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JP2016074951A - 肌焼鋼の製造方法 - Google Patents

肌焼鋼の製造方法 Download PDF

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JP2016074951A JP2014206590A JP2014206590A JP2016074951A JP 2016074951 A JP2016074951 A JP 2016074951A JP 2014206590 A JP2014206590 A JP 2014206590A JP 2014206590 A JP2014206590 A JP 2014206590A JP 2016074951 A JP2016074951 A JP 2016074951A
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正之 笠井
Masayuki Kasai
正之 笠井
清史 上井
Seishi Uei
清史 上井
遠藤 茂
Shigeru Endo
茂 遠藤
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JFE Steel Corp
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Abstract

【課題】冷間鍛造性に優れるとともに、高温で浸炭処理を行っても結晶粒の粗大化が生じない肌焼鋼の製造方法を提供する。
【解決手段】肌焼鋼の製造方法であって、鋼素材を熱間加工して鋼片を製造する工程と、前記鋼片を熱処理する工程と、前記熱処理された鋼片を熱間加工して肌焼鋼を製造する工程とを有し、前記鋼素材が所定の成分組成を有し、前記熱処理が、下記(1)式で定義されるPが、下記(2)式を満たす条件で実施される肌焼鋼の製造方法。
P=T(25+log t) …… (1)
4.00×104 ≦P≦4.30×104 …… (2)
[ここで、T:温度(K)、t:時間(h)である]
【選択図】なし

Description

本発明は、自動車や建産機分野などにおいて、機械構造部品の素材として用いられる肌焼鋼の製造方法に関するものである。特に、浸炭処理において結晶粒が粗大化せず、かつ冷間鍛造性にも優れ、歯車やシャフト、軸受などの素材として好適に使用できる肌焼鋼に関するものである。
自動車、建設機械、その他各種の産業機械に用いられる機械部品には、疲労強度や耐摩耗性に優れることが求められる。そのため、それらの用途においては、浸炭、窒化、および浸炭窒化などの表面硬化処理が施された鋼材が広く用いられている。このように表面硬化処理を施して使用するための鋼材は、肌焼鋼と呼ばれ、代表的なものとして、JIS G 4053に規定されているSCr(クロム鋼)、SCM(クロムモリブデン鋼)、SNCM(ニッケルクロムモリブデン鋼)などがある。
肌焼鋼から機械部品を製造する際には、まず、棒鋼などの形態の肌焼鋼を、鍛造や切削などの機械加工によって所望の部品形状に成形する。その後、浸炭などの処理によって表面を硬化し、さらに、研磨などの仕上げ処理を施して、最終的な製品が得られる。
近年、自動車、建設機械、その他の産業機械に使用される部品の製造コストの低減が強く望まれている。そこで、機械加工にかかるコストを低減するために、従来、切削によって行われていた加工を、鍛造によって行うといった、加工方法の切り替えが進められている。また、鍛造加工を行う場合においても、熱間鍛造に代えて、冷間鍛造が採用されることが増えている。冷間鍛造は、寸法精度が高く、鍛造後の切削仕上を省略できるため、コストの低減に有効である。
また、浸炭処理に関しては、従来のガス浸炭に代えて、真空浸炭が用いられるようになってきている。ガス浸炭では、被処理部品表面の粒界酸化により浸炭異常層が生成し、その結果、表層の硬度が低下する。そのため、浸炭処理後、研磨などの方法により浸炭異常層を除去する必要があった。これに対し、真空浸炭には、浸炭異常層が生成しないという利点がある。また、真空浸炭は高温で行うことができるため、浸炭処理にかかる時間を短縮することが可能である。
しかし、浸炭処理を高温で行った場合、オーステナイト粒(γ粒)の粗大化が生じやすいという問題がある。結晶粒が粗大化すると、焼入れ後に熱歪が生じ、部品寸法が変化する。そのため、仕上げ加工や研磨などの余分な工程が必要となり、生産性が低下し、製造コストが上昇する。
そこで、冷間鍛造に適し、しかも、高温での浸炭処理にも適用できる肌焼鋼を実現するために、種々の研究が行われてきた。特に、浸炭時における結晶粒粗大化を防止するために、鋼にAl、Nb、Tiなどの元素を添加する手法が広く提案されている。これらの元素は、窒化物、炭化物、炭窒化物を形成する性質を有しているため、鋼に添加されると、AlN、Nb(CN)、TiCなどの微細析出物を形成する。これらの微細析出物は、結晶粒界をピン止し、結晶粒の成長を抑制する作用を有している。
