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JP2016060728A - 抗菌活性を持つ化合物、およびその製造方法 - Google Patents

抗菌活性を持つ化合物、およびその製造方法 Download PDF

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JP2016060728A
JP2016060728A JP2014191540A JP2014191540A JP2016060728A JP 2016060728 A JP2016060728 A JP 2016060728A JP 2014191540 A JP2014191540 A JP 2014191540A JP 2014191540 A JP2014191540 A JP 2014191540A JP 2016060728 A JP2016060728 A JP 2016060728A
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Abstract

【課題】十分な抗菌・抗カビ活性を有し、抗菌・防腐剤の有効成分として使用可能な化合物の提供を課題とする。【解決手段】 一般式(1):(式中、Rは炭素数3〜16のアルキルまたはアルカノイル基を表す)で表されることを特徴とする、メチルブタンジオールにより上記の課題を解決する。【選択図】なし

Description

本発明は、抗菌活性を有する化合物およびその製造方法に関する。より具体的には、本発明は、メチルブタンジオール、およびその製造方法に関する。
一般に、化粧品、医薬品および医薬部外品などには抗菌・防腐剤として、4−ヒドロキシ安息香酸エステル類であるメチルパラベン、エチルパラベンなどのパラベン類が多く用いられている。しかしこのパラベン類は皮膚刺激性を有し、人体の皮膚刺激性が問題となっており、パラベン使用量の軽減やパラベン類を配合しない製品が求められている。
本発明によるメチルブタンジオールは、新規化合物であり、かつ抗菌作用を有しており、抗菌・防腐剤として用いることができる。
現在、抗菌・防腐剤として化粧品、医薬品および医薬部外品などに広く用いられているパラベン類が有する皮膚刺激性が問題となってきていることから、本発明は、十分な抗菌活性を有する抗菌・防腐剤の化合物およびその製造方法の提供を課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意努力研究を重ねた結果、特定の構造を有するメチルブタンジオールが高い抗菌・抗カビ活性を有し、当該化合物を抗菌・防腐用物質として使用できることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば、一般式(1):
Figure 2016060728
(式中、Rは炭素数3〜16のアルキルまたはアルカノイル基を表す)
で表されることを特徴とする、メチルブタンジオールが提供される。
また、本願発明によれば、前記一般式(1)におけるRが、炭素数4〜14である、前記のメチルブタンジオールが提供される。
また、本発明によれば、前記一般式(1)において、Rが、n−ブチル、n−へキシル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−デシルまたはn−ヘキサノイルオキシ基を表す、前記のメチルブタンジオールが提供される。
さらに、本発明によれば、以下の式(2):
Figure 2016060728
で表される3−メチルブト−3−エン−1−オールに、
RX
(式中、Rは、炭素数3〜16のアルキルまたはアルカノイル基を表し、Xはハロゲン原子または水酸基を表す)
を反応させて、以下の一般式(3):
Figure 2016060728
(式中、Rは炭素数3〜16のアルキルまたはアルカノイル基を表す)
で表される3−メチルブト−3−エン−1−オール誘導体を得、上記一般式(3)における二重結合を、酸化剤によりさらにジオールに酸化して、以下の一般式(1):
Figure 2016060728
(式中、Rは炭素数3〜16のアルキルまたはアルカノイル基を表す)
で表されるエーテルまたはエステル化合物のジオール体を得ることを特徴とする、メチルブタンジオールの製造方法が提供される。
その上、本発明によれば、前記のメチルブタンジオールを有効成分として含む抗菌・防腐用組成物が提供される。
さらに、本発明によれば、前記のメチルブタンジオールを有効成分とし、抗カビ剤として用いられる、前記の抗菌・防腐用組成物が提供される。
すなわち、本発明による前記の一般式(1)で表されるメチルブタンジオールは、高い抗菌・抗カビ活性を有しているので、該誘導体を有効成分として含む、抗菌・防腐剤または抗菌・防腐用組成物として使用できる。
したがって、本発明による前記の一般式(1)で表されるメチルブタンジオールを有効成分とする抗菌・防腐用組成物を、衣類、家具、建築資材、室内用壁紙、食品、健康食品、医薬部外品および医薬品等に添加することにより、長期間に亘り、カビを含むいわゆる細菌の繁殖による腐敗が抑制された製品を提供できる。
本発明によるメチルブタンジオールとしてのエーテルまたはエステル化合物のジオール体は、親水基として隣接する2個の水酸基をその分子内に有し、かつ親油基としてアルキルまたはアルカノイル基を有しているので、水や他の有効成分と混合し易く、抗菌・防腐剤として化粧品や軟膏またはクリーム等に幅広く使用することができる。
すなわち、本発明によるメチルブタンジオールは、抗菌・抗カビ活性を有しているので、該誘導体を有効成分として含む、抗菌・防腐剤または抗菌・防腐用組成物として使用できる。
本発明によるメチルブタンジオールは、以下の、一般式(1):
Figure 2016060728
(式中、YおよびZは、いずれか一方が水酸基であり、他方が水素原子であり、Rは炭素数3〜16のアルキルまたはアルカノイル基を表す)
で表されることを特徴とする。
上記一般式(1)においてメチルブタンジオールは、主骨格であるブタンの2位にメチル基および水酸基を有し、1位に水酸基を有し、4位の酸素原子には直鎖状または分枝鎖状の脂肪族炭化水素として炭素数3〜16のアルキルまたはアルカノイル基が結合して、エーテルまたはエステル化合物のジオール体を形成していることを特徴とする。
上記の一般式(1)で表されるメチルブタンジオールは、高い抗菌・抗カビ活性を有しているので、該誘導体を有効成分として含む、抗菌・防腐剤または抗菌・防腐用組成物として使用できることを特徴とする。
