JP2015182304A - 立体造形装置およびその駆動制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】粉体層形成時において、立体造形物の変形を防止し、且つ粉体が舞うことを抑制することができる立体造形装置およびその駆動制御方法を提供する。
【解決手段】立体造形装置のCPUは造形台を順方向に移動させ(S3)、回転を停止した均しローラで粉体を押圧してステージ部に運ぶことで粉体の舞いを抑制する。CPUは均しローラがステージ部に到達する前のP3で均しローラの回転を開始させる(S13)。均しローラは第二回転速度が徐々に加速し、ステージ部に到達するときには第一回転速度になる。均しローラは昇降ステージ上で第一回転速度で回転しながら粉体を均して粉体層を形成することで、造形層の引きずり、膨張の発生を抑制する。CPUは均しローラが回収部に到達すると、均しローラの回転を停止させる(S16)。均しローラは第三回転速度を徐々に減速させながら粉体を押圧して粉体落下部に運ぶことで粉体の舞いを抑制する。
【選択図】図5
【解決手段】立体造形装置のCPUは造形台を順方向に移動させ(S3)、回転を停止した均しローラで粉体を押圧してステージ部に運ぶことで粉体の舞いを抑制する。CPUは均しローラがステージ部に到達する前のP3で均しローラの回転を開始させる(S13)。均しローラは第二回転速度が徐々に加速し、ステージ部に到達するときには第一回転速度になる。均しローラは昇降ステージ上で第一回転速度で回転しながら粉体を均して粉体層を形成することで、造形層の引きずり、膨張の発生を抑制する。CPUは均しローラが回収部に到達すると、均しローラの回転を停止させる(S16)。均しローラは第三回転速度を徐々に減速させながら粉体を押圧して粉体落下部に運ぶことで粉体の舞いを抑制する。
【選択図】図5
Description
本発明は、立体造形粉体に造形液を吐出して固化することで立体造形物を造形する立体造形装置およびその駆動制御方法に関する。
従来、ステージ上に供給する立体造形粉体(以下、単に「粉体」ともいう。)を薄層状に均した粉体層に造形液を吐出し、粉体層と造形液が混合して固化した造形層を積層することで立体造形物を造形する立体造形装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。立体造形装置は、均しローラをステージに対して相対的に平行に移動させて粉体を均すことで、ステージ上に粉体層を形成する。造形層上に新たに粉体層が形成される場合に、立体造形物は、変形を生ずることがある。立体造形物の変形の態様には、形成済みの造形層が均しローラに引きずられて位置がずれる「引きずり」と、形成済みの造形層が均しローラに引き延ばされる「膨張」がある。特許文献1に記載の立体造形装置は、ステージ上において、均しローラが造形層の造形範囲上方を通過する間の回転速度を高速に設定し、造形層の造形範囲外の上方を通過する間の回転速度を低速に設定する。均しローラは、回転速度が速いほど粉体が崩れるときの応力(剪断応力)を低下させる。故に、特許文献1に記載の立体造形装置は、粉体層形成時に、造形層の上方で均しローラを高速回転させながら粉体を均して平坦化することで、造形層の引きずり・膨張を抑制する。
しかしながら、均しローラは、回転することによって粉体を巻き上げてしまう可能性がある。立体造形装置は、均しローラによって巻き上げられた粉体が装置内部で浮遊し、造形液を吐出する吐出ヘッドに形成されたノズル孔に詰まりを生ずると、吐出不良を生ずる可能性がある。均しローラは、ステージ上で粉体層を形成する場合に限らず、ステージ外(例えば、粉体が供給される被供給部上、粉体が回収される回収部上)で粉体を運搬する場合にも、粉体を巻き上げてしまう可能性がある。特許文献1は、造形層の引きずり・膨張を抑制する観点から、粉体を均すステージ上での均しローラの回転速度について考慮されているが、ステージ外における均しローラの回転速度については考慮されていなかった。また、被供給部において粉体供給部から粉体を落下させて供給する際と、回収部において粉体落下部に粉体を落下させて回収する際に、粉体は舞いやすい。粉体が舞っている場合に均しローラが比較的速い回転速度で回転すると、粉体は、回転に伴って生ずる風圧で散乱する可能性があった。
また、均しローラは、粉体層形成時に、ステージに対する相対的な移動速度(平坦化速度)が遅いほど、粉体の剪断応力を低下させる。故に、特許文献1に記載の立体造形装置は、ステージ上において、均しローラが造形層の造形範囲上方を通過する間の平坦化速度を低速に設定し、造形層の造形範囲外の上方を通過する間の平坦化速度を高速に設定する。しかし、造形層の造形範囲上方に形成される粉体層と、造形層の造形範囲外の上方に形成され粉体層は、均しローラがステージ上で同一の層として形成する粉体層である。故に、造形層の造形範囲上方での平坦化速度を低速にしたところで、造形層の造形範囲外での平坦化速度が高速となり、造形範囲外の上方で粉体層を形成する粉体の剪断応力が高まると、応力は、造形範囲上方の粉体層にも伝わる可能性がある。このため、特許文献1に記載の立体造形装置は、造形層の引きずり・膨張を十分に抑制できなくなる可能性があった。
本発明は、粉体層形成時において、立体造形物の変形を防止し、且つ粉体が舞うことを抑制することができる立体造形装置およびその駆動制御方法を提供することを目的とする。
本発明の第一態様によれば、造形液と混合すると固化する粉体を内部に収容し、前記粉体を外部に供給する粉体供給部と、前記粉体供給部から前記粉体が供給される被供給部と、前記造形液を吐出する吐出部と、前記粉体を層状に均した粉体層が形成され、且つ前記粉体層に対して前記吐出部から吐出される前記造形液によって前記粉体層が固化した造形層が造形される面であるステージ面を有し、前記ステージ面に平行な第一方向の一方側で前記被供給部に接続するステージ部と、前記ステージ部の前記第一方向の他方側で前記ステージ部に接続し、前記ステージ部における前記粉体層の形成で余った余剰粉体を回収する回収部と、前記ステージ面に平行且つ前記第一方向に交差する第二方向へ延びる回転軸の周囲を覆う外周面を有し、前記外周面が、少なくとも前記被供給部、前記ステージ部および前記回収部のうちのいずれか1つに対向するローラ部と、前記被供給部、前記ステージ部および前記回収部と、前記ローラ部とを前記第一方向に沿って相対的に移動させる第一駆動部と、前記ローラ部を回転させる第二駆動部と、前記第一駆動部および前記第二駆動部の駆動を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記第一駆動部を制御することによって前記ローラ部を前記被供給部から前記ステージ部を横切って前記回収部に移動させる場合に、前記第二駆動部を制御することによって前記ローラ部を前記ステージ部において回転させる速度である第一回転速度を、前記被供給部において回転させる速度である第二回転速度以上の速い速度に制御し、且つ、前記第一回転速度を、前記回収部において回転させる速度である第三回転速度以上の速い速度に制御することを特徴とする立体造形装置が提供される。
制御部は、ステージ部においてローラ部を回転させる第一回転速度を、被供給部においてローラ部を回転させる第二回転速度以上の速い速度に制御する。これにより、ローラ部は、粉体供給部から供給された粉体をステージ部に運ぶ際に、粉体を巻き上げ難い。よって、立体造形装置は、装置内で粉体が舞うことを抑制することができる。さらに、立体造形装置は、第二駆動部の駆動に要するエネルギーの消費を低減することができる。また、ローラ部は、相対的に移動しながら粉体を運ぶことによって、粉体に剪断応力を生じさせる。しかし、第一回転速度が第二回転速度および第三回転速度以上に速い速度なので、ローラ部は、粉体層形成時に粉体を剪断しやすい。粉体層に造形液を混合することによって既に造形された造形層上に新たな粉体層を形成する場合に、ローラ部は、造形層を引きずったり引き延ばしたりしないので、粉体層を確実に均すことができる。故に、立体造形装置は、立体造形物の変形を防止しつつ、粉体層を精度よく形成することができる。
また、被供給部では、粉体供給部から落下させて粉体が供給されるので、粉体は舞いやすい。立体造形装置は、第二回転速度を第一回転速度よりも遅い速度に制御することで、被供給部においてローラ部の回転に伴い生ずる風圧で粉体が散乱することを抑制できる。また、回収部では、粉体落下部に粉体を落下させて粉体が回収されるので、粉体は舞いやすい。立体造形装置は、第三回転速度を第一回転速度よりも遅い速度に制御することで、回収部においてローラ部の回転に伴い生ずる風圧で粉体が散乱することを抑制できる。
また、ローラ部は、ステージ部において、造形層の造形範囲上方だけでなく、造形層の造形範囲外の上方にも粉体層を形成する。造形層の造形範囲外の上方で粉体層を形成する際に粉体に生じさせた剪断応力によって、造形層の造形範囲に形成される粉体層に応力が伝わると、造形層の引きずり・膨張を十分に抑制できなくなる可能性がある。第一態様において、制御部は、ステージ部において、ローラ部を回転させる速度を第一回転速度に維持する。このため、ローラ部は、造形層の造形範囲上方だけでなく、造形層の造形範囲外の上方で粉体層を形成する場合にも、粉体を剪断しやすい。故に、ローラ部は、ステージ部において粉体に生ずる剪断応力を低下させ、造形層を引きずったり引き延ばしたりしないので、粉体層を確実に均すことができる。
第一態様において、前記制御部は、前記第一駆動部を制御することによって前記ローラ部を前記被供給部の一部および前記回収部の一部のうち少なくとも一方において移動させる場合に、前記第二駆動部を制御することによって、少なくとも前記第二回転速度および前記第三回転速度のうち一方の速度をゼロに制御してもよい。立体造形装置は、少なくとも前記第二回転速度および前記第三回転速度のうち一方の速度をゼロにしてローラ部の回転を停止することで、装置内で粉体が舞うことを、より確実に抑制できる。また、被供給部では、粉体供給部から落下させて粉体が供給されるので、粉体は舞いやすい。立体造形装置は、第二回転速度をゼロに制御することで、被供給部においてローラ部の回転に伴い生ずる風圧で粉体が散乱することを防止できる。また、回収部では、粉体落下部に粉体を落下させて粉体が回収されるので、粉体は舞いやすい。立体造形装置は、第三回転速度をゼロに制御することで、回収部においてローラ部の回転に伴い生ずる風圧で粉体が散乱することを防止できる。また、立体造形装置は、第二駆動部の駆動に要するエネルギーの消費をより低減することができる。
