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JP2016090201A - 冷凍サイクル装置 - Google Patents

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JP2016090201A JP2014228710A JP2014228710A JP2016090201A JP 2016090201 A JP2016090201 A JP 2016090201A JP 2014228710 A JP2014228710 A JP 2014228710A JP 2014228710 A JP2014228710 A JP 2014228710A JP 2016090201 A JP2016090201 A JP 2016090201A
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Abstract

【課題】単一の熱交換器で温調対象物の加熱と冷却を行う冷凍サイクル装置において、温調対象物の冷却時に使用する冷却用膨張弁として、機械式膨張弁を用いることができるようにする。【解決手段】機械式膨張弁を用いた冷却用膨張弁19に対して、冷却用膨張弁19の絞り通路66を迂回させて冷媒を流すバイパス通路22と、バイパス通路22を開閉する逆止弁23とを設ける。逆止弁23は、バイパス通路22の温調用熱交換器18側からその反対側に向かう冷媒流れを許可し、その逆向きの冷媒流れを禁止する。温調対象物の冷却時では、冷却用膨張弁19の絞り通路66、温調用熱交換器18、冷却用膨張弁19の戻り通路63の順に冷媒が流れる冷却用冷媒流路に切り替える。温調対象物の加熱時では、バイパス通路22、温調用熱交換器18、冷却用膨張弁19の戻り通路63の順に冷媒が流れる加熱用冷媒流路に切り替える。【選択図】図2

Description

本発明は、冷凍サイクル装置に関し、特に、複数の温度調整対象物(温調対象物)の温度調整(温調)を行う冷凍サイクル装置に関するものである。
複数の温調対象物の温調を行う冷凍サイクル装置として、特許文献1に記載のものがある。この冷凍サイクル装置は、第1温調対象物を冷却する冷却用熱交換器と、第1温調対象物を加熱する加熱用熱交換器と、第2温調対象物の冷却を行う温調用熱交換器と、第2温調対象物の冷却時に、第2温調対象物に流入する冷媒を減圧させる冷却用膨張弁とを備えている。
さらに、この冷凍サイクル装置は、冷却用膨張弁として、機械式膨張弁を採用している。機械式膨張弁は、冷媒を減圧させる絞り通路と、絞り通路の通路開度を調整する弁体と、絞り通路から温調用熱交換器に送られて、温調用熱交換器から戻る冷媒が流れる戻り通路と、弁体を変位させるパワーエレメント部とを備えている。パワーエレメント部は、戻り通路を流れる冷媒の温度および圧力に応じて変位するダイヤフラムを有しており、このダイヤフラムの変位に応じて弁体が変位する。
第2温調対象物の冷却時では、絞り通路→温調用熱交換器→戻り通路の順に冷媒が流れる。機械式膨張弁は、パワーエレメント部が温調用熱交換器から流出した低圧冷媒の圧力と温度に応じて弁体を変位させることで、温調用熱交換器から流出した低圧冷媒に所定の過熱度(スーパーヒート)を持たせることができる。
特開2014−66410号公報
しかし、上記した特許文献1の冷凍サイクル装置は、温調用熱交換器を用いて温調対象物の冷却のみを行うものであり、温調用熱交換器を用いて温調対象物の加熱を行うものではない。
このため、上記した特許文献1の冷凍サイクル装置では、温調対象物の加熱のために、温調用熱交換器に圧縮機吐出後の高温高圧のガス冷媒を熱交換器に流すことができない。すなわち、温調対象物の冷却時と同様に、冷却用膨張弁の絞り通路、温調用熱交換器の順に冷媒を流すと、温調用熱交換器に流入する冷媒を減圧してしまう。また、冷却用膨張弁の戻り通路→温調用熱交換器→冷却用膨張弁の絞り通路の順に冷媒を流そうとしても、ダイヤフラムに高圧が加わることで、ダイヤフラムが閉弁方向に変位して、絞り通路が閉じられてしまう。
このように、単一の熱交換器で温調対象物の冷却と加熱を行う場合、冷却用膨張弁として、機械式膨張弁を用いることができないという問題があった。なお、ここでいう単一の熱交換器とは、冷却時と加熱時で熱交換器を共用することを意味する。このため、従来では、単一の熱交換器で冷却と加熱を行う場合、冷却用膨張弁として、弁開閉の操作を任意に行える電気式膨張弁が用いられていた。しかし、電気式膨張弁を用いるには、冷媒の温度、圧力を検出するセンサや電気式膨張弁を駆動する回路、電気式膨張弁の駆動用のソフトウェアが必要でありコストやソフトウェアの開発工数の負担が大きいという問題があるため、好ましくない。
なお、このような問題は、複数の温調対象物の温調を行う冷凍サイクル装置に限られない。1つの温調対象物の温調を単一の熱交換器で行う冷凍サイクル装置においても同様に生じる問題である。
本発明は上記点に鑑みて、単一の熱交換器で温調対象物の加熱と冷却を行う冷凍サイクル装置において、温調対象物の冷却時に使用する冷却用膨張弁として、機械式膨張弁を用いることができるようにすることを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、
吸入した冷媒を圧縮して吐出する圧縮機(11)と、
冷媒と空気とを熱交換させる熱交換器(12、14)と、
冷媒が流出入する第1、第2流出入部(18a、18b)を有し、冷媒と温調対象物とを熱交換させて温調対象物の加熱と冷却とを行う温調用熱交換器(18)と、
温調対象物の冷却時に、熱交換器から流出した冷媒を減圧させ、減圧後の冷媒を温調用熱交換器に流入させる冷却用膨張弁(19)とを備え、
冷却用膨張弁は、
本体部(60)と、
本体部の内部に設けられ、温調用熱交換器の第1流出入部(18a)に連通し、冷媒を減圧させる絞り通路(66)と、
絞り通路の通路開度を調整する弁体(64)と、
本体部の内部に設けられ、温調用熱交換器の第2流出入部(18b)に連通し、温調対象物の冷却時に、絞り通路から温調用熱交換器を通って本体部に戻る冷媒が流れる戻り通路(63)と、
戻り通路を通過する冷媒の温度および圧力に応じて変位作動することにより、弁体を変位させるパワーエレメント部(62)とを有し、
さらに、一端が第1流出入部と絞り通路との間の冷媒通路に連通し、冷媒の流れを絞り通路から迂回させるバイパス通路(22)と、
温調対象物の冷却時に、バイパス通路を閉じ、温調対象物の加熱時に、バイパス通路を開く開閉装置(23、90、120)とを備えることを特徴としている。
本発明では、温調対象物の冷却時に、開閉装置がバイパス通路を閉じることで、機械式膨張弁で減圧された冷媒を温調用熱交換器に流すことができる。また、本発明では、温調対象物の加熱時に、開閉装置がバイパス通路を開くことで、圧縮機吐出後の高圧高温の冷媒を温調用熱交換器に流すことができる。
したがって、本発明によれば、単一の熱交換器で温調対象物の加熱と冷却を行う冷凍サイクル装置において、温調対象物の冷却時に使用する冷却用膨張弁として、機械式膨張弁を用いることができる。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
第1実施形態における冷凍サイクル装置の全体構成を示す図である。 第1実施形態における電池冷却用膨張弁および逆止弁を示す図であり、図1中の領域IIに対応する図である。 図2中の領域IIIAの拡大図である。 パワーエレメント部の第1室内の冷媒の温度―圧力特性および開弁圧を示す図である。 図1の冷凍サイクル装置における冷房単独モード時の冷媒流れを示す図である。 図1の冷凍サイクル装置における冷房単独モード時の冷媒の状態を示すモリエル線図である。 図1の冷凍サイクル装置における電池冷却単独モード時の冷媒流れを示す図である。 図1の冷凍サイクル装置における電池冷却単独モード時の冷媒の状態を示すモリエル線図である。 図1の冷凍サイクル装置における冷房+電池冷却モード時の冷媒流れを示す図である。 図1の冷凍サイクル装置における冷房+電池冷却モード時の冷媒の状態を示すモリエル線図である。 図1の冷凍サイクル装置における暖房単独モード時の冷媒流れを示す図である。 図1の冷凍サイクル装置における暖房単独モード時の冷媒の状態を示すモリエル線図である。 図1の冷凍サイクル装置における電池加熱単独モード時の冷媒流れを示す図である。 図1の冷凍サイクル装置における電池加熱単独モード時の冷媒の状態を示すモリエル線図である。 図1の冷凍サイクル装置における暖房+電池加熱モード時の冷媒流れを示す図である。 図1の冷凍サイクル装置における暖房+電池加熱モード時の冷媒の状態を示すモリエル線図である。 図1の冷凍サイクル装置における第1除湿暖房単独モード時の冷媒流れを示す図である。 図1の冷凍サイクル装置における第1除湿暖房単独モード時の冷媒の状態を示すモリエル線図である。 図1の冷凍サイクル装置における第1除湿暖房+電池冷却モード時の冷媒流れを示す図である。 図1の冷凍サイクル装置における第1除湿暖房+電池冷却モード時の冷媒の状態を示すモリエル線図である。 図1の冷凍サイクル装置における第2除湿暖房単独モード時の冷媒流れを示す図である。 図1の冷凍サイクル装置における第2除湿暖房単独モード時の冷媒の状態を示すモリエル線図である。 図1の冷凍サイクル装置における第2除湿暖房+電池冷却モード時の冷媒流れを示す図である。 図1の冷凍サイクル装置における第2除湿暖房+電池冷却モード時の冷媒の状態を示すモリエル線図である。 図1の冷凍サイクル装置における第2除湿暖房+電池加熱モード時の冷媒流れを示す図である。 図1の冷凍サイクル装置における第2除湿暖房+電池加熱モード時の冷媒の状態を示すモリエル線図である。 第2実施形態における電池冷却用膨張弁および逆止弁を示す図である。 第3実施形態における電池冷却用膨張弁および逆止弁を示す図である。 第4実施形態における電池冷却用膨張弁および逆止弁を示す図である。 第4実施形態の冷凍サイクル装置における第1除湿暖房+電池冷却モード時の冷媒流れを示す図である。 第4実施形態の冷凍サイクル装置における第1除湿暖房+電池加熱モード時の冷媒流れを示す図である。 第4実施形態の冷凍サイクル装置における第1除湿暖房+電池加熱モード時の冷媒の状態を示すモリエル線図である。 第5実施形態における電池冷却用膨張弁および逆止弁を示す図である。 第6実施形態における電池冷却用膨張弁を示す断面図である。 第6実施形態における電池冷却用膨張弁を示す断面図である。 第6実施形態における電池冷却用膨張弁に内蔵されたSC制御弁の開弁圧と温度との関係示す図である。 第6実施形態の冷凍サイクル装置における第1除湿暖房+電池冷却モード時の冷媒流れを示す図である。 第6実施形態の冷凍サイクル装置における第1除湿暖房+電池加熱モード時の冷媒流れを示す図である。 第6実施形態の冷凍サイクル装置における第1除湿暖房+電池加熱モード時の冷媒の状態を示すモリエル線図である。 第7実施形態における電池冷却用膨張弁および開閉弁を示す図である。 第7実施形態の冷凍サイクル装置における電池冷却単独モード時の冷媒流れを示す図である。 第7実施形態の冷凍サイクル装置における電池加熱単独モード時の冷媒流れを示す図である。 第8実施形態の冷凍サイクル装置における電池冷却単独モード時の冷媒流れを示す図である。 第8実施形態の冷凍サイクル装置における電池加熱単独モード時の冷媒流れを示す図である。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
(第1実施形態)
図1により、第1実施形態の冷凍サイクル装置10を説明する。本実施形態の冷凍サイクル装置10は、本発明に係る冷凍サイクル装置を、車両走行用の駆動力を走行用の電動モータから得る電気自動車に適用したものである。この冷凍サイクル装置10は、車室内の空調(冷房および暖房)、並びに、走行用の電動モータへ供給される電力を蓄える蓄電手段としての二次電池の温調(加熱および冷却)を行う。より詳細には、冷凍サイクル装置10は、車室内へ送風される室内用送風空気の冷却および加熱を行うとともに、二次電池53に向けて送風される電池用送風空気の冷却および加熱を行う。本実施形態では、室内用送風空気が第1温調対象物であり、電池用送風空気が第2温調対象物である。
