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JP2016081257A5 - - Google Patents

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JP2016081257A5
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導電性フィルム、それを備える表示装置及び導電性フィルムの配線パターンの評価方法
本発明は、3次元形状の状態で使用される導電性フィルム、それを備える表示装置及び導電性フィルムの配線パターンの評価方法に関する。
携帯電話等の表示装置(以下、ディスプレイともいう)の表示ユニット上に設置される導電性フィルムとして、例えば電磁波シールド用の導電性フィルムやタッチパネル用の導電性フィルム等が挙げられる(例えば、特許文献1〜5参照)。
本出願人の出願に係る特許文献1では、例えばディスプレイの画素配列パターン(例えば、ブラックマトリックス(以下、BMともいう)パターン)等の第1のパターン、及び、例えば電磁波シールドパターン等の第2のパターンのそれぞれのパターンデータの2次元フーリエスペクトル(2DFFTSp)のスペクトルピーク間の相対距離が、所定の空間周波数、例えば8cm−1を超えている第2のパターンデータによって生成される第2のパターンを自動的に選定することを開示している。
こうして、特許文献1では、モアレの発生を抑止でき、表面抵抗率の増大や透明性の劣化をも回避することができる電磁波シールドパターンの自動選定を可能にしている。
一方、本出願人の出願に係る特許文献2では、多角形状のメッシュを複数備えるメッシュパターンを有する透明導電膜として、各メッシュの重心スペクトルに関して、所定の空間周波数、例えば人間の視覚応答特性が最大応答の5%に相当する空間周波数よりも高い帯域側における平均強度が、所定の空間周波数よりも低い帯域側における平均強度よりも大きくなるように、メッシュパターンが形成されている透明導電膜を開示している。
こうして、特許文献2では、パターンに起因するノイズ粒状感を低減可能であり、観察対象物の視認性を大幅に向上できるとともに、断裁後にも安定した通電性能を有する透明導電膜を提供できるとしている。
本出願人の出願に係る特許文献3では、金属細線による菱形形状のメッシュからなる導電パターンにおいて、各メッシュの開口部の菱形の2つの対角線の長さの比を所定範囲に限定することにより、同特許文献4では、金属細線によるメッシュパターンにおいて、金属細線が、表示装置の画素の配列方向に対する傾斜角度を所定範囲に限定することにより、同特許文献5では、金属細線による菱形形状のメッシュパターンにおいて、各メッシュの開口部の菱形の頂角を所定範囲に限定することにより、表示パネルに取り付けてもモアレが発生しにくくなり、しかも、高歩留まりで生産することができるという効果を得ている。
特開2009−117683号公報 特開2011−216379号公報 特開2012−163933号公報 特開2012−163951号公報 特開2012−164648号公報
ところで、特許文献1〜5に開示の導電性フィルムは、いずれも平面形状であり、ディスプレイの平らな表示面に重畳した時には、導電性フィルムの配線パターンとディスプレイのBMパターンとの干渉によるモアレを低減したモアレの視認性の良いものとすることができるものの、このモアレの視認性の良い平面形状の導電性フィルムを立体形状、例えば対応する両辺側が湾曲し、その間の中央部が平坦な3次元形状で用いる場合には、平面形状(2次元形状)から3次元形状への変化により、例えば、図47(A)に示すモアレの視認性の良い平面形状の導電性フィルムの配線パターン70であっても、配線パターンの空間周波数が変化して、図47(B)に示すように、ディスプレイの表示面の正面からの視点で観察した場合の射影配線パターン72となるため、形状が変化した湾曲部分において、図48に示すように、射影配線パターン72とBMパターンとが干渉してモアレが発生してしまうという問題があった。
さらに、特許文献1では、ディスプレイのBMパターン及び導電性フィルム配線パターンの周波数情報のみからモアレ周波数を制御しているため、周波数のみならず強度にも影響を受ける人のモアレの知覚においては、強度によってはモアレが視認され、モアレの視認性が十分に向上されないという問題があった。
また、特許文献2では、透明導電膜のメッシュパターンの各メッシュの重心スペクトルに関し、人間の視覚の応答特性を考慮することにより、人間にとって視覚的に感じられる透明導電膜のメッシュパターン自体のノイズ感の減少を図るに過ぎず、モアレの視認性を向上させることにはつながらないという問題があった。
本発明は、上記従来技術の問題点を解消し、3次元形状の導電性フィルムを表示装置の平面形状又は3次元形状の表示面に重ねて配置して用いる際に、モアレやノイズ(粒状感)を抑止でき、モアレやノイズ(粒状性)の視認性を大幅に向上させることができる導電性フィルム、それを備える表示装置及び導電性フィルムの配線パターンの評価方法を提供することを目的とする。
本発明は、特に、3次元形状の配線パターンを有する3次元形状の導電性フィルムを表示装置の表示ユニットの平面形状又は同様に3次元形状の表示面に重ねて配置してタッチパネル用電極として用いる場合、表示装置の表示ユニットのブラックマトリクスに導電性フィルムを重畳して視認する際に大きな画質障害となるモアレやノイズの発生を抑止でき、タッチパネル上の表示の視認性を大幅に向上させることができる導電性フィルム、それを備える表示装置及び導電性フィルムの配線パターンの評価及び決定方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様に係る導電性フィルムは、表示装置の表示ユニット上に設置される導電性フィルムであって、導電性フィルムは、3次元形状の透明基体と、透明基体の両側、若しくは片側に配置される3次元形状の2つの配線部と、を有し、2つの配線部の少なくとも一方の配線部は、複数の金属細線よりなる複数の開口部が配列されたメッシュ状の配線パターンを有し、表示ユニットは、互いに異なる少なくとも3色の複数色の光を射出する複数の副画素を含む画素の画素配列パターンで配列されてなり、導電性フィルムは、2つの配線部の配線パターンと表示ユニットの画素配列パターンとが重畳されるように、表示ユニットに設置されるものであり、3次元形状の2つの配線部の配線パターンを視点に垂直な平面に射影する時の射影配線パターンは、メッシュ状の規則的な配線パターン、又は規則的な配線パターンに対して不規則性が付与されたメッシュ状の不規則配線パターンを含み、規則的な配線パターンからなる合成配線パターンは、画素配列パターンを同一の平面に射影する時の射影画素配列パターンとの干渉によって生じるモアレの評価指標が評価閾値以下であり、モアレの評価指標は、視点において、合成配線パターンの透過率画像データの2次元フーリエスペクトルの複数の第1スペクトルピークの第1ピーク周波数及び第1ピーク強度と、複数色の光をそれぞれ点灯した時の各色の射影画素配列パターンの明度画像データの2次元フーリエスペクトルの複数の第2スペクトルピークの第2ピーク周波数及び第2ピーク強度とから各色毎に算出されるモアレの周波数及び強度において、表示ユニットの表示解像度に応じて規定される周波数閾値以下の各モアレの周波数におけるモアレの強度の内の第1強度閾値以上のモアレの強度にそれぞれ人間の視覚応答特性を観察距離に応じて作用させて得られた各色のモアレの評価値から算出したものであることを特徴とする。
上記目的を達成するために、本発明の第2の態様に係る導電性フィルムは、表示装置の表示ユニット上に設置される導電性フィルムであって、導電性フィルムは、3次元形状の透明基体と、透明基体の両側、若しくは片側に配置される3次元形状の2つの配線部と、を有し、2つの配線部の少なくとも一方の配線部は、複数の金属細線よりなる複数の開口部が配列されたメッシュ状の配線パターンを有し、表示ユニットは、互いに異なる少なくとも3色の複数色の光を射出する複数の副画素を含む画素の画素配列パターンで配列されてなり、導電性フィルムは、2つの配線部の配線パターンと表示ユニットの画素配列パターンとが重畳されるように、表示ユニットに設置されるものであり、3次元形状の2つの配線部の配線パターンを視点に垂直な平面に射影する時の射影配線パターンは、少なくとも、開口部が多角形であり、不規則性が付与されたメッシュ状の不規則配線パターンを含む合成配線パターンであり、合成配線パターンは、画素配列パターンを同一の平面に射影する時の射影画素配列パターンとの干渉によって生じるノイズの評価指標が評価閾値以下であり、ノイズの評価指標は、視点において、合成配線パターンの透過率画像データの2次元フーリエスペクトルの複数の第1スペクトルピークの第1ピーク周波数及び第1ピーク強度と、複数色の光をそれぞれ点灯した時の各色の射影画素配列パターンの明度画像データの2次元フーリエスペクトルの複数の第2スペクトルピークの第2ピーク周波数及び第2ピーク強度とから各色毎に算出されるノイズの周波数及び強度において、表示ユニットの表示解像度に応じて規定される周波数閾値以下の各ノイズの周波数におけるノイズの強度の内の第1強度閾値以上のノイズの強度にそれぞれ人間の視覚応答特性を観察距離に応じて作用させて得られた各色のノイズの評価値から算出したものであることを特徴とする。
上記目的を達成するために、本発明の第3の態様に係る表示装置は、互いに異なる複数色の光を射出する複数の副画素を備える画素が一方の方向及び一方の方向に垂直な方向に繰り返される画素配列パターンで配列されてなる表示ユニットと、この表示ユニットの上に設置される上記第1又は第2の態様の導電性フィルムと、を備えることを特徴とする。
また、上記目的を達成するために、本発明の第4の態様に係る導電性フィルムの配線パターンの評価方法は、表示装置の表示ユニット上に設置され、3次元形状の透明基体の両側、若しくは片側に配置される3次元形状の2つの配線部を有する導電性フィルムの評価方法であって、2つの配線部の少なくとも一方の配線部は、複数の金属細線よりなる複数の開口部が配列されたメッシュ状の配線パターンを有し、表示ユニットは、互いに異なる少なくとも3色の複数色の光を射出する複数の副画素を含む画素の画素配列パターンで配列されてなり、導電性フィルムは、2つの配線部の配線パターンと表示ユニットの画素配列パターンとが重畳されるように、表示ユニットに設置されるものであり、3次元形状の2つの配線部の配線パターンを視点に垂直な平面に射影して、射影配線パターンに含まれるメッシュ状の規則的な配線パターン、又は規則的な配線パターン及びこれに対して不規則性が付与されたメッシュ状の不規則配線パターンの透過率画像データを求め、規則的な配線パターンを重ね合わせた合成配線パターンの透過率画像データを取得し、かつ、表示ユニットの複数色の各色の画素配列パターンを同一の平面に射影して、各色の射影画素配列パターンの明度画像データを取得し、視点において、合成配線パターンの透過率画像データ及び射影画素配列パターンの明度画像データに対して2次元フーリエ変換を行い、合成配線パターンの透過率画像データの2次元フーリエスペクトルの複数の第1スペクトルピークの第1ピーク周波数及び第1ピーク強度と、各色毎に、複数色の各色の射影画素配列パターンの明度画像データの2次元フーリエスペクトルの複数の第2スペクトルピークの第2ピーク周波数及び第2ピーク強度とを算出し、算出された配線パターンの第1ピーク周波数及び第1ピーク強度と、複数色のそれぞれの副画素配列パターンの第2ピーク周波数及び第2ピーク強度とからそれぞれ複数色の各色のモアレの周波数及び強度を算出し、算出された各色のモアレの周波数及び強度の中から、表示ユニットの表示解像度に応じて規定される周波数閾値以下の周波数及び第1強度閾値以上の強度を持つモアレを選び出し、選び出されたそれぞれの各色のモアレの周波数におけるモアレの強度に人間の視覚応答特性を観察距離に応じて作用させてそれぞれ各色のモアレの評価値を得、得られた各色毎のモアレの評価値からモアレの評価指標を算出し、算出されたモアレの評価指標が所定値以下である合成配線パターンを構成する2つの配線部の少なくとも一方の配線部の射影前のメッシュ状の配線パターンを持つ導電性フィルムを評価することを特徴とする。
また、上記目的を達成するために、本発明の第5の態様に係る導電性フィルムの配線パターンの評価方法は、表示装置の表示ユニット上に設置され、3次元形状の透明基体の両側、若しくは片側に配置される3次元形状の2つの配線部を有する導電性フィルムの評価方法であって、2つの配線部の少なくとも一方の配線部は、複数の金属細線よりなる複数の開口部が配列されたメッシュ状の配線パターンを有し、表示ユニットは、互いに異なる少なくとも3色の複数色の光を射出する複数の副画素を含む画素の画素配列パターンで配列されてなり、導電性フィルムは、2つの配線部の配線パターンと表示ユニットの画素配列パターンとが重畳されるように、表示ユニットに設置されるものであり、3次元形状の2つの配線部の配線パターンを視点に垂直な平面に射影して、射影配線パターンに少なくとも含まれる、開口部が多角形であり、不規則性が付与されたメッシュ状の不規則配線パターンの透過率画像データを求め、不規則配線パターンを含む合成配線パターンの透過率画像データを取得し、かつ、表示ユニットの複数色の各色の画素配列パターンを同一の平面に射影して、各色の射影画素配列パターンの明度画像データを取得し、視点において、合成配線パターンの透過率画像データ及び射影画素配列パターンの明度画像データに対して2次元フーリエ変換を行い、合成配線パターンの透過率画像データの2次元フーリエスペクトルの複数の第1スペクトルピークの第1ピーク周波数及び第1ピーク強度と、各色毎に、複数色の各色の射影画素配列パターンの明度画像データの2次元フーリエスペクトルの複数の第2スペクトルピークの第2ピーク周波数及び第2ピーク強度とを算出し、算出された合成配線パターンの第1ピーク周波数及び第1ピーク強度と、複数色のそれぞれの射影副画素配列パターンの第2ピーク周波数及び第2ピーク強度とからそれぞれ複数色の各色のノイズの周波数及び強度を算出し、算出された各色のノイズの周波数及び強度の中から、表示ユニットの表示解像度に応じて規定される周波数閾値以下の周波数及び第1強度閾値以上の強度を持つノイズを選び出し、選び出されたそれぞれの各色のノイズの周波数におけるノイズの強度に人間の視覚応答特性を観察距離に応じて作用させてそれぞれ各色のノイズの評価値を得、得られた各色毎のノイズの評価値からノイズの評価指標を算出し、算出されたノイズの評価指標が所定値以下である合成配線パターンを構成する2つの配線部の少なくとも一方の配線部の射影前のメッシュ状の配線パターンを持つ導電性フィルムを評価することを特徴とする。
ここで、上記第1、第3又は第4の態様において、表示ユニットの表示面は、3次元形状を有し、画素配列パターンは、3次元形状を有することが好ましい。
また、射影配線パターンは、1つ又は2つの規則的な配線パターンからなり、規則的な配線パターンは、開口部の形状が菱形である規則的な菱形の配線パターンであり、評価閾値は、−3.17であることが好ましい。
また、射影配線パターンは、1つ又は2つの不規則な配線パターン、もしくは、不規則な配線パターン及び規則的な配線パターンからなり、規則的な配線パターンは、開口部の形状が菱形である規則的な菱形の配線パターンであり、不規則な配線パターンは、規則的な配線パターンの菱形の形状に対して不規則性閾値以下の不規則性を有することが好ましい。
また、評価閾値は、−2.80であり、不規則性閾値は、10%であり、不規則な配線パターンは、規則的な配線パターンの菱形のピッチに対して0%超10%以下の不規則性を付与したものであることが好ましい。
また、評価閾値は、−2.80であり、不規則性閾値は、3.0%であり、不規則な配線パターンは、規則的な配線パターンの菱形の角度に対して0%超3.0%以下の不規則性を付与したものであることが好ましい。
また、射影配線パターンは、1つ又は2つの不規則な配線パターン、もしくは、不規則な配線パターン及び規則的な配線パターンからなり、規則的な配線パターンは、開口部の形状が多角形である規則的な多角形の配線パターンであり、不規則な配線パターンは、規則的な配線パターンの多角形の辺を振幅閾値内の波線にすることによって不規則性を付与した波線化配線パターンであることが好ましい。
また、評価閾値は、−3.00であり、振幅閾値は、規則性のある多角形の配線パターンのピッチの2.0%以上20%以下であることが好ましい。
また、多角形は、菱形であることが好ましい。
また、2つの配線部の射影配線パターンは、2つの不規則配線パターンからなることが好ましい。
また、2つの配線部の射影配線パターンは、不規則配線パターン及び規則的な配線パターンからなることが好ましい。
また、2つの配線部の少なくとも一方の配線部は、電極部と非電極部とを備え、電極部及び非電極部の一方の配線パターンは、不規則配線パターンであり、かつ他方の配線パターンは、規則的な配線パターンであることが好ましい。
また、2つの配線部の一方の配線部の配線パターンは、不規則配線パターンであり、かつ他方の配線部の配線パターンは、酸化インジウムスズで構成され、2つの配線部の射影配線パターンは、1つの不規則配線パターンのみからなることが好ましい。
また、複数の第1スペクトルピークは、合成配線パターンの透過率画像データを、2次元フーリエ変換して得られた複数のスペクトルピークから選択された第1の閾値以上のピーク強度を有するものであり、複数色のそれぞれについて、複数の第2スペクトルピークは、射影画素配列パターンの明度画像データを、2次元フーリエ変換して得られた複数のスペクトルピークから選択された第2の閾値以上のピーク強度を有するものであることが好ましい。
また、各色に対応するモアレの周波数は、第1ピーク周波数と各色に対応する第2ピーク周波数との差として与えられ、各色に対応するモアレの強度は、第1ピーク強度と各色に対応する第2ピーク強度との積として与えられることが好ましい。
また、モアレの評価値は、モアレの周波数及び強度に、視覚応答特性として観察距離に応じた視覚伝達関数を畳み込み積分で重み付けを行うことによって求められることが好ましい。
また、視覚伝達関数VTFは、下記式(1)で与えられることが好ましい。
VTF=5.05e−0.138k(1−e0.1k) …(1)
k=πdu/180
ここで、kは、立体角で定義される空間周波数(cycle/deg)であり、上記式(1)で表され、uは、長さで定義される空間周波数(cycle/mm)であり、dは、観察距離(mm)で定義される。
また、モアレの評価指標は、各色について、1つのモアレの周波数に対して、観察距離に応じて重み付けされた複数のモアレの評価値の中の最も大きい評価値を用いて算出されることが好ましい。
また、モアレの評価指標は、各色毎に、1つのモアレの周波数に対して選択された最も大きい評価値を全てのモアレの周波数について合算した複数の色の合算値の中で最も大きい合算値であることが好ましい。
また、第1の強度閾値は、常用対数で−4.5であり、周波数閾値は、表示ユニットの解像度で得られる空間周波数であり、視覚応答特性を作用させるために選択されるモアレは、モアレの強度が−3.8以上の強度を持モアレであることが好ましい。
また、表示ユニットの解像度で得られる空間周波数は、表示ユニットの表示画素ピッチをPdμmとする時、1000/Pd cycle/mmで与えられるモアレの最高周波数であることが好ましい。
また、上記第2、第3又は第5の態様において、表示ユニットは、3次元形状を有し、画素配列パターンは、3次元形状を有することが好ましい。
また、評価閾値は、−2.80であることが好ましい。
また、2つの配線部の射影配線パターンは、2つの不規則配線パターンからなることが好ましい。
また、2つの配線部の射影配線パターンは、不規則配線パターン及び開口部の形状が多角形である規則的な多角形の配線パターンからなることが好ましい。
また、2つの配線部の少なくとも一方の配線部は、電極部と非電極部とを備え、電極部及び非電極部の一方の配線パターンは、不規則配線パターンであり、かつ他方の配線パターンは、開口部の形状が多角形である規則的な配線パターンであることが好ましい。
また、2つの配線部の一方の配線部の配線パターンは、不規則配線パターンであり、かつ他方の配線部の配線パターンは、酸化インジウムスズで構成され、2つの配線部の射影配線パターンは、1つの不規則配線パターンのみからなることが好ましい。
また、複数の第1スペクトルピークは、合成配線パターンの透過率画像データを、2次元フーリエ変換して得られた複数のスペクトルピークから選択された第1の閾値以上のピーク強度を有するものであり、複数色のそれぞれについて、複数の第2スペクトルピークは、射影画素配列パターンの明度画像データを、2次元フーリエ変換して得られた複数のスペクトルピークから選択された第2の閾値以上のピーク強度を有するものであることが好ましい。
また、各色に対応するノイズの周波数及び強度は、第1ピーク周波数及び第1ピーク強度と、各色に対応する第2ピーク周波数及び第2ピーク強度との畳み込み演算によって求められることが好ましい。
また、各色に対応するノイズの周波数は、第1ピーク周波数と各色に対応する第2ピーク周波数との差として与えられ、各色に対応するノイズの強度は、第1ピーク強度と各色に対応する第2ピーク強度との積として与えられることが好ましい。
また、ノイズの評価値は、ノイズの周波数及び強度に、視覚応答特性として観察距離に応じた視覚伝達関数を畳み込み積分で重み付けを行うことによって求められることが好ましい。
また、視覚伝達関数VTFは、上記式(1)で与えられることが好ましい。
また、ノイズの評価指標は、各色について、1つのノイズの周波数に対して、観察距離に応じて重み付けされた複数のノイズの評価値の中の最も大きい評価値を用いて算出されることが好ましい。
また、ノイズの評価指標は、各色毎に、1つのノイズの周波数に対して選択された最も大きい評価値を全てのノイズの周波数について合算した複数の色の合算値の中で最も大きい合算値であることが好ましい。
また、第1の強度閾値は、常用対数で−4.5であることが好ましい。また、周波数閾値は、表示ユニットの解像度で得られる空間周波数、即ち、1画素ピッチの逆数に対応する空間周波数であるのが良い。
また、表示ユニットの解像度で得られる空間周波数は、表示ユニットの表示画素ピッチをPdμmとする時、1000/Pd cycle/mmで与えられるノイズの最高周波数であることが好ましい。
また、上記第1、第2、第3、第4又は第5の態様において、各色の射影画素配列パターンの明度画像データは、複数色の光をそれぞれ単独で点灯した時に表示ユニットの表示画面に表示された各色の画素配列パターンの画像を撮像して得られた当該色の撮像画像データを明度値に変換することによって得られた明度画像データを規格化した規格化明度データを画素配列パターンから射影画素配列パターンに変換したものであることが好ましい。
また、表示ユニットの表示画面に表示された各色の画素配列パターンの画像は、複数色の光を各色毎に設定可能な最大強度で単独で点灯した時に表示ユニットに表示されたものであることが好ましい。
また、複数色が、赤、緑及び青の3色である時、赤、緑及び青の各色の画素配列パターンの画像の撮像画像データは、マクベスチャートの白にホワイトバランス調整して撮像された画像データであることが好ましい。
また、複数色の各色の射影画素配列パターンの画像の明度画像データは、表示ユニットにおいて複数色の各色の光を単独で点灯した時に、表示ユニットの表示画面に表示された当該色の画素配列パターンの画像をマイクロスコープで撮像した撮像画像データから作成したマスク画像に対して、計測された明度値を表示ユニットの解像度とマスク画像の値を持つ面積との積で規格化した明度データを与えることにより得られたものを画素配列パターンから射影画素配列パターンに変換したものであり、明度画像データは、基準となる表示装置の表示ユニットの明度が1.0となるように規格化されたものであることが好ましい。
また、複数色が、赤、緑及び青の3色である時、計測された明度値は、赤、緑及び青の各色を単独で表示させてスペクトロメータで計測して取得された、赤、緑及び青の各色の分光スペクトルデータから求められた明度値であり、マスク画像は、マイクロスコープで撮像された撮像画像データを2値化した画像であることが好ましい。
また、2つの配線部は、透明基体の両側の面にそれぞれ形成されることが好ましい。
また、透明基体を第1の透明基体とする時、さらに、第1の透明基体と異なる第2の透明基体を有し、2つの配線部の一方の配線部は、第1の透明基体の一方の面に形成され、2つの配線部の他方の配線部は、第1の透明基体の他方の面側であって、第2の透明基体の一方の面に形成されることが好ましい。
また、2つの配線部は、透明基体の片側に絶縁層を介してそれぞれ形成されることが好ましい。
また、評価値は、正面観察及び斜め観察の少なくとも2視点において、複数色の各色毎に得られるものであり、評価指標は、得られた少なくとも2視点における各色の評価値の中で最も大きな評価値であることが好ましい。
また、画素配列パターンは、ブラックマトリックスパターンであることが好ましい。
以上説明したように、本発明によれば、3次元形状の導電性フィルムを表示装置の平面形状又は3次元形状の表示面に重ねて配置して用いる際に、モアレやノイズ(粒状感)を抑止でき、モアレやノイズ(粒状性)の視認性を大幅に向上させることができる。
即ち、本発明の好ましい形態によれば、3次元形状の導電性フィルムの3次元形状の配線パターンを視点に垂直な平面に射影した状態の射影配線パターン及び表示装置の射影画素配列パターンの周波数解析により得られる、複数色の各色毎のモアレ又はノイズの周波数/強度から各色毎のモアレ又はノイズの評価値を算出し、算出された各色毎のモアレ又はノイズの評価値から算出したモアレ又はノイズの評価指標を視認性に優れるように数値限定しているので、モアレ又はノイズの発生による画質障害を無くし、優れた視認性を得ることができる。
