最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本発明の実施の形態に係る電波センサは、電波センサであって、対象エリアへ電波を送信する送信部と、上記対象エリアからの電波を受信する受信部と、所定の電波の周波数成分と上記受信部によって受信された電波の周波数成分との差の周波数成分を有する差分信号を生成する差分信号生成部と、上記差分信号生成部によって生成された上記差分信号の周波数分布に関する情報である周波数分布情報を作成する分析部と、上記分析部によって作成された上記周波数分布情報における各周波数成分の強度と所定のしきい値との大小関係に基づいて、上記周波数分布の一部または全部である対象波形を取得する波形取得部と、上記電波センサから上記対象エリアにおける検知対象までの距離である対象距離を上記対象波形のピークごとに取得する距離取得部と、各上記ピークの上記対象距離に基づいて上記各ピークを1または複数のグループに分類する分類部とを備える。
このように、対象波形のピークごとに対象距離を取得し、各ピークの対象距離に基づいて当該各ピークを1または複数のグループに分類する構成により、たとえば、対象波形において複数の検知対象からの反射波に基づく周波数成分が含まれる場合においても、対象距離に基づいて正しく分類した各グループと各検知対象とをそれぞれ対応付けることができる。これにより、1つの対象波形から複数の検知対象をより正確に分離することができ、検知精度を向上させることができる。
また、画像処理を行うことなく検知対象を精度よく検知することができるので、電波センサを低コストかつ簡易な構成にすることができる。
(2)好ましくは、上記電波センサは、さらに、上記グループにおける上記各ピークの上記対象距離の分布に基づいて、上記グループに対応する上記検知対象の種類を判別する判別部を備える。
このような構成により、対象距離の分布に基づいて、グループに対応する検知対象の大きさを取得することができるので、検知対象の種類の判別精度を向上させることができる。
(3)好ましくは、上記電波センサは、さらに、上記電波センサから上記検知対象への方向である対象方向を上記対象波形のピークごとに取得する方向取得部を備え、上記分類部は、上記各ピークの上記対象距離および上記対象方向に基づいて上記各ピークを1または複数のグループに分類する。
このような構成により、たとえば、対象方向が異なる一方で同程度の対象距離に複数の検知対象が存在する場合においても、当該複数の検知対象を異なるグループとして正しく分類することができる。
(4)より好ましくは、上記電波センサは、さらに、上記グループにおける上記各ピークの上記対象距離および上記対象方向の分布に基づいて、上記グループに対応する上記検知対象の種類を判別する判別部を備える。
このような構成により、対象距離および対象方向の分布に基づいて、電波センサに対する動径方向についての検知対象の大きさに加えて、接線方向についての検知対象の大きさを取得することができるので、グループに対応する検知対象の大きさをより正確に取得することができる。これにより、検知対象の種類の判別精度をより向上させることができる。
(5)より好ましくは、上記電波センサは、さらに、上記グループにおける上記各ピークの上記対象距離の分布に基づいて、上記グループに対応する上記検知対象の種類を判別する判別部を備え、上記判別部は、上記分布の広がり度合いが大きい場合、上記検知対象の種類を車両と判別し、上記分布の広がり度合いが小さい場合、上記検知対象の種類を人間と判別する。
このように、検知対象の大きさと相関を有する上記分布の広がり度合いの大きさに基づいて、検知対象の種類を判別する構成により、検知対象の種類の判別精度をより向上させることができる。
(6)好ましくは、上記電波センサは、さらに、上記分類部による上記グループの分類結果に基づいて上記検知対象の個数を検知する個数検知部を備える。
このような構成により、グループの分類結果から検知対象の個数を得ることができる。
(7)好ましくは、上記分類部は、上記各ピークの上記対象距離に基づいて上記各ピークを1または複数の仮グループに分類し、上記分類部は、複数のタイミングにおける上記仮グループの分類結果に基づいて上記各ピークを1または複数のグループに分類する。
このような構成により、各ピークの対象距離の相対的な関係が時間の経過とともに変化する場合においても、対象距離に基づいて各ピークをより正しく分類することができる。
(8)好ましくは、上記電波センサは、さらに、上記電波センサから上記検知対象への方向である対象方向を上記対象波形のピークごとに取得する方向取得部を備え、上記分類部は、上記各ピークの上記対象距離および上記対象方向に基づいて上記各ピークを1または複数のグループに分類し、上記電波センサは、さらに、上記グループにおける上記各ピークの上記対象距離の時間的推移および上記対象方向の時間的推移に基づいて、上記グループに対応する上記検知対象の移動方向を判定する移動方向判定部と、上記移動方向判定部によって判定された上記検知対象の移動方向に基づいて、上記グループに対応する上記検知対象の種類を判別する判別部とを備える。
このように、グループに対応する検知対象の移動方向を判定する構成により、検知対象の移動方向は種類に応じて異なることから、検知対象の移動方向に基づいて検知対象の種類の判別精度をより向上させることができる。
また、たとえば、検知対象における各部分が統一性のない動作を行っているために、対象波形における各ピークの移動方向に基づいて検知対象の移動方向を取得することが困難な場合においても、検知対象の全体的な移動方向を正しく判定することができるので、検知対象の種類の判別精度をより向上させることができる。
(9)本発明の実施の形態に係る電波センサは、電波センサであって、対象エリアへ電波を送信する送信部と、上記対象エリアからの電波を受信する受信部と、上記受信部によって受信される電波の周波数分布に関する情報である周波数分布情報を作成する分析部と、上記分析部によって作成された上記周波数分布情報における各周波数成分の強度と所定のしきい値との大小関係に基づいて、上記周波数分布の一部または全部である対象波形を取得する波形取得部と、上記電波センサから上記対象エリアにおける検知対象までの距離である対象距離を上記対象波形のピークごとに取得する距離取得部と、各上記ピークの上記対象距離に基づいて上記各ピークを1または複数のグループに分類する分類部とを備える。
このように、対象波形のピークごとに対象距離を取得し、各ピークの対象距離に基づいて当該各ピークを1または複数のグループに分類する構成により、たとえば、対象波形において複数の検知対象からの反射波に基づく周波数成分が含まれる場合においても、対象距離に基づいて正しく分類した各グループと各検知対象とをそれぞれ対応付けることができる。これにより、1つの対象波形から複数の検知対象をより正確に分離することができ、検知精度を向上させることができる。
また、画像処理を行うことなく検知対象を精度よく検知することができるので、電波センサを低コストかつ簡易な構成にすることができる。
(10)本発明の実施の形態に係る検知方法は、電波センサにおける検知方法であって、対象エリアへ電波を送信するステップと、上記対象エリアからの電波を受信するステップと、所定の電波の周波数成分と受信した電波の周波数成分との差の周波数成分を有する差分信号を生成するステップと、生成した上記差分信号の周波数分布に関する情報である周波数分布情報を作成するステップと、作成した上記周波数分布情報における各周波数成分の強度と所定のしきい値との大小関係に基づいて、上記周波数分布の一部または全部である対象波形を取得するステップと、上記電波センサから上記対象エリアにおける検知対象までの距離である対象距離を上記対象波形のピークごとに取得するステップと、各上記ピークの上記対象距離に基づいて上記各ピークを1または複数のグループに分類するステップとを含む。
このように、対象波形のピークごとに対象距離を取得し、各ピークの対象距離に基づいて当該各ピークを1または複数のグループに分類する構成により、たとえば、対象波形において複数の検知対象からの反射波に基づく周波数成分が含まれる場合においても、対象距離に基づいて正しく分類した各グループと各検知対象とをそれぞれ対応付けることができる。これにより、1つの対象波形から複数の検知対象をより正確に分離することができ、検知精度を向上させることができる。
また、画像処理を行うことなく検知対象を精度よく検知することができるので、電波センサを低コストかつ簡易な構成にすることができる。
(11)本発明の実施の形態に係る検知プログラムは、対象エリアへ電波を送信し、上記対象エリアからの電波を受信する電波センサにおいて用いられる検知プログラムであって、コンピュータに、所定の電波の周波数成分と受信した電波の周波数成分との差の周波数成分を有する差分信号を生成するステップと、生成した上記差分信号の周波数分布に関する情報である周波数分布情報を作成するステップと、作成した上記周波数分布情報における各周波数成分の強度と所定のしきい値との大小関係に基づいて、上記周波数分布の一部または全部である対象波形を取得するステップと、上記電波センサから上記対象エリアにおける検知対象までの距離である対象距離を上記対象波形のピークごとに取得するステップと、各上記ピークの上記対象距離に基づいて上記各ピークを1または複数のグループに分類するステップとを実行させるための検知プログラムである。
このように、対象波形のピークごとに対象距離を取得し、各ピークの対象距離に基づいて当該各ピークを1または複数のグループに分類する構成により、たとえば、対象波形において複数の検知対象からの反射波に基づく周波数成分が含まれる場合においても、対象距離に基づいて正しく分類した各グループと各検知対象とをそれぞれ対応付けることができる。これにより、1つの対象波形から複数の検知対象をより正確に分離することができ、検知精度を向上させることができる。
また、画像処理を行うことなく検知対象を精度よく検知することができるので、電波センサを低コストかつ簡易な構成にすることができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
<第1の実施の形態>
[構成および基本動作]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る信号制御システムの構成を示す図である。
図1を参照して、信号制御システム201は、電波センサ101と、信号制御装置151と、歩行者用信号灯器161とを備える。信号制御システム201における信号制御装置151および歩行者用信号灯器161は、交通信号機を構成し、たとえば交差点CS1の近傍に設置される。
電波センサ101は、対象エリアA1において移動する検知対象Tgtを検知する動体検知センサとして機能する。ここで、対象エリアA1は、たとえば、電波センサ101の設置者であるセンサ設置者が設定するエリアである。
具体的には、図1に示すように、センサ設置者は、たとえば、道路Rd1を隔てて設置された歩道Pv1,Pv2の間に位置する横断歩道PC1を移動する歩行者Tgt2および自動車Tgt1を検知対象Tgtとする場合、横断歩道PC1の全部を含むエリアを対象エリアA1として設定する。なお、センサ設置者は、たとえば、横断歩道PC1の一部を含むエリアを対象エリアA1として設定してもよい。また、センサ設置者は、たとえば、電波センサ101が自動車に取り付けられる場合において、当該自動車の前方に位置する歩行者Tgt2および自動車Tgt1を検知対象Tgtとするとき、当該自動車の前方の所定範囲を対象エリアA1として設定する。
電波センサ101は、たとえば交差点CS1へ延びる道路Rd1付近に設置されている。具体的には、電波センサ101は、たとえば道路Rd1付近に設置された支柱P1に固定されている。
歩行者用信号灯器161および信号制御装置151は、たとえば支柱P1に固定されている。電波センサ101および信号制御装置151は、たとえば図示しない信号線で接続されている。信号制御装置151および歩行者用信号灯器161は、たとえば図示しない信号線で接続されている。なお、電波センサ101は、道路Rd1上に設置されてもよいし、自動車に搭載されてもよい。
