JP2016077150A - インバータ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】低温環境下においても電解コンデンサを使用し得るようにする。【解決手段】整流電圧を直流電圧に平滑する電解コンデンサ1と、前記電解コンデンサ1により平滑にされた前記直流電圧が供給されるように設けられ、前記直流電圧から交流電圧を生成して電動機5を駆動するインバータ回路2と、前記インバータ回路2が有する複数のスイッチング素子6u〜6w,7u〜7wの駆動を制御する制御手段3と、前記電解コンデンサ1の温度を検出して前記制御手段3に出力する温度検出手段4と、を備え、前記制御手段3は、前記温度検出手段4で取得した前記温度が予め定められた目標温度よりも低いとき、前記電動機5の通常運転開始前に、前記整流電圧を平滑化する際に発生する前記直流電圧のリップル電圧が許容値内となるように制限した電流を前記電動機5に通電し、前記電解コンデンサ1の温度を前記目標温度まで昇温させるものである。【選択図】図1
Description
本発明は、電解コンデンサにより平滑された直流電圧から交流電圧を生成して電動機を駆動するインバータ装置に関し、特に低温環境下においても電解コンデンサを使用可能にしようとするインバータ装置に係るものである。
従来のこの種のインバータ装置は、インバータ回路の上相側の3つのスイッチング素子と下相側の3つのスイッチング素子とを選択的に駆動することにより、直流電圧からU,V,Wの3相電圧を生成して電動機を駆動するもので、インバータ回路の電源の直流電圧を平滑する平滑コンデンサが備えられている(例えば、特許文献1参照)。この場合、平滑コンデンサとしては、電解コンデンサやフィルムコンデンサ等が使用される。
しかし、このような従来のインバータ装置において、特に車載用インバータ装置は、低温環境下で使用される場合があり、このような環境下で電解コンデンサを使用したときには、電解コンデンサの等価直列抵抗が上昇してリップル電圧が大きくなり、スイッチング素子や電解コンデンサにかかる電圧がその耐圧を超えたり、逆電圧となったりして電動機としての例えば電動圧縮機等を運転することができないことがあった。
したがって、低温環境下で使用するインバータ装置においては、平滑コンデンサとして等価直列抵抗が非常に小さい大型のフィルムコンデンサを使用せざるを得なかった。しかし、大型のフィルムコンデンサは高価であり、インバータ装置が大型化し製造コストが高くなるという問題がある。
そこで、本発明は、このような問題点に対処し、低温環境下においても電解コンデンサを使用し得るようにしたインバータ装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明によるインバータ装置は、整流電圧を直流電圧に平滑する電解コンデンサと、前記電解コンデンサにより平滑にされた前記直流電圧が供給されるように設けられ、前記直流電圧から交流電圧を生成して電動機を駆動するインバータ回路と、前記インバータ回路が有する複数のスイッチング素子の駆動を制御する制御手段と、前記電解コンデンサの温度を検出して前記制御手段に出力する温度検出手段と、を備え、前記制御手段は、前記温度検出手段で取得した前記温度が予め定められた目標温度よりも低いとき、前記電動機の通常運転開始前に、前記整流電圧を平滑化する際に発生する前記直流電圧のリップル電圧が許容値内となるように制限した電流を前記電動機に通電し、前記電解コンデンサの温度を前記目標温度まで昇温させるものである。
本発明によれば、低温環境下において、電動機の通常運転開始前に、電動機に通電して、電解コンデンサの温度を電動機の通常運転開始可能温度まで昇温させる暖機モードを実施しているので、大きなリップル電圧によりスイッチング素子や電解コンデンサにその耐圧を超える電圧がかかり、これらの素子を破壊するという事故の発生を未然に防止することができる。したがって、低温環境下においても安価で小型の電解コンデンサを使用することができ、インバータ装置の小型化を図ることができると共に製造コストを低減することができる。この場合、インバータ回路の電源電圧である直流電圧のリップル電圧が許容値内となるように制限した電流を電動機に通電して暖機モードを実施しているので、暖機モード実施中においてもスイッチング素子や電解コンデンサの破壊を未然に防止することができる。
