JP2016023878A - 冷暖房装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】大きな磁気回路を用いず、歪を印加、除去することによって、発熱及び吸熱する熱量材料を用いた、小型で軽量の冷暖房装置を提供する。【解決手段】歪の印加、除去によって発熱及び吸熱する熱生成部材110A−110Fを複数間隔を設けて配置した熱生成ユニット110と、低温側熱交換部120と、高温側熱交換部130と、熱生成部材、低温側熱交換部、高温側熱交換部の間に熱スイッチ140A−140Gを配置した熱伝導ユニット140と、熱生成部材に歪を印加して熱生成部材を活性化させる歪制御部150と、熱スイッチを活性化させる熱スイッチ駆動部160と、歪制御部及び熱スイッチ駆動部の作動タイミングを制御することにより低温側熱交換部と高温側熱交換部との間で熱を伝導させる駆動制御部170と、を有する。【選択図】図1
Description
本発明は、冷暖房装置に係り、特に、歪みを印加することによって、発熱及び吸熱する熱量材料を用いた冷暖房装置に関する。
従来用いられている室温域の冷凍機、たとえば、冷蔵庫、冷凍庫、エアコンなどの冷凍機の大半は、フロンガスや代替フロンガスなどの気体冷媒の相変化を利用している。最近では、フロンガスの排出に伴うオゾン層破壊の問題が露呈し、さらに、代替フロンガスの排出に伴う地球温暖化への影響も懸念されている。このため、フロンガスや代替フロンガスなどの気体冷媒を用いた冷凍機に代わる、クリーンでかつ熱輸送能力の高い、革新的な冷凍機の開発が強く望まれている。
このような背景から、最近になって注目されるようになった冷凍技術が磁気冷凍技術である。磁性体の中には、その磁性体に印加する磁界の大きさが変化すると、その変化に応じて自身の温度を変化させる、いわゆる磁気熱量効果を発現するものがある。この磁気熱量効果を発現する磁性体を利用して熱を輸送する冷凍技術が磁気冷凍技術である。
磁気冷凍技術を応用した冷凍機としては、たとえば、下記特許文献1に記載されているような、固体物質の熱伝導を利用して、熱を輸送する磁気冷凍機がある。
しかし、磁気冷凍機の場合、磁場が弱いと磁性体の十分な温度変化が得られない。磁性体を効果的に発熱・吸熱させるためには、強い磁場を形成する必要がある。このために、希少な金属を用いた非常に磁力の強い高価な磁石を用いなければならなくなる。
また、強い磁場を形成するためには大きな磁気回路を必要とするので、冷凍機の体積が大きくなり、また、重量も重くなる。具体的には、磁気冷凍機の磁気回路の体積と重量は磁気冷凍機全体の半分以上の体積と重量となる。
磁気回路を用いた冷凍機の場合、磁気回路を小型化することはできないので、冷凍機の小型化、軽量化は非常に困難である。冷凍機の小型化、軽量化に寄与する技術として、下記引用文献2に記載されているような技術がある。
特許文献2には、圧電材料を電極として機能する磁気熱量材料で挟み、磁気熱量材料に電圧を印加して圧電材料の結晶格子定数を変え、それに追随して磁気熱量材料の結晶格子定数を変化させ、磁気熱量材料の磁化特性を変えて磁気熱量材料を発熱・吸熱させることが記載されている。
しかし、引用文献2に記載された技術の場合、磁気熱量材料を電極としても使用するため、非導電性の磁気熱量材料を用いることができない。
磁気熱量材料の中には、非導電性であっても、歪を印加、除去することによって発熱及び吸熱するものが存在する。また、電場を印加、除去することによって発熱及び吸熱する電気熱量効果を発現する電気熱量材料の中にも、歪を印加、除去することによって発熱及び吸熱するものが存在する。発明者は、これらの熱量材料に歪を加えて発熱及び吸熱させれば冷暖房装置の小型化ができるのではないかと考えた。
本発明は、以上のような従来の問題点の解消、及び、発明者の着想に基づいて成されたものであり、大きな磁気回路を用いず、歪を印加、除去することによって、発熱及び吸熱する熱量材料を用いた、小型で軽量の冷暖房装置の提供を目的とする。
上記目的を達成するための本発明に係る冷暖房装置は、熱生成ユニット、低温側熱交換部、高温側熱交換部、熱伝導ユニット、歪制御部、熱スイッチ駆動部及び駆動制御部を有する。
熱生成ユニットには、歪の印加、除去によって発熱及び吸熱する熱生成部材が複数間隔を設けて配置してある。低温側熱交換部は熱生成ユニットの一端に位置する熱生成部材と間隔を設けて隣り合っている。高温側熱交換部は熱生成ユニットの他端に位置する熱生成部材と間隔を設けて隣り合っている。熱伝導ユニットには、熱生成ユニット内で隣り合う熱生成部材同士の間、熱生成ユニットの一端に位置する熱生成部材と低温側熱交換部との間及び熱生成ユニットの他端に位置する熱生成部材と高温側熱交換部との間に、熱スイッチを配置してある。歪制御部は熱生成部材に歪を印加して熱生成部材を活性化させる。熱スイッチ駆動部は熱スイッチを活性化させる。駆動制御部は電圧印加部及び熱スイッチ駆動部の作動タイミングを制御することにより低温側熱交換部と高温側熱交換部との間で熱を伝導させる。
以上のように構成された本発明に係る冷暖房装置は、低温側熱交換部と高温側熱交換部との間に、歪の印加、除去によって発熱及び吸熱する複数の熱生成部材を有する熱生成ユニットを配置し、熱生成ユニットの熱を熱伝導ユニットによって低温側熱交換部と高温側熱交換部との間で伝導させるようにしたので、小型で軽量の冷暖房装置を提供できる。
以下に、本発明に係る冷暖房装置の実施形態を、〔実施形態1〕から〔実施形態3〕に分けて説明する。まず、図面を参照しながら実施形態1に係る冷暖房装置の構成を説明する。
〔実施形態1〕
(冷暖房装置の構成)
図1は、実施形態1に係る冷暖房装置の構成図である。実施形態1に係る冷暖房装置100は、熱生成ユニット110、低温側熱交換部120、高温側熱交換部130、熱伝導ユニット140、歪制御部150、熱スイッチ駆動部160及び駆動制御部170を有する。
(冷暖房装置の構成)
図1は、実施形態1に係る冷暖房装置の構成図である。実施形態1に係る冷暖房装置100は、熱生成ユニット110、低温側熱交換部120、高温側熱交換部130、熱伝導ユニット140、歪制御部150、熱スイッチ駆動部160及び駆動制御部170を有する。
熱生成ユニット110は、間隔を設けて配置された複数の熱生成部材110A−110Fを有する。熱生成部材110A−110Fは、それぞれ歪を印加、除去する歪印加部112A−112Fと、歪が印加、除去されると発熱及び吸熱する熱量材料114A−114Fとから構成される。たとえば、熱生成部材110Aは、熱量材料114Aと、熱量材料114Aの一方側に位置し熱量材料114Aに歪を印加・除去する歪印加部112Aと、から構成される。その他の熱生成部材110B、110C、110D、110E、110Fの構成も熱生成部材110Aの構成と同一である。
実施形態1における、歪印加部112A−112Fは、熱量材料114A−114Fに対して、この熱量材料の結晶格子定数が機械的に変化するように圧縮応力または引張応力を加える部位である。
歪印加部112A−112Fは、具体的には、熱量材料114A−114Fに直接的に応力を加える(押したり、引いたり、曲げたり、衝撃を加えたりする)ことができる、たとえばアクチュエータ、衝撃付加機構である。
実施形態1では、熱量材料114A−114Fとして、歪を印加すると発熱し、歪を除去すると吸熱する特性の材料を用いる。なお、これとは逆に、歪を印加すると吸熱し、歪を除去すると発熱する特性の材料を用いても良い。実施形態1では、歪を印加すると5℃温度が上昇し、歪を除去すると5℃温度が下降する特性を持っている熱量材料を用いる。
熱量材料としては、歪を印加、除去することによって、磁気モーメントの分布が変化して磁化が変化する磁気熱量材料、または、双極子モーメントの分布が変化して分極が変化する電気熱量材料、のいずれかを用いることができる。
磁気熱量材料としては、LaSrMnO3またはLaSrCoO3の材料を用いることが好ましい。また、電気熱量材料としては、Pb(Mg1/3Nb2/3)03(PMN)、Pb(Mg1/3Nb2/3)03−PbTiO3(PMN−PT)、Pb(Sc1/2Nb1/2)O3(PSN)、PbSc1/2Ta1/2O3(PST)のいずれかの材料を用いることが好ましい。
低温側熱交換部120は、熱生成ユニット110の一端に位置する熱生成部材110Aと間隔を設けて隣り合っている。また、高温側熱交換部130は、熱生成ユニット110の一端に位置する熱生成部材110Fと間隔を設けて隣り合っている。
熱伝導ユニット140は、熱生成ユニット110内で隣り合う熱生成部材110A−110F同士の間、熱生成ユニット110の一端に位置する熱生成部材110Aと低温側熱交換部120との間及び熱生成ユニット110の他端に位置する熱生成部材110Fと高温側熱交換部130との間に配置した熱スイッチ140A−140Gを有する。
熱スイッチ140A−140Gは、たとえば、電界、磁場を印加することで熱伝導率が大きく変化する材料やデバイス、また、電気濡れ効果で液体金属の出し入れによる熱伝導率を変化させるものなどを用いることができる。実施形態1で用いる熱スイッチ140A−140Gは、電圧を印加すると、熱抵抗が極端に低下して、熱生成部材110A−110F同士の間で熱を移動させることができ、また、熱生成部材110Aと低温側熱交換部120との間及び熱生成部材110Fと高温側熱交換部130との間で熱を移動させることができる。なお、本発明の冷暖房装置で用いることができる熱スイッチの具体的な構成については後述する。
歪制御部150は、熱生成部材110A−110Fに歪を印加して熱生成部材110A−110Fを活性化させる。具体的には、歪制御部150は、熱生成ユニット110の歪印加部112A−112Fを選択的に作動させて熱量材料114A−114Fを歪ませる。実施形態1では、熱量材料114A−114Fに歪が印加されると熱量材料114A−114Fが活性化されて発熱する。
熱スイッチ駆動部160は、熱伝導ユニット140の熱スイッチ140A−140Gに選択的に電圧を印加して熱スイッチ140A−140Gを活性化させる。実施形態1では、熱スイッチ140A−140Gが活性化されると活性化された熱スイッチ140A−140Gの熱抵抗が低下する。なお、磁場を印加することで熱伝導率が大きく変化する材料やデバイスを熱スイッチとして用いるときには、熱スイッチ駆動部160は、磁場を印加して熱スイッチを活性化させる。また、電気濡れ効果で液体金属の出し入れによる熱伝導率を変化させるタイプの熱スイッチを用いるときには、熱スイッチ駆動部160は、電圧を印加して熱スイッチを活性化させる。
駆動制御部170は、歪制御部150による各歪印加部112A−112Fの作動タイミング及び熱スイッチ駆動部160による各熱スイッチ140A−140Gへの電圧の印加タイミングをそれぞれ制御することにより低温側熱交換部120と高温側熱交換部130との間で熱を伝導させる。
(冷暖房装置の動作)
図2から図6は、図1に示す冷暖房装置100の動作説明に供する図である。まず、歪制御部150、熱スイッチ駆動部160及び駆動制御部170の基本的な動作を説明する。
図2から図6は、図1に示す冷暖房装置100の動作説明に供する図である。まず、歪制御部150、熱スイッチ駆動部160及び駆動制御部170の基本的な動作を説明する。
歪制御部150は、熱量材料114A、114C、114Eに歪を印加する歪印加部112A、112C、112Eを同時に作動させる。このときには、歪制御部150は、熱量材料114B、114D、114Fに歪を印加する歪印加部112B、112D、112Fは作動させない。また、歪制御部150は、熱量材料114B、114D、114Fに歪を印加する歪印加部112B、112D、112Fを同時に作動させる。このときには、歪制御部150は、熱量材料114A、114C、114Eに歪を印加する歪印加部112A、112C、112Eは作動させない。つまり、歪制御部150は、歪印加部112A、112C、112Eのグループと歪印加部112B、112D、112Fのグループの2つのグループを交互に作動させる。
