[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

JP2015515485A - Rnaリガーゼ複合体メンバーとしてのアーキアーゼ - Google Patents

Rnaリガーゼ複合体メンバーとしてのアーキアーゼ Download PDF

Info

Publication number
JP2015515485A
JP2015515485A JP2015507498A JP2015507498A JP2015515485A JP 2015515485 A JP2015515485 A JP 2015515485A JP 2015507498 A JP2015507498 A JP 2015507498A JP 2015507498 A JP2015507498 A JP 2015507498A JP 2015515485 A JP2015515485 A JP 2015515485A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
archease
cell
rna
ligase
rna ligase
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2015507498A
Other languages
English (en)
Inventor
ポポウ ヨハネス
ポポウ ヨハネス
マルティネス ヤフィアー
マルティネス ヤフィアー
ニールセン アンネ
ニールセン アンネ
シュライッファー アレクサンダー
シュライッファー アレクサンダー
Original Assignee
イーエムベーアー−インスティテュート フュール モレクラレ バイオテクロノジー ゲゼルシャフト ミットベシュレンクテル ハフツング
イーエムベーアー−インスティテュート フュール モレクラレ バイオテクロノジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by イーエムベーアー−インスティテュート フュール モレクラレ バイオテクロノジー ゲゼルシャフト ミットベシュレンクテル ハフツング, イーエムベーアー−インスティテュート フュール モレクラレ バイオテクロノジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング filed Critical イーエムベーアー−インスティテュート フュール モレクラレ バイオテクロノジー ゲゼルシャフト ミットベシュレンクテル ハフツング
Publication of JP2015515485A publication Critical patent/JP2015515485A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N9/00Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
    • C12N9/10Transferases (2.)
    • C12N9/1003Transferases (2.) transferring one-carbon groups (2.1)
    • C12N9/1007Methyltransferases (general) (2.1.1.)
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P25/00Drugs for disorders of the nervous system
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P3/00Drugs for disorders of the metabolism
    • A61P3/08Drugs for disorders of the metabolism for glucose homeostasis
    • A61P3/10Drugs for disorders of the metabolism for glucose homeostasis for hyperglycaemia, e.g. antidiabetics
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/12Antivirals
    • A61P31/14Antivirals for RNA viruses
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/12Antivirals
    • A61P31/20Antivirals for DNA viruses
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P43/00Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/46Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates
    • C07K14/47Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates from mammals
    • C07K14/4701Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates from mammals not used
    • C07K14/4702Regulators; Modulating activity
    • C07K14/4705Regulators; Modulating activity stimulating, promoting or activating activity

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Virology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Diabetes (AREA)
  • Oncology (AREA)
  • Communicable Diseases (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Toxicology (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Neurosurgery (AREA)
  • Obesity (AREA)
  • Emergency Medicine (AREA)
  • Endocrinology (AREA)
  • Neurology (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)

Abstract

本発明は、RNAリガーゼエンハンサーとしてのアーキアーゼタンパク質の使用、RNA分子の連結方法、それらの方法及び使用のためのキット、及びトランスジェニック細胞に関する。

