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JP2015189348A - 車両 - Google Patents

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JP2015189348A JP2014068496A JP2014068496A JP2015189348A JP 2015189348 A JP2015189348 A JP 2015189348A JP 2014068496 A JP2014068496 A JP 2014068496A JP 2014068496 A JP2014068496 A JP 2014068496A JP 2015189348 A JP2015189348 A JP 2015189348A
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秀一 平林
Shuichi Hirabayashi
秀一 平林
国彦 陣野
Kunihiko Jinno
国彦 陣野
洋晃 松本
Hiroaki Matsumoto
洋晃 松本
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Abstract

【課題】電動コンプレッサを有する空調装置を備えた車両において、ウォームアップブロア遅動制御が実施される際に、送風温度の変動を抑制して車室内を快適な状態とする。
【解決手段】冷却水路61と、電動コンプレッサ71を含み、エアコン冷凍サイクルA/Cにより車室内に送出する空気を調和させる空調装置70と、空調装置70を制御するECU300とを備える。電動コンプレッサ71で圧縮された冷媒の熱は、熱交換器90から冷却水路61内の冷却水に伝達される。ECU300は、空調装置70のエアミックスドア80の開度が調整できないときは、調整できるときに比べて電動コンプレッサ71の駆動力を減少させるように制御する。
【選択図】図5

Description

この発明は、車両に関し、特に回生エネルギを蓄熱することができる車両の制御に関する。
近年、ハイブリッド車両などでは、車両の走行に伴う運動エネルギを電気エネルギとして回生すると共に、電動コンプレッサを用いて、回生された電気エネルギをさらに熱エネルギに変換して他の機器で有効に用いるものが知られている。
特許文献1(特開2012−147636号公報)には、このような電動コンプレッサを用いたエネルギ蓄熱システムが開示される。このシステムでは、バッテリの充電状態(以下、SOC(State of Charge)とも称する。)が高くなり、減速時に発生する回生エネルギをバッテリで蓄電しきれなくなると、空調装置に設けられた電動コンプレッサを駆動させて運動エネルギを熱エネルギに変換して、専用の蓄熱器に回収するように構成されている。
一方、部品点数の増大を抑制するため、専用の蓄熱器に代わる蓄熱先として、既存のエンジン冷却系の冷却水路内を循環するエンジン冷却水を利用するシステムが考えられる。このようなシステムでは、エンジン冷却水に熱エネルギとして蓄熱された回生エネルギを、エンジン暖気と、車室内の暖房エネルギとして利用することができる。
特開2012−147636号公報

既存の冷暖房を行なう空調装置では、暖房運転初期の段階における快適性を維持するために、ウォームアップブロア遅動制御が行なうものである。ウォームアップブロア遅動制御とは、暖房の熱源となるエンジン冷却水が適温に上昇するまで、ブロア送風を行なう送風機の駆動制御を遅動させて、風量を抑制またはゼロとして、不必要な冷風を車室内へ送り出さないようにする制御である。
空調装置には、開度の変更により送風機からのブロア送風の加熱度合いを調整するエアミックスドアが設けられている。エアミックスドアは、ウォームアップブロア遅動制御が実施されている暖房運転初期の状態では、開度が大きく開放されていて、ほとんどの送風は加熱源であるヒータコアを通過して、車室内に送り出される。
空調装置のヒータコアとしてエンジン冷却水との熱交換器が用いられる場合、このような状態で、回生エネルギを用いた蓄熱がエンジン冷却水に対して行なわれると、エンジン冷却水温の上昇によりヒータコアでの加熱度が増加し、送風温度の上昇によって車室内における適切な空調制御が行なえない場合があった。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、電動コンプレッサを有する空調装置を備えた車両において、ウォームアップブロア遅動制御が実施される際に、送風温度の変動を抑制して車室内の快適性を向上させることである。
