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JP2015139373A - 生体分子分析デバイス、及び生体分子分析装置 - Google Patents

生体分子分析デバイス、及び生体分子分析装置 Download PDF

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JP2015139373A JP2014012075A JP2014012075A JP2015139373A JP 2015139373 A JP2015139373 A JP 2015139373A JP 2014012075 A JP2014012075 A JP 2014012075A JP 2014012075 A JP2014012075 A JP 2014012075A JP 2015139373 A JP2015139373 A JP 2015139373A
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Abstract

【課題】本発明の目的は、分析対象の生体分子あるいは分析対象の生体分子を捕捉するためのプローブ分子を、支持基体の所定位置に固定することに関する。特に、所望の分子を一分子ずつ、簡便且つ高効率で固定することに関する。【解決手段】本発明は、支持基体の所定位置にパッドを設け、当該パッドに対し、核酸から高次構造体をリンカーとして固着させ、当該リンカーに、分析対象の生体分子あるいは分析対象の生体分子を捕捉するためのプローブ分子を結合させることに関する。【選択図】 図1

Description

本発明は、試料の生体分子を一分子ずつ、支持基体上の所定の位置に固定した生体分子分析デバイスに関する。
核酸分析デバイスとして、DNAやRNAの塩基配列を決定する新しい技術が開発されている。
現在、通常用いられている電気泳動を利用した方法においては、配列決定用のDNA断片又はRNA試料から逆転写反応を行い予め合成したcDNA断片試料を調製し、周知のサンガー法によるジデオキシ反応を実行した後、電気泳動を行い、分子量分離展開パターンを計測して解析する。
これに対し、近年、試料となるDNA断片を基板に数多く固定して、数多くの断片の配列情報をパラレルに決定する方法が提案されている。
特に、被解析DNA断片試料をPCRにより増幅してから基板上に固定する所謂クラスタ方式(「Nature 2005, Vol. 437, pp. 376−380.(非特許文献1)」参照)に加え、被解析DNA断片試料を一分子ずつ固定して配列を解読する単分子方式が提案されている。
単分子方式では、テンプレートとなるDNA試料断片が1分子だけ、所定の位置に、あるいは、ランダムに平滑基板上に固定され、基板上に核酸合成酵素と蛍光色素付きヌクレオチドが供給されると基板上で伸長反応が起き、取り込まれたヌクレオチドの蛍光色素の発光を一分子レベルで検出することにより、ヌクレオチドの識別を行う。単分子方式の場合には、「Science 2008, Vol. 320, pp. 106-109.(非特許文献2)」にあるような逐次反応方式に加えて、「Science 2009, Vol. 323, pp. 133-138.(非特許文献3)」にあるようなリアルタイム計測方式も提案されている。クラスタ方式の利点は、分析対象のDNAがPCRで増幅された数千から数万分子であることから蛍光検出が容易であることである。一方、弱点は、数千から数万分子の伸長反応を平均値として評価するため、数千から数万分子の伸長反応の速度が不揃いで、伸長反応の進み具合にばらつきが生じると、一度に複数の蛍光色素の発光が検出されてしまい、取り込まれた塩基の同定ができなくなってしまう点にある。この現象は「dephasing」と呼ばれ、伸長する塩基鎖が長くなった時ほど起こりやすくなるため、クラスタ方式の読み取り塩基長が比較的短いことの原因の一つとなっている。
これに対して、単分子方式では読み取り対象のDNA断片が一分子しかないため、前記の「dephasing」は原理的になく、クラスタ方式に比べ読み取り塩基長が大幅に長くなることが期待されている。一方、蛍光測定は一分子レベルで行わなくてはならないことから高感度検出技術が必要になるとともに、一分子ずつプローブ分子(DNA断片試料や、核酸合成酵素とDNA断片試料の複合体)を所定の位置に固定する技術も必要となる。
「PNAS 2003, Vol. 100, pp. 3960-3964.(非特許文献4)」では、一分子ずつプローブ分子を固定する方法として、あらかじめアビジンを導入した高分子膜をガラス基板上に設けておき、末端にビオチン修飾を施した核酸プローブ分子の溶液を低濃度で基板表面と反応させることにより、ランダムに一分子プローブを固定することが提案されている。
解析対象の生体分子を捕捉するためのプローブ分子を、所定の位置に、一分子ずつ固定する方法として、「Science 2009, Vol. 323, pp. 133-138.(非特許文献3)」にあるような、所定の固定位置に予め、反応結合分子を固定させておき、そこへ、固定対象分子の低濃度溶液を反応させ、固定する方法が提案されている。
特表2004−533601号公報 米国特許公開公報2009/0137414 特願2010−162403号公報
Nature 2005, Vol. 437, pp. 376-380. Science 2008, Vol. 320, pp. 106-109. Science 2009, Vol. 323, pp. 133-138. PNAS 2003, Vol. 100, pp. 3960-3964. Angewandte Chemie International Edition 2012, Vol. 51, pp. 874-890. Lab on a Chip, 2011, Vol. 11, pp. 2156-2166. PNAS 2006, Vol. 103, pp 19635-19640.