第一態様において、前記制御部は、前記第一駆動部を制御することによって前記ローラ部を前記被供給部から前記ステージ部に移動させる場合に、前記被供給部において前記粉体が前記粉体供給部から供給される位置である第一位置から、前記被供給部と前記ステージ部とが接続する位置である第二位置に到達するまでの間の位置である所定の第三位置において、前記第二駆動部を制御することによって前記第二回転速度が加速し始めるように制御してもよい。制御部が第三位置でローラ部の第二回転速度を加速し始めることで、ローラ部は、第二位置に到達するまでの間に第二回転速度を徐々に速くすることができる。すなわち、制御部は、ローラ部の回転速度が被供給部において急激に変化することがないように制御することができる。そして、被供給部におけるローラ部の回転速度である第二回転速度は、第一回転速度以下である。故に、立体造形装置は、粉体が舞うことを抑制することができる。ところで、ローラ部の回転速度が第二位置で第一回転速度に達していない場合、立体造形装置は、第一回転速度に達するまでローラ部の相対移動を一時的に停止させる必要がある。しかし、立体造形装置は、第三位置で第二回転速度を加速し始めることで、第二位置に到達するときには第一回転速度にすることができるので、ローラ部の相対移動を停止することなくスムーズに粉体層を形成することができる。
第一態様において、前記制御部は、前記第一駆動部を制御することによって前記ローラ部を前記ステージ部から前記回収部に移動させる場合に、前記ステージ部と前記回収部とが接続する位置である第四位置から、前記回収部において前記余剰粉体が回収される位置である第五位置に到達するまでの間の位置である所定の第六位置において、前記第二駆動部を制御することによって前記第三回転速度が減速し始めるように制御してもよい。制御部が第六位置でローラ部の第三回転速度を減速し始めることで、ローラ部は、第五位置に到達するまでの間に第三回転速度を徐々に遅くすることができる。すなわち、制御部は、ローラ部の回転速度が回収部において急激に変化することがないように制御することができる。そして、回収部におけるローラ部の回転速度である第三回転速度は、第一回転速度以下である。故に、立体造形装置は、粉体が舞うことを抑制することができる。
第一態様において、前記制御部は、前記第二駆動部を制御することによって、前記第二回転速度を前記第三回転速度よりも遅い速度に制御してもよい。粉体が供給される被供給部においてローラ部がステージ部に運ぶ粉体の量は、回収部においてローラ部が運ぶ余剰粉体の量よりも多い。故に、第二回転速度を第三回転速度よりも遅くすることで、立体造形装置は、装置内で粉体が舞うことをさらに抑制することができる。
第一態様において、前記ステージ面を上下方向に移動させる昇降部をさらに備えてもよい。この場合に、前記制御部は、前記第一駆動部を制御することによって前記ローラ部を前記回収部から前記ステージ部を横切って前記被供給部に移動させる場合に、前記昇降部の駆動を制御することによって、前記粉体層の形成において前記ステージ面を下降させる量よりも小さい第一定量分、前記ステージ面を下方に移動させ、前記第二駆動部を制御することによって、前記第一回転速度、前記第二回転速度および前記第三回転速度をゼロに制御してもよい。立体造形装置は、ローラ部を回収部から被供給部に戻す場合にローラ部の回転を停止させることで、装置内で粉体が舞うことを抑制し、且つ第二駆動部の駆動に要するエネルギーの消費を低減することができる。ところで、ローラ部は、回転速度が遅いと粉体の剪断応力を増加させる可能性がある。しかし、制御部は、ローラ部を回収部から被供給部に戻す場合、昇降部を駆動させてステージ面を第一定量下降させる。故に、ローラ部は、外周面が造形層上に形成した粉体層に接触することがなく、造形層を引きずったり引き延ばしたりすることがない。
第一態様において、前記制御部は、前記造形層の造形対象である前記粉体層よりも下層に形成する前記粉体の層であり、前記粉体に対する前記造形液の混合を行わない基礎層を形成するため、前記第一駆動部を制御することによって前記ローラ部を前記ステージ部において移動させる場合に、前記第二駆動部を制御することによって、前記ローラ部を回転させる速度である第四回転速度が前記第一回転速度よりも遅い速度に制御してもよい。基礎層形成時は粉体層に造形液を混合することによって造形する造形層の形成前であり、造形層が引きずられたり引き延ばされたりしない。故に、立体造形装置は、第四回転速度を第一回転速度よりも遅くすることで、装置内で粉体が舞うことを抑制することができる。また、立体造形装置は、第二駆動部の駆動に要するエネルギーの消費を低減することができる。
第一態様において、前記制御部は、前記第四回転速度をゼロに制御してもよい。立体造形装置は、第四回転速度をゼロにすることで、装置内で粉体が舞うことをより抑制することができる。また、立体造形装置は、第二駆動部の駆動に要するエネルギーの消費をより低減することができる。
本発明の第二態様によれば、造形液と混合すると固化する粉体を内部に収容し、前記粉体を外部に供給する粉体供給部と、前記粉体供給部から前記粉体が供給される被供給部と、前記造形液を吐出する吐出部と、前記粉体を層状に均した粉体層が形成され、且つ前記粉体層に対して前記吐出部から吐出される前記造形液によって前記粉体層が固化した造形層が造形される面であるステージ面を有し、前記ステージ面に平行な第一方向の一方側で前記被供給部に接続するステージ部と、前記ステージ部の前記第一方向の他方側で前記ステージ部に接続し、前記ステージ部における前記粉体層の形成で余った余剰粉体を回収する回収部と、前記ステージ面に平行且つ前記第一方向に交差する第二方向へ延びる回転軸の周囲を覆う外周面を有し、前記外周面が、少なくとも前記被供給部、前記ステージ部および前記回収部のうちのいずれか1つに対向するローラ部と、前記被供給部、前記ステージ部および前記回収部と、前記ローラ部とを前記第一方向に沿って相対的に移動させる第一駆動部と、前記ローラ部を回転させる第二駆動部と、前記第一駆動部および前記第二駆動部の駆動を制御する制御部とを備える立体造形装置の駆動を制御するため、前記制御部が実行する駆動制御方法であって、前記第一駆動部を制御することによって前記ローラ部を前記被供給部から前記ステージ部を横切って前記回収部に移動させる場合に、前記第二駆動部を制御することによって前記ローラ部を前記ステージ部において回転させる速度である第一回転速度を、前記被供給部において回転させる速度である第二回転速度以上の速い速度に制御し、且つ、前記第一回転速度を、前記回収部において回転させる速度である第三回転速度以上の速い速度に制御することを特徴とする立体造形装置の駆動制御方法が提供される。第二態様に係る駆動制御方法を適用して立体造形装置の制御部が第一駆動部および第二駆動部を制御することで、第一態様と同様の効果を得ることができる。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。なお、参照する図面は、本発明が採用し得る技術的特徴を説明するために用いられるものである。図面に記載する装置の構成、各種処理のフローチャート等は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。以下の説明では、図1に示す、土台部2に対し、造形台6がレール3に沿って移動する方向を立体造形装置1の前後方向とし、レール3に対し支持部35の操作パネル53が設けられた側を前側とする。また、土台部2に対し、吐出ヘッド42がガイドレール23に沿って移動する方向を立体造形装置1の左右方向とし、ガイドレール23に対し操作パネル53が設けられた支持部35側を左側とする。土台部2に対し、昇降ステージ9(図3参照)が昇降する方向を上下方向とし、昇降ステージ9のステージ面9Aに対し粉体供給器14が配置された側を上側とする。
図1〜図3を参照し、立体造形装置1の機械的な構成について説明する。立体造形装置1は、造形データに従って、無色の造形液(無色造形液)および着色した造形液(カラー造形液)を吐出する吐出ヘッド42等を駆動し、立体造形物を造形する。立体造形装置1は、有線または無線によるローカル接続あるいはネットワーク等を介し、パーソナルコンピュータ(以下、「PC」と略す。)100から造形データを受信する。PC100は、物体の三次元形状および色を示す立体データに基づいて造形データを作成し、立体造形装置1に送信する。なお立体造形装置1は、造形データを他のデバイスから取得してもよい。また立体造形装置1は、物体の三次元形状および色を示す立体データをPC100から取得し、取得した立体データに基づいて造形データを作成してもよい。
図1に示すように、立体造形装置1は、土台部2、造形台6、粉体供給器14、均しローラ28、吐出ヘッド42および吸引部13を主に備える。土台部2は、立体造形装置1の全体を支える。造形台6は、ステージ部8に昇降ステージ9(図3参照)を備える。立体造形装置1は、昇降ステージ9上で立体造形物を造形する。粉体供給器14は、ステージ部8の前後方向の後方側においてステージ部8に接続する被供給部12の上面に粉体(立体造形粉体)を供給する。均しローラ28は、被供給部12上面上の粉体を昇降ステージ9のステージ面9A上へ移動し、平坦に均して立体造形粉体の層(以下、「粉体層」という。)を形成する。回収部11はステージ部8の前後方向の前方側においてステージ部8に接続し、上面に粉体落下部11Aを開口する。均しローラ28は、粉体層の形成において余る粉体(以下、「余剰粉体」という。)をステージ部8から回収部11に移動し、粉体落下部11A内に落下させる。吐出ヘッド42は、ステージ面9A上に形成された粉体層に、無色造形液およびカラー造形液を吐出する。粉体層は、吐出ヘッド42が吐出する造形液と混合することによって固化する。以下、粉体層に造形液を吐出して固化した層を、「造形層」という。吸引部13は、造形層の形成において固化せずに立体造形物の周辺に残存する余分な粉体(以下、「未硬化粉体」という。)を回収する。以下、各構成について説明する。
