図5参照)。このため上記構成によれば、中央スリット21のみが設けられる場合、または端部スリット22のみが設けられる場合に比べて、保護フィルム12がY方向にさらに伸びやすくなる。さらに言えば、中央スリット21と端部スリット22とを併せ持つことで、Y方向における強度と伸びやすさを兼ね備えた粘着テープ1を提供することができる。
ここで、比較例として、保護フィルム12において複数の中央スリット21がY方向に連続して並ぶ場合を考える。この場合、保護フィルム12を大きく引き伸ばすためには、保護フィルム12を強く引っ張り接続部31,32の一部または全部を引きちぎる必要がある。
また別の比較例として、保護フィルム12において複数の端部スリット22がY方向に連続して並ぶ場合を考える。この場合も、保護フィルム12を大きく引き伸ばすためには、保護フィルム12を強く引っ張り接続部33の一部または全部を引きちぎる必要がある。
一方で、本実施形態の保護フィルム12は、中央スリット21及び端部スリット22をそれぞれ複数有する。複数の中央スリット21及び複数の端部スリット22は、Y方向において交互に配置される。このような構成によれば、交互に配置された中央スリット21及び端部スリット22がそれぞれ開くことで、保護フィルム12は、上述したように鎖状に伸びることができる。このため、接続部31,32,33を引きちぎらなくても、保護フィルム12の略全体が均等に伸びてくれる。このため、上記2つの比較例に対して、相対的に弱い力でも保護フィルム12を大きく引き伸ばすことができる。これは、ユーザーの利便性を高めるものである。
近年、紙葉類のリユース(再利用及び再生)を促進するため、金属製のステープルを用いない紙葉類の綴じ方法が要望されている。
そこで本実施形態の紙葉類の綴じ方法では、まず、複数の紙葉類51を重ねることで、紙葉類の束50を作る。そして、粘着テープ1のY方向を、紙葉類の束50の一縁部61の縁辺61aに交差させる。そして、紙葉類の束50の縁部61において、束50の第1面50a、第2面50b、及び側部50cを粘着テープ1でとめる。このような方法によれば、金属製のステープルを用いずに、複数の紙葉類51を容易に綴じることができる。
さらに、粘着テープ1は、紙葉類51を傷つけずに、紙葉類51から容易に取り外すことができる。このため、紙葉類51のリユースを促進することができる。
ここで、第3紙葉類51Cと粘着テープ1との間の接着強度は、第1紙葉類51Aまたは第2紙葉類51Bと粘着テープ1との間の接着強度に比べて、どうしても小さくなりやすい。
そこで本実施形態の綴じ方法では、紙葉類の束50の縁部61において、複数の紙葉類51が互いにずらされる。これにより、各第3紙葉類51Cと粘着テープ1との接着面積を増やすことができる。これにより、紙葉類の束50の中間頁を粘着テープ1によって強固に保持することができる。
次に、本実施形態の粘着テープ1の第1の変形例について説明する。
本変形例は、保護フィルム12に設けられる切れ目の深さが第1の実施形態とは異なる。なお、本変形例のその他の構成は、第1の実施形態の構成と同様である。そのため、第1の実施形態と同様の部分の説明は省略する。
上述したように、本願では、説明の便宜上、保護フィルム12の厚さ方向において保護フィルム12を貫通しない切れ目を「溝」と称する。本変形例は、保護フィルム12に複数の溝が設けられる例である。
なお本願でいう「溝」とは、保護フィルム12に設けられる貫通しない切れ込みを幅広く意味する。すなわち、本願でいう「溝」は、空隙を有する溝に限定されない。本願でいう「溝」は、空隙を有しない溝でもよい。なお「空隙を有する溝」とは、溝が設けられた部位に空間的な隙間(凹部)が形成されるものである。「空隙を有しない溝」とは、溝が設けられた部位に空間的な隙間が実質的に形成されない(切断面のみが存在する)ものである。すなわち「空隙を有しない溝」とは、溝の両側に位置する2つの面が、溝を閉じるように互いに接するものである。
図11は、第1の変形例の粘着テープ1の一部を拡大した断面図である。図11に示すように、本変形例の粘着テープ1は、複数の中央溝65と、複数の端部溝66とを有する。中央溝65は、「第1切れ目」及び「第1溝」のそれぞれ一例である。端部溝66は、「第2切れ目」及び「第2溝」のそれぞれ一例である。なおここで、「中央溝」及び「端部溝」との名称は、両者を区別するために便宜上付けられたものである。そのため、これら名称は、これら溝の形状や構成を特に限定するものではない。
中央溝65は、深さにおいて、第1の実施形態の中央スリット21と異なる。中央溝65は、配置位置及び平面形状において、中央スリット21と略同じである。
同様に、端部溝66は、深さにおいて、第1の実施形態の端部スリット22と異なる。
端部溝66は、配置位置及び平面形状において、端部スリット22と略同じである。
図11に示すように、中央溝65及び端部溝66は、第2面42側から保護フィルム12に形成される。そして、中央溝65及び端部溝66は、保護フィルム12の第1面41に達しない。すなわち、中央溝65及び端部溝66は、保護フィルム12の厚さの途中までしか形成されない。
このため、粘着層11と保護フィルム12との境界部において、保護フィルム12は、複数の溝65,66を越えてY方向に連続している。例えば、保護フィルム12は、Y方向の全長に亘って連続している。
換言すれば、保護フィルム12は、中央溝65及び端部溝66と粘着層11との間に、第4接続部(第4非切断部)34を有する。第4接続部34では、Y方向において保護フィルム12が連続する。なお、第4接続部34は、粘着層11が引き伸ばされるときに、第1乃至第3の接続部31,32,33と同様に、引きちぎられてもよい。
このような構成によれば、保護フィルム12に設けられたスリットを通して粘着層11が保護フィルム12の第2面42側にはみ出る可能性が無くなる。このため、粘着テープ1の表面がべとつくことが抑制される。このため、ユーザーの利便性をさらに高めることができる。なお、以下に説明する全ての実施形態、変形例、参考例、及び参考形態において、各スリットは、本変形例のような溝でもよい。
次に、第1の実施形態の粘着テープ1のいくつかの変形例及び参考例について説明する。これら変形例及び参考例は、保護フィルム12に設けられるスリットの種類または組み合わせが第1の実施形態とは異なる。なお、これら変形例及び参考例のその他の構成は、第1の実施形態の構成と同様である。そのため、第1の実施形態と同様の部分の説明は省略する。
図12は、第2の変形例の粘着テープ1を示す平面図である。図12に示すように、本変形例の保護フィルム12は、複数の中央スリット21を有する。複数の中央スリット21は、Y方向に並べられる。なお、中央スリット21は、1つだけでもよい。
このような構成でも、保護フィルム12は、第1及び第2の接続部31,32が引きちぎられることで、粘着層11と一緒に引き伸ばされることができる。またこのような構成によれば、第1の実施形態と同様に、保護フィルム12のY方向の強度を確保しやすい。
図13は、第3の変形例の粘着テープ1を示す平面図である。図13に示すように、本変形例の保護フィルム12は、1つの中央スリット21と、複数の端部スリット71とを有する。中央スリット21は、Y方向において複数の端部スリット71の間に配置される。
ここで、「端部スリット」との名称は、このスリット71と他のスリットとを区別するために便宜上付けられたものである。そのため、この名称は、スリット71の形状や構成を特に限定するものではない。端部スリット71は、「第2切れ目」及び「第2スリット」のそれぞれ一例である。
端部スリット71は、少なくとも一部がX方向に延びている。例えば、端部スリット71は、その全長に亘ってX方向に直線状に延びている。端部スリット71は、保護フィルム12のX方向の第1端部12a及び第2端部12bのいずれか一方に達する。
