以下、本発明の積層ポリエステルフィルムについて詳細に説明する。
本発明の積層ポリエステルフィルムには、基材となるポリエステルフィルムを有し、そのポリエステルフィルムの少なくとも片面に、樹脂層(X)が設けられている。
本発明において基材となるポリエステルフィルムを構成するポリエステルとは、エステル結合を主鎖の主要な結合鎖とする高分子の総称である。好ましいポリエステルとしては、エチレンテレフタレート、エチレン−2,6−ナフタレート、ブチレンテレフタレート、プロピレンテレフタレート、および1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレートなどから選ばれた少なくとも1種の構成樹脂を主要構成樹脂とするものが挙げられる。これら構成樹脂は、1種のみ用いても2種以上併用してもよい。上述したポリエステルの極限粘度(25℃のo−クロロフェノール中で測定)は、0.4〜1.2dl/gが好ましく、より好ましくは0.5〜0.8dl/gの範囲にあるのもが本発明を実施する上で好適である。
なお、ポリエステル中には、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機または無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤および架橋剤などがその特性を悪化させない程度に添加されていてもよい。
また、上記のポリエステルフィルムとして、二軸配向ポリエステルフィルムを用いることが好ましい。ここで、「二軸配向」とは、広角X線回折で二軸配向のパターンを示すものをいう。二軸配向ポリエステルフィルムは、一般に、未延伸状態のポリエステルシートをシート長手方向および幅方向に各々2.5〜5倍程度延伸し、その後、熱処理を施すことにより得ることができる。
また、基材となるポリエステルフィルムは、2層以上の積層構造体であっても良い。積層構造体としては、例えば、内層部と表層部とを有する複合体フィルムであって、内層部に実質的に粒子を含有せず、表層部のみに粒子を含有させた層を設けた複合体フィルムを挙げることができる。また、内層部と表層部を構成するポリエステルが同種であっても異種であってもよい。
ポリエステルフィルムの厚みは特に限定されるものではなく、用途や種類に応じて適宜選択されるが、機械的強度、ハンドリング性などの点から、通常は好ましくは10〜500μm、より好ましくは38〜250μm、最も好ましくは75〜150μmである。また、ポリエステルフィルムは、共押出しによる複合フィルムであってもよいし、得られたフィルムを各種の方法で貼り合わせたフィルムであっても良い。
本発明の積層ポリエステルフィルムは、前記基材となるポリエステルフィルムの少なくとも片面に、樹脂層(X)を有する積層ポリエステルフィルムであって、前記樹脂層(X)が、金属酸化物粒子(a)とフルオレン構造を有するポリエステル樹脂(b)とカルボジイミド化合物(c)とオキサゾリン化合物(d)とメラミン化合物(e)とアクリル樹脂(f)を含む塗料組成物から形成された層である積層ポリエステルフィルムである。
また、該樹脂層(X)において、金属酸化物粒子(a)とフルオレン構造を有するポリエステル樹脂(b)の固形分重量の合計を100重量部としたとき、カルボジイミド化合物(c)は固形分重量部で10〜40重量部、オキサゾリン化合物(d)は固形分重量部で10〜40重量部、メラミン化合物(e)は固形分重量部5〜20重量部、アクリル樹脂(f)は固形分重量部で1〜30重量部であることが好ましい。また、前記金属酸化物粒子(a)は、表面にアクリル樹脂(f)を有する粒子を含有することが好ましく、また、前記金属酸化物粒子(a)は、数平均粒子径が3〜50nmの酸化チタン粒子および/または酸化ジルコニウム粒子であることが好ましい。上記の金属酸化物粒子(a)とフルオレン構造を有するポリエステル樹脂(b)とカルボジイミド化合物(c)とオキサゾリン化合物(d)とメラミン化合物(e)とアクリル樹脂(f)のすべてを含む塗料組成物から樹脂層(X)を形成せしめることで、樹脂層(X)を形成する過程において、該金属酸化物粒子(a)の凝集を抑制せしめることが可能となる。その結果、積層ポリエステルフィルムの白斑を抑制すること、高屈折率ハードコート層を積層した際の干渉斑を抑制させること、高屈折率ハードコート層との密着性を向上させること、高温高湿下における接着性(湿熱接着性)を向上させることが可能となる。
金属酸化物粒子(a)とフルオレン構造を有するポリエステル樹脂(b)とカルボジイミド化合物(c)とオキサゾリン化合物(d)とメラミン化合物(e)とアクリル樹脂(f)のすべてを含まない塗料組成物、例えば、(a)(b)(d)(e)(f)を含み、カルボジイミド化合物(c)を含まない塗料組成物から樹脂層(X)を形成せしめた場合では、樹脂層(X)の乾燥過程において、溶媒の蒸発によって樹脂層が濃縮され、金属酸化物粒子間距離を十分長く保つことができず、粒子凝集が生じることで樹脂層(X)に白斑を発生させる。
さらに、金属酸化物粒子(a)の凝集が抑制できると、高屈折率ハードコート層を積層した場合の干渉斑抑制が可能となる。これは、該金属酸化物粒子(a)の凝集が抑制できると、該樹脂層(X)中に金属酸化物粒子(a)が均一に存在することが可能となる。これにより、均一な厚みの樹脂層を形成できることが可能となる。その結果、基材であるポリエステルフィルム、樹脂層(X)、高屈折率ハードコートの屈折率差がほぼ同一となり、干渉斑が抑制されるものと考えられる。
さらに、金属酸化物粒子(a)の凝集を抑制できると、ハードコート層との接着性が低い金属酸化物粒子(a)が樹脂層(X)中に均一に存在するため、ハードコート層との接着性を向上させることが可能となる。
[金属酸化物粒子(a)]
本発明の積層ポリエステルフィルムは、樹脂層(X)を形成する塗料組成物に金属酸化物粒子(a)を含有することが重要である。また、金属酸化物粒子(a)の数平均粒子径が3nm以上50nm以下であることが好ましい。かかる金属酸化物粒子(a)を用いることで、樹脂層(X)の屈折率を高くすることができる。その結果、ハードコート層積層時の干渉斑の抑制、さらには該金属酸化物粒子(a)の数平均粒子径が可視光の波長より十分小さいため、積層ポリエステルフィルムの透明性を高めることが可能となる。
本発明における金属酸化物粒子(a)とは、展性、延性に富み、電気および熱の良導体で、金属光沢をもつ元素、すなわち周期表において、ホウ素(B)、ケイ素(Si)、ヒ素(As)、テルル(Te)及びアスタチン(At)を結ぶ斜めの線より左に位置する元素の酸化物微粒子を指す。さらに、前記周期表にてアルカリ土類金属類(2族)よりも右に位置する元素の酸化物微粒子であることが好ましい。
このような金属酸化物微粒子としては、干渉斑の抑制の観点から、高屈折率の金属酸化物粒子、このましくは屈折率1.6以上の金属酸化物粒子であるものが好適である。この高屈折率金属酸化物粒子としては、TiO2、ZrO2、ZnO、CeO2、SnO2、Sb2O5、インジウムドープ酸化錫(ITO)、リンドープ酸化錫(PTO)、Y2O5、La2O3、Al2O3、などが挙げられる。
これらの金属酸化物粒子は1種を単独で用いても良く、2種以上を組合せて用いてもよい。分散安定性や屈折率の観点から、酸化チタン粒子(TiO2)および/または酸化ジルコニウム粒子(ZrO2)が特に好ましい。
ここで、該金属酸化物粒子(a)の数平均粒子径について説明する。ここで数平均粒子径とは、透過型電子顕微鏡(TEM)により求めた粒子径をいう。倍率は50万倍とし、その画面に存在する10個の粒子の外径を、10視野について合計100個の粒子を測定した数平均粒子径である。ここで外径とは、粒子の最大の径(つまり粒子の長径であり、粒子中の最も長い径を示す)を表し、内部に空洞を有する粒子の場合も同様に、粒子の最大の径を表す。
該金属酸化物粒子(a)の数平均粒子径が3nmよりも小さくなると、金属酸化物粒子同士のファンデルワールス力が非常に大きくなるため凝集しやすくなり、光が散乱する結果、透明性が低下することがある。一方、該金属酸化物粒子(a)の数平均粒子径が50nmよりも大きくなると、透明性の観点からは、光が散乱する起点となりヘイズが上昇したりすることがある。そのため、金属酸化物粒子(a)は、数平均粒子径が3nm以上50nm以下であることが好ましい。より好ましくは10nm以上45nm以下、より好ましくは15nm以上40nm以下である。
樹脂層における金属酸化物粒子(a)の含有量が、樹脂層全体に対して、20質量%以上70質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、25質量%以上65質量%以下、さらに好ましくは30質量%以上60質量%以下である。金属酸化物粒子(a)の含有量を、樹脂層全体に対して、20質量%以上70質量%以下とすることで、該樹脂層の造膜性を損なうことなく、樹脂層の屈折率を向上することができる。その結果、所望の透明性、ハードコート層積層時の干渉斑抑制を十分に発現させることが可能となる。
[アクリル樹脂(f)]
本発明において樹脂層(X)は、アクリル樹脂(f)を含有した塗料組成物より形成されることが重要である。塗料組成物中にアクリル樹脂(f)が含有することにより、金属酸化物粒子(a)の凝集を抑制し、透明性に優れ、干渉斑を抑制したフィルムを得ることができる。
アクリル樹脂(f)は、式(1)で表されるモノマー単位(f1)と、式(2)で表されるモノマー単位(f2)と、式(3)で表されるモノマー単位(f3)を有する樹脂であることが好ましい。
(式(1)において、R1基は、水素原子またはメチル基を表す。またnは、9以上34以下の整数を表す。)。