Description

本発明は、細胞及び分子生物学ツールの分野、特にRNAリガーゼ活性を有する、分析及び治療のための酵素複合体又はそれらの一部に関する。
小胞体(ER)は、小胞体内腔における折り畳まれていないタンパク質の蓄積につながるストレス条件を感知し、そして応答することにより、タンパク質折り畳み、修飾及び分泌において恒常性を維持する。折り畳まれていないタンパク質応答(UPR)は、哺乳類における3種のストレス−応答シグナル伝達経路を介してERから核にシグナル伝達する。最も保存されるUPRシグナル伝達経路は、Ire1、すなわち細胞質ヌクレオアーゼドメインの二量体化、自己リン酸化及び活性化によるER内腔における折り畳まれていないタンパク質に応答するER常在性トランスメンブランタンパク質により開始される。Ire1は、OREにおける26ntのイントロンを除去する転写因子Xbp1をコードするmRNAを切断する。未知のRNAリガーゼによるエキソン半体の再連結は、フレームシフトを引起し、これは翻訳の終止コドンンを越えての進行を可能する。得られる完全長タンパク質(Xbp1として言及される)は、核に移動し、そして下流の標的遺伝子を活性化し、ER恒常性の回復を助ける。
酵母においては、UPRの間、tRNAスプライシング及び非従来型mRNAスプライシングの両方が、5′P依存性連結経路を介してtRNAリガーゼTrl1により実行される。これは、Ire1によるmRNA切断及びSenエンドヌクレアーゼ複合体(TSEN)によるプレ−tRNA切断の両者が2′−3′環状リン酸、及びTrl1のために適する5′ヒドロキシル末端生成するので、可能である。触媒成分としてのHSPC117と五量体タンパク質複合体として最近同定される哺乳類tRNAリガーゼ(Popow et al., 2011)は、異なった機構を通して連結する類似する末端を必要とした。
これまで、発明者は、RNAリガーゼとしてHSPC177を同定している(国際公開第2012/028606A1号)。いくつかのヒトプレ−tRNAのスプライシングは、イントロンの除去、及び細菌、古細菌及び脊椎動物には見出されるが、しかし植物及び菌類には一般的に見出されないHSPC117相同タンパク質によるその生成される5′及び3′エキソンの連結を必要とする。
折り畳まれていないタンパク質応答(UPR)、すなわち細胞、特にERにおいて誤って折り畳まれたタンパク質により引起されるストレス応答により誘発される非従来型スプライシングに関与するリガーゼ又はそれらの補因子を同定することが目的である。
本発明は、アーキアーゼが、それ自体でスプライシング活性のためには十分ではないが、核酸の効果的連結のために必要とされる発見に基づかれている。リガーゼはそれ自体では活性的ではないが、アーキアーゼは、強くリガーゼ活性を高めることができる。従って、本発明は、リガーゼ酵素のリガーゼ活性を増強するためへのアーキアーゼの使用を提供する。本発明はまた、アポトーシス又は細胞代謝の破壊、又は細胞増殖又はタンパク質生成の低減により、細胞死を引起すことができる、細胞中で、特にUPRに基づいてスプライシング活性を低めるためにアーキアーゼの抑制も包含する。さらに、本発明は、請求項の主題によって定義される。
集中した研究の年にもかかわらず、非従来型スプライシングにおける連結工程の同定は、哺乳類細胞においてはまだ発見されていない。HSPC117はこのスプライシング活性のための有望な候補であるが、連結はリガーゼ活性刺激のためにアーキアーゼに依存することが本明細書に確実に示されている。少数のリガーゼ複合体(たぶん、ER膜に関連する)が、アーキアーゼが酵素速度を刺激するためにできるだけ長く存在する限り、ストレス応答の誘発に基づいて非従来型スプライシングを誘発するのに十分であると仮定される。
アーキアーゼは、配列決定されており(例えば、Genbank ACC NO: NP_848642)、そして1又は別のものに挿入されている2種のSHS2ドメインを有するタンパク質として、これまで特徴づけられている。それは通常、ジャペロンに見出されるドメインに類似する三層β−α−βサンドイッチドメインを有する。アーキアーゼタンパク質は、植物又は菌類モデル生物において、検出できる代表物を有さないオルソログ遺伝子(KOG4528)クラスターを形成する。本明細書において使用される場合、表現「アーキアーゼ」又は「アーキアーゼタンパク質」とは、リガーゼ反応、特にHSPC117のようなスプライシングリガーゼのRNAリガーゼ反応を増強することが現在、同定されている、このクラスター内の何れかの相同又はオルソログ分子を意味する。そのようなアーキアーゼタンパク質の配列例は、配列番号24〜配列番号44として図5に与えられている。ほとんどのアーキアーゼ酵素は、配列番号28のD39及び/又はK144に対応する触媒残基を共有する。
アーキアーゼにより増強されるリガーゼは、第1ポリヌクレオチドの第2ポリヌクレオチドへの転移を触媒するために使用され得る。両ポリヌクレオチドの端は、リガーゼにより連結され得る。この連結は通常、両ポリヌクレオチド間のホスホジエステル結合の共有結合である。特に、1つのポリヌクレオチドは、特に2′、3′−環状リン酸の形で3′リン酸を含み、そして他のポリヌクレオチドは、5′−OH末端を含むことができる。
一般的に、ポリヌクレオチド連結は、鎖間又は鎖内連結であり得る。2つの別々のポリヌクレオチド鎖は、それぞれ、3′及び5′末端上に連結され得る。さらに、鎖内連結においては、1つのポリヌクレオチド分子の5′及び3′末端が連結される。
本発明のさらなる実施形態によれば、ポリヌクレオチドは二本鎖である。特に、アーキアーゼにより増強されるリガーゼにより連結される第1及び/又は第2ポリヌクレオチド分子は、二本鎖部分を含むことができるか、又は完全に二本鎖であるか、又は他方では、一本鎖である。特に好ましくは、リガーゼ反応により連結される、上記に言及される3′末端、及び他のポリヌクレオチドの5′末端は、二本鎖であり得る。ポリヌクレオチドのさらなる部分はまた、一本鎖でもあり得、RNAスプライシングの場合、通常、プレ−tRNAの一本鎖3′オーバーハングが存在する。また、リガーゼ反応により連結される5′及び/又は3′末端は、通常プレ−tRNAプロセッシングにおいて良くあることだが、一本鎖であり得る。二本鎖性は、第1及び第2ポリペプチド間の塩基対合であり得るか、又は他方では、追加のポリヌクレオチド鎖への塩基対合であり得る。
好ましくい実施形態によれば、リガーゼはRNAリガーゼである。第1及び/又は第2ポリヌクレオチドはRNAであり得る。特に好ましい実施形態によれば、アーキアーゼにより増強された本発明のリガーゼは、RNAスプライシングのために使用される。RNAスプライシング反応においては、イントロン部分は、リガーゼにより連結される2つのエキソン間で除去される。典型的なスプライシング反応は、エキソン1−エキソン2に対するエキソン1−イントロン−エキソン2配列の反応である。他のスプライシング反応は、幾つかのイントロン、及び任意にはまた、それらのイントロン部分間のエキソンを除去することができる。
リガーゼの本発明の使用により連結されるポリヌクレオチドは、何れの長さのものであっても良い。例えば、ポリヌクレオチドの長さは、長さが2〜300個のヌクレオチド又は塩基対である。特定の実施形態によれば、第1ポリヌクレオチド又は第2ポリヌクレオチドは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、304045、50、60、70、80、90以上の長さ、又は100以上の長さのヌクレオチド又は塩基対であっても良い。他方では、又はそれらの他に、ポリヌクレオチド、すなわち第1ポリヌクレオチド又は第2ポリヌクレオチドの何れか、又は両者は、3000、2000、1500、1200、1000、900、800、700、600、500、400、300、200、100、80、70、60又は50までの長さのヌクレオチド又は塩基対であっても良い。
好ましい実施形態によれば、リガーゼ酵素は、HSPC117である。HSPC117は、RNAリガーゼとして、これまで特徴づけられている(国際公開第2012/028606号、参照により本明細書に組込まれる)。HSPC117分子の同じ定義が本明細書において使用される。特に、本発明は、分子生物学的ツールとして及び治療におけるRNAリガーゼのようなHSPC117分子の使用に関する。HSPC117は、配列決定されており(例えば、Genbank受託番号: NP_055121又はCAG33456)、そして染色体22 orf 28(「C22ORF28」)に位置する。HSPC117は、未知の機能の高く保存されたドメイン(UPF0027)及びユニークタンパク質折り畳みにより特徴づけられる細菌/古細菌RtcB遺伝子ファミリーのヒト相同体である。UPF0027タンパク質は、植物又は菌類モデル生物においては検出できない代表であるオルソログ遺伝子(KOG3833)クラスターを形成する。この系統発生分布は、動物及び古細菌におけるRNA>pリガーゼ活性の独占的発生を高く連想させる。HSPC117はまた、HSPC117/C22ORF28又はRtcB/HSPC117としても、本明細書においては言及される。本明細書において使用される場合、表現「HSPC117分子」とは、現在、RNAリガーゼ反応を触媒することが同定されている、このクラスター内の何れかの相同又はオルソログ分子を言及する。例えば、そのような「HSPC117分子」の配列は、配列番号1〜11、13、15、17、19、21及び23で与えられる。全てのHSPC117分子は、配列番号1のC122に対応する触媒性システイン残基を含むことが見出されている。
好ましい実施形態によれば、HSPC117分子は、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、13、15、17、19、21又は23のいずれか1つとして示される。ホモサピエンスHSPC117は、配列番号46のmRNA配列(NCBIデータベース受託番号NM_014306)により、又は配列番号12のコード配列によりコードされる。mRNAは、抑制のためのsiRNA分子により標的化され得る。
好ましい実施形態によれば、本発明のリガーゼ、例えばHSPC117は、動物又は古細菌、特に哺乳類、例えば霊長類、例えばヒト、又は齧歯類、特にマウス又はラットのものである。
本発明のHSPC117分子はさらに、1又は2以上のアミノ酸置換又は欠失により修飾され得る。さらに、本発明のHSPC117分子は、融合タンパク質の一部として発現され得、そしてさらなる追加のアミノ酸又はポリペプチド配列を含むことができる。特に好ましくは、本発明のHSPC117は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23の何れか1つに対して少なくとも45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%又は少なくとも95%の配列同一性を有する。好ましい実施形態によれば、配列同一性は、配列番号1に関連する。配列同一性は通常、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23の全長配列に対して計算される。もちろん、そのようなHSCC117分子変異体は、当業界において知られているような、例えば国際公開第2012/028606A1号におけるような、又は本明細書における実施例セクションに示されるような、標準アッセイにより容易に決定されるように、上記に言及されるようなRNAリガーゼ活性を維持する。HSPC117分子は、触媒的に重要な残基、例えば配列番号1のシステイン122を保持することが特に重要である。本発明のHSPC117分子の変異体は、配列番号12〜23として参照により本明細書に組込まれる米国特許第2007/024352A1号(特に、その配列番号15、16、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78)に記載されており、そして本発明の目的のために使用され得る。
好ましいアーキアーゼタンパク質は、配列番号24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43又は44の何れか1つのように示される。配列番号24〜43は、お互い整列し、対応するアミノ酸と、図5に整列して提供される。配列番号44は、配列番号28のホモサピエンスアーキアーゼの12個の追加のN末端アミノ酸を有する追加の発現変異体である。ホモサピエンスアーキアーゼは、配列番号45のmRNA配列によりコードされる(NCBIデータベース受託番号NM_178547)。mRNAは抑制のためのsiRNA分子により標的化され得る。
ほとんどのアーキアーゼ酵素は、配列番号28のD39及び/又はK144に対応する触媒性残基を共有する。好ましくは、アーキアーゼは、配列部分(E又はD又はV)−(I又はV又はP)−K−(A又はS)−(V又はI又はP又はM又はA又はL)を含む。アミノ酸代替物は括弧で示され;前記配列部分中のKは、配列番号28のK144に対応する。他方では又はさらに、アーキアーゼは、配列部分(D又はE又はP)−(H又はT又はI)−(T又はP又はM)−A−D−(I又はV又はA又はL)を含む。アミノ酸代替物は括弧で示され;前記配列部分中のDは、配列番号28のD39に対応する。そのような配列部分は、そのような配列部分の好ましい形である、配列番号24〜43について図5で示される配列で存在する。
好ましい実施形態によれば、本発明のアーキアーゼは、動物又は古細菌、特に哺乳類、例えば霊長類、例えばヒト又は齧歯動物、特にマウス又はラットのものである。
本発明のアーキアーゼはさらに、1又は2以上のアミノ酸置換又は欠失により修飾され得る。さらに、本発明のアーキアーゼは、融合タンパク質の一部として発現され得、そしてさらなる追加のアミノ酸又はポリペプチド配列を含むことができる。特に好ましくは、本発明のアーキアーゼは、配列番号24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43又は44の何れか1つに対して少なくとも45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%又は少なくとも95%の配列同一性を有する。好ましい実施形態によれば、配列同一性は、配列番号28に関連する。配列同一性は通常、配列番号24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43又は44の全長配列に対して計算される。もちろん、そのようなアーキアーゼ変異体は、当業界において知られているような、例えば国際公開第2012/028606A1号におけるような、又は本明細書における実施例セクションに示されるような、標準アッセイにより容易に決定されるように、上記に言及されるようなリガーゼ増強活性を維持する。
アミノ酸置換(アーキアーゼ又はリガーゼ)の場合、好ましい実施形態によれば、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%又は少なくとも95%の置換が、保存されたアミノ酸置換である。保存された置換は、アミノ酸グループ内での突然変異である。アミノ酸は通常、それらの極性、荷電及び/又はサイズに従ってグループ分けされる。以下のグループが注目すべきものである:塩基性アミノ酸:アルギニン、ヒスチジン、リシン;酸性アミノ酸:アスパラギン酸、グルタミン酸;極性アミノ酸:アスパラギン、グルタミン;小さいアミノ酸:アラニン、セリン、トレオニン、メチオニン、グリシン;芳香族アミノ酸:フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、ヒスチジン;疎水性アミノ酸:ロイシン、イソロイシン、バリン。グリシンは、それは通常、セリン及びいずれか他の極性非荷電側鎖により保存的に置換され得、そして逆もまた同様であるので、特殊な場合である。グリシンは、何れかのアミノ酸のための置換基として使用され得る。グリシンは通常、小側鎖、例えばアラニン、セリン、トレオニンにより置換され得る。プロリンは通常、置換され得るか、又はグリシンの置換基として使用され得る。
さらなる側面によれば、本発明は、上記に記載されるようなアーキアーゼ及びリガーゼを用いて、例えば上記に記載のような少なくとも2つのポリヌクレオチド分子を連結する方法に関する。本明細書においては、表現「リガーゼとして・・・使用」(use・・・as ligase)及び「ポリヌクレオチド分子の連結方法」(method of ligating polynucleotide molecules)は、交換可能的に使用される。
好ましい実施形態によれば、本発明の使用又は方法は、細胞中でリガーゼ及びアーキアーゼと少なくとも2つのポリヌクレオチド分子とを接触することを包含する。本発明はまた、組換えリガーゼ及び/又はアーキアーゼの使用にも関する。組換えリガーゼ及びアーキアーゼ(上記に言及されるような何れかの相同体又はオルソログを包含する)は、調節DNA配列(異種調節画例であり得る)、例えばプロモーター又はエンハンサーに操作可能的に連結される1又は2以上のリガーゼ又はアーキアーゼDNA配列を含む遺伝子構造体の宿主細胞中での発現により容易に入手できる。宿主細胞の例は、細菌、古細菌、菌類(酵母を包含する)、植物又は動物(昆虫又は哺乳類を包含する)である。そのような構造体においては、一般的な実験室マニュアルに記載され、そして当業者には日常的である企画において、調節配列は、リガーゼ、又はリガーゼ活性を有するその活性変異体、及びアーキアーゼ、又はリガーゼ増強活性を有するその活性変異体をコードするポリヌクレオチドに操作可能的に連結され得る。インビトロ目的のために特別であるが、しかしそれに限定するものではないが、アーキアーゼ及び/又はリガーゼは、単離された及び/又は精製された形で提供され得る。
