JP2016058326A - 非水電解液及びこれを備えたリチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の非水電解液は、一般式(1):[N(XSO2)(FSO2)]-(一般式(1)中、Xは、フッ素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のフルオロアルキル基を表す。)で表されるアニオンと、リチウムカチオンと、分子内に芳香環と、−C(=O)−O−C(=O)−で表される構造を少なくとも一つ有する酸無水物とを含む。
【選択図】なし
Description
リチウムカチオンと、
分子内に芳香環と、−C(=O)−O−C(=O)−で表される構造を少なくとも一つ有する酸無水物とを含むところに特徴を有している。
LiPFl(CmF2m+1)6-l (0≦l≦6、1≦m≦4) (7)
LiBFn(CoF2o+1)4-n (0≦n≦4、1≦o≦4) (8)
本発明の非水電解液とは、一般式(1):[N(XSO2)(FSO2)]-(一般式(1)中、Xは、フッ素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のフルオロアルキル基を表す。)で表されるアニオンと(以下、スルホニルイミドアニオン(1)と称する。)、リチウムカチオンと、分子内に芳香環と、−C(=O)−O−C(=O)−で表される構造を少なくとも一つ有する酸無水物とを含むところに特徴を有している。
本発明に係るスルホニルイミドアニオン(1)は、一般式(1):[N(XSO2)(FSO2)]-で表される。一般式(1)中、Xはフッ素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は炭素数1〜6のフルオロアルキル基を表す。炭素数1〜6のアルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基であるのが好ましく、直鎖状のアルキル基がより好ましい。炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が挙げられる。炭素数1〜6のフルオロアルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基が有する水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されたものが挙げられる。具体的には、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、フルオロエチル基、ジフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基等が挙げられる。これらの中でも、フッ素原子、トリフルオロメチル基及びペンタフルオロエチル基がXとして好ましい。
本発明の非水電解液には1種のスルホニルイミドアニオン(1)が単独で含まれていてもよく、また、2種以上のスルホニルイミドアニオン(1)が含まれていてもよい。
(式中のRは、一般式(3)と同様)
で表される10種類の複素環オニウムカチオンの内の少なくとも一種。
(式中、R1〜R12は、一般式(4)のR1〜R8と同様)
で表される3種類の飽和環オニウムカチオンの内の少なくとも一種。
(式中、R1〜R4は、一般式(4)のR1〜R8と同様)
で表される鎖状オニウムカチオン。例えば、一般式(6)で表される鎖状オニウムカチオンとしては、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、テトラヘプチルアンモニウム、テトラヘキシルアンモニウム、テトラオクチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、メトキシエチルジエチルメチルアンモニウム、トリメチルフェニルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリエチルアンモニウム、ベンジルトリブチルアンモニウム、ジメチルジステアリルアンモニウム、ジアリルジメチルアンモニウム、2−メトキシエトキシメチルトリメチルアンモニウム、テトラキス(ペンタフルオロエチル)アンモニウム、N−メトキシトリメチルアンモニウム、N−エトキシトリメチルアンモニウム及びN−プロポキシトリメチルアンモニウム等の第4級アンモニウム類;トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、ジエチルメチルアンモニウム、ジメチルエチルアンモニウム、ジブチルメチルアンモニウム等の第3級アンモニウム類;ジメチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、ジブチルアンモニウム等の第2級アンモニウム類;メチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ブチルアンモニウム、ヘキシルアンモニウム、オクチルアンモニウム等の第1級アンモニウム類;及びNH4で表されるアンモニウムイオン等が挙げられる。
(式中、R1〜R12は、一般式(4)のR1〜R8と同様である。)
で表される6種類のオニウムカチオンの少なくとも1種が挙げられる。
