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JP2016039009A - 導電性積層体の製造方法及び導電性積層体 - Google Patents

導電性積層体の製造方法及び導電性積層体 Download PDF

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JP2016039009A
JP2016039009A JP2014160868A JP2014160868A JP2016039009A JP 2016039009 A JP2016039009 A JP 2016039009A JP 2014160868 A JP2014160868 A JP 2014160868A JP 2014160868 A JP2014160868 A JP 2014160868A JP 2016039009 A JP2016039009 A JP 2016039009A
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fatty acid
particles
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JP2014160868A
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杏子 黒田
Kyoko Kuroda
杏子 黒田
恭 神代
Yasushi Kamishiro
恭 神代
元気 米倉
Genki Yonekura
元気 米倉
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Original Assignee
Hitachi Chemical Co Ltd
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Abstract

【課題】低温での導体化と基材との密着性とを両立することが可能な導電性積層体の製造方法を提供する。
【解決手段】基材上に、銅を含有するコア粒子と、前記コア粒子の表面の少なくとも一部に存在する炭素数が7以下であるアルキルアミンに由来する物質を含む有機物と、を有する銅含有粒子及び分散媒を含む導電材料を付与して導電材料含有層を形成する工程と、前記導電材料含有層を、前記基材のガラス転移点に対して−40℃〜+40℃の範囲内の温度で熱処理して銅層を形成する工程と、を含む導電性積層体の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、導電性積層体の製造方法及び導電性積層体に関する。
金属パターンの形成方法として、銅等の金属粒子を含むインク、ペースト等の導電材料をインクジェット印刷、スクリーン印刷等により基材上に付与する工程と、導電材料を加熱して金属粒子を焼結させ、導電性を発現させる導体化工程とを含む方法が知られている。導電材料に含まれる金属粒子としては、金属の酸化を抑制して保存性を高めるために表面に被覆材としての有機物を付着させたものが知られている。
特許文献1には、アルキルアミンで被覆された銅粒子及びその製造方法が記載されている。特許文献1に記載の方法は、シュウ酸銅等の銅前駆体とヒドラジン等の還元性化合物とを混合して複合化合物を得る工程と、前記複合化合物をアルキルアミンの存在下で加熱する工程とを有している。この方法により得られる銅粒子は、被覆材としてのアルキルアミンの種類を適切に選択することによって、大気中でも長期保存が可能であり、かつ300℃以下の加熱で良好な導電性を示すと報告されている。前記アルキルアミンとしては、炭素数が12以上のアルキルアミンが好ましいとされている。
また、一般的に、導電材料は、バインダー樹脂となる樹脂成分を有機溶媒に溶解して得られるビヒクル組成物中に、導電性粒子を分散させることによって製造される。
特許文献2には、導電性金属粉末、有機ビヒクル等を含む導電性ペースト組成物が記載されている。有機バインダー除去を目的に、通常、250℃〜330℃、空気雰囲気、窒素雰囲気等で熱処理を施して有機ビヒクルを燃焼させた後、金属粉末が参加されないように中性又は還元雰囲気で850℃〜1300℃で焼結することが記載されている。
特許文献3には、酸化銅を含む銅系粒子堆積層を、リン又は窒素を含有する有機化合物及びギ酸をともに含む処理ガス中、120℃以上140℃以下で処理する金属銅膜の製造方法が記載されている。
特開2012−72418号公報 特開2012−226865号公報 特開2013−175560号公報
有機ビヒクルは樹脂成分を含むため、焼結後の導電材料の基材との密着性を向上することができる。しかしながら、樹脂成分を除去するためには上述のように高温での加熱処理が必要であるため、耐熱性の低い基材に金属パターンを形成することは難しい。
また、酸化銅堆積層を処理ガス雰囲気下で処理する方法では、導体化工程を実施する際に処理ガスを導入する必要があり、工程が煩雑である。更に、基材との密着性を向上する方法としては、接着性の下地層を形成した後に金属粒子含有層を形成する方法等が知られている。しかしながら、このような工程数が増加して複雑になり、製造効率が低いという問題もある。
本発明は上記課題に鑑み、低温での導体化と基材との密着性とを両立することが可能な導電性積層体の製造方法及び導電性積層体を提供することを目的とする。また、基材との密着性に優れる導電性積層体を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための手段は、以下のとおりである。