したがって、上記の一般式(1)で表されるメチルブタンジオールを有効成分とする抗菌・防腐用組成物を、衣類、家具、建築資材、室内用壁紙、浴室、流し、トイレなどの家庭用品用抗カビ剤として使用でき、さらに食品、健康食品、医薬部外品および医薬品等に添加することにより、長期間に亘り、カビを含むいわゆる細菌の繁殖による腐敗を抑制できることを特徴とする。
上記一般式(1)において、Rがアルキル基である場合、炭素数3〜16の直鎖状または分枝鎖状アルキル基であり得る。具体的には、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基などを挙げることができる。
上記一般式(1)においてRがアルカノイル基の場合、炭素数3〜16の直鎖状または分枝鎖状アシル基であり得る。具体例的には、プロパノイル基、n−ブタノイル基、i−ブタノイル基、t−ブタノイル基、n−ペンタノイル基、i−ペンタノイル基、ネオペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、2−エチルヘキサノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ウンデカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ペンタデカノイル基、ヘキサデカノイル基などを挙げることができる。
上記一般式(1)においてRが炭素数3〜16の直鎖状または分枝鎖状アルキル基であるエーテル化合物の具体的な例としては、4−n−プロピルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール、4−i−プロピルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール、4−n−ブチルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール、4−i−ブチルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール、4−t−ブチルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール、4−n−ペンチルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール、4−i−ペンチルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール、4−ネオペンチルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール、4−ヘキシルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール、4−ヘプチルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール、4−オクチルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール、4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−メチル−1,2−ブタンジオール、4−ノニルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール、4−デシルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール、4−ウンデシルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール、4−ドデシルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール、4−トリデシルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール、4−テトラデシルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール、4−ペンタデシルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール、4−ヘキサデシルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール、などを挙げることができる。
また、上記一般式(1)においてRが炭素数3〜16の直鎖状または分枝鎖状アルカノイル基を持つエステル化合物の具体的な例としては、4−プロパノイルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール、4−n−ブタノイルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール、4−i−ブタノイルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール、4−t−ブタノイルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール、4−n−ペンタノイルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール、4−i−ペンタノイルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール、4−ネオペンタノイルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール、4−ヘキサノイルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール、4−ヘプタノイルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール、4−オクタノイルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール、4−(2−エチルヘキサノイル)オキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール、4−ノナノイルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール、4−デカノイルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール、4−ウンデカノイルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール、4−ドデカノイルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール、4−トリデカノイルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール、4−テトラデカノイルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール、4−ペンタデカノイルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール、4−ヘキサデカノイルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオールなどを挙げることができる。
