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JP2015120604A - 強化ガラス板の切断方法、及び強化ガラス板切断システム - Google Patents

強化ガラス板の切断方法、及び強化ガラス板切断システム Download PDF

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JP2015120604A
JP2015120604A JP2012087163A JP2012087163A JP2015120604A JP 2015120604 A JP2015120604 A JP 2015120604A JP 2012087163 A JP2012087163 A JP 2012087163A JP 2012087163 A JP2012087163 A JP 2012087163A JP 2015120604 A JP2015120604 A JP 2015120604A
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Isao Saito
勲 齋藤
達弥 岩崎
Tatsuya Iwasaki
達弥 岩崎
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Abstract

【課題】切り出された強化ガラスパネルの寸法不良を抑制すること。【解決手段】強化ガラス板10に、レーザ光を照射して切断する強化ガラス板の切断方法。設計形状に基づく第1の切断予定線35aに沿って、レーザ光を走査することにより、第1のパネルを切り出すステップと、切り出された第1のパネルの寸法を測定し、第1の寸法誤差Δ1を求めるステップと、第1の寸法誤差Δ1に基づいて、第1の切断予定線35aを補正することにより、第2の切断予定線35bを決定するステップと、第2の切断予定線35bに沿って、レーザ光を走査することにより、第2のパネルを切り出すステップと、を備える。【選択図】図7

Description

本発明は強化ガラス板の切断方法、及び強化ガラス板切断システムに関し、特にレーザ光による内部加熱を利用した強化ガラス板の切断方法、及び強化ガラス板切断システムに関する。
携帯電話や携帯情報端末(PDA:Personal Data Assistance)などの携帯機器では、ディスプレイのカバーや基板にガラス板が使用されている。携帯機器における薄型化・軽量化の要求から、ガラス板についても強度の高い強化ガラス板を用いることにより、薄型化・軽量化が図られるようになってきた。
ところで、ガラス板の切断は、通常、ダイヤモンド等の硬質のローラやチップにより、主面に機械的にスクライブ線を導入し、当該スクライブ線に沿って折曲力を加えることによりなされる。このような手法では、スクライブ線の導入により、ガラス板の切断端面に多数の微細クラックが生成されることになる。従って、強化ガラス板であるにもかかわらず、切断端部に充分な強度が得られないという問題があった。
このような問題に対し、近年、レーザ光により強化ガラス板の内部を加熱し、強化ガラス板の主面でなく端面に導入した初期クラックの伸展を制御することにより、強化ガラス板を切断する方法が開発された。このようなレーザ光を用いた切断では、従来のように、強化ガラス板の主面にスクライブ線を導入する必要がない。そのため、切断端面に上述の微細クラックが生成されることもなく、高強度の強化ガラス板を得ることができる。特許文献1には、レーザ光によりガラス板を切断する方法が開示されている。
国際公開第2010/126977号
発明者は、レーザ光を用いた強化ガラス板の切断に関し、以下の課題を見出した。
レーザ光を用いて強化ガラス板を切断する場合、切断予定線に沿ってレーザ光を走査しても、曲線部、特にコーナー部において切断線が切断予定線から外側に外れ、切り出された強化ガラスパネルが寸法不良となるおそれがあった。
本発明は、上記に鑑みなされたものであって、切り出された強化ガラスパネルの寸法不良を抑制した強化ガラス板の切断方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様に係る強化ガラス板の切断方法は、
圧縮応力が残留する表面層及び裏面層と、当該表面層及び裏面層との間に形成され、引張応力が残留する中間層とを有する強化ガラス板に、レーザ光を照射して切断する強化ガラス板の切断方法であって、
設計形状に基づく第1の切断予定線に沿って、前記レーザ光を走査することにより、第1のパネルを切り出すステップと、
切り出された前記第1のパネルの寸法を測定し、第1の寸法誤差を求めるステップと、
前記第1の寸法誤差に基づいて、前記第1の切断予定線を補正することにより、第2の切断予定線を決定するステップと、
前記第2の切断予定線に沿って、前記レーザ光を走査することにより、第2のパネルを切り出すステップと、を備えた、ものである。
本発明の第2の態様に係る強化ガラス板の切断方法は、前記第1の態様において、
前記第1の寸法誤差に基づいて、前記第1の切断予定線を、前記第1の切断予定線の法線方向にシフトさせ、前記第2の切断予定線とすることを特徴とするものである。
本発明の第3の態様に係る強化ガラス板の切断方法は、前記第2の態様において、
前記第1の切断予定線を、前記第1の切断予定線の法線方向に前記第1の寸法誤差だけシフトさせ、前記第2の切断予定線とすることを特徴とするものである。
本発明の第4の態様に係る強化ガラス板の切断方法は、前記第1〜3のいずれか一つの態様において、
切り出された前記第2のパネルの寸法を測定し、第2の寸法誤差を求めるステップと、
前記第2の寸法誤差に基づいて、前記第2の切断予定線を補正することにより、第3の切断予定線を決定するステップと、
前記第3の切断予定線に沿って、前記レーザ光を走査することにより、第3のパネルを切り出すステップと、をさらに備えたことを特徴とするものである。
本発明の第5の態様に係る強化ガラス板の切断方法は、前記第1〜3のいずれか一つの態様において、
切り出された前記第2のパネルの寸法を測定し、第2の寸法誤差を求めるステップと、
前記第2の切断予定線に沿って、前記レーザ光を走査することにより、第3のパネルを切り出すステップと、をさらに備えたことを特徴とするものである。
本発明の第6の態様に係る強化ガラス板の切断方法は、前記第1〜5のいずれか一つの態様において、
前記第1の切断予定線がコーナー部と直線部とを含み、
前記直線部における前記レーザ光の単位照射面積あたりの照射エネルギーE1よりも、前記コーナー部における前記レーザ光の単位照射面積あたりの照射エネルギーE2を、大きくすることを特徴とするものである。
本発明の第7の態様に係る強化ガラス板の切断方法は、前記第6の態様において、
前記コーナー部における前記照射エネルギーE2から前記直線部における前記照射エネルギーE1への切換速度を、前記直線部における前記照射エネルギーE1から前記コーナー部における前記照射エネルギーE2への切換速度よりも、小さくすることを特徴とするものである。
本発明の第8の態様に係る強化ガラス板切断システムは、
圧縮応力が残留する表面層及び裏面層と、当該表面層及び裏面層との間に形成され、引張応力が残留する中間層とを有する強化ガラス板に、レーザ光を照射して切断する強化ガラス板の切断システムであって、
前記強化ガラス板の切断予定線に沿って、前記レーザ光が走査するように制御する制御部と、
前記レーザ光の走査により切り出されたパネルの寸法を測定する測定部と、
測定された寸法から寸法誤差を算出する寸法誤差算出部と、
前記寸法誤差に基づいて、前記切断予定線の形状データを補正する補正部と、を備えた、ものである。