本発明のアーキアーゼ(及びリガーゼ)は、インビボで、例えば細胞において使用され得、例えば細胞に人工的に提供されるか、又は細胞において組換え的に発現され得る。2つのポリヌクレオチド分子は、本発明の実施形態に従って、前記細胞において連結され得る。細胞は、上記に記載されるような何れかの細胞、好ましくは非ヒト細胞又は単離されたヒト細胞であり得る。
さらなる実施形態によれば、ポリヌクレオチド分子は、インビトロで、又は細胞外又は細胞フリー溶液を包含するその場で、リガーゼ及びアーキアーゼと接触され得る。本発明のアーキアーゼ及びリガーゼにより、ポリヌクレオチド分子を、単離された形で生体外で連結することが可能である。
本発明によれば、アーキアーゼタンパク質は、それ自体提供され得る。他方では、アーキアーゼタンパク質は、キットの成分として使用されるか又は提供され得る。
従って、さらなる側面によれば、本発明は、アーキサーゼを含むキットに関する。キットはさらに、緩衝剤成分及びMg2+、Mn2+、Ni2+又はその混合物から選択された1又は2以上の金属イオンを含むリガーゼ反応緩衝剤を含むことができる。好ましい実施形態によれば、金属イオンは、約0.1−20mM、好ましくは1−10mM、特に好ましくは2−5mMの最終濃度範囲での使用のための量で含まれる。
上述の金属イオンの他に、キット中の緩衝剤は、当業界において良く知られている通常の緩衝剤成分を含むことができる。そのような緩衝剤は例えば、リン酸、へパス(Hepes)、トリス−HCl成分を包含する。好ましくは、緩衝剤は、例えばpH6−9、好ましくはpH7−8の生理学的pH値の範囲で存在し、約pH7.4が特に好ましい。緩衝剤は、等張物質、又は約10−200mMの範囲のKCl又はNaCl塩を含むことができる。さらに、緩衝剤は、非イオン性等張性物質、例えばグリセロールを含むことができる。
試薬キットの形で、キットはさらに、アーキアーゼにより増強されるリガーゼの基質であるポリヌクレオチド、特にRNA分子、特に2′、3′環状リン酸を有するポリヌクレオチドを含むことができる。キットはまた、グアニル化反応においてアーキアーゼにより使用されるGTAを含むことができる。このポリヌクレオチド又はGTPは例えば、さらに、リガーゼ反応の前又は後、ポリヌクレオチド分子を検出するために、又はアーキアーゼへのGTP結合を検出するために、又はリガーゼへのG残基の転移を検出するために、標識、例えば放射性標識又は蛍光標識を含むことができる。
キットは好ましくは、リガーゼ、特に好ましくは、上記のようなリガーゼ、例えばRNAリガーゼ、例えばHSPC117を含む。そのようなキットは、すべてのタイプの反応のために、及びポリヌクレオチドプロセッシング又はハイブリダイゼーションをモニターするために有用である。本発明のアーキアーゼ又はキットは特に、下記方法により、連結又はスプライシング研究のために、又はアーキサーゼ阻害剤を得るために、特に使用され得る。アーキアーゼは、相分離を容易にするために固定され得、そして/又は標識を含むことができる。前記標識は、アーキアーゼを固定するために使用され得る。標識の例としては、His−標識又はFLAG−標識を挙げることができる。
さらなる側面によれば、本発明は、外因的に発現されたアーキアーゼタンパク質を含むトランスジェニック細胞に関する。細胞は、細胞系であるか、又は動物モデル、特に非ヒト動物モデルに含まれ得る。細胞系はまた、アーキアーゼタンパク質を安定して発現するヒト細胞系でもあり得る。
外因的に発現されたアーキアーゼタンパク質の安定した発現は、プロモーター、好ましくは誘導性プロモーターの制御下でアーキアーゼDNAを細胞中の挿入することにより達成される。ある実施形態によれば、このDNAは、細胞のゲノムに挿入され、これは、従来の方法、例えば市販のシステム、例えばテトラサイクリン−誘導性システム、例えばt−RExシステム(Invitrogen)により達成され得る。そのような細胞は、連結され得るRNAと、特にRNA分子とを連結するために2′、3′環状リン酸又は5′−OHを有するRNAと組み合わせて有用である。
細胞又は細胞系はさらに、外因的に発現されたリガーゼ酵素を、例えば上記のようにして、好ましくは誘導性プロモーターにより発現することができる。
本発明はさらに、ノックアウト又はRNAiにより、細胞におけるアーキアーゼ分子を抑制することを含んで成る、細胞におけるリガーゼ活性、特にRNAリガーゼ活性、例えばRNA>pリガーゼ活性を抑制する方法に関する。上記のようなRNA>pリガーゼ活性は、基質として2′、3′−環状リン酸を末端とするRNAを用いてのRNAリガーゼ反応に関する。そのような方法は、前記細胞中のtRNA生成又はプロセッシングを低めるために使用され得る。さらに又は他方では、そのような方法は、細胞中の折り畳まれていないタンパク質反応(UPR)を低めるために使用され得る。アーキアーゼの低減は、前記細胞中のアーキアーゼを結合するか、分離するか、又は一般的に不活性化するアーキアーゼにリガンドを投与することにより、又はアーキアーゼ発現を抑制することにより、達成され得る。そのような結合阻害剤は、例えば市販されているアーキアーゼ抗体である。「アーキアーゼ抗体」は、その何れかの機能的同等物及び誘導体、例えば抗体フラグメント、例えばFab、F(ab)2、Fv、又はアーキアーゼを結合する一本鎖抗体を包含する。好ましい実施形態によれば、抑制は、前記細胞におけるアーキアーゼ、好ましくは内因性アーキアーゼの発現を低めることにより達成される。アーキアーゼ発現を低めるための適切な阻害剤は、RNAiを誘導するためのアーキアーゼsiRNA分子である。
アーキアーゼ発現を抑制する好ましい方法は、ノックアウト又はRNAiである。ノックアウトに関しては、ゲノムアーキアーゼは、機能的アーキアーゼの発現、転写又は翻訳を阻止するか又は低めるために修飾される。そのような修飾は、例えば200又はそれ以上のヌクレオチドの大規模欠失又は触媒中心における選択的修飾(欠失又は置換)を包含する。例えば、配列番号28のヒトアーキアーゼ配列に従っての触媒性D39及び/又はK144での修飾は、機能的分子の発現を阻止するのに十分である。もちろん、当業者は、分子細胞生物学者の日常的な能力の範囲内にある、別の修飾を容易に選択することができる。
さらなる好ましい方法は、RNAi(RNA干渉)である。細胞アーキアーゼ発現を拮抗するためには、好ましくはsiRNA分子が、その発現及び機能を低めるために投与される。RNA干渉は、遺伝子発現を配列特異的態様で抑制する機構である。RNA干渉は、真核細胞における特異的遺伝子機能の抑制のための非常に効果的な方法である。細胞及び生物に適用される場合、低分子干渉RNA(siRNA)オリゴ又は短ヘアピンRNA(shRNA)コードベクターのトランスフェクションに基づいての標的mRNAの分解を必要とする。RNAiの種々の方法が、記載されており、そして例えば米国特許第2002/0162126号及び第2002/0173478号に記載されるように、植物細胞、ショウジョウウバエ、及びヒトメラノーマ細胞において遺伝子発現を改変するために知られている。本発明の方法及び組成物への使用のためのsiRNAが、アーキアーゼを標的化するために選択される。この態様によれば、それらは、アーキアーゼ遺伝子又はmRNA(配列番号45)に対応する種々のRNA又はその一部に標的化される。本明細書に記載されるようなsiRNAはまた、ハイブリッドDNA/RNA構造体、又はその何れかの同等物、二本鎖RNA,ミクロRNA(miRNA)、及びsiRNA形、例えばsiRNA重複、ウィルス及び非ウィルスベクター中の小ヘアーピンRNA(shRNA)、及び担体中のsiRNA又はshRNAである変更されたsiRNAも包含できることは、当業者により理解されている。siRNA分子の例は、本明細書において配列番号47及び48として提供され、そしてさらに市販されている。
さらなる実施形態によれば、本発明は、アーキアーゼノックアウト細胞、又は低下された又は制御された内因性アーキアーゼ発現を有する細胞に関する。
好ましい実施形態によれば、細胞はさらに、リガーゼ、例えばRNAリガーゼ様HSPC117のノックアウト、又は前記リガーゼの低下された又は制御された発現を有する。リガーゼ抑制は、抗−リガーゼ抗体又はsiRNAのようなノックアウト、阻害剤投与により、アーキアーゼについて上記に記載されるのに類似して実施され得る。siRNAは、リガーゼ遺伝子又はmRNA、例えば配列番号46で示されるようなHSPC117のmRNA、又は前記細胞中で発現されるような何れかの相同体又はそのオルソログ変異体を標的化することができる。
そのような細胞系はさらに、ポリヌクレオチド連結又はスプライシング研究に、すなわちポリヌクレオチド連結の機能を研究するために使用され得る。さらに、細胞系は、UPR応答を研究するために使用され得る。アーキアーゼが誘導性プロモーターの制御下にあるトランスジェニック細胞において、これは、リガーゼ増強及びUPR応答の特異的オン/オフ研究を可能にし、そしてUPR研究のために、又は細胞生化学工学的ツールとして、スプライシング研究のためではあるが、リガーゼ活性を制御するための有用なツールである。従って、好ましい実施形態によれば、本発明は、内因性アーキアーゼを発現しないが、しかしさらに、誘導性プロモーターの制御下でアーキアーゼポリヌクレオチドにより外因的にトランスフェクトされるアーキアーゼノックアウト細胞に関する。好ましい実施形態によれば、細胞は哺乳類細胞であり、霊長類、特にヒト又は齧歯動物、例えばマウスの細胞が、特に好ましい。上記のような高められた又は低下されたアーキアーゼ発現を有する細胞を包含するそれらの細胞は、連結、スプライシング又はUPR研究のために、特にアーキアーゼに対して作用する阻害剤又はエンハンサーを同定するために使用され得る。
前記細胞は、非ヒトモデル動物中に存在することができ、これは、前記動物中のアーキアーゼ、リガーゼ作用、スプライシング及び特にUPRを研究するために同様に使用され得る。動物は、当業界において知られているような適切な条件付プロモーターを用いることにより、アーキアーゼを条件付で発現することができる。従って、本発明はまた、そのようなモデル動物にも関する。
例えば、ノックアウト又はRNAiにより、細胞中のアーキアーゼを制御することを包含する、細胞中のRNAリガーゼ活性を低めるための本発明の方法は好ましくは、前記細胞中のアーキアーゼ、好ましくは内因性アーキアーゼの発現を低める。この方法は、前記細胞中の折り畳まれていないタンパク質反応(UPR)を低めるために使用され得る。
前記方法はさらに、前記細胞中でストレスを誘導することを包含し、それにより、折り畳まれていないタンパク質が前記細胞に蓄積する。温度上昇によるストレスは、代謝を高め(例えば、癌細胞における)、又は化学物質によるストレスは、正しく折り畳まれていないタンパク質の高められた生成を引起すことができる。UPRは、小胞体内腔に折り畳まれていないか又は誤って折り畳まれたタンパク質の蓄積に応答して活性化される。UPRは次の2種の主要目的を有する:最初に、タンパク質翻訳を止めることにより細胞の正常機能を復元し、そしてタンパク質折り畳みに関与する分子シャペロンの生成の上昇を導くシグナル伝達経路を活性化すること。それらの目的が一定時間の経過以内で達成されないか、又は中断が長くなる場合、UPRはアポトーシスを目的とする。従って、本発明のアーキアーゼ抑制は、細胞中でアポトーシスを誘導するために使用され得る。アーキアーゼの本発明の方法又は使用はまた、折り畳まれていないタンパク質の畜積による細胞中のアポトーシスの予防(又は危険性を低めること)も包含し、ここで前記方法は、前記細胞中のアーキアーゼタンパク質量又は発現レベルを高めることを包含し、それにより、前記細胞中の折り畳まれていないタンパク質反応が高められる。
ERの主要機能の1つは、タンパク質に対する品質管理を、それを製造する上で発揮することである:唯一、正しく折り畳まれたタンパク質はER出口小胞中にパッケージされ、そして細胞表面上に移動し、そこでの表示を可能にされる。このためには、小胞体(ER)の内腔は、酸化区画を提供し、ここで細胞膜中への分泌又は挿入を予定されたタンパク質は糖部分で同時翻訳的に修飾され、そして折り畳まれる。ER環境を侵害するストレスは、誤って折り畳まれたタンパク質の蓄積及び折り畳まれていないタンパク質反応(UPR)と呼ばれるストレス反応の活性化をもたらす成熟を損なう。病原性条件、例えば癌及びウィルス感染症下で生じる、炭素源(グルコース)利用可能性及び酸素を低める環境ストレスはまた、分泌恒常性に直接影響を与え、そしてそれにより、UPRを誘発する。UPRの間、タンパク質合成の抑制は、ERへのタンパク質トラフィックの全体的速度を低めるのに役立つが、しかしこのプロセスがERシャペロンの高められた合成により反対の影響を受ける相殺される事実がUPRの特異性を強調している。
UPRの活性が長くなると、ERストレスが緩和され得ず、そして恒常性が再確立され得ない指標が細胞死と相関する。これは、この場合、アポトーシスへの言明が、それらのシグナル伝達成分の忠実度を確認する能力を欠いている不正細胞から生物を保護するために進化したことを示唆する。ERストレスがタイムリーに緩和され得るかどうかの評価に基づいての生死の決定は、多数のヒト疾患においてUPRの中心的役割を説明している。例としては、タンパク質が誤って折り畳まれる疾患、例えば網膜色素変性症、すなわち誤って折り畳まれた変異型ロドプシンが網膜の成長の間に生成される場合、網膜がアポトーシス性細胞死により退化する遺伝型の失明を包含する。別の例は、膵臓β細胞がインスリン産生のための過剰な需要により損なわれているII型糖尿病である。一定タイプの癌、特に分泌組織において生じるそれらの癌、例えば多発性骨髄腫は、それらの急速な成長を維持するためにUPRの細胞保護役割を使用する。
さらなる側面によれば、本発明は、異常tRNAプロセッシングを有する疾患、又は(高められた)tRNAプロセッシングに依存する疾患の治療に関する。この治療は、RNAリパーゼ様HSPC117の活性を強く修飾するアーキアーゼの能力に関連付けられる。さらに、本発明は、UPRの欠乏を引起す疾患、又は高められたUPRを引起す疾患、又はUPRに関連する障害の治療に関する。本発明の治療は、必ずしも治癒的な意味での治療に関連しないが、しかしまた、疾患の症状の軽減でもあり得る。本発明の治療はまた、疾患の発生又は症状の発生の危険性を低めるための予防的治療でもあり得る。
「予防」(prevention)とは、本明細書において使用される場合、絶対的予防効果として解釈されるべきではないが、しかし相対的用語として、それは疾患又は疾患症状の発症の危険性の減少を表すために使用される。予防のための治療は、予防的治療である。
好ましい実施形態によれば、アーキアーゼを標的化する本発明の治療は、RNAリガーゼ、例えばHSPC117を標的化する治療と組合される。好ましい実施形態様によれば、アーキアーゼ抑制又は阻害剤は、RNAリガーゼ、例えばHSPC117、抑制又は阻害剤と組合される。さらなる実施形態によれば、アーキアーゼ酵素活性化因子は、RNAリガーゼ、例えばHSPC117、活性化因子と組合される。そのような活性化因子は、例えば酵素それら自体又はポリヌクレオチド、例えば前記酵素をコードするベクターである。
特定の実施形態によれば、本発明は、ポリヌクレオチドリガーゼエンハンサーとしてのアーキアーゼの使用、又はアーキアーゼの抑制方法、但し、治療によりヒト又は動物体を治療するための方法は排除され、又は薬剤として使用するためのアーキアーゼ又はアーキアーゼ阻害剤の使用を提供する。アーキアーゼ阻害剤は、上記のようなアーキアーゼ活性又は発現を低める何れかの分子、好ましくはアーキアーゼ抗体又はアーキアーゼsiRNAである。
アーキアーゼは、Xbp1 mRNAのスプライシングのために必要とされることが見出された。従って、アーキアーゼは、スプライシングを損なうために(多発性骨髄腫の場合)阻害剤の形で、又はUPRが急増される必要がある場合、アーキサーゼ発現を増強することにより、治療標的物として可能性がある。連結段階で、より正確に、エンドヌクレオターゼIRE1の下流のUPR経路をヒッテングすることが、IRE1のmRNA崩壊機能に影響を及ぼさないことは注目する価値がある。IRE1の強力な阻害剤がサリチルアルデヒド類似体として同定されている(米国特許第7,858,666号及び米国特許第2009/0291857A1号)。
糖尿病においては、生か又は死かの究極的細胞運命決定は、β細胞が暴露されるERストレスの性質及び重症度に依存する。従って、次の2種のタイプのERストレス状態が存在する:解決可能及び解決不可能ストレス状態。ERストレスが解消され得る場合、UPRはβ細胞生存を促進するが、ところが解決不能なERストレス条件下で、UPRは死のエフェクターを活性化し、β細胞アポトーシスを誘導する。β細胞が軽度のERストレスを誘導する条件下に暴露される場合(例えば、食後グルコース変動への生理学的暴露)、ERはストレス緩和を促進し、そしてタンパク質の恒常性を復元することができ、従って、将来のERストレス損傷のために細胞を「プライミングし」(priming)、そして細胞生存性を促進する。この状況はまた、より効果的なUPRから利益を受け、これは、tRNAリガーゼ(例えば、HSPC117)及び/又はアーキアーゼを過剰発現することにより達成され得る。従って、本発明はまた、アーキアーゼアゴニスト、例えばアーキアーゼ酵素、又はアーキアーゼコードのポリヌクレオチド、例えば適切なベクターを患者に投与することを包含する、糖尿病を治療するか、又は糖尿病進行の危険性を防止する方法も提供する。好ましくは、アーキアーゼアゴニストは、HSPC117アゴニスト、例えばHSPC117、又はHSPC117コードのポリヌクレオチド、例えばHSPC117コードベクターと併合して投与される。