本発明の導電性フィルムを組み込んだ本発明の一実施形態に係る表示装置の一実施例の概略断面図である。 図1に示す表示装置の表示ユニットの一部の画素配列パターンの一例を表す概略説明図である。 図1に示す表示装置に組み込まれる本発明の第1の実施形態に係る導電性フィルムの一例を模式的に示す部分断面図である。 (A)及び(B)は、それぞれ、図3に示す3次元形状の導電性フィルムの配線部の3次元形状の配線パターン及びこの3次元形状の配線パターンを所定視点に垂直な平面に射影した平面形状の射影配線パターンの一例を模式的に示す平面図である。 (A)及び(B)は、図4(A)に示す3次元形状の配線パターンから図4(B)に示す平面形状の射影配線パターンへの射影を説明するための説明図であり、それぞれ、図1に示す3次元形状の導電性フィルムと平面形状の表示ユニットとを有する表示装置、及びこの表示装置を所定視点に垂直な平面に射影した共に平面形状の射影導電性フィルムと射影表示ユニットとを有する射影表示装置を示す概略断面図である。 (A)及び(B)は、それぞれ、図5(A)に示す平面形状の表示ユニットの画素配列パターン及び図5(B)に示す平面形状の射影表示ユニットの射影画素配列パターンの一例を模式的に示す平面図であり、(C)は、図(A)に示す画素配列パターンの部分拡大図であり、1つの副画素のみを示す。 (A)、(C)、(E)及び(B)、(D)、(F)は、それぞれ、図3に示す3次元形状の導電性フィルムの配線部の3次元形状の配線パターン及びこの3次元形状の配線パターンを所定に視点に垂直な平面に射影した平面形状の射影配線パターンの他の一例を模式的に示す平面図である。 (A)及び(B)は、それぞれ、共に3次元形状の導電性フィルムと表示ユニットとを有する本発明の他の実施形態の表示装置、及びこの表示装置を所定視点に垂直な平面に射影した共に平面形状の射影導電性フィルムと射影表示ユニットとを有する射影表示装置を示す概略断面図である。 (A)及び(B)は、それぞれ、図8(A)に示す平面形状の表示ユニットの画素配列パターン及び図8(B)に示す平面形状の射影表示ユニットの射影画素配列パターンの他の一例を模式的に示す平面図であり、(C)は、図9(A)に示す画素配列パターンの部分拡大図であり、1つの副画素のみを示す。 (A)及び(B)は、それぞれ、共に3次元形状の導電性フィルムと表示ユニットとを有する本発明の他の実施形態の表示装置、及びこの表示装置を所定視点に垂直な平面に射影した共に平面形状の射影導電性フィルムと射影表示ユニットとを有する射影表示装置を示す概略断面図である。 (A)及び(B)は、それぞれ、図10(A)に示す平面形状の表示ユニットの画素配列パターン及び図10(B)に示す平面形状の射影表示ユニットの射影画素配列パターンの他の一例を模式的に示す平面図であり、(C)は、図11(A)に示す画素配列パターンの部分拡大図であり、1つの副画素のみを示す。 本発明の第2の実施形態に係る導電性フィルムの一例の模式的部分断面図である。 本発明の第3の実施形態に係る導電性フィルムの一例の模式的部分断面図である。 図3に示す導電性フィルムの配線部の規則性のある菱形の定型配線パターンを模式的に示す平面図である。 図14に示す定型配線パターンに対して不規則性が付与された配線パターンの一例を模式的に示す平面図である。 図14に示す定型配線パターンに対して不規則性が付与された配線パターンの他の一例を模式的に示す平面図である。 図3に示す導電性フィルムの配線部の金属細線を波線化した波線化配線パターンの一例を模式的に示す平面図である。 図3に示す導電性フィルムの配線部の波線化配線パターンを構成する金属細線の波線を説明するための説明図である。 図3に示す導電性フィルムの上側及び下側の配線部の配線パターンの重なりによる合成配線パターンの一例を模式的に示す平面図である。 図3に示す導電性フィルムの上側及び下側の配線部の配線パターンの重なりによる合成配線パターンの一例を模式的に示す平面図である。 本発明の他の実施形態に係る導電性フィルムの上側及び下側の配線部の配線パターンの重なりによる合成配線パターンの一例を模式的に示す平面図である。 本発明の他の実施形態に係る導電性フィルムの上側及び下側の配線部の配線パターンの重なりによる合成配線パターンの一例を模式的に示す平面図である。 本発明の他の実施形態に係る導電性フィルムの上側及び下側の配線部の配線パターンの重なりによる合成配線パターンの一例を模式的に示す平面図である。 本発明の他の実施形態に係る導電性フィルムの上側及び下側の配線部の配線パターンの重なりによる合成配線パターンの一例を模式的に示す平面図である。 本発明の他の実施形態に係る導電性フィルムの上側及び下側の配線部の配線パターンの重なりによる合成配線パターンの一例を模式的に示す平面図である。 本発明の他の実施形態に係る導電性フィルムの上側の配線部の配線パターンの一例を模式的に示す平面図である。 図3に示す導電性フィルムの配線部の、ボロノイ多角形からなるランダムなメッシュ状配線パターンの一例を模式的に示す平面図である。 図27に示すランダムメッシュパターンを形成するボロノイ多角形を生成させるために、1つの平面領域内に任意の間隔で発生させたシード点(ドット)を示すドット切り出し画像の一例の概略説明図である。 図3に示す導電性フィルムの上側及び下側の配線部の配線パターンの重なりによる合成配線パターンの一例を模式的に示す平面図である。 本発明の他の実施形態に係る導電性フィルムの上側及び下側の配線部の配線パターンの重なりによる合成配線パターンの一例を模式的に示す平面図である。 (A)は、図14に示すメッシュ配線パターン(メッシュパターン)の構造の一例を示す模式図であり、(B)は、図2に示す表示ユニットの画素配列パターンの構造の一例を示す模式図であり、(C)は、本発明におけるメッシュ配線パターンの透過率(T)のグラフの一例であり、(D)は、表示ユニットの代表副画素の強度(I)のグラフの一例であり、(E)及び(F)は、それぞれ従来技術におけるメッシュ配線パターン及び表示ユニットの代表副画素の透過率(T)のグラフの一例である。 (A)及び(B)は、それぞれ本発明に係る導電性フィルムが適用される表示ユニットの一部の画素配列パターンの一例を表す概略説明図であり、(B)は、(A)の画素配列パターンの部分拡大図である。 (A)〜(C)は、それぞれ本発明に適用される3つの副画素の形及び周期の少なくとも1つが異なる画素配列パターンの構成単位の一例を示す概略説明図である。 (A)及び(B)は、それぞれ図2に示す表示ユニットの画素配列パターンの画素中の3つの副画素の強度のばらつきの一例を模式的に示す説明図である。 (A1)〜(H2)は、それぞれ解像度、形状及び強度が異なる表示ユニットの画素配列パターンの代表副画素の2×2画素の繰り返し単位の一例を示す模式図である。 本発明に係る導電性フィルムの配線評価方法の一例を示すフローチャートである。 本発明の導電性フィルムの評価方法のディスプレイBMデータの作成方法の詳細の一例を示すフローチャートである。 本発明に係る導電性フィルムが適用される表示ユニットのG副画素の撮像画像の一例を示す模式図、G副画素の分光スペクトルの一例を示すグラフ、及び2×2画素のインプットデータの一例を示す模式図である。 本発明に適用されるXYZ等色関数の一例を示すグラフである。 (A)及び(B)は、それぞれ図35(A1)に示す画素配列パターン及び図14に示す配線パターンの各透過率画像データの2次元フーリエスペクトルの強度特性を示す図である。 図35(A1)に示す表示ユニットの画素配列パターンの周波数ピーク位置を示すグラフである。 (A)は、入力パターン画像の周波数ピーク位置を説明するグラフであり、(B)は、周波数ピーク位置のピーク強度の算出を説明するグラフである。 (A)及び(B)は、それぞれ2次元フーリエスペクトルの強度特性の一例を曲線で表すグラフ及び棒で表す棒グラフである。 図35(A1)に示す画素配列パターンと図14に示す配線パターンとの干渉によって発生するモアレ周波数及びモアレの強度を模式的に表わす概略説明図である。 本発明に係る導電性フィルムの配線評価方法の一例を示すフローチャートである。 (A)及び(B)は、それぞれ図35(A1)に示す画素配列パターン及び図27に示すランダムメッシュパターンの各透過率画像データの2次元フーリエスペクトルの強度特性を示す図である。 (A)及び(B)は、それぞれ平面状態で最適化された導電性フィルムの平面状態の平面配線パターン及び使用状態の3次元形状に射影した射影配線パターンを模式的に示す平面模式図である。 図47(B)に示す使用状態の3次元形状の射影配線パターンを持つ導電性フィルムで視認されるモアレの模式図である。
以下に、本発明に係る導電性フィルム、これを備える表示装置及び導電性フィルムの評価方法を添付の図面に示す好適な実施形態を参照して詳細に説明する。
本発明の導電性フィルムは、3次元形状を有し、表示装置の平面形状、又は3次元形状の表示ユニット上に設置されるものである。
以下では、本発明に係る導電性フィルムについて、3次元形状のタッチパネル用の導電性フィルムを代表例として説明する。本発明は、これに限定されず、3次元形状の透明基体の両側に配置される、もしくは片側に絶縁層を介して配置される3次元形状の配線パターンの内、少なくとも一方が所定形状のセル(開口部)からなる配線パターンを持つ配線部を有するものであり、表示装置の様々な発光強度の表示ユニット上に設置される導電性フィルムであれば、どのようなものでも良い。例えば、電磁波シールド用の導電性フィルム等であっても良いのはもちろんである。
なお、本発明に係る導電性フィルムが重畳される表示装置の表示ユニットとしては、特に制限的ではないが、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、プラズマディスプレイ(PDP:Plasma Display Panel)、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)(OEL:Organic Electro-Luminescence)を利用した有機EL(発光)ダイオード(OLED:Organic Light Emitting Diode)や有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro-Luminescence Display)、無機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、電子ペーパ等を挙げることができる。
本発明に係る導電性フィルムの説明に先立ち、本発明の導電性フィルムを備える表示装置について説明する。
図1は、本発明の3次元形状の導電性フィルムを組み込んだ本発明の第1の実施形態に係る表示装置の概略断面図である。なお、本発明の導電性フィルムを組み込んだ投影型静電容量方式のタッチパネルを代表例に挙げて説明するが、本発明はこれに限定されないことは言うまでもない。
図1に示すように、表示装置40は、カラー画像及び/又はモノクロ画像を表示可能な平面形状の表示ユニット30と、本発明の第1の実施形態に係る導電性フィルム10からなり、入力面42(矢印Z1方向側)からの接触位置を検出するタッチパネル44と、表示ユニット30及びタッチパネル44を収容する筐体46とを有する。筐体46の一面(矢印Z1方向側)に設けられた大きな開口部を介して、ユーザは、タッチパネル44にアクセス可能である。
タッチパネル44は、導電性フィルム10と、導電性フィルム10の一面(矢印Z1方向側)に積層されたカバー部材48と、ケーブル50を介して導電性フィルム10に電気的に接続されたフレキシブル基板52と、フレキシブル基板52上に配置された検出制御部54とを備える。
表示ユニット30の一面(矢印Z1方向側)には、接着層56を介して、導電性フィルム10が接着されている。導電性フィルム10は、一方の主面側(第1配線部16a側:図3参照)を観察側に向け、他方の主面側(第2配線部16b側:図3参照)を表示ユニット30に対向させて、表示画面上に配置されている。
カバー部材48は、導電性フィルム10の一面を被覆することで、入力面42としての機能を発揮する。また、接触体58(例えば、指やスタイラスペン)による直接的な接触を防止することで、擦り傷の発生や、塵埃の付着等を抑止可能であり、導電性フィルム10の導電性を安定させることができる。
カバー部材48の材質は、例えば、ガラス、樹脂フィルムであってもよい。カバー部材48の一面(矢印Z2方向側)を酸化珪素等でコートした状態で、導電性フィルム10の一面(矢印Z1方向側)に密着させてもよい。また、擦れ等による損傷を防止するため、導電性フィルム10及びカバー部材48を貼り合わせて構成してもよい。
フレキシブル基板52は、可撓性を備える電子基板である。本図示例では、筐体46の側面内壁に固定されているが、配設位置は種々変更してもよい。検出制御部54は、導体である接触体58を入力面42に接触する(又は近づける)際、接触体58と導電性フィルム10との間での静電容量の変化を捉えて、その接触位置(又は近接位置)を検出する電子回路を構成する。
図2は、図1に示す表示装置の表示ユニットの一部の画素配列パターンの一例を表す概略説明のための平面図である。
図2にその一部を示すように、表示ユニット30には、複数の画素32がマトリクス状に配列されて所定の画素配列パターン38が構成されている。1つの画素32は、3つの副画素(赤色副画素32r、緑色副画素32g及び青色副画素32b)が水平方向に配列されて構成されている。1つの副画素は垂直方向に縦長とされた長方形状とされている。画素32の水平方向の配列ピッチ(水平画素ピッチPh)と画素32の垂直方向の配列ピッチ(垂直画素ピッチPv)は略同じとされている。つまり、1つの画素32とこの1つの画素32を囲むブラックマトリクス(BM)34(パターン材)にて構成される形状(網掛けにて示す画素領域36を参照)は正方形となっている。また、1つの画素32のアスペクト比は1ではなく、水平方向(横)の長さ>垂直方向(縦)の長さとなっている。
図2から明らかなように、複数の画素32の各々の副画素32r、32g及び32bによって構成される画素配列パターンは、これらの副画素32r、32g及び32bをそれぞれ囲むBM34のBMパターン38によって規定され、表示ユニット30と導電性フィルム10とを重畳した時に発生するモアレやノイズは、表示ユニット30のBM34のBMパターン38と導電性フィルム10の配線パターン24との干渉によって発生するので、厳密には、BMパターン38は、画素配列パターンの反転パターンであるが、ここでは、同様のパターンを表すものとして扱う。
上記したBM34によって構成されるBMパターン38を有する表示ユニット30の表示パネル上に、例えば、導電性フィルム10を配置する場合、導電性フィルム10の配線パターン24(配線パターン24aと24bの合成配線パターン)は、視点aに垂直な平面に射影された平面形状の射影配線パターン23の状態において、BM(画素配列)パターン38に対してモアレやノイズの視認性の点で最適化されているので、画素32の配列周期と、導電性フィルム10の金属細線14の配線配列との間における空間周波数の干渉が弱まり、モアレやノイズの発生が抑制され、モアレやノイズの視認性に優れたものとなる。ここで、本発明では、モアレ/ノイズの視認性とは、モアレ/ノイズが視認できない程度をいう。
なお、図2に示す表示ユニット30は、液晶パネル、プラズマパネル、有機ELパネル、無機ELパネル等の表示パネルで構成されても良く、その発光強度は、解像度に応じて異なるものであって良い。
詳細は後述するが、本発明の導電性フィルム10が重畳される表示装置40の表示ユニット(以下、ディスプレイともいう)30は、互いに異なる少なくとも3色、例えば、赤、緑及び青の3色を含む複数色の光を射出する複数の副画素を含む画素の画素配列パターン(以下、BMパターンともいう)38で配列されてなり、その発光強度(輝度)のよる各副画素(カラーフィルタ)32r、32g、32bの輝度(明度)を、導電性フィルム10の重畳によるモアレ/ノイズの視認性の評価において考慮できるものであれば、特に制限的ではない。上記表示ユニット30は、例えば、従来のように、副画素(カラーフィルタ)の繰り返し周期及び強度(形状、サイズ)、即ち副画素配列パターン(副画素の形状及びサイズ、周期)がRGB等の複数色において全て同じであり、G副画素32gで代表させることができるBMパターンを持つ表示ユニットであっても良い。また、上記表示ユニット30は、前述したOELDのように、複数色において全て同じでない、即ち、少なくとも2つの色について異なる副画素配列パターンを含むBMパターンを持つディスプレイであっても良い。
また、本発明の対象となる表示装置のディスプレイは、高解像度スマートフォンやタブレット端末等のように、発光強度の高いディスプレイであっても良いし、低解像度のデスクトップパソコンやテレビ(TV)等のように、発光強度の低いディスプレイであっても良いし、中解像度ノートブック等のように、発光強度の中程度のディスプレイであっても良い。
本発明の表示装置は、基本的に以上のように構成される。
図3は、図1に示す本発明の第1実施形態に係る導電性フィルムの平面部分断面の一例を示す模式的部分断面図である。図4(A)及び(B)は、それぞれ、図3に示す3次元形状の導電性フィルムの配線部の3次元形状の配線パターン及びこの3次元形状の配線パターンを所定視点に垂直な平面に射影した平面形状の射影配線パターンの一例を模式的に示す平面図である。図5(A)及び(B)は、図4(A)に示す3次元形状の配線パターンから図4(B)に示す平面形状の射影配線パターンへの射影を説明するための説明図であり、それぞれ、図1に示す3次元形状の導電性フィルムと平面形状の表示ユニットとを有する表示装置、及びこの表示装置を所定視点に垂直な平面に射影した共に平面形状の射影導電性フィルムと射影表示ユニットとを有する射影表示装置を示す概略断面図である。図6(A)及び(B)は、それぞれ、図5(A)に示す平面形状の表示ユニットの画素配列パターン及び図5(B)に示す平面形状の射影表示ユニットの射影画素配列パターンの一例を模式的に示す平面図であり、(C)は、図5(A)に示す画素配列パターンの部分拡大図であり、1つの副画素のみを示す。図7(A),(C),(E)及び(B),(D),(F)は、それぞれ、図3に示す3次元形状の導電性フィルムの配線部の3次元形状の配線パターン及び平面形状の射影配線パターンの一例を模式的に示す平面図である。
これらの図に示すように、本実施形態の導電性フィルム10は、表示装置の表示ユニット上に設置されるものである。導電性フィルム10は、表示ユニットのブラックマトリックス(BM:Black Matrix)に対してモアレ/ノイズの発生の抑止の点で優れた配線パターン、特に、BMパターンに重畳した際にBMパターンに対して視認性、例えば、モアレ/ノイズの視認性の点で最適化された配線パターンを持つ導電性フィルムである。導電性フィルム10は、透明基体12と、透明基体12の一方の面(図3中上側の面)に形成され、複数の金属製の細線(以下、金属細線という)14からなり、第1電極部となる第1配線部16aと、第1配線部16aの略全面に、金属細線14を被覆するように、第1接着層18aを介して接着された第1保護層20aと、透明基体12の他方の面(図3中下側の面)に形成され、複数の金属製の細線14からなり、第2電極部となる第2配線部(電極)16bと、第2配線部16bの略全面に第2接着層18bを介して接着された第2保護層20bと、を有する。
なお、以下では、第1配線部16a及び第2配線部16bを総称する際には単に配線部16といい、第1接着層18a及び第2接着層18bを総称する際には単に接着層18といい、第1保護層20a及び第2保護層20bを総称する際には単に保護層20という。
透明基体12は、絶縁性を有し、かつ透光性が高い材料からなり、例えば、樹脂、ガラス、シリコン等の材料を挙げることができる。樹脂としては、例えば、PET(Polyethylene Terephthalate)、PMMA(Polymethyl methacrylate)、PP(polypropylene)、PS(polystyrene)等が挙げられる。
金属細線14は、導電性の高い金属製の細線であれば特に制限的ではなく、例えば、金(Au)、銀(Ag)又は銅(Cu)の線材等からなるものを挙げることができる。金属細線14の線幅は、視認性の点からは細い方が好ましいが、例えば、30μm以下であれば良い。なお、タッチパネル用途では、金属細線14の線幅は0.1μm以上15μm以下が好ましく、1μm以上9μm以下がより好ましく、2μm以上7μm以下がさらに好ましい。
配線部16(16a,16b)は、メッシュ状に配列したメッシュ配線21(21a,21b)によって形成される配線パターン24(24a,24b)を持つ複数の金属細線14を有する。配線パターン24(24a,24b)は、詳細には、図4(A)及び(B)に示すように、複数の金属細線14同士を互いに交差させて形成された所定の形状の開口部(セル)22(22a,22b)が配列されたメッシュパターンである。
配線部16(16a及び16b)は、図4(A)及び(B)、並びに図7(A),(C),(E)及び(B),(D),(F)に示すように、金属細線14と、隣接する金属細線14間の開口部(セル)22(22a及び22b)とによるメッシュ形状の配線パターン24(24a及び24b)とを有する配線層28(28a及び28b)からなる。図4に示す例では、配線パターン24a及び24bは、図4(B)に示すように、所定の視点(a:図5(B)参照)に垂直な平面に射影した時の射影パターン23が菱形形状の開口部22を持つ規則的なパターン23となる、図4(A)に示す配線パターン27である。
上述したように、第1保護層20aは、第1配線部16aの金属細線14を被覆するように、第1接着層18aによって第1配線部16aからなる配線層28aの略全面に接着されている。また、第2保護層20bは、第2配線部16bの金属細線14を被覆するように、第2接着層18bによって第2配線部16bからなる配線層28bの略全面に接着されている。
ここで、接着層18(第1接着層18a及び第2接着層18b)の材料としては、ウェットラミネート接着剤、ドライラミネート接着剤、又はホットメルト接着剤等が挙げられるが、第1接着層18aの材質と第2接着層18bの材質とは、同一であってもよいし、異なってもよい。
また、保護層20(第1保護層20a及び第2保護層20b)は、透明基体12と同様に、樹脂、ガラス、シリコンを含む透光性が高い材料からなるが、第1保護層20aの材質と第2保護層20bの材質とは、同一であってもよいし、異なってもよい。
第1保護層20aの屈折率n1及び第2保護層20bの屈折率n2は、いずれも、透明基体12の屈折率n0に等しいか、これに近い値であるのが好ましい。この場合、第1保護層20aに対する透明基体12の相対屈折率nr1及び第2保護層20bに対する透明基体12の相対屈折率nr2は、共に1に近い値となる。
ここで、本明細書における屈折率は、波長589.3nm(ナトリウムのD線)の光における屈折率を意味し、例えば樹脂では、国際標準規格であるISO 14782:1999(JIS K 7105に対応)で定義される。また、第1保護層20aに対する透明基体12の相対屈折率nr1は、nr1=(n1/n0)で定義され、第保護層20bに対する透明基体12の相対屈折率nr2は、nr2=(n2/n0)で定義される。
ここで、相対屈折率nr1及び相対屈折率nr2は、0.86以上1.15以下の範囲にあればよく、より好ましくは、0.91以上1.08以下である。
なお、相対屈折率nr1及び相対屈折率nr2の範囲をこの範囲に限定して、透明基体12と保護層20(20a、20b)との部材間の光の透過率を制御することにより、モアレ/ノイズの視認性をより向上させ、改善することができる。
ここで、導電性フィルム10は、図1及び図5(A)に示すように、表示装置40の表示ユニット30上に所定の凸型の3次元形状で設置されて使用されるものである。導電性フィルム10は、図5(A)に示すように、表示ユニット30上に所定の3次元形状で設置された状態では、平面視で図4(A)に示す3次元形状の配線パターン27(24)を有している。しかし、図5(A)に示すように、導電性フィルム10が表示ユニット30上に所定の3次元形状で設置された状態の表示装置40を、矢印aで示す1つの視点に垂直な平面に射影すると、図5(B)に示すように、導電性フィルム10が表示ユニット30上に射影導電性フィルム10aとして平面形状で設置された状態の射影表示装置40aとなる。その結果、平面視で図4(A)に示す3次元形状の配線パターン27は、平面形状の射影導電性フィルム10aでは、図4(B)に示すように、平面形状の射影配線パターン23としてみることができる。
なお、表示装置40において、表示ユニット30は、平面形状を有するので、表示装置40の平面形状の表示ユニット30から、射影表示装置40aの平面形状の表示ユニット30への射影は、恒等射影(写像)となり変化しない。したがって、図6(A)に示す射影前の表示ユニット30のBMパターン38と、図6(B)に示す射影後の表示ユニット30のBMパターン38とは、同じであり、変化していない。なお、BMパターン38は、図6(C)に示すような副画素、例えば、G副画素32gが配列されたパターンである。図6(C)に示す4つの画素32のG副画素32gは、図6(A)に示す平面形状の表示ユニット30のBMパターン38の中央部分の4画素の副画素であり、BMパターン38の画素配列の単位とすることができる。ここでは、G副画素32gのみが示されているが、図示されていないR副画素、及びB副画素も配列されているのは勿論である。
ここで、本発明においては、平面形状の射影表示装置40aの平面形状の射影導電性フィルム10aの配線部16a及び16bの一方または両方の平面形状の規則的な射影配線パターン23の合成配線パターンは、表示ユニット30のブラックマトリックス(BM:Black Matrix)34のパターン(BMパターン38)に対して、モアレの発生の抑止の点で優れた、即ち、モアレの評価指標が、モアレが視認されない所定閾値以下の合成配線パターンということができる。なお、詳細は後述するが、平面形状の射影定型配線パターンでは、その合成配線パターンは、−3.17以下の所定範囲に入る配線パターンということができる。即ち、平面形状の射影表示装置40aにおける平面形状の射影導電性フィルム10aは、平面形状のBMパターン38に重畳した際にBMパターン38に対してモアレの視認性の点で最適化された合成配線パターンとなる射影配線パターン23を持つ平面形状の導電性フィルムであるということができる。
図4(A)及び(B)からわかるように、1視点aから見た際に、図4(A)に示す3次元形状の配線パターン24は、図4(B)に示す平面形状の規則的な菱形形状の射影配線パターン23に対して不規則性があることは明らかである。その結果、図4(B)に示す平面形状の射影定型配線パターン23が合成配線パターンとした時にモアレの視認性の点で最適化されていれば、図4(A)に示す3次元形状の配線パターン24は、合成配線パターンとした時にモアレの視認性の点で更に適したものとなることは明らかである。
したがって、表示装置40における導電性フィルム10は、特に、BMパターン38に3次元形状のままで重畳された状態でもBMパターン38に対してモアレの視認性の点で最適化された合成配線パターンとなる3次元形状の配線パターン24を持つ3次元形状の導電性フィルムであるということができる。
このように、本発明の3次元形状の導電性フィルムは、平面形状に射影した時、3次元形状の配線パターンから射影された平面形状の射影定型配線パターン含む合成配線パターンが表示ユニットのBMパターンに対してモアレの視認性の点で最適化されているので、表示ユニット30上に3次元形状の導電性フィルムが設置された表示装置においても、モアレが視認されない、即ち、モアレの視認性の点で優れているといえる。
