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JP2015139845A - ドリルおよびそれを用いた切削加工物の製造方法 - Google Patents

ドリルおよびそれを用いた切削加工物の製造方法 Download PDF

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JP2015139845A JP2014014022A JP2014014022A JP2015139845A JP 2015139845 A JP2015139845 A JP 2015139845A JP 2014014022 A JP2014014022 A JP 2014014022A JP 2014014022 A JP2014014022 A JP 2014014022A JP 2015139845 A JP2015139845 A JP 2015139845A
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Abstract

【課題】ドリルの心厚が大きくなった場合においては切屑を安定して排出することが困難であった。【解決手段】一態様のドリルは、回転軸を有するドリル本体と、ドリル本体の先端部に位置する一対の主切刃と、一対の主切刃から回転軸に向かってそれぞれ延びる直線形状の一対のシンニング刃と、回転軸と交差するとともに一対のシンニング刃を接続するチゼルエッジと、一対のシンニング刃からドリル本体の後端側に向かってそれぞれ延びる平坦な第1のすくい面と、一対の主切刃からドリル本体の後端側に向かってそれぞれ延びる第2のすくい面と、第2のすくい面からドリル本体の後端部へ向かってそれぞれ延びる一対の切屑排出溝とを備え、第1のすくい面と第2のすくい面との稜線が、ドリル本体の先端側から後端側に向かうにつれて内周側から外周側に向かうように傾斜している。【選択図】図2

Description

本発明は、切削加工に用いられるドリルおよび切削加工物の製造方法に関する。
従来、金属部材などの被削材の切削加工に用いられるドリルとして、特許文献1に記載のドリルが知られている。特許文献1に記載のドリルは、ドリル本体の先端に形成された切刃およびシンニング切刃部と、ドリル本体の外周において先端側から後端側に向けて延びる螺旋形状の切屑排出溝とを備えている。特許文献1に記載のドリルにおいては、切屑排出溝における回転方向の後方側を向く内壁面の面積を大きくしている。これにより、シンニング切刃部で生成される切屑と切刃で生成された切屑とを分断することが可能となり、切刃で生成される切屑が安定してカールすることになる。
特開2005−169528号公報
近年、ドリルの強度を高めるためドリルの心厚を大きくすることが求められている。特に、ドリル本体の先端部分を交換することが可能な構成のドリルにおいては、先端部分とボディー部分とを連結するためにドリルの心厚をより大きくすることが求められている。しかしながら、このようにドリルの心厚が大きくなった場合には、シンニング刃およびチゼルエッジによって構成されるシンニング切刃部の長さが非常に長くなるため、シンニング切刃部で生成される切屑による影響が大きくなる。具体的には、シンニング切刃部が長くなることによって切屑のカールのピッチが大きくなるため、排出方向がコントロールしにくくなる。結果として、切屑の詰まりが生じる、あるいは、延びた切屑がホルダに絡まるといった課題が生じる。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、ドリルの心厚が大きくなった場合であっても切屑を安定して排出することが可能なドリルを提供することを目的とする。