上記の一般式(1)で表されるメチルブタンジオールは、以下の合成スキームに従って製造できる。
Figure 2016060728
(式中、Rは炭素数3〜16のアルキルまたはアルカノイル基を表し、Xはハロゲン原子または水酸基を表す)。
上記合成スキームにおけるRが炭素数3〜16のアルキル基の場合には、出発原料の3−メチルブト−3−エン−1−オール(イソプレノールとも称する)(2)と、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの水酸化アルカリ金属塩の水溶液存在下、RXで表される塩素化アルキル、臭素化アルキルまたはヨウ素化アルキルなどのハロゲン化アルキルとを反応させて、3−メチルブト−3−エン−1−オールのエーテル誘導体(4−アルコキシ−2−メチル−1−ブテンとも称する)(3)が得られる。
この反応において相間移動触媒を用いると反応が容易に進行する場合があり、必要に応じて用いることができる。
本発明におけるアルキル化、アルカノイル化またはカルボキシル化反応において用いられ得る相間移動触媒の例としては、テトラn−ブチルアンモニウムクロリド、テトラn−ブチルアンモニウムブロミド、テトラn−ブチルアンモニウムヨード、テトラn−ブチルアンモニウム硫酸塩、テトラn−ブチルアンモニウムヒドロキシド、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリドなどが挙げられる。
これら相関移動触媒の好ましい使用量はイソプレノールに対して0〜0.4当量、より好ましくは0.001〜0.2当量である。
水酸化アルカリ金属塩水溶液の使用量はイソプレノールに対して0.5〜10当量、好ましくは1.0〜3.0当量であり、アルカリ金属塩の濃度が5〜50%になるよう水を加えて水溶液の形で、反応温度条件の制御下に使用するのが好ましい。
ハロゲン化アルキルの使用量はイソプレノールに対して0.5当量〜5.0当量、好ましくは1.0当量〜3.0当量である。
これらの試剤は一度に混合するか、あるいは最後にハロゲン化アルキルをゆっくり滴下して反応を行うこともできる。また場合によっては、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルフォキシド、N−メチルピロリドンなどの有機溶剤を用いて反応を行ってもよい。その場合の有機溶剤はイソプレノールに対して0〜20倍量、好ましくは0〜10倍量である。
さらに反応は0〜150℃の温度が好ましく、さらに30〜90℃の温度範囲で行うことが好ましい。
反応終了後の反応混合物の後処理の際には、反応混合物が2層に分離していれば、分液して有機層を取り出すことができる。反応混合物が1層のまま、あるいは2層の分液界面が明瞭でない場合などにはヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン、ジイソプロピルエーテル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの水と非混和性の有機溶剤を加えて分液して有機層を得ることができる。
得られた有機層を水、食塩水などで洗浄後、必要に応じて溶剤などの低沸点化合物を、常圧あるいは減圧下で加熱留去することにより、4−アルコキシ−2−メチル−1−ブテン(3)の粗生成物が得られる。この生成物はそのまま次の工程に使用できるが、場合によっては蒸留やシリカゲルカラムクロマトグラフィーでの精製を行ってもよい。
次に、得られた3−メチルブト−3−エン−1−オール誘導体(3)の二重結合を、公知の酸化剤により酸化して1,2−ジオール体を得る。
酸化剤として過ギ酸、過酢酸および過酸化水素水などの過酸化物を例示できるが、過酸化水素水などを用いる場合、タングステン酸、タングステン酸塩、バナジウム塩、バナジウム酸塩、コバルト塩などの金属触媒、さらに上記の相間移動触媒を用いると反応がスムーズに進行する場合がある。
なお、これら金属触媒および相間移動触媒は、原料の4−アルコキシ−2−メチル−1−ブテンに対して0.005〜0.3当量、好ましくは0.01〜0.2当量用いられる。
これら酸化剤を用いた酸化反応は、初めに二重結合のエポキシ化が起こり、さらに反応系中に存在する水によってエポキシ体がジオール体となる。よって濃度が1〜60%の酸化剤水溶液または懸濁液を用いることが好ましい。
酸化剤の使用量は4−アルコキシ−2−メチル−1−ブテンに対して0.8〜5.0当量、好ましくは1.0〜2.0当量である。反応の温度は0〜100℃、好ましくは20〜80℃で、使用する試剤を一度に加えてもよいし、最後に酸化剤をゆっくり滴下する方法でもよい。
なお、エポキシ体からジオール体への変換が遅い場合、反応系全体に対して0.01〜20%量のリン酸、塩酸、硫酸、ホウ酸、酢酸など酸を添加して反応を行ってもよいし、後述する反応後の後処理を実施してエポキシ体を単離後、テトラヒドロフラン、アセトン、ジメチルホルムアミドなどの有機溶剤と共にリン酸水溶液、希硫酸、希塩酸、酢酸水溶液などの水を含有する酸で処理してエポキシ体をジオールへ変換することもできる。
反応終了後の反応混合物の後処理の際には、チオ硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどの還元性無機塩を固体、あるいは還元性無機塩の1%〜飽和水溶液を添加して過酸化物を分解し、ヨウ化でんぷん紙などで反応溶液中に過酸化物がないことを確認する。その後、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン、ジイソプロピルエーテル、酢酸エチルまたは酢酸ブチルなどの有機溶剤を加えて分液を行う。得られた有機層を水、食塩水、あるいは重炭酸ナトリウム水、炭酸ナトリウム水、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ性水溶液などで洗浄後、必要に応じて溶剤などの低沸点物を常圧あるいは減圧下で、加熱下に留去して、4−アルコキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオールの粗生成物が得られる。
