JP2015193766A - 硬化性接着樹脂組成物および接着方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ブタジエン末端(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル基を有する単官能(メタ)アクリレート、脂環(メタ)アクリレート、長鎖炭化水素系(メタ)アクリレート、カーボンブラック、充填剤、熱重合開始剤およびその分解を促す促進剤、光開始剤を含む組成物で、硬化物の弾性率が1〜20MPaとなるレンズ固定および遮光性を有する硬化性接着樹脂組成物、また、硬化性接着樹脂組成物を、熱重合開始剤を含み、分解を促す促進剤を含まない硬化性接着樹脂組成物と、分解を促す促進剤を含み、熱重合開始剤を含まない接着樹脂組成物とを、別個の容器に入れ、塗布時スタティックミキサーを経て、ニードルから、被塗物に塗布し、光照射後、常温或いは加熱する接着方法。
【選択図】図1
Description
レンズ及び鏡枠に接着剤を塗布する際に、レンズの外周面と鏡枠の内周面との隙間(テーパー部)の体積より多く接着剤を塗布してしまうと、前記隙間から接着剤が溢れ出してレンズ面に付着するという問題がある。レンズ面に接着剤が付着すると、付着した接着剤の硬化収縮に伴い、レンズ面において硬化応力が発生する。その結果、レンズ面に歪が発生し、レンズの面精度を狂わせてしまう。そのため、レンズ面に付着した接着剤を除去することが必要となり、レンズ接着後のクリーニング工程が増えるといった問題がある。さらに、接着剤を隙間の体積より少なく充填した場合は、隙間に不均一な空間が発生するため、レンズ外周面に作用する接着剤の硬化応力が不均一になり、レンズに歪を発生させるといった問題があった。このように、レンズ及び鏡枠に接着剤を塗布した後に組み付ける必要があるため、組み付け後における隙間内での接着剤の充填量や、塗布状況を外観から観察することができず、作業効率が悪いという問題がある等の課題があることを記している。
レンズ同士を接着の場合、該レンズ同士の挟み込み手段が不要となりレンズ保持方法が簡単にできるメリットがあるが、該レンズ同士の接着面に均一な厚さの接着層を設けることは困難であること、接着剤のレンズ有効径内径へのはみ出し、レンズ固定のための胴付き面へのはみ出し等の問題もあり、工程管理が大変であった。また、該接着によるレンズ保持の方法の場合、該レンズ同士の接着面の間に遮光手段を挟み込もうとする場合、一方のレンズの接着面と遮光手段の一面、遮光手段の他面と他方のレンズの接着面というように、2箇所の接着部分が必要となり、前述した接着の場合の問題がさらに大きな問題として不利になっていた。また、接着されるレンズがガラスではなくプラスチックレンズの場合、材質による剛性が弱いために接着剤の硬化時の収縮により変形が発生しやすく、光線有効部での面歪みの原因となる。さらに、接着剤塗布時の接着剤量の場所による不均一性により変形し、所望の光学性能が得られないことが多い。また、レンズ等の光学部品の接着によく用いられる接着剤として、紫外線硬化型樹脂があげられる。該接着剤は揮発性接着剤とは異なり硬化時間が数秒と短いことが特徴であり、接着工程時間の短縮に効果がある。しかし、プラスチックレンズの場合、長時間または強度の紫外線の照射により黄変する特徴があるため、接着剤硬化時の強度の強い紫外線により黄色く変色する場合があり、これにより、所望のレンズ性能のひとつであるカラーバランスが変化してしまう問題があった。また、接着されるレンズが薄肉レンズの場合、プラスチックレンズでなくガラスレンズでも前述の理由によりレンズ面の変形が発生しやすくなり、注意が必要であった。また、接着貼り合わせの際、レンズの光線有効径からその外径方向の接着剤塗布位置まで、ある程度の距離の余裕を有していないと、光線有効径近傍を通る光束が接着剤によって反射・屈折し乱反射状態となり、レンズ鏡筒としてゴースト等の問題の原因となりやすい。そのため、従来は該距離の余裕を十分に取るか、レンズ接着後に該有害光をカットするための遮光部材を別工程で貼り付けるなどの手段が必要であった等の課題を記している。
主鎖に、リビングアニオン重合により、ブタジエンを重合し、1,2−ビニル構造を85%以上を含有する末端水酸基液状ポリブタジエン、あるいは前者水添物をジイソシアネート化合物で(メタ)アクリレートとしたもの、また、前者を(メタ)アクリル酸とエステル化した(メタ)アクリレートや、1,4結合主体で、1,4−シスが約20%、1,4−トランスが約60%、1,2−ビニルが約20%である水酸基末端液状ポリブタジエンを(メタ)アクリル酸とエステル化した(メタ)アクリレートである。これらは耐水性、硬化物の柔軟性に優れ、前者は、硬化性、塗布粘性に調え易く好ましい。市販品にNISSO−PB TE−2000(日本曹達(株)、商品名、主鎖1,2−ビニル85%以上品、末端メタクリレート品、アクリル当量(g/eq)1100〜2000)、TEAI−1000(日本曹達(株)、商品名、水添品、末端アクリレート品、アクリル当量(g/eq)700〜1200)、EMA−3000(日本曹達(株)、商品名、主鎖1,2−ビニル90%以上品、数平均分子量2600〜3700、末端メタクリレート品、数平均分子量アクリル当量(g/eq)1800〜2500)、BAC−45(大阪有機化学工業(株)、商品名、ポリブタジエン末端ジアクリレート、分子量約10000)がある。化1は前TE−2000、化2はEMA−3000の構造式である。