本発明の第9の態様に係る強化ガラス板切断システムは、前記第8の態様において、
前記形状データが格納される記憶部をさらに備えることを特徴とするものである。
本発明により、切り出された強化ガラスパネルの寸法不良を抑制した強化ガラス板の切断方法を提供することができる。
レーザ光を照射する前の強化ガラス板の断面図である。 レーザ光を照射する前の強化ガラス板の残留応力の分布を示す模式図である。 強化ガラス板の切断方法を説明するための斜視図である。 図3のA−A線に沿った断面図である。 図3のB−B線に沿った断面図である。 実施の形態1に係る強化ガラス板の切断方法を説明するための図である。 図6におけるコーナー部C1近傍の拡大図である。 本実施の形態に係る強化ガラス板切断システムのブロック図である。 図8のブロック図において、1回目の切断でのデータの流れを示す図である。 図8のブロック図において、2回目の切断でのデータの流れを示す図である。 図8のブロック図において、3回目の切断でのデータの流れを示す図である(2回目の切断での寸法誤差Δ2が許容範囲以内でない場合)。 本実施の形態の比較例に係る強化ガラス板切断システムのブロック図である。 実施例1に係る強化ガラス板の切断方法に用いた冷却ノズルの断面図である。 1回目の切断での強化ガラスパネル40の寸法測定結果を示す図である。 2回目の切断での強化ガラスパネル40の寸法測定結果を示す図である。
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、本発明が以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
(実施の形態1)
まず、図1〜5を参照して、強化ガラス板の構造、及び強化ガラス板の切断方法について説明する。
まず、図1、2を参照して、強化ガラス板の構造について説明する。図1は、レーザ光を照射する前の強化ガラス板10の断面図である。図1において、矢印の方向は、残留応力の作用方向を示し、矢印の大きさは、応力の大きさを示す。図1に示すように、強化ガラス板10は、表面層13及び裏面層15と、表面層13と裏面層15との間に設けられた中間層17とを有する。表面層13及び裏面層15には、下記の風冷強化法や化学強化法により圧縮応力が残留している。また、その反作用として、中間層17には引張応力が残留している。
強化ガラス板10は、例えば風冷強化法や化学強化法などで作製される。強化用のガラスの種類は、用途に応じて選択される。例えば、自動車用窓ガラスや建築用窓ガラス、PDP(Plasma Display Panel)用のガラス基板、カバーガラスの場合、強化用のガラスとしては、アルカリアルミノシリケートガラスやソーダライムガラスが用いられる。
風冷強化法は、軟化点付近の温度のガラスを表面及び裏面から急冷し、ガラスの表面及び裏面と内部との間に温度差をつけることで、圧縮応力が残留する表面層及び裏面層を形成する。風冷強化法は、厚いガラスを強化するのに好適である。
化学強化法は、ガラスの表面及び裏面をイオン交換し、ガラスに含まれる小さなイオン半径のイオン(例えば、Liイオン、Naイオン)を、大きなイオン半径のイオン(例えば、Kイオン)に置換することで、圧縮応力が残留する表面層及び裏面層を形成する。化学強化法は、アルカリアルミノシリケートガラスやソーダライムガラスを強化するのに好適である。
図2は、レーザ光を照射する前の強化ガラス板の残留応力の分布を示す模式図である。
図2に示すように、表面層13及び裏面層15に残留する圧縮応力(>0)は、強化ガラス板10の表面12及び裏面14から内部に向けて徐々に小さくなる傾向がある。また、中間層17に残留する引張応力(>0)は、ガラスの内部から表面12及び裏面14に向けて徐々に小さくなる傾向がある。
図2において、CSは表面層13や裏面層15における最大残留圧縮応力(表面圧縮応力)(>0)、CTは中間層17における内部残留引張応力(中間層17の残留引張応力の平均値)(>0)、DOLは表面層13及び裏面層15の厚さをそれぞれ示す。最大残留圧縮応力CSや内部残留引張応力CT、表面層13及び裏面層15の厚さDOLは、強化処理条件で調節可能である。例えば、最大残留圧縮応力CSや内部残留引張応力CT、表面層13及び裏面層15の厚さDOLは、風冷強下法の場合、ガラスの冷却速度などで調節可能である。また、最大残留圧縮応力CS、内部残留引張応力CT、表面層13及び裏面層15の厚さDOLは、化学強化法の場合、ガラスを処理液(例えば、KNO溶融塩)に浸漬してイオン交換するので、処理液の濃度や温度、浸漬時間などで調節可能である。なお、本実施の形態の表面層13及び裏面層15は、同じ厚さDOL及び最大残留圧縮応力CSを有するが、異なる厚さや最大残留圧縮応力を有してもよい。
図3は、強化ガラス板の切断方法を説明するための図である。図3に示すように、強化ガラス板10の表面12にレーザ光20を照射し、強化ガラス板10の表面12上で、レーザ光20の照射領域22を移動(走査)させることで、強化ガラス板10に応力を印加して、強化ガラス板10を切断する。
強化ガラス板10の端部には、切断開始位置に、初期クラックが予め形成されている。初期クラックの形成方法は、一般的な方法であって良く、例えばカッタやヤスリ、レーザで形成される。なお、上述の通り、レーザ光を用いた内部加熱切断では、強化ガラス板10の表面12に、切断予定線に沿ったスクライブ線(溝線)を形成する必要がない。
強化ガラス板10の表面12上において、レーザ光20の照射領域22は、強化ガラス板10の端部から内側に向けて、切断予定線に沿って、直線状や曲線状に移動される。これによって、強化ガラス板10の端部から内側に向けてクラック30を伸展させ、強化ガラス板10を切断する。
強化ガラス板10の表面12上において、レーザ光20の照射領域22を移動させるため、強化ガラス板10を支持する保持具を、移動又は回転してもよいし、レーザ光20の光源を移動してもよい。また、レーザ光20の経路の途中に設けられるミラーを回転してもよい。
強化ガラス板10の表面12上において、レーザ光20の照射領域22は、強化ガラス板10の厚さや、最大残留圧縮応力CS、内部残留引張応力CT、表面層13や裏面層15の厚さDOL、レーザ光20の光源の出力などに応じた速度で移動される。
レーザ光20の光源としては、特に限定されないが、例えば、UVレーザ(波長:355nm)、グリーンレーザ(波長:532nm)、半導体レーザ(波長:808nm、940nm、975nm)、ファイバーレーザ(波長:1060〜1100nm)、YAGレーザ(波長:1064nm、2080nm、2940nm)などが挙げられる。レーザ光20の発振方式に制限はなく、レーザ光を連続発振するCWレーザ、レーザ光を断続発振するパルスレーザのいずれも使用可能である。また、レーザ光20の強度分布に制限はなく、ガウシアン型であっても、トップハット型であってもよい。
光源から出射されたレーザ光20は、集光レンズなどで集光され、強化ガラス板10の表面12に結像される。レーザ光20の集光位置は、強化ガラス板10の表面12を基準として、レーザ光源側であってもよいし、裏面14側であってもよい。また、加熱温度が高くなりすぎない、すなわち徐冷点以下を保てる集光面積であれば、レーザ光20の集光位置は強化ガラス板10中であってもよい。
レーザ光20の光軸は、強化ガラス板10の表面12において、例えば図3に示すように表面12と直交していてもよいし、表面12と斜めに交わっていてもよい。
