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JP2015197086A - 選択還元型触媒の劣化判定装置 - Google Patents

選択還元型触媒の劣化判定装置 Download PDF

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JP2015197086A JP2014076379A JP2014076379A JP2015197086A JP 2015197086 A JP2015197086 A JP 2015197086A JP 2014076379 A JP2014076379 A JP 2014076379A JP 2014076379 A JP2014076379 A JP 2014076379A JP 2015197086 A JP2015197086 A JP 2015197086A
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Kenji Furui
憲治 古井
知由 小郷
Tomoyoshi Ogo
知由 小郷
大河 萩本
Taiga Hagimoto
大河 萩本
有史 松本
Yuji Matsumoto
有史 松本
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Abstract

【課題】本発明は、SCR触媒の温度が活性温度以上の比較的低い温度域にあるときであっても、該SCR触媒の劣化を判定することができる技術を提供する。
【解決手段】本発明は、尿素水溶液の添加量と、SCR触媒へ流入するNOの量と、SCR触媒から流出するNOの量と、SCR触媒から流出するNHの量と、をパラメータとして用いることにより、SCR触媒において排気中のNOを還元するために消費されたNHの量とSCR触媒においてNOへ転化されるNHの量とNHから転化したNOを還元するために消費されたNHの量との総和に対し、排気中のNOを還元するために消費されたNHの量の割合であるNH利用率を算出し、そのNH利用率が閾値より小さければSCR触媒が劣化していると判定するようにした。
【選択図】図3

Description

本発明は、内燃機関の排気通路に配置された選択還元型触媒(SCR(Selective Catalytic Reduction)触媒)の劣化を判定する技術に関する。
従来、排気中に含まれる窒素酸化物(NO)を浄化するシステムとして、SCR触媒と該SCR触媒より上流の排気中にアンモニア又はアンモニアの前駆体である添加剤を添加する添加装置とを内燃機関の排気通路に配置し、SCR触媒へ流入するNOの量に応じて添加剤を供給するものが知られている。
上記したようなシステムにおいては、SCR触媒の劣化を検出することも重要である。SCR触媒の劣化を検出する技術としては、SCR触媒と、SCR触媒より上流の排気中に尿素水溶液を添加する添加装置と、SCR触媒から流出する排気のNHの濃度を検出するNHセンサと、を備えたシステムにおいて、SCR触媒の温度がその活性温度以上かつそのNHの最大吸着容量が小さくなる高温領域内に設定された劣化判定温度より高いときに、NHセンサの検出値が軽度劣化判定値より大きくなるような量の尿素水を添加装置から供給させ、NHセンサの検出値が軽度劣化判定値以下であれば、SCR触媒が酸化劣化状態にあると判定する技術が提案されている(たとえば、特許文献1を参照)。
特開2013−036345号公報
ところで、上記した従来の技術によると、劣化判定を行える時期は、SCR触媒が高温となる時期に限定される。そのため、SCR触媒の温度が高温域まで上昇しない運転が続くと、劣化判定を行うことができず、SCR触媒の劣化を早期に検出することができなくなる可能性がある。
本発明は、上記したような種々の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、内燃機関の排気通路に配置された選択還元型触媒(SCR触媒)の劣化を判定する装置において、SCR触媒の温度が活性温度以上の比較的低い温度域にあるときであっても、該SCR触媒の劣化を判定することができる技術を提供することにある。