通常、常法にしたがって、得られた粗生成物を、蒸留やシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して4−アルコキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール(メチルブタンジオールとも称する)(1)が得られる。
また、上記合成スキームにおけるRが炭素数3〜16のアルカノイル基の場合には、出発原料のイソプレノールと、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、N−メチルアニリンまたはN,N−ジメチルアミノピリジン等の有機塩基の存在下、ハロゲン化アルカノイルあるいはアルキルカルボン酸とを反応させて3−メチルブト−3−エン−1−オールのエステル誘導体(3)が得られる。
上記のハロゲン化アルカノイルは、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子を有する酸ハライドで、工業的入手の容易性の観点から塩化アルカノイルの使用が好ましい。このハロゲン化アルカノイルはイソプレノール(2)に対して、0.5〜2.0当量、好ましくは1.0〜1.5当量使用することが好ましい。
上記のエステル誘導体形成に用いられる有機塩基の使用量はイソプレノール(2)に対して0.5〜5.0当量、好ましくは1.0当量〜2.0当量であり、−20〜溶剤の沸点、より好ましくは−10〜60℃の範囲の反応温度下に使用するのが好ましい。
このイソプレノールとハロゲン化アルカノイルの反応はテトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタンなどの有機溶剤をイソプレノールに対し0.1〜100倍量、好ましくは1.5〜5倍量用いて行われる。
反応は用いる試剤を一度に加えてもよいが、上記のエステル誘導体形成反応が発熱反応である場合には、予め反応混合物を冷却し、最後にハロゲン化アルカノイルをゆっくり添加することが好ましい。
反応終了後の反応混合物の後処理の際に、反応混合物の容量に対し、0.1〜20倍量の水を加える。その後、反応混合物が2層に分離していれば、分液して有機層を取り出すことができる。反応混合物が1層のまま、あるいは2層の分液界面が明瞭でない場合などにはヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン、ジイソプロピルエーテル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの水と非混和性の有機溶剤を加えて分液して有機層を得ることができる。
得られた有機層を水、食塩水などで洗浄後、必要に応じて溶剤などの低沸点化合物を常圧あるいは減圧下で加熱して留去することにより、4−アルカノイルオキシ−2−メチル−1−ブテン(3)の粗生成物が得られる。この生成物はそのまま次の工程に使用できるが、場合によっては蒸留やシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製を行ってもよい。
また、イソプレノール(2)を、アルキルカルボン酸と反応させて4−アルカノイルオキシ−2−メチル−1−ブテン(3)を得るには、イソプレノールに対してアルキルカルボン酸を0.2〜2.0当量、好ましくは0.5〜1.5当量を加え、常法に従って適量のヘキサン、ヘプタン、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ベンゼン、トルエン、o−キシレンまたはm−キシレン中、反応液全体に対し、0〜0.1、好ましくは0〜0.05倍量、すなわち触媒量のリン酸、硫酸、ベンゼンスルホン酸またはp−トルエンスルホン酸の存在下に、ディーン・スターク装置中で、撹拌下に還流して、共沸して生成した水を分離して反応を行うことができる。
反応終了後、反応液を常圧または減圧下で加熱して未反応物を留去することにより、4−アルカノイルオキシ−2−メチル−1−ブテン(3)の粗生成物が得られる。これらの生成物はそのまま次の工程に使用できるが、場合によっては蒸留やシリカゲルカラムクロマトグラフィーなどで精製を行ってもよい。
反応終了後の反応混合物の後処理の際に、反応混合物の容量に対し、0.1〜20倍量の水を加える。その後、反応混合物が2層に分離していれば、分液して有機層を取り出すことができる。反応混合物が1層のまま、あるいは2層の分液界面が明瞭でない場合などにはヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン、ジイソプロピルエーテル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの水と非混和性の有機溶剤を加えて分液して有機層を得ることができる。
次に、得られた有機層を、炭酸水素ナトリウム水溶液もしくは炭酸ナトリウム水溶液、次いで食塩水や水などで洗浄後、常法に従って乾燥し、溶剤および混在する低沸点化合物を、常圧または減圧下に、加熱留去することにより、3−メチルブト−3−エン−1−オールのエステル誘導体(3)の粗生成物が得られる。これらの生成物はそのまま次の工程に使用できるが、場合によっては蒸留やシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製を行ってもよい。
次に、得られた3−メチルブト−3−エン−1−オールのエステル誘導体(3)の二重結合を酸化して、1,2−ジオール体である4−アルカノイルオキシ−2−メチル−2,3−ブタンジオール(メチルブタンジオールとも称する)(3)を得るが、その方法は上述した4−アルコキシ−2−メチル−1−ブテン(3)から4−アルコキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール(1)を得る方法に従って行うことができる。
このようにして得られた本発明による前記の一般式(1)で表されるメチルブタンジオールは抗菌活性および抗カビ活性を有することを特徴とする。
すなわち、上記の一般式(1)で表されるメチルブタンジオールを有効成分とする抗菌・防腐用組成物を、衣類、家具、建築資材、室内用壁紙、浴室、流し、トイレなどの家庭用品用抗カビ剤として使用でき、さらに食品、健康食品、医薬部外品および医薬品等に添加することにより、長期間に亘り、カビを含むいわゆる細菌の繁殖による腐敗を抑制できることを特徴とする。