本発明の一態様に基づくドリルは、回転軸の周りに回転される棒状のドリル本体と、該ドリル本体の先端部に位置する一対の主切刃と、前記先端部に位置しており、前記回転軸に直交する方向からの側面視において、前記一対の主切刃から前記回転軸に向かってそれぞれ延びる直線形状の一対のシンニング刃と、前記先端部に位置しており、前記回転軸に沿った方向からの先端視において、前記回転軸と交差するとともに前記一対のシンニング刃を接続するチゼルエッジと、前記一対のシンニング刃から前記ドリル本体の後端側に向かってそれぞれ延び、内周側から外周側に向かうにつれて回転方向の後方に向かって傾斜する平坦な第1のすくい面と、前記一対の主切刃から前記ドリル本体の後端側に向かってそれぞれ延び、前記第1のすくい面に対して回転方向の後方に向かって傾斜する一対の第2のすくい面と、前記ドリル本体の外周に設けられた、前記第2のすくい面から前記ドリル本体の後端部へ向かって前記回転軸の周りに螺旋状に延びている一対の切屑排出溝とを備えている。そして、前記第1のすくい面と前記第2のすくい面との稜線が、前記ドリル本体の先端側から後端側に向かうにつれて内周側から外周側に向かうように傾斜している。
チゼルエッジで生成される切屑と一対の主切刃で生成される切屑とは、形状が異なることから、これらの切屑の間に位置する一対のシンニング刃で生成される切屑には、チゼルエッジで生成される切屑および一対の主切刃で生成される切屑に引っ張られる力が加わる。しかしながら、第1のすくい面が平坦な面形状であることから、一対のシンニング刃で生成される切屑に亀裂が生じる可能性が低減される。
そして、上記態様のドリルにおいては、一対のシンニング刃に連続する第1のすくい面が、内周側から外周側に向かうにつれて回転方向の後方に向かって傾斜している。このようにチゼルエッジおよび一対のシンニング刃で生成される切屑が第2のすくい面の後端側に位置する切屑排出溝へと流れ易くなっている。
このとき、第1のすくい面と第2のすくい面との稜線が、ドリル本体の先端側から後端側に向かうにつれて内周側から外周側に向かうように傾斜している。そのため、チゼルエッジおよび一対のシンニング刃で生成され、ドリル本体の先端側から後端側に向かうにつれて内周側から外周側に向かうように進行する切屑を第2のすくい面の後端側に位置する切屑排出溝へと安定して誘導することができる。以上のことから、ドリルの心厚が大きくなった場合であっても切屑を安定して排出することが可能となる。
本発明の一実施形態のドリルを示す斜視図である。 図1に示すドリルにおける先端部分を拡大した斜視図である。 図1に示すドリルにおける先端方向からの正面図である。 図3に示すドリルの構成を簡略化した概念図である。 図3に示すドリルにおけるA1方向からの側面図である。 図5に示すドリルにおける領域A3を拡大した側面図である。 図3に示すドリルにおけるA2方向からの側面図である。 図3に示すドリルにおけるD1−D1断面の断面図である。 図3に示すドリルにおけるD2−D2断面の断面図である。 図3に示すドリルにおけるD3−D3断面の断面図である。 本発明の一実施形態の切削加工物の製造方法の一工程を示す斜視図である。 本発明の一実施形態の切削加工物の製造方法の一工程を示す斜視図である。 本発明の一実施形態の切削加工物の製造方法の一工程を示す斜視図である。
以下、本発明の一実施形態のドリル1について、図面を用いて詳細に説明する。但し、以下で参照する各図は、説明の便宜上、実施形態の構成部材のうち、本発明を説明するために必要な主要部材のみを簡略化して示したものである。従って、本発明のドリルは、本明細書が参照する各図に示されていない任意の構成部材を備え得る。また、各図中の部材の寸法は、実際の構成部材の寸法および各部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
<ドリル>
本実施形態のドリル1は、図1〜10に示すように、ドリル本体3(以下、単に本体3ともいう)と、一対の主切刃5と、一対のシンニング刃7と、チゼルエッジ9と、第1のすくい面11と、第2のすくい面13と、切屑排出溝15(以下、単に排出溝15ともいう)とを備えている。
本体3は、回転軸(回転中心軸)Xを有しており、この回転軸Xに沿って延びた棒状の構成となっている。本体3は切削加工時において回転軸Xを中心に回転軸Xの周りで矢印Y1の方向に回転する。本実施形態における本体3は、工作機械(不図示)の回転するスピンドル等で把持される、シャンクと呼ばれる把持部17と、この把持部17の先端側に位置する、ボデーと呼ばれる切削部19と、を備えている。把持部17は、工作機械におけるスピンドル等の形状に応じて設計される部位である。切削部19は、被削材と接触する部位であり、被削材の切削加工において主たる役割を有する部位である。