本発明は、上記した課題を解決するために、SCR触媒において消費されるNHの量に対し、SCR触媒へ流入する排気に含まれるNOの還元に消費されるNHの量の割合を求め、その割合に基づいてSCR触媒の劣化を判定するようにした。
詳細には、本発明に係わる選択還元型触媒の劣化判定装置は、
内燃機関の排気通路に配置された選択還元型触媒(SCR触媒)と、
前記選択還元型触媒より上流の排気中にアンモニア又はアンモニアの前駆体である添加剤を添加する添加装置と、
前記選択還元型触媒へ流入するNOの量を取得する第一取得手段と、
前記選択還元型触媒から流出するNOの量を取得する第二取得手段と、
前記選択還元型触媒から流出するアンモニアの量を取得する第三取得手段と、
前記添加装置から排気中へ添加された添加剤の量と、前記第一取得手段により取得されたNOの量と、前記第二取得手段により取得されたNOの量と、前記第三取得手段により取得されたアンモニアの量と、をパラメータとすることにより、前記SCR触媒において消費されたアンモニアの量に対して排気に含まれるNOの還元に消費されたアンモニアの量の割合を演算する演算手段と、
前記演算手段により算出された割合が閾値より小さい場合に前記SCR触媒が劣化しており、前記演算手段により算出された割合が閾値以上である場合に前記SCR触媒が劣化していないと判定する判定手段と、
を備えるようにした。
SCR触媒へ供給されたNHの多くは排気中のNOを還元するために消費されるが、一部のNHは酸化されてNOに転化されたり、NHから転化したNO(以下、「NH由来のNO」と称する)を還元するために消費されたりする。さらに、NOの還元に寄与しないNHの一部は、SCR触媒から流出する(NHスリップ)。
ここで、SCR触媒が劣化すると、NOに転化されるNHの量やNH由来のNOの還元に消費されるNHの量(以下、これらNHの総量を「自己消費量」と称する)が多くなる。それに伴い、SCR触媒へ流入する排気に含まれるNOを還元するために消費されるNHの量(以下、「利用量」と称する)が少なくなる。その結果、SCR触媒において消費されるNHの量(自己消費量と利用量の総和であり、以下では「総消費量」と称する)に対する利用量の割合(以下、「NH利用率」と称する)が小さくなる。
SCR触媒の劣化に伴うNH利用率の低下は、SCR触媒の温度が活性温度以上の比較的低い温度域においても発現する。たとえば、SCR触媒が吸着することができる最大のNH量(最大吸着量)が低下するような温度域より低い温度域においても、上記した現象が発現する。
そこで、本発明の選択還元型触媒の劣化判定装置は、NH利用率が閾値より小さければSCR触媒が劣化していると判定し、該NH利用率が閾値以上であればSCR触媒が劣化していないと判定するようにした。ここでいう「閾値」は、たとえば、SCR触媒から流出するNOの量が法規等で規定された許容量を超えると考えられる最小のNH利用率、又は最小のNH利用率にマージンを加算した値である。
上記した選択還元型触媒の劣化判定装置によれば、SCR触媒の温度が高温域まで上昇しないような運転が行われた場合であっても、SCR触媒の劣化を判定することができる。
なお、NH利用率は、前記添加装置から排気中へ添加された添加剤の量と、前記第一取得手段により取得されたNOの量と、前記第二取得手段により取得されたNOの量と、前記第三取得手段により取得されたアンモニアの量と、をパラメータとして、演算することができる。
ここで、SCR触媒へ供給されるNHの量(以下、「NH供給量」と称する)は、添加装置から添加される添加剤の量と該添加剤の組成とから演算することができる。そして、NH供給量からNHスリップ量を減算することにより、総消費量を算出することができる。また、SCR触媒へ流入するNOの量(NO流入量)とSCR触媒から流出するNOの量(NO流出量)とから、SCR触媒において浄化(還元)されたNOの量(以下、「NO浄化量」と称する)を演算し、NO浄化量と当量比(NO
NHによって還元される際の当量比)とから利用量を演算することができる。このような手順によって総消費量と利用量とが算出されると、利用量を総消費量で除算することにより、NH利用率を算出することができる。