<1> 基材上に、銅を含有するコア粒子と、前記コア粒子の表面の少なくとも一部に存在する炭素数が7以下であるアルキルアミンに由来する物質を含む有機物と、を有する銅含有粒子及び分散媒を含む導電材料を付与して導電材料含有層を形成する工程と、
前記導電材料含有層を、前記基材のガラス転移点に対して−40℃〜+40℃の範囲内の温度で熱処理して銅層を形成する工程と、
を含む導電性積層体の製造方法。
<2> 前記熱処理の温度が100℃〜200℃である<1>に記載の導電性積層体の製造方法。
<3> 前記基材が熱可塑性樹脂を含む<1>又は<2>に記載の導電性積層体の製造方法。
<4> <1>〜<3>のいずれか1項に記載の導電性積層体の製造方法により得られる導電性積層体。
<5> 基材と、
前記基材上に、銅を含有するコア粒子と、前記コア粒子の表面の少なくとも一部に存在する炭素数が7以下であるアルキルアミンに由来する物質を含む有機物と、を有する銅含有粒子及び分散媒を含む導電材料の焼結物からなり、少なくとも一部が前記基材に融着している導体と、
を有する導電性積層体。
本発明によれば、低温での導体化と基材との密着性とを両立することが可能な導電性積層体の製造方法及び導電性積層体を提供することができる。また、基材との密着性に優れる導電性積層体を提供することができる。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。さらに本明細書において組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
本明細書において「室温」とは、25℃を意味する。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本明細書において「層」との語は、平面図として観察したときに、全面に形成されている形状の構成に加え、一部に形成されている形状の構成も包含される。
本明細書において「積層体」との語は、層を積み重ねることを示し、二以上の層が結合されていてもよく、二以上の層が着脱可能であってもよい。
本明細書において「基材のガラス転移点」との語は、基材の相形態が変化する温度のことを指す。ガラス転移点は、示差走査熱量測定(DSC)により測定される。
本明細書において「導体化」との語は、金属含有粒子を焼結させて導電性を有する物体に変化させることをいう。「導体」とは、導電性を有する物体をいう。
[導電性積層体の製造方法]
本発明の導電性積層体の製造方法は、基材上に、銅を含有するコア粒子と、前記コア粒子の表面の少なくとも一部に存在する炭素数が7以下であるアルキルアミンに由来する物質を含む有機物と、を有する銅含有粒子及び分散媒を含む導電材料を付与して導電材料含有層を形成する工程(以下、「導電材料付与工程」とも称する)と、導電材料含有層に、基材のガラス転移点に対して−40℃〜+40℃の範囲内の温度で熱処理して銅層を形成する工程(以下、「熱処理工程」とも称する)と、を含む。
本発明の導電性積層体の製造方法は、必要に応じて、その他の工程を含んでいてもよい。
本発明の導電性積層体の製造方法は、上記構成を採ることにより、銅粒子を低温で且つ簡略な工程で導体化して銅層を得ることができる。これにより、耐熱性が比較的低い基材上にも銅層を形成可能となり、且つ基材との密着性を向上することが可能となる。
その理由は以下のように推察される。
有機物被覆を有する金属粒子は大気中で保存しても酸化が抑制されるという利点を有する一方、導電材料を焼結させる際には導体化の妨げとなる有機物被覆を熱分解して除去するために加熱する必要がある。本発明における銅含有粒子は、銅を含有するコア粒子と、このコア粒子の表面の少なくとも一部に存在する炭素数が7以下であるアルキルアミンに由来する物質を含む有機物と、を有することにより、銅含有粒子の酸化を抑制することができ、更に、本発明における有機物を構成するアルキルアミンの分子量が比較的小さいために、比較的低い温度でも熱分解し易く充分に除去されると考えられる。そのため、銅含有粒子の導体化及び有機物の除去が低温でも可能となると考えられる。
また、基材のガラス転移点に近い温度で熱処理を行うことにより、基材表面が溶けて、基材上の銅層との密着性が向上できると推察される。
その結果、低温での導体化と基材との密着性との両立が可能となると考えられる。
<導電材料付与工程>
導電材料付与工程では、基材上に、銅を含有するコア粒子と、前記コア粒子の表面の少なくとも一部に存在する炭素数が7以下であるアルキルアミンに由来する物質を含む有機物と、を有する銅含有粒子及び分散媒を含む導電材料を付与して導電材料含有層を形成する。
(導電材料の付与方法)
導電材料を基材上に付与して導電材料含有層を形成する方法は、導電材料含有層を基材上の任意の場所に任意の形状で形成可能な手法であれば特に制限はない。このような手法として、インクジェット法、スーパーインクジェット法、スクリーン印刷法、転写印刷法、オフセット印刷法、ジェットプリンティング印刷法、ディスペンサ法、ジェットディスペンサ法、ニードルディスペンサ法、カンマコータ法、スリットコータ法、ダイコータ法、グラビアコータ法、凸版印刷法、凹版印刷法、グラビア印刷法、ソフトリソグラフ法、ディップペンリソグラフ法、粒子堆積法、スプレーコータ法、スピンコータ法、ディップコータ法、電着塗装法等を挙げることができる。中でも、インクジェット法、スーパーインクジェット法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、ジェットプリンティング法、ディスペンサ法、ニードルディスペンサ法、カンマコータ法、スリットコータ法、ダイコータ法及びグラビアコータ法からなる群より選択される少なくとも1種の方法であることが好ましい。
