JP2016097785A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】高速走行での操縦安定性とキャンバー付き高速走行での耐久性とを両立できる空気入りタイヤを提供すること。
【解決手段】空気入りタイヤ1では、2列以上の陸部が、タイヤ周方向に連続して延在するリブであり、タイヤ子午断面にてトレッド面21の輪郭線Lよりもタイヤ径方向外側に突出する。また、タイヤ幅方向の一側にあるリブの突出量Gが、タイヤ幅方向の他側にあるリブ23の突出量Gよりも大きい(Gc<Gb<Ga)。また、タイヤ赤道面CLを境界とする一側の領域におけるベルトカバーの剛性が、他側の領域におけるベルトカバーの剛性よりも大きい。
【選択図】図2
【解決手段】空気入りタイヤ1では、2列以上の陸部が、タイヤ周方向に連続して延在するリブであり、タイヤ子午断面にてトレッド面21の輪郭線Lよりもタイヤ径方向外側に突出する。また、タイヤ幅方向の一側にあるリブの突出量Gが、タイヤ幅方向の他側にあるリブ23の突出量Gよりも大きい(Gc<Gb<Ga)。また、タイヤ赤道面CLを境界とする一側の領域におけるベルトカバーの剛性が、他側の領域におけるベルトカバーの剛性よりも大きい。
【選択図】図2
Description
この発明は、空気入りタイヤに関し、さらに詳しくは、高速走行での操縦安定性とキャンバー付き高速走行での耐久性とを両立できる空気入りタイヤに関する。
従来、例えば、特許文献1では、直進安定性を確保することを目的とし、トレッド部にトレッド幅方向断面と交差する溝により陸部を区画し、トレッド幅方向断面で陸部の接地面を、半径方向外方へ凸となる曲線形状とするとともに、その接地面のトレッド幅の全体にわたるトレッド踏面輪郭線に最も近接する頂部を、陸部の幅中心に対し陸部の一方の側縁側へ陸部幅の0.1〜0.4倍の範囲で偏らせてなる空気入りタイヤが示されている。
近年では、車両の高性能化に伴い、高速走行での操縦安定性およびキャンバー付き高速走行での耐久性を両立する要望がある。ここで、操縦安定性の確保は、特許文献1に示すように、トレッド部に形成されるリブ(陸部)の接地性を高めるようにトレッド面の輪郭よりもリブのタイヤ子午断面での輪郭をタイヤ径方向外側に突出させることが有効である。しかし、キャンバー付き車両への適用の場合、例えば、ネガティブキャンバーでは、車両装着時でのタイヤ赤道面より内側のリブが外側のリブと比較して接地長が長くなることから高速走行での耐久性が低下する傾向となる。このため、高速走行での操縦安定性およびキャンバー付き高速走行での耐久性を両立することは難しいという課題がある。
そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、高速走行での操縦安定性とキャンバー付き高速走行での耐久性とを両立できる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、この発明にかかる空気入りタイヤは、カーカス層と、前記カーカス層のタイヤ径方向外側に配置される一対の交差ベルトと、前記交差ベルトのタイヤ径方向外側に配置されるベルトカバーとを備え、且つ、タイヤ周方向に延在する少なくとも3本の周方向溝と、前記周方向溝に区画されて成る少なくとも4列の陸部とをトレッド面に備える空気入りタイヤであって、2列以上の前記陸部が、タイヤ周方向に連続して延在するリブであり、タイヤ子午断面にてトレッド面の輪郭線よりもタイヤ径方向外側に突出し、タイヤ幅方向の一側にある前記リブの突出量が、タイヤ幅方向の他側にある前記リブの突出量よりも大きく、且つ、タイヤ赤道面を境界とする前記一側の領域における前記ベルトカバーの剛性が、前記他側の領域における前記ベルトカバーの剛性よりも大きいことを特徴とする。
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、カーカス層と、前記カーカス層のタイヤ径方向外側に配置される一対の交差ベルトと、前記交差ベルトのタイヤ径方向外側に配置される一対のベルトエッジカバーとを備え、且つ、タイヤ周方向に延在する少なくとも3本の周方向溝と、前記周方向溝に区画されて成る少なくとも4列の陸部とをトレッド面に備える空気入りタイヤであって、2列以上の前記陸部が、タイヤ周方向に連続して延在するリブであり、タイヤ子午断面にてトレッド面の輪郭線よりもタイヤ径方向外側に突出し、タイヤ幅方向の一側にある前記リブの突出量が、タイヤ幅方向の他側にある前記リブの突出量よりも大きく、且つ、タイヤ赤道面を境界とする前記一側の領域における前記ベルトエッジカバーの剛性が、前記他側の領域における前記ベルトエッジカバーの剛性よりも大きいことを特徴とする。
この発明にかかる空気入りタイヤでは、タイヤ幅方向の一側にあるリブの突出量がタイヤ幅方向の他側にあるリブの突出量よりも大きいので、ドライ路面での接地性が確保されて、高速走行時の操縦安定性が確保される。同時に、タイヤが大きなキャンバー角を有する車両に装着されたときに、トレッド全体におけるリブの接地長が均一化されて、高速走行時の耐久性が確保される。これにより、高速走行での操縦安定性とキャンバー付き高速走行での耐久性とが両立する利点がある。
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施の形態の構成要素には、発明の同一性を維持しつつ置換可能かつ置換自明なものが含まれる。また、この実施の形態に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
[空気入りタイヤ]
図1は、この発明の実施形態にかかる空気入りタイヤを示す子午断面図である。同図は、タイヤ径方向の片側領域の断面図を示している。また、同図は、空気入りタイヤの一例として、乗用車用ラジアルタイヤを示している。
図1は、この発明の実施形態にかかる空気入りタイヤを示す子午断面図である。同図は、タイヤ径方向の片側領域の断面図を示している。また、同図は、空気入りタイヤの一例として、乗用車用ラジアルタイヤを示している。
以下の説明において、タイヤ径方向とは、空気入りタイヤ1の回転軸(図示せず)と直交する方向をいい、タイヤ径方向内側とはタイヤ径方向において回転軸に向かう側、タイヤ径方向外側とはタイヤ径方向において回転軸から離れる側をいう。また、タイヤ周方向とは、前記回転軸を中心軸とする周り方向をいう。また、タイヤ幅方向とは、前記回転軸と平行な方向をいい、タイヤ幅方向内側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面(タイヤ赤道線)CLに向かう側、タイヤ幅方向外側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLから離れる側をいう。タイヤ赤道面CLとは、空気入りタイヤ1の回転軸に直交するとともに、空気入りタイヤ1のタイヤ幅の中心を通る平面である。タイヤ幅は、タイヤ幅方向の外側に位置する部分同士のタイヤ幅方向における幅、つまり、タイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLから最も離れている部分間の距離である。タイヤ赤道線とは、タイヤ赤道面CL上にあって空気入りタイヤ1のタイヤ周方向に沿う線をいう。本実施形態では、タイヤ赤道線にタイヤ赤道面と同じ符号「CL」を付す。
本実施形態の空気入りタイヤ1において、図1に示すように、トレッド部2は、ゴム材(トレッドゴム15)からなり、空気入りタイヤ1のタイヤ径方向の最も外側で露出し、その表面が空気入りタイヤ1の輪郭となる。トレッド部2の外周表面、つまり、走行時に路面と接触する踏面には、トレッド面21が形成されている。トレッド部2は、トレッド面21に開口する周方向溝22が設けられている。周方向溝22は、トレッド面21から溝底までの溝深さが5mm以上のものであり、タイヤ周方向に沿って延在し、タイヤ幅方向に複数(図1では4本である)並んで設けられている。そして、トレッド部2は、これら複数の周方向溝22により、タイヤ周方向に沿って延在するリブ23がタイヤ幅方向に複数(図1では5本である)並んで区画形成されている。また、トレッド部2は、各リブ23において、周方向溝22に交差する方向に延在しタイヤ周方向に複数並んで設けられたラグ溝24が形成されている。図1では、タイヤ幅方向最外側のリブ23にのみラグ溝24が設けられているが、他のリブ23にも設けられていてもよい。このラグ溝24は、周方向溝22に連通している形態、または周方向溝22に連通していない形態の何れであってもよい。また、ラグ溝24は、タイヤ幅方向最外側のリブ23に設けられる場合、タイヤ幅方向外側に開口して形成されている。なお、図1に示すようにタイヤ赤道面CL上にリブ23が形成されている場合、このタイヤ赤道面CL上のリブ23にタイヤ周方向に沿って延在し溝深さが5mm以上の溝が形成されていたとしても、この溝は周方向溝22に含めない。
また、空気入りタイヤ1は、図1に示すように、トレッド部2のタイヤ幅方向両外側の部位に連続して配置されるショルダー部と、各ショルダー部に連続して空気入りタイヤ1におけるタイヤ幅方向の最も外側に露出するサイドウォール部と、各サイドウォール部に連続してリムに係合されるビード部と、を有する。また、同図では、符号15がトレッドゴムであり、符号16がサイドウォールゴムであり、符号17がリムクッションゴムである。また、空気入りタイヤ1は、各ビード部の内部に、スチールワイヤであるビードワイヤをタイヤ周方向にリング状に巻くことにより形成されたビードコア11が設けられている。また、空気入りタイヤ1は、一対のビードコア11、11のタイヤ径方向外周にそれぞれ配置された一対のビードフィラー12、12を備える。そして、空気入りタイヤ1は、一対のビードコア11、11でタイヤ幅方向内側からタイヤ幅方向外側に折り返され、かつタイヤ周方向にトロイド状に掛け回されてタイヤの骨格を構成するようにカーカス層13が設けられている。さらに、空気入りタイヤ1は、トレッド部2の内部においてカーカス層13の外周であるタイヤ径方向外側に配置され、少なくとも2層のベルトを積層した多層構造をなすベルト層14が設けられている。
ベルト層14は、一対の交差ベルト141、142と、ベルトカバー143および一対のベルトエッジカバー144_R、144_Lとを積層して成り、カーカス層13の外周に掛け廻されて配置される。
一対の交差ベルト141、142は、スチールあるいは有機繊維材から成る複数のベルトコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成され、絶対値で20[deg]以上55[deg]以下のベルト角度を有する。また、一対の交差ベルト141、142は、相互に異符号のベルト角度(タイヤ周方向に対するベルトコードの繊維方向の傾斜角)を有し、ベルトコードの繊維方向を相互に交差させて積層される(クロスプライ構造)。
ベルトカバー143および一対のベルトエッジカバー144_R、144_Lは、スチールあるいは有機繊維材から成るベルトコードをコートゴムで被覆して構成され、絶対値で0[deg]以上10[deg]以下のベルト角度を有する。また、ベルトカバー143および一対のベルトエッジカバー144_R、144_Lは、例えば、(A)複数本のベルトコードをコートゴムで被覆して圧延加工して成形されたシート状部材から成り、交差ベルト141、142のタイヤ径方向外側に積層されて配置されても良いし、(B)1本あるいは複数本のベルトコードをコートゴムで被覆して成るストリップ材から成り、このストリップ材を交差ベルト141、142のタイヤ径方向外側かつタイヤ周方向に複数回かつ螺旋状に巻き付けて構成されても良い。また、ベルトカバー143は、交差ベルト141、142の全域を覆って配置され、一対のベルトエッジカバー144_R、144_Lは、タイヤ幅方向に相互に離間し、また、交差ベルト141、142の左右のエッジ部をそれぞれ覆って配置される。
