JP2015194085A - 蒸気タービン - Google Patents
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Abstract
【課題】タービンロータ軸方向における排気室の長さが従来よりも短く、これによるタービン排気損失の増加も抑制された蒸気タービンを提供する。【解決手段】実施形態の蒸気タービンにおけるベアリングコーンは、タービン最終段落側に位置し、下流側に向かって拡開する入口側拡大筒状構成部と、この入口側拡大筒状構成部の下流側に位置し、下流側に向かって拡開する中央拡大筒状構成部と、この中央拡大筒状構成部の下流側に位置し、下流側に向かって拡開する出口側拡大筒状構成部とを有する。また、タービン最終段落の動翼の直径(D)に対するベアリングコーンのタービンロータ軸方向の長さ(L0)の比(L0/D)は、2/5以下である。【選択図】図2
Description
本発明の実施形態は、蒸気タービンに関する。
火力発電所などで用いられる蒸気タービンの熱効率の向上は、エネルギ資源の有効利用や、二酸化炭素(CO2)排出量の削減につながる重要な課題となっている。
蒸気タービンの熱効率の向上は、与えられたエネルギを有効に機械仕事に変換することで達成することができ、そのためには様々な内部損失を低減することが必要である。
蒸気タービンの内部損失には、翼の形状に起因するプロファイル損失、蒸気の二次流れ損失、蒸気の漏洩損失、蒸気の湿り損失などに基づくタービン翼列損失、蒸気弁やクロスオーバー管に代表される翼列以外の通路における通路部損失、タービン排気室によるタービン排気損失などがある。
これら損失の中で、タービン排気損失は、全内部損失の10〜20%を占める大きな損失である。タービン排気損失は、最終段出口から復水器入口までの間で発生する損失であり、リービング損失、フード損失、環状面積制限損失、ターンナップ損失などにさらに分類される。このうち、フード損失は、排気室から復水器までの圧力損失であり、ディフューザを含めた排気室の形式、形状、サイズに依存する。
一般に、圧力損失は、蒸気の流速の二乗に比例して大きくなるため、許容される範囲で排気室のサイズを大きくして蒸気の流速を低減することが効果的である。しかしながら、排気室のサイズを大きくする際、製造コストや建屋の配置スペースなどからの制約を受ける。フード損失を低減させるために排気室のサイズを大きくする際にも、このような制約を受ける。そのため、限られた排気室のサイズで、圧力損失の小さい形状とすることが重要となる。
排気室における圧力損失を低減するためには、ディフューザにおいて、蒸気の速度を十分に減少させて静圧を回復させ、その下流における圧力損失を低減する必要がある。そのため、タービン排気損失を低減するために様々な検討がなされている。
近年、製造、設置等の費用の観点から、タービンロータ軸方向における排気室の長さを短くすることが求められている。これにより、排気室の内部に配置されてディフューザを構成するベアリングコーンについても、タービンロータ軸方向における長さを短くすることが求められている。例えば、従来の蒸気タービンにおいては、タービン最終段落の動翼の直径(D)に対するタービンロータ軸方向におけるベアリングコーンの長さ(L0)の比(L0/D)が2/5を超えている。
しかし、比(L0/D)が2/5以下となるようにベアリングコーンの長さ(L0)を短くすると、ベアリングコーンの蒸気接触面(外壁面、蒸気流路側の面)が急激に拡開することから、蒸気の流れが斜流化しやすくなる。蒸気の流れが斜流化すると、ベアリングコーンを囲むように位置するスチームガイド側に蒸気の流れが偏在しやすくなり、ベアリングコーンの蒸気接触面付近、特にタービン最終段落側の蒸気接触面付近において、蒸気の流れが剥離することにより渦が発生して性能が低下しやすい。
本発明が解決しようとする課題は、タービンロータ軸方向における排気室の長さが従来よりも短く、これによるタービン排気損失の増加も抑制された蒸気タービンを提供することである。
実施形態の蒸気タービンは、タービン最終段落の下流側に設けられ、スチームガイドと、その内側のベアリングコーンとによって形成された、前記タービン最終段落を通過した蒸気を半径方向外側に向かって排出する環状ディフューザを備える。前記ベアリングコーンは、前記タービン最終段落側に位置し、下流側に向かって拡開する入口側拡大筒状構成部と、前記入口側拡大筒状構成部の下流側に位置し、下流側に向かって拡開する中央拡大筒状構成部と、前記中央拡大筒状構成部の下流側に位置し、下流側に向かって拡開する出口側拡大筒状構成部とを有する。また、前記タービン最終段落の動翼の直径(D)に対する前記ベアリングコーンのタービンロータ軸方向の長さ(L0)の比(L0/D)は、2/5以下である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明に係る第1の実施の形態の蒸気タービン10の鉛直方向の子午断面を示す図である。ここでは、蒸気タービン10として、下方排気型の排気室を備えた複流排気型の低圧タービンを例示して説明する。また、以下において、同一の構成部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略または簡略する。
図1は、本発明に係る第1の実施の形態の蒸気タービン10の鉛直方向の子午断面を示す図である。ここでは、蒸気タービン10として、下方排気型の排気室を備えた複流排気型の低圧タービンを例示して説明する。また、以下において、同一の構成部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略または簡略する。