例えば、ペースト状の導電材料をスクリーン印刷法により基材上に付与してもよく、インク状の導電材料をインクジェット印刷法により基材上に付与してもよい。
(導電材料含有層の特性)
基材上に形成される導電材料含有層の形状は特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。
また、導電材料含有層の厚みは特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば0.2μm〜50μmとすることができ、導電性及び接続信頼性の観点から0.8μm〜20μmであることが好ましい。
(基材)
基材の材質は特に制限されず、導電性を有していても有していなくてもよい。例えば、ITO、ZnO、SnO、Si等の半導体、ガラス、黒鉛、グラファイト等のカーボン材料、樹脂などを挙げることができる。
本発明の導電性積層体の製造方法は、特に、耐熱性が比較的低い材質からなる支持体に好適に適用することができる。このような材質としては、熱可塑性樹脂が好ましく、低温での導体化の観点から、ガラス転移点が50℃〜200℃である熱可塑性樹脂がより好ましく、ガラス転移点が90℃〜190℃である熱可塑性樹脂が更に好ましい。
基材中の熱可塑性樹脂の含有率は、50質量%以上であることが好ましい。
熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンナフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ABS、ポリメタクリル酸メチル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリロニトリル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等が好ましい。基材の形状は特に制限されず、板状、棒状、ロール状等であってよい。
(導電材料)
本発明の導電性積層体の製造方法において使用される導電材料は、銅を含有するコア粒子と、このコア粒子の表面の少なくとも一部に存在する炭素数が7以下であるアルキルアミンに由来する物質を含む有機物と、を有する銅含有粒子及び分散媒を含み、必要に応じてその他の成分を含んでいてよい。
本発明における導電材料は、形状が制御された銅含有粒子を含むため、粒子自体の分散性に優れている。このため、導電材料のチキソトロピー性、保存安定性等の特性を分散剤等の添加によらずに制御することができる。その結果、導体化を妨げる要因となる添加剤の量を低減でき、より低温での導体化を実現することが可能となる。本発明において「導体化」とは、導電材料中に含まれる銅含有粒子が焼結して得られる焼結物の抵抗率が300μΩcm以下となることを意味する。
本発明の導電材料の状態は特に制限されず、用途に応じて選択できる。例えば、導電材料をスクリーン印刷法に適用する場合は、粘度が0.1Pa・s〜30Pa・sであることが好ましく、1Pa・s〜30Pa・sであることがより好ましい。導電材料をインクジェット印刷法に適用する場合は、粘度が0.1mPa・s〜30mPa・sであることが好ましく、5mPa・s〜20mPa・sであることがより好ましい。
−銅含有粒子−
本発明における銅含有粒子は、銅を含有するコア粒子と、このコア粒子の表面の少なくとも一部に存在するアルキルアミンに由来する物質を含む有機物と、を有し、アルキルアミンは炭化水素基の炭素数が7以下であるアルキルアミン(以下、特定アルキルアミンともいう)を含む。有機物及びアルキルアミンの存在は、例えば、窒素雰囲気中で前記有機物又はアルキルアミンが熱分解する温度以上の温度で銅含有粒子を加熱し、加熱前後の銅含有粒子の質量を比較することで確認することができる。
本発明における銅含有粒子は、銅を含有するコア粒子の表面の少なくとも一部にアルキルアミンに由来する物質を含む有機物を有することにより、耐酸化性に優れる。さらに、本発明における銅含有粒子は、低温(例えば、150℃以下)で導体化することができる。これは、有機物を構成するアルキルアミンの分子量が比較的小さいために、比較的低い温度でも熱分解しやすいためと考えられる。
(特定アルキルアミン)
本発明において、特定アルキルアミンはRNH(Rは炭素数が7以下の炭化水素基であり、環状又は分岐状であってもよい)で表される1級アミン、RNH(R及びRは同じであっても異なっていてもよい炭化水素基であり、環状又は分岐状であってもよく、合計の炭素数が7以下である)で表される2級アミン、炭素数が7以下の炭化水素鎖に2つのアミノ基が結合したジアミンを意味する。特定アルキルアミンは、1つ以上の二重結合を有していてもよく、酸素、ケイ素、窒素、イオウ、リン等の原子を有していてもよい。特定アルキルアミンは、1種のみであっても2種以上であってもよい。
特定アルキルアミンの炭素数が7を超えていると、導体化に必要な温度を充分に低くできない場合がある。耐酸化性と低温での導体化をより有効に両立させる観点からは、特定アルキルアミンの炭素数は7以下であることが好ましく、6以下であることがより好ましい。特定アルキルアミンの炭素数は4以上であることが好ましく、4〜6であることがより好ましい。