本発明の非水電解液は、スルホニルイミド化合物とは異なる電解質塩を含んでいてもよい。電解質塩としては、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(CF3SO3 -)、フルオロリン酸イオン(PF6 -)、過塩素酸イオン(ClO4 -)、テトラフルオロ硼酸イオン(BF4 -)、ヘキサフルオロ砒酸イオン(AsF6 -)、テトラシアノホウ酸イオン([B(CN)4]-)、テトラクロロアルミニウムイオン(AlCl4 -)、トリシアノメチドイオン(C[(CN)3]-)、ジシアナミドイオン(N[(CN)2]-)、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドイオン(C[(CF3SO2)3]-)、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン(SbF6 -)およびジシアノトリアゾレートイオン(DCTA)等をアニオンとする無機又は有機カチオン塩等の従来公知の電解質塩が使用できる。なお、無機カチオン、有機カチオンとしては、スルホニルイミドアニオン(1)の対カチオンとして例示したものと同じものが挙げられる。
しかしながら電解質塩の濃度が高すぎると、粘度の上昇によりイオン伝導度が減少する虞があり、一方、電解質塩の濃度が低すぎると、スルホニルイミド化合物に起因する正極集電体の腐食が生じる虞がある。したがって、電解質塩は、スルホニルイミド化合物と電解質塩との比が1:100〜5:1(スルホニルイミド化合物:電解質塩、モル比)となる範囲内で使用するのが好ましい。より好ましくは1:10〜3:1であり、さらに好ましくは1:2〜2:1である。
本発明の非水電解液はリチウムカチオンを含む。リチウムカチオンは、スルホニルイミド化合物に由来するものであってもよく、また上述の電解質塩に由来するものであってもよい。本発明の非水電解液に含まれるリチウムカチオンの濃度は1.1mol/L超であるのが好ましい。本発明の非水電解液のリチウムカチオン濃度は1.11mol/L以上であるのがより好ましく、より一層好ましくは1.2mol/L以上であり、さらに好ましくは1.25mol/L以上である。リチウムカチオン濃度が高すぎると電解液の粘度が上昇し、イオン伝導度が低下する虞があるので、好ましくは飽和濃度以下で使用するのが好ましい。より好ましくは2.0mol/L以下であり、さらに好ましくは1.5mol/L以下である。
本発明の非水電解液は、分子内に芳香環と、−C(=O)−O−C(=O)−で表される構造を少なくとも一つ有する酸無水物を含む。斯かる酸無水物が非水電解液に含まれる場合には、電池の初回充電時に酸無水物が分解して、正極、負極に、被膜が形成されることにより、電解液材料の分解が抑制される。またこの被膜により、負極や、セパレーターへの分解生成物の堆積が抑制される。
本発明の非水電解液は溶媒を含んでいてもよい。本発明の非水電解液に用いることのできる溶媒としては、電解質塩(スルホニルイミド化合物及び上述のリチウム塩等)を溶解、分散させられるものであれば特に限定されず、例えば、後述する環状カーボネートや環状カーボネート以外の溶媒といった非水系溶媒、溶媒に代えて用いられるポリマー及びポリマーゲル等の媒体等、電池に用いられる従来公知の溶媒はいずれも使用できる。
本発明に係る非水電解液は、リチウムイオン二次電池の各種特性の向上を目的とする添加剤を含んでいてもよい。
添加剤としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水クロトン酸、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、無水イタコン酸、無水ジグリコール酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物等のカルボン酸無水物;エチレンサルファイト、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、メタンスルホン酸メチル、ブサルファン、スルホラン、スルホレン、ジメチルスルホン、テトラメチルチウラムモノスルフィド、トリメチレングリコール硫酸エステル等の含硫黄化合物;1−メチル−2−ピロリジノン、1−メチル−2−ピペリドン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルスクシンイミド等の含窒素化合物;モノフルオロリン酸塩、ジフルオロリン酸塩等のリン酸塩;ヘプタン、オクタン、シクロヘプタン等の飽和炭化水素化合物;等が挙げられる。
なお、非水電解液100質量%とは、上述したスルホニルイミド化合物、電解質塩、溶媒及び適宜用いられる添加剤等、非水電解液に含まれる全ての成分の合計を意味する。
本発明のリチウムイオン二次電池とは、リチウムイオンの吸蔵及び放出が可能な正極活物質を含有する正極、リチウムイオンの吸蔵及び放出が可能な負極活物質を含有する負極、及び非水電解液を有する。より詳細には、正極と負極との間にはセパレーターが設けられており、非水電解液は上記セパレーターに含浸された状態で、正極、負極等と共に外装ケースに収容されている。本発明のリチウムイオン二次電池は、上述した本発明の非水電解液を備えている。
正極は、正極活物質、導電助剤及び結着剤等を含む正極合剤が正極集電体に担持されてなるものであり、通常、シート状に成形されている。
導電助剤及び結着剤の配合量は、電池の使用目的(出力重視、エネルギー重視等)、イオン伝導性等を考慮して適宜調整することができる。
負極は、負極活物質、結着剤及び必要に応じて導電助剤等を含む負極合剤が負極集電体に担持されてなるものであり、通常、シート状に成形されている。
負極の製造方法としては、正極の製造方法と同様の方法を採用することができる。また、負極の製造時に使用する導電助剤、結着剤、材料分散用の溶媒も、正極で用いられるものと同様のものが用いられる。
セパレーターは正極と負極とを隔てるように配置されるものである。セパレーターには特に制限がなく、本発明では、従来公知のセパレーターはいずれも使用でき、例えば、特開2014−13704号公報に記載の各材料を用いることができる。
