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JP2015193206A - フレキソ印刷版原版 - Google Patents

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JP2015193206A JP2014156344A JP2014156344A JP2015193206A JP 2015193206 A JP2015193206 A JP 2015193206A JP 2014156344 A JP2014156344 A JP 2014156344A JP 2014156344 A JP2014156344 A JP 2014156344A JP 2015193206 A JP2015193206 A JP 2015193206A
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Abstract

【課題】厚み精度に優れるフレキソ印刷版原版を提供すること。
【解決手段】支持体12の面上に有する弾性体層16が、下記(A)〜(C)を含有し(A)に対する(B)の質量比(B)/(A)が50/50〜5/95である組成物の過酸化物架橋体からなるフレキソ印刷版原版10とする。
(A)下記(a1)の重合体または下記(a1)と下記(a2)および下記(a3)から選択される1種または2種以上のモノマーとの共重合体であって、主鎖内部に二重結合を有する重合体
(a1)ジエン
(a2)オレフィン
(a3)ビニル置換芳香族炭化水素
(B)融点が存在する重合体
(C)過酸化物
【選択図】図1

Description

本発明は、フレキソ印刷版原版に関し、さらに詳しくは、レーザ彫刻によって凸版を形成する原版として好適なフレキソ印刷版原版に関するものである。
従来から、印刷版を用いて、包装材やラベル、雑誌等の被刷体に、凸版印刷、凹版印刷、あるいは、平版印刷が行われている。このうち、凸版印刷は、凸版を用いて行われる。この凸版には、材質が柔らかいことから被刷体を選ばず、種々の被刷体に適用可能なフレキソ印刷版がある。
フレキソ印刷版の原版から凸版を形成する方法としては、感光性樹脂層に所定の画像を露光して硬化した部分を浮き彫りにする方法とともに、架橋樹脂層にレーザ彫刻を行って所定の画像を浮き彫りにする方法がある。レーザ彫刻法による凸版形成に用いられるフレキソ印刷版原版としては例えば特許文献1に記載のものなどが挙げられる。
国際公開2007/066652
高精細な印刷物が求められる中、レーザ彫刻法による凸版形成に用いられるフレキソ印刷版原版についても厚み精度が求められる。
本発明が解決しようとする課題は、厚み精度に優れるフレキソ印刷版原版を提供することにある。
上記課題を解決するため本発明に係るフレキソ印刷版原版は、支持体の面上に弾性体層を有し、前記弾性体層が、下記(A)〜(C)を含有し(A)に対する(B)の質量比(B)/(A)が50/50〜5/95である組成物の過酸化物架橋体からなることを要旨とするものである。
(A)下記(a1)の重合体または下記(a1)と下記(a2)および下記(a3)から選択される1種または2種以上のモノマーとの共重合体であって、主鎖内部に二重結合を有する重合体
(a1)共役ジエン
(a2)オレフィン
(a3)ビニル置換芳香族炭化水素
(B)融点が存在する重合体
(C)過酸化物
この場合、前記組成物がさらに、BET比表面積200m/g以上のカーボンブラックを含有するとよい。そして、前記(B)の融点は30〜100℃の範囲内であることが好ましい。また、前記(B)は二重結合を有することが好ましい。そして、前記(B)は1,2−ポリブタジエンであることが好ましい。また、前記(A)はエチレン−プロピレン−ジエンゴムであることが好ましい。
本発明に係るフレキソ印刷版原版によれば、少なくとも共役ジエンをモノマー成分として含む重合体である(A)に対し融点が存在する重合体を配合しているため、弾性体層を得るための過酸化物架橋前の前駆体層の成形性が向上する。これにより、厚み精度に優れるフレキソ印刷版原版が得られる。
この場合、前記組成物がさらに、BET比表面積200m/g以上のカーボンブラックを含有すると、弾性体層を得るための過酸化物架橋前の前駆体層の収縮が抑えられ、厚み精度を向上できる。前記(B)の融点が30〜100℃の範囲内であると、前駆体層の成形性が向上する。そして、前記(B)が二重結合を有するものであると、過酸化物による(B)の架橋密度が高くなり、機械物性向上やインキによる膨潤がより抑えられやすくなる。そして、前記(B)が1,2−ポリブタジエンであると、二重結合の量が多く、過酸化物による(B)の架橋密度が高くなり、機械物性向上やインキによる膨潤がより抑えられやすくなる。そして、前記(A)がエチレン−プロピレン−ジエン共重合体であると、耐インキ性(インキによる膨潤を抑える)に特に優れる。
本発明の一実施形態に係るフレキソ印刷版原版の断面図である。
