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JP2016092648A - A/d変換装置 - Google Patents

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JP2016092648A JP2014226356A JP2014226356A JP2016092648A JP 2016092648 A JP2016092648 A JP 2016092648A JP 2014226356 A JP2014226356 A JP 2014226356A JP 2014226356 A JP2014226356 A JP 2014226356A JP 2016092648 A JP2016092648 A JP 2016092648A
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Abstract

【課題】確率的A/D変換を適用して構成された、高い精度を有するA/D変換装置を提供する。
【解決手段】入力アナログ電圧と、入力されるディジタルデータに応じた参照電圧との差を示すDAC電圧を出力する電荷転送型DAC回路30と、DAC電圧をディジタルデータにA/D変換するSF−ADC23と、SF−ADCからのディジタルデータを、ディジタルしきい値と比較して比較結果を示すディジタル信号を出力するディジタルコンパレータ11と、入力アナログ電圧を出力ディジタル信号にA/D変換して出力するSARロジック回路12とを備える。しきい値発生手段42は、テストディジタルデータをDAC回路に入力したときに並列型確率的A/D変換手段から出力されるディジタル誤差データに基づいてディジタルしきい値を発生することによりA/D変換誤差を補正する。
【選択図】図21

Description

本発明は、例えば逐次比較A/D変換器に対して確率的A/D変換を適用して構成されたA/D変換装置に関する。
近年の日常健康管理の需要の高まりから、バッテリーによって長時間駆動可能な高精度ウェアラブル生体計測センサが必要とされている。これに伴い、低消費電力、高分解能のA/D変換器(Analog−to−Digital Converter;ADC)が必要となっている。一般に消費電力は電源電圧の2乗に比例するため、低消費電力化のためには集積回路の低電圧化が重要になる。しかし、低電圧化によりダイナミックレンジの確保は困難になる。また、このように。ADCでは、消費電力と分解能はトレードオフの関係にあり、低消費電力高分解能のADCを実現することは容易ではない。
図1は従来技術に係る一般的なnビット逐次比較型A/D変換器の構成を示すブロック図である。低消費電力のA/D変換方式としては、図1のような逐次比較型ADC(Successive Approximation Register ADC;SAR−ADC)が代表的である。図1において、逐次比較型A/D変換器は、サンプルホールド回路1と、コンパレータ2と、逐次変換レジスタロジック回路(以下、SARロジック回路という。)3と、nビットD/A変換器4とを備えて構成される。この方式ではD/A変換器4とコンパレータ2を繰り返し使用し、バイナリサーチアルゴリズムに基づいて最上位ビットDn−1から順に判定を行う。
特開2010−045622号公報
ハム・ヒョンジュほか,「素子特性ミスマッチを用いた並列型確率A−Dコンバータ」,電気学会論文誌C,Vol.131−C,No.11,pp.1848−1857,2011年11月 平井雄作ほか,「マルチビットΔΣ変調器における確率的量子化器によるDAC誤差補正」,電気学会電子回路研究会,2013年10月 H. Ham et al., "Design of a 500-MS/s stochastic signal detection circuit using a non-linearity reduction technique in a 65-nm CMOS process," IEICE Electronics Express, Vol. 8, No. 6, pp.353-359, March 2011. S. Weaver et al., "Stochastic Flash Analog-to-Digital Conversion," IEEE Transaction on Circuits Systems I, Vol. 57, No. 11, pp. 2825-2833, November 2010. J. J. Collins et al., "Stochastic resonance without tuning," NATURE, Vol. 376, No. 20, pp. 236-238, July 1995. H. Ham et al., "Application of Noise-Enhanced Detection of Subthreshold Signals for Communication Systems," IEICE Transaction on Fundamentals, Vol. E92-A, No. 4, pp. 1012-1018, April 2009. J. Um et al., "A Digital-Domain Calibration of Split-Capacitor DAC for a Differential SAR ADC Without Additional Analog Circuits," IEEE Transaction on Circuits Systems I, Vol. 60, No. 11, pp. 2845-2856, November 2013. David F. Hoeschele Jr., et al., "Analog-to-digital and digital-to-analog conversion techniques (2nd edition)," pp. 47-51, A Wiley-Interscience publication, 1994. Christopher M. Bishop, "Pattern Recognition and Machine Learning," pp. 1-177, Springer Science+Business Media, LLC, 2006. Shigeo Abe, "Support Vector Machines for Pattern Classification," pp. 93-94, Springer Science+Business Media, LLC, 2010.
一般にSAR−ADCの内部D/A変換器は2のべき乗で重みづけされた容量アレイで実現される。SAR−ADCではこのDACの精度がADC全体の精度に大きく影響する。容量を用いたDACの精度を確保するには、十分な相対精度の容量の実現が必要であるが、占有面積と製造コストの増大につながる。そのため、高分解能SAR−ADCを実現するためには、これらの誤差を補正する技術が必要となる。
本発明の目的は以上の問題点を解決し、逐次比較A/D変換器に対して確率的A/D変換を適用して構成されたA/D変換装置であって、従来技術に比較して高い精度を有するA/D変換装置を提供することにある。
本発明に係るA/D変換装置は、
入力アナログ電圧をサンプルしてホールドするサンプルホールド回路及び複数のDAC容量を有する電荷転送型DAC回路であって、上記入力アナログ電圧と、入力されるディジタルデータに応じた参照電圧との差を示すDAC電圧を出力する電荷転送型DAC回路と、
それぞれ異なるしきい値を有する複数のコンパレータと、当該複数のコンパレータからの各出力信号を加算する加算器とを含み、上記D/A変換手段からのDAC電圧をディジタルデータにA/D変換する並列型確率的A/D変換手段と、
所定のディジタルしきい値を発生するしきい値発生手段と、
上記並列型確率的A/D変換手段からのディジタルデータを、上記発生されるディジタルしきい値と比較して比較結果を示すディジタル信号を出力するディジタルコンパレータと、
上記ディジタルコンパレータからのディジタル信号を、上記ディジタルしきい値と、最上位ビットから最下位ビットまで繰り返して逐次比較するように制御することで、上記入力アナログ電圧を出力ディジタル信号にA/D変換して出力する逐次変換レジスタロジック回路とを備えたA/D変換装置であって、
上記しきい値発生手段は、所定のテストディジタルデータを上記DAC回路に入力したときに上記並列型確率的A/D変換手段から出力されるディジタル誤差データに基づいて上記ディジタルしきい値を発生することにより、上記A/D変換誤差を補正することを特徴とする。
上記A/D変換装置において、基準となる所定の入力コードデータを上記電荷転送型DAC回路に入力したときの上記ディジタル誤差データからの差分として、上記入力コードデータに依存した成分データを検出して記憶する記憶手段をさらに備え、
上記しきい値発生手段は、上記入力コードデータに依存した成分データに基づいて上記ディジタルしきい値を発生することを特徴とする。
また、上記A/D変換装置において、上記並列型確率的A/D変換手段は、上記D/A変換手段からのDAC電圧に対して、時間平均化処理を実行してA/D変換することを特徴とする。
さらに、上記A/D変換装置において、