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明によるインバータ装置の第1の実施形態の概略構成を示す回路図である。このインバータ装置は、電解コンデンサにより平滑された直流電圧から交流電圧を生成して電動機を駆動するもので、電解コンデンサ1と、インバータ回路2と、制御手段3と、温度検出手段4と、を備えて構成されている。
上記電解コンデンサ1は、整流電圧を直流電圧に平滑するもので、大容量のアルミ電解コンデンサである。このようなアルミ電解コンデンサは、小型で且つ安価であるが、電解液の抵抗分、電解紙の抵抗分等があるため一般に等価直列抵抗Raが大きく、また低温環境下ではより大きくなるという特徴を有する。
上記電解コンデンサ1により平滑にされた直流電圧が電源電圧として供給されるようにインバータ回路2が設けられている。このインバータ回路2は、直流電圧から3相電圧Vu,Vv,Vwを生成して電動機としての3相ブラシレスモータ(以下、単に「モータ」という)5に供給するものであり、例えば、上相側の3つのスイッチング素子(IGBT)6u,6v,6wと下相側の3つのスイッチング素子(IGBT)7u,7v,7wとを備えて構成されている。
上記インバータ回路2に接続して制御手段3が設けられている。この制御手段3は、インバータ回路2の6つのスイッチング素子6u〜6w,7u〜7wのオン・オフ駆動を制御してモータ5を適切に運転させるものであり、電解コンデンサ1の温度が予め定められた目標温度よりも低いとき、モータ5の通常運転開始前に、インバータ回路2の各スイッチング素子6u〜6w,7u〜7wをオン・オフ駆動するパルス幅変調(以下「PWM」という)信号のデューティー比を制御することにより、直流電圧のリップル電圧が許容値内となるように制限した電流をモータ5に通電し、電解コンデンサ1の等価直列抵抗Raに発生するジュール熱により電解コンデンサ1の温度を上記目標温度まで昇温させる暖機モードを実施することができるようになっている。
図2は、制御手段3における上記暖機モードの制御回路を示すブロック図である。同図に示すように、暖機モードの制御回路は、インバータ回路2の下相側スイッチング素子7u〜7wのエミッタに接続して設けられた図示省略のシャント抵抗、又はインバータ回路2のアースライン上に設けられた図示省略のシャント抵抗を流れる電流に基づいてモータ5の通電電流を検出する電流検出部8と、電流検出部8により検出された電流値と直流電圧のリップル電圧を許容値内に抑え得る一定の設定電流値(以下「暖機モード用電流値」という)とを比較する比較器9と、通電電流値と暖機モード用電流値との差分を補正し得るようにPWM信号のデューティー比を計算するPWMデューティー比計算部10と、を備えている。
このように構成された制御手段3は、電解コンデンサ1の温度が目標温度より低いとき、モータ5の起動前に、暖機モードを実行する。即ち、インバータ回路2の上相側3つのスイッチング素子6u〜6wのうち、例えばスイッチング素子6uを選択してオン駆動し、残りのスイッチング素子6v,6wを選択してオフ駆動すると共に、下相側3つのスイッチング素子7u〜7wのうち、スイッチング素子7v,7wを選択してオン駆動し、残りのスイッチング素子7uを選択してオフ駆動する。同時に、電流検出部8でモータ5の通電電流を検出し、該検出電流値と上記暖機モード用電流値とを比較器9で比較し、その差分を補正し得るようにPWMデューティー比計算部10でPWM信号のデューティー比を計算する。こうして、算出されたデューティー比のPWM信号により上記スイッチング素子6u,7v,7wをオン駆動して前記モータ5に通電する。これにより、モータ5には、インバータ回路2を介して直流電圧のリップル電圧が許容値内となるように制限された電流が流れる。一方、モータ5への通電中に、電解コンデンサ1は、その等価直列抵抗Raに発生するジュール熱により昇温される。
上記電解コンデンサ1の近傍には、温度検出手段4が設けられている。この温度検出手段4は、電解コンデンサ1の周辺温度を検出して制御手段3に出力するもので、例えば熱電対や抵抗センサー等の各種温度センサーである。なお、電解コンデンサ1がインバータ回路2と同一の基板上に実装されている場合、又は同一の空間に収容されている場合には、温度検出手段4は、発熱の最も大きいインバータ回路2のスイッチング素子近傍の温度を検出するように設け、この温度により電解コンデンサ1の温度を推定してもよいが、以下の説明においては、温度検出手段4が電解コンデンサ1の周辺温度を検出し、これを電解コンデンサ1の温度として推定する場合について述べる。
次に、このように構成された第1の実施形態の暖機モードの動作について、図3のフローチャートを参照して説明する。