熱スイッチ駆動部160は、熱スイッチ140A、140C、140E、140Gに同時に電圧を印加する。このときには、熱スイッチ駆動部160は、熱スイッチ140B、140D、140Fには電圧を印加しない。また、熱スイッチ駆動部160は、熱スイッチ140B、140D、140Fに同時に電圧を印加する。このときには、熱スイッチ駆動部160は、熱スイッチ140A、140C、140E、140Gには電圧を印加しない。つまり、熱スイッチ駆動部160は、熱スイッチ140A、140C、140E、140Gのグループと熱スイッチ140B、140D、140Fのグループの2つのグループに交互に電圧を印加する。
駆動制御部170は、歪制御部150が歪印加部112A、112C、112Eのグループを作動させるタイミングと、熱スイッチ駆動部160が熱スイッチ140B、140D、140Fのグループに電圧を印加するタイミングとを同期させる。また、駆動制御部170は、歪制御部150が歪印加部112B、112D、112Fのグループを作動させるタイミングと、熱スイッチ駆動部160が熱スイッチ140A、140C、140E、140Gのグループに電圧を印加するタイミングとを同期させる。
次に、冷暖房装置100の全体的な動作を説明する。まず、図2に示すように、初期の状態では全ての熱生成部材110A−110F、低温側熱交換部120及び高温側熱交換部130の温度が、たとえば室温の20℃になっている。
次に、図3に示すように、歪制御部150が歪印加部112B、112D、112Fのグループを作動(歪印加部を実線で表示)し、熱スイッチ駆動部160が熱スイッチ140A、140C、140E、140Gのグループに電圧を印加(熱スイッチを実線で表示)する。
図3の状態では、歪を印加しない熱量材料114A、114C、114Eの温度が20℃から5℃下がって15℃に低下し、歪を印加した熱量材料114B、114D、114Fの温度が20℃から5℃上がって25℃に上昇する。図3の状態では、熱スイッチ140A、140C、140E、140Gが活性化されているので、熱スイッチ140A、140C、140E、140Gを介して温度の高い方から温度の低い方に熱が移動する。つまり、低温熱交換部120から熱量材料114Aに、熱量材料114Bから114Cに、熱量材料114Dから114Eに、熱量材料114Fから高温側熱交換部130にそれぞれ熱が移動する。
図3の矢印のように熱が移動すると、図4に示すように、熱生成ユニット110の一端に位置する熱量材料114Aと低温側熱交換部120の温度が18℃になり、熱生成ユニット110の他端に位置する熱量材料114Fと高温側熱交換部130の温度が22℃になる。熱量材料114B−114Eの温度は熱の移動により20℃になる。
次に、図5に示すように、歪制御部150が歪印加部112A、112C、112Eのグループを作動(歪印加部を実線で表示)し、熱スイッチ駆動部160が熱スイッチ140B、140D、140Fのグループに電圧を印加(熱スイッチを実線で表示)する。
図5の状態では、歪を印加しない熱量材料114B、114Dの温度が5℃下がって15℃に、熱量材料114Fの温度が5℃下がって17℃に、歪を印加した熱量材料114Aの温度が5℃上がって23℃に、114C、114Eの温度が5℃上がって25℃になる。図5の状態では、熱スイッチ140B、140D、140Fが活性化されているので、熱スイッチ140B、140D、140Fを介して温度の高い方から温度の低い方に熱が移動する。つまり、熱量材料114Aから114Bに、熱量材料114Cから114Dに、熱量材料114Eから114Fにそれぞれ熱が移動する。
図5の矢印のように熱が移動すると、図6に示すように、熱生成ユニット110の熱量材料114Aと114Bの温度が19℃になり、低温側熱交換部120の温度が18℃になる。また、熱生成ユニット110の熱量材料114Eと114Fの温度が21℃になり、高温側熱交換部130の温度が22℃になる。熱量材料114C、114Dの温度は20℃になる。
以上のように、駆動制御部170が歪制御部150の作動タイミング及び熱スイッチ駆動部160の電圧の印加タイミングを一定の周期で繰り返し制御することによって、熱生成ユニット110により生成された熱が低温側熱交換部120から高温側熱交換部130に移動する。
図7は、実施形態1に係る冷暖房装置の効果を示すグラフである。図7のグラフに示すように、冷暖房装置100が動作を開始した後の比較的初期時には、低温側熱交換部120と高温側熱交換部130との間の温度差は小さい。しかし、時間が経過するにしたがって低温側熱交換部120と高温側熱交換部130との間の温度差が次第に大きくなっていく。最終的には、長時間経過後の直線で示すように、低温側熱交換部120と高温側熱交換部130との間の温度差が最大になる。この状態で、低温側熱交換部120の熱を利用して、たとえば室内の温度を下げることができ、高温側熱交換部130の熱を利用して、たとえば室内の温度を上げることができる。
以上が、実施形態1に係る冷暖房装置100の構成と動作である。実施形態1に係る熱生成部材110A−110Fは、熱量材料114A−114Fが生成する熱を最大限に利用するために、その構造に工夫を凝らしている。また、熱量材料114A−114Fから効率的に熱が移動するように、熱生成部材110A−110Fと熱スイッチ140A−140Gの接続構造に工夫を凝らしている。以下に、実施形態1に係る冷暖房装置100が用いる熱生成部材110A−110Fの構成について詳細に説明する。
(熱生成部材の構成)
次に、実施形態1に係る熱生成部材の構成を詳細に説明する。図8は、実施形態1に係る熱生成部材の断面図である。
次に、実施形態1に係る熱生成部材の構成を詳細に説明する。図8は、実施形態1に係る熱生成部材の断面図である。
実施形態1に係る熱生成部材110Aは、歪の印加、除去によって発熱及び吸熱する。熱生成部材110Aは、歪変化部112Aが熱量材料114Aの一方側に位置する構造を有する。なお、図1に示す熱生成部材110B−110Fの構造も熱生成部材110Aの構造と同一である。
歪印加部112Aは、熱量材料114Aの結晶格子定数が変化するように、熱量材料114Aに対して、直接的に、圧縮応力または引張応力という機械的な歪を与える。
熱量材料114Aは、図9に示すように、外部から圧力(圧縮応力)や張力(引張応力)という歪を与えられると発熱及び吸熱する。熱量材料114Aは、電気熱量材料または磁気熱量材料であっても良く、その他、歪を与えられると発熱及び吸熱する材料であればどのような材料を用いても良い。
実施形態1に係る熱量材料は、図10に示すように、歪を印加することによって熱材料結晶構造の磁気モーメントの分布が変化する磁気熱量材料または熱材料結晶構造の双極子モーメントの分布が変化して分極が変化する電気熱量材料である。
図10に示すように、熱量材料114Aが磁気熱量材料の場合、歪を与える(実施形態1では、磁気熱量材料の3つの結晶軸の長さの少なくとも1つを大きくするように、歪を与える)と磁気熱量材料の結晶格子定数(3つの結晶軸の長さ)が変化し、磁気熱量材料の結晶構造の磁気モーメント分布が変化する。その結果、磁気熱量材料のキュリー点の温度が高くなる。そして、磁化が大きくなるので、磁気エントロピーが減少する。その結果、磁気熱量材料は、発熱する。逆に歪を取ると磁気熱量材料の結晶格子定数は、元に戻り、磁気熱量材料の結晶構造の磁気モーメント分布が変化する。磁気熱量材料のキュリー点の温度は、もとに戻る。磁化が減少するので、磁気エントロピーが増加する。その結果、磁気熱量材料は、吸熱する。
また、図10に示すように、熱量材料114Aが電気熱量材料の場合、歪を与える(実施形態1では、電気熱量材料の3つの結晶軸の長さの少なくとも1つを大きくするように、歪を与える)と電気熱量材料の結晶格子定数が変化し、電気熱量材料の結晶構造の双極子モーメント分布が変化する。その結果、電気熱量材料のキュリー点の温度が高くなる。そして、分極が大きくなるので、双極子エントロピーが減少する。その結果、電気熱量材料は、発熱する。逆に歪を取ると電気熱量材料の結晶格子定数は、元に戻り、電気熱量材料の結晶構造の双極子モーメント分布が変化する。電気熱量材料のキュリー点の温度は、もとに戻る。分極が減少するので、双極子エントロピーが増加する。その結果、電気熱量材料は、吸熱する。
このように、歪変化部112Aが熱量材料114Aの一方側に位置する構造とすることによって、熱生成部材110Aの構造が単純になり、熱生成部材110Aの製造がしやすくなる。
また、歪印加部112Aは、熱量材料114Aに対して直接的に機械的な歪を与えることができるので、熱生成部材110Aが小型化できる。
さらに、熱量材料114Aは、歪を印加した後のキュリー点の温度が歪を印加する前のキュリー点の温度よりも高くなる材料を用いているので、歪を印加、除去するだけで、熱量材料114Aを発熱、吸熱させることができる。
(熱生成部材の構成の変形例1)
図11は、実施形態1の変形例1に係る熱生成部材の断面図である。変形例1に係る熱生成部材110Aは、図8に示す熱生成部材110Aを断熱する機能を備える。すなわち、歪印加部112Aと熱量材料114Aとの間に断熱作用を持つ断熱絶縁材料116Aを備える。
図11は、実施形態1の変形例1に係る熱生成部材の断面図である。変形例1に係る熱生成部材110Aは、図8に示す熱生成部材110Aを断熱する機能を備える。すなわち、歪印加部112Aと熱量材料114Aとの間に断熱作用を持つ断熱絶縁材料116Aを備える。
断熱絶縁材料116Aは、たとえば、グラスウールで構成する。しかし、ウレタンフォーム、フェノールフォーム、ポリスチレンフォーム等の断熱性材料を使用しても良い。断熱絶縁材料116Aが形成する断熱層は、1つの材料で単層構造としても良く、複数の材料を用いて複層構造としても良い。
歪印加部112Aと熱量材料114Aとの間に断熱絶縁材料116Aを配置すると、熱量材料114Aで生成された熱が外部に放熱されるのを防止することができ、熱生成部材110Aからの熱を無駄なく利用することができる。
(熱生成部材の構成の変形例2)
図12は、実施形態1の変形例2に係る熱生成部材の断面図である。変形例2に係る熱生成部材110Aは、図8に示す熱生成部材110Aの熱伝導性を改善する。
図12は、実施形態1の変形例2に係る熱生成部材の断面図である。変形例2に係る熱生成部材110Aは、図8に示す熱生成部材110Aの熱伝導性を改善する。
実施形態1の変形例2に係る熱生成部材110Aは、熱量材料114A内で当該熱量材料114Aに直接接触する熱伝導部材118Aを備える。すなわち、2つの熱量材料114Aによって熱伝導部材118Aを挟んでいる。
なお、熱伝導部材118Aの材料としては、アルミニウム、銅、カーボンナノチューブ、グラフェンなどを用いる。
この場合の熱伝導部材118Aの厚みはできるだけ薄くすることが望ましい。熱量材料114Aの体積が減少すると得られる熱量が少なくなるからである。
熱伝導部材118Aを熱量材料114A内に埋設させるように設けると、熱量材料114Aが生成した熱を熱伝導部材118Aが効率的に吸収し、速やかに取り出すことができる。したがって、熱量材料114Aが生成した熱及び熱伝導部材118Aが吸収した熱を外部に逃がすことなく、効率的に用いることができる。
以上のように、実施形態1に係る冷暖房装置100は、熱生成部材110A−110Fが以上のような構成を有しているので、熱量材料114A−114Fが生成した熱を熱スイッチ140A−140Gに無駄なく効率的に伝達させることができる。その結果、熱量材料114A−114Fが生成する熱を最大限に引き出すことが可能となる。したがって、冷暖房装置の小型化及び軽量化に寄与する。
〔実施形態2〕
(冷暖房装置の構成)
図13は、実施形態2に係る冷暖房装置の構成図である。実施形態2に係る冷暖房装置200は、熱生成ユニット210、低温側熱交換部220、高温側熱交換部230、熱伝導ユニット240、歪制御部250、熱スイッチ駆動部260及び駆動制御部270を有する。
(冷暖房装置の構成)
図13は、実施形態2に係る冷暖房装置の構成図である。実施形態2に係る冷暖房装置200は、熱生成ユニット210、低温側熱交換部220、高温側熱交換部230、熱伝導ユニット240、歪制御部250、熱スイッチ駆動部260及び駆動制御部270を有する。
実施形態2の低温側熱交換部220、高温側熱交換部230、熱伝導ユニット240、熱スイッチ駆動部260は、実施形態1の低温側熱交換部120、高温側熱交換部130、熱伝導ユニット140、熱スイッチ駆動部160と同一である。次に、実施形態1とは異なる熱生成ユニット210、歪制御部250、駆動制御部270について説明する。
