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JP2016093149A - 細胞培養装置および細胞培養方法 - Google Patents

細胞培養装置および細胞培養方法 Download PDF

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JP2016093149A JP2014232224A JP2014232224A JP2016093149A JP 2016093149 A JP2016093149 A JP 2016093149A JP 2014232224 A JP2014232224 A JP 2014232224A JP 2014232224 A JP2014232224 A JP 2014232224A JP 2016093149 A JP2016093149 A JP 2016093149A
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Shinji Ikeuchi
真志 池内
衆治 林
Shuji Hayashi
衆治 林
悠司 豊田
Yuji Toyoda
悠司 豊田
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Abstract

【課題】従来の問題が抑制された、新たな細胞培養装置、および該装置を用いた細胞培養方法を提供すること。【解決手段】当該細胞培養装置は、複数の穴2が設けられた平板状部分1を少なくとも有する。該穴2は、平板状部分1の下面の側に、該穴の貫通を妨げる底22としての膜12を有し、該膜12が、(A)前記培養液の透過が可能でありかつ前記細胞の透過が抑制される多孔質膜であるか、または、(B)培養に必要なガスの透過が可能でありかつ前記細胞の透過が抑制されるガス透過性膜となっている。【選択図】図1

Description

本発明は、細胞を3次元的に培養するための装置、および、該装置を用いた培養方法に関するものであり、とりわけ、ES細胞やiPS細胞などの幹細胞を、胚様体とよばれる細胞塊(細胞が数千個集合し塊状となったもの)となるよう培養するために有用であり、また、該胚様体などの細胞塊を分化誘導して、肝臓や膵臓などの機能を補助する移植用組織体を生産するために有用である該装置および該方法に関する。
微細な粒子である細胞を集め、予め定められた分布形状と分布密度にて塊状化する過程が、多くの分野で重要となってきている。例えば、再生医療の分野では、細胞の生体内での機能を生体外で再現するため、粒子状の細胞を3次元的に集合させて培養する3次元培養方法の研究が盛んになってきている。
従来の3次元培養方法としては、例えば、(a)低接着性プレートを利用した浮遊培養法、(b)ハンギングドロップ法、(c)マイクロパターン表面を利用した培養法などが挙げられる。
上記(a)の浮遊培養法は、細胞低接着性処理を施した大きなディッシュに細胞懸濁液を播種して胚様体を作製する方法である。この方法では、一度に多量の胚様体を容易に作製することが可能であるが、胚様体のサイズを制御したり、胚様体の観察や分化誘導を行ったりすることは困難である。
上記(b)のハンギングドロップ法は、細胞懸濁液の表面張力を利用し、ディッシュの蓋の下側にハンギングドロップ(該細胞懸濁液が液滴として吊り下がった状態)を形成し、その中で胚様体を作製する方法である。この方法は、胚様体のサイズの制御に効率的であるが、好ましいハンギングドロップを作製するためには研究者の熟練が必要であり、また、培地交換や分化試薬導入が不可能である欠点もある。
上記(c)のマイクロパターン表面を利用した方法は、微細な凹凸構造(マイクロパターン)を主面に形成した基材を用い、該凹凸構造に細胞を塊状に凝集させる方法である。この方法では、細胞塊(胚様体)は形成されるものの、その細胞塊の底面は器材に強く接着している。よって、この方法は、薬効評価用などに利用することはできるが、胚様体を回収するには不向きである。
上記のような種々の各方法の問題を解消するための新たな細胞培養方法として、特許文献1、2に記載のマスク材(以下、従来のマスク材とも呼ぶ)を用いる方法がある。該マスク材は、樹脂製シートの主面に微小な多数の貫通孔が設けられたものである。この方法では、図15(a)に示すように、マスク材100をガラス板等の基材200上に配置し、細胞P10が分散した培養液Q10をマスク材上に供給する。より具体的には、シャーレ等の容器の底が基材であり、その上にマスク材100を配置し、前記培養液Q10を供給する。すると、培養液中に分散した細胞P10が該マスク材の多数の貫通孔110内に均等に分かれて沈降するので、該細胞を複数の集団へと分けることができる。該マスク材100の各貫通孔110は、液体中に分散した細胞P10が沈降する際に、全ての細胞を孔内に誘うように、上側が広く開口した漏斗状となっている。図15の例では、各貫通孔110は、上部の逆角錐台形状を呈する漏斗状部分111と、細胞を集団へと集めるためにより小さい口径となっている下部の角柱状112を呈する直管状部分とからなる。
図15(b)は、培養液Q10中の各細胞P10が、各貫通孔110の下部にほぼ均等に分かれて沈降し、該マスク材の下の基材上に集団となって堆積した状態を示している。
基材200は、通常は、シャーレやウェルの底であるが、ガラス基板や、細胞接着性の高い材料からなる平板なども用いられる。
しかしながら、本発明者らが、上記従来のマスク材を用いた実際の細胞培養の過程を詳細に検討したところ、該マスク材を用いる方法は、液体中に分散した細胞をグループに分けて集団化することに関しては好ましい結果が得られるが、細胞が各貫通孔内に分かれて沈降した後には、次の問題が存在していることがわかった。
(i)1週間程度以上の長期間の培養では、マスク材に設けられた各貫通孔内において、培養液(液体培地)およびガスの交換が不足し、胚様体の形状が維持できなくなる、あるいは、細胞生存率が低下する。
(ii)各貫通孔の底面が基材(通常、シャーレなどの容器の底)によって閉じられているので、細胞を播種する際に溶液を滴下すると、微小な気泡が袋穴となった各貫通孔の底に残留し、細胞が均等に播種できない。また、気泡を取り除くための前準備は、操作が煩雑である。
(iii)培養中は、ピペット等を用いて1〜2日毎に培養液を交換しなければならないので、交換時の培養液の噴流によって、胚様体が移動したり、誤ってピペット等に吸引除去されてしまうことが多い。
(iv)幹細胞の培養では、培養基材の底面にフィーダー細胞や、他の分化細胞などを接着させ、その上で幹細胞を共培養することが一般的に行われる。これに対して、従来のマスク材を用いた培養方法では、細胞の漏えい防止のため、シャーレ等の容器の底面上に該マスク材を十分に密着させることが必要である。よって、該容器の底面に他の細胞を接着しておくことは、マスク材の密着の妨げになるので好ましくない。また、マスク材を構成する樹脂の表面は、通常、細胞低接着性とされるため、他の細胞をマスク材の貫通孔内に接着しておくことも困難である。以上の理由から、従来のマスク材を用いた培養方法では、培養目的の胚様体と他の細胞との共培養が困難である。
国際公開公報WO2010/032595号 国際公開公報WO2014/133051号