冷凍サイクル装置10は、圧縮機11と、室内凝縮器12と、暖房用膨張弁13と、室外熱交換器14と、冷房用膨張弁15と、室内蒸発器16と、アキュムレータ17と、電池温調用熱交換器18と、電池冷却用膨張弁19とを備えている。これらのサイクル構成部品同士は、冷媒配管によって接続されており、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを構成している。また、冷凍サイクル装置10は、各サイクル構成部品の作動を制御する制御装置20を備えている。
圧縮機11は、車両ボンネット内に配置され、冷凍サイクル装置10において冷媒を吸入し、圧縮して吐出するものである。圧縮機11は、冷媒の圧縮機構を電動モータにて回転駆動する電動圧縮機として構成されている。圧縮機11の電動モータは、制御装置20から出力される制御信号によって、その回転数が制御される。
室内凝縮器12は、室内空調ユニット40において室内用送風空気の空気通路を形成するケーシング41内に配置されている。室内凝縮器12は、圧縮機11から吐出された冷媒を、後述する室内蒸発器16通過後の室内用送風空気と熱交換させて放熱させる放熱用熱交換器を構成している。換言すると、室内凝縮器12は、室内用送風空気を冷媒と熱交換させて加熱する加熱用熱交換器を構成している。
暖房用膨張弁13は、室内用送風空気を加熱して車室内の暖房を行う際に、室内凝縮器12から流出した冷媒を減圧させる減圧手段である。暖房用膨張弁13は、絞り開度(弁開度)を変更可能に構成された弁体と、この弁体の絞り開度(弁開度)を変化させるステッピングモータからなる電動アクチュエータとを有して構成された電気式膨張弁である。暖房用膨張弁13は、制御装置20から出力される制御信号によって、その作動が制御される。本実施形態の暖房用膨張弁13は、弁体の絞り開度を全開にすることで減圧作用を殆ど発揮させない全開機能を有する。
室外熱交換器14は、車両ボンネット内に配置され、その内部を流通する冷媒と図示しない送風ファンから送風された外気とを熱交換させるものである。より具体的には、この室外熱交換器14は、室内用送風空気を加熱して車室内の暖房を行う際等には低圧冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させる蒸発器として機能し、室内用送風空気を冷却して車室内の冷房を行う際等には、高圧冷媒を放熱させる放熱器として機能する。
冷房用膨張弁15は、室内用送風空気を冷却して車室内の冷房を行う際に、室外熱交換器14から流出して室内蒸発器16へ流入する冷媒を減圧させる減圧手段である。冷房用膨張弁15は、暖房用膨張弁13と同様の構成の電気式膨張弁であり、全開機能に加えて、全閉機能を有するものである。
室内蒸発器16は、室内空調ユニット40のケーシング41内の室内凝縮器12よりも空気流れ上流側に配置されている。室内蒸発器16は、冷房用膨張弁15にて減圧された冷媒を室内用送風空気と熱交換させて、冷媒を蒸発させる吸熱用熱交換器を構成している。換言すると、室内蒸発器16は、室内用送風空気を冷媒と熱交換させて冷却する冷却用熱交換器を構成している。
アキュムレータ17は、その内部に流入した冷媒の気液を分離して、サイクル内の余剰冷媒を蓄える気液分離器である。
電池温調用熱交換器18は、二次電池53に向けて送風される電池用送風空気の空気通路を形成する電池パック50内に配置されており、その内部を流通する冷媒と電池用送風空気とを熱交換させて電池用送風空気の温度を調整する温調用熱交換器である。電池温調用熱交換器18は、冷媒が流出入する第1、第2流出入部18a、18bを有している。
電池冷却用膨張弁19は、電池用送風空気を冷却して二次電池53を冷却する際に、電池温調用熱交換器18へ流入する冷媒を減圧させるものである。本実施形態では、この電池冷却用膨張弁19として機械式膨張弁を採用している。
ここで、図2を用いて、電池冷却用膨張弁19の内部構造について説明する。
電池冷却用膨張弁19は、本体部60と、弁機構61と、パワーエレメント部62とを備えている。本体部60は、電池冷却用膨張弁19の外殻を形成する金属製のブロック体である。本実施形態では、本体部60は、角柱形状である。本体部60には、第1接続口19a、第2接続口19b、第3接続口19cおよび第4接続口19dが形成されている。
第1接続口19aおよび第3接続口19cは、本体部60の下側部分に形成されており、両者は本体部60の内部で連通している。第1接続口19aは、電池温調用熱交換器18の第1流出入部18aと接続されている。
第2接続口19bおよび第4接続口19dは、本体部60の上側部分に形成されており、本体部60の内部で連通している。第2接続口19bは、電池温調用熱交換器18の第2流出入部18bと接続されている。
なお、電池冷却用膨張弁19の第1接続口19aと第2接続口19bは、ジョイント部81を介して、それぞれ、冷媒配管を用いて電池温調用熱交換器18の第1流出入部18aおよび第2流出入部18bと接続されている。ジョイント部81は、ブロック体で構成されている。ジョイント部81は、第1接続口19aと冷媒配管を接続するブロック体と、第2接続口19bと冷媒配管を接続するブロック体とが一体化されたものである。
また、電池冷却用膨張弁19の第3接続口19cは、ジョイント部82を介して、冷媒配管と接続されている。電池冷却用膨張弁19の第4接続口19dは、ジョイント部83を介して、冷媒配管と接続されている。
本体部60の上側部分の内部には、第2接続口19bと第4接続口19dに連通する戻り通路63が形成されている。この戻り通路63は、電池冷却時に絞り通路66から電池温調用熱交換器18を通って本体部60に戻る低圧冷媒が流れる冷媒通路である。
本体部60の下側部分の内部には、弁機構61の弁体64を収容する弁室65と、弁室65に連通する絞り通路(弁孔)66とが形成されている。弁室65は、第3接続口19cに連通しているとともに、絞り通路66を介して、第1接続口19aに連通している。絞り通路66の弁室65側端部には弁座部67が形成されている。
弁機構61は、球状の弁体64と、弁体64を支持する支持部材68と、支持部材68を支持するコイルバネ69とを有して構成されている。弁体64、支持部材68およびコイルバネ69は、弁室65に配置されている。コイルバネ69は、弁体64に対して絞り通路66を閉弁する方向の荷重をかける弾性部材である。コイルバネ69は、弁室65の開口部を封止する封止部材70に支持されている。封止部材70は弁室65の開口部に螺合されており、封止部材70のねじ込み量によってコイルバネ69のバネ力が調整される。
パワーエレメント部62は、電池冷却時に、電池温調用熱交換器18から流出した低圧冷媒の温度および圧力に応じて、弁体64を変位させることで電池温調用熱交換器18の出口冷媒状態が所定の過熱度となるように調整するものである。
図3Aに示すように、パワーエレメント部62は、一面71aと他面71bとを有するダイヤフラム71と、ダイヤフラム71の一面71a側に配置された蓋部材72と、ダイヤフラム71の他面71b側に配置された固定部材73とを有している。
蓋部材72は、ダイヤフラム71の一面71a側を覆っている。固定部材73は、固定部材73に形成されたねじ部73aと、本体部60に形成されたねじ部73bとを介して、本体部60の上側端部に固定されている。ダイヤフラム71は、圧力に応じて変動する圧力応動部材である。ダイヤフラム71は、その外周縁部が蓋部材72と固定部材73に挟まれている。ダイヤフラム71、蓋部材72および固定部材73は、金属製である。
ダイヤフラム71と蓋部材72との間に密閉空間である第1室74が形成されている。第1室74には作動流体が封入され、栓部材75によって第1室74が封止されている。作動流体は、冷凍サイクルを循環する冷媒と同じものである。なお、作動流体として、冷凍サイクルを循環する冷媒と異なるものを採用してもよい。
また、固定部材73の内側であって、ダイヤフラム71の他面71b側には、感温棒76が配置されている。感温棒76の上端面は、ダイヤフラム71の他面71bに接している。感温棒76は、戻り通路63を流れる冷媒の温度を感知する感温部材である。感温棒76は、戻り通路63を貫通して配置されており、戻り通路63を流れる冷媒の熱をダイヤフラム71に伝達する。ダイヤフラム71を介して、戻り通路63を流れる冷媒の熱が第1室74内の作動流体に伝達されると、戻り通路63を流れる冷媒の温度に応じて、第1室74内の作動流体の圧力が変化する。
また、固定部材73の内側であって、ダイヤフラム71の他面71b側には、第2室78が形成されている。第2室78は、戻り通路63と連通しており、戻り通路63を流れる冷媒の圧力が第2室78に導入される。第1室74内の作動流体の圧力が変化すると、第1室74と第2室78の圧力差が変化する。このため、第1室74内の作動流体の圧力変化に応じて、ダイヤフラム71が変動し、感温棒76が変位する。感温棒76の変位は、図2に示す弁棒77を介して、図2に示す弁体64に伝達される。
本実施形態では、パワーエレメント部62は、戻り通路63を流れる冷媒の温度および圧力に応じて作動することにより、電池冷却時に、弁体64の位置を弁体64が絞り通路66を開く開弁位置とし、電池加熱時に、弁体64の位置を弁体64が絞り通路66を閉じる閉弁位置とするように構成されている。なお、後述の通り、電池冷却時では、絞り通路66で減圧されて電池温調用熱交換器18内で吸熱後の低圧冷媒が戻り通路63を流れ、電池加熱時では、圧縮機11吐出後の高温高圧のガス冷媒が戻り通路63を流れるようになっている。
具体的には、電池冷却時に第1室74内の冷媒が取り得る温度範囲では、第1室74内の冷媒が気液2相状態となり、電池加熱時に第1室74内の冷媒が取り得る温度範囲では、第1室74内の冷媒が気相単相状態となるように、第1室74の冷媒封入量が設定されている。
電池冷却時では、第1室74内の冷媒が気液2相状態であるので、第1室74内の冷媒の圧力−温度特性は、図3B中の実線で示すようになり、第1室74内の冷媒の温度が上昇するにつれて、第1室74内の冷媒の圧力も上昇する。このため、電池冷却時に開弁させるのに必要な開弁圧は、図3B中の実線で示す冷媒の圧力に対して、コイルバネ69のバネ力を引いた図3Bの破線で示す圧力となる。すなわち、第1室74内の冷媒の温度が上昇するにつれて、開弁圧も上昇することで冷媒が所定の過熱度となるように調整される。
これに対して、電池加熱時では、第1室74内の冷媒が気相単相状態となるので、第1室74内の冷媒の圧力−温度特性については、第1室74内の冷媒の温度上昇に伴う圧力上昇率は、電池冷却時よりも小さい。このため、電池加熱時の開弁圧は、図3Bの破線で示すように、温度が上昇しても、ほとんど上昇せず、所定の圧力値よりも高くならない。すなわち、所定の上限圧力(MOP)を有している。このため電池加熱時に戻り通路63に流れる高圧冷媒の圧力の方がMOPより高いため弁体64が閉弁状態となる。
本実施形態では、蓋部材72は、その厚さが高圧冷媒に対する耐圧性を有する厚さに設定されている。また、蓋部材72は、ダイヤフラム71に高圧冷媒の圧力が加わったときに、ダイヤフラム71に接してダイヤフラム71を支える平坦面72aを有している。平坦面72aは、蓋部材72のダイヤフラム71に対向する領域のうち、栓部材75に対向する領域を除く範囲に設けられている。蓋部材72のダイヤフラム71に対向する領域に対して、広範囲にわたって平坦面72aが設けられている。
これにより、パワーエレメント部62は、圧縮機吐出後の高圧冷媒に対する耐圧強度を有している。このため、戻り通路63に圧縮機11吐出後の高圧冷媒が流れることによるダイヤフラム71の破損を防止できる。したがって、本実施形態では、戻り通路63に高圧冷媒を流すことができる。
図1に示すように、電池冷却用膨張弁19の第3接続口19cは、室外熱交換器14と室内蒸発器16との間の冷媒通路に設けられた接続部21aに接続されている。電池冷却用膨張弁19の第4接続口19dは、接続部21bを介して、室内蒸発器16とアキュムレータ17の間の冷媒通路に設けられた接続部21cおよび室内凝縮器12と暖房用膨張弁13との間の冷媒通路に設けられた接続部21dに接続されている。なお、接続部21a、21b、21c、21dは、いずれも三方継手で構成されている。