土台部2は、上下方向を厚み方向とし、前後方向を長手方向とする矩形板状の台である。土台部2は、左右方向の両端に、それぞれ上方へ向けて立設する2つの支持部35,36を備える。左側の支持部35は、内部に、立体造形装置1を電気的に制御する回路部(図4参照)を備える。支持部35は、前面に、作業者からの操作入力を受け付ける入力部および作業者への指示等を表示する表示部を有する操作パネル53を備える。右側の支持部36は、内部に、タンク31と吸引部13(後述)を備える。支持部35,36は、吐出ヘッド42のガイドレール23、粉体供給器14、均しローラ28およびフォトセンサ54(図2参照)を造形台6上で支持する。土台部2は、支持部35と支持部36の間に、左右に平行に並んで前後方向に延びる2本のレール3を備える。2本のレール3は、土台部2の前側端部に設けた前固定部4と、後側端部に設けた後固定部(図示略)との間に架かる。前固定部4と後固定部は、レール3を土台部2の上面から所定の高さに固定する。2本のレール3は、造形台6を支持し、前後方向への移動を案内する。
造形台6は、支持部35と支持部36の間に配置される。造形台6は、基部7、ステージ部8、被供給部12、回収部11を有する。後述するが、被供給部12は、ステージ部8の後面上端部から後方へ向けて板状に突出する。同様に、回収部11は、ステージ部8の前面上端部から前方へ向けて板状に突出する。基部7は、ステージ部8、被供給部12および回収部11を支える略直方体形状の台座である。基部7は、左右に並び、前後方向に貫通する2つの貫通穴(図示略)を有する。土台部2の2本のレール3は、基部7の貫通穴に挿通される。土台部2は、レール3の後端部に台移動モータ43(図4参照)を備える。造形台6は、台移動モータ43の動力によって、2本のレール3に沿って前後方向に移動する。支持部35,36間に支持される粉体供給器14、均しローラ28、吐出ヘッド42およびフォトセンサ54(図2参照)は、造形台6に対し、相対的に、前後方向へ移動する。台移動モータ43は、例えば公知のステッピングモータである。後述する立体造形処理の実行において、立体造形装置1のCPU50(図4参照)は、フォトセンサ54(図2参照)の検出結果に基づいて台移動モータ43を駆動し、造形台6に対する均しローラ28の相対的な位置を制御する。またCPU50は、フォトセンサ54の検出結果に基づいてローラ回転モータ45を駆動し、均しローラ28の回転軸を回転させる速度を制御する。
図2、図3に示すように、ステージ部8は、立体造形物を形成する直方体形状の部位である。ステージ部8の上面は板状に形成され、左右方向に張り出す。ステージ部8は、上面中央に、平面視略矩形状の凹部32を開口する。ステージ部8は、凹部32内に、昇降ステージ9、昇降機構37(図3参照)およびステージ昇降モータ46(図3参照)を備える。昇降機構37は、ステージ昇降モータ46の動力によって凹部32内で昇降ステージ9を上下に昇降する。昇降ステージ9は、立体造形装置1が立体造形物を造形する台であり、平面視略長方形(例えば150mm×100mm)の板体である。昇降ステージ9の大きさは、凹部32の開口と略同じである。凹部32内で、昇降ステージ9の上面であるステージ面9Aは、水平に保たれる。
ステージ部8は、右側面に吸引ホース10(図1参照)を備える。支持部36は、内部に吸引部13を備える。吸引ホース10は、ステージ部8の凹部32内と吸引部13(図1参照)を接続する。吸引ホース10は、造形台6の前後方向への移動に合わせて自在に曲がる。造形層の形成において、未硬化粉体は凹部32内で昇降ステージ9の下方に溜まる。吸引部13は、未硬化粉体を凹部32内から吸い出して回収する。
被供給部12は、ステージ部8の後面上端部から後方へ向けて板状に突出する部位である。被供給部12の上面は、粉体供給器14から供給される粉体が載置される被供給面12Aであり、水平に保たれる。被供給面12Aは、ステージ部8の上面に接続し、ステージ部8の凹部32よりも左右方向および後方に張り出す。なお、便宜上、被供給面12Aは、造形台6の上面において、ステージ部8の凹部32開口の後端位置を境に後方に位置する面とする。すなわち、被供給面12Aは、便宜上、ステージ部8の後端側で凹部32を構成する周壁の上面に相当する面も含むものとする。被供給面12A上に供給される粉体は、造形時に、均しローラ28によって昇降ステージ9上に運ばれる。
回収部11は、ステージ部8の前面上端部から前方へ向けて板状に突出する部位である。回収部11の上面は、ステージ部8の上面に接続し、ステージ部8の凹部32よりも左右方向および前方に張り出す。なお、便宜上、回収部11の上面は、造形台6の上面において、ステージ部8の凹部32開口の前端位置を境に前方に位置する面とする。すなわち、回収部11の上面は、便宜上、ステージ部8の前端側で凹部32を構成する周壁の上面に相当する面も含むものとする。回収部11は、上面に、平面視矩形の凹部である粉体落下部11Aを開口する。均しローラ28は、昇降ステージ9上での粉体層の形成において余った余剰粉体を、粉体落下部11Aに落とす。粉体落下部11Aは、内部に余剰粉体を貯留する。粉体落下部11A内に溜まった余剰粉体は、適宜、取り出されて回収される。
造形台6の上面、すなわちステージ部8の上面と、被供給部12の被供給面12Aと、回収部11の上面は、平面視略矩形状の平面を形成する。造形台6は、上面右縁部の2カ所に、上下方向に貫通する切り込みを形成した第一切欠部6Aと第二切欠部6Bを備える。第一切欠部6Aは、被供給部12の右端でステージ部8との接続部付近に形成される。第二切欠部6Bは、回収部11の粉体落下部11A側方に形成される。前述したように、立体造形装置1は、支持部35,36間に配置し、支持部36が支持するフォトセンサ54を備える。フォトセンサ54は、発光部と受光部との間で赤外光あるいはLED光の送受信し、発光部と受光部の間に遮蔽物があるか否か検出するセンサである。フォトセンサ54は、発光部と受光部との間に造形台6の上面右縁部を上下方向に挟む。立体造形装置1は、後述する立体造形処理の実行において、フォトセンサ54による第一切欠部6Aおよび第二切欠部6Bの検出結果に基づいて造形台6と均しローラ28の相対的な位置を判断し、位置に応じた制御を行う。
立体造形装置1は、昇降範囲の上部から昇降ステージ9を徐々に下降させながら立体造形物を造形する。昇降ステージ9は、上部ステージおよび下部ステージ(図示略)を備える。上部ステージおよび下部ステージは、略同一形状の板状部材であり、水平に配置される。上部ステージおよび下部ステージは、それぞれ、厚み方向に貫通する複数の孔(図1参照)を備える。立体造形装置1は、造形時に、上部ステージの孔の位置と下部ステージの孔の位置を、平面視において重複しない位置にずらして配置する。昇降ステージ9が静止している状態では、粉体は、ステージ面9A上に堆積する。立体造形装置1は、造形後に、上部ステージの孔の位置と下部ステージの孔の位置を、平面視において重複する位置に合わせて配置する。造形層の形成において固化しなかった未硬化粉体は、上部ステージおよび下部ステージの孔を通って凹部32内下方に落下する。凹部32内に溜まった未硬化粉体は、吸引ホース10を通じて吸引部13(図1参照)に吸引される。
粉体供給器14は、造形台6の上面よりも上方の位置に、支持部35,36に支持されて固定される。粉体供給器14は、上部の収容部15内に粉体を収容するケースである。粉体供給器14の形状は、上下方向および左右方向に長く延び、前後方向に短い直方体形状である。粉体供給器14の左右方向の長さは、ステージ部8の昇降ステージ9の左右方向の長さと略同じである。なお、粉体供給器14の左右方向の長さは、昇降ステージ9の左右方向の長さより長くてもよい。収容部15に収容される粉体は、例えば周知の石膏粉体である。石膏は焼石膏とすることが好ましい。また、粉体の粒子径は10μm〜500μmとすることが好ましい。粉体供給器14は、収容部15の下部に、供給機構16を備える。供給機構16は、内部に粉体供給モータ41(図4参照)を備える。粉体供給モータ41は、供給機構16の下部開口に設けられるシャッター(図示略)を開閉する。供給機構16は、造形時、所定時間シャッターを開放して被供給面12A上に所定量の粉体を供給する。
均しローラ28は、被供給部12の被供給面12Aに供給された粉体をステージ部8に移動し、昇降ステージ9のステージ面9A上で平坦化して、粉体層を形成する。均しローラ28は、粉体供給器14の後側に配置され、ステージ面9Aと平行な状態(つまり、水平な状態)で、造形台6の移動方向(前後方向)と交差する方向(左右方向)に延びる。均しローラ28の回転軸(図示略)は、左右の支持部35,36間に架け渡される。均しローラ28は、回転軸の周囲を覆う外周面28Aを有する。外周面28Aは、造形台6と均しローラ28との相対的な位置関係に応じ、少なくとも、被供給部12の被供給面12A、ステージ部8のステージ面9A、回収部11の上面のいずれか1つに対向する。均しローラ28の回転軸は、支持部35内に設けられるローラ回転モータ45(図4参照)に接続される。
ローラ回転モータ45は、例えば公知のステッピングモータである。後述する立体造形処理の実行において、立体造形装置1のCPU50(図4参照)は、ローラ回転モータ45の駆動制御によって、均しローラ28の回転速度を制御する。ローラ回転モータ45は、粉体層を形成する場合に、均しローラ28の回転軸を、左側面視、反時計回りの方向に回転する。粉体層を形成する場合、立体造形装置1は、粉体供給器14から被供給面12A上に粉体を供給した後、均しローラ28を回転させながら、造形台6を前方から後方へ移動する。均しローラ28は造形台6に対して相対的に前方へ移動し、粉体を被供給部12からステージ部8に運んで昇降ステージ9のステージ面9A上で平坦化する。粉体層の形成後、均しローラ28は、造形台6の後方への移動によって、余剰粉体をステージ部8から回収部11に運び、粉体落下部11A内に落下する。
立体造形装置1は、造形台6の上方、且つ粉体供給器14の前方に、ステージ面9Aと平行(水平)な状態で、造形台6が移動する前後方向と交差する左右方向に延びるガイドレール23を備える。ガイドレール23は、支持部35,36間に掛け渡される。吐出ヘッド42は、ガイドレール23に取り付けられ、ガイドレール23に沿って左右方向に移動する。立体造形装置1は、ガイドレール23の後方に、ガイドレール23に沿って延びるキャリッジベルト24と、支持部35内に、吐出ヘッド42を移動させるためのヘッド移動モータ44(図4参照)を備える。ヘッド移動モータ44はキャリッジベルト24を回動し、吐出ヘッド42を左右方向に移動する。吐出ヘッド42は、ステージ面9Aに対して相対的に前後方向および左右方向へ移動する。