本発明は、上記した従来の問題が抑制された、新たな細胞培養装置、および該装置を用いた細胞培養方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記の従来のマスク材の概念(即ち、培養液を収容した容器内の底面に該マスク材を配置するという概念)を根本的に変更し、該マスク材の貫通孔の底を、培養液透過性またはガス透過性の膜で塞ぎ、その膜の下側に培養液またはガスを配置すれば、上記したマスク材の問題が抑制され、細胞培養が顕著に改善されることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の主たる構成は、次のとおりである。
〔1〕培養液中に分散した細胞を複数の集団へと分けて沈降させるための複数の穴を有する細胞培養装置であって、
当該細胞培養装置は、前記複数の穴が設けられた平板状部分を少なくとも有し、
前記穴は、それぞれに、該平板状部分の一方の主面である上面に開口を有し、該開口から平板状部分の他方の主面である下面に向かって移動するにつれて、横断面の面積が減少する漏斗状部分を少なくとも有し、かつ、
前記穴は、該平板状部分の下面の側に、該穴の貫通を妨げる底としての膜を有し、該膜が、下記(A)の多孔質膜、または、下記(B)のガス透過性膜となっている、
前記細胞培養装置。
(A)前記培養液の透過が可能であり、かつ、前記細胞の透過が抑制される、多孔質膜。
(B)培養に必要なガスの透過が可能であり、かつ、前記細胞の透過が抑制される、ガス透過性膜。
〔2〕上記平板状部分が、平板状の本体層と、膜層とを有して成る積層構造を有し、
該平板状の本体層には、上記の穴となる貫通孔が設けられ、
該平板状の本体層の下面に前記膜層が積層され、該膜層が、上記の穴の貫通を妨げる底としての膜となっている、
上記〔1〕記載の細胞培養装置。
〔3〕上記平板状部分の本体と上記の膜とが、同じ材料によって一体的に形成されている、上記〔1〕記載の細胞培養装置。
〔4〕当該細胞培養装置は、さらに、上記平板状部分の上面の周囲を取り巻く壁部を有し、該上面と壁部とによって、培養液を保持し得る空間が形成されている、
上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の細胞培養装置。
〔5〕当該細胞培養装置は、さらに、上記平板状部分の周囲から外側へ延びる1以上の腕部を有し、該腕部は、その先端側の部分を容器の開口部の壁に引掛けて、該平板状部分を、該容器内において、該容器の底面の上方に懸架するように構成されている、
上記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の細胞培養装置。
〔6〕当該細胞培養装置は、さらに、上記壁部から外側へ延びる1以上の腕部を有し、該腕部は、その先端部分を容器の開口部の壁に引掛けて、該平板状部分を、該容器内において該容器の底面の上方に懸架するように構成されている、
上記〔4〕記載の細胞培養装置。
〔7〕上記平板状部分の数が複数であり、該平板状部分の数は、当該細胞培養装置と共に使用すべきマルチウェルプレート上の複数のウェルの数に対応する数であり、
前記複数の平板状部分は、各ウェル内に該平板状部分が1つずつ位置するように、各ウェルの位置に対応して配置され、かつ、
当該細胞培養装置を前記マルチウェルプレート上に重ねて置いたときに、各ウェルの内部において各ウェルの底面の上方に各平板状部分が懸架されるように、隣り合った平板状部分同士が、連結用腕部によって互いに連結されている、
上記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の細胞培養装置。
〔8〕当該細胞培養装置は、さらに、上記平板状部分の下面から下方へ延びる1以上の脚部を有し、該脚部は、容器内において、該平板状部分を該容器の底面の上方に支持するように構成されている、
上記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の細胞培養装置。
〔9〕当該細胞培養装置は、さらに、上記平板状部分を取り巻くボトルを有し、該平板状部分は、その厚さ方向が、該ボトルの口から底へと向かう方向に対して直交する姿勢にて、該ボトルの内部に固定されている、
上記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の細胞培養装置。
〔10〕上記ボトルの内部に固定された平板状部分の数が複数であり、
これら平板状部分は、厚さ方向に間隔をあけて平行に、該ボトルの内部に固定されている、上記〔9〕記載の細胞培養装置。
〔11〕上記平板状部分の各穴内に露出している膜の上面、および、各穴の内面が、細胞非接着性であり、かつ、該膜の下面が細胞接着性であるように、それぞれに表面処理されており、それによって、該膜の上面では目的の細胞の胚様体を培養しながら該膜の下面では他の細胞の培養を行う、共培養が可能な構成となっている、上記〔1〕〜〔10〕のいずれかに記載の細胞培養装置。
〔12〕上記〔1〕〜〔11〕のいずれかに記載の細胞培養装置を用い、
該細胞培養装置の平板状部分を、容器内に収容された培養液中に配置し、
該平板状部分の各穴に、培養すべき細胞を含んだ培養液を入れ、各穴の膜の下面に、容器内の培養液を接触させた状態で、該細胞を各穴の底の膜上において培養する、
細胞培養方法。
〔13〕上記〔11〕に記載の細胞培養装置を用い、
該膜の上面では目的の細胞の胚様体を培養しながら、該膜の下面では他の細胞の培養を行う、上記〔12〕記載の細胞培養方法。
〔14〕上記〔1〕〜〔11〕のいずれかに記載の細胞培養装置のうち、平板状部分の各穴の膜が上記(B)のガス透過性膜である該細胞培養装置を用い、
該平板状部分の各穴に、培養すべき細胞を含んだ培養液を入れ、各穴の膜の下面に、培養に必要なガスを接触させた状態で、該細胞を各穴の底の膜上において培養する、
細胞培養方法。
本発明の細胞培養装置は、従来のマスク材の利点を有しており、当該細胞培養装置の上側から細胞懸濁液を供給するだけで、平板状部分の各穴内に多数の細胞が別れて入り込むという、細胞集団化の作用を示すものとなっている。これは、各穴の上端側の開口によって示される作用である。
この作用によって、先ず、上記(a)の低接着性プレートを利用した浮遊培養法、上記(b)のハンギングドロップ法、上記(c)のマイクロパターン表面を利用した培養法の、それぞれの問題が解消される。即ち、操作に熟練を要さず、胚様体のサイズを制御でき、胚様体の観察や分化誘導が可能であり、培地交換や分化試薬導入が容易となる。
次に、平板状部分の各穴の底である膜(以下、単に「膜」とも呼ぶ)の作用、効果を説明する。
従来のマスク材は、所定の基板(シャーレなどの容器の底板など)上に配置し、培養液の底に沈めることが前提である。よって、該マスク材の貫通孔内の底面は、培養液を収容する容器の底面でもあり、そのような容器の底面のさらに下側には、培養液は存在せず、容器の底を通じたガス交換という概念も無い。
これに対して、本願発明の細胞培養装置は、各穴の底が多孔質膜またはガス透過性膜によって構成されており、細胞培養時には、例えば、培養液中に懸架された状態として用いられる。よって、本発明では、細胞培養時には、各穴の膜の下に、培養液または培養に必要なガス(以下、培養液等ともいう)が存在する。
よって、本発明では、各穴の膜を通って培養液等が穴の下部に供給され、それによって、従来のマスク材の問題が次のとおり顕著に抑制される。