なお、導電性フィルム10は、図5(B)に矢印aで示す1つの視点に対して、予め表示ユニット30上に設置される3次元形状に仕上げられた配線パターン24を持つように3次元形状に成形されたものであっても良いし、使用前は、視点aに垂直な平面に射影された平面形状の射影配線パターン23を持つ平面形状であって、使用時に表示ユニット30上に設置するために、図5(B)に矢印aで示す1つの視点に対して、配線パターン24となるように、3次元形状に変形される可撓性を有するものであっても良い。なお、射影導電性フィルム10aのような平面形状の導電性フィルム10を使用時に3次元形状にして設置する場合には、導電性フィルム10の透明基体12は、可撓性を有する材料、例えば樹脂材料が好ましい。一方、予め3次元形状に成形しておく場合には、樹脂材料でも良いし、ガラス、シリコン等の材料であっても良い。
本発明の導電性フィルムは、3次元形状の導電性フィルム10の3次元形状の配線パターン24を1つの視点aに垂直な平面に射影された平面形状の射影配線パターン23を含む合成配線パターンが1視点aにおいてBMパターン38との干渉によって生じるモアレの評価指標が、モアレが視認されない所定閾値以下の範囲に入るものであるが、モアレの評価指標、モアレが視認されない所定閾値や所定閾値以下の範囲、及びモアレの視認性の最適化については、後述する。
ここでは、導電性フィルム10は、図5(A)に示すように、表示ユニット30の表示面の対応する両側縁辺部において、それぞれ所定の曲率で湾曲する湾曲部13aと、両側の湾曲部13aの間に表示ユニット30の表示面に平行な平面部13bとを有する3次元形状を成すものとするが、導電性フィルム10の3次元形状は、これに限定されず、表示ユニット30の表示面の形状に対応した形状であれば、どのような3次元形状であっても良い。なお、図3に示す例では、紙面に垂直な方向の3次元形状については示されていないが、紙面に垂直な方向に対応する両側縁辺部にも湾曲部13aを備えていても良いし、逆に、紙面に垂直な方向には、同様の断面形状としても良い。この場合、表示ユニット30の表示面は、矩形であるのが好ましいが、特に制限的ではなく、楕円形や円形でも良いし、その他の形状であっても良い。
また、ここでは、その上に3次元形状の導電性フィルム10が設置された表示ユニット30の表示面を観察する1つの視点は、図5(A)及び(B)に示すように、表示ユニット30の表示面、又は表示面に平行な導電性フィルム10の平面部13bから、好ましくはその中心から、表示面又は平面部13bに垂直に外側に伸びる直線上の点から、即ち、正面から表示面を観察する矢印aで示す視点aとして説明するが、本発明は、これに限定されず、視点aとは異なる視点から観察するものであっても良い。例えば、同じ3次元形状を持つ導電性フィルム10の湾曲部13aを正面として観察する視点であっても良い。
本発明においては、隣接する金属細線14間の開口部22によるメッシュ形状をなす3次元形状の配線パターン24は、例えば、平面視では図4(A)に示す3次元形状の配線パターン27であるが、視点aに垂直な平面に射影されて、図4(B)に示すような平面形状の射影配線パターン23となる。この平面形状の射影配線パターン23を含む合成配線パターンがBMパターン38との干渉によって生じるモアレの評価指標が、モアレが視認されない又は視認され難い所定閾値以下の範囲に入ることにより、3次元形状の配線パターン24も、BMパターン38との干渉によってモアレが視認されない又は視認され難いものとなる。
したがって、以下での導電性フィルムの配線パターン及び表示ユニットのBMパターンの説明では、3次元形状の構造等を説明する場合は、導電性フィルム及び配線パターンを3次元形状として説明するが、モアレの評価指標等を説明する場合には、導電性フィルムを平面形状の射影導電性フィルムとして、配線パターンを平面形状の射影配線パターンとして説明する。
射影導電性フィルム10aの配線部16は、詳細には、複数の金属細線14をメッシュ状に配列した平面形状の射影配線パターン23(図4(B)参照)を有する。この射影配線パターン23においては、開口部22のメッシュ形状は菱形であるが、本発明はこれに限定されず、後述する所定のBMパターン38に対してモアレの視認性が最適化された射影配線パターン23を構成できれば、少なくとも3辺を有する多角形状であれば如何なるものでも良く、また、同一メッシュ形状であっても、異なるメッシュ形状であっても良く、例えば、正三角形、二等辺三角形等の三角形や、正方形、平行四辺形、長方形等の四角形や、五角形や、六角形(正六角形を含む)等の、同一又は異なる多角形等を挙げることができる。即ち、所定のBMパターン38に対してモアレの視認性が最適化された射影配線パターンであれば、規則性のある開口部22の配列によって構成される射影配線パターンでも、異なる形状の開口部22の配列によってランダム化された射影配線パターンでも良い。
また、射影配線パターン23(配線パターン24)には、後述するように、断線(ブレーク)が入っていてもよい。
このようなブレークのあるメッシュ状配線パターンの形状としては、本出願人の出願に係る特願2012−276175号明細書に記載の導電性フィルムのメッシュ状配線パターンの形状を適用することができる。
上述した例では、射影配線パターン23は、規則的な菱形形状の定型配線パターンであるが、本発明はこれに限定されず、この規則的な定型の射影配線パターン23に不規則性(ランダム性)を付与したもの、例えば、開口部22の菱形形状のピッチや角度に所定閾値以下の不規則性を付与したものであっても良いし、開口部22の菱形形状の辺を所定振幅閾値内の波線にすることで辺の形態に不規則性を付与したものであっても良い。
これらの例は、モアレの視認性(モアレが視認されないこと)の向上のために、規則的な定型の射影配線パターン23を含む合成配線パターンのモアレの評価指標をモアレが視認されない又は視認され難い(以下、視認されないで代表する)所定閾値以下、詳細は後述するが、不規則性付与の場合は、視認性の向上により効果があるので、−2.80以下の範囲内に収めることであるが、本発明はこれに限定されず、ノイズの視認性(ノイズが視認されないこと)の向上のために、ボロノイ多角形やドロネー3角形などからなるランダムな射影配線パターンを含む合成配線パターンのノイズの評価指標を所定閾値以下、ノイズが視認されない所定閾値以下、詳細は後述するが、この場合もランダム性があるので、−2.80以下の範囲内に収めるようにしても良い。
図7(A)に示す3次元形状の配線パターン27aは、視点aに垂直な平面に射影した時に、図7(B)に示す平面形状の配線パターン23aとなるものである。この平面形状の配線パターン23aは、図4(A)に示す規則的な定型の射影配線パターン23の開口部(セル)22の形状、即ちメッシュ形状に、例えば、菱形形状のピッチに対して所定閾値以下、例えば10%以下、具体的には0%超10%以下の範囲の不規則性を付与したものである。ここで、不規則性を付与するのは、セル22のピッチに限定されず、セル22の角度に対してであっても良い。
また、 図7(C)に示す3次元形状の配線パターン27bは、視点aに垂直な平面に射影した時に、図7(D)に示す平面形状の配線パターン23bとなるものである。この平面形状の配線パターン23bは、図4(A)に示す規則的な定型の射影配線パターン23のセル22の辺、即ちメッシュを構成する金属細線14を所定振幅閾値内、例えば、具体的には、セルのピッチの2.0%以上20%以下の範囲の振幅を持つ波線に変えた(波線化した)ものである。
さらに、 図7()に示す3次元形状の配線パターン27cは、視点aに垂直な平面に射影した時に、図7()に示す平面形状の配線パターン23cとなるものである。この平面形状の配線パターン23cは、1つの平面領域内において任意の間隔で複数の位置に発生させた複数のシード点を基準としてボロノイ図(ボロノイ分割法)に従って決定されたボロノイ多角形からなるセル22を持つ配線パターンを有するもので、BMパターン38に重畳した時に、ノイズの評価指標を所定閾値以下の範囲内に収まるものである。
上述した例においては、表示装置40の表示ユニット30は平面形状であるが、本発明はこれに限定されるわけではなく、3次元形状の表示ユニットであって良く、特に、表示面が3次元形状である表示ユニットであって良いのは勿論である。
図8(A)は、凸型の3次元形状である導電性フィルムと表示ユニットとを有する本発明の他の実施形態の表示装置を示す概略断面図であり、図8(B)は、図8(A)に示す表示装置を所定視点に垂直な平面に射影した共に平面形状の射影導電性フィルムと射影表示ユニットとを有する射影表示装置を示す概略断面図である。
図8(A)に示す表示装置40bは、導電性フィルム10も表示ユニット30aも、共に凸型の3次元形状であり、表示面の形状が所定の凸型の3次元形状の表示ユニット30a上に同様な所定の凸型3次元形状の導電性フィルム10が設置されている。したがって、表示装置40bは、図5(A)に示す表示装置40と、表示ユニット30aの形状が3次元形状である点で異なるが、表示ユニット30a上に設置されている導電性フィルム10の形状は、図5(A)と同様な3次元形状である点で同じである。
しかし、表示装置40bは、視点aに垂直な平面に射影された状態では、共に平面形状の射影導電性フィルム10aと射影表示ユニット30bとを有する射影表示装置40cとなる。
したがって、導電性フィルム10は、図8(A)に示す3次元形状の状態では、平面視で図4(A)、図7(A),(C)及び(E)に示す3次元形状の配線パターン27、27a,27b及び27cを持つことができる。また、図8(B)に示すように、視点aに垂直な平面に射影された状態では、射影導電性フィルム10aは、図5(B)と同様に、平面形状となり、図4(B)、図7(B),(D)及び(F)に示す平面形状の射影配線パターン23、23a,23b及び23cを持つことができる。
一方、図8(A)に示す表示装置40bの3次元形状の表示ユニット30aは、視点aに垂直な平面に射影された状態では、図8(B)に示すように、平面形状の射影表示ユニット30bとなる。このため、図9(A)に示す射影前の表示ユニット30aの3次元形状のBMパターン38aは、平面への射影によって、図9(B)に示す射影後の射影表示ユニット30bの平面形状の射影BMパターン38bとなる。なお、図9(C)に示す4つの画素32のG副画素32gは、図9(A)に示す凸型3次元形状の表示ユニット30aの凸型3次元形状のBMパターン38aの中央の平面又は平面に近い部分の4画素の副画素であり、BMパターン38a及び平面形状の射影BMパターン38bの画素配列の単位となるものである。
その結果、本発明においては、図4(A)、図7(A),(C)及び(E)に示す3次元形状の配線パターン24(27、27a,27b及び27c)と図9(A)に示す3次元形状のBMパターン38aとのモアレやノイズの視認性を評価するために、図4(B)又は図7(F)に示す平面形状の射影配線パターン23又は23cと、図9(B)に示す平面形状の射影BMパターン38bと、を重畳した時のモアレ又はノイズの評価指標を求め、評価閾値以下である3次元形状の配線パターン24を持つ導電性フィルムを本発明の導電性フィルムとして評価することができる。
また、図10(A)は、3次元形状の導電性フィルムと表示ユニットとを有する本発明の他の実施形態の表示装置を示す概略断面図であり、図10(B)は、図10(A)に示す表示装置を所定視点に垂直な平面に射影した共に平面形状の射影導電性フィルムと射影表示ユニットとを有する射影表示装置を示す概略断面図である。
図10(A)に示す表示装置40dは、図8(A)に示す表示装置40bが凸型形状であるのに対して、凹型形状である点で異なるが、導電性フィルム10bも表示ユニット30cも、共に凹型の3次元形状であり、表示面の形状が所定の凹型の3次元形状の表示ユニット30c上に同様な所定の凹型3次元形状の導電性フィルム10bが設置されている。
このため、表示装置40dは、視点aに垂直な平面に射影された状態では、共に平面形状の射影導電性フィルム10cと射影表示ユニット30dとを有する射影表示装置40eとなる。
この時、図10(A)に示す表示装置40dの3次元形状の表示ユニット30cは、視点aに垂直な平面に射影された状態では、図10(B)に示すように、平面形状の射影表示ユニット30dとなる。このため、図11(A)に示す射影前の表示ユニット30cの3次元形状のBMパターン38cは、平面への射影によって、図11(B)に示す射影後の射影表示ユニット30dの平面形状の射影BMパターン38dとなる。なお、図11(C)に示す4つの画素32のG副画素32gは、図11(A)に示す凹型3次元形状の表示ユニット30aの凹型3次元形状のBMパターン38cの中央の平面又は平面に近い部分の4画素の副画素であり、BMパターン38c及び平面形状の射影BMパターン38dの画素配列の単位となるものである。
その結果、本発明においては、図示しないが、導電性フィルム10bの3次元形状の配線パターンと図11(A)に示す3次元形状のBMパターン38cとのモアレやノイズの視認性を評価するために、図4(B)又は図7(F)に示す平面形状の射影配線パターン23又は23cと、図11(B)に示す平面形状の射影BMパターン38dと、を重畳した時のモアレ又はノイズの評価指標を求め、評価閾値以下である3次元形状の配線パターン24を持つ導電性フィルムを本発明の導電性フィルムとして評価することができる。
図3に示す実施の形態の導電性フィルム10では、透明基体12の上側及び下側の両側の配線部16(16a及び16b)は、いずれも複数の金属細線14を備える電極部となっているが、本発明はこれに限定されず、第1及び第2配線部16a及び16bの少なくとも一方を電極部と非電極部(ダミー電極部)とによって構成しても良い。
図12は、本発明の第2の実施形態に係る導電性フィルムの一例を示す模式的部分断面図である。なお、本第2の実施形態の導電性フィルムの3次元形状の配線パターンは、上述した第1の実施形態の導電性フィルムの3次元形状の配線パターンと同様であるのでここでは説明を省略する。
同図に示すように、本第2の実施形態の導電性フィルム11は、透明基体12の一方(図12の上側)の面に形成された第1電極部17a及びダミー電極部26からなる第1配線部16aと、透明基体12の他方(図12の下側)の面に形成された第2電極部17bからなる第2配線部16bと、第1電極部17a及びダミー電極部26からなる第1配線部16aの略全面に第1接着層18aを介して接着された第1保護層20aと、第2電極部17bからなる第2配線部16bの略全面に第2接着層18bを介して接着された第2保護層20bとを有する。
導電性フィルム11においては、第1電極部17a及びダミー電極部26は、それぞれ複数の金属細線14からなり、共に、透明基体12の一方(図12の上側)の面に配線層28aとして形成され、第2電極部17bは、複数の金属細線14からなり、透明基体12の他方(図12下側)の面に配線層28bとして形成されている。ここで、ダミー電極部26は、第1電極部17aと同様に、透明基体12の一方(図12の上側)の面に形成されるが、図示例のように、他方(図12の下側)の面に形成された第2電極部17bの複数の金属細線14に対応する位置に同様に配列された複数の金属細線14からなる。
ダミー電極部26は、第1電極部17aと所定間隔だけ離間して配置されており、第1電極部17aと電気的に絶縁された状態下にある。
本実施形態の導電性フィルム11においては、透明基体12の一方(図12の上側)の面にも、透明基体12の他方(図12の下側)の面に形成されている第2電極部17bの複数の金属細線14に対応する複数の金属細線14からなるダミー電極部26を形成しているので、透明基体12の一方(図12の上側)の面での金属細線による散乱を制御することができ、電極視認性を改善することができる。
ここで、配線層28aの第1電極部17a及びダミー電極部26は、金属細線14と開口部22によるメッシュ状の配線パターン24aとを有する。また、配線層28bの第2電極部17bは、第1電極部17aと同様に、金属細線14と開口部22によるメッシュ状の配線パターン24bを有する。上述したように、透明基体12は絶縁性材料からなり、第2電極部17bは、第1電極部17a及びダミー電極部26と電気的に絶縁された状態下にある。
なお、第1、第2電極部17a、17b及びダミー電極部26は、それぞれ図3に示す導電性フィルム10の配線部16と同様の材料で同様に形成することができる。
なお、第1保護層20aは、第1配線部16aの第1電極部17a及びダミー電極部26のそれぞれの金属細線14を被覆するように、第1接着層18aによって第1電極部17a及びダミー電極部26からなる配線層28aの略全面に接着されている。
また、第2保護層20bは、第2配線部16bの第2電極部17bの金属細線14を被覆するように、第2接着層18bによって第2電極部17bからなる配線層28bの略全面に接着されている。
なお、図12に示す導電性フィルム11の第1及び第2接着層18a及び18b、並びに第1及び第2保護層20a及び20bは、図3に示す導電性フィルム10と同様であるので、その説明は省略する。
なお、本実施形態の導電性フィルム11では、第2電極部17bを備える第2配線部16bは、ダミー電極部を有していないが、本発明はこれに限定されず、第2配線部16bにおいて、第1配線部16aの第1電極部17aに対応する位置に、第1電極部17aから所定間隔だけ離間して、第2電極部17bと電気的絶縁された状態下にある、金属細線14からなるダミー電極部を配置しても良い。
本実施形態の導電性フィルム11においても、上記第1配線部16aにダミー電極部26aを設け、また、第2配線部16bにこのようなダミー電極部を設けることにより、第1配線部16aの第1電極部17aと第2配線部16bの第2電極部17bの各メッシュ配線を対応して配置することができるので、透明基体12の一方(例えば、図12の上側又は下側)の面での金属細線による散乱を制御することができ、電極視認性を改善することができる。
図3及び図12に示す第1及び第2の実施形態の導電性フィルム10及び11では、透明基体12の上側及び下側の両側に、それぞれ配線部16(16a及び16b)が形成されているが、本発明はこれに限定されず、図13に示す本発明の第3の実施形態の導電性フィルム11Aのように、透明基体12の一方の面(図13中上側の面)に複数の金属細線14からなる配線部16を形成し、配線部16の略全面に、金属細線14を被覆するように、接着層18を介して保護層20を接着した導電性フィルム要素を2つ重ねる構造としても良い。
図13に示す本発明の第3の実施形態の導電性フィルム11Aは、図13中、下側の透明基体12bと、この透明基体12bの上側面に形成された複数の金属細線14からなる第2配線部16bと、第2配線部16b上に第2接着層18bを介して接着される第2保護層20bと、第2保護層20b上に、例えば接着剤等により接着されて配置される上側の透明基体12aと、この透明基体12aの上側面に形成された複数の金属細線14からなる第1配線部16aと、第1配線部16a上に接着層18aを介して接着される保護層20aとを有する。
次に、図3、図12及び図13に示す第1、第2及び第3の実施形態の導電性フィルム10、11及び11Aでは、配線部16(16a及び16b)をそれぞれ構成する複数の金属細線14からなる配線パターン24(24a及び24b)は、3次元形状である。しかし、配線パターン24のBMパターン38との干渉によるモアレやノイズの視認性評価による配線パターン24の最適化については、平面に射影された平面形状の射影配線パターン、例えば射影配線パターン23、23a、23b、又は23c等を用いるので、以下の説明では、配線パターン24(24a及び24b)は、平面に射影された平面形状の射影配線パターン、例えば射影配線パターン23、23a、23b、又は23c等のような平面形状の配線パターンであるとして説明する。
本発明の一実施形態においては、配線パターン24a及び24bの一方、又は両方の配線パターン24は、図14に示すように、同一形状の菱形の開口部22が複数個規則的に繰り返される規則性のある菱形の配線パターン、いわゆる定型配線パターン25であるのが好ましい。なお、この定型配線パターン25は、図4(B)に示す射影配線パターン23の部分拡大図である。
また、本発明の他の実施形態においては、上記一方、又は両方の配線パターン24は、図15に示すように、平面視で互いに所定の角度が保存され、ピッチ(従ってサイズ)が異なる平行四辺形の形状を持つ開口部22が所定の角度をなす2方向に複数個連続して繋がった不規則性が付与された不規則な配線パターン、いわゆるランダムパターン25a(図7(B)参照)であっても良い。なお、このランダムパターン25aは、図7(B)に示す射影配線パターン23aの部分拡大図である。
ここで、図15に示すランダムパターン25aは、図14に示すような定型配線パターン25の開口部22の菱形形状のピッチに対して、角度を保存したまま、所定範囲の不規則性(ランダム性)を付与したものである。
ここで、ランダムパターン25aにおいて、定型配線パターン25の開口部22の菱形形状に対して、角度を保存したまま付与される不規則性の所定範囲は、0%超10%以下であるのが好ましく、2%〜10%であるのがより好ましく、更に好ましくは、2%〜8%である。
また、ランダムパターン25aにおいて、規則的な定型配線パターン25の開口部22の菱形形状のピッチに対して付与する不規則性は、上述した範囲を満足するものであれば、特に制限的ではなく、いかなるものであっても良いが、例えば、不規則性の分布は、正規分布であっても、一様分布であっても良い。
また、本発明の他の実施形態においては、上記一方、又は両方の配線パターン24は、図16に示すように、平面視で対向する2辺の一方が他方に対して傾斜し、互いに平行とならないように菱形から変形した矩形の形状を持つ開口部22が所定の2方向に複数個連続して繋がった不規則な配線パターン、いわゆるランダムパターン25bである。したがって、上記配線パターン24は、隣接する矩形形状の複数の開口部22において、角度が変化して保存されないランダムパターンであり、その結果、角度の変化に伴ってピッチ又は辺の長さも変化して保存されないランダムパターン25bであっても良い。
なお、上記配線パターン24は、図16に示すように、隣接する複数の開口部22のメッシュ形状の角度が異なり、その結果、ピッチ又は辺の長さも異なる矩形である不規則性が付与された配線パターン、いわゆるランダムパターン25bを有するものである。
ここで、図16に示すランダムパターン25bは、図14に示すような定型配線パターン25の開口部22の菱形形状の角度に対して、所定範囲の不規則性(ランダム性)を付与したものである。
ここで、ランダムパターン25bにおいて、定型配線パターン25の開口部22の菱形形状の角度に対して付与される不規則性の所定範囲は、0%超3%以下であるのが好ましく、0.2%〜3%であるのがより好ましく、更に好ましくは、0.5%〜3%である。
また、ランダムパターン25bにおいて、規則的な定型配線パターン25の開口部22の菱形形状の角度に対して付与する不規則性は、上述した範囲を満足するものであれば、特に制限的ではなく、いかなるものであっても良いが、例えば、不規則性の分布は、正規分布であっても、一様分布であっても良い。
また、本発明の他の実施形態においては、上記一方、又は両方の配線パターン24は、図17に示すように、多角形、図示例では菱形の形状となる開口部22を構成する辺、即ち複数の金属細線14を波線化することによって不規則性が付与された配線パターン、即ち金属細線14の波線化によってランダム化されたランダムパターン25cであっても良い。なお、このランダムパターン25cは、図7(D)に示す射影配線パターン23bの部分拡大図である。
このランダムパターン25cは、波線形状の金属細線14の波線の中心線が多角形、図示例では菱形の形状となる開口部22が、金属細線14が交差する所定の2方向に連続して繋がった配線パターンである。
なお、図17に示すランダムパターン25cは、金属細線14を波線化することにより隣接する複数の開口部22のメッシュ形状に不規則性が付与された配線パターン、いわゆるランダムパターン25cを有するものである。
図17に示すランダムパターン25cは、図14に示すような定型配線パターン25を構成する金属細線14を波線形状にすることによりぼかして、メッシュに対して所定範囲の不規則性(ランダム性)を付与したものである。
配線パターン24を、このように、メッシュを波線にしてランダム性を付与したランダムパターン25cとすることにより、モアレの強度を減衰させることができる。
ここで、上述したランダムパターン25cにおいては、メッシュ配線21は、図18に示すような波線形状の金属細線14によって構成される。なお、図18には、波線の説明のため、一方向に延びる金属細線14の2本の波線L1及びL2を示す。このような図18に示す波線L1及びL2は、図14に示す規則性のある定型配線パターン25の金属細線14の直線L1及びL2を波線形状に変形させたものであり、図17に示すランダムパターン25cの金属細線14の波線L1及びL2をその延在方向に位相差を与えて並べたものということができる。
図18に示すように、波線L1及びL2は、三角関数、例えば正弦波で表す、又は近似することができ、正弦波の振幅をA、波長をλ、及び位相をαで定義することができる。
なお、図18において、例えば、波線L1を基準にして、正弦波で表すと、波線L1は、Y=Asin(2π/λ)Xで表すことができ、波線L2は、位相がαであるので、Y=Asin{(2π/λ)(x−α)}で表すことができる。
ここで、振幅Aは、正弦波の係数に相当する。また、波長λは、周期の長さに相当する。また、位相αは、隣り合う波線L1とL2との間の描画開始点のずれ(シフト)量に相当する。
このように表される金属細線14の波線のランダム性(不規則性)は、図14に示す規則性のある定型配線パターン25のピッチに対する振幅A、波長λ、及び位相αの割合(百分率%)で定義することができる。例えば100μmのダイヤモンドメッシュパターンに、波長λ、位相(線毎)α、振幅(波長毎)A、それぞれに10%のランダム性を付与した場合は、それぞれ、90〜110μmと、90〜110μm、0〜10μmの範囲で変化する。
本発明においては、図14に示す規則性のある定型配線パターン25に対して金属細線14を波線化して得られたランダムパターン25cは、そのランダム性が、波線の振幅Aにおいて、振幅閾値内、好ましくは20%以下、より好ましくは2.0%以上20%以下であることを満足するのが良い。このランダム性を満足するランダムパターン25cを有する導電性フィルム10は、表示ユニット30のBMパターン38に重畳した際に、モアレが視認されないモアレの視認性に優れたものであるということができる。
なお、本発明においては、波線のランダム性は、上述した範囲を満足するものであれば、特に制限的ではなく、いかなるものであっても良い。
