JP2015182235A - 賦型フィルムの製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】カールが生じ難く、且つ、型の賦型構造を精度良く写し取った面形状を有する賦型フィルムを容易に製造できる製造方法を提供する。【解決手段】外周面に賦型構造を有する無端ベルトと無端ベルトの外周面に対向した押圧面を有する押圧具とを備えた賦型装置によって、賦型構造から写し取られた面形状を有する賦型フィルムを連続的に製造する製造方法であって、無端ベルトの外周面と押圧具の押圧面との間に樹脂フィルムを搬送する工程と、無端ベルトの外周面と押圧具の押圧面との間で樹脂フィルムをガラス転移温度以上の温度にした状態で挟圧して、樹脂フィルムに無端ベルトの外周面の賦型構造を写し取る工程と、樹脂フィルムを無端ベルトの外周面と接触し且つ平坦な状態でガラス転移温度未満に冷却する工程と、樹脂フィルムを無端ベルトの外周面から剥離して賦型フィルムを得る工程とを、この順で含む。【選択図】図1
Description
本発明は、表面に賦型処理を施された賦型フィルムを連続的に製造するための製造方法及び製造装置に関する。
長尺の樹脂フィルムには、例えばハンドリング性の向上のために、その表面に凹部又は凸部を形成することがある。このように表面に凹部又は凸部を有する樹脂フィルムは「賦型フィルム」と呼ばれる。賦型フィルムの製造方法は、従来から様々に検討されてきた。
例えば特許文献1及び2には、ダイから溶融状態でフィルム状に押し出された樹脂に、賦型構造を有する型を圧着させることによってその型の賦型構造の形状を写し取り、その後に樹脂を固化させて賦型フィルムを製造する方法が記載されている。
しかしながら、従来の技術では、型の賦型構造を精度良く写し取ることが難しかった。また、従来の技術では、製造された賦型フィルムにカールが生じ易かった。そのため、カールが生じ難く、且つ、型の賦型構造を精度良く写し取った面形状を有する賦型フィルムを容易に製造できる製造技術の開発が望まれていた。
本発明は前記の課題に鑑みて創案されたもので、カールが生じ難く、且つ、型の賦型構造を精度良く写し取った面形状を有する賦型フィルムを容易に製造できる製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
本発明者は前記の課題を解決するべく鋭意検討した結果、賦型構造を有する型として無端ベルトを用いて、この無端ベルトの賦型構造を樹脂フィルムに写し取る工程と、樹脂フィルムを無端ベルトに接触し且つ平坦な状態で冷却する工程と、樹脂フィルムを無端ベルトから剥離して賦型フィルムを得る工程とを含む製造方法により、カールが生じ難く、且つ、賦型構造を精度良く写し取った面形状を有する賦型フィルムを容易に製造できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の通りである。
すなわち、本発明は以下の通りである。
〔1〕 外周面に賦型構造を有する無端ベルトと前記無端ベルトの外周面に対向した押圧面を有する押圧具とを備えた賦型装置によって、前記賦型構造から写し取られた面形状を有する賦型フィルムを連続的に製造する製造方法であって、
前記無端ベルトの外周面と前記押圧具の押圧面との間に樹脂フィルムを搬送する工程と、
前記無端ベルトの外周面と前記押圧具の押圧面との間で、前記樹脂フィルムを前記樹脂フィルムのガラス転移温度以上の温度にした状態で、前記樹脂フィルムを挟圧して、前記樹脂フィルムに前記無端ベルトの外周面の賦型構造を写し取る工程と、
前記樹脂フィルムを、前記無端ベルトの外周面と接触し且つ平坦な状態で、前記樹脂フィルムのガラス転移温度未満に冷却する工程と、
前記樹脂フィルムを前記無端ベルトの外周面から剥離して、賦型フィルムを得る工程とを、この順で含む、賦型フィルムの製造方法。
〔2〕 前記樹脂フィルムに前記賦型構造を写し取る工程の前に、
前記樹脂フィルムを所定温度に維持する予備温調工程をさらに備える、〔1〕に記載の賦型フィルムの製造方法。
〔3〕 前記賦型装置が、前記無端ベルトを加熱しうるヒーターを備え、
前記予備温調工程が、前記ヒーターによって加熱された前記無端ベルトによって前記樹脂フィルムを加熱することを含む、〔2〕記載の賦型フィルムの製造方法。
〔4〕 前記賦型装置が、非接触型ヒーターを備え、
前記予備温調工程が、前記非接触型ヒーターによって前記樹脂フィルムを加熱することを含む、〔2〕又は〔3〕記載の賦型フィルムの製造方法。
〔5〕 前記無端ベルトが、前記無端ベルトの外周面の全体に賦型構造を有する、〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の賦型フィルムの製造方法。
〔6〕 前記無端ベルトが、前記無端ベルトの外周面の、前記樹脂フィルムの幅方向の両端部に接しうる領域だけに、賦型構造を有する、〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の賦型フィルムの製造方法。
〔7〕 前記無端ベルトの外周面と前記押圧具の押圧面との間に樹脂フィルムを搬送する工程の前に、
ダイから樹脂をフィルム状に押し出して前記樹脂フィルムを製造する工程と、
製造された前記樹脂フィルムの幅方向の両端部を切り除く工程とを含む、〔1〕〜〔6〕のいずれか一項に記載の賦型フィルムの製造方法。
〔8〕 前記無端ベルトの外周面と前記押圧具の押圧面との間で挟圧されてから、前記樹脂フィルムのガラス転移温度未満に冷却されるまでの期間に、前記樹脂フィルムが、前記無端ベルトの外周面と接触し且つ平坦な状態を維持する、〔1〕〜〔7〕のいずれか一項に記載の賦型フィルムの製造方法。
〔9〕 長尺の樹脂フィルムから賦型フィルムを製造するための製造装置であって、
周回可能に設けられた、外周面に賦型構造を有する無端ベルトと、
前記無端ベルトの外周面に対向した押圧面を有し、前記無端ベルトの外周面と前記押圧面との間で樹脂フィルムを挟圧しうる押圧具と、
樹脂フィルムを加熱して、前記無端ベルトの外周面と前記押圧具の押圧面との間で挟圧される樹脂フィルムの温度を、前記樹脂フィルムのガラス転移温度以上に加熱しうるヒーターと、
前記無端ベルトの外周面と前記押圧具の押圧面との間で挟圧された樹脂フィルムを、前記無端ベルトの外周面に接触した状態で、前記樹脂フィルムのガラス転移温度未満に冷却しうる冷却器と、
前記冷却器によって冷却された樹脂フィルムを、前記無端ベルトから剥離しうる剥離機とを備え、
前記無端ベルトは、前記冷却器によって樹脂フィルムが冷却される領域において、平坦な状態で周回しうるように設けられている、賦型フィルムの製造装置。
前記無端ベルトの外周面と前記押圧具の押圧面との間に樹脂フィルムを搬送する工程と、
前記無端ベルトの外周面と前記押圧具の押圧面との間で、前記樹脂フィルムを前記樹脂フィルムのガラス転移温度以上の温度にした状態で、前記樹脂フィルムを挟圧して、前記樹脂フィルムに前記無端ベルトの外周面の賦型構造を写し取る工程と、
前記樹脂フィルムを、前記無端ベルトの外周面と接触し且つ平坦な状態で、前記樹脂フィルムのガラス転移温度未満に冷却する工程と、
前記樹脂フィルムを前記無端ベルトの外周面から剥離して、賦型フィルムを得る工程とを、この順で含む、賦型フィルムの製造方法。
〔2〕 前記樹脂フィルムに前記賦型構造を写し取る工程の前に、
前記樹脂フィルムを所定温度に維持する予備温調工程をさらに備える、〔1〕に記載の賦型フィルムの製造方法。
〔3〕 前記賦型装置が、前記無端ベルトを加熱しうるヒーターを備え、
前記予備温調工程が、前記ヒーターによって加熱された前記無端ベルトによって前記樹脂フィルムを加熱することを含む、〔2〕記載の賦型フィルムの製造方法。
〔4〕 前記賦型装置が、非接触型ヒーターを備え、
前記予備温調工程が、前記非接触型ヒーターによって前記樹脂フィルムを加熱することを含む、〔2〕又は〔3〕記載の賦型フィルムの製造方法。
〔5〕 前記無端ベルトが、前記無端ベルトの外周面の全体に賦型構造を有する、〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の賦型フィルムの製造方法。
〔6〕 前記無端ベルトが、前記無端ベルトの外周面の、前記樹脂フィルムの幅方向の両端部に接しうる領域だけに、賦型構造を有する、〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の賦型フィルムの製造方法。
〔7〕 前記無端ベルトの外周面と前記押圧具の押圧面との間に樹脂フィルムを搬送する工程の前に、
ダイから樹脂をフィルム状に押し出して前記樹脂フィルムを製造する工程と、
製造された前記樹脂フィルムの幅方向の両端部を切り除く工程とを含む、〔1〕〜〔6〕のいずれか一項に記載の賦型フィルムの製造方法。
〔8〕 前記無端ベルトの外周面と前記押圧具の押圧面との間で挟圧されてから、前記樹脂フィルムのガラス転移温度未満に冷却されるまでの期間に、前記樹脂フィルムが、前記無端ベルトの外周面と接触し且つ平坦な状態を維持する、〔1〕〜〔7〕のいずれか一項に記載の賦型フィルムの製造方法。
〔9〕 長尺の樹脂フィルムから賦型フィルムを製造するための製造装置であって、
周回可能に設けられた、外周面に賦型構造を有する無端ベルトと、
前記無端ベルトの外周面に対向した押圧面を有し、前記無端ベルトの外周面と前記押圧面との間で樹脂フィルムを挟圧しうる押圧具と、
樹脂フィルムを加熱して、前記無端ベルトの外周面と前記押圧具の押圧面との間で挟圧される樹脂フィルムの温度を、前記樹脂フィルムのガラス転移温度以上に加熱しうるヒーターと、
前記無端ベルトの外周面と前記押圧具の押圧面との間で挟圧された樹脂フィルムを、前記無端ベルトの外周面に接触した状態で、前記樹脂フィルムのガラス転移温度未満に冷却しうる冷却器と、
前記冷却器によって冷却された樹脂フィルムを、前記無端ベルトから剥離しうる剥離機とを備え、
前記無端ベルトは、前記冷却器によって樹脂フィルムが冷却される領域において、平坦な状態で周回しうるように設けられている、賦型フィルムの製造装置。
本発明の製造方法及び製造装置によれば、カールが生じ難く、且つ、型の賦型構造を精度良く写し取った面形状を有する賦型フィルムを容易に製造できる。
以下、本発明について実施形態及び例示物を示して詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施形態及び例示物に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、要素の方向が「平行」とは、特に断らない限り、本発明の効果を損ねない範囲内、例えば±5°の範囲内での誤差を含んでいてもよい。