XBP1はまた、T細胞白血病ウィルスタイプ1プロモーター中のエンハンサーに結合する細胞転写因子としても同定されている。従って、本発明はまた、本明細書に示されるようなXBP1の発現を誘導したアーキアーゼ阻害剤による、T細胞白血病ウィルス感染症の治療も提供する。形質細胞分化の間、XBP1の生成がまた、潜伏からのカポジ肉腫関連ヘルペスウィルス及びエプスタイン・バーウィルス再活性化のための手がかりであると思われる。従って、本発明はまた、アーキアーゼ阻害剤によるそれらの疾患の治療又は予防にも関する。
アーキアーゼ活性から利益を得る、さらなる疾患状態は、アルツハイマー病である。神経細胞が、β−アミロイドタンパク質の折り畳まれていない凝集体によりアポトーシス効果を生き残るような手段で、UPRを活性化することが治療的に有益である。従って、本発明はさらに、上記のようなアーキアーゼアゴニストによるアルツハイマー病の治療を包含する。
疾患、例えば癌、炎症及びウィルス感染症は、UPRの抑制により治療的に調節され得る。それらのタイプの状態においては、UPRの破損により細胞生存性は影響を受ける。ERにおけるタンパク質折り畳みは、低酸素、グルコース枯渇、アミノ酸欠乏、アシドーシス、及び突然変異により誤って折り畳まれた発癌性タンパク質のような腫瘍微環境におけるそのような状態により負に影響される。さらに、化学療法、生物療法及び放射線療法は、タンパク質の折り畳みストレスをもたらす。UPRの抗アポトーシス効果を抑制することにより、それらの状態においてアポトーシスを誘導することが可能である。腫瘍性抗体分泌形質細胞に由来する骨髄腫は、このアプローチが適用され得る条件の例を提供する。
エンベロープウィルスは、感染された細胞からの子孫の生成を確保するために、UPRを使用し、そして破損するはずである。ウィルスはしばしば、ERにおいて折り畳まれ、そして修飾される大量のウィルス膜糖タンパク質を生成する。従って、生存メカニズムとしてこの目的のためのウィルスによるUPRの活性化は一般的である。従って、ウィルス感染の間、UPRの抑制が、有益な手段で疾患の結果に影響を及ぼすことができることは理論的である。
唯一の特殊な分泌細胞及び疾患細胞は、それら自体の利益のためにUPRを活性化する。ほとんどの細胞は、そのようなタンパク質折り畳みストレスを受けず、そして従って、UPR阻害剤により影響されない。従って、「UPRに関連する障害」とは、本明細書において使用される場合、病因がUPRの抑制により都合良く影響され得る状態を意味する。本発明の種々の実施形態によれば、UPRのそのような抑制は、アーキアーゼの抑制を通して達成される。
いくつかの実施形態によれば、アーキアーゼ阻害剤は、B細胞自己免疫疾患、一定の癌、及びウィルス表面を発現するためにウィルスファクトリーとして小胞体を使用し、そして出芽及び感染のためにタンパク質をスパイキングするエンベロープウィルスの感染症の症状を治療するか又は改善するために有用である。アーキアーゼ阻害剤は、単剤として、又は併用療法において使用され得る。
治療され得るB−細胞自己免疫疾患は、次のものを包含するが、但し、それらだけには限定されない:アジソン病、抗リン脂質抗体症候群、再生不良性貧血、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性下垂体炎、自己免疫性リンパ球増殖性疾患、自己免疫性心筋炎、チャーグ・ストラウス症候群、後天性表皮水疱症、巨細胞性動脈炎、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、ギラン・バレー症候群。橋本甲状腺炎、特発性血小板減少性紫斑病、IgA腎症、重症筋無力症、天疱瘡葉状、尋常性天疱瘡、結節性多発動脈炎、多発性筋炎/皮膚筋炎、関節リウマチ、強皮症、シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス、高安動脈炎、及びヴェーゲナー肉芽腫症。
治療され得る癌は、次のものを包含する:固形腫瘍、例えば乳房、骨、前立腺、肺、副腎の腫瘍(例えば、副腎皮質腫瘍)、胆管、膀胱、気管支、神経組織(神経細胞及びグリア腫瘍を含む)、胆嚢、胃、唾液腺、食道、小腸、子宮頸部、結腸、直腸、肝臓、卵巣、膵臓、下垂体腺腫、及び分泌腺腫。本発明の方法は、薬物又は放射線耐性固形腫瘍の治療のために、特に有用である。
次の血液の癌(例えば、リンパ腫及び白血病)がまた治療され得る:多発性骨髄腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(例えば、皮膚T細胞リンパ腫、例えばセザリー症候群及び菌状息肉腫、大細胞リンパ腫瀰漫、HTLV−1関連T細胞リンパ腫、節、末梢T細胞リンパ腫、節外性末梢T細胞リンパ腫、中枢神経系リンパ腫、及びAIDS関連リンパ腫)(但し、それらだけには限定されない)。白血病は、急性及び慢性タイプのリンパ性及び骨髄性白血病(例えば、急性リンパ球又はリンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、T細胞前リンパ球性白血病、成人T細胞白血病、及びヘアリー細胞白血病))を包含する。異議不明の単クローン性免疫グロブリン血症(MGUS)、骨髄腫の前駆体もまた、治療され得る。
治療され得るウィルス感染症は、エンベロープウィルスが複製し、そして感染性子孫(例えば、麻疹、ポックスウィルス、エボラ、等)を形成する場合、折り畳まれていないタンパク質応答経路を使用するそのエンベロープウィルスの感染症を包含する。感染症はまた、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、サイトメガロウイルス(CMV)、フラビウイルス(例えば、日本脳炎ウイルス、西ナイルウイルス)、及びC型肝炎ウイルス(HCV)のそれらの感染症も包含する。
アーキアーゼ抑制は、いくつかの疾患において治療効果を有する。そのような疾患は、増殖性疾患、特に癌を包含する。tRNAプロセッシングを低めることにより、増殖活性が非常に低められ、低められた細胞成長がもたらされる。従って、本発明は、アーキアーゼ阻害剤を、腫瘍細胞に投与することを含む、腫瘍細胞成長を低めるための方法を提供する。腫瘍細胞は異常に高速のポリメラーゼ(Pol)III 転写を有することは知られている(Marshall & white, 2008)。PolIII はtRNAを合成するので、tRNAリガーゼの標的化は、癌細胞において(高い)tRNA生成速度制限に向けるであろう。増殖のためのtRNAスプライシング成分の重要性は例えば、国際公開第2004/087884A2号(参照により本明細書に組込まれる)に開示されている。
さらなる側面によれば、本発明は、アーキアーゼ阻害剤を細胞に投与することを包含する、宿主ポリメラーゼに依存する疾患又は感染症、例えばデルタ肝炎ウィルス感染症の治療を提供する。ヒトデルタ肝炎ウィルスは、宿主ポリメラーゼを用いて、そのRNAゲノムを複製することが知られている唯一の動物ウィルスである。ウィルスの複製に関与する宿主因子は、理解しにくい。複製の間、ウィルスゲノムの環状化において、リガーゼ−宿主因子が関与している(Reid & Lazinski, 2000)。組合されたプロテオミック−RNAiスクリーンにおいて、デルタ肝炎抗原に関連する100以上のタンパク質を同定した。同定されたタンパク質の一部は、RNA代謝における役割を有し、そしてそれらのうち2つは、リガーゼHSPC117及びまた、その複合パートナーDDX1である。組合すと、これは、アーキアーゼがデルタ肝炎ウィルス感染症を治療するための決定的標的であることを示唆する。
さらに、本発明は、アーキアーゼ分子を対象に投与することを包含する、特にRNA>pリガーゼによるtRNA連結が欠損している、機能不全tRNAスプライシングに関連する対象における疾患、好ましくは橋小脳形成不全症を治療するための方法に関する。tRNAスプライシング経路と橋小脳形成不全症との間に関連性が確立されている。この疾患は、出生前発生、小脳の萎縮又は形成不全、及び他の運動障害を伴う退行性常染色体劣性障害のグループに属する。機構的に、それらの疾患は、tRNAスプライシングの間、イントロンの異常除去及びエキソンの連結に関連している。従って、機能的アーキアーゼの投与は、正常なスプライシング及びイントロン除去を復元し、そして治療することができるが、但しtRNA代謝が脳機能に対して特別な影響を有することはまた良く知られているが、しかし分子レベルでは理解されていない。
細胞は、アンギオゲニン、すなわち血管新生におけるその既知役割の他にリボヌクレオーゼ活性を示す因子を分泌することにより、酸化ストレスに応答する。アンギオゲニンは、アンチコドンループで成熟tRNAを切断し、それにより、tRNA由来のストレス誘導RNAのためのtiRNAとして知られているtRNAフラグメントを生成する。tiRNA蓄積はタンパク質合成を損ない、そして従って、細胞健康及び機能に対して有害である。ヒトtRNAリガーゼHSPC117の不活性化が培養細胞においてtiRNAの上昇を導く。高められたHSPC117はアンギオゲニン切断に戻して、そしてtiRNAを減じる。従って、HSPC117は、アンギオゲニン切断tRNAの再連結に明確な役割を有する。このアンギオゲニン反応は、HSPC117分子の抑制に基づいて戻され得ない。今度は、HSPC117活性は、本明細書に示されるように、アーキアーゼにより増強される。アーキアーゼの不在下で、HSPC117は単に低い残留活性を有する。従って、本発明はまた、細胞におけるアーキアーゼ活性を高めるか又は低めることにより、細胞中のtiRNA量を調節するための方法にも関する。
種々のタイプの生理学的ストレスが、折り畳まれていないタンパク質反応、例えば低酸素症、栄養飢餓、アシドーシス、及び変異体又は過剰発現された誤って折り畳まれたタンパク質(発癌性ストレス)をもたらす遺伝子損傷を誘発する。1又は2以上のそれらの状態は、腫瘍の微環境によって一部、介在される、癌細胞において明白である。折り畳まれていないタンパク質の細胞保護アームが腫瘍生存において抗アポトーシス役割を果たしている可能性がある。さらに、生物及び化学療法薬物及び放射線治療がさらに、タンパク質折り畳み、及びERにおける分解サイクルに影響を及ぼし、それにより、保護耐性機構としてUPRを誘発する。腫瘍は従来の治療に対して耐性であるか、又は治療に対する初期反応の後、耐性形に戻り、そして従って、新規治療及び併用治療が必要とされるので、患者は癌に屈する。
血管新生阻害剤は、新規血管形成、すなわち腫瘍微環境のストレス効果を増強する工程を抑制することにより、腫瘍増殖を阻止する。さらに、腫瘍負荷を低減するための有望なアプローチは、アーキアーゼ阻害剤と併用して抗血管新生剤を投与することである。
UPRとの干渉は、細胞ストレスを高める種々の化学療法に対して癌細胞を感作し、そして従って、アーキアーゼ阻害剤は癌における治療の現在及び将来の規格に関して重要な治療法になることがあり得る。
いくつかの実施形態によれば、アーキアーゼ阻害剤は、癌治療剤、例えば放射線療法又は癌治療剤(例えば、化学療法剤又は生物療法剤)と併用して投与される。癌治療剤は、アーキアーゼ阻害剤とは別々に、又はそれと一緒に投与され得る。癌治療剤は、アーキアーゼ阻害剤と実質的に同時に投与され得るか、又はアーキアーゼ阻害剤の前又は後に、投与され得る。
さらなる側面によれば、本発明は、好ましくは発現ベクターの形でのアーキアーゼ発現核酸、又はアーキアーゼ阻害剤、好ましくは上記に記載されるような抗体又はsiRNA又はその変異体を含む医薬組成物を提供する。そのような組成物は、例えば上記に記載されるような何れかの疾患の治療に容易に使用され得る。治療又は予防使用のための医薬組成物又は製剤は、医薬的に許容できる希釈剤、担体、溶解剤、乳化剤及び/又は保存剤を含むことができる。本発明はまた、治療的有効量のアーキアーゼ阻害剤又は発現核酸を含む医薬組成物も提供する。用語「治療的有効量」(therapeutically effective amount)とは、特定される条件及び投与経路についての治療効果を提供する量を意味する。組成物は、液体又は凍結乾燥形で存在することができ、そして種々のpH値及びイオン強度を有する希釈剤(トリス、酢酸又はリン酸緩衝液)、溶解剤、例えばTween 又はポリソルベート、担体、例えばヒト血清アルブミン又はゼラチン、保存剤、例えばチメロサール又はベンジルアルコール、及び酸化防止剤、例えばアスコルビン酸又はメタ重亜硫酸ナトリウムを含む。特定組成物の選択は、多数の要因、例えば治療される状態、投与の経路、及び所望の薬物動態パラメーターに依存するであろう。核酸及びsiRNA製剤は好ましくは、リボソーム製剤で投与される。本発明の組成物は、皮下、静脈内又は筋肉内注射により、又は経口、経鼻、肺又は直腸投与の何れかにより投与され得る。最終的に選択される経路は、多くの要因に依存し、そして当業者により確かめられ得る。好ましくは、細胞内投与は、適切なビークル、例えばリポソーム又はミクロソームの使用により促進される。
さらに、本発明は、アーキアーゼと、前記アーキアーゼとの接触下でRNAリガーゼの活性を決定する候補阻害剤とを接触することを包含する、アーキアーゼ阻害剤の入手方法を提供し、ここで阻害剤は、前記リガーゼの前記活性が、前記阻害剤により処理されていないアーキアーゼに比べて、低められる場合に得られる。そのようなリガーゼは、例えばHSPC117である。リガーゼ活性を決定するための試験は、例えば国際公開第2012/028606A1号に記載されるように、又は本明細書に記載されるように、当業界において周知であり、そして本明細書に記載されるように適切な条件下での2種のRNA分子の連結を包含する。好ましい試験は、実施例12に示される。一般的に、アーキアーゼ活性試験は、阻害剤を伴って及び無しで、アーキアーゼ及びその基質の存在下で、アーキアーゼ依存性RNAリガーゼ、例えばRtcB/HSPC117の活性をモニターする。阻害剤の存在又は不在とは別に、アッセイの条件は同じであるべきである。連結試験はまた、スプライシングエンドヌクレアーゼと一緒にスプライシング試験でもあり得る。前記接触段階及び/又はリガーゼ活性決定は、例えば上記のように、インビトロで(例えば、単離された酵素の)、細胞又は細胞系、又は非ヒト動物モデルにおいてあり得る。阻害剤は、上記治療方法に、特に上記のような医薬製剤に使用され得る。阻害剤は、例えば抗体、siRNA、小有機分子であるが、しかしまた、不活性形のアーキアーゼ、例えば配列番号28のD39及び/又はK144に対応する(例えば、D39A及びK144A突然変異に対応する)アミノ酸での突然変異を有する変異体形であり、これは前記突然変異誘発されたアーキアーゼを不活性にし、そして他方では活性的である野生型アーキアーゼを抑制する。好ましい阻害剤は、非加水分解性GTP類似体、例えばGMPCPPである。非加水分解性GTP類似体は、RtcBタンパク質のグアニル化のための競争阻害剤として作用することができる。好ましくは、阻害剤は、上記試験方法に従って試験される。そのような阻害剤、又は本明細書に記載される何れかの阻害剤は、アーキアーゼ阻害剤を必要とする本発明の使用、方法又はキットのいずれか1つに使用され得る。
アーキアーゼ及びリガーゼはまた、候補阻害剤との接触の間、組み合わせても使用され得る。従って、本発明はまた、アーキアーゼと候補阻害剤とを接触し(ここで、アーキアーゼはRNAリガーゼ、例えばHSPC117と組み合わせて存在する)、そしてRNAリガーゼの活性を決定することを包含する、阻害剤を得るための本発明の方法を提供し、ここで阻害剤は、前記リガーゼの活性が、前記阻害剤により処理されていないアーキアーゼ−リガーゼ組合せに比較して、低められる場合に入手される。そのような組合せにおいては、アーキアーゼ及びリガーゼは、上記のように試験容器、細胞、又は動物モデルにおいて、偶然共存することができる。
本明細書において示される場合、アーキアーゼは、たぶん、初期触媒作用の後に関連するGMPを放出することにより、HSPC117−グアニル酸アダクトの形成を促進することにより、リガーゼ様HSPC117に対して作用する。従って、アーキアーゼ阻害剤を得るための本発明の方法は、アーキアーゼのグアニル化活性の損失を決定することにより、例えばリガーゼへのG残基の転移を決定することにより適合され得る。
前記方法においては、反応の基質、例えばGTP又はポリヌクレオチドは活性を決定するために標識され得る。標識の例は、放射性標識、蛍光又は化学物質を包含する。アーキアーゼ及び/又はリガーゼは、試験溶液からの容易な分離を可能にするために固定され得る。
さらに、本発明は、次の図及び実施例により例示されるが、それらは本発明のそれらの特定の実施形態を制限するものではない。
ヒトtRNAリガーゼは限定された数の基質ターンオーバーを明らかに触媒する。A)親和性精製され、FLAG−標識されたHSPC117はタンパク質DDX1、FAM98B、ASW及びCGI−99と会合する。B)親和性精製され、FLAG−標識されたHSPC117は、tRNAエキソン半体を、成熟tRNA中にプロセッシングし、そしてtRNAエンドヌクレアーゼにより放出される線状イントロンを環化する。C)種々の量の親和性精製されたtRNAリガーゼ複合体を、単離された線状イントロンと共にインキュベートし、そして連結された種の形成を、ゲル電気泳動、続いて蛍光イメージングによりモニターした。コンカテマー化されたイントロンに対応するシグナルを定量化し、そしてそれぞれのレーンに検出できる総シグナルの割合としてプロットした。
HSPC117及びアーキアーゼがそれらの分類学的範囲を共有することを示す。RtcB/HSPC117タンパク質は、細菌、古細菌及び脊髄動物に広く分布されるが、しかし植物及び菌類においてはそうではない。アーキアーゼタンパク質の分類学的範囲は、RtcB/HSPC117の出現と相関する。