電波センサ101は、対象エリアA1における検知対象Tgtを検出し、検出した検知対象Tgtの種類を判別する。より詳細には、電波センサ101は、たとえば信号制御装置151の制御に従って、横断歩道PC1を含む対象エリアA1へ電波を送信する。検知対象Tgtは、具体的には、自動車Tgt1および歩行者Tgt2等である。検知対象Tgtは、たとえば対象エリアA1内において移動しており、電波センサ101から送信される電波を反射する。
電波センサ101は、たとえば検知対象Tgtにより反射された電波に基づいて対象エリアA1における検知対象Tgtを検出し、検出した検知対象Tgtの種類を判別する。より詳細には、電波センサ101は、たとえば検知対象Tgtの種類として車両および人間を判別する。電波センサ101は、判別結果を信号制御装置151へ送信する。
歩行者用信号灯器161は、信号制御装置151の制御に従って、たとえば横断歩道PC1を横断する歩行者Tgt2に対して「すすめ」または「とまれ」を点灯して表示する。
信号制御装置151は、電波センサ101から判別結果を受信すると、受信した判別結果に基づいて歩行者用信号灯器161を制御する。
たとえば、信号制御装置151は、歩行者用信号灯器161において「すすめ」を点灯する残り時間が少ない場合、検知対象Tgtの種類に応じた処理を行う。具体的には、信号制御装置151は、たとえば、電波センサ101から受信した判別結果が検知対象Tgtの種類が人間であることを示すとき、残り時間の延長を行う。なお、信号制御装置151は、たとえば、「すすめ」を点灯する残り時間が少ない旨を歩行者Tgt2に音声で通知してもよい。また、信号制御装置151は、たとえば、判別結果が検知対象Tgtの種類が車両であることを示すとき、残り時間の延長を行わない。
また、信号制御装置151は、たとえば、歩行者用信号灯器161において「とまれ」を点灯している場合において、判別結果が検知対象Tgtの種類が人間であることを示すとき、危険である旨を歩行者Tgt2に音声で警告する。
なお、信号制御装置151は、電波センサ101から受信する判別結果に基づいて自動車Tgt1に対してサービスを提供してもよい。具体的には、信号制御装置151は、判別結果が検知対象Tgtの種類が人間であることを示すとき、たとえば、横断歩道PC1における歩行者Tgt2に注意すべき旨の警告を自動車Tgt1に与える。
[課題]
横断歩道では、歩行者Tgt2だけでなく、自動車Tgt1も通行する。質の高いサービスを提供するためには、横断歩道における歩行者Tgt2および自動車Tgt1を区別し、歩行者Tgt2が存在しているときに、歩行者Tgt2の存在を正しく検知する必要がある。
具体的には、横断歩道では、自動車Tgt1だけが通行する場合、歩行者Tgt2だけが通行する場合、ならびに自動車Tgt1および歩行者Tgt2が通行する場合の3つのパターンが大まかに考えられる。各パターンにおいて、自動車Tgt1および歩行者Tgt2すなわち検知対象Tgtの数および動き方は様々であるため、想定されるシーンは多岐にわたる。これらのシーンにおいて歩行者Tgt2をより確実に検知することが求められる。
横断歩道における歩行者Tgt2を検知するために、たとえば、ビーム幅を0.1°程度に狭めた電波を0.1°ごとに照射し、照射した電波の反射波に基づいて、検知対象Tgtの位置、大きさおよび形状をスキャンするレーダを用いることが考えられる。しかしながら、このようなレーダは高価であるため、多数の交差点に設置することは困難である。
また、たとえば、検出対象速度を測定することが可能なドップラーセンサを用いることが考えられる。検出対象速度は、検知対象Tgtがドップラーセンサに対して近づくかまたは遠ざかる方向に沿った検知対象Tgtの移動速度である。ドップラーセンサは、自動車Tgt1の検出対象速度と歩行者Tgt2の検出対象速度とが大きく異なる場合、検知対象Tgtの種類を判別することが可能である。
一方、たとえばドップラーセンサが支柱P1に固定されている状態において、図1に示す電波センサ101の場合と同様に自動車Tgt1が交差点CS1を速度vcで右折しながら横断歩道PC1を横切る場合、自動車Tgt1のドップラーセンサに対する検出対象速度vcdは、ドップラーセンサおよび自動車Tgt1を結ぶ軸方向への速度vcの成分となる。また、速度vmで横断歩道PC1を横断する歩行者Tgt2のドップラーセンサに対する検出対象速度vmdは、速度vmとほぼ同じである。したがって、図1に示すような場合には、検出対象速度vmdおよび検出対象速度vcdの差が小さくなるため、ドップラーセンサでは、検知対象Tgtの検出対象速度に基づいて検知対象Tgtの種類を判別することが困難となる。
そこで、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサでは、以下のような構成および動作により、このような課題を解決する。
[電波センサの構成]
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る信号制御システムにおける電波センサの構成を示す図である。
図2を参照して、電波センサ101は、送信部1と、受信部2と、信号処理部3と、周波数分布情報処理部4と、受信波処理部12とを備える。送信部1は、電波生成部31と、方向性結合器32と、パワーアンプ33と、送信アンテナ11とを含む。受信部2は、受信アンテナ13S,13Dと、ローノイズアンプ41S,41Dとを含む。
以下、受信アンテナ13S,13Dの各々を受信アンテナ13とも称する。また、ローノイズアンプ41S,41Dの各々をローノイズアンプ41とも称する。なお、送信アンテナ11および受信アンテナ13は、電波センサ101が備える構成に限らず、電波センサ101の外部に設けられてもよい。
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る送信部における電波生成部の構成を示す図である。
図3を参照して、電波生成部31は、電圧制御発振器37と、電圧発生部38と、周波数切替部39とを含む。
電波センサ101は、たとえば、四分一 浩二、外2名、”拡大するミリ波技術の応用”、[online]、[平成26年5月30日検索]、インターネット〈URL:http://www.spc.co.jp/spc/pdf/giho21_09.pdf〉(非特許文献1)、または稲葉 敬之、桐本 哲郎、”車載用ミリ波レーダ”、自動車技術、2010年2月、第64巻、第2号、P.74−79(非特許文献2)に記載された2周波CW方式を用いる電波センサである。
[電波の送信処理]
図4は、本発明の第1の実施の形態に係る周波数切替部が出力する信号および電圧制御発振器が生成するミリ波の周波数の時間変化の一例を示す図である。
図2〜4を参照して、送信部1は、対象エリアA1へ電波を送信する。より詳細には、送信部1における電波生成部31は、たとえば24GHz帯の周波数を有する電波すなわちミリ波を生成し、生成したミリ波を方向性結合器32へ出力する。
なお、電波生成部31は、たとえば60GHz帯、76GHz帯または79GHz帯の周波数を有する電波を生成してもよい。また、電波生成部31は、たとえばミリ波帯より周波数の低いマイクロ波帯の周波数を有する電波を生成してもよいし、また、ミリ波帯より周波数の高いテラヘルツ帯の周波数を有する電波を生成してもよい。
より詳細には、電波生成部31における周波数切替部39は、送信アンテナ11から送信される電波である送信波の周波数を所定の切替周波数fswtで交互に切替えるための切替信号を電圧発生部38および信号処理部3へ出力する。
具体的には、周波数切替部39は、たとえば、図4に示すように、10キロヘルツの切替周波数fswtすなわち0.1ミリ秒の周期で切替信号のレベルLsをハイレベルおよびローレベルに切り替える切替信号を電圧発生部38および信号処理部3へ出力する。
電圧発生部38は、たとえば、所定の送信周波数f1,f2の電波を電圧制御発振器37に発生させるための制御電圧Vf1,Vf2をそれぞれ設定する。なお、送信周波数f2およびf1の差は、たとえば数メガヘルツ程度である。
電圧発生部38は、たとえば、周波数切替部39から受ける切替信号のレベルLsがローレベルである場合、制御電圧Vf1を生成し、生成した制御電圧Vf1を電圧制御発振器37へ出力する。また、電圧発生部38は、たとえば、切替信号のレベルLsがハイレベルである場合、制御電圧Vf2を生成し、生成した制御電圧Vf2を電圧制御発振器37へ出力する。
電圧制御発振器37は、具体的にはVCO(Voltage−controlled oscillator)であり、電圧発生部38から受ける制御電圧Vf1,Vf2に応じた周波数を有するミリ波帯の送信波を生成する。
より詳細には、電圧制御発振器37は、たとえば、図4に示すように、ローレベルの切替信号に基づく制御電圧Vf1を電圧発生部38から受けている間、以下の式(1)に示す周波数f1を有する送信波T1(t)を生成する。
ここで、φ1は初期位相である。式(1)および以下の式中におけるtは時刻を表す。また、電圧制御発振器37は、たとえば、図4に示すように、ハイレベルの切替信号に基づく制御電圧Vf2を電圧発生部38から受けている間、以下の式(2)に示す周波数f2を有する送信波T2(t)を生成する。
ここで、φ2は初期位相である。なお、送信波T1(t)の振幅および送信波T2(t)の振幅はたとえば共にAである。電圧制御発振器37は、送信波T1(t),T2(t)を交互に生成して方向性結合器32へ出力する。
再び図2を参照して、方向性結合器32は、電波生成部31から受ける送信波T1(t),T2(t)をパワーアンプ33および受信波処理部12へ分配する。パワーアンプ33は、方向性結合器32から受ける送信波T1(t),T2(t)を増幅する。パワーアンプ33は、増幅後の送信波T1(t),T2(t)を送信アンテナ11経由で対象エリアA1へ送信する。
送信アンテナ11は、図1に示すように、たとえば指向性の方向Dirが横断歩道PC1の横断方向に沿うように設置される。好ましくは、送信アンテナ11は、たとえば、横断歩道PC1の面に対して指向性の方向を当該面の法線方向に射影した方向と、歩行者Tgt2が対象エリアにおける横断歩道PC1を移動する方向vmすなわち方向vm2とが平行または反平行になるように設置される。
[電波の受信処理]
図5は、本発明の第1の実施の形態に係る送信アンテナ、受信アンテナおよび検知対象の配置の一例を示す図である。
図5を参照して、受信部2は、対象エリアA1からの電波を受信アンテナ13経由で受信する。具体的には、受信部2は、対象エリアA1からのミリ波すなわち反射波を受信アンテナ13経由で受信する。ここで、受信アンテナ13は、たとえば、対象エリアA1における検知対象Tgtが送信アンテナ11から送信される送信波T1(t)またはT2(t)をそれぞれ反射することにより生成される反射波R1(t)またはR2(t)を受信可能な構成であればよい。
具体的には、受信アンテナ13S,13Dのいずれか一方は、送信アンテナ11と同じアンテナであってもよいし、異なるアンテナであってもよい。なお、送信アンテナ11ならびに受信アンテナ13S,13Dが別々のアンテナである場合、受信アンテナ13S,13Dは、送信アンテナ11から離れた位置に配置されてもよいが、電波センサ101の構成を簡易にするために送信アンテナ11の近傍に配置されることが好ましい。なお、受信アンテナ13Sおよび13Dの配置の詳細については後述する。
受信アンテナ13が受信する反射波には、たとえば、対象エリアA1内に位置する検知対象Tgtの表面の一部である表面部分Piが送信アンテナ11により送信された送信波を反射することによって発生する部分反射波が含まれる。
ここで、電波センサ101に対して近づくかまたは遠ざかる方向に沿った表面部分Piの移動速度を検出対象速度vdiと定義する。言い換えると、電波センサ101に対して近づくかまたは遠ざかる方向に沿った受信アンテナ13に対する表面部分Piの相対速度の成分が検出対象速度vdiである。
たとえば、受信アンテナ13に対する表面部分Piの相対速度を部分速度vpiと定義すると、検出対象速度vdiは、表面部分Piから受信アンテナ13への方向の単位ベクトルndiと部分速度vpiとの内積で表される。なお、電波センサ101は、たとえば支柱P1等の地面に対して動かないものに固定されていてもよいし、地面に対して動くものに固定されていてもよい。たとえば電波センサ101が支柱P1に固定されている場合、受信アンテナ13および対象エリアA1は地面に対して固定されるので、部分速度vpiは、表面部分Piの地面に対する相対速度でもある。