さらに、以下の説明において「長尺」のフィルムとは、幅に対して、少なくとも5倍以上の長さを有するフィルムをいい、好ましくは10倍若しくはそれ以上の長さを有し、具体的にはロール状に巻き取られて保管又は運搬される程度の長さを有するフィルムをいう。
また、以下の説明において、別に断らない限り、「搬送方向」とはフィルムの搬送方向を指し、「幅方向」とはフィルムの幅方向を指し、「上流」とはフィルムの搬送方向における上流を指し、「下流」とはフィルムの搬送方向における下流を指す。また、別に断らない限り、以下の実施形態ではフィルムは長手方向に平行に搬送されるので、搬送方法と長手方向とは平行である。
[第一実施形態]
図1は、本発明の第一実施形態に係る賦型フィルムの製造装置1を模式的に示す正面図である。
図1に示すように、本発明の第一実施形態に係る製造装置1は、樹脂フィルム製造装置100、トリミング装置200、賦型装置300及び巻回装置400を、上流からこの順に備える。
図1は、本発明の第一実施形態に係る賦型フィルムの製造装置1を模式的に示す正面図である。
図1に示すように、本発明の第一実施形態に係る製造装置1は、樹脂フィルム製造装置100、トリミング装置200、賦型装置300及び巻回装置400を、上流からこの順に備える。
樹脂フィルム製造装置100は、溶融押出法によって長尺の樹脂フィルム10を製造しうる装置であって、ダイ110及び冷却ロール120を備える。ダイ110は、図示しない樹脂供給装置から溶融樹脂を供給され、その溶融樹脂をフィルム状に押し出して樹脂フィルム10を得られるように設けられている。また、冷却ロール120は、ダイ110から押し出された溶融状態の樹脂フィルム10を受け、その樹脂フィルム10を冷却して固化させうるように設けられている。
トリミング装置200は、連続的に搬送される樹脂フィルム10から、当該樹脂フィルム10の幅方向の両端部11を切り除きうる装置であって、対に設けられたトリミングナイフ210及び220と、樹脂フィルム10から切り除かれた両端部11を案内しうる搬送ロール230とを備える。樹脂フィルム10においては、一般に、幅方向の両端部11の間の領域である中間領域と比べて、両端部11は厚み精度が低い。そのため、本実施形態においては、両端部11を切り除いた樹脂フィルム12を用いて、賦型フィルム20の製造を行う例を示す。
対に設けられたトリミングナイフ210及び220のうち、一方のトリミングナイフ210と他方のトリミングナイフ220とは、樹脂フィルム10の搬送路を挟んで互いに反対側に設けられている。また、これらのトリミングナイフ210及び220は、樹脂フィルム10上の点において刃が触れ合うように設けられている。そのため、トリミング装置200は、これらのトリミングナイフ210及び220の間を搬送される樹脂フィルム10を、長手方向に連続的に切断できる構成を有している。
また、これらのトリミングナイフ210及び220は、樹脂フィルム10の両端部11とそれ以外の領域(中間領域)との境界部分にそれぞれ設けられている。そのため、トリミング装置200は、樹脂フィルム10から幅方向の中間領域を除く部分として両端部11を切り除ける構成を有している。
搬送ロール230は、樹脂フィルム10から切り除かれた両端部11を、樹脂フィルム10の中間領域とは別に案内できるように設けられている。そのため、トリミング200は、樹脂フィルム10の両端部11を、賦型フィルム20の製造に用いる樹脂フィルム12とは別に回収できる構成を有している。
図2は、本発明の第一実施形態に係る賦型装置300を模式的に示す斜視図である。
図2に示すように、賦型装置300は、無端ベルト310、押圧具としての押圧ロール320、ヒーターとしての加熱ロール330、駆動ロール340、冷却器としての冷媒噴射器350、及び、剥離機としての剥離ロール360を備える。
図2に示すように、賦型装置300は、無端ベルト310、押圧具としての押圧ロール320、ヒーターとしての加熱ロール330、駆動ロール340、冷却器としての冷媒噴射器350、及び、剥離機としての剥離ロール360を備える。
無端ベルト310は、加熱ロール330及び駆動ロール340の間に周回可能に架けられた、外周面311に賦型構造312を有する無端状のベルトである。賦型構造312とは、無端ベルト310の外周面311に設けられた凹部、凸部、又は、凹部及び凸部の組み合わせのことを示す。この賦型構造312は、無端ベルト310の外周面311において、「当該賦型構造312を写し取らせたい樹脂フィルム12の領域」と接しうる領域に設けられる。本実施形態においては、無端ベルト310の外周面311の、樹脂フィルム12の幅方向の両端部に接しうる領域だけに賦型構造312が設けられた例を示す。
無端ベルト310が架けられた加熱ロール330及び駆動ロール340は、互いの回転軸が平行に設けられている。そのため、加熱ロール330及び駆動ロール340の間に架けられた無端ベルト310は、加熱ロール330及び駆動ロール340の間の領域313を周回するとき、そのベルト形状が平坦な状態となる構成を有している。ここで「平坦な状態」とは、曲がったり折れたりしないで平らになっている状態をいう。
押圧ロール320は、凹部及び凸部の無い滑らかな外周面として押圧面321を有する、回転可能に設けられたロールである。押圧ロール320は、当該押圧ロール320の押圧面321が無端ベルト310の外周面311に対向するように設けられている。また、押圧ロール320は、無端ベルト310に向けた押圧力を与えられている。そのため、押圧ロール320は、当該押圧ロール320の押圧面321と無端ベルト310の外周面311との間で樹脂フィルム12を挟圧しうる構成を有している。
押圧ロール320は、当該押圧ロール320の回転軸と加熱ロール330の回転軸とが平行となるように設けられている。また、押圧ロール320は、無端ベルト310の周回方向において、無端ベルト310が加熱ロール330と接触する領域のうちで最も下流の領域314において、無端ベルト310と対向するように設けられている。そのため、加熱ロール330と接触して周回する無端ベルト310の外周面311は、押圧ロール320の押圧面321との間で樹脂フィルム12を挟圧する時点までは加熱ロール330に沿った曲面となっているが、挟圧時点以降は平坦な状態となって周回しうる構成を有している。
加熱ロール330は、無端ベルト310を架けられたロールであり、無端ベルト310の周回に連動して回転できるように設けられている。また、加熱ロール330は、温度調整可能なロールであり、この加熱ロール330の熱によって無端ベルト310を所望の温度まで加熱できる構成を有する。前記の所望の温度とは、当該加熱ロール330によって加熱された無端ベルト310によって、無端ベルト310の外周面311と押圧ロール320の押圧面321との間で挟圧される樹脂フィルム12の温度を、当該樹脂フィルム12のガラス転移温度以上に加熱しうる温度である。したがって、加熱ロール330は、樹脂フィルム12を加熱するヒーターとして機能しうる構成を有する。
駆動ロール340は、無端ベルト310を架けられたロールであり、図示しないモーター等の駆動装置の駆動力によって回転できるように設けられている。したがって、無端ベルト310は、この駆動ロール340の回転により駆動されて周回できる構成を有している。
冷媒噴射器350は、無端ベルト310と接触しながら搬送される樹脂フィルム12を冷却するための冷却器であって、冷媒として流体(例えば、エア等の気体、水等の液体)を噴射しうるノズル351を備える。冷媒噴射器350は、このノズル351から矢印A351で示すように無端ベルト310の内周面315に冷媒を噴射することで無端ベルト310を所望の温度まで冷却できる構成を有する。前記の所望の温度とは、当該冷媒噴射器350によって冷却された無端ベルト310によって、無端ベルト310の外周面311に接触した樹脂フィルム12の温度を、当該樹脂フィルム12のガラス転移温度未満に冷却しうる温度である。また、冷媒噴射器350は、無端ベルト310の加熱ロール330及び駆動ロール340の間の領域313を冷却できるように設けられている。前記のように、無端ベルト310の加熱ロール330及び駆動ロール340の間の領域313においては、そのベルト形状は平坦な形状となる。そのため、冷媒噴射器350は、樹脂フィルム12を、無端ベルト310の外周面311に接触し且つ平坦な状態で、樹脂フィルム12のガラス転移温度未満に冷却しうる構成を有する。
剥離ロール360は、無端ベルト310に接触した状態で搬送される樹脂フィルム12を、無端ベルト310から剥離しうるロールである。剥離ロール360は、無端ベルト310の周回方向において、無端ベルト310の加熱ロール330及び駆動ロール340の間の領域313よりも下流に、回転可能に設けられている。そのため、剥離ロール360は、冷媒噴射器350からの冷媒の噴射によって冷却された樹脂フィルム12を、無端ベルト310から剥離して、賦型フィルム20を得られる構成を有している。
図1に示すように、巻回装置400は、賦型フィルム20を巻き取るための巻取り軸410を備える。巻取り軸410は、図示しないモーター等の駆動装置によって、回転駆動されるように設けられている。そのため、巻回装置400は、巻取り軸410で賦型フィルム20をロール状に巻き取ることにより、フィルムロール30を製造できる構成を有する。
本発明の第一実施形態に係る製造装置1は以上のような構成を有する。この製造装置1を用いて賦型フィルム20を製造する場合は、以下のような製造方法を行なう。
本発明の第一実施形態に係る製造方法は、樹脂フィルム製造装置100において長尺の樹脂フィルム10を製造する押出成型工程と、トリミング装置200において樹脂フィルム10の幅方向の両端部11を切り除くトリミング工程と、樹脂フィルム12に無端ベルト310の賦型構造312を写し取って賦型フィルム20を得る賦型工程と、巻回装置400において賦型フィルム20を巻き取ってフィルムロール30を得る巻回工程とを、この順に含む。これらの工程は、いずれも、長尺の樹脂フィルム10及び12又は賦型フィルム20を長手方向に連続的に搬送しながら行なわれる。