なお、図1の構成では、ベルト層14が、ベルトカバー143および一対のベルトエッジカバー144_R、144_Lの双方を備えている。しかし、これに限らず、ベルト層14がベルトカバー143および一対のベルトエッジカバー144_R、144_Lの一方のみを備え、他方が省略されても良い(図示省略)。
[リブの突出量]
図2は、図1に記載した空気入りタイヤのトレッド部の子午断面図である。図3は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。図4〜図6は、図1に記載したトレッド部の子午断面拡大図である。これらの図において、図2および図3は、トレッドプロファイルとベルトカバー143およびベルトエッジカバー144_R、144_Lとの関係を示している。また、図4は、トレッド部センター領域にあるリブ23のプロファイルを示し、図5は、トレッド部ショルダー領域にあるリブ23のプロファイルを示している。また、図6は、図4に記載したリブの変形例を示している。
図2は、図1に記載した空気入りタイヤのトレッド部の子午断面図である。図3は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。図4〜図6は、図1に記載したトレッド部の子午断面拡大図である。これらの図において、図2および図3は、トレッドプロファイルとベルトカバー143およびベルトエッジカバー144_R、144_Lとの関係を示している。また、図4は、トレッド部センター領域にあるリブ23のプロファイルを示し、図5は、トレッド部ショルダー領域にあるリブ23のプロファイルを示している。また、図6は、図4に記載したリブの変形例を示している。
このような空気入りタイヤ1において、新品時、図2および図3に示すように、少なくとも2本のリブ23は、トレッド面21の輪郭線Lよりもタイヤ径方向外側に突出して形成されている。そして、突出して形成された各リブ23は、突出量Gがタイヤ幅方向の一側から他側に向けて順次小さく形成されている。図2においては、タイヤ幅方向最外側のリブ23は突出して形成されず、周方向溝22で挟まれて設けられている3本のリブが輪郭線Lから突出して形成されており、一側から他側に向けて突出量GがGa>Gb>Gcの関係とされている例を示している。また、図3においては、全て(4本)のリブ23が輪郭線Lから突出して形成されており、一側から他側に向けて突出量GがGd>Ge>Gf>Ggの関係とされている。
なお、輪郭線Lよりも突出する少なくとも2本のリブ23は、周方向溝22を間において隣接する関係でなくてもよく、輪郭線Lよりも突出する各リブ23のタイヤ幅方向の間に輪郭線Lよりも突出しないリブ23が存在していてもよい。
ここで、輪郭線Lとは、図4に示すように、周方向溝22に挟んで配置されるリブ23の場合、子午断面において、当該リブ23のタイヤ幅方向の両側に隣接する2本の周方向溝22における4つの開口端Pのうちの少なくとも3つを通り、トレッド面21のタイヤ径方向内側に中心を持って最大曲率半径で描ける円弧をいう。
また、輪郭線Lとは、図5に示すように、タイヤ幅方向最外側のリブ23の場合、子午断面において、当該リブ23に接地端Tを有し、当該接地端TをP1とし、このリブ23に隣接する周方向溝22のタイヤ幅方向外側寄りの開口端をP2とし、当該周方向溝22のタイヤ幅方向内側寄りの開口端をP3としたとき、P1,P2,P3を通り、トレッド面21のタイヤ径方向内側に中心を持つ曲率半径の円弧をいう。
なお、図6に示すように、周方向溝22の開口端に面取Cが施されている場合、タイヤ径方向最外側に位置する端点を開口端として上記のごとく輪郭線Lを規定する。図6では、周方向溝22に挟んで配置されるリブ23を示しているが、タイヤ幅方向最外側のリブ23であっても同様である。
また、接地端Tとは、空気入りタイヤ1を正規リムにリム組みし、かつ正規内圧を充填するとともに正規荷重をかけたとき、この空気入りタイヤ1のトレッド部2のトレッド面21が路面と接地する領域において、タイヤ幅方向の両最外端をいい、タイヤ周方向に連続する。
正規リムとは、JATMAで規定する「標準リム」、TRAで規定する「Design Rim」、あるいは、ETRTOで規定する「Measuring Rim」である。また、正規内圧とは、JATMAで規定する「最高空気圧」、TRAで規定する「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、あるいはETRTOで規定する「INFLATION PRESSURES」である。また、正規荷重とは、JATMAで規定する「最大負荷能力」、TRAで規定する「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、あるいはETRTOで規定する「LOAD CAPACITY」である。
このように、本実施形態の空気入りタイヤ1は、トレッド部2にタイヤ周方向に沿って延在する少なくとも3本の周方向溝22により、タイヤ周方向に沿って延在する少なくとも4本のリブ23が区画形成される空気入りタイヤ1において、少なくとも2本のリブ23は、子午断面にてトレッド面の輪郭線Lよりもタイヤ径方向外側に突出しており、その突出量Gがタイヤ幅方向の一側から他側に向けて順次小さく形成されている。
この空気入りタイヤ1によれば、輪郭線Lよりも突出する少なくとも2本のリブ23において、突出量Gが一側から他側に向けて順次小さく形成されていることで、ネガティブキャンバー付きとした場合に一側を車両外側とし他側を車両内側として車両に装着する一方、ポジティブキャンバー付きとした場合に一側を車両内側とし他側を車両外側として車両に装着することで、タイヤ幅方向において接地性が向上するため、高速走行時の操縦安定性を向上することが可能になる。しかも、ネガティブキャンバー付きとした場合に一側を車両外側とし他側を車両内側として車両に装着する一方、ポジティブキャンバー付きとした場合に一側を車両内側とし他側を車両外側として車両に装着することで、タイヤ幅方向において過度の接地が緩和するため、各リブ23間で接地長(トレッド面21が路面と接地する領域におけるタイヤ周方向の長さ)が均一化され、キャンバー付き高速走行での耐久性を向上することが可能になる。この結果、高速走行での操縦安定性およびキャンバー付き高速走行での耐久性を両立することができる。
また、本実施形態の空気入りタイヤ1では、輪郭線Lからのリブ23の突出量Gは、0.05mm以上2.0mm以下であることが好ましい。
リブ23の突出量Gが0.05mm未満であると、リブ23の突出量Gが小さくなり、接地性の向上効果および接地長の均一効果が得難い傾向となる。一方、リブ23の突出量Gが2.0mmを超えると、リブ23の突出量Gが大きくなり、接地性の向上効果および接地長の均一効果が得難い傾向となる。このため、リブ23の突出量Gを0.05mm以上2.0mm以下とすることで、高速走行での操縦安定性およびキャンバー付き高速走行での耐久性を両立する効果を顕著に得ることができる。なお、高速走行での操縦安定性およびキャンバー付き高速走行での耐久性を両立する効果をより顕著に得るには、輪郭線Lからのリブ23の突出量Gは、0.2mm以上0.6mm以下とすることが好ましい。
また、本実施形態の空気入りタイヤ1では、車両装着時での車両内外の向きが指定されており、リブ23の突出量Gは、車両外側から車両内側に向けて順次小さく形成されていることが好ましい。
このような空気入りタイヤ1は、例えば、サイドウォール部に設けられた指標により車両装着時での車両内外の向きが示されていることで車両内外の向きが指定されている。なお、車両内側および車両外側の指定は、車両に装着した場合に限らない。例えば、リム組みした場合に、タイヤ幅方向において、車両の内側および外側に対するリムの向きが決まっている。このため、空気入りタイヤ1は、リム組みした場合、タイヤ幅方向において、車両内側および車両外側に対する向きが指定される。
この空気入りタイヤ1によれば、高速走行に対応する場合、ネガティブキャンバー付きとすることが操縦安定性を向上するうえで好ましい。従って、リブ23の突出量Gを、車両外側から車両内側に向けて順次小さく形成することで、ネガティブキャンバー付きとした場合に接地性の向上効果および接地長の均一効果が顕著に得られる。この結果、高速走行での操縦安定性およびネガティブキャンバー付き高速走行での耐久性を両立する効果を顕著に得ることができる。
また、本実施形態の空気入りタイヤ1では、輪郭線Lから突出するリブ23は、周方向溝22を間において隣接して設けられており、当該隣接する各リブ23の突出量Gの差ΔG(図2におけるGa−GbおよびGb−Gc、図3におけるGd−Ge、Ge−GfおよびGf−Gg)が、0.1mm≦ΔG≦0.8mmの範囲にあることが好ましく、0.2mm≦ΔG≦0.5mmの範囲にあることがより好ましい。
隣接する各リブ23の突出量Gの差ΔGが0.1mm未満であると、各リブ23間での突出量Gの差が小さ過ぎて、接地性の向上効果および接地長の均一効果が得難い傾向となる。一方、隣接する各リブ23の突出量Gの差ΔGが0.8mmを超えると、各リブ23間での突出量Gの差が大き過ぎて、接地性の向上効果および接地長の均一効果が得難い傾向となる。このため、隣接する各リブ23の突出量Gの差ΔGを0.1mm以上0.8mm以下とすることで、高速走行での操縦安定性およびキャンバー付き高速走行での耐久性を両立する効果を顕著に得ることができる。
また、タイヤ赤道面CLを境界とするタイヤ幅方向の一側の領域における各リブ23の突出量の総和ΣG_Rと、他側の領域に配置されたリブ23の突出量の総和ΣG_Lとの差ΣG_R−ΣG_Lが、0.4[mm]≦ΣG_R−ΣG_L≦0.9[mm]の範囲にあることが好ましく、0.5[mm]≦ΣG_R−ΣG_L≦0.7[mm]の範囲にあることがより好ましい。なお、タイヤ赤道面CL上にあるリブ23の突出量は、上記の比較対象から除外される。
また、本実施形態の空気入りタイヤ1では、輪郭線Lから突出するリブ23は、周方向溝22で挟まれて設けられていることが好ましい。
すなわち、図2に示すように、輪郭線Lから突出するリブ23は、周方向溝22で挟まれて設けられているもので、タイヤ幅方向最外側(ショルダー側)のリブ23を除くタイヤ幅方向内側の各リブ23である。このタイヤ幅方向内側の各リブ23は、輪郭線Lよりもタイヤ径方向外側に突出させ、その突出量Gをタイヤ幅方向の一側から他側に向けて順次小さく形成することで、接地性の向上効果および接地長の均一効果に大きく寄与するため、高速走行での操縦安定性およびキャンバー付き高速走行での耐久性を両立する効果を顕著に得ることができる。
[ベルトカバー/ベルトエッジカバーの非対称構造]
上記のように、この空気入りタイヤ1では、2列以上のリブ23がタイヤ子午断面にてトレッド面21の輪郭線Lよりもタイヤ径方向外側に突出し、且つ、タイヤ幅方向の一側にあるリブ23の突出量Gが、タイヤ幅方向の他側にあるリブの突出量Gよりも大きい(図2では、Gc<Gb<Ga、図3では、Gg<Gf<Ge<Gd)。かかる構成では、ドライ路面での接地性が確保されて、高速走行時の操縦安定性が確保される。同時に、タイヤが大きなキャンバー角を有する車両に装着されたときに、トレッド全体におけるリブの接地長が均一化されて、高速走行時の耐久性が確保される。これにより、高速走行での操縦安定性とキャンバー付き高速走行での耐久性とが両立する。