生体分子を精度良く所定の位置に固定すること、特に、一分子ずつ所定の位置に固定する方法について本願発明者が鋭意検討した結果、次の知見を得るに至った。
非特許文献4に開示されている技術では、固定は容易ではある。しかし、蛍光測定で同定・分析する段階になると、CCDカメラにより検出したランダムに存在する蛍光分子から数値データを取得する際、膨大なデータ処理時間を必要とする。また、生体分子同士が近接して固定されてしまうと、これらの二つの生体分子からの蛍光が識別できなくなるという問題も生じる。
非特許文献3に開示されている技術では、固定は容易ではある。しかし、所定の固定位置のうち、固定対象分子が一分子だけ固定される割合は、ポアソン分布に従うことになる。固定対象分子の溶液の濃度を上げるほど、所定の位置に固定される率は高くなるが、一分子だけ固定される割合は逆に低下してしまい、一方、濃度を下げるほど一分子だけ固定される割合は高くなるものの、所定の位置に固定される率は下がってしまい、原理的に、約37%の一分子の固定率しか達成できない。したがって、約6割の固定位置には一分子固定が実現できないという、大きな問題がある。
特許文献3では、微粒子をリンカーとし、予め、微粒子上に一分子だけ生体分子をつけて、平滑基板上に設けた微小パッドに一微粒子ずつ、すなわち、生体分子を一分子ずつ固定する方法が開示されている。この方法では、確実に、各パッド上に一分子固定が実現できるものの、微粒子上に生体分子を一分子だけ固定させる反応は、微粒子と生体分子の濃度を調整することで行うため、やはり、ポアソン分布の制限を受け、約37%以上の一分子固定率は得られず、生体分子が固定されていない多量の微粒子を煩雑な操作で除去せざるを得ないという問題点が残されていた。
本発明の目的は、ある生体分子を一分子ずつ、支持基体の所定の位置に、簡便且つ高効率で固定することに関する。
本発明の生体分子分析デバイスは、支持基体を備えた生体分子分析デバイスであって、前記支持基体にパッドが複数形成されており、前記パッド上に核酸分子からなる高次構造体が形成されている。
本発明により、生体分子を所定の位置に固定した生体分子分析デバイスを提供できる。特に、生体分子を一分子ずつ所定位置に固定した、生体分子分析デバイスを提供できる。
生体分子分析デバイスの概略構成図。 生体分子分析デバイスの概略構成図。 生体分子分析デバイスの製造方法の一例。 生体分子分析デバイスを用いた核酸分析装置の概略構成図。 生体分子分析デバイスの製造方法の一例。 生体分子分析デバイスを用いた核酸分析装置の概略構成図。 生体分子分析デバイスの製造方法の一例。 生体分子分析デバイスを用いたタンパク質分析方法の一例。 生体分子分析デバイスを用いたタンパク質分析装置の概略構成図。
本発明者らは鋭意検討の結果、核酸からなる高次構造体をリンカーとして、試料DNAあるいはプローブ分子とパッドを結合させることで、試料DNAあるいはプローブ分子を確実に一分子のみ固定することができることを見出し、本発明を完成した。核酸からなる高次構造体は核酸の長鎖一本鎖あるいは2本鎖からなるため、末端に一つだけ特定の官能基を修飾することができる。そのため、高次構造体一個体に特定の官能基を一個だけ所持させることが可能となる。また、パッドの大きさに対して高次構造体の大きさを適切に制御することで、各パッドに対して高次構造体をそれぞれ一個体だけ固定させることもできることを見出した。
実施例では、分析対象の生体分子を支持基体に固定した生体分子分析デバイスであって、前記支持基体の所定位置にパッドが形成されており、前記パッド上に核酸からなる高次構造体が形成されており、前記分析対象の生体分子が、前記高次構造体からなるリンカーを介して、前記パッドに固定されている生体分子分析デバイスを開示する。好ましくは、前記分析対象の生体分子を、パッドに一分子ずつ、固定する。
また、実施例では、分析対象の生体分子を捕捉するプローブ分子を支持基体に固定した生体分子分析デバイスであって、前記支持基体の所定位置にパッドが形成されており、前記パッド上に、核酸からなる高次構造体が形成されており、前記プローブ分子が、前記高次構造体からなるリンカーを介して、前記パッドに固定されている生体分子分析デバイスを開示する。好ましくは、前記プローブ分子を、パッドに一分子ずつ、固定する。さらに、前記プローブ分子が、核酸、又は核酸合成酵素であることを特徴とする生体分子分析デバイスを開示する。さらに、前記プローブ分子が、抗体であることを特徴とする生体分子分析デバイスを開示する。
また、実施例では、前記生体分子分析デバイスにおいて、前記高次構造体の直径が前記パッドの直径の半分以上の大きさを有することを特徴とする生体分子分析デバイスを開示する。
また、実施例では、前記生体分子分析デバイスにおいて、前記高次構造体が、コンカテマーを有することを特徴とする生体分子分析デバイスを開示する。
また、実施例では、前記生体分子分析デバイスにおいて、前記プローブ分子が、核酸、又は核酸合成酵素であることを特徴とする生体分子分析デバイスを開示する。
また、実施例では、前記生体分子分析デバイスを用いる生体分子分析装置であって、分析対象の生体分子が核酸であり、前記分析対象の核酸分子に対して、塩基の伸長反応あるいは切断反応を行う酵素を供給する手段と、反応を分析するための光を照射する手段と、発光分析手段、を備え、前記核酸試料の塩基配列情報を取得することを特徴とする生体分子分析装置を開示する。
また、実施例では、前記生体分子分析デバイスを用いる生体分子分析装置であって、分析対象の生体分子が核酸であり、前記分析対象の核酸分子に対して、核酸増幅反応を行う手段と、核酸増幅反応時に発光するプローブ核酸分子を供給する手段と、発光分析手段、を備え、前記核酸試料中に特定の塩基配列を有するか否かの情報を取得することを特徴とする生体分子分析装置を開示する。