吐出ヘッド42は、昇降ステージ9のステージ面9A上に形成された粉体層に、造形液(無色造形液およびカラー造形液)を吐出する。吐出ヘッド42は例えばピエゾ方式で造形液を下方に吐出可能なインクジェットヘッドである。粉体層は、吐出ヘッド42が吐出する造形液と混合することによって固化する。カラー造形液は、無色造形液をあらかじめインクで着色した造形液であり、粉体層を固化し、且つ着色できる。なお無色造形液は、カラー造形液よりも粉体層を良好に固化させることができる。
吐出ヘッド42は、下面に、造形液を吐出する所定数のノズルを各色ごとに前後方向に沿って並べた複数のノズル列(図示略)を有する。複数のノズル列は、それぞれ、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)およびブラック(K)に着色したカラー造形液と、無色造形液を吐出する。なお、吐出ヘッド42は、単色の造形液を吐出するノズル列を1列以上有する構成であってもよい。立体造形装置1は、支持部36内上部に、造形液を貯蔵するタンク31(図1参照)を備える。タンク31は、複数のチューブ(C,M,Y,K各色のカラー造形液と無色造形液を輸送する5本のチューブ)からなる接続管(図示略)で吐出ヘッド42に接続し、接続管を通じて吐出ヘッド42に造形液を供給する。造形時、吐出ヘッド42は、均しローラ28が平坦化した粉体層の上面に、造形液を吐出する。本実施形態の吐出ヘッド42は、走査方向(左右方向)に移動しながら造形液を吐出し、ノズル列の長さ(ノズル数に対応する長さ)分、搬送方向(前後方向)に移動して、走査方向に移動しながらの吐出を繰り返す、いわゆる走査型のインクジェットヘッドである。
次に、図4を参照し、立体造形装置1の電気的な構成について説明する。立体造形装置1は、立体造形装置1の制御を司るCPU50を備える。CPU50は、バス59を介し、RAM51、ROM52、操作パネル53、フォトセンサ54、外部通信インターフェイス(以下、「I/F」と略す。)55、モータ駆動部61,63,64,65,66、およびヘッド駆動部62と電気的に接続する。RAM51は、PC100から受信した造形データ等の各種データを一時的に記憶する。ROM52は、立体造形装置1の動作を制御するための制御プログラムおよび初期値等を記憶する。
操作パネル53は、作業者からの操作入力を入力部が受け付け、作業者への指示等を表示部が表示する。フォトセンサ54は、前述したように、造形台6の前後方向への移動に応じ、造形台6の上面右縁部に設けられた第一切欠部6Aと第二切欠部6Bを検出する。外部通信I/F55は、立体造形装置1をPC100等の外部機器に電気的に接続する。なお、立体造形装置1は、USBインターフェイス、インターネット等を介し、他のデバイス(例えば、USBメモリ、サーバ等)から各種データを取得することも可能である。モータ駆動部61,63〜66は、CPU50の制御に従い、それぞれ、粉体供給モータ41、台移動モータ43、ヘッド移動モータ44、ローラ回転モータ45、ステージ昇降モータ46の動作を制御する。ヘッド駆動部62は吐出ヘッド42に電気的に接続し、各吐出チャンネルに設けられた圧電素子を駆動して、各ノズルから造形液を吐出する。
このような構成を有する本実施形態の立体造形装置1は、概略、以下のように立体造形物を造形する。立体造形装置1のCPU50は、立体造形処理を実行し、フォトセンサ54の検出結果に基づいて、造形台6と均しローラ28の相対的な位置を判断し、位置に応じた制御を行う。CPU50は、粉体供給器14の供給機構16が有する粉体供給モータ41の駆動を制御し、収容部15内の粉体を被供給部12の被供給面12A上に所定量供給する。CPU50は、ステージ昇降モータ46の駆動を制御し、昇降ステージ9を造形層1層分の厚み分下降させる。CPU50は、台移動モータ43の駆動を制御し、均しローラ28を造形台6に対して相対的に前方へ移動させる。なお、以下では、便宜上、均しローラ28が造形台6に対して相対的に前方へ移動する向き、すなわち造形台6が均しローラ28に対して後方へ移動する向きを順方向とする。また、均しローラ28が造形台6に対して相対的に後方へ移動する向き、すなわち造形台6が均しローラ28に対して前方へ移動する向きを逆方向とする。均しローラ28は、被供給面12A上の粉体を昇降ステージ9上に運んで均し、粉体層を形成する。CPU50は、粉体層の形成後、余剰粉体を回収部11の粉体落下部11A内に落とし、均しローラ28を造形台6に対して相対的に後方へ移動させる。CPU50は、吐出ヘッド42を造形台6に対して相対的に前方へ移動させ、吐出ヘッド42の駆動を制御して、粉体層に造形液を吐出させる。粉体層で造形液が着滴した部分は固化して造形層を形成し、着滴しなかった部分は固化せずに未硬化粉体として残る。CPU50は、以上の動作を繰り返すことによって、造形層を下層から上層へ向けて1層ずつ形成し、造形層を積層した立体造形物を造形する。
立体造形処理において、CPU50は、前述したように、フォトセンサ54の検出結果に基づいて、造形台6に対する均しローラ28の相対的な位置を制御する。さらにCPU50は、造形台6に対する均しローラ28の相対的な位置に応じて、均しローラ28の回転速度を制御する。まず、均しローラ28の回転速度の制御について、以下に説明する。
CPU50は、均しローラ28がステージ面9A上に位置し、粉体層を形成するときに、均しローラ28の回転速度を第一回転速度に制御する。本実施形態において、均しローラ28の第一回転速度は、例えば、2000rpmである。均しローラ28は、粉体を均す場合に、回転しながら粉体を均すことによって、粉体が崩れるときの応力すなわち剪断応力を下げることができる。均しローラ28は、剪断応力を下げることによって、均した粉体層よりも下層に形成した粉体層において造形された造形層を、移動方向に引きずったりする「引きずり」や、引き延ばしたりする「膨張」の発生を、抑制することができる。均しローラ28の第一回転速度は、剪断応力が、引きずり、膨張が確実に発生しない状態になるのに十分な回転速度である。
CPU50は、均しローラ28が被供給面12A上に位置し、粉体を昇降ステージ9上に運ぶときに、均しローラ28の回転速度を第二回転速度に制御する。第二回転速度は、第一回転速度以下の遅い速度である。均しローラ28の回転速度が遅くなると、粉体は、剪断応力が増加するが、回転によって巻き上げられ難くなる。均しローラ28は、ステージ部8では、粉体層の厚み分、昇降ステージ9を下降させた凹部32内で粉体を均す。しかし、被供給部12では、均しローラ28は、上下方向の位置がステージ部8の上面と同じ高さに位置する被供給面12A上で、粉体層1層分の粉体を運搬する。故に、均しローラ28は、第一回転速度以下の遅い速度である第二回転速度で回転し、粉体を運搬することで、粉体の巻き上げを防止する。なお、第二回転速度は、第一回転速度以下の速度であり、回転速度が加速する過渡期の速度も含まれる。第二回転速度は、ゼロであってもよいし、第一回転速度以下の一定速度であってもよい。
CPU50は、均しローラ28が回収部11の上面上に位置し、粉体を粉体落下部11Aに運ぶときに、均しローラ28の回転速度を第三回転速度に制御する。第三回転速度は、第一回転速度以下の遅い速度である。第二回転速度が第一回転速度よりも遅い速度である場合、第三回転速度は、第二回転速度より速い速度であってもよい。上記同様、回収部11において、均しローラ28は、上下方向の位置がステージ部8の上面と同じ高さに位置する上面上で、余剰粉体を運搬する。故に、均しローラ28は、第一回転速度以下の遅い速度である第三回転速度で回転し、粉体を運搬することで、粉体の巻き上げを防止する。なお、第三回転速度は、第一回転速度以下の速度であり、回転速度が減速する過渡期の速度も含まれる。第三回転速度は、ゼロであってもよいし、第一回転速度以下の一定速度であってもよい。
CPU50は、均しローラ28がステージ面9A上に位置し、基礎層を形成するときに、均しローラ28の回転速度を第四回転速度に制御する。第四回転速度は、第一回転速度よりも遅い速度である。基礎層(いわゆるフィルベッド)は、造形層の造形対象である粉体層よりも下層に形成される粉体の層である。したがって、基礎層を形成するとき、造形層はまだ造形されておらず、引きずり・膨張が発生しない。故に、均しローラ28は、第一回転速度よりも遅い速度の第四回転速度で回転し、粉体を均すことで、粉体の巻き上げを防止する。本実施形態において、CPU50は、第四回転速度をゼロに設定する。もちろん、第四回転速度はゼロでなくてもよい。なお、CPU50は、均しローラ28の回転速度をゼロにする場合、ローラ回転モータ45の出力軸の回転を励磁固定する制御を行う。
なお、立体造形装置1は、以下の理由から、基礎層を形成する。ステージ面9A上に直接厚みの薄い粉体層を形成する場合、粉体を均しローラ28で広げても、粉体がステージ面9A上で滑り、斑状に広がったり、均一な厚みを得られなかったりする場合がある。故に、立体造形装置1は、基礎層として、造形層の形成対象である粉体層よりも厚みの厚い粉体層を最下層に形成し、均一且つ平坦に広がった粉体層を確保する。立体造形装置1は、基礎層を形成することで粉体層をステージ面9A上に直接形成せず、基礎層上に形成できるので、均一な厚みで滑らかに広がった粉体層を得ることができる。また、立体造形装置1は、基礎層を形成することで、1層目の造形層を形成する際に粉体層に吐出した造形液が、ステージ面9Aに付着することを防ぐことができる。
次に、均しローラ28の相対的な位置の制御について、以下に説明する。立体造形処理において、CPU50は、フォトセンサ54が第一切欠部6Aおよび第二切欠部6Bを検出した結果に基づいて、造形台6に対する均しローラ28の相対的な位置を制御する。図7、図8に示すように、フォトセンサ54が第一切欠部6Aを検出したとき、均しローラ28は、造形台6に対してP1に位置する。P1は、均しローラ28が被供給面12A上にあり、且つ粉体供給器14が被供給面12A上に供給した所定量の粉体の山に均しローラ28の外周面28Aが後方側から接触または近接する位置である。図9、図10に示すように、フォトセンサ54が第二切欠部6Bを検出したとき、均しローラ28は、造形台6に対してP4に位置する。P4は、回転軸がステージ部8と回収部11の境目にある場合の均しローラ28の位置である。
