以下、実施形態を通じて本発明を詳説するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明される特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
[遊技機の全体構成について]
遊技機の一例としてのパチンコ機1は、遊技場の島設備に設置される縦長方形状の機枠2と、この機枠2の一側部においてヒンジ機構により開閉自在に取り付けられた本体枠3と、当該本体枠3内に収容された遊技盤30と、本体枠3の前方において開閉可能に軸着され、中央部に配設されたガラス窓4A、及びガラス窓4Aの下方に設けられた受皿6を有するパネル枠4と、パネル枠4の下部一側部より前方に突設されたハンドルユニット7、及びパネル枠4の上部両側部に配設されたスピーカユニット8を主たる構成として備える。パネル枠4が本体枠3側に閉じられた状態において、パチンコ機1の前方に着座する遊技者からは、パネル枠4に配設されたガラス窓4Aを介して本体枠3内に収容された遊技盤30の遊技領域31を視認することが可能である。
受皿6の中央部には、遊技者の任意によって操作可能な操作手段としての操作機構9が配設される。操作機構9は、遊技者による押下操作が可能な円形のプッシュボタン9Aと、当該プッシュボタン9Aの周囲において遊技者による回動操作が可能なダイアル9Bとにより構成される。操作機構9は、後述する演出制御回路200と接続されており、プッシュボタン9A、及びダイアル9Bから出力される信号は、演出制御回路200側に入力する。受皿6には、この他、球貸ボタンや返却ボタン等が配設されており、これらのボタン操作によって図外のCRユニットに投入されたICカード等の記録媒体に記録された貸し球可能数に対応する遊技球の貸し出し動作、或いは記録媒体の返却動作が実行される。
[遊技盤の構成について]
図2に示すように、本体枠3内に収容された遊技盤30には、外ガイドレール27及び内ガイドレール28によって略円形状に区画された遊技領域31が形成される。遊技領域31は、遊技盤30の前面とガラス窓4Aの後面との間に形成される空間であり、図2の破線で示される左打ち領域31Aと、それ以外の右打ち領域31Bとに大別される。遊技盤30上には、図外の多数の釘や風車が配設されており、遊技者のハンドルユニット7の操作によって図外の発射機構により発射された遊技球は、多数の釘や風車によって不規則に誘導されつつ、左打ち領域31A又は右打ち領域31B内を流下する。
遊技盤30の盤面には、始動入賞部品60、可変始動入賞部品62、大入賞部品64、及び図外の一般入賞部品等が配設されており、これらの入賞部品や入賞装置に遊技球が入球すると、各入賞部品や入賞装置に対応した所定数の賞球が受皿6に払出される。また、詳細については後述するが、遊技球が始動入賞部品60、又は可変始動入賞部品62に入球すると、上記賞球の払出しの他、大入賞部品64を開放動作させ、遊技者にとって有利な状態を醸成する特別遊技の可否に関する抽選や、当該特別遊技の態様、或いは特別遊技後の遊技状態を決定するための抽選を始めとする各種の抽選が主制御回路100により実行される。即ち、始動入賞部品60、又は可変始動入賞部品62への遊技球の入球は、上記各種の抽選を受けるための契機となるものである。
始動入賞部品60は、遊技盤30の左右方向略中央部に位置し、上方開口の図外の入球口を有している。始動入賞部品60へは、左打ち領域31Aを流下する遊技球のみが入球可能となっており、右打ち領域31Bを流下する遊技球が入球することは原則としてない。
可変始動入賞部品62は、右打ち領域31Bを流下する遊技球のみが入球可能となるように、右打ち領域31B上に配設される入賞部品である。詳細な構造については後述するが、可変始動入賞部品62は、駆動源としてソレノイドSOL1の動作によって開閉する開閉体620により、遊技球の入球が可能な開放状態と入球が不能な閉鎖状態の2つの状態を取り得る装置である。開閉体620の開放動作は、右打ち領域31Bにおいて、可変始動入賞部品62の上方に位置する通過ゲート68への遊技球の通過を契機として、主制御回路100により実行される開閉体620の開放動作の可否に関する抽選の結果が当りとなった場合に実行される。通過ゲート68は、上下開口の門型の遊技部品であって、右打ち領域31Bを流下する遊技球のみが通過可能となっている。
右打ち領域31Bの可変始動入賞部品62の下方には、大入賞部品64が配設される。図3は、大入賞部品64の内部を示す透過図である。大入賞部品64は、球誘導部65上に開設され、遊技球が入球可能な大入賞口64Aと、当該大入賞口64Aを閉鎖状態又は開放状態とする開閉体64Bとを備える。大入賞口64Aは、通常時において開閉体64Bにより閉鎖状態とされており、遊技球の入球が不可能とされる。よって、球誘導部65上を流下する遊技球Pは、開閉体64B上を通過して矢印X1に示す方向に流下する。一方、特別遊技の実行時においては、開閉体64Bの開放動作により開放状態とされ、球誘導部65上を流下する遊技球の入球が許容される。よって、球誘導部65上を流下する遊技球Pは、矢印X2に示す落下通路66方向に進入する。なお、開閉体64Bは、ソレノイドSOL2の駆動によって、遊技盤30の前後方向にスライド動作し、大入賞口64Aを閉鎖状態又は開放状態に切り替える。
図3に示すように、大入賞部品64内には、上下方向に延在する落下通路66が設けられる。落下通路66内には、大入賞口検出スイッチSW3が設けられており、大入賞口64Aに入球した遊技球は、大入賞口検出スイッチSW3によって検出された後、排出口67から機外に排出される。
図2に戻り、遊技盤30の最下部には、アウト口69が開設される。アウト口69は、上記複数の入賞部品のいずれにも入球しなかった遊技球を回収する排出口であって、当該アウト口69まで流下した遊技球は、遊技盤30の背部側を経由して機外に排出される。
以上のとおり、遊技盤30には、左打ち領域31Aを流下する遊技球のみが入球可能な始動入賞部品60と、右打ち領域31Bを流下する遊技球のみが入球,通過可能な可変始動入賞部品62、大入賞部品64、通過ゲート68が設けられている。そして、遊技者は現在の遊技状態によって、ハンドルユニット7の操作量を調整することにより、遊技球が流下する領域(左打ち領域31A又は右打ち領域31B)を選択することができる。