また、実施例では、前記生体分子分析デバイスを用いる生体分子分析装置であって、蛍光色素を有する分析用プローブ分子を供給する手段と、発光分析手段、を備え、蛍光輝点数を計数することにより、分析対象生体分子の存在量の情報を取得することを特徴とする生体分子分析装置を開示する。
以下、上記及びその他の本発明の新規な特徴と効果について、図を参照して説明する。
ここでは、本発明を完全に理解してもらうため、特定の実施形態について詳細な説明を行うが、本発明はここに記した内容に限定されるものではない。また、各実施例は適宜組み合せることが可能であり、当該組み合せ形態についても本明細書は開示している。
本実施例における生体分子分析デバイスの構成について、図1を用いて説明する。平滑な支持基体101の上にパッド102を規則正しく、例えば図1に示すように格子状に形成する。パッド102上に核酸からなる高次構造体103を固定する。パッド102と核酸からなる高次構造体103は、化学的相互作用により結合していることが好ましい。したがって、パッド102は、表面にアミノシランなどの核酸分子と結合する分子を有することが好ましい。例えば、支持基体101上に、アミノシラン膜をパターニングして製膜することで、アミノシランを表面に有するパッド102を形成することが容易にできる。パッド102を平滑な支持基体101上に形成する方法としては、半導体で既に実用化されている薄膜プロセスを活用することができる。規則正しく配置することは、前記薄膜プロセスを用いることで容易に実現できる。パッド間の間隔は任意に設定できる。分析手段として光計測を行う場合は、光分析の回折限界を考えると、間隔を500nm以上とすることが好ましい。製造方法の詳細については、後述する。
各バッドに、核酸からなる高次構造体103及び、前記高次構造体と試料DNAあるいはプローブ分子との結合形成方法について、図2を用いて説明する。前記高次構造体には、DNAナノボールと呼ばれるDNAの高次構造体を用いることができる。DNAナノボールの作製方法は、特許文献2に開示されているように、環状DNAを鋳型とし、鎖置換活性を有するポリメラーゼを用いたローリング・サイクル・アンプリフィケーション(RCA)で容易に作製することができる。合成される一本鎖DNAの中に、強く相互作用をするような、パリンドローム構造を有することで、一本鎖DNAでありながらボール状の高次構造体を作成できる。パリンドローム構造とは、回文構造とも呼ばれ、DNAの塩基配列が直線上のある一点を軸に相補的に対称になるように並んだ状態をいう。この配列になっている場合は一本鎖の状態ではヘアピン構造を形成し、コンパクトに折り畳んだ構造をとる。合成途中の最先端部は、環状鋳型DNAと一本鎖合成DNAとから成る二本鎖DNAとなっており、環状鋳型DNAの中に、制限酵素認識配列を持たせることで、DNAナノボールの最先端部だけを、制限酵素を用いることで切断することができる。解析対象のDNA試料あるいはプローブ分子にも、同一の制限酵素認識配列を持たせ、同一の制限酵素で切断すると、解析対象のDNA試料あるいはプローブ分子とDNAナノボールとをリガーゼを用いることで容易に結合することができる。したがって、高次構造体103と試料DNAあるいはプローブ分子104を容易に結合することができる。予め高次構造体103と試料DNAあるいはプローブ分子104を結合させてから、パッド102上にこの結合体を固定しても良く、また、パッド102上に高次構造体103を固定した後で、試料DNAあるいはプローブ分子104と高次構造体103を結合させても良い。RCA反応を起こすポリメラーゼとして、phi29ポリメラーゼ、Bstポリメラーゼ、Csaポリメラーゼ、96-7ポリメラーゼなどが挙げられる。これらのポリメラーゼは、各々、反応至適温度・条件が異なっており、適宜選択することができる。制限酵素として、Eco RI、Hind III、Pst Iなどを用いることができる。DNAナノボールの大きさは、パッド102と同等の大きさが好ましい。発明者らが検討した結果では、DNAナノボールの直径がパッド102の直径の半分以上であれば、パッド当たりのナノボールの固定される個数は1個である効率が80%以上であった。したがって、試料DNAあるいはプローブ分子104をパッド102に一分子だけ固定するための条件として、DNAナノボールの直径がパッド102の直径の半分以上という条件が満たされていることが必要であることが判明した。一方、DNAナノボールの直径がパッド102の直径よりも10倍以上になると、固定される効率が低下することが判明した。したがって、DNAナノボールの直径がパッド102の直径よりも10倍以下であることが好ましい。DNAナノボールの大きさは、RCA反応の反応時間、温度、基質濃度等の反応条件でコントロールできる。発明者らの検討結果では、直径200nmから500nmまでのDNAナノボールを1〜3時間程度の反応時間で合成できる。精製方法としては、密度勾配を利用した方法を用いることで、DNAナノボールの大きさの選別を行うことができる。
また、核酸からなる高次構造体103には、DNAオリガミと呼ばれる、巨大DNA構造体を用いることができる。製造方法は非特許文献5に詳細に開示されている。例えば、ウイルスゲノムDNA(M13mp18)の一本鎖と30塩基長程度の短鎖DNAを組合わせることで直径100nm程度の2次元のDNA高次構造体が形成できる。この構造体の適切な部位に制限酵素認識配列を持たせることで、前述のDNAナノボールの場合と同じように、制限酵素による切断とリガーゼによるDNA同士の結合により、試料DNAあるいはプローブ分子104をDNAオリガミで作製した高次構造体103に直接結合させることが容易にできる。DNAオリガミの場合、DNA高次構造体の形状・寸法を正確に設計することができるため、パッド102の形状・大きさに合わせて至適なサイズの高次構造体103を作製できるメリットがある。そのような製造方法によって、パッド102上に試料DNAあるいはプローブ分子104を一分子のみ固定することが容易にできる。