図1、2に示すように、冷凍サイクル装置10は、冷媒の流れを電池冷却用膨張弁19の絞り通路66から迂回させるバイパス通路22と、バイパス通路22に設けられた逆止弁23とを備えている。バイパス通路22および逆止弁23は、電池冷却用膨張弁19の本体部60の外部に設けられている。バイパス通路22は、本体部60とは別体の冷媒配管によって構成されている。
図2に示すように、バイパス通路22の一端は、電池冷却用膨張弁19の第1接続口19aと電池温調用熱交換器18の第1流出入部18aとの間の冷媒通路に設けられた接続部21eに接続されている。バイパス通路22の他端は、電池冷却用膨張弁19の第3接続口19cに連なる冷媒通路に設けられた接続部21fに接続されている。接続部21eは、第1接続口19aと冷媒配管を接続するジョイント部81内に設けられている。接続部21fは、三方継手で構成されている。
逆止弁23は、電池冷却時にバイパス通路22を閉じ、電池加熱時にバイパス通路22を開く開閉装置である。逆止弁23は、バイパス通路22を接続部21eから接続部21fに向かう冷媒流れ、すなわち、バイパス通路22の電池温調用熱交換器18側からその反対側に向かう冷媒流れ(順方向の冷媒流れ)を許可し、その逆向きの冷媒流れ(逆方向の冷媒流れ)を禁止するものである。逆止弁23としては一般的な構造のものを採用することができる。図3の逆止弁23は、弁体23aと、弁体23aに対向する弁座部23bと、弁体23aに対して閉弁方向にバネ力を作用させるバネ部23cとを有している。順方向の冷媒流れのとき、弁体23aがバネ部23cを押して、弁座部23bから離れることで、開弁状態となる。逆方向の冷媒流れのとき、弁体23aが弁座部23bに接することで、閉弁状態となる。
また、図1に示すように、冷凍サイクル装置10は、低圧側開閉弁24と、高圧側開閉弁25とを備えている。低圧側開閉弁24は、接続部21bと接続部21cとの間の冷媒通路に設けられている。高圧側開閉弁25は、接続部21bと接続部21dとの間の冷媒通路に設けられている。低圧側開閉弁24および高圧側開閉弁25は、どちらも電気式の開閉弁であり、冷却用冷媒流れと加熱用冷媒流れとを切り替える切替装置を構成するものである。なお、高圧側開閉弁25は、弁開度の調整が可能なものである。
冷凍サイクル装置10は、室内凝縮器12と暖房用膨張弁13との間の冷媒通路のうち接続部21dと接続部21jとの間の範囲内に設けられた開閉弁26を備えている。この開閉弁26も、電気式の開閉弁であり、冷却用冷媒流れと加熱用冷媒流れとを切り替える切替装置を構成するものである。
冷凍サイクル装置10は、室外熱交換器14から流出した冷媒を、室内蒸発器16および電池温調用熱交換器18を迂回させて、アキュムレータ17に導くバイパス通路27と、バイパス通路27を開閉する開閉弁28とを備えている。バイパス通路27の一端は、室外熱交換器14と冷房用膨張弁15の間の冷媒通路に設けられた接続部21gに接続され、バイパス通路27の他端は、室内蒸発器16とアキュムレータ17との間の冷媒通路に設けられた接続部21hに接続されている。
なお、この冷凍サイクル装置10は、室内蒸発器16を冷媒が流れる際に、室内蒸発器16のフロストを防止するため、冷媒の蒸発圧力を所定値以上に保つ蒸発圧力調整弁29を備えている。蒸発圧力調整弁29は、アキュムレータ17と室内蒸発器16の間の冷媒通路のうち接続部21hと接続部21cとの間に配置されている。
冷凍サイクル装置10は、電池加熱時に、電池温調用熱交換器18から流出し、バイパス通路22、接続部21aを介して、室外熱交換器14と室内蒸発器16との間の冷媒通路に流入した冷媒を、暖房用膨張弁13に導く冷媒通路30を備えている。この冷媒通路30には、冷媒通路30を開閉する開閉弁31が設けられている。冷媒通路30は、室外熱交換器14と室内蒸発器16の間の冷媒通路に設けられた接続部21iと、室内凝縮器12(開閉弁26)と暖房用膨張弁13の間の冷媒通路に設けられた接続部21jとに接続されている。
また、冷凍サイクル装置10は、この冷媒通路30を冷媒が流れる際に、室外熱交換器14に向かう冷媒流れを禁止する逆止弁32を備えている。逆止弁32は、接続部21gと接続部21iとの間の冷媒通路に設けられている。
次に、室内空調ユニット40について説明する。室内空調ユニット40は、温調された室内用送風空気を車室内に送風するものである。室内空調ユニット40は、車室内最前部の計器盤(インストルメントパネル)の内側に配置されて、その外殻を形成するケーシング41内に送風機42、前述の室内凝縮器12、室内蒸発器16等を収容することによって構成されている。
ケーシング41は、内部に室内用送風空気の空気通路を形成しており、ある程度の弾性を有し、強度的にも優れた樹脂にて成形されている。ケーシング41内の室内用送風空気の空気流れ最上流側には、車室内空気(内気)と外部空気(外気)とを切替導入する内外気切替装置43が配置されている。
内外気切替装置43には、ケーシング41内に内気を導入させる内気導入口および外気を導入させる外気導入口が形成されている。さらに、内外気切替装置43の内部には、内気導入口および外気導入口の開口面積を連続的に調整して、内気の風量と外気の風量との風量割合を変化させる内外気切替ドアが配置されている。
内外気切替装置43の空気流れ下流側には、内外気切替装置43を介して吸入された空気を車室内へ向けて送風する送風機42が配置されている。この送風機42は、遠心多翼ファンを電動モータにて駆動する電動送風機であって、制御装置20から出力される制御電圧によって回転数(送風量)が制御される。
送風機42の空気流れ下流側には、室内蒸発器16および室内凝縮器12が、室内用送風空気の流れに対して、この順に配置されている。換言すると、室内蒸発器16は、室内凝縮器12に対して、室内用送風空気の流れ方向上流側に配置されている。
さらに、室内凝縮器12の空気流れ下流側には、室内蒸発器16通過後の送風空気のうち、室内凝縮器12を通過させる風量割合を調整するエアミックスドア44が配置されている。また、室内凝縮器12の空気流れ下流側には、室内凝縮器12にて冷媒と熱交換して加熱された送風空気と室内凝縮器12を迂回して加熱されていない送風空気とを混合させる混合空間45が設けられている。
ケーシング41の空気流れ最下流部には、混合空間45にて混合された空調風を、空調対象空間である車室内へ吹き出す開口穴が配置されている。具体的には、この開口穴としては、車室内の乗員の上半身に向けて空調風を吹き出すフェイス開口穴、乗員の足元に向けて空調風を吹き出すフット開口穴、および車両前面窓ガラス内側面に向けて空調風を吹き出すデフロスタ開口穴(いずれも図示せず)が設けられている。
従って、エアミックスドア44が室内凝縮器12を通過させる風量の割合を調整することによって、混合空間45にて混合された空調風の温度が調整され、各開口穴から吹き出される空調風の温度が調整される。つまり、エアミックスドア44は、車室内へ送風される空調風の温度を調整する温調手段を構成している。なお、エアミックスドア44は、制御装置20から出力される制御信号によって作動が制御される図示しないサーボモータによって駆動される。
さらに、フェイス開口穴、フット開口穴、およびデフロスタ開口穴の空気流れ上流側には、それぞれ、フェイス開口穴の開口面積を調整するフェイスドア、フット開口穴の開口面積を調整するフットドア、デフロスタ開口穴の開口面積を調整するデフロスタドア(いずれも図示せず)が配置されている。
これらのフェイスドア、フットドア、デフロスタドアは、開口穴モードを切り替える開口穴モード切替手段を構成するものであって、リンク機構等を介して、制御装置20から出力される制御信号によってその作動が制御される図示しないサーボモータによって駆動される。
次に、電池パック50について説明する。電池パック50は、車両後方のトランクルームと後部座席との間の車両底面側に配置されて、電気的な絶縁処理(例えば、絶縁塗装)が施された金属製のケーシング51内に電池用送風空気を循環送風させる空気通路を形成し、この空気通路に送風機52、電池温調用熱交換器18および二次電池53等を収容して構成されたものである。
送風機52は、電池温調用熱交換器18の空気流れ上流側に配置されて、電池用送風空気を電池温調用熱交換器18へ向けて送風するもので、制御装置20から出力される制御電圧によって稼働率、すなわち回転数(送風空気量)が制御される電動送風機である。さらに、電池温調用熱交換器18の空気流れ下流側には二次電池53が配置され、二次電池53の空気流れ下流側は、送風機52の吸込口側に連通している。
従って、送風機52を作動させると、電池温調用熱交換器18にて温度調整された電池用送風空気が二次電池53に吹き付けられて、二次電池53の温度調整がなされる。さらに、二次電池53の温度調整を行った電池用送風空気は、送風機52に吸入されて再び電池温調用熱交換器18に向けて送風される。
次に、本実施形態の電気制御部について説明する。制御装置20は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成され、そのROM内に記憶された制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、出力側に接続された各種制御対象機器等の作動を制御する。
制御装置20の入力側には、車室内温度Trを検出する内気センサ、外気温Tamを検出する外気センサ、電池温度Tbを検出する電池温度センサ等の種々の制御用センサ群が接続されている。また、制御装置20の入力側には、車室内前部の計器盤付近に配置された図示しない操作パネルが接続され、この操作パネルに設けられた各種操作スイッチからの操作信号が入力される。操作パネルに設けられた各種操作スイッチとしては、車室内空調を行うことを要求する空調作動スイッチ、車室内温度を設定する車室内温度設定スイッチ、空調運転モードの選択スイッチ等が設けられている。
次に、上記構成における本実施形態の冷凍サイクル装置10の作動を説明する。前述の如く、この冷凍サイクル装置10は、車室内の空調および二次電池53の温度調整を行うことができる。
さらに、車室内の空調の運転モードには、車室内を冷房する冷房モードと車室内を暖房する暖房モードがあり、二次電池53の温度調整の運転モードには、二次電池53を加熱する加熱モードと二次電池53を冷却する冷却モードがある。これらの運転モードの切り替えは、制御装置が予め記憶回路に記憶している制御プログラムを実行することによって行われる。
この制御プログラムでは、操作パネルの操作信号および制御用センサ群の検出信号を読み込み、読み込まれた検出信号および操作信号の値に基づいて各種制御対象機器の制御状態を決定し、決定された制御状態が得られるように各種制御対象機器へ制御信号あるいは制御電圧を出力するといった制御ルーチンを繰り返す。
そして、車室内の空調を行う際の運転モードについては、操作パネルの操作信号を読み込んだ際に、空調作動スイッチが投入(ON)された状態で選択スイッチにて冷房が選択されている場合には冷房モードに切り替えられ、空調作動スイッチが投入(ON)された状態で選択スイッチにて暖房が選択されている場合には暖房モードに切り替えられる。
また、二次電池53の温度調整を行う際の運転モードについては、制御用センサ群の検出信号を読み込んだ際に、電池温度Tbが第1基準温度Tk1以下になっている際には二次電池53を加熱する電池加熱モードに切り替え、電池温度Tbが第2基準温度Tk2以上になっている際には二次電池を冷却する電池冷却モードに切り替える。
以下、各運転モードにおける作動について説明する。
(a)冷房単独モード
冷房単独モードは、二次電池53の温度調整を行うことなく、車室内の冷房を行う運転モードである。
冷房単独モードでは、制御装置20は、低圧側開閉弁24と高圧側開閉弁25の両方を閉じ、開閉弁26を開き、開閉弁28と開閉弁31の両方を閉じ、暖房用膨張弁13を全開状態とし、冷房用膨張弁15を減圧作用が発揮される絞り状態とする。
これにより、冷凍サイクル装置10は、図4の太線および矢印で示すように、冷媒が流れる冷媒流路に切り替えられる。