遊技盤30の略中央部には例えば液晶表示装置からなる演出表示装置50が設けられている。演出表示装置50は、演出図柄Sに関する画像や、当該演出図柄Sの変動表示に伴って表示される変動演出に係る画像、特別遊技中において表示される画像等の種々の画像を表示可能な演出表示部50Aを有し、一般に遊技者は、当該演出表示部50Aに表示される多様な画像表示による演出を視認しながら遊技を進行する。
遊技盤30の遊技領域31の外方には、第1特別図柄表示装置35A、第2特別図柄表示装置35B、第1特別図柄保留表示装置36A、第2特別図柄保留表示装置36B、普通図柄表示装置37、及び普通図柄保留表示装置38が設けられている。各表示装置は、遊技の進行状況に応じて主制御回路100によって制御され、その表示の変化によって遊技状況を遊技者に報知する。
以下、図4〜図6を参照して本実施形態に係るパチンコ機1おいて主要な可変始動入賞部品62について説明する。各図に示すとおり、可変始動入賞部品62は、遊技盤30の盤面30Aと略面一に配設される取付基盤600を境として、盤面30Aよりも前方に位置する規制板610及び取付基盤600に開設された入球口600aを閉鎖状態又は開放状態とする開閉体620と、盤面30Aよりも後方においてソレノイドSOL1を有し、当該ソレノイドSOL1の駆動により上記開閉体620を開閉動作させる駆動ユニット640と主たる構成として備える。以下、各部の詳細について説明する。
取付基盤600は、上下方向に長尺な矩形状の板体であって、その前面が盤面30Aに対して略面一となるように取り付けられる。取付基盤600には、前後方向に貫通する入球口600aが開設される。入球口600aは、遊技球の入球が可能な大きさを有する矩形な開口であって、ソレノイドSOL1の非駆動時(非励磁時)においては、開閉体620により閉鎖状態とされ、遊技球の入球が阻止される。一方、ソレノイドSOL1の駆動時(励磁時)においては、開閉体620の開放動作により開放状態とされ、遊技球の入球が許容される。
図6に示すように、開閉体620は入球口600aの形状と略対応する外形に形成された閉鎖板622を有する。閉鎖板622は、図5の破線で示す直立状態において入球口600aを閉鎖状態とし、二点鎖線で示す前方への倒伏状態において入球口600aを開放状態とする。同図に示すように、開閉体620の閉鎖動作により閉鎖板622が倒伏状態となった場合、取付基盤600と規制板610との間を流下する遊技球は、閉鎖板622の後面622aに沿って入球口600a内に取り込まれ、遊技盤30の後方へ誘導された後、機外に排出される。
閉鎖板622の下部両側部には、回転軸624a;624bが側方に向けて突設される。なお、図5の括弧内の数字は、例えば取付基盤600の左右方向中心を基準として対称に設けられる同一要素を示す。回転軸624a;624bは、開閉体620の閉鎖動作、開放動作の中心軸であり、取付基盤600の入球口600aを形成する側壁に形成された支承部602a;602bに対して係止される。回転軸624a;624bがそれぞれ支承部602a;602bに係止されることにより、開閉体620は回転軸624a;624bを回転中心とし遊技盤30の前後方向に開閉動作可能となる。
図6に示すように、開閉体620は、上記回転軸624a;624bを中心とする扇状に形成されたカム板626a;626bを有する。カム板626a;626bは、それぞれ回転軸624a;624bの周囲から後方に突出する板体であって、その外側面には側方に突出する傾動軸628a;628bが形成される。詳細については後述するが、傾動軸628a;628bは、それぞれ後述のアーム680A;680Bの回転支持部686に接続されており、アーム680A;680BがソレノイドSOL1の動作によって上下方向に回動することにより、カム板626a;626bが回転軸624a;624bを回転中心として正逆方向に回転し、閉鎖板622が直立状態又は倒伏状態に変位する。
図4に戻り、取付基盤600の前方には、規制板610が取り付けられる。規制板610は、取付基盤600の前面から前方に突出する側壁部604a;604bの前面に取り付けられており、取付基盤600の前面に対して遊技球の直径以上の間隔を有して対向する。側壁部604a;604bは、入球口600aの両側縁と対応するように前方に突出し、互いに遊技球の直径以上の間隔を有して対向する。つまり、取付基盤600と規制板610との間は、少なくとも1個以上の遊技球が通過可能となっている。規制板610は、側壁部604a;604b間の離間寸法、及び側壁部604a;604bの上下寸法よりも長い辺を有する矩形状の板体であって、その前面には取付孔612a;612bが設けられ、不図示の意匠部材を取付可能である。
以上説明したとおり、取付基盤600の前方は、規制板610との間で遊技球が通過可能とされており、側壁部604a;604b及び規制板610により囲まれた領域内に進入した遊技球は、開閉体620の開放動作時(閉鎖板622の倒伏状態時)において、入球口600a内に入球可能とされ、閉鎖動作時(閉鎖板622の直立状態時)において、入球口600a内に入球不能とされる。以下、取付基盤600(遊技盤30)の後方の構造、及び開閉体620を開閉動作させる駆動ユニット640の詳細について説明する。
図5,図6に示すように、取付基盤600の後面側には、球誘導体630が取り付けられる。球誘導体630は、取付基盤600と平行に延在する球受け部632と、球受け部632の下部においてコの字状に形成された球誘導部634とを有する。球受け部632は、上下方向に長尺な矩形状の板状体であって、入球口600aを経由して前方から後方に誘導されてくる遊技球を受け止める。また、球誘導部634は、側壁634a;634b及び後壁634cを有して上下方向及び前方が開口した構造であり、球受け部632により受け止められた遊技球を自重により下方に向けて誘導する。なお、当該球誘導部634の下流側には、図外の第2始動口検出スイッチSW2が配設されており、遊技球の入球が検出される。