分析対象の生体分子が、核酸以外の、例えば、タンパク質やホルモンなどの小分子の場合には、プローブ分子として抗体を用いることができる。核酸からなる高次構造体103にプローブ分子として抗体を固定する方法については、実施例6で詳述する。
本実施例における生体分子分析デバイスの製造方法について、図3を用いて説明する。支持基体301上にフォトレジスト302を製膜した後、マスクを通した露光によりフォトレジストでパターンを形成後、このフォトレジストをマスクとして、アミノシランを蒸着、あるいは塗布して製膜し、その後フォトレジストを剥離することで、アミノシラン膜からなるパッド303を形成できる。パッド303を金属薄膜で形成することもできる。形成方法は前記アミノシランの場合と同様に、光照射でパターンを形成したフォトレジストをマスクとし、金属の蒸着やスパッタリングによる製膜を施した後フォトレジストを剥離することで容易に形成できる。その後、パッド303の金属膜上に、核酸との化学的相互作用を有する膜を形成する。例えば末端にアミノ基を有する直鎖状分子を製膜することができる。パッド303を形成する金属として、金、チタン、アルミなどを用いることができ、それらの金属との結合する官能基としてチオールやリン酸基を有する直鎖状分子を用いることができる。
前記パッド303の上に、核酸からなる高次構造体306と試料DNAあるいはプローブ分子305を実施例1で述べた方法により結合させたものを固定することで、生体分子分析デバイスを作製することができる。
分析対象の生体分子が、核酸以外の、例えば、タンパク質やホルモンなどの小分子の場合には、プローブ分子として抗体を用いることができる。核酸からなる高次構造体306にプローブ分子として抗体を固定する方法については、実施例6で説明する。
支持基体301のパッド303以外の箇所に、不要な生体分子が付着しないように、非特異吸着防止を目的とした、ブロッキング膜304を設けることが好ましい。例えば、ポリエチレングリコールなどを製膜することが好ましい。
以上のように、支持基体の所定位置にパッドが形成されており、前記パッド上に核酸分子からなる高次構造体が形成されており、分析対象の生体分子を、前記高次構造体からなるリンカーを介して、前記パッドに固定された構成とすることで、分析対象の生体分子を一分子ずつ、パッド上に固定した、生体分子分析デバイスを実現できる。
また、支持基体の所定位置にパッドが形成されており、前記パッド上に核酸分子からなる高次構造体が形成されており、分析対象の生体分子を捕捉するプローブ分子を、前記高次構造体からなるリンカーを介して、前記パッドに固定された構成とすることで、分析対象の生体分子を一分子ずつ、パッド上に捕捉した、生体分子分析デバイスを実現できる。
実施例1に記載した生体分子分析デバイスを用いて、シーケンス反応を計測することで、分析対象の核酸分子の塩基配列情報を取得する方法及び装置を説明する。
まず、伸長反応を行う酵素を用いた方法・装置について説明する。本実施例の生体分子分析デバイスから核酸試料に関する情報を分析するやり方にはいくつかの方式が考えられるが、感度,簡便性の観点から蛍光分析法を用いる方式が好ましい。まず、生体分子分析デバイスに対して核酸試料を供給し、核酸からなる高次構造体103と各核酸試料を結合させる。結合方法としては、大きく分けて二つの方法を用いることができる。一つは、実施例1にも述べたが、核酸からなる高次構造体103に予め、制限酵素認識配列を持たせておき、そこを所定の制限酵素で切断後、リガーゼを用いて核酸からなる高次構造体103と核酸試料を結合させる。予め、核酸からなる高次構造体103をパッド102に固定した後で、核酸試料と高次構造体103を結合させても良く、あるいは、核酸試料と高次構造体103を結合させてから、それをパッド102に固定しても良い。以上の手順を踏むことで、核酸試料の断片化された核酸分子を一分子ずつパッド上に固定することができる。二つ目の方法は、核酸試料を捕捉するための核酸捕捉プローブ(核酸あるいは核酸合成酵素)を核酸からなる高次構造体103に結合させておき、その後で核酸試料を高次構造体103に捕捉させるものである。この場合、核酸試料を制限酵素あるいは物理的なせん断力を用いて核酸試料を断片化した後、どの断片にもリガーゼ等を用いて同じ塩基配列(アダプター配列)を結合させる。予め、核酸からなる高次構造体103には、アダプター配列の相補配列あるいは、核酸合成酵素を結合させておき、パッド102に固定しておく。アダプター配列を結合した核酸試料を生体分子分析デバイスと所定の反応時間、バッファー条件下で反応させ、パッド上に、核酸試料の断片化された核酸分子を一分子ずつパッド上に固定することができる。
次に、蛍光色素を有するヌクレオチドを供給し、核酸捕捉プローブが核酸である場合には、核酸合成酵素も供給する。デバイス上で核酸伸長反応を起こし、伸長反応中に核酸鎖中に取り込まれた蛍光色素の蛍光測定を行う。この場合、所定のヌクレオチド(一種類)を供給,未反応ヌクレオチドの洗浄,蛍光観察、違う種類のヌクレオチドの供給以降を繰り返し行う、いわゆる逐次伸長反応方式は容易に実現できる。蛍光観察後蛍光色素を消光するか、蛍光色素がリン酸部位に付いたヌクレオチドを用い、連続的な反応を起こすことにより、核酸試料の塩基配列情報を得ることができる。一方、4種類のヌクレオチドが各々異なる蛍光色素を有するものを供給し、洗浄することなく、連続的な核酸伸長反応を起こし、連続的に蛍光観察を行うことにより、いわゆるリアルタイム反応方式を実現することもできる。この場合、蛍光色素がリン酸部位に付いたヌクレオチドを用いると、伸長反応後リン酸部位が切断されるため、消光することなく連続的に蛍光測定することにより、核酸試料の塩基配列情報を得ることができる。