(式(2)において、R2基は、水素原子またはメチル基を表す。また、R4基は、飽和の炭素環を2つ以上含む基を表す。)。
(式(3)において、R3基は、水素原子またはメチル基を表す。また、R5基は、水酸基、カルボキシル基、3級アミノ基、4級アンモニウム塩基、スルホン酸基、または、リン酸基を表す。)
ここで、本発明におけるアクリル樹脂(f)は、式(1)で表されるモノマー単位(f1)を有する樹脂であることが好ましい。
式(1)において、nが9以上34以下のモノマー単位を有するアクリル樹脂を用いると、水系溶媒中における金属酸化物粒子(a)の分散性が安定となるため好ましい。後述するように、本発明では、金属酸化物粒子(a)とフルオレン構造を有するポリエステル樹脂(b)とカルボジイミド化合物(c)とオキサゾリン化合物(d)とメラミン化合物(e)、アクリル樹脂(f)と水系溶媒(g)を含む塗料組成物を、基材となるポリエステルフィルム上に塗布し、乾燥することによって、樹脂層が形成されることが重要である。そのため、式(1)におけるnが9以上34以下のモノマー単位を有するアクリル樹脂(f)を用いると、樹脂組成物中において金属酸化物粒子(a)が凝集または沈降したりすることを抑制できるため好ましい。また、乾燥工程において金属酸化物粒子 (a)の凝集を抑制することができるため好ましい。その結果、透明性の良好な積層フィルム、さらには高屈折率ハードコート層積層時の干渉斑が良好となるため好ましい。式(1)におけるnが9未満または34を超えるモノマー単位を有するアクリル樹脂を用いた場合は、水系溶媒中においてアクリル樹脂(f)、金属酸化物粒子(a)の凝集が起こる場合がある。かかる凝集体は、可視光の波長より大きいため、透明性の良好な積層フィルムを得ることができなくなる場合や高屈折率ハードコート層積層時の干渉斑が不良となる場合がある。また、凝集体は樹脂層の均一な形成を阻害するため、ハードコート層との接着性が低下することがある。
本発明におけるアクリル樹脂(f)が、式(1)で表されるモノマー単位(f1)を有するためには、次の式(4)で表される(メタ)アクリレートモノマー(f1’)を原料として用い、重合することがより好ましい。
該(メタ)アクリレートモノマー(f1’)としては、式(4)におけるnが9以上34以下の整数で表される(メタ)アクリレートモノマーが好ましく、より好ましくは11以上32以下の(メタ)アクリレートモノマー、更に好ましくは13以上30以下の(メタ)アクリレートモノマーである。
(メタ)アクリレートモノマー(f1’)は、式(4)におけるnが9以上34以下である(メタ)アクリレートモノマーであれば特に制限されないが、具体的にはデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、1−メチルトリデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート、テトラコシル(メタ)アクリレート、トリアコンチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、特にドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレートが好ましい。これらは1種で使用してもよく、2種以上の混合物を使用してもよい。
また、本発明におけるアクリル樹脂(f)は、前記式(2)で表されるモノマー単位(f2)を有する樹脂であることが重要である。
式(2)において、飽和の炭素環を2つ以上含むモノマー単位を有するアクリル樹脂(f)を用いると、立体障害としての機能が有効に作用し、金属酸化物粒子(A)が凝集または沈降を抑制でき、さらに乾燥工程において金属酸化物粒子(A)の凝集を抑制できるため好ましい。
その結果、透明性の良好な積層フィルム、高屈折率ハードコート層積層時の干渉斑が良好となり、またハードコート層との接着性が良好となるため好ましい。
本発明におけるアクリル樹脂(f)が、式(2)で表されるモノマー単位(f2)を有するためには、次の式(5)で表される(メタ)アクリレートモノマー(f2’)を原料として用い、重合することが好ましい。
式(5)で表される(メタ)アクリレートモノマー(f2’)としては、架橋縮合環式(2つまたはそれ以上の環がそれぞれ2個の原子を共有して、結合した構造を有する)、スピロ環式(1個の炭素原子を共有して、2つの環状構造が結合した構造を有する)などの各種環状構造、具体的には、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ基などを有する化合物が例示でき、その中でも特にバインダーとの相溶性の観点から、ビシクロ基を含有する(メタ)アクリレートが好ましい。
上記ビシクロ基を含有する(メタ)アクリレートとしては、イソボニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、ジシロクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジメチルアダマンチル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、特にイソボニル(メタ)アクリレートが好ましい。
さらに、本発明におけるアクリル樹脂(f)は、前記式(3)で表されるモノマー単位(f3)を有する樹脂であることが好ましい。
式(3)におけるR5基が、水酸基、カルボキシル基、3級アミノ基、4級アンモニウム基、スルホン酸基、リン酸基、のモノマー単位を有するアクリル樹脂を用いると、アクリル樹脂の水系溶媒中への相溶性が良化し、樹脂組成物中において、アクリル樹脂や、金属酸化物粒子(A)の水系溶媒中における均一分散が可能となり、さらに乾燥工程において金属酸化物粒子(A)の凝集を抑制できるため好ましい。
本発明におけるアクリル樹脂(f)が、式(3)で表されるモノマー単位(f3)を有するためには、式(6)で表される(メタ)アクリレートモノマー(f3’)を原料として用い、重合することが必要である。
式(6)で表される(メタ)アクリレートモノマー(f3’)として次の化合物が例示される。
水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2、3−ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどの多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのモノエステル化物、あるいは、該モノエステル化物にε−カプロラプトンを開環重合した化合物などが挙げられ、特に2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートが好ましい。
カルボキシル基を有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマール酸、マレイン酸などのα、β−不飽和カルボン酸、あるいは、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと酸無水物とのハーフエステル化物などが挙げられ、特にアクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
3級アミノ基含有モノマーとしては、N、N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N、N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N、N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、などのN、N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、N、N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N、N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N、N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどのN、N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられ、特にN、N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
4級アンモニウム塩基含有モノマーとしては、上記3級アミノ基含有モノマーにエピハロヒドリン、ハロゲン化ベンジル、ハロゲン化アルキルなどの4級化剤を作用させたものが好ましく、具体的には、2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムブロマイド、2−(メタクリロイオキシ)エチルトリメチルアンモニウムジメチルホスフェートなどの(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリアルキルアンモニウム塩、メタクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムブロマイドなどの(メタ)アクリロイルアミノアルキルトリアルキルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム(メタ)アクリレートなどのテトラアルキル(メタ)アクリレート、トリメチルベンジルアンモニウム(メタ)アクリレートなどのトリアルキルベンジルアンモニウム(メタ)アクリレートなどが挙げられ、特に2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライドが好ましい。