複数の端部スリット71は、第1群G1に属する端部スリット71Aと、第2群G2に属する端部スリット71Bとを含む。第1群G1の端部スリット71Aは、保護フィルム12の第1端部12aに達する。第2群G2の端部スリット71Bは、保護フィルム12の第2端部12bに達する。複数の端部スリット71Aと複数の端部スリット71Bは、Y方向において交互に配置される。端部スリット71A,71Bは、それぞれ保護フィルム12のX方向の幅の半分以上の長さを有する。端部スリット71Bは、Y方向において端部スリット71Aに並ぶ部分R2を含む。このような端部スリット71A,71bは、Y方向に比較的大きく開くことができる。このため、保護フィルム12は、Y方向に引き伸ばしやすくなる。
このような構成によれば、保護フィルム12は、端部スリット71を備えることで、Y方向にさらに引き伸ばしやすくなる。また、保護フィルム12は、中央スリット21を備えることで、保護フィルム12のY方向の強度を確保しやすくなる。
図14は、第4の変形例の粘着テープ1を示す平面図である。図14に示すように、本変形例の保護フィルム12は、複数の中央スリット21と、複数の端部スリット71とを有する。
複数の中央スリット21は、Y方向において複数の端部スリット71の間に配置される。複数の中央スリット21は、Y方向において互いに隣同士に配置される。
このような構成によれば、第3の変形例に比べて第1及び第2の接続部31,32を大きく確保することができる。このため、第3の変形例に比べて、保護フィルム12のY方向の強度をさらに確保しやすくなる。
図15は、第5の変形例の粘着テープ1を示す平面図である。図15に示すように、本変形例の保護フィルム12は、一つの破線スリット73と、複数の端部スリット71とを有する。破線スリット73は、Y方向において複数の端部スリット71の間に配置される。
ここで、「破線スリット」との名称は、このスリット73と他のスリットとを区別するために便宜上付けられたものである。そのため、この名称は、スリット73の形状や構成を特に限定するものではない。破線スリット73は、「第1切れ目」及び「第1スリット」のそれぞれ一例である。
破線スリット73の少なくとも一部は、X方向に延びている。破線スリット73は、破線状に形成される。すなわち、破線スリット73は、複数のスリット片73aを含む。複数のスリット片73aは、X方向において互いに離れている。なお、保護フィルム12は、破線スリット73を複数有してもよい。
このような構成によれば、破線スリット73が複数のスリット片73aに分かれているので、保護フィルム12のY方向の強度をさらに確保しやすくなる。
図16は、第1の参考例の粘着テープ1を示す平面図である。図16に示すように、本参考例の保護フィルム12は、複数の端部スリット71を有する。
図17は、第2の参考例の粘着テープ1を示す平面図である。図17に示すように、本参考例の保護フィルム12は、複数の全幅スリット75を有する。全幅スリット75は、少なくとも一部がX方向に延びている。例えば、全幅スリット75は、その全長に亘ってX方向に直線状に延びている。本変形例の全幅スリット75は、保護フィルム12のX方向の両端部12a,12bの両方に達する。すなわち、全幅スリット75は、保護フィルム12のX方向の全幅に亘る。複数の全幅スリット75は、Y方向に並べられる。このような全幅スリット75が設けられると、粘着テープ1をY方向にさらに引き伸ばしやすくなる。なお、全幅スリット75は、1つだけでもよい。
ここで、保護フィルム12を形成する材料によっては、保護フィルム12は、Z方向に折れ曲がりにくくなることがある。
一方で、保護フィルム12に全幅スリット75が設けられると、保護フィルム12は、全幅スリット75が設けられた位置でZ方向に折れ曲がりやすくなる。このため、上記構成によれば、被着体Aの角部などに粘着テープ1を取り付けるときに、角部に対する粘着テープ1の追従性を高めることができる。このため、被着体Aに対する粘着テープ1の接着強度を高めることができる。また、粘着テープ1が被着体Aの角部に追従して変形することができると、粘着テープ1の使用時の見栄えが良くなる。
なお、保護フィルム12は、複数の全幅スリット75の一部または全部に代えて、全幅溝76を有してもよい。全幅溝76は、全幅スリット75と略同じ平面形状を有するとともに、保護フィルム12の第1面41に達しない切れ込みである。すなわち、全幅溝76は、保護フィルム12のX方向の両端部12a,12bの両方に達する溝である。
ここで、保護フィルム12に全幅スリット75が設けられると、保護フィルム12は、Y方向において複数のピースに分断される。
一方で、全幅スリット75に代えて全幅溝76が設けられると、保護フィルム12がY方向において複数のピースに分断されない。このため、全幅溝76を備える粘着テープ1によれば、被着体Aの角部に対する粘着テープ1の追従性を高めつつ、保護フィルム12のY方向の強度を確保しやすくなる。
図18は、第3の参考例の粘着テープ1を示す平面図である。図18に示すように、本参考例の保護フィルム12は、全幅スリット75と、複数の端部スリット71とを有する。全幅スリット75は、Y方向において複数の端部スリット71の間に配置される。
このような構成によれば、被着体Aの角部に対する粘着テープ1の追従性を高めることができる。なお、保護フィルム12は、全幅スリット75に代えて全幅溝76を有してもよい。
以上のような第1の実施形態の第1から第5の変形例及び第1から第3の参考例の粘着テープ1によっても、粘着層11を引き伸ばすときに、粘着層11と保護フィルム12とを一緒に引き伸ばすことができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態の粘着テープ1について説明する。
本実施形態は、保護フィルム12は、一部のスリット間の間隔が広い点で、第1の実施形態とは異なる。なお、本実施形態のその他の構成は、第1の実施形態の構成と同様である。そのため、第1の実施形態と同様の部分の説明は省略する。
図19は、第2の実施形態の粘着テープ1を示す平面図である。図19に示すように、本実施形態の保護フィルム12は、第1領域81、第2領域82、及び第3領域83を有する。第1領域81は、第1紙葉類51Aに接着される領域である。第2領域82は、第2紙葉類51Bに接着される領域である。第3領域83は、第1領域81と第2領域82との間に位置する。第3領域83は、紙葉類の束50の側部50cに接着される領域である。例えば、第1領域83は、第3紙葉類51Cに接着される領域である。
保護フィルム12の第1領域81は、第1の実施形態と同様に、それぞれ複数の中央スリット21及び端部スリット22を有する。同様に、保護フィルム12の第2領域82は、第1の実施形態と同様に、それぞれ複数の中央スリット21及び端部スリット22を有する。一方で、保護フィルム12の第3領域83には、いかなるスリットも設けられない。
このような構成によれば、紙葉類の束50に対する粘着テープ1の接着強度を高くすることができる。すなわち、保護フィルム12の第3領域83は、紙葉類の束50の側部50cに接着される領域である。第3領域83では、第1領域81または第2領域82に比べて、各紙葉類51に対する接着面積が小さくなりやすい。
ここで、保護フィルム12にスリットが設けられると、粘着テープ1を紙葉類の束50に取り付ける際に、粘着テープ1が意図せずに少し伸ばされた状態で取り付けられる場合も想定される。粘着テープ1が伸ばされた状態で取り付けられると、粘着層11の単位面積当たりの粘着力が低下する可能性がある。
そこで、本実施形態では、保護フィルム12の第3領域83には、スリットが設けられない。このような構成によれば、第3領域83は、紙葉類の束50に粘着テープ1を取り付ける際に、第1領域81及び第2領域82に比べて不意に伸ばされにくい。このため保護フィルム12の第3領域83は、相対的に高い粘着力を維持した状態で紙葉類の束50の側部50cに取り付けられやすい。このため、紙葉類の束50の側部50cに対する第3領域83の接着強度を高くすることができる。これにより、紙葉類の束50に対する粘着テープ1の接着強度を高くすることができる。