蒸気タービン10において、外部ケーシング20内には、内部ケーシング21が備えられている。内部ケーシング21内には、動翼22が植設されたタービンロータ23が貫設されている。動翼22を周方向に複数植設されることで動翼翼列を構成し、この動翼翼列をタービンロータ軸方向に複数段備えている。タービンロータ23は、ロータ軸受24によって回転可能に支持されている。
内部ケーシング21の内周には、タービンロータ軸方向に動翼22と交互になるように、ダイヤフラム25a、25bに支持されたノズル26が配設されている。ノズル26を周方向に複数植設することでノズル翼列を構成し、ノズル翼列と直下流側に位置する動翼翼列とで一つのタービン段落を構成する。なお、内部ケーシング21は、外部ケーシング20によって支持されている。
蒸気タービン10の中央には、クロスオーバー管27からの蒸気が導入される吸気室28を備えている。この吸気室28から左右のタービン段落に蒸気を分配して導入する。
最終のタービン段落の下流側には、外周側のスチームガイド30と、その内周側のベアリングコーン40とによって形成された、蒸気を半径方向外側に向かって排出する環状ディフューザ50が形成されている。なお、ベアリングコーン40の内部には、ロータ軸受24などが備えられている。
環状ディフューザ50を備え下方排気型の排気室の下方(すなわちタービンロータ23の下方)には、復水器(図示しない)が備えられる。
なお、上記した、外部ケーシング20、内部ケーシング21、スチームガイド30、ベアリングコーン40などは、上下に2つ割り構造で構成されている。例えば、上半側および下半側のスチームガイド30によって筒状のスチームガイド30が構成される。同様に、上半側および下半側のベアリングコーン40よって筒状のベアリングコーン40が構成される。そして、筒状のスチームガイド30と、その内側に設けられた筒状のベアリングコーン40とによって、環状ディフューザ50が構成される。なお、スチームガイド30およびベアリングコーン40における上半側および下半側の構成は同じである。
ここで、蒸気タービン10の動作について説明する。
クロスオーバー管27を経て蒸気タービン10内の吸気室28に流入した蒸気は、左右のタービン段落に分岐して流れる。そして、各タービン段落のノズル26、動翼22を備える蒸気流路を膨張仕事をしながら通過し、タービンロータ23を回転させる。膨張仕事をした蒸気は、流速が減じられ、静圧を回復しながら、環状ディフューザ50を通過し、タービンロータ23の下方に設置された復水器(図示しない)に導かれる。
このような複流排気(ダブルフロー)型の低圧タービンを用いる場合、タービンロータ軸方向の中央から流入させた蒸気を両端部に向けて二方向に流すことで蒸気の流量を多くすることができ、単流排気(シングルフロー)型の低圧タービンの最終段動翼の環状面積も大きくすることができる。しかしながら、このように複流排気型の低圧タービンとする場合、タービンからの排気蒸気をタービンロータ軸方向にそのまま流出させることは困難であり、通常、復水器をタービンロータ23の下方に設置するとともに排気室を下方排気型とする。
次に、環状ディフューザ50を構成するスチームガイド30およびベアリングコーン40の構成について詳しく説明する。なお、以下の説明では、特に断らない限り、長さはタービンロータ軸方向における長さを意味するものとする。
図2は、本発明に係る第1の実施の形態の蒸気タービン10における排気室の鉛直方向の子午断面を示す図である。図3は、本発明に係る第1の実施の形態の蒸気タービン10における排気室の上半部を拡大したときの鉛直方向の子午断面を示す図である。
図2および図3に示すように、最終のタービン段落の下流側には、スチームガイド30と、その内側のベアリングコーン40とによって形成された、最終のタービン段落を通過した蒸気を半径方向外側に向かって排出する環状ディフューザ50が形成されている。
ベアリングコーン40は、図3に示すように、入口側拡大筒状構成部41、中央拡大筒状構成部42、出口側拡大筒状構成部43の3つの構成部で構成されている。なお、上記したように、ベアリングコーン40は、一体として筒状に構成されているものではなく、半筒状の形状の上半側および下半側を組み立てることで筒状となる。また、後述するスチームガイド30においてもベアリングコーン40の場合と同様に、半筒状の形状の上半側および下半側を組み立てることで筒状となる。ここでは、上下に2つ割り構造で構成されるベアリングコーン40やスチームガイド30について、上半側および下半側を組み立てた後の筒状の構造に基づいて説明する。
ベアリングコーン40において、入口側拡大筒状構成部41、中央拡大筒状構成部42、出口側拡大筒状構成部43は、それぞれが結合されて一体的に構成されていてもよい。また、それぞれ別個に構成され、それぞれを接触させて固定することでベアリングコーン40を構成してもよい。さらに、例えば、中央拡大筒状構成部42と出口側拡大筒状構成部43とを一体的に構成し、これを入口側拡大筒状構成部41と接触させて固定することでベアリングコーン40を構成してもよい。なお、いずれの場合においても、各接続部は、蒸気接触面側(蒸気流路側)が連続的に滑らかになるように接続されている。
ベアリングコーン40における、入口側拡大筒状構成部41、中央拡大筒状構成部42、出口側拡大筒状構成部43の区別は、通常、蒸気接触面の観察により行うことができる。例えば、蒸気接触面について、直線状か円弧状かの違いにより、また円弧状が連続する部分については半径の違いにより、また直線状の部分が連続する部分については角度の違いにより、各部の区別を行うことができる。また、入口側拡大筒状構成部41と中央拡大筒状構成部42とは、接合されていないことが多いことから、このような接合されていない部分により区別を行うことができる。また、中央拡大筒状構成部42と出口側拡大筒状構成部43とは、接合されていることが多いが、接合の痕跡が残ることから、この接合の痕跡により区別を行うことができる。