NO流入量は、SCR触媒より上流の排気通路にNOセンサを設け、該NOセンサにより測定されるNO濃度と排気流量(吸入空気量)とから演算することができる。また、NO流入量は、内燃機関の運転条件(たとえば、吸入空気量や燃料噴射量等)から推定(演算)されてもよい。NO流出量は、SCR触媒より下流の排気通路にNOセンサを設け、該NOセンサにより測定されるNO濃度と排気流量とから演算することができる。NHスリップ量は、SCR触媒より下流の排気通路にNHセンサを設け、該NHセンサにより測定されたNH濃度と排気流量とから演算することができる。なお、NHスリップ量は、SCR触媒のNH吸着量やSCR触媒の温度等から推定(演算)されてもよい。
本発明によれば、SCR触媒の温度が活性温度以上の比較的低い温度域にあるときであっても、該SCR触媒の劣化を判定することができる。
本発明を適用する内燃機関の排気系の概略構成を示す図である。 正常時と劣化時におけるNH利用率を示す図である。 SCR触媒の異常判定処理が行われるときに、ECUによって実行される処理ルーチンを示すフローチャートである。 SCR触媒の温度に応じて閾値を変更する例を示す図である。 SCR触媒の温度が一定である場合における尿素水溶液の添加量とSCR触媒の浄化性能との関係を示す図である。 尿素水溶液の添加量とNH利用率との関係を示す図である。 他の実施例において、SCR触媒の異常判定処理が行われるときに、ECUによって実行される処理ルーチンを示すフローチャートである。
以下、本発明の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。本実施形態に記載される構成部品の寸法、材質、形状、相対配置等は、特に記載がない限り発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
図1は、本発明を適用する内燃機関の排気系の概略構成を示す図である。図1に示す内燃機関1は、希薄燃焼運転される圧縮着火式の内燃機関(ディーゼルエンジン)である。なお、内燃機関1は、希薄燃焼運転可能な火花点火式の内燃機関(ガソリンエンジン)であってもよい。
内燃機関1には、気筒内から排出される既燃ガス(排気)を流通させるための排気管2が接続されている。排気管2の途中には、第一触媒ケーシング3が配置されている。第一触媒ケーシング3より下流の排気管2には、第二触媒ケーシング4が配置されている。
第一触媒ケーシング3は、たとえば、筒状のケーシング内に酸化触媒とパティキュレートフィルタを内装している。その際、酸化触媒は、パティキュレートフィルタの上流に配置される触媒担体に担持されてもよく、或いはパティキュレートフィルタに担持されてもよい。
第二触媒ケーシング4は、筒状のケーシング内に、SCR触媒が担持された触媒担体を
収容する。前記触媒担体は、たとえば、コーディライトやFe−Cr−Al系の耐熱鋼等から形成されるハニカム形状の横断面を有するモノリスタイプの基材に、アルミナ系又はゼオライト系の活性成分(担体)をコーティングしたものである。なお、第二触媒ケーシング4におけるSCR触媒の下流には、酸化触媒が担持された触媒担体が配置されてもよい。その場合の酸化触媒は、SCR触媒へ供給されるNHのうち、SCR触媒をすり抜けたNHを酸化するための触媒である。
第一触媒ケーシング3と第二触媒ケーシング4との間の排気管2には、アンモニア(NH)又はNHの前駆体である添加剤を排気中へ添加(噴射)するための添加弁5が配置されている。添加弁5は、ポンプ50を介して添加剤タンク51に接続されている。ポンプ50は、添加剤タンク51に貯留されている添加剤を吸引するとともに、吸引された添加剤を添加弁5へ圧送する。添加弁5は、ポンプ50から圧送されてくる添加剤を排気管2内へ噴射する。添加弁5とポンプ50と添加剤タンク51との組合せは、本発明に係わる添加装置に相当する。
ここで、添加剤タンク51に貯留される添加剤としては、NHガス、又は尿素やカルバミン酸アンモニウム等の水溶液である。本実施例では、当該添加剤として尿素水溶液を用いるものとする。
添加弁5から尿素水溶液が噴射されると、該尿素水溶液が排気とともに第二触媒ケーシング4へ流入する。その際、尿素水溶液が排気の熱を受けて熱分解され、又はSCR触媒により加水分解される。尿素水溶液が熱分解又は加水分解されると、NHが生成される。このようにして生成されたNHは、SCR触媒に吸着又は吸蔵される。SCR触媒に吸着又は吸蔵されたNHは、排気中に含まれるNOと反応してNや水(HO)を生成する。つまり、NHは、NOの還元剤として機能する。