前記のように、樹脂フィルム製造装置100では、押出成型工程を行なう。この押出成型工程では、図1に示すように、ダイ110から溶融樹脂をフィルム状に押し出して樹脂フィルム10を製造し、その樹脂フィルム10を冷却ロール120によって冷やして固化させることで、長尺の樹脂フィルム10を得る。この樹脂フィルム10は、通常は均一な厚みを有し、その両方の面が凹部及び凸部の無い滑らかな面となっている。こうして得られた樹脂フィルム10は、トリミング装置200へと送られる。
樹脂フィルム製造装置100で製造された樹脂フィルム10を受け取ったトリミング装置200は、トリミング工程を行なう。トリミング工程では、トリミングナイフ210及び220によって、当該樹脂フィルム10の幅方向の両端部11を、樹脂フィルム10から切り除く。両端部11を切り除いた中間領域に相当する樹脂フィルム12は、賦型装置300へと送られる。また、切り除かれた樹脂フィルム10の両端部11は、搬送ロール230によって樹脂フィルム12とは別に搬送されて、回収される。
図3は、本発明の第一実施形態に係る賦型装置300を模式的に示す斜視図である。
図3に示すように、トリミング装置200で幅方向の両端部11を切り除かれた樹脂フィルム12を受け取った賦型装置300は、樹脂フィルム12に無端ベルト310の賦型構造312(図2参照)を写し取って、賦型フィルム20を製造する工程を行なう。
図3に示すように、トリミング装置200で幅方向の両端部11を切り除かれた樹脂フィルム12を受け取った賦型装置300は、樹脂フィルム12に無端ベルト310の賦型構造312(図2参照)を写し取って、賦型フィルム20を製造する工程を行なう。
具体的には、トリミング装置200から送られてきた樹脂フィルム12は、無端ベルト310の外周面311と押圧ロール320の押圧面321との間に連続的に搬送される(供給工程)。
無端ベルト310の外周面311と押圧ロール320の押圧面321との間に搬送された樹脂フィルム12は、無端ベルト310の外周面311と、その無端ベルト310に向けた押圧力を与えられた押圧ロール320の押圧面321との間に進入する。これにより、樹脂フィルム12は、無端ベルト310の外周面311と押圧ロール320の押圧面321との間で挟圧される。この際、樹脂フィルム12を挟圧する領域において、無端ベルト310は加熱ロール330によって十分に加熱されている。そのため、樹脂フィルム12は、無端ベルト310によって加熱され、当該樹脂フィルム12のガラス転移温度以上の温度にされる。このようにガラス転移温度以上の温度になった状態では、樹脂フィルム12は軟らかくなっている。したがって、前記のような挟圧により、無端ベルト310の外周面311に接触している樹脂フィルム12の面に、無端ベルト310の外周面311の賦型構造312が写し取られる(挟圧工程)。
その後、樹脂フィルム12は周回する無端ベルト310に接触した状態を維持したままで、下流へと搬送される。本実施形態では、無端ベルト310の外周面311は賦型構造312を有するが、押圧ロール320の押圧面321は凹部及び凸部を有さない滑らかな面であるので、樹脂フィルム12と無端ベルト310との接触面積は、樹脂フィルム12と押圧ロール320との接触面積より大きい。そのため、挟圧後の樹脂フィルム12は、押圧ロール320から容易に剥がれ、無端ベルト310と共に円滑に搬送される。したがって、押圧ロール320への付着による、樹脂フィルム12の無端ベルト310からの剥離は生じない。そのため、無端ベルト310から剥離する際の伸びによる樹脂フィルム12の変形は生じないので、無端ベルト310の賦型構造312から写し取られた樹脂フィルム12の面形状の意図しない変形を抑制できる。
無端ベルト310には、加熱ロール330及び駆動ロール340の間の領域313において、矢印A351で示すように、冷媒噴射器350のノズル351から冷媒が噴射されている。そのため、無端ベルト310は冷やされ、その無端ベルト310に接触している樹脂フィルム12も冷やされる。これにより、樹脂フィルム12は当該樹脂フィルム12のガラス転移温度未満の温度となり、固化する。固化により、無端ベルト310の賦型構造312を写し取ることによって形成された樹脂フィルム12の面形状は、固定化される(冷却工程)。
ここで、無端ベルト310は、加熱ロール330及び駆動ロール340の間の領域313において、そのベルト形状が平坦な状態となっている。そのため、加熱ロール330及び駆動ロール340の間の領域313において無端ベルト310に接触した状態で搬送される樹脂フィルム12も、平坦な状態で搬送されている。
したがって、無端ベルト310の外周面311と押圧ロール320の押圧面321との間で挟圧されてから冷却されるまでの期間において、樹脂フィルム12は、無端ベルト310の外周面311と接触し且つ平坦な状態を維持できる。そのため、樹脂フィルム12の屈曲によって応力がかかったり、樹脂フィルム12が無端ベルト310の外周面311から部分的に剥離して伸びたりすることは無い。よって、無端ベルト310の賦型構造312から写し取られた樹脂フィルム12の面形状は、前記のような応力及び伸びによって変形しない。このため、無端ベルト310の賦型構造312から写し取られた樹脂フィルム12の面形状の意図しない変形を抑制できる。
また、冷却されて固化する工程において、樹脂フィルム12が無端ベルト310の外周面311と接触し且つ平坦な状態を維持できる。そのため、固化された樹脂フィルム12には屈曲を生じさせうる応力が生じ難い。そのため、この固化後の樹脂フィルム12においては、カールの発生を抑制できる。
その後、冷却により固化した樹脂フィルム12は、剥離ロール360まで搬送される。そして、この樹脂フィルム12が、剥離ロール360によって無端ベルト310の外周面311から剥離され、賦型フィルム20が得られる(剥離工程)。このように、賦型フィルム20は、無端ベルト310の外周面311から剥離された樹脂フィルム12であり、無端ベルト310の外周面311に接していた面に、無端ベルト310の賦型構造312を写し取った構造を含む面形状が形成されている。以下、無端ベルト310の賦型構造312から写し取られた賦型フィルム20の表面の構造を、適宜「転写構造」ということがある。この転写構造の形状は、無端ベルト310の賦型構造312を反転させた形状であり、具体的には、無端ベルト310の賦型構造312に平行な対称面に対して無端ベルト310の賦型構造312と面対称な形状となっている。ここで、無端ベルト310の賦型構造312に平行な対称面とは、賦型構造312を無視して巨視的に無端ベルト310の外周面311をみた場合に、その巨視的に見た外周面311に平行な面のことをいう。また、無端ベルト310の外周面311に接していた賦型フィルム20の面において、賦型構造312以外の領域において無端ベルト310の外周面311と接していた領域は、通常は樹脂フィルム12の面形状を維持している。そのため、本実施形態に係る賦型フィルム20の表面は、転写構造を形成された幅方向の両端部以外の領域では、凹部及び凸部が無く滑らになっている。
無端ベルト310の外周面311から樹脂フィルム12を剥離して賦型フィルム20を得る際、樹脂フィルム12には剥離のための張力がかかる。しかし、冷却による固化によって樹脂フィルム12の機械的強度は向上しているので、剥離時の張力によって、樹脂フィルム12の面形状は変形し難い。また、変形した場合であっても、通常はその変形は弾性変形の範囲に収まるので、剥離後に樹脂フィルム12の面形状は速やかに元に戻る。したがって、剥離時の張力による面形状の恒久的な変形は生じ難いので、得られる賦型フィルム20においては剥離前の樹脂フィルム12の面形状を維持できる。
こうして得られた賦型フィルム20は、図1に示すように、巻回装置400に送られる。巻回装置400では、図示しないモーターによって回転駆動される巻取り軸410が賦型フィルム20を巻き取って、フィルムロール30を得る(巻回工程)。
以上のように、本発明の第一実施形態によれば、無端ベルト310の賦型構造312から写し取られた樹脂フィルム12の面形状の意図しない変形を抑制できるので、型である無端ベルト310の賦型構造312を精度良く写し取った面形状を有する賦型フィルム20を、容易に製造できる。さらに、本発明の第一実施形態によれば、賦型フィルム20のカールの原因となる応力が前記の冷却によって生じないので、カールの生じ難い賦型フィルムを容易に製造できる。
このような本実施形態に係る利点は、例えばロール又はドラムを型として用いた場合と対比すると、顕著である。
このような本実施形態に係る利点は、例えばロール又はドラムを型として用いた場合と対比すると、顕著である。
図4は、型としてローレットロール510を用いた賦型フィルムの製造装置を模式的に示す正面図である。図4に示すように、外周面511に賦型構造を有するローレットロール510と押圧ロール520との間で樹脂フィルム530を挟圧して、樹脂フィルム530に賦型構造を写し取る場合を想定する。この場合、挟圧された樹脂フィルム530は、ローレットロール510から剥離した後で冷却されることにより、固化する。しかし、ローレットロール510の外周面511から剥離する際、ローレットロール510の直ぐ下流の部分531では、樹脂フィルム530はローレットロール510の回転により引っ張られる。そのため、樹脂フィルム530には大きな張力が加わるので、賦型構造を写し取った樹脂フィルム530の面形状は変形(伸び、歪み等)を生じる。また、樹脂フィルム530を形成する樹脂の種類によっては、高温状態においてはローレットロール510から樹脂フィルム530を剥離させることが困難な場合もありえる。したがって、このようにローレットロール510を用いた場合、ローレットロール510の賦型構造を写し取る際に精度を高めることは困難である。
ローレットロール510から剥離される際の張力による樹脂フィルム530の面形状の変形を抑制するためには、ローレットロール510から剥離する前に樹脂フィルム530を冷却することが考えられる。しかし、そのようなローレットロール510は、挟圧部分での加熱と冷却部分での冷却とを同一のローレットロール510において行なうため、ローレットロール510の大型化を招く。さらに、曲面であるローレットロール510の外周面511に接触した状態において冷却を行なうので、樹脂フィルム530にはカールの原因となる応力が生じうる。よって、カールの抑制が困難である。