タービン最終段落の動翼22の直径(D)に対するベアリングコーン40の長さ(L0)の比(L0/D)は、2/5以下である。ここで、ベアリングコーン40の長さ(L0)は、入口側拡大筒状構成部41の最終のタービン段落側の端縁から、外部ケーシング20の垂直壁20aに接触する出口側拡大筒状構成部43の端縁までの長さである。垂直壁20aは、タービンロータ軸方向に垂直な方向に形成され、外部ケーシング20のタービンロータ軸方向の端部を構成している。
比(L0/D)が2/5以下の場合、排気室が十分に小型化されたものとなり、製造、設置等の費用が低減される。比(L0/D)は、1/5程度まで低下させることができる。比(L0/D)が1/5未満となる場合、蒸気の流れが急激に半径方向外側に曲げられることから、曲がり損失が発生しやすくなる。このため、比(L0/D)は、1/5以上が好ましく、3/10以上がより好ましい。
ここで、2/5以下という比(L0/D)の値は、後述するように入口側拡大筒状構成部41の蒸気接触面(入口側拡大筒状構成部41の外壁面、蒸気流路側の面)が下流側に向かって拡開するように構成されることにより、より好ましくは入口側拡大筒状構成部41の蒸気接触面が直線的に拡開するとともにこの蒸気接触面とタービンロータ軸方向とのなす角度(θ1)が0度を超えるように構成されることにより達成される。すなわち、このように構成されることにより、比(L0/D)を2/5以下にしつつ、タービン排気損失の増加も抑制できる。なお、従来の蒸気タービンにおける比(L0/D)は、通常、5/10以上である。
入口側拡大筒状構成部41は、最終のタービン段落側に位置し、タービンロータ23を包囲するように設けられるとともに、下流側に向かって拡開するように設けられている。ここで、入口側拡大筒状構成部41の蒸気接触面は、通常、下流側に向かって直線的に拡開している。
入口側拡大筒状構成部41の蒸気接触面とタービンロータ軸方向とのなす角度(θ1)は、0度を超え20度以下であることが好ましい。なお、以下の説明では、特に断らない限り、構成部材の蒸気接触面とタービンロータ軸方向とのなす角度を単に構成部材の角度と記す。入口側拡大筒状構成部41の角度(θ1)が0度を超える場合、従来構造において渦が発生しやすい部分が入口側拡大筒状構成部41の傾斜部分によって埋められるために、環状ディフューザ50の全領域においてスムーズな流れが得られる。これにより、タービン排気損失が低下する。入口側拡大筒状構成部41の角度(θ1)は、タービン排気損失を低下させる観点から、5度以上がより好ましく、10度以上がさらに好ましい。
ここで、従来の比(L0/D)が2/5を超えるような十分な長さを有するベアリングコーンにおいては、タービン排気損失を低減するために、入口側拡大筒状構成部41に相当する部分の角度(θ1)を0度にすることが好ましい。すなわち、従来のベアリングコーンにおいては、入口側拡大筒状構成部41に相当する部分が下流側に拡開していないことが好ましい。このような場合、その長さが短くされて蒸気の流れが斜流化したとき、角度(θ1)が0度、すなわち拡開してない入口側拡大筒状構成部41に相当する部分の蒸気接触面付近に流れの剥離が発生して、これにより発生する渦によりタービン排気損失が十分に低減されない。
ベアリングコーン40の長さ(L0)と入口側拡大筒状構成部41の長さ(L1、図3参照)との比(L1/L0)は、1/7以上1/3以下であることが好ましい。比(L1/L0)は、より好ましくは、1/6以上1/4以下である。
比(L1/L0)を1/7以上1/3以下とすることで、入口側拡大筒状構成部41と、後述するスチームガイド30の入口側スチームガイド31との間で、蒸気の速度を十分に低減し、静圧を回復することができる。そのため、タービン排気損失を低減することができる。
中央拡大筒状構成部42は、入口側拡大筒状構成部41に上流側が接続され、下流側に向けて断面が円弧状に拡開する拡大筒状に構成されている。換言すると、中央拡大筒状構成部42は、タービン排気方向でかつタービンロータ軸方向(図2および図3では右方向)に行くに伴い、半径方向外側に広がりながら円弧状に拡開する。図3に示した断面図において、中央拡大筒状構成部42の蒸気接触面は、半径(R2)の円弧で形成されている。
出口側拡大筒状構成部43は、中央拡大筒状構成部42に一端側が接続され、下流側に向けて断面が円弧状に拡開する拡大筒状に構成されている。また、出口側拡大筒状構成部43は、環状ディフューザ50の出口を構成する部分であり、他端部は、外部ケーシング20の垂直壁20aに接合されている。換言すると、出口側拡大筒状構成部43は、タービン排気方向でかつタービンロータ軸方向(図2および図3では右方向)に行くに伴い、半径方向外側に広がりながら円弧状に拡開する。図3に示した断面図において、出口側拡大筒状構成部43の蒸気接触面は、半径(R3)の円弧で形成されている。
ここで、出口側拡大筒状構成部43の蒸気接触面の円弧の半径(R3)は、中央拡大筒状構成部42の蒸気接触面の円弧の半径(R2)よりも大きいことが好ましい。半径(R3)を半径(R2)よりも大きく構成することで、中央拡大筒状構成部42において半径方向外側に流れの方向が変えられた蒸気を、さらに半径方向外側に向けて緩やかに流れの方向を変えながら流すことができる。そのため、曲がり損失の発生を抑制することができる。
中央拡大筒状構成部42の蒸気接触面の円弧の半径(R2)は、ベアリングコーン40の長さ(L0)以下であることが好ましい。また、中央拡大筒状構成部42の蒸気接触面の円弧の半径(R2)に対する出口側拡大筒状構成部43の蒸気接触面の円弧の半径(R3)の比(R3/R2)は、1.5以上であることが好ましい。比(R3/R2)は、より好ましくは、1.5以上2以下である。