また、制御装置20は、圧縮機11を所望の回転数にて作動させる。制御装置20は、室外熱交換器14から流出した冷媒の過冷却度が目標過冷却度になるように、冷房用膨張弁15の弁開度を調整する。なお、目標過冷却度は、図示しない冷媒温度センサおよび圧力センサによって検出された冷媒の温度、圧力状態に基づいて、サイクルの成績係数(COP)が略最大値となるように決定される。制御装置20は、室内空調ユニット40の送風機42を所望の回転数にて作動させ、エアミックスドア44の位置を室内凝縮器12側の空気通路を閉塞する位置とする。制御装置20は、電池パック50の送風機52を停止状態とする。
したがって、冷房単独モードの冷凍サイクル装置10では、図4、5に示すように、冷媒が流れる。なお、図5では、冷凍サイクル装置10の各構成機器をモリエル線図上に示している。
すなわち、圧縮機11から吐出された冷媒が、室内凝縮器12→全開状態の暖房用膨張弁13→室外熱交換器14の順に流れる。室内凝縮器12に流入した冷媒は、エアミックスドア44が室内凝縮器12側の空気通路を閉塞しているので、実質的に送風空気へ放熱しない。室外熱交換器14へ流入した冷媒は、外気と熱交換することにより、放熱して液冷媒となる。
そして、室外熱交換器14から流出した冷媒が、冷房用膨張弁15→室内蒸発器16→アキュムレータ17→圧縮機11の順に流れる。室内蒸発器16において、冷房用膨張弁15にて減圧された冷媒が、送風機42によって送風された室内用送風空気から吸熱して蒸発する。これにより、室内用送風空気が冷却される。
(b)電池冷却単独モード
電池冷却単独モードは、車室内の空調を行うことなく、二次電池53の冷却を行う運転モードである。
電池冷却単独モードでは、制御装置20は、低圧側開閉弁24を開き、高圧側開閉弁25を閉じ、開閉弁26を開き、開閉弁28と開閉弁31の両方を閉じる。制御装置20は、暖房用膨張弁13を全開状態とし、冷房用膨張弁15を全閉状態とする。
これにより、冷凍サイクル装置10は、図6の太線および矢印で示すように、冷媒が流れる冷媒流路に切り替えられる。
また、制御装置20は、圧縮機11を所望の回転数にて作動させる。制御装置20は、電池パック50の送風機52を所望の回転数にて作動させる。制御装置20は、室内空調ユニット40の送風機42を停止状態とし、エアミックスドア44の位置を室内凝縮器12側の空気通路を閉塞する位置とする。
したがって、電池冷却単独モードの冷凍サイクル装置10では、図6、7に示すように、冷媒が流れる。なお、図7では、冷凍サイクル装置10の各構成機器をモリエル線図上に示している。
すなわち、圧縮機11から吐出された冷媒が、冷房運転モードと同様に、室内凝縮器12→全開状態の暖房用膨張弁13→室外熱交換器14の順に流れる。
そして、室外熱交換器14から流出した液冷媒が、逆止弁32を通過し、接続部21aから電池温調用熱交換器18側へ流れ、電池冷却用膨張弁19の第3接続口19cに流入する。このとき、電池冷却用膨張弁19は、第4接続口19dが圧縮機11の吸入側に接続され、すなわち、低圧側の冷媒通路に接続されるので、戻り通路63の冷媒圧力が低下する。これにより、図2、3に示すダイヤフラム71が図の下方向に変位し、弁体64が開弁方向に変位する。
このため、第3接続口19cから流入した液冷媒は、図2に示す絞り通路66を通過することで、減圧膨張し、第1接続口19aから流出する。第1接続口19aから流出した冷媒は、電池温調用熱交換器18へ流入して、送風機52によって送風された電池用送風空気から吸熱して蒸発し、ガス冷媒となる。これにより、電池用送風空気が冷却される。
電池温調用熱交換器18から流出したガス冷媒は、電池冷却用膨張弁19の図2に示す戻り通路63を通過し、第4接続口19dから流出する。このとき、図2に示すパワーエレメント部62は、電池温調用熱交換器18から流出した低圧冷媒の圧力と温度を検知し、冷媒が所定の過熱度(スーパーヒート)を有するように、弁体64を変位させる。
なお、弁体64の位置について換言すると、絞り通路66で減圧されて電池温調用熱交換器18から流出した冷媒が戻り通路63を流れるので、図3Aに示す第2室78の圧力は、絞り通路66で減圧直後の冷媒の圧力とほぼ同じである。一方、戻り通路63を流れる冷媒の熱が感温棒76によって第1室74内に伝達されるので、図3Aに示す第1室74内部の冷媒の温度は、絞り通路66で減圧されて電池温調用熱交換器18で吸熱した後の冷媒の温度と同じとなる。このため、第1室74内部の冷媒の温度は、絞り通路66で減圧直後の冷媒よりも過熱度分の温度が高いので、絞り通路66で減圧直後の冷媒よりも圧力が高い。したがって、第1室74の圧力の方が、第2室78の圧力よりも高いので、ダイヤフラム71が図2の下方に変位し、弁体64が開弁状態となる。
そして、電池冷却用膨張弁19の第4接続口19dから流出した冷媒は、低圧側開閉弁24、蒸発圧力調整弁29を介して、アキュムレータ17に流入する。そして、アキュムレータ17にて分離されたガス冷媒が、圧縮機11に吸入されて再び圧縮される。
(c)冷房+電池冷却モード
冷房+電池冷却モードは、車室内の冷房を行うと同時に二次電池53の冷却を行う運転モードである。
冷房+電池冷却モードでは、制御装置20は、低圧側開閉弁24を開き、高圧側開閉弁25を閉じ、開閉弁26を開き、開閉弁28と開閉弁31の両方を閉じる。さらに、制御装置20は、暖房用膨張弁13を全開状態とし、冷房用膨張弁15を減圧作用が発揮される絞り状態とする。
これにより、冷凍サイクル装置10は、図8の太線および矢印で示すように、冷媒が流れる冷媒流路に切り替えられる。
また、制御装置20は、圧縮機11を所望の回転数にて作動させる。制御装置20は、冷房単独モードと同様に、冷房用膨張弁15、室内空調ユニット40の送風機42、エアミックスドア44の作動を制御する。制御装置20は、電池冷却単独モードと同様に、電池パック50の送風機52を所望の回転数にて作動させる。
したがって、冷房+電池冷却モードの冷凍サイクル装置10では、図8、9に示すように、冷媒が流れる。なお、図9では、冷凍サイクル装置10の各構成機器をモリエル線図上に示している。また、図9のモリエル線図では、室内蒸発器16を流れる冷媒の状態と、電池温調用熱交換器18を流れる冷媒の状態とを併せて図示するため、室内蒸発器16を流れる冷媒と、電池温調用熱交換器18を流れる冷媒とを上下でずらして図示しているが、両者の圧力は同等である。
圧縮機11から吐出された冷媒が、冷房単独モードと同様に、室内凝縮器12→全開状態の暖房用膨張弁13→室外熱交換器14の順に流れる。
室外熱交換器14から流出した液冷媒は、逆止弁32を介して、接続部21aへ流れ、接続部21aから室内蒸発器16側と電池温調用熱交換器18側に分岐して流れる。
室内蒸発器16側に分岐した液冷媒は、冷房単独モードと同様に、冷房用膨張弁15→室内蒸発器16→アキュムレータ17→圧縮機11の順に流れる。これにより、室内蒸発器16にて室内用送風空気が冷却される。
一方、電池温調用熱交換器18側に分岐した液冷媒は、電池冷却単独モードと同様に、電池冷却用膨張弁19の図2に示す絞り通路66→電池温調用熱交換器18→電池冷却用膨張弁19の図2に示す戻り通路63→アキュムレータ17→圧縮機11の順に流れる。これにより、電池温調用熱交換器18にて電池用送風空気が冷却される。
(d)暖房単独モード
暖房単独モードは、二次電池53の温度調整を行うことなく、車室内の暖房を行う運転モードである。
暖房単独モードでは、制御装置20は、低圧側開閉弁24と高圧側開閉弁25の両方を閉じ、開閉弁26を開き、開閉弁28を開き、開閉弁31を閉じる。制御装置20は、暖房用膨張弁13を減圧作用が発揮される絞り状態とし、冷房用膨張弁15を全閉状態とする。
これにより、冷凍サイクル装置10は、図10の太線および矢印で示すように、冷媒が流れる冷媒流路に切り替えられる。
また、制御装置20は、圧縮機11を所望の回転数にて作動させる。制御装置20は、室内凝縮器12から流出した冷媒の過冷却度が目標過冷却度に近づくように、暖房用膨張弁13の弁開度を制御する。目標過冷却度は、図示しない冷媒温度センサおよび圧力センサによって検出された冷媒の温度、圧力状態に基づいて、サイクルの成績係数(COP)が略最大値となるように決定される。制御装置20は、室内空調ユニット40の送風機42を所望の回転数にて作動させ、エアミックスドア44の位置を室内凝縮器12側の空気通路を開く位置とする。制御装置20は、電池パック50の送風機52を停止状態とする。
したがって、暖房単独モードの冷凍サイクル装置10では、図10、11に示すように、冷媒が流れる。なお、図11では、冷凍サイクル装置10の各構成機器をモリエル線図上に示している。
圧縮機11から吐出された冷媒が、室内凝縮器12→開閉弁26→暖房用膨張弁13→室外熱交換器14→バイパス通路27→アキュムレータ17→圧縮機11の順に流れる。室内凝縮器12に流入した冷媒は、エアミックスドア44が室内凝縮器12側の空気通路を開く位置とされるので、車室内送風空気へ放熱する。これにより、室内凝縮器12にて室内用送風空気が加熱される。
(e)電池加熱単独モード
電池加熱単独モードは、車室内の空調を行うことなく、二次電池53の加熱を行う運転モードである。
電池加熱単独モードでは、制御装置20は、低圧側開閉弁24を閉じ、高圧側開閉弁25を開き、開閉弁26を閉じ、開閉弁28と開閉弁31の両方を開く。さらに、制御装置20は、暖房用膨張弁13を減圧作用が発揮される絞り状態とし、冷房用膨張弁15を全閉状態とする。
これにより、冷凍サイクル装置10は、図12の太線および矢印で示すように、冷媒が流れる冷媒流路に切り替えられる。
また、制御装置20は、圧縮機11を所望の回転数にて作動させる。制御装置20は、電池温調用熱交換器18から流出した冷媒の過冷却度が目標過冷却度に近づくように、暖房用膨張弁13の弁開度を制御する。制御装置20は、電池パック50の送風機52を所望の回転数にて作動させる。制御装置20は、室内空調ユニット40の送風機42を停止状態とし、エアミックスドア44の位置を室内凝縮器12側の空気通路を閉じる位置とする。
したがって、電池加熱単独モードの冷凍サイクル装置10では、図12、13に示すように、冷媒が流れる。なお、図13では、冷凍サイクル装置10の各構成機器をモリエル線図上に示している。
圧縮機11から吐出された冷媒は、室内凝縮器12→高圧側開閉弁25→電池冷却用膨張弁19の第4接続口19d→電池温調用熱交換器18→接続部21e→バイパス通路22→接続部21f→接続部21a→接続部21i→冷媒通路30→暖房用膨張弁13→室外熱交換器14→バイパス通路27→アキュムレータ17→圧縮機11の順に流れる。
室内凝縮器12に流入した高圧冷媒は、エアミックスドア44が室内凝縮器12側の空気通路を閉塞しているので、実質的に送風空気へ放熱しない。第4接続口19dに流入した高圧冷媒は、図2に示す戻り通路63を通過し、電池温調用熱交換器18に流入し、電池用送風空気と熱交換して放熱する。これにより、電池用送風空気が加熱される。
また、圧縮機11吐出後の高圧冷媒が戻り通路63を流れることで、図3Aに示す第2室78の圧力は高圧冷媒の圧力と同じとなる。一方、戻り通路63を流れる冷媒の熱が感温棒76によって第1室74内に伝達されるので、図3Aに示す第1室74内部の冷媒の温度は、圧縮機11吐出後の高圧冷媒の温度と同じなる。このとき、第1室74内部の冷媒の温度−圧力特性は、上述の通り、電池冷却時よりも温度上昇に伴う圧力上昇率が小さいという特性となり、図3Bに示すように、開弁圧は、温度上昇しても所定の上限圧力値を超えない。この上限圧力値は、圧縮機11吐出後の高圧冷媒の圧力よりも低い値である。したがって、第1室74の圧力は、第2室78の圧力よりも低いので、ダイヤフラム71が図2の上方に変位し、弁体64が閉弁位置となる。
この結果、電池温調用熱交換器18から流出した冷媒は、バイパス通路22および逆止弁23を通過する。暖房用膨張弁13にて減圧された冷媒は、室外熱交換器14へ流入して、外気から吸熱して蒸発する。
(f)暖房+電池加熱モード
暖房+電池加熱モードは、車室内の暖房を行うと同時に二次電池53の加熱を行う運転モードである。
暖房+電池加熱モードでは、制御装置20が、電池加熱単独モードと同様に、低圧側開閉弁24を閉じ、高圧側開閉弁25を開き、開閉弁26を閉じ、開閉弁28と開閉弁31の両方を開く。さらに、制御装置20は、電池加熱単独モードと同様に、暖房用膨張弁13を減圧作用が発揮される絞り状態とし、冷房用膨張弁15を全閉状態とする。
