JP2015205419A - ヒートシーラー及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】シールヘッドとヒーターとの絶縁性を確保しつつ、ヒーターの熱膨張による摩耗を抑制するヒートシーラーを提供する。【解決手段】シールヘッド11と、このシールヘッド11上に支持され、電流の通電により発熱する薄板状のヒーター13と、を備える。発熱したヒーター13によるプレスにより、フィルム外装電池の外装体の周縁部を溶融することで溶着を行う。シールヘッド11が金属製であり、ヒーター13の周囲に、外装体の周縁部に接する表面17と、シールヘッド11と接する裏面18と、を含めて、フッ素樹脂によりコーティングされたコーティング層16を全面にわたって形成する。【選択図】図5
Description
本発明は、フィルム外装電池の外装体の周縁部の熱溶着に用いられるヒートシーラーの改良に関する。
熱可塑性樹脂を用いた対象物を熱溶着する装置として、薄板帯状のリボン式のヒーターを用い、短時間に大電流を流してヒーターを瞬間的に加熱して対象物を溶融し、断電して冷却して固める、いわゆるインパルス式のヒートシーラーが知られている。
特許文献1には、ヒーターの表面にテフロン(登録商標)等のフッ素樹脂を溶射して表面加工することにより、テフロンテープを介在させた熱溶着を不要とし、かつ、ヒーターの両側面を折り曲げ加工することによって、加熱時の反りを防止する技術が開示されている。
このようなヒートシーラーによって、ラミネートフィルム等の熱可塑性樹脂を外装体とするフィルム外装電池における外装体の周縁部を熱溶着する場合に、以下のような問題がある。フィルム外装電池は、外装体の周縁部から電極端子を導出させた構造となっているために、この電極端子が導出された辺部を熱溶着により封止する場合、端子のある部分と無い部分とで数μm程度の段差が生じるために、ヒートシーラー側にも同様の段差を設ける必要がある。このために、ヒーターを支持するシールヘッドには高い精度が要求され、強度・剛性に優れた金属製とすることが望ましい。
しかしながら、このように金属製のシールヘッドを用いた場合、このシールヘッドと接するヒーターの裏面との間で絶縁性を確保する必要がある。上記の特許文献1では、離型性を向上するために、対象物と接するヒーターの表面側にはフッ素樹脂による表面加工を施しているものの、シールヘッド(ホルダ)と接する裏面側には表面加工が施されておらず、金属製のシールヘッドを用いた場合にはヒーターとの間で絶縁性を確保できない、という問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、金属製のシールヘッドとヒーターとの間の絶縁性を確保しつつ、ヒーターの熱膨張によるシールヘッドとの摩耗をも抑制し得る新規なヒートシーラー及びその製造方法を提供することを目的としている。
本発明に係るヒートシーラーは、ラミネートフィルム等の外装体の内部に発電要素が電解液とともに封入され、この外装体の周縁部より端子が導出されるフィルム外装電池の外装体の周縁部を溶着するものである。このヒートシーラーは、シールヘッドと、このシールヘッド上に支持され、電流の通電により発熱する薄板状のヒーターと、を備え、発熱した上記ヒーターによるプレスにより上記外装体の周縁部を溶融することで溶着を行う。
そして、上記シールヘッドが金属製であり、上記ヒーターの周囲には、上記外装体の周縁部に接する表面と、上記シールヘッドと接する裏面と、を含めて、フッ素樹脂によりコーティングされたコーティング層が形成されている。
本発明によれば、ヒーターの周囲のうち、外装体の周縁部に接する表面側だけでなく、シールヘッドと接する裏面側にもフッ素樹脂のコーティングによるコーティング層を設けたので、ヒーターの裏面側のコーティング層によって、シールヘッドとの間の絶縁性を確保しつつ、ヒーターの熱膨張に起因するシールヘッドとの摩耗をも抑制し、ヒーターの耐久性及び寿命を向上することができる。しかも、このヒーターの裏面側のコーティング層は表層側と同様のコーティング処理により形成することができ、作業工数を抑制し、生産効率を向上することができる。
以下、図示実施例により本発明を説明する。先ず、図1及び図2を参照して、本実施例に係るヒートシーラー10(10A)による製造の対象となる対象物として、ラミネート型リチウムイオン二次電池であるフィルム外装電池1(以下、単に「電池」という。)の概略構造を示している。この電池1は、例えば電気自動車用のリチウムイオンバッテリの単位セルまたは単電池として用いられる。