また、本実施形態における切削部19は、一対の主切刃5、一対のシンニング刃7、チゼルエッジ9、第1のすくい面11および第2のすくい面13を含む先端側の部位が後端側の部位に対して着脱可能な構成となっている。当然ながら、切削部19が上記の構成ではなく一の部材からなる構成であっても何ら問題ない。
本実施形態における切削部19は、回転軸Xに沿って延びる円柱から排出溝15に該当する部分を除いた形状となっている。切削部19の外周における排出溝15を除く部分、すなわち、一対の排出溝15の間に位置する部分は、ランド面21となっている。本実施形態におけるランド面21は、排出溝15に対して回転軸Xの回転方向の後方において隣接するマージン21aと、このマージン21aに対して回転軸Xの回転方向の後方において隣接する二番取り面21bとを有している。
回転軸Xを含み、回転軸Xに直交する断面において、マージン21aは、同一円上に位置する円弧形状となっている。この同一円の直径が切削部19の外径に対応する。二番取り面21bは、切削加工中にドリル1の外周と工作面との摩擦を避けるために隙間を付けた面である。そのため、二番取り面21bは、マージン21aよりも回転軸Xからの距離が短くなっている。
本実施形態のドリル1は、例えば、切削部19の外径が6.0mm〜42.5mmに設定される。また、本実施形態のドリル1は、例えば、軸線の長さ(切削部19の長さ)をLとし、径(切削部19の外径)をDとするとき、L=3D〜12Dに設定される。
本体3の材質としては、WC(タングステンカーバイド)を含有し、バインダとしてCo(コバルト)を含有する超硬合金、この超硬合金にTiC(チタンカーバイド)またはTaC(タンタルカーバイド)のような添加物を含んだ合金、ステンレスおよびチタンのような金属などが挙げられる。
ドリル1は、被削材を切削する切刃を本体3の先端部に備えており、本実施形態においては、図2,3に示すように、切刃として一対の主切刃5、一対のシンニング刃7およびチゼルエッジ9を備えている。一対の主切刃5、一対のシンニング刃7およびチゼルエッジ9は、本体3の先端部、すなわち切削部19の先端部分に形成されている。一対の主切刃5は、一対のシンニング刃7およびチゼルエッジ9よりも外周側に位置しており、切刃における最も外周側に位置している。チゼルエッジ9は切刃における最も内周側に位置している。一対のシンニング刃7は、一対の主切刃5とチゼルエッジ9との間に位置している。
一対の主切刃5は、図3,4に示すように、一対のシンニング刃7およびチゼルエッジ9を間に介して離れて位置している。これら一対の主切刃5は、先端視(正面視)した場合に、本体3の回転軸Xを中心にして180°の回転対称となっている。一対の主切刃5が上記の通り回転対称であることによって、一対の主切刃5が被削材に対して食いつく際に一対の主切刃5の間で生じるブレを抑制できる。そのため、安定した穴あけ加工を行な
うことが可能となる。
本実施形態における一対の主切刃5は、図3,4に示すように、先端視した場合に少なくとも一部が凹曲線形状となるように構成されている。これにより、一対の主切刃5で生成される切屑をカールさせ易くなるので、一対の排出溝15で切屑を排出し易くなる。また、切削性を高めるため、一対の主切刃5は回転軸Xを含む仮想平面で切断した場合において、一対の主切刃5の回転軌跡が回転軸Xに対して傾斜するように設けられている。一対の主切刃5の回転軌跡の回転軸Xに対する傾斜角は50〜85°程度に設定される。
一対のシンニング刃7は、それぞれ直線形状であって、図6に示すように、回転軸Xに直交する方向からの側面視において、一対の主切刃5から回転軸Xに向かってそれぞれ延びている。側面視において一対のシンニング刃7に沿って一対の仮想直線を引き伸ばした場合に、これらの仮想直線の交差する角度は、例えば130〜170°程度に設定される。
チゼルエッジ9は、ドリル1における最も先端方向の側に突出している。このとき、チゼルエッジ9は、回転軸Xと交差する部分が最も先端方向の側に突出しており、回転軸Xから離れるにつれて本体3の後端側に向かうように傾斜した構成となっている。