検知対象Tgtは、形状を維持する剛体であってもよいし、形状を変える非剛体であってもよい。具体的には、検知対象Tgtが自動車Tgt1である場合、検知対象Tgtは剛体であり、また、検知対象Tgtが歩行者Tgt2である場合、検知対象Tgtは非剛体である。
受信アンテナ13が受信する検知対象Tgtにおける表面部分Piからの部分反射波の周波数f1ri,f2riは、送信波の周波数f1,f2に対して、表面部分Piに対応する検出対象速度vdiに応じてそれぞれシフトする。また、部分反射波の振幅は、表面部分Piの反射断面積σiに応じた振幅となる。
[受信アンテナ13S,13Dの配置]
図6は、本発明の第1の実施の形態に係る受信アンテナを上方から見た場合における配置の一例を示す図である。
図6を参照して、受信アンテナ13S,13Dは、たとえば、横断歩道PC1の横断方向を示すベクトルDcに対して直交する方向に水平に並べて配置され、また、たとえば距離d離して配置される。以下、受信アンテナ13S,13Dが並ぶ方向を示すベクトルをベクトルDlとも称する。
たとえば、受信アンテナ13S,13Dと表面部分Piとの距離である対象距離Liが距離dに比べて十分長い場合、受信アンテナ13S,13Dが受信する部分反射波を平面波として近似することができる。
ここで、表面部分Piからの部分反射波の受信アンテナ13S,13Dへの入射角ξiを以下のように定義する。すなわち、たとえば、部分反射波が伝搬する方向を示すベクトルDp、およびベクトルDlを含む面を入射面Pinと定義する。したがって、受信アンテナ13S,13Dは、入射面Pinに含まれる。そして、入射面Pinに含まれ、ベクトルDlと直交し、かつ横断歩道PC1に向いたベクトルDaとベクトルDpとの間の角度を入射角ξiと定義する。また、入射角ξiは、受信アンテナ13S,13Dの上方から見て反時計回りに増加するように定義する。また、ベクトルDpの向きとベクトルDaの向きとが反平行になるときの入射角ξiを0°と定義する。
たとえば、入射角ξiが0°である場合、表面部分Piから受信アンテナ13Sまでの距離と、表面部分Piから受信アンテナ13Dまでの距離とは同じになる。一方、たとえば、入射角ξiが正である場合、表面部分Piから受信アンテナ13Dまでの距離は、表面部分Piから受信アンテナ13Sまでの距離と比べて光路差Δsだけ長くなる。ここで、光路差Δsは、たとえばd×sin(ξi)である。また、たとえば、入射角ξiが負である場合、表面部分Piから受信アンテナ13Dまでの距離は、表面部分Piから受信アンテナ13Sまでの距離と比べて光路差Δsだけ短くなる。
すなわち、たとえば、入射角ξiが0°である場合、受信アンテナ13Dが受信する部分反射波の位相と、受信アンテナ13Sが受信する部分反射波の位相とは同じになる。一方、たとえば、入射角ξiが正である場合、受信アンテナ13Dが受信する部分反射波の位相は、受信アンテナ13Sが受信する部分反射波の位相と比べて光路差Δsに応じて遅れる。また、たとえば、入射角ξiが負である場合、受信アンテナ13Dが受信する部分反射波の位相は、受信アンテナ13Sが受信する部分反射波の位相と比べて光路差Δsに応じて進む。
したがって、受信アンテナ13Sが受信する部分反射波の位相を基準とした場合における受信アンテナ13Dが受信する部分反射波の位相のずれ具合から入射角ξiを算出することが可能となる。これにより、受信アンテナ13S,13Dに対する表面部分Piへの方向を算出することが可能となる。
以下、位相の基準とする受信アンテナ13Sが受信する部分反射波について詳細に説明するが、受信アンテナ13Dが受信する部分反射波についても同様である。
再び図2を参照して、送信波T1(t)が式(1)により表される場合において、たとえば受信アンテナ13Sが送信アンテナ11の近傍に配置されているとき、受信アンテナ13Sが受信する部分反射波R1Si(t)は、非特許文献1または非特許文献2に示すように以下の式(3)により表される。
ここで、Liは受信アンテナ13Sおよび表面部分Pi間の対象距離である。cは光速である。aiはたとえば送信波T1(t)の振幅Aおよび波長、送信アンテナ11および受信アンテナ13のアンテナゲイン、対象距離Liならびに反射断面積σi等により定まる値である。
部分反射波R1Si(t)の周波数f1riは、式(3)に示すように、送信波T1(t)の周波数f1に対して、f1×(2×vdi/c)を加えた周波数となる。具体的には、表面部分Piが受信アンテナ13Sへ近づく方向へ移動するとき、vdiが正となるので周波数f1riは周波数f1より高くなり、また、表面部分Piが受信アンテナ13Sから遠ざかる方向へ移動するとき、vdiが負となるので周波数f1riは周波数f1より低くなる。
全検知対象、具体的にはフェンダー、窓ガラスおよびドアの各々の表面部分Pf、PwおよびPdを含む自動車Tgt1、ならびに腕、足および胴体の各々の表面部分Pa、PlおよびPbを含む歩行者Tgt2からのドップラー反射波R1Sd(t)は、以下の式(4)により表される。
ここで、Jは全検知対象における表面部分Piの数である。また、受信アンテナ13Sが受信する反射波R1S(t)には、一般に、ドップラー反射波R1Sd(t)、および検知対象Tgt以外の部分からの非ドップラー反射波R1Snd(t)が含まれる。したがって、反射波R1S(t)は、ドップラー反射波R1Sd(t)および非ドップラー反射波R1Snd(t)の重ね合わせとなり、以下の式(5)により表される。
ここで、検知対象Tgt以外の部分の検出対象速度がゼロである状況、すなわち非ドップラー反射波R1Snd(t)の周波数が送信波T1(t)の周波数f1と同じである状況を想定する。
また、受信アンテナ13Dが受信する反射波R1D(t)は、式(1)および(3)〜(5)と同様に導出される、以下の式(6)により表される。
同様に、受信部2における受信アンテナ13Sは、送信アンテナ11から送信波T2(t)が送信されている期間、式(1)および(3)〜(5)と同様に導出される、以下の式(7)に示す反射波R2S(t)を受信する。
ここで、送信波T1(t)およびT2(t)の振幅はともにAであり、かつ周波数f1およびf2はほぼ同じであるため、部分反射波R2Si(t)の振幅は、式(3)におけるaiで表すことが可能である。
また、受信部2における受信アンテナ13Dが受信する反射波R2D(t)は、式(7)と同様に導出される、以下の式(8)により表される。
受信部2におけるローノイズアンプ41Sは、受信アンテナ13Sが受信した反射波R1S(t),R2S(t)を増幅し、受信波処理部12へ出力する。また、ローノイズアンプ41Dは、受信アンテナ13Dが受信した反射波R1D(t),R2D(t)を増幅し、受信波処理部12へ出力する。
図7は、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサにおける受信波処理部の構成を示す図である。
図7を参照して、受信波処理部12は、差分信号生成部42SI,42SQ,42DIと、移相器43とを含む。以下、差分信号生成部42SI,42SQ,42DIの各々を差分信号生成部42とも称する。
図8は、本発明の第1の実施の形態に係る受信波処理部における差分信号生成部の構成を示す図である。
図8を参照して、差分信号生成部42は、ミキサ45と、IF(Intermediate Frequency)アンプ46と、ローパスフィルタ47と、A/Dコンバータ(ADC)48とを含む。
図7および図8を参照して、移相器43は、たとえば、送信部1により生成される送信波の位相をπ/2シフトさせ、位相をシフトさせた送信波を差分信号生成部42SQへ出力する。
差分信号生成部42は、所定の電波、具体的には送信波の周波数成分と、受信部2によって受信された電波の周波数成分との差の周波数成分を有する差分信号を生成する。
以下、差分信号生成部42SIにおける動作を詳細に説明するが、差分信号生成部42SQ,42DIにおける動作も同様である。
図8に示す差分信号生成部42たとえば差分信号生成部42SIにおけるミキサ45は、送信部1から送信波T1(t)が送信されている期間、以下の処理を行う。
すなわち、ミキサ45は、送信部1における方向性結合器32から受ける送信波T1(t)と、受信部2におけるローノイズアンプ41Sから受ける反射波R1S(t)とを乗算する。そして、ミキサ45は、送信波T1(t)の周波数成分と反射波R1S(t)の周波数成分との差の周波数成分を有する差分信号および両周波数成分の和の周波数成分を有する和周波信号を生成する。
ミキサ45において、送信波T1(t)と反射波R1S(t)に含まれる部分反射波R1Si(t)とから生成される部分差分信号B1Si(t)は、以下の式(9)により表される。
ここで、Kiは部分差分信号の振幅である。−4π×f1×Li/cが遅延位相θ1Siである。2×f1×vdi/cがドップラー周波数f1diである。また、ドップラー反射波R1Sd(t)に基づくドップラー差分信号B1Sd(t)は、以下の式(10)により表される。
ここで、Jは、式(4)の場合と同様に、全検知対象における表面部分Piの数である。また、非ドップラー反射波R1Snd(t)に基づく差分信号は、非ドップラー反射波R1Snd(t)の周波数が送信波T1(t)の周波数f1と同じであるため、直流成分D1Sとなる。したがって、反射波R1S(t)に基づく差分信号B1S(t)は、以下の式(11)により表される。
同様に、ミキサ45は、送信部1から送信波T2(t)が送信されている期間、以下の処理を行う。すなわち、ミキサ45は、送信波T2(t)と反射波R2S(t)とを乗算し、以下の式(12)により表される差分信号B2S(t)および和周波信号を生成する。
ここで、B2Sd(t)は、送信波T2(t)とドップラー反射波R2Sd(t)とから生成される差分信号である。Kiは部分差分信号の振幅である。−4π×f2×Li/cが遅延位相θ2Siである。2×f2×vdi/cがドップラー周波数f2diである。また、D2Sは、送信波T2(t)と非ドップラー反射波R2Snd(t)とから生成される直流の差分信号である。
ミキサ45は、生成した差分信号B1S(t),B2S(t)および和周波信号をIFアンプ46へ出力する。
IFアンプ46は、たとえば低周波数帯から中間周波数帯にかけて大きな増幅率を有するアンプであり、ミキサ45において生成された差分信号B1S(t),B2S(t)および和周波信号のうち、差分信号B1S(t),B2S(t)を大きな増幅率で増幅し、増幅した差分信号B1S(t),B2S(t)をローパスフィルタ47へ出力する。
ローパスフィルタ47は、IFアンプ46において増幅された差分信号B1S(t),B2S(t)の周波数成分のうち、所定の周波数以上の成分、たとえば1キロヘルツ以上の成分を減衰させる。
A/Dコンバータ48は、たとえば所定のサンプリング周波数fsmplで差分信号B1S(t),B2S(t)のサンプリング処理を行う。より詳細には、A/Dコンバータ48は、ローパスフィルタ47を通過したアナログ信号である差分信号B1S(t),B2S(t)を、サンプリング周期である(1/fsmpl)ごとにqビット(qは2以上の整数)のデジタル信号に変換する。A/Dコンバータ48は、変換後のデジタル信号すなわちI(In−phase)成分のデジタル信号を信号処理部3へ出力する。
また、差分信号生成部42SQは、それぞれ、送信部1から送信波T1(t),T2(t)が送信されている期間、位相をπ/2シフトさせた送信波T1(t),T2(t)の周波数成分と受信部2におけるローノイズアンプ41Sから受ける反射波R1S(t),R2S(t)の周波数成分との差の周波数成分を有するQ(Quadrature)成分のデジタル信号を生成し、生成したデジタル信号を信号処理部3へ出力する。
差分信号生成部42DIは、送信部1から送信波T1(t)が送信されている期間、以下の式(13)により表される式(11)と同様の差分信号B1D(t)を、送信波T1(t)と受信部2におけるローノイズアンプ41Dから受ける反射波R1D(t)とから生成する。
ここで、B1Dd(t)は、送信波T1(t)とドップラー反射波R1Dd(t)とから生成される差分信号である。Kiは部分差分信号の振幅である。(−(4π×f1×Li+2×π×f1×d×sin(ξi))/c)が遅延位相θ1Diである。2×f1×vdi/cがドップラー周波数f1diである。また、D1Dは、送信波T1(t)と非ドップラー反射波R1Dnd(t)とから生成される差分信号であり、非ドップラー反射波R1Dnd(t)の周波数が送信波T1(t)の周波数f1と同じであるため、直流成分となる。