これに対し、本発明の第一実施形態によれば、図3に示すように、無端ベルト310の外周面311と押圧ロール320の押圧面321との間で挟圧された後、冷却して固化するまでの期間に、樹脂フィルム12は無端ベルト310との接触を維持できる。そのため、意図せず引っ張られて樹脂フィルム12が伸びることが無いので、樹脂フィルム12の面形状の意図しない変形を抑制できる。また、無端ベルト310の外周面311と押圧ロール320の押圧面321との間で挟圧された後、冷却して固化するまでの期間に、樹脂フィルム12は平坦な状態を維持できる。そのため、冷却前の軟らかい状態での樹脂フィルム12の変形を抑制できるので、樹脂フィルム12の面形状の意図しない変形を更に安定して抑制できる。さらには、無端ベルト310の賦型構造312を写し取った後の樹脂フィルム12を、平坦な状態で冷却しているので、賦型フィルム20のカールの原因となる応力は前記の冷却によっては生じない。したがって、本実施形態によれば、無端ベルト310の賦型構造312を精度良く写し取った面形状を有する賦型フィルム20の製造が、容易である。
また、一般に無端ベルト310はローレットロールよりも柔軟性に優れるので、押圧ロール320の押圧面321に精密に追従して樹脂フィルム12を挟圧できる。そのため、無端ベルト310を用いることにより、賦型構造312を、ローレットロールを用いた場合よりもムラなく樹脂フィルム12に写し取ることができる。
さらに、無端ベルト310は、通常はローレットロールに比べて自重による撓みが小さい。そのため、ローレットロールのような撓みによる回転軸の偏心の影響を受け難いので、賦型構造312を樹脂フィルム12に写し取るときの振動を抑制できる。そのため、賦型構造312を精密に写し取ることが可能である。
また、本発明者の検討によれば、賦型フィルムの製造方法としては、溶液流延法に係る支持体を型として用いる方法が考えられる。この方法では、賦型フィルムの材料を溶媒に溶解させた溶液を用意し、賦型構造を有する型としての支持体の表面に前記溶液を塗布し、溶媒を乾燥させて賦型フィルムを得ることが考えられる。しかし、この場合は、支持体が大型化するため、製造コストの増大が見込まれる。これに対し、本実施形態のように樹脂フィルム12を当該樹脂フィルム12のガラス転移温度以上の温度にする場合は、このような設備の大型化が不要である。このように、本実施形態に係る製造方法は、コストの点でも有利な方法である。
さらに、本実施形態においては、樹脂フィルム12がガラス転移温度以上に加熱されて柔軟となった期間においては、当該樹脂フィルム12に大きな張力が加わらない。そのため、転写構造に含まれる凹部又は凸部だけでなく、その転写構造が形成された樹脂フィルム12自体の長手方向への伸びを抑制できる。したがって、賦型フィルム20の寸法安定性を高めることができるので、その賦型フィルム20を巻き取ったフィルムロール30でのシワ及び弛みの発生を抑制できる。また、このようなフィルムロール30から繰り出した賦型フィルム20を別のフィルムと貼り合せる際に、シワの発生及び空気の噛み込みを抑制できる。また、フィルムロール30から繰り出した賦型フィルム20に液体を塗工する際に、塗工ムラを抑制できる。
さらに、本実施形態においては、挟圧の際、無端ベルト310で樹脂フィルム12を加熱することにより、樹脂フィルム12の温度を樹脂フィルム12のガラス転移温度以上にしている。これにより、樹脂フィルム12の賦型構造312を写し取る側の面を速やかに昇温させることができるので、樹脂フィルム12に無端ベルト310の賦型構造312を円滑に写し取ることができる。さらに、樹脂フィルム12の無端ベルト310側の樹脂がその反対側の樹脂よりも低温となることを防止できるので、挟圧後の樹脂フィルム12が押圧ロール320に引っ張られて無端ベルト310から剥離することを更に安定して抑制できる。
また、一般に、ダイ110から押し出された樹脂フィルム10は、その幅方向の両端部11が厚くなる傾向がある。これに対し、本実施形態においては、溶融押出法によって製造された樹脂フィルム10から、その幅方向の両端部11を切り除いて得られた樹脂フィルム12に、賦型ベルト310の賦型構造312を写し取った。そのため、厚みの均一な樹脂フィルム12に賦型構造312に写し取ることができるので、厚みが一定でない樹脂フィルム10に賦型構造312を写し取る場合よりもムラの無い写し取りができる。これにより、厚み精度に優れる賦型フィルム20を得ることが可能である。
さらに、本実施形態においては、樹脂フィルム12の幅方向の両端部にだけ無端ベルト310の賦型構造312を写し取ったので、賦型フィルム20は、その幅方向の両端部にだけ転写構造を有し、両端部以外の領域には転写構造を有さない。賦型フィルム20において、転写構造が形成されていない領域は凹部及び凸部が無く滑らになっているので、樹脂フィルム12が有していた特性をそのまま有しうる。また、通常は、賦型フィルム20において、転写構造が形成された領域の少なくとも一部は転写構造が形成されていない領域よりも厚み方向に突出している。そのため、賦型フィルム20は、賦型構造が形成された幅方向の両端部において見かけ上の厚みが厚くなっているため、ハンドリング性が向上している。したがって、本実施形態で製造された賦型フィルム20は、樹脂フィルム12が有する特性を維持しながら、ハンドリング性を向上させることが可能である。
[第二実施形態]
上述した本発明の第一実施形態においては、押圧ロール320の位置を、無端ベルト310の周回方向において、無端ベルト310が加熱ロール330と接触する領域のうちで最も下流の領域314において、無端ベルト310と対向するように設けた。しかし、押圧ロール320の位置はこれに限定されるものではない。以下、その例を第二実施形態に示して説明する。
上述した本発明の第一実施形態においては、押圧ロール320の位置を、無端ベルト310の周回方向において、無端ベルト310が加熱ロール330と接触する領域のうちで最も下流の領域314において、無端ベルト310と対向するように設けた。しかし、押圧ロール320の位置はこれに限定されるものではない。以下、その例を第二実施形態に示して説明する。
図5は、本発明の第二実施形態に係る賦型フィルムの製造装置2を模式的に示す正面図である。図5において、図1〜図3を用いて説明したものと同様の部位には、図1〜図3で用いた符号と同様の符号を付して示す。
図5に示すように、本発明の第二実施形態に係る製造装置2は、賦型装置300の代わりに賦型装置600を備えること以外は、第一実施形態に係る製造装置1と同様の構成を有する。したがって、本実施形態に係る製造装置2は、樹脂フィルム製造装置100、トリミング装置200、賦型装置600及び巻回装置400を、上流からこの順に備える。
賦型装置600は、加熱ロール330の代わりに懸架ロール630を備えること、押圧ロール320の位置を変更したこと、及び、ヒーターとして赤外線ヒーター670を備えること以外は、第一実施形態に係る賦型装置300と同様の構成を備える。
懸架ロール630は、温度調整可能でなくてもよいこと以外は第一実施形態に係る加熱ロール330と同様の構成を有するロールである。したがって、懸架ロール630には無端ベルト310が架けられ、懸架ロール630は無端ベルト310の周回に連動して回転できる構成を有する。
賦型装置600において、押圧ロール320は、無端ベルト310の周回方向において、懸架ロール630よりも下流で且つ冷媒噴射器350によって無端ベルト310が冷却される領域よりも上流に設けられている。また、押圧ロール320は、懸架ロール630と駆動ロール340との間に架けられた無端ベルト310を押し込むように設けられている。そのため、賦型装置600は、無端ベルト310の周回方向において、懸架ロール630より下流で且つ冷媒噴射器350によって無端ベルト310が冷却される領域より上流の範囲で、無端ベルト310の外周面311と押圧ロール320の押圧面321との間で樹脂フィルム12を挟圧しうる構成を有する。
赤外線ヒーター670は、押圧ロール320によって押し込まれた位置において無端ベルト310を所望の温度まで加熱しうるように設けられている。そのため、賦型装置600は、赤外線ヒーター670によって加熱された無端ベルト310により、無端ベルト310の外周面311と押圧ロール320の押圧面321との間で挟圧される樹脂フィルム12の温度を、当該樹脂フィルム12のガラス転移温度以上に加熱しうる構成を有している。
本発明の第二実施形態に係る製造装置2は以上のような構成を有する。この製造装置2を用いて賦型フィルム20を製造する場合は、第一実施形態と同様に押出成型工程及びトリミング工程を行なった後で、賦型装置600において賦型工程を行なう。
賦型工程では、第一実施形態と同様に、樹脂フィルム12に無端ベルト310の賦型構造312(図2参照)を写し取って賦型フィルム20を得る。具体的には、トリミング装置200から送られてきた樹脂フィルム12を無端ベルト310の外周面311と押圧ロール320の押圧面321との間に連続的に搬送する(供給工程)。その後、赤外線ヒーター670によって無端ベルト310を加熱しながら、無端ベルト310の外周面311と押圧ロール320の押圧面321との間で樹脂フィルム12を挟圧する。これにより、樹脂フィルム12は当該樹脂フィルム12のガラス転移温度以上の温度となった状態で挟圧されるので、この樹脂フィルム12に無端ベルト310の外周面311の賦型構造312が写し取られる(挟圧工程)。次いで、この樹脂フィルム12を、周回する無端ベルト310に接触した状態を維持したままで下流へと搬送し、平坦な状態で、冷媒噴射器350によって樹脂フィルム12のガラス転移未満に冷却する(冷却工程)。冷却された樹脂フィルム12は固化し、無端ベルト310の賦型構造312を写し取ることによって形成された樹脂フィルム12の面形状が固定化される。その後、冷却により固化した樹脂フィルム12は、剥離ロール360によって無端ベルト310の外周面311から剥離され、賦型フィルム20が得られる(剥離工程)。
こうして得られた賦型フィルム20は、巻回装置400に送られる。巻回装置400では、第一実施形態と同様にして賦型フィルム20を巻取り軸410で巻き取り、フィルムロール30を得る(巻回工程)。
以上のように、本発明の第二実施形態によれば、第一実施形態と同様の効果を得ることができる。
さらに、押圧ロール320の位置を第一実施形態よりも自由に設定できるので、製造装置の設計の自由度を高めることが可能である。
さらに、押圧ロール320の位置を第一実施形態よりも自由に設定できるので、製造装置の設計の自由度を高めることが可能である。
[第三実施形態]