上記(i)の問題の抑制
上記したとおり、当該細胞培養装置は、細胞培養時には、各穴の膜の下側に、培養液等が存在するように配置される。
この構成によって、培養液および/またはガスが、各穴の上端側の開口からだけでなく、膜を通して下側からも各穴内へ供給されるようになる。また、容器内での培養液の流れによっては、各穴内の古い培養液が膜を透過して下へと出て行き、新鮮な培養液が上端側の開口から入って穴の下部まで降りて来るという流れが生じる場合があり、逆に、穴内の古い培養液が上昇し上端側の開口から出て行き、新鮮な培養液が底の膜を透過して穴内に入るという流れが生じる場合もあり得る。また、このような流れの効果を、より積極的に生じさせるために、膜の下側の培養液を撹拌して流れを与えても良い。
上記のような培養液および/またはガスの供給により、各穴内で長期間培養した場合の細胞の生存率が向上する。
上記(ii)の問題の抑制
本発明の細胞培養装置は、各穴の膜が、培養液を透過させ得る多孔性、および/または、ガス透過性であるから、培養液を各穴に滴下した際に、各穴内の下部にトラップされた気泡が、経時的に膜の下面へと自然に抜けていく。また、膜を通過して気泡の下側に培養液が流入可能であるから、該気泡は、自体の浮力によって上昇し易くなり、開口から抜ける場合もある。これにより、気泡を除去する前準備が不要となる。また、各穴内には気泡の残留が無いので、細胞が均等に播種できる。
上記(iii)の問題の抑制
従来のマスク材および本発明の細胞培養装置は、いずれも培養中は、1〜2日毎に培養液を交換しなければならず、交換には、例えばピペットなど、吸引と供給を行うための器具が用いられる。
従来のマスク材は、シャーレ等の容器内の最も下(底)に配置されるので、培養液の吸引と供給は、該マスク材よりも上で行わざるを得ない。そのため、上記(iii)のとおり、液の流れによって胚様体が移動したり、誤ってピペットに吸引除去されてしまうことが多かった。
これに対して、本発明の細胞培養装置では、平板状部分の下にも培養液が存在する。よって、本発明では、培養液の交換時の吸引と供給を、平板状部分よりも下で行うことが可能になり、各穴内に影響するような培養液の流れが抑制され、ピペット操作の誤りによる胚様体の移動や吸引を防ぐことが出来る。
上記(iv)の問題の抑制
本発明の細胞培養装置は、従来のマスク材とは異なり、細胞培養時に平板状部分の下面が培養液に露出する。よって、当該細胞培養装置では、膜の上面(穴内の面)や穴の内面を細胞非接着性とし、膜の下面にのみ細胞接着性の表面処理を施すことが可能である。
このように処理した膜の下面にフィーダー細胞や分化細胞を播種しておき、穴の上方から従来のマスク材と同様にして幹細胞を播種する。これにより、底の膜を挟んで、下側のフィーダー細胞等と、上側(穴内)の幹細胞等との共培養系を構築することができる。
図1は、本発明の細胞培養装置における平板状部分の穴と膜の構造を示した部分拡大断面図である。同図は、平板状部分の穴の中心軸を含む平面に沿って、平板状部分を切断した時の断面(縦断面)を示している。 図2は、本発明の細胞培養装置における平板状部分を上から見たときの、部分拡大図である。同図では、領域を区別するために、底面にハッチングを施している。 図3は、本発明の細胞培養装置における平板状部分の穴と膜の構造を示した斜視図である。断面にはハッチングを施している。図1と同様に、平板状部分の一部を部分的に拡大し、かつ、穴の断面を示している。図3(a)は、図1(a)に対応し、図3(b)は、図1(c)に対応する。 図4は、本発明の細胞培養装置を用いた細胞培養方法を示す断面図である。 図5は、本発明の細胞培養装置の好ましい態様の一例を示す斜視図である。図5(a)は、平板状部分に壁部と腕部が加えられた態様を示している。図5(b)は、当該細胞培養装置を容器(シャーレ)内に配置した状態を示している。図5(c)は、図5(b)の断面を示しており、平板状部分が容器内に懸架された状態を見せている。図5〜9では、断面のハッチングは省略している。 図6は、本発明の細胞培養装置の好ましい態様の一例を示す斜視図である。図6(a)は、平板状部分に壁部と脚部が加えられた態様を示している。図6(b)は、当該細胞培養装置を容器(シャーレ)内に配置した状態を示している。図6(c)は、図6(b)の断面を示しており、平板状部分が容器内に脚部によって支持され懸架された状態を見せている。 図7は、本発明の細胞培養装置の好ましい態様の一例を示す斜視図であって、平板状部分がボトル内に配置される態様を示している。同図では、ボトルを切断して内部の様子を示している。 図8は、本発明の細胞培養装置の好ましい態様の一例を示す斜視図である。図8(a)は、マルチウェルプレートに配置し得る態様を示している。図8(b)は、当該細胞培養装置をマルチウェルプレートにに配置した状態を示している。図8(c)は、図8(b)の断面を示しており、各ウェル内に平板状部分が懸架された状態を見せている。 図9は、本発明の細胞培養装置を用いて共培養を行う様子を表した断面図である。 図10は、従来のマスク材を用いた細胞培養の結果と、本発明の細胞培養装置の細胞培養の結果を示したグラフ図(ヒストグラム)である。縦軸は個数を表し、横軸は各胚様体の粒子径(フェレー径:単位はμm)の範囲を表している。 図11は、従来のマスク材を用いた細胞培養の様子(図11(a))と、本発明の細胞培養装置の細胞培養の様子(図11(b))をそれぞれ示した写真図である。いずれも、上方から穴の様子を見た図であり、穴内の気泡の有無が示されている。 図12は、市販の胚様体培養基材を用いた細胞培養の様子(図12(a))と、本発明の細胞培養装置の細胞培養の様子(図12(b))をそれぞれ示した写真図である。いずれも、上方から穴の様子を見た図である。 図13は、本発明の細胞培養装置を用いて共培養を行った場合の、平板状部分の上面(図13(a))と下面(図13(a))の様子を拡大した写真図である。 図14は、本発明の細胞培養装置を用いて共培養を行った場合の、膜の断面を観察した共焦点顕微鏡写真図である。 図15は、従来のマスク材を用いた細胞培養の様子を示す断面図である。
以下、本発明を実施の態様を示しながら、詳細に説明する。
図1に構造を例示するように、本発明の細胞培養装置は、複数の穴2が設けられた平板状部分1を少なくとも有する。この穴は、図15(a)、(b)を参照して説明した従来のマスク材と同様、液体中に分散した細胞を複数の集団へと分けて沈降させるためのものである。前記複数の穴は、それぞれに、該平板状部分1の一方の主面である上面1aに開口21を有し、該開口から平板状部分1の他方の主面である下面1bに向かって移動するにつれて、横断面の面積が減少する漏斗状部分を少なくとも有している、図1、図2の例では、各穴は、上側の漏斗状部分2aと、下側の直管状部分2bとからなるが、漏斗状部分だけであってもよい。
各穴2は、貫通孔ではなく、平板状部分1の下面の側に、貫通を妨げる底22としての膜を有しており、該膜が、下記(A)の多孔質膜、または、下記(B)のガス透過性膜となっている。
(A)前記培養液の透過が可能であり、かつ、前記細胞の透過を抑制し得る、多孔質膜。
(B)培養に必要なガスの透過が可能であり、かつ、前記細胞の透過を抑制し得る、ガス透過性膜。
上記の構成によって、穴内で細胞培養を行う際に、膜の下面に培養液および/または培養に必要なガスを接触させて、それら培養液および/またはガスを、培養中の細胞に供給することができ、発明の効果の説明で述べたように、従来のマスク材の問題を好ましく抑制することができる。