伸長反応を行う酵素を用いたシーケンス反応を計測する装置について図4(a)を用いて説明する。生体分子分析デバイスに対して、蛍光色素を有するヌクレオチド,核酸合成酵素、及び核酸試料を供給する手段と、前記デバイスに光を照射する手段と、前記デバイス上においてヌクレオチド,核酸合成酵素、及び核酸試料が共存することにより起きる核酸伸長反応により核酸鎖中に取り込まれた蛍光色素の蛍光を測定する発光検出手段と、を備える。より具体的には、カバープレート401と検出窓402と溶液交換用口である注入口403と排出口404から構成される反応チャンバに前記のデバイス405を設置する。なお、カバープレート401と検出窓402の材質として,PDMS(Polydimethylsiloxane)を使用する。また、検出窓402の厚さは0.17mmとする。YAGレーザ光源(波長532nm,出力20mW)407から発振するレーザ光をλ/4板408によって円偏光し、レンズ409によって集光し、その後、プリズム410を介してデバイス405へ臨界角以上で照射する。蛍光体はレーザ光で励起され,その蛍光の一部は検出窓402を介して出射される。また、検出窓402より出射される蛍光は,対物レンズ411(×60,NA1.35,作動距離0.15mm)により平行光束とされ,光学フィルタ412により背景光及び励起光が遮断され,結像レンズ413により2次元CCDカメラ414上に結像される。
逐次反応方式の場合には、蛍光色素付きヌクレオチドとして、「P.N.A.S. 2006, vol. 103, pp 19635−19640.(非特許文献7)」に開示されているような、リボースの3′OHの位置に3′−O−アリル基を保護基として入れ、また、ピリミジンの5位の位置にあるいはプリンの7位の位置にアリル基を介して蛍光色素と結びつけたものが使用できる。アリル基は、光照射あるいはパラジウムと接触することにより切断されるため、色素の消光と伸長反応の制御を同時に達成することができる。逐次反応でも、未反応のヌクレオチドを洗浄で除去する必要はない。さらに、洗浄工程が必要ないことからリアルタイムで伸長反応を計測することも可能である。この場合には、前記ヌクレオチドにおいて、リボースの3′OHの位置に3′−O−アリル基を保護基として入れる必要は無く、光照射で切断可能な官能基を介して色素と結びついているヌクレオチドを用いれば良い。
次に、DNAの切断反応を行う酵素を用いた方法及び装置の例を図4(b)を用いて説明する。実施例1に記載した生体分子分析デバイス421で、分析対象の試料DNAをデバイス上に固定しておく。前記デバイスを流路420の中に設置する。生体分子分析デバイス421に対して、DNAを末端より順次一塩基ずつ切断する働きを持つ酵素を反応させる。この酵素としては、エキソヌクレアーゼ活性を持つ酵素を用いることができる。切断された塩基は流路420の流れ(図4(b)中の矢印)に沿って移動し、金属構造体422に到達する。レーザ光源423から出た光はレンズ424で絞られ、ダイクロイックミラー425で反射されて、対物レンズ426を通して金属構造体422に集光される。光が照射されると金属構造体422では表面プラズモンが共鳴し、局在化プラズモンが発生する。切断された塩基は前記局在化プラズモン場にはいると、増強ラマン光を発生する。通常の状態では、一分子のラマン光を検出することは困難であるが、局在化プラズモン場では、ラマン光の強度が109程度増強されるため、対象が一分子でも十分に検出できる。増強されたラマン光は対物レンズ426で集められ、ダイクロイックミラー425を透過して光学フィルタ427で励起光成分を除去し、レンズ428で絞られ、分光器429で各波長成分に分けられた後光検出器430で検出される。酵素の塩基の切断速度は凡そ毎秒10塩基程度であるので、ラマン検出を100Hz以上で行うことが好ましい。流路421の流速も塩基切断速度に合わせてコントロールすることが好ましい。塩基の種類により、ラマンスペクトルのピーク波長が異なるため、そのピーク情報をもとに、4塩基の識別を行うことができる。金属構造体を形成する金属の種類は、金、銀、アルミ、白金等が好ましい。金属の種類と形状によって強く共鳴する波長がことなるので、レーザー光源の波長、塩基のラマン強度とを勘案して、設計することが好ましい。特に、レーザーには、700nm−900nmの波長が、金属としては金、構造体の寸法としては50nm−150nm程度のものの組合せがより好ましい。金属構造体の形状としては、球形、円錐形、三角形等の形状が好ましい。流路を複数並列化することで、スループットを向上できることは言うまでもない。
上記のように、本実施例の生体分子分析デバイスを用いて核酸分析装置を組上げることにより、洗浄工程を入れることなく、解析時間の短縮化,デバイス及び分析装置の簡便化が図れ、逐次反応方式のみならず、リアルタイムで塩基の伸長反応を計測することも可能となり、従来技術に対して大幅なスループットの改善が図れる。
実施例1に記載した生体分子分析デバイスを用いて、PCR反応を計測することで、分析対象の核酸分子に所定の塩基配列が含まれているか否かを識別し、所定の塩基配列を有する核酸断片の割合に関する情報を取得する方法を説明する。