炭素数が7以下である1級アミンとして具体的には、エチルアミン、2−エトキシエチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、ペンチルアミン、イソペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン等を挙げることができる。
炭素数が7以下である2級アミンとして具体的には、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、エチルプロピルアミン、エチルペンチルアミン等を挙げることができる。
炭素数が7以下であるアルキルジアミンとして具体的には、エチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N’−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N−ジエチル−1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン、1,6−ジアミノへキサン、N,N’−ジメチル−1,6−ジアミノへキサン、1,7−ジアミノヘプタン等を挙げることができる。
銅を含有するコア粒子の表面の少なくとも一部に存在する有機物は、特定アルキルアミン以外のアルキルアミンに由来する物質を含んでいてもよい。特定アルキルアミン以外のアルキルアミンとしては、炭素数が8以上である1級アミン、2級アミン及びアルキルジアミン等を挙げることができる。特定アルキルアミン以外のアルキルアミンは、炭化水素基が環状又は分岐状であってもよく、1個以上の二重結合を有していてもよく、酸素、ケイ素、窒素、イオウ、リン等の原子を有していてもよい。特定アルキルアミン以外のアルキルアミンは、1種のみであっても2種以上であってもよい。
炭素数が8以上である1級アミンとしては、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オレイルアミン等を挙げることができる。
炭素数が8以上である2級アミンとしては、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン等を挙げることができる。
炭素数が8以上であるアルキルジアミンとして具体的には、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,12−ジアミノドデカン等を挙げることができる。
銅を含有するコア粒子の表面の少なくとも一部に存在する有機物が特定アルキルアミン以外のアルキルアミンに由来する物質を含む場合、特定アルキルアミンに由来する物質の有機物全体における割合は50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。
銅を含有するコア粒子の表面の少なくとも一部に存在する有機物は、その割合が銅を含有するコア粒子及び有機物の合計に対して0.1質量%〜20質量%であることが好ましい。特定有機物の割合が0.1質量%以上であると、充分な耐酸化性が得られる傾向にある。有機物の割合が20質量%以下であると、低温での導体化が容易に達成される傾向にある。銅を含有するコア粒子及び有機物の合計に対する有機物の割合は0.3質量%以上であることがより好ましく、0.5質量%以上であることが更に好ましい。また、銅を含有するコア粒子及び有機物の合計に対する有機物の割合は10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることが更に好ましく、3質量%以下であることが特に好ましい。
本発明における銅含有粒子の大きさは特に制限されず、用途に応じて選択することができる。銅含有粒子を後述する方法によって製造する場合は、一般に無作為に選択される200個の銅含有粒子の長軸の長さの中央径が10nm〜500nmの範囲内である。導体化温度を低くする観点からは、無作為に選択される200個の銅含有粒子の長軸の長さの中央地が10nm〜300nmであることが好ましく、10nm〜200nmであることがより好ましい。
本発明において長軸の長さとは、粒子に外接し、互いに平行である二平面の間の距離が最大となるように選ばれる二平面間の距離を意味する。本発明において長軸の長さの中央値とは、200個の銅含有粒子の長軸の長さの値を小さい順に並べたときに中央に位置する2つの値(100番目及び101番目)の算術平均値を意味する。銅含有粒子の長軸の長さは、電子顕微鏡による観察等の通常の方法によって測定できる。
本発明における銅含有粒子の形状は特に制限されない。例えば、球状、長粒状、扁平状、繊維状等を挙げることができ、銅含有粒子の用途に合わせて選択できる。印刷用ペーストの観点からは、球状又は長粒状であることが好ましい。
本発明における銅含有粒子は、少なくとも金属銅を含み、必要に応じてその他の物質を含んでもよい。銅以外の物質としては、金、銀、白金、錫、ニッケル等の金属又はこれらの金属元素を含む化合物、後述する脂肪酸銅、還元性化合物又はアルキルアミンに由来する有機物、酸化銅、塩化銅等を挙げることができる。導電性にすぐれる銅パターンを形成する観点からは、銅含有粒子中の金属銅の含有率は70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、85質量%以上であることがさらに好ましい。