なお、詳細は、後述するが、本発明の導電性フィルム10は、射影配線パターンにおいて、上側及び下側の配線パターン24a及び24bの合成配線パターン24とした時に、表示ユニット30のBMパターン38の所定の明度(明度画像データ)に対してモアレの視認性の点で最適化された規則的な多角形の開口部(セル)22を持つ定型配線パターン、例えば、規則的な菱形のセル22を持つ定型配線パターン25、又はモアレの視認性の点で最適化されていてもいなくても、定型配線パターンのセル22の規則的な多角形の形状、例えば菱形の形状に対して不規則性を付与(ランダム化)することによって最適化された任意の多角形の形状、例えば、平行四辺形等の配線パターン、例えば、ランダムパターン25a,25b及び25cを持つものである。ここで、不規則性(ランダム性)は、例えば、定型配線パターン25のセル22の多角形(例えば、菱形)の形状に対して、角度を保存してピッチのみに付与されるものであっても良いし、角度に付与されるものであっても良いし、多角形の辺、例えば菱形の辺(この辺を構成する金属細線14)を波線化によって付与されるものであっても良い。
なお、本発明では、所定の明度のBMパターンに対してモアレの視認性の点で最適化された多角形の開口部(セル)22からなる配線パターンとは、合成配線パターン24とした時に、所定の明度のBMパターン38に対してモアレが人間の視覚に知覚されない1又は2以上の1群の定型配線パターン、又は不規則性を付与されたランダム配線パターン(以下、単に、ランダムパターンという)を言う。
まず、定型配線パターン25は、合成配線パターン24とした時に、表示ユニット30のBMパターン38の所定の明度(明度画像データ)に対してモアレの視認性の点で最適化された多角形(例えば、菱形)の配線パターンである。
この定型配線パターン25は、その透過率画像データから得られる合成配線パターン24の合成画像データと、ディスプレイ40の複数色の光をそれぞれ点灯した時の各色のBMパターン38の明度画像データと、から求められるモアレの評価指標が所定評価閾値以下、好ましくは常用対数で−3.17以下となる配線パターンである。なお、合成配線パターン24は、定型配線パターン25を上側及び下側の配線パターン24a及び24bの一方または両方に用いて重ね合わせた配線パターンである。
この定型配線パターン25は、それ自体で、所定発光強度のディスプレイ40の表示画面に重畳して、十分にモアレの発生を抑制でき、視認性を向上させることができる、表示ユニット30の所定の明度のBMパターン38に対してモアレの視認性の点で最適化された多角形(例えば、菱形)の配線パターンであるということができる。
次に、ランダムパターン25a,25b及び25cは、いずれも、モアレの視認性の点で最適化されていてもいなくても、定型配線パターンに対して不規則性を付与することによって最適化された多角形(例えば、平行四辺形)の配線パターンである。
これらのランダムパターン25a、25b及び25cは、ランダム性が付与されていない(付与する前の)定型配線パターンの透過率画像データから得られる合成配線パターン24の合成画像データと、ディスプレイ40の複数色の光をそれぞれ点灯した時の各色のBMパターン38の明度画像データと、から求められるモアレの評価指標が所定評価閾値以下、好ましくは常用対数で−2.80以下、より好ましくは−3.17となる配線パターンである。即ち、ランダムパターン25a、25b及び25cにおいては、ランダム性を付与する前の定型配線パターンが、モアレの視認性の点で最適化された定型配線パターン25であるのがより好ましい。
本発明では、合成配線パターン24のランダム化により、ランダムパターン25a25b、又は25cからなる合成配線パターン24に必要とされるモアレの評価指標の評価閾値は、定型配線パターン25からなる合成配線パターン24に必要とされるモアレの評価指標の評価閾値である−3.17よりも低い、−2.80とすることができ、ランダム化前の状態として、最適化に近い、不規則性を付与するのに適した適格化状態とすることができる。
このように、最適化に近い適格化状態の、特に好ましくは、最適化された定型配線(メッシュ)パターンに対して、例えばセル22のピッチ又は角度に対して所定の不規則性を付与することで、もしくはセル22の辺(金属細線14)の波線化による所定の不規則性を付与することで、ロバストな配線パターンを生成することができる。
本発明において、表示ユニットの所定の明度のBMパターンに対してモアレの視認性の点で最適化に近い適格化状態の、特に好ましくは、最適化された多角形の定型配線パターンに対して所定の不規則性を付与する理由は、最適化に近い適格化状態の、特に好ましくは、最適化された定型配線パターンは既に画質がかなり又は十分に良好であるが、不規則性(ランダム性)を付与することにより、さらなる画質の改善を図ることができ、いずれも満足できる画質となるからである。
また、このような定型配線パターン25、並びにランダムパターン25a、25b及び25cには、開口部22を構成する金属細線14の辺(メッシュ配線21)に断線(ブレーク)が入っていてもよい。このようなブレークのあるメッシュ状配線パターンの形状としては、本出願人の出願に係る特願2012−276175号明細書に記載の導電性フィルムのメッシュ状配線パターンの形状を適用することができる。
図3に示す実施の形態の導電性フィルム10では、図3中、透明基体12の上側(観察側)の第1配線部16aの複数の金属細線14も、下側(ディスプレイ側)の第2配線部16bの複数の金属細線14も、射影配線パターンにおいて、図4(B)及び図14に示す定型配線パターン25、若しくは図7(B)及び図15、図16、又は図7(D)及び図17に示す、不規則性が付与されたランダムパターン25a、25b又は25cをそれぞれ配線パターン24a及び24bとして有している。
即ち、両配線部16a及び16bの両方の複数の金属細線14が、配線パターン24a及び24bとして、共に図14に示す定型配線パターン25を有している場合には、図19に示すように、配線パターン24a及び24bの重ね合わせによる合成配線パターン24が構成される。
なお、図19及び以下に示す図20〜図25では、理解しやすいように、上側の配線パターン24aを構成する複数の金属細線14を太線で、下側の配線パターン24bを構成する複数の金属細線14を細線で示しているが、太線及び細線の幅は、金属細線14の線幅を表すものではないことは勿論であり、同じであっても、異なっていても良い。
また、両方の複数の金属細線14が、配線パターン24a及び24bとして、共に図15〜図17にそれぞれ示すランダムパターン25a、25b及び25cのいずれか1つを有している場合には、図20、図22、又は図24に示すように、不規則性が付与された上下の配線パターン24a及び24bの重ね合わせによる不規則性が付与された合成配線パターン24が構成される。
上述した図19、図20、図22、及び図24に示す例では、それぞれ、第1及び第2の配線部16a及び16bを、共に図14〜図17に示すような定型配線パターン25、不規則性が付与されたランダムパターン25a、25b及び25cのいずれか1つを持つ複数の金属細線で構成しているが、本発明はこれに限定されず、いずれか一方の配線部16の少なくとも一部に、図15〜図17に示すように、不規則性が付与(ランダム化)されたランダムパターン25a、25b及び25cのいずれか1つを持つ複数の金属細線を有していればよい。
このように、導電性フィルムの上側又は下側の配線部16(配線部16a又は16b)の全部又は一部の金属細線を、ランダムパターン25a、25b及び25cのいずれか1つで構成することにより、両配線部16の配線パターンの重ね合わせによって合成されたメッシュ状合成配線パターンをランダム化して、メッシュ状配線パターンを透過してくる光をランダムにすることができ、 規則性のある配線パターンとディスプレイの干渉によるモアレの視認性を改善することができる。
例えば、図21、図23及び図25に示すように、第1及び第2の配線部16a及び16bを、異なる配線パターンを持つ複数の金属細線で構成しても良い。図21、図23及び図25に示す例では、透明基体12の上側の第1配線部16aを、それぞれ、図15、図16及び図17に示すランダムパターン25a、25b及び25cを持つ複数の金属細線14で構成し、透明基体12の下側の第2配線部16bを、図14に示す規則的な定型配線パターン25を持つ複数の金属細線14で構成しているが、逆に、第1配線部16aを、定型配線パターン25を持つ複数の金属細線14で、第2配線部16bを、ランダムパターン25a、25b及び25cのいずれかを持つ複数の金属細線14で構成しても良い。こうして、不規則性が付与されたランダムパターン25a、25b及び25cのいずれかと定型配線パターン25との重ね合わせによる合成配線パターンに不規則性を付与することができる。
上述した例では、異なる配線パターンの合成配線パターンを、ランダムパターン25a、25b及び25cのいずれかと定型配線パターン25との重ね合わせにより形成しているが、不規則性が異なる2つのランダムパターンとして、不規則性の種類が異なる、例えば、セル22の形状が異なるランダムパターン25aと25bや、ランダムパターン25bと25cや、ランダムパターン25cと25aとの重ね合わせにより形成しても良い。さらに、不規則性の異なるランダムパターンとして、同一種類の不規則性を持つもので、不規則性のサイズ(大きさ)、例えば、セル22のピッチ及び角度の一方または両方が異なる2つのランダムパターンを用いても良いし、セル22を波線化する際の波線の振幅、波長(周期)、位相の少なくとも1つが異なる2つのランダムパターンを用いても良い。
また、図26に示すように、第1及び第2の配線部16a及び16bの少なくとも一方の複数の金属細線14を、上述したように、断線(ブレーク)によって、配線層28を構成する電極部17と、ダミー電極部(非電極部)26とに分断し、電極部17及びダミー電極部26のいずれか一方を、図14に示す規則的な定型配線パターン25を持つ複数の金属細線14で構成し、他方を、図15に示す不規則性が付与されたランダムパターン25aを持つ複数の金属細線14で構成して、図12に示すような本発明の第2の実施形態の導電性フィルム11のような形態としても良い。こうして、定型配線パターン25とランダムパターン25aとの組み合わせと、定型配線パターン25、又はランダムパターン25aとの重ね合わせによる合成配線パターン、又は定型配線パターン25とランダムパターン25aとの組み合わせ同士の重ね合わせによって、合成配線パターンに不規則性を付与することができる。
なお、図26においては、透明基体12の上側の第1配線部16aを断線(ブレーク)によって電極部17aと、その両側の2つのダミー電極部26に分断し、2つのダミー電極部26を、図15に示すランダムパターン25aを持つ複数の金属細線14で構成し、電極部17aを、図14に示す定型配線パターン25を持つ複数の金属細線14で構成しているが、逆に構成しても良いのはもちろんである。
さらに、2つのダミー電極部26を、ランダムパターン25aの代わりに、ランダムパターン25b及び25cのいずれかを持つ複数の金属細線14で構成しても良い。また、電極部17aを、定型配線パターン25の代わりに、2つのダミー電極部26のランダムパターンと不規則性(種類、サイズ等)が異なるランダムパターンを持つ複数の金属細線14で構成しても良い。
なお、上述した例、例えば、図19〜図25に示す例においては、第1配線部16a及び第2配線部16bの両方を複数の金属細線14で構成しているが、本発明は、これに限定されず、一方の配線部を、複数の金属細線14の代わりに、ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ(スズドープ酸化インジウム))等の透明導電膜によるパターン化された配線で構成しても良い。
例えば、図19、図21、図23及び図25に示す例やその逆の例などにおいては、第1配線部16a及び第2配線部16bの一方の規則的な定型配線パターン25を持つ複数の金属細線14の代わりに、ITOによるパターン化された配線を用いても良い。
また、図26に示すように、第1配線部16a及び第2配線部16bの一方が、断線(ブレーク)によって電極部17aとその両側の2つのダミー電極部26に分断され、電極部17a及びダミー電極部26の一方がランダムパターンを持つ複数の金属細線14で構成されている場合には、他方の配線部を構成する複数の金属細線14の代わりに、ITOによるパターン化された配線を用いても良い。
また、本発明の他の実施形態は、不規則なメッシュ状のランダムパターン(以下、ランダムメッシュパターンという)とディスプレイ画素配列(BM)パターンの重畳で視認されるノイズを抑制するため、ディスプレイに組み合わせるためのランダムメッシュパターンを持つ導電性フィルムを提供するものであっても良い。ここで、本実施形態に用いられるランダムメッシュパターンとしては、少なくとも2種類の異なる開口形状を有し、その頂点の数は少なくとも2種類となる不規則なパターンとして定義することができる。
ところで、ディスプレイとランダムメッシュパターンとで視認されるノイズを定量化し、その定量値が閾値以下となる組み合わせにおいては、ノイズは視認されることはない。したがって、本実施形態においては、ランダムメッシュパターンとしては、上記のように定義できるが、ディスプレイのBMパターン及びランダムメッシュパターンを定量化し、これらの定量値から視認されるノイズを定量化する必要がある。
そのため、本実施形態においては、先ず、複数の特徴の異なる不規則なメッシュパターンを想定し、透過率画像を作成している。次に、この透過率画像から得られる高速フーリエ変換(FFT)スペクトルと、ディスプレイから得られるFFTスペクトルの畳み込み演算を行っている。ここで、得られた演算結果に視覚伝達関数を作用させた積算値がノイズ視認性定量値に相当し、この段階で、ノイズ視認性定量値、及びノイズシミュレーション画像が得られる。得られた画像を評価することにより、視認性として許容できるノイズ視認性を決定することができ、本発明の導電性フィルム及びその評価方法を提供することができる。
また、本実施形態においては、配線パターン24a及び24bの一方、又は両方の配線パターン24は、図27に示すように、複数の金属細線で形成される開口部がランダムな多角形とからなることで不規則性が付与された配線パターン、即ちランダムメッシュパターン25dであっても良い。このランダムメッシュパターン25dは、ノイズの視認性に優れた配線パターンであるが、金属細線14によって形成される開口部22の形状が、異なる2種類以上の開口形状であり、その頂点の数が2種類以上となるランダムな多角形状となるものであれば、どのようなランダムメッシュパターンであっても良い。なお、このランダムメッシュパターン25dは、図7(F)に示す射影配線パターン23cの部分拡大図である。
なお、図3に示す例においては、配線パターン24は、配線パターン24a及び24bとして、図27に示すようランダムメッシュパターン25dを有するものである。
ここで、図27に示す不規則性が付与された配線パターンであるランダムメッシュパターン25dは、図28に示すような1つの平面領域100内において任意の間隔で複数の位置に存在する複数のシード点pを基準としてボロノイ図(ボロノイ分割法)に従って決定されたボロノイ多角形からなる開口部22を持つ配線形状を有する。
図28は、図27に示すランダムメッシュパターンを形成するボロノイ多角形を生成させるために、1つの平面領域100内において任意の間隔で無作為に選択された複数の位置にドットを発生させて複数のシード点pとしたドット切り出し画像を示す。
図27に示すランダムメッシュパターン25dにおいては、ボロノイ図(ボロノイ分割法)に従って図28に示す複数のシード点pをそれぞれ囲繞する複数のランダムな多角形の領域、すなわち複数のボロノイ多角形の領域がそれぞれ画定されている。ここで、ボロノイ図により区画された複数のボロノイ多角形の領域は、シード点pが最も近接する点である点の集合体であることを示している。ここで、距離関数としてユークリッド距離を用いたが、種々の関数を用いてもよい。
なお、本発明において用いられるランダムメッシュパターンとして、図28に示す複数のシード点を基準として、ドロネー図(ドロネー三角形分割法)に従って決定されたドロネー三角形からなる開口部22を持つ配線形状を有するランダムメッシュパターン(図示せず)を用いても良い。ドロネー三角形分割法とは、複数のシード点pのうち、隣接するシード点同士を繋いで三角形状の領域を画定する方法である。これにより、例えば、複数のシード点のいずれかを頂点とする複数のドロネー三角形の領域をそれぞれ画定することができる。
また、本発明において用いられるランダムメッシュパターンとしては、上記のボロノイ多角形やドロネー三角形等の開口部(セル)の形状を持つランダムメッシュパターンに限定されず、ランダムメッシュパターンであれば、どのようなものであっても良い。例えば、菱形などの正多角形の規則的な定型パターンのピッチや角度等を数%、例えば10%以下ランダム化したランダムメッシュパターン等であっても良い。
なお、詳細は、後述するが、本発明の導電性フィルム10は、上側及び下側の配線パターン24a及び24bの合成配線パターン24とした時に、表示ユニット30のBMパターン38の所定の明度(明度画像データ)に対してノイズ視認性の点で最適化されたランダムメッシュパターンを持つものである。なお、本発明では、所定の明度のBMパターンに対してノイズ視認性の点で最適化されたランダムメッシュパターンとは、合成配線パターン24とした時に、所定の明度のBMパターン38に対してノイズが人間の視覚に知覚されない1又は2以上の1群の菱形の配線パターンを言う。
したがって、図27に示すランダムメッシュパターン25dは、合成配線パターン24とした時に、表示ユニットのBMパターンの所定の明度(明度画像データ)に対してノイズ視認性の点で最適化されたランダムメッシュパターンであり、ランダムメッシュパターン25dの透過率画像データが上側及び下側の配線パターン24a及び24bとして重ねあわされた合成配線パターン24の合成画像データと、ディスプレイの複数色の光をそれぞれ点灯した時の各色のBMパターンの明度画像データとから求められるノイズの評価指標が所定評価閾値以下となるランダムメッシュパターンであり、それ自体で、所定発光強度のディスプレイの表示画面に重畳して、十分にノイズの発生を抑制でき、視認性を向上させることができる、表示ユニットの所定の明度のBMパターンに対してノイズ視認性の点で最適化されたランダムメッシュパターンであるということができる。
なお、このような最適化されたランダムメッシュパターン25dには、上述したように、開口部22を構成する金属細線14の辺(メッシュ配線21)に断線(ブレーク)が入っていてもよい。
図3に示す実施の形態の導電性フィルム10では、図3中、透明基体12の上側(観察側)の第1配線部16aの複数の金属細線14も、下側(ディスプレイ側)の第2配線部16bの複数の金属細線14も、図27に示す不規則性が付与されたランダムメッシュパターン25dをそれぞれ配線パターン24a及び24bとして有し、図29に示すように、上下の不規則性が付与された配線パターン24a及び24bの重ね合わせによる不規則性が付与された合成配線パターン24を構成する。なお、図29及び後述する図30でも、理解しやすいように、上側の配線パターン24aを構成する複数の金属細線14を太線で、下側の配線パターン24bを構成する複数の金属細線14を細線で示しているが、太線及び細線の幅は、金属細線14の線幅を表すものではないことは勿論であり、同じであっても、異なっていても良い。
即ち、図3に示す例では、第1及び第2の配線部16a及び16bを、共に、図27に示すような不規則性が付与されたランダムメッシュパターン25dを持つ複数の金属細線で構成しているが、本発明はこれに限定されず、いずれか一方の配線部16の少なくとも一部に図27に示す不規則性が付与されたランダムメッシュパターン25dを持つ複数の金属細線を有していればよい。
このように、導電性フィルムの上側又は下側の配線部16(配線部16a又は16b)の全部又は一部の金属細線を不規則性が付与(ランダム化)されたランダムメッシュパターン25dで構成することにより、両配線部16の配線パターンの重ね合わせによって合成されたメッシュ状配線パターンをランダム化して、メッシュ状配線パターンを透過してくる光をランダムにすることができ、配線パターンとディスプレイの干渉によるノイズ視認性を改善することができる。
例えば、図30に示すように、第1及び第2の配線部16a及び16bを、異なる配線パターンを持つ複数の金属細線で構成しても良い。図5に示す例では、透明基体12の上側の第1配線部16aを、図27に示す不規則性が付与されたランダムメッシュパターン25dを持つ複数の金属細線14で構成し、透明基体12の下側の第2配線部16bを、上述したように、図14に示す菱形形状の開口部からなる規則的な定型配線パターン25を持つ複数の金属細線14で構成しているが、逆に、第1配線部16aを、定型配線パターン25を持つ複数の金属細線14で、第2配線部16bを、ランダムメッシュパターン25dを持つ複数の金属細線14で構成しても良い。こうして、ランダムメッシュパターン25dと規則的な定型配線パターン25との重ね合わせによる合成配線パターンに不規則性を付与することができる。
なお、図26に示すブレークによって電極17からその両側において分断された2つのダミー電極部(非電極部)26の電極パターンを、図15に示すランダムパターン25aに代えて、図27に示すランダムメッシュパターン25dを用いても良いし、又は、図14に示す定型配線パターン25に変えた上で、図26に示す電極部17の電極パターンを、図14に示す定型配線パターン25に代えて、図27に示すランダムメッシュパターン25dを用いても良い。
なお、図30に示す例においては、上述の図21、図23及び図25に示す場合と同様に、一方の配線部を、複数の金属細線14の代わりに、ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ(スズドープ酸化インジウム))等の透明導電膜によるパターン化された配線で構成しても良い。
例えば、図30に示す例やその逆の例などにおいては、第1配線部16a及び第2配線部16bの一方の規則的な定型パターン25を持つ複数の金属細線14の代わりに、ITOによるパターン化された配線を用いても良い。
また、上述したように、第1配線部16a及び第2配線部16bの一方が、断線(ブレーク)によって電極部17aとその両側の2つのダミー電極部26に分断され、電極部17a及びダミー電極部26の一方がランダムメッシュパターンを持つ複数の金属細線14で構成されている場合には、他方の配線部を構成する複数の金属細線14の代わりに、ITOによるパターン化された配線を用いても良い。
上述した本発明の第1、第2及び第3の実施形態の導電性フィルム10、11及び11Aは、例えば、図2に模式的に示す表示ユニット30(ディスプレイ)のタッチパネル(44:図1参照)に適用されるが、少なくとも1視点、例えば視点aにおいて、導電性フィルムと表示ユニットとの両者を視点aに垂直な平面に射影した時、ディスプレイの発光強度に依存する各色の画素配列(BM)パターンの明度値に対して合成配線パターンとした時に、モアレの視認性の点で最適化された配線パターン、例えば、規則的な定型配線パターン、又はこの定型配線パターンに対して不規則性が付与された不規則配線(ランダム)パターンを持つもの、あるいは、ノイズ視認性の点で最適化された不規則配線(ランダムメッシュ)パターンを持つものである。
なお、本発明では、ディスプレイの発光強度に依存する各色のBMパターンの明度値に対して、合成配線パターンとした時に、モアレの視認性、又はノイズ視認性の点で、最適化された配線パターン(例えば、定型配線パターン、ランダムパターン、ランダムメッシュパターン)とは、少なくとも1視点において、ディスプレイの複数の副画素の各色の光を単独で点灯した時にいずれにおいても、当該色のBMパターンに対して合成配線パターンとした時に、モアレ、又はノイズが人間の視覚に知覚されない1又は2以上の1群のメッシュ配線パターン(例えば、定型配線パターン、ランダムパターン、ランダムメッシュパターン)を言う。
即ち、最適化された配線パターン(例えば、定型配線パターン、ランダムパターン、ランダムメッシュパターン)とは、複数色の光、例えば、RGB単体点灯時に、最も、モアレ、又はノイズが生じやすい色、例えば、最も高い明度値を持つ色のBMパターン、換言すれば、最悪値を取るBMパターンに対して合成配線パターンとした時に、モアレ、又はノイズが人間の視覚に知覚されない1群の配線パターンを言う。なお、本発明では、最適化された2以上の1群の配線パターン(例えば、定型配線パターン、ランダムパターン、ランダムメッシュパターン)においても、最も知覚されない配線パターンから知覚されにくい配線パターンまで序列を付けることができ、最も、モアレ、又はノイズが知覚されない1つの配線パターンを決定することもできる。
ここで、本発明において、メッシュ配線パターンのモアレの視認性、又はノイズ視認性の最適化において、ディスプレイの発光強度に依存する各色のBMパターンの明度値を用いる理由は、例えば、導電性フィルムが図31(A)に示すような金属細線の線幅と平均ピッチを持つメッシュ配線パターンであり、ディスプレイが、図31(A)に示すような1つの画素が1つの副画素によって代表されるBMパターンを持つ時、ディスプレイの1画素に対して考慮すると、メッシュ配線パターンの透過率データは、図31(C)及び(E)に示すように、本発明においても、特許文献1のような従来技術においても、金属細線の線幅に相当する部分は、非透過であるため0、金属細線間は、透過であるために1.0とすることができ、いずれも2値化データとなり、全く同じとなる。しかし、ディスプレイのBMは非透過であるため0となるが、副画素(色フィルタ)は光が透過するが、その光の強度、例えば明度値は、図31(D)に示すように、ディスプレイの発光強度に依存して変化する。一方、特許文献1のような従来技術において対象とする、ディスプレイの副画素(色フィルタ)の配列パターン、即ちBMパターンの透過率データは、図31(F)に示すように、ディスプレイの副画素(色フィルタ)では透過で1.0、ディスプレイのBMでは不透過で0として取り扱うので、ディスプレイの発光強度が考慮されない。
一方、高解像度スマートフォンのように、発光強度が強ければ、視認されるモアレ、又はノイズは強くなり、発光強度が弱ければ、視認されるモアレ、又はノイズも弱くなるため、従来技術のように、透過率データのみでは、発光強度の異なるディスプレイに対して求まるモアレ、又はノイズの評価指標、即ち定量値は、比較することができなくなり、モアレ、又はノイズの視認性を正しく評価できなくなる。
このため、本発明においては、基準となるディスプレイの発光強度を基準として他のディスプレイの発光強度を評価して、規格化することにより、種々の発光強度の異なるディスプレイに適用可能な配線パターンのモアレの視認性、又はノイズ視認性の最適化を行うことができる。