球誘導体630は、側壁634a;634bにそれぞれ設けられた取付部636a;636bを介して取付基盤600の後面側に取り付けられる。図5に示すように、取付基盤600の後面には、取付部636a;636bに形成されたボス受けと係合するボス605a;605bが後方に向けて突設されており、当該ボス605a;605bが取付部636a;636bに形成されたボス受けに係合され、後方からネジが螺入されることにより球誘導体630が取付基盤600の後方に取り付けられる。
図5,図6に示すように、取付基盤600の後面側には、キャップ638a;638bが取り付けられる。図5に特に示すように、キャップ638a;638bは、支承部602a;602bを有し、後方に突出する前述の側壁を後方から覆うように取り付けられる。キャップ638a;638bは、上記球誘導体630と同様に取付基盤600の後面から後方に突出するボス606a;606bと係合するボス受けを有しており、後方から螺入されるネジにより取付基盤600の後方に取り付けられる。また、キャップ638a;638bが取付基盤600に取り付けられることにより、支承部602a;602bに係止された開閉体620の回転軸624a;624bが支承部602a;602bより脱落不能となる。
次に、駆動ユニット640について説明する。図6に示すように、駆動ユニット640は、駆動源としてのソレノイドSOL1と、当該ソレノイドSOL1を保持するホルダー機構642と、ソレノイドSOL1の駆動に連動して上下動作する可変機構650と、当該可変機構650の動作を規制する規制ブロック670と、可変機構650の上下動作をカム板626a;626bの回転動作に変換する一対のアーム680A;680Bとを主たる構成として備える。なお、可変機構650と一対のアーム680A;680Bとが変換部を構成する。以下、順に説明する。
図6に示すように、ソレノイドSOL1は、プランジャ641が上下に突出する開口を有するホルダーF内に一体的に格納される。ホルダーF内に格納されたソレノイドSOL1は、プランジャ641の進退方向が取付基盤600の上下方向と一致するように、ホルダー機構642内に収容される。なお、本例においてソレノイドSOL1はプル型として構成されているが、プッシュ型のソレノイドを採用することも可能である。ホルダー機構642は、上下方向に長尺な矩形状の後部板642aと、当該後部板642aの両側部より前方に延出する側部板642b;642cとを有する。後部板642aは、ホルダーFの左右方向の寸法と略対応する。側部板642b;642cは、後部板642aの上部において、上記ホルダーFの前後方向の寸法と略対応するように前方に延出する。つまり、ホルダーF内に格納されたソレノイドSOL1は、後部板642a及び側部板642b;642cにより3方が取り囲まれるようにホルダー機構642内に収容される。側部板642b;642cの前方からは、それぞれ側方に延出する取付板643a;643bが設けられる。取付板643a;643bには、それぞれ複数のネジ穴が形成されている。
図5に示すように、取付板643a;643bに形成されたネジ穴は、取付基盤600の後面から後方に突出するボス607a;607b(607c;607d)と対応するように位置決めされ、後方からネジが螺入されることにより、ソレノイドSOL1を収容するホルダー機構642が取付基盤600の後方に取り付けられる。
ホルダー機構642を構成する後部板642aの下部には、一対の下側部板644a;644bが設けられる。下側部板644a;644bは、後部板642aの両側縁より前方に延出して互いに対向する。また、互いに対向する下側部板644a;644b間には、左右方向に延在する回動軸645が回転自在に横架される。回転軸645は、下側部板644a;644bそれぞれに対して抜け止め部品を介して回転自在とされており、両端部には、係合部645a;645bが形成されている。係合部645a;645bは、後述する一対のアーム680A;680Bにそれぞれ設けられた基部682の係合孔682a内に回転不能に圧入される。一対のアーム680A;680Bが係合孔682aを介して回転軸645と接続されることにより、一対のアーム680A;680Bは、以下に説明する可変機構650の上下動作に応じて回転軸645を回転中心として同期して回動可能となる。
図6に示すように、可変機構650は、ソレノイドSOL2のプランジャ641の先端部に対して係止される。可変機構650は、左右方向に延在する上片部652と、当該上片部652の両端部より下方に延出する一対の側片部654a;654bとを有する門型に形成され、球誘導体630の矩形状の球受け部632の上部及び両側部を左右方向に跨ぐように配置される。側片部654a;654bにはそれぞれ、外面から側方に突出するスライド軸655a;655bと、同じく側方に突出する作動軸656a;656bとが設けられる。図5,図6に示すように、スライド軸655a;655bは、側片部654a;654bの外面から側方に延長し、後述の規制ブロック670と、取付基盤600に形成される突出板609a;609bとの間に形成されるガイド部G内において、プランジャ641の進退動作に応じて上下方向にスライドする。スライド軸655a;655bがガイド部Gによって規制されることにより、プランジャ641の進退動作に伴う可変機構650の前後方向への振れが抑制される。
作動軸656a;656bは、スライド軸655a;655bよりも下方において側片部654a;654bの外面から側方に延長する。作動軸656a;656bそれぞれの先端部は、一対のアーム680A;680Bの中間に形成された作動軸支持部684に係止される。このように、ソレノイドSOL1のプランジャ641の進退動作に応じて上下動作する可変機構650の作動軸656a;656bがそれぞれアーム680A;680Bの作動軸支持部684に係止されることにより、アーム680A;680BがソレノイドSOL1の駆動によって、回転軸645を回転中心として同期して回動する。より詳細には、ソレノイドSOL1への通電によりプランジャ641が上方に吸引されることにより、アーム680A;680Bが回転軸645を回転中心として上方に回動する。これに対して、ソレノイドSOL1が通電状態から非通電状態とされることにより、プランジャ641の吸引が解除され、アーム680A;680Bが回転軸645を回転中心として下方に回動する。