熱生成ユニット210は、間隔を設けて配置された複数の熱生成部材210A−210Fを有する。熱生成部材210A−210Fは、電圧が印加される電極212A−212F、電場が印加されると結晶構造が変化して歪む材料及び歪が印加、除去されると発熱及び吸熱する熱量材料を積層した、積層体214A−214Fとから構成される。たとえば、熱生成部材210Aは、積層体214Aと、積層体214Aの両側に位置し積層体214Aに電圧を印加する電極212Aと、から構成される。その他の熱生成部材210B、210C、210D、210E、210Fの構成も熱生成部材210Aの構成と同一である。
電極212A−212Fは、電圧が印加されると、積層体214A−214Fに電場を印加する。
積層体214A−214Fは、電圧を印加すると発熱し、電圧を除去すると吸熱する特性の積層体を用いる。なお、これとは逆に、電圧を印加すると吸熱し、電圧を除去すると発熱する特性の積層体を用いても良い。実施形態2では、電圧を印加すると5℃温度が上昇し、電圧を除去すると5℃温度が下降する特性を持っている積層体を用いる。
電場が印加されると結晶構造が変化して歪む材料は圧電材料である。圧電材料としては、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)セラミックスを用いる。圧電材料を用いると、電圧を印加、除去するだけで、熱量材料を発熱、吸熱させることができる。
歪が印加、除去されると発熱及び吸熱する熱量材料としては、電場が印加されると結晶構造が変化して歪む材料に追随して結晶構造が変化し、磁気モーメントの分布が変化して磁化が変化する磁気熱量材料または双極子モーメントの分布が変化して分極が変化する電気熱量材料、のいずれかを用いることができる。
磁気熱量材料としては、LaSrMnO3またはLaSrCoO3の材料を用いることが好ましい。また、電気熱量材料としては、Pb(Mg1/3Nb2/3)03(PMN)、Pb(Mg1/3Nb2/3)03−PbTiO3(PMN−PT)、Pb(Sc1/2Nb1/2)O3(PSN)、PbSc1/2Ta1/2O3(PST)のいずれかの材料を用いることが好ましい。
歪制御部250は、熱生成部材210A−210Fの電極212A−212Fに選択的に電圧を印加して熱生成部材210A−210Fを活性化させ、活性化させた熱生成部材を発熱させる。
駆動制御部270は、歪制御部250による各電極212A−212Fへの電圧の印加タイミング及び熱スイッチ駆動部260による各熱スイッチ240A−240Gへの電圧の印加タイミングをそれぞれ制御することにより低温側熱交換部220と高温側熱交換部230との間で熱を伝導させる。
(冷暖房装置の動作)
まず、歪制御部250、熱スイッチ駆動部260及び駆動制御部270の基本的な動作を説明する。
まず、歪制御部250、熱スイッチ駆動部260及び駆動制御部270の基本的な動作を説明する。
歪制御部250は、積層体214A、214C、214Eを発熱させるため電極212A、212C、212Eに同時に電圧を印加する。このときには、歪制御部250は、電極212B、212D、212Fには電圧を印加しない。また、歪制御部250は、積層体214B、214D、214Fを発熱させるため電極212B、212D、212Fに同時に電圧を印加する。このときには、歪制御部250は、電極212A、212C、212Eには電圧を印加しない。つまり、歪制御部250は、電極212A、212C、212Eのグループと電極212B、212D、212Fのグループの2つのグループに交互に電圧を印加する。
熱スイッチ駆動部260は、熱スイッチ240A、240C、240E、240Gに同時に電圧を印加する。このときには、熱スイッチ駆動部260は、熱スイッチ240B、240D、240Fには電圧を印加しない。また、熱スイッチ駆動部260は、熱スイッチ240B、240D、240Fに同時に電圧を印加する。このときには、熱スイッチ駆動部260は、熱スイッチ240A、240C、240E、240Gには電圧を印加しない。つまり、熱スイッチ駆動部260は、熱スイッチ240A、240C、240E、240Gのグループと熱スイッチ240B、240D、240Fのグループの2つのグループに交互に電圧を印加する。
駆動制御部270は、歪制御部250が電極212A、212C、212Eのグループに電圧を印加するタイミングと、熱スイッチ駆動部260が熱スイッチ240B、240D、240Fのグループに電圧を印加するタイミングとを同期させる。また、駆動制御部270は、歪制御部250が電極212B、212D、212Fのグループに電圧を印加するタイミングと、熱スイッチ駆動部260が熱スイッチ240A、240C、240E、240Gのグループに電圧を印加するタイミングとを同期させる。
なお、冷暖房装置200の全体的な動作は、実施形態1の冷暖房装置100の全体的な動作と同一であり、実施形態1の図2から図7を用いて説明した通りである。
以上が、実施形態2に係る冷暖房装置200の構成と動作である。実施形態2に係る熱生成部材210A−210Fは、積層体214A−214Fが生成する熱を最大限に利用するために、実施形態1と同様に、その構造に工夫を凝らしている。また、積層体214A−214Fから効率的に熱が移動するように、熱生成部材210A−210Fと熱スイッチ240A−240Gの接続構造に工夫を凝らしている。以下に、実施形態2に係る冷暖房装置200が用いる熱生成部材210A−210Fの構成について詳細に説明する。
(熱生成部材の構成)
次に、実施形態2に係る熱生成部材の構成を詳細に説明する。図14は、実施形態2に係る熱生成部材の断面図である。
次に、実施形態2に係る熱生成部材の構成を詳細に説明する。図14は、実施形態2に係る熱生成部材の断面図である。
実施形態2に係る熱生成部材210Aは、電圧が印加される電極212Aと、電場が印加されると結晶構造が変化して歪む圧電材料213A及び歪が印加、除去されると発熱及び吸熱する熱量材料215Aを積層した積層体214a、214bと、を交互に積層した構造を有する。電極212Aと積層体214a、214bを交互に積層すると、効率的に発熱できる。
図14に示すように、実施形態2に係る熱生成部材210Aは、電極212A、積層体214a、電極212A、積層体214b、電極212Aが積層されて構成される。積層体214a及び214bは、圧電材料213A及び熱量材料215Aが積層されて構成される。なお、図13に示す熱生成部材210B−210Fの構造も熱生成部材210Aの構造と同一である。
圧電材料213Aは、熱量材料215Aの結晶格子定数が変化するように、熱量材料215Aに対して、間接的に、圧縮応力または引張応力という機械的な歪を与える。
熱量材料215Aは、図15に示すように、圧電材料213Aから圧力(圧縮応力)や張力(引張応力)という歪を与えられると発熱及び吸熱する。熱量材料215Aは、電気熱量材料または磁気熱量材料であっても良く、その他、歪を与えられると発熱及び吸熱する材料であればどのような材料を用いても良い。
実施形態2に係る熱量材料215Aは、図15に示すように、歪を印加することによって熱材料結晶構造の磁気モーメントの分布が変化する磁気熱量材料または熱材料結晶構造の双極子モーメントの分布が変化して分極が変化する電気熱量材料である。
図15に示すように、熱量材料215Aが磁気熱量材料の場合、歪を与える(実施形態2では、磁気熱量材料の3つの結晶軸の長さの少なくとも1つを大きくするように、歪を与える)と磁気熱量材料の結晶格子定数が変化し、磁気熱量材料の結晶構造の磁気モーメント分布が変化する。その結果、磁気熱量材料のキュリー点の温度が高くなる。そして、磁化が大きくなるので、磁気エントロピーが減少する。その結果、磁気熱量材料は、発熱する。逆に歪を取ると磁気熱量材料の結晶格子定数は、元に戻り、磁気熱量材料の結晶構造の磁気モーメント分布が変化する。磁気熱量材料のキュリー点の温度は、もとに戻る。磁化が減少するので、磁気エントロピーが増加する。その結果、磁気熱量材料は、吸熱する。
また、図15に示すように、熱量材料215Aが電気熱量材料の場合、歪を与える(実施形態2では、電気熱量材料の3つの結晶軸の長さの少なくとも1つを大きくするように、歪を与える)と電気熱量材料の結晶格子定数が変化し、電気熱量材料の結晶構造の双極子モーメント分布が変化する。その結果、電気熱量材料のキュリー点の温度が高くなる。そして、分極が大きくなるので、双極子エントロピーが減少する。その結果、電気熱量材料は、発熱する。逆に歪を取ると電気熱量材料の結晶格子定数は、元に戻り、電気熱量材料の結晶構造の双極子モーメント分布が変化する。電気熱量材料のキュリー点の温度は、もとに戻る。分極が減少するので、双極子エントロピーが増加する。その結果、電気熱量材料は、吸熱する。
このように、電極212Aに電圧を印加して圧電材料213Aを歪ませ、生じた歪によって熱量材料215Aを発熱させているので、熱生成部材210Aの構造が単純になる。
また、熱量材料215Aは、歪を印加した後のキュリー点の温度が歪を印加する前のキュリー点の温度よりも高くなる材料を用いているので、電極212Aに電圧を印加、除去するだけで、熱量材料215Aを発熱、吸熱させることができる。
図16は、図14に示す熱生成部材と熱スイッチとの接続構造を示す斜視図である。
熱生成部材と熱スイッチとの接続構造を、熱生成部材210B、熱スイッチ240B、240Cを例示して説明する。
図16に示す熱生成部材210Bの構成は、図14に示す熱生成部材210Aの構成と同一である。熱生成部材210Bを熱スイッチ240B及び240Cと接続するとき、熱生成部材210Bの電極212Bを図示のように上下方向に位置させる。熱生成部材210Bの電極212Bをこのように位置させて、熱生成部材210Bを熱スイッチ240B及び240Cで両側から挟み込む。つまり、熱スイッチ240B、240Cは、電極212Bが配置されていない、歪が印加、除去されると発熱及び吸熱する熱量材料215Bと電場が印加されると結晶構造が変化する圧電材料213Bとを積層した材料の対向する面に配置される。
熱生成部材210Bと熱スイッチ240B及び240Cとの接続構造を上記のようにすることによって、熱量材料215Bで生成された熱が、電極212Bに邪魔されることなく熱スイッチ240B及び240Cに効率的に伝達される。
なお、熱生成部材210Aと熱スイッチ240A、240Bとの接続構造、熱生成部材210C−210Eと熱スイッチ240C−240Fとの接続構造、熱生成部材210Fと熱スイッチ240F、240Gとの接続構造も熱生成部材210Bと熱スイッチ240B及び240Cとの接続構造と同一である。
以上のように、熱生成部材を図16に示すように隣り合う熱スイッチと接続することによって、熱量材料で生じた熱を効果的に伝達できる。したがって、冷暖房装置の小型化及び軽量化に寄与する。
(熱生成部材の構成の変形例1)
図17は、実施形態2の変形例1に係る熱生成部材の断面図である。変形例1に係る熱生成部材210Aは、図14に示す熱生成部材210Aを断熱する機能を備える。すなわち、熱生成部材210Aの両端に位置する2つの電極212Aの内の少なくとも1つの電極212Aの外表面に断熱絶縁材料216Aが配置されている。変形例1では、2つの電極212Aの外表面に断熱絶縁材料216Aを配置している。
図17は、実施形態2の変形例1に係る熱生成部材の断面図である。変形例1に係る熱生成部材210Aは、図14に示す熱生成部材210Aを断熱する機能を備える。すなわち、熱生成部材210Aの両端に位置する2つの電極212Aの内の少なくとも1つの電極212Aの外表面に断熱絶縁材料216Aが配置されている。変形例1では、2つの電極212Aの外表面に断熱絶縁材料216Aを配置している。
断熱絶縁材料216Aは、たとえば、グラスウールで構成する。しかし、ウレタンフォーム、フェノールフォーム、ポリスチレンフォーム等の断熱性材料を使用しても良い。断熱絶縁材料216Aが形成する断熱層は、1つの材料で単層構造としても良く、複数の材料を用いて複層構造としても良い。
2つの電極212Aの外表面に断熱絶縁材料216Aを配置すると、熱量材料215Aで生成された熱が電極212Aから外部に放熱されるのを防止することができ、熱生成部材210Aの熱を無駄なく利用することができる。