次に、本発明について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るフレキソ印刷版原版の断面図である。図1に示すように、一実施形態に係るフレキソ印刷版原版10は、支持体12と、接着剤層14と、弾性体層16と、を備える。支持体12の面上に、接着剤層14と弾性体層16とがこの順で積層されている。接着剤層14は、支持体12に接して設けられ、弾性体層16は、接着剤層14に接して設けられている。接着剤層14は、支持体12に弾性体層16を接着するものであり、支持体12の面上に弾性体層16を直接形成しても良好に密着するのであれば、接着剤層14はなくてもよい。
支持体12は、その上に積層される弾性体層16などの層を支持する。支持体12としては、特に限定されるものではないが、例えば樹脂製フィルムが挙げられる。樹脂製フィルムとしては、寸法安定性に優れることから、PETフィルムなどのポリエステルフィルムが挙げられる。支持体12の厚さは、特に限定されるものではないが、その上に積層される弾性体層16などの層を支持するのに十分な強度が得られるなどの観点から、例えば50〜300μmの範囲内とすればよい。
接着剤層14は、接着剤成分を含有する。接着剤成分としては、特に限定されるものではないが、支持体12および弾性体層16との密着性に優れるなどから、ポリエステル系接着剤が挙げられる。ポリエステル系接着剤のバインダー樹脂は、ポリエステル樹脂からなる。接着剤層14の厚さは、特に限定されるものではないが、密着性に優れるなどから1〜100μmの範囲内とすればよい。また、支持体12の表面には、活性基を付与する表面処理(プラズマ処理、UV処理、EB処理、コロナ処理など)を行ってもよい。
弾性体層16は、下記(A)〜(C)を含有し(A)に対する(B)の質量比(B)/(A)が50/50〜5/95である組成物の過酸化物架橋体からなる。
(A)下記(a1)の単独重合体または下記(a1)と下記(a2)および下記(a3)から選択される1種または2種以上のモノマーとの共重合体であって、主鎖内部に二重結合を有する重合体
(a1)ジエン
(a2)オレフィン
(a3)ビニル置換芳香族炭化水素
(B)融点が存在する重合体
(C)過酸化物
(A)としては、ジエン1種の一元系重合体、ジエン2種以上の多元系重合体、ジエン1種とオレフィン1種の二元系重合体、ジエン1種とオレフィン2種以上の多元系重合体、ジエン2種以上とオレフィン1種の多元系重合体、ジエン2種以上とオレフィン2種以上の多元系重合体、ジエン1種とビニル置換芳香族炭化水素1種の二元系重合体、ジエン1種とビニル置換芳香族炭化水素2種以上の多元系重合体、ジエン2種以上とビニル置換芳香族炭化水素1種の多元系重合体、ジエン2種以上とビニル置換芳香族炭化水素2種以上の多元系重合体、ジエン1種とオレフィン1種とビニル置換芳香族炭化水素1種の三元系重合体、ジエン2種以上とオレフィン1種とビニル置換芳香族炭化水素1種の多元系重合体、ジエン1種とオレフィン2種以上とビニル置換芳香族炭化水素1種の多元系重合体、ジエン1種とオレフィン1種とビニル置換芳香族炭化水素2種以上の多元系重合体、ジエン2種以上とオレフィン2種以上とビニル置換芳香族炭化水素1種の多元系重合体、ジエン2種以上とオレフィン1種とビニル置換芳香族炭化水素2種以上の多元系重合体、ジエン2種以上とオレフィン2種以上とビニル置換芳香族炭化水素2種以上の多元系重合体などが挙げられる。(A)は、上記のいずれかであってもよいし、上記の2以上が組み合わされたものであってもよい。(A)は、ブロック共重合体であってもよいし、ランダム共重合体であってもよい。(A)は、未架橋のゴムであってもよいし、熱可塑性エラストマーであってもよい。
(a1)ジエンは、共役ジエン、非共役ジエンのいずれであってもよい。また、共役ジエンと非共役ジエンの混合物であってもよい。(a1)ジエンは、鎖状のジエンであってもよいし、環状のジエンであってもよい。また、鎖状のジエンと環状のジエンの混合物であってもよい。
鎖状の共役ジエンとしては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン、クロロプレンなどが挙げられる。環状の共役ジエンとしては、シクロペンタジエンなどが挙げられる。鎖状の非共役ジエンとしては、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエンなどが挙げられる。環状の非共役ジエンとしては、シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、メチルテトラインデン、5−ビニルノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネンなどが挙げられる。
(a2)オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンなどが挙げられる。(a2)オレフィンは、上記のいずれかであってもよいし、上記の2以上が組み合わされたものであってもよい。
(a3)ビニル置換芳香族炭化水素は、置換ビニル基を1つ有するものであってもよいし、置換ビニル基を2つ以上有するものであってもよい。(a3)ビニル置換芳香族炭化水素としては、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−エチルスチレン、p−エチルスチレン、o−プロピルスチレン、p−プロピルスチレン、tert−ブチルスチレン、o−メトキシスチレン、p−メトキシスチレン、o−エトキシスチレン、p−エトキシスチレン、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。(a3)ビニル置換芳香族炭化水素は、上記のいずれかであってもよいし、上記の2以上が組み合わされたものであってもよい。