上記のとおり、一対のアーム680A;680Bは、回転軸645が圧入される円筒状の基部682と、当該基部682の周囲から前方に向けて延在する板状の腕部683とを有する。腕部683には、前後方向に長い矩形状の作動軸支持部684と、前端部において上下二股に分かれて形成される回転支持部686が形成される。前述のとおり、アーム680A;680Bの作動軸支持部684には、それぞれ可変機構650の作動軸656a;656bが挿入,係止される。また、回転支持部686には、それぞれカム板626a;626bの傾動軸628a;628bが挿入,係止される。このように、一対のアーム680A;680Bは、ソレノイドSOL1のプランジャ641の上下方向への進退動作をカム板626a;626bの回転動作に変換して伝達する部品であり、カム板626a;626bの正逆方向への回転によって、開閉体620の閉鎖板622が、入球口600aを閉鎖状態とする直立状態、又は入球口600aを開放状態とする倒伏状態に自在に変位する。
次に、可変機構650の動作を規制する規制ブロック670について説明する。図5,6に示すように、規制ブロック670は、ソレノイドSOL1がホルダー機構642内に収容された状態において、当該ソレノイドSOL1と回転軸645との間に配置される部品であって、可変機構650の上片部652の左右方向の寸法と実質的に対応する矩形状のベース部672と、当該ベース部672の両側部に形成された側板部674a;674bとを有する。ベース部672は、ソレノイドSOL1と回転軸645との間において、ホルダー機構642の後部板642aに対して図外のネジにより取り付けられる。側板部674a;674bは、上下方向に長い矩形状の板体であって、ベース部672の前面よりも前方に突出するように形成される。側板部674a;674bの前端部676には、それぞれ上下方向に渡って後方に凹となるスライド部678が形成される。当該スライド部678の前後方向の寸法は、上述のスライド軸655a;655bの軸径と実質的に対応している。
図4,図5に示すように、側板部674a;674bはそれぞれ、取付基盤600の後面から後方に突出する突出板609a;609bと前後方向に突き合わされる。突出板609a;609bは、側板部674a;674b間の離間寸法と同一寸法離間して突出する矩形状の板体である。また、突出板609a;609bの上下寸法は、側板部674a;674bの上下寸法と対応している。そして、規制ブロック670が取付られたホルダー機構642が取付基盤600に対して固定されると、規制ブロック670の側板部674a;674bそれぞれの前端部676が突出板609a;609bの後端部と突き当たり、スライド部678の前方が閉鎖され、スライド軸655a;655bを脱落不能、かつ上下にスライド可能とする領域であるガイド部Gが形成される。
以上のとおり、本実施形態に係る可変始動入賞部品62は、開閉体620を遊技盤30の盤面30Aの前後方向に開閉動作させる駆動源となるソレノイドSOL1のプランジャ641の進退方向が、開閉体620の開閉方向と交差する方向である上下方向に設定されている。そして、プランジャ641の進退動作(直動動作)は、直下に位置する可変機構650に伝達されるとともに、アーム680A;680Bによって回転動作に変換され、開閉体620に伝達される。また、図5からも明らかなとおり、ソレノイドSOL1の動作を開閉体620に伝達する主要な部品である可変機構650、アーム680A;680Bは、取付基盤600の後面からソレノイドSOL1の後面Qまでの範囲に集約されているため、従来の可変入賞部品との比較において、装置全体の前後方向の長さを大幅に縮小することが可能となる。
なお、上記実施形態においては、ソレノイドSOL1と、当該ソレノイドSOL1の進退動作に応じて上下動作する可変機構650をアーム680A;680Bの上方に配置して、アーム680A;680Bを回動させるものとしたが、ソレノイドSOL1及び可変機構650をアーム680A;680Bの下方に配置して、アーム680A;680Bの下方側から回動させる構成としてもよい。
[パチンコ機の内部構成について]
図7は、パチンコ機1の制御を担う制御手段の構成を示すブロック図である。同図に示すように、パチンコ機1は、主として遊技全般に係る基本動作を制御する主制御回路100と、主として払出動作を制御する払出制御回路150と、主として遊技球の発射動作を制御する発射制御回路160及び、主として前述の演出表示装置50を制御する演出制御回路200とを備える。
主制御回路100は、(メイン)CPU100a、(メイン)ROM100b、及び(メイン)RAM100cを備えてなり、CPU100aが後述する各検出スイッチやタイマからの入力に対応してROM100bに予め格納されたプログラムを読み出して、当該プログラムに従った演算処理を行い、主制御回路100に接続された上述の各装置を直接的に制御したり、他の制御回路に多様なコマンドを送信する。また、このときRAM100cは、CPU100aの演算処理時におけるワークエリアとして機能し、演算に必要な各種のデータや、コマンドを一時的に保持する。
図7に示すように、主制御回路100には、始動入賞部品60への遊技球の入球を検出する第1始動口検出スイッチSW1、可変始動入賞部品62への遊技球の入球を検出する第2始動口検出スイッチSW2、大入賞部品64への遊技球の入球を検出する大入賞口検出スイッチSW3、図外の一般入賞部品への遊技球の入球を検出する一般入賞口検出スイッチSW4、及び通過ゲート68への遊技球の通過を検出するゲート検出スイッチSW5が接続されており、各検出スイッチから出力される検出信号が主制御回路100側に入力する。
また、主制御回路100には、前述の可変始動入賞部品62の開閉体620を開閉動作させるためのソレノイドSOL1、及び大入賞部品64に設けられた開閉体64Bを開閉動作させるためのソレノイドSOL2が接続され、これらのソレノイドが主制御回路100によって直接的に制御される。また、主制御回路100には、第1特別図柄表示装置35A、第2特別図柄表示装置35B、第1特別図柄保留表示装置36A、第2特別図柄保留表示装置36B、普通図柄表示装置37、及び普通図柄保留表示装置38が接続されており、これらの表示装置が主制御回路100によって直接的に制御される。