チゼルエッジ9は、回転軸Xに沿った方向からの先端視において、回転軸Xと交差するとともに一対のシンニング刃7に接続されている。チゼルエッジ9と主切刃5とが直接に接続されている場合には、チゼルエッジ9と主切刃5とが交差する角度が大きいので、チゼルエッジ9と主切刃5との間に大きな負荷が加わり易くなる。しかしながら、本実施形態のドリル1においては、チゼルエッジ9と主切刃5との間にシンニング刃7が設けられている。そのため、上記のような大きな負荷が切刃の特定の領域に加わる可能性を小さくできる。
一対のシンニング刃7は、先端視した場合に、本体3の回転軸Xを中心にして180°の回転対称となっている。また、一対のシンニング刃7は、先端視した場合にチゼルエッジ9に対してそれぞれ傾斜している。そのため、切刃における一対のシンニング刃7およびチゼルエッジ9によって構成される部分は、先端視した場合においてS字を描くように構成されている。
一対の主切刃5、一対のシンニング刃7およびチゼルエッジ9に沿った領域には、それぞれすくい面が設けられている。一対のシンニング刃7に沿ったすくい面として、一対のシンニング刃7からドリル本体3の後端側に向かってそれぞれ延びた第1のすくい面11が設けられている。第1のすくい面11は、平坦な面形状であり、内周側から外周側に向かうにつれて回転方向の後方に向かって傾斜している。このとき、特に図示はしないが、回転軸Xに直交する断面において、回転軸Xから第1のすくい面11の中心に向かって引き伸ばした直線と第1のすくい面11との交差する角度が20〜40°程度に設定されている。
一対の主切刃5に沿ったすくい面としては、一対の主切刃5からドリル本体3の後端側に向かってそれぞれ延びた第2のすくい面13が設けられている。第2のすくい面13は、第1のすくい面11に対して回転方向の後方に向かって傾斜している。このとき、回転軸Xに直交する断面において、第2のすくい面13における内周側の端部に接する接線と第1のすくい面11との交差する角度150〜170°程度に設定されている。
本体3における切削部19の外周には、一対の排出溝15が設けられている。一対の排出溝15は、先端側の端部がそれぞれ第2のすくい面13に接続されており、第2のすく
い面13から本体3の後端部へ向かって回転軸Xの周りに螺旋状に延びている。このとき、工作機械で安定して本体3を把持するため、一対の排出溝15は切削部19のみに形成されており、把持部17には形成されていない。
一対の排出溝15は、一対の主切刃5、一対のシンニング刃7およびチゼルエッジ9によって生成される切屑を排出することを主な目的としている。切削加工時において、一対の主切刃5の一方で形成された切屑は、一対の排出溝15のうち、この主切刃5に第2のすくい面13を間に介して接続された排出溝15を通って本体3の後端側へと排出される。
また、一対の主切刃5のもう一方で形成された切屑は、一対の排出溝15のうち、もう一方の主切刃5に第2のすくい面13を間に介して接続された排出溝15を通って本体3の後端側へと排出される。一対の主切刃5のそれぞれで生じた切屑をそれぞれ良好に流すため、本実施形態における一対の排出溝15の一方は、一対の排出溝15の他方を回転軸Xの周りで180°回転させた場合に重なり合うように形成されている。
一対の排出溝15それぞれの深さとしては、切削部19の外径に対して10〜40%程度に設定できる。ここで、排出溝15の深さとは、回転軸Xに直交する断面における、排出溝15の底と回転軸Xとの距離を本体3の半径から引いた値を意味している。そのため、本体3における回転軸Xに直交する断面での内接円の直径によって示される芯厚の直径としては、切削部19の外径に対して20〜80%程度に設定される。具体的には、例えば、切削部19の外径Dが20mmである場合、排出溝15の深さは2〜8mm程度に設定できる。
螺旋状に延びている排出溝15のねじれ角は、例えば、3〜45°程度に設定される。このねじれ角は排出溝15の先端から後端にかけて一定であってもよいが、特にこのような構成に限定されるものではない。すなわち、上記のねじれ角は、排出溝15の先端から後端にかけて途中で変化していてもよい。本実施形態のドリル1における排出溝15は、排出溝15の先端部分および後端部分よりもこれらの部分に挟まれた中央部分においてねじれ角が相対的に小さい構成となっている。
なお、本実施形態におけるねじれ角とは、排出溝15とマージン21aとで形成される交線であるリーディングエッジと、この上の1点を通り回転軸Xに平行な仮想直線とがなす角を意味している。