次に、第2の実施形態の粘着テープ1のいくつかの変形例及び参考例について説明する。これら変形例及び参考例は、保護フィルム12に設けられるスリットの種類または組み合わせが第2の実施形態の構成とは異なる。なお、これら変形例及び参考例のその他の構成は、第2の実施形態の構成と同様である。そのため、第2の実施形態と同様の部分の説明は省略する。
図20は、第1の変形例の粘着テープ1を示す平面図である。図20に示すように、本変形例の保護フィルム12は、第2の実施形態の保護フィルム12において、第3領域83に複数の全幅溝76を有する。なお、全幅溝76は、1つでもよい。
ここで、保護フィルム12の第3領域83に設けられる全幅溝76の作用について説明する。図21は、本変形例の粘着テープ1の作用を示す断面図である。図21中の(a)は、保護フィルム12の第3領域83に、全幅溝76が設けられない場合を示す。図21中の(b)は、保護フィルム12の第3領域83に、少なくとも一つの全幅溝76が設けられる場合を示す。
図21中の(a)で示すように、保護フィルム12の第3領域83に全幅溝76が設けられない場合、粘着テープ1の第3領域83を紙葉類の束50の側部50cに沿わせることが難しい場合がある。これは、保護フィルム12が一定の硬さを有するため、保護フィルム12が折れ曲がりにくいためである。
一方で、図21中の(b)で示すように、保護フィルム12の第3領域83に全幅溝76が設けられる場合、保護フィルム12が全幅溝76に沿って容易に折れ曲がることができる。このため、粘着テープ1の第3領域83を紙葉類の束50の側部50cに沿わせやすくなる。これにより、紙葉類の束50に対する粘着テープ1の接着強度をさらに高めることができる。
保護フィルム12の第3領域83に設けられる切れ目は、全幅溝76に代えて、全幅スリット75でもよい。このような構成でも粘着テープ1の第3領域83を紙葉類の束50の側部50cに沿わせやすくなる。
一方で、本変形例では、保護フィルム12の第3領域83に設けられる切れ目として、全幅溝76を有する。全幅溝76は、保護フィルム12の第1面41に達しない。このような全幅溝76によれば、全幅溝76が第3領域83に設けられた場合でも、第2の実施形態と同様に第3領域83が不意に伸ばされにくい。このため、紙葉類の束50に対する粘着テープ1の接着強度が低下しにくい。
図22は、第2の変形例の粘着テープ1を示す平面図である。図22に示すように、本参考例の保護フィルム12は、第2の実施形態の保護フィルム12において、中央スリット21及び端部スリット22を備える代わりに、1つの破線スリット73と複数の端部スリット71とを備える。破線スリット73は、保護フィルム12の第3領域83に設けられる。
このような構成によれば、保護フィルム12は、破線スリット73を有しない場合に比べて、第3領域83で折れ曲がりやすくなる。このため、保護フィルム12の第3領域83を紙葉類の束50の側部50cに沿わせやすくなる。なお、保護フィルム12の第3領域83に設けられるスリットが破線スリット73であると、第3領域83が不意に伸ばされにくい。このため、紙葉類の束50の側部50cに対する第3領域83の接着強度を高くすることができる。なお、保護フィルム12は、破線スリット73に代えて、他の形状のスリットまたは溝を有してもよい。
図23は、第3の変形例の粘着テープ1を示す平面図である。図23に示すように、本変形例の保護フィルム12は、第2の実施形態の保護フィルム12において、中央スリット21及び端部スリット22を備える代わりに、2つの中央スリット21と複数の端部スリット71とを備える。
2つの中央スリット21は、複数のスリットのなかで、第3領域83の最も近くに配置される。このような構成によれば、保護フィルム12は、中央スリット21を備えることで、Y方向の強度を確保しやすくなる。
図24は、第1の参考例の粘着テープ1を示す平面図である。図24に示すように、本参考例では、保護フィルム12の第1領域81は、それぞれ複数の端部スリット71A及び端部スリット71Bを有する。同様に、保護フィルム12の第2領域82は、それぞれ複数の端部スリット71A及び端部スリット71Bを有する。一方で、保護フィルム12の第3領域83には、いかなるスリットも設けられない。
図25は、第2の参考例の粘着テープ1を示す平面図である。図25に示すように、本参考例の保護フィルム12は、第1の参考例の保護フィルム12において、1つの端部スリット71Aを備える代わりに、1つの全幅スリット75を備える。このような構成によれば、保護フィルム12は、全幅スリット75に沿って折れ曲がりやすくなる。このため、粘着テープ1を紙葉類の束50の側部50cに沿わせやすくなる。なお全幅スリット75は、全幅幅76でもよい。この場合、保護フィルム12のY方向の強度を確保しやすくなる。
以上のような第2の実施形態の第1から第3の変形例及び第1及び第2の参考例の粘着テープ1によっても、保護フィルム12が第3領域83を備えるため、紙葉類の束50に対する粘着テープ1の接着強度を高くすることができる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態の粘着テープ1について説明する。
本実施形態は、粘着層11と保護フィルム12との間に他の粘着層91が設けられる点で、第1の実施形態とは異なる。なお、本実施形態のその他の構成は、第1の実施形態の構成と同様である。そのため、第1の実施形態と同様の部分の説明は省略する。なお以下では、「粘着層11」を「第1粘着層11」、「粘着層91」を「第2粘着層91」という。
図26は、第3の実施形態の粘着テープ1を示す断面図である。図26に示すように、粘着テープ1は、第1粘着層11と保護フィルム12との間に、第2粘着層91(強粘着層)を有する。本実施形態では、第2粘着層91は、第1粘着層11よりも粘着力が大きい材料で形成される。このため、保護フィルム12と第1粘着層11との間の粘着力は、被着体Aと第1粘着層11との間の粘着力よりも大きい。なお、第2粘着層91は、第1粘着層11と同様に、Y方向に引き伸ばすことができる。
このような構成によれば、粘着テープ1を被着体Aから取り外すときに、被着体Aから第1粘着層11が剥離する前に第1粘着層11から保護フィルム12が外れてしまうことを抑制することができる。これにより、粘着テープ1の取り外しが終わるまで、第1粘着層11の全体が外部にむき出しになることを避けることができる。これにより、第1粘着層11が他の部材に貼り付いてしまうことを抑制することができる。これにより、ユーザーの利便性を高めることができる。
次に、第3の実施形態の粘着テープ1の一つの変形例について説明する。
本変形例は、第2粘着層の粘着力が第3の実施形態とは異なる。なお、本変形例のその他の構成は、第3の実施形態の構成と同様である。そのため、第3の実施形態と同様の部分の説明は省略する。
図27は、一つの変形例の粘着テープ1を示す断面図である。図27に示すように、粘着テープ1は、第1粘着層11と保護フィルム12との間に、第2粘着層93(弱粘着層)を有する。本実施形態では、第2粘着層93は、第1粘着層11よりも粘着力が小さい材料で形成される。このため、保護フィルム12と第1粘着層11との間の粘着力は、被着体Aと第1粘着層11との間の粘着力よりも小さい。なお、第2粘着層93は、第1粘着層11と同様に、Y方向に引き伸ばすことができる。
このような構成によれば、粘着テープ1を被着体Aから取り外すときに、第1粘着層11から保護フィルム12が外れやすい。第1粘着層11から保護フィルム12が外れると、第1粘着層11を引き伸ばされるときに、保護フィルム12が邪魔にならない。このため、粘着テープ1の取り外し性がさらに良好になる。
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態の粘着テープ1について説明する。
本実施形態は、粘着層11の粘着力が部分的に異なる点で、第2の実施形態とは異なる。なお、本実施形態のその他の構成は、第2の実施形態の構成と同様である。そのため、第1及び第2の実施形態と同様の部分の説明は省略する。