先ず、ステップS1においては、運転スイッチが投入(運転指令)されると、電源電圧がインバータ装置に供給されてインバータ装置の制御手段3が起動される。
先ず、ステップS1においては、運転スイッチが投入(運転指令)されると、電源電圧がインバータ装置に供給されてインバータ装置の制御手段3が起動される。
次に、ステップS2においては、温度検出手段4により電解コンデンサ1周辺の温度が検出され、その検出出力が制御手段3に送られる。制御手段3の図示省略の判定部では、温度検出手段4で取得した上記検出温度を電解コンデンサ1の温度と推定し、図示省略のメモリに予め設定して保存された、暖機モードの運転を実施するか否かを判定するための目標温度と比較する。ここで、上記検出温度が上記目標温度よりも低いときには、ステップS2は“YES”判定となって、ステップS3に進む。
ステップS3においては、予め設定して上記メモリに保存された暖機モード用電流値に基づいて制御手段3のPWMデューティー比計算部10でPWM信号のデューティー比が計算され、算出されたデューティー比のPWM信号によりインバータ回路2の上相側の例えばスイッチング素子6uがオン駆動される一方、下相側の例えばスイッチング素子7v,7wがオン駆動される。これにより、図4に太い実線で示すように、インバータ回路2及びモータ5には、直流電圧のリップル電圧が許容値内となるように制限された電流が流れて暖機モードの運転が実施される。この場合、インバータ回路2のオン駆動されるスイッチング素子は、上相側の例えばスイッチング素子6uと、下相側の例えばスイッチング素子7v,7wに固定されているため、モータ5は停止したままである。このようにして、上記制限された電流がモータ5へ通電されている間、電解コンデンサ1は、その等価直列抵抗Raに発生するジュール熱により温められて昇温する。なお、モータ5の通電電流は、インバータ回路2の下相側スイッチング素子7u〜7wのエミッタに接続して設けられたシャント抵抗、又はインバータ回路2のアースライン上に設けられたシャント抵抗を流れる電流に基づいて電流検出部8で検出され、この検出電流を比較器9で上記暖機モード用電流値と比較してその差分を補正し得るようにPWMデューティー比計算部10でPWM信号のデューティー比を計算するようになっているので、暖機モードの実施中は、モータ5に直流電圧のリップル電圧が許容値内となるように制限された電流が常時流れることになる。この場合、上記暖機モード用電流値は、電解コンデンサ1の温度に相関して変化するものであってもよい。
続いて、ステップS2に戻って、温度検出手段4による検出温度が目標温度よりも低いか否かが制御手段3の判定部で再度判定される。こうして、ステップS2において、上記検出温度が目標温度に達するまで、即ちステップS2において“NO”判定となるまで、ステップS2とステップS3とが繰り返し実行される。
そして、上記検出温度が目標温度に達して、ステップS2が“NO”判定となると、ステップS4に進み、インバータ回路2の複数のスイッチング素子6u〜6w,7u〜7wが所定の手順に従って順次オン・オフ駆動され、モータ5が起動される。その結果、モータ5は通常運転を行う。
図5は、第1の実施形態の暖機モードの別の動作を示すフローチャートである。以下、図5を参照して説明する。
先ず、ステップS10においては、運転スイッチが投入(運転指令)されると、電源電圧がインバータ装置に供給されてインバータ装置の制御手段3が起動される。
先ず、ステップS10においては、運転スイッチが投入(運転指令)されると、電源電圧がインバータ装置に供給されてインバータ装置の制御手段3が起動される。
次に、ステップS11においては、温度検出手段4により電解コンデンサ1周辺の温度が検出され、その検出出力が制御手段3に送られる。制御手段3の判定部では、温度検出手段4で取得した上記検出温度を電解コンデンサ1の温度と推定し、メモリに予め設定して保存された、暖機モードの運転を実施するか否かを判定するための目標温度と比較する。ここで、上記検出温度が上記目標温度よりも低いときには、ステップS11は“YES”判定となって、ステップS12に進む。