アーキアーゼは、ヒトtRNAリガーゼ複合体のRNA連結を増強する。A)組換えアーキアーゼの不在又は存在下での親和性精製されたtRNAリガーゼ複合体及び前もって切断されたtRNA基質による経時的連結アッセイ。B)E.コリにおいて発現された組換えアーキアーゼ(8.5μM)の不在又は存在下での親和性精製されたtRNAリガーゼ複合体及び単離された線状イントロン(2.5μM)による経時的連結アッセイ。コンカテマー化されたイントロンに対応するシグナルを定量化し、そしてそれぞれのレーンに検出できる総シグナルの割合としてプロットした。
アーキアーゼは、RNAリガーゼ活性も、ヒトRNAリガーゼ複体との同時精製も示さない。A)FLAG−標識されたアーキアーゼ及び150mMのNaClで親和性精製されたHSPC117のクーマシーブルー染色された調製物。B)前もって切断されたtRNA基質を用いてのFLAG−FSPC117及びFLAG−アーキアーゼのRNAリガーゼ活性アッセイ。HEK293細胞の抽出物を、負の対照として使用した。*は、非特異的生成物を示す。
種々のアーキアーゼタンパク質の配列のアラインメント。上部から底部(配列番号24から43)。この研究において突然変異誘発された高く保存されるアミノ酸(ヒトタンパク質配列、配列番号28に従って番号付けされた、D39及びK144)が、黒の三角により強調される。
点突然変異D39A及びK144Aは、RNA連結においてアーキアーゼの機能を止める。A)組換え野生型又は変異体アーキアーゼ(15μM)の添加に基づいてのFLAG−HSPC117複合体の連結活性の経時変化。B)精製された組換え野生型及び変異体アーキアーゼのSDS−PAGE分析。
HSPC117及びアーキアーゼの両者は、プロセッシングアッセイにおけるプレ−tRNA転写体の成熟に寄与する。A)RNA干渉によりアーキアーゼ及び/又はHSPC117を枯渇されたHeLa細胞抽出物は、プレ−tRNAスプライシングアッセイにおいて成熟tRNAの損なわれた形成を示す。両タンパク質は、それらの抽出物におけるtRNAリガーゼ活性に均等に寄与すると思われる。B)リアルタイプPCRによるsiRNAのトランスフェクションに基づいてのアーキアーゼ及びHSPC117のmRNAレベルの低下の定量化。比較できる枯渇効率が両転写体について達成された。何れの要因の枯渇も、他の実質的な低下に導かない。C)RNAiによりアーキアーゼを枯渇された抽出物に観察されるtRNA成熟の欠陥が、過剰発現する野生型により回復され得るが、しかしタンパク質の変異体バージョンではそうではない。D)ウェルターンブロットは、過剰発現された野生型及び変異体アーキアーゼのレベルを示す。Ctrl.は対照プラスミドを示し、EVは空のベクターを示す。
ヒトtRNAリガーゼHSPC117及びアーキアーゼは両者とも、折り畳まれていないタンパク質反応(UPR)の間、Xbp1 mRNAの非従来型のスプライシングのために必要とされる。A)インヒドロスプライシングアッセイについての実験概要。B)Xbp1 mRNAの内部標識されたフラグメントが、組換えIre1エンドヌクレアーゼにより前もって切断され、そして示される時点での緩衝液又はHeLa全細胞抽出物(wce)により補充され、エキソン半体の連結を可能にされる。スプライス生成物の形成は、Ire1及び細胞抽出物の両者の存在に対して特異的である。「スプライスされていない」及び「スプライスされた」で示されるレーンは、スプライス生成物のサイズを示すために対照転写体を含む。C)HSPC117及びアーキアーゼの両者は、非従来型スプライシングに寄与する。3′末端標識されたXbp1を、Ire1により前もって切断し、そしてレーン上に示されるように、siRNAにより処理されたHeLa細胞からの全細胞抽出物を補充した。細胞抽出物は、トランスフェクションの72時間後、収穫された。D)非従来型スプライシングについてのリガーゼ活性が、HSPC117には存在するが、しかしアーキアーゼには存在しない。3′末端標識されたXbp1を用いてのインビトロスプライシングアッセイを、全細胞抽出物(インプット)、又はFLAG−HSPC117、FLAG−アーキアーゼ又はFLAG−DDX1を安定して発現するHEK293細胞からのFLAG−IPを用いて実施した。連結活性が、tRNAリガーゼ複合体の不可欠メンバーのIPsに単に見出される。E)非従来型スプライシング活性が、アーキアーゼの添加により刺激される。3′末端標識されたXbp1を用いてのスプライシングアッセイが、レーン上に示されるように、緩衝液又は組換えタンパク質の添加により実施される。D39A及びK144Aは、タンパク質を不活性にする高く保存されたアミノ酸位置で突然変異誘発されたアーキアーゼを示す。ウシ血清アルブミン(BSA)が、対照として含まれた。
5′末端及び3′末端標識されたXbp1についての経時変化:インビトロスプライシングアッセイは、放射性標識の位置に関係なく、同一のスプライス生成物を生成する。
インビトロ連結活性は、添加される細胞抽出物の量に比例する。
siRNAを用いてのHSPC117及びアーキアーゼの枯渇は、HeLa細胞において内因性Xbp1 mRNAの非従来型スプライシングを低める。A.Xbp1スプライスされた形についてのRT−PCR。全RNAを、トランスフェクションの120時間後、siRNA処理された細胞から単離した。ストレスは2mMのDTTにより細胞を4時間、処理することにより誘発された。B.siRNA介在性KD及びストレス誘発に続いての全Xbp1 mRNAレベルについてのQ−PCR。C.Xbp1標的遺伝子のアップレギュレーションは、HSPC117及びアーキアーゼの枯渇に基づいて損なわれる。DNAJB9、EDEM1及びHSPA5についてのQ−PCRが、上記と同じcDNAを用いて行われる。誤差バーは、標準偏差を表し;すべての実験は三重反復して実施された。
HSPC117及びアーキアーゼの枯渇は、ストレス誘発に基づいてXbp1S蓄積を排除する。FLAG−mXbp1U(WT)又はFLAG−mXbp1s(構造的スプライスされた)を安定して発現するHeLa細胞を、0.3μMのタプシガルギン(TG)によるストレス誘発の前72時間、siRNAによりトランスフェクトした。細胞をRIPA緩衝液(Thermo Scientific)に溶解し、そしてウェスターンブロットにより分析した。
アーキアーゼによるヒトtRNAリガーゼ複合体内のHSPC117のグアニル化。A.親和性精製されたFLAG−HSPC117を、野生型又は変異体バージョンのアーキアーゼ、又は対照としての緩衝液と共に、[α−32P]GTP又は[α−32P]ATPの存在下でインキュベートし、黒丸は包含を示しており、白丸は反応混合物からの欠落を示している。反応混合物を、SDS PAGEにより分離し、そして放射性標識されたタンパク質種を蛍光イメージングにより可視化した。B.等しい負荷がクーマシー染色により確認された。
RNAリガーゼ活性の抑制をモニターするためのアッセイ。図は野生型又は変異体(D39A)アーキアーゼ及びGTP、又は非加水分解性類似体GMPcPPの存在下で、FLAG−RTCB、すなわちヒトtRNAリガーゼの触媒サブユニットの連結活性を示す。線状基質(第ニ下から上方へ)が円状生成物(底部)又はコンカテマー(上部)に転換され、これはさらに、環状化される(第三下から上部へ)。連結は単に、野生型アーキアーゼ及びGTPにより行われた。非加水分解性GMPCPPの添加が反応を抑制する。
HeLa細胞におけるRTCB及びアーキアーゼのノックダウン。図は、短ヘアピンRNA(shRNA)による、HeLa細胞における安定したノックダウンに基づいてのRTCB(A)及びアーキアーゼ(B)mRNA発現レベルを示す。対照及びノックダウン細胞の両者において、mRNA発現レベルは、ツニカマイシン(Tm)によるUPRの誘発に基づいて変化する。しかしながら、低められたmRNA発現レベルが、全実験期間を通して観察される。
HeLa細胞におけるアーキアーゼのノックダウン後の低められたXBp1スプライシング活性及びEDEM1誘発。図は、qPCRにより明らかにされる場合、総Xbp1 mRNA(スプライスされていない及びスプライスされた、A)、スプライスされたXbp1 mRNA(Xbp1s、B)、及びEdem1(C)の発現レベルを示す。対照細胞に比較して、アーキアーゼのノックダウンは、低められたレベルのXbp1s mRNAにより見られるように、mRNA Xbp1スプライシングの低下を誘発する。これは、総Xbp1及びEdem1の両mRNAの発現レベルに影響を及ぼす。
H929細胞におけるRTCB及びアーキアーゼのノックダウン。図は、shRNAによる、H929細胞における安定したノックダウンに基づいてのRTCB(A)及びアーキアーゼ(B)の低められたmRNA発現レベルを示す。
実施例1:アーキアーゼ無しでのHSPC117複合体の低められた活性
HSPC117複合体(図1A)がRNAリガーゼ活性を示し(図1B)、これは時間経過分析において、活性の初期バーストの後、時間とともに進行するように思えない(図1C)ことが見出された。この結果は、酵素反応におけるターンオーバーの欠如、及び追加の因子が完全な活性を達成するためには必要とされることを示唆する。
実施例2:アーキアーゼはインビトロでヒトRNAリガーゼ複合体による効率的RNA連結のために必要とされる
アーキアーゼの添加は、親和性精製されたヒトtRNAリガーゼ複合体に影響を及ぼす。図3A及びBに示されるように、組換えアーキアーゼの添加は、連結活性を大幅に向上せしめる(イントロンの環状化を包含する)。
実施例3:アーキアーゼは、RNAリガーゼ活性を示さず、又はヒトRNAリガーゼ複合体と同時精製もしない
FLAG標識されたバージョンのアーキアーゼ及びHSPC117を発現する安定した細胞系を生成し、免疫沈澱を実行した。溶出されたRLAG−アーキアーゼを、全tRNAリガーゼ複合体を含む、FLAG−HSPC117と平行して、tRNA連結について分析した。図4Aに示されるように、親和性精製された、FLAG標識されたアーキアーゼは、tRNAリガーゼ複合体の成分と会合せず、しかもtRNAリガーゼ複合体はアーキアーゼと同時精製もしない。RNAリガーゼ活性は、親和性精製されたRNAリガーゼ複合体を含む反応においては単に検出できたが、但しFLAG標識されたアーキアーゼを含む場合は、そうではなかった(図4B)。
実施例4:点突然変異D39A及びK144AはRNA連結におけるアーキアーゼの機能を止める
アーキアーゼの機能を研究するために、ユリアーキオータ(euryarchaeote)(古細菌)、メタノサーモバクター・サーマウトトロフィカス(Methanothermobacter thermautotrophicus)からの入手できるNMR構造体(Yep et al., 2002)(ヒトタンパク質に対して36%同一である)を、使用し、そしてアスパラギン酸(D)39及びリシン(K)144(両方とも極めて保存された残基である)を、アラニンにより置換した(D39A;K144A)(図5)。野生型及び変異体バージョンのアーキアーゼを、HeLa細胞において過剰発現し、そしてtRNAリガーゼ活性を測定した。図6Aに見られるように、組換え野生型アーキアーゼはその不在下で達成される低レベルの連結を刺激した。図6Bは、反応に添加される組換えタンパク質の等しい濃度を確認する。
実施例5:アーキアーゼはヒト細胞抽出物におけるプレ−tRNA基質の効率的インビトロスプライシングのために必要とされる
アーキアーゼの枯渇が細胞抽出物におけるtRNAスプライシング活性を損なうかどうかをまた試験した。RNAiによりアーキアーゼを枯渇されたHeLa抽出物を、内部標識されたプレ−tRNA基質と共にインキュベートし、そして成熟tRNAの出現をモニターした(図7A)。HSPC117をサイレンシングするために、市販のsiRNA重複体の混合物を使用した(Dharmaconカタログ番号 L-017647-00-0005)。アーキアーゼをサイレンシグするために、配列5’-UGA CAU UUA AGA CAC CAA A[dT][dT]-3’(センス鎖; 配列番号47)及び5’-UUU GGU GUC UUA AAU GUC A[dT][dT]-3’(アンチセンス鎖; 配列番号48)の単一のsiRNA重複体を使用した。得られる結果を、市販のsiRNA重複体の混合物(Dharmacon カタログ番号L-017915-01-0005)を用いて確認した。
スプライシングアッセイのために、RNAを、スプライスされた及びスプライスされていない形のヒトXbp1を含むPCR生成物からT4−転写により調製した。基質を、a−GTPを用いて及び3′末端で、pCpへの連結を用いて、内部標識した。基質を、tRNA連結緩衝液において5分間、組換えIre1により、5μlの全体積へのFLAG−IP溶出物のタンパク質抽出物の続く添加により、プレ−切断した。サンプルを、10%PAGEゲル上に負荷する前、抽出されたプロティナーゼK及びフェノールクロロホルムにより処理した。
tRNAリガーゼHSPC117の標的化に類似して(Popow et al.,2011)、アーキアーゼの枯渇が深刻なtRNA連結を損なった。アーキアーゼを標的とするsiRNAのトランスフェクションは、そのmRNAを効果的に枯渇した(図7B)。さらに、アーキアーゼの枯渇に続く連結の欠乏は、HSPC117の不安定化に寄与し得なかったことが確認された。オフターゲット(off−target)効果を除いて、野生型タンパク質の同時発現により、アーキアーゼを枯渇された抽出物においてtRNA成熟を回復することが可能であったが、但し点突然変異体D39A及びK144Aについてはそうではなかった(図7C及びD)。
実施例6:アーキアーゼは折り畳まれていないタンパク質反応の間、Xbp1 mRNAの効果的インビトロスプライシングのために必要とされる
通常のER機能の摂動が、折り畳まれていないタンパク質反応(UPR)の活性化を誘導する、誤って折り畳まれた又は折り畳まれていないタンパク質の蓄積を引起す。3種のUPR経路の1つが、哺乳類において、ERトランスメンブランタンパク質Ire1を誘発し、Xbp1 mRNAを分解し、26ntのイントロンを特異的に除去する(図8A)。切断されたXbp1 RNA最小基質、及びHSPC117及び/又はアーキアーゼを枯渇されたHela細胞抽出物により実施されたインビトロスプライシングアッセイは、両タンパク質が組換えIre1により生成されるエキソンの効果的連結のために必要とされることを表した(図8B及びC)。HSPC117、すなわち哺乳類tRNAリガーゼ複合体の触媒サブユニットの損失は、強度に低められたエキソンエキソン連結を引起した。興味あることには、新しく同定されたtRNAリガーゼ−活性化因子アーキアーゼの枯渇は、連結活性の比較できる損失をもたらした(図8c)。tRNAリガーゼ複合体中のさらなる4種の成分の何れも、これまでの発見と一致して連結のために必要とはされなかった(国際公開第2012/28606号)。切断されたプレ−tRNA基質に関しては、アーキアーゼを除く、唯一親和性精製されたHSPC117及びDDX1が、切断されたXbp1 RNA最小基質に対してRNAリガーゼ活性を示した(図8D)。アーキアーゼ枯渇された抽出物に見られる低められた連結活性は、アーキアーゼがRNAリガーゼであるか又はむしろ、他のリガーゼの連結活性を刺激するよう作用するかどうかの問題を提起した。この問題に対処するために、HSPC117、アーキアーゼ及びDDX1(ヒトtRNAリガーゼ複合体のDEAD−ボックスヘリカーゼ成分)のFLAG−標識されたバージョンを発現する安定細胞系を生成し、そしてFLAG−IPsを用いてのXba1連結アッセイを実施した。図8Dに示されるように、RLAG−HSPC117及びFLAG−DDX1 IPsにおける連結活性を観察し、同時に、連結はFLAG−アーキアーゼIPについては検出されなかった。
組換え野生型アーキアーゼ(但し、その突然変異誘発されたバージョンではない)の添加は、親和性精製されたヒトtRNAリガーゼ複合体によるXbp1 RNA最小基質の連結を刺激した(図8E)。さらにアーキアーゼの刺激活性に対処するために、HSPC117及びアーキアーゼの両者を、RNAiにより枯渇し、そして次に、WT又はMUTアーキアーゼの何れかを含むアーキアーゼレスキュー構造体を導入した。アーキアーゼは、IP実験に見られるように、それ自体リガーゼ活性を有さないが、WTアーキアーゼの過剰発現が、KD抽出物においてインビトロ連結活性を一部、レスキューするのに十分であり、このことは、その刺激活性が残存する少量のHSPC117の活性を増強するのに十分に強いことを示す。それらの実験はまた、変異体アーキナーゼ自体での過剰発現が、tRNAリガーゼ複合体中の触媒サブユニットの部分的枯渇にもかかわらず、インビトロ連結活性を損なうのに十分であることも示す。
興味あることには、Xbp1 mRNAが、細胞抽出物の添加の前、Ire1によりプレ−切断された場合、単一のフラグメントが2つのXbp1エキソン半体の連結に起因すると思われた。類似するフラグメントが、5′−又は3′−末端標識されたXbp1 RNAの何れかを用いてのスプライシングアッセイにおいて観察され(図9)、これは汚染性切断事象に反している。スプライシング活性は、添加される抽出物の量に比例しているように見えた(図10)。
実施例7:HSPC117及びアーキアーゼの枯渇は非従来型のスプライシングを損ない、そして細胞培養においてXbp1下流の標的物の活性化を妨げる