ヒドロキシアルキル基を有する単官能(メタ)アクリレートは、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートがあげられ、中でも 4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートと2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが相溶性と密着性が優れ好ましい。
脂環(メタ)アクリレートはエステル基に脂環を有する(メタ)アクリレートモノマーで、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基、イソボルニル基、アダマンタニル基、テトラヒドロフラニル基、シクロヘキサニル基を有するもので、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレ−ト、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレ−ト、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレ−ト、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンタニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどがあげられ、低粘度化、相溶性、硬化性が優れる。中でもジシクロペンテニル(メタ)アクリレ−トが、柔軟性を付与できる点で好ましい。
長鎖炭化水素系(メタ)アクリレートモノマーはエステルに炭素数8〜18の炭化水素を有するもので、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどがあげられる。さらに炭素数10〜12が、組成物の粘度低下、硬化性、硬化物の柔軟性に寄与することで有用となる。
遮光性を付与する有用な材料で、汎用の顔料用途のものであればよく、組成物全体に対して0.1〜2.5重量%を、目的とする遮光性に応じて配合する。0.1重量未満では、墨剤との併用が必要となり、2.5重量%を超えて配合すると汎用の紫外線照射装置では、流動性をなくしても、本硬化に至る前に膨潤等の不具合を生じる。
タルク、炭酸カルシウム粉、カオリンクレー、マイカ粉、セリサイト、霞長石粉、クリストバライト、二酸化チタンなど、組成物中の樹脂成分に分散し、隠蔽性を付与できるものを選択する。紫外線硬化の深部硬化を妨げない点で、タルクが好ましい。
2液とした組成物の保存安定性を担保し、半減期温度が高く、レドックス反応がし易く、ブタジエン末端(メタ)アクリレート、配合されるアクリレートと相溶性し、実際暗所保存性を有するもので、代用試験として40℃30日後でも、本願の塗布方法、目的に背かないものである必要がある。クメンヒドロキシパーオキサイドが好ましい。0.5〜10重量%配合される。
熱重合開始剤とレドックス反応を起こし、アクリル基、ビニル基、アリル基等と反応することなく、組成物の安定性を有する必要があり、ナフテン酸銅とナフテン酸コバルトが好ましい。ナフテン酸銅は全体の硬化性に、ナフテン酸コバルトは表面硬化性に寄与し、目的に応じ、配合比率を選択する。ナフテン酸銅、ナフテン酸コバルトは、全組成物に対して、それぞれ0.1〜5重量%配合する。
光開始剤は、レンズの透過光線に合わせて、可視光や紫外線でラジカルを生じる、汎用される光重合開始剤で良く、エネルギーが高い紫外線が多く用いられる。ラジカル重合性成分に対して、2〜6重量%配合することが好ましい。光開始剤として、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4'−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2‐メチル‐1‐[4‐(メチルチオ)フェニル]‐2‐モルホリノプロパン‐1‐オン、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドを上げることができる。
このうち、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンとビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドの組み合わせが深部硬化性の点で好ましい。
汎用に用いられる塗料添加剤は、本願発明の効果を阻害しない範囲で配合できる。例えばヒンダードフェノール系酸化防止剤、アルコキシシラン含有ビニルモノマー、揺変剤、粘度調整剤等を添加することができる。
A組成物、B組成物は装置の簡略化、混合効率を良くする点で、略1対1が好ましい。
例えば、図1の鏡筒とレンズの間、レンズを仮止めしたOリングと鏡筒壁面での固定、ねじ部への塗布固定で、硬化性接着樹脂組成物は塗布後、紫外線等の光照射で、組成物の流動性をなくし、常温或いは加熱で、硬化させる。樹脂組成物は遮光性、或いは光反射防止性を有するためにカメラ等の迷光を防ぐための遮光、反射防止と固定する機能をもち、一工程で行うことが可能となる。
前記加熱は光学素子の劣化が起こらない80℃以下で行う、加熱を行うことにより、硬化時間は10分〜60分とすることができる。
ブタジエン末端(メタ)アクリレート:TE−2000(日本曹達(株)、商品名)