ステップS12においては、予め設定して上記メモリに保存された暖機モード用電流値に基づいて制御手段3のPWMデューティー比計算部10でPWM信号のデューティー比が計算され、算出されたデューティー比のPWM信号により、インバータ回路2の上相側の例えばスイッチング素子6uがオン駆動される一方、下相側の例えばスイッチング素子7v,7wがオン駆動される。これにより、図4に太い実線で示すように、インバータ回路2及びモータ5には、直流電圧のリップル電圧が許容値内となるように制限された電流が流れて暖機モードの運転が実施される。この場合、インバータ回路2のオン駆動されるスイッチング素子は、上相側の例えばスイッチング素子6uと、下相側の例えばスイッチング素子7v,7wに固定されているため、モータ5は停止したままである。このようにして、上記制限された電流がモータ5へ通電されている間、電解コンデンサ1は、その等価直列抵抗Raに発生するジュール熱により温められて昇温する。
ステップS13においては、タイマーにより経過時間が計時され、予め設定してメモリに保存された一定時間が経過すると、ステップS14に進む。なお、電解コンデンサ1の温度及び等価直列抵抗Raと通電時間とは、例えば図6に示す関係にある。即ち、通電時間の経過に伴って、電解コンデンサ1の温度は上昇し、等価直列抵抗Raは低下する。そして、共に、時間tが経過すると一定値となることが分かっている。したがって、図5に示す制御例においては、上記暖機モード用電流値の電流をモータ5に通電してから、電解コンデンサ1の温度及び等価直列抵抗Raが一定となる経過時間tを予め実験により求め、該経過時間tを上記メモリに保存しておく。
ステップS13において、一定時間が経過して電解コンデンサ1の温度が目標温度まで上昇するとステップS14に進み、インバータ回路2の6つのスイッチング素子6u〜6w,7u〜7wが所定の手順に従って順次オン・オフ駆動され、モータ5が起動される。その結果、モータ5は通常運転を行う。
また、ステップS11において、上記検出温度が既に目標温度に達している場合には、ステップS11は“NO”判定となってステップS14に進み、この場合も、インバータ回路2の6つのスイッチング素子6u〜6w,7u〜7wが所定の手順に従って順次オン・オフ駆動され、モータ5が起動されてモータ5が通常運転を行う。
なお、上記第1の実施形態においては、電流検出部8がインバータ回路2の下相側スイッチング素子7u〜7wのエミッタに接続して設けられたシャント抵抗、又はインバータ回路2のアースライン上に設けられたシャント抵抗を流れる電流を検出する場合について説明したが、電解コンデンサ1の負極側に接続した図示省略のシャント抵抗を流れる電流を検出し、該電流に基づいて直流電圧のリップル電圧が許容値内となるように制限した電流をモータ5に通電するようにしてもよい。
図7は、本発明のインバータ装置による第2の実施形態の概略構成を示す回路図であり、制御手段3の回路構成を示すブロック図である。ここでは、第1の実施形態と異なる部分について説明する。
この第2の実施形態における制御手段3は、モータ5の起動時から一定時間経過するまで暖機モードを実施するようにインバータ回路2を制御するものであり、電流検出部8と、d,q軸変換部11と、ロータ角度検出部12と、回転数計算部13と、電流計算部14と、比較器9と、印加電圧計算部15と、相電圧変換部16と、PWMデューティー比計算部10と、暖機モード切換部17と、を備えている。
この第2の実施形態における制御手段3は、モータ5の起動時から一定時間経過するまで暖機モードを実施するようにインバータ回路2を制御するものであり、電流検出部8と、d,q軸変換部11と、ロータ角度検出部12と、回転数計算部13と、電流計算部14と、比較器9と、印加電圧計算部15と、相電圧変換部16と、PWMデューティー比計算部10と、暖機モード切換部17と、を備えている。
上記電流検出部8は、インバータ回路2の下相側スイッチング素子7u〜7wのエミッタに接続して設けられた図示省略のシャント抵抗を流れる電流に基づいてモータ5の3相電流Iu,Iv,Iwをそれぞれ検出するものである。また、上記d,q軸変換部11は、3相電流Iu,Iv,Iwからd,q軸の電流Id,Iqに変換するものである。さらに、上記ロータ角度検出部12は、ロータの角度を検出するものであり、例えばホールセンサーを使用して又は相電圧と相電流とに基づいて演算してロータ角度を求めるようになっている。さらにまた、上記回転数計算部13は、検出されたロータ角度に基づいて演算し、ロータの回転数を算出するものである。そして、上記電流計算部14は、電流Id,Iqとロータ角度に基づいて電流値を算出すると共に、電流の位相遅れ又は位相進みを計算するものである。また、上記比較器9は、算出されたロータの回転数と目標回転数とを比較してその差分を出力するものである。さらに、上記印加電圧計算部15は、モータ5を駆動する電圧を計算すると共に電圧の位相調整を行うものである。