例えば、特許文献1および2には、鋼材におけるAl、Nb、およびNの含有量を調整することによって、浸炭処理時の加熱による結晶粒の粗大化を抑制した肌焼鋼が記載されている。
特許文献3および4には、Al、Nb、Ti含有量と、各析出物の大きさ、個数密度、ベイナイトの組織分率、フェライトバンド評点、および圧延条件を制御することによって、結晶粒の粗大化に起因する熱歪みの発生を抑制した肌焼鋼が記載されている。
また、肌焼鋼の製造時に特定条件で熱処理を行うことによって、結晶粒の粗大化を抑制する方法も提案されている。
例えば、特許文献5には、Tiを含有する肌焼鋼の製造において、粗塑性加工により得られた鋼片を再加熱することが記載されている。前記再加熱によって、その後の浸炭処理における結晶粒の粗大化が抑制されるとともに、鋼材の疲労特性や被削性が向上する。
特許文献6〜9には、鋳造によって得た鋳片を熱間加工して棒鋼を製造する際に、前記熱間加工に先立って鋳片を熱処理(均熱処理、均熱)する技術が開示されている。
特開昭58−45354号公報 特開昭61−261427号公報 特開平11−50191号公報 特開平11−335777号公報 特開2007−31787号公報 特開2003−306743号公報 特開2007−162128号公報 特許第4440845号公報 特開2011−231375号公報
しかし、特許文献1〜9に記載された技術には、以下に挙げるような様々な問題があった。
例えば、特許文献1、2に記載されている方法では、工業的に安定して粗大化の発生を抑制することができなかった。また、特許文献3、4に記載されている方法では、極めて多くの条件を制御する必要があるため、種々の寸法、形状の鋼材を製造する実操業に適用することは事実上困難である。
特許文献5に記載された技術では、鋼にTiが添加されているため、鋳造時にTiNが生成する。その結果、得られる肌焼鋼は熱間加工性に劣っている。また、棒鋼を冷間鍛造する前に、ピーリング(表面の切削)を行うことがあるが、特許文献5の方法で得た棒鋼では、そのピーリングの際に、表面にむしれが生じやすいという問題がある。そのような棒鋼を冷間鍛造すると、表面疵が発生しやすい。
特許文献6〜9に記載されている方法では、鋳片を熱処理することによって偏析を低減している。しかし、鋳片においては、偏析した成分間の距離が長いため、熱処理によって偏析をなくし、鋼の組成を均一化するためには膨大な時間を要する。また、棒鋼圧延後の鍛流線に沿った元素の偏析を軽減することが出来ず、その後の圧延工程や圧延後の焼鈍、鍛造を経ても、冷間鍛造後の浸炭時の結晶粒粗大化を十分に改善できないという問題があった。
本発明は、上記の実情に鑑み開発されたものであり、冷間鍛造性に優れるとともに、高温で浸炭処理を行っても結晶粒の粗大化が生じない肌焼鋼の製造方法を提供することを目的とする。
発明者らは、上記の目的を達成すべく、鋭意研究を行った結果、特定の成分組成を有する鋼素材を使用し、かつ、鋳片の熱間加工と、前記鋳片の熱間加工によって得た鋼片の熱間加工との間に、所定の条件で熱処理を行うことによって、優れた結晶粒度特性と冷間鍛造性を兼ね備えた肌焼鋼を製造できることを見出した。本発明は、前記知見に立脚するものである。
すなわち、本発明の要旨構成は、次のとおりである。
(1)肌焼鋼の製造方法であって、
鋼素材を熱間加工して鋼片を製造する工程と、
前記鋼片を熱処理する工程と、
前記熱処理された鋼片を熱間加工して肌焼鋼を製造する工程とを有し、
前記鋼素材が、質量%で、
C :0.05%以上、0.40%以下、
Si:1.0%以下、
Mn:0.5%以上、1.5%以下、
P :0.03%以下、
S :0.03%以下、
Cr:0.6%以上、2.0%以下、
Al:0.10%以下、
Ti:0.005%未満、
N :0.002%以上、0.020%以下、
O :0.0020%以下、
残部のFeおよび不可避的不純物からなり、
前記熱処理が、下記(1)式で定義されるPが、下記(2)式を満たす条件で実施される肌焼鋼の製造方法。
P=T(25+log t) …… (1)
4.00×104 ≦P≦4.30×104 …… (2)
[ここで、T:温度(K)、t:時間(h)である]
(2)前記鋼素材が、質量%でさらに、
Mo:1.0%以下、
Ni:3.0%以下、および
Cu:2.0%以下のうちから選択される1種または2種以上を含有する前記(1)記載の肌焼鋼の製造方法。
(3)前記鋼素材が、質量%でさらに、
B :0.0030%以下を含有することを特徴とする前記(1)または(2)に記載の肌焼鋼の製造方法。
(4)前記鋼素材が、質量%でさらに、
Ca:0.010%以下を含有することを特徴とする前記(1)乃至(3)のいずれか一に記載の肌焼鋼の製造方法。
(5)前記鋼素材が、質量%でさらに、
Pb:0.1%以下および
Bi:0.1%以下のうちから選択される1種または2種以上を含有することを特徴とする前記(1)乃至(4)のいずれか一に記載の肌焼鋼の製造方法。