主制御回路100には、払出制御回路150、及び演出制御回路200が接続されている。払出制御回路150は、主制御回路100と同様に不図示のCPU、ROM、RAMを備えたマイクロコンピュータであって、主制御回路100と通信可能に接続されている。また、主制御回路100と払出制御回路150とには、外部情報出力端子板151が接続されている。外部情報出力端子板151は、主制御回路100(CPU100a)及び払出制御回路150(払出CPU)から出力された遊技の進行に関する種々の情報をパチンコ機1の設置店等に設けられたホストコンピュータ側に送信する。
払出制御回路150には、遊技者に対して賞球を払い出すための払出モータ152、及び賞球数計数スイッチ153が接続されている。払出制御回路150は、主制御回路100から送信される払出コマンドに含まれる賞球数情報に基づいて所定の賞球数が払い出されるように払出モータ152を制御する。当該払出モータ152の駆動により払い出された賞球は、賞球数計数スイッチ153により検出され、払出制御回路150側において、適正な賞球数が払い出されたかが把握される。なお、払出制御回路150には、この他、受皿6に許容数以上の遊技球が貯留されていることを検知する皿満タン検出スイッチ154や、パネル枠4や本体枠3の扉が開放していることを検知する扉開放検出スイッチ155等の各種のスイッチが接続される。
また、発射制御回路160には、ハンドルユニット7内に搭載されたタッチセンサ161、発射ボリューム162、図外の発射機構内に受皿6に貯留された遊技球を送り込む球送りモータ163、及び発射機構内に格納された球発射モータ164が接続されている。発射制御回路160は、払出制御回路150からの発射許可およびタッチセンサ161からの入力を条件として、遊技者によるハンドルユニット7の操作量に応じて変化する発射ボリューム162からの入力信号に基づいて球発射モータ164を制御し、受皿6に貯留された遊技球を所定の発射力により遊技領域31内に打ち出す。
演出制御回路200は、遊技進行中や待機中における各種の演出表示を制御する。演出制御回路200は、(サブ)CPU200a、(サブ)ROM200b、(サブ)RAM200cを備えてなり、主制御回路100に対して主制御回路100から演出制御回路200に対してのみ通信(一方向通信)が可能なように接続されている。当該演出制御回路200は、主制御回路100から送信される演出に関する各種のコマンドや内部タイマからの入力信号に基づいて、ROM200bに予め格納されたプログラムを読み出して、当該プログラムに従った演算処理を行い、演出制御回路200に接続された演出表示装置50の演出表示部50Aの画像制御、遊技進行中における楽曲や効果音などの音声をスピーカユニット8から出力させる音声出力制御、或いは遊技盤30及びパネル枠4等の各所に配設された発光体(例えば、LED)57を多様なパターンにより発行させる発光制御、或いは、図外の可動体を動作させるモータの駆動制御等を実行する。なお、このときRAM200cは、CPU200aの演算処理時におけるワークエリアとして機能し、演算に必要な各種のデータや、コマンド等を一時的に保持する。
また、演出制御回路200は、CPU200aと接続され、当該CPU200aより送信される画像表示に係る各種のコマンドを受信して演出表示部50Aに多様な画像を表示するためのVDP、及び上記画像表示処理中に必要な各種のデータ等を一時的に保存するVRAM、音声制御のための音声合成LSI等、各種制御に必要なハードウェアを備えている。また、演出制御回路200には、遊技者の任意に操作可能な前述の操作機構9が接続されており、例えば当該操作機構9の操作タイミングに合せて前述の各制御を実行し、操作機構9の操作タイミングに従った所定の演出を表現することが可能である。
また、図示は省略するが、上述の各制御回路には電源供給回路が接続されており、当該電源供給回路に設けられた電源スイッチの操作により、遊技設置店側の外部電源から電源が供給され、該外部電源を各制御回路の動作に必要な電源として生成し、各制御回路に生成した電源を供給することで各制御回路が起動する。また、電源供給回路には、コンデンサ等のバックアップ用電源が搭載されており、断電時においては当該バックアップ用電源から主制御回路100及び払出制御回路150に対して電力が供給され、これら2つの制御回路のRAMに格納された各種のデータやコマンドが保持される。また、電源供給回路には、演出制御回路200に対する専用のバックアップ用電源も搭載されており、断電時においては当該専用のバックアップ用電源からの電力供給によりRAMに格納された各種のデータやコマンドの一部が別途搭載されたバックアップ用RAMに格納される。
以下、上記構成からなるパチンコ機1の遊技処理の流れについて概説する。
遊技者のハンドルユニット7の操作により左打ち領域31A又は右打ち領域31Bを流下する遊技球が前述の始動入賞部品60又は可変始動入賞部品62に入球すると、主制御回路100では特別遊技(所謂大当り遊技)の実行可否に関する抽選(以下、特図当否抽選ともいう)、特別図柄の種類を決定する抽選(以下、特図種別決定抽選ともいう)、特別図柄の変動パターンを決定する抽選(以下、特図変動パターン決定抽選ともいう)等の種々の抽選を実行する。そして、上記抽選のうち、特図当否抽選の結果が「当り」である場合には、前述の大入賞部品64の大入賞口64Aを開放し、遊技球の入球を容易とする特別遊技が実行される。以下、各抽選の概要について説明する。
まず、遊技球が始動入賞部品60又は可変始動入賞部品62に入球すると、上記特図当否抽選において参照される特図当否判定乱数や、特図種別決定乱数、変動パターン決定乱数等、種々の乱数が同時に取得され、当該取得された乱数がRAM100cの保留記憶領域に格納される。なお、以下の説明においては、始動入賞部品60への入球を契機として取得される上記種々の乱数を総称して特1保留といい、可変始動入賞部品62への入球を契機として取得される上記種々の乱数を総称して特2保留という場合がある。さらに、特1保留及び特2保留を総称して始動情報という。
上記保留記憶領域は、特1保留、及び特2保留をそれぞれ独立して記憶可能な第1特図保留記憶領域と第2特図保留記憶領域とを備えている。第1特図保留記憶領域および第2特図保留記憶領域は、それぞれ4つの記憶部(第1〜第4記憶部)を有している。そして、始動入賞部品60に遊技球が入球すると、特1保留を第1特図保留記憶領域の第1記憶部から順に記憶し、可変始動入賞部品62に遊技球が入球すると、特2保留を第2特図保留記憶領域の第1記憶部から順に記憶する。ただし、第1特図保留記憶領域および第2特図保留記憶領域に記憶可能な特1保留数(X1)および特2保留数(X2)は、それぞれ4つに設定されており、各保留記憶領域の上限を超えて保留数(X1,X2)が増加することはない。