また、差分信号生成部42DIは、送信部1から送信波T2(t)が送信されている期間、以下の式(14)により表される式(12)と同様の差分信号B2D(t)を、送信波T2(t)と受信部2におけるローノイズアンプ41Dから受ける反射波R2D(t)とから生成する。
ここで、B2Dd(t)は、送信波T2(t)とドップラー反射波R2Dd(t)とから生成される差分信号である。Kiは部分差分信号の振幅である。(−(4π×f2×Li+2×π×f2×d×sin(ξi))/c)が遅延位相θ2Diである。2×f2×vdi/cがドップラー周波数f2diである。また、D2Dは、送信波T2(t)と非ドップラー反射波R2Dnd(t)とから生成される直流の差分信号である。
差分信号生成部42DIは、差分信号B1D(t),B2D(t)に基づいてI成分のデジタル信号を生成し、生成したデジタル信号を信号処理部3へ出力する。
[信号処理]
図9は、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサにおける信号処理部の構成を示す図である。
図9を参照して、信号処理部3は、バッファ制御部71と、バッファ72と、FFT処理部(分析部)73とを含む。バッファ72は、(f1,I,S)成分格納領域75と、(f2,I,S)成分格納領域76と、(f1,Q,S)成分格納領域77と、(f1,I,D)成分格納領域78と、(f2,I,D)成分格納領域79とを含む。
信号処理部3は、受信波処理部12から受けるデジタル信号を処理する。より詳細には、信号処理部3におけるバッファ制御部71は、送信部1から受ける切替信号のレベルLsに基づいて、受信波処理部12から受けるデジタル信号をバッファ72における各格納領域に振り分けながら蓄積する。
具体的には、バッファ制御部71は、たとえば送信部1からローレベルの切替信号を受けている期間、すなわち送信部1が周波数f1の送信波T1(t)を送信アンテナ11経由で対象エリアA1へ送信している期間、以下の処理を行う。すなわち、バッファ制御部71は、たとえば、受信波処理部12における差分信号生成部42SI、42SQおよび42DIから受けるデジタル信号をバッファ72における(f1,I,S)成分格納領域75、(f1,Q,S)成分格納領域77および(f1,I,D)成分格納領域78に時系列順にそれぞれ蓄積する。
また、バッファ制御部71は、たとえば送信部1からハイレベルの切替信号を受けている期間、すなわち送信部1が周波数f2の送信波T2(t)を送信している期間、以下の処理を行う。すなわち、バッファ制御部71は、たとえば、受信波処理部12における差分信号生成部42SIおよび42DIから受けるデジタル信号をバッファ72における(f2,I,S)成分格納領域76および(f2,I,D)成分格納領域79に時系列順にそれぞれ蓄積する。
バッファ制御部71は、たとえば、受信波処理部12から受けるデジタル信号の蓄積を開始してから所定の観測時間Tobs、具体的には100ミリ秒経過すると、FFT処理部73へバッファ蓄積完了通知を出力する。
したがって、バッファ蓄積完了通知が出力されるタイミングにおいて、バッファ72には、対象エリアA1から受信する電波に基づく時系列順のデジタル信号すなわち時間スペクトルが蓄積されている。
より詳細には、(f1,I,S)成分格納領域75および(f2,I,S)成分格納領域76には、それぞれ差分信号B1S(t)およびB2S(t)に基づくI成分のデジタル信号すなわち時間スペクトルTS(f1,I,S)およびTS(f2,I,S)が蓄積されている。(f1,Q,S)成分格納領域77には、位相をπ/2シフトさせた送信波T1(t)と反射波R1S(t)との差分信号に基づくQ成分のデジタル信号すなわち時間スペクトルTS(f1,Q,S)が蓄積されている。(f1,I,D)成分格納領域78および(f2,I,D)成分格納領域79には、それぞれ差分信号B1D(t)およびB2D(t)に基づくI成分のデジタル信号すなわち時間スペクトルTS(f1,I,D)およびTS(f2,I,D)が蓄積される。
FFT処理部73は、差分信号生成部42によって生成された差分信号の周波数分布すなわち周波数スペクトルに関する情報である周波数分布情報を作成する。
具体的には、FFT処理部73は、たとえば、バッファ制御部71からバッファ蓄積完了通知を受けると、バッファ72に蓄積された時間スペクトルを取得して自己の計算用バッファに保持する。そして、FFT処理部73は、たとえば、取得した時間スペクトルを高速フーリエ変換することにより、観測時間Tobsにおける差分信号の周波数スペクトルすなわちドップラースペクトルおよび位相スペクトルを示す情報を周波数分布情報として作成する。
ここで、ドップラースペクトルは、観測時間Tobsにおける差分信号に含まれる各周波数成分の振幅を示す。また、位相スペクトルは、観測時間Tobsにおける差分信号に含まれる各周波数成分の位相を示す。周波数分布情報は、たとえばドップラースペクトルおよび位相スペクトルの各ポイントを示す座標データである。
より詳細には、FFT処理部73は、たとえば、時間スペクトルTS(f1,I,S)からドップラースペクトルDS(f1,I,S)および位相スペクトルPS(f1,I,S)を作成する。FFT処理部73は、たとえば、時間スペクトルTS(f2,I,S)からドップラースペクトルDS(f2,I,S)および位相スペクトルPS(f2,I,S)を作成する。FFT処理部73は、たとえば、時間スペクトルTS(f1,Q,S)からドップラースペクトルDS(f1,Q,S)および位相スペクトルPS(f1,Q,S)を作成する。FFT処理部73は、たとえば、時間スペクトルTS(f1,I,D)からドップラースペクトルDS(f1,I,D)および位相スペクトルPS(f1,I,D)を作成する。FFT処理部73は、たとえば、時間スペクトルTS(f2,I,D)からドップラースペクトルDS(f2,I,D)および位相スペクトルPS(f2,I,D)を作成する。
以下、ドップラースペクトルDS(f1,I,S),DS(f2,I,S),DS(f1,Q,S),DS(f1,I,D),DS(f2,I,D)の各々をドップラースペクトルDSとも称する。また、位相スペクトルPS(f1,I,S),(f2,I,S),(f1,Q,S),(f1,I,D),(f2,I,D)の各々を位相スペクトルPSとも称する。
FFT処理部73は、作成したドップラースペクトルDSおよび位相スペクトルPSを示す情報を周波数分布情報として周波数分布情報処理部4へ出力する。
[ドップラースペクトルの特徴]
ここで、歩行者Tgt2および自動車Tgt1を測定対象とした場合におけるドップラースペクトルDSの特徴を説明する。
(対象波形の定義)
図10は、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサにおけるFFT処理部が生成するドップラースペクトルの一例を模式的に示す図である。
図10を参照して、たとえば、ドップラースペクトルDSを構成するデジタル信号Sfにおいて、所定のしきい値Tha以上の反射強度Irを有し、かつ連続するデジタル信号Sfを対象波形Wと定義する。
また、しきい値Thaと対象波形Wとの2つの交点NL,NUにおけるドップラー周波数のうち、低周波側の交点NLにおけるドップラー周波数を下限周波数fLと定義する。また、高周波側の交点NUにおけるドップラー周波数を上限周波数fUと定義する。
たとえば、図10に示す対象波形Wには2つのピークが含まれる。なお、対象波形Wには、1つのピークが含まれてもよいし、3つ以上のピークが含まれてもよい。
対象波形Wの定義を言い換えると、下限周波数fL以上かつ上限周波数fU以下の周波数範囲におけるデジタル信号Sfが対象波形Wである。
(歩行者のドップラースペクトルの特徴)
図11は、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサにおけるFFT処理部が生成する歩行者のドップラースペクトルの一例を示す図である。
図11には、たとえば、歩行者Tgt2が対象エリアA1に位置する場合において、受信アンテナ13Sにより受信された電波に基づくドップラースペクトルDS(f1,I,S)が示される。横軸は、ドップラー周波数f1dすなわち検出対象速度vdの大きさを示し、縦軸は、反射強度Irを示す。
より詳細には、図11に示すドップラースペクトルDS(f1,I,S)は、たとえば、対象エリアA1において検知対象Tgtである歩行者Tgt2、具体的には1または複数の歩いている人間および1または複数の走行中の自転車が、図1に示す横断歩道PC1の横断方向に沿って移動している場合におけるドップラースペクトルDSである。図11には、たとえば対象波形Wm1、Wm2およびWm3が含まれる。
歩行者Tgt2のドップラースペクトルDSの特徴として、たとえば以下のことが挙げられる。すなわち、歩行者Tgt2は、たとえば、横断歩道PC1の横断方向すなわち送信波の指向性の方向Dirに沿ってほぼ一定の速度で移動するため、歩行者Tgt2の検出対象速度vdの大きさすなわち|vd|は、継続して一定の範囲に含まれる。ここで、|vd|は、検出対象速度vdの絶対値を表す。
したがって、歩行者Tgt2の|vd|すなわちドップラー周波数は、たとえば、ドップラースペクトルDS(f1,I,S)における周波数軸方向、具体的にはドップラー周波数軸方向における50Hz以上かつ700Hz以下の範囲に継続して含まれることが多い。
また、たとえば、歩行者Tgt2の反射断面積は、自動車Tgt1の反射断面積と比べて小さいので、歩行者Tgt2の反射強度は、一定のレベル以下、具体的には−60dBm以下になる場合が多い。
(自動車のドップラースペクトルの特徴)
図12は、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサにおけるFFT処理部が生成する自動車のドップラースペクトルの一例を示す図である。
図12には、たとえば、自動車Tgt1が対象エリアA1に位置する場合において、受信アンテナ13Sにより受信された電波に基づくドップラースペクトルDS(f1,I,S)が示される。横軸は、ドップラー周波数f1dすなわち検出対象速度vdの大きさを示し、縦軸は、反射強度Irを示す。なお、図12に示す横軸および縦軸のスケールは、図11に示す横軸および縦軸のスケールとそれぞれ同じである。
より詳細には、ドップラースペクトルDS(f1,I,S)は、たとえば、対象エリアA1において検知対象Tgtである自動車Tgt1が図1に示す横断歩道PC1の横断方向と直交する方向へ移動している場合のドップラースペクトルDSである。図12には、たとえば対象波形Wc1、Wc2およびWc3が含まれる。
自動車Tgt1のドップラースペクトルDSの特徴として、たとえば以下のことが挙げられる。すなわち、たとえば、自動車Tgt1が一定の速度vc2で横断歩道PC1を直角に横切る場合、電波センサ101に対する自動車Tgt1の検出対象速度vdが自動車Tgt1の位置に応じて変化する。具体的には、自動車Tgt1が移動することにより位置を変える際、図5に示すように自動車Tgt1の表面部分Piの相対速度vpiの方向と単位ベクトルndiの方向とが変化するため、検出対象速度vdiが変化する、すなわち自動車Tgt1の検出対象速度vdが変化する。
したがって、自動車Tgt1が位置を変える際、自動車Tgt1による対象波形の周波数は変化する。すなわち、自動車Tgt1による対象波形の周波数は時間と共に変化する。
また、たとえば、トラック等の全長の長い自動車Tgt1では自動車Tgt1の前部からの反射波のドップラー周波数と自動車Tgt1の後部からの反射波のドップラー周波数とが大きく異なることがある。したがって、自動車Tgtのドップラースペクトルでは、たとえば図12に示す対象波形Wc2のように、幅の広い対象波形が観測される。
また、自動車Tgt1では、各部分の反射断面積が大きく異なる場合が多い。このため、たとえば対象波形Wc2のように、自動車Tgt1による対象波形に含まれるピークの数が多くなる場合が多い。
また、たとえば、自動車Tgt1の反射断面積は歩行者Tgt2の反射断面積より大きいため、図12に示す対象波形Wc2における各ピークのように、自動車Tgt1に基づくピークの強度は、歩行者Tgt2に基づくピークの強度より大きくなることが多い。