(熱生成部材の構成の変形例2)
図18は、実施形態2の変形例2に係る熱生成部材の断面図である。変形例2に係る熱生成部材210Aは、図14に示す熱生成部材210Aを内側で断熱する機能を備える。すなわち、熱生成部材210Aの電極212Aの内の少なくとも1つの電極212Aと、歪が印加、除去されると発熱及び吸熱する熱量材料215Aと、の間に、断熱絶縁材料216Aを配置している。変形例2では、2つの電極212Aの内側に断熱絶縁材料216Aを配置している。
図18は、実施形態2の変形例2に係る熱生成部材の断面図である。変形例2に係る熱生成部材210Aは、図14に示す熱生成部材210Aを内側で断熱する機能を備える。すなわち、熱生成部材210Aの電極212Aの内の少なくとも1つの電極212Aと、歪が印加、除去されると発熱及び吸熱する熱量材料215Aと、の間に、断熱絶縁材料216Aを配置している。変形例2では、2つの電極212Aの内側に断熱絶縁材料216Aを配置している。
断熱絶縁材料216Aは、実施形態2の変形例1に係る熱生成部材210Aと同一である。
電極212Aと熱量材料215Aとの間に断熱絶縁材料216Aを配置すると、熱量材料215Aで生成された熱が電極212Aに伝わる前に断熱でき、熱生成部材210Aの熱を無駄なく利用することができる。
(熱生成部材の構成の変形例3)
図19は、実施形態2の変形例3に係る熱生成部材の断面図である。変形例3に係る熱生成部材210Aは、図14に示す熱生成部材210Aの熱伝導性を改善する。
図19は、実施形態2の変形例3に係る熱生成部材の断面図である。変形例3に係る熱生成部材210Aは、図14に示す熱生成部材210Aの熱伝導性を改善する。
実施形態2の変形例3に係る熱生成部材210Aは、電極212Aと、歪が印加、除去されると発熱及び吸熱する熱量材料215Aと、の間に熱伝導部材218Aを配置している。
なお、熱伝導部材218Aの材料としては、アルミニウム、銅、カーボンナノチューブ、グラフェンなどを用いる。
この場合の熱伝導部材218Aの厚みはできるだけ薄くすることが望ましい。熱量材料214Aの体積が減少すると得られる熱量が少なくなるからである。
熱伝導部材218Aを電極212Aと熱量材料215Aとの間に直接接するように設けると、熱量材料215Aが生成した熱を熱伝導部材218Aが効率的に吸収し、吸収した熱を速やかに取り出すことができる。したがって、熱量材料215Aが生成した熱及び熱伝導部材218Aが吸収した熱を外部に逃がすことなく、効率的に用いることができる。熱伝導部材218Aを電極212Aと熱量材料215Aとの間に設けるのは、下記の理由からである。すなわち、熱量材料215Aと圧電材料213Aを、一体に張り合わせていないと、熱量材料は、発熱、吸熱しない。そのため、熱伝導部材218Aは、圧電材料213Aがついていない熱量材料215Aの表面の外側にある必要がある。
以上のように、実施形態2に係る冷暖房装置200は、熱生成部材210A−210Fが以上のような構成を有しているので、電極212Aに電圧を印加するだけで、熱量材料215A−215Fが発熱する。また、生成した熱を熱スイッチ240A−240Gに無駄なく効率的に伝達させることができる。その結果、熱量材料215A−215Fが生成する熱を最大限に引き出すことが可能となる。したがって、冷暖房装置200の小型化及び軽量化に寄与する。
〔実施形態3〕
(冷暖房装置の構成)
図20は、実施形態3に係る冷暖房装置の構成図である。実施形態3に係る冷暖房装置300は、熱生成ユニット310、低温側熱交換部320、高温側熱交換部330、熱伝導ユニット340、歪制御部350、熱スイッチ駆動部360及び駆動制御部370を有する。
(冷暖房装置の構成)
図20は、実施形態3に係る冷暖房装置の構成図である。実施形態3に係る冷暖房装置300は、熱生成ユニット310、低温側熱交換部320、高温側熱交換部330、熱伝導ユニット340、歪制御部350、熱スイッチ駆動部360及び駆動制御部370を有する。
実施形態2の低温側熱交換部320、高温側熱交換部330、熱伝導ユニット340、熱スイッチ駆動部360は、実施形態1の低温側熱交換部120、高温側熱交換部130、熱伝導ユニット140、熱スイッチ駆動部160と同一である。次に、実施形態1とは異なる熱生成ユニット310、歪制御部350、駆動制御部370について説明する。
熱生成ユニット310は、間隔を設けて配置された複数の熱生成部材310A−310Fを有する。熱生成部材310A−310Fは、磁場を印加する磁石312A−312C、磁場が印加されると結晶構造が変化して歪む材料及び歪が印加、除去されると発熱及び吸熱する熱量材料を積層した、積層体314A−314Fとから構成される。たとえば、熱生成部材310Aは、積層体314Aと、積層体314Aの両側に位置し積層体314Aに磁場を印加する磁石312Aと、から構成される。その他の熱生成部材310B、310C、310D、310E、310Fの構成も熱生成部材310Aの構成と同一である。
磁石312A−312Cは、それぞれ隣接する熱生成部材310A−310Fに交互に磁場を印加する。具体的には、磁石312A、312B、32Cは、まず、同期させて、積層体314A、314C、314Eに磁場を印加し、次に、同期させて、積層体314B、314D、314Fに磁場を印加する。再び、積層体314A、314C、314Eに磁場を印加し、さらに、積層体314B、314D、314Fに磁場を印加する。磁石312Aは、積層体314A、312Bに交互に磁場を印加し、磁石312Bは、積層体314C、312Dに交互に磁場を印加し、磁石312Cは、積層体314E、312Fに交互に磁場を印加する。
積層体314A−314Fは、磁場を印加すると発熱し、磁場を除去すると吸熱する特性の積層体を用いる。なお、これとは逆に、磁場を印加すると吸熱し、磁場を除去すると発熱する特性の積層体を用いても良い。実施形態3では、磁場を印加すると5℃温度が上昇し、磁場を除去すると5℃温度が下降する特性を持っている積層体を用いる。
磁場が印加されると結晶構造が変化して歪む材料は磁歪材料である。磁歪材料としては、Terfenol−D/Galfenol(超磁歪材料)を用いる。磁歪材料を用いると、磁場を印加、除去するだけで、熱量材料を発熱、吸熱させることができる。
歪が印加、除去されると発熱及び吸熱する熱量材料としては、磁場が印加されると結晶構造が変化して歪む材料に追随して結晶構造が変化し、磁気モーメントの分布が変化して磁化が変化する磁気熱量材料または双極子モーメントの分布が変化して分極が変化する電気熱量材料、のいずれかを用いることができる。本実施形態の場合、積層体314A−314Fに磁場を印加するので、熱量材料として磁気熱量材料を用いると、歪による発熱及び吸熱と磁場による発熱及び吸熱との両方の熱量効果を併用できる。
磁気熱量材料としては、LaSrMnO3またはLaSrCoO3の材料を用いることが好ましい。また、電気熱量材料としては、Pb(Mg1/3Nb2/3)03(PMN)、Pb(Mg1/3Nb2/3)03−PbTiO3(PMN−PT)、Pb(Sc1/2Nb1/2)O3(PSN)、PbSc1/2Ta1/2O3(PST)のいずれかの材料を用いることが好ましい。
歪制御部350は、熱生成部材310A−310Fに磁石312A−312Cを選択的に作用させて、熱生成部材310A−310Fを活性化させ、活性化させた熱生成部材を発熱させる。磁石312A−312Cが永久磁石又は電磁石で構成され隣り合う熱生成部材310A−310Fに対して移動可能に構成されている場合には、歪制御部350は、磁石312A−312Cを往復移動させる。
駆動制御部370は、歪制御部350による各磁石312A−312Cの移動タイミング及び熱スイッチ駆動部360による各熱スイッチ340A−340Gへの電圧の印加タイミングをそれぞれ制御することにより低温側熱交換部320と高温側熱交換部330との間で熱を伝導させる。
(冷暖房装置の動作)
まず、歪制御部350、熱スイッチ駆動部360及び駆動制御部370の基本的な動作を説明する。
まず、歪制御部350、熱スイッチ駆動部360及び駆動制御部370の基本的な動作を説明する。
歪制御部350は、積層体314A、314C、314Eを発熱させるため磁石312A、312B、312Cを同時に積層体314A、314C、314Eに位置させる。次に、歪制御部350は、積層体314B、314D、314Fを発熱させるため磁石312A、312B、312Cを同時に移動させて積層体314B、314D、314Fに位置させる。つまり、歪制御部350は、磁石312A、312B、312Cを同時に積層体314A、314C、314Eに位置させる態様と、磁石312A、312B、312Cを同時に積層体314B、314D、314Fに位置させる態様と、2つの態様を実現する。
熱スイッチ駆動部360は、熱スイッチ340A、340C、340E、340Gに同時に電圧を印加する。このときには、熱スイッチ駆動部360は、熱スイッチ340B、340D、340Fには電圧を印加しない。また、熱スイッチ駆動部360は、熱スイッチ340B、340D、340Fに同時に電圧を印加する。このときには、熱スイッチ駆動部360は、熱スイッチ340A、340C、340E、340Gには電圧を印加しない。つまり、熱スイッチ駆動部360は、熱スイッチ340A、340C、340E、340Gのグループと熱スイッチ340B、340D、340Fのグループの2つのグループに交互に電圧を印加する。
駆動制御部370は、歪制御部350が磁石312A、312C、312Eを同時に積層体314A、314C、314Eに位置させるタイミングと、熱スイッチ駆動部360が熱スイッチ340B、340D、340Fのグループに電圧を印加するタイミングとを同期させる。また、駆動制御部370は、歪制御部350が磁石312A、312C、312Eを同時に積層体314B、314D、314Fに位置させるタイミングと、熱スイッチ駆動部360が熱スイッチ340A、340C、340E、340Gのグループに電圧を印加するタイミングとを同期させる。
なお、冷暖房装置300の全体的な動作は、実施形態1の冷暖房装置100の全体的な動作と同一であり、実施形態1の図2から図7を用いて説明した通りである。
以上が、実施形態3に係る冷暖房装置300の構成と動作である。実施形態3に係る熱生成部材310A−310Fは、積層体314A−314Fが生成する熱を最大限に利用するために、実施形態1、2と同様に、その構造に工夫を凝らしている。また、積層体314A−314Fから効率的に熱が移動するように、熱生成部材310A−310Fと熱スイッチ340A−340Gの接続構造に工夫を凝らしている。以下に、実施形態3に係る冷暖房装置300が用いる熱生成部材310A−310Fの構成について詳細に説明する。
(熱生成部材の構成)
次に、実施形態3に係る熱生成部材の構成を詳細に説明する。図21は、実施形態3に係る熱生成部材の断面図である。
次に、実施形態3に係る熱生成部材の構成を詳細に説明する。図21は、実施形態3に係る熱生成部材の断面図である。
実施形態3に係る熱生成部材310Aは、磁場を印加する磁石312Aと、磁場が印加されると結晶構造が変化して歪む磁歪材料313A及び歪が印加、除去されると発熱及び吸熱する熱量材料315Aを積層した積層体314Aを有する。
図21に示すように、実施形態3に係る熱生成部材310Aは、積層体314Aの両側から磁石312Aを挟むように構成される。積層体314Aは、磁歪材料313A及び熱量材料315Aが積層されて構成される。なお、図20に示す熱生成部材310B−310Fの構造も熱生成部材310Aの構造と同一である。
磁歪材料313Aは、熱量材料315Aの結晶格子定数が変化するように、熱量材料315Aに対して、間接的に、圧縮応力または引張応力という機械的な歪を与える。
熱量材料315Aは、図22に示すように、磁歪材料313Aから圧力(圧縮応力)や張力(引張応力)という歪を与えられると発熱及び吸熱する。熱量材料315Aは、電気熱量材料または磁気熱量材料であっても良く、その他、歪を与えられると発熱及び吸熱する材料であればどのような材料を用いても良い。
実施形態3に係る熱量材料315Aは、図22に示すように、歪を印加することによって熱材料結晶構造の磁気モーメントの分布が変化する磁気熱量材料または熱材料結晶構造の双極子モーメントの分布が変化して分極が変化する電気熱量材料である。