このように構成された内燃機関1には、ECU10が併設されている。ECU10は、CPU、ROM、RAM、バックアップRAM等を備えた電子制御ユニットである。ECU10には、第一NOセンサ6、第二NOセンサ7、排気温度センサ8、NHセンサ9、クランクポジションセンサ11、アクセルポジションセンサ12、及びエアフローメータ13等の各種センサが電気的に接続されている。
第一NOセンサ6は、第一触媒ケーシング3と第二触媒ケーシング4の間の排気管2に配置され、第二触媒ケーシング4へ流入する排気のNO濃度に相関する電気信号を出力する。
第二NOセンサ7は、第二触媒ケーシング4より下流の排気管2に配置され、第二触媒ケーシング4から流出する排気のNO濃度に相関する電気信号を出力する。
排気温度センサ8は、第二触媒ケーシング4より下流の排気管2に配置され、第二触媒ケーシング4から流出する排気の温度と相関する電気信号を出力する。
NHセンサ9は、第二触媒ケーシング4より下流の排気管2に配置され、第二触媒ケーシング4から流出する排気のNH濃度に相関する電気信号を出力する。なお、第二触媒ケーシング4において、SCR触媒の下流にNH酸化用の酸化触媒が配置される場合は、NHセンサ9は、SCR触媒の下流且つ酸化触媒の上流に配置されるものとする。
クランクポジションセンサ11は、内燃機関1の出力軸(クランクシャフト)の回転位置に相関する電気信号を出力する。アクセルポジションセンサ12は、アクセルペダルの操作量(アクセル開度)に相関する電気信号を出力する。エアフローメータ13は、内燃
機関1に吸入される空気の量(質量)に相関する電気信号を出力する。
また、ECU10は、内燃機関1に取り付けられた各種機器(たとえば、燃料噴射弁等)、添加弁5、及びポンプ50等と電気的に接続されている。ECU10は、前記した各種センサの出力信号に基づいて、内燃機関1の各種機器、添加弁5、及びポンプ50等を電気的に制御する。たとえば、ECU10は、内燃機関1の燃料噴射制御や添加弁5から間欠的に添加剤を噴射させる添加制御等の既知の制御に加え、第二触媒ケーシング4に収容されたSCR触媒の異常を判定する処理(異常判定処理)を実行する。
以下、本実施例における異常診断処理の実行方法について述べる。本実施例の異常判定処理は、SCR触媒において消費されたNHの量(総消費量)に対して、排気中のNOを還元するために消費されたNHの量(利用量)の割合(NH利用率)に基づいて、SCR触媒が異常であるかを判定する処理である。
SCR触媒へ供給されるNHの大部分はSCR触媒において消費されるが、残りの一部はSCR触媒から流出(スリップ)する。SCR触媒において消費されるNHは、排気中のNOの還元剤として消費されるNHと、SCR触媒において酸化されてNOに転化されるNHと、NH由来のNOの還元剤として消費されるNHと、に分類することができる。そして、SCR触媒が劣化すると、SCR触媒においてNOに転化されるNHの量やNH由来のNOの還元剤として消費されるNHの量(自己消費量)が増加し、排気中のNOを還元するために消費されるNHの量(利用量)が減少する。その結果、総消費量(利用量と自己消費量の総和)に対する利用量の比率であるNH利用率が小さくなる。
図2は、正常時と劣化時におけるNH利用率を示す図である。図2に示すように、SCR触媒が劣化している場合は劣化していない場合に比べ、自己消費率(総消費量に対する自己消費量の割合)が大きくなるとともにNH利用率が小さくなる。この現象は、SCR触媒の温度が活性温度以上の比較的低い温度域にあるときにも発現する。よって、SCR触媒の温度が活性温度以上の比較的高い温度域まで上昇していないときであっても、NH利用率に基づく異常判定処理を行うことができる。
また、SCR触媒が劣化している場合は、該SCR触媒の温度が活性温度以上の高温域にあるときに、該SCR触媒の酸化能が活発になる。この傾向は、SCR触媒が劣化していない場合より劣化している場合に顕著となる。よって、SCR触媒の温度が活性温度以上の比較的高い温度域まで上昇しているときであっても、NH利用率に基づく異常判定処理は有効である。