上記並列型確率的A/D変換手段からのディジタルデータを多数回サンプリングして平均値を演算することで上記ディジタルデータを時間平均化して出力する平均化フィルタと、
上記平均化フィルタからのディジタルデータを所定の第1のビット数から所定の第2のビット数のディジタルデータに符号化するエンコーダとをさらに備えたことを特徴とする。
またさらに、上記A/D変換装置において、上記エンコーダは、上記平均化フィルタからのバイナリコードのディジタルデータをサーモメーターコードのディジタルデータに符号化することを特徴とする。
また、上記A/D変換装置において、所定の上位ビットのA/D変換処理において、上記電荷転送型DAC回路、上記並列型確率的A/D変換手段、上記しきい値発生手段、上記ディジタルコンパレータ、及び上記逐次変換レジスタロジック回路を用いてA/D変換処理を実行する一方、
所定の下位ビットのA/D変換処理において、上記電荷転送型DAC回路、上記並列型確率的A/D変換手段、上記平均化フィルタ、及び上記エンコーダを用いてA/D変換処理を実行することを特徴とする。
さらに、上記A/D変換装置において、所定の機械学習方法を用いて、上記電荷転送型DAC回路のDAC容量の誤差を補正する第1の補正手段をさらに備えたことを特徴とする。
またさらに、上記A/D変換装置において、所定の機械学習方法を用いて、上記エンコーダの符号化特性を補正する第2の補正手段をさらに備えたことを特徴とする。
またさらに、上記A/D変換装置において、上記A/D変換装置は、センサとサーバ装置とに分離し、かつ有線通信回線又は無線通信回線により通信可能に接続されて構成され、
上記センサは、上記電荷転送型DAC回路、上記並列型確率的A/D変換手段、上記しきい値発生手段、上記ディジタルコンパレータ、上記逐次変換レジスタロジック回路、及び上記第1の補正手段を備え、
上記サーバ装置は、上記第2の補正手段を備えたことを特徴とする。
従って、本発明に係るA/D変換装置によれば、逐次比較A/D変換器に対して確率的A/D変換を適用してA/D変換装置を構成することで、従来技術に比較して高い精度を有するA/D変換装置を提供することにある。
従来技術に係る一般的なnビット逐次比較型A/D変換器の構成を示すブロック図である。 実施形態1に係るA/D変換装置において用いる並列型確率的A/D変換器(SF−ADC)の構成を示すブロック図である。 図2のSF−ADCの入出力特性を示すグラフである。 実施形態1において用いるディジタル制御しきい値可変コンパレータの構成を示すブロック図である。 実施形態1において用いる、サンプルホールド回路を含むnビット容量D/A変換器の構成を示す回路図である。 実施形態1に係る、SF−ADCを用いたDAC誤差補正回路の構成を示すブロック図である。 実施形態1に係るA/D変換装置において用いるテスト入力コードの一例を示す表である。 実施形態1に係る、SF−ADCによる微弱信号のA/D変換回路の構成を示すブロック図である。 各ノイズ成分の分類及び特徴を示す表である。 図8のA/D変換回路において問題となる確率共鳴現象を示すタイミングチャートである。 実施形態1に係るA/D変換装置のシミュレーション結果であって、アナログ入力電圧と出力コードの誤差との関係を示すグラフである。 実施形態1に係る、上位12ビットSAR−ADCのシミュレーション条件を示す表である。 実施形態1に係るA/D変換装置のシミュレーション結果であって、下位6ビットA/D変換の周波数スペクトルを示すグラフである。 実施形態1に係る、下位12ビットSAR−ADCのシミュレーション条件を示す表である。 実施形態2に係るA/D変換装置の初期誤差を示す時間波形を示す波形図である。 実施形態2に係るA/D変換装置の残留誤差を示す時間波形を示す波形図である。 実施形態2に係るA/D変換装置において用いるベイズの追加学習処理を示すフローチャートである。 実施形態2に係るA/D変換装置のシミュレーション結果であって、初期学習を用いた予測分布の一例を示すグラフである。 実施形態2に係るA/D変換装置のシミュレーション結果であって、学習データD を用いた追加学習後の残留誤差を示すグラフである。 実施形態2に係るA/D変換装置のシミュレーション結果であって、学習データD を用いた追加学習後の残留誤差を示すグラフである。 実施形態3に係るA/D変換装置の構成を示すブロック図である。 図21のA/D変換装置におけるテストモード(制御データ取得)処理を示すブロックである。 図21のA/D変換装置におけるA/D変換時のしきい値制御データの生成処理を示すフローチャートである。 図21のA/D変換装置におけるSAR−ADCモード(上位ビット変換)処理を示すブロックである。 図21のA/D変換装置におけるSF−ADCモード(下位ビット変換)処理を示すブロックである。 実施形態4に係るA/D変換システムの構成を示すブロック図である。 実施形態4の具体例であって、機械学習によるエンコーダ特性を決定するためのシステムの構成を示すブロック図である。 図27のA/D変換装置で用いるバイナリコードからサーモメーターコードに変換する関係の一例を示す表である。
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、同様の構成要素については同一の符号を付している。
実施形態1.
1−1.まえがき
本実施形態ではマイクロコンピュータ(マイコン)上またはマイコンと同一ボード上に実装される環境を前提とし、マイコンの機能(不揮発性記憶領域等)を利用し、システム的に低電圧高分解能A/D変換器を実現することを目的としている。提案方式では後述の並列型確率的A/D変換器(例えば、非特許文献3,4参照)を用いて、しきい値をディジタル的に制御可能なコンパレータを実現する。これをSAR−ADCのコンパレータとして用い、事前にテスト信号入力により取得し、マイコンの不揮発性記憶領域に記憶した制御データを用いてコンパレータのしきい値を動的に制御することで、SAR−ADCのDAC誤差を補正する。また、ノイズが支配的となる下位ビットのA/D変換にはノイズを利用した確率的A/D変換方式を適用することで、ノイズに埋もれた信号のA/D変換を可能とする。
1−2.確率的A/D変換
図2は実施形態1に係るA/D変換装置において用いる並列型確率的A/D変換器(SF−ADC)の構成を示すブロック図である。従来技術に係るフラッシュADC(Flash ADC)は参照電圧生成器(抵抗ラダー等)、(2L−1)個のコンパレータ(Lはビット数)及び、サーモメーターコードからバイナリコードに符号化するエンコーダ(Thermometer to Binary Encoder)を備えて構成される。一方、SF−ADCでは、図2に示すように、N個のコンパレータ5−1〜5−Nからなるコンパレータアレイ5と、加算器6とを備えて構成される。
加算器6はN個のコンパレータ5−1〜5−Nに対し、1を出力したコンパレータの合計数をバイナリコードで出力する機能を持つ。SF−ADCはノイズによって信号が増幅される確率共鳴現象(例えば、非特許文献5参照)に基づくA/D変換方式であり、コンパレータの入力換算オフセット電圧をしきい値として利用することを特徴としている。SF−ADCにおいて、各コンパレータ5−1〜5−Nに発生するオフセット電圧Δoff,iは個別には予測できないが、集団としての見た場合の統計的性質、すなわち標準偏差や平均値は予測することができる。中心極限値定理により多数のコンパレータ群のオフセット電圧分布はガウス分布に従うと仮定でき、入力電圧Vin、オフセット電圧の標準偏差σoffとすると、コンパレータが1(ハイレベル)を出力する確率P(Vin)は以下の式で与えられる(例えば、非特許文献3参照)。
Figure 2016092648
ただし、オフセット電圧の平均値は0と仮定している。なお、erf(y)は誤差関数(Error Function)であり、次式で表される(例えば、非特許文献3,6参照)。
Figure 2016092648
また、nは1(ハイレベル)を出力するコンパレータの数であり、図2の加算器6の出力ディジタル信号に対応する。SF−ADCでは1を出力したコンパレータの数に応じて出力ディジタル信号が決定される。
図3は図2のSF−ADC23の入出力特性を示すグラフである。オフセット分布がガウス分布に従うと仮定できるため、SF−ADC23の入出力特性は図3のようにガウス分布の累積分布と全コンパレータ数Nの積に等しくなる。
図4は実施形態1において用いるディジタル制御しきい値可変コンパレータ10の構成を示すブロック図である。図4に示すように、入力ディジタル信号(しきい値データDth)と加算器6からの出力を比較し、1ビットに量子化するディジタルコンパレータ10について考える。ディジタル制御しきい値可変コンパレータ10は、コンパレータアレイ5と、加算器6と、ディジタルコンパレータ11とを備えて構成される。
図4に示す構成を用い、コンパレータアレイ5及び加算器6からなるSF−ADC23からの出力信号をディジタルのしきい値Dthを用いて1ビットに量子化することで、実効的なしきい値電圧Vth,effがディジタル的に制御可能なコンパレータ10を実現できる。本実施形態では、以上のようにSF−ADC23とディジタルコンパレータ11を組み合わせることで、しきい値可変のコンパレータ10として用い、これをSAR−ADC23に適用することでDAC誤差を補正する方式を提案する。
1−3.SF−ADCによるDAC誤差補正.