レーザ光20に対する強化ガラス板10の吸収係数をα(cm−1)、強化ガラス板10の厚さをt(cm)として、強化ガラス板10とレーザ光20とが、0<α×t≦3.0の式を満たす場合、レーザ光20のみの作用ではなく、中間層17の残留引張応力によるクラックの伸展を利用して強化ガラス板10を切断することができる。すなわち、上記条件で、レーザ光20の照射領域22における中間層17を徐冷点以下の温度で加熱することによって、中間層17の残留引張応力によって強化ガラス板10に生じるクラック30の伸展を制御して、残留引張応力によるクラック30によって強化ガラス板10を切断することが可能となる。なお、中間層17を徐冷点以下の温度で加熱するのは、徐冷点を超えて加熱すると、レーザ光が通過する短時間でもガラスが高温となり粘性流動が発生しやすい状態となるため、この粘性流動によりレーザ光によって発生させた圧縮応力が緩和されるからである。
強化ガラス板10に入射する前のレーザ光20の強度をIとし、強化ガラス板10中を距離L(cm)だけ移動したときのレーザ光20の強度をIとすると、I=I×exp(−α×L)の式が成立する。この式は、ランベルト・ベールの法則と呼ばれるものである。
α×tを0より大きく3.0以下とすることで、レーザ光20が、強化ガラス板10の表面で吸収されずに内部にまで到達するようになるため、強化ガラス板10の内部を十分に加熱できる。その結果、強化ガラス板10に生じる応力は、図1に示す状態から、図4や図5に示す状態に変化する。
図4は、図3のA−A線に沿った断面図であって、レーザ光の照射領域を含む断面図である。図5は、図3のB−B線に沿った断面図であって、図4に示す断面よりも後方の断面である。ここで、「後方」とは、レーザ光20の走査方向後方を意味する。図4及び図5において、矢印の方向は、応力の作用方向を示し、矢印の長さは、応力の大きさを示す。
レーザ光20の照射領域22における中間層17では、レーザ光20の強度が十分に高いので、温度が周辺に比べて高くなり、図1及び図2に示す残留引張応力よりも小さい引張応力、又は、圧縮応力が生じる。残留引張応力よりも小さい引張応力、又は、圧縮応力が生じている部分では、クラック30の伸展が抑制される。クラック30の伸展を確実に防止するため、図4に示すように、圧縮応力が生じていることが好ましい。
なお、図4に示すように、レーザ光20の照射領域22における表面層13や裏面層15では、図1及び図2に示す残留圧縮応力よりも大きい圧縮応力が生じているので、クラック30の伸展が抑制されている。
図4に示す圧縮応力との釣り合いのため、図4に示す断面よりも後方の断面では、図5に示すように、中間層17に引張応力が生じる。この引張応力は、残留引張応力よりも大きく、引張応力が所定値に達している部分に、クラック30が形成される。クラック30は強化ガラス板10の表面12から裏面14まで貫通しており、図3に示す切断は所謂フルカット切断である。
この状態で、レーザ光20の照射領域22を移動させると、照射領域22の位置に追従するようにクラック30の先端位置が移動する。すなわち、図3に示す切断方法では、強化ガラス板10を切断する際に、レーザ光の走査方向後方に発生する引張応力(図5参照)によりクラック30の伸展方向を制御し、レーザ光が照射されている領域に発生する圧縮応力(図4参照)を用いて、クラック30の伸展をおさえながら切断している。よって、クラック30が切断予定線から外れて自走することを抑制することができる。
ガラスは、用途によっては、高い透明度が要求されるので、使用レーザ波長が可視光の波長領域に近い場合はα×tは0に近い程よい。しかし、α×tは、小さすぎると吸収効率が悪くなるので、好ましくは0.0005以上(レーザ光吸収率0.05%以上)、より好ましくは0.002以上(レーザ光吸収率0.2%以上)、さらに好ましくは0.004以上(レーザ光吸収率0.4%以上)である。
ガラスは、用途によっては、逆に低い透明度が要求されるので、使用レーザ波長が可視光の波長領域に近い場合はα×tは大きい程よい。しかし、α×tが大きすぎるとレーザ光の表面吸収が大きくなるのでクラック伸展を制御できなくなる。このため、α×tは、好ましくは3.0以下(レーザ光吸収率95%以下)、より好ましくは0.1以下(レーザ光吸収率10%以下)、さらに好ましくは0.02以下(レーザ光吸収率2%以下)である。
ところで、中間層17の内部残留引張応力CTが30MPa以上になると、中間層17の残留引張応力のみで、強化ガラス板10に形成されたクラックが自然に伸展する(自走する)ことが分かっている。そこで、切断に使用される引張応力のうち、中間層17の残留引張応力が、レーザ光20によって発生する引張応力よりも支配的となるように、内部残留引張応力CTは、15MPa以上であることが好ましい。これによって、強化ガラス板10の内部において、引張応力が所定値に達する位置、即ち、クラック30の先端位置と、レーザ光20の位置との間の距離が十分に短くなるので、切断精度を向上できる。
中間層17の内部残留引張応力CTは、より好ましくは30MPa以上、さらに好ましくは40MPa以上である。内部残留引張応力CTが30MPa以上であると、切断に使用される引張応力は中間層17の残留引張応力のみとなり、切断線の軌跡精度をさらに向上できる。
吸収係数αは、レーザ光20の波長、強化ガラス板10のガラス組成などで定まる。例えば、強化ガラス板10中の酸化鉄(FeO、Fe、Feを含む)の含有量、酸化コバルト(CoO、Co、Coを含む)の含有量、酸化銅(CuO、CuOを含む)の含有量が多くなる程、1000nm付近の近赤外線波長領域での吸収係数αが大きくなる。さらに、強化ガラス板10中の希土類元素(例えばYb)の酸化物の含有量が多くなる程、希土類原子の吸収波長付近で吸収係数αが大きくなる。
1000nm付近の近赤外線波長領域での吸収係数αは、用途に応じて設定される。例えば、自動車用窓ガラスの場合、吸収係数αは3cm−1以下であることが好ましい。また、建築用窓ガラスの場合、吸収係数αは0.6cm−1以下であることが好ましい。また、ディスプレイ用ガラスの場合、吸収係数αは0.2cm−1以下であることが好ましい。
レーザ光20の波長は、250〜5000nmであることが好ましい。レーザ光20の波長を250〜5000nmとすることで、レーザ光20の透過率と、レーザ光20による加熱効率とを両立できる。レーザ光20の波長は、より好ましくは300〜4000nm、さらに好ましくは800〜3000nmである。
強化ガラス板10中の酸化鉄の含有量は、強化ガラス板10を構成するガラスの種類によるが、ソーダライムガラスの場合、例えば0.02〜1.0質量%である。この範囲で酸化鉄の含有量を調節することで、1000nm付近の近赤外線波長領域でのα×tを所望の範囲に調節可能である。酸化鉄の含有量を調節する代わりに、酸化コバルトや酸化銅、希土類元素の酸化物の含有量を調節してもよい。
強化ガラス板10の厚さtは、用途に応じて設定されるが、0.01〜0.2cmであることが好ましい。化学強化ガラスの場合、厚さtを0.2cm以下とすることで、内部残留引張応力CTを十分に高めることができる。一方、厚さtが0.01cm未満になると、ガラスに化学強化処理を施すことが難しい。厚さtは、より好ましくは0.03〜0.15cm、さらに好ましくは0.05〜0.15cmである。
さらに、本実施の形態に係る強化ガラス板の切断方法について詳細に説明する。図6は、本実施の形態に係る強化ガラス板の切断方法を説明するための図である。図6は、強化ガラス板10を上面から見た図である。また、強化ガラス板10に示す破線は、上記で説明した切断方法を用いて、強化ガラス板10から強化ガラスパネル40を切り出すための第1の切断予定線35aを示している。強化ガラスパネル40は、所定の曲率半径Rを有する4つのコーナー部C1、C2、C3、C4、及び直線部41、42、43、44を有する四角形状である。なお、図6に示す強化ガラスパネル40の形状は一例であり、他の任意の形状の強化ガラスパネル40を強化ガラス板10から切り出す場合にも、本実施の形態に係る強化ガラスの切断方法を用いることができる。