本発明における銅含有粒子は、表面の少なくとも一部に有機物が存在しているために酸化が抑制されており、酸化物の含有率が小さい。例えば、ある実施態様では、銅含有粒子中の酸化物の含有率が5質量%以下であり、別の実施態様では、コア粒子中の酸化物の含有率が1質量%以下である。コア粒子中の酸化物の含有率は、例えばXRDによって測定することができる。
−銅含有粒子の製造方法−
本発明における銅含有粒子を製造する方法は特に制限されない。例えば、炭素数が9以下である脂肪酸と銅との金属塩と、還元性化合物と、炭素数が7以下であるアルキルアミンを含むアルキルアミンと、を含む組成物を加熱する工程を有する方法によって本発明の銅含有粒子を製造することができる。
前記方法は、銅前駆体として、炭素数が9以下である脂肪酸と銅との金属塩を使用するものである。これにより、銅前駆体としてシュウ酸銀等を用いる特許文献1に記載の方法と比較して、より沸点の低い(すなわち、分子量の小さい)アルキルアミンを反応媒として使用することが可能になったと考えられる。その結果、得られる銅含有粒子の表面に存在する有機物がより熱分解しやすいものとなり、導体化を低温で実施することが可能になったと考えられる。
−脂肪酸−
前記方法に使用される脂肪酸は、RCOOHで表される1価のカルボン酸(Rは鎖状の炭化水素基であり、直鎖状であっても分岐を有していてもよい)である。本発明で使用される脂肪酸は、飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸のいずれであってもよい。粒子の被覆率を向上して酸化を防止する観点からは、直鎖状の飽和脂肪酸が好ましい。脂肪酸は1種のみでも、2種以上であってもよい。
導体化温度を低くする観点からは、前記脂肪酸の炭素数が9以下であることが好ましい。炭素数が9以下である飽和脂肪酸としては、酢酸(炭素数2)、プロピオン酸(炭素数3)、酪酸及びイソ酪酸(炭素数4)、吉草酸及びイソ吉草酸(炭素数5)、カプロン酸(炭素数6)、エナント酸及びイソエナント酸(炭素数7)、カプリル酸及びイソカプリル酸及びイソカプロン酸(炭素数8)、ノナン酸及びイソノナン酸(炭素数9)などを挙げることができる。炭素数が9以下である不飽和脂肪酸としては、上記の飽和脂肪酸の炭化水素基中に1つ以上の二重結合を有するものを挙げることができる。
本発明における銅含有粒子の製造に使用される脂肪酸の種類は、得られる銅含有粒子の分散媒への分散性、焼結性等の性質に影響しうる。このため、銅含有粒子の用途に応じて脂肪酸の種類を選択することが好ましい。粒子径の均一化の観点からは、炭素数が9以下である脂肪酸と、炭素数が4以下である脂肪酸とを併用することが好ましい。例えば、炭素数が9であるノナン酸と、炭素数が2である酢酸とを併用することが好ましい。炭素数が9以下である脂肪酸と炭素数が4以下である脂肪酸とを併用する場合の比率は、特に制限されない。
炭素数が9以下である脂肪酸と銅との塩化合物(脂肪酸銅)を得る方法は特に制限されない。例えば、水酸化銅と脂肪酸とを溶媒中で混合することで得てもよく、市販されている脂肪酸銅を用いてもよい。あるいは、水酸化銅、脂肪酸及び還元性化合物を溶媒中で混合することで、脂肪酸銅の生成と、脂肪酸銅と還元性化合物との間で形成される錯体の生成とを同じ工程中で行ってもよい。
−還元性化合物−
前記方法に使用される還元性化合物は、脂肪酸銅と混合した際に両化合物間で錯体等の複合化合物を形成すると考えられる。これにより、還元性化合物が脂肪酸銅中の銅イオンに対する電子のドナーとなり銅イオンの還元が生じやすくなり、錯体を形成していない状態の脂肪酸銅よりも自発的な熱分解による銅原子の遊離が生じやすくなると考えられる。還元性化合物は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
還元性化合物として具体的には、ヒドラジン、ヒドラジン誘導体、塩酸ヒドラジン、硫酸ヒドラジン、抱水ヒドラジン等のヒドラジン化合物、ヒドロキシルアミン、ヒドロキシルアミン誘導体等のヒドロキシルアミン化合物、水素化ホウ素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム等のナトリウム化合物などを挙げることができる。
脂肪酸銅中の銅原子に対して配位結合を形成しやすい、脂肪酸銅の構造を維持した状態で錯体を形成しやすい等の観点からは、アミノ基を有する還元性化合物が好ましい。アミノ基を有する還元性化合物としては、ヒドラジン及びその誘導体、ヒドロキシルアミン及びその誘導体等を挙げることができる。
前記方法において脂肪酸銅、還元性化合物及びアルキルアミンを含む組成物を加熱する工程(以下では加熱工程ともいう)における加熱温度を低くする(例えば、150℃以下)観点からは、アルキルアミンの蒸発又は分解を生じない温度範囲において銅原子の還元及び遊離を生じる錯体を形成可能な還元性化合物を選択することが好ましい。このような還元性化合物としては、ヒドラジン及びその誘導体、ヒドロキシルアミン及びその誘導体等を挙げることができる。これらの還元性化合物は、骨格を成す窒素原子が銅原子との配位結合を形成して錯体を形成可能である。また、これらの還元性化合物は一般にアルキルアミンと比較して還元力が強いため、生成した錯体が比較的穏和な条件で自発的な分解を生じ、銅原子の還元及び遊離が生じる傾向にある。