図22に示すように、熱量材料315Aが磁気熱量材料の場合、歪を与える(実施形態3では、磁気熱量材料の3つの結晶軸の長さの少なくとも1つを大きくするように、歪を与える)と磁気熱量材料の結晶格子定数が変化し、磁気熱量材料の結晶構造の磁気モーメント分布が変化する。その結果、磁気熱量材料のキュリー点の温度が高くなる。そして、磁化が大きくなるので、磁気エントロピーが減少する。その結果、磁気熱量材料は、発熱する。逆に歪を取ると磁気熱量材料の結晶格子定数は、元に戻り、磁気熱量材料の結晶構造の磁気モーメント分布が変化する。磁気熱量材料のキュリー点の温度は、もとに戻る。磁化が減少するので、磁気エントロピーが増加する。その結果、磁気熱量材料は、吸熱する。
また、図22に示すように、熱量材料315Aが電気熱量材料の場合、歪を与える(実施形態3では、電気熱量材料の3つの結晶軸の長さの少なくとも1つを大きくするように、歪を与える)と電気熱量材料の結晶格子定数が変化し、電気熱量材料の結晶構造の双極子モーメント分布が変化する。その結果、電気熱量材料のキュリー点の温度が高くなる。そして、分極が大きくなるので、双極子エントロピーが減少する。その結果、電気熱量材料は、発熱する。逆に歪を取ると電気熱量材料の結晶格子定数は、元に戻り、電気熱量材料の結晶構造の双極子モーメント分布が変化する。電気熱量材料のキュリー点の温度は、もとに戻る。分極が減少するので、双極子エントロピーが増加する。その結果、電気熱量材料は、吸熱する。
このように、磁石312Aが磁場を印加して磁歪材料313Aを歪ませ、生じた歪によって熱量材料315Aを発熱させているので、熱生成部材310Aの構造が単純になる。
また、熱量材料315Aは、歪を印加した後のキュリー点の温度が歪を印加する前のキュリー点の温度よりも高くなる材料を用いているので、磁石312Aが磁場を印加、除去するだけで、熱量材料315Aを発熱、吸熱させることができる。
(熱生成部材の構成の変形例1)
図23は、実施形態3の変形例1に係る熱生成部材の断面図である。変形例1に係る熱生成部材310Aは、図21に示す熱生成部材310Aを断熱する機能を備える。すなわち、歪が印加、除去されると発熱及び吸熱する熱量材料315Aの磁石312Aに対向する外表面に断熱絶縁材料316Aを配置している。
図23は、実施形態3の変形例1に係る熱生成部材の断面図である。変形例1に係る熱生成部材310Aは、図21に示す熱生成部材310Aを断熱する機能を備える。すなわち、歪が印加、除去されると発熱及び吸熱する熱量材料315Aの磁石312Aに対向する外表面に断熱絶縁材料316Aを配置している。
断熱絶縁材料316Aは、たとえば、グラスウールで構成する。しかし、ウレタンフォーム、フェノールフォーム、ポリスチレンフォーム等の断熱性材料を使用しても良い。断熱絶縁材料216Aが形成する断熱層は、1つの材料で単層構造としても良く、複数の材料を用いて複層構造としても良い。
熱量材料315Aの磁石312Aに対向する外表面に断熱絶縁材料316Aを配置すると、熱量材料315Aで生成された熱が外部に放熱されるのを防止することができ、熱生成部材310Aの熱を無駄なく利用することができる。
(熱生成部材の構成の変形例2)
図24は、実施形態3の変形例2に係る熱生成部材の断面図である。変形例2に係る熱生成部材310Aは、図21に示す熱生成部材310Aの熱伝導性を改善する。
図24は、実施形態3の変形例2に係る熱生成部材の断面図である。変形例2に係る熱生成部材310Aは、図21に示す熱生成部材310Aの熱伝導性を改善する。
実施形態3の変形例2に係る熱生成部材310Aは、歪が印加、除去されると発熱及び吸熱する熱量材料315Aの磁石312Aに対向する外表面に熱伝導部材318Aを配置している。
なお、熱伝導部材318Aの材料としては、アルミニウム、銅、カーボンナノチューブ、グラフェンなどを用いる。
熱量材料315Aの磁石312Aに対向する外表面に、熱伝導部材318Aを直接接するように設けると、熱量材料315Aが生成した熱を熱伝導部材318Aが効率的に吸収し、吸収した熱を速やかに取り出すことができる。したがって、熱量材料315Aが生成した熱及び熱伝導部材318Aが吸収した熱を外部に逃がすことなく、効率的に用いることができる。熱伝導部材318Aを熱量材料315Aに直接接するように設けるのは、下記の理由からである。すなわち、熱量材料315Aと磁歪材料313Aを、一体に張り合わせていないと、熱量材料は、発熱、吸熱しない。そのため、熱伝導部材318Aは、磁歪材料313Aがついていない熱量材料315Aの表面の外側にある必要がある。
(熱生成部材の構成の変形例3)
図25は、実施形態3の変形例3に係る熱生成部材の断面図である。変形例3に係る熱生成部材310Aは、図21に示す熱生成部材310Aを積層方向に複数配置して、発熱量を増加させる。
図25は、実施形態3の変形例3に係る熱生成部材の断面図である。変形例3に係る熱生成部材310Aは、図21に示す熱生成部材310Aを積層方向に複数配置して、発熱量を増加させる。
図25に示す熱生成部材310Aは、磁石312A、熱量材料315A及び磁歪材料313Aからなる積層体314A、磁石312A、熱量材料315A及び磁歪材料313Aからなる積層体314A、磁石312Aが順に積層されている。
熱量材料315A及び磁歪材料313Aからなる積層体314Aが複数設けられていると、熱生成部材310Aの発熱量を増加させることができる。
図26は、図24に示す熱生成部材と熱スイッチとの接続構造を示す斜視図である。
熱生成部材と熱スイッチとの接続構造を、熱生成部材310B、熱スイッチ340B、340Cを例示して説明する。
図26に示す熱生成部材310Bの構成は、図24に示す熱生成部材310Aの構成と同一である。熱生成部材310Bを熱スイッチ340B及び340Cと接続するとき、熱生成部材310Bの磁石312Bを図示のように上下方向に位置させる。熱生成部材310Bの熱伝導部材318Aを磁石312B側に位置させて、熱生成部材310Bを熱スイッチ340B及び340Cで両側から挟み込む。つまり、熱スイッチ340B、340Cは、磁石312Bが配置されていない、熱伝導部材318B、歪が印加、除去されると発熱及び吸熱する熱量材料315B及び磁場が印加されると結晶構造が変化する磁歪材料313Bを積層した積層体の対向する面に配置される。
熱生成部材310Bと熱スイッチ340B及び340Cとの接続構造を上記のようにすることによって、熱量材料315Bで生成された熱が、熱伝導部材318Bを介して熱スイッチ340B及び340Cに効率的に伝達される。
なお、熱生成部材310Aと熱スイッチ340A、340Bとの接続構造、熱生成部材310C−310Eと熱スイッチ340C−340Fとの接続構造、熱生成部材310Fと熱スイッチ340F、340Gとの接続構造も熱生成部材310Bと熱スイッチ340B及び340Cとの接続構造と同一である。
以上のように、熱生成部材を図26に示すように隣り合う熱スイッチと接続することによって、熱量材料で生じた熱を効果的に伝達できる。したがって、冷暖房装置の小型化及び軽量化に寄与する。
実施形態3に係る冷暖房装置300は、熱生成部材310A−310Fが以上のような構成を有しているので、磁石312Aで磁場を印加するだけで、熱量材料315Aが発熱する。また、生成した熱を熱スイッチ340A−340Gに無駄なく効率的に伝達させることができる。その結果、熱量材料315Aが生成する熱を最大限に引き出すことが可能となる。したがって、冷暖房装置300の小型化及び軽量化に寄与する。
実施形態1から3では、電圧を印加すると熱抵抗が低下するタイプの熱スイッチを例示したが、熱スイッチとしては、下記に示すような様々なタイプのものを使用することができる。
図27から図39は、本発明に係る冷暖房装置に用いることができる様々な熱スイッチの形態を示す。熱スイッチは、たとえば、電気、磁場を印加することで熱伝導率が大きく変化する材料やデバイス、また、電気濡れ効果で液体金属の出し入れによる熱伝導率を変化させるものなどがある。
<熱スイッチの形態1>
図27は熱スイッチの形態1を説明するための説明図である。図27に示す熱スイッチは、磁場を印加することで熱伝導率が大きく変化する材料を用いている。
図27は熱スイッチの形態1を説明するための説明図である。図27に示す熱スイッチは、磁場を印加することで熱伝導率が大きく変化する材料を用いている。
図27に示すように、熱生成部材110Aの対向する両面に熱スイッチ140Aと140Bが配置されている。熱スイッチ140A、140Bは、熱生成部材110Aの対向する両面に接合または接着によって一体化する。熱生成部材110Aの両隣には低温側熱交換部120と熱生成部材110Bが存在する。熱スイッチ140Aは低温側熱交換部120と熱生成部材110Aに接合または接着され、熱スイッチ140Bは熱生成部材110Aと熱生成部材110Bに接合または接着される。したがって、低温側熱交換部120、熱スイッチ140A、熱生成部材110A、熱スイッチ140B、熱生成部材110Bは一体化する。
熱スイッチ140Aと140Bは、9テスラ程度の磁気が印加されると、印加される前よりも熱伝導率が大きくなる。熱伝導率の大きさの変化は、100倍から3000倍の範囲である。したがって、熱スイッチ140Aと140Bは、磁気が印加されなければ熱伝導率は極めて小さくなり、接続されている低温側熱交換部120、熱生成部材110A、熱生成部材110Bの間では熱を伝導しない。一方、熱スイッチ140Aと140Bは、磁気が印加されると熱伝導率は極めて大きくなり、接続されている低温側熱交換部120、熱生成部材110A、熱生成部材110Bの間で熱が伝導する。
図27に示すように、熱スイッチ140Aと140Bは、磁気の印加、除去によって絶縁体、金属に相転移する転移体を含む。転移体は、少なくとも1種類以上の電荷整列絶縁体を含む。したがって、転移体に磁気を印加すると金属に相転移して熱伝導率が相対的に大きくなる。また、転移体から磁気を除去すると絶縁体に相転移して熱伝導率が相対的に小さくなる。
図27の場合、熱スイッチ140Aには永久磁石2による磁気が印加されていないので、熱スイッチ140Aは絶縁体としての性質を持ち、伝導電子が流れ難くなって、低温側熱交換部120と熱生成部材110Aとの間では熱が伝導しない。一方、熱スイッチ140Bには、永久磁石2によって磁気が印加されているので、熱スイッチ140Bは金属としての性質を持ち、伝導電子が流れやすくなって、熱生成部材110Aと熱生成部材110Bとの間で熱が伝導する。一般的に固体の熱伝導は、フォノンおよび伝導電子が担っていることが知られている。すなわち、ここでは伝導電子の流れを磁気によって制御している。
<熱スイッチの形態2>
図28は熱スイッチの形態2を説明するための説明図である。
図28は熱スイッチの形態2を説明するための説明図である。
熱スイッチの形態2に係る熱スイッチ140Bは、熱生成部材110Aと110Bに取り付ける電極31A、31Bと、電極31A、31Bの間に取り付ける金属/絶縁相転移体32とによって構成される。電極31Aの一方の面は熱生成部材110Aの一方の面に接合または接着によって取り付ける。電極31Bの一方の面は熱生成部材110Bの一方の面に接合または接着によって取り付ける。同様に、金属/絶縁相転移体32の両面は電極31Aと電極31Bの他方の面に接合または接着によって取り付ける。したがって、熱生成部材110A、熱スイッチ140B、熱生成部材110Bは一体化される。
電極31A、31Bは導電性の良好なアルミニウムや銅などの金属(金属単体または合金でも良い)を用いる。熱生成部材110A、110Bの間では電極31Aと31Bを介して熱が伝導するので、電極31Aと31Bは熱伝導率のより大きい金属を用いることが好ましい。
電極31A、31Bを熱生成部材110A、110Bおよび金属/絶縁相転移体32に接着する接着剤は、熱伝導率の大きいものを用いる。たとえば、接着剤に金属粉を接着性が妨げられない程度に混ぜ込んだ熱伝導性を改善した接着剤を用いる。
金属/絶縁相転移体32は、電圧を印加すると絶縁体から金属に相転移し、熱伝導率が大きくなり、逆に、電圧を遮断すると金属から絶縁体に相転移し、熱伝導率が小さくなる性質を持つものである。金属と絶縁体の相互間の相転移を示す絶縁体は、無機酸化物モット絶縁体または有機モット絶縁体がある。