図5は実施形態1において用いる、サンプルホールド回路を含むnビット容量D/A変換器の構成を示す回路図である。A/D変換装置の内部DAC回路30(図6)は、多くの場合図5に示すようなキャパシタの容量(DAC容量)C〜Cn−1とスイッチSW0〜SW(n−1),SW(Sample)のアレイによって実現される。なお、スイッチSW(Sample)は制御信号によりオン又はオフされる。図5のDAC回路30はサンプルホールド回路を内蔵する電荷転送型DAC回路であって、以下のように動作する(例えば、非特許文献7参照)。
初期状態では、各スイッチスイッチSW0〜SW(n−1),SW(Sample)をグランドに接続することで各DAC容量C〜Cn−1に蓄積されている電荷を放電する。次いで、スイッチSW(Sample)をオンとし、その他のスイッチSW0〜SW(n−1)をそれぞれ入力アナログ電圧Vinに接続して、各DAC容量C〜Cn−1に対して入力アナログ電圧Vinの電荷を転送する。さらに、スイッチSW(Sample)をオフとし、入力コード(ディジタル信号)D〜Dn−1の値に応じて対応する各スイッチSW0〜SW(n−1)を参照電圧Vrefに接続し、又はグランドに接続することで出力信号を得る。すなわち、DAC回路30は入力アナログ電圧Vinをサンプルしてホールドするサンプルホールド回路の機能を内蔵しており、入力アナログ電圧Vinと、入力コード(ディジタル信号)D〜Dn−1に応じた参照電圧との差を出力信号電圧(DAC電圧)Vdacとして出力する。容量値C〜Cn−1は通常2のべき乗で重み付けされており、i番目(i=0,…,n)の容量Cは次式で表される(例えば、非特許文献7参照)。
Figure 2016092648
ここで、Cは単位容量である。また、εは製造ばらつきによる容量Cの相対誤差(ミスマッチ)を表している。なお、直列に接続された容量Cは容量値をスケーリングするスプリットキャパシタであり、式(3)のmはスプリットキャパシタを挿入するビットを表している。
本実施形態ではSAR−A/D変換器の内部D/A変換器として図5の回路を差動構成にしたものを使用する。ここでD/A変換器の誤差要因として容量ミスマッチと寄生容量を考慮する。過渡的ノイズの影響と対策については後述する。
D/A変換器の出力電圧をVdac、理想的なD/A変換器の出力電圧をVdac,idealとすると、D/A変換器の誤差ΔVdacは次式で定義される。
Figure 2016092648
容量Cの選択状況によって誤差成分の影響が異なるため、ΔVdacは入力コード依存性を持つ。これより、ΔVdac(Din)は以下のように入力コードに依存しない成分Eoffと入力コードDに依存する成分E(i=0,…,n−1)に分けることができる。
Figure 2016092648
ただし、Din=(Dn−1,…,D,Dである。
図6は実施形態1に係る、SF−A/D変換器(SF−ADC)を用いたDAC誤差補正回路の構成を示すブロック図である。上記の誤差をキャンセルするための最適なしきい値制御データDthの検出は図6のような構成を用いて行うことができる。図6において、DAC誤差補正回路は、マルチプレクサ21と、サンプルホールド回路を有する電荷転送型DAC回路(以下、DAC回路という。)30と、SF−A/D変換器(SF−ADC)23と、ディジタルコンパレータ11と、SARロジック回路12とを備えて構成される。ここで、SARロジック回路12はSARロジック回路3と同様の構成を有し、入力されるクロックに同期して、ディジタルコンパレータ11に入力される入力ディジタル値をディジタルしきい値Dthと最上位ビットから最下位ビットまで繰り返して逐次比較することで出力ディジタル信号に変換して出力する。
図6において、DAC回路30への入力をマルチプレクサ21により切り替えられるようにしておき、テストの際には外部からテスト用のディジタル信号(以下、テストデータという。)Din,testを入力する。テストデータDin,testに対応する理想D/A変換器の出力電圧Vdac,idealを入力アナログ信号とすると(Vin=Vdac,ideal(Din,test))、DAC回路30の出力電圧Vdacは誤差ΔVdacのみとなる。この誤差ΔVdacに対するSF−A/D変換器23の出力データDtestをディジタルコンパレータ11のしきい値データDthとすることでDAC回路30の誤差がキャンセルされる。このようにして検出された制御データDthを用いて動的にDAC回路30の誤差をキャンセルすることで、SAR−A/D変換器の高精度化が可能となる。ただし、このような補正を行う場合、すべての場合のD/A変換器の誤差ΔVdacについて適切なしきい値を設定する必要がある。しかし、式(5)からからわかるように、誤差ΔVdacは入力コードDinによって2通りの値をとる。
本実施形態で想定する環境では前述のディジタル制御しきい値可変コンパレータ10の制御データは、製造後テスト信号入力によって取得され、マイコンの不揮発性記憶領域に格納される。そして、起動時にA/D変換装置内部のレジスタテーブル(図21の41)に読み込まれ参照される。例えばn=12の場合、212=4096通りの場合についてテストと制御データDthの記憶を行わなければならず現実的でない。そこで、現実的な数のデータから入力データに応じて、動的に最適なDthを生成する方法が必要となる。
式(5)より、i=0,…,n−1に対してE(D)を知ることができればDAC誤差ΔVdac(Din)求められることがわかる。しかし、E(D)を直接検出することは不可能である。そこで、基準となる入力コードDin,stdを定め、その時のDAC誤差からの差分としてE(D)を検出して記憶する方式を提案する。
基準の入力コードDin,stdは任意に選択できるが、制御回路の簡単化のため、Din,stdについてD=0,(i=0,…,n−1)、すなわちすべてのビットが0であるとする。このとき式(5)より次式を得る。
Figure 2016092648
つぎに、次式で表される入力、
Figure 2016092648
すなわちDのみ1となるような入力Din,jを入力した場合のΔVdac(Din,j)は次式となる。
Figure 2016092648
これらの差をとることでD=1による誤差の情報として次式を得る。
Figure 2016092648
このように、j番目のビットが1のときの誤差情報をある基準Din,stdからの差分として求め、記憶させることができる。
任意の入力コードDinに対して誤差を求める場合、前述の操作と逆の操作を行えばよい。具体的にはD=1のときにはΔVdac(Din,std)にE(1)−E(0)を加算し、D=0のときには何もしないことで実現できる。これらの操作はディジタル回路によって実現可能である。以上の方式を用いることによって1個の基準ΔVdac(Din,std)とn個の差分E(1)−E(0)のデータだけで2個のパターンに対して誤差補正を行うことができ、テスト時間及び記憶領域の削減が可能となる。例としてn=12の場合のテスト入力データを図7に示す。すなわち、図7は実施形態1に係るA/D変換装置において用いるテスト入力コードの一例を示す表である。
1−4.SF−A/D変換器による微弱信号検出
低電源電圧で高精度なA/D変換装置を実現する場合、下位ビットのA/D変換では時間的に変化するノイズ成分(熱雑音、フリッカ雑音等)が支配的であり、これらに埋もれた信号に対して分解能を持たせる必要がある。SF−A/D変換器を用いてノイズの統計性を利用することで、ノイズレベル以下の信号を検出することができる。
図8は実施形態1に係る、SF−ADCによる微弱信号のA/D変換回路の構成を示すブロック図である。すなわち、図8にはノイズに埋もれた微弱信号に対してA/D変換を行う回路の概要を示す。この回路で発生するノイズ(DC成分含む)はDACのノイズ、コンパレータのノイズとコンパレータのオフセットである。図8において、A0〜ANはDACノイズを加算する仮想の加算器である。7は平均化フィルタであり、8はエンコーダである。