上述した本発明の第一実施形態及び第二実施形態では、外周面として押圧面321を有する押圧ロール320を押圧具に用いた例を示した。しかし、押圧具は押圧ロール320に限定されるものではない。以下、その例を第三実施形態に示して説明する。
上述した本発明の第一実施形態及び第二実施形態では、外周面として押圧面321を有する押圧ロール320を押圧具に用いた例を示した。しかし、押圧具は押圧ロール320に限定されるものではない。以下、その例を第三実施形態に示して説明する。
図6は、本発明の第三実施形態に係る賦型フィルムの製造装置3を模式的に示す正面図である。図6において、図1〜図3及び図5を用いて説明したものと同様の部位には、図1〜図3及び図5で用いた符号と同様の符号を付して示す。
図6に示すように、本発明の第三実施形態に係る製造装置3は、賦型装置300の代わりに賦型装置700を備えること以外は、第一実施形態に係る製造装置1と同様の構成を有する。したがって、本実施形態に係る製造装置3は、樹脂フィルム製造装置100、トリミング装置200、賦型装置700及び巻回装置400を、上流からこの順に備える。
賦型装置700は、加熱ロール330の代わりに懸架ロール630を備えること、押圧具として押圧ロール320の代わりに無端状の押圧ベルト720を備えること、並びに、懸架ロール730、駆動ロール740、加熱ロール770及び対向ロール780を備えること以外は、第一実施形態に係る賦型装置300と同様の構成を備える。
懸架ロール630は、第二実施形態で説明したものと同様であり、温度調整可能でなくてもよいこと以外は第一実施形態に係る加熱ロール330と同様の構成を有するロールである。
押圧ベルト720は、懸架ロール730及び駆動ロール740の間に周回可能に架けられた無端状のベルトであり、凹部及び凸部の無い滑らかな外周面として押圧面721を有する。押圧ベルト720が架けられた懸架ロール730及び駆動ロール740は、無端ベルト310が架けられた懸架ロール630及び駆動ロール340の回転軸と平行な回転軸を有して設けられている。また、押圧ベルト720は、当該押圧ベルト720が樹脂フィルム12の搬送方向に周回する領域において、押圧ベルト720の押圧面721が無端ベルト310の外周面311に対向するように設けられている。より具体的には、押圧ベルト720の押圧面721のうち、樹脂フィルム12の搬送方向に周回する領域と、無端ベルト310の外表面311のうち、樹脂フィルム12に接触しながら平坦な状態で樹脂フィルム12を搬送しうる領域とが、対向するように設けられている。そのため、押圧ベルト720は、無端ベルト310の外周面311との押圧ベルト720の押圧面721との間で樹脂フィルム12を挟圧しうる構成を有している。
懸架ロール730は、押圧ベルト720を架けられたロールであり、押圧ベルト720の周回に連動して回転できるように設けられている。また、駆動ロール740は、押圧ベルト720を架けられたロールであり、図示しないモーター等の駆動装置の駆動力によって回転できるように設けられている。この際、駆動ロール740の周速は、無端ベルト310を駆動する駆動ロール340の周速と同じに設定されている。そのため、押圧ベルト720は、この駆動ロール740の回転により駆動されて、無端ベルト310と同じ速度で周回できる構成を有している。
加熱ロール770及び対向ロール780は、互いに対向して設けられたロールであり、無端ベルト310及び押圧ベルト720の周回速度と同じ周速で回転可能に設けられている。これらの加熱ロール770及び対向ロール780は、無端ベルト310の周回方向において、懸架ロール630よりも下流で且つ冷媒噴射器350によって無端ベルト310が冷却される領域よりも上流に設けられている。また、加熱ロール770は無端ベルト310の内周面315に接するように設けられ、対向ロール780は押圧ベルト720の内周面722に接するように設けられている。さらに、加熱ロール770及び対向ロール780は互いに押圧しあうように設けられている。そのため、加熱ロール770及び対向ロール780の間で無端ベルト310及び押圧ベルト720を挟圧できるので、押圧ベルト720は、無端ベルト310の周回方向において、懸架ロール630より下流で且つ冷媒噴射器350によって無端ベルト310が冷却される領域より上流の範囲で、押圧ベルト720の押圧面721と無形フィルム310の外周面311との間で樹脂フィルム12を挟圧しうる構成を有している。
また、加熱ロール770は、温度調整可能なロールであり、この加熱ロール770の熱によって無端ベルト310を所望の温度まで加熱できるように設けられている。そのため、賦型装置700は、加熱ロール770によって加熱された無端ベルト310により、無端ベルト310の外周面311と押圧ベルト720の押圧面721との間で挟圧される樹脂フィルム12の温度を、当該樹脂フィルム12のガラス転移温度以上に加熱しうる構成を有している。
本発明の第三実施形態に係る製造装置3は以上のような構成を有する。この製造装置3を用いて賦型フィルム20を製造する場合は、第一実施形態と同様に押出成型工程及びトリミング工程を行なった後で、賦型装置700において賦型工程を行なう。
賦型工程では、第一実施形態と同様に、樹脂フィルム12に無端ベルト310の賦型構造312(図2参照)を写し取って賦型フィルム20を得る。具体的には、トリミング装置200から送られてきた樹脂フィルム12を無端ベルト310の外周面311と押圧ベルト720の押圧面721との間に連続的に搬送する(供給工程)。その後、加熱ロール770及び対向ロール780が設けられた領域において、加熱ロール770によって無端ベルト310を加熱しながら、無端ベルト310の外周面311と押圧ベルト720の押圧面721との間で樹脂フィルム12を挟圧する。これにより、樹脂フィルム12は当該樹脂フィルム12のガラス転移温度以上の温度となった状態で挟圧されるので、この樹脂フィルム12に無端ベルト310の外周面311の賦型構造312が写し取られる(挟圧工程)。次いで、この樹脂フィルム12を、周回する無端ベルト310に接触した状態を維持したままで下流へと搬送し、平坦な状態で、冷媒噴射器350によって樹脂フィルム12のガラス転移未満に冷却する(冷却工程)。冷却された樹脂フィルム12は固化し、無端ベルト310の賦型構造312を写し取ることによって形成された樹脂フィルム12の面形状が固定化される。その後、冷却により固化した樹脂フィルム12は、剥離ロール360によって無端ベルト310の外周面311から剥離され、賦型フィルム20が得られる(剥離工程)。
こうして得られた賦型フィルム20は、巻回装置400に送られる。巻回装置400では、第一実施形態と同様にして賦型フィルム20を巻取り軸410で巻き取り、フィルムロール30を得る(巻回工程)。
以上のように、本発明の第三実施形態によれば、第一実施形態と同様の効果を得ることができる。
さらに、本実施形態では、押圧具として押圧ロールではなく押圧ベルト720を用いている。一般に、押圧ベルト720は空気よりも熱伝導率が高い。また、押圧ベルト720は、第一実施形態で用いた押圧ロール520のようなロールよりも長時間にわたって樹脂フィルム12に接触できる。そのため、樹脂フィルム12の加熱及び冷却を効率よく行うことができる。
さらに、本実施形態では、押圧具として押圧ロールではなく押圧ベルト720を用いている。一般に、押圧ベルト720は空気よりも熱伝導率が高い。また、押圧ベルト720は、第一実施形態で用いた押圧ロール520のようなロールよりも長時間にわたって樹脂フィルム12に接触できる。そのため、樹脂フィルム12の加熱及び冷却を効率よく行うことができる。
[第四実施形態]
上述した本発明の第四実施形態では、押圧しあう加熱ロール770及び対向ロール780で無端ベルト310及び押圧ベルト720を挟圧することで、無端ベルト310の外周面311と押圧ベルト720の押圧面721との間で樹脂フィルム12を挟圧した。しかし、押圧具として押圧ベルト720を用いる場合、ロール以外の機構によって樹脂フィルム12の挟圧を行なってもよい。以下、その例を第四実施形態に示して説明する。
上述した本発明の第四実施形態では、押圧しあう加熱ロール770及び対向ロール780で無端ベルト310及び押圧ベルト720を挟圧することで、無端ベルト310の外周面311と押圧ベルト720の押圧面721との間で樹脂フィルム12を挟圧した。しかし、押圧具として押圧ベルト720を用いる場合、ロール以外の機構によって樹脂フィルム12の挟圧を行なってもよい。以下、その例を第四実施形態に示して説明する。
図7は、本発明の第四実施形態に係る賦型フィルムの製造装置4を模式的に示す正面図である。図7において、図1〜図3、図5及び図6を用いて説明したものと同様の部位には、図1〜図3、図5及び図6で用いた符号と同様の符号を付して示す。
図7に示すように、本発明の第四実施形態に係る製造装置4は、賦型装置300の代わりに賦型装置800を備えること以外は、第一実施形態に係る製造装置1と同様の構成を有する。したがって、本実施形態に係る製造装置4は、樹脂フィルム製造装置100、トリミング装置200、賦型装置800及び巻回装置400を、上流からこの順に備える。
賦型装置800は、加熱ロール770及び対向ロール780の代わりに流体噴射器870及び880を備えること以外は、第三実施形態に係る賦型装置700と同様の構成を備える。
流体噴射器870は、矢印A870で示すように、無端ベルト310の内周面315に流体を噴射しうる装置である。また、流体噴射器880は、矢印A880で示すように、押圧ベルト720の内周面722に流体を噴射しうる装置である。流体噴射器870及び流体噴射器880は、互いに対向して流体を噴射しうるように設けられている。また、流体噴射器870及び流体噴射器880は、無端ベルト310の周回方向において、懸架ロール630よりも下流で且つ冷媒噴射器350によって無端ベルト310が冷却される領域よりも上流に設けられている。そのため、流体噴射器870及び流体噴射器880から噴射される流体によって無端ベルト310及び押圧ベルト720が押されるので、押圧ベルト720は、無端ベルト310の周回方向において、懸架ロール630より下流で且つ冷媒噴射器350によって無端ベルト310が冷却される領域より上流の範囲で、押圧ベルト720の押圧面721と無形フィルム310の外周面311との間で樹脂フィルム12を挟圧しうる構成を有している。