[各種抽選処理について]
図8は、特図当否抽選において参照される特図当否判定テーブルTBの概要を示す図である。遊技球が、始動入賞部品60又は可変始動入賞部品62に入球すると、0〜65535の範囲から1つの特図当否判定乱数が取得される。同図に示すように特図当否判定テーブルTBは、遊技状態が特図低確率である場合に参照される低確率用特図当否判定テーブルTB1と、遊技状態が特図高確率である場合に参照される高確率用特図当否判定テーブルTB2とに細分化されている。特図当否判定テーブルTB1,TB2には、0〜65535までの特図当否判定乱数に対応する判定結果(「当り」又は「ハズレ」)が規定されている。例えば、低確率用特図当否判定テーブルTB1が参照された場合に判定結果が「当り」となる確率は、約399分の1であり、高確率用特図当否判定テーブルTB2が参照された場合に判定結果が当りとなる確率は、10倍の約39.9分の1である。そして、上記取得された特図当否判定乱数が、「当り」と対応する乱数である場合は判定結果が当りとなり、「ハズレ」と対応する乱数である場合は判定結果がハズレと判定される。
なお、上記特図当否判定テーブルTB1,TB2においては、判定結果を「当り」,「ハズレ」の2通りとしたがこの他、「小当り」を付加したテーブルとしてもよい。
また、詳細については後述するが、特図低確率状態とは、上記特図当否抽選において低確率用特図当否判定テーブルTB1を参照して抽選結果を判定する遊技状態である。一方、特図高確率状態とは、特図当否抽選において高確率用特図当否判定テーブルTB2を参照して抽選結果を判定する遊技状態であり、特図低確率状態と比べて判定結果が「当り」となり易く、前述の特別遊技を獲得し易い状態である。
図9は、上記特図種別決定抽選において参照される特図種別決定テーブルTBの概要を示す図である。同図に示すように、特図種別決定テーブルTBは、特図種別決定乱数が始動入賞部品60への入球を契機として取得され、前述の特図当否抽選の結果が当りである場合に参照される特図種別決定テーブルTB1と、特図種別決定乱数が可変始動入賞部品62への入球を契機として取得され、前述の特図当否抽選の結果が当りである場合に参照される特図種別決定テーブルTB2と、特図当否抽選の結果がハズレである場合に参照される特図種別決定テーブルTB3とに細分化される。
始動入賞部品60又は可変始動入賞部品62に入球すると、例えば0〜99の範囲から1つの特図種別決定乱数が取得される。同図に示すように、特図種別決定テーブルTB1,TB2には、0〜99までの特図種別決定乱数に対応する特別図柄種別が所定の割合(選択率)で規定されている。例えば、特図種別決定テーブルTB1が参照され、取得された特図種別決定乱数が0〜69の範囲である場合には、特図種別が特別図柄Aとして決定され、70〜99の範囲である場合には、特図種別が特別図柄Bとして決定される。
つまり、始動入賞部品60への入球を契機とする特図当否抽選の結果が「当り」となり、特図種別決定テーブルTB1が参照された場合の特別図柄A及び特別図柄Bの選択率は、それぞれ70%,30%となる。
また、特図種別決定テーブルTB2が参照され、取得された特図種別決定乱数が0〜79の範囲である場合には、特図種別が特別図柄Cとして決定され、80〜99の範囲である場合には、特図種別が特別図柄Dとして決定される。つまり、可変始動入賞部品62への入球を契機とする特図当否抽選の結果が当りとなり、特図種別決定テーブルTB2が参照された場合の特別図柄C及び特別図柄Dの選択率は、それぞれ80%、20%となる。
また、特図種別決定テーブルTB3は、上記特図当否抽選の結果が「ハズレ」である場合に参照され、取得された特図種別決定乱数の範囲、及び特図種別決定乱数の取得契機に関わらず特図種別が無条件に特別図柄X(ハズレ図柄X)に決定される。
図10(a)は、上記特図変動パターン決定抽選において参照される変動パターン決定テーブルTBの一例を示す図である。本実施形態において変動パターンテーブルは、遊技状態が普図低確率である場合に参照される変動パターン決定テーブルTB1、遊技状態が普図高確率である場合に参照される変動パターン決定テーブルTB2に細分化される。始動入賞部品60又は可変始動入賞部品62に入球すると、例えば0〜99の範囲から1つの変動パターン決定乱数が取得され、上記いずれかの変動パターン決定テーブルTBから変動パターン決定乱数に対応する1の変動パターン番号が決定される。
同図に示すように、変動パターン決定テーブルTB1,TB2には、前述の抽選により決定された特図当否抽選の結果(特図判定結果)、及び保留記憶数に応じて、変動パターン決定乱数に対応する変動パターン番号が規定されている。なお、本実施形態では変動パ特図判定結果が「当り」である場合には、保留記憶数に依らず、変動パターン決定乱数に応じて変動パターン番号が決定される構成としている。なお、変動パターン決定テーブルTB1,TB2は例示であり、例えば、特図当否抽選の結果、及び保留記憶数に加えて特図種別によって異なる変動パターン番号が決定される構成としてもよい。
図10(b)に示すように、変動パターン決定テーブルTB1,TB2に規定された各変動パターン番号には、変動時間(秒)が対応付けられており、変動時間は、第1特別図柄表示装置35A又は第2特別図柄表示装置35B上で表示される特別図柄の変動表示時間、及び演出表示部50A上で特別図柄の変動表示と略同期して変動表示される演出図柄Sの変動時間、及び当該演出図柄Sの変動に伴って表示される変動演出の時間となる。本実施形態における最短の変動時間は、例えば1.5秒であり、最長の変動時間は90秒である。
いずれかの変動パターン決定テーブルTBから、変動パターン番号が決定されると、変動パターン番号、及び変動時間に関する情報(変動情報)を含む変動パターンコマンドが演出制御回路200側に送信され、演出図柄Sの変動表示とともに、各変動パターン番号に従った種々の演出を表現する変動演出が演出表示部50A上に表示されることとなる。