図9は各ノイズ成分の分類及び特徴を示す表である。コンパレータのノイズは個々のコンパレータ5−1〜5−Nで発生し、互いに無相関である。提案方式では無相関なランダムノイズが信号を増幅する、確率共鳴(Stochastic Resonance)(例えば、非特許文献5参照)という現象を利用してノイズに埋もれた信号の検出を可能にする。SF−A/D変換器はDCオフセットをノイズとして扱いこの確率共鳴を利用してA/D変換を行う方式である。
図10は図8のA/D変換回路において問題となる確率共鳴現象を示すタイミングチャートである。図10では、確率共鳴現象を利用した信号検出の概要を示す。通常微弱な信号s(t)のみではコンパレータのしきい値を超えることはできない。しかし、微弱な信号にノイズが重畳することで、一定の確率でしきい値を超え、周期的なパルスとして観測することができる。ここで、ノイズn(t)はガウス分布に従うと仮定できることから、ノイズに埋もれた信号x(t)=s(t)+n(t)の確率密度関数p(x)はノイズの標準偏差をσとして、次式で表される。
Figure 2016092648
このような信号x(t)をしきい値Vth,compを持つコンパレータに入力したとき、1が出力される確率P(x>Vth,comp)は次式で表される(例えば、非特許文献6参照)。
Figure 2016092648
ここで、erf(y)は式(2)で示す誤差関数である。信号にノイズが重畳されることで、一定の確率P(x>Vth,comp)でしきい値をこえ、その確率から信号のレベルを復元することが可能となる。
このような確率共鳴現象を利用するには出力のノイズが重畳された信号がしきい値を超える確率を観測する必要がある。そのためコンパレータを多数並列化して集合平均をとるか、多数回サンプリングを行って時間平均をとる必要がある。しかし、コンパレータを多数並列化しても実際にはノイズより大きなオフセット電圧があるため、ノイズレベル以下の信号の範囲にしきい値を持つコンパレータの数は著しく制限される。そのため、提案方式では図8のように、同一の入力信号を多数回サンプリングして平均値を演算することで入力信号を時間平均化する平均化フィルタ7を設け、同じ信号に対し多数回サンプリングし、時間平均をとることで分解能を確保する。
平均化フィルタ7の出力コードは信号の大きさに応じた確率を表しているが、絶対値としての信号レベルには対応しない。そのため、この出力コードをそのまま下位ビットのA/D変換結果として出力することはできない。これは式(11)から分かるようにしきい値をこえる確率がノイズの大きさに依存することに起因している。このため、平均化フィルタの出力を、図8のエンコーダ8によりエンコードして出力する必要がある。なお、図8のエンコーダ8による符号化(エンコード)特性を機械学習により決定する具体例については、第4の実施形態において詳細後述する。
以上のように提案方式では個々のコンパレータ内部で発生する互いに無相関なノイズを利用して、ノイズに埋もれた信号のA/D変換を可能にする。しかし、D/A変換器で発生するノイズはすべてのコンパレータ5−1〜5−Nに共通に入力され、分解能を制限する要因となる。このため、D/A変換器から発生するノイズは十分低く抑えるか、低域通過フィルタによって十分低減する必要がある。
1−5.シミュレーション検証
本実施形態で提案する方式についてMATLABを用いたシステムレベル検証を行った。ここではフルスケール電圧0.5V、18ビット分解能を実現するために、上位12ビットを提案方式を用いたSAR−A/D変換器で、下位6ビットをノイズを利用したSF−A/D変換器によりA/D変換する場合を仮定する。
図11は実施形態1に係るA/D変換装置のシミュレーション結果であって、アナログ入力電圧と出力コードの誤差との関係を示すグラフである。すなわち、上位12ビットのA/D変換、すなわちSF−ADCによるしきい値可変コンパレータを用いたSAR−ADCのDAC誤差補正に関する検証結果を図11に示す。図11は差動入力電圧と出力コードの誤差(理想的な出力コードと実際の出力コードの差)の関係を示している。
図12は実施形態1に係る、上位12ビットSAR−ADCのシミュレーション条件を示す表である。ここでは寄生容量の影響は含めず、ミスマッチのみを考慮している。容量のミスマッチは大きめに設定し、標準偏差値で3.0%とした。図11より提案方式によってD/A変換器の容量ミスマッチによる誤差が補正、出力コードの誤差が低減できていることが確認できる。
図13は実施形態1に係るA/D変換装置のシミュレーション結果であって、下位6ビットA/D変換の周波数スペクトルを示すグラフである。すなわち、下位6ビットのA/D変換、すなわちノイズを利用したSF−ADCによる微弱信号のA/D変換に関するシミュレーション結果を図13に示す。また、図14は実施形態1に係る、下位12ビットSAR−ADCのシミュレーション条件を示す表である。このとき、SNDR(Signal−to−Noise and Distortion Ratio)は35.2dBとなり、有効ビット数(Effective Nubmer of Bits)ENOBは次式で計算される。
Figure 2016092648
これより、前述のノイズを利用した確率的A/D変換方式により、ノイズに埋もれた信号に対しても所望の分解能を得られることが確認できた。
1−6.まとめ
以上の第1の実施形態においては、ウェアラブル生体計測センサのための低電圧高分解能A/D変換方式を説明した。本方式はSF−A/D変換器によるディジタル制御しきい値可変コンパレータを用いたSAR−A/D変換器のDAC誤差補正技術とノイズを利用したSF−A/D変換器による微弱信号検出技術からなる。
オフセット電圧を利用したSF−A/D変換器とディジタルコンパレータを組み合わせることで、しきい値をディジタル的に制御可能なコンパレータを実現できる。本方式ではしきい値制御ためのディジタルコードを事前にテスト信号入力によって検出し、変換の際にそれらの値を用いて動的にしきい値を制御することで、入力コード依存性を持つDAC誤差を補正する。しきい値制御のディジタルコードの検出は必要最低限の少数のパターンについてのみ行い、実際の変換の際に最適値を動的に発生させることで、テスト工程の負荷と記憶領域の削減を可能にしている。システムレベル検証により、本方式によってDAC誤差の影響が大きく低減できることを確認した。
SAR−A/D変換器ではノイズの影響により分解能を確保できない下位ビットのA/D変換においては、ノイズの統計性を利用したSF−A/D変換器による微弱信号A/D変換方式とオーバーサンプリングによって所望の分解能を達成する。
以上説明したように、提案方式によって、ウェアラブル生体計測センサに要求される低電圧高分解能A/D変換器の実現が可能となる。具体的には、SF−A/D変換器23と可変レベルディジタルコンパレータ10により動的にコンパレータ10のしきい値を制御することで、容量DACでのコード選択依存の誤差要因を大幅に低減できる。
なお、本実施形態に係る提案方式では同じ信号に対して同じ入力に対し、多数(Ns)回サンプリングして平均をとることで、(信号+ノイズ)がしきい値をこえる確率を求める操作を行っている。本実施形態の例ではこの操作を行い、500kSpsのデータを出力しており、Ns=8で平均化している。このようにして得られた500kSpsのデータに対して、図14のように500Hzで帯域制限するという形でオーバーサンプリングを行い、共通雑音の影響を低減している。本実施形態中のSNDRの値もオーバーサンプリングを行った上で算出されている。このことは実施例として所望の分解能を得るために行っているもので、補助的な操作である。前者を「時間平均化」といい、後者を「オーバーサンプリング」と区別することができる。すなわち、SF−A/D変換器23において、「時間平均化」処理は常に必要であるが、「オーバーサンプリング」処理は必ずしも実行する必要はない。
以上説明したように、本実施形態によれば、SF−A/D変換器23(時間平均化も含む)をSAR−A/D変換器に適用することで、容量DACでの分解能以上の高精度化を達成することができる。また、SAR−A/D変換器での残留誤差もSF−A/D変換器23において高分解能でA/D変換することで、トータルでの高精度化を可能とすることができる。なお、実施形態1に係るA/D変換装置において、実施形態2以降の機械学習を一体化して適用してもよい。
実施形態2.