図28は、第4の実施形態の粘着テープ1を示す平面図である。図28に示すように、本実施形態の粘着層11は、第1粘着部11a、第2粘着部11b、及び第3粘着部11cを有する。第1粘着部11aは、保護フィルム12の第1領域81に設けられる。第1粘着部11aは、第1紙葉類51Aに接着される。第2粘着部11bは、保護フィルム12の第2領域82に設けられる。第2粘着部11bは、第2紙葉類51Bに接着される。
第3粘着部11cは、保護フィルム12の第3領域83に設けられる。第3粘着部11cは、第3紙葉類51Cに接着される。
第1粘着部11a及び第2粘着部11bの粘着力は、互いに略同じである。一方で、第3粘着部11cは、第1粘着部11a及び第2粘着部11bよりも粘着力が高い材料で形成される。このような構成によれば、接着強度が相対的に小さくなりやすい第3紙葉類51Cを、粘着テープ1によってより確実に保持することができる。
なお、本実施形態の構成において、保護フィルム12は、第1の実施形態と同様に保護フィルム12の全体に亘って複数のスリット21,22を有してもよい。このような構成でも、第3粘着部11cの粘着力が第1粘着部11aまたは第2粘着部11bの粘着力よりも高いことで、第3紙葉類51Cをより確実に保持することができる。
(参考形態)
次に、参考形態の粘着テープ1について説明する。
本参考形態は、スリットに代えて複数の穴101が設けられる点で、第1の実施形態とは異なる。なお、本参考形態のその他の構成は、第1の実施形態の構成と同様である。そのため、第1の実施形態と同様の部分の説明は省略する。
図29は、本参考形態の粘着テープ1を示す平面図である。図29に示すように、本参考形態の保護フィルム12は、複数の穴101を有する。複数の穴101は、X方向及びY方向において並べられる。例えば、穴101は、保護フィルム12の第1面41に達する貫通穴である。なお、穴101は、保護フィルム12の第1面41に達しない有底の穴(凹部)でもよい。穴101の直径は、特に限定されない。例えば、穴101の直径は、保護フィルム12の厚さよりも大きい。例えば、穴101の直径は、粘着層11の厚さよりも大きい。なお、穴101の形状は、円形に限定されない。穴101の形状は、三角形及び四角形のような多角形でもよく、その他の形状でもよい。
このような粘着テープ1によっても、粘着層11と保護フィルム12とを一緒に引き伸ばすことができる。これにより、被着体Aから容易に剥がすことができる粘着テープ1を提供することができる。
次に、参考形態の粘着テープ1の第1及び第2の参考例について説明する。
第1の参考例は、穴101が設けられる位置が上記参考形態とは異なる。第2の参考例は、破線スリット73を有する点で、上記参考形態とは異なる。なお、第1及び第2の参考例のその他の構成は、上記参考形態の構成と同様である。そのため、第1および第2の実施形態並びに上記参考形態と同様の部分の説明は省略する。
図30は、第1の参考例の粘着テープ1を示す平面図である。図30に示すように、本参考例の保護フィルム12は、第2の実施形態の保護フィルム12と同様に、第1から第3の領域81,82,83を有する。穴101は、保護フィルム12の第1及び第2の領域81,82に設けられる。穴101は、保護フィルム12の第3領域83に設けられない。このような構成によれば、第2の実施形態と同様に、紙葉類の束50に対する粘着テープ1の接着強度を高くすることができる。
図31は、第2の参考例の粘着テープ1を示す平面図である。図31に示すように、本参考例の保護フィルム12は、保護フィルム12の第3領域83に、破線スリット73を有する。このような構成によれば、第2の実施形態の第2の参考例と同様に、保護フィルム12の第3領域83を紙葉類の束50の側部50cに沿わせやすくなる。
以上、第1から第4の実施形態、一つの参考形態、並びにそれらの変形例及び参考例に係る構成について説明したが、各実施形態、参考形態、各変形例、及び各参考例の構成は上記例に限定されない。それらの構成は互いに組み合わせて適用可能である。
以下、実施形態の紙葉類の綴じ装置を、図面を参照して説明する。なお以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。
図32及び図33を参照して、実施形態の紙葉類51の綴じ装置110を説明する。図32は、実施形態の綴じ装置110を示す側面図である。図33は、実施形態の束作成部120の要部を示す平面図である。
図32に示すように、綴じ装置110は、束作成部120及びテープ装着部130を備える。
まず、束作成部120について説明する。
図32に示すように、束作成部120は、複数の紙葉類51を重ねて紙葉類51の束50(図34参照)を作る。束作成部120は、第1ローラ121、第2ローラ122、メインガイド123、サブガイド124、ストッパ125及び切替部材126を備える。なお、第1ローラ121は、請求項に記載の「第1当接部材」に相当する。第2ローラ122は、請求項に記載の「第2当接部材」に相当する。
第1ローラ121の形状は、X方向に延びる円柱状である。第1ローラ121は、束50の第1面50a(図34参照)に当接する。第1ローラ121は、第1シャフト121aに取り付けられる。図33に示すように、第1シャフト121aは、第1ローラ121の中心軸に沿うように延びる。第1シャフト121aは、X方向に延びる。第1ローラ121は、第1シャフト121aに沿う方向に複数(実施形態では4つ)並ぶ。第1シャフト121aの一端部にはモータ(不図示)が設けられる。通常、モータによる回転駆動は、図示しないプーリーベルトギアによって減速されている。第1ローラ121は、第1シャフト121aとともにモータによって回転駆動される。
第1ローラ121は、独立して回転する。第1ローラ121は、綴じ装置110内部のフレーム(以下「装置フレーム」という。)に対して移動せずに、定位置で回転する。第1ローラ121は、Z方向において、外周面の一部がメインガイド123よりもサブガイド124の側に位置するように配置される。すなわち、第1ローラ121は、外周面の一部が束50の第1面50a(図34参照)に当接する程度に、メインガイド123よりもサブガイド124の側に向けて突出する。
第1ローラ121の材料は、特に限定されない。例えば、第1ローラ121は、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)で形成される。
第2ローラ122の形状は、X方向に延びる円柱状である。第2ローラ122は、Z方向において第1ローラ121と対向する。第2ローラ122は、束50の第2面50b(図34参照)に当接可能である。第2シャフト122aは、第2ローラ122の中心軸に沿うように延びる。第2シャフト122aは、第1シャフト121aに沿うように延びる。第2ローラ122は、第2シャフト122aに沿う方向に複数(実施形態では4つ)並ぶ。Z方向から見て、各第2ローラ122は各第1ローラ121と重なる。
不図示の駆動機構によって、第2ローラ122は、Z方向において、第1ローラ121に対して接離可能とされる。第2ローラ122は、第1ローラ121の回転に従って回転する。第2ローラ122は、束50の第2面50b(図34参照)に当接する場合、Z方向において、外周面の一部がサブガイド124よりもメインガイド123の側に位置するように配置される。
図36に示すように、第2ローラ122の外周面122fは、第1ローラ121の外周面121fより、束50の表面に沿って変形しやすいように形成される。第2ローラ122の外周面122fは、第1ローラ121の外周面121fより弾性率の低い材料で形成される。例えば、第2ローラ122は、スポンジで形成される。なお、第2ローラ122は、内部に空洞を有するゴムで形成されてもよい。
図32に示すように、メインガイド123は、紙葉類51を案内する。メインガイド123は、紙葉類51の束50を積載可能である。メインガイド123は、メインガイド板123a、第1メインガイド片123c及び第2メインガイド片123dを備える。
メインガイド板123aは、Z方向に厚みを有する板材である。