次に、本発明で、複数色の各色が単独点灯されたBM(画素配列)パターンに対して、合成配線パターンとして、モアレの視認性の点で最適化された配線パターンとは、最適化された多角形、例えば菱形の定型配線パターンを言い、又は、最適化に近い適格化状態の多角形、例えば菱形の定型配線パターンの開口部(セル)の多角形(菱形)のピッチ又は角度に対して所定の不規則性を付与して、或いは、多角形(菱形)の辺を波線化して、ランダム化したものを言う。したがって、本発明において、ピッチに対して不規則性が付与された配線(メッシュ)パターンは、隣接する複数の開口部の角度が保存され、ピッチが異なるランダムパターンとも言え、角度に対して不規則性が付与された配線パターンは、隣接する複数の開口部の角度及びピッチ又は辺の長さが異なるランダムパターンとも言え、波線化によって不規則性が付与された配線パターンは、波線の中心線によって画成される隣接する複数の多角形の形状が定型配線パターンの開口部の形状と同じランダムパターンとも言える。
また、本発明で、複数色の各色が単独点灯されたBM(画素配列)パターンに対して、合成配線パターンとして、ノイズ視認性の点で最適化された配線パターンとは、最適化された多角形のメッシュ状不規則配線(ランダムメッシュ)パターンを言う。
なお、本発明において必須となる、ディスプレイの発光強度に依存する各色のBMパターンの明度値に対する定型配線パターンのモアレの視認性、並びに不規則(ランダム)配線パターンのモアレの視認性、及びノイズ視認性の最適化については、後述する。
本発明の導電性フィルムは、基本的に以上のように構成される。
次に、図2に示す本発明の導電性フィルムが適用されるディスプレイの画素配列(BM)パターンの副画素の構成及び発光強度について説明する。
本発明に適用可能なディスプレイのBMパターン及びその発光強度は、特に制限的ではなく、従来公知のいかなるディスプレイのBMパターン及びその発光強度であっても良いが、例えば、図32(A)及び(B)、並びに図33(A)、(B)及び(C)に示すような、OLED等のRGBの各色の周期や強度が異なるものであっても良いし、図2や図34(A)及び(B)に示すような同一形状のRGB副画素からなり、副画素内の強度ばらつきが大きいものや、副画素内の強度ばらつきが小さく、最も強度の高いG副画素(チャネル)だけ考慮すればよいものであっても良いし、特に、スマートフォンやタブレット等のような強度の高いディスプレイ等であっても良い。
図32(A)は、それぞれ本発明の導電性フィルムが適用される表示ユニットの画素配列パターンの一例を模式的に表す概略説明図及びその一部の部分拡大図である。
図32(A)に示すように、表示ユニット30には、複数の画素32がマトリクス状に配列されて所定の画素配列パターンが構成されている。図32(A)に示すように、1つの画素32は、3つの副画素(赤色副画素32r、緑色副画素32g及び青色副画素32b)が水平方向に配列されて構成されている。
本発明においては、表示ユニットの画素配列パターンが、1画素内の複数、図示例では3つの副画素の内の少なくとも2つの副画素が異なる形状を有しているか、1画素内の複数(3つ)の副画素の内の少なくとも2つについて各副画素の配列によって形成される副画素配列パターンの周期が異なるか、1画素内の複数(3つ)の副画素が1つの方向に一列に並んでいないか、3つの条件のいずれかを満たす必要がある。なお、本発明においては、副画素配列パターンの周期、すなわち、副画素(カラーフィルタ)の周期には、一画素内の副画素の周期も含まれる。
図32(B)示す例においては、副画素32rは、図中y(垂直)方向に縦長とされた菱形形状とされて、正方形の画素32の図中左側に配置されており、副画素32gは、円形状とされて、画素32の図中右下側に配置されており、副画素32bは、矩形状(正方形状)とされて、画素32の図中右上側に配置されている。図32(A)及び(B)に示す表示ユニット30は、その画素配列パターン38が1画素内の3つの副画素32r、32g及び32bの形が異なり、強度が異なる場合に相当し、かつ1画素内の複数(3つ)の副画素が1つの方向に一列をなさない場合に相当する。
図示例では、画素32の水平方向の配列ピッチ(水平画素ピッチPh)と画素32の垂直方向の配列ピッチ(垂直画素ピッチPv)は略同じとされており、画素ピッチPdで表すことができる。即ち、1つの画素32の3つの副画素32r、32g及び32bからなる領域と、これらの副画素32r、32g及び32bを囲むブラックマトリクス(BM)34(パターン材)にて構成される画素領域36は正方形となっている。なお、画素領域36は、1つの画素32に対応するものであるので、以下では、画素領域36を画素ともいう。
なお、画素ピッチPd(水平及び垂直画素ピッチPh、Pv)は、表示ユニット30の解像度に応じたピッチであれば、如何なるピッチでも良く、例えば、84μm〜264μmの範囲内のピッチを挙げることができる。
なお、図示例では、1つの画素内の副画素32r、32g、32bの形状は、それぞれ菱形、円形、正方形であるが、本発明はこれに限定されず、図9(A)に示すような同じ形の3つの副画素が図中水平方向に一列に並んだ1つの画素32が図中水平方向及び垂直方向に繰り返され、副画素(カラーフィルタ)の周期及び強度がRGBの3つの副画素で全て同じになる画素配列パターン38を持つものであっても良い。
又は、図33(A)〜図33(C)に示すピンタイル構造と呼ばれる開口形状の副画素(カラーフィルタ)32r、32g、32bであっても良く、これらの副画素32r、32g、32bからなる画素配列パターンを持つものであっても良い。
図33(A)に示すように、画素32の3つの副画素32r、32g、32bの形が異なって(形状は長方形であるが、大きさが異なって)いても良い。この場合は、強度が異なる場合に相当する。なお、この場合には、副画素の周期は同一であると言える。
即ち、図33(A)に示す例では、このような形が異なる3つの副画素32r、32g、32bを1画素として画素配列パターン38aが形成され、3つの副画素32r、32g、32bのそれぞれの副画素配列パターンの周期は、いずれも画素配列パターン38aの周期と同じになる。
なお、本発明においては、副画素の形が異なるとは、副画素の形状が異なる場合のみならず、副画素の大きさが異なる場合も含まれるものと定義される。
また、図33(B)に示すように、3つの副画素32r、32g、32bの形が同じであっても、副画素32gと、副画素32r、32bとの繰り返し周期(副画素配列パターンの周期)は異なっていても良い。この例では、副画素32gの周期は、副画素32r、32bの周期の半分である。なお、この場合には、副画素の強度は同一であると言える。
即ち、図33(B)に示す例では、2つの副画素32gと、副画素32r、32bとの4つの副画素を1画素32として画素配列パターン38bが形成され、副画素32r、32bのそれぞれの副画素配列パターンの周期は、いずれも画素配列パターン38aの周期と同じになるが、副画素32gの副画素配列パターンの周期は、画素配列パターン38aの周期の半分となる。
さらに、図33(C)に示すように、副画素32gと、副画素32r、32bとは、繰り返し周期(副画素パターンの周期)も、形(形状も大きさも)も異なっていても良い。この場合は、副画素の周期も、強度も異なる場合に相当する。
即ち、図33(C)に示す例では、図33(C)に示す例と同様に、2つの副画素32gと、副画素32r、32bとの4つの副画素を1画素32として画素配列パターン38cが形成され、副画素32r、32bのそれぞれの副画素配列パターンの周期は、いずれも画素配列パターン38aの周期と同じになるが、副画素32gの副画素配列パターンの周期は、画素配列パターン38aの周期の半分となる。
また、図34(A)は、GBR副画素内の強度ばらつきが大きい同一形状のRGB副画素からなる画素のBM構造を示し、図34(B)は、GBR副画素内の強度ばらつきが小さい同一形状のRGB副画素からなる画素のBM構造を示し、最も強度の高いG副画素だけ考慮すれば導電性フィルムの配線パターンの設計が可能なものである。
なお、本発明に用いることのできるディスプレイの2×2画素のBMの解像度及び強度を図35(A1)〜図35(H2)に示す。図35(A1)〜図35(H2)に示す各BMは、それぞれ、解像度、形状、及び強度(明度)のいずれかが異なるものである。図35(A1)〜図35(H2)においては、Gチャネル(G副画素)のみが示され、Bチャネル(B副画素)及びRチャネル(R副画素)は示されていないが、その解像度及び形状は同一であるのは勿論である。
図35(A1)及び(A2)は、共に、解像度が149dpiで、図中中心で左側に折れ曲がった短冊形状の4つのG副画素で表されるBM構造番号No.1のBM構造を示し、それぞれ、基準となるディスプレイにおける強度で規格化した時の強度が、0.5(64)及び1.0(128)であることを示し、後述する実施例において用いたBM条件番号No.1及び2に相当する。
図35(B1)及び(B2)は、共に、解像度が222dpiで、図中縦に連続する帯形状の4つのG副画素で表されるBM構造番号No.2のBM構造を示し、それぞれ、基準となるディスプレイにおける強度で規格化した時の強度が、0.5(64)及び1.0(128)であることを示し、後述する実施例において用いたBM条件番号No.3及び4に相当する。
図35(C1)及び(C2)は、共に、解像度が265dpiで、図中横方向に並ぶ平板形状の4つのG副画素で表されるBM構造番号No.3のBM構造を示し、それぞれ、基準となるディスプレイにおける強度で規格化した時の強度が、0.5(64)及び1.0(128)であることを示し、後述する実施例において用いたBM条件番号No.5及び7に相当する。
図35(D1)及び(D2)は、共に、解像度が265dpiで、図中縦方向に並ぶ細い帯形状の4つのG副画素で表されるBM構造番号No.4(265dpi v2)のBM構造を示し、それぞれ、基準となるディスプレイにおける強度で規格化した時の強度が、0.5(64)及び1.0(128)であることを示し、後述する実施例において用いたBM条件番号No.6及び8に相当する。
図35(E1)及び(E2)は、共に、解像度が326dpiで、図中横方向に並ぶ矩形状の4つのG副画素で表されるBM構造番号No.5のBM構造を示し、それぞれ、基準となるディスプレイにおける強度で規格化した時の強度が、0.5(64)及び1.0(128)であることを示し、後述する実施例において用いたBM条件番号No.9及び10に相当する。
図35(F1)及び(F2)は、共に、解像度が384dpiで、図中4角方向に並ぶ小矩形状の4つのG副画素で表されるBM構造番号No.6のBM構造を示し、それぞれ、基準となるディスプレイにおける強度で規格化した時の強度が、0.5(64)及び1.0(128)であることを示し、後述する実施例において用いたBM条件番号No.11及び13に相当する。
図35(G1)及び(G2)は、共に、解像度が384dpiで、図中4辺方向に並ぶ小三角形形状の4つのG副画素で表されるBM構造番号No.7(265dpi v2)のBM構造を示し、それぞれ、基準となるディスプレイにおける強度で規格化した時の強度が、0.5(64)及び1.0(128)であることを示し、後述する実施例において用いたBM条件番号No.12及び14に相当する。
図35(H1)及び(H2)は、共に、解像度が440dpiで、図中縦方向に並ぶ矩形状の4つのG副画素で表されるBM構造番号No.8のBM構造を示し、それぞれ、基準となるディスプレイにおける強度で規格化した時の強度が、0.5(64)及び1.0(128)であることを示し、後述する実施例において用いたBM条件番号No.15及び16に相当する。
なお、基準となるディスプレイとしては、例えば、実施例で用いたディスプレイ LP101WX1(SL)(n3)(LGディスプレイ社製)を挙げることができる。
上述したRGBの副画素配列パターンを定義するBM34によって構成されるBMパターン38を有する表示ユニット30の表示パネル上に、例えば、導電性フィルム10、11又は11Aを配置する場合、その配線パターン24は、RGBの副画素配列パターンを含むBM(画素配列)パターン38の明度値に対してノイズ視認性の点で合成配線パターンとして最適化された規則的な定型配線パターン、定型配線パターンに不規則性が付与されたランダムパターン、又はランダムメッシュパターンであるので、表示ユニット30の画素32の配列周期や強度と、導電性フィルム10、11又は11Aの金属細線14の配線配列との間における空間周波数の干渉が弱まり、又は殆どなく、モアレ、及び/又はノイズの発生が抑制されることになる。
ところで、モアレ、及び/又はノイズの最適化を行う際に用いられるディスプレイの画素配列パターンは、厳密には、複数色、例えばRGBの個々の副画素配列パターン、例えば、副画素の形状、繰り返し周波数等によって規定されるので、ディスプレイの解像度に対して副画素の解像度を正確に定義する必要があるが、本発明では、ディスプレイの画素配列パターンの光強度、例えば明度値(明度画像データ)を用いる必要があるので、強度・周波数の観点で言うと、どういう強度の副画素(単チャネルを示す)が、どういう配列をしているかが問題となるのみであるため、RGBを明確に分ける必要はない。したがって、ディスプレイに最適である、規則的な定型配線パターン、定型配線パターンに不規則性が付与されたランダムパターン、又はランダムメッシュパターンを設計するには、モアレ、又はノイズの評価指標、即ち定量値を求める際に、RGB単体点灯時の最悪値を利用すればよい。
次に、本発明において、所定の強度(明度値)を持つ表示装置の画素配列(BM)パターンに対する導電性フィルムの配線パターンのモアレの視認性、又はノイズ視認性の最適化及びランダム化の手順について説明する。即ち、本発明の導電性フィルムにおいて、少なくとも1視点において、所定の強度の表示装置の所定の画素配列(BM)パターンに対してモアレが人間の視覚に知覚されないように最適化された定型配線パターン、及び最適化され、かつランダム化された配線パターン、ノイズが人間の視覚に知覚されないように最適化されたランダム化された配線パターンを評価して決定する手順について説明する。
まず、導電性フィルムの配線パターンのモアレの視認性の最適化及びランダム化の手順について説明する。
36は、本発明の一実施形態の導電性フィルムの評価方法の一例を示すフローチャートである。
本実施形態の導電性フィルムの配線パターンの評価方法は、まず、表示装置の表示ユニットの複数色(例えばRGB)の各色の単体点灯時のBM(画素配列)パターンの明度画像データを取得する。また、導電性フィルムの上側と下側の菱形の配線パターンの合成配線パターンの透過率データを取得する。
次に、合成配線パターンの透過率データとBMパターンとの高速フーリエ変換(FFT)を用いた周波数解析により得られるモアレの周波数・強度から、表示ユニットの表示解像度に応じて規定されるモアレの最高周波数以下の周波数及び所定の強度を持つ各色についてのモアレ(周波数・強度)を選び出す。
次いで、選び出された各色についてのそれぞれのモアレの周波数におけるモアレの強度に人間の視覚応答特性を観察距離に応じて作用させてそれぞれ各色のモアレの評価値を得、得られた複数のモアレの評価値からモアレの評価指標(定量値)を算出する。
次に、算出されたモアレの評価指標が予め設定された条件を満たす合成配線パターンを構成する菱形の配線パターンを、モアレが視認されないように最適化された定型配線パターンとして評価し、最適化された定型配線パターンとして決定する、又は所定範囲の不規則性の付与により最適化される適格化定型配線パターンとして評価し、評価された適格化定型配線パターンに対して不規則性を付与して、例えば、適格化定型配線パターンのセルの形状のピッチ、又は角度に対して所定範囲の不規則性を付与し、或いは、適格化定型配線パターンのセルを構成する辺を波線化して所定範囲の不規則性を付与し、所定範囲の不規則性が付与されたランダムパターン(ピッチランダムパターン、角度ランダムパターン、波線化ランダムパターン)として決定するものである。この本発明法では、モアレの周波数/強度については一般的にFFTが利用されるが、利用方法によっては、対象物の周波数/強度が大きく変化するため、以下の手順を規定している。
なお、導電性フィルムの上側と下側の配線部16a及び16bの一方が多角形の配線パターンを持つ複数の金属細線14で構成され、他方の配線部がITO等の多角形の配線パターンを持つ透明導電膜で構成されている場合には、両者の配線パターンの合成配線パターンの透過率画像データは、一方の複数の金属細線14で構成される多角形の配線パターンの透過率画像データで表すことができるが、以下では、この場合も、両者の多角形の配線パターンの合成配線パターンの透過率画像データとして扱う。
本発明では、まずは、1つの視点として、表示装置の表示ユニットの表示画面を正面の視点aから観察する場合を考慮すればよいが、本発明はこれに限定されず、少なくとも1つの視点から観察した場合のモアレの視認性を向上させることができるものであれば、いずれの視点から観察したものであっても良い。
もちろん、本発明においては、表示画面を正面から観察する場合(正面観察時)と、表示画面を斜めから観察する場合(斜め観察時)とを考慮するのが好ましい。
以下では、撮像は、RGB3色を副画素とするBM(画素配列)パターンを各色毎に単体で点灯して行うものとして説明する。
本発明法においては、手順1として、図36に示すように、まず、最初に、ステップS10において、視点aに垂直な平面に射影したディスプレイBMデータを作成する。
ここで、ステップS10において行うディスプレイBMデータを作成する方法の詳細を図37に示す。
図37は、本実施形態の導電性フィルムの評価方法の内のディスプレイBMデータの作成方法の詳細の一例を示すフローチャートである。
図37に示すように、まず、ステップS30において、マイクロスコープによるディスプレイの撮像を行う。即ち、ステップS30において、RGBの各色毎に、表示装置の表示ユニットの表示画面(各色の副画素配列パターンの画像)を撮像する。この際、図6(C)、図9(C)及び図11(C)に示すように、それぞれ、図6(A)、図9(A)及び図11(A)に示す3次元形状の表示ユニット30の表示面の中央の、3次元形状が平面に最も近い箇所を撮影し、それらの画素の各副画素の明度データを取得するのが好ましい。その理由は、表示ユニット30において、平面となる箇所が一番高い明度となるため、その明度で評価することにより、一番視認性の悪いモアレやノイズを評価できるからである。
このステップS30では、まず、表示装置40の表示ユニット30をRGBの各色毎に単独で点灯させる。この際、発光側(表示装置40)の設定変更で行える範囲で明るさを最大にするのが好ましい。
次いで、RGBの各色それぞれの副画素点灯状態の下で副画素の画像の撮像を行う。例えば、図2、図32(B)及び図33(A)〜(C)に示すような表示ユニット30の画素配列パターン38(38a〜38c)の副画素(RGBカラーフィルタ)32r、32g、32bのそれぞれの透過光を、マイクロスコープを使って撮影する。撮像においては、マイクロスコープのホワイトバランスをマクベスチャートの白に合わせるのが好ましい。
対象とするディスプレイや、撮像に用いるマイクロスコープ、レンズ、カメラは、特に制限的ではないが、例えば、ディスプレイは、LP101WX1(SL)(n3)(LGディスプレイ社製)、マイクロスコープは、STM6(オリンパス社製)、レンズは、UMPlanFI10x(オリンパス社製)、カメラは、QIC−F−CLR−12−C(QIMAGING社製)を用いることができる。
本発明の実施例では、ディスプレイとして、LP101WX1(SL)(n3)を用い、まず、Gチャネルのみを最大(MAX)強度で点灯させ、マイクロスコープとしてオリンパス社製STM6を用い、対物レンズとして同社製のUMPlanFI10xを用いて撮像する。
この際、撮像条件は、例えば、露光時間が12ms、ゲインが1.0、ホワイトバランス(G、R、B)は(1.00、2.17、1.12)とすることができる。なお、撮像画像は、シェーディング補正が行われているのが望ましい。
その結果、図38(A)に示すGチャネル副画素の1画素の画像を取得することができる。
ここで、本発明においては、特に制限的ではなく、どのようなディスプレイを基準として用いても良いが、ディスプレイの基準として、LP101WX1(SL)(n3)を用いるのが好ましい。
また、ディスプレイLP101WX1(SL)(n3)のBMパターンは、図15(A1)、(A2)に示すBMパターンを有する。なお、図35(A1)及び(A2)には、Gチャネルのみのパターンが示されているが、RBチャネルについても同様である。
RBチャネルの各副画素の1画素の画像も、Gチャネル副画素の1画素の画像と全く同様にして撮像することができる。
次に、撮像後、スペクトロメータ(小型ファイバ光学分光器)を用いて、各副画素画像の分光スペクトルの計測し、計測された分光スペクトルデータを用いて明度変換して、RGB明度画素情報(明度画像データ)を取得する。
例えば、以下のようにして、スペクトロメータを利用して、RGB副画素(BM)インプットデータを作成することができる。
1.まず、ステップS32において、明度の計測を行う。表示ユニット30のGチャネルの副画素を単色で点灯させ、表示ユニット30の表示面の中央部分の平面部分の数画素、例えば、4〜16画素のG副画素をスペクトロメータで計測する。その結果、G副画素について、例えば、図38(B)に示すような分光スペクトルデータを得ることができる。RB副画素についても、G副画素と全く同様して分光スペクトルデータを得ることができる。
なお、明度の計測には、オーシャンオプティクス製スペクトロメータUSB2000+を用い、スペクトロメータのファイバの先端には拡散板(同社製CC−3−UV−S)を利用し、積分時間は250msとする。
2.次に、ステップS34において、ステップS10で得られたマイクロスコープ撮像画像にマスクをかけて2値化を行い、撮像画像の画像データからマスク画像を作成する。マスク画像の作成方法は、Gチャネルの場合には、撮像画像データのGチャネルに対し、点灯BMの画素サイズでの平均値を算出し、その値を閾値として、マスクデータを求め、マスク画像を作成する。この閾値は、撮像画像1画素分の画像のGチャネルのみの平均値である。RBチャネルの場合も、Gチャネルの場合と同様にして撮像画像の画像データからマスク画像を作成する。
3.続いて、得られたマスク画像に対して、解像度×マスク画像の値を持つ面積で規格化した明度データを与えて、インプットデータとする。
即ち、上記2.で得られたマスク画像の(0、1)マスクデータの1の箇所を、上記1.で得られたスペクトルデータに、図39に示すXYZ等色関数をかけたものの積分値で置き換える。例えば、G副画素のインプットデータを作成する際には、図38(B)に示すGの分光スペクトルデータGと図39に示すXYZ等色関数の明度Yの分光スペクトルデータYとの積(G×Y)を求め、B副画素のインプットデータを作成する際には、Bの分光スペクトルデータBと図39に示すXYZ等色関数の明度Yの分光スペクトルデータYとの積(B×Y)を求めればよい。同様にして、R副画素のインプットデータも作成すればよい。この際、算出された明度値(明度データ)Yは、スペクトロメータのセンサ内に含まれる画素数(解像度)と副画素の開口面積(マスク画像の値を持つ面積)に比例するので、画素数×開口面積、即ち解像度×マスク画像の値を持つ面積で規格化して与える。これは、マクロな明度は、副画素を無限小の光源の集合と考えた場合、副画素の開口面積×センサに含まれる画素数と考えることができるからである。
続いて、ステップS36において、マイクロスコープ画像の解像度と、必要なインプットデータ(12700dpi)は異なるため、ステップS34で得られたRGB副画素のインプットデータを、それぞれバイキュービック法で拡縮(縮小)し、ステップS38において、本実施例のディスプレイ明度が1.0となるように規格化して、図38(C)に示す2画素×2画素インプットデータとしてディスプレイBMデータ(規格化明度画像データ)を作成する。
こうして、ディスプレイBMデータを取得することができる。
こうして得られたディスプレイBMデータは、基準となるディスプレイの明度によって規格化された規格化明度画像データとなっているので、他のディスプレイと比較した際にも絶対値で比較することができる。
こうして取得されたディスプレイBMデータを視点aに垂直な平面に射影して射影されたディスプレイBMデータを取得することができる。
ところで、ディスプレイBMデータに対して2次元高速フーリエ変換(2DFFT(基底2))を行うに先立ち、2画素×2画素インプットデータを画像サイズ20000pix×20000pixに近くなる整数倍繰り返しコピーし、モアレ評価用インプットデータとしての規格化明度画像データを作成しておくのが好ましい。
なお、2画素×2画素インプットデータを作成することなく、ステップS34で得られたRGB副画素のインプットデータを、それぞれ、バイリニア補間で、高解像度である解像度12700dpiとし、画像サイズを109pix(画素)×109pix(画素)にバイキュービック法で変換しておいても良い。なお、撮像光学系の解像度が既知であれば、それに応じてこれらは算出可能である。
続いて、RGB各色毎に、画像サイズが109pix×109pix、解像度12700dpiの規格化明度画像を、画像サイズ20000pix×20000pixに近くなる整数倍(183回)繰り返しコピーし、モアレ評価用インプットデータとしての規格化明度画像データを作成しておいても良い。
なお、表示ユニット30のRGB副画素配列パターンを撮像してRGB明度画素情報を表すディスプレイBMデータ(規格化明度画像データ)を取得する方法は、上述したスペクトロメータを用いて、各副画素画像の分光スペクトル計測し、計測された分光スペクトルデータを用いて明度変換する方法に限定されず、撮像画像データから、直接各色(RGB)の明度値に変換するようにしても良い。
例えば、撮像された各色の副画素配列パターンの画像の撮像画像データから、各色(RGB)の明度値に変換し、ディスプレイの明度=1.0を基準にしてRGBの明度データ(合計3種)を作成する。
撮像画像から明度値への変換は、赤の画像データをR、緑の画像データをG、青の画像データをBとし、明度値をYとする時、下記の変換式(2)を用いてY(明度値)を算出し、R、G、Bカラーフィルタ画像(明度比画像)を作成する。
Y=0.300R+0.590G+0.110B ……(2)
こうして得られたG副画素(カラーフィルタ)画像(明度比画像)の最大値を1.0(=0.25*255)、即ち基準として、R、G、B副画素の明度画像を規格化することで、RGB副画素のそれぞれの規格化明度画像(画像データ)を作成することができる。