このようにして本発明で提供された一般式(1)で表されるメチルブタンジオールは化粧品、医薬品および医薬部外品などの様々な工業製品に抗菌・防腐剤として用いることができる。例えば、化粧品に用いる場合、一般式(1)で表されるメチルブタンジオールは化粧品全体量に対して、0.0001〜10重量%、好ましくは0.0005〜5重量%用いることが望まれるが、これ以上使用量が少ない、あるいは多いと、抗菌活性が得られない場合や製品の品質を損ねる場合がある。さらに本発明で提供された一般式(1)で表されるメチルブタンジオールを単品、あるいは複数同時に使用したり、他の抗菌・防腐剤と併用して使用してもよい。
本発明によるメチルブタンジオールを含む化粧品としては、セッケン、化粧水、乳液、クリームなどのような基礎用化粧品や、ファンデーション、紅、おしろい、アイシャドーおよびマニキュアなどのようなメーキャップ化粧品が挙げられる。さらに、本発明によるメチルブタンジオールは、頭髪用化粧品、芳香用化粧品および薬用化粧品などの化粧品、にきび治療薬、うがい薬などの医薬品、薬用歯磨き剤、制汗スプレー、薬用クリーム、ベビーパウダー、育毛剤、染毛剤、入浴剤、薬用化粧品および薬用石けんなどの医薬部外品などにも使用できる。
以下、具体的な実施例を説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例で用いられているガスクロマトグラフィーの分析条件は次の通りである。
カラム:GLサイエンス社製Silicone OV−17 長さ:2m
温度条件:80℃で2分間保持した後、毎分10℃の割合で200℃まで昇温した。
インジェクションおよびディテクター温度 220℃
キャリヤーガス: 窒素
検出: FID
NMRスペクトルは、日本電子社製、JNM−ECS 400MHzを用いて測定した。
また、IRスペクトルは、日本分光社製、FT/IR−400 Plusを用いて測定した。
実施例1
4−ヘキシルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール(4)(以下、IPDL−C6と略する)の製造
Figure 2016060728
イソプレノール86.1g(1モル)、48%水酸化ナトリウム水溶液152.9g(1.83モル)テトラブチルアンモニウムブロミド6.45g(0.02モル)の混合液に、60〜70℃で1−n−ヘキシルブロミド137g(1モル)を1時間かけて滴下し、さらに80℃で7時間撹拌した。室温に冷却後静置し、反応液を上層と下層に分液した。上層を水50gで3回水洗し、粗生成物209gを得た。これをクライゼン単蒸留で蒸留精製(沸点:96℃、2.75kPa)し、4−ヘキシルオキシ−2−メチル−1−ブテン110.57gを得た。この化合物をガスクロマトグラフィーで分析したところ、純度99.9%であった。
得られた4−ヘキシルオキシ−2−メチル−1−ブテン102.2g(0.6モル)、タングステン酸3.75g(15ミリモル)、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド3.64g(9ミリモル)、85%リン酸水溶液5.4g(47ミリモル)の混合液に、41〜46℃の温度で、35%過酸化水素水76.2g(0.78モル)を3時間かけて滴下し、さらに2時間50℃で撹拌を続けた。反応混合物を、室温に冷却後、亜硫酸ナトリウム10.7gとトルエン128gを加えて静置した。2層に分離した反応混合物を上層と下層に分液した後、上層を20%水酸化ナトリウム水溶液50gで洗浄し、さらに水50gで2回洗浄後、ロータリーエバポレーターで溶剤を減圧留去し、粗生成物121.03gを得た。
この粗生成物を直径2.5cm、高さ15cmのスルーザー塔で蒸留精製を行い、4−ヘキシルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール(IPDL−C6)54.4gを得た。この一部をガスクロマトグラフィーで分析したところ、純度97.0%であることが判った。
沸点:134℃/0.47kPa
H−NMR:(400 MHz, CDCl3) δ (ppm) : 0.83 (3H, t, J=7.1 Hz), 1.16 (3H, s), 1.20-1.29 (6H, m), 1.51-1.58 (2H, m), 1.60-1.69 (1H, m), 1.73 (1H, brs), 1.86-1.93 (1H, m), 2.92 (1H, brs), 3.22-3.61 (6H, m)
IR(KBr板液膜法)cm−1:3406, 2925, 2857, 1465, 1377, 1107, 1054
実施例2
4−n−ヘキサノイルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール(5)(以下、IPDL−COC5と略する)の製造
Figure 2016060728
イソプレノール86.1g(1モル)とトリエチルアミン112.5g(1.11モル)、テトラヒドロフラン371.8gの混合液に温度10〜13℃で、n−ヘキサノイルクロリド134g(1モル)をゆっくり滴下した。滴下終了後2時間撹拌し、次いで水206gおよびヘキサン96gを加えて分液した。分離した上層を水50gで2回洗浄後、エバポレーターで加熱減圧下に溶剤を留去し、粗生成物221.2gを得た。この粗生成物をクライゼン蒸留装置で蒸留精製し、4−n−ヘキサノイルオキシ−2−メチル−1−ブテン179.77gを得た。この物をガスクロマトグラフィーで分析したところ、純度99.7%であることが判った。
得られた4−n−ヘキサノイルオキシ−2−メチル−1−ブテン92.2g(0.5モル)、タングステン酸3.13g(12.5ミリモル)、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド3.13g(10ミリモル)、85%リン酸水溶液2.0g(17ミリモル)の混合液に、50〜52℃の温度で、35%過酸化水素水75.0g(0.75モル)を1時間かけて滴下し、さらに4.5時間52℃で撹拌を続けた。室温に冷却後静置して上層と下層に分液した後、上層を水50gで洗浄後、10%亜硫酸ナトリウム水溶液50g、さらに水50gで洗浄後、ロータリーエバポレーターで溶剤を除去し、粗生成物125gを得た。この粗生成物を直径2.5cm、高さ15cmのスルーザー塔で蒸留精製を行い、4−n−ヘキサノイルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール(IPDL−COC5)41.3gを得た。この一部をガスクロマトグラフィーで分析したところ、純度96.0%であることが判った。
沸点:140℃/0.1kPa
H−NMR:(400 MHz, CDCl3) δ (ppm) : 0.85 (3H, t, J=7.2 Hz), 1.17 (3H, s), 1.24-1.28 (4H, m), 1.52-1.90 (4H, m), 2.23-2.34 (2H, m), 2.65 (1H, brs), 3.37-3.45 (2H, m), 4.21 (2H, t, J=6.7 Hz)