実施例1に記載した方法を用いることで、パッド102に、核酸試料あるいは断片化した核酸試料を一分子ずつ固定することができる。個々のパッドを反応場として隔離し、各反応場で独立にPCR反応を行い、特定の塩基配列の存在を調べるための、モレキュラービーコン分子、例えばTaqManプローブを各反応場に供給しておき、特定配列のありなしを各パッドごとに調べることで、特定配列の存在量を蛍光輝点数として、デジタルで調べることができる。例えば、特定遺伝子配列について、wildとmutantの存在割合を、wildの検出用TaqManプローブとmutantの検出用TaqManプローブを両方混合して用い、両者の発光色素をCy3とCy5のように容易に区別して検出できるように設定することで、両者の輝点数の比率を算出することで、容易に求めることができる。両者を独立に計数するため、計測するDNA断片数を増やすことで、両者の存在割合が大きく異なっていても、正確に計測することができる。従来の定量PCRでは、mutantの割合が非常に少ない場合(例えば、血液中を巡廻しているがん細胞由来のDNAと正常細胞由来のDNAなど)、存在数が少ないと検出感度が下がってしまい、false−negativeな結果が出てしまうのに対して、上記の一断片ずつmutantかwildかを識別する方法では、原理的に、存在する断片数に依存せず検出することができる。また、多数のウエルやドロプレットを微小反応場として個別の一分子の核酸断片を試料としてPCR反応を行う方法も、非特許文献6に開示されているが、核酸DNA試料を一分子だけドロプレットに含ませるために、核酸DNA試料の溶液の濃度を低濃度とせねばならず(濃くすると2分子以上含まれる確率が高くなるため)、結果として、大多数のドロプレットには核酸DNA試料が一分子も含まれない(至適な条件でも、核酸DNA試料が含まれる割合は10個のドロプレット中1個のドロプレットだけ)という、非効率な解析が必要であった。本実施例の生体分子分析デバイスを用いることで、原理的に、ポアソン分布に依存せず、高い一分子固定率が得られるため、効率の良い、スループットの高い、極微量な特異的塩基配列の検出が可能となる。
個々のパッドを反応場として隔離するためのデバイスの製造方法の一例を図5を用いて説明する。
実施例2に記載した方法と同様に、支持基体501上にフォトレジスト502を製膜した後、マスクを通した露光によりフォトレジストでパターンを形成後、このフォトレジストをマスクとして、アミノシランを蒸着、あるいは塗布して製膜し、その後フォトレジストを剥離することで、アミノシラン膜からなるパッド503を形成できる。パッド503を金属薄膜で形成することもできる。形成方法は前記アミノシランの場合と同様に、光照射でパターンを形成したフォトレジストをマスクとし、金属の蒸着やスパッタリングによる製膜を施した後フォトレジストを剥離することで容易に形成できる。その後、パッド503の金属膜上に、核酸との化学的相互作用を有する膜を形成する。例えば末端にアミノ基を有する直鎖状分子を製膜することができる。パッド503を形成する金属として、金、チタン、アルミなどを用いることができ、それらの金属との結合する官能基としてチオールやリン酸基を有する直鎖状分子を用いることができる。
次に、各パッド503を中心とした反応場を形成する。高分子膜504を製膜し、フォトレジスト・マスク形成・エッチングにより、パッド作製位置を中心としたウエルを形成する。高分子膜材料としては、ポリジメチルシロキサン、フッ素系ポリマー例えばCYTOP(旭硝子社製)を用いることができる。エッチング方法としては、酸素プラズマやレーザー光照射による分解法などを用いることができる。次に、前記パッド503の上に、核酸からなる高次構造体506と試料DNAあるいはプローブ分子505を実施例1で述べた方法により結合させたものを固定することで、生体分子分析デバイスを作製することができる。
形成するウエルのサイズは、直径1μm-100μm、高さは1μm−100μmが作製上好ましい。ウエルのサイズは各反応場の液ボリウムを規定することになるため、液量を勘案して決定することが好ましい。反応液ボリウムを1ピコリットル程度とするためには、直径10μm、高さは13μmが好ましい。この場合、パッド間すなわちウエル間のピッチを20μm程度に設定することができ、スライドガラス一枚に200万個以上のウエルを形成できる。そのために、一度に200万DNA断片について特定塩基配列の有無を調べることを可能とする生体分子分析デバイスを作製することができる。
実施例4に記載した生体分子分析デバイスを用いて、PCR反応を計測することで、分析対象の核酸分子に所定の塩基配列が含まれているか否かを識別し、所定の塩基配列を有する核酸断片の割合に関する情報を取得する装置について図6を用いて説明する。本装置は、少なくとも、前処理モジュール、PCR反応モジュール、計測モジュールを備えている。
まず、前処理モジュールについて説明する。核酸試料断片は、予め核酸からなる高次構造体を介して各パッドに固定されており、各パッドは各ウエルの中心部に設置された構成で、生体分子分析デバイス601が形成されている。前記生体分子分析デバイス601を流路603の中に置き、PCR反応に必要な、DNA合成酵素、各ヌクレオチド、各塩基配列検出用のモレキュラービーコン分子(例えばTaqManプローブ)、反応バッファー液は、送液ユニット602よりバルブ604を介して送られ、各反応ウエルへ供給される。反応液の液滴がウエル中に供給された後、各ウエルを封止することを目的に、フッ素系のオイル、例えば、Fluorinert FC40(シグマ社製)を生体分子分析デバイス601に供給することで、各ウエルの反応液は隔離されるとともに蒸発が防止される。
次に、生体分子分析デバイス601はメカニカルな移動手段により、PCR反応モジュールへ送られる。生体分子分析デバイス601は温調プレート605に密着した形で保持され、保温用カバー606で覆われた後、温調コントローラ607の制御のもと、適切な温度サイクルで各ウエルごとPCR反応が進行する。生体分子分析デバイス601近傍に温度センサー608を設置し、温調コントローラ607にフィードバックをかけることで、正確な温度コントロールが実施できる。各ウエルの温度制御に要する時間は、ウエルの容量、熱伝導度に依存するので、予め、予備実験を行い、最適な時間を設定する。各ウエルの液容量が1ピコリットルでスライドガラスを支持体に用いた場合には、1−10分程度で所望の温度に到達できる。