(6)前記鋼素材が、質量%でさらに、
Nb:0.5%以下、
V :0.5%以下、
Zr:0.5%以下、および
W :0.5%以下のうちから選択される1種または2種以上を含有することを特徴とする前記(1)乃至(5)のいずれか一に記載の肌焼鋼の製造方法。
本発明によれば、冷間鍛造性に優れるとともに、高温で浸炭処理を行っても結晶粒の粗大化が生じない肌焼鋼を製造することができる。かかる肌焼鋼は、各種機械部品用の素材として極めて有用である。
次に、本発明を実施する方法について具体的に説明する。
本発明の肌焼鋼の製造方法においては、上記成分組成を有する鋼素材を使用することが重要である。そこで、まず、本発明において鋼の成分組成を上記のように限定する理由を説明する。なお、成分に関する「%」表示は、特に断らない限り「質量%」を意味するものとする。
C:0.05%以上、0.40%以下
Cは、鋼の強度を高める作用を有する元素である。機械部品として必要な強度を確保するためには、鋼が0.05%以上のCを含有する必要がある。C量が0.05%未満であると、硬さが不足し、部品として十分な強度を得ることができない。一方、C含有量が高すぎると、鋼が過度に硬くなり、鍛造性や被削性が低下する。そのため、C含有量は0.40%以下とする必要がある。以上の理由から、本発明ではC含有量を0.05%〜0.40%の範囲とした。なお、C含有量は0.15〜0.40%の範囲とすることが好ましい。
Si:1.0%以下
Siは、鋼の強度を向上させる作用を有する元素である。また、Siは、焼き戻し軟化抵抗を向上させ、浸炭部の表層硬さを確保するのに有効な元素でもある。これらの効果は、Si含有量が多いほど高くなるが、Si含有量が多すぎると鋼素材の変形抵抗が増し、鍛造性が劣化する。また、過剰のSiは、浸炭時の粒界酸化を助長し、面疲労強度を低下させる。そのため、本発明ではSi含有量を1.0%以下に限定する。なお、Si含有量は0.75%以下とすることが好ましく、0.50%以下とすることがより好ましい。一方、Si含有量の下限については特に限定されないが、0.05%以上とすることが好ましく、0.10%以上とすることがより好ましい。
Mn:0.5%以上、1.5%以下
Mnは、鋼の焼入れ性と強度を向上させる作用を有する元素である。これらの効果を得るために、本発明ではMn含有量を0.5%以上とする。一方、Mnが過剰であると、偏析が顕著となり、鋼の組成が不均一となる。この偏析は、鋼の冷間加工性を低下させるだけでなく、浸炭時の粒界酸化を助長し、面疲労強度を低下させる。そのため、Mn含有量は1.5%以下とすることが重要である。なお、Mn含有量は0.5%以上、1.2%以下とすることが好ましく、0.6%以上、1.0%以下とすることがより好ましい。
P:0.03%以下
Pは、鋼中に不可避的に混入し、結晶粒界に偏析して靭性を低下させる。そのため、P含有量は極力低くすることが望ましい。そこで、本発明においては、P含有量を0.03%以下とする。なお、P含有量は0.02%以下とすることが好ましく、0.015%以下とすることがより好ましい。一方、下限については限定されないが、工業的には0%超である。また、過度の低P化は精錬時間の増加やコストの上昇を招くため、0.001%以上とすることが好ましい。
S:0.03%以下
Sは、Mnと硫化物を形成し、部品の疲労強度や靭性を低下させる作用がある。そのため、S含有量は低くすることが望ましい。そこで、本発明では、S含有量を0.03%以下とする。S含有量は、0.02%以下とすることが好ましく、0.015%以下とすることがより好ましい。なお、下限については限定されないが、工業的には0%超である。また、過度の低S化は精錬時間の増加やコストの上昇を招くため、0.0003%以上とすることが好ましく、0.001%以上とすることがより好ましい。また、Mnの硫化物は被削性を向上させる作用を有している。そこで、被削性を向上させるために、上記範囲内でS含有量を適宜調整することもできる。
Cr:0.6%以上、2.0%以下
Crは、強度および靭性の向上に有効な元素である。また、焼入れ性を向上させる効果も有する。これらの効果を得るために、本発明ではCr含有量を0.6%以上とする。一方、Cr含有量があまりに多くなると、鋼素材の硬さが高くなり、被削性および加工性が低下する。そのため、本発明ではCr含有量を2.0%以下とする。なお、Cr含有量は0.8%〜1.5%とすることがより好ましい。
Al:0.10%以下
Alは、脱酸剤として作用し、鋼材の品質を向上させる効果を有する元素である。しかし、Al含有量があまりに多くなると、Al23からなる粗大な非金属介在物がクラスター状に生成する。また、Alは浸炭時の粒界酸化を助長し、面疲労強度を低下させる。そのため、本発明では、Al含有量を0.10%以下とする。なお、Al含有量は0.05%以下とすることが好ましく、0.04%以下とすることがより好ましい。また、下限については特に限定されないが、脱酸剤としての効果を得るために、0.003%以上とすることが好ましく、0.01%以上とすることがより好ましい。