また、流体噴射器870は、噴射する流体の温度の調整が可能であり、この流体噴射器870から噴射される流体の熱によって無端ベルト310を所望の温度まで加熱できるように設けられている。そのため、賦型装置800は、流体噴射器870が噴射する流体によって加熱された無端ベルト310により、無端ベルト310の外周面311と押圧ベルト720の押圧面721との間で挟圧される樹脂フィルム12の温度を、当該樹脂フィルム12のガラス転移温度以上に加熱しうる構成を有している。
本発明の第四実施形態に係る製造装置4は以上のような構成を有する。この製造装置4を用いて賦型フィルム20を製造する場合は、第一実施形態と同様に押出成型工程及びトリミング工程を行なった後で、賦型装置800において賦型工程を行なう。
賦型工程では、第一実施形態と同様に、樹脂フィルム12に無端ベルト310の賦型構造312(図2参照)を写し取って賦型フィルム20を得る。具体的には、トリミング装置200から送られてきた樹脂フィルム12を無端ベルト310の外周面311と押圧ベルト720の押圧面721との間に連続的に搬送する(供給工程)。その後、流体噴射器870及び880が設けられた領域において、流体噴射器870から噴射される流体によって無端ベルト310を加熱しながら、無端ベルト310の外周面311と押圧ベルト720の押圧面721との間で樹脂フィルム12を挟圧する。これにより、樹脂フィルム12は当該樹脂フィルム12のガラス転移温度以上の温度となった状態で挟圧されるので、この樹脂フィルム12に無端ベルト310の外周面311の賦型構造312が写し取られる(挟圧工程)。次いで、この樹脂フィルム12を、周回する無端ベルト310に接触した状態を維持したままで下流へと搬送し、平坦な状態で、冷媒噴射器350によって樹脂フィルム12のガラス転移未満に冷却する(冷却工程)。冷却された樹脂フィルム12は固化し、無端ベルト310の賦型構造312を写し取ることによって形成された樹脂フィルム12の面形状が固定化される。その後、冷却により固化した樹脂フィルム12は、剥離ロール360によって無端ベルト310の外周面311から剥離され、賦型フィルム20が得られる(剥離工程)。
こうして得られた賦型フィルム20は、巻回装置400に送られる。巻回装置400では、第一実施形態と同様にして賦型フィルム20を巻取り軸410で巻き取り、フィルムロール30を得る(巻回工程)。
以上のように、本発明の第四実施形態によれば、第三実施形態と同様の効果を得ることができる。
[第五実施形態]
本発明の製造方法においては、樹脂フィルムに無端ベルトの賦型構造を写し取る工程の前に、樹脂フィルムを所定温度に維持する予備温調工程を行ってもよい。以下、その例を第五実施形態に示して説明する。
本発明の製造方法においては、樹脂フィルムに無端ベルトの賦型構造を写し取る工程の前に、樹脂フィルムを所定温度に維持する予備温調工程を行ってもよい。以下、その例を第五実施形態に示して説明する。
図8は、本発明の第五実施形態に係る賦型フィルムの製造装置5を模式的に示す正面図である。図8において、図1〜図3及び図5〜図7を用いて説明したものと同様の部位には、図1〜図3及び図5〜図7で用いた符号と同様の符号を付して示す。
図8に示すように、本発明の第五実施形態に係る製造装置5は、賦型装置300の代わりに賦型装置900を備えること以外は、第一実施形態に係る製造装置1と同様の構成を有する。したがって、本実施形態に係る製造装置5は、樹脂フィルム製造装置100、トリミング装置200、賦型装置900及び巻回装置400を、上流からこの順に備える。
賦型装置900は、無端ベルト310の周回方向において、縣架ロール630の下流かつ押圧ロール320よりも上流の無端ベルト310の領域を加熱しうるヒーターとしての熱風ヒーター970を備えること以外は、第二実施形態に係る賦型装置600と同様の構成を備える。
本発明の第五実施形態に係る製造装置5は以上のような構成を有する。この製造装置5を用いて賦型フィルム20を製造する場合は、第一実施形態と同様に押出成型工程及びトリミング工程を行なった後で、賦型装置900において賦型工程を行なう。ただし、本実施形態における賦型工程は、樹脂フィルム12に賦型構造312を写し取る挟圧工程の前に、樹脂フィルム12を所定温度に維持する予備温調工程を含む。
具体的には、本実施形態に係る賦型工程では、トリミング装置200から送られてきた樹脂フィルム12を無端ベルト310の外周面311と押圧ロール320の押圧面321との間に連続的に搬送する(供給工程)。また、熱風ヒーター970が、無端ベルト310に熱風を噴射することにより、無端ベルト310の周回方向において縣架ロール630の下流かつ押圧ロール320よりも上流の領域で無端ベルト310を加熱する。そして、この加熱された無端ベルト310によって、無端ベルト310の外周面311と押圧ロール320の押圧面321との間に搬送される前の樹脂フィルム12を、所定温度に維持できるように加熱する(予備温調工程)。本実施形態に係る予備温調工程では、賦型装置900に搬送される前の樹脂フィルム12の温度よりも高く、且つ、無端ベルト310の外周面311と押圧ロール320の押圧面321との間で挟圧される時点の樹脂フィルム12の温度よりも低い所定温度を維持できるように、樹脂フィルム12を加熱した例を示して説明する。その後、第二実施形態と同様に、赤外線ヒーター670によって無端ベルト310を加熱しながら、無端ベルト310の外周面311と押圧ロール320の押圧面321との間で樹脂フィルム12を挟圧する。これにより、樹脂フィルム12は当該樹脂フィルム12のガラス転移温度以上の温度となった状態で挟圧されるので、この樹脂フィルム12に無端ベルト310の外周面311の賦型構造312が写し取られる(挟圧工程)。次いで、この樹脂フィルム12を、周回する無端ベルト310に接触した状態を維持したままで下流へと搬送し、平坦な状態で、冷媒噴射器350によって樹脂フィルム12のガラス転移未満に冷却する(冷却工程)。冷却された樹脂フィルム12は固化し、無端ベルト310の賦型構造312を写し取ることによって形成された樹脂フィルム12の面形状が固定化される。その後、冷却により固化した樹脂フィルム12は、剥離ロール360によって無端ベルト310の外周面311から剥離され、賦型フィルム20が得られる(剥離工程)。
こうして得られた賦型フィルム20は、巻回装置400に送られる。巻回装置400では、第一実施形態と同様にして賦型フィルム20を巻取り軸410で巻き取り、フィルムロール30を得る(巻回工程)。
以上のように、本発明の第五実施形態によれば、第二実施形態と同様の効果を得ることができる。
さらに、本実施形態では、熱風ヒーター970によって、樹脂フィルム12に賦型構造312を写し取る工程の前に、所定温度に樹脂フィルム12を加熱している。したがって、樹脂フィルム12は、所定温度まで予熱された後で、赤外線ヒーター670の熱によってガラス転移温度以上まで更に加熱される。これにより、樹脂フィルム12の加熱が段階的又は徐々に行われるので、樹脂フィルム12の急激な昇温を避けることができる。そのため、賦型構造を写し取った後の樹脂フィルム12において、賦型構造312が写し取られた領域に限らず、狭圧されたいずれの領域においても、しわ等の不具合を防止できる。したがって、賦型フィルム20の生産性を向上させることができる。この利点は、賦型構造312が無端ベルト310の全面にわたって形成される場合には、より顕著である。
さらに、本実施形態では、熱風ヒーター970によって、樹脂フィルム12に賦型構造312を写し取る工程の前に、所定温度に樹脂フィルム12を加熱している。したがって、樹脂フィルム12は、所定温度まで予熱された後で、赤外線ヒーター670の熱によってガラス転移温度以上まで更に加熱される。これにより、樹脂フィルム12の加熱が段階的又は徐々に行われるので、樹脂フィルム12の急激な昇温を避けることができる。そのため、賦型構造を写し取った後の樹脂フィルム12において、賦型構造312が写し取られた領域に限らず、狭圧されたいずれの領域においても、しわ等の不具合を防止できる。したがって、賦型フィルム20の生産性を向上させることができる。この利点は、賦型構造312が無端ベルト310の全面にわたって形成される場合には、より顕著である。
前記の所定温度は、樹脂フィルム12のガラス転移温度未満でもよく、樹脂フィルム12のガラス転移温度でもよく、樹脂フィルム12のガラス転移温度以上でもよい。中でも、賦型フィルム20の生産性の観点から、樹脂フィルム12のガラス転移温度又は樹脂フィルム12のガラス転移温度未満であることが好ましい。前記の所定温度は、樹脂フィルム12のガラス転移温度をTgとして、例えばTg−140℃以上Tg未満とすることができる。
また、第五実施形態では、熱風ヒーター970によって無端ベルト310を加熱し、この加熱された無端ベルト310によって樹脂フィルム12を所定温度に維持できるように予熱した。しかし、熱風ヒーター970のような非接触型ヒーターは、無端ベルト310を介することなく樹脂フィルム12を予熱してもよい。例えば、上述した第五実施形態において、樹脂フィルム12の無端ベルト310とは反対側に熱風ヒーター970を設置してもよい。このように非接触型ヒーターで樹脂フィルム12を加熱することにより、樹脂フィルム12を加熱する熱源が直接に接する場合に比べて、樹脂フィルム12の表面状態を良好に保つことができる。
なお、本実施形態では、無端ベルト310を加熱しうるヒーターとして熱風ヒーターを用いたが、これには限定されず、たとえば誘導加熱装置等の他のヒーターを用いることもできる。
また、前記予備温調工程では、たとえばフィルムの両面に熱風ヒーターを配置し、両面から樹脂フィルムを(非接触で)加熱する構成としてもよい。このような熱風ヒーターとしては、例えば、熱風ヒーター本体と、ポーラス板(多孔板)とを備える構成とし、熱風ヒーター本体からポーラス板を介して樹脂フィルムに熱風を送り、この際、樹脂フィルムを浮上加熱するような構成とすることができる。ここで、前記ポーラス板は、樹脂フィルムの片面または両面に配置することができる。
また、前記予備温調工程では、たとえばフィルムの両面に熱風ヒーターを配置し、両面から樹脂フィルムを(非接触で)加熱する構成としてもよい。このような熱風ヒーターとしては、例えば、熱風ヒーター本体と、ポーラス板(多孔板)とを備える構成とし、熱風ヒーター本体からポーラス板を介して樹脂フィルムに熱風を送り、この際、樹脂フィルムを浮上加熱するような構成とすることができる。ここで、前記ポーラス板は、樹脂フィルムの片面または両面に配置することができる。