より生理学的な設定下でインビトロ連結アッセイからの調査結果を拡張するために、HSPX117及びアーキアーゼを、HeLa細胞においてsiRNAトランスフェクションにより枯渇し、そしてストレスを、1mMのDTT又は0.3μMのタプシガルギンにより細胞を4時間、処理することにより誘発した。スプライスされたXbp1の蓄積を、Xbp1における非従来型スプライス部位を端に有するプライマーを用いて、RT−PCRによりモニターした。驚くべきことには、HSPC117の枯渇のみが、ストレス誘発に基づいてXbp1スプライシングの単なる限定された変化を引起し、ところがアーキアーゼの枯渇はスプライシングを有意に損ない(図11A);両タンパク質は比較できるレベルまで枯渇された。siRNA処理された細胞における全Xbp1レベルについてのQ−PCRは、RT−PCR結果を確証した(図11B)。対照サンプルにおいては、拡張されたストレス誘発は、Xbp1Sタンパク質がそれ自身のプロモーターにフィードバックし、ストレス応答の間、Xbp1 mRNAの強い転写を導くので、高められたレベルのXbp1 mRNAを誘導する。HSPC117の枯渇は、転写物活性化において約50%の低下をもたらしたが、ところがアーキアーゼの枯渇はXbp1 mRNAの増強された生成を完全に止めた(図11B)。それらの結果は、アーキアーゼにより誘発された刺激活性が低められた量のHSPC117の存在下で連結活性を維持するのに十分であることを主張している。
Xbp1Sタンパク質の蓄積は、ERストレスを改善する転写を活性化する。従って、UPRリガーゼ機能の欠如が、ストレス誘発に基づいて、それらの下流の標的物のアップレギュレーションを損なうことが予想される。これを測定するために、Xbp1−特異的因子EDEM1及びDNAJB9、及び一般的ストレスレスポンダーHSPA5(BiP)についてのQ−PCRを実施した。EDEM1及びDNAJB9の活性化が、siRNAを用いてアーキアーゼを枯渇された細胞において止められたが、ところがHSPC117枯渇はマイナーな効果を有した(図11C)。HSPA5の活性化は、アーキアーゼ及びHSPC117の両者の枯渇により、単なる軽度に影響され、これは、非従来型RNAスプライシングの枯渇に基づいて、Ire1シグナル伝達経路の特異的中断を確認する。下流の標的物のアップレギュレーションは、図11Aに見られるスプライスされたXbp1の蓄積を反映し、これは、損なわれたXbp1 mRNAスプライシングが、Xbp1sタンパク質の損失を直接、翻訳することを主張し(図12、左側パネル);多分、HSC117枯渇された細胞に見られるXbp1スプライシングの軽度の低下が、下流の遺伝子の活性化を開始するのに十分なタンパク質を残す。これは、UPR−活性化された標的遺伝子が、ストレスに基づいてのそれらのアップレギュレーションのための機能的tRNAリガーゼ機構に依存することを示す。
実施例8:HSPC117及びアーキアーゼの枯渇がXbp1Sの蓄積を損なう
上記RT−及びQ−PCR結果を確認するために、siRNA処理されたHeLa細胞においてストレス誘発に基づいてのXbp1タンパク質蓄積における直接的欠陥を検出するためにウェスターンブロットを実施した。非従来型イントロンの除去によるXbp1 mRNAの発現(Xbp1Sの構成的発現)を、対照として使用した。発現レベルは、RT−PCRにより見られるように、内因性Xbp1のわずか2−3倍以上であり、そしてストレス誘発は、内因性hXbp1及びトランスジェニックFLAG−mXbp1について同等のスプライシングパターンを誘導した。安定した細胞系を、siRNAにより72時間、処理し、溶解し、そしてウェスターンブロットにより分析した(図12)。HSPC117枯渇RT−PCRからの結果に類似して、Xbp1Sタンパク質蓄積に対する効果はなく、ところがアーキアーゼの枯渇は、対照トランスフェクションに比較して、タンパク質レベルの強い低下を引起した。両タンパク質の枯渇は、ストレス誘発に基づいてXbp1Sのほとんど完全な損失をもたらす相乗効果を示した。
長年の研究にもかかわらず、非従来型Xbp1スプライシングにおける連結工程のアイデンティティは、哺乳類動物細胞においては発見されていない。HSPC117は多分このスプライシング活性のための候補であるが、連結はリガーゼ活性の刺激についてアーキアーゼに依存することが、確かに本明細書に示されて来た。少数のリガーゼ複合体(おそらく、ER膜に関連する)が、アーキアーゼが酵素割合を刺激するために存在する限り、ストレス反応の誘発に基づいてXbp1をスプライスするのに十分である可能性である。これは、最初に細胞が、初期スプライシングにおいて動力学的差異を見分けるために非常に短いストレス暴露の後、収穫される、RT−PCR及びQ−PCRアッセイからの観察と適合する。方策は変更され、そしてストレス誘発が、サンプル収穫の数時間前、実施される場合、スプライスされた生成物の示差蓄積が検出された。多分、Xbp1Sの初期プールにより引起されるスプライシングを必要とするXbp1転写体の高められた数が、利用可能な基質の連結を維持するために、siRNA処理された細胞におけるHSPC117の制限された量のために困難にし、そしてそれにより、スプライスされたXbp1 mRNAの量に有意な差異を見ることができる。
スプライスされていないXbp1 mRNAの定常状態レベルは、a)RNAiによるアーキアーゼ枯渇に基づいて、b)優性−陰性変異体アーキアーゼの過剰発現を通して、又はc)両者が組合される場合、最も強く見られる、ストレスの不在下でアップレギュレートされる。この現象は、増強された転写(未知のフィールドバック機構を通して)により、又はスプライスされていないXbp1 mRNAの安定化(変更された細胞内局在化による)により、引起され得る。
実施例9:アーキアーゼはHSPC117のグアニル化のために必要とされる
HSPC117は単独で、インビトロでのグアニル化を受けないので、アーキアーゼが、そのグアニル化を仲介することにより、HSPC117によるRNA連結を支持するかどうかが試験された。親和性精製されたFLAG−HSPC117を、[α−32P]GTP又は[α−32P]ATPの存在下で、アーキアーゼの野生型又は変異体及び不活性変異体(D39A;K144A)、又は対照としての緩衝液と共にインキュベートした。反応混合物を、SDS−PAGEにより分離し、そして放射性標識されたタンパク質種を、蛍光イメージング又はクーマシー染色により可視化した(図13A及びB)。FLAG−HSPC117のグアニル化は単に、野生型アーキアーゼの存在下で検出できたが、しかしアーキアーゼの変異体バージョンでは検出されなかった。
実施例10:アーキアーゼの阻害剤及びヒトtRNAリガーゼ複合体の医薬用途
UPR及び特にIre1/Xbp1ブランチは多数の疾患に関与していることが見出されており;最も著しくは、マウスモデルにおけるXbp1Sの過剰発現が多発性骨髄腫の発症の素因を有することが見出された。いくつかの化合物は、Ire1の活性を損なうよう企画されており、それにより、疾患進行に寄与する経路の過剰活性化を切除し;しかしながら、Ire1はまた、Xbp1スプライシングに関係なくUPRに追加の機能も有するので、エンドヌクレアーゼよりもむしろリガーゼ又はアーキアーゼの標的化が、過剰活性化されたXbp1シグナル伝達を中断することで増強された特異性を可能にする。
tRNA及びmRNA基質の連結におけるアーキアーゼ及びHSPC117の含意は、高められたスプライシング活性に関連する負の効果を排除するために、それらのスプライシング経路への干渉を可能にする。
UPRの延長された活性、すなわちERストレスが緩和され得るが、そして恒常性が再確立され得ないことの指標は、細胞死と相関し、このことは、アポトーシスへの取り組みが、それらのシグナル伝達成分の忠実性を確認する能力を欠いている不正細胞から生物を保護するために進化して来たことを示唆する(Walter and Ron, 2011)。生死の決定は、ERストレスが適切なタイミングで緩和され得るかどうかの評価に基づいて、多くのヒト疾患におけるUPRの中心的役割を説明している。恒常性に障害は発生する場合、UPRは、有益である細胞を殺害するアポトーシスエクゼキューターとして、又は生物を犠牲にして不正細胞を保護する細胞保護剤(cytoprotector)として作用することができる。最初のカテゴリーの例は、網膜色素変性症、すなわち誤って折り畳まれた変異型ロドプシンが、網膜発生時、生成される場合、網膜がアポトーシス性細胞死により退化する遺伝子形の失明を包含する。別のそのような例は、膵臓β細胞がインスリン産生のための過剰な需要により損なわれているII型糖尿病である。第2のカテゴリーは、ウィルス複製を助けるためにERの能力を高める、UPRを利用できるエンベロープウィルス感染症により例示される。同様に、特定タイプの癌(特に、分泌組織に生じるそれらの癌、例えば多発生骨髄腫(下記を参照のこと))は、それらの急速な増殖を維持するためにUPRの細胞保護役割を使用する。IRE1のエンドヌクレアーゼの活性を損なうことは、UPRの間、いくつかのRNA分子の生理学的切断を損なう。HSPC117及びアーキアーゼのリガーゼ活性の抑制が、この効果を促進する。特定の標的物は、スプライスされた形のXbp1タンパク質が過剰表現される疾患、例えば多発性骨髄腫である(Carrasco et al., 2007; Papandreou et al., 2011)。
実施例11:糖尿病におけるアーキアーゼ及びUPR
糖尿病において、生死の究極的細胞運命決定は、β細胞暴露されるERストレスの性質及び重度に依存する。従って、次の2種のタイプのERストレス状態が存在する:解決可能及び解決不可能ストレス状態。ERストレスが解消され得る場合、UPRはβ細胞生存を促進するが、ところが解決不能なERストレス条件下で、UPRは死のエフェクターを活性化し、β細胞アポトーシスを誘導する。β細胞が軽度のERストレスを誘導する条件下に暴露される場合(例えば、食後グルコース変動への生理学的暴露)、ERはストレス緩和を促進し、そしてタンパク質の恒常性を復元することができ、従って、将来のERストレス損傷のために細胞を「プライミングし」(priming)、そして細胞生存性を促進する。IRE1α及びPERKはそれらの条件下でインスリン生成を調節し、従ってUPR生存促進経路の活性化を促進する主要トランスデューサーであることは示されている。解決できないERストレス状態は、UPR反応がER恒常性を回復するのに不十分であり、プロアポトーシス経路の誘導を導く場合に生じる。これは、いくつかの要因、例えば遺伝的変異、高グルコースへの慢性的暴露及びUPR自体の調節不全に起因することができる。この状況はまた、より効果的なUPRから利益を受け、これは、tRNAリガーゼ(例えば、HSPC117)及び/又はアーキアーゼを過剰発現することにより達成され得る。実際、Fonsecaなどは、ERストレスの許容状態までの低減、及び/又は死経路を介しての生存性の選択的活性化へのUPRの調節が、糖尿病のための新規で且つ効果的な治療処置を誘導できることを提案している。
実施例12:アーキアーゼ機能をモニターするためのアッセイ及びRNAリカーゼ活性の抑制並びに阻害剤アッセイ
FLAG−RTCB、すなわちヒトtRNAリガーゼの触媒サブユニットのRNA連結活性を、GTP又は非加水分解性GMPcPP(5′−グアニリルメチレンビスホスホネート)の添加を伴って、野生型又は変異体(D39A)アーキアーゼの存在下で決定した。連結は、野生型アーキアーゼと共に、及びGTPの存在下で単に行われる。GMPcPPは、連結反応を強く抑制する。反応は、HEK293細胞から精製されたFLAG−RTCB及びヘキサヒスチジン標識された野生型又は変異体アーキアーゼにより実施された。さらに、GTP又はGMPcPPは、0.5mMの濃度で使用された。放射性標識されたプレ−tRNAに由来する線状イントロンを、T7ポリメラーゼにより転写し、そして基質として作用するメタノカルドコーカス・ジアンナスキ(Methanocaldococcus jannaschii)からの組換えtRNAエンドヌクレアーゼにより切断した。切断生成物を、分取変性ポリアクリルアミドゲル上で分解し、そして線状イントロンを一晩、溶出し、そして沈殿により回収した。図14を参照すると、GTPの存在下でのFLAG−RTCB及び野生アーキアーゼは、線状基質(底から二番目から上部)を、環状生成物(底部)又はコンカテマー(上部)に転換することができ、これはさらに、環状化される(底から三番目から上部)。このタイプのアッセイは、アーキアーゼ又はさらにリガーゼの候補阻害剤を検証するために、又は阻害分子を見出すために化合物ライブラリーをスクリーンするために使用され得る。
実施例13:治療モデルにおけるRTCB(HSPC117)及びアーキアーゼのノックダウン
RTCB及びアーキアーゼの発現を、microRNA−30(Fellmann et al., Mol. Cell 41, 733, 2011)に由来するフランキング配列を用いる、すでに確立されている方法に従って、短ヘアーピンRNA(shRNA)により、HeLa及びH929細胞において低めた。レトロウィルスMSCV−に基づくシステムを用いて、ノックダウン構造体を、図15−17に見られるように、RTCB及び/又はアーキアーゼの低められた発現レベルを導く所望する細胞系において安定して発現した。さらに、この低下は、細胞がツニカマイシンにより24時間にわたって処理される場合、維持され得る。この実験に関しては、細胞を、等密度でプレートし、そして1μg/mlのツニカマイシン(Tm)により処理した。この後、RNAをTrizolを用いて抽出し、そしてcDNAを、Maxima First Strand cDNA Synthesis Kitにより合成した。QPCRを二重反復して実施し、そしてβ−アクチンを標準化のために使用した。発現レベルを、ウミシイタケルシフェラーゼを標的化する類似するshRNA構造体を発現する細胞を制御するために標準化した。
図15は、HeLa細胞におけるRTCB及びアーキアーゼのノックダウンを例示する。RTCB及びアーキアーゼmRNA発現レベルを、shRNAにより、HeLa細胞において、安定したノックダウンに基づいて低めた。対照及びノックダウン細胞の両者において、mRNA発現レベルは、ツニカマイシンによるUPRの誘発に基づいて変化する。しかしながら、低められたmRNA発現レベルが、全実験期間を通して観察される。
デルタ肝炎ウィルス(HDV)の複製がヒトRNAリガーゼの成分、すなわちRTCB/HSPC117及びDDX1の存在に依存することを示されている(Cao et al., RNA. 2009 Nov; 15 (11):1971-9)。ヒト細胞におけるtRNAリガーゼによる干渉(リガーゼ及び/又はアーキアーゼ活性を損なうことにより)は、ウィルスの周期に対して強い効果を有する。ウィルスはまた、折り畳まれていないタンパク質反応の機能的XBP1ブランチ、又はUPRに依存する(Hassan et al., J Biol Chem. 2012 Feb 10;287(7):4679-89)。従って、アーキアーゼ活性を損なうことにより、ウィルス感染された細胞は、アポトーシスを受けやすくなるか、又は損なわれたウィルス成長を導き、そして従ってウィルス感染を治療するための治療的アプローチである。
癌に関しては、多発性骨髄腫細胞は、Xbp1 mRNAの非従来型の細胞質スプライシング(切断及び連結)を通して高レベルの転写因子XBP1を成長するために、慢性的に活性化されたUPRに強く依存することが報告されている。切断はエンドヌクレアーゼIRE1により実行される。rRNAリガーゼ及びアーキアーゼは、XBP1 mRNAスプライシングのために必要とされるリガーゼを一緒に構成する。
IRE1のエンドヌクレアーゼ活性による化合物が開発されているが(Papandreou et al., Blood. 2011 Jan 27;117 (4):1311-4)、しかし限定された抗−骨髄腫活性を単に示している。スプライシング工程のために必要とされる因子としてのtRNAリガーゼ及び特にアーキアーゼの出現は、多発性骨髄腫の治療のための新たな目標を提供する。
図16A及び16Bにおいては、shRNAによりアーキアーゼを特に枯渇されたHeLa細胞を用いて、スプライスされたXbp1(Xbp1 mRNA)のレベルが、ツニカマイシンによるUPRの活発の後、対照細胞に比較して、減じられ得たことが示されている。さらに、全Xbp1 mRNA(スプライスされていない及びスプライスされた)の低められたレベルが、転写因子XBP1が、XPB1の作用により特異的に転写される下流の標的物であるEDEM1 mRNA(図16C)のレベルと同様に、転写因子XBP1が、それ自体の発現を誘発する場合、観察された。
重要なことは、上記記載されるアーキアーゼ抑制システムは、H929多発骨髄腫細胞系においてRTCB及びアーキアーゼの発現を低めることができる(図17)。それらの細胞は、Xbp1 mRNAスプライシングにおいて損なわれるようになり、それらを化学療法剤、例えばボルテゾミブに対して敏感にするはずである。
参考文献:
Cao et al., RNA. 15 (11):1971-9, 2009.
Carrasco et al. Cancer cell 11, 349-360, 2007.
Fellmann et al., Mol. Cell 41, 733, 2011.
Fonseca et al., Trends Endocrinol Metab 22(7): 266-274, 2011
Hassan et al., J Biol Chem. 10;287(7):4679-89, 2012.
Papandreou et al., Blood 117, 1311-1314, 2011.
Popow et al. Science (New York, NY) 331, 760-764, 2011.
Popow et al., Cell Mol Life Sci. DOI: 10.1007/s00018-012-0944-2, 2012.
Walter, P., and Ron, D., Science (New York, NY 334, 1081-1086, 2011.
Yee et al., Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 99, 1825-1830, 2002.