2−1.まえがき
近年の計算資源の進歩により、A/D変換装置の出力の補正をソフトウェアで容易に行える環境が整ってきた。本実施形態は、高精度逐次比較型ADCの出力補正アルゴリズムに関するものである。特に本実施形態は、対象となるA/D変換装置の特性を考慮した機械学習による補正法であり、また、経年劣化によるA/D変換装置の特性の変化に伴い、適宜追加学習を行う枠組みも含む。
2−2.SAR−A/D変換器
低消費電力のA/D変換方式としては、図1に示す逐次比較型ADC(Successive Approximation Register ADC;SAR−ADC)が代表的である(例えば、非特許文献8参照)。この方式ではD/A変換器と比較器を繰り返し使用し、バイナリサーチアルゴリズムに基づいて最上位ビットDから順に判定を行う。D/A変換器は多くの場合、図5に示すような容量とスイッチのアレイによって実現される。容量の値は通常2のべき乗で重み付けされており、i番目の容量Cは次式のようになる。
Figure 2016092648
ここで、Cは単位容量である。また、εは製造ばらつきによる容量の2のべき乗からの誤差を表している。
SAR−A/D変換器ではこの2のべき乗からの誤差が分解能を制限する要因の1つとなる。また、高分解能SAR−A/D変換器を実現する場合、容量の値が膨大となるため、通常図5のCのように直列に容量を挿入することで容量値のスケーリングを行うが、この容量Cの誤差もまた分解能を制限する要因となる。これらの誤差がD/A変換器出力に与える影響はスイッチによる容量の選択状況によるため、誤差の影響は上位ビットの判定結果に依存する。
容量の相対誤差は単位容量を大きくすることで低減できるが、集積回路上の占有面積が増大し製造コストが増大するため、高分解能SAR−A/D変換器を実現するためにはこれらの誤差を補正する必要がある。そこで以降でソフトウェアレベルでの補正法について述べる。
2−3.出力誤差補正モデル
以下では、補正モデルの選定及びその学習方法について検討する。nビット分解能の高精度SAR−A/D変換器の出力誤差補正には、p個の実際の出力測定値と理想的な出力値(教師信号)のペア(学習データ)を用いる。その学習データk=1,…,pを得るため、教師信号
Figure 2016092648
に対応したアナログ電圧を高精度D/A変換器を用いて生成し、その電圧に対するSAR−A/D変換器の出力
Figure 2016092648
を出力測定値とする。また、教師信号tと出力測定値mを十進数表記したものを、それぞれ
Figure 2016092648
Figure 2016092648
と表す。さらに、考えられる2通りの学習データに対応する添字集合をTと表し、添字集合Tに対応する学習データの集合を次式とする。
Figure 2016092648
2−3−1.回路モデルを考慮した誤差関数
図5で示されるSAR−ADCの特性を考慮し、任意の測定値m=(m,…,mn−1)を教師信号に近づける補正関数h(m)として、次式を用いる。
Figure 2016092648
ここで、
Figure 2016092648
Figure 2016092648
Figure 2016092648
は、補正関数の調整パラメータであり、便宜上w=(e,f,g,δ)と表す。式(14)の第2項は測定値の2のべき乗からの誤差を、第3項はスイッチによる容量の選択状況による誤差を補正するためのものである。また、第4項はA/D変換器の変換結果の大域的な傾向を補正する。
図15は第2の実施形態に係るA/D変換装置の初期誤差m−tを示す時間波形を示す波形図である。また、図16は第2の実施形態に係るA/D変換装置の残留誤差h(m)−tを示す時間波形を示す波形図である。
2−3−2.最小二乗法による出力誤差補正
以下では、補正関数の調整パラメータを適切に求めるため、最小二乗法を適用することを考える。k番目の教師信号と出力測定値のペアに対する誤差を
Figure 2016092648
と定め、その二乗和を最小化する調整パラメータwを求めるため、次式の最小化問題を解く。
Figure 2016092648
ここで、c,cは正規化項の重みである。各変数に対する正規化項を加えることで、パラメータe,f,gの値が大きくなりすぎることを防ぐ。補正関数の調整パラメータw=(e,f,g,δ)は次のように解析的に求められる。
Figure 2016092648
ここで、Φ,d,Iは、次のように与えられる。
Figure 2016092648
Figure 2016092648
Figure 2016092648
Figure 2016092648
2−3−3.数値実験
提案した補正モデルの評価と最小二乗法による学習の有効性を確かめるため数値実験を行った。実験には15ビットSAR−A/D変換器の動作をシミュレーションして得られた全学習データDを用いた。また、c=0.1、c=0.01とした。ここで、調整パラメータwを用いて補正を行った後の出力測定値
Figure 2016092648
の平均誤差を、以下の式を用いて評価した。
Figure 2016092648
また、補正前の誤差eは調整パラメータをw=0とすることで評価した。実験の結果、補正前の出力平均誤差eが5.08LSBであるのに対し、補正後の出力平均誤差
Figure 2016092648
が0.86LSBであり、1.0LSB以下に抑えられていることが確認できた。
さらに、この方法により求まる補正関数の汎化性を調べるため、全学習データDに対して10分割交差検証(10−fold Cross Validation)(例えば、非特許文献10参照)を行った。その結果、安定した出力誤差補正が行えていることを確認した。
2−4.ベイジアンモデルを用いた追加学習
以下では、SAR−A/D変換器の実際の製造状況と使用状況を想定した学習方法を提案する。SAR−A/D変換器を組み込んだ製品を製造する際には、それぞれの製品に対して補正を行う。また、その製品を使用するにつれて生じる経時変化に対しても補正を行う必要がある。本実施形態ではこの二つのケースに対応した補正関数の学習方法を考えるが、本実施形態では製品製造時の補正に焦点を当てる。
SAR−A/D変換器の学習に必要な出力測定値は対象のSAR−ADCを用いて測定する必要があるが、熱雑音などの影響を抑えるために、その測定結果を時間平均する必要がある。そのため、すべての教師信号に対する出力測定値を測定することは現実的ではなく、限定した学習データで学習を行う必要がある。従って、学習に用いる学習データを適切に選択しながら追加学習を行う方法を提案する。
また、補正対象のSAR−A/D変換器の高分解能化に伴い、熱雑音などの影響で高精度DACの出力の信頼性が低くなり、教師信号にも誤差が含まれると考えられる。そのため、次節で述べるベイズ線形回帰で求められる予測分布を用いて追加データの選択を行う。
2−5.ベイズ線形回帰
補正関数として2−3節と同様の式(15)を用いて、ベイズ推定を用いた線形回帰を行うことを考える。まず、下位ビットの信頼性が低いことから、教師信号が正規分布N(t|h(m),β−1)に従うものと仮定する。また、h(m)の調整パラメータの事前分布は次式の正規分布であると仮定する。
Figure 2016092648
このとき、学習データの集合Dに対応するwの事後分布p(w|D)をwに関して最大化することで、次式を得る。
Figure 2016092648
Figure 2016092648
Figure 2016092648
ここで、Φは、その行が
Figure 2016092648
からなる行列を表し、dは、その要素が
Figure 2016092648
である縦ベクトルを表す。さらに、このときのtの予測分布は次式で表される。
Figure 2016092648
Figure 2016092648
2−4−2.追加学習