次に、手順2として、視点aに垂直な平面に射影された、上側及び下側のメッシュ状配線パターン24a及び24bの合成メッシュパターンの画像(透過率画像データ)の作成を行う。なお、上述したように、一方の片側面がメッシュ状配線パターンであり、他方の片側面がITO等の透明導電膜による配線パターンである場合には、両者の合成メッシュパターンの画像は、片側面のメッシュ状配線パターンの画像となる。したがって、この場合には、透明導電膜による配線パターンの透過率画像データの値を全面的に1.0として、合成配線パターンの透過率画像データを作成する。
36に示すように、ステップS12において、射影された合成メッシュパターンの透過率画像データを作成する。即ち、上側及び下側のメッシュ状配線パターン24a及び24bとして、射影された規則性のある多角形、例えば菱形の定型配線パターン25(金属細線14)(図14参照)の透過率画像データを作成して取得し、取得した透過率画像データをそれぞれ用いて、上側及び下側のメッシュ状配線パターン24a及び24bを重ね合わせた状態の合成配線(メッシュ)パターンの合成透過率データを作成する。なお、予め、合成メッシュパターン、メッシュ状配線パターン24a及び24bの透過率画像データの少なくとも1つが準備されている、若しくは蓄えられている場合には、準備された、若しくは蓄えられた中から取得するようにしても良い。以下では、定型配線パターンの代表例として、規則性のある菱形の定型配線パターン25を用いて説明する。
規則性のある菱形のメッシュパターン25は、例えば、図14に示すように、配線となる金属細線14が水平線に対して所定角度、例えば、45°[deg]未満の角度傾いた菱形パターンである。
また、菱形のメッシュパターンの透過率画像データ、及び合成メッシュパターンの透過率画像データを作成する際に、その解像度を、例えば、25400dpiとし、透過率画像データのサイズを規定し、例えば、BMパターン38と同様に、画素サイズを20000pix×20000pixに近く、周期的に切り出すことができるサイズ(例えば、109pix×109pix)の整数倍とする。こうして、規定されたサイズで透過率画像データを作成することができる。
次に、手順3として、手順1(ステップS10)で作成した副画素の規格化明度画像データ及び手順2(ステップS12)で作成した合成メッシュパターンの透過率画像データのそれぞれに対して、2次元高速フーリエ変換(2DFFT(基底2))を行い、スペクトルピークの空間周波数、及びピークスペクトル強度を算出する。
即ち、図36に示すように、ステップS14において、まず、RGBの各色毎にBMパターン38の各色の副画素配列パターン(BMパターン)の明度画像データ及び合成メッシュパターンの透過率画像データのそれぞれに対して2DFFT(画像サイズは、20000pix×20000pix)を行い、フーリエスペクトルを算出する。ここでは、DC(直流)成分の強度が、画像の平均値になるように規格化しておくのが好ましい。
まず、ステップS10で得られたモアレ評価用明度画像データに対して2DFFTを行い、ピーク周波数、及びそのピーク強度を得る。ここでは、ピーク強度は、フーリエスペクトルの絶対値として取り扱う。
これをRGB各色について繰り返し行う。この際、モアレに寄与しない強度が小さいものも全て用いると、計算が煩雑になるばかりか、精度を正しく評価できなくなるおそれがあるので、強度で閾値を設けるのが好ましい。例えば、スペクトル強度の絶対値を常用対数で表した場合に−2.2より大きい(log10(強度)>−2.2)ものだけを採用するのが好ましい。
こうして得られたG色の(副画素配列パターン)の明度画像データの2次元フーリエスペクトルの強度特性の一例を図40(A)に示す。
続いて、こうして作成された合成メッシュパターンの各透過率画像データに対して2DFFTを行い、合成メッシュパターンの各透過率画像データの2次元フーリエスペクトルの複数のスペクトルピークのピーク周波数及びピーク強度を算出する。ここでは、ピーク強度は、絶対値として取り扱う。計算簡略化の為、例えば、強度の閾値は、スペクトル強度の絶対値を常用対数で表した場合に、−2.0より大きいものだけを取り扱うのが好ましい。
こうして得られた合成メッシュパターンの各透過率画像データの2次元フーリエスペクトルの強度特性の一例を図40(B)に示す。
なお、視点を変えた場合の合成メッシュパターンのメッシュの空間周波数及びその強度、及びBMのスペクトル強度は正面のものとは異なる。合成メッシュパターンについては、例えば30°視点をずらすと、上側のメッシュパターンと下側のメッシュパターンとのズレ量は、基体厚み(例えば、PET:100μm)を考慮してずらせばよい。BMのスペクトル強度については、正面の強度と比べて、0.9倍にすればよい。
上述したように、図40(A)及び(B)は、それぞれBMパターン38のG色の(副画素配列パターン)の明度画像データ及び合成メッシュパターンの各透過率画像データの2次元フーリエスペクトルの強度特性を示す図である。
なお、図40(A)及び(B)において、白い部分は強度が高く、スペクトルピークを示しているので、図40(A)及び(B)に示す結果から、BMパターン38のRGB3色の副画素配列パターンに依存する各色点灯時のBMパターン38の明度データ及び合成メッシュパターンのそれぞれについて、各スペクトルピークのピーク周波数及びピーク強度を算出する。即ち、図40(A)及び(B)にそれぞれ示すBMパターン38(各色の副画素配列パターン)の明度データ及び合成メッシュパターンの透過率データの2次元フーリエスペクトルの強度特性におけるスペクトルピークの周波数座標上の位置、即ちピーク位置がピーク周波数を表し、そのピーク位置における2次元フーリエスペクトルの強度がピーク強度となる。
ここでは、BMパターン38の各副画素配列パターン及び合成メッシュパターンの各スペクトルピークのピークの周波数及び強度は、以下のようにして同様に算出されて取得される。以下では、纏めて説明する。なお、以下では、各色点灯時のBMパターン38(各色の副画素配列パターン)の明度データを、明度データで表されるものとして単にBMパターン38の各副画素配列パターンと言い、合成メッシュパターンの透過率画像データを、透過率画像データで表されるものとして単に合成メッシュパターンという。
まず、ピークの算出には、BMパターン38の各副画素配列パターン及び合成メッシュパターンの基本周波数から周波数ピークを求める。これは、2DFFT処理を行う明度画像データ及び透過率画像データは離散値であるため、ピーク周波数が、画像サイズの逆数に依存してしまうからである。周波数ピーク位置は、図41に示すように、独立した2次元基本周波数ベクトル成分aバー及びbバーを元に組み合わせて表すことができる。したがって、当然ながら、得られるピーク位置は格子状となる。
即ち、図42(A)に示すように、BMパターン38の各副画素配列パターン及び合成メッシュパターンのスペクトルピークの周波数座標fxfy上の位置、即ちピーク位置は、パターンピッチの逆数(1/p(pitch)を格子間隔とする周波数座標fxfy上の格子状点の位置として与えられる。
なお、図41は、G色点灯時のBMパターン38のG色の副画素配列パターンの場合の周波数ピーク位置を示すグラフであるが、合成メッシュパターンの場合も、同様にして求めることができる。
一方、ピーク強度の取得においては、上記のピーク周波数の取得においてピーク位置が求まるため、ピーク位置が持つ2次元フーリエスペクトルの強度(絶対値)を取得する。
ここで、得られたピーク強度は、画像面積(画像サイズ)で規格化するのが好ましい。例えば、上述した画像サイズで規格化しておくのが好ましい(パーセバルの定理)。
次に、手順4として、手順3(ステップ14)で得られたRGB各色の単体点灯時のBMパターン38の明度データのピーク周波数及びピーク強度と合成メッシュパターンのピーク周波数及びピーク強度からモアレの空間周波数及び強度の算出を行う。
即ち、図36に示すように、ステップS16において、ステップS14でそれぞれ算出したBMパターン38のRGB各色の副画素配列パターン及びメッシュパターンの両2次元フーリエスペクトルのピーク周波数及びピーク強度から各色についてそれぞれモアレの周波数及び強度を算出する。なお、ここでも、ピーク強度及びモアレの強度は、絶対値として取り扱う。
ここでは、RGB各色の副画素配列パターンのピーク周波数及びピーク強度とメッシュパターン24のピーク周波数及びピーク強度の畳み込み演算によってモアレの空間周波数及び強度を計算することができる。
実空間においては、モアレは、本来、導電性フィルム10の合成メッシュパターンと各色の単体点灯時のBMパターン38の副画素配列パターンとの画像データ(透過率画像データと明度画像データと)の掛け算によって起こるため、周波数空間においては、両者の畳み込み積分(コンボリューション)を行うことになる。しかしながら、ステップS14及び16において、BMパターン38の各色の副画素配列パターン及び合成メッシュパターンの両方の2次元フーリエスペクトルのピーク周波数及びピーク強度が算出されているので、RGBの中の1色の副画素配列パターンと合成メッシュパターンとの両者のそれぞれの周波数ピーク同士の差分(差の絶対値)を求め、求められた差分をモアレの周波数とし、両者の組み合わせた2組のベクトル強度の積を求め、求められた積をモアレの強度(絶対値)とすることができる。
これらのモアレの周波数及びモアレの強度は、RGBの各色毎に求められる。
ここで、図40(A)及び(B)にそれぞれ示すBMパターン38の各色の副画素配列パターンと合成メッシュパターンとのそれぞれ両者の2次元フーリエスペクトルの強度特性のそれぞれの周波数ピーク同士の差分は、各色について、両者の2次元フーリエスペクトルの強度特性を重ね合わせて得られる強度特性において、両者のそれぞれの周波数ピークの周波数座標上のピーク位置間の相対距離に相当する。
なお、BMパターン38の各色の副画素配列パターンと合成メッシュパターンとの両2次元フーリエスペクトルのスペクトルピークは、各色毎に、それぞれ複数存在するので、その相対距離の値である周波数ピーク同士の差分、即ちモアレの周波数も複数求められることになる。したがって、両2次元フーリエスペクトルのスペクトルピークが多数存在すると、求めるモアレの周波数も多数となり、求めるモアレの強度も多数となる。
しかしながら、求められたモアレの周波数におけるモアレの強度が弱い場合は、モアレが視認されないため、モアレの強度が弱いと見做せる所定値またはそれより大きいモアレ、例えば、強度が−4.5以上のモアレのみを扱うのが好ましい。
また、ここで、表示装置においては、ディスプレイ解像度が決まっているため、ディスプレイが表示できる最高の周波数はその解像度に対して決まる。このため、この最高の周波数より高い周波数を持つモアレは、このディスプレイで表示されないことになるので、本発明における評価の対象とする必要はない。従って、ディスプレイ解像度に合わせてモアレの最高周波数を規定することができる。ここで、本発明において考慮すべきモアレの最高周波数は、ディスプレイの画素配列パターンの画素ピッチをPd(μm)とする時、1000/Pd(cycle/mm)とすることができる。
以上から、本発明では、両2次元フーリエスペクトルのスペクトルピークから求められたモアレの周波数及び強度の中で、本発明における評価(定量化)の対象とするモアレは、モアレの周波数が、対象となるディスプレイ解像度(例えば、本実施例のものでは、151dpi)に応じて規定されるモアレの最高周波数1000/Pd以下の周波数を持つモアレであって、モアレの強度が−4.5以上のモアレである。本発明において、モアレの強度が−4.5以上のモアレを対象とする理由は、強度が−4.5未満のモアレも多数発生し、合算値をとると本来見えないモアレまで点数付けすることになるからである。このため、本発明においては、経験的な視認限界より−4.5以上という閾値を設けている。
次に、手順5として、手順4(ステップS16)で算出したRGB各色の副画素毎のモアレの周波数及び強度を用いて、モアレの定量化を行い、モアレの評価指標となる定量値を求める。
即ち、図36に示すように、ステップS18において、ステップS16で残ったモアレ評価用スペクトルピークに対して視覚伝達関数(VTF;Visual Transfer Function)を畳み込み、定量化する。
なお、モアレの定量化に先立ち、両2次元フーリエスペクトルのスペクトルピークが多数存在すると、求めるモアレの周波数も多数となり、計算処理に時間がかかることになる。このような場合は、予め両第2次元フーリエスペクトルのスペクトルピークにおいて、それぞれピーク強度が弱いものを除いて、ある程度強いもののみを選定しておいてもよい。その場合は、選定されたピーク同士の差分のみを求めることになるので、計算時間を短縮することができる。
例えば、対象として、モアレスペクトルに観察距離400mmとして視覚伝達関数(VTF;Visual Transfer Function:下記式(1)参照)(VTFが最大値をとる周波数より小さい低周波数領域ではVTFを1.0とする。但し、0周波数成分は0とする。)を畳み込んだ後、−3.8以上のもののみを取り扱うことができる。
ここで、人の目に見えるモアレのみを抽出するために、システム内での散乱の効果を踏まえて、観察距離400mm相当のVTFを代用している。
こうして残ったスペクトルピークをモアレ評価用スペクトルピークとすることができる。この際、スペクトル強度は、常用対数で−3.8以上のピークのみを用いることが好ましい。これにより、知覚されるモアレを抽出することが可能となる。
こうして求められたモアレ周波数及びモアレの強度を、図44に示す。図44は、図15(A)に示す画素配列パターンと図14に示す定型配線パターンとの干渉によって発生するモアレの周波数及びモアレの強度を模式的に表わす概略説明図であり、図40(A)及び(B)に示す2次元フーリエスペクトルの強度特性の畳み込み積分の結果ということもできる。
図44においては、モアレの周波数は、縦横軸の位置によって表され、モアレの強度は、グレー(無彩色)濃淡で表され、色が濃いほど小さく、色が薄い、即ち白いほど大きくなることを示している。
モアレの定量化においては、具体的には、ステップS18において、ステップS16で得られたRGB各色の副画素毎のモアレの周波数及び強度(絶対値)に、それぞれ下記式(1)で示す人間の視覚応答特性の一例を表す観察距離750mm相当の人間の視覚応答特性(VTF)を作用させて、即ち畳み込み積分を行い、各色毎の複数のモアレの評価値を算出する。ここで、モアレの点数付けのために、観察距離750mm相当のVTFを代用している。
VTF=5.05e−0.138k(1−e0.1k) …(1)
k=πdu/180
ここで、kは、立体角で定義される空間周波数(cycle/deg)であり、上記式(1)で表され、uは、長さで定義される空間周波数(cycle/mm)であり、dは、観察距離(mm)で定義される。
上記式(1)で示される視覚伝達関数は、Dooley−Shaw関数と呼ばれるもので、参考文献(R.P.Dooley, R.Shaw: Noise Perception in Electrophotography, J.Appl.Photogr.Eng., 5, 4 (1979), pp.190-196.)の記載を参照することにより求めることができる。
こうして、RGBの各色毎に、強度の常用対数をとったモアレの評価値を求めることができる。
ここで、RGBの各色毎に、上述したステップS10〜S18を繰り返して、RGBのモアレの評価値を求めても良いが、上述したステップS10〜S18の各ステップにおいて、RGBの各色の演算を行っても良い。
こうして得られたRGBのモアレの評価値の中の最悪値、即ち最大値をモアレの評価指標(定量値)とする。モアレの評価指標の値も、常用対数で表され、モアレの評価指標の常用対数での値(常用対数値)として求められる。なお、最悪値の算出に伴い、評価画像もRGB表示で合せて評価するのが好ましい。
なお、モアレの評価指標であるモアレの定量値は、従来通りのモアレ、及びノイズを定量化したものと言える。本発明では、ノイズは、モアレがたくさんある状態として定義することができる。したがって、本発明では、単一周波数にピークがあれば、モアレと判断し、単一周波数付近に複数のピークがあれば、ノイズと判断することができる。
以上のモアレの評価指標は、ディスプレイ40の表示ユニット30の表示画面に積層された導電性フィルム10を表示画面の正面から観察する場合のものであるが、本発明はこれに限定されず、正面に対し、斜めから観察する場合のモアレの評価指標を求めても良い。
なお、斜めから観察する場合のモアレの評価指標を求める場合には、斜め観察時のディスプレイ40のRGBの強度を、正面観察時の明度の90%で計算し、ステップS14に戻り、再度、各色のフーリエスペクトルのピーク周波数・強度を算出する。この後、ステップS16〜S18を同様に繰り返し、斜め観察時のモアレの評価指標を算出する。
こうして、正面観察時及び斜め観察時のモアレの評価指標が算出されると、正面観察時及び斜め観察時のモアレの評価指標の内の大きい値(最悪値)がモアレの評価に供されるモアレの評価指標として算出される。
なお、正面観察時及び斜め観察時の一方しか行わない場合には、正面観察時又は斜め観察時のモアレの評価指標がそのままモアレの評価に供されるモアレの評価指標となる。
次に、手順6として、手順5(ステップS24)で算出されたモアレの評価指標(定量値:最悪値)に基づいて配線パターンの評価を行う。
即ち、図36に示すように、ステップS20において、ステップS18で求めた当該合成メッシュパターンのモアレの評価指標の常用対数値が、所定の評価閾値以下であれば、当該合成メッシュパターンを構成する各菱形の定型メッシュパターンは、本発明の導電性フィルム10に適用するのに最適化された菱形の定型メッシュパターンであると評価し、図14に示す最適化された菱形のメッシュの定型配線パターン25として設定する。
一方、モアレの評価指標の常用対数値が、ランダム化に適した所定の評価閾値以下であれば、当該合成メッシュパターンを構成する各菱形の定型メッシュパターンは、ランダム化することにより、本発明の導電性フィルム10に適用するのに最適化されたランダムパターンとなるランダム化に適した菱形の定型メッシュパターンであると評価し、適格化された菱形の定型メッシュパターンとして設定する。
なお、モアレの評価指標の値を、常用対数で、所定の評価閾値以下に限定する理由は、所定の評価閾値より大きいと、最適化された菱形の定型メッシュパターン25を配線パターンとして用いた時、また、適格化された菱形の定型メッシュパターンを(ピッチ、角度の不規則化、及び波線化によって)所定閾値以下のランダム性を付与した図15、図17及び図19に示すランダムパターン25a、25b、25cを配線パターンとして用いた時、重畳された配線パターンとBMパターン各副画素配列パターンとの干渉によって生じたモアレがあると視認され、視認されたモアレが目視するユーザにとって劣化が認められ僅かでも気になるものとなるからである。モアレの評価指標の値が、所定の評価閾値以下では、劣化が認められても気にならないからである。
ここで、所定の評価閾値は、導電性フィルム及び表示装置の性状に応じて、具体的には、定型メッシュパターン25の金属細線14の線幅や、開口部22の形状やそのサイズ(ピッチ等)や角度や、2つの配線層の配線パターンの位相角(回転角、ズレ角)等、及びBMパターン38の形状やそのサイズ(ピッチ等)や配置角度等に応じて適宜設定されるものであるが、定型メッシュパターン25をモアレが視認されないように最適化する場合には、例えば、常用対数で−3.17(真数で10−3.17)以下であるのが好ましい。即ち、モアレの評価指標は、その値が、例えば、常用対数で−3.17(真数で10−3.17)以下であるのが好ましい。
なお、定型メッシュパターン25に対して不規則性を付与してランダム化したランダムパターンをモアレが視認されないように最適化する場合には、例えば、常用対数で−2.80(真数で10−2.80)以下であるのが好ましく、常用対数で−3.17(真数で10−3.17)以下であるのがより好ましく、常用対数で−4.00(真数で10−4.00)以下であるのが最も好ましい。即ち、モアレの評価指標は、その値が、例えば、常用対数で−2.80(真数で10−2.80)以下であるのが好ましく、常用対数で−3.17(真数で10−3.17)以下であるのがより好ましく、常用対数で−4.00(真数で10−4.00)以下であるのが最も好ましい。
なお、詳しくは後述するが、規則性のある菱形の様々な定型メッシュパターン25の重ね合わせによって構成される多数の合成メッシュパターンについて、シミュレーションサンプル及び実サンプルでモアレの評価指標を求め、その後、少なくとも一方の定型メッシュパターン25に対して、そのセル22のピッチや、角度に所定閾値以下のランダム性を付与したメッシュ状ランダムパターン25a又は25b、若しくは、そのセル22の辺を波線化して所定閾値以下のランダム性を付与したメッシュパターン25cを用いて、ランダム性が付与された合成メッシュパターンを構成し、3名の官能評価者が、定型メッシュパターン25の重ね合わせによる合成メッシュパターン(ランダム性付与無し)及びランダム性が付与された合成メッシュパターンとBMパターンのRGB3色の各色の副画素配列パターンとの干渉によるモアレ目視による官能評価を行ったところ、モアレの評価指標が、ランダム性の付与が無い場合には常用対数で−3.17以下であれば、ランダム性が付与された場合には、常用対数で−2.80以下であれば、ディスプレイが点灯された状態で、重畳された合成メッシュパターンとBMパターンのRGB3色の各色の副画素配列パターンとの干渉によって生じるモアレの視認性に対して、劣化が僅かに認められても気にならないレベル以上のレベルだからである。
したがって、本発明において最適化された合成メッシュパターン及び構成要素となる菱形の定型メッシュパターン25では、モアレの評価指標を、好ましい範囲として、ランダム性を付与しない場合には常用対数で−3.17(真数で10−3.17)以下に特定し、ランダム性を付与する場合には常用対数で−2.80(真数で10−2.80)以下に特定する。
もちろん、定型メッシュパターン25の金属細線14の線幅や、開口部22の形状やそのサイズ(ピッチや角度)や、ランダム性を付与しない場合及び付与する場合の2つの配線層の定型メッシュパターン25の位相角(回転角、ズレ角)等に応じて、ランダム性を付与しない場合及び付与する場合において複数の最適化されたメッシュパターン25が得られるが、モアレの評価指標の常用対数値が小さいものが最良の定型メッシュパターン25となり、複数の最適化された定型メッシュパターン25には序列を付けることもできる。
なお、アレの評価指標が常用対数で−3.17以下として特定された場合には、特定された定型メッシュパターン25は、最適化されたものとして、本発明の導電性フィルムの配線パターンに決定され、かつ評価される。
一方、手順6(ステップS20)で菱形の適格化定型メッシュパターンが設定されている場合には、手順7として、設定された適格化定型メッシュパターンに不規則性の付与を行う。
36に示すように、ステップS22において、ステップS20で設定された、例えば図14に示す適格化定型メッシュ(配線)パターン25の菱形形状のセル22のピッチ、角度に対して所定範囲の不規則性を付与して、若しくはセル22の辺を波線化して不規則性を付与して得られた、図15、図16、及び図17に示す配線パターン25a、25b、及び25cを、本発明の導電性フィルムの配線パターンとして決定し評価する。
ここで、ステップS22における所定の不規則性付与は、以下のようにして行うことができる。
まず、図14に示す適格化配線パターン25において、そのセル22の菱形形状のピッチに対して、所定範囲の不規則性を付与して、図15に示す平行四辺形のランダムパターン25aを作成する場合について説明する。
即ち、図14に示す規則性のある定型配線パターン25の菱形形状において、菱形の対向する2辺に平行性を保ったまま所定距離平行に移動させることにより、菱形形状のピッチに対して所定の不規則性を付与して、図15に示すランダム性が付与された平行四辺形の配線パターン25aを得ることができる。
この時、対向する2辺の平行性は保たれるので、角度θは保存され、セル22の菱形は平行四辺形に変化する。このように菱形を構成する1本の線を移動させる場合には、不規則性の付与の前後において菱形の角度θが保存される。したがって、菱形のピッチがランダムに変化し、角度θが保存されるので、菱形のピッチをランダムに変形させ、角度θを一定に保つ角度保存パターンであるということができる。
なお、本発明においては、不規則性は、規則性のある定型配線パターン25において、不規則性が付与される前の菱形のピッチに対する、不規則性が付与された平行四辺形のピッチの分布、例えば正規分布又は一様分布に従う平均値の割合で定義される。
本発明においては、上記で定義される不規則性の所定の限定範囲は、0%超10%以下であるのが好ましく、より好ましくは、2%〜10%であるのがよく、更に好ましくは、2%〜8%であるのが良い。
ここで、不規則性を上記所定の限定範囲に限定する理由は、この限定範囲内であれば、モアレの発生が抑止され、モアレの視認性に優れたものとすることができ、重畳するBMパターン少し変化した場合であっても、モアレの発生を抑止することができ、モアレの視認性に優れた性能を維持することができるが、この限定範囲を外れると、不規則性の付与による上記効果を得ることができなくなるからである。
規則的な定型メッシュパターンのセルのピッチに対する所定範囲の不規則性付与は、以上のように行うことができる。
次に、図14に示す適格化配線パターン25において、そのセル22の菱形形状の角度に対して、所定範囲の不規則性を付与して、図16に示す四角形のランダムパターン25bを作成する場合について説明する。
まず、14に示す適格化配線パターン25の菱形形状において、菱形の対向する2辺の内の1辺を他方の辺に対して平行性をなくすように所定角度傾斜させることにより、菱形形状の角度θに対して所定の不規則性を付与して、図16に示すランダム性が付与されたランダム配線パターン25bを得ることができる。
この時、対向する2辺のなす角度は変化し、平行性は維持されないことから、開口部の菱形形状は四角形に変化する。このように菱形を構成する1本の線を対向する他の1本の線に対して傾斜させる場合には、不規則性の付与の前後において菱形の角度、例えば、隣接する辺のなす角、もしくは、1つの直線に対して交差する菱形の辺のなす角が変化する。したがって、角度θがランダムに変化し、角度θの変化に応じて菱形のピッチも変化する。即ち、菱形の角度θをランダムに変化させ、その結果、角度θの変化に応じてピッチも変化させるパターンであるということができる。
なお、本発明においては、不規則性は、定型配線パターン25において、不規則性が付与される前の菱形のピッチに対する、不規則性が付与された四角形のピッチの正規分布に従う平均値の割合で定義される。
本発明においては、上記で定義される不規則性の所定の限定範囲は、0%超3%以下であるのが好ましく、より好ましくは、0.2%〜3%であるのがよく、更に好ましくは、0.5%〜3%であるのが良い。