ここで、半径(R2)の値を長さ(L0)以下とすることが好ましいのは、環状ディフューザ50の内部で、流れの方向をタービンロータ23の軸方向からタービンロータ23の軸方向に垂直な方向へと完全に転向することが望ましいからである。比(R3/R2)を1.5以上とすることが好ましいのは、半径(R3)を半径(R2)よりも大きく構成する理由と同じである。
中央拡大筒状構成部42の長さ(L2)と出口側拡大筒状構成部43の長さ(L3)との比(L2/L3)は、中央拡大筒状構成部42の内部で、可能な限り流れの方向をタービンロータ23の軸方向からタービンロータ23の軸方向に垂直な方向に近い角度まで転向させておくことが好ましいという理由から、0.6以上4以下であることが好ましい。
スチームガイド30は、図3に示すように、入口側スチームガイド31、出口側スチームガイド32の2つの構成部で構成されている。
入口側スチームガイド31は、最終のタービン段落側に位置し、下流側に向けて直線的に拡開する拡大筒状に構成されている。換言すると、入口側スチームガイド31は、タービン排気方向でかつタービンロータ軸方向(図2および図3では右方向)に行くに伴い、半径方向外側に直線的に拡開する。そのため、図3に示した断面図において、入口側スチームガイド31における蒸気接触面(内壁面、蒸気流路側の面)は、タービンロータ軸方向に対して傾斜した直線状となる。
ベアリングコーンの長さ(L0)と入口側スチームガイド31の長さ(LS)との比(LS/L0)は、1/7以上1/3以下であることが好ましい。比(LS/L0)は、より好ましくは、1/6以上1/4以下である。
比(LS/L0)を1/7以上1/3以下とすることで、入口側スチームガイド31と、前述した入口側拡大筒状構成部41との間で、蒸気の速度を十分に低減し、静圧を回復することができる。そのため、タービン排気損失を低減することができる。
入口側スチームガイド31の角度(θS)は、7度以上27度以下であることが好ましい。入口側スチームガイド31の角度(θS)は、より好ましくは、14度以上20度以下である。
角度(θS)を上記した範囲とすることが好ましいのは、入口側スチームガイド31と、前述した入口側拡大筒状構成部41との間で、蒸気の速度を十分に低減し、静圧を回復することができるからである。
出口側スチームガイド32は、入口側スチームガイド31に一端側が接続され、下流側に向けて断面が円弧状に拡開する拡大筒状に構成されている。換言すると、出口側スチームガイド32は、タービン排気方向でかつタービンロータ軸方向(図2および図3では右方向)に行くに伴い、半径方向外側に広がりながら円弧状に拡開する。
図3に示した断面図において、出口側スチームガイド32の蒸気接触面は、半径(RS)の円弧で形成されている。半径(RS)は、特に限定されるものではないが、出口側スチームガイド32が、中央拡大筒状構成部42および出口側拡大筒状構成部43とともにスムーズな流路断面を形成することが望ましいという理由から、半径(R2)よりも大きく半径(R3)よりも小さい範囲で設定されることが好ましい。
また、環状ディフューザ50の出口においては、蒸気の流れが半径方向外側の方向に流れるように、例えば、出口側スチームガイド32の出口側の端縁は、出口側拡大筒状構成部43の出口側の端縁と水平方向位置が同じとなるように構成されることが好ましい。すなわち、出口側スチームガイド32の出口側の端縁のタービンロータ軸からの半径方向の距離と、出口側拡大筒状構成部43の出口側の端縁のタービンロータ軸からの半径方向の距離とが等しく構成されることが好ましい。
次に、環状ディフューザ50内における蒸気流れについて説明する。
最終のタービン段落から環状ディフューザ50内に流入した蒸気は、入口側拡大筒状構成部41と入口側スチームガイド31との間に形成されるディフューザ部を減速され、静圧を回復しながら流れる。
速度が低減された蒸気は、中央拡大筒状構成部42と出口側スチームガイド32との間に導かれ、半径方向外側に流れの方向が変えられる。この際、蒸気は減速されているため、曲がり損失の発生を小さく抑えることができる。
続いて、蒸気は、出口側拡大筒状構成部43と出口側スチームガイド32との間に導かれ、さらに半径方向外側に向けて緩やかに流れの方向が変えられる。出口側拡大筒状構成部43の円弧の半径(R3)は、前述したように半径(R2)よりも大きく構成されているため、曲がり損失の発生を小さく抑えることができる。また、環状ディフューザ50の出口においては、半径方向外側の方向、換言すれば、タービンロータ23の軸方向に垂直な方向に整流された蒸気の流れが得られる。
環状ディフューザ50から流出した蒸気は、整流されているため、流れが大きく乱れることなく復水器(図示しない)に導かれる。そのため、環状ディフューザ50と復水器との間における圧力損失の発生も抑制される。
上記したように、第1の実施の形態の蒸気タービン10によれば、排気室の環状ディフューザ50におけるタービン排気損失を低減することができる。さらに、環状ディフューザ50の出口における蒸気の流れを整流することができるため、環状ディフューザ50と復水器との間におけるタービン排気損失を低減することができる。
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態の蒸気タービン10は、ベアリングコーン40の中央拡大筒状構成部42、出口側拡大筒状構成部43の構成以外は、第1の実施の形態の蒸気タービン10の構成と同じであるため、ここでは、この異なる構成について主に説明する。