追加学習は、2−4−1節で述べたベイズ線形回帰のアプローチを用いることでも実現可能である。本節では、それまでに学習した学習データに対する予測分布を用いて次に学習する学習データを選ぶことを考える。第l回目の追加学習に用いる学習データ集合を
Figure 2016092648
とし、l=0として、まず、n個のデータ
Figure 2016092648
を用いて初期学習を行い、その後lmax回追加学習を行う。
図17は実施形態2に係るA/D変換装置において用いるベイズの追加学習処理を示すフローチャートである。当該追加学習処理は、図17に示すように、ステップS1〜S5の処理を含む。
ここで、追加データの選択方法として、予測分布を用いた方法を提案する。各追加学習での追加データ数はすべて同じ
Figure 2016092648
とし、l反復後の次式の予測分布を用いて以下のように行う。
Figure 2016092648
Tをν個の区間
Figure 2016092648
に分割する。それぞれの区間からn個の追加学習データを選択する。その際、まず、その候補として、各区間からnのs倍のデータを一様ランダムに選択し、その中でtの分散σが大きい上位n個を追加学習データとする。また、対応する集合Tl+1と表す。この方法をベイズ選択法(Bayes)と呼ぶ。また、比較のため、未選択の学習データ中から一様ランダムに選択する方法も考え、この方法をランダム選択法(Random)と呼ぶ。
2−4−3.数値実験
提案した追加学習法の有効性を比較するために数値実験を行った。2−3−3節と同様に、実験には15ビットのSAR−A/D変換器をシミュレーションして得られたモデルを使用し、初期学習データ集合Tは全学習データ集合Tから一様ランダムにn=200個選択する。また、n=100、ν=4、s=10、c=0.1、c=0.01、lmax=8とする。
図18は実施形態2に係るA/D変換装置のシミュレーション結果であって、初期学習を用いた予測分布の一例を示すグラフである。すなわち、一様ランダムに選択した200点の学習データを用いて得られた予測分布での各mに対する予測分布の例を図18に示す。図中の点が学習に用いた出力測定値それぞれの十進数表現mを示し、帯が予測分布の分散を示す。
次に、異なる15ビットのSAR−A/D変換器を想定して得られた3つの学習データ集合に対し、2つの提案法をそれぞれ10試行行った。
図19は実施形態2に係るA/D変換装置のシミュレーション結果であって、学習データD を用いた追加学習後の残留誤差を示すグラフである。また、図20は実施形態2に係るA/D変換装置のシミュレーション結果であって、学習データD を用いた追加学習後の残留誤差を示すグラフである。これは、各追加学習後の全学習データ集合に対する10試行平均出力誤差及びその標準偏差を、提案法(Bayes)、(Random)それぞれについて図示したものである。
その結果、追加学習の反復ごとに出力誤差が減少し、4反復程度で(Random)、(Bayes)の両手法で誤差eが1LSBを下回り、全学習データを用いたときの精度に近いレベルでの補正が行われていることが分かる。また、実験に用いた3種類の学習データ集合のいずれに対しても、(Bayes)が(Random)に比べ出力誤差の低減能力が高く、予測分布の情報を用いる優位性も確認できた。
2−5.まとめ
本実施形態では、低消費電力高分解能SAR−A/D変換器の変換精度向上のために、A/D変換器の特性を考慮した補正関数を導出し、その関数のパラメータの設定方法を説明した。さらにA/D変換器の実際の使用状況の観点から、提案法をベイズ線形回帰を用いた追加学習手法も示した。その追加学習時、予測分布に基づいたデータ選択を行うことで、限られた学習データでの学習においても平均誤差を1LSB以下に抑えられる。
実施形態3.
図21は実施形態3に係るA/D変換装置の構成を示すブロック図である。実施形態3に係るA/D変換装置は、第1の実施形態に係るA/D変換装置と、第2の実施形態に係るA/D変換装置とを備えたことを特徴としている。図21において、実施形態3に係るA/D変換装置は、以下の構成要素を備えて構成される。なお、第1及び第2の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付している。
(1)サンプルホールド回路を内蔵する電荷転送型DAC回路30;
(2)コンパレータアレイ5及び加算器6からなるSF−A/D変換器23;
(3)平均化フィルタ7;
(4)エンコーダ8;
(5)SAR−A/D変換器補正用ディジタルコンパレータ11;
(6)SARロジック回路12;
(7)出力ディジタル信号を一時的に格納して外部回路に出力する出力レジスタ13;
(8)テストイネーブル信号がテストモードを示すとき、端子Aに入力されるテスト入力データDinを入力してD/A変換器30に出力する一方、テストイネーブル信号が非テストモードを示すとき、端子Bに入力される出力データDoutを入力してD/A変換器30に出力するマルチプレクサ21;
(9)D/A変換器30のために必要な所定の参照電圧を発生してD/A変換器30に出力する参照電圧発生器31;
(10)モード制御信号に基づいて、入力されるデータを端子A,B,Cのいずれかに出力するマルチプレクサ32;ここで、テストモードのときは端子Cに出力し、SAR−ADCモードのときは端子Aに出力し、SF−ADCモードのときは端子Bに出力する;
(11)外部回路から入力されるエンコーダ8用のしきい値データを一時的に格納してエンコーダ8に出力するレジスタテーブル33;
(12)外部回路から入力されるディジタルしきい値データ(誤差データ)を一時的に格納してディジタルしきい値発生器42に出力するレジスタテーブル41;
(13)レジスタテーブル41からのデータに基づいてディジタルしきい値を発生してディジタルコンパレータ11に出力するディジタルしきい値発生器42;
(14)外部回路からの基準クロックに基づいて内部回路用のクロックCLKを発生してコンパレータアレイ5、SARロジック回路12、コントロールロジック回路52に出力するクロック発生器51;
(15)クロックCLKに基づいてモード制御信号を発生してマルチプレクサ32及びディジタルしきい値発生器42に出力するコントロールロジック回路52。
本実施形態に係るA/D変換装置においては、以下の手順でA/D変換処理を行う。
(1)事前処理であるテストモード処理において、制御データを取得する(図22)。
(2)入力される入力アナログ電圧をサンプルホールドする。ここで、しきい値DthとしてDth,stdを用いる。
(3)SAR−ADCモード(上位ビット変換)処理を行う(図24)。
(4)DAC回路30からの出力データを保持し、SARロジック回路12からの出力データを保持状態にする。
(5)上位ビットのA/D変換データを出力レジスタ13に出力して保持する。
(6)SF−ADCモード(下位ビット変換)処理を行う(図25)。
(7)エンコーダ8からの出力データを保持して出力レジスタ13に出力する。
(8)出力レジスタ13から、上位ビット変換データ及び下位ビット変換データからなる出力ディジタル信号を出力する。
図22は図21のA/D変換装置におけるテストモード(制御データ取得)処理を示すブロックである。図22において、テストモードでは、マルチプレクサ21、DAC回路30、SF−A/D変換器23、及びマルチプレクサ32が動作する。マルチプレクサ21はテストイネーブル信号に基づいて端子Aを選択し、マルチプレクサ32はモード制御信号に基づいて端子Cを選択する。差動入力アナログ電圧VinがDAC回路30に入力される。一方、外部回路からのテスト入力データDin,testはマルチプレクサ21の端子Aを介してDAC回路30に入力されて、アナログ入力電圧Vinと、テスト入力データDin,testに応じた参照電圧との差がD/A変換された後SF−A/D変換器23に入力される。SF−A/D変換器23は入力アナログ電圧Vinをテスト入力データDin,testをしきい値データとして用いて確率的A/D変換した後、マルチプレクサ32を介してテスト出力データDtestとして出力される。