上記のように、この空気入りタイヤ1では、2列以上のリブ23がタイヤ子午断面にてトレッド面21の輪郭線Lよりもタイヤ径方向外側に突出し、且つ、タイヤ幅方向の一側にあるリブ23の突出量Gが、タイヤ幅方向の他側にあるリブの突出量Gよりも大きい(図2では、Gc<Gb<Ga、図3では、Gg<Gf<Ge<Gd)。かかる構成では、ドライ路面での接地性が確保されて、高速走行時の操縦安定性が確保される。同時に、タイヤが大きなキャンバー角を有する車両に装着されたときに、トレッド全体におけるリブの接地長が均一化されて、高速走行時の耐久性が確保される。これにより、高速走行での操縦安定性とキャンバー付き高速走行での耐久性とが両立する。
ところで、上記の構成では、トレッド面の形状がタイヤ赤道面CLを境界とする左右の領域で非対称となるため、コニシティが悪化するおそれがある。
そこで、この空気入りタイヤ1では、高速走行での操縦安定性とキャンバー付き高速走行での耐久性とを両立しつつコニシティを確保するために、以下の構成を採用している。
すなわち、図2および図3において、タイヤ赤道面CLを境界とするタイヤ幅方向の一側の領域におけるベルトカバー143の剛性が、タイヤ幅方向の他側の領域におけるベルトカバー143の剛性よりも大きい。または、タイヤ幅方向の一側の領域におけるベルトエッジカバー144_Rの剛性が、タイヤ幅方向の他側の領域におけるベルトエッジカバー144_Lの剛性よりも大きい。すなわち、ベルトカバー143あるいは一対のベルトエッジカバー144_R、144_Lの剛性が、タイヤ赤道面CLを境界とする左右の領域にて非対称に構成される。
かかる構成では、タイヤ赤道面CLを境界とする一側の領域にあるベルトカバー143あるいはベルトエッジカバー144_Rの剛性が大きく設定されるので、一側の領域におけるインフレート状態でのタイヤの径成長が抑制される。すると、リブ23の突出量Gがタイヤ左右の領域で非対称となることに起因するタイヤ左右の領域のアンバランスが、タイヤ全体として緩和される。これにより、タイヤ左右の領域の接地形状が均一化されて、コニシティが確保される。
なお、この実施の形態では、ベルトカバー143および一対のベルトエッジカバー144_R、144_Lのいずれか一方のみが左右非対称な構造を有する場合を想定して説明する。しかし、これに限らず、ベルトカバー143および一対のベルトエッジカバー144_R、144_Lの双方が非対称構造を有しても良い。また、ベルトカバー143および一対のベルトエッジカバー144_R、144_Lが採り得る各種の非対称構造は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせ得る。
[非対称構造の具体例]
具体的には、ベルトカバー143あるいはベルトエッジカバー144_R、144_Lが以下の非対称構造を有することにより、タイヤ赤道面CLを境界とする一側の領域にあるベルトカバー143あるいはベルトエッジカバー144_Rの剛性が大きく設定される。なお、以下の非対称構造の具体例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせ得る。
具体的には、ベルトカバー143あるいはベルトエッジカバー144_R、144_Lが以下の非対称構造を有することにより、タイヤ赤道面CLを境界とする一側の領域にあるベルトカバー143あるいはベルトエッジカバー144_Rの剛性が大きく設定される。なお、以下の非対称構造の具体例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせ得る。
例えば、一側の領域におけるベルトカバー143のベルトコードの本数N1_Rと、他側の領域におけるベルトカバー143のベルトコードの本数N1_Lとが、N1_L<N1_Rの関係を有する。これにより、タイヤ左右の領域の剛性差が形成される。
また、ベルトコードの本数N1_R、N1_Lが、20[本]≦N1_R≦210[本]および2[本]≦N1_L≦40[本]の範囲にあることが好ましい。20[本]≦N1_Rかつ2[本]≦N1_Lであることにより、ベルトカバー143の機能が適正に確保される。また、N1_R≦210[本]かつN1_L≦40[本]であることにより、ベルトコードが過多となることに起因するタイヤ重量の増加が抑制される。
また、ベルトコードの本数N1_R、N1_Lの差が、4[本]≦N1_R−N1_L≦30[本]の範囲にあることが好ましく、10[本]≦N1_R−N1_L≦20[本]の範囲にあることがより好ましい。上記の下限により、タイヤ左右の領域の剛性差が適正に確保される。また、上記の上限により、タイヤ左右の領域の剛性差が過大となることに起因するユニフォミティの悪化が抑制される。
また、一側の領域におけるベルトエッジカバー144_Rのベルトコードの本数N2_Rと、他側の領域におけるベルトエッジカバー144_Lのベルトコードの本数N2_Lとが、N2_L<N2_Rの関係を有する。これにより、タイヤ左右の領域の剛性差が形成される。また、ベルトコードの本数N2_R、N2_Lが、20[本]≦N2_R≦210[本]および2[本]≦N2_L≦40[本]の範囲にあることが好ましい。また、ベルトコードの本数N2_R、N2_Lの差が、4[本]≦N2_R−N2_L≦30[本]の範囲にあることが好ましい。
また、ベルトコードの本数N2_R、N2_Lが、20[本]≦N2_R≦210[本]および2[本]≦N2_L≦40[本]の範囲にあることが好ましい。20[本]≦N2_Rかつ2[本]≦N2_Lであることにより、ベルトエッジカバー144_R、144_Lの機能が適正に確保される。また、N2_R≦210[本]かつN2_L≦40[本]であることにより、ベルトコードが過多となることに起因するタイヤ重量の増加が抑制される。
また、ベルトコードの本数N2_R、N2_Lの差が、4[本]≦N2_R−N2_L≦30[本]の範囲にあることが好ましく、10[本]≦N2_R−N2_L≦20[本]の範囲にあることがより好ましい。上記の下限により、タイヤ左右の領域の剛性差が適正に確保される。また、上記の上限により、タイヤ左右の領域の剛性差が過大となることに起因するユニフォミティの悪化が抑制される。
ベルトコードの本数(N1_R、N1_L、N2_R、N2_L)は、タイヤ子午断面におけるベルトコードの見かけ上の本数として定義される。すなわち、ベルトコードの本数は、タイヤ子午断面にて、タイヤ赤道面CLを境界とする一側の領域および他側の領域にあるベルトコードの断面の総数としてカウントされる。したがって、ベルトカバー143あるいはベルトエッジカバー144_R、144_Lが、(A)複数本のベルトコードをコートゴムで被覆して圧延加工して成形されたシート状部材から成り、交差ベルト141、142のタイヤ径方向外側に積層されて配置される構成(図示省略)、および、(B)1本あるいは複数本のベルトコードをコートゴムで被覆して成るストリップ材から成り、このストリップ材を交差ベルト141、142のタイヤ径方向外側かつタイヤ周方向に複数回かつ螺旋状に巻き付けて形成される構造(後述する図7〜図10参照)のいずれの場合においても、ベルトコードの本数が同様に定義される。なお、タイヤ赤道面CL上にあるベルトコードは、上記のカウントから除外される。
また、ベルトコードの本数は、後述するようにベルトカバー143あるいはベルトエッジカバー144_R、144_Lの積層枚数、ベルトコードのエンド数あるいは巻き付け間隔などにより調整できる。
図7〜図10は、図1に記載したベルトカバーおよびベルトエッジカバーの構造を示す説明図である。同図は、一例として、ベルトエッジカバー144(144_L、144_R)の構造を示している。同図の構造は、ベルトカバー143にも同様に適用できる。
図7の構成では、ベルトエッジカバー144が、1本のベルトコード1441をコートゴム1442で被覆して成るストリップ材から成り、このストリップ材を交差ベルト141、142のタイヤ径方向外側かつタイヤ周方向に複数回かつ螺旋状に一重巻きで巻き付けて構成されている。かかる構成では、タガ効果が交差ベルト141、142に作用して、インフレート時におけるタイヤの径成長が抑制される。これにより、タイヤの接地形状が適正に確保される。
図8の構成では、ベルトエッジカバー144が、複数本(図8では、2本)のベルトコード1441、1441をコートゴム1442で被覆して成るストリップ材から成り、このストリップ材を交差ベルト141、142のタイヤ径方向外側かつタイヤ周方向に複数回かつ螺旋状に巻き付けて構成されている。このとき、複数本のベルトコード1441、1441がタイヤ幅方向に並列に配置(いわゆる横置き)されて、交差ベルト141、142の外周に巻き付けられる。かかる構成としても、ベルトエッジカバー144の機能が適正に確保される。
図9の構成では、ベルトエッジカバー144が、1本のベルトコード1441をコートゴム1442で被覆して成るストリップ材から成り、このストリップ材を交差ベルト141、142のタイヤ径方向外側かつタイヤ周方向に複数回かつ螺旋状に巻き付けて構成されている。また、ストリップ材が多重巻き(図9では、2重巻き)で巻き付けられることにより、ベルトエッジカバー144が、多層構造を有している。なお、ベルトエッジカバー144がシート状部材から成る構成(図示省略)では、複数のシート状部材が積層されて、ベルトエッジカバー144の多層構造が形成される。
図10の構成では、ベルトエッジカバー144が、複数本(図10では、2本)のベルトコード1441、1441をコートゴム1442で被覆して成るストリップ材から成り、このストリップ材を交差ベルト141、142のタイヤ径方向外側かつタイヤ周方向に複数回かつ螺旋状に巻き付けて構成されている。このとき、複数本のベルトコード1441、1441がタイヤ径方向に並列に配置(いわゆる縦置き)されて、交差ベルト141、142の外周に巻き付けられる。かかる構成としても、ベルトエッジカバー144の多層構造が形成される。
図2および図3において、一側の領域におけるベルトカバー143の幅W1_Rと、他側の領域におけるベルトカバー143の幅W1_Lとが、W1_L<W1_Rの関係を有しても良い。これにより、タイヤ左右の領域の剛性差が形成される。
また、ベルトカバー143の各領域における幅W1_R、W1_Lは、ベルトカバー143が交差ベルト141、142の全体を覆い得る大きさに設定される。このため、幅W1_R、W1_Lは、交差ベルト141、142の幅に依存する。
また、ベルトカバー143の幅W1_R、W1_Lの差が、5[mm]≦W1_R−W1_L≦30[mm]の範囲にあることが好ましく、10[mm]≦W1_R−W1_L≦20[mm]の範囲にあることがより好ましい。上記の下限により、タイヤ左右の領域の剛性差が適正に確保される。また、上記の上限により、タイヤ左右の領域の剛性差が過大となることに起因するユニフォミティの悪化が抑制される。
ベルトカバー143の幅W1_R、W1_Lは、タイヤ子午断面にて、タイヤ赤道面CLと、ベルトカバー143の端部にあるベルトコードとの距離として測定される。
また、図2および図3において、一側の領域におけるベルトエッジカバー144_Rの幅W2_Rと、他側の領域におけるベルトエッジカバー144_Lの幅W2_Lとが、W2_L<W2_Rの関係を有しても良い。これにより、タイヤ左右の領域の剛性差が形成される。