平板状部分の穴の数は特に限定はされないが、細胞培養などにおける細胞の集団化のためには、一平方センチメートルあたり100個〜1000個程度の多数の穴が上面に配列された構造が好ましい。その場合の穴の配列は、図2や図11(b)のように行列状の配置とすれば、平板状部分の上面の縁部などに無駄な領域が生じることなく、各穴を密に配列することができるので好ましい。
穴は、細胞粒子を受けるための漏斗状部分だけからなるものであってもよいが、図1、図2に示すように、上面側の漏斗状部分2aと、下面側の直管状部分2bとを有し、これら2つの部分が共通の中心軸をもって上下で連結したものが好ましい。
漏斗状部分は、上面に存在する方形の開口から下面側へと移動するにつれて横断面の面積が減少する角錐台形である。
直管状部分は、前記漏斗状部分の下端部から穴の底に至る部分である。直管状部分の横断面形状は、同図のように四角形(好ましくは正方形)であってもよいが、5角形以上の多角形や円形であってもよい。
平板状部分の上面に平面が存在すると、その平面上に細胞が沈降して、細胞の集団化の妨げになる。よって、穴の開口の形状は、長方形または正方形が好ましく、均等な斜面が得られる正方形がより好ましく、かつ、図2に示すように、隣り合った開口の辺同士が、符号Jで示すように、互いに一致して接触する態様(隣り合った開口同士の間の平面が、できるかぎり少なく、エッジになった態様)が好ましい。
開口の形状が正方形である場合の該開口の一辺の長さは、特に限定はされないが、細胞培養における細胞の集団化のためには、0.1mm〜1mm程度が好ましく、0.2mm〜0.7mmがより好ましい長さである。開口の形状が長方形の場合には、前記正方形と同程度の開口面積であればよい。ただし、その短辺の最小値は前記正方形の1辺の長さの最小値と同程度が好ましい。
穴の深さは、0.2mm〜2mm程度が好ましく、0.5mm〜1mmがより好ましい。
漏斗状部分の対向する2つの斜面の開き角度は、沈降する細胞を誘い込んで下方の直管状部分に落とすことができるものであればよく、例えば、30度〜120度が好ましい角度であり、45度〜90度がより好ましい角度である。
穴の底の大きさ(直管状部分がある場合には、その横断面の大きさ)は、特に限定はされないが、底の形状が正方形の場合の一辺の長さは、細胞培養などにおける細胞の集団化のためには、0.05mm〜0.8mmが好ましく、0.1mm〜0.5mmがより好ましい寸法である。
穴の形状、寸法、配列すべき個数については、特許文献1、2を参照してもよい。
穴の開口の形状が長方形または正方形であることを考慮すると、該開口が互いに隙間なく配置される平板状部分の上面の外形もまた長方形または正方形が単純で好ましい形状である。試料液を均一に分散させる点からは、平板状部分の外形は、等方的な形状である正方形が好ましい。
平板状部分の外形が正方形である場合、上記した穴のサイズと数の点からは、該平板状部分の外形の一辺の長さは、3mm以上が好ましく、3mm〜100mm程度、特には10mm〜50mm程度が汎用的で好ましい範囲である。平板状部分の外形が正方形以外の形状である場合には、前記の正方形の面積と同程度の面積が好ましい。
平板状部分の全体的な厚さは、上記した穴の深さと、後述の底の膜厚を加え合わせた値となる。
平板状部分の材料と製造方法については、後述する。
本発明では、平板状部分の穴が貫通しておらず底があること、該底が膜となっていること、そして、その膜が、上記(A)の多孔質膜、または、上記(B)のガス透過性膜となっていることが重要である。
上記(A)の多孔質膜は、培養中の細胞に新鮮な培養液が好ましく供給されるように、該培養液が透過可能な大きさの孔を有し、かつ、穴内に沈降した細胞粒子が該孔を通過して下へ抜け落ちることが抑制される大きさの孔を有するものであればよい。
新鮮な培養液中には、培養に必要なガスも溶け込んでいるので、培養液と共にガスも供給される。
上記(A)の多孔質膜は、培養液中の所定の成分だけを透過させる半透膜であってもよい。
該多孔質膜は、必ずしも全ての細胞粒子の通過を完全に阻止するものである必要はない。播種される細胞粒子の形状や大きさは不定であり、多孔質膜の孔の開口の形状や大きさも不定であるから、多孔質膜を通過する細胞粒子が存在してもよい。ただし、大多数の細胞粒子が多孔質膜を通過するのでは有用性が低下する。
よって、該多孔質膜の多孔性は、細胞培養の結果として有用な量の胚様体が得られる程度の数の細胞が少なくとも膜上に留まるような多孔性であればよい。本発明において「細胞の透過を抑制し得る」とは、このような濾過性を意味する。
膜の孔がより大きくなると、培養液の透過性の点では好ましくなるが、膜上に保持される細胞の数は減少する。よって、培養すべき細胞の大きさに応じて、かつ、培養液の透過性、得られる胚様体の量を考慮し、膜の多孔性(即ち、孔の大きさと密度)を適宜決定すればよい。
多孔質膜を構成する孔の大きさは、例えば、その膜の表面に現れる孔の開口径として表すことができ、該開口径は、顕微鏡(電子顕微鏡、光学顕微鏡を含む)によって膜表面を観察して得られる各開口の像のフェレー(Feret)径(開口の外周形状を挟む一定方向の二本の平行線の間隔、定方向径)を、その開口の開口径として採用すればよい。
ここで、播種すべき細胞粒子のフェレー径(細胞粒子の外形を挟む一定方向の二本の平行線の間隔、定方向径)は、通常、5μm〜50μm程度である。
よって、多孔質膜の各孔の開口径は、0.1μm〜10μm程度、より好ましくは0.5μm〜5μm程度であれば、細胞粒子を膜上に好ましく保持することができ、かつ、培養液が好ましく供給される。
多孔質膜の空隙率は、培養液を十分に供給する点から、10%以上が好ましく、20%〜50%が実使用上好ましい範囲である。空隙率がこの範囲を超えると、膜が容易に破損する等、機械的強度が低下したり、膜の透明性が失われて細胞の観察が困難になる。
多孔質膜の膜厚は、特に限定はされず、材料によっても異なるが、培養液の適度な透過性と機械的強度の点からは、5μm〜100μm程度、より好ましくは10μm〜50μm程度が挙げられる。膜厚がこの範囲を超えると、培養液の透過性が不十分になったり、高倍率での顕微鏡での観察時に焦点を合わせることが困難になるという問題が生じる。
上記のような多孔質膜としては、例えば、セルロース混合エステルからなる多孔質膜(ミリポア社製、MF―ミリポア(登録商標))、ポリビニリデンジフロライドからなる多孔質膜(ミリポア社製、デュラポア(登録商標))、ポリエーテルスルフォンからなる多孔質膜(ミリポア社製、エクスプレスプラス(登録商標))などが好ましいものとして挙げられる。
上記(B)のガス透過性膜は、培養液と細胞の透過を抑制しながら、培養中の細胞に新鮮なガスが好ましく供給されるように、該ガスが透過可能な性質を有するものであればよい。
培養において細胞に供給すべきガスとしては、酸素が特に重要なものとして挙げられる。
ガス透過性膜を用いた細胞培養では、膜の下面に目的のガス(酸素)を含んだ培養液を接触させてもよいし、ガス(酸素を含んだ空気、または酸素のみ)だけを接触させてもよい。いずれの場合でも、目的のガスが膜を透過し、穴内の細胞に供給される。