PCR反応後、生体分子分析デバイス601はメカニカルな移動手段により、計測モジュールへ送られる。XYステージ609に生体分子分析デバイス601を固定した後、蛍光測定を行う。光源610から出た光を結像レンズ611を介してダイクロイックミラー612で反射させた後対物レンズ613を通して生体分子分析デバイス601に照射する。発生する蛍光は対物レンズ613で集めてダイクロイックミラー612を通過後、光学フィルター614で励起光の散乱光を除去した後結像レンズ615を介して2次元CCDカメラで検出される。特定遺伝子配列について、wildとmutantの存在割合を、wildの検出用TaqManプローブとmutantの検出用TaqManプローブを両方混合して用い、両者の発光色素をCy3とCy5のように容易に区別して検出するためには、ダイクロイックミラーと光学フィルタの組合せを二組み用意し、それを切り替えながら蛍光画像を取得することで容易に実現できる。XYステージ609で観察位置を移動させながら、デバイス全域の蛍光画像を取得する。測定後、各蛍光色素の発光輝点数を求め、両者の比を算出することで、wildとmutantの存在割合を決定することができる。
実施例1に記載した生体分子分析デバイスを用いて、プローブ分子として抗体を用い、タンパク質試料の濃度情報をデジタルカウント方式で取得する方法を図7及び図8を用いて説明する。
図7に、プローブ分子として抗体を用い、抗体固定デバイスを作製する方法の一例を示す。核酸からなる高次構造体には、実施例1で述べたような制限酵素認識配列を予め持たせておき、そこを特定の制限酵素で切断する。同じ制限酵素認識配列を有するオリゴと、その相補配列を有し、その3‘末端にビオチンを修飾したオリゴ合成しておき、両者をハイブリさせて二本鎖DNAを作る。これに対して制限酵素を反応させて、切断する。切断された二本鎖DNAを、核酸からなる高次構造体とリガーゼで結合させることで、ビオチン分子を一分子だけ有する高次構造体を作製できる。その後、アビジンあるいはストレプトアビジンを反応させた後、ビオチン化抗体を反応させる。ビオチン化抗体は、抗体と、ビオチンとスクシンイミドを両末端に持つビオチン化試薬を反応させることで容易に合成できる。最後に、作製した抗体を含む複合体をパッド上に固定することで、所望の抗体を一分子ずつパッドに固定した抗体固定デバイスを得ることができる。
図8に、前述の抗体固定デバイスを用いて、試料中の特定のタンパク質の存在量を分析する方法の一例を示す。抗体固定デバイスに試料溶液をかけて反応させ、特定のタンパク質のみをデバイス上に捕獲する。次に、蛍光色素標識付き検出用抗体を反応させ、捕捉した特定のタンパク質に蛍光色素をラベルする。最後に、デバイスに励起光を照射し、蛍光輝点画像を取得する。抗体固定デバイス上の各パッドには、特定のタンパク質のみ捕獲する抗体が一分子だけ固定されているため、蛍光輝点数は、特定のタンパク質の存在量に比例する。したがって、分析対象のタンパク質が極微量であっても、その濃度を正確に測定できる。
ラベル反応後に、プレートリーダーなどで溶液全体の蛍光強度を測定し、分析対象のタンパク質の濃度を求める従来法に対して、本実施例の方法は、分子の存在数を一分子ずつカウントする方式であるため、原理的に、極微量の検出に適している。
本実施例では、実施例1に記載した生体分子分析デバイスを用いて、プローブ分子として抗体を用い、タンパク質試料の濃度情報をデジタルカウント方式で取得する装置の一例を図9を用いて説明する。
本実施例の生体分子分析装置は、生体分子分析デバイス基板に対して、蛍光標識付分子溶液及び洗浄液を供給する手段と、生体分子分析デバイスに光を照射する手段と、蛍光標識付分子の蛍光体の蛍光を測定する発光検出手段、を備える。より具体的には、生体分子デバイス901を支持体903上に置き、流路904を設けた流路部材902をその上に貼り合せることで反応チャンバを形成する。流路部材902には、例えばPDMS(Polydimethylsiloxane)を使用することができる。
注入口914には送液ユニット905が接続されており、送液ユニット905中に保管されている、解析対象の生体分子試料溶液、蛍光標識付分子溶液及び洗浄液が順次、生体分子分析デバイス901へ供給される。解析対象の生体分子試料溶液及び蛍光標識付分子溶液が生体分子分析デバイス901へ供給された後、流路904中で溶液は生体分子分析デバイス901上に保持され、抗原・抗体反応が行われる。反応後、送液ユニット905から洗浄液が生体分子分析デバイス901に供給され、未反応物が洗浄される。
洗浄後、蛍光検出が行われる。励起光源907には、高輝度の水銀ランプ、キセノンランプ、LEDなどを用いることができる。励起光はレンズ908を介してダイクロイックミラー909で反射され、対物レンズ906を通して生体分子分析デバイス901に照射される。発生する蛍光は、対物レンズ906で集められ、ダイクロイックミラー909を透過したのち光学フィルタ910で励起光の散乱成分が除去された後2次元CCDカメラ912で検出される。
生体分子分析デバイス901の全面を計測する場合には、注入口914を送液ユニット905と切断し、XYステージ913を駆動させて、連続的に蛍光画像を取得する。得られた蛍光画像から、蛍光輝点数を算出する。分析対象の生体分子の濃度は、前述のように、原理的に、蛍光輝点数で評価することができる。
上記のように、実施例1に記載の生体分子分析デバイスを用いる生体分子分析装置であって、蛍光色素を有する検出用プローブ分子を供給する手段と、発光検出手段、を備え、蛍光輝点数を計数することにより、分析対象生体分子の存在量の情報を取得することを特徴とする生体分子分析装置を組上げることにより、自動で極微量の生体分子の分析を行うことが可能となり、従来技術に対して大幅な感度向上が図れる。