図22のテストモード処理では、テスト入力データDinに対しVin=Vdac,ideal(Din)とすると、DAC回路30の出力DAC電圧Vdacは誤差ΔVdac(Din)を有する。このときのSF−A/D変換器23の出力データDtestが誤差に対応する。ここで、Dth=DtestとするとDAC回路30内のD/A変換器の誤差がキャンセルされる。実際には、DAC誤差をキャンセルするしきい値Dthを以下に示すように動的に生成する。
図23は図21のA/D変換装置におけるA/D変換時のしきい値制御データの生成処理を示すフローチャートである。図23において、i=n−1,n−2,…,0であり、図23の処理では、i=jのときのしきい値を生成する処理を示す。当該処理はステップS11〜S14の処理を含む。初期状態では、次式で表される。
th(n−1)=Dth,std+Dth,n−1
当該処理では、テストモードでの処理とは逆の処理を、A/D変換時において、次式について動的に実行することでしきい値制御データDth,jを生成する。次式は上述のE(1)−E(0)に対応する。
th,j
=Dtest(ΔVdac(Din,j)−Dtest(ΔVdac(Din,std))
具体的には、各判定ステップ毎にしきい値制御データDth,jを、i=n−1(MSB)からi=0(LSB)まで繰り返して計算する。なお、図23のS11において、Dth1(j)とDth0(j)の2つを計算しているが、この計算に伴うレイテンシがSAR−ADCモードの各判定ステップ(図23のS12に相当)で用いるしきい値Dth(j)の動的生成を速やかに行うためである。
図24は図21のA/D変換装置におけるSAR−ADCモード(上位ビット変換)処理を示すブロックである。図24において、マルチプレクサ21はテストイネーブル信号に基づいて端子Bを選択し、マルチプレクサ32はモード制御信号に基づいて端子Aを選択する。上述のように生成されたしきい値制御データDth,jは誤差データとしてディジタルしきい値発生器42に供給され、ディジタルしきい値発生器42は誤差データに基づいてディジタルしきい値を発生してディジタルコンパレータ11に出力する。ここで、DAC回路30、SF−ADC、マルチプレクサ32、ディジタルコンパレータ11、SARロジック回路12及びマルチプレクサ21からなる、「ディジタルしきい値が制御されたSF−A/D変換装置」において、入力アナログ電圧Vinに対して上位ビットのA/D変換が実行され、SARロジック回路12からの出力ディジタル信号は出力レジスタ13を介して出力される。
図25は図21のA/D変換装置におけるSF−ADCモード(下位ビット変換)処理を示すブロックである。図25において、マルチプレクサ32はモード制御信号に基づいて端子Bを選択する。入力アナログ電圧VinはDAC回路30に入力されてD/A変換された後、SF−A/D変換器23によりA/D変換され、平均化フィルタ7で平均化され、エンコーダ8により符号化されて出力レジスタ13を介して出力される。
以上説明したように、本実施形態によれば、テストモードにおいてしきい値制御データを取得した後、上位ビットに対してSAR−ADCモードでA/D変換し、下位ビットに対してSF−ADCモードでA/D変換することにより、従来技術に比較して高精度でA/D変換することができる。
実施形態4.
図26は実施形態4に係るA/D変換システムの構成を示すブロック図である。図26において、実施形態4に係るA/D変換システムは、センサ70とサーバ装置80とを備えて構成され、センサ70とサーバ装置80とは互いに有線通信回線又は無線通信回線を介して接続される。実施形態4では、機械学習結果に基づき、容量DACの誤差(製造バラツキ、寄生素子などにより起因)をディジタル的に補正するときに、容量DACの誤差のA/D変換の補正をセンサ70内のA/D変換器内部のみならず、外部のサーバ装置80でも補正可能とすることにより、A/D変換器の小型化及び低電力化を図ることを目的としている。
図26において、センサ70は、A/D変換器71と、補正パラメータ記憶部72と、簡易補正処理部73と、送受信部74と、テストデータ生成部75とを備えて構成される。また、サーバ装置80は、送受信部81と、高度補正処理部82と、補正パラメータ推定処理部83とを備えて構成される。本実施形態に係るA/D変換システムは、センサ70で簡易補正処理を行う一方、サーバ装置80で高度補正処理を行うことを特徴としている。
ここで、簡易補正処理とは具体的には第1の実施形態に係るSF−ADCによるDAC誤差補正であり、また、高度補正処理とは、第2の実施形態に係る最小二乗法又はベイジアンモデルによる補正処理である。ただし、これらは実証実験で想定する一例であり、消費電力を考慮したセンサ側の計算能力によっては、高度補正処理の一部(例えば簡単な加減算等)をセンサ側に実装することも可能である。
図26の実施形態では、機械学習時において、破線で示すように、サーバ装置80からの指示信号に基づいて、センサ70のテストデータ生成部75がテストデータを生成してA/D変換器71に入力し、その出力データをサーバ装置80の補正パラメータ推定処理部83に送信する。補正パラメータ推定処理部83はこれに基づいて補正パラメータを推定して、センサ70の補正パラメータ記憶部72に記憶させて実使用時の補正パラメータとして簡易補正処理部73で用いる。なお、補正パラメータとしては、例えば後述するエンコーダ8の特性等である。次いで、実使用時において、A/D変換器71は入力アナログ電圧VinをA/D変換し、その結果を簡易補正処理部73に出力して補正した後、サーバ装置80の高度補正処理部82に送り、高度補正処理を行った後、出力ディジタル信号として出力する。
以上説明したように、本実施形態によれば、容量DACの誤差の補正を例えばセンサ70のA/D変換器内部だけでなく、例えば外部回路であるサーバ装置80等でも可能とすることにより、例えばセンサ70などのA/D変換器本体の小型化、低消費電力化を図ることができる。
図27は実施形態4の具体例であって、機械学習によるエンコーダ特性を決定するためのシステムの構成を示すブロック図である。図27において、センサ70は、SF−A/D変換器23と、平均化フィルタ7と、レジスタテーブル33を有するエンコーダ8と、例えばアンテナ74aを有する送受信部74とを含んで構成される。また、サーバ装置80は、例えばアンテナ81aを有する送受信部81と、サーバ処理部84とを含んで構成される。ここで、サーバ処理部84は、例えば、図26の高度補正部82及び補正パラメータ推定補正部83を含む。
図27のシステムは以下のように動作する。
(1)テスト信号をセンサ70のSF−A/D変換器23に入力して、A/D変換値を平均化フィルタ7及びエンコーダ8を用いて処理を行う。
(2)A/D変換後の出力コードを送受信部74から、サーバ装置80の送受信部81を介してサーバ処理部84に送信する。
(3)サーバ処理部84は、A/D変換後の出力コードの誤差を評価してエンコーダ8における最適なしきい値を推定する。
(4)送受信部81は、上記推定された最適なしきい値をセンサ70のレジスタテーブル33に送信して格納して、エンコーダ8での符号化に適用する。
(5)当該システムでは、以上のステップ(1)〜(4)の処理を繰り返して、A/D変換の誤差を最小化する。
図28は図27のA/D変換装置で用いるバイナリコードからサーモメーターコードに変換する関係の一例を示す表である。本実施形態では、A/D変換値(理想値)Value_ideal、A/D変換値(実際値)Value_means、及び誤差Errorについて、次式のようにモデル化することができる。