[変形例]
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに変更して実施しうる。
例えば、上述した実施形態は、任意に組み合わせて実施してもよい。具体例を挙げると、第三実施形態に係る加熱ロール770と第四実施形態に係る流体噴射器880とを組み合わせて用いることにより、加熱ロール770及び流体噴射器880の間で無端ベルト310及び押圧ベルト720を挟圧して、押圧ベルト720の押圧面721と無形フィルム310の外周面311との間で樹脂フィルム12を挟圧してもよい。また、例えば、第三実施形態に係る対向ロール780と第四実施形態に係る流体噴射器870とを組み合わせて用いることにより、対向ロール780及び流体噴射器870の間で無端ベルト310及び押圧ベルト720を挟圧して、押圧ベルト720の押圧面721と無形フィルム310の外周面311との間で樹脂フィルム12を挟圧してもよい。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに変更して実施しうる。
例えば、上述した実施形態は、任意に組み合わせて実施してもよい。具体例を挙げると、第三実施形態に係る加熱ロール770と第四実施形態に係る流体噴射器880とを組み合わせて用いることにより、加熱ロール770及び流体噴射器880の間で無端ベルト310及び押圧ベルト720を挟圧して、押圧ベルト720の押圧面721と無形フィルム310の外周面311との間で樹脂フィルム12を挟圧してもよい。また、例えば、第三実施形態に係る対向ロール780と第四実施形態に係る流体噴射器870とを組み合わせて用いることにより、対向ロール780及び流体噴射器870の間で無端ベルト310及び押圧ベルト720を挟圧して、押圧ベルト720の押圧面721と無形フィルム310の外周面311との間で樹脂フィルム12を挟圧してもよい。
さらに、例えば、上述した実施形態に係る製造方法は、更に任意の工程を含んでいてもよい。例えば、樹脂フィルム又は賦型フィルムを延伸する工程、樹脂フィルム又は賦型フィルムを任意のフィルムと貼り合せる工程、樹脂フィルム又は賦型フィルムに任意の表面処理を施す工程などを含んでいてもよい。
また、例えば、樹脂フィルムとしては、溶融押出法によって製造されたフィルム以外に、例えば溶液流延法で製造されたフィルムを用いてもよい。また、例えば、一連の工程のなかで樹脂フィルムを製造するのではなく、別工程において製造された樹脂フィルムのフィルムロールを用意し、そのフィルムロールから樹脂フィルムを引き出して賦型装置に供給してもよい。
さらに、例えば、トリミング装置によって樹脂フィルムから幅方向の両端部を切り除く工程を行なわずに、上述した実施形態に係る製造方法を行なってもよい。
また、例えば、ダイから押し出すことによって製造された樹脂フィルムを、冷却して固化させること無く賦型装置に供給してもよい。
また、例えば、ダイから押し出すことによって製造された樹脂フィルムを、冷却して固化させること無く賦型装置に供給してもよい。
また、上述した実施形態ではいずれもロールによって無端ベルトを周回させたが、ロール以外の機構によって無端ベルトを周回させてもよい。例えば、任意の駆動装置によって回転駆動されるギアによって樹脂フィルムを周回させてもよい。ギアを用いる場合、例えば、ギアの歯に係合しうる孔などの係合部を樹脂フィルムに形成しておくことにより、その樹脂フィルムをギアの回転によって周回駆動することができる。
また、ヒーターとしては、上述した実施形態で用いた加熱ロール、赤外線ヒーター、及び、加熱された流体を噴射する流体噴射器以外のものを用いてもよい。ヒーターの例を挙げると、誘導加熱ヒーターなどが挙げられる。また、例えば、賦型装置の所望の領域を覆うハウジング及びそのハウジング内の空間を加熱する熱源を備えるオーブンを、ヒーターとして用いてもよい。さらに、樹脂フィルムが挟圧される工程において当該樹脂フィルムが十分に高温であれば、賦型装置にヒーターを設けなくてもよい。
また、上述した実施形態ではヒーターを樹脂フィルムよりも無端ベルトに近い方に設け、加熱された無端ベルトによって樹脂フィルムが加熱されるようにした。しかし、ヒーターの位置は変更してもよい。例えば、第三実施形態に係る加熱ロール770と対向ロール780とを入れ替える等、ヒーターを無端ベルトよりも樹脂フィルムに近い方に設けてもよい。また、例えば、第三実施形態に係る対抗ロール780として温度調整可能な加熱ロールを用いる等、樹脂フィルムの両側にヒーターを設けてもよい。
さらに、上述した実施形態では、樹脂フィルムの幅方向の全体を加熱しうるヒーターを用いたため、樹脂フィルムを挟圧する工程において、樹脂フィルムの賦型構造を写し取らない領域が当該樹脂フィルムのガラス転移温度以上に加熱されていた。しかし、ヒーターとしては、例えば、樹脂フィルムの賦型構造を写し取る領域を樹脂フィルムのガラス転移温度以上の温度に加熱できるが、樹脂フィルムの賦型構造を写し取らない領域を加熱しないヒーターを用いてもよい。
また、冷却器としては、上述した実施形態で用いた冷媒噴射器以外のものを用いてもよい。冷却器の例を挙げると、温度調整可能な冷却ロールなどが挙げられる。また、例えば、賦型装置の所望の領域を覆うハウジング及びそのハウジング内の空間を冷却する冷却機構を備える冷却室を、冷却器として用いてもよい。さらに、例えば無端ベルトが十分に長く自然放熱によって樹脂フィルムを冷却できる場合には、賦型装置に冷却器を設けなくてもよい。
また、上述した実施形態では冷却器を樹脂フィルムよりも無端ベルトに近い方に設け、冷却された無端ベルトによって樹脂フィルムが冷却されるようにした。しかし、冷却器の位置は変更してもよい。例えば、第一実施形態に係る冷媒噴射器350を無端ベルトよりも樹脂フィルムに近い方に設けてもよい。また、例えば、樹脂フィルムの両側に冷却器を設けてもよい。
冷却器は、長い時間をかけて樹脂フィルムを当該樹脂フィルムのガラス転移温度未満にまで冷却することが好ましい。したがって、ヒーターが樹脂フィルムを樹脂フィルムのガラス転移温度以上に加熱するために要する時間よりも、冷却器が樹脂フィルムを樹脂フィルムのガラス転移温度未満に冷却するために要する時間が長くなるように、賦型装置を設計することが好ましい。例えば、賦型装置に設けられる樹脂フィルムの搬送路において、ヒーターによって樹脂フィルムが加熱される範囲の長さよりも、冷却器によって樹脂フィルムが冷却される範囲の長さの方が長くなるように、賦型装置を設けることが好ましい。
[無端ベルト]
無端ベルトとしては、好ましくは継ぎ目の無いベルトを用いる。
無端ベルトの材料は任意であり、金属製のベルトを用いてもよく、樹脂製のベルトを用いてもよい。中でも、熱伝導率が高い材料を用いると、樹脂フィルムの加熱及び冷却を効率良く行なえるため、好ましい。熱伝導率が高い材料としては、例えば金属が挙げられる。また、例えば、カーボンナノチューブ等の添加剤を含む樹脂製のベルト、適切な表面処理を施したベルトなどは、金属以上の熱伝導率を有しうる。
無端ベルトとしては、好ましくは継ぎ目の無いベルトを用いる。
無端ベルトの材料は任意であり、金属製のベルトを用いてもよく、樹脂製のベルトを用いてもよい。中でも、熱伝導率が高い材料を用いると、樹脂フィルムの加熱及び冷却を効率良く行なえるため、好ましい。熱伝導率が高い材料としては、例えば金属が挙げられる。また、例えば、カーボンナノチューブ等の添加剤を含む樹脂製のベルト、適切な表面処理を施したベルトなどは、金属以上の熱伝導率を有しうる。
無端ベルトに対する表面処理としては、例えば、張り付き抑制用のコーティング処理、赤外線吸収を向上させるためのコーティング処理;無端ベルトの耐久性を高まるためのコーティング処理などが挙げられる。
無端ベルトがその外周面に有する賦型構造は、凹部、凸部、又は、凹部及び凸部の組み合わせを含みうる。この際、凹部及び凸部の形状は、賦型フィルムに形成したい転写構造に応じて設定しうる。賦型構造に含まれうる凹部又は凸部それぞれ形状の例としては、角錐形状、円錐形状、錐台形状、角柱形状、円柱形状、及び、球の一部の形状、などが挙げられる。また、賦型構造は、2種類以上の形状の凹部及び凸部を組み合わせて含んでいてもよい。
無端ベルトが含む凹部及び凸部の寸法は、賦型フィルムに形成したい転写構造に応じて設定しうる。凹部の深さ及び凸部の高さは、通常0.01μm以上であり、通常100μm以下、好ましくは60μm以下、より好ましくは20μm以下である。また、凹部及び凸部の幅は、通常0.001μm以上である。ただし、凹部及び凸部の寸法は、ここに挙げた数値に限定されるものではない。
図9は、一例としての無端ベルト1000を、賦型構造1020が形成された領域において厚み方向に平行に切った断面を模式的に示す断面図である。図9に示すように、無端ベルト1000の外周面1010に形成された賦型構造1020は、周囲と滑らかに連続する凹部1021及び凸部1022を含んでいてもよい。
さらに、無端ベルトの外表面の賦型構造には、凹部及び凸部以外に、平坦な部分が含まれていてもよい。
無端ベルトは、製造しようとする賦型フィルムの面形状に応じて、当該無端ベルトの外周面の任意の位置に賦型構造を有しうる。したがって、無端ベルトは、無端ベルトの外周面の全体に賦型構造を有していてもよく、無端ベルトの外周面の一部に賦型構造を有していてもよい。例えば、幅方向の全体に転写構造を有する賦型フィルムを製造したい場合には、無端ベルトの外周面の、当該無端ベルトの幅方向の全体に賦型構造を設けてもよい。また、例えば、幅方向の一部の領域に転写構造を有する賦型フィルムを製造したい場合には、無端ベルトの外周面の、当該当該無端ベルトの前記一部の領域に接しうる領域に賦型構造を設けてもよい。さらに、例えば、無端ベルトの周方向において外周面の一部だけに賦型構造を設けてもよいが、通常は、無端ベルトの外周面の周方向の全体に賦型構造は設けられる。
[樹脂フィルム]
樹脂フィルムとしては、熱可塑性樹脂からなる層を含む任意のフィルムを用いうる。この際、熱可塑性樹脂からなる層は、樹脂フィルムにおいて賦型構造を写し取る側の面に露出して設けられていることが好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、セルロースエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、及びアクリル樹脂等が挙げられるが、これらの限定されるものではない。中でも、機械特性、耐熱性及び透明度に優れることからポリオレフィン樹脂が好ましく、更にはノルボルネン樹脂等の脂環式ポリオレフィン樹脂が特に好ましい。