Ti:0.005%未満
Tiは、Nと結合して粗大なTiNを形成する性質を有する元素である。TiNが生成すると、冷間鍛造時に表面疵が発生しやすくなり、また、浸炭表層の炭化物の粗大化による結晶粒度特性の低下や耐疲労特性の低下を招く。そのため、Ti含有量は極力低くすることが好ましい。そこで、本発明では、Ti含有量を0.005%未満とする。なお、Ti含有量は0.003%以下とすることが好ましい。一方、下限は特に限定されないが、製造上の観点から0.0005%以上とすることが好ましく、0.001%以上とすることがより好ましい。
N:0.002%以上、0.020%以下
Nは、素材の硬さ、変形抵抗を増大させて、冷間加工性を低下させる。そのため、本発明ではN含有量を0.020%以下とする。一方、Nは、AlやNbなどの元素と結合し、窒化物や炭窒化物として析出する。これらの析出物は、浸炭時の結晶粒粗大化を抑制する作用を有している。この効果を得るために、本発明ではN含有量を0.002%以上とする。なお、N含有量は0.005%以上とすることがより好ましい。
O:0.0020%以下
Oは、鋼中に不可避的に含まれる不純物元素である。Oが過剰に含まれると、粗大な酸化物系介在物が生成して、疲労特性や靭性が低下する。そのため、O含有量は極力低くすることが望ましい。そこで、本発明ではO含有量を0.0020%以下とする。O含有量は0.0015%以下とすることが好ましく、0.0010%以下とすることがより好ましい。一方、下限については特に限定されないが、工業的には0%超である。また、過度の低O化は精錬時間の増加やコストの上昇を招くため、0.0001%以上とすることが好ましい。
本発明における鋼素材の成分組成の内、上記した元素以外の残部はFeと不可避的不純物である。不可避的不純物としては、原料、製造設備等から不可避的に混入する不純物が挙げられる。また、本発明では、必要に応じて、以下に述べる元素をさらに鋼素材に添加することができる。
Mo:1.0%以下
Moは、浸炭焼入れにおける焼入れ性を向上させる作用に加え、靭性を向上させる作用を有する元素である。さらに、Moは、浸炭時のSiやAl、Cr、Mnといった元素の粒界酸化に起因する浸炭異常層の生成を抑制する働きも有している。これらの効果を得るために、Mo含有量を0.05%以上とすることが好ましい。一方、Mo含有量が1.0%を超えると、その効果が飽和するだけでなく、鋼素材の硬さが増して被削性や冷間鍛造性、靭性が低下する。そのため、Mo含有量は1.0%以下とすることが好ましい。なお、Mo含有量は0.10〜0.50%とすることがより好ましい。
Ni:3.0%以下
Niは、鋼材の耐食性を向上させる作用を有する元素である。また、Niは、鋼の靭性の向上させる作用も有している。これらの効果を得るために、Ni含有量を0.1%以上とすることが好ましく、0.3%以上とすることがより好ましい。一方、過剰なNiの添加はコストの上昇を招く。そのため、Ni含有量は3.0%以下とすることが好ましく、2.0%以下とすることがより好ましく、1.5%以下とすることがさらに好ましい。
Cu:2.0%以下
Cuは、鋼の焼入れ性を向上させる作用を有する元素である。この効果は微量のCuによって得ることができる。そのため、本発明ではCu含有量を0.1%以上とすることが好ましい。一方、Cuを2.0%を超えて添加すると、鋼の硬さが増し、冷間加工性が低下する。そのため、Cu含有量は2.0%以下とすることが好ましい。
B:0.0030%以下
Bは、鋼材の焼入れ性を高める作用を有する元素である。さらに、Bは、結晶粒界に偏析することで粒界を強化し、鋼の靭性を大幅に高める作用を有している。これらの効果を得るために、B含有量は0.0010%超とすることが好ましい。一方、B含有量が0.0030%を超えると、その効果は飽和する。また、Bが過剰であると、B窒化物が生成し易くなり、冷間加工性および熱間加工性が低下する。そのため、B含有量を0.0030%以下とすることが好ましく、0.0020%以下とすることがより好ましい。
Ca:0.010%以下
Caは、硫化物の展伸を抑制して、鋼の衝撃特性を向上させる作用を有する元素である。この効果を得るために、Ca含有量を0.0005%以上とすることが好ましく、0.0008%以上とすることがより好ましい。一方、Caが過剰であると、粗大な酸化物が生成し、鋼の強度が低下する。そのため、Ca含有量を0.010%以下とすることが好ましく、0.0030%以下とすることがより好ましく、0.0020%とすることがさらに好ましい。
Pb:0.1%以下、および
Bi:0.1%以下のうちから選択される一種または二種以上