本発明による車両は、冷却水路と、空調装置と、空調装置を制御する制御装置とを備える。冷却水路は、内燃機関を冷却する冷却水を通水する。空調装置は、エアコン冷凍サイクルにより車室内に送出する空気を調和させる。空調装置は、ヒータコアと、電動コンプレッサと、エバポレータと、エアミックスドアとを含む。ヒータコアは、冷却水路内の冷却水の熱を用いて空気を温める。電動コンプレッサは、冷媒を圧縮するとともに循環させる。エバポレータは、車室内へ送出される空気を冷媒により冷却する。エアミックスドアは、エバポレータで冷却された空気におけるヒータコアで温められる空気の量を開度により調整する。空調装置は、電動コンプレッサの駆動によって電気エネルギを熱エネルギに変換するとともに、変換された熱エネルギを冷却水に伝達させることができるように構成されている。制御装置は、エアミックスドアの開度が調整できないときは、調整できるときに比べて、電動コンプレッサの駆動力を減少させる。
本発明の車両によれば、制御部は、暖房運転初期の段階などのようなエアミックスドアの開度によって送風温度を調整できない場合には、電動コンプレッサの駆動により回生エネルギから変換される蓄熱量を減少させる。これにより、冷却水温の上昇が緩和されて、空調装置から送出される空気の温度変動を抑制することができるので、車室内を快適な状態とすることができる。
実施の形態の車両の全体の構成を説明するブロック図である。 図1の車両に備えられるエンジン冷却系および空調装置の構成を示す模式的な回路図である。 図1の車両の空調装置で行なわれるウォームアップブロア遅動制御における冷却水温と風量との関係を示す図である。 図1の車両において、電動コンプレッサの回転駆動力の制御マップを示す図である。 本実施の形態におけるコンプレッサ制御処理を説明するフローチャートである。
以下において、本発明の実施の形態の車両について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
[車両の全体構成]
図1は、この発明の実施の形態1に従う車両の全体構成を示すブロック図である。図1を参照して、車両1は、エンジン100と、モータジェネレータMG1,MG2と、動力分割装置4と、減速機5と、駆動輪6とを備える。また、車両1は、メインバッテリ10と、PCU(Power Control Unit)20と、補機バッテリ30と、DC/DCコンバータ40と、昇圧コンバータ50と、空調装置70と、電子制御ユニット(以下、ECUとも称する)300とをさらに備える。
車両1は、エンジン100およびモータジェネレータMG2の少なくとも一方から出力される駆動力によって走行可能なハイブリッド車両である。エンジン100は、たとえば、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関により構成される。また、エンジン100は、発電機として作動可能なモータジェネレータMG1を駆動するための駆動力を発生する。エンジン100は、モータジェネレータMG1によりクランキングされて起動し得る。
動力分割装置4は、たとえば遊星歯車を含んで構成される。動力分割装置4は、駆動出力軸8を介して入力されたエンジン100からの駆動力を、減速機5を介して駆動輪6を回転駆動するための駆動力と、モータジェネレータMG1を回転駆動するための駆動力とに分割可能に構成される。
モータジェネレータMG1,MG2は、交流回転電機であり、たとえば、三相交流同期電動発電機である。モータジェネレータMG1は、動力分割装置4を介してエンジン100から受けた駆動力を用いて発電し得る。たとえば、メインバッテリ10の充電状態(以下、SOC(State of Charge)とも称する。)が所定の下限に達したことを検出すると、ECU300は、エンジン100を起動してモータジェネレータMG1による発電を行なう。モータジェネレータMG1によって発電された電力は、PCU20によりメインバッテリ10の充電電力に変換されて、メインバッテリ10に一時的に蓄えられ得る。メインバッテリ10は、再充電可能な直流電源であり、たとえば、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池などの二次電池を含んで構成される。
モータジェネレータMG2は、モータジェネレータMG1の発電電力または、メインバッテリ10に蓄えられた電力の少なくとも一方を用いて駆動される。モータジェネレータMG2の駆動力は、減速機5を介して駆動輪6に伝達される。
PCU20は、モータジェネレータMG1,MG2を駆動するためのインバータ22,24と、昇圧コンバータ50とを含む。