正極、負極、セパレーター及び非水電解液等を備えた電池素子は、リチウムイオン二次電池使用時の外部からの衝撃、環境劣化等から電池素子を保護するため電池外装材に収容される。本発明では、電池外装材の素材は特に限定されず従来公知の外装材はいずれも使用することができる。
エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを、3:7(体積比)で混合した非水溶媒に六フッ化リン酸リチウム(LiPF6、キシダ化学株式会社製、電解質塩)を溶解させて、LiPF6濃度1.2mol/Lの非水電解液1を調製した。
2−1.正極シートの作製
正極活物質(LiCoO2)、導電助剤1(アセチレンブラック、AB)、導電助剤2(グラファイト)及び結着剤(ポリフッ化ビニリデン、PVdF)を93:2:2:3の質量比で混合しN−メチルピロリドンに分散させた正極合剤スラリーをアルミニウム箔(正極集電体)上に塗工し、乾燥、圧縮して、正極シート1を作製した。
負極活物質として人造黒鉛、導電助剤(気相法炭素繊維、「VGCF(登録商標)」、昭和電工社製)、及び結着剤(ポリフッ化ビニリデン、PVdF)を95.7:0.5:3.8の質量比で混合し、これをN−メチル−2−ピロリドンと混合してスラリー状の溶液を作製した。4.3V又は4.4V充電での正極の充電容量を計算し、負極のリチウムイオン吸蔵可能容量/正極充電容量=1.15となるように、負極合剤スラリーを銅箔(負極集電体)上に塗工し、乾燥、圧縮して、2種類の負極シート1、2を作製した。
上記で作製した正極シート1、正極シートと組み合わせたときのラミネート型リチウムイオン二次電池の定格充電電圧が4.3Vとなるように選択した負極シートとを対向するように積層し、その間に1枚のポリエチレン製セパレーター(16μm)を挟んだ。2枚のアルミニウムラミネートフィルムで正極シート、セパレーター、負極シートの積層体を挟み込み、アルミニウムラミネートフィルム内を非水電解液1で満たし、真空状態で密閉した。
3−1.0.2C回復容量及び保存後レート特性(1C/0.2C)の測定
充放電試験装置(ACD−01、アスカ電子株式会社製)を使用して、温度25℃の環境下、ラミネート型リチウムイオン二次電池1を、所定の充電条件(0.5C、4.3V又は4.4V、定電流定電圧モード、0.02C終止)にて充電した後、放電速度0.2Cで、電圧が2.75Vになるまで放電を行った。このときの放電容量を初期0.2C容量とした。
同様の条件で再び電池を充電した後、放電速度1Cで電圧が2.75Vになるまで放電を行い、1C放電容量を測定した。
保管後のラミネート型リチウムイオン二次電池を、温度25℃の環境下におき24時間経過した後、温度25℃、放電速度1Cで電圧2.75Vまで放電させて、放電容量を測定した(1C残存容量)。
0.2C回復容量(%)=(放置後0.2C容量/初期0.2C容量)×100
保存後レート特性(%)=(放置後1C容量/放置後0.2C容量)×100
ICP発光分光分析装置(島津製作所製)を使用して高温保存試験後の負極を分析した。高温保存試験後の負極をエチルメチルカーボネート50mlで洗浄した後、負極活物質を剥離し、1gの硝酸に溶解させ、これを純水で15倍に希釈して測定用試料を調製し、ICP発光分光分析を行った。実験例3の負極のCo検出量を100として指数化した値を表1に示す。
充放電試験装置(ACD−01、アスカ電子株式会社製)を使用して、温度45℃にて、充電速度1Cでの4.3Vまたは4.4V定電流定電圧充電を電流量が0.02Cになるまで行い、放電速度1Cで電圧が2.75Vになるまで放電を行い、各充放電時にはそれぞれ10分の充放電休止時間を設けてサイクル特性試験を行い、下記式より、容量維持率を算出した。結果を表1に示す。
容量維持率(%)=(200サイクル時の放電容量/1サイクル時の放電容量)×100
これに対して、スルホニルイミドアニオン(1)と酸無水物とが電解液に含まれる場合には(電池2、5、8、13)、電池3や11よりも良好な電池特性を有していた。これらの結果から、スルホニルイミドアニオン(1)を有する化合物と酸無水物の併用により電池特性の劣化を抑制でき、さらに電圧の上昇による電池特性の劣化促進も抑制できるといった、個々の化合物の単独添加では得られない相乗効果が確認できる。また同様の効果は、酸無水物として無水ピロメリット酸を用いた場合にも確認できた(電池7、9、14)。
Claims (6)
- 一般式(1):[N(XSO2)(FSO2)]-(一般式(1)中、Xは、フッ素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のフルオロアルキル基を表す。)で表されるアニオンと、
リチウムカチオンと、
分子内に芳香環と、−C(=O)−O−C(=O)−で表される構造を少なくとも一つ有する酸無水物とを含むことを特徴とする非水電解液。 - 上記非水電解液が、さらに下記一般式(7)、一般式(8)で表される化合物及び六フッ化砒酸リチウムよりなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む請求項1に記載の非水電解液。
LiPFl(CmF2m+1)6-l (0≦l≦6、1≦m≦4) (7)
LiBFn(CoF2o+1)4-n (0≦n≦4、1≦o≦4) (8) - 上記酸無水物が、炭素数6〜10の芳香環を有する化合物である請求項1又は2に記載の非水電解液。
- 上記酸無水物が、−C(=O)−O−C(=O)−で表される構造を含む環状構造を有する化合物である請求項1〜3のいずれかに記載の非水電解液。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の非水電解液を備えたリチウムイオン二次電池。
- 定格充電電圧が4.2V超である請求項5に記載のリチウムイオン二次電池。
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