ここで、不規則性を上記所定の限定範囲に限定する理由は、この限定範囲内であれば、モアレの発生が抑止され、モアレの視認性に優れたものとすることができ、重畳するBMパターン少し変化した場合であっても、モアレの発生を抑止することができ、モアレの視認性に優れた性能を維持することができるが、この限定範囲を外れると、不規則性の付与による上記効果を得ることができなくなるからである。
規則的な定型メッシュパターンのセルの角度に対する所定範囲の不規則性付与は、以上のように行うことができる。
次に、図14に示す適格化定型配線パターン25において、そのセル22の菱形形状の辺を波線化することにより、セル22の菱形形状に対して所定範囲の不規則性を付与して、図17に示す波線化ランダム配線パターン25cを作成する場合について説明する。
まず、図14に示す定型配線パターン25において、セル22の辺を構成する金属細線14を所定振幅A、所定波長λ、及び所定位相αの波線の形状に変形させることにより、所定の不規則性を付与して、図17に示すランダム性が付与された波線化ランダムパターン25cを得ることができる。
この時、図17に示す波線化ランダムパターン25cを構成する金属細線14の波線の中心線は、図14に示す定型配線パターン25の金属細線14の直線と一致する。したがって、波線化ランダムパターン25cの波線の中心線によって形成される開口部(セル)は、図14に示す定型配線パターン25の菱形形状のセル22と一致するので、波線化ランダムパターン25cのセル22は、菱形形状のセル22の各辺を波線化したものということができる。
なお、本発明においては、不規則性は、菱形の定型配線パターン25のセル22の菱形形状、即ち、不規則性が付与される前の菱形形状のピッチに対する、不規則性が付与された波線化ランダムパターン25cの波線の振幅A、波長λ、及び位相αの割合(%)で定義される。
本発明においては、上記で定義される不規則性の所定の限定範囲は、波線の振幅Aが菱形の配線パターン25の菱形のセル22のピッチの2.0%以上20%以下であるのが好ましい。
ここで、不規則性を上記所定の限定範囲に限定する理由は、この限定範囲内であれば、モアレの発生が更に抑止され、モアレの視認性に更に優れたものとすることができ、重畳するBMパターン少し変化した場合であっても、モアレの発生を抑止することができ、モアレの視認性に優れた性能を維持することができるが、この限定範囲を外れると、不規則性の付与による上記効果を得ることができなくなるからである。
ステップS20における所定の不規則性付与は、以上のように行うことができる。
こうして、本発明の導電性フィルムの配線パターンの評価方法は、終了し、評価された定型配線パターン及びランダム配線パターンを本発明の導電性フィルムの配線パターンとして評価し、決定することができる。
その結果、点灯状態の表示装置の表示ユニットのBMパターンに重畳しても、モアレの発生が抑止され、異なる解像度の表示装置に対しても、また、観察距離によらず、モアレの視認性に優れた、最適化された定型配線パターン、及び不規則性が付与されて最適化された配線パターンを持つ本発明の導電性フィルムを作製することができる。
本発明においては、所定のBMパターンに対して、最適化した定型配線パターンを評価するので、また、所定のBMパターンに対して、適格化した定型配線パターンに上述した所定範囲内で不規則性を付与するので、モアレの発生が抑止され、モアレの視認性に優れたものとすることができ、また、最適化した定型配線パターンに更に上述した所定範囲内で不規則性を付与する場合はモアレの発生が更に抑止され、モアレの視認性に更に優れたものとすることができ、重畳するBMパターン少し変化した場合であっても、モアレの発生を抑止することができ、モアレの視認性に優れた性能を維持することができる。
次に、本発明における視点aに垂直な平面に射影された状態において、所定の強度(明度値)を持つ表示装置の画素配列(BM)パターンに対する導電性フィルムの配線パターンのノイズ視認性の最適化及びランダム化の手順について説明する。
即ち、本発明の射影された導電性フィルムにおいて、少なくとも1視点において、所定の強度の表示装置の所定の射影された画素配列(BM)パターンに対してノイズが人間の視覚に知覚されないように最適化された不規則(ランダム)配線パターンを評価して決定する手順について説明する。
図45は、本発明の他の実施形態の導電性フィルムの評価方法の一例を示すフローチャートである。
図45に示す本実施形態の導電性フィルムの評価方法は、図36に示す上述した実施形態の導電性フィルムの評価方法と、モアレの評価指標を求めて定型配線パターンを評価するのに対し、ノイズの評価指標を求めてランダムメッシュパターンを評価する点、定型配線パターンの合成配線パターンを作成し、ランダム性の付与は、モアレの評価指標による評価後であるのに対し、予めランダムメッシュパターンを作成して合成配線パターンを作成する点では異なるが、ステップS10のディスプレイのBMデータの作成ステップは全く同じであり、ステップS14のBMパターン、合成配線パターンの2次元高速フーリエ変換(2DFFT)スペクトルの算出ステップも類似しており、他の部分についても類似している部分があるので、以下では、同様な部分については、その詳細な説明を省略する。
本実施形態の導電性フィルムの配線パターンの評価方法は、まず、表示装置の表示ユニットの複数色(例えばRGB)の各色の単体点灯時のBM(画素配列)パターンの明度画像データを取得する。また、導電性フィルムの上側と下側の一方に用いられる不規則配線パターンと他方に用いられる配線パターンとを生成し、それらの透過率データを得、それらの合成配線パターンの透過率データを取得する。ここで、他方に用いられる配線パターンは、不規則配線パターンであっても良いし、規則的な配線パターンであっても良い。
次に、合成配線パターンの透過率データとBMパターンとの高速フーリエ変換(FFT)を用いた周波数解析により得られるノイズの周波数・強度から、表示ユニットの表示解像度に応じて規定されるノイズの最高周波数以下の周波数及び所定の強度を持つ各色についてのノイズ(周波数・強度)を選び出す。
次いで、選び出された各色についてのそれぞれのノイズの周波数におけるノイズの強度に人間の視覚応答特性を観察距離に応じて作用させてそれぞれ各色のノイズの評価値を得、得られた複数のノイズの定量値からノイズの評価指標(定量値)を算出する。
次に、算出されたノイズの評価指標が予め設定された条件を満たす合成配線パターンを構成する不規則配線パターンを、ノイズが視認されないように最適化された配線パターンとして評価し、最適化された不規則配線パターンとして決定するものである。
本発明法においては、手順1として、図45に示すように、まず、最初に、ステップS10において、ディスプレイを定量的に取り扱うために、ディスプレイの透過率画像データ(BMデータ)を作成する。
ここで、ステップS10において行うディスプレイBMデータを作成する方法は、モアレの評価とノイズの評価の違いはあるが、上述した実施形態の導電性フィルムの配線パターンの評価方法と全く様に、図37に示すディスプレイBMデータの作成方法のフローに従って、行えばよい。
次に、手順2として、導電性フィルム10のメッシュ状配線パターン24を定量化するために、導電性フィルム10の上側及び下側の配線パターン24a及び24bの合成配線パターンの画像(透過率画像データ)の作成を行う。なお、配線パターン24a及び24bの少なくとも一方は、不規則メッシュパターン(以下、ランダムメッシュパターンともいう)である。上述したように、一方の片側面がランダムメッシュパターンであり、他方の片側面がITO等の透明導電膜による配線パターンである場合には、両者の合成配線パターンの画像(透過率画像データ)は、片側面のランダムメッシュパターンの画像(透過率画像データ)で表すものとする。
図45に示すように、ステップS24において、ランダムメッシュパターンを含む合成配線パターンの透過率画像データを作成する。
ここでは、上側及び下側の配線パターン24a及び24bの少なくとも一方として用いられるランダムメッシュパターン25dの透過率画像(データ)を作成する。その手順では、まず、上述の図28に示すように、平面領域100内において任意の間隔で無作為に選択された複数の位置にドットを発生させて複数のシード点pとするのが好ましい。次に、図27に示すように、得られた複数のシード点のドットデータを、元にボロノイ図(ボロノイ分割法)に従って決定されたボロノイ多角形を開口部22として持つランダムメッシュパターン25dを作成して、その透過率画像データを取得するのが好ましい。なお、上述したように、なお、ランダムメッシュパターンの作成方法は、ドロネー三角形でも何であってもよい。
なお、上側及び下側の配線パターン24a及び24bとしてランダムメッシュパターン25dを用いる場合には、2つのランダムメッシュパターン25dの透過率画像データから両者を重ね合わせた状態の合成配線パターンの透過率画像データを作成する。
上側及び下側の配線パターン24a及び24bの一方のみにランダムメッシュパターン25dを用いる場合には、別途、他方の配線パターンの透過率画像データを取得して、両者の透過率画像データから両者を重ね合わせた状態の合成配線パターンの透過率画像データを作成する。この時、他方の配線パターンがITO等の透明導電膜の配線パターンである場合には、その透過率データの値を全面的に1.0として、合成配線パターンの透過率画像データを作成する。
なお、予め、合成配線パターン、メランダムメッシュパターン25d、及びメッシュ状配線パターン24a及び24bの他方の配線パターンの透過率画像データの少なくとも1つが準備されている、若しくは蓄えられている場合には、準備された、若しくは蓄えられた中から取得するようにしても良い。
なお、今回、実施例において、ランダムに発生させたシード点pのドットデータは、以下の通りである。
先ず、例えば、解像度12700dpi(2μm/pix)で、10mm相当(5000pix×5000pix)の平面領域100を持つキャンバスを用意する。そこに、メッシュになった時のピッチを想定し、必要な数のドットを配置する。ドット数は、例えばピッチを50μmと想定した場合、キャンバスサイズが5000pix×5000pixなので、50μmは25pixに相当するので、25pixで割ると、200×200=40000のドットが必要になる。それをランダムに配置する。想定したピッチとドット数との組み合わせ(ピッチドット数)は、例えば、(50μm,40000ドット)、(100μm,10000ドット)、(200μm,2500ドット)、(300μm,1111ドット)の計4種である。ランダムメッシュパターンを描画する際の線幅は、例えば、2μm及び4μmを利用する。
また、ランダムメッシュパターンの透過率画像データ、及び合成配線パターンの透過率画像データを作成する際に、その解像度を、例えば、25400dpiとし、透過率画像データのサイズを規定し、例えば、BMパターン38の場合と同様に、画素サイズを20000pix×20000pixに近く、周期的に切り出すことができるサイズ(例えば、109pix×109pix)の整数倍としても良い。こうして、規定されたサイズで透過率画像データを作成することができる。
次に、手順3として、手順1(ステップS10)で作成した副画素の規格化明度画像データ及び手順2(ステップS24)で作成した合成配線パターンの透過率画像データのそれぞれに対して、2次元高速フーリエ変換(2DFFT(基底2))を行い、両透過率画像データの定量化を行って、スペクトルピークの空間周波数、及びピークスペクトル強度を算出する。
即ち、図45に示すように、ステップS14において、まず、RGBの各色毎にBMパターン38の各色の副画素配列パターン(BMパターン)の明度画像データ及び合成配線パターンの透過率画像データのそれぞれに対して2DFFT(画像サイズは、5000pix×5000pix)を行い、フーリエスペクトルを算出する。ここでは、DC(直流)成分の強度が、画像の平均値になるように規格化しておくのが好ましい。
まず、上述したように、ステップS10で得られたノイズ評価用明度画像データに対して2DFFTを行い、ピーク周波数、及びそのピーク強度を得る。
こうして得られたG色の(副画素配列パターン)の明度画像データの2次元フーリエスペクトルの強度特性の一例を図46(A)に示す。なお、図46(A)に示すG色の明度画像データの2次元フーリエスペクトルの強度特性は、図40(A)に示すものと同じである。
続いて、ステップS24で作成された合成配線パターンの透過率画像データに対して2DFFTを行い、合成配線パターンの透過率画像データの2次元フーリエスペクトルの複数のスペクトルピークのピーク周波数及びピーク強度を算出する。ここでは、ピーク強度は、絶対値として取り扱う。計算簡略化の為、例えば、強度の閾値は、スペクトル強度の絶対値を常用対数で表した場合に、−3.0より大きいものだけを取り扱うのが好ましい。
こうして得られた合成配線パターンの透過率画像データの2次元フーリエスペクトルの強度特性の一例を図46(B)に示す。本発明においては、ノイズの視認性を評価対象としている。このため、評価に組み入れるスペクトルピークの強度閾値は、離散的に存在する強い(高い)ピーク強度を対象とするモアレの場合と異なり、分布状態を評価する必要があるので、より弱い(低い)ピーク強度まで評価に組み入れる必要があることから、より小さい閾値となっている。
なお、図46(B)に示す2次元パワースペクトルの強度の分布を示す図において、横軸及び縦軸は、それぞれ2次元の各軸、例えばX軸及びY軸方向に対する空間周波数(cycle/mm)を示す。この分布図の中心、即ち原点は、空間周波数が0cycle/mmであることを示し、中心からの距離を表わす動径rは、空間周波数(cycle/mm)を示す。また、同図において、空間周波数帯域毎の表示濃度が濃い(黒い)ほど強度レベル(スペクトルの値)が小さくなり、表示濃度が薄い(白い)ほど強度レベルが大きくなっていることを示す。本図の例では、この2次元スペクトルの強度分布特性は、等方的であるとともに環状のピークを1個有していることを示し、略同一の空間周波数、例えば、15cycle/mm付近に空間周波数を持つスペクトルピークが等方的に分布していることを示している。即ち、ランダムメッシュパターンは、セル(開口部22)の平均ピッチが67μm付近であることを示している。
なお、視点を変えた場合の合成配線パターンのメッシュの空間周波数及びその強度、及びBMのスペクトル強度は正面のものとは異なる。合成配線パターンについては、例えば30°視点をずらすと、上側のメッシュパターンと下側のメッシュパターンとのズレ量は、基体厚み(例えば、PET:100μm)を考慮してずらせばよい。BMのスペクトル強度については、正面の強度と比べて、0.9倍にすればよい。
上述したように、図46(A)及び(B)は、それぞれBMパターン38のG色の(副画素配列パターン)の明度画像データ及び合成配線パターンの透過率画像データの2次元フーリエスペクトルの強度特性を示す図である。
なお、図46(A)及び(B)において、白い部分は強度が高く、スペクトルピークを示しているので、図46(A)及び(B)に示す結果から、BMパターン38のRGB3色の副画素配列パターンに依存する各色点灯時のBMパターン38の明度データ及び合成配線パターンのそれぞれについて、各スペクトルピークのピーク周波数及びピーク強度を算出する。即ち、図46(A)及び(B)にそれぞれ示すBMパターン38(各色の副画素配列パターン)の明度データ及び合成配線パターンの透過率データの2次元フーリエスペクトルの強度特性におけるスペクトルピークの周波数座標上の位置、即ちピーク位置がピーク周波数を表し、そのピーク位置における2次元フーリエスペクトルの強度がピーク強度となる。
ここでは、BMパターン38の各副画素配列パターン及び合成配線パターンの各スペクトルピークのピークの周波数及び強度は、上述した図36に示すモアレの評価指標の算出例の場合のステップS14と同様に算出されて取得される。上述した例と、合成配線パターンの透過率画像データの値自体は異なるが、合成配線パターンの透過率画像データとしては同じであり、各色点灯時のBMパターン38(各色の副画素配列パターン)の明度データは全く同じであるので、詳細な説明は省略する。
次に、手順4として、手順3(ステップ14)で得られたRGB各色の単体点灯時のBMパターン38の明度データのピーク周波数及びピーク強度と合成配線パターンのピーク周波数及びピーク強度からノイズの空間周波数及び強度を算出し、それらの予測を行う。
即ち、図45に示すように、ステップS26において、ステップS14でそれぞれ算出したBMパターン38のRGB各色の副画素配列パターン及びメッシュパターンの両2次元フーリエスペクトルのピーク周波数及びピーク強度から各色についてそれぞれノイズの周波数及び強度を算出する。なお、ここでも、ピーク強度及びノイズの強度は、絶対値として取り扱う。
ここでは、RGB各色の副画素配列パターンのピーク周波数及びピーク強度とメッシュパターン24のピーク周波数及びピーク強度の畳み込み演算によってノイズの空間周波数及び強度を計算することができる。
実空間においては、ノイズは、本来、導電性フィルム10の合成配線パターンと各色の単体点灯時のBMパターン38の副画素配列パターンとの画像データ(透過率画像データと明度画像データと)の掛け算によって起こるため、周波数空間においては、両者の畳み込み積分(コンボリューション)を行うことになる。しかしながら、ステップS14及び16において、BMパターン38の各色の副画素配列パターン及び合成配線パターンの両方の2次元フーリエスペクトルのピーク周波数及びピーク強度が算出されているので、RGBの中の1色の副画素配列パターンと合成配線パターンとの両者のそれぞれの周波数ピーク同士の差分(差の絶対値)を求め、求められた差分をノイズの周波数とし、両者の組み合わせた2組のベクトル強度の積を求め、求められた積をノイズの強度(絶対値)とすることができる。
これらのノイズの周波数及びノイズの強度は、RGBの各色毎に求められる。
ここで、図46(A)及び(B)にそれぞれ示すBMパターン38の各色の副画素配列パターンと合成配線パターンとのそれぞれ両者の2次元フーリエスペクトルの強度特性のそれぞれの周波数ピーク同士の差分は、各色について、両者の2次元フーリエスペクトルの強度特性を重ね合わせて得られる強度特性において、両者のそれぞれの周波数ピークの周波数座標上のピーク位置間の相対距離に相当する。
なお、BMパターン38の各色の副画素配列パターンと合成配線パターンとの両2次元フーリエスペクトルのスペクトルピークは、各色毎に、それぞれ複数存在するので、その相対距離の値である周波数ピーク同士の差分、即ちノイズの周波数も複数求められることになる。したがって、両2次元フーリエスペクトルのスペクトルピークが多数存在すると、求めるノイズの周波数も多数となり、求めるノイズの強度も多数となる。
しかしながら、求められたノイズの周波数におけるノイズの強度が弱い場合は、ノイズが視認されないため、ノイズの強度が弱いと見做せる所定値またはそれより大きいノイズ、例えば、強度が−4.5以上のノイズのみを扱うのが好ましい。
また、ここで、表示装置においては、ディスプレイ解像度が決まっているため、ディスプレイが表示できる最高の周波数はその解像度に対して決まる。このため、この最高の周波数より高い周波数を持つノイズは、このディスプレイで表示されないことになるので、本発明における評価の対象とする必要はない。従って、ディスプレイ解像度に合わせてノイズの最高周波数を規定することができる。ここで、本発明において考慮すべきノイズの最高周波数は、ディスプレイの画素配列パターンの画素ピッチをPd(μm)とする時、1000/Pd(cycle/mm)とすることができる。
以上から、本発明では、両2次元フーリエスペクトルのスペクトルピークから求められたノイズの周波数及び強度の中で、本発明における評価(定量化)の対象とするノイズは、ノイズの周波数が、対象となるディスプレイ解像度(例えば、本実施例のものでは、264dpi)に応じて規定されるノイズの最高周波数1000/Pd(本実施例のものでは、10cycle/mm)以下、例えば、8cycle/mm以下の周波数を持つノイズであって、ノイズの強度が−4.5以上のノイズである。本発明において、ノイズの強度が−4.5以上のノイズを対象とする理由は、強度が−4.5未満のノイズも多数発生し、合算値をとると本来見えないノイズまで点数付けすることになるからである。このため、本発明においては、経験的な視認限界より−4.5以上という閾値を設けている。
次に、手順5として、手順4(ステップS26)で算出したRGB各色の副画素毎のノイズの周波数及び強度を用いて、ノイズの定量化を行い、ノイズの評価指標となる定量値を求める。
即ち、図45に示すように、ステップS28において、ステップS26で残ったノイズ評価用スペクトルピークに対して視覚伝達関数(VTF;Visual Transfer Function)を畳み込み、定量化する。
ノイズの定量化においては、具体的には、ステップS28において、ステップS26で得られたRGB各色の副画素毎のノイズの周波数及び強度(絶対値)に、それぞれ上記式(1)で示す人間の視覚応答特性の一例を表す観察距離750mm相当の人間の視覚応答特性(VTF)を作用させて、即ち畳み込み積分を行い、各色毎の複数のノイズの評価値を算出する。ここで、ノイズの点数付けのために、観察距離750mm相当のVTFを代用している。
こうして、RGBの各色毎に、強度の常用対数をとったノイズの評価値を求めることができる。
ここで、RGBの各色毎に、上述したステップS10〜S28を繰り返して、RGBのノイズの評価値を求めても良いが、上述したステップS10〜S28の各ステップにおいて、RGBの各色の演算を行っても良い。
こうして得られたRGBのノイズの評価値の中の最悪値、即ち最大値をノイズの評価指標(定量値)とする。ノイズの評価指標の値も、常用対数で表され、ノイズの評価指標の常用対数での値(常用対数値)として求められる。なお、最悪値の算出に伴い、評価画像もRGB表示で合せて評価するのが好ましい。
なお、ノイズの評価指標であるノイズの定量値は、従来通りのモアレ、及びノイズを定量化したものと言える。本発明では、ノイズは、モアレがたくさんある状態として定義することができる。したがって、本発明では、単一周波数にピークがあれば、モアレと判断するが、単一周波数付近に複数のピークがあれば、ノイズと判断することができる。
以上のノイズの評価指標は、ディスプレイ40の表示ユニット30の表示画面に積層された導電性フィルム10を表示画面の正面から観察する場合のものであるが、本発明はこれに限定されず、正面に対し、斜めから観察する場合のノイズの評価指標を求めても良い。
なお、斜めから観察する場合のノイズの評価指標を求める場合には、斜め観察時のディスプレイ40のRGBの強度を、正面観察時の明度の90%で計算し、ステップS14に戻り、再度、各色のフーリエスペクトルのピーク周波数・強度を算出する。この後、ステップS26〜S28を同様に繰り返し、斜め観察時のノイズの評価指標を算出する。
こうして、正面観察時及び斜め観察時のノイズの評価指標が算出されると、正面観察時及び斜め観察時のノイズの評価指標の内の大きい値(最悪値)がノイズの評価に供されるノイズの評価指標として算出される。
なお、正面観察時及び斜め観察時の一方しか行わない場合には、正面観察時又は斜め観察時のノイズの評価指標がそのままノイズの評価に供されるノイズの評価指標となる。
次に、手順6として、手順5(ステップS26)で算出されたノイズの評価指標(定量値:最悪値)に基づいて合成配線パターン及びランダムメッシュパターンを評価し、判定を行う。
即ち、図45に示すように、ステップS30において、ステップS28で求めた当該合成配線パターンのノイズの評価指標の常用対数値が、所定の評価閾値以下であれば、当該合成配線パターンを構成する各ランダムメッシュパターン、又は他方の配線パターンに対する一方のランダムメッシュパターン、若しくは他方が透明導電膜の場合のランダムメッシュパターンは、本発明の導電性フィルム10に適用するのに最適化されたランダムメッシュパターンであると評価し、図27に示す最適化されたランダムメッシュパターン25dとして設定する。
なお、ノイズの評価指標の値を、常用対数で、所定の評価閾値以下に限定する理由は、所定の評価閾値より大きいと、重畳された合成配線パターンとBMパターン各副画素配列パターンとの干渉によって生じたノイズがあると視認され、視認されたノイズが目視するユーザにとって気になるものとなるからである。ノイズの評価指標の値が、所定の評価閾値以下では、僅かに気になることはあってもあまり気にならないからである。
ここで、所定の評価閾値は、導電性フィルム及び表示装置の性状に応じて、具体的には、ランダムメッシュパターン25dの金属細線14の線幅や、セル(開口部22)の形状やそのサイズ(ピッチ等)や角度や、2つの配線層28の両配線パターンの重ね合わせの状態等、及びBMパターン38の形状やそのサイズ(ピッチ等)や配置や角度等に応じて適宜設定されるものであるが、例えば、常用対数で−2.80(真数で10−2.80)以下であるのが好ましい。即ち、ノイズの評価指標は、その値が、例えば、常用対数で−2.80(真数で10−2.80)以下であるのが好ましい。
なお、詳しくは後述するが、ランダムメッシュパターン25dの重ね合わせによって構成される多数の合成配線パターンについて、シミュレーションサンプルでノイズの評価指標を求め、3名の官能評価者が合成配線パターンとBMパターンのRGB3色の各色の副画素配列パターンとの干渉によるノイズ目視による官能評価を行ったところ、ノイズの評価指標が、常用対数で−2.80以下であれば、ディスプレイが点灯された状態で、重畳された合成配線パターンとBMパターンのRGB3色の各色の副画素配列パターンとの干渉によって生じるノイズの視認性に対して、劣化が僅かに認められるが、殆ど気にならないレベル以上だからである。
したがって、本発明において最適化された合成配線パターン及び構成要素となるランダムメッシュパターン25dでは、ノイズの評価指標を、好ましい範囲として、常用対数で−2.80(真数で10−2.80)以下に特定する。
もちろん、ランダムメッシュパターン25dの金属細線14の線幅や、開口部22の形状やそのサイズ(ピッチや角度)や、2つの配線層のランダムメッシュパターン25dの重ね合わせ状態等に応じて、複数の最適化されたランダムメッシュパターン25dが得られるが、ノイズの評価指標の常用対数値が小さいものが最良のランダムメッシュパターン25dとなり、複数の最適化されたランダムメッシュパターン25dには序列を付けることもできる。
こうして評価された図27に示すランダムメッシュパターン25dを、本発明の導電性フィルムの配線パターンとして決定し評価する。
こうして、本発明の導電性フィルムの配線パターンの決定方法は、終了し、評価されたランダムメッシュパターンを本発明の導電性フィルムの配線パターンとして評価することができる。