1回目に強化ガラス板10から強化ガラスパネル40を切り出す際は、第1の切断予定線35aを通過するようにレーザ光を走査する。具体的には、直線部41の延長上の端面に位置する切断開始位置45からレーザ光の走査を開始する。そして、直線部41、コーナー部C1、直線部42、コーナー部C2、直線部43、コーナー部C3、直線部44、コーナー部C4、を経由して、コーナー部C4と直線部41との接続点である切断終了位置46までレーザ光を走査する。このとき、切断開始位置45、つまり強化ガラス板10の端部には初期クラックが予め形成されている。初期クラックは、例えばカッタ、ヤスリ、レーザで形成することができる。
上述のように、強化ガラス板10を切断する際、レーザ光が照射されている領域に発生する圧縮応力(図4参照)を用いて、レーザ光の走査方向後方に発生する引張応力(図5参照)によるクラックの伸展を抑えながら切断している。このとき、走査方向後方に発生する引張応力によるクラックの伸展は、レーザ光の走査軌跡の接線方向に向かう性質がある。このため、図6に示す強化ガラスパネル40では、4つのコーナー部C1、C2、C3、C4では切断線が第1の切断予定線35aからその外側にずれ易い。なお、コーナー部C1、C2、C3、C4の曲率半径Rが小さい程(つまり、カーブが急になる程)、クラックの伸展方向を制御するのが難くなる。
本実施の形態に係る切断方法の1つの特徴は、強化ガラスパネル40の設計形状(第1の切断予定線35a)に沿ってレーザ光を走査することにより切り出された強化ガラスパネル40の寸法誤差に基づいて、レーザ光の走査経路を補正することである。これにより、特にコーナー部における設計形状からのずれ(寸法誤差)を低減することができる。図7を参照してこの点について、説明する。図7は、図6におけるコーナー部C1近傍の拡大図である。
図7には、第1の切断予定線35aと、第1の切断予定線35aに沿ってレーザ光を走査した場合の実際の切断線351と、第1の切断予定線35aを寸法誤差Δ1だけシフトした第2の切断予定線35bと、の関係が、模式的に図示されている。第1の切断予定線35a、第2の切断予定線35bは破線、切断線351は実線で示されている。
まず、設計形状つまり第1の切断予定線35aに沿ってレーザ光を走査し、1枚目の強化ガラスパネル40を切り出す。この場合、実際の切断線351は、図7に示すように、コーナー部C1の外側にはみ出した形状となる。
次に、実際の切断線351により切り出された1枚目の強化ガラスパネル40の形状を測定する。そして、測定された1枚目の強化ガラスパネル40の切断形状と設計形状とを比較することにより、切断形状の寸法誤差Δ1を求める。例えば、第1の切断予定線35aの法線方向における切断線351との距離を寸法誤差Δ1とする。ここで、図7に示すように、設計形状は第1の切断予定線35aにより規定され、切断形状は切断線351により規定される。
次に、第1の切断予定線35aを、第1の切断予定線35a(設計形状)の法線方向において、切断線351(切断形状)と反対側に寸法誤差Δ1だけシフトし、第2の切断予定線35bとする。
そして、2枚目の強化ガラス板10について、第2の切断予定線35bに沿って、レーザ光を走査し、2枚目の強化ガラスパネル40を切り出す。
以下については図示されていないが、2枚目の強化ガラスパネル40の切断形状の寸法誤差Δ2が所望の許容範囲以内であれば、3枚目以降の強化ガラス板10についても、第2の切断予定線35bに沿って、レーザ光を走査し、強化ガラスパネル40を切り出す。
一方、2枚目の強化ガラスパネル40の切断形状の寸法誤差Δ2が所望の許容範囲以内でなければ、上記と同様の操作を繰り返す。つまり、第2の切断予定線35bを、第1の切断予定線35a(設計形状)の法線方向において、寸法誤差Δ2だけさらにシフトし、第3の切断予定線とする。そして、この第3の切断予定線に沿って、レーザ光を走査し、3枚目の強化ガラスパネル40を切り出す。
このように、本実施の形態に係る強化ガラス板の切断方法では、1回目の切断での寸法誤差Δ1を2回目の切断にフィードバックすることにより、2回目の切断での寸法誤差を低減するように、レーザ光20の照射領域の走査経路を補正することができる。図7の例では、1回目の走査経路である第1の切断予定線35aから2回目の走査経路である第2の切断予定線35bへ補正している。これにより、特にコーナー部における設計形状からのずれ(寸法誤差)を低減することができ、切り出された強化ガラスパネルの寸法不良を効果的に抑制することができる。
ここで、寸法誤差Δ1は、第1の切断予定線35a上の位置により変化する変数である。図7の例では、第2の切断予定線35bを決定するためのシフト量として寸法誤差Δ1そのものを用いている。しかしながら、寸法誤差Δ1に応じた値(つまり寸法誤差Δ1を変数とする何らかの関数の値)をシフト量として第2の切断予定線35bを決定すればよい。単純な例としては、寸法誤差Δ1に所定の係数を掛けた値をシフト量として第2の切断予定線35bを決定してもよい。
上述のように、1枚目の強化ガラスパネル40の切断形状の寸法誤差Δ1に応じて切断予定線を補正するとは言え、寸法誤差Δ1は、そもそも小さい方が好ましい。単位照射面積あたりのレーザ光の照射エネルギーが大きいほど、レーザ光に対するクラック伸展の追従性が向上し、寸法誤差Δ1も小さくすることができる。そのため、コーナー部C1、C2、C3、C4において直線部41、42、43、44よりも強化ガラス板10に照射される単位照射面積あたりのレーザ光の照射エネルギーを大きくするのが好ましい。ここで、曲率半径Rが小さい程、単位照射面積あたりのレーザ光の照射エネルギーを大きくするのが好ましい。このような手法により、直線部でのエネルギー効率を維持しつつ、コーナー部での切断精度を向上させることができる。
単位照射面積あたりのレーザ光の照射エネルギーE(J/mm)は、レーザ光の出力(レーザ出力)をP(W)、レーザ光の走査速度をv(mm/s)、強化ガラス板10に照射されるレーザ光のビーム径をφ(mm)とすると、次の式1で表すことができる。
E(J/mm)=P(W)/(v(mm/s)×φ(mm)) ・・・式1
すなわち、単位照射面積あたりのレーザ光の照射エネルギーE(J/mm)は、レーザ光が単位時間(1秒間)に強化ガラス板10を走査する面積あたりのエネルギーである。以下では、単位照射面積あたりのレーザ光の照射エネルギーを、単位照射エネルギーとも記載する。
例えば、上記の式1より、レーザ光の照射領域の移動速度(走査速度)v(mm/s)を遅くすることで、単位照射エネルギーE(J/mm)を大きくすることができる。また、レーザ出力P(W)を大きくすることで、単位照射エネルギーE(J/mm)を大きくすることができる。また、レーザ光の照射領域の面積(つまり、ビーム径φ)を小さくすることで、単位照射エネルギーE(J/mm)を大きくすることができる。
また、強化ガラス板10の吸収係数αが大きくなるにつれて、単位照射面積あたりのレーザ光の照射エネルギーE(J/mm)を小さくしてもよい。吸収係数αが大きい場合は、強化ガラス板10に吸収されるエネルギーが多くなるため、その分だけ単位照射面積あたりのレーザ光の照射エネルギーE(J/mm)を小さくすることができる。