PbおよびBiは、いずれも、鋼材の被削性を向上させる作用を有する元素である。かかる効果を得るために、これらの元素を、必要に応じて鋼素材に含有させることができる。Pb含有量とBi含有量は、それぞれ、0.02%以上とすることが好ましく、0.03%以上とすることがより好ましい。一方、これらの元素が過剰であると、鋼の強度が低下する。そのため、Pb含有量とBi含有量は、それぞれ、0.1%以下とすることが好ましく、0.07%以下とすることがより好ましく、0.06%以下とすることがさらに好ましい。
Nb:0.5%以下、
V :0.5%以下、
Zr:0.5%以下、および
W :0.5%以下のうちから選択される一種または二種以上
Nb、V、Zr、およびWは、いずれも、炭素および窒素と親和力が強い元素である。そのため、これらの元素は微細な析出物を生成することで、γ粒の粗大化を抑制する効果があり、この効果の面からいずれも0.5%以下の範囲で含有させることができる。より好ましくは0.3%以下、さらに好ましくは0.2%以下である。
次に、本発明の肌焼鋼の製造工程について、具体的に説明する。本発明では、上記成分組成を有する鋼素材を使用するとともに、以下に述べる特定の製造条件を採用することが重要である。
・ 鋼素材の製造
まず、熱間加工に供するための鋼素材を製造する。鋼素材の製造方法は特に限定されず、熱間加工が可能な素材を得られる方法であれば、各種公知の方法を使用できる。代表的な方法としては、連続鋳造法が挙げられる。
・ 熱間加工(1段階目)
次に、連続鋳造などの方法によって得られた鋼素材(鋳片)を熱間加工して鋼片とする。前記熱間加工の種類は限定されず、熱間鍛造や熱間圧延など、各種公知の方法を用いることができる。中でも、熱間鍛造を用いることが好ましい。
なお、本発明においては、後述するように上記熱間加工後に熱処理を行う。したがって、上記熱間加工前に元素偏析低減を目的とした熱処理を行う必要が無い。上記熱間加工前に元素偏析低減を目的とした熱処理を行う場合、鋳片では偏析バンド間距離が長いため、熱処理による偏析軽減が十分なされない。また、鋳片に熱処理をすることによって偏析を軽減しようとすると、処理に膨大な時間が必要となり、製造効率が低下する。そのため、上記熱間加工の前には元素偏析を低減することを目的とした熱処理を行わないことが好ましい。
上記熱間加工を鍛造で行う場合、鋼素材(鋳片)は、熱間で鍛造されて鋼片(鍛片)となる。この処理は、鋼片鍛造処理とも呼ばれる。前記鋼片鍛造処理は、鋳片を1000℃以上の温度に加熱した後、加工率50%以上の条件で行うことが好ましい。加熱温度が1000℃に満たない場合、熱間変形能が低く、鍛造機への負荷が大きくなるだけでなく、熱間鍛造時に表面割れなどの欠陥が生じやすい。このため、上記加熱温度は1000℃以上とすることが好ましく、1050℃以上とすることがより好ましく、1100℃以上とすることがさらに好ましい。また、加工率が50%に満たない場合、鋳片内部の引け巣やポロシティといった欠陥が鍛造後も残存し、内部割れが生じやすくなる。それに加え、加工率が低いと、鍛造後の偏析バンドの間隔が大きくなるため、次工程の熱処理による成分元素の拡散が十分になされない。そのため、鍛造時の加工率は50%以上が好ましい。また、より好ましくは60%以上である。なお、ここで加工率とは、断面減少率のことを表す。
また、上記熱間加工を圧延で行う場合、鋳片は熱間で圧延されて鋼片となる。この処理は、鋼片圧延とも呼ばれる。前記鋼片圧延は、鋳片を1000℃以上の温度に加熱した後、加工率50%以上の条件で行うことが好ましい。加熱温度が1000℃に満たない場合、熱間変形能が低く、圧延機への負荷が大きくなるだけでなく、熱間圧延時に表面割れなどの欠陥が生じやすい。このため、上記加熱温度は1000℃以上とすることが好ましく、1050℃以上とすることがより好ましく、1100℃以上とすることがさらに好ましい。また、加工率が50%に満たない場合、鋳片内部の引け巣やポロシティといった欠陥が圧延後も残存し、内部割れが生じやすくなる。それに加え、加工率が低いと、圧延後の偏析バンドの間隔が大きくなるため、次工程の熱処理による成分元素の拡散が十分になされない。そのため、鋼片圧延時の加工率は50%以上が好ましい。また、より好ましくは60%以上である。なお、ここで加工率とは、断面減少率のことを表す。
・ 熱処理
次に、上記熱間加工によって得られた鋼片に対し、熱処理を施す。この熱処理によって、鋼中における元素の偏析を軽減し、組織を均一化させることができる。その意味において、この熱処理を、均熱処理または拡散焼鈍処理と呼ぶこともできる。本発明では、この熱処理を、下記(1)式で定義されるPが、下記(2)式を満たす条件で実施することが重要である。
P=T(25+log t) …… (1)
4.00×104 ≦P≦4.30×104 …… (2)
[ここで、T:温度(K)、t:時間(h)である]
以下、熱処理の条件を上記の通り限定する理由について説明する。