また、ベルトエッジカバー144_R、144_Lの幅W2_R、W2_Lが、20[mm]≦W2_R≦50[mm]および5[mm]≦W2_L≦20[mm]の範囲にあることが好ましい。上記の下限により、ベルトエッジカバー144_R、144_Lの機能が適正に確保される。また、上記の上限により、ベルトエッジカバー144_R、144_Lが過剰に幅広となることに起因するタイヤ重量の増加が抑制される。
また、ベルトエッジカバー144_R、144_Lの幅W2_R、W2_Lの差が、5[mm]≦W2_R−W2_L≦30[mm]の範囲にあることが好ましく、10[mm]≦W2_R−W2_L≦20[mm]の範囲にあることがより好ましい。上記の下限により、タイヤ左右の領域の剛性差が適正に確保される。また、上記の上限により、タイヤ左右の領域の剛性差が過大となることに起因するユニフォミティの悪化が抑制される。
ベルトエッジカバー144_R、144_Lの幅W2_R、W2_Lは、タイヤ子午断面にて、各ベルトエッジカバー144_R、144_Lの両端部にあるベルトコード間の距離として測定される。
また、図2および図3において、一側の領域におけるベルトカバー143の積層数が、他側の領域におけるベルトカバー143の積層数よりも多くても良い。(図示省略)。例えば、図2および図3において、一側の領域におけるベルトカバー143が多層構造を有し、他側の領域におけるベルトカバー143が単層構造を有しても良い。具体的には、ベルトカバー143を構成するストリップ材が1本のベルトコード1441をコートゴム1442で被覆して成るストリップ材から成り、このストリップ材が一側の領域にて図7に示す一重巻きで配置され、他側の領域にて図9に示す二重巻きで配置される。あるいは、ベルトカバー143を構成するストリップ材が2本のベルトコード1441、1441をコートゴム1442で被覆して成るストリップ材から成り、このストリップ材が一側の領域にて図8に示す横置きで配置され、他側の領域にて図10に示す縦置きで配置される。これにより、ベルトカバー143の一側の領域の積層数と他側の領域の積層数とが相異して、タイヤ左右の領域の剛性差が形成される。
また、一側の領域におけるベルトカバー143の積層数が2層以上3層以下であり、且つ、他側の領域におけるベルトカバー143の積層数が1層以上2層以下であることが好ましい。上記の下限により、ベルトカバー143の積層数が確保されて、ベルトカバー143の機能が確保される。上記の上限により、ベルトカバー143の積層数が過大となることに起因するタイヤ重量の増加が抑制される。
また、一側の領域におけるベルトカバー143の積層数と他側の領域におけるベルトカバー143の積層数との差が、1層であることが好ましい。これにより、タイヤ左右の領域の剛性差が適正化される。
また、図2および図3において、一側の領域におけるベルトエッジカバー144_Rの積層数が、他側の領域におけるベルトエッジカバー144_Lの積層数よりも多くても良い(図示省略)。例えば、図2および図3において、一側の領域におけるベルトエッジカバー144_Rが多層構造を有し、他側の領域におけるベルトエッジカバー144_Lが単層構造を有しても良い。これにより、タイヤ左右の領域の剛性差が形成される。
また、一側の領域におけるベルトエッジカバー144_Rの積層数が2層以上3層以下であり、且つ、他側の領域におけるベルトエッジカバー144_Lの積層数が1層以上2層以下であることが好ましい。上記の下限により、ベルトエッジカバー144_R、144_Lの積層数が確保されて、ベルトエッジカバー144_R、144_Lの機能が確保される。上記の上限により、ベルトエッジカバー144_R、144_Lの積層数が過大となることに起因するタイヤ重量の増加が抑制される。
また、一側の領域におけるベルトエッジカバー144_Rの積層数と他側の領域におけるベルトエッジカバー144_Lの積層数との差が、1層であることが好ましい。これにより、タイヤ左右の領域の剛性差が適正化される。
また、図2および図3において、一側の領域におけるベルトカバー143のエンド数NE1_Rと、他側の領域におけるベルトカバー143のエンド数NE1_Lとが、NE1_L<NE1_Rの関係を有しても良い。これにより、タイヤ左右の領域の剛性差が形成される。
また、一側の領域におけるベルトカバー143のエンド数NE1_Rが、30[本/50mm]≦NE1_R≦70[本/50mm]の範囲にあり、且つ、他側の領域におけるベルトカバー143のエンド数NE1_Lが、20[本/50mm]≦NE1_L≦50[本/50mm]の範囲にあることが好ましい。上記の下限により、ベルトカバー143のエンド数が確保されて、ベルトカバー143の機能が確保される。上記の上限により、ベルトカバー143のエンド数が過大となることに起因するタイヤ重量の増加が抑制される。
また、一側の領域におけるベルトカバー143のエンド数NE1_Rと他側の領域におけるベルトカバー143のエンド数NE1_Lとの差が、5[本/50mm]≦NE1_R−NE1_L≦30[本/50mm]の範囲にあることが好ましく、10[本/50mm]≦NE1_R−NE1_L≦20[本/50mm]の範囲にあることがより好ましい。上記の下限により、タイヤ左右の領域の剛性差が適正に確保される。また、上記の上限により、タイヤ左右の領域の剛性差が過大となることに起因するユニフォミティの悪化が抑制される。
また、図2および図3において、一側の領域におけるベルトエッジカバー144_Rのエンド数NE2_Rと、他側の領域におけるベルトエッジカバー144_Lのエンド数NE2_Lとが、NE2_L<NE2_Rの関係を有しても良い。これにより、タイヤ左右の領域の剛性差が形成される。
また、一側の領域におけるベルトエッジカバー144_Rのエンド数NE2_Rが、30[本/50mm]≦NE2_R≦70[本/50mm]の範囲にあり、且つ、他側の領域におけるベルトエッジカバー144_Lのエンド数NE2_Lが、20[本/50mm]≦NE2_L≦50[本/50mm]の範囲にあることが好ましい。上記の下限により、ベルトエッジカバー144_R、144_Lのエンド数が確保されて、ベルトエッジカバー144_R、144_Lの機能が確保される。上記の上限により、ベルトエッジカバー144_R、144_Lのエンド数が過大となることに起因するタイヤ重量の増加が抑制される。
また、一側の領域におけるベルトエッジカバー144_Rのエンド数NE2_Rと他側の領域におけるベルトエッジカバー144_Lのエンド数NE2_Lとの差が、5[本/50mm]≦NE2_R−NE2_L≦30[本/50mm]の範囲にあることが好ましく、10[本/50mm]≦NE2_R−NE2_L≦20[本/50mm]の範囲にあることがより好ましい。上記の下限により、タイヤ左右の領域の剛性差が適正に確保される。また、上記の上限により、タイヤ左右の領域の剛性差が過大となることに起因するユニフォミティの悪化が抑制される。
エンド数は、例えば、図7〜図10の構成にて、ベルトカバー143あるいは各ベルトエッジカバー144_R、144_Lのストリップ材の巻き付け間隔Pを変更することにより、調整できる。
図11は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。同図は、トレッドプロファイルとベルトカバー143およびベルトエッジカバー144_R、144_Lとの関係を示している。
図2および図3の構成では、ベルトカバー143が、単一構造を有し、交差ベルト141、142の全域を覆って配置されている。具体的には、例えば、(A)ベルトカバー143が複数本のベルトコードをコートゴムで被覆して圧延加工して成形された単一のシート状部材から成り、このシート状部材が交差ベルト141、142の全域を覆って配置された構成、あるいは、(B)ベルトカバー143が1本あるいは複数本のベルトコードをコートゴムで被覆して成るストリップ材から成り、このストリップ材が交差ベルト141、142の全域に渡って連続して巻き付けられた構成が採用され得る。
これに対して、図11の構成では、一対のベルトカバー143_R、143_Lが、タイヤ幅方向に並列に配置されて交差ベルト141、142の全域を覆っている。このとき、一対のベルトカバー143_R、143_Lのスプライス部がタイヤ赤道面CL上に配置されても良いし(図11参照)、タイヤ赤道面CLから外れた位置に配置されても良い(図示省略)。また、2枚以上のベルトカバーが、タイヤ幅方向に並列に配置されて交差ベルト141、142の全域を覆っても良い(図示省略)。このように、複数のベルトカバー143_R、143_Lが用いられる構成では、各ベルトカバー143_R、143_Lの構造あるいは物性を異ならせることにより、タイヤ左右の領域の剛性差を形成できる。
例えば、図11において、一側の領域におけるベルトカバー143_Rのベルトコードの撚り数TC1_Rと、他側の領域におけるベルトカバー143_Lのベルトコードの撚り数TC1_Lとが、TC1_L<TC1_Rの関係を有しても良い。
また、一側の領域におけるベルトカバー143_Rのベルトコードの撚り数TC1_Rが、2[本]≦TC1_R≦4[本]の範囲にあり、他側の領域におけるベルトカバー143_Lのベルトコードの撚り数TC1_Lが、1[本]≦TC1_L≦3[本]の範囲にあることが好ましい。上記の下限により、ベルトコードを撚り線構造としたことの良さが確保される。上記の上限により、ベルトコードの撚り数が過剰となることに起因するベルトコードの機能の低下が抑制される。
また、一側の領域におけるベルトカバー143_Rのベルトコードの撚り数TC1_Rと他側の領域におけるベルトカバー143_Lのベルトコードの撚り数TC1_Lとの差が、1[本]であることが好ましい。これにより、タイヤ左右の領域の剛性差が適正化される。
また、図2、図3および図11において、一側の領域におけるベルトエッジカバー144_Rのベルトコードの撚り数TC2_Rと、他側の領域におけるベルトエッジカバー144_Lのベルトコードの撚り数TC2_Lとが、TC2_L<TC2_Rの関係を有しても良い。これにより、タイヤ左右の領域の剛性差が形成される。
また、一側の領域におけるベルトエッジカバー144_Rのベルトコードの撚り数TC2_Rが、2[本]≦TC2_R≦4[本]の範囲にあり、他側の領域におけるベルトエッジカバー144_Lのベルトコードの撚り数TC2_Lが、1[本]≦TC2_L≦3[本]の範囲にあることが好ましい。上記の下限により、ベルトコードを撚り線構造としたことの良さが確保される。上記の上限により、ベルトコードの撚り数が過剰となることに起因するベルトコードの機能の低下が抑制される。
また、一側の領域におけるベルトエッジカバー144_Rのベルトコードの撚り数TC2_Rと他側の領域におけるベルトエッジカバー144_Lのベルトコードの撚り数TC2_Lとの差が、1本であることが好ましい。これにより、タイヤ左右の領域の剛性差が適正化される。
また、図2、図3および図11において、一側の領域におけるベルトカバー143、143_Rのベルトコードの中間伸度E1_Rと、他側の領域におけるベルトカバー143、143_Lのベルトコードの中間伸度E1_Lとが、E1_R<E1_Lの関係を有しても良い。これにより、タイヤ左右の領域の剛性差が形成される。
また、一側の領域におけるベルトカバー143、143_Rのベルトコードの中間伸度E1_Rが2[%]≦E1_R≦7[%]の範囲にあり、且つ、他側の領域におけるベルトカバー143、143_Lのベルトコードの中間伸度E1_Lが5[%]≦E1_L≦10[%]の範囲にあることが好ましい。これにより、ベルトコードの中間伸度が適正化されて、ベルトカバーの機能が確保される。