補機バッテリ30は、補機負荷に駆動電力を供給する。補機バッテリ30は、車両システムが停止中であっても、ECU300に待機電力および、車両1の始動動作に必要とされる所定量の電力を供給する。補機バッテリ30は、DC/DCコンバータ40を介してメインバッテリ10の電力により充電される。さらに、DC/DCコンバータ40は、エンジン冷却系60の電動ウォーターポンプWPと、車室内に送出する空気を調和させる空調装置70とに電気的に接続されている。
メインバッテリ10に蓄電された電力は、モータジェネレータMG1で発電された電力および補機バッテリ30の電力として、さらに電動ウォーターポンプWPおよび空調装置70の電動コンプレッサ71を動作させる電力として使用可能である。
[エンジン冷却系の構成]
図2は、車両1に設けられるエンジン冷却系60および空調装置70の構成を示す模式的な回路図である。
図2を参照してエンジン冷却系60は、電動ウォーターポンプWPを駆動させて冷却水路61内に冷却水を循環させることによって、エンジン100を冷却するように構成されている。
冷却水路61には、電動ウォーターポンプWPと、冷却水の熱を放熱するラジエータ62と、サーモスタット63と、ヒータコア64と、熱交換器90とが設けられている。
冷却水路61内の冷却水は、エンジン100を通過する際にエンジン100で発生する熱を奪って冷却する。
サーモスタット63は、冷却水路61を通過する冷却水の温度に応じて開度が調整され、エンジン冷却系60の配管内を循環する冷却水の経路を切換える。冷却水の温度が高温の場合、サーモスタット63は開放されて、冷却水がラジエータ62を経由する経路Aを通過するように切換えられて、冷却水の熱を車外に放熱する。エンジン100の始動直後など、冷却水の温度が比較的低い場合、サーモスタット63は閉止されて、冷却水がラジエータ62を経由しない経路Bを通過するように切換えられる。
また、冷却水路61には、空調装置70のヒータコア64が設けられる。ヒータコア64は、空調装置70のエアコン筐体82の内部に形成される送風通路に配置される。ヒータコア64を通過する冷却水と車室内へ送られる空気との間で熱交換が行なわれる。これによってエンジン100を通過する際に温められた冷却水の熱を空調装置70の暖房用の熱として利用することができる。
冷却水路61には、熱交換器90が設けられる。熱交換器90は、冷却水路61内に通水される冷却水と、後述する空調装置70の冷媒通路81内の冷媒との間において熱エネルギを交換可能に構成されている。
次に、空調装置70の構成について説明する。図2を参照して、空調装置70は、エアコン冷凍サイクルA/Cと、エアコン冷凍サイクルA/Cの一部およびヒータコア64を収容するエアコン筐体82とを備える。空調装置70は、ECU300により制御される。
エアコン冷凍サイクルA/Cは、冷媒を圧縮する電動コンプレッサ71と、第1膨張弁72と、第1切換弁73と、コンデンサ74と、第2切換弁75と、第2膨張弁76と、エバポレータ77と、アキュムレータ78とを含む。これらの要素は、冷媒通路81によって接続されて、電動コンプレッサ71により冷媒が圧縮されて循環される。また、エバポレータ77は、エアコン筐体82内に形成された通風路に配置されている。
エアコン筐体82の通風路内には、空気取入口から車室内方向への吹出口に向けて送風機84と、エバポレータ77と、エアミックスドア80と、ヒータコア64とがこの順序で配列されている。
[冷房運転]
冷房運転時は、ECU300は、第1切換弁73を開放して、第2切換弁75を閉じることにより、電動コンプレッサ71で圧縮された高温高圧の冷媒を、矢印Fに示すように第1切換弁73からコンデンサ74に送出する。冷媒はコンデンサ74において冷却され、第2膨張弁76によって減圧されて気化熱によりさらに冷却される。エバポレータ77において、エアコン筺体82内を通過する空気との間で熱交換が行なわれ、冷却された空気が車室内に送出される。これにより車室内が冷却される。その後冷媒は、エバポレータ77からアキュムレータ78に戻される。
[暖房運転]
暖房運転時は、ECU300は、第1切換弁73を閉じて、第2切換弁75を開放する。電動コンプレッサ71で圧縮された高温高圧の冷媒の熱エネルギを熱交換器90によって冷却水に伝達して冷却水を温める。ヒータコア64では、温められた冷却水と、エアコン筺体82内を通過する空気との間で熱交換が行なわれて、温められた空気が車室内に送出される。熱交換器90で熱交換された冷媒は、矢印Eに示す経路のように第1膨張弁72で減圧されて冷却され、コンデンサ74を通過させることで外気から吸熱を行なう。その後、冷媒は、矢印Dの経路によりエアコン冷凍サイクルA/Cへ戻される。