また、相電圧変換部16は、d,q軸の電圧Vd,Vqから3相電圧Vu,Vv,Vwに変換するものである。さらに、PWMデューティー比計算部10は、上記3相電圧Vu,Vv,Vwに基づいてPWM信号のデューティー比を演算し、算出されたデューティー比のPWM信号によりインバータ回路2の各スイッチング素子6u〜6w,7u〜7wをオン駆動させるものである。そして、暖機モード切換部17は、運転スイッチが投入されて運転指令が出されると、温度検出手段4から入力した温度を暖機モードの目標温度と比較し、暖機モードの実施が必要であるときには、インバータ回路2の直流電圧のリップル電圧を許容値内に制限し得る暖機モード用の電流制限指令、回転数制限指令及びPWMキャリア周波数制限指令のうちの一つを選択して出力するようになっている。この場合、電流制限指令に基づいて暖機モードを実施するときには、電流制限指令を上記電流計算部14に出力する。また、回転数制限指令に基づいて暖機モードを実施するときには、回転数制限指令をメモリに出力する。さらに、PWMキャリア周波数制限指令に基づいて暖機モードを実施するときには、PWMキャリア周波数制限指令を上記PWMデューティー比計算部10に出力する。
次に、このように構成された第2の実施形態の暖機モードの動作について説明する。
先ず、電流制限指令に基づいて暖機モードを実施する場合について、図8のフローチャートを参照して説明する。
ステップS20において、運転スイッチが投入されて運転指令が出されると、ステップS21に進んで、暖機モードを実施するか否かが判定される。
先ず、電流制限指令に基づいて暖機モードを実施する場合について、図8のフローチャートを参照して説明する。
ステップS20において、運転スイッチが投入されて運転指令が出されると、ステップS21に進んで、暖機モードを実施するか否かが判定される。
詳細には、ステップS21においては、温度検出手段4から入力した電解コンデンサ1周辺温度(以下、単に「電解コンデンサ1の温度」と記載する)を制御手段3内に備える判定部で予め設定してメモリに保存された目標温度と比較する。そして、電解コンデンサ1の温度が目標温度よりも低いときには、ステップS21は“YES”判定となり、暖機モード切換部17をオン駆動して電流制限の暖機モードを選択し、暖機モード切換部17から電流制限指令を電流計算部14に出力してステップS22に進む。
ステップS22においては、上記電流制限指令に基づいて、電流計算部14で算出される電流値が予め設定された電流値に制限される。ここで、この制限された電流値は、予め設定してメモリに保存されている、例えば直流電圧のリップル電圧を許容値内に制限し得る一定の設定電流値であり、通常運転時よりも低い電流値である。又は、電解コンデンサ1の温度に相関して変化するように設定された電流値であり、予め実験により作成してメモリに保存されたテーブルに基づいて変化する電流値であってもよい。これにより、d,q軸変換部11で3相電流Iu,Iv,Iwからd,q軸変換された電流Id,Iqとロータ角度検出部12で検出されたロータ角度とに基づいて上記電流計算部14で算出される電流値が上記設定電流値に制限される。なお、上記電流値は、上記テーブルによらず、電解コンデンサ1の温度と直流電圧のリップル電圧とを監視しながら変化させてもよい。
印加電圧計算部15においては、上記設定電流値と定格の目標回転数とに基づいてモータ5を駆動する印加電圧が計算される。さらに、相電圧変換部16において、3相電圧Vu,Vv,Vwに変換し、該3相電圧Vu,Vv,Vwに基づいてPWMデューティー比計算部10でPWM信号のデューティー比を計算する。そして、この算出されたデューティー比のPWM信号に基づいてインバータ回路2の各スイッチング素子6u〜6w,7u〜7wをオン駆動する。これにより、直流電圧のリップル電圧が許容値内となるように制限された電流がモータ5に通電され、モータ5が起動する。以後、モータ5は、上記制限された電流値の下で定格の回転数を維持しながら回転する。
ステップS23においては、モータ5の起動時からの経過時間がタイマーにより計時される。そして、予め設定された一定時間が経過するとステップS24に進む。
ステップS24においては、一定時間が経過したことを示す上記タイマーの出力信号に基づいて暖機モード切換部17がオフ駆動され、上記設定電流値による電流制限が解除される。これにより、暖機モードが終了する。