また、一側の領域におけるベルトカバー143、143_Rのベルトコードの中間伸度E1_Rと他側の領域におけるベルトカバー143、143_Lのベルトコードの中間伸度E1_Lとの差が、1[%]≦E1_L−E1_R≦3[%]の範囲にあることが好ましい。上記の下限により、ベルトコードの中間伸度の差が確保されて、タイヤ左右の領域の剛性差が確保される。また、上記の上限により、ベルトコードの中間伸度の差が過大となることに起因するユニフォミティの悪化が抑制される。
また、図2、図3および図11において、一側の領域におけるベルトエッジカバー144_Rのベルトコードの中間伸度E2_Rと、他側の領域におけるベルトエッジカバー144_Lのベルトコードの中間伸度E2_Lとが、E2_R<E2_Lの関係を有しても良い。
また、一側の領域におけるベルトエッジカバー144_Rのベルトコードの中間伸度E2_Rが2[%]≦E2_R≦7[%]の範囲にあり、且つ、他側の領域におけるベルトエッジカバー144_Lのベルトコードの中間伸度E2_Lが5[%]≦E2_L≦10[%]の範囲にあることが好ましい。これにより、ベルトコードの中間伸度が適正化されて、ベルトエッジカバーの機能が確保される。
また、一側の領域におけるベルトエッジカバー144_Rのベルトコードの中間伸度E2_Rと他側の領域におけるベルトエッジカバー144_Lのベルトコードの中間伸度E2_Lとの差が、1[%]≦E2_L−E2_R≦3[%]の範囲にあることが好ましい。上記の下限により、ベルトコードの中間伸度の差が確保されて、タイヤ左右の領域の剛性差が確保される。また、上記の上限により、ベルトコードの中間伸度の差が過大となることに起因するユニフォミティの悪化が抑制される。
ベルトコードの中間伸度は、JIS−L1017の条件下にて、単一のコード材に対して2.0[cN/dtex]の荷重が負荷されたときのコード材の伸び率として測定される。
また、図2、図3および図11において、一側の領域におけるベルトカバー143、143_Rのベルトコードの重量DT1_Rと、他側の領域におけるベルトカバー143、143_Lのベルトコードの重量DT1_Lとが、DT1_L<DT1_Rの関係を有しても良い。これにより、タイヤ左右の領域の剛性差が形成される。
また、一側の領域におけるベルトカバー143、143_Rのベルトコードの重量DT1_Rが900[dTex]≦DT1_R≦1700[dTex]の範囲にあり、且つ、他側の領域におけるベルトカバー143、143_Lのベルトコードの重量DT1_Lが700[dTex]≦DT1_L≦1000[dTex]の範囲にあることが好ましい。上記の上限により、ベルトコードの重量が確保されて、ベルトカバーの機能が確保される。上記の下限により、ベルトコードの重量が過大となることに起因するタイヤ重量の増加が抑制される。
また、一側の領域におけるベルトカバー143、143_Rのベルトコードの重量DT1_Rと他側の領域におけるベルトカバー143、143_Lのベルトコードの重量DT1_Lとの差が、200[dTex]≦DT1_R−DT1_L≦500[dTex]の範囲にあることが好ましい。上記の上限により、タイヤ左右の剛性差が適正に確保される。上記の下限により、ベルトコードの重量差が過大となることに起因するユニフォミティの悪化が抑制される。
また、図2、図3および図11において、一側の領域におけるベルトエッジカバー144_Rのベルトコードの重量DT2_Rと、他側の領域におけるベルトエッジカバー144_Lのベルトコードの重量DT2_Lとが、DT2_L<DT2_Rの関係を有しても良い。これにより、タイヤ左右の領域の剛性差が形成される。
また、一側の領域におけるベルトエッジカバー144_Rのベルトコードの重量DT2_Rが900[dTex]≦DT2_R≦1700[dTex]の範囲にあり、且つ、他側の領域におけるベルトエッジカバー144_Lのベルトコードの重量DT2_Lが700[dTex]≦DT2_L≦1000[dTex]の範囲にあることが好ましい。上記の上限により、ベルトコードの重量が確保されて、ベルトエッジカバーの機能が確保される。上記の下限により、ベルトコードの重量が過大となることに起因するタイヤ重量の増加が抑制される。
また、一側の領域におけるベルトエッジカバー144_Rのベルトコードの重量DT2_Rと他側の領域におけるベルトエッジカバー144_Lのベルトコードの重量DT2_Lとの差が、200[dTex]≦DT2_R−DT2_L≦500[dTex]の範囲にあることが好ましい。上記の下限により、タイヤ左右の剛性差が適正に確保される。上記の上限により、ベルトコードの重量差が過大となることに起因するユニフォミティの悪化が抑制される。
また、図2、図3および図11において、一側の領域における143、ベルトカバー143_Rのベルトコードの熱収縮率TS1_Rと、他側の領域における143、ベルトカバー143_Lのベルトコードの熱収縮率TS1_Lとが、TS1_L<TS1_Rの関係を有しても良い。これにより、タイヤ左右の領域の剛性差が形成される。
また、一側の領域におけるベルトカバー143、143_Rのベルトコードの熱収縮率TS1_Rが2[%]≦TS1_R≦7[%]の範囲にあり、且つ、他側の領域における143、ベルトカバー143_Lのベルトコードの熱収縮率TS1_Lが1[%]≦TS1_L≦5[%]の範囲にあることが好ましい。これにより、ベルトコードの熱収縮率が適正化されて、ベルトカバーの機能が適正に確保される。
また、一側の領域におけるベルトカバー143、143_Rのベルトコードの熱収縮率TS1_Rと他側の領域におけるベルトカバー143、143_Lのベルトコードの熱収縮率TS1_Lとの差が、1[%]≦TS1_R−TS1_L≦3[%]の範囲にあることが好ましい。上記の下限により、タイヤ左右の剛性差が適正に確保される。また、上記の上限により、ベルトコードの熱収縮率差が過大となることに起因するユニフォミティの悪化が抑制される。
また、図2、図3および図11において、一側の領域におけるベルトエッジカバー144_Rのベルトコードの熱収縮率TS2_Rと、他側の領域におけるベルトエッジカバー144_Lのベルトコードの熱収縮率TS2_Lとが、TS2_L<TS2_Rの関係を有しても良い。これにより、タイヤ左右の領域の剛性差が形成される。
また、一側の領域におけるベルトエッジカバー144_Rのベルトコードの熱収縮率TS2_Rが2[%]≦TS2_R≦7[%]の範囲にあり、且つ、他側の領域におけるベルトエッジカバー144_Lのベルトコードの熱収縮率TS2_Lが1[%]≦TS2_L≦5[%]の範囲にあることが好ましい。これにより、ベルトコードの熱収縮率が適正化されて、ベルトエッジカバーの機能が適正に確保される。
また、一側の領域におけるベルトエッジカバー144_Rのベルトコードの熱収縮率TS2_Rと他側の領域におけるベルトエッジカバー144_Lのベルトコードの熱収縮率TS2_Lとの差が、1[%]≦TS2_R−TS2_L≦3[%]の範囲にあることが好ましい。上記の下限により、タイヤ左右の剛性差が適正に確保される。また、上記の上限により、ベルトコードの熱収縮率差が過大となることに起因するユニフォミティの悪化が抑制される。
ベルトコードの熱収縮率は、JIS L1017の8.10乾熱収縮率におけるa)項の加熱時乾熱収縮率(A法)に準拠して、加熱条件を150℃×30分として行ない、荷重負荷時の伸び率の測定を、JIS L1017の8.7一定荷重時伸び率におけるa)項の標準時試験に準拠して、荷重条件を2.3cN/dtexとして行った。
また、図2、図3および図11において、一側の領域におけるベルトカバー143、143_Rのベルトコードのコード径D1_Rと、他側の領域におけるベルトカバー143、143_Lのベルトコードのコード径D1_Lとが、D1_L<D1_Rの関係を有しても良い。これにより、タイヤ左右の領域の剛性差が形成される。
また、一側の領域におけるベルトカバー143、143_Rのベルトコードのコード径D1_Rと他側の領域におけるベルトカバー143、143_Lのベルトコードのコード径D1_Lとの比が、1.1≦D1_R/D1_L≦2.0の関係を有することが好ましく、1.1≦D1_R/D1_L≦1.3の関係を有することがより好ましい。上記の下限により、タイヤ左右の剛性差が適正に確保される。また、上記の上限により、ベルトコードのコード径差が過大となることに起因するユニフォミティの悪化が抑制される。
また、図2、図3および図11において、一側の領域におけるベルトエッジカバー144_Rのベルトコードのコード径D2_Rと、他側の領域におけるベルトエッジカバー144_Lのベルトコードのコード径D2_Lとが、D2_L<D2_Rの関係を有しても良い。これにより、タイヤ左右の領域の剛性差が形成される。
また、一側の領域におけるベルトエッジカバー144_Rのベルトコードのコード径D2_Rと他側の領域におけるベルトエッジカバー144_Lのベルトコードのコード径D2_Lとの比が、1.1≦D2_R/D2_L≦2.0の関係を有することが好ましく、1.1≦D2_R/D2_L≦1.3の関係を有することがより好ましい。上記の下限により、タイヤ左右の剛性差が適正に確保される。また、上記の上限により、ベルトコードのコード径差が過大となることに起因するユニフォミティの悪化が抑制される。
ベルトコードのコード径は、図7〜図10の寸法記号Dが示すように、ベルトコードの外径として測定される。また、コードが撚り合わされた複数本のフィラメントから成る構成では、コード径が、ベルトコードの径方向断面視における外接円の直径として測定される。
また、図2、図3および図11において、一側の領域におけるベルトカバー143、143_Rのコートゴムの厚さT1_Rと、他側の領域におけるベルトカバー143、143_Lのコートゴムの厚さT1_Lとが、T1_L<T1_Rの関係を有しても良い。これにより、タイヤ左右の領域の剛性差が形成される。
また、一側の領域におけるベルトカバー143、143_Rのコートゴムの厚さT1_Rと他側の領域におけるベルトカバー143、143_Lのコートゴムの厚さT1_Lとが、1.2≦T1_R/T1_L≦2.0の関係を有することが好ましく、1.3≦T1_R/T1_L≦1.5の関係を有することがより好ましい。上記の下限により、タイヤ左右の剛性差が適正に確保される。また、上記の上限により、コートゴムの厚さの差が過大となることに起因するユニフォミティの悪化が抑制される。
また、図2、図3および図11において、一側の領域におけるベルトエッジカバー144_Rのコートゴムの厚さT2_Rと、他側の領域におけるベルトエッジカバー144_Lのコートゴムの厚さT2_Lとが、T2_L<T2_Rの関係を有しても良い。これにより、タイヤ左右の領域の剛性差が形成される。
また、一側の領域におけるベルトエッジカバー144_Rのコートゴムの厚さT2_Rと他側の領域におけるベルトエッジカバー144_Lのコートゴムの厚さT2_Lとが、1.2≦T2_R/T2_L≦2.0の関係を有することが好ましく、1.3≦T2_R/T2_L≦1.5の関係を有することがより好ましい。上記の下限により、タイヤ左右の剛性差が適正に確保される。また、上記の上限により、コートゴムの厚さの差が過大となることに起因するユニフォミティの悪化が抑制される。