本実施の形態のシステムでの暖房運転は、ヒータコア64によるエンジン冷却水と送出される空気との間の熱交換で行なわれる。すなわち、電動コンプレッサ71で圧縮された高温高圧の冷媒の熱エネルギは、暖房運転に使用される場合、熱交換器90によってエンジン冷却系60の冷却水路61を流れる冷却水に熱エネルギとして伝達されて、ヒータコア64にて放熱される。
ヒータコア64には、温冷風量を調節するエアミックスドア80が設けられている。エアミックスドア80は、送風機84からの送風方向において、ヒータコア64より上流側、かつエバポレータ77よりも下流側に配置されている。このため、送風によりエバポレータ77を通過した空気は、エアミックスドア80の開度に応じてその一部の空気がヒータコア64を通過し、残りの空気がヒータコア64を通過せずに送られる。そして、エアミックスドア80の開度によってヒータコア64を通過する送風量を可変させることにより、車室内の温度が調整される。
本実施の形態のエアミックスドア80の開度位置は、ヒータコア64側が全開状態である全開位置(図2中の実線80A)と、ヒータコア64側が全閉状態である全閉位置(図2中の破線80B)とを有する。さらにエアミックスドア80の開度位置としては、実線80Aで示す全開位置でも、破線80Bで示す全閉位置でもなく、全開位置および、全閉位置間において開度を可変させて調整が可能である中間位置を有する。
本実施の形態の車両1のシステムでは、電動コンプレッサ71の駆動により高温となった冷媒の熱エネルギが熱交換器90を介して、エンジン冷却系60の冷却水路61内の冷却水に伝達される。電動コンプレッサ71は、バッテリの電力であっても駆動することができるが、回生時には、モータジェネレータMG1の回生発電により得られる電力を用いて駆動することもできる。すなわち、運動エネルギをモータジェネレータMG1により電気エネルギに変換するとともに、電動コンプレッサ71により電気エネルギを熱エネルギに変換し、その熱エネルギを冷却水に蓄熱することが可能である。
車両1の走行中、減速などにより発生する回生エネルギをメインバッテリ10への充電だけでは回収しきれない場合には、電動コンプレッサ71の駆動力を増加させて、運動エネルギを熱エネルギに変換することにより、熱エネルギとして回収することができる。これにより、機械的なブレーキの摩擦熱などとして廃棄してしまっていたエネルギを熱エネルギとして回収し、エネルギ効率を向上させることができる。
図3は、図1の車両1の空調装置70により実行される送風機84の制御に用いられる、エンジン冷却水の冷却水温と風量との関係を示す図である。特に暖房初期段階において送風機84の駆動制御によって不必要な冷風を車室内へ送り出さないようにウォームアップブロア遅動制御が行なわれる場合の冷却水温と風量との関係が示されている。
ウォームアップブロア遅動制御においては、冷却水に蓄熱された熱量をできるだけ、車室内に送出される空気に伝達するために、暖房の初期段階において、エアミックスドア80は図2中の実線80Aで示す全開位置に固定された状態とされる。そして、車室内に温まりきらない空気が送出されないように、エンジン冷却水の冷却水温が上昇を開始しても、図3に示す所定の冷却水温t3となるまで送風機84の風量がゼロに保持される。
送風を遅動させる目的は、エンジン始動後、暖房初期段階においてエンジン冷却水に蓄熱される熱量が送風温度を上昇させるまでには、追いつかないため、冷風が車室内に送風されないようにするためである。
ウォームアップブロア遅動制御では、冷却水が所定の冷却水温t3を超えると送風機84の駆動が開始される。所定の冷却水温t7までの間は、冷却水温の上昇に伴って線形的に風量が増加される。またウォームアップブロア遅動制御中に冷却水温が低下する場合には、ハンチング防止のための所定のヒステリスを伴わせて風量が低減される。
エンジン始動から時間が経過して、冷却水温が所定の冷却水温t7を超えてエンジン100が暖気されると、ウォームアップブロア遅動制御が終了され、目標吹出温度TAOに応じて風量が調整される。
目標吹出温度TAOに応じた風量の制御が行なわれている状態では、エンジン暖気によりヒータコア64を流れるエンジン冷却水温が高いため、ECU300は、エバポレータ77で冷却された空気のうちヒータコア64で温められる空気の量をエアミックスドア80の開度によって調整することにより、送風温度を制御する。
しかしながら、上述した暖房初期段階においては、ヒータコア64を流れるエンジン冷却水の温度が低いため、ECU300は、送風の加熱度合いを最大としてほとんどの空気をヒータコア64へ通過させるように、エアミックスドア80の開度を大きく固定する。