図1及び図2に示すように、電池1は、正極側の電極端子としてのリード端子(正極端子部)2と負極側の電極端子としてのリード端子(負極端子部)3とが外部に導出された状態で、熱可塑性を有する上下二枚のラミネートフィルム4a,4bからなる矩形状の外装体4によって収納・密閉されている。外装体4の内部には、発電要素である電極としての正極及び負極と、それら両者の間に介在するセパレータと、を複数組積層してなる積層体5が電解液とともに収容されていて、外装体4の周縁部である4辺の熱溶着部6により気密に封止または封口処理が施されている。
すなわち、図1,図2に示した電池1にあっては、電極である正極や負極、セパレータおよび電解液を含む電池要素を外装体4で包囲し、正極および負極の各集電体に電気的に接続されたそれぞれのリード端子2,3を外装体4の外部に導出させた上で、外装体4の周縁部を熱溶着により例えば矩形袋状に封止または封口処理を施すことで、電池1としての気密性を確保してある。なお、外装体4を形成している上下二枚のラミネートフィルム4a,4bとしては、例えばアルミニウム箔の表裏両面を熱溶着性樹脂フィルムで被覆した複合構造のものが使用される。
そして、矩形状の外装体4のうち、共通の一辺部から正極側のリード端子2と負極側のリード端子3とが共に外部に導出されている。双方のリード端子2,3は電極タブと称されることもある。正極側のリード端子2としては、例えばアルミニウム製のものが使用され、負極側のリード端子3としては、例えば銅製のものが使用される。また、双方のリード端子2,3は予め所定の表面処理が施された上で、熱溶着性および絶縁性のある樹脂層(図示省略)で被覆されている。なお、リード端子2,3の導出形態としてはこれに限らず、例えば対向する一対の辺部のそれぞれからリード端子2とリード端子3をそれぞれ導出する構成としても良い。
矩形状の外装体4における四辺の熱溶着は、本実施例に係るヒートシーラー10,10Aにより例えば数工程に分けて行われる。熱溶着時における図1のA−A線に沿う拡大断面図を図3に、B−B線に沿う拡大断面図を図4に示している。
図3,図4に示すように、図2の積層体5の一部を形成している複数枚の正極8の延長部同士を重ね合わせた上で、当該重合部8aを正極側のリード端子2に溶接にて接続してある。なお、この構造は負極とその負極側のリード端子3との関係についても基本的に同様であり、これらの構造は図3では図示省略している。
図4に示すように、ヒートシーラー10,10Aは、互いに接近離間可能に対向配置された下側のヒートシーラー10と上側のヒートシーラー10Aと、を有している。双方のヒートシーラー10,10Aは、熱溶着を司る部分が平面視では外装体4の熱溶着部6(図1参照)の長手方向に延び、かつ、幅寸法が外装体4の熱溶着部6の幅寸法よりもわずかに大きい寸法に設定されている。
そして、図2の積層体5を包囲する外装体4となるべき上下二枚のラミネートフィルム4a,4bを図示外の支持部材で支えた状態で、上下のヒートシーラー10,10Aを接近動作させて、上下二枚のラミネートフィルム4a,4bを上下から加圧拘束することで熱溶着部6を熱溶着し、外装体4として仕上げられることになる。
なお、外装体4のうち、上下二枚のラミネートフィルム4a,4b同士が直接熱溶着される部分と、上下二枚のラミネートフィルム4a,4b同士の間に正極側のリード端子2が介在していてそれらのラミネートフィルム4a,4bと正極側のリード端子2とが熱溶着される部分とでは、必然的に厚みが異なるため、両者の境界部分では段差の発生が不可避となる。この段差に対応するために、図示していないが、ラミネートフィルム4a,4bとの接触面となるプレス面も所定の段差を有したものとなっている。
熱溶着の際には、上下のヒートシーラー10,10Aが相互に離間している状態で、図2の積層体5を包囲する外装体4となるべき上下二枚のラミネートフィルム4a,4bを図示外の支持部材で支えて、これらのラミネートフィルム4a,4bの熱溶着部6を上下のヒートシーラー10,10Aの間に配置・位置決めし、両者を接近動作させて、上下二枚のラミネートフィルム4a,4bを上下から加圧拘束する。そして、この加圧拘束状態のままでそれぞれのヒーター13にインパルス通電して熱溶着を施す。なお、従来のいわゆる熱板方式のヒーターでは溶着完了までに13秒程度を要するのに対して、上記のようなインパルス方式のヒーター13では4秒程度で熱溶着が完了する。なお、通電完了後も所定時間だけ加圧状態のままとして冷却させることになる。
次に、ヒートシーラーの具体的な構造について、図3〜図6に示す下側のヒートシーラー10を用いて詳細に説明する。なお、上側のヒートシーラー10Aは下側のヒートシーラー10と上下を反転させただけで同じ構造のものであり、ここでは説明を省略する。
ここで本明細書では、シールヘッドやヒーターの相対的な位置関係を説明するために、便宜上、シールヘッドを下、ヒーターを上に配置したものとして説明しているが、実際の使用形態におけるシールヘッドやヒーターの鉛直方向の位置を意味するものではない。例えば上側のヒートシーラー10Aの場合、使用形態ではシールヘッド11が鉛直上側、ヒーター13が鉛直下側に配置されることとなる。