第1メインガイド片123cは、メインガイド板123aの一端部に接続される。X方向から見て、第1メインガイド片123cは、紙葉類51(束50)から離反するように傾斜して延びる。
第2メインガイド片123dは、メインガイド板123aの他端部に接続される。X方向から見て、第2メインガイド片123dは、第1メインガイド片123cとは反対側に向けて、紙葉類51(束50)から離反するように傾斜して延びる。第2メインガイド片123dには、メインガイド板123aの側に向けて窪む凹部123h(図33参照)が形成される。
図33に示すように、Z方向から見て、メインガイド123の他端部の形状は、櫛歯状である。メインガイド123の他端部には、Y方向に延びる延在部123bが設けられる。延在部123bは、X方向に間隔を開けて複数(実施形態では5つ)並ぶ。隣り合う2つの延在部123bの間には、第1ローラ121が配置される。
図32に示すように、サブガイド124は、Z方向においてメインガイド123と対向する。サブガイド124のY方向の長さは、メインガイド123のY方向の長さよりも短い。サブガイド124は、サブガイド板124a、第1サブガイド片124c及び第2サブガイド片124dを備える。
サブガイド板124aは、Z方向に厚みを有する板材である。サブガイド板124aは、メインガイド板123aからZ方向に間隔を開けて配置される。サブガイド板124aとメインガイド板123aとの間隔は、束50の厚さより大きい。
第1サブガイド片124cは、サブガイド板124aの一端部に接続される。X方向から見て、第1サブガイド片124cは、紙葉類51(束50)から離反するように傾斜して延びる。
第2サブガイド片124dは、サブガイド板124aの他端部に接続される。X方向から見て、第2サブガイド片124dは、第1サブガイド片124cとは反対側に向けて、紙葉類51(束50)から離反するように傾斜して延びる。
図33に示すように、サブガイド板124aは、Y方向に延びる。サブガイド板124aは、X方向に間隔を開けて複数(実施形態では5つ)並ぶ。隣り合う2つのサブガイド板124aの間には、第2ローラ122が配置される。
ストッパ125は、第2メインガイド片123dの凹部123hに配置される。不図示の移動機構によって、ストッパ125は、Z方向に移動可能に構成される。具体的に、ストッパ125は、搬送されてくる紙葉類51の端部を当接させて複数の紙葉類51を堰き止めるように、Z方向において、メインガイド板123aの表面からサブガイド124に近接する位置まで移動可能に構成される(図34参照)。また、ストッパ125は、紙葉類51の束50がテープ装着部130へ向けて搬送されるように、Z方向において、メインガイド板123aの表面から第1シャフト121aに近接する位置まで移動可能に構成される(図35参照)。
図32に示すように、切替部材126は、Y方向においてメインガイド123と間隔を開けて配置される。切替部材126は、束50の後処理に応じて搬送路を切り替える。以下、紙葉類51の束50がテープ装着部130(具体的には後述するテープ包み部140)へ向けて搬送される方向を「第1の搬送方向」という。紙葉類51の束50がZ方向においてサブガイド124とは反対側に向けて搬送される方向を「第2の搬送方向」という。切替部材126は、第1の搬送方向と第2の搬送方向との間で、搬送路を切り換える。
次に、テープ装着部130について説明する。
図32に示すように、テープ装着部130は、巻き出し部131、搬送部132、分離部材133、巻き取り部134、ガイド台135、テープ保持部136、カッター137及びテープ包み部140を備える。
巻き出し部131は、帯状の粘着テープ1を巻回した原反ロール131Rを保持する。原反ロール131Rにおいて粘着テープ1は、剥離フィルム13が外側に配置され、保護フィルム12内側に配置されるように巻回されている。巻き出し部131は、粘着テープ1を、粘着テープ1の長さ方向に沿って繰り出す。
搬送部132は、巻き出し部131から繰り出された粘着テープ1を、粘着テープ1の長さ方向に沿って搬送する。搬送部132は、一対の搬送ローラ132a,132bを備える。一対の搬送ローラ132a,132bは、粘着テープ1を挟んで対向する。
分離部材133は、X方向に延びる三角柱状の部材である。分離部材133のX方向の長さは、粘着テープ1の幅(X方向の長さ)よりも長い。分離部材133には、粘着テープ1から分離された剥離フィルム13が巻き掛けられる。
巻き取り部134は、分離部材133において粘着テープ1から分離された剥離フィルム13を巻き取る。巻き取り部134は、帯状の剥離フィルム13を巻回した剥離ロール134Rを保持する。
ガイド台135は、剥離フィルム13が分離された粘着テープ1を案内する。ガイド台135は、粘着テープ1の保持時、又は切断時において、粘着テープ1を保護フィルム12の側から支持する。ガイド台135は、ガイド板135a、第1ガイド片135c及び第2ガイド片135dを備える。
ガイド板135aは、Z方向に厚みを有する板材である。
第1ガイド片135cは、ガイド板135aの一端部に接続される。X方向から見て、第1ガイド片135cは、粘着テープ1から離反するように傾斜して延びる。
第2ガイド片135dは、ガイド板135aの他端部に接続される。X方向から見て、第2ガイド片135dは、第1ガイド片135cとは反対側に向けて、粘着テープ1から離反するように傾斜して延びる。
テープ保持部136は、粘着テープ1の姿勢を平らに保持した状態で、粘着テープ1を支持する。例えば、テープ保持部136は、X方向から見て粘着テープ1がZ方向に延びた状態(粘着テープ1が平らな状態)で、粘着テープ1を支持する。テープ保持部136は、第1保持部材136a、第2保持部材136b及び連結部材136cを備える。
第1保持部材136aは、粘着テープ1の一端側を保持する。第2保持部材136bは、粘着テープ1の他端側を保持する。第1保持部材136a及び第2保持部材136bは、X方向に延びる三角柱状の部材である。第1保持部材136a及び第2保持部材136bのX方向の長さは、粘着テープ1の幅(X方向の長さ)よりも長い。
連結部材136cは、第1保持部材136aと第2保持部材136bとを連結する。Y方向から見て、連結部材136cは、粘着テープ1の幅方向の外側に配置される。すなわち、Y方向から見て、連結部材136cは、粘着テープ1と重ならない。また、連結部材136cは、束作成部120から送り出される束50が干渉しない位置に配置される。すなわち、Y方向から見て、連結部材136cは、束50と重ならない。
不図示の移動機構によって、テープ保持部136は、Z方向及びY方向に移動可能に構成される。具体的に、テープ保持部136は、Z方向において、ガイド台135とテープ包み部140との間を移動可能に構成される。また、テープ保持部136は、Y方向において、ガイド台135に近接又は離反可能に構成される。
カッター137は、粘着テープ1を切断する。具体的に、カッター137は、帯状の粘着テープ1を切断して枚葉状の粘着テープ1を形成する。カッター137は、Z方向において、ガイド台135のうち束作成部120寄りに位置する。カッター137は、切断刃137a及び支持軸137bを備える。切断刃137aは、円盤状をなす。支持軸137bは、切断刃137aの中心軸上に固定される。例えば、カッター137は、ロータリーカッターである。不図示の駆動機構によって、切断刃137aは、支持軸137bとともに支持軸137bの回りに回転可能に構成される。
不図示の移動機構によって、カッター137は、X方向及びY方向に移動可能に構成される。具体的に、カッター137は、X方向において、粘着テープ1の幅方向全体に亘って移動可能に構成される。また、カッター137は、Y方向において、ガイド台135に近接又は離反可能に構成される。
テープ包み部140は、Z方向においてガイド台135の隣に配置される。具体的に、テープ包み部140は、Z方向において、ガイド台135を挟んで搬送部132とは反対側に配置される。テープ包み部140は、第1付勢部141及び第2付勢部142を備える。