ステップS25においては、制御手段3は、インバータ回路2の下相側スイッチング素子7u〜7wのエミッタに接続して設けられたシャント抵抗を流れる電流に基づいて電流検出部8で検出された3相電流Iu,Iv,Iwからd,q軸変換された電流Id,Iqとロータ角度検出部12で検出されたロータ角度とにより電流計算部14で算出された電流値と、ロータ角度検出部12で検出されたロータ角度に基づいて計算された回転数を比較部で定格の目標回転数と比較して得られた回転数の差分とに基づいて印加電圧計算部15でモータ5への印加電圧Vd,Vqを算出する。さらに、相電圧変換部16でd,q軸の印加電圧Vd,Vqから3相電圧Vu,Vv,Vwに変換し、該3相電圧Vu,Vv,Vwに基づいてPWMデューティー比計算部10でPWM信号のデューティー比を算出した後、この算出されたデューティー比のPWM信号によりインバータ回路2の各スイッチング素子6u〜6w,7u〜7wを適宜オン駆動してモータ5を通常運転する。
なお、ステップS21において、電解コンデンサ1の温度が既に目標温度に達している場合には、ステップS21は“NO”判定となってステップS25に進み、モータ5は通常運転を行う。
次に、図9のフローチャートを参照して、回転数制限指令に基づく暖機モードの実施について説明する。
ステップS30において、運転スイッチが投入されて運転指令が出されると、ステップS31に進んで、暖機モードを実施するか否かが判定される。
ステップS30において、運転スイッチが投入されて運転指令が出されると、ステップS31に進んで、暖機モードを実施するか否かが判定される。
詳細には、ステップS31においては、温度検出手段4から入力した電解コンデンサ1の温度を制御手段3内に備える判定部で予め設定してメモリに保存された目標温度と比較する。そして、電解コンデンサ1の温度が目標温度よりも低いときには、ステップS31は“YES”判定となり、暖機モード切換部17をオン駆動して回転数制限の暖機モードを選択し、暖機モード切換部17から回転数制限指令をメモリに出力して予め設定してメモリに保存されている、例えば直流電圧のリップル電圧を許容値内に制限し得る一定の設定回転数(通常運転時よりも低い回転数)をメモリから読み出す。そして、ステップS32に進む。なお、上記設定回転数は、電解コンデンサ1の温度に相関して変化するように設定された回転数であり、予め実験により作成してメモリに保存されたテーブルに基づいて変化する回転数であってもよい。この場合、回転数は、上記テーブルによらず、電解コンデンサ1の温度と直流電圧のリップル電圧とを監視しながら変化させてもよい。
ステップS32においては、上記回転数制限指令に基づいて、メモリから読み出された一定の設定回転数に基づいてモータ5が起動され、直流電圧のリップル電圧を許容値内に制限し得る電流が通電された状態で上記設定回転数に回転数が制限されて運転される。
以後、制御手段3は、インバータ回路2の下相側スイッチング素子7u〜7wのエミッタに接続して設けられたシャント抵抗を流れる電流に基づいて電流検出部8で3相電流Iu,Iv,Iwを検出し、d,q軸変換部11で3相電流Iu,Iv,Iwをd,q軸変換して電流Id,Iqを得、この電流Id,Iqとロータ角度検出部12で検出されたロータ角度とに基づいて電流計算部14で電流値、及び位相遅れ又は位相進みを算出する。一方、ロータ角度検出部12で検出されたロータ角度に基づいて回転数計算部13で実際のロータ回転数を計算する。そして、該回転数を上記設定回転数と比較部で比較してその差分を出力し、印加電圧計算部15において上記電流計算部14で算出された電流値と比較部から出力した回転数のずれ量とに基づいてモータ5を駆動する印加電圧Vd,Vqを算出する。さらに、この印加電圧Vd,Vqを3相電圧変換部16で3相電圧Vu,Vv,Vwに変換し、該3相電圧Vu,Vv,Vwに基づいてPWMデューティー比計算部10でPWM信号のデューティー比を算出した後、該デューティー比のPWM信号によりインバータ回路2の各スイッチング素子6u〜6w,7u〜7wをオン駆動する。これにより、モータ5は、上記設定回転数を維持しながら回転する。このとき、モータ5への通電電流は、直流電圧のリップル電圧を許容値内に制限し得る電流値に維持されている。
ステップS33においては、モータ5の起動時からの経過時間がタイマーにより計時される。そして、予め設定された一定時間が経過するとステップS34に進む。
ステップS34においては、一定時間が経過したことを示す上記タイマーの出力信号に基づいて暖機モード切換部17がオフ駆動され、上記設定回転数による回転数制限が解除される。これにより、暖機モードが終了する。