無機酸化物モット絶縁体は少なくとも遷移金属元素を含む。モット絶縁体としては、LaTiO3、SrRuO4、BEDT−TTF(TCNQ)が知られている。金属と絶縁体の相互間の相転移が可能なデバイスとして現在知られているものは、ZnO単結晶薄膜電気二重層FET、TMTSF/TCNQ積層型FET素子がある。熱は、熱電子および格子結晶によって移送することができる。ZnO単結晶薄膜電気二重層FETおよびTMTSF/TCNQ積層型FET素子は、電圧を印加すると熱電子が活発に移動するようになる性質を利用する。ここでは、金属/絶縁相転移体32に、少なくとも遷移金属元素を含む無機酸化物モット絶縁体、有機モット絶縁体、ZnO単結晶薄膜電気二重層FET、TMTSF/TCNQ積層型FET素子など、電圧の印加除去によって熱伝導率が大きく変化するものを用いる。
図28に示すように、電極31Aと31Bとの間に直流電圧Vを印加すると、金属/絶縁相転移体32の熱伝導率が相対的に大きくなって、熱生成部材110Aと110Bとの間で熱の移動が起こる。一方、電極31Aと31Bとの間の直流電圧Vを除去すると、金属/絶縁相転移体32の熱伝導率が相対的に小さくなって、熱生成部材110Aと110Bとの間の熱の移動が阻止される。したがって、熱スイッチ130は、電圧の印加、除去によって熱の移動を制御する熱スイッチとなる。
<熱スイッチの形態3>
図29は熱スイッチの形態3を説明するための説明図である。
図29は熱スイッチの形態3を説明するための説明図である。
熱スイッチの形態3に係る熱スイッチ140Bは、熱スイッチの形態2で説明した熱スイッチ140B(図20)に、さらに補助電極33A、33Bを追加している。その他の構成および動作は熱スイッチの形態2と同様である。
補助電極33Aと33Bは、金属/絶縁相転移体32に接合または接着によって取り付ける。補助電極33Aと33Bは熱伝導性を考慮しなくても良い。また補助電極33Aと33Bを金属/絶縁相転移体32に接着する接着剤も熱伝導性を考慮しなくても良い。補助電極33Aと33Bと接着剤には、熱電子が通過しないからである。
補助電極33Aと33Bは、電極31Aと31Bに対して、直交方向に電圧を印加する。補助電極33Aと33Bとの間に直流電圧を印加すると、金属/絶縁相転移体32内の電子の分布が補助電極33Aと33Bの方向に偏る。このため、熱生成部材110Aと110Bとの間を移動する熱電子の抵抗が減少し、熱電子が移動しやすくなる。つまり、補助電極33Aと33Bを設けることで、金属/絶縁相転移体32の熱伝導率をより大きくすることができる。
<熱スイッチの形態4>
図30は熱スイッチの形態4を説明するための説明図である。
図30は熱スイッチの形態4を説明するための説明図である。
熱スイッチの形態4に係る熱スイッチ140Bは、電極31Aと31Bを、金属/絶縁相転移体32と熱生成部材110A、110Bとの間には設けずに、金属/絶縁相転移体32内を移動する熱電子の移動方向に対して直交する方向から電圧が印加できるように設ける。その他の構成および動作は熱スイッチの形態2と同様である。
したがって、金属/絶縁相転移体32は、熱生成部材110Aと110Bに直接取り付ける。金属/絶縁相転移体32と熱生成部材110A、110Bとは、接合または接着剤で取り付ける。このときに用いる接着剤は、熱伝導性の大きいものを用いる。
電極31Aと31Bは、金属/絶縁相転移体32に接合または接着によって取り付ける。電極31Aと31Bは熱伝導性を考慮しなくても良い。また電極31Aと31Bを金属/絶縁相転移体32に接着する接着剤も熱伝導性を考慮しなくても良い。電極31Aと31Bと接着剤には、熱電子が通過しないからである。
電極31Aと31Bは、金属/絶縁相転移体32内を移動する熱電子の移動方向に対して、直交方向に電圧を印加する。電極31Aと31Bとの間に直流電圧を印加すると、金属/絶縁相転移体32内の電子の分布が電極31Aと31Bの方向に偏って相転移する。このため、熱生成部材110Aと110Bとの間を移動する熱電子の抵抗が減少し、熱電子が移動しやすくなる。
熱スイッチの形態2、3の場合には、熱電子の通過方向に電極31A、31Bが存在するので、熱電子にとっては電極31A、31Bが障害物となる。このため、電極31A、31Bの存在は熱伝導率を小さくする方向に働く。熱スイッチの形態4の場合には、金属/絶縁相転移体32を熱生成部材110Aと110Bに直接取り付けるので、電極31A、31Bの存在は熱伝導率を下げる方向には働かない。したがって、本実施形態に係る熱スイッチ30の熱伝導率は、熱スイッチの形態2、3の場合と比較して、大きくなる。
<熱スイッチの形態5>
図31は熱スイッチの形態5を説明するための説明図である。
図31は熱スイッチの形態5を説明するための説明図である。
熱スイッチの形態5に係る熱スイッチ140Bは、金属/絶縁相転移体(32)を熱生成部材110Aと110Bに直接取り付け、熱生成部材110Aと110Bに直流電圧を印加できるようにしたものである。金属/絶縁相転移体と熱生成部材110A、110Bとは接合または接着剤で取り付ける。接着剤は熱伝導率の大きいものを用いる。その他の構成および動作は熱スイッチの形態2と同様である。
熱生成部材110Aと110Bを電極の代わりに用いると、構造が単純化され、また、部品点数の減少と製造工程の簡略化が図れる。また、熱スイッチの形態4の場合と同様に、熱スイッチ140A、140Bの熱伝導率は、熱スイッチの形態2、3の場合と比較して、大きくなる。
<熱スイッチの形態6>
図32は熱スイッチの形態6を説明するための説明図である。
図32は熱スイッチの形態6を説明するための説明図である。
熱スイッチの形態6は、熱スイッチ140Bに絶縁体34を追加している。具体的には、図32に示すように、熱電子の移動を妨げる絶縁体34を電極31Aと金属/絶縁相転移体32との間に設けている。図32では、図28の構成に絶縁体34を追加しているが、図29〜31の構成に対して絶縁体34を追加しても良い。その他の構成および動作は熱スイッチの形態2と同様である。
絶縁体34は、熱電子以外の電子の移動を阻止するために設ける。電極31Aと31Bとの間に直流電圧を印加すると、電極31Aと31Bとの間に電流が流れるが、本来移動してほしい熱電子に加え、熱輸送に関与しない電子を過剰に移動させてしまう可能性がある。この熱輸送に関与しない電子の過剰の移動を防ぐために、絶縁体34を金属/絶縁相転移体32に取り付けることによって、金属/絶縁相転移体32の熱伝導率の低下を防止できる。
<熱スイッチの形態7>
図33は熱スイッチの形態7を説明するための説明図である。
図33は熱スイッチの形態7を説明するための説明図である。
熱スイッチの形態7は、熱スイッチの形態4に係る図30の熱スイッチ140Bに分極体35を追加している。具体的には、電極31Aと金属/絶縁相転移体32との間に熱電子の移動を促す分極体35を配置する。分極体35は、誘電体およびイオン性液体のうちの少なくとも1種類以上から形成する。その他の構成および動作は熱スイッチの形態4と同様である。
分極体35は、金属/絶縁相転移体32内を移動する電子を取り出したり、金属/絶縁相転移体32内に電子を注入したりする。このため、金属/絶縁相転移体32内の電子の分布状態が変化して、熱電子が流れやすくなる。分極体35を配置することで、金属/絶縁相転移体32の熱伝導率をより大きくすることができる。
熱スイッチの形態2〜7のように、電圧の印加、除去によって熱伝導率が変化する熱スイッチ140Bを用いると、隣接する磁性体との熱伝導を、電圧の印加、除去だけで断続させることができる。したがって、熱スイッチ自身を移動させて、熱交換器と磁性体の間、磁性体同士の間を挿脱させる必要がなくなるため、熱スイッチの耐久性が向上し、同時に信頼性も向上する。
<熱スイッチの形態8>
図34は熱スイッチの形態8における熱スイッチの構成を説明するための熱スイッチ部分の断面図である。図35は熱スイッチの形態8における熱スイッチの構成を説明するための熱スイッチ部分の平面図(図34の矢視Aの図)である。
図34は熱スイッチの形態8における熱スイッチの構成を説明するための熱スイッチ部分の断面図である。図35は熱スイッチの形態8における熱スイッチの構成を説明するための熱スイッチ部分の平面図(図34の矢視Aの図)である。
本形態の熱スイッチは、電気濡れ(エレクトロウェッティング)効果を利用したものである。ここでは、熱生成部材110Aと110Bとの間に設けられた熱スイッチ140Bを例に説明する。
熱スイッチ140Bは、熱生成部材110Aに接する第1電極構造体71と、熱生成部材110Bに接する第2電極構造体81と、第1電極構造体71および第2電極構造体81の間の隙間90と、この隙間90に出し入れされる液体金属95とを有する。また、隙間90の一端には、液体金属95を収容する液溜まり77を有する。なお、隙間90において、液溜まり77を設けた一端の反対側の端部は開放端92となっている。
第1電極構造体71と第2電極構造体81は、同じ構造を有していて、隙間90を中心線とする対称構造である。第1電極構造体71は、熱生成部材110A側から順に、第1電極72、誘電体73、第2電極74、撥液コート層75を有する。第2電極構造体81も同様に、熱生成部材110B側から順に、第1電極72、誘電体73、第2電極74、および撥液コート層75を有する。つまり、隙間90を中心としてみれば、第1電極構造体71も第2電極構造体81も、隙間90側から順に撥液コート層75、第2電極74、誘電体73、第1電極72となるように配置されている。
熱生成部材全体の下部には、下部基板76を有する。この下部基板76内に、隙間90に連通した液溜まり77を有している。
第2電極74は、液溜まり77内部にまで入っていて、液体金属95と電気的に導通することができるようになっている。一方、第1電極72は液溜まり77からは絶縁されている。すなわち、第1電極72は液体金属95と絶縁されているのである。
これにより、第1電極72と第2電極74は、その間にある誘電体73を介したキャパシター構造となっていて、これがそのまま液体金属95と第1電極72のキャパシターとして作用することになる(詳細後述)。
第1電極構造体71と第2電極構造体81の上部には、それぞれ第1および第2電極72、74から導かれた配線が形成される上部基板40を有する。上部基板40は、第1電極構造体71側と第2電極構造体81側とで、隙間90の延長によって分離、絶縁され、第1電極構造体71および第2電極構造体81と同様に隙間90によって対称な同じ構造である。上部基板40は、それぞれ第1電極72からの第1配線41と、第2電極74からの第2配線42が絶縁層43によって絶縁されている。第1および第2配線41および42は、この熱スイッチ140Bを制御するための制御装置(不図示)に接続されている。そして制御装置が、磁気の移動に同期して、この熱スイッチ140Bによる熱伝達状態と断熱状態を切り替えている。
以下さらにこの熱スイッチ140B各部を詳細に説明する。
第1電極72および第2電極74は、たとえば、銅、アルミニウムなど、導電性のものであれば、特に限定されない。第1電極72および第2電極74の形状はともに同じであり、隙間90の大きさ(隙間の間隔を除く)と一致する電極板となっている。
誘電体73は、第1電極72と第2電極74の間にあって、たとえば、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜など、誘電体73であれば特に限定されない。誘電体73の形状は第1電極72および第2電極74と同じ大きさであり、第1電極72と第2電極74が短絡しない形状となっている。
撥液コート層75は、液体金属95に対して撥液性を有する。また、撥液コート層75は、導電性であることが好ましい。このような撥液コート層75に用いる材料とは、たとえば、導電性酸化膜、導電性ガラス材、導電性セラミックス材、グラフェンなどが好ましい。
このように、撥液コート層75が液体金属95に対して撥液性となっていることで、電気を印加していない状態では、液体金属95が容易に液溜まり77内に収納されるようになる。また、導電性を有することで、第2電極74に流した電気を液体金属95に直接流すことができて効率がよい。また、第2電極74に電気を流して液体金属95を第1電極構造体71と第2電極構造体81の間の隙間90に充填する際に、液溜まり77内を空にできるので、液体金属95使用量を少なくすることができる。