本発明では、後述する棒鋼圧延などの熱間加工の前に熱処理を行うことによってCrやMoといった元素を拡散させ、熱間加工後の組織における偏析を軽減する。前述したように、熱間加工される前の鋳片に対して熱処理を行う方法では、熱処理される鋳片における偏析バンド間の距離が長いため、十分な均一性を得るためには膨大な時間熱処理するか、極めて高い温度で熱処理を行う必要がある。それに対し、本発明のように鋳片を熱間加工して鋼片とした後に熱処理を行う方法では、最初の熱間加工によって、鋼における偏析バンド間の距離が短くなっているため、比較的短い時間または低温での処理で組織を均質化することができる。
上記熱処理において、P値が4.00×104未満であると、元素を十分に拡散させることができない。そのため、最終的に得られる肌焼鋼における組織を均一にすることができない。一方、P値が4.3×104超であると、スケール生成量が多くなる。そのため、多量のスケールを除去する必要が生じ、生産性が大きく低下する。以上の理由から、P値の範囲は4.0×104以上、4.3×104以下とする。なお、より好ましいP値の範囲は、4.05×104 ≦P≦4.25×104である。
なお、本発明においては、熱処理の温度と時間は上記(1)、(2)式によって規定されるが、それぞれ個別には、以下の範囲内とすることが好ましい。加熱温度:好ましくは1100〜1400℃、より好ましくは1150〜1350℃。均熱時間:好ましくは3〜800時間、より好ましくは5〜600時間。
熱処理における他の条件は、特に限定されないが、好ましい条件は次の通りである。熱処理用炉として、連続式炉、調整雰囲気炉などが適宜使用できる。また、加熱方式は、バーナーによる直接加熱方式や、マッフル炉などの間接加熱方式などを使用できる。加熱炉の雰囲気としては、大気、あるいは窒素ガスなどの不活性ガス、また、一酸化炭素や水素ガスなどの還元性雰囲気のいずれも使用できる。以上のようにして熱処理が施された鋼片は、空冷した後に、次の熱間加工に供される。
・ 熱間加工(2段階目)
次に、上記熱処理が施された鋼片を熱間加工して肌焼鋼を得る。先に述べた熱処理前の熱間加工を1段階目の熱間加工とすると、この熱処理後の熱間加工は2段階目の熱間加工といえる。この2段階目の熱間加工の種類は限定されず、熱間鍛造や熱間圧延など、各種公知の方法を用いることができるが、熱間圧延を用いることが好ましい。また、前記熱間加工後の肌焼鋼の形態は特に限定されないが、棒鋼とすることが好ましい。前記熱間加工を圧延で行って棒鋼を得る場合、その熱間圧延は棒鋼圧延とも呼ばれる。
上記熱処理後の熱間加工を熱間圧延で行う場合、熱処理された鋼片を、900℃以上の温度に加熱した後、加工率50%以下で圧延することが好ましい。加熱温度が900℃に満たない場合、熱間変形能が低く、圧延機への荷重負荷が大きくなるだけでなく、圧延時に表面割れなどの欠陥が生じやすい。このため、加熱温度は900℃以上とすることが好ましく、930℃以上とすることがより好ましい。
次に、本発明における熱処理の効果を確認するために、以下の実験を行った。
まず、JIS SCM420 相当鋼の鋳片を、連続鋳造法によって作製した。前記鋳片の成分組成は以下の通りであった。
C :0.20%、
Si:0.20%、
Mn:0.82%、
P :0.02%、
S :0.02%、
Al:0.015%、
Cr:1.15%、
Mo:0.19%、
N :0.0065%、
残部Feおよび不可避的不純物。
・ 実験例1
次に、得られた鋳片を熱間圧延(1段階目)した。前記熱間圧延では、鋳片を1200℃に加熱し、30分間保持した後、熱間圧延により150mm角の鋼片とした(圧延加工)。なお、前記加熱は、鋳片全体を、熱間圧延を行うために必要な温度にするためのものであり、熱処理ではない。その後、前記熱間圧延によって得た鋼片に対し、熱処理と熱間圧延(2段階目)を行って、棒鋼を得た。前記熱処理は、1250℃で36時間実施し、熱処理された鋼片を空冷した後、熱間圧延(棒鋼圧延)に先立って、ダミービレットに溶接した。前記熱処理後の熱間圧延においては、鋼片を1100℃に加熱し、この温度で30分保持した後、圧延して直径:30mmの棒鋼を得た。以上の条件での肌焼鋼の製造を実験例1とする。
・ 実験例2
実験例2においては、鋳片に1250℃で36時間の熱処理を実施した。熱処理後の鋳片を、熱間圧延(1段階目)により150mm角の鋼片とした。得られた鋼片を空冷した後、次の熱間圧延に先立ってダミービレットに溶接した。その後、前記鋼片に対し、熱間圧延(2段階目)を行って棒鋼を得た。前記熱処理後の熱間圧延(棒鋼圧延)においては、鋼片を1100℃に加熱し、その温度で30分保持した後、圧延して直径:30mmの棒鋼を製造した。以上の条件での肌焼鋼の製造を実験例2とする。
・ 実験例3
実験例3においては、鋳片の熱間圧延(1段階目)の前と後のいずれにおいても熱処理を行わなかった点以外は実験例1と同じ条件で、棒鋼を製造した。すなわち、鋳片を熱間圧延した後、さらに熱間圧延して棒鋼とした。
・ Cr偏析度の評価
実験例1〜3において得られた棒鋼のそれぞれについて、偏析度を評価した。前記評価は、偏析が生じやすい性質を有するCrに着目して実施した。Cr偏析度の測定方法は、以下の通りである。