(A)としては、具体的には、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、スチレン−ブタジエンランダム共重合体(SBR)、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレンブロック共重合体(SIS)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)これらの部分水添物などが挙げられる。これらのうちでは、耐インキ性(インキによる膨潤を抑える)に優れることから、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)が好ましい。
(A)は、明確な融点を示すものが少なく高度に厚み制御をする為には十分な流動性が確保できる高温域で成形する必要がある。しかしながら、高温域での成形では汎用な過酸化物の反応が進行してしまうことや、冷却した際の体積変化が大きくなることから成形性を悪化させてしまう為、低温域での成形が必要とされる。(B)は低温域における流動性を改善するために配合する。
(B)の融点は、成形性を向上することから100℃以下であることが好ましい。より好ましくは90℃以下である。一方、未加硫時の取扱い性から、30℃以上であることが好ましい。より好ましくは50℃以上である。(B)の融点は、JIS K7121に準拠して示差走査熱量計(DSC)を用いて測定することができる。融点以上の温度で成形することで十分な流動性を発揮し高精度な成形が可能となる。
(B)は、二重結合を有する重合体であってもよいし、二重結合を有していない重合体であってもよいし、これらの混合物であってもよい。(B)は、過酸化物による(B)の架橋密度が高くなり、物性の向上、インキによる膨潤がより抑えられやすくなることから、二重結合を有する重合体であることが好ましい。
(B)としては、具体的には、例えば、1,2−ポリブタジエン、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。これらのうちでは、二重結合の量が多く、過酸化物による(B)の架橋密度が高くなり機械物性の向上、インキによる膨潤がより抑えられやすくなる、融点が好適な範囲内にあるなどから、1,2−ポリブタジエンが好ましい。なお、1,2−ポリブタジエンは、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンである。
(A)に対する(B)の質量比(B)/(A)は、50/50〜5/95であればよいが、(A)による耐インキ性(インキによる膨潤を抑える)の効果が向上するなどから、(B)/(A)はより好ましくは40/60〜5/95、さらに好ましくは30/70〜5/95である。
(C)過酸化物の選択は高精度な成形において重要であり、熱的安定性と熱的分解性のバランスを考慮しなければならない。特に熱的安定性については、過酸化物の反応が非常に緩やかな10時間半減期温度以下で用いることで加硫を抑制でき成形性が向上する為、10時間半減期温度が(B)の融点より高いことが望ましく又、成形温度よりも高いことが望ましい。
(C)過酸化物としては、具体的には、例えば、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、ビス(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシネオヘプタネート、ビス(3,5,5−トリメチル−1−オキソヘキシル)ペルオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、ジベンゾイルパーオキサイド、1,1−ジ(tert−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ジ(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、tert−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tert−ヘキシルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシアセテート、n−ブチル−4,4−ジ(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、ジ(2−tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジ-tert−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン−3、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイドなどが挙げられる。
(C)過酸化物の添加量は、特に限定されるものではないが、ポリマー100質量部に対して0.1〜10質量部などであればよい。