膜を構成する材料のガス透過性は、例えば、酸素については、JIS K7126−1に準拠して測定した酸素透過度が、1.0×10(cc/m・24h・atm)以上、好ましくは、1.0×10(cc/m・24h・atm)以上であることが、好ましい範囲として挙げられる。
膜のガス透過性(酸素透過性)は、前記の酸素透過度に比例し、膜厚に反比例する。
膜の酸素透過性は大きい程好ましく、その上限は、特に限定はされないが、例えば、材料がポリジメチルシロキサンであり、厚さが1〜10μm程度の膜であれば、酸素透過性の上限は、1.0×10(cc/m・24h・atm)程度となる。
ガス透過性膜の膜厚は、特に限定はされず、材料によっても異なるが、ガス(とりわけ酸素)の適度な透過性と、機械的強度の点からは、5μm〜100μm程度、より好ましくは、10μm〜50μm程度が挙げられる。
上記のようなガス透過性膜としては、例えば、ポリエチレンからなるフィルム(日東電工株式会社製、サンマップ(登録商標))、フッ素樹脂からなるフィルム(日東電工株式会社製、TEMISH(登録商標))、ポリオレフィンからなるフィルム(三菱樹脂株式会社製、KTF(登録商標))、シリコーン系樹脂からなるフィルムなどが好ましいものとして挙げられる。
上記多孔質膜およびガス透過性膜は、多層であってもよい。例えば、穴内に露出する層を、細胞の通過を抑制しかつ培養液またはガスの透過を可能とする極めて薄い膜とし、下側の層を、大きい開口と大きい空隙率を持った厚い膜とするなどである。
上記多孔質膜およびガス透過性膜は、下側から観察し得るように、無色透明であることが好ましい。また、上記多孔質膜およびガス透過性膜は、細胞無毒性であることが好ましい。
穴の底が上記の膜となっている平板状部分の構造としては、図1(a)〜(c)に例示する構造が好ましいものとして挙げられる。
図1(a)の例では、平板状部分1は、平板状の本体層11と、膜層12とを有して成る積層構造となっている。平板状の本体層11には、上記した穴となる貫通孔が設けられ、該本体層11の下面に膜層12が積層され、該膜層12が、上記穴の貫通を妨げる底22としての膜となっている。
図1(b)の例では、平板状の本体層11に貫通孔が設けられ、その貫通孔内の底を膜12が閉鎖し、穴の底22となっている。
図1(c)の例では、上記平板状部分の本体11bと底22である膜とが、同じ材料によって一体的に形成されている。
平板状部分の材料は、特に限定はされないが、図1(a)、(b)のように、平板状の本体層と膜とが異なる材料である場合には、該平板状の本体層の材料は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、半硬化性樹脂などのプラスチック材料が好ましいものとして挙げられ、より具体的には、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などが挙げられる。また、平板状の本体層を形成する方法としては、一般的な樹脂成形方法の他、上記特許文献2に記載された半硬化状態とすることができる熱硬化性樹脂組成物からなる材料シートを用いた製造方法などを参照することができる。
平板状部分は、柔軟性を有するものであっても、剛性を有するものであってもよい。平板状部分が柔軟性を有する場合には、培養液中または空気中に保持する点から、後述の壁部などによって平板状を保つようにすることが好ましい。
図1(b)のように、貫通孔内に異なる材料によって膜を形成する方法もまた、公知の2層成形法、膜形成法などを適用すればよい。
図1(c)のように、膜を平板状部分の一部として全体を同じ材料で形成する方法もまた、公知の成形法を用いればよい。例えば、上記特許文献2に記載された製造方法では、シートに貫通孔が形成されるが、上型のピンの長さを膜厚だけ短くして、成形品を貫通させないようにし、膜を残すようにすればよい。
図1(a)の構成において、多孔質膜12を平板状の本体層11に接着する方法は、特に限定はされないが、例えば、平板状の本体層がポリスチレンなどの熱可塑性樹脂の場合には、熱融着が挙げられる。
また、平板状の本体層に熱を加えることが適当でない場合は、細胞無毒性の種々の接着剤を用いた接着法や、反応性ガス、波長10〜300nmの深紫外光(エキシマ光)、プラズマ、放電により、双方の表面を活性化させた後、圧力を加えて両者を接着する方法などが挙げられる。
多孔質膜やガス透過性膜は、微視的には表面が凸凹であるから、平板状の本体層に密着させるだけでは、密着性が低く培養中に剥がれる。平板状の本体層に細胞を接着させないための親水性処理を施すと、剥離はさらに顕著になる。
接着剤は、細胞毒性がある場合が多く、また、膜の微細孔が塞がれてしまうという問題がある。熱圧着では、圧力によって穴の形状が歪んだり、潰れる恐れがあり、膜の微細孔が塞がれてしまうという問題がある。
これに対して、膜と平板状の本体層とを一体成型する構造や、上記した、深紫外光(エキシマ光)、プラズマ、放電により、双方の表面を活性化させた後、圧力を加えて両者を接着する方法によれば、接着剤を使わず、素材の変形を起こすような高熱も加えずに、好ましい平板状部分を得ることができ、長期間の培養に供しても、途中でマスク部分と膜とが剥離したり、ズレるという問題が解決される。
図5に示すように、平板状部分1には、その周囲を取り巻く壁部3を設ける態様が好ましい。このような壁部を設けることで、平板状部分の上面と壁部とによって、培養液を保持し得る空間が形成される。即ち、該壁部の内側が容器となる。また、壁部は、平板状部分が柔軟なシート状である場合には、平板状を維持するためのフレーム(支持枠)としても機能する。
壁部を設けることで、平板状部分の下や周囲の培養液と、播種のための培養液とを仕切ることができ、播種時に、細胞が平板状部分の外へ拡散するのを抑制することができる。
また、壁部を設けることで、平板状部分を空中に懸架した状態とし、上面に播種のための培養液を供給し、平板状部分の下に空気を接触させることが可能になる。この場合の穴の底の膜は、上記(B)のガス透過性膜である。
上記(A)の多孔質膜の場合、壁部の内側に注入される培養液(播種のための細胞が分散した培養液)の液面と、壁部の外側の容器内の培養液の液面との間に、高さの差があっても、穴の底の膜を通して培養液が緩やかに移動し、両者の液面は同じになる。
壁部の材料は、特に限定はされないが、プラスチック材料が好ましく、図1(a)、(b)に示す平板状の本体層11の材料として上記した材料が挙げられる。
壁部の材料は、平板状の本体層の材料と同じものであっても、異なるものであってもよい。上記したように、平板状部分が柔軟である場合には、壁部の材料は、平板状部分を支持するフレームとしても機能するような剛性を持った材料であることが好ましい。
壁部は、別途独立した部材として形成し、平板状部分に接合してもよいし、平板状部分と一体的に成形してもよい。
壁部の厚さや高さ(平板状部分の上面からの高さ)は、特に限定はされないが、例えば、厚さ0.5mm〜1mm程度、高さ2mm〜10mm程度が、培養には適当である。
図5(a)に示すように、平板状部分1には、さらに、その周囲から外側へ延びる1以上の腕部4を設け、図5(b)に示すように、該腕部4の先端側の部分を所定の容器100の開口部の壁に引掛けて、該平板状部分1を、該容器100内において、該容器の底面101の上方に懸架するように構成することが好ましい。