本実施形態のドリル1においては、すくい面として第1のすくい面11および第2のすくい面13を有しており、第2のすくい面13は、第1のすくい面11に対して回転方向の後方に向かって傾斜している。このとき、第1のすくい面11と第2のすくい面13との稜線が、本体3の先端側から後端側に向かうにつれて内周側から外周側に向かうように傾斜している。
チゼルエッジ9で生成される切屑と一対の主切刃5で生成される切屑とは、形状が異なることから、これらの切屑の間に位置する一対のシンニング刃7で生成される切屑には、チゼルエッジ9で生成される切屑および一対の主切刃5で生成される切屑に引っ張られる力が加わる。しかしながら、第1のすくい面11が平坦な面形状であることから、一対のシンニング刃7で生成される切屑に亀裂が生じる可能性が低減される。
そして、上記態様のドリル1においては、一対のシンニング刃7に連続する第1のすくい面11が、内周側から外周側に向かうにつれて回転方向の後方に向かって傾斜している。このようにチゼルエッジ9および一対のシンニング刃7で生成される切屑が第2のすく
い面13の後端側に位置する切屑排出溝15へと流れ易くなっている。
このとき、第1のすくい面11と第2のすくい面13との稜線が、ドリル本体3の先端側から後端側に向かうにつれて内周側から外周側に向かうように傾斜している。そのため、チゼルエッジ9および一対のシンニング刃7で生成され、ドリル本体3の先端側から後端側に向かうにつれて内周側から外周側に向かうように進行する切屑を第2のすくい面13の後端側に位置する切屑排出溝15へと安定して誘導することができる。以上のことから、ドリル1の心厚が大きくなった場合であっても切屑を安定して排出することが可能となる。
また、本実施形態のドリル1において、第1のすくい面11は、本体3の先端側から後端側に向かうにつれて回転軸Xに直交する方向の幅が小さくなっている。第1のすくい面11がこのような構成である場合には、第1のすくい面11の後端の付近で切屑の流れが急激に変化することを防止できる。そのため、チゼルエッジ9および一対のシンニング刃7で生成される切屑が排出溝15に急激に流れ込むことが抑制されて、徐々に流れ込み易くなる。これにより、第1のすくい面11の後端付近で切屑が詰まる可能性を低減できる。
本実施形態のドリル1において、第1のすくい面11および第2のすくい面13は、それぞれ本体3の先端側から後端側に向かうにつれて回転方向の後方に向かって傾斜している。このとき、第1すくい面の回転軸Xに対する傾斜角θ1が、第2のすくい面13の回転軸Xに対する傾斜角θ2より大きくてもよいが、図9,10に示すように、第1すくい面の回転軸Xに対する傾斜角θ1が、第2のすくい面13の回転軸Xに対する傾斜角θ2よりも小さい部分を有することが好ましい。
このような場合には、主切刃5に接続された第2のすくい面13のすくい角が一対のシンニング刃7に接続された第1のすくい面11のすくい角よりも大きい部分を有することになる。そのため、第1すくい面の上を流れる切屑が第2のすくい面13に流れ込み易くなる。また、第2のすくい面13における切屑が流れる空間を広く確保できることから、切屑を良好に排出溝15へと流すことができる。
なお、本実施形態のドリル1においては、図8に示すように、チゼルエッジ9における一対のシンニング刃7に近接する部分におけるすくい面の回転軸Xに対する傾斜角θ3も、第1のすくい面11の回転軸Xに対する傾斜角θ1より大きくなるように構成されている。
<切削加工物の製造方法>
次に、本発明の実施形態に係る切削加工物の製造方法について、上述の実施形態のドリル1を用いる場合を例に挙げて詳細に説明する。以下、図11〜13を参照しつつ説明する。
本実施形態にかかる切削加工物の製造方法は、以下の(1)〜(4)の工程を備える。
(1)準備された被削材101に対して上方にドリル1を配置する工程(図11参照)。
(2)ドリル1を、回転軸Xを中心に矢印Y1の方向に回転させ、被削材101に向かってY2方向にドリル1を近づける工程(図11,12参照)。
本工程は、例えば、被削材101を、ドリル1を取り付けた工作機械のテーブル上に固
定し、ドリル1を回転した状態で近づけることにより行なうことができる。なお、本工程では、被削材101とドリル1とは相対的に近づけばよく、被削材101をドリル1に近づけてもよい。