[周波数スペクトルの処理]
図13は、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサにおける周波数分布情報処理部の構成を示す図である。
図13を参照して、周波数分布情報処理部4は、バッファ61と、対象波形取得部62と、対象波形分析部63と、移動方向判定部64と、分類部65と、判別部70とを含む。対象波形分析部63は、距離取得部66と、速度符号決定部67と、方向取得部68と、速度取得部69とを含む。
周波数分布情報処理部4は、FFT処理部73から周波数分布情報を受けると、受けた周波数分布情報が示す周波数スペクトルを処理する。
具体的には、周波数分布情報処理部4におけるバッファ61は、たとえば、信号処理部3から受ける周波数分布情報すなわちドップラースペクトルDSおよび位相スペクトルPSを示す情報を保持する。バッファ61に保持される周波数分布情報の内容は、たとえば100ミリ秒ごとに信号処理部3から受ける新たな周波数分布情報の内容に更新される。
図14は、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサにおけるFFT処理部が生成する自動車および歩行者のドップラースペクトルの一例を示す図である。
図14には、たとえば、自動車Tgt1および歩行者Tgt2が対象エリアA1に位置する場合において、受信アンテナ13Sにより受信された電波に基づくドップラースペクトルDS(f1,I,S)およびDS(f2,I,S)が示される。横軸は、ドップラー周波数f1d,f2dすなわち検出対象速度vdの大きさを示し、縦軸は、反射強度Irを示す。なお、図14に示す横軸および縦軸のスケールは、図11に示す横軸および縦軸のスケールとそれぞれ同じである。
なお、送信波T1(t)およびT2(t)が24GHz帯の周波数を有しているのに対して、送信周波数f2およびf1の差は、上述したようにたとえば数メガヘルツ程度であるため、ドップラースペクトルDS(f1,I,S)およびDS(f2,I,S)はほぼ同じ形状を有する。
図15は、本発明の第1の実施の形態に係る周波数分布情報処理部における対象波形取得部が生成する対象波形情報の一例を示す図である。
図15を参照して、対象波形取得部62は、FFT処理部73によって作成された周波数分布情報における各周波数成分の強度と所定のしきい値Thaとの大小関係に基づいて、周波数分布の一部または全部である対象波形Wを取得する。
具体的には、対象波形取得部62は、たとえば、バッファ61の内容が更新されると、バッファ61からたとえば図14に示すドップラースペクトルDS(f1,I,S)を取得する。そして、対象波形取得部62は、たとえば、取得したドップラースペクトルDS(f1,I,S)に基づいて、対象波形に含まれる各ピークの識別子、反射強度Irおよびドップラー周波数を示す対象波形情報を作成する。
ここでは、代表的にドップラースペクトルDS(f1,I,S)を用いた取得処理について説明するが、他のドップラースペクトルを用いた取得処理についても同様である。
具体的には、対象波形取得部62は、たとえば、取得したドップラースペクトルDS(f1,I,S)を構成するデジタル信号において、しきい値Tha以上の反射強度Irを有し、かつ連続するデジタル信号を対象波形Ws1として取得し、取得した対象波形Ws1に含まれるピークとして11個のピークを特定する。
対象波形取得部62は、たとえば、図14に示すように、特定したピークにおいてドップラー周波数f1dの低い順にP1〜P11のピーク番号を各ピークの識別子として付与し、ピーク番号ごとに、対応のピークの反射強度Irの値およびドップラー周波数f1dの値を対象波形Ws1から取得する。
対象波形取得部62は、たとえば、図15に示すように、付与したピーク番号ならびに取得した対応の反射強度Irおよびドップラー周波数f1dを対象波形情報TWinfに書き込み、対象波形情報TWinfを対象波形分析部63へ出力する。
[対象波形分析処理]
対象波形分析部63は、対象波形取得部62から対象波形情報TWinfを受けると、受けた対象波形情報TWinfに基づいて対象波形を分析する。
(対象距離Lの取得)
対象波形分析部63における距離取得部66は、受信部2によって受信された電波に基づいて、自己の電波センサ101から対象エリアA1における検知対象Tgtまでの距離である対象距離を対象波形のピークごとに取得する。
具体的には、距離取得部66は、対象波形情報TWinfに含まれる各ピークのドップラー周波数、およびバッファ61に蓄積された位相スペクトルPSに基づいて、対象距離を対象波形のピークごとに取得する。
より詳細には、距離取得部66は、たとえば、バッファ61に蓄積された位相スペクトルPS(f1,I,S)を取得し、取得した位相スペクトルPS(f1,I,S)において、対象波形情報TWinfに含まれる各ピークのドップラー周波数に対応する遅延位相を取得する。
具体的には、距離取得部66は、たとえば、対象波形情報TWinfに含まれる各ピークのドップラー周波数f1d(P1)〜f1d(P11)にそれぞれ対応する遅延位相θ1S(P1)〜θ1S(P11)を位相スペクトルPS(f1,I,S)から取得する。
また、距離取得部66は、たとえば、バッファ61に蓄積された図14に示すドップラースペクトルDS(f2,I,S)を取得し、取得したドップラースペクトルDS(f2,I,S)において、対象波形情報TWinfに含まれる各ピークに対応するドップラー周波数を取得する。
具体的には、距離取得部66は、たとえば、対象波形情報TWinfに含まれるピークP1〜P11にそれぞれ対応するドップラースペクトルDS(f2,I,S)の各ピークのドップラー周波数f2d(P1)〜f2d(P11)をドップラースペクトルDS(f2,I,S)から取得する。
そして、距離取得部66は、たとえば、バッファ61に蓄積された位相スペクトルPS(f2,I,S)を取得し、取得した位相スペクトルPS(f2,I,S)において、ドップラー周波数f2d(P1)〜f2d(P11)にそれぞれ対応する遅延位相θ2S(P1)〜θ2S(P11)を取得する。
距離取得部66は、たとえば、式(9)および(12)に基づく以下の式(15)を用いて、取得した遅延位相θ1S(P1)〜θ1S(P11)およびθ2S(P1)〜θ2S(P11)に基づいて、ピーク番号P1〜P11にそれぞれ対応する対象距離L(P1)〜L(P11)を算出する。
図16は、本発明の第1の実施の形態に係る周波数分布情報処理部における対象波形分析部が生成する対象波形分析結果の一例を示す図である。
図16を参照して、距離取得部66は、たとえば、算出した対象距離L(P1)〜L(P11)を対象波形分析結果Rslt1に書き込む。
なお、距離取得部66は、たとえば、受信アンテナ13Sにより受信された電波に基づく遅延位相θ1S(P1)〜θ1S(P11)およびθ2S(P1)〜θ2S(P11)の代わりに、受信アンテナ13Dにより受信された電波に基づく遅延位相θ1D(P1)〜θ1D(P11)およびθ2D(P1)〜θ2D(P11)に基づいて対象距離L(P1)〜L(P11)をそれぞれ算出してもよい。
また、距離取得部66は、たとえば、遅延位相θ1S(P1)〜θ1S(P11)およびθ2S(P1)〜θ2S(P11)に基づいて算出した距離と、遅延位相θ1D(P1)〜θ1D(P11)およびθ2D(P1)〜θ2D(P11)に基づいて算出した距離とのそれぞれの平均を対象距離L(P1)〜L(P11)として算出してもよい。
(対象方向ξの取得)
方向取得部68は、受信部2によって受信された電波に基づいて、自己の電波センサ101から検知対象Tgtへの方向である対象方向を対象波形のピークごとに取得する。
具体的には、方向取得部68は、対象波形情報TWinfに含まれる各ピークのドップラー周波数、およびバッファ61に蓄積された位相スペクトルに基づいて当該各ピークの入射角ξを算出し、算出した当該各ピークの入射角ξを対象方向ξとして取得する。
より詳細には、方向取得部68は、たとえば、バッファ61に蓄積された位相スペクトルPS(f1,I,S)を取得し、取得した位相スペクトルPS(f1,I,S)において、対象波形情報TWinfに含まれる各ピークのドップラー周波数に対応する遅延位相を取得する。
具体的には、方向取得部68は、たとえば、対象波形情報TWinfに含まれるピークP1〜P11のドップラー周波数f1d(P1)〜f1d(P11)にそれぞれ対応する遅延位相θ1S(P1)〜θ1S(P11)を位相スペクトルPS(f1,I,S)から取得する。
また、方向取得部68は、たとえば、バッファ61に蓄積された位相スペクトルPS(f1,I,D)を取得し、取得した位相スペクトルPS(f1,I,D)において、ドップラー周波数f1d(P1)〜f1d(P11)にそれぞれ対応する遅延位相θ1D(P1)〜θ1D(P11)を取得する。
方向取得部68は、たとえば、式(9)および(13)に基づく以下の式(16)を用いて、取得した遅延位相θ1S(P1)〜θ1S(P11)およびθ1D(P1)〜θ1D(P11)に基づいて、ピーク番号P1〜P11にそれぞれ対応する対象方向ξ(P1)〜ξ(P11)を算出する。
方向取得部68は、たとえば、算出した対象方向ξ(P1)〜ξ(P11)を図16に示す対象波形分析結果Rslt1に書き込む。
なお、方向取得部68は、位相スペクトルPS(f1,I,S)およびPS(f1,I,D)の代わりに、位相スペクトルPS(f2,I,S)およびPS(f2,I,D)から遅延位相を取得し、取得した遅延位相に基づいて対象方向ξ(P1)〜ξ(P11)を算出してもよい。
また、方向取得部68は、たとえば、位相スペクトルPS(f1,I,S)およびPS(f1,I,D)を用いて算出した各対象方向と、位相スペクトルPS(f2,I,S)およびPS(f2,I,D)を用いて算出した各対象方向とのそれぞれの平均を対象方向ξ(P1)〜ξ(P11)として算出してもよい。
(検出対象速度の符号の決定)
速度符号決定部67は、受信部2によって受信された電波に基づいて、対象エリアA1における検知対象Tgtの移動方向を判定する。
具体的には、速度符号決定部67は、対象波形情報TWinfに含まれる各ピークのドップラー周波数およびドップラースペクトルDSに基づいて検知対象Tgtの移動方向を決定する。
具体的には、速度符号決定部67は、たとえば、対象波形情報TWinfに含まれる各ピークのドップラー周波数に対応する反射強度IrすなわちI成分強度を取得する。また、速度符号決定部67は、たとえば、バッファ61に蓄積されたドップラースペクトルDS(f1,Q,S)を取得し、取得したドップラースペクトルDS(f1,Q,S)において、対象波形情報TWinfに含まれる各ピークのドップラー周波数に対応する反射強度IrすなわちQ成分強度を取得する。
速度符号決定部67は、たとえば、I成分強度の符号およびQ成分強度の符号の関係に基づいて、上記各ピークに対応する検出対象速度vdの符号を決定し、決定した符号を速度取得部69へ出力する。
(検出対象速度vdの取得)
速度取得部69は、受信部2によって受信された電波に基づいて、自己の電波センサ101に対して近づくかまたは遠ざかる方向に沿った検知対象Tgtの移動速度すなわち検出対象速度vdを取得する。具体的には、速度取得部69は、対象波形情報TWinfに含まれる各ピークのドップラー周波数に基づいて検出対象速度vdの大きさを取得する。
より詳細には、速度取得部69は、たとえば、式(9)に基づく以下の式(17)を用いて、対象波形情報TWinfに含まれるピークドップラー周波数f1d(P1)〜f1d(P11)から検知対象Tgtの検出対象速度vd(P1)〜vd(P11)の大きさをそれぞれ算出する。
速度取得部69は、算出した検出対象速度vd(P1)〜vd(P11)の大きさと速度符号決定部67から受ける検出対象速度vdの符号とを組み合わせることにより、符号を含む検出対象速度vd(P1)〜vd(P11)を図16に示す対象波形分析結果Rslt1に書き込む。
対象波形分析部63は、対象波形分析結果Rslt1に対象距離L、対象方向ξおよび検出対象速度vdの書き込みが完了すると、対象波形分析結果Rslt1を移動方向判定部64および分類部65へ出力する。
[ピークのグループ分け]
図17は、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサにより算出された、対象波形における各ピークを形成する周波数成分の反射波が生成された各位置の一例を示す図である。