ここで、本実施例における異常判定処理の具体的な実行手順について図3に沿って説明する。図3は、SCR触媒の異常判定処理が行われるときに、ECU10によって実行される処理ルーチンを示すフローチャートである。この処理ルーチンは、内燃機関1の運転期間において、添加弁5から尿素水溶液が添加されており、且つSCR触媒のNH吸着速度とNH脱離速度とが平衡状態にあると推定されるとき(SCR触媒のNH吸着量が飽和しているとき)に実行される。
図3の処理ルーチンでは、ECU10は、先ずS101の処理において、判定完了フラグの値が“0”であるか否かを判別する。判定完了フラグは、たとえば、RAM又はバックアップRAMに予め設定されている記憶領域であり、異常判定処理が完了したときに“1”がセットされ、内燃機関1の始動時に“0”にリセットされる。S101の処理において否定判定された場合は、ECU10は、本ルーチンの実行を終了する。一方、S101の処理において肯定判定された場合は、ECU10は、S102の処理へ進む。
S102の処理では、ECU10は、異常判定条件が成立しているか否かを判別する。たとえば、ECU10は、SCR触媒が活性状態にあり、且つ添加弁5から尿素水溶液が添加されており、且つNH吸着速度とNH脱離速度とが平衡状態にあるときに、異常判定条件が成立していると判定する。S102の処理において否定判定された場合は、ECU10は、本ルーチンの実行を終了する。一方、S102の処理において肯定判定された場合は、ECU10は、S103の処理へ進む。
S103の処理では、NH利用率を演算する。たとえば、ECU10は、先ず総消費量と利用量とを演算し、次いで利用量を総消費量で除算することによりNH利用率を算出する。なお、ECU10がS103の処理を実行することにより、本発明に係わる演算手段が実現される。
ここで、総消費量は、NH供給量からNHスリップ量を減算して求められる。NH供給量は、単位時間あたりに添加弁5から添加される尿素水溶液の量と尿素水溶液の組成とに基づいて演算される。その際、尿素水溶液とNH供給量との関係を予めマップ化しておくようにしてもよい。NHスリップ量は、NHセンサ9の測定値(第二触媒ケーシング4から流出した排気のNH濃度)と排気流量(たとえば、エアフローメータ13の測定値)とを乗算することにより求めることができる。このようにECU10がNHスリップ量を演算することにより、本発明に係わる第三取得手段が実現される。
一方、利用量は、SCR触媒において浄化されたNO(NH由来のNOは除く)の量と当量比(NOがNHによって還元される際の当量比)とを用いて演算される。SCR触媒におけるNO浄化量は、NO流入量からNO流出量を減算することにより求められる。NO流入量は、第一NOセンサ6の測定値(第二触媒ケーシング4へ流入する排気のNO濃度)と排気流量とを乗算することにより求められる。このようにECU10がNO流入量を演算することにより、本発明に係わる第一取得手段が実現される。また、NO流出量は、第二NOセンサ7の測定値(第二触媒ケーシング4から流出する排気のNO濃度)と排気流量とを乗算することにより求められる。このようにECU10がNO流出量を演算することにより、本発明に係わる第二取得手段が実現される。
S104の処理では、ECU10は、前記S103の処理で求められたNH利用率が閾値より小さいか否かを判別する。閾値は、SCR触媒から流出するNOの量が法規等で規定された許容量を超えると考えられる最小のNH利用率、又は最小のNH利用率にマージンを加算した値である。
なお、NH利用率の演算は、1回のみ行われてもよく、又は複数回行われてもよい。NH利用率の演算が複数回行われる場合は、それらの演算結果の平均値を閾値と比較してもよい。また、複数回の演算結果を積算し、その積算値を前記閾値とは異なる値(たとえば、NH利用率の演算回数を前記閾値に乗算した値)と比較してもよい。
前記S104の処理において肯定判定された場合(NH利用率<閾値)は、ECU10は、S105の処理へ進み、SCR触媒が劣化していると判定する。その場合、ECU10は、車室内に設けられた警告灯を点灯させ、或いは車室内に設けられた表示装置にSCR触媒が劣化している旨のメッセージを表示させてもよい。一方、前記S104の処理において否定判定された場合(NH利用率≧閾値)は、ECU10は、S105の処理へ進み、SCR触媒が劣化していない(正常)と判定する。このように、ECU10がS103乃至S105の処理を実行することにより、本発明に係わる判定手段が実現される。