ヒドラジン又はヒドロキシルアミンの代わりにこれらの誘導体から好適なものを選択することで、脂肪酸銅との反応性を調節することができ、所望の条件で自発分解を生じる錯体を生成することができる。ヒドラジン誘導体としては、メチルヒドラジン、エチルヒドラジン、n−プロピルヒドラジン、イソプロピルヒドラジン、n−ブチルヒドラジン、イソブチルヒドラジン、sec−ブチルヒドラジン、t−ブチルヒドラジン、n−ペンチルヒドラジン、イソペンチルヒドラジン、neo−ペンチルヒドラジン、t−ペンチルヒドラジン、n−ヘキシルヒドラジン、イソヘキシルヒドラジン、n−ヘプチルヒドラジン、n−オクチルヒドラジン、n−ノニルヒドラジン、n−デシルヒドラジン、n−ウンデシルヒドラジン、n−ドデシルヒドラジン、シクロヘキシルヒドラジン、フェニルヒドラジン、4−メチルフェニルヒドラジン、ベンジルヒドラジン、2−フェニルエチルヒドラジン、2−ヒドラジノエタノール、アセトヒドラジン等を挙げることができる。ヒドロキシルアミンの誘導体としては、N,N−ジ(スルホエチル)ヒドロキシルアミン、モノメチルヒドロキシルアミン、ジメチルヒドロキシルアミン、モノエチルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン、N,N−ジ(カルボキシエチル)ヒドロキシルアミン等を挙げることができる。
脂肪酸銅に含まれる銅と還元性化合物の比率は、所望の錯体が形成される条件であれば特に制限されない。例えば、前記比率(銅:還元性化合物)はモル基準で1:1〜1:4の範囲とすることができ、1:1〜1:3の範囲とすることが好ましく、1:1〜1:2の範囲とすることがより好ましい。
−アルキルアミン−
前記方法に使用されるアルキルアミンは、脂肪酸銅と還元性化合物とから形成される錯体の分解反応の反応媒として機能すると考えられる。さらに、還元性化合物の還元作用によって生じるプロトンを捕捉し、反応溶液が酸性に傾いて銅原子が酸化されることを抑制すると考えられる。
アルキルアミンは、炭化水素基の炭素数が7以下であるアルキルアミン(特定アルキルアミン)の少なくとも1種を含む。これにより、耐酸化性にすぐれ、低温で導体化できる銅含有粒子を製造することができる。特定アルキルアミンは1種単独又は2種以上を併用してよく、その種類及び好ましい態様等は、本発明の銅含有粒子の表面に存在する有機物に関連して述べたものと同様である。アルキルアミンは、特定アルキルアミン以外のアルキルアミンを含んでもよく、その種類及び好ましい態様等は、本発明の銅含有粒子の表面に存在する有機物に関連して述べたものと同様である。アルキルアミンが特定アルキルアミン以外のアルキルアミンを含む場合、アルキルアミン全体に占める特定アルキルアミンの割合は50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。
脂肪酸銅に含まれる銅とアルキルアミンの比率は、所望の銅含有粒子が得られる条件であれば特に制限されない。例えば、前記比率(銅:アルキルアミン)はモル基準で1:1〜1:8の範囲とすることができ、1:1〜1:6の範囲とすることが好ましく、1:1〜1:4の範囲とすることがより好ましい。
−加熱工程−
前記方法において、脂肪酸銅、還元性化合物及びアルキルアミンを含む組成物を加熱する工程を実施するための方法は特に制限されない。例えば、脂肪酸銅と還元性化合物とを溶媒に混合した後にアルキルアミンを添加して加熱する方法、脂肪酸銅とアルキルアミンとを溶媒と混合した後にさらに還元性化合物を添加して加熱する方法、脂肪酸銅の出発物質である水酸化銅、脂肪酸、還元性化合物及びアルキルアミンを溶媒に混合して加熱する方法、脂肪酸銅とアルキルアミンとを溶媒に混合した後に還元性化合物を添加して加熱する方法等を挙げることができる。
形状及び大きさの揃った粒子を得る観点からは、脂肪酸銅、還元性化合物及びアルキルアミンを含む組成物は脂肪酸銅及びアルキルアミンの混合物を得る第1工程と、脂肪酸銅及びアルキルアミンの混合物に還元性化合物を添加する第2工程とを含む方法によって得ることが好ましい。この場合、脂肪酸銅とアルキルアミンとの混合物を得る第1工程と、脂肪酸銅及びアルキルアミンの混合物に還元性化合物を添加する第2工程とは同一容器内で連続して行っても、別々に行ってもよい。
脂肪酸銅、還元性化合物及びアルキルアミンを含む組成物を得る方法が脂肪酸銅及びアルキルアミンの混合物を得る第1工程と、脂肪酸銅及びアルキルアミンの混合物に還元性化合物を添加する第2工程とを含む場合、前記第1工程は0℃以上100℃以下で行うことが好ましく、10℃以上90℃以下で行うことより好ましく、25℃以上80℃以下で行うことがさらに好ましい。前記第2工程は還元反応が抑制される温度で行うことが好ましい。例えば10℃以下で行うことが好ましく、5℃以下で行うことがより好ましく、0℃以下で行うことがさらに好ましい。
脂肪酸銅、還元性化合物及びアルキルアミンを含む組成物の加熱は、脂肪酸銅と還元性化合物とから形成される錯体が分解する温度で行われる。例えば、前記加熱は150℃以下で行うことが好ましく、130℃以下で行うことがより好ましく、100℃以下で行うことが更に好ましい。前記方法では、銅前駆体として特定の脂肪酸銅を用いることにより、加熱工程を比較的低温で行うことができる。