IR(KBr板液膜法)cm−1:3421, 2958, 2872, 1737, 1465, 1379, 1175, 1056
実施例3
4−n−ヘキサノイルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール(5)(以下、IPDL−COC5と略する)の製造
Figure 2016060728
イソプレノール202.2g(2.35モル)とn−ヘキサン酸232.2g(2モル)を温度150〜153℃に加熱し、留出してきた水を除去しながら11時間撹拌した。室温に冷却後、10%炭酸ナトリウム水溶液220gで洗浄し、さらに水50gで2回水洗することにより、4−n−ヘキサノイルオキシ−2−メチル−1−ブテンの粗生成物329.8gを得た。
この粗生成物をクライゼン単蒸留装置で蒸留精製し、4−n−ヘキサノイルオキシ−2−メチル−1−ブテン259.5gを得た。これをガスクロマトグラフィーで分析したところ、純度99.5%であることが判った。
得られた4−n−ヘキサノイルオキシ−2−メチル−1−ブテン49.2g(0.27モル)、35%過酸化水素水36.6g(0.38モル)、タングステン酸1.67g(6.7ミリモル)、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド1.67g(5.3ミリモル)、85%リン酸水溶液1.1g(10ミリモル)を用いて実施例2に記載の方法と同様にして酸化反応を行い、さらに蒸留で精製することにより4−n−ヘキサノイルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール(IPDL−COC5)35.6gを得た。この物をガスクロマトグラフィーで分析したところ、純度97.0%であることが判った。
沸点:140℃/0.1kPa
H−NMR:(400 MHz, CDCl3) δ (ppm) : 0.85 (3H, t, J=7.2 Hz), 1.17 (3H, s), 1.24-1.28 (4H, m), 1.52-1.90 (4H, m), 2.23-2.34 (2H, m), 2.65 (1H, brs), 3.37-3.45 (2H, m), 4.21 (2H, t, J=6.7 Hz)
IR(KBr板液膜法)cm−1:3421, 2958, 2872, 1737, 1465, 1379, 1175, 1056
実施例4
4−n−オクチルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール(6)(以下、IPDL−C8と略する)の製造
Figure 2016060728
実施例1と同じ方法で、出発原料としてイソプレノール103.2g(1.2モル)、1−n−オクチルブロミド154.5g(0.8モル)、48%水酸化ナトリウム水溶液125g(1.5モル)、テトラブチルアンモニウムブロミド6.45g(0.02モル)から、4−n−オクチルオキシ−2−メチル−1−ブテンの粗生成物174.74gを得た。これをクライゼン単蒸留装置で蒸留精製(沸点:72℃、0.07kPa)し、4−n−オクチルオキシ−2−メチル−1−ブテン113.6gを得た。これをガスクロマトグラフィーで分析したところ、純度99.5%であった。
次いで、実施例1と同様にして、得られた4−n−オクチルオキシ−2−メチル−1−ブテン83.8g(0.42モル)、35%過酸化水素水61.2g(0.63モル)、タングステン酸2.63g(10ミリモル)、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド3.39g(8ミリモル)、85%リン酸水溶液1.82g(16ミリモル)を用い、4−n−オクチルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオールの粗生成物110gを得た。これをヘキサン/酢酸エチル混液を展開溶媒とするシリカゲルクロマトグラフィー(シリカゲル300g、富士シリシア化学(株)製BW−820H)で精製し、シリカゲル薄層クロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=1/1)でRf=0.5を示す画分を減圧濃縮することにより、4−n−オクチルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール(IPDL−C8)24.0gを得た。これをガスクロマトグラフィーで分析したところ、純度98.9%であることが判った。
H−NMR:(400 MHz, CDCl3) δ (ppm) : 0.83 (3H, t, J=7.1 Hz), 1.16 (3H, s), 1.20-1.29 (10H, m), 1.50-1.58 (2H, m), 1.60-1.68 (1H, m), 1.73 (1H, brs), 1.87-1.93 (1H, m), 2.93 (1H, brs), 3.32-3.71 (6H, m)
IR(KBr板液膜法)cm−1:3407, 2927, 2857, 1466, 1377, 1107, 1054
実施例5
4−n−ブチルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール(7)(以下、IPDL−C4と略する)の製造
Figure 2016060728
実施例1と同様にして、イソプレノール86.1g(1モル)、1−n−ブロモブタン137g(1モル)、48%水酸化ナトリウム水溶液125g(1.5モル)、テトラブチルアンモニウムブロミド6.45g(0.02モル)を用い、4−n−ブチルオキシ−2−メチル−1−ブテン97g(純度95.0%、沸点59℃/2.7kPa)を得た。
得られた4−n−ブチルオキシ−2−メチル−1−ブテン42.7g(0.3モル)、35%過酸化水素水37.9g(0.39モル)、タングステン酸2.0g(8ミリモル)、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド2.43g(6ミリモル)、85%リン酸水溶液3g(26ミリモル)を用い、実施例2記載方法で酸化反応を行い、さらに減圧蒸留で精製することにより、4−n−ブチルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール(IPDL−C4)24.1gを得た。この物をガスクロマトグラフィーで分析したところ、純度97.1%であった。
沸点:115℃/0.56kPa