また、強化ガラス板の厚さtが厚くなるにつれて、単位照射面積あたりのレーザ光の照射エネルギーE(J/mm)を大きくしてもよい。強化ガラス板の厚さtが厚い場合は、強化ガラス板10に供給するエネルギーを多くする必要があるため、単位照射面積あたりのレーザ光の照射エネルギーE(J/mm)を大きくすることが好ましい。また、強化ガラス板10の熱膨張係数が大きくなるにつれて、単位照射面積あたりのレーザ光の照射エネルギーE(J/mm)を小さくしてもよい。強化ガラス板10の熱膨張係数が大きいとレーザ光の走査方向後方に発生する引張応力が大きくなるため、その分だけ単位照射面積あたりのレーザ光の照射エネルギーE(J/mm)を小さくすることができる。
ここで、直線部41、42、43、44において照射するレーザ光の単位照射エネルギーをE1と、コーナー部C1、C2、C3、C4において照射するレーザ光の単位照射エネルギーをE2(>E1)と、を切り換えるものとする。例えば、直線部41からコーナー部C1へ移行する際に、単位照射エネルギーをE1からE2に切り換え、コーナー部C1から直線部42へ移行する際に、単位照射エネルギーをE2からE1に切り換える。他のコーナー部C2〜C4においても同様に、単位照射エネルギーを切り換える。
ここで、単位照射エネルギーE1、E2の切り換えは、生産性を考えた場合、できる限り短時間で行うことが好ましい。
しかしながら、発明者は、コーナー部から直線部への移行点(つまり、コーナー部の出口)において、高い単位照射エネルギーE2から低い単位照射エネルギーE1へ急激に切り換えると、切断線が第1の切断予定線35aから外側へはみ出し、切り出された強化ガラスパネル40が寸法不良となるおそれがあることを見出した。
また、発明者は、コーナー部出口における単位照射エネルギーの切換速度を制限する(低く抑える)ことにより、第1の切断予定線35aからのずれ量(つまり寸法誤差)を抑制できることを見出した。ここで、単位照射エネルギーの切換速度とは、単位時間当たりの単位照射エネルギーの変化量である。つまり、単位照射エネルギーの変化量をΔE(=E2−E1)、その切り換えに要する時間をTとすると、単位照射エネルギーの切換速度はΔE/Tと表すことができる。さらに、コーナー部出口での走査速度の切換位置を、コーナー部から直線部への移行点よりも所定の距離だけ直線部に沿って移動した点とすることにより、寸法誤差をさらに抑制できることを見出した。つまり、コーナー部から直線部へ移行した後、前記所定の距離の間は、コーナー部での速度を維持することが好ましい。
ここで、直線部からコーナー部へ移行する際には上記はみ出しの問題は生じないから、このポイントにおける単位照射エネルギーの切換速度は、速い程好ましい。従って、コーナー部から直線部への移行点における単位照射エネルギーの切換速度は、直線部からコーナー部への移行点における単位照射エネルギーの切換速度よりも小さくすればよい。
次に、図8を参照して、本実施の形態に係る強化ガラス板切断システムについて説明する。このシステムは上述の強化ガラスの切断方法を実施するためのものである。図8は、本実施の形態に係る強化ガラス板切断システムのブロック図である。本実施の形態に係る強化ガラス板切断システムは、強化ガラス板切断装置60及び寸法測定装置70を備えている。ここで、強化ガラス板切断装置60は、レーザ出力部61、ガラス保持部62、制御部63、制御プログラム生成部64、形状データ補正部65、記憶部66を有する。また、寸法測定装置70は、測定部71、形状誤差算出部72を有する。
レーザ出力部61は、強化ガラス板10を切断するためのレーザ光20を出力する。レーザ光20の光源としては、例えば、UVレーザ(波長:355nm)、グリーンレーザ(波長:532nm)、半導体レーザ(波長:808nm、940nm、975nm)、ファイバーレーザ(波長:1060〜1100nm)、YAGレーザ(波長:1064nm、2080nm、2940nm)などを用いることができる。レーザ出力部61は、レーザ光の焦点を調整するための光学系を備えている。また、レーザ光の照射部にノズルを配置してもよい。レーザ光のパワー(レーザ出力)、レーザ光のビーム径(焦点)、レーザ照射のタイミングなどは、制御部63を用いて制御される。
ここで、近赤外のレーザ光を用いる場合、近赤外における吸収を増加させるために強化ガラス板にFe等の不純物を添加する必要がある。近赤外において吸収特性を持つ不純物を添加した場合、可視光領域の吸収特性にも影響を与えるため、強化ガラス板の色味や透過率に影響を及ぼす場合がある。このようなことを防止するために、レーザ光20の光源として、波長が2500〜5000nmの中赤外のレーザを用いてもよい。波長が2500〜5000nmの帯域ではガラス自体の分子振動に起因する吸収が発生するため、Fe等の不純物の添加が不要となる。
ガラス保持部62は、加工対象である強化ガラス板10を保持する。例えば、ガラス保持部62は、加工対象である強化ガラス板10を、多孔質板等を用いて吸着することで保持してもよい。ガラス保持部62は、制御部63を用いて制御される。
また、強化ガラス板10を所定の方向に移動することができてもよい。例えば、ガラス保持部62は、レーザ光が強化ガラス板10の切断予定線を走査するように、強化ガラス板10を移動することができてもよい。
また、ガラス保持部62は、強化ガラス板10の位置を決定するための画像検出器を備えていてもよい。位置決め用の画像検出器を備えることで、強化ガラス板10の加工精度を向上させることができる。
なお、図8に示した強化ガラス板切断装置60では、強化ガラス板10上でレーザ光20の照射領域を移動させることにより、強化ガラス板10を切断する。このとき、ガラス保持部62に保持されている強化ガラス板10を固定し、レーザ出力部61を移動させることで、レーザ光20の照射領域を強化ガラス板10上で移動させる。反対に、レーザ出力部61を固定し、ガラス保持部62に保持されている強化ガラス板10を移動させてもよい。また、ガラス保持部62に保持されている強化ガラス板10とレーザ出力部61の両方が移動するように構成してもよい。
制御部63は、レーザ出力部61及びガラス保持部62を、制御プログラム生成部64で生成された制御プログラムCP1、CP2に基づき制御する。具体的には、制御部63は、1回目の切断の際、制御プログラム生成部64が出力した制御プログラムCP1に基づいて、レーザ光20の照射領域が、図7に示した第1の切断予定線35aに沿って移動するように制御する。また、制御部63は、2回目の切断の際、制御プログラム生成部64が出力した制御プログラムCP2に基づいて、レーザ光20の照射領域が、図7に示した第2の切断予定線35bに沿って移動するように制御する。
ここで、2回目の切断により切り出された強化ガラスパネル40の寸法誤差Δ2が許容範囲以内であれば、3回目以降の切断でも、2回目の切断に用いた制御プログラムCP2が用いられる。他方、2回目の切断により切り出された強化ガラスパネル40の寸法誤差Δ2が許容範囲以内でなければ、3回目の切断の際、制御部63は、新たな制御プログラムCP3(図8には図示せず)が用いられる。
制御プログラム生成部64は、設計形状データD1又は補正形状データD2に基づいて、レーザ出力部61及びガラス保持部62を制御するための制御プログラムCP1、CP2を生成する。具体的には、制御プログラム生成部64は、1回目の切断の際、設計形状データD1に基づいて、レーザ光20の照射領域が、図7における第1の切断予定線35aに沿って移動するように制御するための制御プログラムCP1を生成し、制御部63に出力する。また、制御プログラム生成部64は、2回目の切断の際、形状データ補正部65から出力された補正形状データD2に基づいて、レーザ光20の照射領域が、図7における第2の切断予定線35bに沿って移動するように制御するための制御プログラムCP2を生成し、制御部63に出力する。