第1付勢部141は、第1ローラ141a、第1シャフト141b、第1アーム141c及び第1スプリング141dを備える。
第2付勢部142は、Z方向において、第1付勢部141を挟んでガイド台135とは反対側に配置される。第2付勢部142は、第2ローラ142a、第2シャフト142b、第2アーム142c及び第2スプリング142dを備える。
第1ローラ141aの形状は、X方向に延びる円柱状である。例えば、第1ローラ141aは、ゴム等の弾性部材で形成される。第1ローラ141aは、第1シャフト141bに取り付けられる。第1シャフト141bは、第1ローラ141aの中心軸に沿うように延びる。第1ローラ141aは、第1ローラ141a及び第2ローラ142aの外周面どうしが当接した姿勢で、第2ローラ142aに対向する。第1アーム141cは、第1ローラ141aと第2ローラ142aとが対向する方向に延びる。第1アーム141cの一端部は、第1シャフト141bの端部を回転自在に支持する。第1アーム141cの他端部には、第1スプリング141dの一端部が取り付けられる。第1スプリング141dの他端部は、不図示の装置フレームに取り付けられる。第1スプリング141dは、第1アーム141cを介して、第1ローラ141aを第2ローラ142aに向けてバネ付勢する。
なお、第2ローラ142a、第2シャフト142b、第2アーム142c及び第2スプリング142dは、上述した第1ローラ141a、第1シャフト141b、第1アーム141c及び第1スプリング141dと同様の構成を有するため、詳細説明は省略する。
本実施形態では、第1ローラ141a及び第2ローラ142aが、互いに当接する方向に付勢されている。なお、第1ローラ141aは、請求項に記載の「第1付勢部材」に相当する。第2ローラ142aは、請求項に記載の「第2付勢部材」に相当する。
以下、綴じ装置110の動作の一例について説明する。
図34から図37及び図40から図49は、綴じ装置110に動作の一例を示す図である。
まず、図34に示すように、複数の紙葉類51を互いに重ねて紙葉類51の束50を作る。具体的に、まず、ストッパ125を、メインガイド板123aとサブガイド板124aとの間に移動する。すなわち、ストッパ125を、Z方向において、メインガイド板123aの表面からサブガイド124に近接する位置まで移動する。
次に、紙葉類51を、束作成部120のメインガイド板123aとサブガイド板124aとの間に搬送し、1枚ずつストッパ125に順次突き当てていく。すると、各紙葉類51の端部がストッパ125に当接した状態で、メインガイド123に複数の紙葉類51が積層されていく。これにより、側部50cが直線状に形成された紙葉類51の束50が得られる。
次に、図35に示すように、ストッパ125を解除する。具体的に、ストッパ125を、メインガイド板123aを挟んでサブガイド板124aとは反対側に移動する。すなわち、ストッパ125を、Z方向において、メインガイド板123aの表面から第1シャフト121aに近接する位置まで移動する。
次に、図36に示すように、第2ローラ122を第1ローラ121に近接させる。具体的に、第1ローラ121と第2ローラ122との間に束50を挟んだ状態で、第2ローラ122を第1ローラ121に圧接させる。上述の通り、第2ローラ122の外周面122fは、第1ローラ121の外周面121fより、束50の表面に沿って変形しやすい。そのため、束50のうち第1ローラ121と第2ローラ122との間に挟まれた部分は、第1ローラ121の外周面121fに沿って撓む。加えて、第2ローラ122の外周面122fは、束50の第2面50bに沿って変形する。すなわち、第2ローラ122の外周面122fは、第1ローラ121の外周面121fに沿うように、第2ローラ122の径方向内側に湾曲して凹む。
次に、図37及び図38に示すように、束50の側部50cを階段状に形成する。具体的に、まず、切替部材126の切り替えによって、第1の搬送方向から第2の搬送方向へ搬送路を切り替える。次に、第2ローラ122の外周面122fを束50の第2面50bに沿って変形させた状態で、第1ローラ121を矢印V1の方向に能動回転(正転)させる。これに伴って、第2ローラ122が矢印V2の方向に従動回転(正転)する。そして、束50を、縁辺61a(図6参照)に交差する第3方向Wに送り出すことで、複数の紙葉類51を第3方向Wにずらす。具体的に、第1面50a側の紙葉類51に対して、第2面50b側の紙葉類51がテープ装着部130(図32参照)に向けて先に延びるように、複数の紙葉類51を第3方向Wにずらす。
以下、束50の側部50cが階段状になる原理を説明する。
上述の通り、束50を介して第2ローラ122を第1ローラ121に圧接させると、第2ローラ122の外周面122fは、第1ローラ121の外周面121fに沿うように、第2ローラ122の径方向内側に湾曲して凹む。以下、第1ローラ121の外周面121fのうち束50の第1面50aに接する部分の周方向の長さ(弧の長さ)d1を、「第1の長さd1」という。第2ローラ122の外周面122fのうち束50の第2面50bに接する部分(凹んだ部分)の第1ローラ121の周方向に沿う方向の長さd2を、「第2の長さd2」という。束50の厚さtが厚くなるほど、第2の長さd2は、第1の長さd1よりも長くなる。
第1ローラ121と第2ローラ122との間に束50を挟み、第2ローラ122の外周面122fを束50の第2面50bに沿って変形させた状態で、第1ローラ121及び第2ローラ122を正転させ、束50を第3方向Wに送り出す。すると、第2ローラ122の外周面122fの移動距離は、第1ローラ121の外周面121fの移動距離よりも長くなる。すなわち、束50の第3方向Wへの送り量は、第2面50bの側ほど大きくなる。したがって、束50の側部50cは、第1面50a側の紙葉類51に対して第2面50b側の紙葉類51がテープ装着部130(図32参照)に向けて先に延びるような階段状になる。
ここで、束50の側部50cにおける第1面50aと第2面50bとの間のずれ量を「d」、束50の厚さを「t」、第1の長さを「d1」、第2の長さを「d2」、第1の長さd1(弧の長さ)に対する中心角を「θ(rad)」、第1ローラ121の回転数を「n」とすると、以下の式(1)〜(4)が成り立つ。
d=d2−d1 ・・・(1)
d1=r×θ ・・・(2)
d2=(r+t)×θ ・・・(3)
θ=2×π×n ・・・(4)
上記(1)〜(4)式より、以下の式(5)が得られる。
d=2×π×t×n ・・・(5)
上記(5)式に示すように、ずれ量dは、束50の厚さtが厚くなるほど、又は回転数n(中心角θ)が大きくなるほど大きくなる。
次に、図40に示すように、第2ローラ122を第1ローラ121から離反させる。具体的に、第1ローラ121と第2ローラ122との間に束50を挟んだ状態で、第2ローラ122を第1ローラ121から離反させる。第2ローラ122と第1ローラ121との間の間隔は、束50の厚さと実質的に同じ大きさとする。第1ローラ121と第2ローラ122との間に束50を挟んだ状態で、第2ローラ122を第1ローラ121から離反させることによって、第2ローラ122の外周面122fの凹み(図37参照)を解消する。すなわち、第2ローラ122の外周面122fをもとの形状に復帰させつつ、第2ローラ122の外周面122fを束50の第2面50bに当接させる。
次に、図41に示すように、第1ローラ121を矢印V3の方向に能動回転(逆転)させる。第2ローラ122の外周面122fが束50の第2面50bに当接しているので、第2ローラ122は矢印V4の方向に従動回転(逆転)する。すると、束50はテープ装着部130(図32参照)とは反対側に向けて移動する。
次に、図42に示すように、切替部材126の切り替えによって、第2の搬送方向から第1の搬送方向へ搬送路を切り替える。そして、第2ローラ122の外周面122fを束50の第2面50bに当接させた状態で、第1ローラ121及び第2ローラ122を正転させる。すると、束50はテープ装着部130(図32参照、具体的にはテープ包み部140)に向けて移動する。