なお、液溜まり77内に常に液体金属95の一部が残留して、第2電極74から液体金属95に電気を流すことができれば、撥液コート層75は撥液性を有するだけで、導電性のないものであってもよい。また、第2電極74の隙間90側の表面に極薄いシリコン酸化膜やシリコン窒化膜などの絶縁性の撥液性部材を形成してもよい。極薄いシリコン酸化膜やシリコン窒化膜であれば、これらが介在していても第2電極74に電気を流したときにトンネル効果によって、液体金属95に電気を流すことができる。
このような部材によって構成される撥液コート層75の形状は第2電極74を覆う大きさである。
さらに、第2電極74自体を導電性で、かつ、その表面が撥液性となる部材を用いてもよい。つまり第2電極74自体を導電性酸化膜、導電性ガラス材、導電性セラミックス材、グラフェンなどによって形成するのである。この場合、第2電極74の隙間側表面に、撥液コート層を設ける必要がなくなる。
下部基板76は、少なくとも第1および第2電極72、74との間で絶縁されているものであればよい。たとえば、全体が絶縁性を有する材料として、エポキシ基板、フェノール基板、ABS樹脂基板などが用いられる。そして、これら基板に液溜まり77を設ける。この場合、液体金属95を液溜まり77内に収納しやすいように、液溜まり内壁面を親液性にする。親液性を持たせるためには、液溜まり壁面に金属膜79(たとえば銅、ニッケル、アルミニウムなどの金属膜)を形成することが好ましい。
また、下部基板76としては、たとえばシリコン基板を用いることもできる。シリコン基板を用いた場合、まず液溜まり77の形成後、液溜まり77内部の壁面表面を含めて、すべての表面をシリコン酸化膜やシリコン窒化膜などにより絶縁層(不図示)を形成する。そして、液溜まり77内に親液性を持たせるために金属膜79(たとえば銅、ニッケル、アルミニウムなどの金属膜、さらにシリコン基板とした場合は導電性を付与したポリシリコンなどでもよい)を形成することが好ましい。
液溜まり77内に形成した金属膜79は第2電極74と導通するようにしてもよい。
なお、液溜まり77内の金属膜79はなくてもよい。上述したとおり、液溜まり77内の金属膜79は、液溜まり77内壁面を親液性にすることで液体金属95が下がったときに、液体金属95が液溜まり77内に収納されやすくするためのものである。このため、液溜まり77の大きさが十分に大きく、液溜まり77内壁面が親液性でなくても液体金属95の収納がスムーズにゆく場合には金属膜79はなくてもよい。
さらに、下部基板76の液溜まり77には、液体金属95が漏れ出ない程度の空気穴93が設けられている(空気穴93の機能については後述)。
上部基板40は、第1電極構造体71側と第2電極構造体81側で同じ構成であり、第1電極72と電気的に接続された第1配線41と、第2電極74と電気的に接続された第2配線42と、これらを絶縁分離する絶縁層43を有する。また、すでに説明したように、第1電極構造体71側と第2電極構造体81側は隙間90によって絶縁、分離されているため、当然に上部基板40も第1電極構造体71側と第2電極構造体81側でそれぞれ分離して同じ構成となるように設けられている。また、各第2配線42の隙間90に面した部分は、撥液コート層75が形成されている。また、隙間90部分は、上から見ると、図35に示すように、撥液コート層75が隙間90を取り囲むように形成されており、隙間90の側面部分75aから液体金属95が漏れないようになっている。なお、隙間90の側面部分75aには、図示しないが、撥液コート層75の外側に、隙間の側面部分(または熱生成部材110Aの側面を含めた側面全体)を覆う構造体(不図示)があってもよい。このような構造体は、たとえば樹脂やセラミックなど非磁性、非導電性の部材が好ましい。
上部基板40で配線が対向した部分(図34中の丸で囲った部分)は、開放端92となっていて、液体金属95の移動によって隙間90内の圧力が上ったり下がったりしないようになっている。このため液体金属95は、スムーズに隙間90内を移動できる。
上部基板40に用いられる配線41、42は、第1および第2電極72および74と同じく、銅、アルミニウムなどである。一方、絶縁層43は、少なくとも誘電体73よりも誘電率の低い絶縁体(絶縁材)が好ましい。
配線41、42は、第1および第2電極72および74に対して電圧を印加するための配線である。このため配線が対向した部分(図34中の丸で囲った開放端92近傍部分)でも、第1および第2電極72および74と同じ電圧がかかる。そうすると、上部基板40の絶縁層113として誘電率の高い材料が用いられていると、この部分でも液体金属95と配線42との間がキャパシター構造となってしまう。そうすると液体金属95が上昇してきたときに、その勢いで、丸で囲んだ部分からさらに上にまで液体金属95が来て、吐出してしまう虞がある。これを防ぐために、この配線42同士が隙間90を介して向き合う部分では、誘電率が低い絶縁材を用いることで、液体金属95がこの配線42同士が対向する部分の隙間90に入ってくるのを防止している。
具体的には、たとえば、半導体装置において使用されている、いわゆるLow−k材料を使用することができる。たとえばシリコン酸化物にフッ素や炭素を添加したもの、有機ポリマーなどがある。そのほか、第1および第2電極72、74の間に用いた誘電体73よりも誘電率が低い材料であればよい。これらLow−k材料であってもよい。これらのLow−k材料は、SiO2の比誘電率4.2〜4.0に対して、比誘電率3.0以下であることが知られている。
なお、絶縁体である絶縁層43を配置する開放端92近傍部分は、配線42および43が絶縁される厚みであるが、たとえば隙間上端から誘電体73の厚み程度の厚さ分もあれば、液体金属95が上がってきたときに上端から吐出することはない。
そして、液体金属95(導電性流体と称されることもある)は、少なくともこの冷暖房装置が使用される温度範囲において液体の金属である。たとえば、ガリウム、インジウム、スズの共晶合金であるガリンスタンを用いることができる。ガリンスタンは、常温で液体の金属であり、ガリウム、インジウム、スズの組成よって融点が異なる。たとえば、ガリウム68.5%、インジウム21.5%、スズ10%のガリンスタンは、融点:−19℃、沸点:1300℃以上、比重:6.44g/cm3、粘度:0.0024Pa・s(at20℃)、熱伝導率:16.5W/(m・K)である。そのほかにも、周知の様々な液体金属95を用いてもよく、熱伝達率が高いものが好ましい。
次に、このように構成された熱スイッチ140Bの作用を説明する。
本形態の熱スイッチ140Bにおいては、熱スイッチ部としての機能を隙間90と液溜まり77の間を行き来する液体金属95により行っている。そして、液体金属95を隙間90と液溜まり77の間を行き来させるためには、エレクトロウェッティングを用いている。エレクトロウェッティングによる液体金属95の移動自体には、公知であり、たとえば、特開2007−103363号公報などに開示されるので、ここでは本形態の理解のために必要な原理について説明する。
図36はエレクトロウェッティングの原理を説明するための説明図である。
エレクトロウェッティングは、電極板400上に設けられた誘電体401の表面に液体金属95(ここでは液滴として示した)を乗せ、電極板400と液体金属95の間に電圧を印加することで、誘電体表面における液体金属95との濡れ性を制御する技術である。
電極板400と液体金属95との間は誘電体401を介してキャパシターが形成されている。図36Aに示すように、電極板400と液体金属95との間に電圧を印加すると、このキャパシターの静電エネルギーが変化(増加)して、それに相当する液体金属95の表面エネルギーが減少し、液体金属95の表面張力が低下する。これにより液体金属95の表面に対する接触角度θが変化する。ここで接触角度θとは、液体金属95が乗っている誘電体401の表面における液体金属表面とのなす角をいう。この接触角度θは、液体金属95の表面張力に応じて0°〜180°の範囲で変化する。
ここで図36Aに示すように(電圧印加時)、接触角度θが、0°から90°までは、液体金属95に対する表面の濡れ性がよい状態、すなわち親液性のある状態である。一方、図36Bに示すように(電圧印加無しのとき)、接触角度θは、90°を超えて180°であり、これが濡れ性の悪い状態、すなわち撥液性の状態である。このように誘電体表面に置いた液体金属95の接触角度θを、電圧の印加によって変更できるのがエレクトロウェッティングである。
図37は隙間における液体金属の移動を説明するための説明図で、隙間における液体金属部分の拡大図である。
本形態では、液体金属95が移動する表面は、熱生成部材110Aと110Bの間の隙間90に対向するように設けられた撥液コート層75である。この撥液コート層75は、すでに説明したとおり、液体金属95に対する撥液性を有する。このため、第1および第2電極72、74の間に電圧を印加しなければ、図37Aに示すように、液体金属95は、撥液コート層75の表面においてその接触角度は90°以上となって撥液性(疎液性ともいう)となっている。
このように液体の接触面(撥液コート層75の表面)と接触角度が90°以上となることで、図37Aに示したように、液体金属95の液面は、中央部分が凸となって、液体金属95の撥液コート層75表面との接触部分が下がった状態になる。このため液体金属95が撥液コート層75表面を伝って行く力が働かなくなり、液体金属95が毛細管現象によって上昇してしまうことはない。
この状態は、熱スイッチ全体としては図34に示した状態であり、液体金属95は、液溜まり77内にあって、隙間90は空気により満たされている。したがって、この空気で満たされた隙間90によって熱生成部材110Aと110Bの間は断熱状態となる。
一方、熱生成部材110Aと110Bのそれぞれにある第1電極72と第2電極74の間に電圧を印加すると、第1電極72と第2電極74の間にある誘電体73が分極して静電エネルギーが変化(増加)する。このとき第2電極74と液体金属95とは電気的導通がとられているため、結果的に、液体金属95と第1電極72とが誘電体73を介してキャパシター構造となっている。この構造はエレクトロウェッティングの原理を説明した図22の電極板400と誘電体401を介した液体金属95とによるキャパシター構造と同様の構造ということである。
このため、第1電極72と第2電極74の間に電圧を印加したことで、液体金属95の表面エネルギーが増加して、それに伴い撥液コート層75(誘電膜)表面における液体金属95の表面張力が減少し、濡れ性がよくなる。そうすると、図37Bに示すように、撥液コート層75表面に接している液体金属95表面の接触角度θが90°以下になる。これにより、液体金属95自体の表面張力は失われるものの、隙間90を登ってゆく張力が働くことになる。図37Bにおけるhがもとの液面に位置(図37A)からの上昇量である。なお、図37においてdは隙間の間隔である。
図38は、図34と同じ部分の断面図であり、液体金属95が隙間90を上がってきた状態、すなわち熱伝達状態を示している。
図示するように、液体金属95は隙間90の頂上である上部基板40の位置まで到達する。上部基板40の隙間部分ではすでに説明したように、上部基板40の第1配線111と第2配線42の間には誘電体が存在しない(または誘電率が低い)。このため、この部分での静電エネルギーはほとんど変化しないため、上昇した液体金属95の濡れ性はよくならないので、これ以上液体金属95が上昇することはない。
そして、液体金属95が上昇したことにより、隙間90は液体金属95で満たされて熱生成部材110Aと110B間の熱の伝達が起きて熱伝達状態になる。
このようにして本形態の熱スイッチ140Bでは、エレクトロウェッティングにより熱スイッチ140Bに設けた隙間90に液体金属95が充填された熱伝達状態と、隙間90から液体金属95を排除した断熱状態を、電気的に制御することができるのである。