第2の実施の形態の蒸気タービン10は、ベアリングコーン40の中央拡大筒状構成部42、出口側拡大筒状構成部43の構成以外は、第1の実施の形態の蒸気タービン10の構成と同じであるため、ここでは、この異なる構成について主に説明する。
図4は、本発明に係る第2の実施の形態の蒸気タービン10における排気室の上半部を拡大したときの鉛直方向の子午断面を示す図である。
図4に示すように、最終のタービン段落の下流側には、スチームガイド30と、その内側のベアリングコーン40とによって形成された、最終のタービン段落を通過した蒸気を半径方向外側に向かって排出する環状ディフューザ50が形成されている。
ベアリングコーン40は、図4に示すように、入口側拡大筒状構成部41、中央拡大筒状構成部42、出口側拡大筒状構成部43の3つの構成部で構成されている。なお、入口側拡大筒状構成部41の構成は、第1の実施の形態の蒸気タービン10における構成と同じである。
中央拡大筒状構成部42は、入口側拡大筒状構成部41に上流側が接続され、下流側に向けて直線的に拡開する拡大筒状に構成されている。換言すると、中央拡大筒状構成部42は、タービン排気方向でかつタービンロータ軸方向(図4では右方向)に行くに伴い、半径方向外側に直線的に拡開する。そのため、図4に示した断面図において、中央拡大筒状構成部42における蒸気接触面は、タービンロータ軸方向に対して傾斜した直線状となる。
中央拡大筒状構成部42の角度(θ2)は、入口側拡大筒状構成部41の角度(θ1)よりも大きければよいが、通常、中央拡大筒状構成部42の角度(θ2)と入口側拡大筒状構成部41の角度(θ1)との差(θ2−θ1)は、10度以上が好ましく、15度以上がより好ましい。また、タービン排気損失を抑制する観点から、差(θ2−θ1)は、30度以下が好ましい。
タービンロータ軸方向における中央拡大筒状構成部42の両端部の位置(タービンロータ軸方向における位置、半径方向における位置)は、例えば、第1の実施の形態における中央拡大筒状構成部42の両端部の位置と同様である。
出口側拡大筒状構成部43は、下流側に向けて直線的に拡開する拡大筒状に構成されている。換言すると、出口側拡大筒状構成部43は、タービン排気方向でかつタービンロータ軸方向(図4では右方向)に行くに伴い、半径方向外側に直線的に拡開する。そのため、図4に示した断面図において、出口側拡大筒状構成部43における蒸気接触面は、タービンロータ軸方向に対して傾斜した直線状となる。
出口側拡大筒状構成部43の角度(θ3)は、中央拡大筒状構成部42の角度(θ2)よりも大きくければよいが、通常、出口側拡大筒状構成部43の角度(θ3)と中央拡大筒状構成部42の角度(θ2)との差(θ3−θ2)は10度以上が好ましく、15度以上がより好ましい。また、タービン排気損失を抑制する観点から、差(θ3−θ2)は、30度以下が好ましい。
タービンロータ軸方向における出口側拡大筒状構成部43の両端部の位置(タービンロータ軸方向における位置、半径方向における位置)は、例えば、第1の実施の形態における出口側拡大筒状構成部43の両端部の位置と同様である。
また、出口側拡大筒状構成部43は、環状ディフューザの出口を構成する部分でもあり、他端部は、外部ケーシング20の垂直壁20aに接合されている。
中央拡大筒状構成部42の長さ(L2)と出口側拡大筒状構成部43の長さ(L3)との比(L2/L3)は、中央拡大筒状構成部42の内部で、可能な限り流れの方向をタービンロータ23の軸方向からタービンロータ23の軸方向に垂直な方向に近い角度まで転向させておくことが好ましいという理由から、0.6以上4以下であることが好ましい。
なお、中央拡大筒状構成部42は、図4に示されるような全体が1つの直線的に拡開するものに限られず、2以上の直線的に拡開する部分を有するものでもよい。このような2以上の直線的に拡開する部分を有する中央拡大筒状構成部42としては、例えば、図3に示されるような円弧状の中央拡大筒状構成部42において、円弧上の1以上の点を直線で結んだものが挙げられる。この場合、中央拡大筒状構成部42におけるタービン最終段落側の部分の角度(θ2)が、入口側拡大筒状構成部41の角度(θ1)よりも大きければよく、またこれらの差(θ2−θ1)が10度以上であることが好ましく、15度以上であることがより好ましく、また30度以下であることが好ましい。
同様に、出口側拡大筒状構成部43についても、図4に示されるような全体が1つの直線的に拡開するものに限られず、2以上の直線的に拡開する部分を有するものでもよい。このような2以上の直線的に拡開する部分を有する出口側拡大筒状構成部43としては、例えば、図3に示されるような円弧状の出口側拡大筒状構成部43において、円弧上の1以上の点を直線で結んだものが挙げられる。この場合、出口側拡大筒状構成部43におけるタービン最終段落側の部分の角度(θ2)が、中央拡大筒状構成部42におけるタービン最終段落側の部分の角度(θ2)よりも大きければよく、またこれらの差(θ3−θ2)が10度以上であることが好ましく、15度以上であることがより好ましく、また30度以下であることが好ましい。
スチームガイド30の構成は、第1の実施の形態の蒸気タービン10における構成と同じである。
次に、環状ディフューザ50内における蒸気流れについて説明する。
最終のタービン段落から環状ディフューザ50内に流入した蒸気は、入口側拡大筒状構成部41と入口側スチームガイド31との間に形成されるディフューザ部を減速され、静圧を回復しながら流れる。
速度が低減された蒸気は、中央拡大筒状構成部42と出口側スチームガイド32との間に導かれ、半径方向外側に流れの方向が変えられる。この際、蒸気は減速されているため、曲がり損失の発生を小さく抑えることができる。