CPU50は、P1とP4の位置を基準に、P0,P2,P3,P5,P6,P7の位置を決定する。図2、図3に示すように、P0は、均しローラ28が被供給面12A上にあり、且つ粉体供給器14が被供給面12A上に粉体を供給する位置よりも後方側へ所定距離ずれた位置である。P0は、立体造形装置1が、造形台6の前後方向への移動における原点として規定する位置であり、いわゆるホームポジションである。例えば、ステージ部8上の均しローラ28をP0に戻す場合、CPU50は、ステージ部8を逆方向に移動させる。CPU50は、フォトセンサ54の検出結果に基づき均しローラ28がP1に位置すると判断したら、P0,P1間の距離に対応する台移動モータ43の回転角度に応じたパルス数の駆動電圧を台移動モータ43に印加し、P0で台移動モータ43を停止する。
図3に示すように、P2は、回転軸が被供給部12とステージ部8の境目にある場合の均しローラ28の位置である。P3は、P1とP2の間の位置であり、後述する立体造形処理において、CPU50が均しローラ28の回転駆動を開始する所定の位置である。P3の位置は、造形台6の順方向への移動時に、均しローラ28の第二回転速度(被供給部12上での回転速度)がゼロから加速し始め、P2に到達するまでに第一回転速度になるのに十分な距離をP2との間に得られる位置である。P3の位置は、造形台6の移動速度に応じて予め設定されている。例えば、均しローラ28の第二回転速度がゼロから第一回転速度に達するまでX秒かかり、造形台6の移動速度がYmm/秒である場合、P3は、P2よりもX×Ymm以上後方の位置に設定される。移動速度Yは、例えば、50mm/secである。Xは、例えば、1秒である。
P5は、均しローラ28が回収部11の上面上にあり、且つ回転軸が粉体落下部11Aの開口の後端にある場合の均しローラ28の位置である。P6は、P4とP5の間の位置であり、後述する立体造形処理において、CPU50が均しローラ28の回転駆動を停止し始める所定の位置である。P6の位置は、造形台6の順方向への移動時に、均しローラ28の第三回転速度(回収部11上での回転速度)が第一回転速度から減速し始め、P5に到達するまでにゼロになるのに十分な距離を得られる位置である。P6の位置は、均しローラ28の第一回転速度と造形台6の移動速度に応じて予め設定されている。本実施形態において、P6は、P4と同じ位置に設定されている。なお、図3では、便宜上、P4の位置とP6の位置をずらして図示している。P7は、均しローラ28が回収部11の上面上にあり、且つ回転軸が粉体落下部11Aの開口の前端にある場合の均しローラ28の位置である。
図5、図6を参照し、立体造形装置1のCPU50が実行する立体造形処理について、図2、図3および図7〜図16を参照しながら説明する。立体造形処理は、PC100から造形データを受信した場合に、造形データをRAM51に記憶し、ROM52に記憶されたプログラムをCPU50が読み出して実行することによって、開始される。なお、後述するが、立体造形装置1は、立体造形処理を終了するときに均しローラ28をP0(ホームポジション)に戻す処理を行っている。故に、均しローラ28は、立体造形処理の実行開始時にP0(図3参照)に位置する。なお、均しローラ28がホームポジションにあるとき、吐出ヘッド42はステージ部8上に位置する。
図5に示すように、CPU50は、まず、基礎層を形成するための前処理を行う(S1)。CPU50は、RAM51から造形データが含む基礎層の厚みの情報を読み出す。CPU50は、ステージ昇降モータ46の駆動を制御して、昇降ステージ9のステージ面9Aの位置を、基礎層の厚み情報に基づく大きさ分、ステージ部8の上面の位置から下方に下降させる。なお、粉体供給器14の供給機構16は、1回の粉体の供給において、造形層の形成対象である粉体層を1層分形成するのに必要な所定量の粉体を供給する。本実施形態において、基礎層の厚みは、造形層の形成対象である粉体層の厚みの整数倍に設定されている。立体造形装置1は、粉体層1層分に相当する所定量の粉体を繰り返し供給して均しローラ28で均すことで、粉体層より厚みのある基礎層を形成する。このため、CPU50は、均しローラ28が粉体を繰り返して均す回数を、層形成カウンタを用いて計数する。CPU50は、層形成カウンタの記憶領域を、RAM51に確保する。また、CPU50は、層形成カウンタが計数するカウント値の上限値(カウント上限値)を、基礎層の厚み情報に基づいて設定する。カウント上限値には、粉体層1層分に相当する所定量の粉体の層を重ねる回数が、基礎層の厚みに応じて設定される。例えば、粉体層1層の厚みが0.1mmであり、基礎層の厚みを1.0mmとした場合、CPU50は、層形成カウンタのカウント上限値を、10に設定する。また、CPU50は、フォトセンサ54が第一切欠部6A、第二切欠部6Bを検出したときに加算する位置カウンタの記憶領域をRAM51に確保する。位置カウンタのカウント上限値は、立体造形処理で進行中の処理内容に応じ、その都度設定される。さらに、CPU50は、均しローラ28の回転が停止した状態に維持されるように、ローラ回転モータ45の出力軸を励磁固定する。
CPU50は、粉体供給モータ41の駆動を制御し、被供給面12A上に所定量の粉体を供給する(S2)。CPU50は、台移動モータ43の駆動を制御し、造形台6の順方向(相対的な後方)へ向けた移動を開始させる(S3)。このとき、CPU50は、フォトセンサ54による第一切欠部6A、第二切欠部6Bの検出回数を数える位置カウンタをリセットする。CPU50は、均しローラ28をP0からP1,P4を通過させてP7に移動させるため、位置カウンタのカウント上限値を2にセットする。CPU50は、層形成カウンタのカウント値が、基礎層の厚みに応じたカウント上限値(例えば10)に達していなければ、基礎層(フィルベッド)の形成完了前と判断する(S5:NO)。CPU50は、位置カウンタの値が2でなければ処理を待機し(S6:NO)、造形台6の順方向への移動を継続する。
図7、図8に示すように、均しローラ28がP1に到達し、フォトセンサ54が第一切欠部6Aを検出すると、CPU50は、位置カウンタを+1加算する。位置カウンタの値が1なので、CPU50は造形台6の順方向への移動を継続する。均しローラ28は、励磁固定された状態で被供給面12A上の粉体を押圧して昇降ステージ9に運ぶ。均しローラ28は、P2を過ぎると粉体を凹部32内に運び込み、第四回転速度で、ステージ面9A上で押し広げて基礎層を形成する。CPU50は、基礎層形成時、均しローラ28を励磁固定した状態に維持するので、第四回転速度はゼロである。
図9、図10に示すように、均しローラ28がP4に到達し、フォトセンサ54が第二切欠部6Bを検出すると、CPU50は、位置カウンタを+1加算する。図5に示すように、位置カウンタの値は2となり(S6:YES)、CPU50は、均しローラ28をP7に移動するため、P4,P7間の距離に応じたパルス数の駆動電圧を台移動モータ43に印加する(S7)。均しローラ28は、P4に到達する際に、基礎層の形成で余った余剰粉体を押圧して凹部32内から回収部11上に運び込む。均しローラ28は、回収部11上を移動し、余剰粉体を回収部11上で運ぶ。均しローラ28がP5に到達し、回転軸が粉体落下部11Aの開口の後端に位置すると、余剰粉体は、粉体落下部11A内に落下し始める。CPU50は、造形台6の移動を継続する。均しローラ28は、励磁固定された状態で、粉体落下部11A上を横切って移動する。CPU50は、均しローラ28がP7に到達し、回転軸が粉体落下部11Aの開口の前端に位置すると、造形台6の移動を停止する。
CPU50は、位置カウンタをリセットする。CPU50は、均しローラ28をP7からP4,P1を通過させてP0に移動させるため、位置カウンタのカウント上限値を2にセットする。CPU50は、造形台6が逆方向(相対的な前方)へ向けて移動を開始するように、台移動モータ43の駆動を制御する(S8)。上記同様、CPU50は、位置カウンタの値が2でなければ処理を待機し(S10:NO)、造形台6の逆方向への移動を継続する。均しローラ28がP4に到達してフォトセンサ54が第二切欠部6Bを検出すると、CPU50は、位置カウンタを+1加算する。さらに、均しローラ28がP1に到達してフォトセンサ54が第一切欠部6Aを検出すると、CPU50は、位置カウンタを+1加算する。位置カウンタの値が2になり(S10:YES)、CPU50は、均しローラ28をP0に移動するため、P1,P0間の距離に応じたパルス数の駆動電圧を台移動モータ43に印加する(S11)。図2、図3に示すように、CPU50は、均しローラ28がP0に到達すると、造形台6の移動を停止する。均しローラ28は、ホームポジションに戻る。CPU50は、図5に示すS11の処理において層形成カウンタのカウント値を+1加算し、処理をS2に戻す。CPU50は、粉体の供給(S2)および造形台6の順方向への移動開始(S3)を制御し、層形成カウンタのカウント値がカウント上限値(例えば10)に達していなければ(S5:NO)、上記同様、基礎層の形成を繰り返す(S2〜S11)。
層形成カウンタのカウント値が基礎層の厚みに応じたカウント上限値に達した場合(S5:YES)、CPU50は、基礎層の形成を終了する。CPU50は、基礎層上に粉体層を形成するため、S3の処理で開始した造形台6の順方向への移動を継続する。CPU50は、台移動モータ43に印加した駆動電圧のパルス数が、P0,P3間の距離に応じたパルス数未満であれば処理を待機し(S12:NO)、造形台6の順方向への移動を継続する。図11に示すように、均しローラ28は、P1に到達すると、励磁固定によって回転が停止された状態で粉体を押圧し始め、昇降ステージ9へ向けて粉体を運ぶ。台移動モータ43に印加される駆動電圧のパルス数がP0,P3間の距離に応じたパルス数になったとき、均しローラ28はP3に到達する(S12:YES)。図5に示すように、CPU50は、均しローラ28の第二回転速度を第一回転速度に設定し、ローラ回転モータ45の駆動を制御して、均しローラ28の回転を開始する(S13)。CPU50は、造形台6の順方向への移動を継続する。図12に示すように、CPU50は、均しローラ28を、図中の矢印Aに示すように、第二回転速度で回転させる。均しローラ28が被供給部12の被供給面12A上に位置するときの回転速度である第二回転速度は、均しローラ28がP3に到達した時点ではゼロであるが、P3の位置から加速し始め、徐々に速くなる。第二回転速度は、均しローラ28がP2に到達した時もしくはその前に、第一回転速度と等速になっている。すなわち、第二回転速度は第一回転速度以下の遅い速度である。