一方、本実施の形態では、エアコン冷凍サイクルA/Cの電動コンプレッサ71を用いてエネルギ蓄熱システムが構成されている。電動コンプレッサ71は、回転駆動により熱エネルギとしてエンジン冷却水に蓄熱を行なうと、ウォームアップブロア遅動制御が行なわれている間であっても、エンジン冷却水の温度が十分に上昇する場合がある。
エンジン冷却水の温度が上昇した場合、エアミックスドア80の開度が大きく固定されている全開状態では、車室内に送出される空気の温度が高くなり過ぎて、快適性を維持できない状態となる可能性がある。
そこで、本実施の形態においては、ウォームアップブロア遅動制御などによりエアミックスドア80が全開状態で開度調整ができない場合には、電動コンプレッサ71の速度を低減させて、蓄熱量を低下させる。これにより、車室内に送出される送風温度の変動を抑制して車室内を快適な状態とする。
[電動コンプレッサ制御]
図4は、本実施の形態において実行されるコンプレッサ制御の概要を説明するための図である。本実施の形態においては、MapA〜MapCを用いて電動コンプレッサ71を制御する。
なお、図4の横軸は目標吹出温度TAOを示し、また縦軸は電動コンプレッサ71の回転速度Ncを示している。制御マップの値は、予めECU300に設けられた図示しないメモリ装置に読出し可能となるように記憶されている。
ECU300は、蓄熱を行なわない通常の制御マップのMapCを用いて電動コンプレッサ71の回転速度Ncの制御を行なう。
エンジン冷却水に回生エネルギを蓄熱する場合は、原則的にMapBが選択される。
しかしながら、ECU300は、暖房初期のウォームアップブロア遅動制御のようにエアミックスドア80が全開位置に固定されて風量調整できない場合には、MapBよりも電動コンプレッサ71の回転速度が低減されたMapAを選択する。
すなわち、蓄熱によるエンジン冷却水温の上が車室に送られる空気の温度に大きく影響しやすい状態である場合には、MapAが選択されて、エンジン冷却水への蓄熱量を抑制して、送風温度の大きな変化を防止し、快適性を維持する。
図5は、空調装置70に設けられる電動コンプレッサ71の回転速度の制御処理について説明するフローチャートである。
図5に示されるフローチャートの処理は、ECU300に予め格納されたプログラムが所定周期で実行することによって実現される。あるいは、一部のステップ(以下、ステップをSと略する)については、専用のハードウェア(電子回路)を構築して処理を実現することも可能である。
図5を参照して、ECU300は、S10にて、ユーザにより、イグニッションがON操作されたか否かを判定する。
ECU300は、イグニッション検出信号ONが検出されない場合(S10にてNO)には、エンジン100が駆動されないため、処理をS45に進めて、通常の制御であるMapCを選択し、MapCにしたがって電動コンプレッサ71の回転駆動を制御する。S10にてイグニッション検出信号ONを検出した場合(S10にてYES)には、次のS20に処理を進められる。
S20にて、ECU300は、車両1の各部に設けられたセンサから受信した温度検出信号などに基づいて目標温度を算出する。目標温度には、ユーザの足元などに吹き出される冷温風の温度を演算によって求めた目標吹出温度TAO、目標エバポレータ温度TEO、冷媒の圧力から推定する目標熱交換器温度などがある。
S30にて、ECU300は、冷暖房の運転サイクルが暖房運転サイクルであるか否かを判定する。ECU300は、たとえば各温度検出信号と目標温度とに基づいて暖房運転であるか否かの判定を行ない、暖房運転サイクルでない場合(S30にてNO)、処理をS45に進めて、通常の制御であるMapCを選択する。暖房運転サイクルである場合(S30にてYES)は、次のS40に処理を進める。
S40にて、ECU300は、車両1に要求されるブレーキトルクがモータジェネレータMG1の減速回生実行トルクより大きいか否かが判定される。言いかえると、モータジェネレータMG1の発電電力がメインバッテリ10において充電可能な電力を上回り、蓄熱が必要か否かを判定する。ECU300は、ブレーキ要求トルクが減速回生を実行したときのトルクよりも大きくない場合(S40にてNO)、蓄熱不要と判断し、処理をS45に進めて、通常の制御であるMapCを選択する。ブレーキ要求トルクが減速回生を実行したときのトルクよりも大きい場合(S40にてYES)は、ECU300は、蓄熱必要と判断し、次のS50に処理を進める。
S50にて、ECU300は、エアミックスドア開度が100%全開位置(実線80Aの位置)で固定されているか否かを判定する。