続いて、蒸気は、出口側拡大筒状構成部43と出口側スチームガイド32との間に導かれ、さらに半径方向外側に向けて緩やかに流れの方向が変えられる。そのため、曲がり損失の発生を小さく抑えることができる。また、環状ディフューザ50の出口においては、半径方向外側の方向、換言すれば、タービンロータ23の軸方向に垂直な方向に整流された蒸気の流れが得られる。
環状ディフューザ50から流出した蒸気は、整流されているため、流れが大きく乱れることなく復水器(図示しない)に導かれる。そのため、環状ディフューザ50と復水器との間における圧力損失の発生も抑制される。
上記したように、第2の実施の形態の蒸気タービン10によれば、排気室の環状ディフューザ50におけるタービン排気損失を低減することができる。さらに、環状ディフューザ50の出口における蒸気の流れを整流することができるため、環状ディフューザ50と復水器との間におけるタービン排気損失を低減することができる。
なお、上記した実施の形態では、蒸気タービン10として、下方排気型の排気室を備えた複流排気型の低圧タービンを例示して説明したが、本実施の形態は、例えば、単流形の低圧タービンに適用することもできる。
(タービン排気損失の評価)
次に、各部の構成とタービン排気損失との関係について、図面を参照して具体的に説明する。ここで、以下に示される1〜5の関係は、第1の実施の形態の蒸気タービン10、すなわち中央拡大筒状構成部42および出口側拡大筒状構成部43が円弧状に拡開するものにおける関係を示したものである。また、6〜7の関係は、第2の実施の形態の蒸気タービン10、すなわち中央拡大筒状構成部42および出口側拡大筒状構成部43が半径方向外側に直線的に拡開するものにおける関係である。なお、1〜7の関係は、いずれも実機での結果から得られた関係である。
次に、各部の構成とタービン排気損失との関係について、図面を参照して具体的に説明する。ここで、以下に示される1〜5の関係は、第1の実施の形態の蒸気タービン10、すなわち中央拡大筒状構成部42および出口側拡大筒状構成部43が円弧状に拡開するものにおける関係を示したものである。また、6〜7の関係は、第2の実施の形態の蒸気タービン10、すなわち中央拡大筒状構成部42および出口側拡大筒状構成部43が半径方向外側に直線的に拡開するものにおける関係である。なお、1〜7の関係は、いずれも実機での結果から得られた関係である。
<1.入口側拡大筒状構成部41の角度(θ1)と、タービン排気損失との関係>
図5は、入口側拡大筒状構成部41の角度(θ1)と、タービン排気損失との関係を示す図である。ここで、蒸気タービンの構成は、以下に示す通りである。
形態:第1の実施の形態
比(L0/D):0.35
比(L1/L0):0.26
比(LS/L0):0.25
比(R3/R2):2.5
RS:R2<RS<R3
角度(θS):25度
形態:第1の実施の形態
比(L0/D):0.35
比(L1/L0):0.26
比(LS/L0):0.25
比(R3/R2):2.5
RS:R2<RS<R3
角度(θS):25度
同図に示すように、角度(θ1)が0度を超えて大きくなるにつれて静圧回復量が上昇する。同図より、角度(θ1)は、5度以上が好ましく、10度以上がより好ましい。なお、角度(θ1)が20度を超えると、静圧回復量が急激に低下して、タービン排気損失が増加する。このため、角度(θ1)は20度以下が好ましい。
<2.入口側拡大筒状構成部41の長さ(L1)とベアリングコーン40の長さ(L0)との比(L0/L1)と、タービン排気損失との関係>
図6は、入口側拡大筒状構成部41の長さ(L1)とベアリングコーン40の長さ(L0)との比(L0/L1)と、タービン排気損失との関係を示す図である。ここで、蒸気タービンの構成は、以下に示す通りである。なお、比(L0/L1)の調整は、ベアリングコーン40の長さ(L0)を一定とし、ベアリングコーン40における入口側拡大筒状構成部41とこれ以外の部分との長さの割合を変更することにより行った。
形態:第1の実施の形態
比(L0/D):0.35
比(LS/L0):0.25
比(R3/R2):2.5
RS:R2<RS<R3
角度(θ1):15度
角度(θS):25度
形態:第1の実施の形態
比(L0/D):0.35
比(LS/L0):0.25
比(R3/R2):2.5
RS:R2<RS<R3
角度(θ1):15度
角度(θS):25度
なお、同図では、比(L0/L1)で示しているため、前述した実施の形態において好ましい範囲として示した長さ(L1)と長さ(L0)との比(L1/L0)の逆数になっている。
同図に示すように、比(L0/L1)が5程度で最高静圧回復量となり、そこから外れると、静圧回復量が低下し、タービン排気損失が増加している。これは、入口側拡大筒状構成部41の長さ(L1)が短すぎると、スムーズな流れが実現できないことによる。
ここで、通常のタービン設計基準では、最高静圧回復量から20%低下した静圧回復量までを許容する。同図には、最高静圧回復量から20%の低下した静圧回復量を破線で示している。そのため、比(L0/L1)を3以上7以下に設定することで、上記したタービン設計基準値以上の静圧回復量を得ることができ、タービン排気損失を低減することができる。
<3.中央拡大筒状構成部42の円弧の半径(R2)と出口側拡大筒状構成部43の円弧の半径(R3)との比(R3/R2)と、タービン排気損失との関係>
図7は、中央拡大筒状構成部42の円弧の半径(R2)と出口側拡大筒状構成部43の円弧の半径(R3)との比(R3/R2)と、タービン排気損失との関係を示す図である。ここで、蒸気タービンの構成は、以下に示す通りである。なお、比(R3/R2)の調整は、R2を固定し、R3を調整することにより行った。
形態:第1の実施の形態
比(L0/D):0.35
比(L1/L0):0.26
比(LS/L0):0.25
RS:R2<RS<R3
角度(θ1):15度
角度(θS):25度