図13に示すように、均しローラ28はP2に到達すると粉体を凹部32内に運び込み、ステージ面9A上で押し広げて粉体層を形成する。CPU50は、図中の矢印Bに示すように、均しローラ28を被供給部12からステージ部8を横切って回収部11へ向けて相対的に移動させながら、図中の矢印Cに示すように、第一回転速度で回転させる。均しローラ28は、第一回転速度で回転することによって、粉体を剪断しながら均す。
上記同様、均しローラ28がP1,P4にそれぞれ到達したときに、CPU50は位置カウンタを加算する。CPU50は、位置カウンタの値が2でなければ処理を待機し(S15:NO)、造形台6の順方向への移動を継続して粉体層を形成する。前述したように、本実施形態では、均しローラ28が減速し始める位置として設定するP6の位置は、P4と同じ位置である。均しローラ28がP6すなわちP4に到達し(図9、図10参照)、位置カウンタの値が2となると(S15:YES)、CPU50は、ローラ回転モータ45の駆動の停止を開始する(S16)。CPU50は、均しローラ28をP7に移動するため、P4,P7間の距離に応じたパルス数の駆動電圧を台移動モータ43に印加する(S17)。図14に示すように、CPU50は、均しローラ28を、図中の矢印Dに示すように、第三回転速度で回転させる。均しローラ28が回収部11の上面上に位置するときの回転速度である第三回転速度は、均しローラ28がP4に到達した時点では第一回転速度と等速であるが、P6の位置から減速し始め、徐々に遅くなる。第三回転速度は、均しローラ28がP5に到達した時もしくはその前に、ゼロになる。すなわち、第三回転速度は第一回転速度以下の遅い速度である。CPU50は、ローラ回転モータ45の出力軸を励磁固定し、均しローラ28の回転を停止した状態に維持する。均しローラ28は、回収部11上において、粉体層の形成で余った余剰粉体を運ぶ。均しローラ28がP5に到達し、回転軸が粉体落下部11Aの開口の後端に位置すると、余剰粉体は、粉体落下部11A内に落下し始める。CPU50は、造形台6の移動を継続する。均しローラ28は、励磁固定された状態で、粉体落下部11A上を横切って移動する。CPU50は、均しローラ28がP7に到達し、回転軸が粉体落下部11Aの開口の前端に位置すると、造形台6の移動を停止する。
図5に示すように、CPU50は、ステージ昇降モータ46の駆動を制御し、昇降ステージ9を所定の第一定量分下降させる(S18)。第一定量は、均しローラ28をステージ部8の上面に接触させながら移動しても、均しローラ28の外周面28Aが粉体層の上面に接触せず、且つ、吐出ヘッド42から吐出する造形液が粉体層の上面に着滴する位置を制御できる高さ(例えば0.03mm)である。図15に示すように、昇降ステージ9上に形成された基礎層のさらに上層に形成された粉体層の上面は、造形台6の上面よりも下方に位置する。
図6に示すように、CPU50は、位置カウンタをリセットする。CPU50は、均しローラ28をP7からP4,P1を通過させてP0に移動させるため、位置カウンタのカウント上限値を2にセットする。CPU50は、造形台6が逆方向へ向けて移動を開始するように、台移動モータ43の駆動を制御する(S25)。上記同様、CPU50は、位置カウンタの値が2でなければ処理を待機し(S26:NO)、造形台6の逆方向への移動を継続する。均しローラ28がP4に到達してフォトセンサ54が第二切欠部6Bを検出すると、CPU50は、位置カウンタを+1加算する。図15に示すように、均しローラ28は励磁固定された状態で、図中の矢印Eに示すように、回収部11からステージ部8を横切って被供給部12へ向けて逆方向に移動する。均しローラ28は回転しないため、ステージ部8において外周面28Aが粉体層の上面を擦り、粉体の剪断応力を増加させる可能性がある。しかし、ステージ面9A上に粉体層が形成された昇降ステージ9が第一定量下降したため、均しローラ28の外周面28Aは、均し終えた粉体層に接触しないので、粉体層の上面を擦る虞がない。
さらに、均しローラ28がP1に到達してフォトセンサ54が第一切欠部6Aを検出すると、CPU50は、位置カウンタを+1加算する。図6に示すように、位置カウンタの値が2になると(S26:YES)、上記同様、CPU50は、P1,P0間の距離に応じたパルス数の駆動電圧を台移動モータ43に印加する(S27)。CPU50は、均しローラ28がP0に到達すると、造形台6の移動を停止する。均しローラ28は、ホームポジションに戻る。吐出ヘッド42は、ステージ部8上に位置する。CPU50はRAM51から、造形データが含む複数層分の粉体層に対する造形液の吐出位置情報から、1層の粉体層に対する吐出位置情報を造形層の形成順に応じて読み出す。
なお、均しローラ28がP0(ホームポジション)に位置する場合、吐出ヘッド42は、前後方向において、昇降ステージ9の後端部上に位置する(図3参照)。故に、立体造形装置1は、均しローラ28がP0に位置する場合の吐出ヘッド42の位置を、吐出ヘッド42が粉体層に対して造形液の吐出を開始する始点とし、造形層を造形することが可能である。しかし、本実施形態の立体造形装置1は、凹部32内面に造形液が付着することを防止するため、造形層の前後方向および左右方向の両端に造形液を吐出しない余白部分を設ける。
図6に示すように、CPU50は、造形台6が、吐出ヘッド42のノズル列の長さ分(以下、「1段階」ともいう。)順方向に移動して停止するように、台移動モータ43の駆動を制御する(S28)。CPU50はヘッド移動モータ44の駆動を制御し、吐出ヘッド42を走査方向(左右方向)に移動させながら、造形データに従って吐出ヘッド42の駆動を制御する。吐出ヘッド42は、CPU50の制御に従って、吐出位置情報に対応付けられたノズルから造形液を粉体層に対して吐出し、造形層を造形する(S30)。CPU50は、造形層が未完成のうちは、処理をS28に戻す(S31:NO)。図16に示すように、CPU50は、造形台6の搬送方向への1段階の移動と、吐出ヘッド42の走査方向への移動および吐出ヘッド42からの造形液の吐出を繰り返し、造形データに従って造形層を造形する。上記したように、粉体層の上面の位置は、第一定量分、造形台6の上面よりも下方の位置であるが、吐出ヘッド42が造形液の着滴する位置を十分に制御できる位置である。
なお、CPU50は、上記1段階の移動の繰り返し回数が所定回数に達した場合に、1層の造形層の造形が完了したと判断する。所定回数は、ステージ面9Aの前後方向の長さをノズル列の長さで除算することによって予め設定された値である。1段階の移動が所定回数繰り返されることで、吐出ヘッド42は、ステージ面9Aの前側の端部に到達し、ステージ面9A全体の走査を完了する。すなわち、CPU50は、吐出ヘッド42にステージ面9Aの全体を走査させながら、吐出位置情報に応じた位置に造形液を吐出させて、造形層を造形する。
CPU50は、造形層の造形が完了した場合(S31:YES)、位置カウンタをリセットする。均しローラ28は吐出ヘッド42よりも後側に設けられている。故に、造形層が完成したとき、均しローラ28は、ステージ部8上、すなわちP2とP4の間に位置する。CPU50は、P2とP4の間の位置からP1を通過させてP0に移動させるため、位置カウンタのカウント上限値を1にセットする。CPU50は、造形台6が逆方向へ向けて移動を開始するように、台移動モータ43の駆動を制御する(S32)。CPU50は、位置カウンタの値が1でなければ処理を待機し(S33:NO)、造形台6の逆方向への移動を継続する。均しローラ28がP1に到達してフォトセンサ54が第一切欠部6Aを検出すると、CPU50は、位置カウンタを+1加算する。位置カウンタの値が1になると(S33:YES)、上記同様、CPU50は、P1,P0間の距離に応じたパルス数の駆動電圧を台移動モータ43に印加する(S35)。CPU50は、均しローラ28がP0に到達(図3参照)すると、造形台6の移動を停止する。均しローラ28は、ホームポジションに戻る。
CPU50は、造形データが含むすべての吐出位置情報に対する造形液の吐出処理が完了したか否か判断することによって、立体造形処理が終了したか否か判断する(S36)。CPU50は、造形液の吐出処理をまだ行っていない吐出位置情報があり、立体造形処理が終了していない場合(S36:NO)、造形データから次の粉体層に対する吐出位置情報を読み出す。CPU50は、ステージ昇降モータ46の駆動を制御し、昇降ステージ9を所定の第二定量分下降させる(S37)。第二定量は、粉体層1層分の厚み(例えば0.1mm)から、第一定量を減算した高さ(例えば0.07mm)である。CPU50は、処理をS2(図5参照)に戻し、上記同様、S2〜S5、S12〜S37の処理を繰り返し行って、造形層の各層を下層から順に形成する。
S13〜S16の処理で、均しローラ28を順方向に移動させながらステージ部8において造形層上に粉体層を形成する場合、CPU50は、上記したように、均しローラ28を第一回転速度で回転させ、粉体を剪断しながら均す。故に,均しローラ28は、造形層の引きずり、膨張を発生させることなく、ステージ面9A上に粉体層を形成することができる。また、S25〜S27の処理で、均しローラ28を逆方向にステージ部8を横切らせてP0に戻す場合、CPU50は、均しローラ28の回転軸を励磁固定して回転を停止する。CPU50が、逆方向への移動の前にS18の処理で昇降ステージ9を第一定量下降させることで、均しローラ28の外周面28Aは、均し終えた粉体層に接触しない。故に、均しローラ28は、回収部11からステージ部8を横切って被供給部12に戻る過程において、造形層が造形されている場合でも、造形層の引きずり、膨張を発生させることがない。