脂肪酸銅、還元性化合物及びアルキルアミンを含む組成物は、さらに溶媒を含んでもよい。脂肪酸銅と還元性化合物による錯体の形成を促進する観点からは、極性溶媒を含むことが好ましい。ここで極性溶媒とは、25℃で水に対する溶解度を有するものであることが好ましく、アルコール溶媒であることがより好ましい。溶媒としてアルコールを用いることで錯体の形成が促進される理由は明らかではないが、固体である脂肪酸銅を溶解させながら水溶性である還元性化合物との接触が促進されるためと考えられる。溶媒は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
25℃で水に対する溶解度を示すアルコールとしては、炭素数が1〜8であり、分子中に水酸基を1つ有するアルコールを挙げることができる。このようなアルコールとしては、直鎖状のアルキルアルコール、フェノール、分子内にエーテル結合を有する炭化水素の水素原子を水酸基で置換したもの等を挙げることができる。より強い極性を発現する観点からは、分子中に水酸基を2個以上含むアルコールも好ましく用いられる。また、製造される銅含有粒子の用途に応じてイオウ原子、リン原子、ケイ素原子等を含むアルコールを用いてもよい。
溶媒として用いるアルコールとして具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、アリルアルコール、ベンジルアルコール、ピナコール、プロピレングリコール、メントール、カテコール、ヒドロキノン、サリチルアルコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、スクロース、グルコース、キシリトール、メトキシエタノール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール等を挙げることができる。
前記アルコールのうち、水に対する溶解度が極めて大きいメタノール、エタノール、1−プロパノール及び2−プロパノールが好ましく、1−プロパノール及び2−プロパノールがより好ましく、1−プロパノールがさらに好ましい。
(分散媒)
本発明の導電材料の導電材料に使用される分散媒は特に制限されず、導電インク、導電ペースト等の作製に一般に用いられる有機溶剤から用途に応じて選択できる。例えば、粘度調整の観点からはテルピネオール、イソボルニルシクロヘキサノール、ジヒドロターピネオール、ジヒドロターピネオールアセテート等が好ましい。
(その他の成分)
本発明における導電材料は、上述した成分に加え、必要に応じて、当該技術分野で通常用いられるその他の成分を更に含むことができる。その他の成分としては、例えば、チクソ剤等が挙げられる。
(導電材料の製造方法)
本発明における導電材料の製造方法は特に限定されず、当該技術分野で通常用いられる方法を用いることができる。
例えば、本発明における銅含有粒子及び必要に応じて含まれるその他の成分を分散媒中に分散処理することで調製することができる。分散処理は、石川式攪拌器、自転公転式撹拌機、超薄膜高速回転式分散機、ロールミル、超音波分散機、ビーズミルなどのメディア分散機、ホモミキサーやシルバーソン攪拌機などのキャビテーション攪拌装置、アルテマイザーなどの対向衝突法を用いることができる。また、これらの手法を適宜組み合わせて用いてもよい。
<熱処理工程>
熱処理工程では、導電材料付与工程において形成される導電材料含有層を、基材のガラス転移点に対して−40℃〜+40℃の範囲内の温度で熱処理して銅層を形成する。これにより、導電材料が焼結されて銅含有粒子が導体化される。熱処理温度が上記範囲内であると、銅層の基材への密着性が向上する傾向にある。
熱処理工程における熱処理温度は、基材への密着性の観点から、基材のガラス転移点に対して−40℃〜+40℃の範囲内であることが好ましく、−30℃〜+30℃範囲内であることがより好ましく、−25℃〜+25℃であることが更に好ましい。
熱処理温度は、導体化及び基材への影響の観点から、100℃〜200℃であることが好ましい。熱処理温度が100℃以上であると充分な導電材料の導体化及び充分な基材への密着性が得られ、200℃以下であると基材への熱ダメージが抑制される傾向にある。
熱処理工程は一定の昇温速度で行っても、不規則に変化させてもよい。
熱処理時間は特に限定されず、熱処理温度、熱処理雰囲気、銅含有粒子の量等を考慮して選択できる。熱処理時間は、十分な導電性と量産性を両立する観点から、10分〜120分であることが好ましい。
熱処理工程における雰囲気は不活性ガス雰囲気であれば特に制限されず、通常の導体化処理で用いられる雰囲気ガスを使用することができる。不活性ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガス等が挙げられる。
ある実施形態において、熱処理工程では、不活性ガス雰囲気下で、ガラス転移点が70℃〜200℃の基材上に形成された導電材料含有層を、上記ガラス転移点に対して−40℃〜+40℃の範囲内の温度で10分〜120分間、熱処理を行うことが好ましい。
[導電性積層体]
本発明の導電性積層体は、本発明の導電性積層体の製造方法により得られる。
本発明の導電性積層体は、基材と、この基材上に、銅を含有するコア粒子と、コア粒子の表面の少なくとも一部に存在する炭素数が7以下であるアルキルアミンに由来する物質を含む有機物と、を有する銅含有粒子及び分散媒を含む導電材料の焼結物からなり、少なくとも一部が前記基材に融着している導体(銅層)と、を有する。本発明における導体(銅層)の少なくとも一部が基材に融着しているため、基材との密着性に優れる。
以下、本発明の銅含有粒子について実施例をもとに説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例1>