弾性体層16を形成する組成物は、必要に応じ上記の(A)〜(C)に加えてカーボンブラックや無機フィラー、可塑剤、共架橋剤、老化防止剤などを含有していてもよい。カーボンブラックは、補強に加えレーザの種類によるが、レーザ彫刻を行う際に必要となる場合があるものである。
カーボンブラックは、補強などの目的においてはその種類は限定されるものではないが、弾性体層16の厚み精度を向上する観点から、BET比表面積の大きいものが好ましい。BET比表面積が大きいと、(A)や(B)などの重合体との接触面積が大きく、これらの重合体を固定して架橋前におけるこれらの重合体の収縮を抑えることができる。これにより、弾性体層16の厚みを制御し、収縮によるシワの発生を抑え、弾性体層16の厚み精度を向上する。カーボンブラックのBET比表面積は、好ましくは200m/g以上、より好ましくは250m/g以上、更に好ましくは300m/g以上である。カーボンブラックは、中空シェル状あるいは多孔質であると、BET比表面積が大きくなりやすい。
無機フィラーは、弾性体層16の前駆体層の架橋前の収縮を抑えて弾性体層16の厚み精度を向上することができる。無機フィラーの種類は特に限定されるものではなく、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化鉄、タルク、クレイ、シリカ、石英などが挙げられる。又無機フィラーは分散性を向上させるなどの目的で有機物や金属などで表面処理されていてもよい。無機フィラーの含有量は、厚み精度の向上からポリマー成分100質量部に対し1〜200質量部の範囲内であることが好ましい。
可塑剤の種類は特に限定されるものではなく、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、アロマ系オイル、エステル系、エーテル系、エステルエーテル系、液状ポリブタジエン、液状ポリイソプレン、ポリイソブテンなどが挙げられる。可塑剤の含有量は加工性や取扱いの観点からポリマー成分100質量部に対し1〜100質量部の範囲内であることが好ましい。
共架橋剤の種類は特に限定されるものではなく、(メタ)アクリルモノマー、(メタ)アクリルオリゴマー、(メタ)アクリル変性重合体、(メタ)アクリル金属塩、ビスマレイミドなどが挙げられる。共架橋剤の含有量は硬度などの観点からポリマー成分100質量部に対し1〜30質量部の範囲内であることが好ましい。
老化防止剤の種類は特に限定されるものではなく、アミン系、フェノール系、ベンゾイミダゾール系、ジチオカルバミン酸ニッケル系、リン酸系、有機チオ酸系などが挙げられる。貯蔵安定性やブリードなどの観点からポリマー成分100質量部に対し0.1〜5質量部の範囲内であることが好ましい。
弾性体層16の厚みは、特に限定されるものではないが、生産性の観点から0.5〜5mmの範囲内であることが好ましい。
フレキソ印刷版原版は、例えば支持体の面上に上記の組成物を押出することにより弾性体層を得るための過酸化物架橋前の前駆体層を支持体の面上に形成し、この前駆体層を所定の温度で過酸化物架橋することにより得ることができる。そして、本発明に係るフレキソ印刷版原版によれば、少なくとも共役ジエンをモノマー成分として含む重合体である(A)に対し(A)より融点の低い低融点重合体を配合しているため、弾性体層を得るための過酸化物架橋前の前駆体層の成形性が向上する。これにより、厚み精度に優れるフレキソ印刷版原版が得られる。
得られたフレキソ印刷版原版は、弾性体層にレーザ彫刻を行うことによりレリーフ像が形成される。レーザ彫刻後の表面には彫刻カスが付着するため、水等の洗浄液を用いて彫刻カスを洗い流した後、乾燥するなどの処理を行うとよい。これにより、所定のレリーフ像を有するフレキソ印刷版が得られる。
レーザ彫刻の際に用いるレーザとしては、特に限定されるものではなく、公知のレーザを用いることができる。レーザとしては、炭酸ガスレーザ、半導体レーザ、YAGレーザなどが挙げられる。
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
<弾性体層用組成物の調製>
表1に記載の配合組成(質量部)となるように各成分を配合し、100℃にてニーダー中で混練することにより弾性体層用組成物を調製した。
使用した各成分は以下の通りである。
・EPDM:住友化学社製「エスプレン305」
・IR:日本ゼオン社製「ニポールIR2200」
・SBR:旭化成社製「タフデン2100R」
・1,2−BR<1>:シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、JSR社製「RB810」、融点71℃
・1,2−BR<2>:シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、JSR社製「RB820」、融点95℃
・エチレン−ブテン共重合体:DOW社製「ENGAGEHM7447」、融点35℃
・可塑剤:出光興産社製「ダイアナプロセスオイルPW−380」
・カーボンブラック:東海カーボン社製「シーストS」、その他表2に記載の各種
・無機充填材:白石カルシウム社製「白艶華O」
・過酸化物:日油社製「パーブチルP」
<フレキソ印刷版原版の作製>