造形データに基づくすべての造形層を造形し終え、立体造形物の造形が完了した場合(S36:YES)、CPU50は、立体造形処理を終了する。昇降ステージ9は、立体造形物と、固化せずに立体造形物の周辺に残存する未硬化粉体をステージ面9Aに載置した状態になる。CPU50は、操作パネル53の入力部を介して立体造形物を回収する指示が入力された場合に、加振モータ(図示略)を駆動して昇降ステージ9を振動させる。未硬化粉体は上部ステージと下部ステージの孔(図示略)から落下し、吸引ホース10を通じて吸引部13に吸引される。結果、立体造形装置1は、造形された立体造形物のみをステージ面9A上に載置した状態になり、作業者が回収する。
以上説明したように、本実施形態の立体造形装置1は、被供給部12における均しローラ28の第二回転速度と、回収部11における均しローラ28の第三回転速度のうち少なくとも一方の速度をゼロにして均しローラ28の回転を停止する。これにより、立体造形装置1は、均しローラ28が粉体を巻き上げ、装置内で粉体が舞うことを抑制できる。特に、被供給部12では、粉体供給器14から落下させて粉体が供給されるので、粉体は舞いやすい。CPU50は、第二回転速度をゼロに制御することで、被供給部12において均しローラ28の回転に伴い生ずる風圧で粉体が散乱することを防止できる。同様に、回収部11では、粉体落下部11Aに粉体を落下させて粉体が回収されるので、粉体は舞いやすい。CPU50は、第三回転速度をゼロに制御することで、回収部11において均しローラ28の回転に伴い生ずる風圧で粉体が散乱することを防止できる。また、立体造形装置1は、ローラ回転モータ45の駆動に要するエネルギーの消費を低減することができる。
また、P3で均しローラ28の第二回転速度の加速が開始されることで、均しローラ28は、P2に到達するまでの間に第二回転速度を徐々に速くすることができる。すなわち、CPU50は、均しローラ28の第二回転速度が被供給部12において急激に変化することがないように制御することができる。そして、被供給部12における均しローラ28の第二回転速度は、第一回転速度以下である。故に、立体造形装置1は、粉体が舞うことを抑制することができる。特に、被供給部12では、粉体供給器14から粉体を落下させて粉体が供給されるので、粉体は舞いやすい。CPU50は、第二回転速度を第一回転速度よりも遅い速度に制御することで、被供給部12において均しローラ28の回転に伴い生ずる風圧で粉体が散乱することを抑制できる。ところで、仮に、均しローラ28の第二回転速度がP2で第一回転速度に達していない場合、立体造形装置1は、第一回転速度に達するまで均しローラ28の相対移動を一時的に停止させる必要が生ずる。しかし、立体造形装置1は、P3で均しローラ28の第二回転速度を加速し始めることで、P2に到達するときには第一回転速度にすることができるので、造形台6に対する均しローラ28の相対移動を停止することなくスムーズに粉体層を形成することができる。
また、P6で均しローラ28の第三回転速度の減速が開始されることで、均しローラ28は、P5に到達するまでの間に第三回転速度を徐々に遅くすることができる。すなわち、CPU50は、均しローラ28の第三回転速度が回収部11において急激に変化することがないように制御することができる。そして、回収部11における均しローラ28の第三回転速度は、第一回転速度以下である。故に、立体造形装置1は、粉体が舞うことを抑制することができる。特に、回収部11では、粉体落下部11Aに粉体を落下させて粉体が回収されるので、粉体は舞いやすい。CPU50は、第三回転速度を第一回転速度よりも遅い速度に制御することで、回収部11において均しローラ28の回転に伴い生ずる風圧で粉体が散乱することを抑制できる。
また、立体造形装置1は、均しローラ28を回収部11から被供給部12に戻す場合に均しローラ28の回転を停止させることで、装置内で粉体が舞うことを抑制し、且つローラ回転モータ45の駆動に要するエネルギーの消費を低減することができる。ところで、均しローラ28は、回転速度が遅いと粉体の剪断応力を増加させる可能性がある。しかし、CPU50は、均しローラ28を回収部11から被供給部12に戻す場合、ステージ昇降モータ46を駆動させてステージ面9Aを第一定量下降させる。故に、均しローラ28は、外周面28Aが造形層上に形成した粉体層に接触することがなく、造形層を引きずったり引き延ばしたりすることがない。
また、立体造形装置1は、基礎層形成時の均しローラ28の第四回転速度をゼロにすることで、装置内で粉体が舞うことをより抑制し、且つローラ回転モータ45の駆動に要するエネルギーの消費を低減することができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変更が可能である。本実施形態に示した粉体層および基礎層の厚み、昇降ステージ9の大きさ等、各寸法は一例に過ぎず、任意の大きさに設定することができる。P0(ホームポジション)、P2、P3、P5、P6は、CPU50がフォトセンサ54の検出結果に基づくP1、P4の位置を基準に台移動モータ43の駆動を制御することで位置決めした。これに限らず、それぞれの位置に対応する切欠部を設け、フォトセンサ54の検出結果に基づいて、CPU50が各位置を判断してもよい。あるいは、台移動モータ43の出力軸に、例えばロータリエンコーダを設け、P0〜P6の位置を判断し、均しローラ28と造形台6の相対的な位置決めを行ってもよい。本実施形態において、P6は、P4と同じ位置としたが、P4とP5の間にあり、且つ、均しローラ28が第三回転速度を第一回転速度からゼロに減速するのに十分な距離を得られる位置であればよい。また、必ずしもP1、P4を位置検出の基準にしなくともよく、例えば、P0とP5を基準にしたり、P2とP4を基準にしてもよい。
CPU50は、粉体層を形成しないとき、ローラ回転モータ45の出力軸を励磁固定して均しローラ28の回転速度をゼロにしたが、ローラ回転モータ45の出力軸を励磁固定しなくてもよい。また、CPU50は、粉体層を形成しないとき、均しローラ28の回転速度を必ずしもゼロにしなくてもよい。すなわち、CPU50は、均しローラ28が、基礎層を形成する場合の第四回転速度がゼロより速く、第一回転速度より遅い速度となるように、ローラ回転モータ45の駆動を制御してもよい。また、CPU50は、均しローラ28が被供給部12上(P0とP2の間)に位置する場合の第二回転速度と、回収部11上(P4とP5の間)に位置する場合の第三回転速度を、第一回転速度以下の一定速度となるように、ローラ回転モータ45の駆動を制御してもよい。
基礎層を形成する場合、昇降ステージ9がステージ部8の上面よりも下降する大きさが粉体層形成時よりも大きいので、均しローラ28の外周面28Aは、凹部32内に運んだ粉体と接触し難い。また、基礎層には造形層を形成しないので、造形層に対する引きずりや膨張が発生することがない。故に、立体造形装置1は、均しローラ28の回転が必ずしも停止していなくとも、少なくとも基礎層形成時の均しローラ28の第四回転速度を第一回転速度よりも遅くすれば、装置内で粉体が舞うことを抑制することができる。また、立体造形装置1は、均しローラ28の第四回転速度を少なくとも第一回転速度よりも遅くすることで、ローラ回転モータ45の駆動に要するエネルギーの消費を低減することができる。
また、均しローラ28は、回転すると粉体の剪断応力を下げることができるので、粉体が均しローラ28の押圧で盛り上がって形成する山を、崩しやすくなる。故に、均しローラ28は、回転しながら移動することによって、粉体の山が高くなり、均しローラ28を後方に乗り越えてしまうことを防止できる。もっとも、回転速度が速すぎると、剪断応力が低くなりすぎて、粉体が均しローラ28の左右に流れたり、均しローラ28が粉体を巻き上げたりするため、均しローラ28は粉体を運びにくくなる可能性がある。故に、粉体層を形成しないときに均しローラ28を回転させる場合において、均しローラ28が被供給部12上と回収部11上に位置する場合、均しローラ28の第二回転速度および第三回転速度は、第一回転速度以下の遅い速度であることが望ましい。これにより、均しローラ28は、粉体供給器14から供給された粉体をステージ部8に運ぶ際に、粉体を巻き上げ難い。よって、立体造形装置1は、装置内で粉体が舞うことを抑制することができる。さらに、立体造形装置1は、ローラ回転モータ45の駆動に要するエネルギーの消費を低減することができる。
また、均しローラ28は、粉体層形成時の第一回転速度が、均しローラ28が被供給部12上と回収部11上に位置する場合の第二回転速度および第三回転速度以上の速い速度であるので、粉体を剪断しやすい。粉体層に造形液を混合することによって既に造形された造形層上に新たな粉体層を形成する場合に、造形層に引きずりや膨張が発生することがないので、均しローラ28は、粉体層を確実に均すことができる。故に、立体造形装置1は、立体造形物の変形を防止しつつ、粉体層を精度よく形成することができる。
また、均しローラ28は、ステージ部8において、造形層の造形範囲上方だけでなく、造形層の造形範囲外の上方にも粉体層を形成する。造形層の造形範囲外の上方で粉体層を形成する際に粉体に生じさせた剪断応力によって、造形層の造形範囲に形成される粉体層に応力が伝わると、造形層の引きずり・膨張を十分に抑制できなくなる可能性がある。本実施形態において、CPU50は、ステージ部8において、均しローラ28を回転させる速度を第一回転速度に維持する。このため、均しローラ28は、造形層の造形範囲上方だけでなく、造形層の造形範囲外の上方で粉体層を形成する場合にも、粉体を剪断しやすい。故に、均しローラ28は、ステージ部8において粉体に生ずる剪断応力を低下させ、造形層を引きずったり引き延ばしたりしないので、粉体層を確実に均すことができる。
また、均しローラ28が被供給部12において運ぶ粉体の量は、回収部11において運ぶ余剰粉体の量よりも多い。故に、被供給部12上で均しローラ28が回転する第二回転速度は、回収部11上で均しローラ28が回転する第三回転速度よりも遅いことが望ましい。これにより、立体造形装置1は、均しローラ28が粉体を巻き上げ、装置内で粉体が舞うことをさらに抑制することができる。なお、粉体の内部摩擦が小さく流動性が高い場合、均しローラ28の押圧によって形成される粉体の山が均しローラ28を後方に乗り越えてしまう可能性は小さい。このような粉体を用いる場合、立体造形装置1は、均しローラ28の第二回転速度および第三回転速度をゼロとすることで、ローラ回転モータ45の駆動に要するエネルギーの消費を低減することができる。故に、立体造形装置1は、被供給部12における均しローラ28の第二回転速度、および回収部11における均しローラ28の第三回転速度のうち一方の速度をゼロにしてもよいし、本実施形態のように、両方の回転速度をゼロにしてもよい。例えば、均しローラ28が被供給部12において粉体を運ぶ場合の第二回転速度をゼロとし、回収部11において余剰粉体を運ぶ場合の第三回転速度をゼロよりも速く、第一回転速度以下の遅い速度としてもよい。