H−NMR:(400 MHz, CDCl3) δ (ppm) : 0.89 (3H, t, J=7.3 Hz), 1.16 (3H, s), 1.31-1.37 (2H, m), 1.52-1.94 (4H, m), 2.90 (1H, br s), 3.35-3.45 (5H, m), 3.52-3.56 (1H, m), 3.63-3.67 (1H, m)
IR(KBr板液膜法)cm−1:3406, 2927, 2857, 1465, 1377, 1107, 1054
実施例6
4−n−ノニルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール(8)(以下、IPDL−C9と略する)の製造
Figure 2016060728
実施例1と同様にして、イソプレノール86.1g、1−n−ブロモノナン207.2g、48%水酸化ナトリウム水溶液125g(1.5モル)とテトラブチルアンモニウムブロミド6.45g(0.02モル)を用い、4−n−ノニルオキシ−2−メチル−1−ブテン134.8g(純度99.3%、沸点95℃/0.18kPa)を得た。
得られた4−n−ノニルオキシ−2−メチル−1−ブテン30g、35%過酸化水素水24g(0.25モル)、タングステン酸1.0g(4ミリモル)、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド1.3g(3ミリモル)、85%リン酸水溶液1.44g(13ミリモル)を用い、実施例1記載の方法で酸化反応を行い、得られた反応混合物を、ヘキサン/酢酸エチル混液を展開溶媒とするシリカゲルクロマトグラフィー(シリカゲル300g、富士シリシア化学(株)製BW−820H)で精製し、シリカゲル薄層クロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=1/1)でRf=0.5を示す画分を減圧濃縮することにより、4−n−ノニルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール(IPDL−C9)20gを得た。これをガスクロマトグラフィーで分析したところ、純度99.1%であることが判った。
H−NMR:(400 MHz, CDCl3) δ (ppm) : 0.83 (3H, t, J=7.1 Hz), 1.16 (3H, s), 1.18-1.30 (12H, m), 1.50-1.58 (2H, m), 1.60-1.68 (1H, m), 1.73 (1H, brs), 1.84-1.95 (1H, m), 3.01 (1H, brs), 3.31-3.71 (6H, m)
IR(KBr板液膜法)cm−1:3407, 2926, 2856, 1465, 1376, 1108, 1054
実施例7
4−n−デカニルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール(9)(以下、IPDL−C10と略する)の製造
Figure 2016060728
実施例1と同様にして、イソプレノール56g、1−n−ブロモデカン207.2g、48%水酸化ナトリウム水溶液81.3g(0.97モル)とテトラブチルアンモニウムブロミド4.2g(13ミリモル)を用い、4−n−デカニルオキシ−2−メチル−1−ブテン81.7g(純度99.4%、沸点106℃/0.15kPa)を得た。
得られた4−n−デカニルオキシ−2−メチル−1−ブテン43g、35%過酸化水素水27g(0.28モル)、タングステン酸1.2g(5ミリモル)、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド1.5g(3.8ミリモル)、85%リン酸水溶液1.52g(13ミリモル)を用い、実施例1記載の方法に従って酸化反応を行い、反応成績体を、ヘキサン/酢酸エチル混液を展開溶媒とするシリカゲルクロマトグラフィー(シリカゲル300g、富士シリシア化学(株)製BW−820H)で精製し、シリカゲル薄層クロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=1/1)でRf=0.5を示す画分を減圧濃縮することにより、4−n−デカニルオキシ−2−メチル−1,2−ブタンジオール(IPDL−C10)12gを得た。この物をガスクロマトグラフィーで分析したところ、純度99.1%であることが判った。
H−NMR:(400 MHz, CDCl3) δ (ppm) : 0.83 (3H, t, J=7.1Hz), 1.16 (3H, s), 1.18-1.30 (14H, m), 1.50-1.58 (2H, m), 1.60-1.70 (1H, m), 1.80 (1H, brs), 1.87-1.93 (1H, m), 3.0 (1H, brs), 3.33-3.8 (6H, m)
IR(KBr板液膜法)cm−1:3408, 2929, 2856, 1465, 1376, 1108, 1054
実施例8
4−(2−エチルヘキシル)−2−メチル−1,2−ブタンジオール(10)(以下、IPDL−EtHexと略する)
Figure 2016060728
実施例1と同様にして、イソプレノール103.2g(1.2モル)、2−エチル−1−ブロモヘキサン154.5g(0.8モル)、48%水酸化ナトリウム水溶液125g(1.5モル)とテトラブチルアンモニウムブロミド6.45g(20ミリモル)を用い、4−(2−エチルヘキシル)−2−メチル−1−ブテン99.4g(純度99.4%、沸点65℃/0.19kPa)を得た。
得られた4−(2−エチルヘキシル)−2−メチル−1−ブテン48.6g、35%過酸化水素水36.6g(0.38モル)、タングステン酸1.56g(6.2ミリモル)、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド2.0g(3ミリモル)、85%リン酸水溶液1.1g(10ミリモル)を用い、実施例1と同様にして酸化反応を行い、得られた反応混合物を、ヘキサン/酢酸エチル混液を展開溶媒とするシリカゲルクロマトグラフィー(シリカゲル300g、富士シリシア化学(株)製BW−820H)で精製し、シリカゲル薄層クロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=1/1)でRf=0.5を示す画分を減圧濃縮することにより、4−(2−エチルヘキシル)−2−メチル−1,2−ブタンジオール(IPDL−EtHex)20gを得た。これをガスクロマトグラフィーで分析したところ、純度98.7%であることが判った。