図5(c)に示すように、この態様によって、平板状部分1を、容器100内において、培養液中または空中(または培養に必要なガス中)に浮かんだ状態で保持することができる。これにより、膜の下面と容器の底面101との間に隙間が生じ、培養液やガスを膜の下面に接触させた状態で培養を行うことが可能になる。また、培地交換や分化誘導試薬の添加を、平板状部分の外側で行うことが可能になる。
腕部は、平板状部分から直接的に延びていてもよい。上記したように、平板状部分には壁部を設けることが好ましい態様であることから、図5に示すように、該壁部から腕部が延びていてもよい。
腕部の位置、数、形状、寸法は、平板状部分を容器内の所定の高さに懸架できるものであればよく、平板状部分や壁部の剛性、および、自体の剛性、容器の開口部の壁までの距離などに応じて、適宜決定すればよい。
腕部は、片手鍋の取っ手のように1本であっても平板状部分を支持することが可能であるが、両手鍋の取っ手のように対向する位置に一対設ける態様や、3か所、または、図5のような4か所が、過剰な強度を必要とせず、安定した懸架が可能となるので好ましい。
図5の例では、正方形の平板状部分の各角部から、腕部4が外側に延びている。これは、各角部が容器の開口部の壁に近いからである。
腕部を引掛ける容器は、例えば、シャーレや当該細胞培養装置のための専用ディッシュなどが挙げられ、その開口形状に合わせて腕部を設計すればよい。図5(b)に示すように、腕部に窪みを設け、容器の開口部の壁に嵌り込むようにしてもよい。これにより、平板状部分は、容器の中央に位置決めされる。
図6(a)に示すように、平板状部分1には、その下面から下方へ延びる1以上の脚部5を設け、図6(b)、図6(c)に示すように、該脚部5によって、該平板状部分1を、該容器100内において、該容器の底面101の上方に支持するように構成することが好ましい。
脚部は、平板状部分から外側に延びた後、下方に延びてもよい。上記したように、平板状部分には壁部を設けることが好ましい態様であることから、図6に示すように、該壁部から脚部が延びていてもよい。
脚部を設ける態様は、腕部を設ける態様に比べて、設置する容器の形状に制限がないという利点がある。
腕部と同様、脚部の位置、数、形状、寸法は、平板状部分を支持できるものであればよい。
上記した腕部と脚部は、同時に平板状部分1に設けてもよく、例えば、平板状部分のある部分を腕部で懸架し、その対向端を脚部で支持する構成などとしてもよい。
図5、図6において、平板状部分1の下面と容器の底面101との間の距離は、特に限定はされないが、培養液の交換を容易にする点と、顕微鏡での観察時の焦点距離の制限からは、0.5mm〜2mm程度が好ましい。
腕部の延びる方向や、脚部の長さは、容器の底からの距離に応じて、適宜決定すればよい。
腕部および脚部の材料は、特に限定はされないが、プラスチック材料が好ましく、図1(a)、(b)に示す平板状の本体層11の材料として上記した材料が挙げられる。
腕部および脚部の材料は、平板状の本体層の材料と同じものであっても、異なるものであってもよい。腕部および脚部は、別途独立した部材として形成し、平板状部分に接合してもよいし、平板状部分と一体的に成形してもよい。
図7(a)、(b)に例示するように、本発明の細胞培養装置は、さらに、平板状部分1を取り巻くボトル6を有していてもよい。これらの態様では、該ボトル6の内部に平板状部分1が1以上固定された構造となっている。該平板状部分1は、その厚さ方向が、該ボトルの口6aから底6bへと向かう方向に対して直交する姿勢にて、該ボトル6の内部に固定されている。よって、ボトルを横に寝かせると、平板状部分は水平に維持される。
図7(a)において、平板状部分1の下面と、それに対向するボトルの壁面との間の距離は、特に限定はされないが、0.5mm〜5mm程度を確保することが好ましい。図7(b)における、最下層の平板状部分1の下面と、それに対向するボトルの壁面との間の距離も同様である。
同図のような態様によって、シャーレ内に配置する場合に比べて、取扱い易く、ボトルの開口部が小さいので、汚染のリスクも小さくなる。
各ボトル内に平板状部分を固定する方法は、例えば、ボトルの1つの壁を取り外し(または、所定の位置で分断し)、ボトル内に平板状部分を固定した後に、元のボトルとなるように壁(または分断部)を接合するといった手順が挙げられる。
ボトル内への平板状部分の固定は、接着、溶着、はめ込みなど公知の固定技術が利用できる。
図7(a)の態様を用いた培養では、例えば、平板状部分1の周囲に上記の壁部(図示せず)を設けておき、平板状部分の上面付近まで容器6内に培養液を満たしておき、容器の口6aから、ピペット等を差し込んで、細胞粒子が分散した培養液を壁部に囲まれた平板状部分に注入し、細胞を各穴に沈降させるといった手順が挙げられる。
図7(b)の態様例では、複数(図の例では3つ)の平板状部分1が、自体の厚さ方向に間隔をあけて互いに平行に配置されている。このような態様を用いた培養では、例えば、容器6を立てた状態で、容器の口6aから、細胞粒子が分散した培養液を十分な量だけ注入し、容器を図7(b)のように横に寝かせ、平板状部分の上面を上に向けて水平に保ち、細胞を各平板状部分の各穴に沈降させるといった手順が挙げられる。
図7(b)の態様によって、胚様体の大量培養が可能になる。例えば、平板状部分は、1平方センチあたり約400個の胚様体を生産できるので、側面(図7(b)のボトルでは下の面)が一辺5cmの正方形であるようなボトル内に、10段の平板状部分を設置すると、10万個の胚様体の生産が可能になる。胚様体の回収時には、ボトルを上下反転させて平板状部分を裏返しにすれば、ボトル内の培養液内に胚様体が自重で落ちてくるので、ボトルの口から胚様体を容易に回収できる。
図8の態様例は、複数の平板状部分を、マルチウェルプレート上のウェルに位置合わせして、簡単にセットし得る好ましい例である。
同図の例では、説明のため、図8(b)に示すように、3列4行、計12個のウェル8aを持ったマルチウェルプレート8に適合するように構成された装置を示している。平板状部分1の数は、当該細胞培養装置と共に使用すべきマルチウェルプレート8上の複数のウェル8aの数に対応する数である。平板状部分の数と、マルチウェルプレート上の全てのウェルの数とが、互いに一致せず、選択された特定のウェルに平板状部分が配置される構成であってもよい。
図8(a)の例では、各平板状部分1に壁部3が設けられており、所定のウェル(図では全てのウェル)内に該平板状部分が1つずつ位置するように、各ウェルの位置に対応して配置され、かつ、隣り合った平板状部分同士が、連結用腕部7によって互いに連結されている。同図の例では、各平板状部分の壁部3同士が、連結用腕部7によって互いに連結されているが、壁部は必須ではなく、平板状部分の外周に連結用腕部が接合されていてもよい。
この構成によって、図8(b)に示すように、当該細胞培養装置をマルチウェルプレート8上に重ねて置いたときに、各平板状部分は、連結用腕部に支持されて、各ウェル8aの内部において各ウエルの底面の上方に懸架された状態となる。即ち、この態様は、図5に示した腕部を持った態様を、複数連結した態様であるということもできる。連結用腕部は、図5に示した腕部と同様に、ウェルの開口部の壁に係合している。
この態様によって、複数種類の試薬の影響を、同時に調べることができる。
図8の態様に用いられるマルチウェルプレートのウェルの数は、特に限定はされないが、6穴、24穴、96穴、384穴などの標準品が利用可能であり、本発明専用に寸法と数を変更されたマルチウェルプレートであってもよい。