ここで、2回目の切断により切り出された強化ガラスパネル40の寸法誤差Δ2が許容範囲以内であれば、制御プログラム生成部64は、新たな制御プログラムを生成しない。他方、2回目の切断により切り出された強化ガラスパネル40の寸法誤差Δ2が許容範囲以内でなければ、3回目の切断の際、制御プログラム生成部64は、新たな制御プログラムCP3(図8には図示せず)を生成する。
形状データ補正部65は、記憶部66に格納された設計形状データD1と、寸法測定装置70の形状誤差算出部72から出力された寸法誤差Δ1とに基づいて、2回目の切断に使用する補正形状データD2を生成する。そのため、形状データ補正部65は、1回目の切断が終了するまでは動作しない。
ここで、2回目の切断により切り出された強化ガラスパネル40の寸法誤差Δ2が許容範囲以内であれば、形状データ補正部65は、新たな補正形状データを生成しない。他方、2回目の切断により切り出された強化ガラスパネル40の寸法誤差Δ2が許容範囲以内でなければ、3回目の切断の際、形状データ補正部65は、記憶部66に格納された補正形状データD2と、2回目の切断での寸法誤差Δ2とに基づいて、3回目の切断に使用する新たな補正形状データD3(図8には図示せず)を生成する。
記憶部66には、1回目の切断の際、設計形状データD1が格納される。また、2回目の切断の際、記憶部66に格納されている設計形状データD1は、形状データ補正部65が出力する補正形状データD2に更新される。
また、2回目の切断により切り出された強化ガラスパネル40の寸法誤差Δ2が許容範囲以内であれば、記憶部66に格納されている補正形状データD2は更新されない。他方、2回目の切断により切り出された強化ガラスパネル40の寸法誤差Δ2が許容範囲以内でなければ、形状データ補正部65が新たな補正形状データD3(図8には図示せず)を生成するため、記憶部66に格納されている補正形状データD2も補正形状データD3へ更新される。
寸法測定装置70としては、例えばコンピュータ数値制御(CNC:Computer Numerical Control)を利用した画像測定装置が好適である。
測定部71は、強化ガラス板10から切り出された強化ガラスパネル40の寸法を測定し、1回目の測定データM1、2回目の測定データM2を形状誤差算出部72へ出力する。例えば、測定部71は、撮影された強化ガラスパネル40の画像から強化ガラスパネル40の外周エッジを検出し、その位置情報(例えば座標データ)を測定データM1、M2として出力する。3回目以降の測定データについても同様である。
形状誤差算出部72は、1回目の切断の際、設計形状データD1と1回目の測定データM1とをマッチングした上で、両者の差である寸法誤差Δ1を算出し、出力する。この寸法誤差Δ1は形状データ補正部65へ入力される。また、2回目の切断の際、設計形状データD1と2回目の測定データM2とをマッチングした上で、両者の差である寸法誤差Δ2を算出し、出力する。3回目以降の切断でも、同様に、設計形状データD1と測定データとをマッチングした上で、両者の差である寸法誤差を算出し、出力する。
ここで、2回目の切断により切り出された強化ガラスパネル40の寸法誤差Δ2が許容範囲以内であれば、新たな補正形状データを生成する必要がないため、寸法誤差Δ2は形状データ補正部65へ入力されない。他方、2回目の切断により切り出された強化ガラスパネル40の寸法誤差Δ2が許容範囲以内でなければ、新たな補正形状データを生成する必要があるため、寸法誤差Δ2が、形状データ補正部65へ入力される。
以上に説明したように、本実施の形態に係る強化ガラス板切断システムは、記憶部66に格納された設計形状データD1と、形状誤差算出部72から出力された寸法誤差Δ1とに基づいて、2回目の切断に使用する補正形状データD2を生成する形状データ補正部65を備えている。
このような構成により、1回目の寸法誤差Δ1を2回目以降の切断にフィードバックし、2回目以降の切断の寸法誤差を低減するように、レーザ光20の照射領域の走査経路を補正することができる。そのため、切り出された強化ガラスパネルの寸法不良を効果的に抑制することができる。
なお、図8の構成では、形状データ補正部65及び記憶部66は強化ガラス板切断装置60に含まれ、形状誤差算出部72が寸法測定装置70に含まれている。しかしながら、これら機能ブロックが設けられる場所は、特に限定されるものではない。例えば、形状誤差算出部72が強化ガラス板切断装置60に含まれるような構成でもよい。また、形状データ補正部65及び記憶部66が寸法測定装置70に含まれるような構成でもよい。
次に、図9を参照して、1回目の切断の動作について説明する。図9は、図8のブロック図において、1回目の切断でのデータの流れを示す図である。
まず、設計形状データD1が、制御プログラム生成部64に入力されると共に、記憶部66へ格納される。ここで、設計形状データD1は、図7における第1の切断予定線35aを構成する。
次に、制御プログラム生成部64は、設計形状データD1に基づいて、レーザ光20の照射領域が第1の切断予定線35aに沿って移動するように制御する制御プログラムCP1を生成し、制御部63に出力する。
次に、制御部63は、制御プログラム生成部64が出力した制御プログラムCP1に基づいて、レーザ出力部61及びガラス保持部62を制御する。つまり、レーザ光20の照射領域が、図7に示した第1の切断予定線35aに沿って移動するように制御する。
次に、強化ガラス板10から切り出された強化ガラスパネル40が寸法測定装置70の測定部71に搬送される。測定部71は、強化ガラスパネル40の寸法を測定し、1回目の測定データM1を形状誤差算出部72へ出力する。ここで、測定データM1は、図7における切断線351を構成する。
最後に、形状誤差算出部72は、設計形状データD1(図7における第1の切断予定線35a)と1回目の測定データM1(図7における切断線351)とをマッチングした上で、両者の差である寸法誤差Δ1を算出し、形状データ補正部65へ出力する。
次に、図10を参照して、2回目の切断の動作について説明する。図10は、図8のブロック図において、2回目の切断でのデータの流れを示す図である。
まず、形状データ補正部65は、記憶部66に格納された設計形状データD1と、形状誤差算出部72から出力された寸法誤差Δ1とに基づいて、2回目の切断に使用する補正形状データD2を生成する。ここで、補正形状データD2は、図7に示したように、第1の切断予定線35aを寸法誤差Δ1だけシフトした第2の切断予定線35bを構成する。
次に、制御プログラム生成部64は、形状データ補正部65から出力された補正形状データD2に基づいて、レーザ光20の照射領域が、第2の切断予定線35bに沿って移動するように制御する制御プログラムCP2を生成し、制御部63に出力する。
次に、制御部63は、制御プログラム生成部64が出力した制御プログラムCP2に基づいて、レーザ出力部61及びガラス保持部62を制御する。つまり、レーザ光20の照射領域が、図7に示した第2の切断予定線35bに沿って移動するように制御する。
次に、強化ガラス板10から切り出された強化ガラスパネル40が寸法測定装置70の測定部71に搬送される。測定部71は、強化ガラスパネル40の寸法を測定し、2回目の測定データM2を形状誤差算出部72へ出力する。
最後に、形状誤差算出部72は、設計形状データD1と2回目の測定データM2とをマッチングした上で、両者の差である寸法誤差Δ2を算出し、出力する。
ここで、2回目の切断により切り出された強化ガラスパネル40の寸法誤差Δ2が許容範囲以内であれば、3回目以降の切断でも、2回目の切断に用いた制御プログラムCP2が用いられる。他方、2回目の切断により切り出された強化ガラスパネル40の寸法誤差Δ2が許容範囲以内でなければ、3回目の切断の際、制御部63は、新たな制御プログラムCP3が生成される。