次に、包み動作によって、束50の縁部61に粘着テープ1を装着する。以下、包み動作について説明する。
まず、図43に示すように、粘着テープ1を、巻き出し部131から粘着テープ1の長さ方向に沿って予め繰り出した状態としておく。この状態において、テープ保持部136はガイド台135の側に移動されている。すなわち、テープ保持部136によって、粘着テープ1の姿勢を保持した状態で、粘着テープ1が支持されている。
次に、図44に示すように、テープ保持部136を、テープ包み部140の側に移動させる。テープ保持部136は、第1ローラ141aと第2ローラ142aとに跨るように粘着テープ1を配置する。テープ保持部136は、粘着テープ1の姿勢を平らに保持した状態で、束作成部120(図32参照)とテープ包み部140との間で待機する。
次に、図45に示すように、カッター137によって、帯状の粘着テープ1を切断して枚葉状の粘着テープ1を形成する。
次に、図46に示すように、束50をテープ包み部40に向けて移動させて、束50の縁部61を粘着テープ1とともに第1ローラ141aと第2ローラ142aとの間に挿入する。そして、図47に示すように、束50の縁部61に粘着テープ1を装着する。
上述の通り、第1ローラ141a及び第2ローラ142aは、互いに当接する方向に付勢されている。したがって、束50の縁部61を粘着テープ1とともに第1ローラ141aと第2ローラ142aとの間に挿入すると、第1ローラ141aと第2ローラ142aとが束50の縁部61に沿うように移動する。具体的に、束50の縁部61の先端(突出端)に粘着テープ1を突き当てる。加えて、束50の縁部61を粘着テープ1とともに第1ローラ141aと第2ローラ142aとの間に潜り込ませる。すると、粘着テープ1は、束50の階段状の部分、第1面50a側の部分及び第2面50b側の部分に順次追従して密着していく。
次に、図48に示すように、束50を束作成部120(図32参照)に向けて移動させて、粘着テープ1を装着した束50を第1ローラ121と第2ローラ122との間から取り出す。その後、テープ保持部136をガイド台135の側に移動させる。そして、テープ保持部136によって、粘着テープ1の姿勢を保持した状態で、粘着テープ1を引き出し、次の綴じ処理動作まで待機する。言い換えると、テープ装着部130は、図43の状態に戻る。
そして、図49に示すように、第2ローラ122の外周面122fを束50の第2面50bに当接させた状態で、第1ローラ121及び第2ローラ122を逆転させる。そして、粘着テープ1を装着した束50を、所定位置に戻す。
その後、粘着テープ1を装着した束50は、排出部(不図示)に排出される。なお、粘着テープ1を装着した束50を排出する前に、粘着テープ1を装着した束50に穿孔処理(パンチ処理)などの後処理を施してもよい。
ところで、従来、綴じ装置としては、金属針のステイプラが主流である。近年、綴じ装置として、圧力により歯形状に紙葉類51を加工し、加工した紙葉類51同士を仮止めする圧力方式の装置も開発されている。いずれの綴じ装置も、紙葉類51の綴じ動作時に大きな力を要するため、電動化するに当たりDCモータ等のモータ駆動を採用することが一般的である。しかし、いずれの綴じ装置も、モータの消費電力の増加及び綴じ動作時の騒音発生等の問題が生じる可能性がある。また、圧力方式の装置においては、紙葉類51を数枚程度しか綴じられない可能性もある。また、加工した紙葉類51同士を仮止めした状態であるため、紙葉類51を綴じた状態においても、綴じ強度が十分ではない可能性がある。
実施形態によれば、綴じ装置110は、束作成部120と、テープ装着部130とを備える。束作成部120は、複数の紙葉類51を重ねて紙葉類51の束50を作る。テープ装着部130は、束50の縁部61において、束50の第1面50aと第2面50bと側部50cとに跨るように、粘着テープ1を装着して束50を綴じる。以上の構成によって、以下の効果を奏する。綴じ装置110が綴じ動作時に要する力は小さい力で足りる。したがって、モータの消費電力を低減するとともに、綴じ動作時の騒音発生を抑制することができる。また、紙葉類51の綴じ枚数を増やすことができる。
束作成部120は、複数の紙葉類51が縁辺61aに交差する第3方向Wにずれた束50を作ることによって、以下の効果を奏する。側部50cが直線状に形成される場合と比較して、粘着層11に接触する側部50cの表面積を増加することができる。ここで、図7に示すように、第3紙葉類51Cと粘着テープ1との間の接着強度は、第1紙葉類51A又は第2紙葉類51Bと粘着テープ1との間の接着強度に比べて、小さくなりやすい。しかし、実施形態によれば、紙葉類51の束50の縁部61において、複数の紙葉類51が互いにずれるため、各第3紙葉類51Cと粘着テープ1との接着面積を増やすことができる。したがって、紙葉類51の束50の中間頁を粘着テープ1によって強固に保持することができる。また、別の観点では、ユーザーにより束50を外す処理を行う場合、粘着テープ1をY方向に引き伸ばすように第1紙葉類51Aと第2紙葉類51Bとを引っ張ると、粘着層11が引き伸ばされ、第3紙葉類51Cと粘着層11との接触面積が小さくなる。これにより、紙葉類51にダメージを与えることなく、粘着テープ1から第3紙葉類51Cを取り外し易くすることができる。
束作成部120は、第1ローラ121と、第2ローラ122とを備える。第1ローラ121は、束50の第1面50aに当接する。第2ローラ122は、束50の第2面50bに当接可能である。第2ローラ122の外周面122fは、第1ローラ121の外周面121fより、束50の表面に沿って変形しやすいように形成される。束作成部120は、第1ローラ121と第2ローラ122との間に束50を挟む。束作成部120は、第2ローラ122の外周面122fを束50の第2面50bに沿って変形させた状態で、第1ローラ121を回転させるとともに第2ローラ122を従動回転させる。束作成部120は、束50を第3方向Wに送り出すことで、複数の紙葉類51を第3方向Wにずらす。以上の構成によって、以下の効果を奏する。第2ローラ122の外周面122fの硬さを第1ローラ121の外周面121fの硬さよりも小さくすればよいため、簡単な装置構成で、複数の紙葉類51が第3方向Wにずれた束50を作ることができる。したがって、簡単な装置構成で、紙葉類51の束50の中間頁を粘着テープ1によって強固に保持することができる。
束作成部120において、第1ローラ121は、独立して回転する。第2ローラ122は、第1ローラ121の回転に従って回転する。以上の構成によって、以下の効果を奏する。第2ローラ122を駆動するための機構を別途設ける必要がないため、綴じ装置110の簡素化及び低コスト化を図ることができる。
テープ装着部130は、第1ローラ141aと、第2ローラ142aとを備える。第1ローラ141a及び第2ローラ142aは、互いに当接する方向に付勢される。テープ装着部130は、第1ローラ141aと第2ローラ142aとに跨るように粘着テープ1を配置する。テープ装着部130は、束50の縁部61を粘着テープ1とともに第1ローラ141aと第2ローラ142aとの間に挿入して、束50の縁部61に粘着テープ1を装着する。以上の構成によって、以下の効果を奏する。第1ローラ141aと第2ローラ142aとが束50の縁部61に沿うように移動するため、束50の縁部61に対する粘着テープ1の追従性を高めることができる。これにより、粘着テープ1が束50の縁部61に沿うように密着するため、束50の縁部61を粘着テープ1でしっかりと包み込むことができる。したがって、束50の縁部61を粘着テープ1によってより一層強固に保持することができる。また、束50の縁部61に対して粘着テープ1が自動的に追従していくため、簡単な装置構成で、束50の縁部61を粘着テープ1によって確実に保持することができる。
以下、変形例について説明する。
例えば、束作成部120は、第1ローラ121と、第2ローラ122とを備えることに限らない。例えば、図50に示すように、束作成部220は、第1ローラ121と、ベルト機構221とを備えてもよい。