Figure 2016092648
Figure 2016092648
Figure 2016092648
ここで、Di,idealはA/D変換器の理想出力バイナリコードであり、Di,measはA/D変換器の実際の出力バイナリコードであり、Ti,idealはDi,idealの下位kビットを温度計コードに変換したものであり、Ti,measは実際の出力下位kビットを温度計コードに変換したものである。また、Ei,iは実際の測定でのバイナリコードの重みであり、Ei,jは判定済みビット依存性を示す。さらに、ET,iは実際の温度計コードの場合の誤差(理想値からの誤差)であり、Δidealは理想出力バイナリコードの量子化誤差であり、Δnonidealは実際の出力バイナリコードの量子化誤差である。なお、pは試行番号であり、Pは総試行回数である。
ここで、式(24)の誤差を機械学習で最小化することで、A/D変換の精度を高めることができる。なお、式(24)の代わりに、実施形態2の式(15)と類似する次式
Figure 2016092648
を用いても良い。
各実施形態において、上位nビットのA/D変換については(nは2以上の整数)、SAR−A/D変換器を用いてバイナリサーチによりA/D変換を行うので、2のべき乗からの誤差(式(22)の第1項、式(23)の第1項についての誤差)について考慮し、機械学習方法については実施形態2に係る方法により誤差補正を行う。また、上位kビットのA/D変換については(kは2以上の整数)、並列比較のエンコードにより行い、SF−A/D変換器の出力(下位kビット)は外部のサーバ装置80でバイナリコードからサーモメーターコードに変換して誤差を評価する。
以上の実施形態によれば、機械学習結果に基づき、容量DACの誤差(製造バラつき,寄生素子起因)をディジタル的に補正(ADCの外部での処理でも可能)することで、従来技術に比較して、高精度でA/D変換することができる。
以上詳述したように、本発明に係るA/D変換装置によれば、逐次比較A/D変換器に対して確率的A/D変換を適用してA/D変換装置を構成することで、従来技術に比較して高い精度を有するA/D変換装置を提供できる。
1…サンプルホールド回路、
2…コンパレータ、
3…SARロジック回路、
4…D/A変換器(DAC)、
5−1〜5−N…コンパレータ、
6…加算器、
7…平均化フィルタ、
8…エンコーダ、
10…ディジタル制御しきい値可変コンパレータ、
11…ディジタルコンパレータ
12…SARロジック回路、
13…出力レジスタ、
21…マルチプレクサ、
23…SF−A/D変換器(SF−ADC)、
30…DAC回路、
31…参照電圧発生器、
32…マルチプレクサ、
33…レジスタテーブル、
41…レジスタテーブル、
51…クロック発生器、
52…コントロールロジック回路、
70…センサ、
71…A/D変換器、
72…補正パラメータ記憶部、
73…簡易補正処理部、
74…送受信部、
74a…アンテナ、
75…補正信号生成部、
80…サーバ装置、
81…送受信部、
81a…アンテナ、
82…高度補正処理部、
83…補正パラメータ推定処理部、
84…サーバ処理部、
〜Cn−1…キャパシタの容量、
SW0〜SW(n−1)、SW(Sample)…スイッチ。

Claims (9)

  1. 入力アナログ電圧をサンプルしてホールドするサンプルホールド回路及び複数のDAC容量を有する電荷転送型DAC回路であって、上記入力アナログ電圧と、入力されるディジタルデータに応じた参照電圧との差を示すDAC電圧を出力する電荷転送型DAC回路と、
    それぞれ異なるしきい値を有する複数のコンパレータと、当該複数のコンパレータからの各出力信号を加算する加算器とを含み、上記D/A変換手段からのDAC電圧をディジタルデータにA/D変換する並列型確率的A/D変換手段と、
    所定のディジタルしきい値を発生するしきい値発生手段と、
    上記並列型確率的A/D変換手段からのディジタルデータを、上記発生されるディジタルしきい値と比較して比較結果を示すディジタル信号を出力するディジタルコンパレータと、
    上記ディジタルコンパレータからのディジタル信号を、上記ディジタルしきい値と、最上位ビットから最下位ビットまで繰り返して逐次比較するように制御することで、上記入力アナログ電圧を出力ディジタル信号にA/D変換して出力する逐次変換レジスタロジック回路とを備えたA/D変換装置であって、
    上記しきい値発生手段は、所定のテストディジタルデータを上記DAC回路に入力したときに上記並列型確率的A/D変換手段から出力されるディジタル誤差データに基づいて上記ディジタルしきい値を発生することにより、上記A/D変換誤差を補正することを特徴とするA/D変換装置。
  2. 基準となる所定の入力コードデータを上記電荷転送型DAC回路に入力したときの上記ディジタル誤差データからの差分として、上記入力コードデータに依存した成分データを検出して記憶する記憶手段をさらに備え、
    上記しきい値発生手段は、上記入力コードデータに依存した成分データに基づいて上記ディジタルしきい値を発生することを特徴とする請求項1記載のA/D変換装置。
  3. 上記並列型確率的A/D変換手段は、上記D/A変換手段からのDAC電圧に対して、時間平均化処理を実行してA/D変換することを特徴とする請求項1又は2記載のA/D変換装置。
  4. 上記並列型確率的A/D変換手段からのディジタルデータを多数回サンプリングして平均値を演算することで上記ディジタルデータを時間平均化して出力する平均化フィルタと、
    上記平均化フィルタからのディジタルデータを所定の第1のビット数から所定の第2のビット数のディジタルデータに符号化するエンコーダとをさらに備えたことを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか1つに記載のA/D変換装置。
  5. 上記エンコーダは、上記平均化フィルタからのバイナリコードのディジタルデータをサーモメーターコードのディジタルデータに符号化することを特徴とする請求項4記載のA/D変換装置。
  6. 所定の上位ビットのA/D変換処理において、上記電荷転送型DAC回路、上記並列型確率的A/D変換手段、上記しきい値発生手段、上記ディジタルコンパレータ、及び上記逐次変換レジスタロジック回路を用いてA/D変換処理を実行する一方、
    所定の下位ビットのA/D変換処理において、上記電荷転送型DAC回路、上記並列型確率的A/D変換手段、上記平均化フィルタ、及び上記エンコーダを用いてA/D変換処理を実行することを特徴とする請求項4又は5記載のA/D変換装置。
  7. 所定の機械学習方法を用いて、上記電荷転送型DAC回路のDAC容量の誤差を補正する第1の補正手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜6のうちのいずれか1つに記載のA/D変換装置。
  8. 所定の機械学習方法を用いて、上記エンコーダの符号化特性を補正する第2の補正手段をさらに備えたことを特徴とする請求項7記載のA/D変換装置。
  9. 上記A/D変換装置は、センサとサーバ装置とに分離し、かつ有線通信回線又は無線通信回線により通信可能に接続されて構成され、
    上記センサは、上記電荷転送型DAC回路、上記並列型確率的A/D変換手段、上記しきい値発生手段、上記ディジタルコンパレータ、上記逐次変換レジスタロジック回路、及び上記第1の補正手段を備え、
    上記サーバ装置は、上記第2の補正手段を備えたことを特徴とする請求項8記載のA/D変換装置。
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