次に、図11を参照して、2回目の切断での寸法誤差Δ2が許容範囲以内でない場合の3回目の切断の動作について説明する。図11は、図8のブロック図において、3回目の切断でのデータの流れを示す図である(2回目の切断での寸法誤差Δ2が許容範囲以内でない場合)。
まず、形状データ補正部65は、記憶部66に格納された補正形状データD2と、形状誤差算出部72から出力された寸法誤差Δ2とに基づいて、3回目の切断に使用する補正形状データD3を生成する。ここで、補正形状データD3は、第2の切断予定線35bをさらに寸法誤差Δ2だけシフトした第3の切断予定線(不図示)を構成する。
次に、制御プログラム生成部64は、形状データ補正部65から出力された補正形状データD3に基づいて、レーザ光20の照射領域が、第3の切断予定線に沿って移動するように制御するための制御プログラムCP3を生成し、制御部63に出力する。
次に、制御部63は、制御プログラム生成部64が出力した制御プログラムCP3に基づいて、レーザ出力部61及びガラス保持部62を制御する。つまり、レーザ光20の照射領域が、第3の切断予定線に沿って移動するように制御する。
次に、強化ガラス板10から切り出された強化ガラスパネル40が寸法測定装置70の測定部71に搬送される。測定部71は、強化ガラスパネル40の寸法を測定し、3回目の測定データM3を形状誤差算出部72へ出力する。
最後に、形状誤差算出部72は、設計形状データD1と3回目の測定データM3とをマッチングした上で、両者の差である寸法誤差Δ3を算出し、出力する。
ここで、3回目の切断により切り出された強化ガラスパネル40の寸法誤差Δ3が許容範囲以内であれば、4回目以降の切断でも、3回目の切断に用いた制御プログラムCP3が用いられる。
仮に、3回目の切断により切り出された強化ガラスパネル40の寸法誤差Δ3が許容範囲以内でなければ、4回目の切断でも、上記手法により新たな制御プログラムを生成すればよい。
次に、図12を参照して、本実施の形態の比較例に係る強化ガラス板切断システムについて説明する。図12は、本実施の形態の比較例に係る強化ガラス板切断システムのブロック図である。比較例に係る強化ガラス板切断システムも、強化ガラス板切断装置60及び寸法測定装置70を備えている。しかしながら、図8に示した本実施の形態に係る強化ガラス板切断システムと比較すると、強化ガラス板切断装置60が、形状データ補正部65、記憶部66を有していない。
次に、図12を参照して、比較例に係る強化ガラス板切断システムの動作について説明する。
まず、図7における第1の切断予定線35aを構成する設計形状データD1が、制御プログラム生成部64に入力される。
次に、制御プログラム生成部64は、設計形状データD1に基づいて、レーザ光20の照射領域が第1の切断予定線35aに沿って移動するように制御する制御プログラムCPを生成し、制御部63に出力する。
次に、制御部63は、制御プログラム生成部64が出力した制御プログラムCPに基づいて、レーザ出力部61及びガラス保持部62を制御する。つまり、レーザ光20の照射領域が、図7に示した第1の切断予定線35aに沿って移動するように制御する。
次に、強化ガラス板10から切り出された強化ガラスパネル40が寸法測定装置70の測定部71に搬送される。測定部71は、強化ガラスパネル40の寸法を測定し、測定データMを形状誤差算出部72へ出力する。
最後に、形状誤差算出部72は、設計形状データD1と測定データMとをマッチングした上で、両者の差である寸法誤差Δを算出し、出力する。
比較例に係る強化ガラス板切断システムでは、寸法誤差Δを切断にフィードバックすることができないため、切り出された強化ガラスパネルの寸法不良を効果的に抑制することができない。
これに対し、本実施の形態に係る強化ガラス板切断システムでは、1回目の切断での寸法誤差Δ1を2回目の切断にフィードバックし、2回目の切断での寸法誤差を低減するように、レーザ光20の照射領域の走査経路を補正する。そのため、切り出された強化ガラスパネルの寸法不良を効果的に抑制することができる。
以下、本発明の具体的な実施例について説明する。実施例1では、1回目の切断での寸法誤差Δ1と2回目の切断での寸法誤差Δ2との比較結果に基づいて、実施の形態に係る強化ガラス板切断方法及び強化ガラス板切断システムの効果について説明する。
実施例1では、板厚が0.7mm、表面圧縮応力CSが698MPa、表面層及び裏面層それぞれの厚さDOLが39.0μm、残留引張応力CTが42.4MPaの強化ガラス板を2枚用いた。
切り出す強化ガラスパネル40の設計形状は、長さL=90mm、幅W=50mm、コーナー部の曲率半径R=5mmである。
強化ガラス板の残留引張応力CTは、表面応力計FSM−6000(折原製作所製)にて表面圧縮応力CS及び圧縮応力層(表面層及び裏面層)の厚さDOLを測定し、その測定値と、強化ガラス板の厚さtとから以下の式2を用いて計算した。
CT=(CS×DOL)/(t−2×DOL) ・・・式2
強化ガラス板は、図6、7を参照して説明した切断方法により切断した。強化ガラス板の端部の切断開始位置には、初期クラックを予め形成し、強化ガラス板の表面には、スクライブ線を形成しなかった。レーザ光の光源は、ファイバーレーザ(中心波長帯:1070nm)とした。
1回目(1枚目の強化ガラス板)の切断では、図6に示すような第1の切断予定線35aに沿って、レーザ光20の照射領域を走査させた。切り出した強化ガラスパネル40についての寸法を測定し、寸法誤差Δ1を求めた。
2回目(2枚目の強化ガラス板)の切断では、第1の切断予定線35aを寸法誤差Δ1だけシフトさせた第2の切断予定線35bに沿って、レーザ光20の照射領域を走査させた。切り出した強化ガラスパネル40についての寸法を測定し、寸法誤差Δ2を求めた。
寸法測定及び寸法誤差Δ1、Δ2の導出には、ニコン社製CNC画像測定システムNEXIVシリーズVMR−3020を用いた。
寸法誤差Δ1、Δ2は、図7に示すように、切断線の第1の切断予定線35aからの第1の切断予定線35aの法線方向へのずれ量である。
2枚の強化ガラス板の切断条件は、いずれも以下の通りである。
レーザ出力Pは、150W、ビーム径φは、0.05mmとした。
直線部及びコーナー部でのレーザ光の走査速度v(mm/s)は、それぞれ30mm/s及び5mm/sとした。
従って、直線部とコーナー部とでの走査速度変化量Δv(mm/s)は、25mm/sとなる。
コーナー部出口での走査速度の加速度a(mm/s)は、20mm/sとした。
コーナー部出口での走査速度の切換時間T(s)は、走査速度変化量Δv(mm/s)を加速度a(mm/s)により割ることで求め、25/20=1.25(s)だった。また、コーナー部出口での走査速度の切換位置は、コーナー部から直線部への移行点よりも、当該直線部へ沿って5mm移動した点である。
単位照射エネルギーE(J/mm)は、上記の式1にレーザ出力P(W)、レーザ光の走査速度v(mm/s)、及びビーム径φ(mm)を代入することで求めることができる。その結果、直線部における単位照射エネルギーE(J/mm)は、100J/mm、コーナー部における単位照射エネルギーE(J/mm)は600J/mmであった。従って、直線部とコーナー部とでの単位照射エネルギー変化量ΔE(J/mm)は、500J/mmであった。
コーナー部出口での単位時間当たりの単位照射エネルギー変化量ΔE/T(J/mm/s)は、単位照射エネルギー変化量ΔE(J/mm)を切換時間T(s)により割ることで求め、400J/mm/sとなった。
なお、コーナー部入口での走査速度の加速度は−100mm/s(つまり、減速度100mm/s)とした。そのため、コーナー部入口での走査速度の切換時間T(s)は、0.25(s)、コーナー部入口での単位時間当たりの単位照射エネルギー変化量ΔE/T(J/mm/s)は、2000J/mm/sとなった。なお、コーナー部入口での走査速度の切換位置は、コーナー部から直線部への移行点である。