ベルト機構221は、ベルト222、第1プーリー223及び第2プーリー224を備える。ベルト222は、第1プーリー223及び第2プーリー224に掛け回される。ベルト222は、第1プーリー223と第2プーリー224との間において、第1ローラ121と対向する。ベルト222は、第1プーリー223と第2プーリー224との間において、束50の第2面50bに当接可能である。
不図示の駆動機構によって、ベルト機構221は、第1ローラ121に対して接離可能とされる。第1プーリー223及び第2プーリー224は、回転自在に支持されている。そのため、ベルト222は、第1ローラ121の回転に従って回転する。本変形例において、ベルト222の外周面222fのうち第1プーリー223と第2プーリー224との間に配置された部分は、第1ローラ121の外周面121fより、束50の表面に沿って変形しやすいように形成される。
以下、本変形例のベルト機構221の動作の一例を説明する。
図51に示すように、本変形例では、ベルト機構221を第1ローラ121に近接させる。具体的に、第1ローラ121とベルト222との間に束50を挟んだ状態で、ベルト222を第1ローラ121に圧接させる。上述の通り、ベルト222の外周面222fのうち第1プーリー223と第2プーリー224との間に配置された部分は、第1ローラ121の外周面121fより、束50の表面に沿って変形しやすい。そのため、束50のうち第1ローラ121とベルト222との間に挟まれた部分は、第1ローラ121の外周面121fに沿って撓む。加えて、ベルト222の外周面222fのうち第1プーリー223と第2プーリー224との間に配置された部分は、束50の第2面50bに沿って変形する。すなわち、ベルト222の外周面222fのうち第1プーリー223と第2プーリー224との間に配置された部分は、第1ローラ121の外周面121fに沿うように、第1プーリー223と第2プーリー224との間の空間に湾曲して凹む。
次に、束50の側部50cを階段状に形成する。具体的に、まず、切替部材126の切り替えによって、第1の搬送方向から第2の搬送方向へ搬送路を切り替える。次に、ベルト222の外周面222fのうち第1プーリー223と第2プーリー224との間に配置された部分を、束50の第2面50bに沿って変形させた状態で、第1ローラ121を回転(正転)させる。これに伴って、第1プーリー223及び第2プーリー224を従動回転(正転)する。そして、束50を、第3方向W(図37参照)に送り出すことで、複数の紙葉類51を第3方向Wにずらす。
上述した実施形態では、束作成部120において、第1当接部材として第1ローラ121を備え、第2当接部材として第2ローラ122を備えた例を挙げて説明したが、これに限らない。
例えば、束作成部120は、第1当接部材として、束50の第1面50aに当接可能な円弧部(例えば半月状の部材)を有する第1パッドを備えてもよい。または、束作成部120は、第2当接部材として、束50の第2面50bに当接可能な円弧部を有する第2パッドを備えてもよい。
また上述した実施形態では、束作成部120において、第1ローラ121が能動回転し、第2ローラ122が従動回転する例を挙げて説明したが、これに限らない。
例えば、第1ローラ121及び第2ローラ122の双方が独立して回転してもよい。すなわち、第1ローラ121及び第2ローラ122のうち少なくとも一方が能動回転し、他方が従動回転すればよい。なお、第1ローラ121及び第2ローラ122の双方が独立して回転することによって、以下の効果を奏する。第2ローラ122は、第1ローラ121の回転に従って回転する場合と比較して、紙葉類51のずれを第1面50a側と第2面50b側とで均一化できるため、紙葉類51を安定して送ることができる。
また上述した実施形態では、テープ装着部130において、第1ローラ141a及び第2ローラ142aが互いに当接する方向に付勢される例を挙げて説明したが、これに限らない。
例えば、第1ローラ141aのみが第2ローラ142aに当接する方向に付勢されてもよい。または、第2ローラ142aのみが第1ローラ141aに当接する方向に付勢されてもよい。すなわち、第1ローラ141a及び第2ローラ142aのうち少なくとも一方が他方に当接する方向に付勢されていればよい。
また上述した実施形態では、テープ装着部130において、第1付勢部材として第1ローラ141aを備え、第2付勢部材として第2ローラ142aを備えた例を挙げて説明したが、これに限らない。
例えば、テープ装着部130は、第1付勢部材として、円弧部を有する第1パッドを備えてもよい。または、テープ装着部130は、第2付勢部材として、円弧部を有する第2パッドを備えてもよい。
また上述した実施形態では、綴じ装置110の動作において、第2ローラ122の外周面122fをもとの形状に復帰させつつ、第2ローラ122の外周面122fを束50の第2面50bに当接させる例(図40参照)を挙げて説明したが、これに限らない。
例えば、第2ローラ122の外周面122fをもとの形状に復帰させつつ、第2ローラ122の外周面122fを束50の第2面50bから離反させてもよい。すなわち、第2ローラ122の外周面122fを束50の第2面50bから離反させた状態で、第1ローラ121を矢印V3(図41参照)の方向に能動回転(逆転)させてもよい。
また上述した実施形態では、綴じ装置110の動作(包み動作開始時)において、粘着テープ1を巻き出し部131から粘着テープ1の長さ方向に沿って予め繰り出した状態としておく例(図43参照)を挙げて説明したが、これに限らない。
例えば、包み動作開始時において、以下の動作を行ってもよい。まず、粘着テープ1を、巻き出し部131から粘着テープ1の長さ方向に沿って繰り出す。次に、分離部材133で分離された剥離フィルム13を巻き取り部134において巻き取る。加えて、搬送部132によって、巻き出し部131から繰り出された粘着テープ1を、粘着テープ1の長さ方向に沿って搬送する。また、テープ保持部136をガイド台135の側に移動させる。そして、テープ保持部136によって、粘着テープ1の姿勢を保持した状態で、粘着テープ1を支持する。
また上述した実施形態では、綴じ装置110の動作において、束50の縁部61に装着する粘着テープ1の枚数は限定されない。例えば、束50の縁部61に、束50の幅方向全体に亘って延びる1枚の粘着テープ1を装着してもよい。または、束50の縁部61に、束50の幅方向に間隔を開けて並ぶ複数枚の粘着テープ1を装着してもよい。
例えば、束50の縁部61に複数枚の粘着テープ1を装着する場合には、不図示の移動機構によって、束作成部120に対し、テープ装着部130をX方向に移動させてもよい。または、不図示の移動機構によって、テープ装着部130に対し、束作成部120をX方向に移動させてもよい。すなわち、束作成部120及びテープ装着部130がX方向に相体移動可能に構成されていてもよい。
また上述した実施形態では、粘着テープ1が被着体Aから剥離可能なものである例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、粘着テープ1は、被着体Aから剥離不能なものであってもよい。すなわち、粘着テープ1は、要求仕様に応じて、種々の特性を備えるものを用いることができる。
なお、粘着テープ1として、被着体Aから剥離可能なものを用いる場合には、粘着力が高く、かつ、破断強度に優れる粘着層11を備えるものを用いることが好ましい。この構成によれば、紙葉類51に糊残りが生じることなく、粘着層11を紙葉類51から剥離することができる。
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、保護フィルム12は、少なくとも一部がX方向に延びた中央スリット21を有する。これにより、粘着層11と保護フィルム12とを一緒に引き伸ばすことができる。これにより、被着体Aから容易に剥がすことができる粘着テープ1を提供することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。