これにより、冷凍サイクル装置10は、図14の太線および矢印で示すように、電池加熱単独モードと同様に冷媒が流れる冷媒流路に切り替えられる。
また、制御装置20は、暖房単独モードと同様に、圧縮機11、室内空調ユニット40の送風機42、エアミックスドア44の作動を制御する。制御装置20は、電池加熱単独モードと同様に、暖房用膨張弁13、電池パック50の送風機52の作動を制御する。
したがって、暖房+電池加熱モードの冷凍サイクル装置10では、図14、15に示すように、冷媒が流れる。なお、図15では、冷凍サイクル装置10の各構成機器をモリエル線図上に示している。
圧縮機11から吐出された冷媒は、電池加熱単独モードと同様に、室内凝縮器12→高圧側開閉弁25→電池冷却用膨張弁19の第4接続口19d→電池温調用熱交換器18→バイパス通路22→接続部21f→接続部21a→接続部21i→冷媒通路30→暖房用膨張弁13→室外熱交換器14→バイパス通路27→アキュムレータ17→圧縮機11の順に流れる。
室内凝縮器12へ流入した高圧冷媒は、室内用送風空気と熱交換して放熱する。これにより、室内用送風空気が加熱される。第4接続口19dに流入した高圧冷媒は、電池加熱単独モードと同様に、図2に示す戻り通路63を通過し、電池温調用熱交換器18に流入し、電池用送風空気と熱交換してさらに放熱する。これにより、電池用送風空気が加熱される。
(g)第1除湿暖房単独モード
第1除湿暖房単独モードは、二次電池53の温度調整を行うことなく、車室内の除湿暖房を行う運転モードである。また、第1除湿暖房単独モードは、下記の通り、室外熱交換器14と室内蒸発器16に対して冷媒が直列に流れる運転モードである。
第1除湿暖房単独モードでは、制御装置20は、低圧側開閉弁24と高圧側開閉弁25の両方を閉じ、開閉弁26を開き、開閉弁28および開閉弁31を閉じる。制御装置20は、暖房用膨張弁13を減圧作用が発揮される絞り状態(中間絞り)とし、冷房用膨張弁15を減圧作用が発揮される絞り状態とする。
これにより、冷凍サイクル装置10は、図16の太線および矢印で示すように、冷媒が流れる冷媒流路に切り替えられる。
また、制御装置20は、圧縮機11を所望の回転数にて作動させる。制御装置20は、暖房用膨張弁13の弁開度を、暖房用膨張弁13が室外熱交換器14に流入する冷媒を減圧させて中間圧とする中間絞りとして作用する弁開度とする。なお、中間圧とは、圧縮機11吐出後の冷媒の圧力(高圧)と、圧縮機11に吸入される冷媒の圧力(低圧)との間の圧力を意味する。制御装置20は、冷房用膨張弁15の弁開度を、室外熱交換器14から流出した冷媒の過冷却度が目標過冷却度になるように調整する。制御装置20は、室内空調ユニット40の送風機42を所望の回転数にて作動させ、エアミックスドア44の位置を室内凝縮器12側の空気通路を開く位置とする。制御装置20は、電池パック50の送風機52を停止状態とする。
したがって、第1除湿暖房単独モードの冷凍サイクル装置10では、図16、17に示すように、冷媒が流れる。なお、図17では、冷凍サイクル装置10の各構成機器をモリエル線図上に示している。
圧縮機11から吐出された冷媒が、室内凝縮器12→開閉弁26→中間絞り状態の暖房用膨張弁13→室外熱交換器14→冷房用膨張弁15→室内蒸発器16→アキュムレータ17→圧縮機の順に流れる。
これにより、車室内送風空気が、室内蒸発器16にて冷却されて除湿された後、室内凝縮器12にて加熱される。
(h)第1除湿暖房+電池冷却モード
第1除湿暖房+電池冷却モードは、車室内の除湿暖房を行うと同時に二次電池53の冷却を行う運転モードである。このときの除湿暖房は、第1除湿暖房単独モードと同じである。
第1除湿暖房+電池冷却モードでは、制御装置20は、第1除湿暖房単独モードと異なり、低圧側開閉弁24を開き、高圧側開閉弁25を閉じる。制御装置20は、第1除湿暖房単独モードと同様に、開閉弁26を開き、開閉弁28および開閉弁31を閉じ、暖房用膨張弁13を絞り状態(中間絞り)とし、冷房用膨張弁15を絞り状態とする。
これにより、冷凍サイクル装置10は、図18の太線および矢印で示すように、冷媒が流れる冷媒流路に切り替えられる。
また、制御装置20は、第1除湿暖房単独モードと異なり、電池パック50の送風機52を所望の回転数にて作動させる。制御装置20は、第1除湿暖房単独モードと同様に、圧縮機11、暖房用膨張弁13、冷房用膨張弁15、室内空調ユニット40の送風機42、エアミックスドア44の作動を制御する。
したがって、第1除湿暖房+電池冷却モードの冷凍サイクル装置10では、図18、19に示すように、冷媒が流れる。なお、図19では、冷凍サイクル装置10の各構成機器をモリエル線図上に示している。また、図19のモリエル線図では、室内蒸発器16を流れる冷媒の状態と、電池温調用熱交換器18を流れる冷媒の状態とを併せて図示するため、室内蒸発器16を流れる冷媒と、電池温調用熱交換器18を流れる冷媒とを上下でずらして図示しているが、両者の圧力は同等である。
圧縮機11から吐出された冷媒が、第1除湿暖房単独モードと同様に、室内凝縮器12→開閉弁26→中間絞り状態の暖房用膨張弁13→室外熱交換器14→接続部21a→冷房用膨張弁15→室内蒸発器16→アキュムレータ17→圧縮機の順に流れる。これにより、車室内送風空気が、室内蒸発器16にて冷却されて除湿された後、室内凝縮器12にて加熱される。
接続部21aで分岐した冷媒が、電池冷却単独モードと同様に、電池冷却用膨張弁19の図2に示す絞り通路66→電池温調用熱交換器18→電池冷却用膨張弁19の図2に示す戻り通路63→アキュムレータ17→圧縮機11の順に流れる。これにより、電池温調用熱交換器18にて電池用送風空気が冷却される。
(i)第2除湿暖房単独モード
第2除湿暖房単独モードは、二次電池53の温度調整を行うことなく、車室内の除湿暖房を行う運転モードである。また、第2除湿暖房単独モードは、下記の通り、室外熱交換器14と室内蒸発器16に対して冷媒が並列に流れる運転モードである。
第2除湿暖房単独モードでは、制御装置20は、低圧側開閉弁24と高圧側開閉弁25の両方を閉じ、開閉弁26を開き、開閉弁28および開閉弁31を開く。制御装置20は、暖房用膨張弁13を減圧作用が発揮される絞り状態とし、冷房用膨張弁15を減圧作用が発揮される絞り状態とする。
これにより、冷凍サイクル装置10は、図20の太線および矢印で示すように、冷媒が流れる冷媒流路に切り替えられる。
また、制御装置20は、圧縮機11を所望の回転数にて作動させる。制御装置20は、暖房用膨張弁13の弁開度および冷房用膨張弁15の弁開度を、室内凝縮器12から流出した冷媒の過冷却度が目標過冷却度に近づくように制御する。制御装置20は、室内空調ユニット40の送風機42を所望の回転数にて作動させ、エアミックスドア44の位置を室内凝縮器12側の空気通路を開く位置とする。制御装置20は、電池パック50の送風機52を停止状態とする。
したがって、第2除湿暖房単独モードの冷凍サイクル装置10では、図20、21に示すように、冷媒が流れる。なお、図21では、冷凍サイクル装置10の各構成機器をモリエル線図上に示している。
圧縮機11から吐出された冷媒が、室内凝縮器12→開閉弁26→接続部21jの順に流れ、接続部21jで室外熱交換器14側と室内蒸発器16側に分岐する。室外熱交換器14側に分岐した冷媒は、暖房用膨張弁13→室外熱交換器14→バイパス通路27→アキュムレータ17→圧縮機11の順に流れる。室内蒸発器16側に分岐した冷媒は、冷房用膨張弁15→室内蒸発器16→アキュムレータ17→圧縮機11の順に流れる。これにより、車室内送風空気が、室内蒸発器16にて冷却されて除湿された後、室内凝縮器12にて加熱される。
(j)第2除湿暖房+電池冷却モード
第2除湿暖房+電池冷却モードは、車室内の除湿暖房を行うと同時に二次電池53の冷却を行う運転モードである。このときの除湿暖房は、第2除湿暖房単独モードと同じである。
第2除湿暖房+電池冷却モードでは、制御装置20は、第2除湿暖房単独モードと異なり、低圧側開閉弁24を開き、高圧側開閉弁25を閉じる。制御装置20は、第2除湿暖房単独モードと同様に、開閉弁26を開き、開閉弁28および開閉弁31を開き、暖房用膨張弁13を絞り状態とし、冷房用膨張弁15を絞り状態とする。
これにより、冷凍サイクル装置10は、図22の太線および矢印で示すように、冷媒が流れる冷媒流路に切り替えられる。
また、制御装置20は、第2除湿暖房単独モードと異なり、電池パック50の送風機52を所望の回転数にて作動させる。制御装置20は、第2除湿暖房単独モードと同様に、圧縮機11、暖房用膨張弁13、冷房用膨張弁15、室内空調ユニット40の送風機42、エアミックスドア44の作動を制御する。
したがって、第2除湿暖房+電池冷却モードの冷凍サイクル装置10では、図22、23に示すように、冷媒が流れる。なお、図23では、冷凍サイクル装置10の各構成機器をモリエル線図上に示している。また、図23のモリエル線図では、室内蒸発器16を流れる冷媒の状態と、電池温調用熱交換器18を流れる冷媒の状態とを併せて図示するため、室内蒸発器16を流れる冷媒と、電池温調用熱交換器18を流れる冷媒とを上下でずらして図示しているが、両者の圧力は同等である。
圧縮機11から吐出された冷媒が、第2除湿暖房単独モードと同様に、室内凝縮器12→開閉弁26→接続部21jの順に流れ、接続部21jで室外熱交換器14側と室内蒸発器16側に分岐する。室外熱交換器14側に分岐した冷媒は、暖房用膨張弁13→室外熱交換器14→バイパス通路27→アキュムレータ17→圧縮機11の順に流れる。室内蒸発器16側に分岐した冷媒は、さらに、接続部21aで室内蒸発器16側と電池温調用熱交換器18側へ分岐する。接続部21aで室内蒸発器16側に分岐した冷媒は、冷房用膨張弁15→室内蒸発器16→アキュムレータ17→圧縮機11の順に流れる。これにより、車室内送風空気が、室内蒸発器16にて冷却されて除湿された後、室内凝縮器12にて加熱される。
一方、接続部21aで電池温調用熱交換器18側に分岐した冷媒は、電池冷却単独モードと同様に、電池冷却用膨張弁19の図2に示す絞り通路66→電池温調用熱交換器18→電池冷却用膨張弁19の図2に示す戻り通路63→アキュムレータ17→圧縮機11の順に流れる。このように、室内凝縮器12から流出した冷媒は、電池冷却用膨張弁19で減圧されて、電池温調用熱交換器18に流入し、電池温調用熱交換器18にて電池用送風空気と熱交換する。これにより、電池温調用熱交換器18にて電池用送風空気が冷却される。
(k)第2除湿暖房+電池加熱モード
第2除湿暖房+電池加熱モードは、車室内の除湿暖房を行うと同時に二次電池53の加熱を行う運転モードである。このときの除湿暖房は、第2除湿暖房単独モードと同じである。
第2除湿暖房+電池加熱モードでは、制御装置20は、第2除湿暖房単独モードと異なり、低圧側開閉弁24を閉じ、高圧側開閉弁25を開き、開閉弁26を閉じる。制御装置20は、第2除湿暖房単独モードと同様に、開閉弁28および開閉弁31を開き、暖房用膨張弁13を絞り状態とし、冷房用膨張弁15を絞り状態とする。
これにより、冷凍サイクル装置10は、図24の太線および矢印で示すように、冷媒が流れる冷媒流路に切り替えられる。
また、制御装置20は、第2除湿暖房単独モードと異なり、電池パック50の送風機52を所望の回転数にて作動させる。制御装置20は、第2除湿暖房単独モードと同様に、圧縮機11、暖房用膨張弁13、冷房用膨張弁15、室内空調ユニット40の送風機42、エアミックスドア44の作動を制御する。
したがって、第2除湿暖房+電池加熱モードの冷凍サイクル装置10では、図24、25に示すように、冷媒が流れる。なお、図25では、冷凍サイクル装置10の各構成機器をモリエル線図上に示している。
圧縮機11から吐出された冷媒が、暖房+電池加熱モードと同様に、室内凝縮器12→電池冷却用膨張弁19の図2に示す戻り通路63→電池温調用熱交換器18→バイパス通路22→接続部21aの順に冷媒が流れる。そして、電池温調用熱交換器18から流出した冷媒は、接続部21aで室外熱交換器14側と室内蒸発器16側に分岐する。室外熱交換器14側に分岐した冷媒は、暖房用膨張弁13→室外熱交換器14→アキュムレータ17→圧縮機11の順に流れる。室内蒸発器16側に分岐した冷媒は、冷房用膨張弁15→室内蒸発器16→アキュムレータ17の順に流れる。