スルホン酸基含有モノマーとしては、ブチルアクリルアミドスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などの(メタ)アクリルアミド−アルカンスルホン酸、あるいは、2−スルホエチル(メタ)アクリレートなどのスルホアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、特に2−スルホエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
リン酸基含有アクリルモノマーとしては、アシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、特にアシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
本発明の積層フィルムを製造する際には、結晶配向が完了する前のポリエステルフィルムに、水系溶媒を含む樹脂組成物を塗布し、延伸、熱処理により結晶配向を完了させる方法が、好適に用いられる。高温での熱処理が可能であり、基材と樹脂層との接着力が向上することや、より均一で薄膜の樹脂層を設けることができるためである。この方法によって樹脂層を形成する場合には、アクリル樹脂(f)は水系溶媒に溶解、乳化、あるいは懸濁し得る水系のものが環境汚染や防爆性の点で好ましい。このような、水に溶解、乳化または懸濁が可能なアクリル樹脂は、親水性基を有するモノマー(アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、ビニルスルホン酸およびその塩等)との共重合や反応性乳化剤や界面活性剤を用いた乳化重合、懸濁重合、ソープフリー重合等の方法によって作製することができる。
重合開始剤としては特に限定されるものではないが一般的なラジカル重合開始剤、例えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等の水溶性過酸化物、または過酸化ベンゾイルやt−ブチルハイドロパーオキサイド等の油溶性過酸化物、あるいはアゾジイソブチロニトリル等のアゾ化合物が使用できる。
また、式(1)で表されるモノマー単位(f1)と式(2)で表されるモノマー単位(f2)と式(3)で表されるモノマー単位(bf3)を有するアクリル樹脂(f)は、塗料組成物において、金属酸化物粒子(a)とフルオレン構造を有するポリエステル樹脂(b)の固形分重量の合計を100重量部としたとき、1質量部以上30質量部以下であることが好ましい。より好ましくは、2質量部以上20質量部以下、さらに好ましくは3質量部以上10質量部以下である。上記範囲とすることで、金属酸化物粒子(a)同士の凝集をさらに抑制することが可能となり、その結果、樹脂層の屈折率、透明性の向上、更には、ハードコート層積層時の干渉斑抑制を十分に発現させることが可能となるため好ましい。
[フルオレン構造を有するポリエステル樹脂(b)]
本発明において樹脂層(X)は、アクリル樹脂(f)を含有した塗料組成物より形成されることが重要である。塗料組成物中にアクリル樹脂(f)が含有することにより、金属酸化物粒子(a)の凝集を抑制し、透明性に優れ、干渉斑を抑制したフィルムを得ることができる。
かかるフルオレン構造を有するポリエステル樹脂(b)を用いることで、樹脂層の屈折率が高くなり、ハードコート層との接着性も向上する。その結果、高屈折率ハードコート層を積層した際の干渉斑の抑制や、高屈折率ハードコート層との密着性、高温高湿下における接着性(湿熱接着性)をさらに向上させることが可能となるためより好ましい。
本発明において用いられるフルオレン構造を有するポリエステル樹脂(b)とは、主鎖あるいは側鎖にエステル結合を有するポリエステル樹脂を指し、以下のI)またはII)の方法によって得ることができる。また、I)とII)を併用する方法(ジカルボン酸成分(b−a)、グリコール成分(b−b)、および成分(b−c)を構成成分とし、これらを重縮合反応せしめる方法)も用いても良い。
I)ジカルボン酸成分(b−a)と、グリコール成分(b−b)とを構成成分とし、両者を重縮合反応せしめる方法、
II)1以上のアルコール性の基(ヒドロキシル基)と、1以上のカルボキシル基を有する成分(b−c)を構成成分とし、重縮合反応せしめる方法。
上記I)の方法において、ジカルボン酸成分(b−a)は、フルオレン構造を有するジカルボン酸成分(b−a1)と、フルオレン構造を有しないジカルボン酸成分(b−a2)に区別される。また、グリコール成分(b−b)は、フルオレン構造を有するグリコール成分(b−b1)と、フルオレン構造を有しないグリコール成分(b−b2)に区別される。本発明では、ポリエステル樹脂にフルオレン構造を導入するために、フルオレン構造を有するジカルボン酸成分(b−a1)および/またはフルオレン構造を有するグリコール成分(b−b1)が共重合されていることが好ましい。
また、上記II)の方法において、成分(b−c)は、フルオレン構造を有する成分(Dc1)と、フルオレン構造を有しない成分(b−c2)に区別される。本発明では、ポリエステル樹脂(b)にフルオレン構造を導入するために、フルオレン構造を有する成分(b−c1)が共重合されていることが好ましい。
以下、フルオレン構造を有するポリエステル樹脂(b)(以下、「フルオレン共重合ポリエステル樹脂(b)」ということもある。)として、I)の方法を用いた場合の詳細について説明するが、II)の方法についてもI)の方法と同様である。
まず、本発明において、ジカルボン酸成分(b−a)には、ジカルボン酸をアルキルエステル化せしめたエステル形成誘導体が含まれる。また、ジカルボン酸成分(b−a)には、狭義のジカルボン酸のみならず、3価以上の多価カルボン酸も含まれる。また、ジカルボン酸成分(b−a)には、酸無水物も含まれる。
本発明において、グリコール成分(b−a)には、狭義のグリコールのみならず、3価以上のポリオールも含まれる。
フルオレン構造を有するジカルボン酸成分(b−a1)としては、例えば、9,9−ビス(t−ブトキシカルボニルメチル)フルオレン、9,9−ビス[2−(t−ブトキシカルボニル)エチル]フルオレン、9,9−ビス[1−(t−ブトキシカルボニル)エチル]フルオレン、9,9−ビス[2−(t−ブトキシカルボニル)−1−メチルプロピル]フルオレン、9,9−ビス[2−(t−ブトキシカルボニル)ブチル]フルオレン、9,9−ビス[5−(t−ブトキシカルボニル)ペンチル]フルオレン等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
フルオレン構造を有しないジカルボン酸成分(b−a2)としては、フルオレン構造を有しない芳香族、脂肪族、脂環族のジカルボン酸や3価以上の多価カルボン酸が使用できる。本発明では、かかるジカルボン酸成分(b−a2)として、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,5−ジメチルテレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,2−ビスフェノキシエタン−p,p’−ジカルボン酸、などを用いることができる。また、かかる脂肪族及び脂環族のジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸など、及びそれらのエステル形成性誘導体を用いることができる。
フルオレン構造を有するグリコール成分(b−b1)としては9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジイソプロピルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジベンジルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレン9,9−ビス[4−(4−ヒドロキシブトキシ)フェニル]フルオレン等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
フルオレン構造を有しないグリコール成分(b−b2)としてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコール、4,4’−ジヒドロキシビフェノール、o−,m−,及びp−ジヒドロキシベンゼン、4,4’−イソプロピリデンフェノール、シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオールなどを用いることができるがこれに限定されるものではない。
フルオレン共重合ポリエステル樹脂(b)におけるフルオレン構造を有するジカルボン酸成分(b−a1)の共重合量は、フルオレン共重合ポリエステル樹脂(b)を構成するジカルボン酸成分(b−a)の量に対して40モル%以上であることが好ましく、より好ましくは80モル%以上である。上限は特に限定されるものではないが、95モル%以下であることが好ましい。
また、フルオレン共重合ポリエステル樹脂(b)におけるフルオレン構造を有するグリコール成分(b−b1)の共重合量は、フルオレン共重合ポリエステル樹脂(b)を構成するグリコール成分(Db)の量に対して40モル%以上であることが好ましく、より好ましくは80モル%以上である。上限は特に限定されるものではないが、特に好ましくは95モル%以下である。