各ヒートシーラー10は、シールヘッド11と、このシールヘッド11上に固定支持され、上面に対象物としての外装体4の熱溶着部6と接触・押圧し、電流の通電により発熱して熱溶着部6を加温する薄板状のヒーター13と、を備えている。
ヒーター13は、インバー材のような熱膨張率が例えば1.2×10−6程度の極めて低い材質を使用しており、内部に鉄クロム等のヒーター線を均一に組み込んだリボン状の薄板帯状をなすインパルス式のヒーターである。なお、図3〜図5では、分かり易くするために、ヒーター13をある程度厚さのあるものとして描いているが、実際には厚さが1mm以下の極めて薄いものである。
このシールヘッド11は金属材料により形成されており、その材質には、銅,アルミ合金,ステンレス等を用いることができるが、好ましくは熱伝導率が低く、言い換えると蓄熱性が高く、かつ熱膨張率が低い炭素鋼(S45C)やステンレス鋼(SUS)、より好ましくは剛性に優れたステンレス鋼が用いられる。
シールヘッド11は、金属材料により形成されており、その材質には、銅,アルミ合金,ステンレス等の金属材料を用いることができ、好ましくは熱伝導率が低く、言い換えると蓄熱性が高く、かつ熱膨張率が低い炭素鋼(S45C)やステンレス鋼(SUS)が用いられる。
図5に示すように、シールヘッド11の上面の両縁部には、対象物としての外装体4の表面を傷つけることのないように、所定の曲率半径を有する面取り部14が形成されている。
そして、ヒーター13の表面には、その全面にわたって、コーティング層16がコーティング処理により形成されている。つまり、ヒーター13の熱溶着側の表面17(上面)と、シールヘッド11側の裏面18(下面)と、これら表面17と裏面18とを繋ぐ四方の側面19と、を含めた全面の周囲をコーティング層16により完全に覆う形となっている。
これらのコーティング層16の材質は、摩擦係数が低いものが好ましく、典型的には、テフロン(登録商標)とも呼ばれるPFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル重合体)に代表されるフッ素樹脂のように、摩擦係数が0.05〜0.15の絶縁性の合成樹脂材料が用いられる。
また、シールヘッド11に比して熱溶着部6の側に効率良く熱が伝わるように、図5にも示すように、コーティング層16の表面17と裏面18のうち、裏面18の厚さD2が表面17の厚さD1よりも厚く設定されている(D2>D1)。一例として、裏面18の厚さが表面17の厚さの2倍以上に設定されている。
以上のように本実施例では、ヒーター13の裏面18側にもフッ素樹脂等のコーティング層16を設けたために、金属製のシールヘッド11とヒーター13の間を確実に絶縁して、シールヘッド11側に誤って通電することを防ぎ、確実にヒーター13を昇温させることができる。
ここで、コーティング層16は、摩擦係数が0.05〜0.15と低い材質のものが用いられている。このために、通電の切換にともなうヒーター13の膨張・収縮の際に、シールヘッド11との摺動による擦れを抑制することができる。これにより、ヒーター13の耐久性・信頼性及び寿命を向上することができる。
また、ヒーター13の表面17の側にもコーティング層16が設けられているために、溶着時の熱溶着部6の貼り付きを防止することができる。
更に、ヒーター13の側面19にもコーティング層16が設けられているために、側面19が部分的に高温となることを防ぎ、温度をワークに均一に伝えることにより、安定した品質の溶着を行うことが可能となる。また、コーティングの際にマスキング処理が不要となるために、作業効率にも優れている。
加えて、コーティング層16のフッ素樹脂系材料のコーティングでは、裏面18の厚さD2を表面17の厚さD1よりも厚くすることによって、裏面18側の熱伝導率を低く設定してある。これによって、被溶着物であるラミネートフィルム4a,4bに速やかに熱を伝導させることができ、またシールヘッド11への熱伝導を抑制して、エネルギー効率を向上することができる。
但し、熱伝導率を異ならせる手法としては、上記実施例のようにコーティング層16の膜厚を変える手法に限らず、例えばコーティング層16の表面17と裏面18とで熱伝導率の異なる材質を用い、つまり表面17よりも裏面18に熱伝導率の高い材質を用いるものであっても良く、更に、両者を組み合わせて用いるようにしても良い。
ヒーター13には、インバー材のような熱膨張率が1.2×10−6程度と低い材質を使用している。これによって、熱膨張を抑制し、擦れによる摩耗をより確実に抑制することができる。また、熱膨張が少ないことから、ヒーター13自身の反りや変形を抑制することができる。