これにより、電池温調用熱交換器18にて電池用送風空気が加熱され、車室内送風空気が、室内蒸発器16にて冷却されて除湿された後、室内凝縮器12にて加熱される。
以上の説明の通り、本実施形態の冷凍サイクル装置10は、電池温調用熱交換器18と、電池冷却用膨張弁19と、冷媒の流れを電池冷却用膨張弁19の絞り通路66から迂回させるバイパス通路22と、バイパス通路22に設けられた逆止弁23とを備えている。
さらに、冷凍サイクル装置10は、低圧側開閉弁24、高圧側開閉弁25、開閉弁26、開閉弁28、開閉弁31の開閉作動を制御装置20が制御することで、電池冷却時に冷媒が流れる冷却用冷媒流路と、電池加熱時に冷媒が流れる加熱用冷媒流路とを切り替える。
電池冷却時では、電池冷却用膨張弁19の絞り通路66→電池温調用熱交換器18→電池冷却用膨張弁19の戻り通路63の順に冷媒が流れる冷却用冷媒流路とされる。これにより、電池冷却用膨張弁19に流入した液冷媒が、電池冷却用膨張弁19の絞り通路66を通過することで減圧膨張し、電池温調用熱交換器18で蒸発する。そして、電池冷却用膨張弁19は、電池温調用熱交換器18から流出する冷媒の圧力と温度を検知し、電池温調用熱交換器18から流出する冷媒が所望の過熱度を有するように、弁体64の開度を調整する。
一方、電池加熱時では、電池冷却用膨張弁19の戻り通路63→電池温調用熱交換器18→バイパス通路22の順に冷媒が流れる加熱用冷媒流路とされる。
ここで、本実施形態と異なり、バイパス通路22を有していない場合、電池冷却用膨張弁19の戻り通路63→電池温調用熱交換器18の順に、高圧冷媒を流そうとすると、ダイヤフラム71が閉弁方向に変位し、弁体64が絞り通路66を閉じてしまう。このため、電池温調用熱交換器18に圧縮機11吐出後の高圧高温の冷媒を流すことができない。
これに対して、本実施形態によれば、電池冷却用膨張弁19の戻り通路63→電池温調用熱交換器18の順に、高圧冷媒を流すと、弁体64が絞り通路66を閉じてしまうが、逆止弁23が開く。このため、高圧高温の冷媒を電池温調用熱交換器18に流入させ、電池温調用熱交換器18から流出の冷媒をバイパス通路22を介して、冷凍サイクル装置10の高圧側の冷媒通路に戻すことができる。すなわち、電池冷却用膨張弁19として機械式膨張弁を用いても、電池加熱時に温調用熱交換器18に圧縮機吐出後の高圧高温の冷媒を流すことができる。
したがって、本実施形態の冷凍サイクル装置10によれば、単一の熱交換器で電池冷却と電池加熱を行う場合にも、電池冷却用膨張弁19として機械式膨張弁を用いることができる。
この結果、本実施形態によれば、電気式膨張弁よりも安価な機械式膨張弁を採用でき、電気式膨張弁を用いる場合と比較して、電気式膨張弁の弁開度制御用の冷媒温度センサ、冷媒圧力センサや、電気式膨張弁を駆動する電気回路等が不要となり、冷媒流路を切り替える切替弁の総数を削減できるので、全体構成の簡素化およびコストの低減が可能となる。なお、電気式膨張弁の駆動用のソフトウェアの開発が不要となることでも、開発工数の低減およびコストの低減が可能となる。
また、本実施形態では、電池冷却用膨張弁19として機械式膨張弁を用いても、電池加熱時に弁体64が絞り通路66を閉じた状態となり、電池加熱時に機械式膨張弁が作動しないので、電池加熱時の冷媒流量制御と干渉することがない。
また、本実施形態では、電池加熱時における電池温調用熱交換器18と電池冷却用膨張弁19の戻り通路63を流れる冷媒流れの向きを、電池冷却時の冷媒流れに対して逆向きとしている。このため、本実施形態によれば、バイパス通路22の開閉装置として、一方向の冷媒流れを許可し、その逆向きの冷媒流れを禁止する逆止弁23を採用できる。
また、本実施形態では、電池加熱時における電池温調用熱交換器18と電池冷却用膨張弁19の戻り通路63を流れる冷媒流れの向きを、電池冷却時の冷媒流れに対して逆向きとすることで、電池加熱時に、パワーエレメント部62が弁体64の位置を絞り通路66を閉じる閉弁位置とすることを利用している。このため、本実施形態によれば、電池冷却から電池加熱への切替の際に、電動の開閉装置を用いずに、機械式の逆止弁23およびパワーエレメント部62によって、電池温調用熱交換器18から流出の冷媒を、絞り通路66を迂回させて、バイパス通路22に流して、冷凍サイクル装置の高圧側の冷媒通路に戻すことができる。
また、本実施形態では、バイパス通路22の他端は、接続部21fに接続されており、電池冷却時に絞り通路66の冷媒流れ上流側となる冷媒通路に連通している。これにより、バイパス通路22の他端を、電池冷却時に絞り通路66の冷媒流れ上流側となる冷媒通路に連通させない場合と比較して、バイパス通路22を構成する冷媒配管長さを短くすることができる。
(第2実施形態)
本実施形態は、第1実施形態に対してバイパス通路22および逆止弁23の配置を変更したものである。図26に示すように、本実施形態では、バイパス通路22および逆止弁23は、本体部60に内蔵されている。
バイパス通路22は、その全部が本体部60の内部に形成されている。バイパス通路22の一端は、第1接続口19aに連なっている。したがって、バイパス通路22の一端は、電池温調用熱交換器18の第1流出入部18aと電池冷却用膨張弁19の絞り通路66との間の冷媒通路に連なっている。
バイパス通路22の他端は、接続部60aを介して、弁室65に連なっている。したがって、バイパス通路22の他端は、電池冷却時に絞り通路66の冷媒流れ上流側となる冷媒通路の接続部60aに連なっている。このように、本実施形態では、バイパス通路22の他端と絞り通路66の冷媒流れ上流側となる冷媒通路との接続部60aも、本体部60に内蔵されている。
逆止弁23は、本体部60の内部のバイパス通路22の途中に設けられている。逆止弁23は、第1実施形態と同様のものであり、弁体23aと、弁座部23bと、バネ部とを有している。電池加熱時の順方向の冷媒流れのとき、弁体23aがバネ部23cを押して、弁座部23bから離れることで、開弁状態となる。電池冷却時の逆方向の冷媒流れのとき、弁体23aが弁座部23bに接することで、閉弁状態となる。
なお、冷凍サイクル装置10の作動については、第1実施形態と同じである。
本実施形態によれば、バイパス通路22および逆止弁23を、本体部60に内蔵しているので、このバイパス通路22を冷媒配管で構成する場合に冷媒配管と逆止弁23とを接続する逆止弁専用のジョイント部を不要にできる。また、本実施形態では、バイパス通路22が全て本体部60に内蔵されているとともに、バイパス通路22と絞り通路66の冷媒流れ上流側となる冷媒通路との接続部60aが本体部に内蔵されている。これにより、バイパス通路22を構成する冷媒配管や冷媒配管同士を接続する三方継手を不要にできる。
(第3実施形態)
本実施形態は、第1実施形態に対してバイパス通路22および逆止弁23の配置を変更したものである。図27に示すように、本実施形態では、バイパス通路22および逆止弁23は、本体部60に接続されるジョイント部82に内蔵されている。
ジョイント部82は、本体部60のうち電池冷却時における絞り通路66の冷媒流れ上流側に位置する第3接続口19cに接続され、本体部60と冷媒配管とを接続する接続部材である。ジョイント部82は、第3接続口19cに接続される接続部82aと、接続部82aに連なる冷媒通路82bを有している。ジョイント部82は、この冷媒通路82bの接続部82a側とは反対側に冷媒配管が接続される接続口82cを有している。
ジョイント部82の内部にバイパス通路22が形成されている。バイパス通路22の一端は、ジョイント部82のバイパス通路22用の接続部82dに連なっている。このバイパス通路22用の接続部82dは、本体部60に形成され、絞り通路66と第1接続口19aの間の冷媒通路に連なる第5接続口19eに接続される。したがって、バイパス通路22の一端は、本体部60の絞り通路66と電池温調用熱交換器18の第1流出入部18aの間の冷媒通路に連通している。
バイパス通路22の他端は、接続部82eを介して、冷媒通路82bに連なっている。したがって、バイパス通路22の他端は、電池冷却時における絞り通路66の冷媒流れ上流側となる冷媒通路の接続部82eに連なっている。このように、本実施形態では、バイパス通路22の他端と絞り通路66の冷媒流れ上流側となる冷媒通路との接続部82eも、ジョイント部82に内蔵されている。
逆止弁23は、ジョイント部82の内部のバイパス通路22の途中に設けられている。逆止弁23は、第1実施形態の逆止弁23と同様のものであり、弁体23aと、弁座部23bと、バネ部とを有している。電池加熱時の順方向の冷媒流れのとき、弁体23aがバネ部23cを押して、弁座部23bから離れることで、逆止弁23が開弁状態となる。電池冷却時の逆方向の冷媒流れのとき、弁体23aが弁座部23bに接することで、逆止弁23が閉弁状態となる。
なお、冷凍サイクル装置10の作動については、第1実施形態と同じである。
本実施形態によれば、バイパス通路22および逆止弁23を、ジョイント部82に内蔵しているので、第2実施形態と同様の効果を奏する。
(第4実施形態)
本実施形態は、第2実施形態に対して、バイパス通路22の他端側の接続先を変更したものである。
図28に示すように、バイパス通路22の一部をなす冷媒通路221が、本体部60の内部に形成されている。この冷媒通路221の一端は、第3実施形態と同様に、第1接続口19aに連なっている。
一方、この冷媒通路221の他端は、本体部に形成された第6接続口19fに連なっている。この第6接続口19fに冷媒配管222が接続され、この冷媒配管222は図29に示す接続部21kに接続される。図29に示す接続部21kは、室内凝縮器12と暖房用膨張弁13との間の冷媒通路に設けられている。
したがって、本実施形態では、本体部60の冷媒通路221と冷媒配管222とによって、バイパス通路22が構成されている。また、本体部60の外部に、バイパス通路22の他端側の接続部21kが設けられている。
本実施形態の冷凍サイクル装置10の作動は、基本的には、第1実施形態と同じである。ただし、本実施形態によれば、バイパス通路22の他端を接続部21kに接続しているので、簡素な構成で、第1除湿暖房+電池加熱モードでの運転が可能となる。
運転モードの例を説明すると、第1除湿暖房+電池冷却モードでは、制御装置20は、第1実施形態と同様に、各制御対象機器の作動を制御する。これにより、図29に示すように、第1実施形態の第1除湿暖房+電池冷却モード時と同様に、冷媒が流れる。
そして、第1除湿暖房+電池加熱モードでは、制御装置20は、低圧側開閉弁24を閉じ、高圧側開閉弁25を開き、開閉弁26、開閉弁28および開閉弁31を閉じる。制御装置20は、第1除湿暖房単独モードと同様に、暖房用膨張弁13を絞り状態(中間絞り)とし、冷房用膨張弁15を絞り状態とする。これにより、冷凍サイクル装置10は、図30の太線および矢印で示すように、冷媒が流れる冷媒流路に切り替えられる。
また、制御装置20は、電池パック50の送風機52を所望の回転数にて作動させる。制御装置20は、第1除湿暖房単独モードと同様に、圧縮機11、暖房用膨張弁13、冷房用膨張弁15、室内空調ユニット40の送風機42、エアミックスドア44の作動を制御する。
したがって、第1除湿暖房+電池加熱モードの冷凍サイクル装置10では、図30、31に示すように、冷媒が流れる。なお、図31では、冷凍サイクル装置10の各構成機器をモリエル線図上に示している。
圧縮機11から吐出された冷媒が、室内凝縮器12→高圧側開閉弁25→電池冷却用膨張弁19の図28に示す戻り通路63→電池温調用熱交換器18→電池冷却用膨張弁19の図28に示す逆止弁23→接続部21k→中間絞り状態の暖房用膨張弁13→室外熱交換器14→冷房用膨張弁15→室内蒸発器16→アキュムレータ17→圧縮機の順に流れる。これにより、電池温調用熱交換器18にて電池用送風空気が加熱される。車室内送風空気が、室内蒸発器16にて冷却されて除湿された後、室内凝縮器12にて加熱される。
(第5実施形態)
本実施形態は、第3実施形態に対して、バイパス通路22の他端側の接続先を変更したものである。
図32に示すように、バイパス通路22の一部をなす冷媒通路223が、ジョイント部82の内部に形成されている。この冷媒通路223の一端は、第3実施形態と同様に、ジョイント部82のバイパス通路22用の接続部82dに連なっている。