フルオレン構造を有するジカルボン酸成分(b−a1)またはグリコール成分(b−b1)の共重合量が40モル%未満の場合、フルオレン共重合ポリエステル樹脂(b)の高屈折率化が不十分となる可能性がある。また、上限は特に限定されるものではないが、共重合比率95モル%を超えるとフルオレン共重合ポリエステル樹脂(b)のガラス転移温度が高くなってしまい、後述するインラインコーティング法を用いて樹脂層を設ける場合に延伸追従性が乏しくなり、均一な樹脂層が設けられなくなることがある。
また、フルオレン共重合ポリエステル樹脂(b)におけるフルオレン構造を有するジカルボン酸成分b−Da1)およびフルオレン構造を有するグリコール成分(b−b1)の共重合量は、フルオレン共重合ポリエステル樹脂(b)を構成するジカルボン酸成分(b−a)の物質量とグリコール成分(b−b)の物質量の合計を100モル%としたとき、20モル%以上が好ましく、より好ましくは40モル%以上である。上限は特に限定されるものではないが、50モル%以下であることが好ましい。
本発明において、フルオレン共重合ポリエステル樹脂(b)は水溶性であることが好ましい。フルオレン共重合ポリエステル樹脂(b)を水溶性とするためには、ポリエステル樹脂(b)の側鎖などにカルボン酸塩基を含む化合物や、スルホン酸塩基を含む化合物などの親水成分を導入することが好ましい。かかる親水成分の導入は、ジカルボン酸成分(b−a)として、スルホン酸塩基を有するジカルボン酸成分(b−a3)や、3価以上の多価カルボン酸成分(b−a4)を用いることによって、達成することができる。
スルホン酸塩基を有するジカルボン酸成分(Da3)としては、例えばスルホイソフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7ジカルボン5[4−スルホフェノキシ]イソフタル酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等が挙げられる。
また、3価以上の多価カルボン酸成分(Da4)としては、トリメリット酸等の多価カルボン酸の他、酸無水物を用いることもできる。具体的には、無水トリメリット酸、1,2,4,5−ブタンテトラカルボン酸二無水物(無水ピロメリット酸)、1,2,3,4−ペンタンテトラカルボン酸二無水物、3,3’、4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフルフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
しかし近年のディスプレイ用途に代表されるような耐湿熱接着性の要求される用途においては、ポリエステル樹脂(b)の親水成分としてスルホン酸塩基を用いた場合には、スルホン酸塩基の親水性の強さによって、被接着物との高温高湿条件下でのハードコート層との接着性が低下することがある。
そのため、本発明では、フルオレン共重合ポリエステル樹脂(b)は、スルホン酸塩基を有するジカルボン酸成分(b−a3)を有しないか、フルオレン共重合ポリエステル樹脂(b)を構成するジカルボン酸成分(b−a)の量に対して0.1モル%未満有することが好ましい。スルホン酸塩基を有するジカルボン酸成分(b−a3)の量は、0.05モル%以下であることがより好ましく、特に好ましくは有しないこと(0モル%であること)である。
したがって、本発明では、フルオレン共重合ポリエステル樹脂(b)に親水性(水溶性)を付与する場合は、3価以上の多価カルボン酸成分(b−a4)を共重合することが好ましい。3価以上の多価カルボン酸成分(b−a4)を共重合することによって、ポリエステル樹脂(b)の側鎖にカルボキシル基を導入する事ができる。また、該カルボキシル基をアンモニアや、水酸化ナトリウム等にて中和することにより、カルボン酸塩基としても良い。カルボン酸塩基とすることにより、親水性をさらに高めることができる。
また本発明では、3価以上の多価カルボン酸成分(b−a4)として、テトラカルボン酸を用いることがより好ましい。テトラカルボン酸は、トリメリット酸などの3価のカルボン酸と比べて、カルボキシル基を多く有するため、フルオレン共重合ポリエステル樹脂(b)に親水性を付与するために必要な、フルオレン共重合ポリエステル樹脂(b)中のジカルボン酸成分(b−a)における多価カルボン酸成分(b−a4)の割合を少なくすることができる。それによって、ポリエステル樹脂を重合する際の数平均分子量を充分に上げることができ、積層する高屈折率ハードコート層などとの密着性を向上させることができる。
なお、多価カルボン酸成分の共重合に際しては、ジカルボン酸成分(b−a)とグリコール成分(b−b)を反応させたポリエステルポリオール(ポリエステルオリゴマー)に、3価以上の多価カルボン酸無水物(b−a4)を反応させることでポリエステル樹脂(b)の側鎖にカルボキシル基を導入する方法を用いることが好ましい。かかる方法を用いることによって、ポリエステル樹脂(b)の側鎖にカルボキシル基をより効率的に導入する事ができる。
このとき用いられる多価カルボン酸無水物(b−a4)の物質量(b−a4m(モル))は、エステル化反応に用いたグリコール成分(Da)の物質量(Dam(モル))と、ジカルボン酸成分の物質量(b−bm(モル))の差(b−am−b−bm(モル))の0.5〜1.0倍の物質量とすることが好ましい。上記好ましい範囲とすると、調製した該樹脂層の基材への高温高湿条件下での接着性に優れ、一方、ポリエステルの数平均分子量が十分に上がる。
次に、フルオレン共重合ポリエステル樹脂(b)の製造方法の一例について説明する。まず、フルオレン構造を有しないジカルボン酸成分(b−a2)としてコハク酸またはそのエステル形成性誘導体を、フルオレン構造を有するグリコール成分(b−a1)として9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンを、フルオレン構造を有しないグリコール成分(b−b2)としてエチレングリコールなどのグリコール成分と触媒を用いてエステル化反応を行い、ポリエステルポリオールを得る。このとき、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンとエチレングリコールの添加量は、全ジカルボン酸成分に対して1.01〜2.0倍モルとすることが好ましい。上記好ましい範囲であると、過剰のグリコール成分の存在下でポリエステルポリオールを円滑に重合することができ、一方、ポリエステル樹脂の数平均分子量分布が十分に上がる。
また、触媒としてはテトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート等のチタン系、三酸化アンチモン等のアンチモン系、酸化ゲルマニウム等のゲルマニウム系の触媒、酢酸亜鉛、酢酸マンガン、ジブチル錫オキサイド等の触媒が挙げられ、好ましくはテトラ−n−ブチルチタネートが用いられる。この際のエステル化反応は温度や時間には特に制限されるものではなく、公知の範囲で実施すればよい。
次に得られたポリエステルポリオールに多価カルボン酸無水物(Da4)を付加させるが、かかる反応は160〜200℃で1〜10時間程度実施すれば、目的とするポリエステルポリオールが得られる。このときには上記触媒を同程度添加してもよい。
本発明において、フルオレン共重合ポリエステル樹脂(b)の固有粘度は特に限定されないが、ハードコート層などの被接着体との接着性を良好なものするために、0.3dl/g以上であることが好ましい。固有粘度の上限は特に限定されるものではないが、ハンドリング性の点で0.8dl/g以下であることが好ましい。目的とする固有粘度を有するフルオレン共重合ポリエステル樹脂(b)は重合時間や重合温度等の溶融重合条件を調節することによって得られる。
また、フルオレン共重合ポリエステル樹脂(b)のガラス転移点(以下、Tgと略すことがある)は、50〜170℃であることが好ましく、より好ましくは50〜150℃である。上記好ましい範囲であると、湿熱接着性に優れ、一方、後述するインラインコート法において樹脂層を均一に塗設できる。Tgを上記範囲内とするには、フルオレン共重合ポリエステル樹脂(b)のフルオレン構造を有するジカルボン酸成分以外のジカルボン酸成分(b−a2)として、脂肪族ジカルボン酸成分を用いる等の方法がある。
またフルオレン共重合ポリエステル樹脂(b)の酸価は、20mgKOH/g以上であることが好ましく、より好ましくは30mgKOH/g以上である。酸価を上記範囲内とすることにより、ハードコート層との接着性、特に湿熱接着性を良好にすることができる。酸価を上記範囲とするためには、フルオレン共重合ポリエステル樹脂(b)の重合時において、ポリエステルポリオールに反応させる多価カルボン酸無水物(b−a4)の量を調整することによって得られる。
また、本発明では、樹脂層(X)を形成する塗料組成物中において、フルオレン共重合ポリエステル樹脂(b)は、該塗料組成物全体に対して5重量%以上30質量%以下であることが好ましい。
フルオレン共重合ポリエステル樹脂(b)の含有量を上記範囲とすることにより、該樹脂層の高屈折率化が達成され、基材、該樹脂層および高屈折率ハードコート層との屈折率差が小さくなり、干渉斑を低減させることができる。さらに高屈折率ハードコート層との接着性を向上させることができる。
[カルボジイミド化合物(c)とオキサゾリン系化合物(d)とメラミン系化合物(e)]
本発明において樹脂層(X)は、カルボジイミド化合物(c)とオキサゾリン化合物(d)とメラミン化合物(e)を含有することが重要である。