また、主制御回路100は、変動パターンコマンドの送信と同時に第1特別図柄表示装置35A又は第2特別図柄表示装置35Bを制御し、いずれかの表示装置上において特別図柄の変動表示を開始させる。その後、主制御回路100は、上記変動表示時間が経過したことに基づいて、第1特別図柄表示装置35A又は第2特別図柄表示装置35Bを制御して特別図柄の変動を停止させるとともに、演出制御回路200側に後述する特図停止指定コマンドを送信し、演出表示部50A上において変動表示される演出図柄Sの変動を停止させる。以上説明したとおり、主制御回路100は、特別図柄の変動開始時に上述の特図当否抽選,特図種別決定抽選、及び特図変動パターン決定抽選を実行し、特別図柄及び演出図柄Sの最終的な停止の態様によって、特別遊技実行の可否と関連する特図当否抽選の結果を報知する。
[特別遊技について]
図11は、前述の特図当否抽選の結果が「当り」となり、遊技者にとって有利な特別遊技(大当り遊技)が実行される場合に参照される特別遊技制御テーブルTBの概要を示す図である。この特別遊技制御テーブルTBには、特別遊技を制御するための各種データが記憶されており、特別遊技中は、当該テーブルを参照して開閉体64Bを開閉動作させるソレノイドSOL2が駆動制御される。なお、特別遊技制御テーブルTBは、特図種別ごとに複数設けられており、決定された特図種別に応じて、対応するテーブルが特別遊技の開始時にセットされるが、ここでは1つのテーブルに全ての特図種別に対応する制御データを示す。
特別遊技は、大入賞口64Aが所定回数開閉される複数回のラウンド遊技で構成されている。特別遊技制御テーブルTBには、オープニング時間(最初のラウンド遊技が開始されるまでの待機時間)、特別電動役物最大作動回数(1回の特別遊技中に実行されるラウンド遊技の回数)、特別電動役物開閉切替回数(1ラウンド(R)中の大入賞口64Aの開放回数)、ソレノイド通電時間(大入賞口64Aの開放回数ごとのソレノイドSOL2の通電時間、すなわち、1回の大入賞口64Aの開放時間)、規定数(1回のラウンド遊技における大入賞口64Aへの最大入賞可能数)、大入賞口閉鎖有効時間(ラウンド遊技間の大入賞口64Aの閉鎖時間、すなわち、インターバル時間)、エンディング時間(最後のラウンド遊技が終了してから、通常の特別遊技(特別図柄の変動表示)が再開されるまでの待機時間)が、特別遊技の制御データとして、特図種別ごとに図示のように予め記憶されている。
例えば、特図種別が特別図柄Aである場合に特別遊技が実行されると、特別遊技の態様として、ソレノイドSOL2への通電による開閉体64Bの開放動作によって大入賞口64Aが29秒間開放すること、又は、大入賞口64A内に遊技球が9個(カウントC=9)入球することのいずれかの条件が成立するまでラウンドが継続し、当該ラウンドが4回繰り返される。また、特図種別が特別図柄Bである場合に特別遊技が実行されると、特別遊技の態様として開閉体64Bの開放動作によって大入賞口64Aが29秒間開放すること、又は、大入賞口64A内に遊技球が9個(カウントC=9)入球することのいずれかの条件が成立するまでラウンドが継続し、当該ラウンドが10回繰り返される。また、特図種別が特別図柄Cである場合に特別遊技が実行されると、特別遊技の態様として、開閉体64Bの開放動作によって大入賞口64Aが29秒間開放すること、又は、大入賞口64A内に遊技球が9個(カウントC=9)入球することのいずれかの条件が成立するまでラウンドが継続し、当該ラウンドが15回繰り返される。また、特図種別が特別図柄Dである場合に特別遊技が実行されると、特別遊技の態様として、開閉体64Bの開放動作によって大入賞口64Aが29秒間開放すること、又は、大入賞口64A内に遊技球が9個(カウントC=9)入球することのいずれかの条件が成立するまでラウンドが継続し、当該ラウンドが2回繰り返される。
[遊技状態について]
図12は、上述の特別遊技が実行された場合に、当該特別遊技後の遊技状態を設定するために参照される遊技状態設定テーブルTBの概要を示す図である。同図に示すように、遊技状態設定テーブルTBには、特図種別に対応して特別遊技後の遊技状態と、当該遊技状態が継続する遊技回数(特図高確回数,普図高確回数)が規定されている。遊技状態設定テーブルTBに示すように、本実施形態においては特図種別に拘わらず、特別遊技後の遊技状態が、特図高確率、かつ、普図高確率の遊技状態となる。また、特図種別が特別図柄A又は特別図柄Bの場合、特図高確率、かつ、普図高確率が継続する遊技回数は100回に設定され、特図種別が特別図柄C又は特別図柄Dの場合、特図高確率、かつ、普図高確率が継続する遊技回数は150回に設定される。特図高確回数及び普図高確回数は、それぞれ後述の特図高確回数切りカウンタ及び普図高確回数切りカウンタのカウント値としてセットされ、特図遊技が実行される度に減算される。そして、カウント値が0になった場合に遊技状態が特図低確率、かつ、普図低確率の状態に切り替わる。なお、特図種別の数、及び遊技状態の組み合わせは、パチンコ機1の仕様によって適宜変更可能であり、特図種別をさらに細分化して設定することにより、特別遊技の態様や、特別遊技後の遊技状態をさらに細分化して設定することも可能である。
ここで、特図低確率とは、前述の特図当否抽選において、図8に示す低確率用特図当否判定テーブルTB1が参照される状態(当り確率=399分の1)である。また、特図高確率とは、図8に示す高確率用特図当否判定テーブルTB2が参照される状態(当り確率=39.9分の1)である。
また、普図低確率とは、前述の特図変動パターン決定抽選において、図10(a)に示す変動パターン決定テーブルTB1が参照され、後述の普図当否抽選において、図13に示す低確率用普図当否判定テーブルTB1が参照され、判定結果が「当り」の場合に図14に示す低確率用普図変動パターン決定テーブルTB1が参照される状態である。
また、普図高確率とは、前述の特図変動パターン決定抽選において、図10(a)に示す変動パターン決定テーブルTB1と比較して決定される変動時間(秒数)が相対的に短く規定された変動パターン決定テーブルTB2が参照され、後述の普図当否抽選において、図13に示す高確率用普図当否判定テーブルTB2が参照され、判定結果が「当り」の場合に図14に示す高確率用普図変動パターン決定テーブルTB2が参照される状態である。