その結果、点灯状態の表示装置の表示ユニットのBMパターンに重畳してもノイズの発生が抑止され、異なる解像度の表示装置に対しても、また、観察距離によらず、ノイズの視認性に優れた、最適化されたランダムメッシュパターンを持つ本発明の導電性フィルムを作製することができる。
本発明においては、所定のBMパターンに対して最適化したランダムメッシュパターンを用いるので、ノイズの発生が更に抑止され、ノイズの視認性に更に優れたものとすることができ、重畳するBMパターン少し変化した場合であっても、ノイズの発生を抑止することができ、ノイズの視認性に優れた性能を維持することができる。
以上に、本発明に係る導電性フィルム、それを備える表示装置及び導電性フィルムのパターンの評価方法について種々の実施形態及び実施例を挙げて説明したが、本発明は、上述の実施形態及び実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しないかぎり、種々の改良や設計の変更を行っても良いことはもちろんである。
以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。
(実施例I)
本実施例においては、図36及び図37に示す本発明の導電性フィルムの評価方法のフローに従って、上述のようにして、以下のように実験を行った。
図35(A1)〜(H2)に示すG副画素配列パターンで代表的に表される、異なる副画素形状、解像度及び発光強度を持つディスプレイの画素配列(BM)パターン38に対して、図14に示す菱形パターン形状を持ち、開口部の形状及びサイズ(ピッチ及び角度θ)が異なり、金属細線(メッシュ)の線幅の異なる多数の定型メッシュパターン25について、シミュレーションサンプルで、その合成メッシュパターンと各色のBMパターンとを重畳し、不規則性を付与する前後において、モアレの評価指標であるモアレの定量値を求めると共に、異なるランダム性を付与する前及び後の同様の多数のメッシュパターンと各色のBMパターンとを重畳し、3名の官能評価者が、モアレのシミュレーション画像において重畳された両者の干渉によって生じるモアレを目視で官能評価した。
なお、不規則性は、定型メッシュパターン25のセル22のピッチ、又は角度に対して所定閾値以下の値を付与した。
ここで、モアレの評価は、図36に示すように、ステップS14で用いた画素配列(BM)パターンの各色の副画素配列パターンの明度画像データ上に合成メッシュパターンの透過率データを重畳して、明度画像上に透過率画像が重畳されたモアレのシミュレーション画像を作成してディスプレイに表示し、表示されたシミュレーション画像を3名の官能評価者が目視して官能評価を行った。
なお、図35に示すように、8種類のディスプレイのBM構造に対し、No.1〜No.8のBM構造番号を付し、このBM構造、ディスプレイの解像度、及びディスプレイの発光強度の異なる16の組み合わせをBM条件番号No.1〜No.16とした。これらのBM構造、BM条件、ディスプレイの解像度、及びディスプレイの発光強度を表1に示す。
各実験例におけるBM条件、メッシュパターンの角度、ピッチ、及び線幅、モアレの定量値、並びに官能評価結果を表2及び表3に示す。
表2は、定型メッシュパターン25のセル22のピッチに対して所定閾値、例えば10%以下の不規則性を付与した結果を示す。
表3は、定型メッシュパターン25のセル22の角度に対して3.0%以下の不規則性を付与した結果を示す。
ここで、官能評価結果は、1〜5の5段階で行い、モアレの視認性の劣化が認められ、非常に気になる場合は、1と評価し、モアレの視認性の劣化が認められ、気になる場合は、2と評価し、モアレの視認性の劣化が認められ、僅かに気になる場合は、3と評価し、モアレの視認性の劣化が認められるが、気にならない場合は、と評価し、モアレの視認性の劣化が認められない場合は、5と評価した。
モアレの視認性としては、評価3以上であれば合格であるが、評価4以上であるのが望ましく、評価5であるのが最も望ましい。
本実施例においては、定型メッシュパターン25の開口部22の形状については、ピッチを150μmと200μmとに変化させ、角度θは35°に固定した。
また、定型メッシュパターン25の線幅は、2μmと、4μmとに変化させた。
なお、ディスプレイの解像度は、図35(A1)〜(H2)に示す8種のBMパターンでは、それぞれ、149dpi、222dpi,265dpi,265dpi(v2),326dpi,384dpi,384dpi(v2),440dpiであった。
また、ディスプレイの発光強度は、ディスプレイ LP101WX1(SL)(n3)(LGディスプレイ社製)で規格化され、全強度が0−255で与えられる時、いずれのディスプレイにおいても、64(明度1)と128(明度2)とに変化させた。
ピッチに対して付与するランダム性は、0.0%(付与せず)、0.2%、0.5%、0.8%、1.0%、及び3.0%に変化させた。
角度に対して付与するランダム性は、0.0%(付与せず)、2.0%、4.0%、6.0%、8.0%、及び10.0%に変化させた。
なお、画素配列(BM)パターン38の各色の副画素配列パターンの撮像においては、ディスプレイ LP101WX1(SL)(n3)(LGディスプレイ社製)を、GチャネルのみをMAX強度で点灯させ、マイクロスコープとしてSTM6(OLYMPUS社製)、レンズとしてUMPlanFI10x(OLYMPUS社製)、カメラとしてQIC−F−CLR−12−C(Linkam Scientific Instruments社製)を用いて撮像した。この際、撮像条件は、ゲイン1.0、ホワイトバランス(G、R、B)は(1.00、2.17、1.12)とした。また、撮像画像は、シェーディングを行った。
明度の計測には、オーシャンオプティクス製USB2000+、ファイバの先端には拡散板(同社製CC−3−UV−S)を利用し、積分時間は250msとした。
モアレの評価指標の算出は、図36に示す方法で、上述のように行った。
なお、表2中、モアレの定量値の欄の「NaN」は、強度が小さく、モアレの発生に寄与しないものを閾値処理によって除去したために、モアレの定量値が求められなかったことを示し、モアレの発生がなく、モアレが視認されないことを示す。
表2は、実験例1〜64を示し、実験例5〜13、実験例15、実験例17〜19、実験例21〜24、実験例27〜32、実験例37〜41、実験例43、実験例49〜51、実験例55〜56、及び実験例59〜63は、評価指標(評価値)が−3.17以下であり、ランダム性が0%において全て視認性の評価結果は4以上であり、規則的な定型配線パターンであっても、モアレの視認性に優れた本発明の実施例であった。
また、実験例1、実験例5〜32、実験例37〜45、実験例47、実験例49〜56、及び実験例59〜64は、評価指標(評価値)が−2.80以下であり、ランダム性が2.0%〜10%において全て視認性の評価結果は4以上であり、本発明例であった。
これに対し、実験例2〜4、実験例33〜36、実験例46、実験例48、実験例57〜58は、評価指標(評価値)が−2.80超であり、ランダム性が2.0%〜10.0%において評価結果は2以下を含んでおり、比較例であった。
なお、全ての実験例のランダム性が0.0%〜10.0%の全てにおいてモアレの改善効果が見られた。
以上から、上記のモアレの定量値(評価指標)が、評価指標(評価値)が−3.17以下の上記範囲を満足する菱形の合成配線パターン、及び評価指標(評価値)が−2.80以下の上記範囲を満足する菱形の合成配線パターンをランダム化した四角形の合成配線パターンを持つ本発明の導電性フィルムは、ディスプレイのBMパターンの周期や強度やディスプレイの発光強度等が異なっていても、また、正面観察時でも、斜め観察時でも、モアレの発生を抑止でき、視認性を大幅に向上させることができる。
以上から、本発明の効果は明らかである。
表3は、実験例101〜164を示し、実験例105〜113、実験例115、実験例117〜119、実験例121〜124、実験例127〜132、実験例137〜141、実験例143、実験例149〜151、実験例155〜156、及び実験例159〜163は、評価指標(評価値)が−3.17以下であり、ランダム性が0%において全て視認性の評価結果は4以上であり、規則的な定型配線パターンであっても、モアレの視認性に優れた本発明の実施例であった。
また、実験例101、実験例105〜132、実験例137〜45、実験例147、実験例149〜156、及び実験例159〜164は、評価指標(評価値)が−2.80以下であり、ランダム性が0.2%〜3.0%において全て視認性の評価結果は4以上であり、本発明例であった。
これに対し、実験例102〜104、実験例133〜136、実験例146、実験例148、実験例157〜158は、評価指標(評価値)が−2.80超であり、ランダム性が0.2%〜3.0%において評価結果は2以下を含んでおり、比較例であった。
なお、全ての実験例のランダム性が0.0%〜3.0%の全てにおいてモアレの改善効果が見られた。
以上から、上記のモアレの定量値(評価指標)が、評価指標(評価値)が−3.17以下の上記範囲を満足する菱形の合成配線パターン、及び評価指標(評価値)が−2.80以下の上記範囲を満足する菱形の合成配線パターンをランダム化した四角形の合成配線パターンを持つ本発明の導電性フィルムは、ディスプレイのBMパターンの周期や強度やディスプレイの発光強度等が異なっていても、また、正面観察時でも、斜め観察時でも、モアレの発生を抑止でき、視認性を大幅に向上させることができる。
以上から、本発明の効果は明らかである。
(実施例II)
本実施例においては、図36及び図37に示す本発明の導電性フィルムの評価方法のフローに従って、上述のようにして、以下のように実験を行った。
図35(A1)、(C1)、(D1)、(E1)及び(F1)に示すG副画素配列パターンで代表的に表される、異なる副画素形状、及び解像度のNo.1、No.3〜No.6及びNo.8のBM構造を持ち、異なる発光強度で発光するディスプレイの画素配列(BM)パターン38に対して、不規則性を付与する前において、図14に示す菱形パターン形状を持ち、開口部の形状及びサイズ(ピッチ及び角度θ)が異なり、金属細線(メッシュ)の線幅の異なる多数の定型メッシュパターン25について、シミュレーションサンプル及び実サンプルで、その合成メッシュパターンと各色のBMパターンとを重畳し、モアレの評価指標であモアレの定量値を求めた。ここで、発光強度は、後述する特定のディスプレイで規格化された強度の1.0倍、1.5倍、及び2.0倍とした。
こうしてモアレの評価指標が求められた定型メッシュパターン25に対して、金属細線14を異なる振幅A、波長λ、及び位相αを持つ波線に変化させることによって異なるランダム性が付与された多数の波線化メッシュパターン25cからなる波線化後の合成メッシュパターンと各色のBMパターンとを重畳し、3名の官能評価者が、モアレのシミュレーション画像において重畳された両者の干渉によって生じるモアレを目視で官能評価した。
ここで、モアレの評価は、図36に示すように、ステップS14で用いた画素配列(BM)パターンの各色の副画素配列パターンの明度画像データ上に波線化後の合成メッシュパターンの透過率データを重畳して、明度画像上に透過率画像が重畳されたモアレの逆変換画像を作成してディスプレイに表示し、表示された逆変換画像を3名の官能評価者が目視して官能評価を行った。
ディスプレイのBM構造(No.1、No.3〜No.6及びNo.8の6種)、及びディスプレイの発光強度(規格化強度の1.0倍、1.5倍及び2.0倍の3種)、メッシュパターンのメッシュ及び角度(組み合わせ3種)、及びメッシュパターンの線幅(3種)金属配線の波線の位相(3種)、波長(3種)、及び振幅(7種)の異なる24の組み合わせによる実験を実験番号No.201〜No224とした。この実験番号No.201〜No224についての以上の結果を表4に示す。
本実施例においては、定型メッシュパターン25の開口部22の菱形形状、したがって、波線化メッシュパターン25の開口部22の4辺の波線の各中心線が形成する菱形形状については、ピッチを120μmと、150μmと、180μmとに変化させ、角度θは30°と、35°と、40°とに変化させた。
また、定型メッシュパターン25、したがって、波線化メッシュパターン25cの線幅は、2μmと、3μmと、4μmとに変化させた。
ランダム性は、波線の位相を100μmと、300μmと、500μmとに変化させ、波線の波長を100μmと、300μmと、500μmとに変化させ、波線の振幅を、定型メッシュパターン25の菱形形状、したがって、波線化メッシュパターン25の波線の中心線の菱形形状のピッチに対して10%と、20%と、30%とに変化させた。更に、ランダム性は、波線の位相及び波長を100μmに固定し、波線の振幅のみを、ピッチに対して0%(ランダム性付与無し)と、2.0%と、4.0%と、6.0%と、8.0%と、10.0%とにも変化させた。
なお、ディスプレイの解像度は、図35(A1)、(C1)、(D1)、(E1)、(F1)、及び(H1)に示すNo.1、No.3〜No.6及びNo.8の6種のBM構造を持つ6種のBMパターンでは、それぞれ、149dpi、265dpi(v2),265dpi,326dpi,384dpi(V2),及び440dpiであった。
また、ディスプレイの発光強度は、ディスプレイ LP101WX1(SL)(n3)(LGディスプレイ社製)で規格化された強度の1.0倍と、1.5倍と、2.0倍とに変化させた。
なお、画素配列(BM)パターン38の各色の副画素配列パターンの撮像においては、ディスプレイ LP101WX1(SL)(n3)(LGディスプレイ社製)を、GチャネルのみをMAX強度で点灯させ、マイクロスコープとしてSTM6(OLYMPUS社製)、レンズとしてUMPlanFI10x(OLYMPUS社製)、カメラとしてQIC−F−CLR−12−C(Linkam Scientific Instruments社製)を用いて撮像した。この際、撮像条件は、ゲイン1.0、ホワイトバランス(G、R、B)は(1.00、2.17、1.12)とした。また、撮像画像は、シェーディングを行った。
明度の計測には、オーシャンオプティクス製USB2000+、ファイバの先端には拡散板(同社製CC−3−UV−S)を利用し、積分時間は250msとした。
モアレの評価指標の算出は、図36に示す方法で、上述のように行った。
なお、表6から明らかなように、実験No.205、206、210、211、213、216、218及び220〜224は、モアレの定量値が−3.00以下、かつ振幅が2.0%以上20%以下である本発明例であり、劣化尺度としての官能評価結果が4を示し、モアレの視認性が良好であることが分かる。
一方、実験No.201〜204、207〜209、212、214、215、217及び219は、モアレの定量値が−3.00超、かつ/又は振幅が2.0%未満又は20%超である比較例であり、劣化尺度としての官能評価結果が3以下を示し、モアレの視認性が悪く、劣化が認められ、気になるモアレが視認されることが分かる。
以上から、本実施例においては、官能評価結果が5を示すケースは存在しなかったが、劣化尺度が4以上となり、画質が許容レベルとなるケースは、モアレの定量値が、−3.00以下、かつ振幅が2.0%以上20%以下であることが分かる。これらの条件を満たすことが、画質改善のための条件であることが分かる。
上記のモアレの定量値(評価指標)が、上記範囲を満足する菱形の合成配線パターンをランダム化した波線化合成配線パターンを持つ本発明の導電性フィルムは、ディスプレイのBMパターンの周期や強度やディスプレイの発光強度等が異なっていても、また、正面観察時でも、斜め観察時でも、モアレの発生を抑止でき、視認性を大幅に向上させることができる。
以上から、本発明の効果は明らかである。
(実施例III)
本実施例においては、図45及び図17に示す本発明の導電性フィルムの評価方法のフローに従って、上述のようにして、以下のように実験を行った。
図35(A1)〜(H2)に示すG副画素配列パターンで代表的に表される、異なる副画素形状、解像度及び発光強度を持つBM条件番号No.1〜No.16のディスプレイの画素配列(BM)パターン38に対して、図27に示すランダムなメッシュパターン形状を持ち、開口部の形状及びサイズ(平均ピッチ)が異なり、金属細線(メッシュ)の線幅の異なる多数のランダムメッシュパターン25dについて、シミュレーションサンプルで、その合成配線パターンと各色のBMパターンとを重畳し、ノイズの評価指標を求めると共に、異なるランダム性を有する多数のランダムメッシュパターンと各色のBMパターンとを重畳し、3名の官能評価者が、ノイズのシミュレーション画像において重畳された両者の干渉によって生じるノイズを目視で官能評価した。
その結果を表5に示す。
ここで、ノイズの評価は、図45に示すように、ステップS14で用いた画素配列(BM)パターンの各色の副画素配列パターンの明度画像データ上に合成配線パターンの透過率データを重畳して、明度画像上に透過率画像が重畳されたノイズのシミュレーション画像を作成してディスプレイに表示し、表示されたシミュレーション画像を3名の官能評価者が目視して、実施例Iと同様に官能評価を行った。
本実施例においては、ランダムメッシュパターン25dのセル(開口部22)の平均ピッチを50μmと、100μmと、200μmと、300μmとに変化させた。
また、ランダムメッシュパターン25dの線幅は、2μmと、4μmとに変化させた。
なお、ディスプレイの解像度は、図35(A1)〜(H)に示すNo.1〜No.16のBM構造が異なる8種のBMパターンでは、それぞれ、No.1及び2では149dpiNo.3及び4では222dpi,No.5〜8では265dpi,No.及び10では326dpi,No.11〜14では384dpi,No.15及び16では440dpiであった。
また、ディスプレイの発光強度は、ディスプレイ LP101WX1(SL)(n3)(LGディスプレイ社製)で規格化され、全強度が0−255で与えられる時、各ディスプレイにおいて、No.1、3、5、6、9、11、12及び15では64(明度1)に、No.2、4、7、8、10、13、14及び16では、128(明度2)に変化させた。
なお、画素配列(BM)パターン38の各色の副画素配列パターンの撮像においては、マイクロスコープとしてSTM6(OLYMPUS社製)、レンズとしてUMPlanFI10x(OLYMPUS社製)、カメラとしてQIC−F−CLR−12−C(Linkam Scientific Instruments社製)を用いた。この際、撮像条件は、ゲイン1.0、ホワイトバランス(G、R、B)は(1.00、2.17、1.12)とした。また、撮像画像は、シェーディングを行った。
明度の計測には、オーシャンオプティクス製USB2000+、ファイバの先端には拡散板(同社製CC−3−UV−S)を利用し、積分時間は250msとした。
ノイズの評価指標の算出は、図45に示す方法で、上述のように行った。
なお、表5中、ノイズの定量値の欄「NaN」は、強度が小さく、ノイズの発生に寄与しないものを閾値処理によって除去したために、ノイズの定量値が求められなかったことを示し、ノイズの発生がなく、ノイズが視認されないことを示す。
表5に示す実施例1〜73は、評価指標(評価値)が−2.80以下であり、全て視認性の評価結果は4以上であり、本発明の実施例であることが分かる。
なお、表5に示す実施例1〜13は、ノイズの定量値の欄の「NaN」であり、全て視認性の評価結果は5であり、ノイズの発生がなく、ノイズが視認されないことが分かる。
これに対し、表5に示す比較例1〜55は、評価指標(評価値)が−2.80超であり、評価結果は3以下であり、気になるほどのノイズが視認されることが分かる。
以上から、上記のノイズの定量値(評価指標)が、ランダムメッシュパターンを少なくとも一方に含み、上記範囲を満足する合成配線パターンを持つ本発明の導電性フィルムは、ディスプレイのBMパターンの周期や強度やディスプレイの発光強度等が異なっていても、また、正面観察時でも、斜め観察時でも、ノイズの発生を抑止でき、視認性を大幅に向上させることができる。
以上から、本発明の効果は明らかである。
なお、本発明では、上述した実施例のように、予め、種々のパターン形状の配線パターンを準備しておいて、本発明の評価方法によって最適化された合成配線パターンを構成する上側及び下側の配線パターンの少なくとも一方の全部または一部にランダムメッシュパターンを含む配線パターンを持つ導電性フィルムを決定することができるが、1つの配線パターンのノイズの評価指標が、所定値超である場合には、ランダムメッシュパターンの透過率画像データを新たなランダムメッシュパターンの透過率画像データに更新して、新たな合成配線パターンの透過率画像データを作成して、上述した本発明の評価方法を適用してノイズの定量値(評価指標)を求めることを繰り返して、最適化された配線パターンを持つ導電性フィルムを決定することもできる。
ここで、更新される新たなランダムメッシュパターンは、予め準備されたものであっても、新たに作成されたものであっても良い。なお、新たに作成され場合には、ランダムメッシュパターンの透過率画像データの平均ピッチ等を変化させても良いし、配線パターンの開口部の形状やサイズを変更するようにしても良い。なお、本発明では、合成配線パターンの少なくとも一方の少なくとも一部にランダムメッシュパターンを用いる必要があるのは、もちろんである。
以上詳述したように、本発明によれば、ディスプレイとの組み合わせにおいて視認されるモアレやノイズの発生を抑制し、視認性を向上させることができるメッシュ状配線パターン(メッシュパターン)、例えば、規則的なメッシュ状配線パターン、ランダム性(不規則)を付与したメッシュ状配線パターン(メッシュ状ランダム配線パターン、ランダムメッシュパターン、又は単にランダムパターンともいう)を有する導電性フィルム、これを備える表示装置及び導電性フィルムのパターンの評価方法を提供することができる。
特に、本発明によれば、発光強度(明度)が異なる表示ユニット(ディスプレイ)の画素配列パターンに重畳された場合であっても、観察距離によらず、ディスプレイの強度に応じたメッシュパターンを有する導電性フィルムとすることにより、モアレやノイズの発生を抑止でき、視認性を大幅に向上させることができる。
また、本発明によれば、メッシュパターンを有する透明導電性フィルムをタッチパネル用電極として用いる場合、発光強度の異なる表示装置の表示ユニットのブラックマトリクスに導電性フィルムを重畳して視認する際に、表示ユニットの発光強度を考慮したメッシュパターン、例えば、規則的なメッシュパターンやランダムメッシュパターンを持ち、大きな画質障害となるモアレの発生を抑止でき、タッチパネル上の表示の視認性を大幅に向上させることができる。
また、本発明によれば、上記効果に加え、ディスプレイのRGB副画素の開口形状がそれぞれ異なる周波数・強度(形状、サイズ)を持つ場合の導電性フィルムのメッシュパターンの設計においても、発光強度が異なるディスプレイの画素配列パターンとの組み合わせにおいても最良の画質を提供することができる。
10、11、11A 導電性フィルム
12 透明支持体
14 金属製の細線(金属細線)
16、16a、16b 導電部
18、18a、18b 接着層
20、20a、20b 保護層
22 開口部(セル)
23、23a23b、23c 射影配線パターン
24、24a24b 配線パターン
25 定型配線パターン
25a、25b、25c、25d ランダム配線パターン(ランダムパターン)
26 ダミー電極部
27、27a、27b、27c 3次元形状の配線パターン
30 表示ユニット
32、32r、32g、32b 画素
34 ブラックマトリクス(BM)
38 BMパターン
40 表示装置
44 タッチパネル

Claims (2)

  1. 前記第1の強度閾値は、常用対数で−4.5であり、前記周波数閾値は、前記表示ユニットの解像度で得られる空間周波数であり、
    前記視覚応答特性を作用させるために選択されるモアレは、前記モアレの強度が−3.8以上の強度を持モアレである請求項1〜19のいずれか1項に記載の導電性フィルム。
  2. 表示装置の表示ユニット上に設置され、3次元形状の透明基体の両側、若しくは片側に配置される3次元形状の2つの配線部を有する導電性フィルムの評価方法であって、
    前記2つの配線部の少なくとも一方の配線部は、複数の金属細線よりなる複数の開口部が配列されたメッシュ状の配線パターンを有し、
    前記表示ユニットは、互いに異なる少なくとも3色の複数色の光を射出する複数の副画素を含む画素の画素配列パターンで配列されてなり、
    前記導電性フィルムは、前記2つの配線部の配線パターンと前記表示ユニットの前記画素配列パターンとが重畳されるように、前記表示ユニットに設置されるものであり、
    3次元形状の前記2つの配線部の配線パターンを視点に垂直な平面に射影して、射影配線パターンに少なくとも含まれる、前記開口部の形状が異なる2種類以上の開口形状であり、その頂点の数が2種類以上となる多角形状となる、不規則性が付与されたメッシュ状の不規則配線パターンの透過率画像データを求め、前記不規則配線パターンを含む合成配線パターンの透過率画像データを取得し、
    かつ、前記表示ユニットの前記複数色の各色の前記画素配列パターンを同一の前記平面に射影して、各色の射影画素配列パターンの明度画像データを取得し、
    前記視点において、前記合成配線パターンの透過率画像データ及び前記射影画素配列パターンの明度画像データに対して2次元フーリエ変換を行い、前記合成配線パターンの透過率画像データの2次元フーリエスペクトルの複数の第1スペクトルピークの第1ピーク周波数及び第1ピーク強度と、各色毎に、前記複数色の各色の前記射影画素配列パターンの明度画像データの2次元フーリエスペクトルの複数の第2スペクトルピークの第2ピーク周波数及び第2ピーク強度とを算出し、
    算出された前記合成配線パターンの前記第1ピーク周波数及び前記第1ピーク強度と、前記複数色のそれぞれの前記射影副画素配列パターンの前記第2ピーク周波数及び前記第2ピーク強度とからそれぞれ前記複数色の各色のノイズの周波数及び強度を算出し、
    算出された各色の前記ノイズの周波数及び強度の中から、前記表示ユニットの表示解像度に応じて規定される周波数閾値以下の周波数及び第1強度閾値以上の強度を持つノイズを選び出し、
    選び出されたそれぞれの各色のノイズの周波数における前記ノイズの強度に人間の視覚応答特性を観察距離に応じて作用させてそれぞれ各色のノイズの評価値を得、
    得られた各色毎のノイズの評価値からノイズの評価指標を算出し、
    算出された前記ノイズの評価指標が所定値以下である前記合成配線パターンを構成する前記2つの配線部の少なくとも一方の配線部の射影前の前記メッシュ状の配線パターンを持つ導電性フィルムを評価することを特徴とする導電性フィルムの評価方法。
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