カルボジイミド化合物(c)とオキサゾリン系化合物(d)とメラミン系化合物(e)のすべてを含む塗料組成物を用いて、樹脂層(X)を形成せしめることにより、樹脂層(X)を形成する過程発生する、樹脂層(X)の白斑を抑制することができる。また、該金属酸化物粒子(a)の凝集を抑制せしめることが可能になり、積層ポリエステルフィルムの透明性を高めることができ、ハードコートを積層した際に、透明性、接着性、視認性に優れた積層ポリエステルフィルムを得ることができる。
さらに、金属酸化物粒子(a)の凝集が抑制できると、高屈折率ハードコート層を積層した場合の干渉斑抑制が可能となる。これは、該金属酸化物粒子(a)の凝集が抑制できると、該樹脂層中に金属酸化物粒子(a)が均一に存在することが可能となる。その結果、均一な厚みの樹脂層を形成できることが可能となり、干渉斑抑制に寄与するものと考えられる。
さらに、金属酸化物粒子(a)の凝集が抑制できると、ハードコート層との接着性が低い金属酸化物粒子(a)が局所的に存在することがなくなるため、ハードコート層との接着性を向上させることが可能となる。
本発明における塗料組成物には、前述のように、金属酸化物粒子(a)、アクリル樹脂(f)が存在している。該塗料組成物を、基材となるポリエステルフィルム上に塗布し、乾燥することによって、樹脂層(X)が形成される。ここで、粒子含有量が塗料組成物の固形分全体に対して30質量%以上となると、粒子同士が凝集し、ハードコート層との接着性が低下したり、樹脂層(X)中に白斑が発生する傾向がある。しかしながら、塗料組成物中に、カルボジイミド化合物(c)、オキサゾリン化合物(d)、メラミン化合物(e)、アクリル樹脂(f)を含んでいると、粒子同士の凝集を抑制でき、また、樹脂層(X)中に白斑が発生するのを抑制することができる。
このカルボジイミド化合物(c)とオキサゾリン化合物(d)とメラミン化合物(e)とアクリル樹脂(f)のすべてを含む塗料組成物を用いると、白斑や粒子の凝集を抑制できるメカニズムについて詳細はまだ不明であるが、現在、次のように推定している。
本発明の、金属酸化物粒子(a)とフルオレン構造を有するポリエステル樹脂(b)とカルボジイミド化合物(c)とオキサゾリン化合物(d)とメラミン化合物(e)とアクリル樹脂(f)を含む塗料組成物を、基材のポリエステルフィルム上に塗布すると、乾燥する過程において、アクリル樹脂(f)とカルボジイミド化合物(c)、アクリル樹脂(f)とオキサゾリン化合物(d)、そして、アクリル樹脂(f)とメラミン化合物(e)は互いに親和性があるため、アクリル樹脂(f)が吸着・付着した金属酸化物粒子(a)の外側を、カルボジイミド化合物(c)とオキサゾリン化合物(d)、メラミン化合物(e)が包み込み、その状態を維持したまま乾燥を経て、樹脂層(X)を形成するものと考えられる。この乾燥過程では、粒子がカルボジイミド化合物(c)とオキサゾリン化合物(d)、メラミン化合物(e)に包まれているため、乾燥において濃縮される過程でも、粒子間距離を長く保つことが可能となり、その結果粒子凝集が抑制、白斑の発生を抑制できるものと推定される。
本発明におけるカルボジイミド化合物とは、次に述べるカルボジイミド化合物(c)のみならず、カルボジイミド化合物(c)がオキサゾリン化合物やメラミン化合物などと架橋構造を形成する場合その化合物も含む。
カルボジイミド化合物(c)としては、該架橋剤中に官能基としてカルボジイミド基、またはその互変異性の関係にあるシアナミド基を分子内に1個または2個以上有する化合物であれば特に限定されるものではない。樹脂層(X)の架橋度を上げる目的で、1分子中に2つ以上を有するポリカルボジイミド化合物が好ましい。中でも、ポリエステル樹脂やアクリル樹脂などのポリマーの末端や側鎖に、複数個のカルボジイミド基を有する、高分子型のカルボジイミド化合物が好ましい。
カルボジイミド化合物の製造には公知の技術を適用することができ、一般的には、ジイソシアネート化合物を触媒存在下で重縮合することによりカルボジイミド化合物が得られる。該カルボジイミド化合物の出発原料であるジイソシアネート化合物としては、芳香族、脂肪族、脂環式ジイソシアネートなどを用いることができ、具体的にはトリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルジイソシアネートなどを用いることができる。
オキサゾリン化合物とは、次に述べるオキサゾリン化合物(d)のみならず、オキサゾリン化合物(d)がオキサゾリンやメラミン化合物などと架橋構造を形成する場合は、それら(例えば残基など)を含む。
オキサゾリン化合物(d)としては、オキサゾリン基またはオキサジン基を1分子当たり少なくとも1つ以上有するものであれば特に限定されないが、付加重合性オキサゾリン基含有モノマーを単独で重合、もしくは他のモノマーとともに重合した高分子型が好ましい。
付加重合性オキサゾリン基含有モノマーとしては、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリンを挙げることができる。これらは、1種で使用してもよく、2種以上の混合物を使用してもよい。これらの中でも、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的にも入手しやすく好適である。他のモノマーは、付加重合性オキサゾリン基含有モノマーと共重合可能なモノマーであれば制限なく、例えばアルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2ーエチルヘキシル基、シクロヘキシル基)等の(メタ)クリル酸エステル類やアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、スチレンスルホン酸及びその塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第三級アミン塩等)等の不飽和カルボン酸類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド、N、N−ジアルキルアクリルアミド、N、N−ジアルキルメタクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)等の不飽和アミド類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸のエステル部にポリアルキレンオキシドを付加させたもの等のビニルエステル類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等の含ハロゲンα、β−不飽和モノマー類、スチレン、α−メチルスチレン、等のα、β−不飽和芳香族モノマー等を挙げることができ、これらの1種または2種以上のモノマーを使用することができる。
本発明におけるメラミン系化合物とは、次に述べるメラミン化合物(e)のみならず、メラミン化合物(e)がオキサゾリン化合物(d)などと架橋構造を形成する場合はメラミン化合物(e)に由来する成分(例えば残基など)を含む。
メラミン化合物(e)としては、例えば、メラミン、メラミンとホルムアルデヒドを縮合して得られるメチロール化メラミン誘導体、メチロール化メラミンに低級アルコールを反応させて部分的あるいは完全にエーテル化した化合物、及びこれらの混合物などを用いることができる。具体的には、トリアジンとメチロール基を有する化合物が特に好ましい。また、メラミン系化合物としては単量体、2量体以上の多量体からなる縮合物にいずれでもよく、これらの混合物でもよい。エーテル化に用いられる低級アルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノールなどを用いることができる。基としては、イミノ基、メチロール基、あるいはメトキシメチル基やブトキシメチル基等のアルコキシメチル基を1分子中に有するもので、イミノ基型メチル化メラミン樹脂、メチロール基型メラミン樹脂、メチロール基型メチル化メラミン樹脂、完全アルキル型メチル化メラミン樹脂などである。その中でもメチロール化メラミン樹脂が最も好ましい。更に、メラミン系化合物の熱硬化を促進するため、例えばp−トルエンスルホン酸などの酸性触媒を用いてもよい。このようなカルボジイミド化合物(c)とオキサゾリン化合物(d)とメラミン化合物(e)を用いると、前述のように、樹脂組成物を乾燥する過程において、金属酸化物粒子(a)が凝集するのを抑制でき、樹脂層の白斑を抑制することができるため、ハードコートを積層した際に、透明性、接着性、視認性に優れた積層ポリエステルフィルムを得ることができる。
上記の効果は、金属酸化物粒子(a)とフルオレン構造を有するポリエステル樹脂(b)の固形分重量の合計を100重量部としたとき、カルボジイミド化合物(c)を固形分重量部で10〜40重量部、オキサゾリン化合物(d)を固形分重量部で10〜40重量部とメラミン化合物(e)を固形分重量部5〜20重量部、アクリル樹脂(f)を固形分重量部で1〜10重量部とすることで特に良好な効果を発現することが可能となるため好ましい。また、カルボジイミド化合物(c)、オキサゾリン化合物(d)、メラミン化合物に加え、他の化合物、例えば、エポキシ化合物、アジリジン化合物、アミドエポキシ化合物、チタンキレートなどのチタネート系カップリング剤、メチロール化あるいはアルキロール化した尿素系化合物、アクリルアミド系化合物などを任意で用いることもできる。
[樹脂層の塗料組成物およびその調製方法]
本発明における樹脂層(X)を形成する塗料組成物は、以下の方法により調整することが好ましい。
(1)金属酸化物粒子(a)とアクリル樹脂(f)と水系溶媒(g)と、必要に応じてpH調整剤を用いて、pHが8.0〜12.0の金属酸化物(a)とアクリル樹脂(f)を含有する分散液を作製する。