(3)ドリル1をさらに被削材101に近づけることによって、回転しているドリル11の一対の主切刃、一対のシンニング刃およびチゼルエッジを、被削材101の表面の所望の位置に接触させて、被削材101に加工穴103(貫通孔)を形成する工程(図12参照)。
本工程において、良好な仕上げ面を得る観点から、ドリル1の切削部19のうち後端側の一部の領域が被削材101を貫通しないように設定することが好ましい。すなわち、この一部の領域を切屑排出のための領域として機能させることで、当該領域を介して優れた切屑排出性を奏することが可能となる。
(4)ドリル1を被削材101からY3方向に離す工程(図13参照)。
本工程においても、上述の(2)の工程と同様に、被削材101とドリル1とは相対的に離隔すればよく、例えば被削材101をドリル1から離してもよい。
以上のような工程を経ることによって、加工穴103を有する切削加工物を得ることができる。
なお、以上に示したような被削材101の切削加工を複数回行う場合、例えば、1つの被削材101に対して複数の加工穴103を形成する場合には、ドリル1を回転させた状態を保持しつつ、被削材101の異なる箇所にドリル1の一対の主切刃、一対のシンニング刃およびチゼルエッジを接触させる工程を繰り返せばよい。
以上、本発明に係るドリルに関して1つの実施形態を例示したが、本発明のドリルはこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意のものとすることができることは言うまでもない。
1・・・ドリル
3・・・ドリル本体(本体)
5・・・主切刃
7・・・シンニング刃
9・・・チゼルエッジ
11・・・第1のすくい面
13・・・第2のすくい面
15・・・切屑排出溝(排出溝)
17・・・把持部
19・・・切削部
21・・・ランド面
21a・・・マージン
21b・・・二番取り面
101・・・被削材
103・・・加工穴

Claims (4)

  1. 回転軸の周りに回転される棒状のドリル本体と、
    該ドリル本体の先端部に位置する一対の主切刃と、
    前記先端部に位置しており、前記回転軸に直交する方向からの側面視において、前記一対の主切刃から前記回転軸に向かってそれぞれ延びる直線形状の一対のシンニング刃と、
    前記先端部に位置しており、前記回転軸に沿った方向からの先端視において、前記回転軸と交差するとともに前記一対のシンニング刃を接続するチゼルエッジと、
    前記一対のシンニング刃から前記ドリル本体の後端側に向かってそれぞれ延び、内周側から外周側に向かうにつれて回転方向の後方に向かって傾斜する平坦な第1のすくい面と、前記一対の主切刃から前記ドリル本体の後端側に向かってそれぞれ延び、前記第1のすくい面に対して回転方向の後方に向かって傾斜する一対の第2のすくい面と、
    前記ドリル本体の外周に設けられた、前記第2のすくい面から前記ドリル本体の後端部へ向かって前記回転軸の周りに螺旋状に延びている一対の切屑排出溝とを備え、
    前記第1のすくい面と前記第2のすくい面との稜線が、前記ドリル本体の先端側から後端側に向かうにつれて内周側から外周側に向かうように傾斜していることを特徴とするドリル。
  2. 前記第1のすくい面は、前記ドリル本体の先端側から後端側に向かうにつれて前記回転軸に直交する方向の幅が小さくなっていることを特徴とする請求項1に記載のドリル。
  3. 前記第1のすくい面および前記第2のすくい面は、それぞれ前記ドリル本体の先端側から後端側に向かうにつれて回転方向の後方に向かって傾斜しており、
    前記第1のすくい面の前記回転軸に対する傾斜角が、前記第2のすくい面の前記回転軸に対する傾斜角よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のドリル。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載のドリルを前記回転軸の周りに回転させる工程と、回転している前記ドリルの前記一対の主切刃、前記一対のシンニング刃および前記チゼルエッジを被削材に接触させる工程と、
    前記ドリルを前記被削材から離す工程と、を備えた切削加工物の製造方法。
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