エアミックスドア開度が100%開放されていない状態であり、エアミックスドア80の開度が調整できるとき(S50にてNO)は、蓄熱量が増えても、開度を低減することで温度調整可能なので、ECU300は、S70に処理を進めて、電動コンプレッサ71の回転速度を制御する制御マップのMapBを選択して、ユーザのブレーキ操作などによりメインバッテリ10に蓄電しきれない回生エネルギの回収を優先させた制御を行なう。
一方、暖房初期状態など、エアミックスドア80が図2中の実線80Aで示す位置にあり、全開位置で固定されて開度を調整できないとき(S50にてYES)には、ECU300は、次のS60に処理を進めて、図4に示すMapAを選択して電動コンプレッサ71の抑制制御を実行する。これにより、MapBを用いる場合と比較して電動コンプレッサ71の回転駆動力を低減し、冷却水への蓄熱量を低減する。
以上のような処理に従って制御を行なうことによって、メインバッテリ10で回収しきれない回生エネルギをエンジン冷却水を用いて蓄熱して、エネルギ効率を向上させるとともに、暖房運転初期の段階など、全開位置固定の場合などにより送風温度の調整ができない場合には、電動コンプレッサ71の駆動により変換される回生エネルギによる蓄熱量を減少させて、冷却水温の上昇を緩和させることができる。これにより、送風温度の変動を抑制して車室内を快適な状態とすることができる。
最後に、本発明の実施の形態の車両1について総括する。図1を参照して、実施の形態の車両1は、冷却水路61と、空調装置70と、空調装置70を制御するECU300とを備える。冷却水路61は、エンジン100を冷却する冷却水を通水する。空調装置70は、エアコン冷凍サイクルA/Cにより車室内に送出する空気を調和させる。空調装置70は、ヒータコア64と、電動コンプレッサ71と、エバポレータ77と、エアミックスドア80とを含む。ヒータコア64は、冷却水路61内の冷却水の熱を用いて空気を温める。電動コンプレッサ71は、冷媒を圧縮するとともに循環させる。エバポレータ77は、車室内へ送出される空気を冷媒により冷却する。エアミックスドア80は、エバポレータ77で冷却された空気におけるヒータコア64で温められる空気の量を開度により調整する。空調装置70は、電動コンプレッサ71の駆動によって電気エネルギを熱エネルギに変換するとともに、変換された熱エネルギを冷却水に伝達させることができるように構成されている。ECU300は、エアミックスドア80の開度が調整できないときは、調整できるときに比べて、電動コンプレッサ71の駆動力を減少させる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 車両、MG1,MG2 モータジェネレータ、4 動力分割装置、5 減速機、6 駆動輪、8 駆動出力軸、10 メインバッテリ、22,24 インバータ、30 補機バッテリ、40 DC/DCコンバータ、50 昇圧コンバータ、60 エンジン冷却系、61 冷却水路、62 ラジエータ、63 サーモスタット、64 ヒータコア、70 空調装置、71 電動コンプレッサ、72 第1膨張弁、73 第1切換弁、74 コンデンサ、75 第2切換弁、76 第2膨張弁、77 エバポレータ、78 アキュムレータ、80 エアミックスドア、81 冷媒通路、82 エアコン筐体、84 送風機、90 熱交換器、100 エンジン、300 ECU、WP 電動ウォーターポンプ。

Claims (1)

  1. 車両であって、
    内燃機関を冷却する冷却水を通水する冷却水路と、
    エアコン冷凍サイクルにより車室内に送出する空気を調和させる空調装置と、
    前記空調装置を制御する制御装置とを備え、
    前記空調装置は、
    前記冷却水路内の前記冷却水の熱を用いて空気を温めるヒータコアと、
    冷媒を圧縮するとともに循環させる電動コンプレッサと、
    前記車室内へ送出される空気を前記冷媒により冷却するエバポレータと、
    前記エバポレータで冷却された空気における前記ヒータコアで温められる空気の量を開度により調整するように構成されたエアミックスドアとを含み、
    前記空調装置は、前記電動コンプレッサの駆動によって電気エネルギを熱エネルギに変換するとともに、変換された熱エネルギを前記冷却水に伝達させることができるように構成され、
    前記制御装置は、前記エアミックスドアの開度が調整できないときは、調整できるときに比べて、前記電動コンプレッサの駆動力を減少させる、車両。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018043570A (ja) * 2016-09-13 2018-03-22 東洋電産株式会社 内燃機関自動車用エアコンシステム

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