(2)(1)で得られた金属酸化物粒子(a)とアクリル樹脂(f)を含有する分散液に、フルオレン構造を有するポリエステル樹脂(b)とカルボジイミド化合物(c)とオキサゾリン化合物(d)とメラミン化合物(e)と、必要に応じてpH調整剤を加えることにより、pHが7.0〜11.0の塗料組成物を作製する。
塗料組成物の調製する過程において、金属酸化物粒子(a)とアクリル樹脂(f)を含む分散液のpHを8.0〜12.0の範囲とし、また塗料組成物のpHを7.0〜11.0の範囲とすると、金属酸化物粒子(a)の凝集を防ぐことができるため好ましい。これは、塗料組成物を調製する過程において、分散液あるいは塗料組成物のpHが酸性であると、金属酸化物粒子(a)の(正電荷)表面周辺にアクリル樹脂(f)(負電荷)が存在しつづけることができずに、金属酸化物粒子の表面から放出される場合がある。その結果、金属酸化物粒子同士の電気的反発力が低減し、凝集が生じやすくなる場合がある。(1)において、pHは、9.5〜10.5であることがより好ましく、(2)において、pHは、8.5〜10.5であることがより好ましい。
また、(1)において、水系溶媒(g)に、金属酸化物粒子(a)、アクリル樹脂(f)の順で添加し、撹拌すると、金属酸化物粒子(a)の表面にアクリル樹脂(f)が吸着・付着するため好ましい。また、金属酸化物粒子(a)にアクリル樹脂(f)を加え、金属酸化物粒子(a)の分散液を作製する方法としては、例えば以下の方法が好ましく用いられる。ペイントシェーカー、SCミル、アニュラー型ミル、ピン型ミル等を用いて通常周速5〜15m/sで回転させる。回転時間は5〜10時間である。分散時に、ガラスビーズ等の分散ビーズを用いることが分散性を高める点で好ましい。ビーズ径は、好ましくは0.05〜0.5mm、より好ましくは0.08〜0.5mm、特に好ましくは0.08〜0.2mmである。
混合、撹拌する方法は、容器を手で振って行ったり、マグネチックスターラーや撹拌羽根を用いたり、超音波照射、振動分散などを行うことができる。
また、(2)において、(1)で得られた金属酸化物粒子(a)とアクリル樹脂(f)を含有する分散液に、カルボジイミド化合物(c)とオキサゾリン化合物(d)とメラミン化合物(e)を加えた後、フルオレン構造を有するポリエステル樹脂(b)を加えることが、金属酸化物粒子(a)の凝集を抑制する観点から好ましい。
本発明の塗料組成物には、溶媒として水系溶媒(g)を含むことが好ましい。水系溶媒(g)を含むことで、乾燥工程での溶媒の急激な蒸発を抑制でき、均一な組成物層を形成できるだけでなく、環境負荷の点で優れているためである。本発明において、水系溶媒(g)とは、水、または水とメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類など水に可溶である有機溶媒が任意の比率で混合させているものを指す。
[樹脂層の形成方法および積層ポリエステルフィルムの製造方法]
塗料組成物のポリエステルフィルムへの塗布方法はインラインコート法で行うことが好ましい。インラインコート法とは、ポリエステルフィルムの製造の工程内で塗布を行う方法である。具体的には、ポリエステル樹脂を溶融押し出ししてから二軸延伸後熱処理して巻き上げるまでの任意の段階で塗布を行う方法を指し、通常は、溶融押出し後・急冷して得られる実質的に非晶状態の未延伸(未配向)ポリエステルフィルム(Aフィルム)、その後に長手方向に延伸された一軸延伸(一軸配向)ポリエステルフィルム(Bフィルム)、またはさらに幅方向に延伸された熱処理前の二軸延伸(二軸配向)ポリエステルフィルム(Cフィルム)の何れかのフィルムに塗布する。
本発明では、結晶配向が完了する前の上記Aフィルム、Bフィルム、の何れかのポリエステルフィルムに、塗料組成物を塗布し、その後、ポリエステルフィルムを一軸方向又は二軸方向に延伸し、溶媒の沸点より高い温度で熱処理を施しポリエステルフィルムの結晶配向を完了させるとともに樹脂層を設ける方法を採用することが好ましい。この方法によれば、ポリエステルフィルムの製膜と、塗料組成物の塗布乾燥(すなわち、樹脂層の形成)を同時に行うことができるために製造コスト上のメリットがある。また、塗布後に延伸を行うために樹脂層の厚みをより薄くすることが容易である。
中でも、長手方向あるいは幅方向に一軸延伸されたフィルム(Bフィルム)に、塗料組成物を塗布し、その後、幅方向あるいは長手方向に延伸し、熱処理する方法が優れている。未延伸フィルムに塗布した後、二軸延伸する方法に比べ、延伸工程が1回少ないため、延伸による組成物層の欠陥や亀裂が発生しづらく、透明性や平滑性に優れた組成物層を形成できるためである。
本発明において該樹脂層は、上述した種々の利点から、インラインコート法により設けられることが重要である。ここで、ポリエステルフィルムへの塗料組成物の塗布方式は、公知の塗布方式、例えばバーコート法、リバースコート法、グラビアコート法、ダイコート法、ブレードコート法等の任意の方式を用いることができる。
したがって、本発明において最良の樹脂層の形成方法は、水系溶媒を用いた塗料組成物を、ポリエステルフィルム上にインラインコート法を用いて塗布し、乾燥、熱処理することによって形成する方法である。またより好ましくは、一軸延伸後のBフィルムに塗料組成物をインラインコートする方法である。本発明の積層ポリエステルフィルムの製造方法において、乾燥は塗料組成物の溶媒の除去を完了させるために、80〜130℃の温度範囲で実施することができる。また、熱処理はポリエステルフィルムの結晶配向を完了させるとともに塗料組成物の熱硬化を完了させ樹脂層の形成を完了させるために、160〜240℃の温度範囲で実施することができる。
さらに塗料組成物中の固形分濃度は10質量%以下であることが好ましい。固形分濃度が10質量%以下とすることにより、塗料組成物に良好な塗布性を付与でき、透明かつ均一な組成物層を設けた積層ポリエステルフィルムを製造することができる。
なお、固形分濃度とは、塗料組成物の質量に対して、塗料組成物の質量から溶媒の質量を除いた質量が占める割合を表す(すなわち、[固形分濃度]=[(塗料組成物の質量)−(溶媒の質量)]/[塗料組成物の質量]である)。
また、塗料組成物中の固形分のうち、金属酸化物粒子(a)の占める割合が50質量%以上となると、粒子同士の凝集が発生し、ハードコート層への接着性が低下したり、樹脂層(X)に白斑が発生する傾向がある。塗料組成物中の全固形分のうち、金属酸化物粒子(a)の占める割合が1質量%以上33質量%以下とすると、ハードコート層への接着性を良好にでき、樹脂層(X)に白斑が発生することを抑制することができるため好ましい。より好ましくは10質量%以上32質量%未満であり、特に好ましくは15質量%以上31質量%以下である。
次に、本発明の積層ポリエステルフィルムの製造方法について、ポリエステルフィルムとしてポリエチレンテレフタレート(以下、PET)フィルムを用いた場合を例にして説明するが、これに限定されるものではない。まず、PETのペレットを十分に真空乾燥した後、押出機に供給し、約280℃でシート状に溶融押し出し、冷却固化せしめて未延伸(未配向)PETフィルム(Aフィルム)を作製する。このフィルムを80〜120℃に加熱したロールで長手方向に2.5〜5.0倍延伸して一軸配向PETフィルム(Bフィルム)を得る。このBフィルムの片面に所定の濃度に調製した本発明の塗料組成物を塗布する。
この時、塗布前にPETフィルムの塗布面にコロナ放電処理等の表面処理を行ってもよい。コロナ放電処理等の表面処理を行うことで、塗料組成物のPETフィルムへの濡れ性が向上し、塗料組成物のはじきを防止し、均一な塗布厚みの樹脂層を形成することができる。塗布後、PETフィルムの端部をクリップで把持して80〜130℃の熱処理ゾーン(予熱ゾーン)へ導き、塗料組成物の溶媒を乾燥させる。乾燥後幅方向に1.1〜5.0倍延伸する。引き続き160〜240℃の熱処理ゾーン(熱固定ゾーン)へ導き1〜30秒間の熱処理を行い、結晶配向を完了させる。
この熱処理工程(熱固定工程)で、必要に応じて幅方向、あるいは長手方向に3〜15%の弛緩処理を施してもよい。かくして得られた積層ポリエステルフィルムは透明かつ反射防止性に優れた積層ポリエステルフィルムとなる。
本発明における該樹脂層(X)の厚みとしては、10nm以上50nm以下であることが好ましい。より好ましくは、10nm以上45nm以下であり、さらに好ましくは10nm以上40nm以下である。該樹脂層の厚みを、10nm以上50nm以下とすることにより、干渉斑の抑制を十分に発現させることが可能となる。またこの膜厚を50nm未満とすることにより、金属酸化物粒子の凝集が抑制可能となることを見出した。この詳細なメカニズムは不明であるが、塗膜の薄膜化により乾燥過程での粒子の接触確率が低減し、それにより粒子凝集が抑制され、塗膜表面の粗さが低減する。この結果、塗膜表面の拡散光が低減したと推定している。
[特性の測定方法および効果の評価方法]
本発明における特性の測定方法および効果の評価方法は次のとおりである。
(1)粒子の数平均粒子径
金属酸化物粒子(a)の数平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)により積層ポリエステルフィルムの断面構造を観察することにより求めた。倍率を50万倍とし、その画面内に存在する10個の粒子の外径を、10視野について合計100個の粒子を測定し、その平均粒子径を求めた。画面内に10個の粒子が存在しない場合は、同じ条件で別の箇所を観察し、その画面内に存在する粒子の外径を測定して、合計で100個の粒子の外径を測定して平均値とした。ここで外径とは、粒子の最大の径(つまり粒子の長径であり、粒子中の最も長い径を示す)を表し、内部に空洞を有する粒子の場合も同様に、粒子の最大の径を表す。