上記(iv)の問題を抑制する効果として述べたように、本発明の細胞培養装置では、細胞培養時に平板状部分の下面が培養液に露出する。よって、図9に例示するように、膜12の上面(穴内の面)や穴の内面を細胞非接着性として回収可能にし、膜の下面を細胞接着性とすれば、該膜12を挟んで、上側(穴内)の細胞P1と、下側の他の細胞(フィーダー細胞や分化細胞)P2との共培養系を構築することができる。
細胞非接着性の処理としては、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、アガロース等の親水性の高分子を表面に重合あるいはコーティングする手法や、深紫外光あるいはプラズマの照射によって、表面に水酸基を生じさせる手法が挙げられる。
膜の下面に対する細胞接着性の処理としては、例えば、アミノ基、コラーゲン、ポリLリジン、フィブロネクチン、ゼラチン、ラミニン等の細胞接着性物質を表面に付着させるコーティング処理が挙げられる。
共培養を行う場合には、膜は、上記(A)の多孔質膜であっても、上記(B)のガス透過性膜であってもよいが、異種細胞の相互作用を促進する点からは、多孔質膜の方が好ましい。
共培養操作の一例としては、先ず、平板状部分を裏返しにして、多孔質膜の下面に他の細胞を播種し、必要時間だけ静置し、膜の下面に他の細胞を固定する。次に、各穴の開口が上を向くように該平板状部分を元の姿勢へと戻し、上から胚様体とすべき細胞粒子を培養液と共に供給し、各穴の底の膜の上面で培養する。
本発明の細胞培養装置によって集団化を行い胚様体とすべき細胞は、植物細胞であっても動物細胞であってもよく特に限定はされないが、例えば、哺乳動物(ヒト、サル、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ヤギ等)由来の、膵管幹細胞、骨髄幹細胞、間葉系幹細胞、神経幹細胞、肝幹細胞、網膜神経細胞、癌細胞、骨軟骨細胞、歯胚細胞、筋芽細胞、心筋細胞、腎臓細胞、胚性幹細胞、体性幹細胞、前駆細胞、人工多能性幹細胞(iPS細胞)、神経細胞、肝細胞、血管内皮細胞、周皮細胞、表皮角化細胞、皮膚線維芽細胞、角膜上皮細胞などが挙げられる。
細胞の集団化の目的は、主としてその細胞の培養が挙げられるが、観察、試験、分化誘導、薬効評価、移植用組織作製、遺伝子導入などであってもよい。
上記の培養すべき細胞に対し、共培養に有用な細胞は、適宜選択してよく、例えば、MEF細胞、STO細胞、SNL細胞、SL10細胞などのフィーダー細胞や各種分化細胞などが挙げられる。
本発明の細胞培養方法は、上記した本発明の細胞培養装置を用いて行う。
図4(a)に示すように、当該細胞培養装置の平板状部分1を、シャーレやウェルなどの所定の容器内に収容された培養液Q2中に配置する。このとき、該平板状部分を該容器内の底面から間隔をあけて水平に位置させ、膜12の下面に培養液Q2を接触させる。次に、培養すべき細胞Pが分散した培養液Q1を、該平板状部分の上側に供給し、各穴に細胞を分散させ、穴の底の膜上において培養する。
平板状部分は、容器の培養液Q2の液面付近に配置してもよいし、容器の培養液Q1の液中に浸漬してもよい。培養液Q1の供給後に、図4(a)のように、平板状部分の上下に培養液が存在する状態となればよい。平板状部分の上側の培養液は、細胞が各穴に分かれて沈降するために必要であり、平板状部分の下側の培養液は、好ましい細胞培養のために必要である。
この場合、膜は、上記(A)の多孔質膜であっても、上記(B)のガス透過性膜であっても好ましい細胞培養が可能となる。
また、本発明の細胞培養装置を用いた共培養の方法は、上記したとおりである。
一方、図4(b)に示すように、当該細胞培養装置の平板状部分1を空中に懸架または支持し、各穴の膜の下面に空気などのガスを接触させた状態でも、好ましい細胞培養が可能である。
この場合、膜は、上記(B)のガス透過性膜が用いられる。
また、平板状部分の上側に培養すべき細胞を含んだ培養液を入れることができるように、該平板状部分の周囲には壁部を設けることが好ましい。
以下の実施例では、図1に示す平板状部分を持った本発明の細胞培養装置、図15に示す従来のマスク材、および、市販の胚様体培養器材を用いて、本発明の効果を実際に確認した様子を示す。
本発明による細胞培養装置の平板状部分、従来のマスク材、市販の胚様体培養器材の仕様は次のとおりである。
〔実施例品1〕
構造:図1(a)に示すように、平板状の本体層に膜を接着した構造である。
穴の底の膜:ガス透過性膜
膜の材料:日東電工製シリコーン系エラストマー
膜厚:10μm
膜のガス透過性:酸素透過性として31000(cc/m・24h・atm)
平板状の本体層の材料:膜材料と同様である。
平板状の本体層の厚さ:0.7mm
穴の開口形状:1辺500μmの正方形
各穴の形状は、漏斗状部と下部の角柱状部分とからなる形状である。
穴の配列:24×24の正方行列状
〔実施例品2〕
構造:図1(a)に示すように、平板状の本体層に膜を接着した構造である。
膜以外の仕様は、実施例品1と同様である。
穴の底の膜:ガスと培養液の両方が透過できる多孔質膜
膜の材料:ポリエチレンテレフタラート
膜厚:10μm
膜表面の孔の開口径(フェレー径)の中心値:約1μm
〔比較例品1:従来のマスク材〕
構造:図15(a)に符号100で示すように、シートに貫通孔が設けられ、シャーレの底に密着させることで,シャーレ底面に底の閉じた胚様体培養用の穴を多数形成した構造である。
材料:日東電工製シリコーン系エラストマー
シート厚さ:700μm
貫通孔の仕様は、実施例品1の穴と同様である。
〔比較例品2:市販の胚様体培養器(Veritas社製、AggreWell)〕
比較例品1と同様、シャーレ底面に底の閉じた胚様体培養用の穴を多数形成した構造である。
実施例1
本実施例では、実施例品1、2、および、比較例品1を用いて、それぞれに同じ条件でヒトiPS細胞の培養を行い、播種から6日間経過した時点での胚様体の回収率を確認した。
実施例品1、2をそれぞれに、シャーレの底から1mmだけ離して位置させ、培養液(リプロセル社製ReproFF2)に浸漬した。
ヒトiPS細胞の粒子が分散した培養液を、実施例品1、2の上面に静かに供給(播種)し、各平板状部分の穴に沈降させた。
比較例品1は、シャーレの底面に密着させ、ヒトiPS細胞の粒子が分散した培養液を、該比較例品の上面に静かに供給(播種)し、シートの貫通孔内に沈降させた。
培養液は1日毎に交換した。
播種から6日が経過した時点で、胚様体の回収率を比較した結果、図10の各グラフに示すように、従来のマスク材である比較例品では、胚様体はほとんど回収されず、ガス透過性膜を接着した実施例品1では、穴の総数の25%、ガスと培養液の両方が透過できる多孔質膜を接着した実施例品2では、穴の総数の70%の胚様体が回収できることがわかった。
実施例2
実施例品2と比較例品1とを用い、実施例1と同様の状況にて、それぞれに培養液を供給し、1時間経過した時の各穴(比較例品では貫通孔)に残留する気泡の様子を確認した。
その結果、図11(a)の写真図に白く現れているように、比較例品では多数の貫通孔に気泡が残っているのに対して、実施例品2では、図11(b)の写真図のとおり、穴内の気泡の残留がほとんど無かった。
実施例3
実施例品2と比較例品2とを用い、実施例1と同様の状況にて、それぞれにピペットによって培養液の交換(吸引と供給)を行い、各穴(比較例品では貫通孔)内に沈降した細胞への影響を調べた。