コートゴムの厚さは、図7〜図10の寸法記号Tが示すように、ベルトカバーあるいはベルトエッジカバーの全体におけるコートゴムのタイヤ径方向の厚さとして測定される。例えば、図9のようにストリップ材が多重巻きされる構成や、図10のようにストリップ材が縦置きされる構成では、コートゴムの厚さが増加する。
また、図2、図3および図11において、一側の領域におけるベルトカバー143、143_Rのコートゴムの硬度Hs1_Rと、他側の領域におけるベルトカバー143、143_Lのコートゴムの硬度Hs1_Lとが、Hs1_L<Hs1_Rの関係を有しても良い。これにより、タイヤ左右の領域の剛性差が形成される。
また、一側の領域におけるベルトカバー143、143_Rのコートゴムの硬度Hs1_Rと他側の領域におけるベルトカバー143、143_Lのコートゴムの硬度Hs1_Lとの差が、3≦Hs1_R−Hs1_L≦10の範囲にあることが好ましく、4≦Hs1_R−Hs1_L≦5の範囲にあることがより好ましい。上記の下限により、タイヤ左右の剛性差が適正に確保される。また、上記の上限により、コートゴムの硬度差が過大となることに起因するユニフォミティの悪化が抑制される。
また、図2、図3および図11において、一側の領域におけるベルトエッジカバー144_Rのコートゴムの硬度Hs2_Rと、他側の領域におけるベルトエッジカバー144_Lのコートゴムの硬度Hs2_Lとが、Hs2_L<Hs2_Rの関係を有しても良い。これにより、タイヤ左右の領域の剛性差が形成される。
また、一側の領域におけるベルトエッジカバー144_Rのコートゴムの硬度Hs2_Rと他側の領域におけるベルトエッジカバー144_Lのコートゴムの硬度Hs2_Lとの差が、3≦Hs2_R−Hs2_L≦10の範囲にあることが好ましく、4≦Hs2_R−Hs2_L≦5の範囲にあることが好ましい。上記の下限により、タイヤ左右の剛性差が適正に確保される。また、上記の上限により、コートゴムの硬度差が過大となることに起因するユニフォミティの悪化が抑制される。
ゴム硬度Hsは、JIS−K6253に準拠したJIS−A硬度として測定される。
[効果]
以上説明したように、この空気入りタイヤ1は、カーカス層13と、カーカス層13のタイヤ径方向外側に配置される一対の交差ベルト141、142と、交差ベルト141、142のタイヤ径方向外側に配置されるベルトカバー143とを備える(図1参照)。また、タイヤ周方向に延在する少なくとも3本の周方向溝22と、周方向溝22に区画されて成る少なくとも4列の陸部23とをトレッド面21に備える。また、2列以上の陸部23が、タイヤ周方向に連続して延在するリブであり、タイヤ子午断面にてトレッド面21の輪郭線Lよりもタイヤ径方向外側に突出する(図2および図3参照)。また、タイヤ幅方向の一側にあるリブ23の突出量Gが、タイヤ幅方向の他側にあるリブ23の突出量Gよりも大きい(図2では、Gc<Gb<Ga、図3では、Gg<Gf<Ge<Gd)。また、タイヤ赤道面CLを境界とする一側の領域におけるベルトカバー143の剛性が、他側の領域におけるベルトカバー143の剛性よりも大きい。
以上説明したように、この空気入りタイヤ1は、カーカス層13と、カーカス層13のタイヤ径方向外側に配置される一対の交差ベルト141、142と、交差ベルト141、142のタイヤ径方向外側に配置されるベルトカバー143とを備える(図1参照)。また、タイヤ周方向に延在する少なくとも3本の周方向溝22と、周方向溝22に区画されて成る少なくとも4列の陸部23とをトレッド面21に備える。また、2列以上の陸部23が、タイヤ周方向に連続して延在するリブであり、タイヤ子午断面にてトレッド面21の輪郭線Lよりもタイヤ径方向外側に突出する(図2および図3参照)。また、タイヤ幅方向の一側にあるリブ23の突出量Gが、タイヤ幅方向の他側にあるリブ23の突出量Gよりも大きい(図2では、Gc<Gb<Ga、図3では、Gg<Gf<Ge<Gd)。また、タイヤ赤道面CLを境界とする一側の領域におけるベルトカバー143の剛性が、他側の領域におけるベルトカバー143の剛性よりも大きい。
かかる構成では、(1)タイヤ幅方向の一側にあるリブ23の突出量Gがタイヤ幅方向の他側にあるリブ23の突出量Gよりも大きいので、ドライ路面での接地性が確保されて、高速走行時の操縦安定性が確保される。同時に、タイヤが大きなキャンバー角を有する車両に装着されたときに、トレッド全体におけるリブの接地長が均一化されて、高速走行時の耐久性が確保される。これにより、高速走行での操縦安定性とキャンバー付き高速走行での耐久性とが両立する利点がある。
また、(2)タイヤ赤道面CLを境界とする一側の領域にあるベルトカバー143の剛性が大きく設定されるので、一側の領域におけるインフレート状態でのタイヤの径成長が抑制される。すると、リブ23の突出量Gがタイヤ左右の領域で非対称となることに起因するタイヤ左右の領域のアンバランスが、タイヤ全体として緩和される。これにより、タイヤ左右の領域の接地形状が均一化されて、コニシティが確保される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、一側の領域におけるベルトカバー143のベルトコードの本数N1_Rと、他側の領域におけるベルトカバー143のベルトコードの本数N1_Lとが、N1_L<N1_Rの関係を有する。これにより、タイヤ左右の領域の剛性差が形成される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、一側の領域におけるベルトカバー143の幅W1_Rと、他側の領域におけるベルトカバー143の幅W1_Lとが、W1_L<W1_Rの関係を有する(図2および図3参照)。これにより、タイヤ左右の領域の剛性差が形成される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、一側の領域におけるベルトカバー143の積層数が、他側の領域におけるベルトカバー143の積層数よりも多い。これにより、タイヤ左右の領域の剛性差が形成される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、一側の領域におけるベルトカバー143のエンド数NE1_Rと、他側の領域におけるベルトカバー143のエンド数NE1_Lとが、NE1_L<NE1_Rの関係を有する。これにより、タイヤ左右の領域の剛性差が形成される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、一側の領域におけるベルトカバー143のベルトコードの撚り数TC1_Rと、他側の領域におけるベルトカバー143のベルトコードの撚り数TC1_Lとが、TC1_L<TC1_Rの関係を有する。これにより、タイヤ左右の領域の剛性差が形成される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、一側の領域におけるベルトカバー143のベルトコードの中間伸度E1_Rと、他側の領域におけるベルトカバー143のベルトコードの中間伸度E1_Lとが、E1_R<E1_Lの関係を有する。これにより、タイヤ左右の領域の剛性差が形成される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、一側の領域におけるベルトカバー143のベルトコードの重量DT1_Rと、他側の領域におけるベルトカバー143のベルトコードの重量DT1_Lとが、DT1_L<DT1_Rの関係を有する。これにより、タイヤ左右の領域の剛性差が形成される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、一側の領域におけるベルトカバー143のベルトコードの熱収縮率TS1_Rと、他側の領域におけるベルトカバー143のベルトコードの熱収縮率TS1_Lとが、TS1_L<TS1_Rの関係を有する。これにより、タイヤ左右の領域の剛性差が形成される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、一側の領域におけるベルトカバー143のベルトコードのコード径D1_Rと、他側の領域におけるベルトカバー143のベルトコードのコード径D1_Lとが、D1_L<D1_Rの関係を有する。これにより、タイヤ左右の領域の剛性差が形成される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、一側の領域におけるベルトカバー143のコートゴムの厚さT1_Rと、他側の領域におけるベルトカバー143のコートゴムの厚さT1_Lとが、T1_L<T1_Rの関係を有する。これにより、タイヤ左右の領域の剛性差が形成される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、一側の領域におけるベルトカバー143のコートゴムの硬度Hs1_Rと、他側の領域におけるベルトカバー143のコートゴムの硬度Hs1_Lとが、Hs1_L<Hs1_Rの関係を有する。これにより、タイヤ左右の領域の剛性差が形成される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1は、カーカス層13と、カーカス層13のタイヤ径方向外側に配置される一対の交差ベルト141、142と、交差ベルト141、142のタイヤ径方向外側に配置される一対のベルトエッジカバー144_R、144_Lとを備える(図1参照)。また、タイヤ周方向に延在する少なくとも3本の周方向溝22と、周方向溝22に区画されて成る少なくとも4列の陸部23とをトレッド面21に備える。また、2列以上の陸部23が、タイヤ周方向に連続して延在するリブであり、タイヤ子午断面にてトレッド面21の輪郭線Lよりもタイヤ径方向外側に突出する(図2および図3参照)。また、タイヤ幅方向の一側にあるリブ23の突出量Gが、タイヤ幅方向の他側にあるリブ23の突出量Gよりも大きい(図2では、Gc<Gb<Ga、図3では、Gg<Gf<Ge<Gd)。また、タイヤ赤道面CLを境界とする一側の領域におけるベルトエッジカバー144_Rの剛性が、他側の領域におけるベルトエッジカバー144_Lの剛性よりも大きい。
かかる構成では、(1)タイヤ幅方向の一側にあるリブ23の突出量Gがタイヤ幅方向の他側にあるリブ23の突出量Gよりも大きいので、ドライ路面での接地性が確保されて、高速走行時の操縦安定性が確保される。同時に、タイヤが大きなキャンバー角を有する車両に装着されたときに、トレッド全体におけるリブの接地長が均一化されて、高速走行時の耐久性が確保される。これにより、高速走行での操縦安定性とキャンバー付き高速走行での耐久性とが両立する利点がある。