形態:第1の実施の形態
比(L0/D):0.35
比(L1/L0):0.26
比(LS/L0):0.25
RS:R2<RS<R3
角度(θ1):15度
角度(θS):25度
同図に示すように、(R3/R2)が1.5以上の場合、タービン排気損失が減少している。(R3/R2)が1.5以上の場合、中央拡大筒状構成部42の円弧の半径(R2)に比べて、出口側拡大筒状構成部43の円弧の半径(R3)が十分に大きくなる。そのため、流れが緩やかに半径方向外側に曲げられ、曲がり損失が抑制されるとともに、整流効果が得られ、タービン排気損失が低下する。この結果から、(R3/R2)の値を1.5以上に設定することによって、タービン排気損失を抑制できることがわかる。
<4.入口側スチームガイド31の長さ(LS)とベアリングコーンの長さ(L0)との比(L0/LS)と、タービン排気損失との関係>
図8は、入口側スチームガイド31の長さ(LS)とベアリングコーン40の長さ(L0)との比(L0/LS)と、タービン排気損失との関係を示す図である。ここで、蒸気タービンの構成は、以下に示す通りである。なお、比(L0/LS)の調整は、ベアリングコーン40の長さ(L0)を一定とし、入口側スチームガイド31の長さ(LS)を変更することにより行った。
形態:第1の実施の形態
比(L0/D):0.35
比(L1/L0):0.26
比(R3/R2):2.5
RS:R2<RS<R3
角度(θ1):15度
角度(θS):25度
形態:第1の実施の形態
比(L0/D):0.35
比(L1/L0):0.26
比(R3/R2):2.5
RS:R2<RS<R3
角度(θ1):15度
角度(θS):25度
なお、同図では、長さ(LS)と長さ(L0)との比(L0/LS)で示しているため、前述した実施の形態において好ましい範囲として示した長さ(L0)と長さ(LS)との比(LS/L0)の逆数になっている。
同図に示すように、(L0/LS)の値が5程度で最高静圧回復量となり、そこから外れると、静圧回復量が低下し、タービン排気損失が増加している。ここで、通常のタービン設計基準では、最高静圧回復量から20%低下した静圧回復量までを許容する。同図には、最高静圧回復量から20%低下した静圧回復量を破線で示している。そのため、比(L0/LS)を3以上7以下に設定することで、上記したタービン設計基準値以上の静圧回復量を得ることができ、タービン排気損失を低減することができる。
<5.入口側スチームガイド31の角度(θS)と、タービン排気損失との関係>
図9は、入口側スチームガイド31の角度(θS)とタービン排気損失との関係を示す図である。ここで、蒸気タービンの構成は、以下に示す通りである。
形態:第1の実施の形態
比(L0/D):0.35
比(L1/L0):0.26
比(LS/L0):0.25
比(R3/R2):2.5
RS:R2<RS<R3
角度(θ1):15度
形態:第1の実施の形態
比(L0/D):0.35
比(L1/L0):0.26
比(LS/L0):0.25
比(R3/R2):2.5
RS:R2<RS<R3
角度(θ1):15度
同図に示すように、角度(θS)が7度以上27度以下で最高静圧回復量となり、そこから外れると、静圧回復量が低下し、タービン排気損失が増加している。これは、入口側拡大筒状構成部41と入口側スチームガイド31との間に形成されるディフューザ部における流路の拡大が小さいと、蒸気が十分に減速されず、静圧が十分に回復されないことを示している。一方、ディフューザ部における流路の拡大が大きすぎると、流れが剥離して拡大損失と呼ばれる圧力損失が発生し、タービン排気損失が増加することを示している。
ここで通常のタービン設計基準では、最高静圧回復量から20%低下した静圧回復量までを許容する。同図には、最高静圧回復量から20%低下した静圧回復量を破線で示している。そのため、角度(θS)を7度以上27度以下の範囲に設定することで、上記したタービン設計基準値以上の静圧回復量を得ることができ、タービン排気損失を低減することができる。
<6.入口側拡大筒状構成部41の角度(θ1)と中央拡大筒状構成部42の角度(θ2)との差(θ2−θ1)と、タービン排気損失との関係>
図10は、入口側拡大筒状構成部41の角度(θ1)と中央拡大筒状構成部42の角度(θ2)との差(θ2−θ1)と、タービン排気損失との関係を示す図である。ここで、蒸気タービンの構成は、以下に示す通りである。なお、差(θ2−θ1)の調整は、入口側拡大筒状構成部41の角度(θ1)を一定とし、中央拡大筒状構成部42の角度(θ2)を変更することにより行った。
形態:第2の実施の形態
比(L0/D):0.35
比(L1/L0):0.26
比(L2/L3):2.4
比(LS/L0):0.25
角度(θ1):15度
角度(θ3):65度
角度(θS):25度
形態:第2の実施の形態
比(L0/D):0.35
比(L1/L0):0.26
比(L2/L3):2.4
比(LS/L0):0.25
角度(θ1):15度
角度(θ3):65度
角度(θS):25度
同図に示すように、差(θ2−θ1)が大きくなるにつれて静圧回復量が徐々に低下し、30度を超えると静圧回復量が急激に低下する。このため、差(θ2−θ1)は30度以下が好ましい。
<7.中央拡大筒状構成部42の角度(θ2)と出口側拡大筒状構成部43の角度(θ3)との差(θ3−θ2)と、タービン排気損失との関係>
図11は、中央拡大筒状構成部42の角度(θ2)と出口側拡大筒状構成部43の角度(θ3)との差(θ3−θ2)と、タービン排気損失との関係を示す図である。ここで、蒸気タービンの構成は、以下に示す通りである。なお、差(θ3−θ2)の調整は、中央拡大筒状構成部42の角度(θ2)を一定とし、出口側拡大筒状構成部43の角度(θ3)を変更することにより行った。