図17を参照して、対象距離L(P1)〜L(P11)および対象方向ξ(P1)〜ξ(P11)に基づいて、ピークP1〜P11を形成する周波数成分の反射波R1S(t)がそれぞれ生成された推定位置すなわち生成位置C(P1)〜C(P11)を算出することが可能である。
分類部65は、たとえば、対象波形における各ピークの対象距離および対象方向に基づいて当該各ピークを1または複数のグループに分類する。
具体的には、分類部65は、たとえば、対象波形分析部63から受ける図16に示す対象波形分析結果Rslt1に基づいて対象波形Ws1におけるピークP1〜P11を1または複数のグループに分類する。
より詳細には、分類部65は、たとえば、各ピークのうち、最大の反射強度Irを有するピークの生成位置と他のピークの生成位置との間の距離である位置間距離に基づいて当該各ピークを1または複数のグループに分類する。
図18は、本発明の第1の実施の形態に係る分類部が対象波形における各ピークをグループに分類した結果を示すグループテーブルの一例を示す図である。
図18を参照して、たとえば、分類部65は、対象波形分析結果Rslt1に含まれる各ピークの反射強度Irに基づいて、ピークP1〜P11のうち最も反射強度Irの大きいピークがP4であることを認識する。
そして、分類部65は、たとえば、グループテーブルTbl1に示すように、生成位置C(P4)と生成位置C(P1)〜C(P11)との間の距離である位置間距離D(P4,P1)〜D(P4,P11)を算出する。
より詳細には、分類部65は、たとえば、余弦定理に基づく以下の式(18)を用いて位置間距離D(P4,P1)を算出する。
同様に、分類部65は、たとえば、位置間距離D(P4,P2)〜D(P4,P11)を算出する。
分類部65は、たとえば、生成位置C(P4)から所定のしきい値Thg以内、具体的には7m以内に存在する生成位置からの反射波R1S(t)に基づくピークを1つのグループに分類する。
具体的には、分類部65は、たとえば、位置間距離D(P4,P1)〜D(P4,P11)のうち、7m以下の位置間距離に対応するピークP1〜P5、P7およびP9を1つのグループすなわちグループAに分類する。
また、分類部65は、たとえば、対象波形分析結果Rslt1に含まれる各ピークのうち、グループA以外のピークであるP6、P8、P10およびP11について以下の処理を行う。
図19は、本発明の第1の実施の形態に係る分類部が対象波形における各ピークをグループに分類した結果を示すグループテーブルの一例を示す図である。
図19を参照して、分類部65は、たとえば、ピークP6、P8、P10およびP11の反射強度Irに基づいて、ピークP6、P8、P10およびP11のうち最も反射強度Irの大きいピークがP10であることを認識する。
そして、分類部65は、たとえば、グループテーブルTbl2に示すように、生成位置C(P10)と生成位置C(P6)、C(P8)、C(P10)およびC(P11)との間の距離である位置間距離D(P10,P6)、D(P10,P8)、D(P10,P10)およびD(P10,P11)をそれぞれ算出する。
分類部65は、たとえば、生成位置C(P10)から所定のしきい値Thg以内に存在する生成位置からの反射波R1S(t)に基づくピークを1つのグループに分類する。
具体的には、分類部65は、たとえば、位置間距離D(P10,P6)、D(P10,P8)、D(P10,P10)およびD(P10,P11)のうち、7m以下の位置間距離に対応するピークP6、P8、P10およびP11を1つのグループすなわちグループBに分類する。
また、分類部65は、たとえば、個数検知部として、グループの分類結果に基づいて検知対象Tgtの個数を検知する。具体的には、分類部65は、たとえば、分類結果であるグループA,Bの個数である2を検知対象Tgtの個数として検知する。
再び図13を参照して、分類部65は、たとえば、各ピークをグループに分類した結果を示すグループテーブルTbl1およびTbl2を移動方向判定部64および判別部70へ出力する。ここで、分類部65が移動方向判定部64および判別部70へ出力するグループテーブルの個数は、分類部65により検知された検知対象Tgtの個数を示している。
また、分類部65は、たとえば、グループAおよびBにおいてそれぞれ最も強度の強いピークであるP4およびP10の生成位置C(P4)およびC(P10)を、グループAおよびBにそれぞれ対応する検知対象Tgtの位置として判別部70へ出力する。
[検知対象の移動方向の判定]
図20は、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサにより算出された、対象波形における各ピークを形成する周波数成分の反射波が生成された各位置の時間的推移の一例を示す図である。
図20を参照して、移動方向判定部64は、グループにおける各ピークの対象距離Lの時間的推移および対象方向ξの時間的推移に基づいて、グループに対応する検知対象Tgtの移動方向を判定する。
具体的には、移動方向判定部64は、たとえば、バッファ61の内容が更新される100ミリ秒ごとに対象波形分析部63から受ける図16に示す対象波形分析結果Rslt1、ならびに100ミリ秒ごとに分類部65から受けるグループテーブルTbl1およびTbl2に基づいて以下の処理を行う。
すなわち、移動方向判定部64は、たとえば、グループにおける各ピークの生成位置を100ミリ秒ごとに算出し、算出した各ピークの生成位置の時間的推移を取得する。そして、移動方向判定部64は、たとえば、取得した各ピークの生成位置の時間的推移に基づいて当該グループに対応する検知対象Tgtの移動方向を取得する。
具体的には、移動方向判定部64は、たとえば、図20に示すように、グループAにおける各ピークの生成位置が時刻t1におけるグループA(t1)から時刻t1より後の時刻t2におけるグループA(t2)に変化した場合、当該各ピークの生成位置の移動方向すなわち方向Dirmが横断歩道PC1の横断方向に沿うと判定する。
そして、移動方向判定部64は、たとえば、判定結果に基づいて、グループAに対応する検知対象Tgtの移動方向が横断方向に沿う旨を含む移動方向情報を判別部70へ出力する。
同様に、移動方向判定部64は、たとえば、図20に示すように、グループBにおける各ピークの生成位置が時刻t1におけるグループB(t1)から時刻t1より後の時刻t2におけるグループB(t2)に変化した場合、当該各ピークの生成位置の移動方向すなわち方向Dircが横断歩道PC1の横断方向と直交する方向に沿うと判定する。
そして、移動方向判定部64は、たとえば、判定結果に基づいて、グループBに対応する検知対象Tgtの移動方向が横断方向と直交する方向に沿う旨を含む移動方向情報を判別部70へ出力する。
[検知対象の種類の判別]
判別部70は、たとえば、グループにおける各ピークの対象距離Lおよび対象方向ξの分布に基づいて、グループに対応する検知対象Tgtの種類を判別する。
具体的には、判別部70は、たとえば、分類部65から受けるグループテーブルTbl1およびTbl2に基づいて、グループにおける各ピークの対象距離Lおよび対象方向ξの分布を認識する。
より詳細には、判別部70は、たとえば、図18に示すグループテーブルTbl1に含まれるグループAにおいて、反射強度Irが最大であるピークP4の生成位置とピークP1〜P3、P5、P7およびP9の生成位置との間の距離である位置間距離の分布をグループAにおける各ピークの対象距離Lおよび対象方向ξの分布として認識する。
同様に、判別部70は、たとえば、図19に示すグループテーブルTbl2に含まれるグループBにおいて、反射強度Irが最大であるピークP10の生成位置とピークP6、P10およびP11の生成位置との間の距離である位置間距離の分布をグループBにおける各ピークの対象距離Lおよび対象方向ξの分布として認識する。
判別部70は、たとえば、当該分布の広がり度合いが大きい場合、検知対象Tgtの種類を車両と判別し、当該分布の広がり度合いが小さい場合、検知対象Tgtの種類を人間と判別する。
具体的には、判別部70は、たとえば、グループにおける反射強度Irが最大のピークの生成位置と当該ピーク以外の各ピークの生成位置との間の距離である位置間距離の平均値を上記分布の広がり度合いとして算出する。
たとえば、判別部70は、たとえば、グループAにおけるピークP4の生成位置とピークP1〜P3、P5、P7およびP9の生成位置の各々との間の距離である位置間距離D(P4,P1)〜D(P4,P3)、D(P4,P5)、D(P4,P7)およびD(P4,P9)の平均値AveAすなわち0.47mを上記分布の広がり度合いとして算出する。
同様に、判別部70は、たとえば、グループBにおけるピークP10の生成位置とピークP6、P8およびP11の生成位置の各々との間の距離である位置間距離D(P10,P6)、D(P10,P8)およびD(P10,P11)の平均値AveBすなわち4.67mを上記分布の広がり度合いとして算出する。
判別部70は、たとえば、算出した平均値と所定のしきい値Ths、具体的には2mとの大小関係に基づいて、グループに対応する検知対象Tgtの種類を判別する。
具体的には、判別部70は、たとえば、平均値がしきい値Ths以下である場合、グループに対応する検知対象Tgtの種類を人間と判別し、また、平均値がしきい値Thsより大きい場合、グループに対応する検知対象Tgtの種類を車両と判別する。
たとえば、判別部70は、平均値AveAである0.47mがしきい値Ths以下であるので、グループAに対応する検知対象Tgtの種類を人間と判別する。また、たとえば、判別部70は、平均値AveBである4.67mがしきい値Thsより大きいので、グループBに対応する検知対象Tgtの種類を車両と判別する。判別部70は、判別結果を信号制御装置151へ送信する。
なお、判別部70は、グループにおける反射強度Irが最大のピークの生成位置と当該ピーク以外の各ピークの生成位置との間の距離である位置間距離の平均値を上記分布の広がり度合いとして算出する構成であるとしたが、これに限定するものではない。判別部70は、たとえば、グループにおける各ピークの生成位置により形成される図形の面積を上記分布の広がり度合いとして算出する構成であってもよいし、当該図形の各辺の長さの和を上記分布の広がり度合いとして算出する構成であってもよいし、グループにおける各ピークの生成位置の分散を上記分布の広がり度合いとして算出する構成であってもよい。
また、判別部70は、たとえば、移動方向判定部64によって判定された検知対象Tgtの移動方向に基づいて、グループに対応する検知対象Tgtの種類を判別してもよい。
具体的には、判別部70は、たとえば、移動方向判定部64から受ける移動方向情報がグループAに対応する検知対象Tgtの移動方向が横断方向に沿う旨を含む場合、グループAに対応する検知対象Tgtの種類を人間と判別する。
また、判別部70は、たとえば、移動方向判定部64から受ける移動方向情報がグループBに対応する検知対象Tgtの移動方向が横断方向と直交する方向に沿う旨を含む場合、グループBに対応する検知対象Tgtの種類を車両と判別する。
また、判別部70は、たとえば、グループにおける各ピークの対象距離Lおよび対象方向ξの分布、ならびに移動方向判定部64によって判定された検知対象Tgtの移動方向に基づいて、グループに対応する検知対象Tgtの種類を判別してもよい。
具体的には、判別部70は、たとえば、グループにおける各ピークの対象距離Lおよび対象方向ξの分布に基づく判別結果と、移動方向判定部64によって判定された検知対象Tgtの移動方向に基づく判別結果との少なくともいずれか一方が検知対象Tgtの種類が車両であることを示す場合、グループに対応する検知対象Tgtの種類を車両と判別する。
また、判別部70は、たとえば、上記2つの判別結果の両方が検知対象Tgtの種類が人間であることを示す場合、グループに対応する検知対象Tgtの種類を人間と判別する。これにより、検知精度を向上させるとともに、より安全に配慮した判別結果を取得することができる。
また、判別部70は、判別結果である検知対象Tgtの種類とともに、たとえば、検知対象Tgtの位置および個数、ならびに移動方向判定部64から受ける移動方向情報に基づく検知対象Tgtの移動方向を信号制御装置151へ送信してもよい。信号制御装置151は、たとえば、電波センサ101から受信する検知対象Tgtごとの種類、位置、個数および移動方向に基づいて、横断歩道PC1を移動する歩行者Tgt2の位置、人数および移動方向についての情報を自動車Tgt1に与える。これにより、自動車Tgt1に対して良好なサービスを提供することができる。