熱スイッチ140Bを構成する各部の好ましいサイズは、ガリンスタンを液体金属95として用いた場合、隙間90の間隔が10μm〜50μmが好ましいものとなる。下限値を10としたのは、この程度の隙間90をあけることで、液体金属95が下がって隙間90内に空気が入ったときに十分な断熱性を有するようにするためである。一方、上限の50μmは、液体金属95が上がって隙間90を満たした場合の熱伝達性能を保つためである。
なお、図38に示したように、液体金属95が隙間90を上昇すると液溜まり77内から液体金属95が出てゆくことになる。このとき、仮に液溜まり77が密閉状態だと、液溜まり77内部が負圧(真空)になるため液体金属95が液溜まり77から隙間90に出て行きづらくなる。そこで、本形態では、液溜まり77の下部端に空気穴93を設けたのである。空気穴93の大きさは液体金属95が漏れ出ない程度でかつ空気の流入、流出が起こる程度の大きさとする。なお、空気穴93の位置は、液溜まり77の下部端以外であってもよく、液体金属95が液溜まり77から隙間90に出て行きやすくなるように配置されていればよい。
ここで、本形態においては、隙間90を介して対向する第1および第2電極構造体71および81は、それぞれ第1電極72と第2電極74を、誘電体73を介して平行に設けている。このうち、エレクトロウェッティングの作用しているのは、第1電極72、液体金属95、およびその間の誘電体73によって構成されるキャパシターである。このため、エレクトロウェッティングの原理としては、液体金属95に電圧を印加することができれば、第2電極74はなくてもよい。たとえば、下部基板を通して、液体金属と電気的に接続される電極を設けるなどである。この場合、第2電極は隙間内に存在しないので、隙間の対向する面は誘電体となり、液体金属に対して撥液性があるので、撥液コート層もなくてよい。
ただし、このようにした場合(第2電極を省略した場合)、キャパシター構造としては、第1電極72の対向電極となる液体金属95が移動するため、電極面積が増減することになる。このため、エレクトロウェッティング作用を起こさせる誘電体での静電エネルギーも増減してしまうことになる。したがって、同じ電圧を印加していても液体金属の上昇量によってエレクトロウェッティング作用により液体金属を移動させる力が変わって、液体金属の上昇速度が変化するおそれがある。
本形態では、第1電極72と第2電極74を、誘電体73を介して平行に設けているので、第1電極72と第2電極74によるキャパシターの大きさは、液体金属95の移動によって変化しない。したがって、同じ電圧の印加でも、液体金属の移動によって液体金属の移動速度が変化したりせず安定的に熱伝達と断熱を切り替えることができる。なお、第2電極を省略した場合でも、液体金属の移動速度が若干不安定になるおそれはあるものの、第2電極を設けた場合と同様に、熱伝達と断熱の切り替えは可能である。
<熱スイッチ部の形態9>
図39は熱スイッチの形態9における熱スイッチ140Bの構成を説明するための平面図であって、図34中の矢視Aに相当する方向から見た図である。
図39は熱スイッチの形態9における熱スイッチ140Bの構成を説明するための平面図であって、図34中の矢視Aに相当する方向から見た図である。
本形態の熱スイッチ140Bもまた、電気濡れ(エレクトロウェッティング)効果を利用したものである。したがって、熱スイッチ部の形態8の変形例となる。
熱スイッチ部の形態9は、熱スイッチ140Bの隙間90に第1電極構造体71側と第2電極構造体81側のそれぞれの壁面、すなわち撥液コート層75の表面にブレード82を配置したものである。このブレード82は、下部基板76の液溜まり77から上部基板100方向に垂直に延びており、第1電極構造体71側のブレード82と第2電極構造体81側のブレード82は互い接触しない幅となっている。ブレード82自体は、たとえば撥液コート層75の材料をそのままブレード82の構造となるように形成するとよい。そのほかの構成は、熱スイッチ部の形態8と同じである。
このようにすることで、液体金属95と第1電極構造体71の壁面および第2電極構造体81の壁面との接触表面積が大きくなって熱伝達効率が良くなる。また、第1電極構造体71側のブレード82と第2電極構造体81側のブレード82との間で隙間dBが形成されるため、このブレード82間の隙間dBでもブレード壁面に液体金属95の表面張力が働き、いっそう液体金属95が上昇しやすくなる(電圧印加時)。ブレード82間の隙間dBもすでに説明したとおり、10μm〜50μm程度が好ましい。
本実施形態で好ましく適用し得る熱スイッチ部の形態を説明したが、本発明はこれらの熱スイッチ部の形態に限定されない。
以上説明してきたように、本発明によれば、低温側熱交換部と高温側熱交換部との間に、歪の印加、除去によって発熱及び吸熱する複数の熱生成部材を有する熱生成ユニットを配置し、熱生成ユニットの熱を熱伝導ユニットによって低温側熱交換部と高温側熱交換部との間で伝導させるようにしたので、小型で軽量の冷暖房装置を提供できる。
100、200、300 冷暖房装置、
110、210、310 熱生成ユニット、
110A−110F、210A−210F、310A−310F 熱生成部材、
112A−112F 歪印加部、
114A−114F、215A、315A 熱量材料、
116A、216A、316A 断熱絶縁材料、
118A、218A、318A 熱伝導部材、
120、220、320 低温側熱交換部、
130、230、330 高温側熱交換部、
140、240、430 熱伝導ユニット、
140A−140G、240A−240G、340A−340G 熱スイッチ、
150、250、350 歪制御部、
160、260、360 熱スイッチ駆動部、
170、270、370 駆動制御部、
212A−212F 電極、
214A−214F、314A−314F 積層体、
213A 圧電材料、
313A 磁歪材料、
321A、312B、312C 磁石。
110、210、310 熱生成ユニット、
110A−110F、210A−210F、310A−310F 熱生成部材、
112A−112F 歪印加部、
114A−114F、215A、315A 熱量材料、
116A、216A、316A 断熱絶縁材料、
118A、218A、318A 熱伝導部材、
120、220、320 低温側熱交換部、
130、230、330 高温側熱交換部、
140、240、430 熱伝導ユニット、
140A−140G、240A−240G、340A−340G 熱スイッチ、
150、250、350 歪制御部、
160、260、360 熱スイッチ駆動部、
170、270、370 駆動制御部、
212A−212F 電極、
214A−214F、314A−314F 積層体、
213A 圧電材料、
313A 磁歪材料、
321A、312B、312C 磁石。
Claims (20)
- 歪の印加、除去によって発熱及び吸熱する熱生成部材を複数間隔を設けて配置した熱生成ユニットと、
前記熱生成ユニットの一端に位置する熱生成部材と間隔を設けて隣り合う低温側熱交換部と、
前記熱生成ユニットの他端に位置する熱生成部材と間隔を設けて隣り合う高温側熱交換部と、
前記熱生成ユニット内で隣り合う熱生成部材同士の間、前記熱生成ユニットの一端に位置する熱生成部材と前記低温側熱交換部との間及び前記熱生成ユニットの他端に位置する熱生成部材と前記高温側熱交換部との間に熱スイッチを配置した熱伝導ユニットと、
前記熱生成部材に歪を印加して前記熱生成部材を活性化させる歪制御部と、
前記熱スイッチを活性化させる熱スイッチ駆動部と、
前記歪制御部及び前記熱スイッチ駆動部の作動タイミングを制御することにより前記低温側熱交換部と前記高温側熱交換部との間で熱を伝導させる駆動制御部と、
を有することを特徴とする冷暖房装置。 - 前記熱生成部材は、
歪を印加、除去する歪印加部と、
前記歪印加部によって歪が印加、除去されると発熱及び吸熱する熱量材料と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の冷暖房装置。 - 前記歪印加部は、
前記熱量材料に対して、当該熱量材料の結晶格子定数が機械的に変化するように圧縮応力または引張応力を加える部位であることを特徴とする請求項2に記載の冷暖暖房装置。 - 前記熱量材料は、
歪を印加することによって、磁気モーメントの分布が変化して磁化が変化する磁気熱量材料または双極子モーメントの分布が変化して分極が変化する電気熱量材料であることを特徴とする請求項2または3に記載の冷暖房装置。 - 前記熱生成部材は、
前記歪印加部と前記熱量材料との間に断熱作用を持つ断熱絶縁材料を備えることを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の冷暖房装置。 - 前記熱生成部材は、
前記熱量材料内で当該熱量材料に直接接触する熱伝導部材を備えることを特徴とする請求項2から5のいずれかに記載の冷暖房装置。 - 前記熱生成部材は、
電圧が印加される電極と、電場が印加されると結晶構造が変化して歪む材料及び歪が印加、除去されると発熱及び吸熱する材料とを積層した積層体と、を交互に積層した構造を有することを特徴とする請求項1に記載の冷暖房装置。 - 前記歪が印加、除去されると発熱及び吸熱する材料は、
前記電場が印加されると結晶構造が変化して歪む材料に追随して結晶構造が変化し、磁気モーメントの分布が変化して磁化が変化する磁気熱量材料または双極子モーメントの分布が変化して分極が変化する電気熱量材料であることを特徴とする請求項7に記載の冷暖房装置。 - 電場が印加されると結晶構造が変化して歪む材料は圧電材料であることを特徴とする請求項7または8に記載の冷暖房装置。
- 前記熱スイッチは、前記熱生成部材の、
前記電極が配置されていない、歪が印加、除去されると発熱及び吸熱する材料と電場が印加されると結晶構造が変化する材料とを積層した材料の対向する面に配置されることを特徴とする請求項7から9のいずれかに記載の冷暖房装置。 - 前記熱生成部材は、
前記熱生成部材の両端に位置する2つの電極の内の少なくとも1つの電極の外表面に断熱絶縁材料が配置されていることを特徴とする請求項7から10のいずれかに記載の冷暖房装置。 - 前記熱生成部材は、
前記熱生成部材の電極の内の少なくとも1つの電極と、歪が印加、除去されると発熱及び吸熱する熱量材料と、の間に、断熱絶縁材料が配置されていることを特徴とする請求項7から11のいずれかに記載の冷暖房装置。 - 前記熱生成部材は、
歪が印加、除去されると発熱及び吸熱する熱量材料の前記電極に対向する外表面に熱伝導部材を配置したことを特徴とする請求項7から12のいずれかに記載の冷暖房装置。 - 前記熱生成部材は、
磁場を印加する磁石と、
磁場が印加されると結晶構造が変化して歪む材料及び歪が印加、除去されると発熱及び吸熱する材料とを積層した積層体と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の冷暖房装置。 - 前記歪が印加、除去されると発熱及び吸熱する材料は、
前記磁場が印加されると結晶構造が変化して歪む材料に追随して結晶構造が変化し、磁気モーメントの分布が変化して磁化が変化する磁気熱量材料または双極子モーメントの分布が変化して分極が変化する電気熱量材料であることを特徴とする請求項14に記載の冷暖房装置。 - 前記磁場が印加されると結晶構造が変化して歪む材料は、磁歪材料であることを特徴とする請求項14または15に記載の冷暖房装置。
- 前記熱生成部材は、
前記歪が印加、除去されると発熱及び吸熱する材料の前記磁石に対向する外表面に断熱絶縁材料が配置されていることを特徴とする請求項14から16のいずれかに記載の冷暖房装置。 - 前記熱生成部材は、
歪が印加、除去されると発熱及び吸熱する熱量材料の前記磁石に対向する外表面に熱伝導部材を配置したことを特徴とする請求項14から17のいずれかに記載の冷暖房装置。 - 請求項14から18のいずれか記載の熱生成部材を積層方向に複数配置したことを特徴とする冷暖房装置。
- 前記熱スイッチは、前記熱生成部材の、
前記磁石が配置されていない、歪が印加、除去されると発熱及び吸熱する材料と磁場が印加されると結晶構造が変化する材料とを積層した材料の対向する面に配置されることを特徴とする請求項14から19のいずれかに記載の冷暖房装置。
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