H−NMR:(400 MHz, CDCl3) δ (ppm) : 0.85 (3H, t, J=7.2 Hz), 0.87 (3H, t, J=7.0 Hz), 1.16 (3H, s), 1.24-1.35 (8H, m), 1.42-1.50 (1H, m), 1.62-1.69 (1H, m), 1.86-1.94 (1H, m), 2.91 (1H, brs), 3.31-3.69 (6H, m)
IR(KBr板液膜法)cm−1:3408, 2929, 2872, 1464, 1379, 1102, 1054
試験例1
本発明によるメチルブタンジオールの抗菌活性
寒天平版希釈法(ADT法)によるMIC(最少生育阻止濃度)測定
試験サンプルの終濃度により、2通りの希釈方法を用いた。高濃度の測定には、試験サンプルをMueller−Hinton(MH)液体培地で直接2倍段階希釈し、寒天濃度2倍のMH寒天培地と半量ずつ混合して、シャーレに撒いて固化させたものを試験プレートとして用いた。1600ppm(≒0.16%)以下の低濃度の測定には、2倍段階希釈したサンプルのエタノール溶液をMH寒天培地に1/100の割合で添加混合したものをシャーレに撒いて固化させたものを試験プレートとした。
ポジティブコントロールのブチルパラベンは、常法に従い2倍段階希釈したサンプルのエタノール溶液を培地に1/100の割合で添加したものを用いた。
ネガティブコントロールは培地のみ(培地100%)、エタノール1%、エタノール10%の3種類を用意し試験した。この試験プレートに10CFU/mlに調整した菌液を約5μlスタンプし、37℃にて20時間培養した。各試験プレートにおける菌の生育有無を判定し、生育の見られない最低濃度をMICとした。
試験濃度
各サンプルでMH寒天培地中の終濃度が以下となるよう調製して試験した。
MH溶液培地に直接添加濃度:10%、5%、2.5%、1.25%、0.63%、0.31%、0.16%、0.08%
エタノール溶液をMH寒天培地に添加:1600ppm、800ppm、400ppm、200ppm、100ppm、50ppm、25ppm、12.5ppm
試験菌株
皮膚関連菌
Figure 2016060728
一般細菌
Figure 2016060728
以下の表1に、本発明によるメチルブタンジオールの抗菌活性の結果を示す。このように本発明による3,4−ジヒドロキシ−3−メチル−1−ブチルアルコールは高い抗菌活性を有すると言える。
Figure 2016060728
試験例2
本発明によるメチルブタンジオールの抗カビ活性
寒天平板希釈法(ADT法)による最小発育抑制濃度(MIC)の測定
試験サンプルおよび調製
それぞれポテトデキストロース寒天培地(PDA培地)中の終濃度が次の濃度になるように調整した。
6400、3200、1600、800、400、200、100、50、25、12.5ppm
試験に用いる最高濃度の100倍濃度となるようサンプルをエタノールにw/wで溶解し、2倍段階希釈(V/V)で各濃度の100倍濃度のサンプルを調製した。
試験プレートの調製
サンプル溶液をPDA培地に1/100の割合で添加して混合したものをシャーレに撒いて固化させ、試験プレートとした。
ポジティブコントロールのブチルパラベンについても同様に行った。
ネガティブコントリールは培地のみ(培地100%)、エタノール1%を培地に添加したものを用意した。
試験菌株
Figure 2016060728
胞子液の調製
菌種はPDA培地のプレート上で前培養を行った。
AnおよびCcについては、前培養プレートの菌体表面を火炎減菌したL字白金耳で掻き取り、0.005%Tween80添加食塩水(TS)1ml中に懸濁した。15000rpmで1分間遠心分離を行い、胞子部分を残して上清と沈殿を除いた。残った胞子をTSに再懸濁して胞子液とした。
Apについては、前培養プレートにTS5mlを加えてコンラージ棒で表面をやさしく掻き取り、懸濁液を遠沈管に回収して超音波分散機にて均一に懸濁させた。3000rpmで2分間遠心分離を行い、胞子部分を残して上清と沈殿を除いた。残った胞子をTSに再懸濁して胞子液とした。各菌種は、血球計算盤で胞子数の計数を行い、TSで1×10、10、10CFU/mlに調製した。
試験プレートの調製と培養
調製した試験プレートにTSで1×10、10、10CFU/mlに調製した胞子液を約5μlずつスポットして25℃にて培養した。各試験プレートでの菌の生育状況を判定し、生育が認められない最低濃度をMICとした。
以下の表2には、本発明で提供されたメチルブタンジオールの抗カビ活性の結果を示した。さらに比較例として、市販品であるブチルパラベンの試験結果も示した。
Figure 2016060728
このように本発明で提供されたメチルブタンジオールは高い抗カビ活性を有すると言える。
本発明によるメチルブタンジオールは、化粧品、医薬品および医薬部外品等に、抗菌・防腐剤として安全に使用でき得る。

Claims (6)

  1. 一般式(1):
    Figure 2016060728
    (式中、Rは炭素数3〜16のアルキルまたはアルカノイル基を表す)
    で表されることを特徴とする、メチルブタンジオール。
  2. 前記一般式(1)におけるRが、炭素数4〜14である、請求項1に記載のメチルブタンジオール。
  3. 前記一般式(1)において、Rが、n−ブチル、n−へキシル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−デシルまたはn−ヘキサノイルオキシ基を表す、請求項1または2に記載のメチルブタンジオール。
  4. 以下の式(2):
    Figure 2016060728
    で表される3−メチルブト−3−エン−1−オールに、
    RX
    (式中、Rは、炭素数3〜16のアルキルまたはアルカノイル基を表し、Xはハロゲン原子または水酸基を表す)
    を反応させて、以下の一般式(3):
    Figure 2016060728
    (式中、Rは炭素数3〜16のアルキルまたはアルカノイル基を表す)
    で表される3−メチルブト−3−エン−1−オール誘導体を得、上記一般式(3)における二重結合を、酸化剤によりさらにジオールに酸化して、以下の一般式(1):
    Figure 2016060728
    (式中、Rは炭素数3〜16のアルキルまたはアルカノイル基を表す)
    で表されるエーテルまたはエステル化合物のジオール体を得ることを特徴とする、メチルブタンジオールの製造方法。
  5. 前記請求項1〜3のいずれか1つに記載のメチルブタンジオールを有効成分とすることを特徴とする、抗菌・防腐用組成物。
  6. 前記メチルブタンジオールを有効成分し、抗カビ剤として用いられる、請求項4に記載の抗菌・防腐用組成物。
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