ステップS35においては、メモリから定格値の目標回転数が読み出され、該目標回転数となるように回転数が制御されてモータ5が運転される。こうして、モータ5は通常運転に移行する。
なお、ステップS31において、電解コンデンサ1の温度が既に目標温度に達している場合には、ステップS31は“NO”判定となってステップS35に進み、モータ5は通常運転を行う。
さらに、図10のフローチャートを参照して、PWMキャリア周波数制限指令に基づく暖機モードの実施について説明する。
ステップS40において、運転スイッチが投入されて運転指令が出されると、ステップS41に進んで、暖機モードを実施するか否かが判定される。
ステップS40において、運転スイッチが投入されて運転指令が出されると、ステップS41に進んで、暖機モードを実施するか否かが判定される。
詳細には、ステップS41においては、温度検出手段4から入力した電解コンデンサ1の温度を制御手段3内に備える判定部で予め設定してメモリに保存された目標温度と比較する。そして、電解コンデンサ1の温度が目標温度よりも低いときには、ステップS41は“YES”判定となって暖機モード切換部17をオン駆動し、PWMキャリア周波数制限の暖機モードを選択してステップS42に進む。
ステップS42においては、暖機モード切換部17からPWMキャリア周波数制限指令をPWMデューティー比計算部10に出力し、直流電圧のリップル電圧を許容値内に制限し得る例えば一定のPWMキャリア周波数(通常運転時よりも低いキャリア周波数)にキャリア周波数を設定する。そして、PWMデューティー比計算部10で上記設定されたキャリア周波数に基づいてPWM信号を生成すると共に、該生成されたPWM信号のデューティー比を定格の目標回転数に基づいて算出し、該算出されたデューティー比のPWM信号によりインバータ回路2の各スイッチング素子6u〜6w,7u〜7wをオン駆動して、モータ5を起動させる。なお、上記設定されたキャリア周波数は、電解コンデンサ1の温度に相関して変化するキャリア周波数であり、予め実験により作成してメモリに保存されたテーブルに基づいて変化するキャリア周波数であってもよい。これにより、モータ5は、直流電圧のリップル電圧を許容値内に制限し得る電流が通電された状態で、上記設定キャリア周波数にキャリア周波数が制限(低減)されて運転される。なお、キャリア周波数は、上記テーブルによらず、電解コンデンサ1の温度と直流電圧のリップル電圧とを監視しながら変化させてもよい。
以後、制御手段3は、上記設定キャリア周波数により生成されたPWM信号のデューティー比を、検出された3相電流Iu,Iv,Iw及びロータ角度並びに目標回転数に基づいて計算し、該算出されたデューティー比のPWM信号によりインバータ回路2の各スイッチング素子6u〜6w,7u〜7wをオン駆動する。これにより、モータ5は、上記目標回転数に維持しながら運転する。このとき、モータ5への通電電流は、直流電圧のリップル電圧を許容値内に制限し得る電流値に維持されている。
ステップS43においては、モータ5の起動時からの経過時間がタイマーにより計時される。そして、予め設定された一定時間が経過するとステップS44に進む。
ステップS44においては、一定時間が経過したことを示す上記タイマーの出力信号に基づいて暖機モード切換部17がオフ駆動され、上記設定キャリア周波数によるキャリア周波数制限(低減)が解除される。これにより、暖機モードが終了する。
ステップS45においては、通常運転時のキャリア周波数により制御されてモータ5が運転され、モータ5は通常運転に移行する。
なお、ステップS41において、電解コンデンサ1の温度が既に目標温度に達している場合には、ステップS41は“NO”判定となってステップS45に進み、モータ5は通常運転を行う。
上記第2の実施形態においては、暖機モードの実施を電流、回転数、又はキャリア周波数をそれぞれ単独に制限して行う場合について説明したが、本発明はこれに限られず、電流、回転数及びキャリア周波数の制限を適宜組み合わせて行ってもよい。例えば、電流制限、回転数制限、及びキャリア周波数制限のうち、少なくとも二つを選択してそれぞれ一定時間だけ暖機モードを実施するようにしてもよい。また、電流制限、回転数制限、又はキャリア周波数制限の暖機モードのみの機能を搭載する場合には、上記暖機モード切換部17は無くてもよい。