棒鋼の中心部に存在し、圧延方向に伸びる偏析バンドにおけるCr−K殻励起の特性X線強度を、電子線マイクロアナライザー(EPMA)を用いて測定した。前記測定は、圧延方向と垂直径方向のそれぞれについて、長さ5mmに渡り行った。測定値から、下記(3)式に基づいてCr偏析度を求めた。
Cr偏析度=Imax/Iave …… (3)
[ここで、Imax:偏析部におけるCr−K殻励起の特性X線強度の最大値、
ave:Cr−K殻励起の特性X線強度の平均値]
その結果、実験例1におけるCr偏析度が1.15であったのに対して、実験例2では1.55,実験例3では1.64であった。Cr偏析度が1.30以下であれば、Crに代表される合金元素の偏析が十分に軽減されているものといえる。この結果は、本発明で規定するように、熱間加工後に熱処理を行うことにより、偏析を効果的に軽減できることを示している。
・ 冷間鍛造性
次に、上記実験例1〜3で得られた棒鋼に、740℃における球状化熱処理を施した後、冷間鍛造性の試験を実施した。試験方法は次の通りである。
前記球状加熱処理後の棒鋼の、断面の直径方向の1/4位置から、φ8mm×12mmの冷間鍛造性試験片を採取した。前記試験片を用い、プレス機を用いて据込圧縮試験を行った。圧下率:70%での圧縮時における割れの有無を観察することによって、冷間鍛造性を評価した。なお、試験では、工具として端面拘束金型を使用した。実験例1〜3のそれぞれについて、30回ずつ試験を行った。その結果、実験例1では割れが1つも発生しなかったのに対して、実験例2では6個、実験例3では15個の試験片について割れが発生した。この結果から、本発明の方法で得られる肌焼鋼は、実験例2、3のような方法で得られる肌焼鋼に比べて、冷間鍛造性にも優れることが分かる。
・ 組織観察
次に、以下に述べる手順で実験例1〜3の棒鋼に対して浸炭処理を施し、浸炭後の組織を観察した。まず、上記球状加熱処理後の棒鋼の断面の直径方向の1/4位置から試験片を採取した。次に、前記試験片に対し端面拘束条件で加工率:70%の圧縮加工を行った後、浸炭処理を施した。前記浸炭処理には真空浸炭炉を使用し、処理条件は温度:1000℃、均熱時間:90分、浸炭および拡散時間:80分、雰囲気:アセチレンとした。その後、860℃で30分保持してから80℃まで油冷した。
得られた試験片の組織を、倍率100倍の条件で、光学顕微鏡を用いて観察した。無作為に選択された20視野においてオーステナイト結晶粒を観察し、粒径100μm以上の粗大粒の個数を求めた。その結果、実験例1では粗大粒が観察されなかったのに対し、実験例2では22個、実験例3では78個の粗大粒が観察された。この結果から、本発明の方法で得られる肌焼鋼では、実験例2、3のような方法で得られる肌焼鋼に比べて、浸炭処理による結晶粒の粗大化が、効果的に抑制できていることが分かる。
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。以下の実施例は、本発明の好適な一例を示すものであり、本発明は、該実施例によって何ら限定されるものではない。本発明の実施形態は、本発明の趣旨に適合する範囲で適宜変更することが可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に包含される。
・ 発明例および比較例:No.1〜51
以下の手順に従って棒鋼を製造した。
1)連続鋳造:表1に示す成分組成の鋳片を、連続鋳造法により製造した。
2)熱間加工:得られた鋳片を1200℃に加熱し、30分間保持した後、150mm角に鍛伸加工して鋼片を得た。
3)熱処理:前記鋼片に対し、表2−1、2−2に示す温度および時間にて熱処理を行った。
4)熱間加工:熱処理された鋼片を空冷した後、ダミービレットに溶接した。次いで、1100℃に加熱して30分間保持した後、熱間圧延により直径:30mmの棒鋼を製造した。
すなわち、上記製造方法においては、1段階目の熱間加工、すなわち、鋳片(鋼素材)に対する熱間加工の後に熱処理を行っている。
・ 比較例:No.52
比較のため、以下の手順に従って棒鋼を製造した。
1)連続鋳造:表1に示す成分組成の鋳片を、連続鋳造法により製造した。
2)熱処理:前記鋳片に対し、1250℃で36時間の熱処理を施した。
3)熱間加工:熱処理された鋳片を1200℃に加熱し、30分間保持した後、150mm角に鍛伸加工して鋼片を得た。
4)熱間加工:得られた鋼片をダミービレットに溶接した後、1100℃に加熱して30分間保持した後、熱間圧延により直径:30mmの棒鋼を製造した。
すなわち、上記製造方法においては、1段階目の熱間加工、すなわち、鋳片(鋼素材)に対する熱間加工の前に熱処理を行っている。
・ 比較例:No.53
さらに、比較のため、以下の手順に従って棒鋼を製造した。
1)連続鋳造:表1に示す成分組成の鋳片を、連続鋳造法により製造した。
2)熱間加工:鋳片を1200℃に加熱し、30分間保持した後、150mm角に鍛伸加工して鋼片を得た。