支持体として125μm厚のPETフィルムを用いた。この支持体の面上に、乾燥後の厚みが10μmとなるようにポリエステル樹脂溶解液(東洋紡製「バイロン30SS」、固形分30質量%)を含む接着剤層用塗工液をバーコートで塗工し、120℃で10分間乾燥させることにより、支持体上に接着剤層を形成した。次いで、支持体に形成された接着剤層の面上に100℃で弾性体層用組成物を100mm/分の速さで厚み1mm、幅50mm、長さ100mmで押出することにより前駆体層を形成した。次いで、1mmのスペーサーを設置した鉄板の間に前駆体層を挟み170℃のオーブン中で30分間加熱架橋処理を行うことにより、弾性体層の厚さが1mmのフレキソ印刷版原版を作製した。
調製した弾性層用組成物の成形性について評価をした。また、作製したフレキソ印刷版原版について、レーザ彫刻機を用いて所定のレリーフ像が形成されたフレキソ印刷版を作製し、その彫刻深度を測定した。また、カーボン種の違いによる生ゴム収縮度を評価した。測定方法および評価方法を以下に示す。弾性体層用組成物の配合組成および評価結果を表1、2に示す。
<成形性(押出形状)>
押出し機シリンダ設定温度を100℃、口金形状を厚み1mm 幅50mm、押出し速度100mm/分の条件にて弾性体層用組成物を鉄板上に約100mm押出し室温まで冷却した。評価は未加硫物と加硫物で実施した。未加硫物については中央の50mm角を使用し4つ角及び中央部の合計5箇所を接触式の厚み計を用い厚みを測定した。加硫物は前記未加硫物を用い1mmのスペーサーを設置した鉄板の間に挟み170のオーブン中で30分間加熱処理を行い、室温まで冷却したのち同様に厚みを測定した。未加硫物と加硫物ともに厚み最大値と最小値の差が100μm以下の場合を「○」、100μm超を「×」とした。
<生ゴム収縮>
押出し機シリンダ設定温度を100℃、口金形状を厚み1mm 幅50mm、押出し速度100mm/分の条件にて弾性体層用組成物を押出し、押出し直後の弾性体層用組成物の幅を測定した。次いで室温で十分冷却した後再度弾性体層用組成物の幅を測定した。測定結果に基づき、下記式より収縮率を算出し、10%未満の場合を「○」、10%以上を「△」とした。
収縮率(%)=([押出し直後の幅(mm)]−[押出し冷却後の幅](mm))/ [押出し直後の幅(mm)×100
<彫刻深度>
作製したフレキソ印刷版原版をパナソニックデバイスSUNX株式会社製LP−S502(波長1064nmのYAGレーザー)を用いて平均出力34W、50mm/sで1回彫刻し白抜き線を彫刻した。彫刻した印刷版の白抜き線を線に対し垂直方向に切断し、その断面からマイクロスコープで彫刻深度を測定した。彫刻深度100μm以上の場合を「○」、100μm未満を「×」とした。
Figure 2015193206
Figure 2015193206
表1から、比較例1では、押出された未加硫物に明らかなうねりが目視で確認でき、その加硫物にもそのうねりは完全にはなくならず成形性に劣ることがわかる。また比較例1の彫刻深度はうねりがある為正確な測定ができず評価不可とした。これに対し、実施例によれば、押出された未加硫物およびその加硫物のいずれにもうねりは観測されず、厚み測定からも高精度な厚み制御ができており、成形性に優れることが確認された。また、実施例によれば、彫刻深度の点でも問題がないことが確認された。
そして、表2から、配合するカーボンのBET比表面積が200m/g以上であると、生ゴム収縮(弾性層用組成物の架橋前における収縮)が小さく、厚みを制御しやすいため、厚み精度を向上できることがわかる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
10 フレキソ印刷版原版
12 支持体
14 接着剤層
16 弾性体層

Claims (6)

  1. 支持体の面上に弾性体層を有し、
    前記弾性体層が、下記(A)〜(C)を含有し(A)に対する(B)の質量比(B)/(A)が50/50〜5/95である組成物の過酸化物架橋体からなることを特徴とするフレキソ印刷版原版。
    (A)下記(a1)の重合体または下記(a1)と下記(a2)および下記(a3)から選択される1種または2種以上のモノマーとの共重合体であって、主鎖内部に二重結合を有する重合体
    (a1)ジエン
    (a2)オレフィン
    (a3)ビニル置換芳香族炭化水素
    (B)融点が存在する重合体
    (C)過酸化物
  2. 前記組成物がさらに、BET比表面積200m/g以上のカーボンブラックを含有することを特徴とする請求項1に記載のフレキソ印刷版原版。
  3. 前記(B)の融点が、30〜100℃の範囲内であることを特徴とする請求項1または2に記載のフレキソ印刷版原版。
  4. 前記(B)が、二重結合を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のフレキソ印刷版原版。
  5. 前記(B)が、1,2−ポリブタジエンであることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のフレキソ印刷版原版。
  6. 前記(A)が、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のフレキソ印刷版原版。

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