以上説明したとおり、パチンコ機1においては、始動入賞部品60又は可変始動入賞部品62への入球を契機とする各種の抽選が実行され、上記各種抽選の結果が所定の結果である場合に、遊技者にとって有利な特別遊技が実行され、さらに当該特別遊技後の遊技状態が切り替わる構成である。一方、パチンコ機1においては、上記特別遊技の実行等に関する種々の抽選とは独立して、可変始動入賞部品62に設けられた開閉体620を開放動作させる普通遊技実行の可否等に関する抽選(普図当否抽選,普図変動時間パターン決定抽選)も実行される。以下、普通遊技実行の可否等に関する種々の抽選処理(普図遊技)の概要について説明する。
遊技球が右打ち領域31Bを流下中に通過ゲート68を通過すると、後述の普図当否抽選において参照される普図当否判定乱数が取得され、当該取得された乱数がRAM100cの保留記憶領域に格納される。ここで、保留記憶領域は、上記普図当否判定乱数を記憶可能な普図記憶領域を有しており、当該普図記憶領域は4つの記憶部(第1〜第4記憶部)を有している。そして、通過ゲート68を遊技球が通過すると、普図当否判定乱数を第1記憶部から順に記憶する。但し、普図保留記憶領域に記憶可能な普図保留数(X3)は4つに設定されており、当該上限を超えて普図保留数X3が増加することはない。
図13は、普図当否抽選において参照される普図当否判定テーブルTBの概要を示す図である。遊技球が、通過ゲート68を通過すると、例えば0〜99の範囲から1つの普図当否判定乱数が取得される。同図に示すように普図当否判定テーブルTBは、遊技状態が前述の普図低確率である場合に参照される低確率用普図当否判定テーブルTB1と、遊技状態が普図高確率である場合に参照される高確率用普図当否判定テーブルTB2とに細分化されている。上記普図当否判定テーブルTB1,TB2には、0〜99までの普図当否判定乱数に対応する判定結果(「当り」又は「ハズレ」)が規定されている。例えば、低確率用普図当否判定テーブルTB1が参照された場合に判定結果が「当り」となる確率は、50分の1である。これに対して高確率用普図当否判定テーブルTB2が参照された場合に判定結果が当りとなる確率は、1.2分の1である。そして、上記取得された普図当否判定乱数が、「当り」と対応する乱数である場合は判定結果が当りとなり、「ハズレ」と対応する乱数である場合は判定結果がハズレとなる。
図14は、普図変動パターン決定抽選において参照される普図変動パターン決定テーブルTBを説明する図である。上述の普図当否抽選が行われると、普図変動パターン決定テーブルTBに基づいて普通図柄の変動時間が決定される。同図に示すように、普図変動パターン決定テーブルTBは、遊技状態が普図低確率である場合に参照される低確率用普図変動パターン決定テーブルTB1と、遊技状態が普図高確率である場合に参照される高確率用普図変動パターン決定テーブルTB2とに細分化されており、それぞれのテーブルに単一の変動時間が規定されている。そして、低確率用普図変動パターン決定テーブルTB1によれば、普通図柄の変動時間が「30秒」に決定され、高確率用普図変動パターン決定テーブルTB2によれば、普通図柄の変動時間が「1秒」に決定される。このようにして普通図柄の変動時間が決定されると、当該決定された変動時間に渡って、普通図柄表示装置37上で表示される普通図柄の変動表示が開始され、変動時間経過後に上記普図当否抽選の結果を示す態様で停止表示される。
ここで、普通図柄表示装置37は、例えば複数のLEDランプを配列した形態として構成されており、変動表示中においては複数のランプが点滅し、上記普図当否抽選の結果が当りである場合には、複数のランプのうち、いずれかLEDのランプが点灯して停止した状態となり、ハズレである場合には、例えば全てのLEDランプ又は一部のランプが消灯した状態となる。なお、上記説明においては遊技状態に応じて単一の変動時間が規定された例を示したが、各遊技状態において複数の変動時間を規定し、所定の乱数による抽選によって遊技状態ごとに異なる普通図柄の変動時間が決定される構成としてもよい。
[普通遊技について]
図15は、前述の普図当否抽選の結果が当りとなり、普通図柄が当りであることを示す態様で停止した場合に実行される普通遊技において参照される開閉体作動テーブルTBの概要を示す図である。同図に示すように、開閉体作動テーブルTBには、開閉体620の開放回数、及び1回の開放動作当りの開放時間が規定されており、遊技状態が普図低確率である場合に参照される低確率用開閉体作動テーブルTB1と、遊技状態が普図高確率である場合に参照される高確率用開閉体作動テーブルTB2とに細分化されている。
そして、遊技状態が普図低確率である場合において、普通図柄が当りを示す態様で停止した場合、開閉体作動テーブルTB1が参照されることにより、ソレノイドSOL1が通電制御され、可変始動入賞部品62の開閉体620が0.3秒間1回開放動作される。
一方、遊技状態が普図高確率である場合において、普通図柄が当りを示す態様で停止した場合、上記開閉体作動テーブルTB2が参照されることにより、ソレノイドSOL1が通電制御され、可変始動入賞部品62の開閉体620が1.8秒間開放する動作が3回繰り返されることとなる。
つまり、遊技状態が普図高確率である場合、普図低確率の場合と比較して普図当否抽選の結果が「当り」となる確率が高くなるとともに、普通図柄の変動時間が大幅に短縮され、かつ開閉体620の開放時間の合計が長くなることから、遊技球が可変始動入賞部品62に入球し易くなり、遊技球の消費を抑えながら可変始動入賞部品62への入球を契機とする上述の特図遊技を効率的に行うことが可能となる。よって、遊技者は遊技状態が普図高確率である場合に、遊技球が右打ち領域31B内を流下するようにハンドルユニット7の操作量を調整することにより、遊技球が通過ゲート68を頻繁に通過することとなるため、上記恩恵を受け易くなる。なお、本実施形態においては、普図当否抽選の結果が「当り」となる確率、普通図柄の変動時間、及び開閉体63の開放時間の3つの要素を普図低確率の場合と比べて有利とすることにより、普図高確率の状態を醸成するようにしたが、これに限られるものではなく、上記3つの要素のうちの少なくとも1つを変更することにより普図高確率の状態を醸成することも可能である。