また、上記第1及び第2の実施形態においては、インバータ回路2の下相側スイッチング素子7u〜7wのエミッタに接続して設けられたシャント抵抗又はインバータ回路2のアースライン上に設けられたシャント抵抗を流れる電流、若しくは電解コンデンサ1の負極側に接続したシャント抵抗を流れる電流に基づいてモータ5への通電電流を制限する場合について説明したが、本発明はこれに限られず、上記下相側スイッチング素子7u〜7wのエミッタに接続して設けられたシャント抵抗又はインバータ回路2のアースライン上に設けられたシャント抵抗を流れる電流(検出電流)からリップル電流を推定し、該リップル電流が許容値内となるようにモータ5への通電電流を制限してもよい。この場合、リップル電流は、上記検出電流の交流成分の和によって推定することができる。又は上記検出電流とリップル電流との関係を実験により予め測定しておき、この関係からリップル電流を推定することもできる。
そして、以上の説明においては、3相のインバータ回路2について説明したが、本発明はこれに限られず、インバータ回路2は、例えば4相等、何相であってもよく、適用する電動機の相数に応じて適宜設定するとよい。
1…電解コンデンサ
2…インバータ回路
3…制御手段
4…温度検出手段
5…モータ(電動機)
6u〜6w,7u〜7w…スイッチング素子
Ra…等価直列抵抗
2…インバータ回路
3…制御手段
4…温度検出手段
5…モータ(電動機)
6u〜6w,7u〜7w…スイッチング素子
Ra…等価直列抵抗
Claims (6)
- 整流電圧を直流電圧に平滑する電解コンデンサと、
前記電解コンデンサにより平滑にされた前記直流電圧が供給されるように設けられ、前記直流電圧から交流電圧を生成して電動機を駆動するインバータ回路と、
前記インバータ回路が有する複数のスイッチング素子の駆動を制御する制御手段と、
前記電解コンデンサの温度を検出して前記制御手段に出力する温度検出手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記温度検出手段で取得した前記温度が予め定められた目標温度よりも低いとき、前記電動機の通常運転開始前に、前記整流電圧を平滑化する際に発生する前記直流電圧のリップル電圧が許容値内となるように制限した電流を前記電動機に通電し、前記電解コンデンサの温度を前記目標温度まで昇温させることを特徴とするインバータ装置。 - 前記制御手段は、前記電動機の起動前に、前記インバータ回路の複数のスイッチング素子のうち特定のスイッチング素子を選択してオン駆動させ前記電動機を停止させたままで、前記直流電圧のリップル電圧を許容値内に抑え得る設定電流値に基づいて、前記電動機に通電する電流を制御することを特徴とする請求項1に記載のインバータ装置。
- 前記選択された特定のスイッチング素子は、予め設定して保存された一定の電流値、又は前記電解コンデンサの温度に相関して変化する電流値に基づいて計算されたデューティー比のパルス幅変調信号により駆動されることを特徴とする請求項2に記載のインバータ装置。
- 前記パルス幅変調信号のデューティー比は、前記予め設定して保存された前記電流値と前記電動機の通電電流値との差分を補正し得るように計算されたものであることを特徴とする請求項3に記載のインバータ装置。
- 前記直流電圧のリップル電圧が許容値内となるように制限した電流の前記電動機への通電は、予め設定して保存された一定時間が経過するまで行われることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインバータ装置。
- 前記制御手段は、前記電動機の起動時から一定時間経過するまで、前記直流電圧のリップル電圧を許容値内に制限し得る一定の設定電流値、又は前記電解コンデンサの温度に相関して変化する設定電流値に基づいて、前記電動機に通電する電流を制御することを特徴とする請求項5に記載のインバータ装置。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2021079841A1 (ja) * | 2019-10-24 | 2021-04-29 | 三菱重工サーマルシステムズ株式会社 | 制御装置、電動圧縮機、制御方法、プログラム |
CN114204850A (zh) * | 2021-12-08 | 2022-03-18 | 浙江吉利控股集团有限公司 | 一种电动压缩机低温预热方法和设备 |
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-
2015
- 2015-12-28 JP JP2015256401A patent/JP2016077150A/ja active Pending
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