[分類部の変形例]
たとえば、横断歩道PC1における複数の歩行者Tgt2が互いの距離を変えながら歩行する場合において、分類部65が、100ミリ秒ごとに対象波形分析部63から受ける対象波形分析結果に基づいて対象波形におけるピークを1または複数のグループに分類するとき、分類結果において、分類したグループの数が安定しないことがある。
これに対して、分類部65の変形例である分類部165は、たとえば、対象波形における各ピークの対象距離Lおよび対象方向ξに基づいて当該各ピークを1または複数の仮グループに分類する。そして、分類部165は、たとえば、複数のタイミングにおける仮グループの分類結果に基づいて当該各ピークを1または複数のグループに分類する。
より詳細には、分類部165は、たとえば、分類結果を移動方向判定部64および判別部70へ1秒ごとに出力する場合、以下の処理を行う。すなわち、分類部165は、たとえば、対象波形分析部63から100ミリ秒ごとに受ける対象波形分析結果に基づいて、対象波形における各ピークを1または複数の仮グループに分類する。そして、分類部165は、たとえば、仮グループの分類を10回行ったとき、10回分の仮グループの分類結果に基づいて当該各ピークを1または複数のグループに分類する。
具体的には、分類部165は、たとえば、10回分の仮グループの分類結果のうち、3回は当該各ピークをグループA,Bの2つの仮グループに分類し、また、7回は当該各ピークを仮グループA,B,Cの3つの仮グループに分類した場合、回数の最も多い仮グループA,B,CをグループA,B,Cとして分類する。
[動作]
図21は、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサが、グループにおける各ピークの対象距離および対象方向の分布に基づいて、当該グループに対応する検知対象の種類を判別する際の動作手順を定めたフローチャートである。信号制御システム201における電波センサ101は、コンピュータを備え、当該コンピュータにおけるCPU等の演算処理部は、以下のフローチャートの各ステップの一部または全部を含むプログラムを図示しないメモリから読み出して実行する。この装置のプログラムは、外部からインストールすることができる。この装置のプログラムは、記録媒体に格納された状態で流通する。
図21を参照して、まず、電波センサ101における送信部1は、対象エリアA1へ電波を送信する(ステップS102)。
次に、受信部2は、対象エリアA1からの電波を受信する(ステップS104)。
次に、受信波処理部12は、送信部1から送信された送信波の周波数成分と受信部2によって受信された受信波の周波数成分との差の周波数成分を有する差分信号を生成する(ステップS106)。
次に、信号処理部3は、受信波処理部12によって生成された差分信号を所定の観測時間Tobs蓄積する(ステップS108)。
次に、信号処理部3は、蓄積した差分信号を高速フーリエ変換することにより、差分信号の周波数分布である周波数スペクトルすなわちドップラースペクトルDSおよび位相スペクトルPSを作成する(ステップS110)。
次に、周波数分布情報処理部4は、信号処理部3によって作成されたドップラースペクトルDSを構成するデジタル信号において、しきい値Tha以上の反射強度Irを有し、かつ連続するデジタル信号を対象波形として取得する(ステップS112)。
次に、周波数分布情報処理部4は、取得した対象波形におけるピークごとに対象距離Lおよび対象方向ξを取得する(ステップS114)。
次に、周波数分布情報処理部4は、算出した各ピークの対象距離Lおよび対象方向ξに基づいて当該各ピークを1または複数のグループに分類する(ステップS116)。
次に、周波数分布情報処理部4は、グループにおける各ピークの対象距離Lおよび対象方向ξの分布の広がり度合いを算出する(ステップS118)。
次に、周波数分布情報処理部4は、算出した分布の広がり度合いが所定のしきい値以下である場合(ステップS120でYES)、グループに対応する検知対象Tgtの種類を人間と判別する(ステップS124)。
一方、周波数分布情報処理部4は、上記分布の広がり度合いが所定のしきい値より大きい場合(ステップS120でNO)、グループに対応する検知対象Tgtの種類を車両と判別する(ステップS122)。
なお、周波数分布情報処理部4は、上記ステップS116において、前述のように、グループの分類結果に基づいて検知対象Tgtの個数を検知してもよい。具体的には、周波数分布情報処理部4は、たとえば、分類したグループの数を検知対象Tgtの個数として検知する。
また、前述のように、周波数分布情報処理部4は、上記ステップS116において、たとえば、所定の観測時間Tobsごとに、各ピークの対象距離Lおよび対象方向ξに基づいて当該各ピークを1または複数の仮グループに分類し、観測時間Tobsごとの仮グループの分類結果に基づいて当該各ピークを1または複数のグループに分類してもよい。
図22は、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサが、検知対象の移動方向に基づいて、グループに対応する検知対象の種類を判別する際の動作手順を定めたフローチャートである。
図22を参照して、ステップS202〜S216の動作は、図21に示すフローチャートにおけるステップS102〜S116の動作とそれぞれ同様であるため、ここでは詳細な説明は繰り返さない。
次に、周波数分布情報処理部4は、グループにおける各ピークの対象距離Lの時間的推移および対象方向ξの時間的推移に基づいて、当該グループに対応する検知対象Tgtの移動方向を判定する(ステップS218)。
次に、周波数分布情報処理部4は、判定した移動方向が横断歩道PC1の横断方向に沿っている場合(ステップS220でYES)、グループに対応する検知対象Tgtの種類を人間と判別する(ステップS224)。
一方、周波数分布情報処理部4は、判定した移動方向が横断歩道PC1の横断方向に沿っていない場合(ステップS220でNO)、グループに対応する検知対象Tgtの種類を車両と判別する(ステップS222)。
なお、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサでは、分類部65は、対象波形における各ピークの対象距離Lおよび対象方向ξに基づいて当該各ピークを1または複数のグループに分類する構成であるとしたが、これに限定するものではない。分類部65は、たとえば、各ピークの対象距離Lに基づいて当該各ピークを1または複数のグループに分類する構成であってもよい。具体的には、分類部65は、たとえば、各ピークのうち、強度が最も大きいピークの対象距離Lと他のピークの対象距離Lとの差が所定のしきい値以内のピークを1つのグループに分類してもよい。
また、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサでは、判別部70は、グループにおける各ピークの対象距離Lおよび対象方向ξの分布に基づいて、グループに対応する検知対象Tgtの種類を判別する構成であるとしたが、これに限定するものではない。判別部70は、たとえば、単にグループにおける各ピークの対象距離Lまたは対象距離Lの分布の分布に基づいて、グループに対応する検知対象Tgtの種類を判別する構成であってもよい。
また、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサでは、送信波および反射波から生成される差分信号の周波数分布に関する情報である周波数分布情報を作成する構成であるとしたが、これに限定するものではない。電波センサは、たとえば、送信波と異なる所定の電波の周波数成分と反射波の周波数成分との差の周波数成分を有する差分信号の周波数分布に関する情報である周波数分布情報を作成する構成であってもよい。
また、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサでは、2周波CW方式に従って、対象エリアA1における検知対象Tgtの種類を判別する構成であるとしたが、これに限定するものではない。電波センサは、2周波CW方式以外の方式に従って、対象エリアA1における対象Tgtの種類を判別する構成であってもよい。
また、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサ101は、対象波形における各ピークの対象距離Lの分布および検知対象Tgtの移動方向の少なくともいずれか一方に基づいて、グループに対応する検知対象Tgtの種類を判別する判別部70を備える構成であるとしたが、これに限定するものではない。電波センサ101は、判別部70を備えない構成であってもよい。具体的には、たとえば、電波センサ101は、分類したグループに対応する検知対象Tgtの位置および個数、ならびに当該検知対象Tgtの移動方向を信号制御装置151へ送信する。信号制御装置151は、電波センサ101から受信する検知対象Tgtごとの位置、個数および移動方向をドライバに通知する。これにより、自動車Tgt1に対してサービスを提供することができる。
ところで、特許文献1に記載の物体識別装置では、音波または電磁波の照射処理および検出処理と、画像処理とを用いて物体の種別を識別するため、装置の構成が複雑になり、かつコストがかかるという問題がある。
これに対して、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサでは、送信部1は、対象エリアA1へ電波を送信する。受信部2は、対象エリアA1からの電波を受信する。受信波処理部12における差分信号生成部42は、所定の電波たとえば送信波の周波数成分と受信部2によって受信された電波の周波数成分との差の周波数成分を有する差分信号を生成する。信号処理部3におけるFFT処理部73は、差分信号生成部42によって生成された差分信号の周波数分布に関する情報である周波数分布情報を作成する。周波数分布情報処理部4における対象波形取得部62は、FFT処理部73によって作成された周波数分布情報における各周波数成分の強度と所定のしきい値Thaとの大小関係に基づいて、周波数分布の一部または全部である対象波形を取得する。距離取得部66は、自己の電波センサ101から対象エリアA1における検知対象Tgtまでの距離である対象距離Lを対象波形のピークごとに取得する。そして、分類部65は、各ピークの対象距離Lに基づいて当該各ピークを1または複数のグループに分類する。
このように、対象波形のピークごとに対象距離Lを取得し、各ピークの対象距離Lに基づいて当該各ピークを1または複数のグループに分類する構成により、たとえば、対象波形において複数の検知対象Tgtからの反射波に基づく周波数成分が含まれる場合においても、対象距離Lに基づいて正しく分類した各グループと各検知対象Tgtとをそれぞれ対応付けることができる。これにより、1つの対象波形から複数の検知対象Tgtをより正確に分離することができ、検知精度を向上させることができる。
また、画像処理を行うことなく検知対象を精度よく検知することができるので、電波センサを低コストかつ簡易な構成にすることができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサでは、判別部70は、グループにおける各ピークの対象距離Lの分布に基づいて、グループに対応する検知対象Tgtの種類を判別する。
このような構成により、対象距離Lの分布に基づいて、グループに対応する検知対象Tgtの大きさを取得することができるので、検知対象Tgtの種類の判別精度を向上させることができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサでは、方向取得部68は、自己の電波センサ101から検知対象Tgtへの方向である対象方向ξを対象波形のピークごとに取得する。分類部65は、各ピークの対象距離Lおよび対象方向ξに基づいて当該各ピークを1または複数のグループに分類する。