(2)樹脂層(X)の膜厚
透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて断面を観察することにより、ポリエステルフィルム上の樹脂層の厚みを測定した。樹脂層の厚みは、TEMにより20万倍の倍率で撮影した画像から樹脂層の厚みを読み取った。合計で20点の樹脂層厚みを測定して平均値とした。
(3)初期ヘイズ評価
初期ヘイズの測定は、常態(23℃、相対湿度50%)において、積層ポリエステルフィルムサンプルを40時間放置した後、日本電色工業(株)製濁度計「NDH5000」を用いて、全光線透過率の測定はJIS K 7361−1「プラスチック透明材料の全光線透過率の試験方法」(1997年版)、初期ヘイズの測定はJIS K 7136「透明材料のヘイズの求め方」(2000年版)に準ずる方式で行った。なお、サンプルの樹脂層が積層された面側から光を照射して測定した。サンプルは一辺50mmの正方形のものを10サンプル準備し、それぞれ1回ずつ、合計10回測定した平均値をサンプルのヘイズ値とした。
(4)白斑の確認
積層ポリエステルフィルムをA4サイズにカットし、そのサンプルを暗室にて3波長蛍光灯(パナソニック(株)製、3波長形昼白色(F・L 15EX−N 15W))の直下30cmに置き、視角を変えながら目視により白斑の程度を観察し、以下の評価を行った。A以上のものを良好とした。
S:白斑がほぼ見えない
A:白斑がわずかに見える
B:弱い白斑が見える。
C:白斑が強い。
(5)積層体との接着性
積層ポリエステルフィルムの樹脂層(X)側に、下記の割合で混合したUV硬化型樹脂を、バーコーターを用いて硬化後の膜厚が2μmとなるように均一に塗布した。
・ハードコート剤の調整
・二酸化チタン微粒子(石原産業(株)製、TTO−55B):30質量部
・カルボン酸基含有モノマー(東亜合成(株)製、アロニックスM−5300):4.5質量部
・シクロヘキサノン:65.5質量部
上記混合物を、サンドグラインダーミルにより分散し、平均粒子径が55nmの二酸化チタン微粒子の分散液を調整した。
前記の二酸化チタン微粒子の分散液に、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製、DPHA)と、光開始剤(チバガイギー社製、イルガキュア184)をモノマーの合計量(ジペンタエリスリト−ルヘキサアクリレートとアニオン性モノマーの合計量)に対し5質量%添加し、混合し、ハードコート層の屈折率が1.65になるように調整した。
次いで、UV硬化樹脂層を積層した面から9cmの高さにセットした120W/cmの照射強度を有する集光型高圧水銀灯(アイグラフィックス(株)製、H03−L31)で、積算照射強度が300mJ/cm2となるように紫外線を照射し、硬化させ、積層ポリエステルフィルム上にハードコート層が積層されたハードコート積層ポリエステルフィルムを得た。なお、紫外線の積算照射強度測定には工業用UVチェッカー(日本電池(株)製、UVR−N1)を用いた。得られたハードコート積層ポリエステルフィルムについて、得られたハードコート積層ポリエステルフィルムのハードコート積層面に、1mm2のクロスカットを100個入れ、“セロテープ”(登録商標)(ニチバン(株)製、CT405AP)を貼り付け、ハンドローラーで1.5kg/cm2の荷重で押しつけた後、ハードコート積層ポリエステルフィルムに対して90度方向に急速に剥離した。接着性は残存した格子の個数により、4段階評価を行った。測定は10回実施し、その平均値を用いて評価を行なった。Cは実用上問題のあるレベル、Bは実用レベルであり、AとSのものは良好とした。
S:90個以上100個以下残存
A:80個以上90個未満残存
B:50個以上80個未満残存
C:0個以上50個未満残存。
(6)湿熱接着性
積層ポリエステルフィルムの樹脂層側に、(5)と同様の方法で、ハードコート層を積層し、ハードコート積層ポリエステルフィルムを得た。さらに、得られたハードコート積層ポリエステルフィルムを、温度70℃、相対湿度90%の恒温恒湿槽中に240時間放置し、湿熱接着試験用サンプルを得た。得られた湿熱接着試験用サンプルについて、(5)と同様の方法で、接着性試験を行い、残存した格子の個数により4段階評価を行った。測定は10回実施し、その平均値を用いて評価を行なった。
Cは実用上問題のあるレベル、Bは実用レベルであり、AとSのものは良好とした。
S:90個以上100個以下残存
A:80個以上90個未満残存
B:50個以上80個未満残存
C:0個以上50個未満残存。
(7)干渉斑
(5)と同様の方法にて、積層ポリエステルフィルム上に厚み2μmのハードコート層(屈折率1.65)が積層されたハードコート積層ポリエステルフィルムを得た。
次いで、得られた光学用積層ポリエステルフィルムから、8cm(積層ポリエステルフィルム幅方向)×10cm(積層ポリエステルフィルム長手方向)の大きさのサンプルを切り出し、ハードコート層の反対面に黒色光沢テープ(ヤマト(株)製、ビニ−ルテープNo.200−50−21:黒)を、気泡を噛み込まないように貼り合わせた。
このサンプルを暗室にて3波長蛍光灯(パナソニック(株)製、3波長形昼白色(F・L 15EX−N 15W))の直下30cmに置き、視角を変えながら目視により干渉斑の程度を観察し、以下の評価を行った。A以上のものを良好とした。
S:干渉斑がほぼ見えない
A:干渉斑がわずかに見える
B:弱い干渉斑が見える。
C:干渉斑が強い。
本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明する。ただし、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
まず、本実施例で用いる金属酸化物(a)、フルオレン構造を有するポリエステル樹脂(b)、カルボジイミド化合物(c)、オキサゾリン化合物(d)、メラミン化合物(e)、アクリル樹脂(f)、塗料組成物の調製方法について下記する。
・金属酸化物粒子(a−1):
金属酸化物粒子である酸化ジルコニウム分散液SZR−CW(堺化学工業(株)製、酸化ジルコニウム粒子:数平均粒子径20nm)を用いた。
・フルオレン構造を有するポリエステル樹脂(b−1)(スルホン酸基を有するジカルボン酸成分(b−a3)を有さない)
下記の共重合組成からなるポリエステル樹脂をポリエステル樹脂(b−1)として用いた。以下のジカルボン酸成分、ジオール成分の組成比率は、全ジカルボン酸成分、全ジオール成分をそれぞれ100モル%としたときの値を示す。また、全ジカルボン酸成分と全ジオール成分のモル比は、1:1である。
(ジカルボン酸成分)
コハク酸 : 100モル%
(ジオール成分)
9、9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン :90モル%
エチレングリコール : 10モル%。
・フルオレン構造を有するポリエステル樹脂(b−2)(スルホン酸基を有するジカルボン酸成分(b−a3)を0.05モル%含有する)
下記の共重合組成からなるポリエステル樹脂をポリエステル樹脂(b−2)として用いた。以下のジカルボン酸成分、ジオール成分の組成比率は、全ジカルボン酸成分、全ジオール成分をそれぞれ100モル%としたときの値を示す。また、全ジカルボン酸成分と全ジオール成分のモル比は、1:1である。
(ジカルボン酸成分)
コハク酸 : 99.95モル%
5−ナトリウムスルホイソフタル酸 : 0.05モル%
(ジオール成分)
9、9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン :90モル%
エチレングリコール : 10モル%。
・フルオレン構造を有さないポリエステル樹脂(b−3)
下記の共重合組成からなるポリエステル樹脂をポリエステル樹脂(b−3)として用いた。以下のジカルボン酸成分、ジオール成分の組成比率は、全ジカルボン酸成分、全ジオール成分をそれぞれ100モル%としたときの値を示す。また、全ジカルボン酸成分と全ジオール成分のモル比は、1:1である。
(ジカルボン酸成分)
テレフタル酸 : 99モル%
5−ナトリウムスルホイソフタル酸 : 1モル%
(ジオール成分)
エチレングリコール : 100モル%。
・カルボジイミド化合物(c−1)
日清紡ケミカル(株)“カルボジライト”(登録商標)V−04(固形分濃度40重量%)を用いた。
・オキサゾリン化合物(d−1)
(株)日本触媒製“エポクロス”(登録商標)WS−500(固形分濃度40重量%)を用いた。
・メラミン化合物(e−1)
三和ケミカル(株)製“ニカラック”(登録商標)MW12LFを用いた。
・アクリル樹脂(f−1):
以下の方法により得られるアクリル樹脂をアクリル樹脂(f−1)として用いた。
攪拌機、温度計、還流冷却管の備わった通常のアクリル樹脂反応槽に、溶剤としてイソプロピルアルコール100部を仕込み、加熱攪拌して100℃に保持した。
この中に、(メタ)アクリレート(f1’)として、n=19のノナデシルメタクリレート40部、(メタ)アクリレート(f2’)として、2個の環を有するイソボニルメタクリレート40部、その他水酸基を有する(メタ)アクリレート(f3’)として、2−ヒドロキシエチルアクリレート20部からなる混合物を3時間かけて滴下した。そして、滴下終了後、100℃で1時間加熱し、次にt−ブチルパーオキシ2エチルヘキサエート1部からなる追加触媒混合液を仕込んだ。次いで、100℃で3時間加熱した後冷却し、アクリル樹脂 (f−1)を得た。得られたアクリル樹脂(f−1)の構造式を以下に示す。(但し、この構造式は、その化学構造中にf1’、f2’、f3’を有することを単に表しており、各構造単位の順序や数を規定するものではない。)