ECU10は、S104又はS105の処理を実行した後に、S106の処理へ進み、前記した判定完了フラグに“1”をセットする。
以上述べたような手順によりSCR触媒の異常判定処理が行われると、SCR触媒の温度が活性温度以上の比較的低い温度域にあるときでも、SCR触媒の異常を判定することができる。その結果、SCR触媒の温度が該SCR触媒の酸化能が活発になる高温域まで上昇しないような運転が継続された場合であっても、SCR触媒の異常を検出することが可能となる。
なお、NH利用率と比較される閾値は、予め定められた固定値であってもよいが、SCR触媒の温度に応じて変更される可変値であってもよい。SCR触媒が正常であるときのNH利用率は、図4に示すように、SCR触媒の温度が一定温度(図4中のtmp1)以下であるときは略一定になるが、SCR触媒の温度が一定温度tmp1より高いときはSCR触媒の温度が高くなるほど小さくなる傾向がある。よって、閾値は、SCR触媒の温度が一定温度tmp1以下であるときは固定値に設定され、SCR触媒の温度が一定温度tmp1より高いときはSCR触媒の温度が高くなるほど小さい値に変更されてもよい。このように閾値が設定されると、異常判定精度を高めることが可能になる。
また、図4に示すように、SCR触媒の温度が一定温度tmp1より高い上限温度(図4中のtmp2)を超えると、SCR触媒が正常であっても、SCR触媒へ供給されたNHの略全量がNOに添加される(NH利用率が略0%になる)。そのため、SCR触媒の温度が上限温度tmp2より高いときは、異常判定処理の実行を禁止することが望ましい。
<他の実施例>
前述した実施例においては、異常判定処理が実施される際の尿素水溶液の添加量について特段の制約を設けていないが、尿素水溶液の添加量が所定範囲にあるときに異常判定処理が実施されるようにしてもよい。ここでいう「所定範囲」は、SCR触媒が正常であればNH利用率が低下せず、且つSCR触媒が異常であればNH利用率が低下する範囲である。
図5は、SCR触媒の温度が一定である場合における尿素水溶液の添加量とSCR触媒の浄化性能との関係を示す図である。なお、図5中(a)はSCR触媒が正常である場合の浄化性能を示し、図5中(b)はSCR触媒が劣化している場合の浄化性能を示す。また、図5中の実線はSCR触媒のNO還元能を示し、一点鎖線はSCR触媒のNH酸化能を示す。
SCR触媒が正常である場合は、図5中(a)に示すように、尿素水溶液の添加量が相対的に多くなる範囲(図5中の範囲A)と尿素水溶液の添加量が相対的に少なくなる範囲(図5中の範囲B)とでは、SCR触媒のNO還元能とNH酸化能との相対関係は略同等になる。
これに対し、SCR触媒が劣化している場合は、図5中(b)に示すように、範囲Aと範囲Bとでは、SCR触媒のNO浄化能とNH酸化能との相対関係が相違する。詳細には、範囲AにおいてはNO還元能がNH酸化能より高いのに対し、範囲BにおいてはNH酸化能がNO還元能より高くなる。
したがって、SCR触媒が正常である場合は、図6中(a)に示すように、範囲AにおけるNH利用率と範囲BにおけるNH利用率とが略同等になる。一方、SCR触媒が
劣化している場合は、図6中(b)に示すように、範囲AにおけるNH利用率に対して範囲BにおけるNH利用率が小さくなる。つまり、SCR触媒が正常である場合のNH利用率とSCR触媒が劣化している場合のNH利用率との差は、範囲Aより範囲Bの方が大きくなる。よって、尿素水溶液の添加量が範囲Bに属するときに異常判定処理が行われれば、判定精度をより高めることができる。
なお、範囲Bは、以下のように定義することができる。先ず、範囲Bの下限値は、SCR触媒の正常時において、SCR触媒のNO還元能が最大となる添加量の最小値(たとえば、図5、6中のa1)である。次に、範囲Bの上限値は、SCR触媒の劣化時において、SCR触媒のNO還元能とNH酸化能とが同等になる添加量(たとえば、図5、6中のa2)である。
ところで、尿素水溶液の添加量が範囲Bに属する機会が少ないと、異常判定処理の実行頻度が少なくなり、SCR触媒の劣化を早期に検出することができなくなる可能性もある。