また、全てのサンプルについて、レーザ光照射側から直径1mmφのノズルを用いて、流量30L/minの空気を吹き付けた。ここで、強化ガラス板とノズル先端との距離(ギャップ)は3mmとした。
図13は、実施例1に係る強化ガラス板の切断方法に用いた冷却ノズルの断面図である。図13に示す冷却ノズル28により、強化ガラス板10の表面12に気体を吹き付ける。図13に示すように、冷却ノズル28は、内部を気体(空気や窒素など)が矢印方向へ流れるように、テーパー状の空洞が形成されている。ここで、冷却ノズル28の軸はレーザ光の光軸と一致しており、レンズ25で集光されたレーザ光20は、冷却ノズル28の内部を通過し、冷却ノズル28の先端に設けられた直径φnの開口部から出射する。また、レーザ光の照射領域の移動と同期して(つまり、レーザ光と同じ走査速度で)移動することができる。このような構成により、レーザ照射部が気体により冷却される。この冷却により、図3に示したクラック30の先端位置と、レーザ光20の照射領域22との間の距離が短くなり、切断精度が向上する。
冷却ノズル28の開口部の直径φn、及び冷却ノズル28の先端と強化ガラス板10の表面12とのギャップG1は任意に決定することができる。ここで、冷却ノズル28の開口部の直径φnが小さい程、強化ガラス板10に吹き付けられる気体の流速が速くなり、強化ガラス板10の表面12における冷却能力が向上する。また、冷却ノズル28の先端と強化ガラス板10の表面との距離G1が小さい程、強化ガラス板10の表面12における冷却能力が向上する。
図14は、1回目の切断での強化ガラスパネル40の寸法測定結果を示す図である。横軸は強化ガラスパネル40の長さ(mm)を、縦軸は強化ガラスパネル40の幅(mm)を示している。
塗りつぶされた領域が、第1の切断予定線35aにより規定される設計形状からのずれ量つまり寸法誤差Δ1を示している。ここで、寸法誤差Δ1は拡大されている。図14に示されるように、コーナー部C1〜C4において、寸法誤差Δ1が大きくなった。寸法誤差Δ1の最大値は150μmであった。
図15は、2回目の切断での強化ガラスパネル40の寸法測定結果を示す図である。
塗りつぶされた領域が第1の切断予定線35aにより規定される設計形状からのずれ量つまり寸法誤差Δ2を示している。ここで、寸法誤差Δ2も寸法誤差Δ1と同じ倍率で拡大されている。図15に示されるように、寸法誤差Δ1に比べ寸法誤差Δ2は著しく改善された。寸法誤差Δ2の最大値は、30μmであり、許容寸法誤差50μmを下回った。
以上のように、図14に示された1回目の切断での寸法誤差Δ1を用いて切断予定線を補正することにより、図15に示すように寸法誤差Δ2を著しく改善することができた。
以上に説明したように、本発明の実施の形態により、切り出された強化ガラスパネルの寸法不良を抑制した強化ガラス板の切断方法、及び強化ガラス板切断装置を提供することができる。
以上、本発明を上記実施形態に即して説明したが、上記実施形態の構成にのみ限定されるものではなく、本願特許請求の範囲の請求項の発明の範囲内で当業者であればなし得る各種変形、修正、組み合わせを含むことは勿論である。
10 強化ガラス板
12 表面
13 表面層
14 裏面
15 裏面層
17 中間層
20 レーザ光
22 照射領域
25 レンズ
28 冷却ノズル
30 クラック
35a 第1の切断予定線
35b 第2の切断予定線
351 切断線
40 強化ガラスパネル
41、42、43、44 直線部
45 切断開始位置
46 切断終了位置
60 強化ガラス板切断装置
61 レーザ出力部
62 ガラス保持部
63 制御部
64 制御プログラム生成部
65 形状データ補正部
66 記憶部
70 寸法測定装置
71 測定部
72 形状誤差算出部
C1、C2、C3、C4 コーナー部

Claims (9)

  1. 圧縮応力が残留する表面層及び裏面層と、当該表面層及び裏面層との間に形成され、引張応力が残留する中間層とを有する強化ガラス板に、レーザ光を照射して切断する強化ガラス板の切断方法であって、
    設計形状に基づく第1の切断予定線に沿って、前記レーザ光を走査することにより、第1のパネルを切り出すステップと、
    切り出された前記第1のパネルの寸法を測定し、第1の寸法誤差を求めるステップと、
    前記第1の寸法誤差に基づいて、前記第1の切断予定線を補正することにより、第2の切断予定線を決定するステップと、
    前記第2の切断予定線に沿って、前記レーザ光を走査することにより、第2のパネルを切り出すステップと、を備えた、強化ガラス板の切断方法。
  2. 前記第1の寸法誤差に基づいて、前記第1の切断予定線を、前記第1の切断予定線の法線方向にシフトさせ、前記第2の切断予定線とすることを特徴とする請求項1に記載の強化ガラス板の切断方法。
  3. 前記第1の切断予定線を、前記第1の切断予定線の法線方向に前記第1の寸法誤差だけシフトさせ、前記第2の切断予定線とすることを特徴とする請求項2に記載の強化ガラス板の切断方法。
  4. 切り出された前記第2のパネルの寸法を測定し、第2の寸法誤差を求めるステップと、
    前記第2の寸法誤差に基づいて、前記第2の切断予定線を補正することにより、第3の切断予定線を決定するステップと、
    前記第3の切断予定線に沿って、前記レーザ光を走査することにより、第3のパネルを切り出すステップと、をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の強化ガラス板の切断方法。
  5. 切り出された前記第2のパネルの寸法を測定し、第2の寸法誤差を求めるステップと、
    前記第2の切断予定線に沿って、前記レーザ光を走査することにより、第3のパネルを切り出すステップと、をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の強化ガラス板の切断方法。
  6. 前記第1の切断予定線がコーナー部と直線部とを含み、
    前記直線部における前記レーザ光の単位照射面積あたりの照射エネルギーE1よりも、前記コーナー部における前記レーザ光の単位照射面積あたりの照射エネルギーE2を、大きくすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の強化ガラス板の切断方法。
  7. 前記コーナー部における前記照射エネルギーE2から前記直線部における前記照射エネルギーE1への切換速度を、前記直線部における前記照射エネルギーE1から前記コーナー部における前記照射エネルギーE2への切換速度よりも、小さくすることを特徴とする請求項6に記載の強化ガラス板の切断方法。
  8. 圧縮応力が残留する表面層及び裏面層と、当該表面層及び裏面層との間に形成され、引張応力が残留する中間層とを有する強化ガラス板に、レーザ光を照射して切断する強化ガラス板切断システムであって、
    前記強化ガラス板の切断予定線に沿って、前記レーザ光が走査するように制御する制御部と、
    前記レーザ光の走査により切り出されたパネルの寸法を測定する測定部と、
    測定された寸法から寸法誤差を算出する寸法誤差算出部と、
    前記寸法誤差に基づいて、前記切断予定線の形状データを補正する補正部と、を備えた、強化ガラス板切断システム。
  9. 前記形状データが格納される記憶部をさらに備えることを特徴とする請求項8に記載の強化ガラス板切断システム。
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