・アクリル樹脂(f−2)
山南合成化学(株)製“サンナロン”WG−658(固形分濃度30重量%)を用いた。
・水系溶媒(g−1):純水を用いた。
・塗料組成物1:
水系溶媒(g−1)中に、金属酸化物粒子(a−1)50質量部と、アクリル樹脂(f−1)を固形分質量として5量部と、pH調整剤(炭酸ナトリウム)を添加し、ホモミキサーを用いて撹拌し、pHが10.0の金属酸化物(a)分散液を得た。
この金属酸化物(a)分散液に、フルオレン構造を有するポリエステル樹脂(b−1)を固形分質量として50質量部、カルボジイミド化合物(c−1)を固形分質量として20質量部、オキサゾリン系化合物(d−1)を固形分質量として20質量部添加、メラミン化合物(e−1)を固形分質量として50質量部を添加した後、混合し、pHが10.0の塗料組成物1を得た。
・塗料組成物2:
水系溶媒(g−1)中に、金属酸化物粒子(a−1)50質量部と、アクリル樹脂(f−1)を固形分質量として5量部と、pH調整剤(水酸化ナトリウム)を添加し、ホモミキサーを用いて撹拌し、pHが12.1の金属酸化物(a−1)分散液を得た。
この金属酸化物(a−1)分散液に、フルオレン構造を有するポリエステル樹脂(b−1)を固形分質量として50質量部、カルボジイミド化合物(c−1)を固形分質量として20質量部、オキサゾリン系化合物(d−1)を固形分質量として20質量部添加、メラミン化合物(e−1)を固形分質量として50質量部を添加した後、混合し、pHが10.0の塗料組成物1を得た。
・塗料組成物3:
水系溶媒(g−1)中に、金属酸化物粒子(a−1)50質量部と、アクリル樹脂(f−1)を固形分質量として5量部を添加し、ホモミキサーを用いて撹拌し、pHが7.0の金属酸化物(a)分散液を得た。
この金属酸化物(a)分散液に、フルオレン構造を有するポリエステル樹脂(b−1)を固形分質量として50質量部、カルボジイミド化合物(c−1)を固形分質量として20質量部、オキサゾリン系化合物(d−1)を固形分質量として20質量部添加、メラミン化合物(e−1)を固形分質量として50質量部添加した後、混合し、pHが7.0の塗料組成物3を得た。
・塗料組成物4:
水系溶媒(g−1)中に、金属酸化物粒子(a−1)50質量部と、フルオレン構造を有するポリエステル樹脂(b−1)を固形分質量として50質量部、カルボジイミド化合物(c−1)を固形分質量として20質量部、オキサゾリン系化合物(d−1)を固形分質量として20質量部添加、メラミン化合物(e−1)を固形分質量として50質量部と、アクリル樹脂(f−1)を固形分質量として5量部を添加した後、混合し、pHが7.0の塗料組成物4を得た。
(実施例1)
・積層ポリエステルフィルム
実質的に粒子を含有しないPETペレット(極限粘度0.63dl/g)を充分に真空乾燥した後、押し出し機に供給し285℃で溶融し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度25℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて冷却固化せしめた。この未延伸フィルムを90℃に加熱して長手方向に3.4倍延伸し、一軸延伸フィルム(Bフィルム)とした。
次に塗料組成物1を一軸延伸フィルムのコロナ放電処理面にバーコートを用いて塗布した。塗料組成物を塗布した一軸延伸フィルムの幅方向両端部をクリップで把持して予熱ゾーンに導き、雰囲気温度75℃とした後、引き続いてラジエーションヒーターを用いて雰囲気温度を110℃とし、次いで雰囲気温度を90℃として、塗料組成物を乾燥させ、樹脂層(X)を形成せしめた。引き続き連続的に120℃の加熱ゾーン(延伸ゾーン)で幅方向に3.5倍延伸し、続いて230℃の熱処理ゾーン(熱固定ゾーン)で20秒間熱処理を施し、結晶配向の完了した積層ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムにおいてPETフィルムの厚みは100μm、樹脂層の厚みは20nmであった。
得られた積層ポリエステルフィルムの特性等を表に示す。初期ヘイズが低く、透明性に優れていた。また白斑の発生がなく、ハードコート層との初期接着性、湿熱接着性に優れ、ハードコート層を積層したときの干渉斑が抑制されるフィルムであった。
(実施例2〜5)
カルボジイミド化合物(c−1)の添加量を表に記載の数値のとおりに変更した以外は、実施例1と同様の方法で、積層ポリエステルフィルムを得た。
(実施例6、7)
オキサゾリン化合物(d−1)の添加量を表に記載の数値のとおりに変更した以外は、実施例1と同様の方法で、積層ポリエステルフィルムを得た。
(実施例8、9)
メラミン化合物(e−1)の添加量を表に記載の数値のとおりに変更した以外は、実施例1と同様の方法で、積層ポリエステルフィルムを得た。
(実施例10、11)
実施例10は、アクリル樹脂(f−1)の添加量を表に記載の数値のとおりに変更した以外は、実施例1と同様の方法で、積層ポリエステルフィルムを得た。また、実施例11は、アクリル樹脂(f−1)の代わりにアクリル樹脂(f−2)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、積層ポリエステルフィルムを得た。
(実施例12)
ポリエステル樹脂(b−1)の代わりにポリエステル樹脂(b−2)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、積層ポリエステルフィルムを得た。
(実施例13〜17)
実施例13では、金属酸化物粒子(a−1)の代わりに酸化チタン粒子“NanoTek”TiO2スラリー(シーアイ化成(株)、数平均粒子径20nm)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、積層ポリエステルフィルムを得た。また、実施例14では、金属酸化物粒子(a−1)の代わりに、金属酸化物粒子(a−1)と酸化亜鉛粒子であるFINEX−50(堺化学工業(株)製、数平均粒子径20nm)を質量比1:1の混合物を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、積層ポリエステルフィルムを得た。また、実施例15では、金属酸化物粒子(a−1)の代わりに酸化亜鉛粒子であるFINEX−50(堺化学工業(株)製、数平均粒子径20nm)を用い、実施例16では金属酸化物粒子(a−1)の代わりに、インジウムドープ酸化錫である“NanoTek”ITOスラリー(シーアイ化成(株)製、数平均粒子径20nm)を用い、実施例17では、金属酸化物粒子(a−1)の代わりに、酸化イットリウムである“NanoTek”Y2O3スラリー(シーアイ化成(株)製、数平均粒子径20nm)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、積層ポリエステルフィルムを得た。
(実施例18〜23)
金属酸化物粒子(a―1)の数平均粒子径を表に記載のとおりの数値に変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層ポリエステルフィルムを得た。
(実施例24〜27)
金属酸化物粒子(a−1)とフルオレン構造を有するポリエステル樹脂(b−1)の添加量を表に記載のとおりの数値に変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層ポリエステルフィルムを得た。
(実施例28、29)
樹脂層(X)の膜厚を表に記載のとおりの数値に変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層ポリエステルフィルムを得た。
(実施例30〜32)
実施例30では、塗料組成物1の代わりに塗料組成物2を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、積層ポリエステルフィルムを得た。また、実施例31では、塗料組成物1の代わりに塗料組成物3を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、積層ポリエステルフィルムを得た。また、実施例32では、塗料組成物1の代わりに塗料組成物4を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、積層ポリエステルフィルムを得た。
(比較例1〜4)
カルボジイミド化合物(c−1)、オキサゾリン系化合物(d−1)、メラミン化合物(e−1)、アクリル樹脂(f−1)の添加量を表の記載の数値にした以外は実施例1と同様の方法で、積層ポリエステルフィルムを得た。
(比較例5)
フルオレン構造を有するポリエステル樹脂(b−1)の代わりに、フルオレン構造を有さないポリエステル樹脂(b−3)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、積層ポリエステルフィルムを得た。
(比較例6〜8)
比較例6では、金属酸化物粒子(a−1)を用いなかった以外は、実施例1と同様の方法で、積層ポリエステルフィルムを得た。また、比較例7では、金属酸化物粒子(a−1)の代わりにシリカ粒子である“スルーリア”(登録商標)TR112(日揮触媒化成(株)製、数平均粒子径20nm)を用いた以外は、比較例8では、金属酸化物粒子(a−1)の代わりにMgF2粒子である“NanoTek”MgF2スラリー(シーアイ化成(株)製、数平均粒子径20nm)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、積層ポリエステルフィルムを得た。