そこで、尿素水溶液の添加量が範囲Bに属さないときに求められたNH利用率が閾値より小さい場合に、尿素水溶液の添加量を範囲Bに属する量に変更してNH利用率を再度求め、そのNH利用率が閾値より小さければ、SCR触媒が劣化していると判定してもよい。
詳細には、ECU10は、図7に示すような手順により異常判定処理を実行すればよい。図7は、SCR触媒の異常判定処理が行われるときに、ECU10によって実行される処理ルーチンを示すフローチャートである。図7において、前述した図3の処理ルーチンと同様の処理には同等の符号を付している。
図7の処理ルーチンでは、ECU10は、S104の処理において肯定判定された場合に、S201の処理へ進む。S201の処理では、ECU10は、S103の処理においてNH利用率が演算されたときの尿素水溶液の添加量が範囲Bから逸脱しているか否かを判別する。S201の処理において否定判定された場合(尿素水溶液の添加量が範囲Bに属している場合)は、ECU10は、S105の処理へ進む。一方、S201の処理において肯定判定された場合(尿素水溶液の添加量が範囲Bに属さない場合)は、ECU10は、S202の処理へ進む。
S202の処理では、ECU10は、尿素水溶液の添加量が範囲Bに属する量に変更する。続いて、ECU10は、S203の処理へ進み、尿素水溶液の添加量が範囲Bに属しているときのNH利用率を演算する。そして、ECU10は、S204の処理へ進み、S203の処理で算出されたNH利用率が閾値より小さいか否かを判別する。
S204の処理において肯定判定された場合は、ECU10は、S105の処理へ進み、SCR触媒が劣化していると判定する。一方、S204の処理において否定判定された場合は、ECU10は、S106の処理へ進み、SCR触媒が正常であると判定する。
このような手順により異常判定処理が実行されると、SCR触媒が劣化している可能性があるとき(図7中のS104の処理で肯定判定されたとき)に、正常時のNH利用率と異常時のNH利用率との差が大きくなる条件下で異常判定処理を行うことになるので、誤判定が起こりにくくなるとともに、SCR触媒の軽微な劣化を検出することが可能になる。
なお、図7中のS102の処理で適用される異常判定条件は、前述の図3の説明で述べ
た条件と同様であってもよく、又は前述の図3の説明で述べた条件に、SCR触媒の温度が上限温度(前述の図4中のtmp2)以下であるという条件を加えてもよい。また、図7中のS104及びS204の処理で用いられる閾値は、前述の図4の説明で述べたように、SCR触媒の温度に応じた値が用いられてもよい。
ところで、NH利用率を利用した異常判定処理の実行方法としては、範囲AにおけるNH利用率と範囲BにおけるNH利用率とを比較し、双方の差が許容値を超えていれば、SCR触媒が劣化していると判定する方法を用いることも可能である。
1 内燃機関
2 排気管
3 第一触媒ケーシング
4 第二触媒ケーシング
5 添加弁
6 第一NOセンサ
7 第二NOセンサ
8 排気温度センサ
9 NHセンサ
10 ECU

Claims (1)

  1. 内燃機関の排気通路に配置された選択還元型触媒と、
    前記選択還元型触媒より上流の排気中にアンモニア又はアンモニアの前駆体である添加剤を添加する添加装置と、
    前記選択還元型触媒へ流入するNOの量を取得する第一取得手段と、
    前記選択還元型触媒から流出するNOの量を取得する第二取得手段と、
    前記選択還元型触媒から流出するアンモニアの量を取得する第三取得手段と、
    前記添加装置から排気中へ添加された添加剤の量と、前記第一取得手段により取得されたNOの量と、前記第二取得手段により取得されたNOの量と、前記第三取得手段により取得されたアンモニアの量と、をパラメータとして用いることにより、前記SCR触媒において消費されたアンモニアの量に対して排気に含まれるNOの還元に消費されたアンモニアの量の割合を演算する演算手段と、
    前記演算手段により算出された割合が閾値より小さい場合に前記SCR触媒が劣化しており、前記演算手段により算出された割合が閾値以上である場合に前記SCR触媒が劣化していないと判定する判定手段と、
    を備えることを特徴とする選択還元型触媒の劣化判定装置。
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