Claims (17)

  1. RNAリガーゼ酵素のリガーゼ活性を増強するための、好ましくはRNAスプライシングのための、アーキアーゼ(Archease)タンパク質の使用。
  2. 第一のRNA末端の第二のRNA末端への転移のための、請求項1に記載の使用。
  3. 前記RNAリガーゼ酵素がHSPC117である、請求項1又は2に記載の使用。
  4. 前記アーキアーゼタンパク質が、配列番号24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、又は44のいずれかのタンパク質である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。
  5. 前記HSPC117分子が、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、13、15、17、19、21、又は23のいずれかの分子である、請求項3又は4に記載の使用。
  6. 少なくとも2つのポリヌクレオチド分子を連結する方法であって、
    RNAリガーゼと請求項1〜5のいずれか1項に記載のアーキアーゼタンパク質を使用する工程、好ましくは少なくとも2つのポリヌクレオチド分子をRNAリガーゼ及びアーキアーゼタンパク質と細胞中で接触させる工程、又は好ましくは少なくとも2つのポリヌクレオチド分子をRNAリガーゼ及びアーキアーゼタンパク質とインビトロ(in vitro)で接触させる工程、
    を含む、方法。
  7. 前記ポリヌクレオチド分子がRNA分子である、請求項6に記載の方法。
  8. ポリヌクレオチド連結を増強すること又はアーキアーゼ活性を測定することに適したキットであって、
    アーキアーゼ分子、緩衝剤成分を含むRNAリガーゼ反応緩衝剤、及び最終濃度範囲約0.1-20 mM、好ましくは1-10 mM、特に好ましくは2-5 mMでの使用のためのMg2+、Mn2+、Ni2+又はこれらの混合物から選択される1又は2以上の金属イオンを含み、任意に2',3'-環状リン酸基をさらに有するRNA分子、好ましくは標識をさらに有するRNA分子をさらに含み、好ましくはRNAリガーゼ酵素をさらに含むキット;或いは
    アーキアーゼ分子及びGTPを含み、好ましくは標識をさらに有するキットであって、
    好ましくはRNAリガーゼ酵素をさらに含む、キット。
  9. 外因的に発現され、好ましくは誘導性プロモーターを有するアーキアーゼタンパク質、及び外因的に発現され、好ましくは誘導性プロモーターを有するRNAリガーゼ酵素、を含むトランスジェニック細胞。
  10. アーキアーゼノックアウト細胞又は内因性アーキアーゼ発現が低下又は抑制された細胞、好ましくはRNAリガーゼ発現、好ましくはHSPC117発現がさらに低下又は抑制された、アーキアーゼノックアウト細胞又は内因性アーキアーゼ発現が低下又は抑制された細胞。
  11. 細胞中でアーキアーゼを、好ましくはノックアウト又はRNAiによって抑制する工程を含む、細胞中でRNAリガーゼ活性を低下する方法。
  12. 前記抑制が、アーキアーゼ、好ましくは内因性アーキアーゼの、細胞中の発現の減少による、請求項11に記載の方法。
  13. 前記細胞中の、折り畳まれていないタンパク質の反応を減少するための、請求項11又は12に記載の方法の使用。
  14. 前記細胞中のストレスを誘発する工程をさらに含み、折り畳まれていないタンパク質が細胞中に蓄積し、好ましくは細胞中のアポトーシスを誘発するための、請求項11又は12に記載の方法又は請求項13に記載の使用。
  15. 折り畳まれていないタンパク質の蓄積による細胞中のアポトーシスを防止する方法であって、アーキアーゼタンパク質の量又は発現レベルを細胞中で増大し、細胞中の折り畳まれていないタンパク質の反応が増大する工程、を含む方法。
  16. 腫瘍細胞成長を減少する方法、或いは宿主ポリメラーゼに依存的な疾患又は感染症、例えば、デルタ肝炎ウイルス感染症、又はXBP1に依存的な疾患又は感染症、例えばT細胞白血病ウイルス若しくはカポジ肉腫関連ヘルペスウイルス若しくはエプスタインバーウイルスに依存的な疾患又は感染症の治療における方法であって、アーキアーゼ阻害剤を細胞へ、好ましくはRNAリガーゼ阻害剤と組み合わせて投与する工程を含む方法;或いは、
    機能障害性tRNAスプライシング、好ましくは橋小脳形成不全症と関係がある、又は機能障害性UPR、例えば2型糖尿病と関係がある対象において疾患を治療する方法であって、アーキアーゼ分子を対象へ、好ましくはRNAリガーゼと組み合わせて投与する工程を含む、方法。
  17. アーキアーゼ、又は複合型アーキアーゼ-RNAリガーゼ阻害剤を得る方法であって、a)アーキアーゼを候補阻害剤と接触させること、又は
    b)アーキアーゼとRNAリガーゼ、好ましくはHSPC117との組み合わせを、候補阻害剤と接触させることを含み、
    i)アーキアーゼ又は複合型アーキアーゼ-RNAリガーゼのアーキアーゼと接触したRNAリガーゼの活性を測定する工程であって、RNAリガーゼの活性が、阻害剤と接触させることを含まない方法と比較して減少される場合に阻害剤が得られる;又は
    ii)アーキアーゼによるRNAリガーゼのグアニル化を測定する工程であって、アーキアーゼのグアニル化活性が、阻害剤と接触させることを含まない方法と比較して減少される場合に阻害剤が得られる、方法。
JP2015507498A 2012-04-23 2013-04-23 Rnaリガーゼ複合体メンバーとしてのアーキアーゼ Pending JP2015515485A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP12165153.3 2012-04-23
EP12165153 2012-04-23
PCT/EP2013/058374 WO2013160291A2 (en) 2012-04-23 2013-04-23 Archease as rna ligase complex member