また、(2)タイヤ赤道面CLを境界とする一側の領域にあるベルトエッジカバー144_Rの剛性が大きく設定される。すると、リブ23の突出量Gがタイヤ左右の領域で非対称となることに起因する剛性のアンバランスが、緩和される。これにより、タイヤ赤道面CLを境界とする左右の領域の剛性が均一化されて、コニシティが確保される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、一側の領域におけるベルトエッジカバー144_Rのベルトコードの本数N2_Rと、他側の領域におけるベルトエッジカバー144_Lのベルトコードの本数N2_Lとが、N2_L<N2_Rの関係を有する。これにより、タイヤ左右の領域の剛性差が形成される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、一側の領域におけるベルトエッジカバー144_Rの幅W2_Rと、他側の領域におけるベルトエッジカバー144_Lの幅W2_Lとが、W2_L<W2_Rの関係を有する(図2および図3参照)。これにより、タイヤ左右の領域の剛性差が形成される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、一側の領域におけるベルトエッジカバー144_Rの積層数が、他側の領域におけるベルトエッジカバー144_Lの積層数よりも多い。これにより、タイヤ左右の領域の剛性差が形成される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、一側の領域におけるベルトエッジカバー144_Rのエンド数NE2_Rと、他側の領域におけるベルトエッジカバー144_Lのエンド数NE2_Lとが、NE2_L<NE2_Rの関係を有する。これにより、タイヤ左右の領域の剛性差が形成される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、一側の領域におけるベルトエッジカバー144_Rのベルトコードの撚り数TC2_Rと、他側の領域におけるベルトエッジカバー144_Lのベルトコードの撚り数TC2_Lとが、TC2_L<TC2_Rの関係を有する。これにより、タイヤ左右の領域の剛性差が形成される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、一側の領域におけるベルトエッジカバー144_Rのベルトコードの中間伸度E2_Rと、他側の領域におけるベルトエッジカバー144_Lのベルトコードの中間伸度E2_Lとが、E2_R<E2_Lの関係を有する。これにより、タイヤ左右の領域の剛性差が形成される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、一側の領域におけるベルトエッジカバー144_Rのベルトコードの重量DT2_Rと、他側の領域におけるベルトエッジカバー144_Lのベルトコードの重量DT2_Lとが、DT2_L<DT2_Rの関係を有する。これにより、タイヤ左右の領域の剛性差が形成される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、一側の領域におけるベルトエッジカバー144_Rのベルトコードの熱収縮率TS2_Rと、他側の領域におけるベルトエッジカバー144_Lのベルトコードの熱収縮率TS2_Lとが、TS2_L<TS2_Rの関係を有する。これにより、タイヤ左右の領域の剛性差が形成される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、一側の領域におけるベルトエッジカバー144_Rのベルトコードのコード径D2_Rと、他側の領域におけるベルトエッジカバー144_Lのベルトコードのコード径D2_Lとが、D2_L<D2_Rの関係を有する。これにより、タイヤ左右の領域の剛性差が形成される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、一側の領域におけるベルトエッジカバー144_Rのコートゴムの厚さT2_Rと、他側の領域におけるベルトエッジカバー144_Lのコートゴムの厚さT2_Lとが、T2_L<T2_Rの関係を有する。これにより、タイヤ左右の領域の剛性差が形成される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、一側の領域におけるベルトエッジカバー144_Rのコートゴムの硬度Hs2_Rと、他側の領域におけるベルトエッジカバー144_Lのコートゴムの硬度Hs2_Lとが、Hs2_L<Hs2_Rの関係を有する。これにより、タイヤ左右の領域の剛性差が形成される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、リブ23の突出量G(Ga〜Gg)が、0.05[mm]≦G≦2.0[mm]の範囲にある(図2および図3参照)。これにより、リブ23の突出量Gが適正化されて、リブ23の突出量Gによる接地性の向上作用および接地長の均一化作用が確保される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、隣り合うリブ23の突出量G(Ga〜Gg)の差ΔGが、0.1[mm]≦ΔG≦0.8[mm]の範囲にある(図2および図3参照)。これにより、リブ23の突出量Gが適正化されて、リブ23の突出量Gによる接地性の向上作用および接地長の均一化作用が確保される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、タイヤ赤道面CLを境界とする一側の領域に配置されたリブ23の突出量の総和ΣG_Rと他側の領域に配置されたリブ23の突出量の総和ΣG_Lとの差ΣG_R−ΣG_Lが、0.4[mm]≦ΣG_R−ΣG_L≦0.9[mm]の範囲にある(図2および図3参照)。これにより、リブ23の突出量Gが適正化されて、リブ23の突出量Gによる接地性の向上作用および接地長の均一化作用が確保される利点がある。
[装着方向の指定]
また、この空気入りタイヤ1は、一側(図2および図3参照)を車幅方向外側にして車両に装着すべきことを指定する装着方向指定部を備える。タイヤがネガティブキャンバーを有する車両に装着された場合には、一般に、タイヤ赤道面CLよりも車幅方向内側にあるリブの接地長が車幅方向外側にあるリブの接地長よりも長くなり、高速走行での耐久性が低下する傾向がある。そこで、大きなリブ23の突出量Gをもつ一側を車幅方向外側にすることにより、高速走行での耐久性の向上効果を顕著に得られる利点がある。なお、装着方向指定部は、例えば、タイヤのサイドウォール部に付されたマークや凹凸によって構成される。
また、この空気入りタイヤ1は、一側(図2および図3参照)を車幅方向外側にして車両に装着すべきことを指定する装着方向指定部を備える。タイヤがネガティブキャンバーを有する車両に装着された場合には、一般に、タイヤ赤道面CLよりも車幅方向内側にあるリブの接地長が車幅方向外側にあるリブの接地長よりも長くなり、高速走行での耐久性が低下する傾向がある。そこで、大きなリブ23の突出量Gをもつ一側を車幅方向外側にすることにより、高速走行での耐久性の向上効果を顕著に得られる利点がある。なお、装着方向指定部は、例えば、タイヤのサイドウォール部に付されたマークや凹凸によって構成される。
図12〜図15は、この実施の形態にかかる空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。これらの図において、図12および図13は、ベルトカバー143が左右非対称な構造を有する場合の性能試験の結果を示し、図14および図15は、ベルトエッジカバー144_R、144_Lが左右非対称な構造を有する場合の性能試験の結果を示している。
本実施例では、条件が異なる複数種類の空気入りタイヤについて、高速操安性(高速走行時の操縦安定性)やキャンバー付き高速耐久性(キャンバー付き高速走行での耐久性)やコニシティに関する性能試験が行われた。
この試験では、タイヤサイズ295/35R21の空気入りタイヤを試験タイヤとした。
高速操安性の評価方法は、上記試験タイヤを21×10Jのリムにリム組みし、空気圧260kPaを充填し、試験車両(排気量4800ccの乗用車)に装着して、乾燥路面のテストコースを走行し、レーンチェンジ時およびコーナリング時における操舵性ならびに直進時における安定性について、熟練のテストドライバー1名による官能評価によって行う。この官能評価は、従来例の空気入りタイヤを基準(100)とした指数で示し、この指数が高いほど操縦安定性が優れていることを示している。
キャンバー付き高速耐久性の評価方法は、上記試験タイヤを21×10Jのリムにリム組みし、空気圧340kPaを充填し、荷重7.65kNを加え、キャンバー角−2.7度(一側を車両外側とし他側を車両内側として車両に装着した場合に相当)または+2.7度(一側を車両内側とし他側を車両外側として車両に装着した場合に相当)とし、ドラム耐久試験機で下記速度stepに乗っ取って走行させ、試験機がタイヤの故障を検知したときの速度を測定した。そして、従来例の空気入りタイヤを基準とし、何step向上できたか、もしくは何step低下したかを評価した。ここで、+1stepとは、+10km/hで20min走行できたこと、+0.5stepとは、+10km/hで10min走行できたことを示す。
・step0…走行時間0min…速度0km/h
・step1…走行時間1min…速度0〜190km/h
・step2…走行時間5min…速度190km/h
・step3…走行時間5min…速度240km/h
・step4…走行時間10min…速度250km/h
・step5…走行時間10min…速度260km/h
・step6…走行時間10min…速度270km/h
・step7…走行時間20min…速度280km/h
・step8…走行時間20min…速度290km/h
・step9…走行時間20min…速度300km/h
・step10…走行時間20min…速度310km/h
以下、故障まで+1step(+10km/h、20min走行)ずつ速度アップ
・step1…走行時間1min…速度0〜190km/h
・step2…走行時間5min…速度190km/h
・step3…走行時間5min…速度240km/h
・step4…走行時間10min…速度250km/h
・step5…走行時間10min…速度260km/h
・step6…走行時間10min…速度270km/h
・step7…走行時間20min…速度280km/h
・step8…走行時間20min…速度290km/h
・step9…走行時間20min…速度300km/h
・step10…走行時間20min…速度310km/h
以下、故障まで+1step(+10km/h、20min走行)ずつ速度アップ
コニシティの評価方法は、上記試験タイヤを21×10Jのリムにリム組みし、空気圧200kPaを充填し、荷重6.30kNを加え、フォースバリエーション試験機により、JASO C607の規格に基づくRFV(縦方向の剛性バランス)を測定し、さらにタイヤの軸方向に発生する横力の平均値を測定した。そして、従来例の空気入りタイヤを基準(100)とした指数で示し、指数が小さいほどコニシティが優れていることを示している。
実施例1〜23の試験タイヤは、図3の構造を備え、3本の周方向溝22と、4列のリブ23とを備える。また、ベルトカバー143および一対のベルトエッジカバー144_R、144_Lが、1本のベルトコードを交差ベルト141、142に螺旋状に巻き回して構成される(図7および図9参照)。また、ベルトカバー143が左右非対称な構造を有する。一方で、一対のベルトエッジカバー144_R、144_Lが左右対称な構造を有する。また、他側の領域におけるベルトカバー143のベルトコードの外径D1_Lが、D1_L=0.55[mm]であり、コードゴムの厚さT1_Lが、T1_L=0.8[mm]であり、コードゴムの硬度Hs1_Lが、Hs1_L=61である。
また、実施例24〜47の試験タイヤは、図3の構造を備え、3本の周方向溝22と、4列のリブ23とを備える。また、ベルトカバー143および一対のベルトエッジカバー144_R、144_Lが、1本のベルトコードを交差ベルト141、142に螺旋状に巻き回して構成される(図7および図9参照)。また、ベルトカバー143が左右対称な構造を有する。一方で、一対のベルトエッジカバー144_R、144_Lが左右非対称な構造を有する。また、他側の領域におけるベルトカバー143のベルトコードの外径D2_Lが、D2_L=0.55[mm]であり、コードゴムの厚さT2_Lが、T2_L=0.8[mm]であり、コードゴムの硬度Hs2_Lが、Hs2_L=61である。