生体分子分析デバイスを用いた生体分子分析において、解析対象の生体分子を支持基体上の所定の箇所に一分子ずつ固定できる。そのため、「dephasing」が起こることがなく読み取塩基長を長くできるDNAシーケンサ、特定の塩基配列を有するDNA断片を一分子の分解能でカウントする核酸変異解析装置や、特定の生体分子を認識する抗体を支持基体上に一分子ずつ固定し、分析対象の生体分子を一分子の分解能でカウントする高感度免疫検出装置を実現することができる。
101 支持基体
102 パッド
103 核酸からなる高次構造体
104 試料DNAあるいはプローブ分子
301 支持基体
302 レジスト
303 パッド
304 ブロッキング膜
305 試料DNAあるいはプローブ分子
306 核酸からなる高次構造体
401 カバープレート
402 検出窓
403 注入口
404 排出口
405 デバイス
406 流路
407 YAGレーザ光源
408 λ/4板
409 レンズ
410 プリズム
411 対物レンズ
412 光学フィルタ
413 結像レンズ
414 2次元CCDカメラ
420 流路
421 生体分子分析デバイス
422 金属構造体
423 レーザー光源
424 レンズ
425 ダイクロイックミラー
426 対物レンズ
427 光学フィルタ
428 レンズ
429 分光器
430 光検出器
501 支持基体
502 レジスト
503 パッド
504 高分子膜
505 試料DNAあるいはプローブ分子
506 核酸からなる高次構造体
601 生体分子分析デバイス
602 送液ユニット
603 流路
604 バルブ
605 温調プレート
606 保温用カバー
607 温調コントローラ
608 温度センサー
609 XYステージ
610 光源
611 結像レンズ
612 ダイクロイックミラー
613 対物レンズ
614 光学フィルタ
615 結像レンズ
616 2次元CCDカメラ
901 生体分子分析デバイス
902 流路形成部材
903 温調プレート
904 流路
905 送液ユニット
906 対物レンズ
907 光源
908 レンズ
909 ダイクロイックミラー
910 光学フィルタ
911 結像レンズ
912 2次元CCDカメラ
913 XYステージ
914 ダイクロイックミラー

Claims (15)

  1. 支持基体を備えた生体分子分析デバイスであって、
    前記支持基体にパッドが複数形成されており、
    前記パッド上に核酸分子からなる高次構造体が形成されていることを特徴とする、生体分子分析デバイス。
  2. 請求項1記載の生体分子分析デバイスにおいて、
    前記パッドは、行列状に配置されていることを特徴とする、生体分子分析デバイス。
  3. 請求項1記載の生体分子分析デバイスにおいて、
    前記支持基体のパッドが設けられている箇所以外の箇所には非特異吸着防止膜が設けられていることを特徴とする、生体分子分析デバイス。
  4. 請求項1記載の生体分子分析デバイスにおいて、
    前記パッドは、前記支持基体上に突起状に設けられていることを特徴とする、生体分子分析デバイス。
  5. 請求項1記載の生体分子分析デバイスにおいて、
    前記支持基体上には、高分子膜で囲われたウエルが設けられており、それぞれのウエルには前記パッドが配置されていることを特徴とする、生体分子分析デバイス。
  6. 請求項1に記載の生体分子分析デバイスにおいて、
    分析対象の生体分子が、前記高次構造体を介して、前記パッドに固定されている生体分子分析デバイス。
  7. 請求項6記載の生体分子分析デバイスにおいて、
    前記分析対象の生体分子が、パッドに一分子ずつ、固定されていることを特徴とする生体分子分析デバイス。
  8. 請求項1に記載の生体分子分析デバイスにおいて、
    分析対象の生体分子を捕捉するプローブ分子が前記高次構造体を介して、前記パッドに固定されている生体分子分析デバイス。
  9. 請求項8記載の生体分子分析デバイスにおいて、
    前記プローブ分子が、パッドに一分子ずつ、固定されていることを特徴とする生体分子分析デバイス。
  10. 請求項1から9のいずれか1項に記載の生体分子分析デバイスにおいて、
    前記高次構造体の直径が前記パッドの直径の半分以上の大きさを有することを特徴とする生体分子分析デバイス。
  11. 請求項1から10のいずれか1項に記載の生体分子分析デバイスにおいて、
    前記高次構造体が、コンカテマーを有することを特徴とする生体分子分析デバイス。
  12. 請求項8または9に記載の生体分子分析デバイスにおいて、
    前記プローブ分子が、核酸、又は核酸合成酵素であることを特徴とする生体分子分析デバイス。
  13. 請求項8または9のいずれか1項に記載の生体分子分析デバイスにおいて、前記プローブ分子が、抗体であることを特徴とする生体分子分析デバイス。
  14. 支持基体を備え、前記支持基体にパッドが複数形成されており、前記パッド上に核酸分子からなる高次構造体が形成されている、生体分子分析デバイスと、
    分析対象の核酸分子に対して、塩基の伸長反応あるいは切断反応を行う酵素を供給する手段と、反応を分析するための光を照射する手段と、発光検出手段、を備え、前記核酸試料の塩基配列情報を取得することを特徴とする生体分子分析装置。
  15. 支持基体を備え、前記支持基体にパッドが複数形成されており、前記パッド上に核酸分子からなる高次構造体が形成されている、生体分子分析デバイスと、分析対象の核酸分子に対して、核酸増幅反応を行う手段と、核酸増幅反応時に発光するプローブ核酸分子を供給する手段と、発光検出手段、を備え、前記核酸試料中に特定の塩基配列を有するか否かの情報を取得することを特徴とする生体分子分析装置。
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