一方、この冷媒通路223の他端は、ジョイント部82に形成された接続口82eに連なっている。この接続口82eに冷媒配管222が接続され、この冷媒配管222は図29に示す接続部21kに接続される。
したがって、本実施形態では、ジョイント部82の内部の冷媒通路223と冷媒配管222とによって、バイパス通路22が構成されている。また、ジョイント部82の外部に、バイパス通路22の他端側の接続部21kが設けられている。
本実施形態では、バイパス通路22の他端を、室内凝縮器12と暖房用膨張弁13との間の冷媒通路の接続部21kに接続している。これにより、本実施形態の冷凍サイクル装置10によれば、第4実施形態と同様に、簡素な構成で、第1除湿暖房+電池加熱モードの運転が可能となる。
なお、第4、第5実施形態では、バイパス通路22の他端を図29に示す接続部21kに接続したが、第1実施形態と同様に、図1に示す接続部21fに接続してもよい。この場合、第1実施形態と同様の冷媒回路が構成される。
また、第1実施形態では、バイパス通路22の他端を図1に示す接続部21fに接続したが、バイパス通路22の他端を図29に示す接続部21kに接続してもよい。これによっても、第4、第5実施形態と同様の冷媒回路を構成できる。
(第6実施形態)
図33、34Aに示すように、本実施形態は、第1実施形態の電池冷却用膨張弁19の本体部60に、サブクール制御弁90(以下、SC制御弁90)を内蔵させたものである。なお、図33、34Aは、異なる断面における電池冷却用膨張弁19の縦断面図である。
SC制御弁90は、電池加熱時に、電池温調用熱交換器18から流出した冷媒を減圧させる電池加熱用膨張弁であり、電池温調用熱交換器18から流出した冷媒の流量を機械的に調節して、電池温調用熱交換器18から流出する冷媒に対して所定の過冷却度を持たせる機械式の膨張弁である。SC制御弁90は、電池冷却時にバイパス通路22を閉じ、電池加熱時にバイパス通路22を開く開閉装置としても機能する。
図33、34Aに示すように、本体部60の内部に、バイパス通路22の一部をなす冷媒通路224が形成されている。この冷媒通路224の途中にSC制御弁90が設けられている。この冷媒通路224の一端は、第1接続口19aと絞り通路66の間の冷媒通路に連なっている。したがって、バイパス通路22の一端は、本体部60の絞り通路66と電池温調用熱交換器18の第1流出入部18aの間の冷媒通路に連通している。一方、本体部60の内部の冷媒通路224の他端は、本体部に形成された接続口19gに連なっている。
図34Aに示すように、SC制御弁90は、絞り通路91と、弁体92と、パワーエレメント部93とを有している。
絞り通路91は、冷媒通路224の途中に設けられている。弁体92は、絞り通路91の通路開度を調整するものである。本実施形態では、後述する感温棒106の先端部が弁体92を構成している。弁体92は、絞り通路91の端部に設けられた弁座部94と対向している。
パワーエレメント部93は、冷媒通路224のうち絞り通路91の上流側部分を流れる冷媒の圧力と温度に応じて変位作動することにより、弁体92を変位させるものである。
パワーエレメント部93は、電池冷却用膨張弁19のパワーエレメント部62と同じ構造のものである。図34Aのダイヤフラム101、蓋部材102、固定部材103、第1室104、栓部材105、第2室108は、それぞれ、図3Aのダイヤフラム71、蓋部材72、固定部材73、第1室74、栓部材75、第2室78に対応するものである。
第1室104には作動流体として、冷凍サイクルを循環する冷媒と同じ冷媒と、窒素ガス等の不活性ガスとが封入されている。この不活性ガスは、弁体92に対して閉弁方向の応力を作用させるものである。このため、図34Bに示すように、弁体92を開弁方向に変位させるために必要な開弁圧は、第1室104内部の冷媒の圧力と不活性ガスの圧力の合計となる。第2室108の圧力が開弁圧よりも高いときに開弁状態となる。
電池冷却時では、第1室104の内部温度は、絞り通路66通過直後の冷媒と同じ温度となる。このため、第1室104の圧力は、絞り通路66通過直後の冷媒の温度に応じた冷媒圧力と不活性ガスの圧力とを合算した大きさとなる。第2室108の圧力は、絞り通路66通過直後の冷媒と同じである。このため、第1室104の圧力の方が、第2室108の圧力よりも高いので、ダイヤフラム101が図34Aの左側へ変位し、弁体92が閉弁位置となる。
一方、電池加熱時では、第1室104の内部温度は、電池温調用熱交換器18で放熱後(圧縮機11吐出後の冷媒よりも温度低下後)の冷媒と同じ温度となる。このため、第1室104の圧力は、電池温調用熱交換器18で放熱後の冷媒の温度に応じた冷媒圧力と不活性ガスの圧力とを合算した大きさとなる。第2室108の圧力は圧縮機11吐出後の冷媒圧力とほぼ同じである。このとき、第2室108の圧力が第1室104の圧力よりも所定の過冷却度分だけ高くなるように、冷媒と不活性ガスのそれぞれの封入量が設定されている。したがって、第2室108の圧力が第1室104の圧力、すなわち、開弁圧よりも高くなった時に、ダイヤフラム101が図34Aの右側へ変位し、弁体92が開弁位置となる。
本体部60の接続口19gは、冷媒配管等を介して、図35に示す接続部21lに接続される。図35に示す接続部21lは、室内蒸発器16とアキュムレータ17との間の冷媒通路に設けられている。したがって、本実施形態では、本体部60の冷媒通路224とそれに接続された冷媒配管等によって、バイパス通路22が構成されている。また、本体部60の外部に、バイパス通路22の他端側の接続部21lが設けられている。
また、本実施形態の冷凍サイクル装置10は、図35に示すように、バイパス通路22の途中に、内部熱交換器110が設けられている。
内部熱交換器110は、電池加熱時に、SC制御弁90で減圧された冷媒(低圧冷媒)を、圧縮機11吐出後の高圧冷媒であって、室内凝縮器12から流出した冷媒と熱交換させて吸熱させる熱交換器である。
また、本実施形態の冷凍サイクル装置10は、第1実施形態の冷凍サイクル装置10と異なり、開閉弁26を備えていない。本実施形態の冷凍サイクル装置10のその他の構成は、第1実施形態の冷凍サイクル装置10と同じである。
本実施形態の冷凍サイクル装置10の作動は、基本的には、第1実施形態と同じである。
運転モードの例を説明すると、第1除湿暖房+電池冷却モードでは、制御装置20は、第1実施形態と同様に、各制御対象機器の作動を制御する。ただし、第1実施形態の開閉弁26の制御を除く。これにより、冷凍サイクル装置10は、図35の太線および矢印で示す冷媒流路に切り替えられる。この冷媒流路での冷媒流れおよび冷媒状態は、図19に示す第1実施形態の冷凍サイクル装置10の第1除湿暖房+電池冷却モード時と同じである。なお、この運転モードでは、バイパス通路22に冷媒が流れないので、室内凝縮器12から流出した冷媒は内部熱交換器110で熱交換しない。
第1除湿暖房+電池加熱モードでは、制御装置20は、低圧側開閉弁24を閉じ、高圧側開閉弁25を開き、開閉弁28および開閉弁31を閉じる。制御装置20は、第1除湿暖房単独モードと同様に、暖房用膨張弁13を絞り状態(中間絞り)とし、冷房用膨張弁15を絞り状態とする。これにより、冷凍サイクル装置10は、図36の太線および矢印で示すように、冷媒が流れる冷媒流路に切り替えられる。
また、制御装置20は、電池パック50の送風機52を所望の回転数にて作動させる。制御装置20は、第1除湿暖房単独モードと同様に、圧縮機11、暖房用膨張弁13、冷房用膨張弁15、室内空調ユニット40の送風機42、エアミックスドア44の作動を制御する。
したがって、第1除湿暖房+電池加熱モードの冷凍サイクル装置10では、図36、37に示すように、冷媒が流れる。なお、図37では、冷凍サイクル装置10の各構機器をモリエル線図上に示している。また、図37のモリエル線図では、内部熱交換器110の高圧側部分を流れる冷媒の状態と、電池温調用熱交換器18を流れる冷媒の状態とを併せて図示するため、両者の状態を上下でずらして図示しているが、両者の圧力は同等である。同様に、図37のモリエル線図では、内部熱交換器110の低圧側部分を流れる冷媒の状態と、室内蒸発器16を流れる冷媒の状態とを併せて図示するため、両者の状態を上下でずらして図示しているが、両者の圧力は同等である。
室内凝縮器12から流出した冷媒は、接続部21dで、電池温調用熱交換器18側と内部熱交換器110側に分岐する。このため、圧縮機11→室内凝縮器12→電池温調用熱交換器18→図34に示すSC制御弁90→内部熱交換器110→アキュムレータ17→圧縮機11の順に冷媒が流れる第1冷媒回路と、圧縮機11→室内凝縮器12→内部熱交換器110→暖房用膨張弁13(中間絞り)→室外熱交換器14→冷房用膨張弁15→室内蒸発器16→アキュムレータ17→圧縮機11の順に冷媒が流れる第2冷媒回路とが形成される。第1冷媒回路によって、電池温調用熱交換器18にて電池用送風空気が加熱される。第2冷媒回路によって、車室内送風空気が、室内蒸発器16にて冷却されて除湿された後、室内凝縮器12にて加熱される。
このように、本実施形態では、第1除湿暖房+電池加熱モード時のように、電池加熱時に、第1冷媒回路が形成される。このとき、SC制御弁90のパワーエレメント部93が、電池温調用熱交換器18から流出した冷媒の圧力と温度に応じて変位作動して弁体92を変位させ、電池温調用熱交換器18から流出した冷媒の流量を調節する。これにより、電池温調用熱交換器18から流出した冷媒は所定の過冷却度を有するようになる。
したがって、本実施形態によれば、電池冷却時と電池加熱時のどちらにおいても、電池温調用熱交換器18を流れる冷媒の流量を機械的に制御できる。
なお、本実施形態では、SC制御弁90を電池冷却用膨張弁19の本体部60に形成して電池冷却用膨張弁19と一体としたが、電池冷却用膨張弁19と別体としてもよい。
(第7実施形態)
図38、39、40に示すように、本実施形態は、電池加熱時にバイパス通路22を流れる冷媒流れの向きを第1実施形態とは逆向きとし、バイパス通路22に電気式の開閉弁120を設けたものである。
バイパス通路22の一端は、第1実施形態と同様に、電池冷却用膨張弁19の第1接続口19aと電池温調用熱交換器18の第1流出入部18aとの間の冷媒通路に設けられた接続部21eに接続されている。バイパス通路22の他端は、室内凝縮器12と暖房用膨張弁13との間の冷媒通路に設けられた接続部21dに接続されている。
開閉弁120は、電磁弁である。なお、開閉弁120として、電動弁を採用してもよい。
本実施形態の冷凍サイクル装置10では、電池冷却用膨張弁19の第4接続口19dは、接続部21mに接続されている。接続部21mは、低圧側開閉弁24を介して、接続部21cに接続されているとともに、高圧側開閉弁121を介して、接続部21nに接続されている。接続部21nは、室内凝縮器12と暖房用膨張弁13との間の冷媒通路のうち開閉弁26よりも暖房用膨張弁13側に設けられている。本実施形態の冷凍サイクル装置10のその他の構成は、第1実施形態と同じである。なお、本実施形態では、低圧側開閉弁24、高圧側開閉弁121、開閉弁26、開閉弁28、開閉弁31等が電池冷却時に冷媒が流れる冷却用冷媒流路と、電池加熱時に冷媒が流れる加熱用冷媒流路とを切り替える切替装置を構成している。
本実施形態の冷凍サイクル装置10の作動は、基本的には、第1実施形態と同じである。
運転モードの例を説明すると、図39に示すように、電池冷却単独モードでは、制御装置20は、開閉弁120を閉じ、低圧側開閉弁24を開き、高圧側開閉弁121を閉じ、開閉弁26を開き、開閉弁28と開閉弁31の両方を閉じる。制御装置20は、暖房用膨張弁13を全開状態とし、冷房用膨張弁15を全閉状態とする。なお、その他の制御対象機器は、第1実施形態の電池冷却単独モードと同様に、その作動が制御装置20に制御される。
これにより、冷凍サイクル装置10は、図39の太線および矢印で示すように、冷媒が流れる冷媒流路に切り替えられる。この冷媒流路での冷媒流れおよび冷媒状態は、図7に示す第1実施形態の冷凍サイクル装置10の電池冷却単独モード時と同じである。