このような構成により、たとえば、対象方向ξが異なる一方で同程度の対象距離Lに複数の検知対象Tgtが存在する場合においても、当該複数の検知対象Tgtを異なるグループとして正しく分類することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサでは、判別部70は、グループにおける各ピークの対象距離Lおよび対象方向ξの分布に基づいて、グループに対応する検知対象Tgtの種類を判別する。
このような構成により、対象距離Lおよび対象方向ξの分布に基づいて、電波センサ101に対する動径方向についての検知対象Tgtの大きさに加えて、接線方向についての検知対象Tgtの大きさを取得することができるので、グループに対応する検知対象Tgtの大きさをより正確に取得することができる。これにより、検知対象Tgtの種類の判別精度をより向上させることができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサでは、判別部70は、分布の広がり度合いが大きい場合、検知対象Tgtの種類を車両と判別し、分布の広がり度合いが小さい場合、検知対象Tgtの種類を人間と判別する。
このように、検知対象Tgtの大きさと相関を有する上記分布の広がり度合いの大きさに基づいて、検知対象Tgtの種類を判別する構成により、検知対象Tgtの種類の判別精度をより向上させることができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサでは、分類部65は、個数検知部として、グループの分類結果に基づいて検知対象Tgtの個数を検知する。
このような構成により、グループの分類結果から検知対象Tgtの個数を得ることができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサでは、分類部165は、各ピークの対象距離Lに基づいて各ピークを1または複数の仮グループに分類する。そして、分類部165は、複数のタイミングにおける仮グループの分類結果に基づいて各ピークを1または複数のグループに分類する。
このような構成により、各ピークの対象距離Lの相対的な関係が時間の経過とともに変化する場合においても、対象距離Lに基づいて各ピークをより正しく分類することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る電波センサでは、移動方向判定部64は、グループにおける各ピークの対象距離Lの時間的推移および対象方向ξの時間的推移に基づいて、グループに対応する検知対象Tgtの移動方向を判定する。判別部70は、移動方向判定部64によって判定された検知対象Tgtの移動方向に基づいて、グループに対応する検知対象Tgtの種類を判別する。
このように、グループに対応する検知対象Tgtの移動方向を判定する構成により、検知対象Tgtの移動方向は種類に応じて異なることから、検知対象Tgtの移動方向に基づいて検知対象Tgtの種類の判別精度をより向上させることができる。
また、たとえば、検知対象Tgtにおける各部分が統一性のない動作を行っているために、対象波形における各ピークの移動方向に基づいて検知対象Tgtの移動方向を取得することが困難な場合においても、検知対象Tgtの全体的な移動方向を正しく判定することができるので、検知対象Tgtの種類の判別精度をより向上させることができる。
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<第2の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る電波センサと比べて、反射波から直接周波数分布情報を作成する電波センサに関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る電波センサと同様である。
[電波センサの構成]
図23は、本発明の第2の実施の形態に係る電波センサの構成を示す図である。
図23を参照して、電波センサ102は、送信部81と、受信部2と、周波数分布情報処理部4と、A/Dコンバータ(ADC)48,49と、信号処理部83とを備える。
電波センサ102における受信部2および周波数分布情報処理部4の動作は、図2に示す電波センサ101における受信部2および周波数分布情報処理部4とそれぞれ同様である。電波センサ102におけるA/Dコンバータ48,49の動作は、図8に示す差分信号生成部42におけるA/Dコンバータ48と同様である。
送信部81は、図2に示す電波センサ101における送信部1と比べて、方向性結合器32を含まない。送信部81における送信アンテナ11、電波生成部31およびパワーアンプ33の動作は、図2に示す電波センサ101における送信アンテナ11、電波生成部31およびパワーアンプ33とそれぞれ同様である。
図24は、本発明の第2の実施の形態に係る電波センサにおける信号処理部の構成を示す図である。
図24を参照して、信号処理部83は、図9に示す信号処理部3と比べて、FFT処理部73の代わりに、FFT処理部(分析部)93を含む。信号処理部83におけるバッファ制御部71およびバッファ72の動作は、図9に示す信号処理部3におけるバッファ制御部71およびバッファ72とそれぞれ同様である。
バッファ制御部71は、たとえば送信部81からローレベルの切替信号を受けている期間、受信部2におけるローノイズアンプ41Sおよび41DからそれぞれA/Dコンバータ48および49経由で受けるデジタル信号をバッファ72における(f1,I,S)成分格納領域75および(f1,I,D)成分格納領域78に時系列順にそれぞれ蓄積する。
また、バッファ制御部71は、たとえば送信部81からハイレベルの切替信号を受けている期間、受信部2におけるローノイズアンプ41Sおよび41DからそれぞれA/Dコンバータ48および49経由で受けるデジタル信号をバッファ72における(f2,I,S)成分格納領域76および(f2,I,D)成分格納領域79に時系列順にそれぞれ蓄積する。
バッファ制御部71は、たとえば、受信部2から受けるデジタル信号の蓄積を開始してから所定の観測時間Tobs、具体的には100ミリ秒経過すると、FFT処理部93へバッファ蓄積完了通知を出力する。
FFT処理部93は、受信部2によって受信される電波の周波数分布すなわち周波数スペクトルに関する情報である周波数分布情報を作成する。
具体的には、FFT処理部93は、たとえば、バッファ制御部71からバッファ蓄積完了通知を受けると、バッファ72に蓄積された時間スペクトルを取得して自己の計算用バッファに保持する。そして、FFT処理部73は、たとえば、取得した時間スペクトルを高速フーリエ変換することにより、観測時間Tobsにおける反射波の周波数スペクトルすなわちミリ波周波数スペクトルおよびミリ波位相スペクトルを示す情報を周波数分布情報として作成する。
FFT処理部93は、作成したミリ波周波数スペクトルおよびミリ波位相スペクトルを周波数分布情報処理部4へ出力する。
なお、FFT処理部93が作成するミリ波周波数スペクトルは、本発明の第1の実施の形態に係るFFT処理部73が作成するドップラースペクトルDSと比べて、周波数f1またはf2より高周波領域に電波センサ102に近づく検知対象Tgtからのドップラー反射波の周波数成分が位置し、また、周波数f1またはf2より低周波領域に電波センサ102から遠ざかる検知対象Tgtからのドップラー反射波の周波数成分が位置する。
したがって、電波センサ102は、ドップラー反射波の周波数成分が周波数f1またはf2に対して高いか低いかに基づいて、検出対象速度vdの符号を決定することが可能である。
また、電波センサ102は、ミリ波周波数スペクトルにおいて、たとえば、周波数f1またはf2に対して高周波領域および低周波領域における対象波形に基づいて、対象エリアA1における検知対象Tgtの種類を判別する。
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る電波センサと同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
以上のように、本発明の第2の実施の形態に係る電波センサでは、送信部81は、対象エリアA1へ電波を送信する。受信部2は、対象エリアA1からの電波を受信する。信号処理部83におけるFFT処理部93は、受信部2によって受信される電波の周波数分布に関する情報である周波数分布情報を作成する。周波数分布情報処理部4における対象波形取得部62は、FFT処理部93によって作成された周波数分布情報における各周波数成分の強度と所定のしきい値Thaとの大小関係に基づいて、周波数分布の一部または全部である対象波形を取得する。距離取得部66は、自己の電波センサ101から対象エリアA1における検知対象Tgtまでの距離である対象距離Lを対象波形のピークごとに取得する。そして、分類部65は、各ピークの対象距離Lに基づいて当該各ピークを1または複数のグループに分類する。
このように、対象波形のピークごとに対象距離Lを取得し、各ピークの対象距離Lに基づいて当該各ピークを1または複数のグループに分類する構成により、たとえば、対象波形において複数の検知対象Tgtからの反射波に基づく周波数成分が含まれる場合においても、対象距離Lに基づいて正しく分類した各グループと各検知対象Tgtとをそれぞれ対応付けることができる。これにより、1つの対象波形から複数の検知対象Tgtをより正確に分離することができ、検知精度を向上させることができる。
また、画像処理を行うことなく検知対象を精度よく検知することができるので、電波センサを低コストかつ簡易な構成にすることができる。
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
[付記1]
電波センサであって、
対象エリアへ電波を送信する送信部と、
前記対象エリアからの電波を受信する受信部と、
所定の電波の周波数成分と前記受信部によって受信された電波の周波数成分との差の周波数成分を有する差分信号を生成する差分信号生成部と、
前記差分信号生成部によって生成された前記差分信号の周波数分布に関する情報である周波数分布情報を作成する分析部と、
前記分析部によって作成された前記周波数分布情報における各周波数成分の強度と所定のしきい値との大小関係に基づいて、前記周波数分布の一部または全部である対象波形を取得する波形取得部と、
前記電波センサから前記対象エリアにおける検知対象までの距離である対象距離を前記対象波形のピークごとに取得する距離取得部と、
各前記ピークの前記対象距離に基づいて前記各ピークを1または複数のグループに分類する分類部とを備え、
前記送信部は、2周波CW方式に従って、前記対象エリアへ電波を送信し、
前記差分信号生成部は、前記送信部によって送信された電波の周波数成分と前記受信部によって受信された電波の周波数成分との差の周波数成分を有する前記差分信号を生成し、
前記電波センサは、さらに、
前記電波センサから前記検知対象への方向である対象方向を前記対象波形のピークごとに取得する方向取得部を備え、
前記分類部は、前記各ピークの前記対象距離および前記対象方向に基づいて、前記受信部によって受信された電波の生成位置を算出し、
前記分類部は、強度が最も大きい前記ピークの前記生成位置と他の前記ピークの前記生成位置との差に基づいて前記各ピークを1または複数のグループに分類する、電波センサ。
[付記2]
電波センサであって、
対象エリアへ電波を送信する送信部と、
前記対象エリアからの電波を受信する受信部と、
前記受信部によって受信される電波の周波数分布に関する情報である周波数分布情報を作成する分析部と、
前記分析部によって作成された前記周波数分布情報における各周波数成分の強度と所定のしきい値との大小関係に基づいて、前記周波数分布の一部または全部である対象波形を取得する波形取得部と、
前記電波センサから前記対象エリアにおける検知対象までの距離である対象距離を前記対象波形のピークごとに取得する距離取得部と、
各前記ピークの前記対象距離に基づいて前記各ピークを1または複数のグループに分類する分類部とを備え、
前記送信部は、2周波CW方式に従って、前記対象エリアへ電波を送信し、
前記電波センサは、さらに、
前記電波センサから前記検知対象への方向である対象方向を前記対象波形のピークごとに取得する方向取得部を備え、
前記分類部は、前記各ピークの前記対象距離および前記対象方向に基づいて、前記受信部によって受信された電波の生成位置を算出し、
前記分類部は、強度が最も大きい前記ピークの前記生成位置と他の前記ピークの前記生成位置との差に基づいて前記各ピークを1または複数のグループに分類する、電波センサ。