このようにヒーター13自身の変形を抑制できることから、図5に示すように、ヒーター13は、幅方向の断面形状が直線状の平坦部20のみにより構成され、つまり折れ曲げ部分のないシンプルな薄板形状をなしている。これによって、ヒーター13の部分的な温度変化を抑制して、熱をワークに均一に伝えることができ、安定した品質の溶着が可能となる。
図6は、ヒーター13に対するコーティング層16のコーティング工程の一例を示している。まず脱脂工程(A)では、コーティング層16が設けられていないヒーターであるヒーター基材22をケース21内に載置し、このヒーター基材22に付着している油脂などを、洗浄剤を使用、あるいは空焼き行うことによって取り除く。
次に、下地処理工程(B)では、ヒーター基材22との密着性を高めるために、サンドペーパー23を用いてヒーター基材22の表面を研磨して、このヒーター基材22の表面を意図的に粗くする。
次にコーティング工程(C)では、スプレー24を用いたエアスプレー方式あるいは静電粉体スプレー方式等によって、ヒーター基材22の表面にフッ素樹脂のコーティング材を吹き付けて、コーティング層16(図5等参照)を形成する。また、必要に応じて、プライマー及びトップコートをそれぞれコーティングする。
続く乾燥・焼成工程(D)では、焼成炉25内にコーティング層16が形成されたヒーター13を配置し、この焼成炉25内で乾燥・焼成を行う。
このように、サンドペーパー23でヒーター13の表面処理をした後にフッ素樹脂等のコーティング層16を形成する手法を採用しているため、溶射による下地処理が不要となり、コーティング層16の膜厚を十分に薄くすることができる。また、ワークとしての熱溶着部6への入力が少ないことから、例えば0.2mm以下の極めて薄いヒーター13にもコーティング層16を良好に形成することが可能となる。
以上のように本発明を具体的な実施例に基づいて説明してきたが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、種々の変形・変更を含むものである。例えば、上記実施例では、同じ構造の上下一対のヒートシーラーに本発明を適用しているが、上下のヒートシーラーを異なる構造のものとし、一方のヒートシーラーにのみ本発明を適用することもできる。
1…フィルム外装電池(対象物)
4…外装体
6…熱溶着部
10…ヒートシーラー
11…シールヘッド
13…ヒーター
16…コーティング層
17…表面
18…裏面
4…外装体
6…熱溶着部
10…ヒートシーラー
11…シールヘッド
13…ヒーター
16…コーティング層
17…表面
18…裏面
Claims (5)
- 外装体の内部に発電要素が電解液とともに封入され、この外装体の周縁部より端子が導出されるフィルム外装電池の外装体の周縁部を溶着するヒートシーラーであって、
シールヘッドと、
このシールヘッド上に支持され、電流の通電により発熱する薄板状のヒーターと、を備え、
発熱した上記ヒーターによるプレスにより上記外装体の周縁部を溶融することで溶着を行うヒートシーラーにおいて、
上記シールヘッドが金属製であり、
かつ、上記ヒーターの周囲には、上記外装体の周縁部に接する表面と、上記シールヘッドと接する裏面と、を含めて、フッ素樹脂によりコーティングされたコーティング層が形成されていることを特徴とするヒートシーラー。 - 上記コーティング層は、上記裏面側が上記表面側よりも厚いことを特徴とする請求項1に記載のヒートシーラー。
- 上記ヒーターにインバー材を用いたことを特徴とする請求項1又は2に記載のヒートシーラー。
- 上記ヒーターは、断面形状が直線状の平坦部のみにより構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のヒートシーラー。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のヒートシーラーの製造方法であって、
上記ヒーターは、サンドペーパーで表面処理をした後に、フッ素樹脂をコーティングすることを特徴とするヒートシーラーの製造方法。
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JP2014085963A JP2015205419A (ja) | 2014-04-18 | 2014-04-18 | ヒートシーラー及びその製造方法 |
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CN113964389A (zh) * | 2021-09-15 | 2022-01-21 | 捷威动力工业嘉兴有限公司 | 一种新型电池封装装置 |
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