なお、粉体層形成時、CPU50は、均しローラ28が、左側面視、反時計回りに回転することが望ましいが、粉体層を形成しないとき、均しローラ28が、左側面視、反時計回りの方向に限らず、時計回りの方向に回転するように、ローラ回転モータ45の駆動を制御してもよい。なお、ローラ回転モータ45が均しローラ28の回転軸を、左側面視、反時計回りの方向に回転する向きを、正の向きと規定する。故に、S13の処理で、例えば、均しローラ28が左側面視、時計回りの方向(負の向き)に回転する場合に、均しローラ28が正の向きに第一回転速度で回転するように、CPU50が均しローラ28の第二回転速度を加速する点は、本実施形態と同様である。S16の処理において、CPU50が均しローラ28の第三回転速度を減速する点についても同様である。
また、本実施形態の吐出ヘッド42は、走査型のインクジェットヘッドであるが、各色のノズル列の長さがステージ面9Aの左右方向の長さと略同じ長さである、いわゆるライン型のインクジェットヘッドであってもよい。また、均しローラ28がP0(ホームポジション)に位置する場合に、吐出ヘッド42は、ステージ部8上でなく、被供給部12上に位置してもよい。また、回収部11の粉体落下部11Aに吸引ホース10を接続し、吸引部13が、粉体落下部11A内から余剰粉体を吸い出して回収してもよい。
また、本実施形態において、CPU50は、粉体層形成時の造形台6の往復移動で、順方向への移動では、均しローラ28で粉体を均して粉体層を形成させ、逆方向への移動では、何の処理も行わなかった。また、CPU50は、造形層形成時の造形台6の往復移動で、順方向への移動では、吐出ヘッド42から造形液を吐出させて造形層を形成させ、逆方向への移動では、何の処理も行わなかった。これに限らず、CPU50は、造形台6の1回の往復移動で、順方向への移動で、均しローラ28で粉体を均して粉体層を形成させ、逆方向への移動において、吐出ヘッド42から造形液を吐出させて造形層を形成させてもよい。CPU50がこのように均しローラ28と吐出ヘッド42の駆動を制御することで、立体造形装置1は、立体造形物の造形にかかる時間を短くすることができる。
S37の処理で、CPU50は、昇降ステージ9を第二定量下降させたが、S18の処理で昇降ステージ9を下降させる第一定量を粉体層1層の高さ分とし、S37の処理を行わなくてもよい。
上記実施形態において、粉体供給器14が、本発明の「粉体供給部」に相当する。前後方向が「第一方向」に相当する。左右方向が「第二方向」に相当する。均しローラ28が「ローラ部」に相当する。台移動モータ43が「第一駆動部」に相当する。ローラ回転モータ45が「第二駆動部」に相当する。CPU50が「制御部」に相当する。ステージ昇降モータ46が、「昇降部」に相当する。P1、P2、P3、P4、P5、P6が、それぞれ「第一位置」、「第二位置」、「第三位置」、「第四位置」、「第五位置」、「第六位置」に相当する。
1 立体造形装置
6 造形台
8 ステージ部
9 昇降ステージ
9A ステージ面
11 回収部
12 被供給部
14 粉体供給器
28 均しローラ
43 台移動モータ
45 ローラ回転モータ
50 CPU
6 造形台
8 ステージ部
9 昇降ステージ
9A ステージ面
11 回収部
12 被供給部
14 粉体供給器
28 均しローラ
43 台移動モータ
45 ローラ回転モータ
50 CPU
Claims (9)
- 造形液と混合すると固化する粉体を内部に収容し、前記粉体を外部に供給する粉体供給部と、
前記粉体供給部から前記粉体が供給される被供給部と、
前記造形液を吐出する吐出部と、
前記粉体を層状に均した粉体層が形成され、且つ前記粉体層に対して前記吐出部から吐出される前記造形液によって前記粉体層が固化した造形層が造形される面であるステージ面を有し、前記ステージ面に平行な第一方向の一方側で前記被供給部に接続するステージ部と、
前記ステージ部の前記第一方向の他方側で前記ステージ部に接続し、前記ステージ部における前記粉体層の形成で余った余剰粉体を回収する回収部と、
前記ステージ面に平行且つ前記第一方向に交差する第二方向へ延びる回転軸の周囲を覆う外周面を有し、前記外周面が、少なくとも前記被供給部、前記ステージ部および前記回収部のうちのいずれか1つに対向するローラ部と、
前記被供給部、前記ステージ部および前記回収部と、前記ローラ部とを前記第一方向に沿って相対的に移動させる第一駆動部と、
前記ローラ部を回転させる第二駆動部と、
前記第一駆動部および前記第二駆動部の駆動を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、前記第一駆動部を制御することによって前記ローラ部を前記被供給部から前記ステージ部を横切って前記回収部に移動させる場合に、
前記第二駆動部を制御することによって前記ローラ部を前記ステージ部において回転させる速度である第一回転速度を、前記被供給部において回転させる速度である第二回転速度以上の速い速度に制御し、
且つ、前記第一回転速度を、前記回収部において回転させる速度である第三回転速度以上の速い速度に制御すること
を特徴とする立体造形装置。 - 前記制御部は、前記第一駆動部を制御することによって前記ローラ部を前記被供給部の一部および前記回収部の一部のうち少なくとも一方において移動させる場合に、前記第二駆動部を制御することによって、少なくとも前記第二回転速度および前記第三回転速度のうち一方の速度をゼロに制御することを特徴とする請求項1に記載の立体造形装置。
- 前記制御部は、前記第一駆動部を制御することによって前記ローラ部を前記被供給部から前記ステージ部に移動させる場合に、前記被供給部において前記粉体が前記粉体供給部から供給される位置である第一位置から、前記被供給部と前記ステージ部とが接続する位置である第二位置に到達するまでの間の位置である所定の第三位置において、前記第二駆動部を制御することによって前記第二回転速度が加速し始めるように制御することを特徴とする請求項2に記載の立体造形装置。
- 前記制御部は、前記第一駆動部を制御することによって前記ローラ部を前記ステージ部から前記回収部に移動させる場合に、前記ステージ部と前記回収部とが接続する位置である第四位置から、前記回収部において前記余剰粉体が回収される位置である第五位置に到達するまでの間の位置である所定の第六位置において、前記第二駆動部を制御することによって前記第三回転速度が減速し始めるように制御することを特徴とする請求項2または3に記載の立体造形装置。
- 前記制御部は、前記第二駆動部を制御することによって、前記第二回転速度を前記第三回転速度よりも遅い速度に制御することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の立体造形装置。
- 前記ステージ面を上下方向に移動させる昇降部をさらに備え、
前記制御部は、前記第一駆動部を制御することによって前記ローラ部を前記回収部から前記ステージ部を横切って前記被供給部に移動させる場合に、
前記昇降部の駆動を制御することによって、前記粉体層の形成において前記ステージ面を下降させる量よりも小さい第一定量分、前記ステージ面を下方に移動させ、
前記第二駆動部を制御することによって、前記第一回転速度、前記第二回転速度および前記第三回転速度をゼロに制御すること
を特徴とする請求項2から5のいずれかに記載の立体造形装置。 - 前記制御部は、前記造形層の造形対象である前記粉体層よりも下層に形成する前記粉体の層であり、前記粉体に対する前記造形液の混合を行わない基礎層を形成するため、前記第一駆動部を制御することによって前記ローラ部を前記ステージ部において移動させる場合に、前記第二駆動部を制御することによって、前記ローラ部を回転させる速度である第四回転速度が前記第一回転速度よりも遅い速度に制御することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の立体造形装置。
- 前記制御部は、前記第四回転速度をゼロに制御することを特徴とする請求項7に記載の立体造形装置。
- 造形液と混合すると固化する粉体を内部に収容し、前記粉体を外部に供給する粉体供給部と、前記粉体供給部から前記粉体が供給される被供給部と、前記造形液を吐出する吐出部と、前記粉体を層状に均した粉体層が形成され、且つ前記粉体層に対して前記吐出部から吐出される前記造形液によって前記粉体層が固化した造形層が造形される面であるステージ面を有し、前記ステージ面に平行な第一方向の一方側で前記被供給部に接続するステージ部と、前記ステージ部の前記第一方向の他方側で前記ステージ部に接続し、前記ステージ部における前記粉体層の形成で余った余剰粉体を回収する回収部と、前記ステージ面に平行且つ前記第一方向に交差する第二方向へ延びる回転軸の周囲を覆う外周面を有し、前記外周面が、少なくとも前記被供給部、前記ステージ部および前記回収部のうちのいずれか1つに対向するローラ部と、前記被供給部、前記ステージ部および前記回収部と、前記ローラ部とを前記第一方向に沿って相対的に移動させる第一駆動部と、前記ローラ部を回転させる第二駆動部と、前記第一駆動部および前記第二駆動部の駆動を制御する制御部とを備える立体造形装置の駆動を制御するため、前記制御部が実行する駆動制御方法であって、
前記第一駆動部を制御することによって前記ローラ部を前記被供給部から前記ステージ部を横切って前記回収部に移動させる場合に、
前記第二駆動部を制御することによって前記ローラ部を前記ステージ部において回転させる速度である第一回転速度を、前記被供給部において回転させる速度である第二回転速度以上の速い速度に制御し、
且つ、前記第一回転速度を、前記回収部において回転させる速度である第三回転速度以上の速い速度に制御すること
を特徴とする立体造形装置の駆動制御方法。
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