一方、図40に示すように、電池加熱単独モードでは、制御装置20は、低圧側開閉弁24を閉じ、高圧側開閉弁121および開閉弁120を開き、開閉弁26を閉じ、開閉弁28を開き、開閉弁31を閉じる。さらに、制御装置20は、暖房用膨張弁13を減圧作用が発揮される絞り状態とし、冷房用膨張弁15を全閉状態とする。なお、その他の制御対象機器の作動は、第1実施形態の電池加熱単独モードと同様に、制御装置20に制御される。
これにより、冷凍サイクル装置10は、図40の太線および矢印で示すように、冷媒が流れる冷媒流路に切り替えられる。すなわち、圧縮機11から吐出された冷媒は、室内凝縮器12→バイパス通路22および開閉弁120→電池温調用熱交換器18→図38に示す戻り通路63→接続部21m→高圧側開閉弁121→暖房用膨張弁13→室外熱交換器14→バイパス通路27→アキュムレータ17→圧縮機11の順に流れる。この冷媒流路での冷媒状態は、図13に示す第1実施形態の冷凍サイクル装置10の電池加熱単独モード時と同じである。
(第8実施形態)
図41、42に示すように、本実施形態は、第1実施形態の冷凍サイクル装置に対して、接続部21bと接続部21dの間の冷媒通路を、バイパス通路130に変更したものである。
バイパス通路130は、電池加熱時に、冷媒の流れを電池冷却用膨張弁19の図2に示す戻り通路63から迂回させる冷媒通路である。バイパス通路130の一端は、電池冷却用膨張弁19の第2接続口19bと電池温調用熱交換器18の第2流出入部18bとの間の冷媒通路に、三方弁131を介して接続されている。バイパス通路130の他端は、接続部21dに接続されている。
三方弁131は、電池冷却時に、バイパス通路130を閉じ、図2に示す戻り通路63を開き、電池加熱時に、バイパス通路130を開き、図2に示す戻り通路63を閉じる開閉装置である。
本実施形態では、バイパス通路22および逆止弁23が、第1バイパス通路および第1開閉装置であり、バイパス通路130および三方弁131が第2バイパス通路および第2バイパス通路を開閉する第2開閉装置である。
本実施形態の冷凍サイクル装置10の作動は、基本的には、第1実施形態と同じである。
運転モードの例を説明すると、図41に示すように、電池冷却単独モードでは、制御装置20は、三方弁131の状態を、電池温調用熱交換器18の第2流出入部18bと電池冷却用膨張弁19の第2接続口19bとが連通した状態とする。また、制御装置20は、第1実施形態の電池冷却単独モードと同様に、低圧側開閉弁24と開閉弁26を開き、開閉弁28と開閉弁31の両方を閉じる。制御装置20は、暖房用膨張弁13を全開状態とし、冷房用膨張弁15を全閉状態とする。なお、その他の制御対象機器は、第1実施形態の電池冷却単独モードと同様に、その作動が制御装置20に制御される。
これにより、冷凍サイクル装置10は、図41の太線および矢印で示すように、冷媒が流れる冷媒流路に切り替えられる。この冷媒流路での冷媒流れおよび冷媒状態は、図7に示す第1実施形態の冷凍サイクル装置10の電池冷却単独モード時と同じである。
一方、図42に示すように、電池加熱単独モードでは、制御装置20は、三方弁131の状態を、電池温調用熱交換器18の第2流出入部18bと接続部21dとが連通した状態とする。また、制御装置20は、第1実施形態の電池加熱単独モードと同様に、開閉弁26を閉じ、開閉弁28および開閉弁31を開く。さらに、制御装置20は、暖房用膨張弁13を減圧作用が発揮される絞り状態とし、冷房用膨張弁15を全閉状態とする。なお、その他の制御対象機器の作動は、第1実施形態の電池加熱単独モードと同様に、制御装置20に制御される。
これにより、冷凍サイクル装置10は、図42の太線および矢印で示すように、冷媒が流れる冷媒流路に切り替えられる。この冷媒流路での冷媒状態は、図13に示す第1実施形態の冷凍サイクル装置10の電池加熱単独モード時と同じである。
本実施形態によれば、電池加熱時に、圧縮機11吐出後の高圧冷媒を、図2に示す戻り通路63を迂回させてバイパス通路130に流すので、パワーエレメント部62の高耐圧化をしなくても、圧縮機11吐出後の高圧冷媒を戻り通路63に流すことによるパワーエレメント部62の破損を防止できる。
(他の実施形態)
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、下記のように、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。
(1)上記した各実施形態では、電池温調用熱交換器18で電池用送風空気を冷却あるいは加熱することによって、二次電池53を冷却あるいは加熱したが、電池温調用熱交換器を水―冷媒熱交換器で構成し、電池温調用熱交換器で水を冷却あるいは加熱することによって、二次電池53を冷却あるいは加熱しても良い。この場合、水が第2温調対象物となる。また、電池温調用熱交換器を冷媒と二次電池53とが直接熱交換する構成としても良い。この場合、二次電池53が第2温調対象物となる。
(2)上記した各実施形態では、第2温調対象物が二次電池53に送風される電池用送風空気であったが、車室内空間に送風される車室内用送風空気であっても良い。この場合、例えば、室内蒸発器16にて車室内の前席に吹き出される車室内用送風空気を冷却あるいは加熱し、温調用熱交換器18にて車室内の後席に吹き出される車室内用送風空気を冷却あるいは加熱しても良い。これによれば、ヒートポンプを用いたデュアルエアコンとして後席での冷房あるいは暖房が可能となる。
(3)上記した各実施形態では、第1温調対象物が空調対象空間へ送風される室内用送風空気であったが、第1温調対象物はこれに限定されない。例えば、第1温調対象物として飲料水や生活用水等を採用してもよい。また、上記した各実施形態では、第2温調対象物(電池用送風空気等)を冷却あるいは加熱することによって、二次電池53を冷却あるいは加熱した例を説明したが、始動前あるいは始動直後、走行中に最適温度範囲内で冷却や加熱を必要とされる車載機器の冷却あるいは加熱を行ってもよい。例えば、内燃機関(エンジン)、電動モータ、インバータ、トランスミッション等の冷却あるいは加熱を行ってもよい。
(4)上記した各実施形態では、冷凍サイクル装置10を車両に適用したが、冷凍サイクル装置10を車両以外に適用してもよい。例えば、第1温調対象物を室内へ送風させる送風空気とし、第2温調対象物を発電装置の温調を行うための熱媒体としてもよい。
(5)上記各実施形態では、本発明の冷凍サイクル装置を、複数の温調対象物の温調を行う冷凍サイクル装置に適用したが、1つ温調対象物の温調を単一の熱交換器で行う冷凍サイクル装置に適用してもよい。すなわち、本発明の適用は、第1温調対象物の温調を行うための冷却用熱交換器および加熱用熱交換器と、第2温調対象物の温調を行うための温調用熱交換器との両方を備える冷凍サイクル装置に限られず、上記した冷却用熱交換器および加熱用熱交換器と温調用熱交換器とのうち温調用熱交換器のみを備える冷凍サイクル装置においても可能である。
(6)上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
10 冷凍サイクル装置
11 圧縮機
14 室外熱交換器
18 温調用熱交換器
19 電池冷却用膨張弁(冷却用膨張弁)
22 バイパス通路
23 逆止弁(開閉装置)
60 本体部
62 パワーエレメント部
63 戻り通路
64 弁体
66 絞り通路

Claims (12)

  1. 吸入した冷媒を圧縮して吐出する圧縮機(11)と、
    冷媒と空気とを熱交換させる熱交換器(12、14)と、
    冷媒が流出入する第1、第2流出入部(18a、18b)を有し、冷媒と温調対象物とを熱交換させて前記温調対象物の加熱と冷却とを行う温調用熱交換器(18)と、
    前記温調対象物の冷却時に、前記熱交換器から流出した冷媒を減圧させ、減圧後の冷媒を前記温調用熱交換器に流入させる冷却用膨張弁(19)とを備え、
    前記冷却用膨張弁は、
    本体部(60)と、
    前記本体部の内部に設けられ、前記温調用熱交換器の第1流出入部(18a)に連通し、冷媒を減圧させる絞り通路(66)と、
    前記絞り通路の通路開度を調整する弁体(64)と、
    前記本体部の内部に設けられ、前記温調用熱交換器の第2流出入部(18b)に連通し、前記温調対象物の冷却時に、前記絞り通路から前記温調用熱交換器を通って前記本体部に戻る冷媒が流れる戻り通路(63)と、
    前記戻り通路を通過する冷媒の温度および圧力に応じて変位作動することにより、前記弁体を変位させるパワーエレメント部(62)とを有し、
    さらに、一端が前記第1流出入部と前記絞り通路との間の冷媒通路に連通し、冷媒の流れを前記絞り通路から迂回させるバイパス通路(22)と、
    前記温調対象物の冷却時に、前記バイパス通路を閉じ、前記温調対象物の加熱時に、前記バイパス通路を開く開閉装置(23、90、120)とを備えることを特徴とする冷凍サイクル装置。
  2. 前記パワーエレメント部は、前記温調対象物の加熱時に、前記戻り通路を流れる冷媒の圧力により、前記弁体の位置を前記弁体が前記絞り通路を閉じる位置とすることを特徴とする請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
  3. 前記温調対象物の冷却時に、前記絞り通路、前記温調用熱交換器、前記戻り通路の順に冷媒が流れる冷却用冷媒流路と、前記温調対象物の加熱時に、前記バイパス通路および前記温調用熱交換器を冷媒が流れる加熱用冷媒流路とを切り替える切替装置(24、25、26、28、31、121)を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の冷凍サイクル装置。
  4. 前記加熱用冷媒流路は、前記戻り通路、前記温調用熱交換器、前記バイパス通路の順に冷媒が流れる冷媒流路であることを特徴とする請求項3に記載の冷凍サイクル装置。
  5. 前記開閉装置は、前記バイパス通路の前記温調用熱交換器側からその反対側に向かう冷媒流れを許可し、その逆向きの冷媒流れを禁止する逆止弁(23)であることを特徴とする請求項4に記載の冷凍サイクル装置。
  6. 前記バイパス通路の少なくとも一部および前記逆止弁は、前記本体部に内蔵されていることを特徴とする請求項5に記載の冷凍サイクル装置。
  7. 前記本体部のうち前記温調対象物の冷却時における前記絞り通路の冷媒流れ上流側に接続され、前記本体部と冷媒配管とを接続するジョイント部(82)を備え、
    前記バイパス通路の少なくとも一部および前記逆止弁は、前記ジョイント部に内蔵されていることを特徴とする請求項5に記載の冷凍サイクル装置。
  8. 前記開閉装置は、前記温調対象物の加熱時に、前記温調用熱交換器から流出した冷媒を減圧させるとともに、前記温調用熱交換器から流出した冷媒に所定の過冷却度を持たせる機械式の加熱用膨張弁(90)であることを特徴とする請求項4に記載の冷凍サイクル装置。
  9. 前記加熱用膨張弁は、前記本体部に内蔵されていることを特徴とする請求項8に記載の冷凍サイクル装置。
  10. 前記加熱用冷媒流路は、前記バイパス通路、前記温調用熱交換器、前記戻り通路の順に冷媒が流れる冷媒流路であり、
    前記開閉装置は、電気式の開閉弁(120)であることを特徴とする請求項3に記載の冷凍サイクル装置。
  11. 前記バイパス通路を第1バイパス通路とし、前記開閉装置を第1開閉装置とし、
    一端が前記第2流出入部と前記戻り通路との間の冷媒通路に連通し、前記温調対象物の加熱時に、冷媒の流れを前記戻り通路から迂回させる第2バイパス通路(130)と、
    前記温調対象物の冷却時に、前記第2バイパス通路を閉じ、前記戻り通路を開き、前記温調対象物の加熱時に、前記第2バイパス通路を開き、前記戻り通路を閉じる第2開閉装置(131)とを備えることを特徴とする請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
  12. 第1温調対象物の温調を行うための熱交換器として、前記第1温調対象物を冷媒と熱交換させて加熱する加熱用熱交換器(12)および前記第1温調対象物を冷媒と熱交換させて冷却する冷却用熱交換器(16)とを備え、
    前記温調用熱交換器は、第2温調対象物の温調を行うための熱交換器であることを特徴とする請求項1ないし11のいずれか1つに記載の冷凍サイクル装置。
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