その結果、図12(a)の写真図に太い破線の丸で囲んだ部分に現れているように、比較例品2では、ピペットからの培養液の流れによって、一部の貫通孔内の細胞が舞い上がり移動した。これに対して、実施例品2では、平板状部分よりも下側に培養液を供給することができたので、穴内の細胞には全く影響が無かった。
実施例4
本実施例では、実施例品2を用い、実際に共培養を行った。
膜の下面(=平板状部分の下面)に、細胞接着性を付与すべく、コラーゲンをコーティングした。
この平板状部分を、裏返しにし、培養液(ReproCell社製ReproFF2)内に浸漬した状態で、膜面にフィーダー細胞SL10を播種し、1時間静置し、該フィーダー細胞を膜の下面に固定した。
その後、平板状部分を元の姿勢に戻し、実施例1と同様にして、ヒトiPS細胞を播種し、培養を行った。
図13(a)は、膜の下面に固定されたフィーダー細胞SL10の様子を示した顕微鏡写真であり、図13(b)は、膜の上面(穴内)で培養されたヒトiPS細胞の様子を示した顕微鏡写真である。また、図14は、穴の底の膜12(太い破線で位置を示す)を挟んで、ヒトiPS細胞の胚様体P1、フィーダー細胞P2とが共培養されている状態を示した共焦点顕微鏡写真図である。
これらの写真図からも明らかなとおり、従来のマスク材では実施できなかった共培養が可能であることがわかった。
本発明によって、従来の細胞培養法やマスク材を用いた細胞培養法の問題が抑制され、幹細胞等の好ましい3次元培養が可能になった。
これにより、例えば、動物実験代替としての創薬スクリーニングのモデルの提供、移植用の膵島、肝組織、心筋組織を安価に大量生産すること、長期培養などが好ましく実施できるようになった。また、ES、iPS細胞などの幹細胞を、胚様体として培養し、また、胚様体などの細胞塊を分化誘導して、肝臓や膵臓などの機能を補助する移植用組織体を生産することが、好ましく実施できるようになった。
1 平板状部分
2 穴
21 開口
2a 漏斗状部分
12 膜
22 底

Claims (14)

  1. 培養液中に分散した細胞を複数の集団へと分けて沈降させるための複数の穴を有する細胞培養装置であって、
    当該細胞培養装置は、前記複数の穴が設けられた平板状部分を少なくとも有し、
    前記穴は、それぞれに、該平板状部分の一方の主面である上面に開口を有し、該開口から平板状部分の他方の主面である下面に向かって移動するにつれて、横断面の面積が減少する漏斗状部分を少なくとも有し、かつ、
    前記穴は、該平板状部分の下面の側に、該穴の貫通を妨げる底としての膜を有し、該膜が、下記(A)の多孔質膜、または、下記(B)のガス透過性膜となっている、
    前記細胞培養装置。
    (A)前記培養液の透過が可能であり、かつ、前記細胞の透過が抑制される、多孔質膜。
    (B)培養に必要なガスの透過が可能であり、かつ、前記細胞の透過が抑制される、ガス透過性膜。
  2. 上記平板状部分が、平板状の本体層と、膜層とを有して成る積層構造を有し、
    該平板状の本体層には、上記の穴となる貫通孔が設けられ、
    該平板状の本体層の下面に前記膜層が積層され、該膜層が、上記の穴の貫通を妨げる底としての膜となっている、
    請求項1記載の細胞培養装置。
  3. 上記平板状部分の本体と上記の膜とが、同じ材料によって一体的に形成されている、請求項1記載の細胞培養装置。
  4. 当該細胞培養装置は、さらに、上記平板状部分の上面の周囲を取り巻く壁部を有し、該上面と壁部とによって、培養液を保持し得る空間が形成されている、
    請求項1〜3のいずれか1項記載の細胞培養装置。
  5. 当該細胞培養装置は、さらに、上記平板状部分の周囲から外側へ延びる1以上の腕部を有し、該腕部は、その先端側の部分を容器の開口部の壁に引掛けて、該平板状部分を、該容器内において、該容器の底面の上方に懸架するように構成されている、
    請求項1〜4のいずれか1項記載の細胞培養装置。
  6. 当該細胞培養装置は、さらに、上記壁部から外側へ延びる1以上の腕部を有し、該腕部は、その先端部分を容器の開口部の壁に引掛けて、該平板状部分を、該容器内において該容器の底面の上方に懸架するように構成されている、
    請求項4記載の細胞培養装置。
  7. 上記平板状部分の数が複数であり、該平板状部分の数は、当該細胞培養装置と共に使用すべきマルチウェルプレート上の複数のウェルの数に対応する数であり、
    前記複数の平板状部分は、各ウェル内に該平板状部分が1つずつ位置するように、各ウェルの位置に対応して配置され、かつ、
    当該細胞培養装置を前記マルチウェルプレート上に重ねて置いたときに、各ウェルの内部において各ウェルの底面の上方に各平板状部分が懸架されるように、隣り合った平板状部分同士が、連結用腕部によって互いに連結されている、
    請求項1〜4のいずれか1項記載の細胞培養装置。
  8. 当該細胞培養装置は、さらに、上記平板状部分の下面から下方へ延びる1以上の脚部を有し、該脚部は、容器内において、該平板状部分を該容器の底面の上方に支持するように構成されている、
    請求項1〜7のいずれか1項記載の細胞培養装置。
  9. 当該細胞培養装置は、さらに、上記平板状部分を取り巻くボトルを有し、該平板状部分は、その厚さ方向が、該ボトルの口から底へと向かう方向に対して直交する姿勢にて、該ボトルの内部に固定されている、
    請求項1〜4のいずれか1項記載の細胞培養装置。
  10. 上記ボトルの内部に固定された平板状部分の数が複数であり、
    これら平板状部分は、厚さ方向に間隔をあけて平行に、該ボトルの内部に固定されている、請求項9記載の細胞培養装置。
  11. 上記平板状部分の各穴内に露出している膜の上面、および、各穴の内面が、細胞非接着性であり、かつ、該膜の下面が細胞接着性であるように、それぞれに表面処理されており、それによって、該膜の上面では目的の細胞の胚様体を培養しながら該膜の下面では他の細胞の培養を行う、共培養が可能な構成となっている、請求項1〜10のいずれか1項記載の細胞培養装置。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の細胞培養装置を用い、
    該細胞培養装置の平板状部分を、容器内に収容された培養液中に配置し、
    該平板状部分の各穴に、培養すべき細胞を含んだ培養液を入れ、各穴の膜の下面に、容器内の培養液を接触させた状態で、該細胞を各穴の底の膜上において培養する、
    細胞培養方法。
  13. 請求項11に記載の細胞培養装置を用い、
    該膜の上面では目的の細胞の胚様体を培養しながら、該膜の下面では他の細胞の培養を行う、請求項12記載の細胞培養方法。
  14. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の細胞培養装置のうち、平板状部分の各穴の膜が上記(B)のガス透過性膜である該細胞培養装置を用い、
    該平板状部分の各穴に、培養すべき細胞を含んだ培養液を入れ、各穴の膜の下面に、培養に必要なガスを接触させた状態で、該細胞を各穴の底の膜上において培養する、
    細胞培養方法。
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