樹脂フィルムとしては、熱可塑性樹脂からなる層を含む任意のフィルムを用いうる。この際、熱可塑性樹脂からなる層は、樹脂フィルムにおいて賦型構造を写し取る側の面に露出して設けられていることが好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、セルロースエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、及びアクリル樹脂等が挙げられるが、これらの限定されるものではない。中でも、機械特性、耐熱性及び透明度に優れることからポリオレフィン樹脂が好ましく、更にはノルボルネン樹脂等の脂環式ポリオレフィン樹脂が特に好ましい。
また、樹脂フィルムは、1層のみからなる単層構造のフィルムであってもよく、2層以上の層を備える複層構造のフィルムであってもよい。
さらに、樹脂フィルムは、延伸処理を施されたフィルムであってもよく、延伸処理を施されていないフィルムであってもよい。
さらに、樹脂フィルムは、延伸処理を施されたフィルムであってもよく、延伸処理を施されていないフィルムであってもよい。
前述した実施形態で説明したように、無端ベルトの賦型構造を写し取る際、樹脂フィルムは当該樹脂フィルムのガラス転移温度以上の温度とされる。ここで、樹脂フィルムのガラス転移温度とは、当該樹脂フィルムを形成する樹脂のガラス転移温度のことをいう。樹脂フィルムが異なるガラス転移温度を有する樹脂からなる樹脂層を複数備える場合には、賦型構造を写し取る樹脂層のうちで最も高いガラス転移温度を有する樹脂からなる樹脂層のガラス転移温度を、その樹脂フィルムのガラス転移温度とする。
樹脂フィルムの厚みに特に制限は無いが、ロール状に巻き取れる程度の厚みを有することが好ましい。例えば、樹脂フィルムの厚みは、5μm〜1000μmとしうる。
また、樹脂フィルムの厚みムラは、小さいことが好ましい。厚みムラが小さいほど、無端ベルトの賦型構造を安定して樹脂フィルムに写し取ることが可能である。
また、樹脂フィルムの厚みムラは、小さいことが好ましい。厚みムラが小さいほど、無端ベルトの賦型構造を安定して樹脂フィルムに写し取ることが可能である。
[賦型フィルム]
賦型フィルムは、樹脂フィルムに無端ベルトの賦型構造を写し取ったフィルムであり、当該賦型フィルムの表面が、無端ベルトの賦型構造を写し取った転写構造を含む面形状を有すること以外は、樹脂フィルムと同様の構成を有しうる。
賦型フィルムは、樹脂フィルムに無端ベルトの賦型構造を写し取ったフィルムであり、当該賦型フィルムの表面が、無端ベルトの賦型構造を写し取った転写構造を含む面形状を有すること以外は、樹脂フィルムと同様の構成を有しうる。
賦型フィルムにおいて転写構造を形成する範囲は、任意に設定しうる。したがって、賦型フィルムは、その幅方向の全体に転写構造を有していてもよく、その幅方向の一部に転写構造を有していてもよい。例えば、ハンドリング性に優れる賦型フィルムを得る観点では、賦型フィルムの幅方向の両端部だけに転写構造を設けてもよい。さらに、賦型フィルムは、その長手方向の一部に転写構造を有していてもよいが、通常は、その長手方向の全体に転写構造を有する。さらに、転写構造は、所定の間隔を空けて断続的に設けられていてもよい。この場合、賦型フィルムの表面において転写構造同士の間の領域は、通常は凹部及び凸部の無い滑らかな面形状を有する。
このような賦型フィルムの用途に制限は無く、例えば光学フィルム、ナノインプリント用フィルムなど、広範な用途に用いうる。
1、2、3、4及び5 賦型フィルムの製造装置
10 樹脂フィルム
11 樹脂フィルムの幅方向の両端部
12 幅方向の両端部を切り除かれた樹脂フィルム
20 賦型フィルム
30 フィルムロール
100 樹脂フィルム製造装置
110 ダイ
120 冷却ロール
200 トリミング装置
210及び220 トリミングナイフ
230 搬送ロール
300 賦型装置
310 無端ベルト
311 無端ベルトの外周面
312 賦型構造
313 加熱ロール及び駆動ロールの間の領域
314 無端ベルトが加熱ロールと接触する領域のうちで最も下流の領域
315 無端ベルトの内周面
320 押圧ロール
321 押圧面
330 加熱ロール
340 駆動ロール
350 冷媒噴射器
351 ノズル
360 剥離ロール
400 巻回装置
410 巻取り軸
510 ローレットロール
511 ローレットロールの外周面
520 押圧ロール
530 樹脂フィルム
531 樹脂フィルムのローレットロールの直ぐ下流の部分
600 賦型装置
630 懸架ロール
670 赤外線ヒーター
700 賦型装置
720 押圧ベルト
721 押圧ベルトの押圧面
722 押圧ベルトの内周面
730 懸架ロール
740 駆動ロール
770 加熱ロール
780 対向ロール
800 賦型装置
870及び880 流体噴射器
900 賦型装置
970 熱風ヒーター
1000 無端ベルト
1010 無端ベルトの外周面
1020 賦型構造
1021 凹部
1022 凸部
10 樹脂フィルム
11 樹脂フィルムの幅方向の両端部
12 幅方向の両端部を切り除かれた樹脂フィルム
20 賦型フィルム
30 フィルムロール
100 樹脂フィルム製造装置
110 ダイ
120 冷却ロール
200 トリミング装置
210及び220 トリミングナイフ
230 搬送ロール
300 賦型装置
310 無端ベルト
311 無端ベルトの外周面
312 賦型構造
313 加熱ロール及び駆動ロールの間の領域
314 無端ベルトが加熱ロールと接触する領域のうちで最も下流の領域
315 無端ベルトの内周面
320 押圧ロール
321 押圧面
330 加熱ロール
340 駆動ロール
350 冷媒噴射器
351 ノズル
360 剥離ロール
400 巻回装置
410 巻取り軸
510 ローレットロール
511 ローレットロールの外周面
520 押圧ロール
530 樹脂フィルム
531 樹脂フィルムのローレットロールの直ぐ下流の部分
600 賦型装置
630 懸架ロール
670 赤外線ヒーター
700 賦型装置
720 押圧ベルト
721 押圧ベルトの押圧面
722 押圧ベルトの内周面
730 懸架ロール
740 駆動ロール
770 加熱ロール
780 対向ロール
800 賦型装置
870及び880 流体噴射器
900 賦型装置
970 熱風ヒーター
1000 無端ベルト
1010 無端ベルトの外周面
1020 賦型構造
1021 凹部
1022 凸部
Claims (9)
- 外周面に賦型構造を有する無端ベルトと前記無端ベルトの外周面に対向した押圧面を有する押圧具とを備えた賦型装置によって、前記賦型構造から写し取られた面形状を有する賦型フィルムを連続的に製造する製造方法であって、
前記無端ベルトの外周面と前記押圧具の押圧面との間に樹脂フィルムを搬送する工程と、
前記無端ベルトの外周面と前記押圧具の押圧面との間で、前記樹脂フィルムを前記樹脂フィルムのガラス転移温度以上の温度にした状態で、前記樹脂フィルムを挟圧して、前記樹脂フィルムに前記無端ベルトの外周面の賦型構造を写し取る工程と、
前記樹脂フィルムを、前記無端ベルトの外周面と接触し且つ平坦な状態で、前記樹脂フィルムのガラス転移温度未満に冷却する工程と、
前記樹脂フィルムを前記無端ベルトの外周面から剥離して、賦型フィルムを得る工程とを、この順で含む、賦型フィルムの製造方法。 - 前記樹脂フィルムに前記賦型構造を写し取る工程の前に、
前記樹脂フィルムを所定温度に維持する予備温調工程をさらに備える、請求項1に記載の賦型フィルムの製造方法。 - 前記賦型装置が、前記無端ベルトを加熱しうるヒーターを備え、
前記予備温調工程が、前記ヒーターによって加熱された前記無端ベルトによって前記樹脂フィルムを加熱することを含む、請求項2記載の賦型フィルムの製造方法。 - 前記賦型装置が、非接触型ヒーターを備え、
前記予備温調工程が、前記非接触型ヒーターによって前記樹脂フィルムを加熱することを含む、請求項2又は3記載の賦型フィルムの製造方法。 - 前記無端ベルトが、前記無端ベルトの外周面の全体に賦型構造を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の賦型フィルムの製造方法。
- 前記無端ベルトが、前記無端ベルトの外周面の、前記樹脂フィルムの幅方向の両端部に接しうる領域だけに、賦型構造を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の賦型フィルムの製造方法。
- 前記無端ベルトの外周面と前記押圧具の押圧面との間に樹脂フィルムを搬送する工程の前に、
ダイから樹脂をフィルム状に押し出して前記樹脂フィルムを製造する工程と、
製造された前記樹脂フィルムの幅方向の両端部を切り除く工程とを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の賦型フィルムの製造方法。 - 前記無端ベルトの外周面と前記押圧具の押圧面との間で挟圧されてから、前記樹脂フィルムのガラス転移温度未満に冷却されるまでの期間に、前記樹脂フィルムが、前記無端ベルトの外周面と接触し且つ平坦な状態を維持する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の賦型フィルムの製造方法。
- 長尺の樹脂フィルムから賦型フィルムを製造するための製造装置であって、
周回可能に設けられた、外周面に賦型構造を有する無端ベルトと、
前記無端ベルトの外周面に対向した押圧面を有し、前記無端ベルトの外周面と前記押圧面との間で樹脂フィルムを挟圧しうる押圧具と、
樹脂フィルムを加熱して、前記無端ベルトの外周面と前記押圧具の押圧面との間で挟圧される樹脂フィルムの温度を、前記樹脂フィルムのガラス転移温度以上に加熱しうるヒーターと、
前記無端ベルトの外周面と前記押圧具の押圧面との間で挟圧された樹脂フィルムを、前記無端ベルトの外周面に接触した状態で、前記樹脂フィルムのガラス転移温度未満に冷却しうる冷却器と、
前記冷却器によって冷却された樹脂フィルムを、前記無端ベルトから剥離しうる剥離機とを備え、
前記無端ベルトは、前記冷却器によって樹脂フィルムが冷却される領域において、平坦な状態で周回しうるように設けられている、賦型フィルムの製造装置。
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