[1.1]ノナン酸銅の合成
水酸化銅(関東化学株式会社、特級)91.5g(0.94mmol)に1−プロパノール(関東化学株式会社、特級)150mLを加えて撹拌し、これにノナン酸(関東化学株式会社、90%以上)370.9g(2.34mmol)を加えた。得られた混合物を、セパラブルフラスコ中で90℃、30分間加熱撹拌した。得られた溶液を加熱したままろ過して未溶解物を除去した。その後放冷し、生成したノナン酸銅を吸引ろ過し、洗浄液が透明になるまでヘキサン洗浄した。得られた粉体を50℃の防爆オーブンで3時間乾燥してノナン酸銅(II)を得た。収量は340g(収率96質量%)であった。
[1.2]銅粒子の合成
上記で得られたノナン酸銅(II)15.01g(0.040mol)と酢酸銅(II)無水物(関東化学株式会社、特級)7.21g(0.040mol)をセパラブルフラスコに入れ、1−プロパノール10mLとヘキシルアミン(東京化成工業株式会社、純度99%)32.1g(0.32mol)を添加し、オイルバス中で80℃で加熱撹拌して溶解させた。氷浴に移し、内温が5℃になるまで冷却した後、ヒドラジン一水和物(関東化学株式会社、特級)7.72mL(0.16mol)を1−プロパノール12mLに溶解させた溶液を脂肪酸銅の溶液に加え、氷浴中で撹拌した。尚、銅:ヘキシルアミンのモル比は1:4である。次いで、オイルバス中で90℃で加熱撹拌した。その際、発泡を伴う還元反応が進み、10分以内で反応が終了した。セパラブルフラスコの内壁が銅光沢を呈し、溶液が暗赤色に変化した。遠心分離を4000rpm(回転/分)で1分間実施して固体物を得た。固形物を更にヘキサン15mLで洗浄する工程を3回繰り返し、酸残渣を除去して、銅光沢を有する銅粒子の粉体を含む銅ケークを得た。
<低温導体化の評価>
実施例1で得られた銅粒子のケーク(60質量部)、テルピネオール(20質量部)及びイソボルニルシクロヘキサノール(商品名:テルソルブMTPH、日本テルペン化学株式会社)(20質量部)を混合して導電材料を作製した。
得られた導電材料をポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(ガラス転移点:155℃)上にバーコーターを用いて塗布し、厚みが約1μmの塗布層を形成した。得られた塗布層付きPENフィルムを焼成炉に入れて加熱し、銅粒子表面の有機物を熱分解させ、且つ銅粒子同士を焼結させて金属銅の薄膜を得た。加熱は、窒素中の酸素濃度を100ppmとした雰囲気中、昇温速度40℃/分で140℃まで加熱し、60分間保持することによって行った。
得られた金属銅の薄膜の体積抵抗率を、4端針面抵抗測定器で測定した面抵抗値と、非接触表面・層断面形状計測システム(VertScan、株式会社菱化システム)で求めた膜厚とから計算した。結果は30μΩcmであり、体積抵抗率が充分に低い導体が形成されていた。
<密着性の評価>
実施例1で得られた金属銅の薄膜と基材(PENフィルム)との密着性を、JIS K5600(1999)に準拠して2mm角クロスカット試験で評価した。どの格子の目もはがれなければ「A」、カットの交差点における塗膜の小さなはがれであれば「B」、塗膜がカットの線に沿って、交差点においてはがれていれば「C」、それ以上の部分的、全面的はがれであれば「D」とした。結果は「A」であり、基材との密着性に優れていた。
以上より、本発明の導電性積層体の製造方法により、簡略な工程で、銅含有粒子を低温導体化でき、銅層と基材との密着性を向上できることが分かった。
<比較例1>
実施例1において使用したPENフィルムの代わりに、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(ガラス転移点:69℃)を使用した以外は実施例1と同様に導電材料を作成し評価した。結果、比較例1の導電材料の密着性は「A」であり密着性に優れていたものの、導通が得られなかった。集束イオンビーム(FIB)加工観察により、比較例1の導電材料を用いて得られた薄膜の断面形状を観察すると、焼結体がPETフィルムに埋没して導通パスが取れないていなかった。

Claims (5)

  1. 基材上に、銅を含有するコア粒子と、前記コア粒子の表面の少なくとも一部に存在する炭素数が7以下であるアルキルアミンに由来する物質を含む有機物と、を有する銅含有粒子及び分散媒を含む導電材料を付与して導電材料含有層を形成する工程と、
    前記導電材料含有層を、前記基材のガラス転移点に対して−40℃〜+40℃の範囲内の温度で熱処理して銅層を形成する工程と、
    を含む導電性積層体の製造方法。
  2. 前記熱処理の温度が100℃〜200℃である請求項1に記載の導電性積層体の製造方法。
  3. 前記基材が熱可塑性樹脂を含む請求項1又は請求項2に記載の導電性積層体の製造方法。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の導電性積層体の製造方法により得られる導電性積層体。
  5. 基材と、
    前記基材上に、銅を含有するコア粒子と、前記コア粒子の表面の少なくとも一部に存在する炭素数が7以下であるアルキルアミンに由来する物質を含む有機物と、を有する銅含有粒子及び分散媒を含む導電材料の焼結物からなり、少なくとも一部が前記基材に融着している導体と、
    を有する導電性積層体。
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