従来例の試験タイヤは、実施例1の構成において、すべてのリブ23の突出量GがG=0[mm]であり、また、ベルトカバー143および一対のベルトエッジカバー144_R、144_Lが、いずれも左右対称な構造を有する。比較例1の試験タイヤは、実施例1の構成において、ベルトカバー143および一対のベルトエッジカバー144_R、144_Lが、いずれも左右対称な構造を有する。
試験結果に示すように、実施例1〜47の試験タイヤでは、高速操縦安定性およびキャンバ付き高速耐久性が両立し、また、コニシティが向上することが分かる。
1:空気入りタイヤ、2:トレッド部、21:トレッド面、22:周方向溝、23:リブ(陸部)、24:ラグ溝、11:ビードコア、12:ビードフィラー、13:カーカス層、14:ベルト層、141、142:交差ベルト、143:ベルトカバー、144:ベルトエッジカバー、1441:ベルトコード、1442:コートゴム、15:トレッドゴム
Claims (28)
- カーカス層と、前記カーカス層のタイヤ径方向外側に配置される一対の交差ベルトと、前記交差ベルトのタイヤ径方向外側に配置されるベルトカバーとを備え、且つ、タイヤ周方向に延在する少なくとも3本の周方向溝と、前記周方向溝に区画されて成る少なくとも4列の陸部とをトレッド面に備える空気入りタイヤであって、
2列以上の前記陸部が、タイヤ周方向に連続して延在するリブであり、タイヤ子午断面にてトレッド面の輪郭線よりもタイヤ径方向外側に突出し、
タイヤ幅方向の一側にある前記リブの突出量が、タイヤ幅方向の他側にある前記リブの突出量よりも大きく、且つ、
タイヤ赤道面を境界とする前記一側の領域における前記ベルトカバーの剛性が、前記他側の領域における前記ベルトカバーの剛性よりも大きいことを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記一側の領域における前記ベルトカバーのベルトコードの本数N1_Rと、前記他側の領域における前記ベルトカバーのベルトコードの本数N1_Lとが、N1_L<N1_Rの関係を有する請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記一側の領域における前記ベルトカバーの幅W1_Rと、前記他側の領域における前記ベルトカバーの幅W1_Lとが、W1_L<W1_Rの関係を有する請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記一側の領域における前記ベルトカバーの積層数が、前記他側の領域における前記ベルトカバーの積層数よりも多い請求項1〜3のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
- 前記一側の領域における前記ベルトカバーのエンド数NE1_Rと、前記他側の領域における前記ベルトカバーのエンド数NE1_Lとが、NE1_L<NE1_Rの関係を有する請求項1〜4のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
- 前記一側の領域における前記ベルトカバーのベルトコードの撚り数TC1_Rと、前記他側の領域における前記ベルトカバーのベルトコードの撚り数TC1_Lとが、TC1_L<TC1_Rの関係を有する請求項1〜5のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
- 前記一側の領域における前記ベルトカバーのベルトコードの中間伸度E1_Rと、前記他側の領域における前記ベルトカバーのベルトコードの中間伸度E1_Lとが、E1_R<E1_Lの関係を有する請求項1〜6のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
- 前記一側の領域における前記ベルトカバーのベルトコードの重量DT1_Rと、前記他側の領域における前記ベルトカバーのベルトコードの重量DT1_Lとが、DT1_L<DT1_Rの関係を有する請求項1〜7のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
- 前記一側の領域における前記ベルトカバーのベルトコードの熱収縮率TS1_Rと、前記他側の領域における前記ベルトカバーのベルトコードの熱収縮率TS1_Lとが、TS1_L<TS1_Rの関係を有する請求項1〜8のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
- 前記一側の領域における前記ベルトカバーのベルトコードのコード径D1_Rと、前記他側の領域における前記ベルトカバーのベルトコードのコード径D1_Lとが、D1_L<D1_Rの関係を有する請求項1〜9のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
- 前記一側の領域における前記ベルトカバーのコートゴムの厚さT1_Rと、前記他側の領域における前記ベルトカバーのコートゴムの厚さT1_Lとが、T1_L<T1_Rの関係を有する請求項1〜10のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
- 前記一側の領域における前記ベルトカバーのコートゴムの硬度Hs1_Rと、前記他側の領域における前記ベルトカバーのコートゴムの硬度Hs1_Lとが、Hs1_L<Hs1_Rの関係を有する請求項1〜11のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
- カーカス層と、前記カーカス層のタイヤ径方向外側に配置される一対の交差ベルトと、前記交差ベルトのタイヤ径方向外側に配置される一対のベルトエッジカバーとを備え、且つ、タイヤ周方向に延在する少なくとも3本の周方向溝と、前記周方向溝に区画されて成る少なくとも4列の陸部とをトレッド面に備える空気入りタイヤであって、
2列以上の前記陸部が、タイヤ周方向に連続して延在するリブであり、タイヤ子午断面にてトレッド面の輪郭線よりもタイヤ径方向外側に突出し、
タイヤ幅方向の一側にある前記リブの突出量が、タイヤ幅方向の他側にある前記リブの突出量よりも大きく、且つ、
タイヤ赤道面を境界とする前記一側の領域における前記ベルトエッジカバーの剛性が、前記他側の領域における前記ベルトエッジカバーの剛性よりも大きいことを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記一側の領域における前記ベルトエッジカバーのベルトコードの本数N2_Rと、前記他側の領域における前記ベルトエッジカバーのベルトコードの本数N2_Lとが、N2_L<N2_Rの関係を有する請求項13に記載の空気入りタイヤ。
- 前記一側の領域における前記ベルトエッジカバーの幅W2_Rと、前記他側の領域における前記ベルトエッジカバーの幅W2_Lとが、W2_L<W2_Rの関係を有する請求項13または14に記載の空気入りタイヤ。
- 前記一側の領域における前記ベルトエッジカバーの積層数が、前記他側の領域における前記ベルトエッジカバーの積層数よりも多い請求項13〜15のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
- 前記一側の領域における前記ベルトエッジカバーのエンド数NE2_Rと、前記他側の領域における前記ベルトエッジカバーのエンド数NE2_Lとが、NE2_L<NE2_Rの関係を有する請求項13〜16のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
- 前記一側の領域における前記ベルトエッジカバーのベルトコードの撚り数TC2_Rと、前記他側の領域における前記ベルトエッジカバーのベルトコードの撚り数TC2_Lとが、TC2_L<TC2_Rの関係を有する請求項13〜17のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
- 前記一側の領域における前記ベルトエッジカバーのベルトコードの中間伸度E2_Rと、前記他側の領域における前記ベルトエッジカバーのベルトコードの中間伸度E2_Lとが、E2_R<E2_Lの関係を有する請求項13〜18のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
- 前記一側の領域における前記ベルトエッジカバーのベルトコードの重量DT2_Rと、前記他側の領域における前記ベルトエッジカバーのベルトコードの重量DT2_Lとが、DT2_L<DT2_Rの関係を有する請求項13〜19のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
- 前記一側の領域における前記ベルトエッジカバーのベルトコードの熱収縮率TS2_Rと、前記他側の領域における前記ベルトエッジカバーのベルトコードの熱収縮率TS2_Lとが、TS2_L<TS2_Rの関係を有する請求項13〜20のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
- 前記一側の領域における前記ベルトエッジカバーのベルトコードのコード径D2_Rと、前記他側の領域における前記ベルトエッジカバーのベルトコードのコード径D2_Lとが、D2_L<D2_Rの関係を有する請求項13〜21のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
- 前記一側の領域における前記ベルトエッジカバーのコートゴムの厚さT2_Rと、前記他側の領域における前記ベルトエッジカバーのコートゴムの厚さT2_Lとが、T2_L<T2_Rの関係を有する請求項13〜22のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
- 前記一側の領域における前記ベルトエッジカバーのコートゴムの硬度Hs2_Rと、前記他側の領域における前記ベルトエッジカバーのコートゴムの硬度Hs2_Lとが、Hs2_L<Hs2_Rの関係を有する請求項13〜23のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
- 前記リブの突出量Gが、0.05[mm]≦G≦2.0[mm]の範囲にある請求項1〜24のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
- 隣り合う前記リブの突出量の差ΔGが、0.1[mm]≦ΔG≦0.8[mm]の範囲にある請求項1〜25のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
- タイヤ赤道面を境界とする前記一側の領域に配置された前記リブの突出量の総和ΣG_Rと前記他側の領域に配置された前記リブの突出量の総和ΣG_Lとの差ΣG_R−ΣG_Lが、0.4[mm]≦ΣG_R−ΣG_L≦0.9[mm]の範囲にある請求項1〜26のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
- 前記一側を車幅方向外側にして車両に装着すべきことを指定する装着方向指定部を備える請求項1〜27のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
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