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2015515485A true JP2015515485A (ja) 2015-05-28

Family

ID=48227218

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015507498A Pending JP2015515485A (ja) 2012-04-23 2013-04-23 Rnaリガーゼ複合体メンバーとしてのアーキアーゼ

Country Status (5)

Country Link
US (1) US9296994B2 (ja)
EP (1) EP2841449B1 (ja)
JP (1) JP2015515485A (ja)
CA (1) CA2867085A1 (ja)
WO (1) WO2013160291A2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2423304A1 (en) * 2010-08-30 2012-02-29 IMBA-Institut für Molekulare Biotechnologie GmbH Use of a RNA ligase
US20130203635A1 (en) * 2012-02-06 2013-08-08 Ronald T. Raines Nucleic acid ligation method
CN106589104B (zh) * 2016-12-25 2020-12-22 复旦大学 人源分子伴侣样蛋白及其表达纯化、晶体结构和应用

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63154696A (ja) * 1986-12-01 1988-06-27 シンジェン,インコーポレイテッド 生体試料から核酸を単離し精製する方法

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
IL151781A0 (en) 2000-03-16 2003-04-10 Genetica Inc Methods and compositions for rna interference
US20020173478A1 (en) 2000-11-14 2002-11-21 The Trustees Of The University Of Pennsylvania Post-transcriptional gene silencing by RNAi in mammalian cells
EP1613160A4 (en) 2003-03-27 2008-01-02 Ptc Therapeutics Inc VIEWING ENZYMES OF THE TRNA-SPLICE PATH TO IDENTIFY ANTIFUNGAL AND / OR PROLIFERATION-INHIBITING MOLECULES
JP2008531019A (ja) 2005-02-25 2008-08-14 ザ・ボード・オブ・トラスティーズ・オブ・ザ・ユニバーシティー・オブ・アラバマ・フォー・アンド・オン・ビハーフ・オブ・ザ・ユニバーシティー・オブ・アラバマ タンパク質のミスフォールディングおよび凝集の制御因子ならびにその制御因子の使用の方法
AU2007220040A1 (en) 2006-02-27 2007-09-07 The Board Of Trustees Of The Leland Stanford Junior University Methods to identify inhibitors of the unfolded protein response
ES2569660T3 (es) 2007-06-08 2016-05-12 Mannkind Corporation Inhibidores de la IRE-1alfa
EP2423304A1 (en) 2010-08-30 2012-02-29 IMBA-Institut für Molekulare Biotechnologie GmbH Use of a RNA ligase
US20130203635A1 (en) * 2012-02-06 2013-08-08 Ronald T. Raines Nucleic acid ligation method

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63154696A (ja) * 1986-12-01 1988-06-27 シンジェン,インコーポレイテッド 生体試料から核酸を単離し精製する方法

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY, 2007, VOL.282, NO. 26, P.18711-18721, JPN6016047742, ISSN: 0003458532 *

Also Published As

Publication number Publication date
WO2013160291A2 (en) 2013-10-31
EP2841449B1 (en) 2016-12-28
CA2867085A1 (en) 2013-10-31
EP2841449A2 (en) 2015-03-04
US20130280763A1 (en) 2013-10-24
WO2013160291A3 (en) 2013-12-19
US9296994B2 (en) 2016-03-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Esvald et al. CREB family transcription factors are major mediators of BDNF transcriptional autoregulation in cortical neurons
Hrdinka et al. CYLD limits Lys63-and Met1-linked ubiquitin at receptor complexes to regulate innate immune signaling
Chen et al. CDKL5, a protein associated with rett syndrome, regulates neuronal morphogenesis via Rac1 signaling
Borgo et al. How can a traffic light properly work if it is always green? The paradox of CK2 signaling
Ma et al. Inhibition of ANXA7 GTPase activity by a small molecule promotes HMBOX1 translation of vascular endothelial cells in vitro and in vivo
US20210180023A1 (en) Cardiac repair by reprogramming of adult cardiac fibroblasts into cardiomyocytes
Wan et al. Reticulon 3 mediates Bcl-2 accumulation in mitochondria in response to endoplasmic reticulum stress
Yan et al. A cleaved METTL3 potentiates the METTL3–WTAP interaction and breast cancer progression
US9296994B2 (en) Archease as RNA ligaes complex member
Wang et al. Long non-coding RNA TTTY15 sponges miR-520a-3p to exacerbate neural apoptosis induced by cerebral ischemia/reperfusion via targeting IRF9 both in vivo and in vitro
US9766241B2 (en) PGC-1beta-protein-function regulator, mitochondria-function regulator, anti-obesity agent, and screening method therefor
Timani et al. Tip110/SART3-mediated regulation of NF-κB activity by targeting IκBα stability through USP15
KR102145491B1 (ko) Set7 매개 uhrf1 메틸화를 통한 dna 손상 복구 조절 용도
Sun et al. MicroRNA‑126 protects SH‑SY5Y cells from ischemia/reperfusion injury‑induced apoptosis by inhibiting RAB3IP
US20160031955A1 (en) Methods for Treating Mitochondrial Disorders and Neurodegenerative Disorders
WO2007072645A1 (ja) 細胞の大きさおよび/または細胞周期を調節する方法
Wang et al. LUZP1 regulates the assembly of stress fibers by promoting maturation of contractile actomyosin bundles
Wang et al. LncRNA-GM Facilitates Antiviral Innate Immunity by Binding GSTM1 to Reduce S-Glutathionylation and Enhance Activity of TBK1
US20220233571A1 (en) Expression regulator of p2x7 receptor
WO2016128744A1 (en) Senescence
Evagelou Investigating the role of DDX28 as a novel regulator of the hypoxic cap dependent translation initiation complex
WO2022104141A1 (en) B-spectrin (sptbn1) deficiency protects mice from high-fat diet-induced liver disease and cancer development
Pozzi Treatment of Dexamethasone in AT patients derived cell lines: investigation of the drug effects in different ATM signalling pathways.
mRNA Inhibits Eimile Oakes1, Ashley Anderson2, Aaron Cohen-Gadol3, Heather A. Hundley2
Hoang Molecular Basis of Angiogenesis and Neuroprotection by Angiogenin

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160329

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20161213

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20170718