ヒドロキシアルキル基を有する単官能(メタ)アクリレート:ライトエステルHOB(N)(共栄社化学(株)、商品名、2−ヒドロキシブチルメタクリレート)
脂環(メタ)アクリレート:ファンクリルFA−512M(日立化成(株)、商品名、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート)
長鎖炭化水素系(メタ)アクリレート:ISTA(大阪有機化学工業(株)、商品名、イソステアリルアクリレート)
カーボンブラック:MA600(三菱化学(株)、商品名、粒子径20nm(電子顕微鏡で観察して求めた算術平均径)窒素吸着比表面積140m2/g DBP 吸収量 131cm3/100g)
充填剤:SG−95(日本タルク(株)、タルク、粒子径(D50) 2.5μm)
熱重合開始剤:カヤクメンH(化薬アクゾ(株)、商品名、クメンヒドロペルオキシド)
光開始剤:イルガキュア184(BASF、商品名、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)とイルガキュア819(BASF、商品名、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド)を4対1の重量比で混合して使用。
促進剤:ナフテックスコバルト(日本化学産業(株)、商品名、ナフテン酸コバルト、Co6%含有品とナフテックス銅(日本化学産業(株)、商品名、ナフテン酸銅、Cu5%含有)を重量比で2対1で混合使用。
揺変剤:CAB−O−SILR TS−610(キャボット、商品名、低比表面積のジメチルジクロロシランで表面処理されたヒュームドシリカ)
接着促進剤:サイラエースS710(JNC(株)、商品名、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン)
安定剤:イルガノックス1010(BASF、商品名、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)とジブチルヒドロキシトルエンを重量比で1対1で混合使用。
深部硬化性:0.9mm厚無アルカリガラス板に5φ×5mmの黒ナイロンチューブを堰とし、実施例の組成物をA、Bを1対1で混合し、満たし、紫外線強度200mW/cm2で、ガラス板越しに10秒、20秒、30秒、60秒照射し、照射後、硬化膜厚を測定した。組成物の硬化物がガラスに付着したものはガラスごと測定し、カラスの厚みを差し引き、硬化膜厚とした。表1に記載の膜厚はほぼ飽和に達した硬化膜厚と()内は時間を記した。
ヤング率:実施例の組成物を混合後、離型処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム間に挟み、500μm厚のシリコーンシートをスペーサーとし、さらに両面をガラス板で挟み、照射強度300mW/cm2で6000mJ/cm2を上下より照射し、24時間後、8号ダンベルで、試験体を作成し、JIS K6251に準じて、標点間距離33mm、引張速度10mm/分で測定し、ひずみ−応力の直線部より、算出した。
硬化収縮率:JIS K6833−1:2008(接着剤−一般試験方法)に準じ、比重カップ法(金属製比重瓶)にて、23℃±2℃で、硬化前組成物の比重、組成物硬化物の比重を測定し、数1の式により硬化収縮率を測定した。
式中Eはヤング率である。
実施例1のブタジエン末端(メタ)アクリレートをアートレジンUN−9200A(根上工業(株)、商品名、無黄変型2官能ウレタンアクリレート)に変えた以外実施例1と同じに配合した。この比較例1のAおよびBの組成物は40℃30日促進保存試験後、A組成物は混合ができない粘度に達し、B組成物は皮張りが生じた。
実施例1〜10のA、Bの40℃30日後でも、ディスペンサーにて、混合し塗布することができた。
2 硬化性接着樹脂組成物のねじ部使途部例
3 レンズ
4 鏡筒
5 Oリングパッキン
6 基板装着体(イメージセンサーが実装された基板へ接着固定される部位)
Claims (4)
- ブタジエン末端(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル基を有する単官能(メタ)アクリレート、脂環(メタ)アクリレート、長鎖炭化水素系(メタ)アクリレート、カーボンブラック、充填剤、熱重合開始剤およびその分解を促す促進剤、光開始剤を含む組成物で、硬化物の弾性率が1〜20MPaとなるレンズ固定および遮光性を有する硬化性接着樹脂組成物。
- ブタジエン末端(メタ)アクリレートが39〜47重量%、ヒドロキシアルキル基を有する単官能(メタ)アクリレートが5〜20重量%、脂環(メタ)アクリレートが5〜20重量%、長鎖炭化水素系(メタ)アクリレートが5〜20重量%、充填剤が9〜12重量%である請求項1に記載の硬化性接着樹脂組成物。
- 請求項1の硬化性接着樹脂組成物を、熱重合開始剤を含み、分解を促す促進剤を含まない硬化性接着樹脂組成物と、分解を促す促進剤を含み、熱重合開始剤を含まない接着樹脂組成物とを、別個の容器に入れ、塗布時スタティックミキサーを経て、ニードルから、被塗物に塗布し、光照射後、常温或いは加熱することを特徴とする接着方法。
- 請求項3の、容器を気体で加圧し、ニードル或いは被塗物を数値制御で移動し、前記加圧を移動量に応じて制御し、定量塗布する請求項3に記載の光学素子用接着方法。
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