3)熱間加工:得られた鋼片をダミービレットに溶接した後、1100℃に加熱して30分間保持した後、熱間圧延により直径:30mmの棒鋼を製造した。
すなわち、上記製造方法においては、鋳片に対する熱間加工の前と後のいずれにおいても熱処理を行っていない。
上記方法で得られた棒鋼のそれぞれについて、浸炭処理による結晶粒の粗大化の有無(結晶粒度特性)、冷間鍛造性、およびCr偏析度を評価した。なお、各項目の評価方法は、実験例1〜3についての記載において説明した通りである。ただし、浸炭処理における処理温度は1000℃および950℃の2条件とした。冷間鍛造性の評価においては、30回の据込圧縮試験において、一つでも割れが観察されたものは不良(×)、割れが観察されなかったものは良好(○)とした。また、浸炭処理による結晶粒の粗大化(結晶粒度特性)の評価においては、20視野の観察において粒径100μm以上の粗大粒が一つでも観察されたものは不良、一つも観察されなかったものは良好とした。そして、浸炭処理温度が1000℃の条件において良好であったものを◎、1000℃の条件では不良であるが、950℃の条件では良好であったものを○、950℃の条件で不良であったものを×とした。
評価結果は表2−1、2−2に示した通りである。熱間加工後に熱処理を行ったNo.1〜51のうち、熱処理が、本願発明の(1)、(2)式を満たす条件で行われた発明例では、結晶粒度特性、冷間鍛造性、Cr偏析度がともに優れていた。一方、本発明の条件を満たさない比較例では、Cr偏析度が高く、結晶粒度特性や冷間鍛造性が劣っていた。
また、熱間加工の前に熱処理を行った比較例No.52や、熱処理を行わなかった比較例No.53においても、結晶粒度特性や冷間鍛造性が劣っていた。
Figure 2016074951
Figure 2016074951
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Claims (6)

  1. 肌焼鋼の製造方法であって、
    鋼素材を熱間加工して鋼片を製造する工程と、
    前記鋼片を熱処理する工程と、
    前記熱処理された鋼片を熱間加工して肌焼鋼を製造する工程とを有し、
    前記鋼素材が、質量%で、
    C :0.05%以上、0.40%以下、
    Si:1.0%以下、
    Mn:0.5%以上、1.5%以下、
    P :0.03%以下、
    S :0.03%以下、
    Cr:0.6%以上、2.0%以下、
    Al:0.10%以下、
    Ti:0.005%未満、
    N :0.002%以上、0.020%以下、
    O :0.0020%以下、
    残部のFeおよび不可避的不純物からなり、
    前記熱処理が、下記(1)式で定義されるPが、下記(2)式を満たす条件で実施される肌焼鋼の製造方法。
    P=T(25+log t) …… (1)
    4.00×104 ≦P≦4.30×104 …… (2)
    [ここで、T:温度(K)、t:時間(h)である]
  2. 前記鋼素材が、質量%でさらに、
    Mo:1.0%以下、
    Ni:3.0%以下、および
    Cu:2.0%以下のうちから選択される1種または2種以上を含有する請求項1記載の肌焼鋼の製造方法。
  3. 前記鋼素材が、質量%でさらに、
    B :0.0030%以下を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の肌焼鋼の製造方法。
  4. 前記鋼素材が、質量%でさらに、
    Ca:0.010%以下を含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の肌焼鋼の製造方法。
  5. 前記鋼素材が、質量%でさらに、
    Pb:0.1%以下および
    Bi:0.1%以下のうちから選択される1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の肌焼鋼の製造方法。
  6. 前記鋼素材が、質量%でさらに、
    Nb:0.5%以下、
    V :0.5%以下、
    Zr:0.5%以下、および
    W :0.5%以下のうちから選択される1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の肌焼鋼の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2017146057A1 (ja) * 2016-02-24 2017-08-31 株式会社神戸製鋼所 転動疲労寿命の安定性に優れた鋼材および浸炭鋼部品、並びにそれらの製造方法
JP7564439B2 (ja) 2020-12-16 2024-10-09 日本製鉄株式会社 鋼材

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