形態:第2の実施の形態
比(L0/D):0.35
比(L1/L0):0.26
比(L2/L3):2.4
比(LS/L0):0.25
角度(θ1):15度
角度(θ2):35度
角度(θS):25度
形態:第2の実施の形態
比(L0/D):0.35
比(L1/L0):0.26
比(L2/L3):2.4
比(LS/L0):0.25
角度(θ1):15度
角度(θ2):35度
角度(θS):25度
同図に示すように、差(θ3−θ2)が大きくなるにつれて静圧回復量が徐々に低下し、30度を超えると静圧回復量が急激に低下する。このため、差(θ3−θ2)は30度以下が好ましい。
以上説明した実施形態によれば、タービンロータ軸方向における排気室の長さを従来よりも短くでき、かつタービン排気損失の増加も抑制できる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
10…蒸気タービン、20…外部ケーシング、20a…垂直壁、21…内部ケーシング、22…動翼、23…タービンロータ、24…ロータ軸受、25a,25b…ダイヤフラム、26…ノズル、27…クロスオーバー管、28…吸気室、30…スチームガイド、31…入口側スチームガイド、32…出口側スチームガイド、40…ベアリングコーン、41…入口側拡大筒状構成部、42…中央拡大筒状構成部、43…出口側拡大筒状構成部、50…環状ディフューザ、D…タービン最終段落の動翼の直径、L0…ベアリングコーンの長さ、L1…入口側拡大筒状構成部の長さ、L2…中央拡大筒状構成部の長さ、L3…出口側拡大筒状構成部の長さ、LS…入口側スチームガイドの長さ、R2…中央拡大筒状構成部の蒸気接触面(外壁面)の円弧の半径、R3…出口側拡大筒状構成部の蒸気接触面(外壁面)の円弧の半径、RS…出口側スチームガイドの蒸気接触面(内壁面)の円弧の半径、θ1…入口側拡大筒状構成部の角度、θ2…中央拡大筒状構成部の角度、θ3…出口側拡大筒状構成部の角度、θS…入口側スチームガイドの角度。
Claims (12)
- タービン最終段落の下流側に設けられ、スチームガイドと、その内側のベアリングコーンとによって形成された、前記タービン最終段落を通過した蒸気を半径方向外側に向かって排出する環状ディフューザを備える蒸気タービンであって、
前記ベアリングコーンは、
前記タービン最終段落側に位置し、下流側に向かって拡開する入口側拡大筒状構成部と、
前記入口側拡大筒状構成部の下流側に位置し、下流側に向かって拡開する中央拡大筒状構成部と、
前記中央拡大筒状構成部の下流側に位置し、下流側に向かって拡開する出口側拡大筒状構成部とを有し、
前記タービン最終段落の動翼の直径(D)に対する前記ベアリングコーンのタービンロータ軸方向の長さ(L0)の比(L0/D)が2/5以下である蒸気タービン。 - 前記入口側拡大筒状構成部が下流側に向かって直線的に拡開する請求項1記載の蒸気タービン。
- 前記入口側拡大筒状構成部の蒸気接触面とタービンロータ軸方向とのなす角度(θ1)が0度を超え20度以下である請求項2記載の蒸気タービン。
- 前記中央拡大筒状構成部および前記出口側拡大筒状構成部の蒸気接触面がそれぞれ円弧状に拡大し、
前記中央拡大筒状構成部における蒸気接触面の円弧の半径(R2)よりも前記出口側拡大筒状構成部における蒸気接触面の円弧の半径(R3)が大きい請求項1または2記載の蒸気タービン。 - 前記中央拡大筒状構成部の蒸気接触面の円弧の半径(R2)が前記ベアリングコーンの軸方向の長さ(L0)以下、前記中央拡大筒状構成部の蒸気接触面の円弧の半径(R2)に対する前記出口側拡大筒状構成部における蒸気接触面の円弧の半径(R3)の比(R3/R2)が1.5以上である請求項4記載の蒸気タービン。
- 前記ベアリングコーンのタービンロータ軸方向の長さ(L0)に対する前記入口側拡大筒状構成部のタービンロータ軸方向の長さ(L1)の比(L1/L0)が1/7以上1/3以下である請求項1乃至5のいずれか1項記載の蒸気タービン。
- 前記スチームガイドは、前記タービン最終段落側に位置し、下流側に向かって直線的に拡開する入口側スチームガイドと、前記入口側スチームガイドの下流側に位置し、下流側に向かって円弧状に拡開する出口側スチームガイドとを有する請求項1乃至6のいずれか1項記載の蒸気タービン。
- 前記ベアリングコーンのタービンロータ軸方向の長さ(L0)に対する前記入口側スチームガイドのタービンロータ軸方向の長さ(LS)の比(LS/L0)が1/7以上1/3以下である請求項1乃至7のいずれか1項記載の蒸気タービン。
- 前記入口側スチームガイドの蒸気接触面とタービンロータ軸方向とのなす角度(θS)が7度以上27度以下である請求項7または8記載の蒸気タービン。
- 前記中央拡大筒状構成部および前記出口側拡大筒状構成部がそれぞれ1以上の直線的に拡開する部分からなる請求項1乃至3のいずれか1項記載の蒸気タービン。
- 前記入口側拡大筒状構成部の蒸気接触面とタービンロータ軸方向とのなす角度(θ1)よりも前記中央拡大筒状構成部における前記タービン最終段落側の部分の蒸気接触面とタービンロータ軸方向とのなす角度(θ2)が大きく、
前記角度(θ2)と前記角度(θ1)との差(θ2−θ1)が30度以下である請求項10記載の蒸気タービン。 - 前記中央拡大筒状構成部における前記タービン最終段落側の部分の蒸気接触面とタービンロータ軸方向とのなす角度(θ2)よりも前記出口側拡大筒状構成部における前記タービン最終段落側の部分の蒸気接触面とタービンロータ軸方向とのなす角度(θ3)が大きく、
前記角度(θ3)と前記角度(θ2)との差(θ3−θ2)が30度以下である請求項10または11記載の蒸気タービン。
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