JP2015169540A - エンコーダ、レンズ駆動装置および光学機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】両面テープ等の接着材料を用いずに高精度で高分解能な位置検出を行えるエンコーダを提供する。【解決手段】エンコーダは、スケールパターン35a,35bが設けられたスケール35と、スケールが円筒面26hに沿ってその周方向に延びるように配置されるスケールベース部材26と、スケールパターンに対向し、該パターンに応じた電気信号を出力するセンサ36とを有する。スケールの周方向での一端部35gは円筒面に対して位置決めされ、スケールの他端部35eに、スケールを円筒面に押し付けるための付勢力を作用させる付勢手段42を有する。スケールの表面はパターン領域35mと非パターン領域35nとを有する。スケールベース部材は、スケールの裏面のうちパターン領域の裏側の領域には円筒面が当接せず、非パターン領域の裏側の域には円筒面が当接する形状26gを有する。【選択図】図8
Description
本発明は、交換レンズ、ビデオカメラおよびデジタルスチルカメラ等の光学機器に搭載されるレンズ駆動装置に好適なエンコーダに関する。
上記のような光学機器の多くには、光学系の被写体に対する焦点状態を検出し、検出した焦点状態に応じてフォーカスレンズを移動させて合焦状態を得るオートフォーカス(AF)制御機能が設けられている。AF制御には、フォーカスレンズの位置を検出するための位置検出エンコーダが必要である。特許文献1,2には、反射パターンが設けられたスケールとこれに対向する光学読み取り型センサとが相対移動(相対回転)する光学式位置検出エンコーダが開示されている。
しかしながら、特許文献1,2に開示されたエンコーダを含む従来のエンコーダでは、スケールがこれを保持する部材(例えば、光学機器内でレンズの周囲に配置された円筒部材)に両面テープで接着固定される場合が多い。この場合、両面テープの部分的な厚さのばらつきや、スケールの貼り付け作業時に生じるスケールの歪みや、温度および湿度の変化に伴うスケールの伸縮による歪み等によって、反射パターンにうねりが生じ、反射パターンの保証可能な精度(つまりは、位置検出精度)が制限されるおそれがある。
本発明は、両面テープその他の接着材料を用いることなく、高精度で高分解能な位置検出を行えるようにしたエンコーダ、さらにはこれを備えたレンズ駆動装置および光学機器を提供する。
本発明の一側面としてのエンコーダは、可撓性を有し、表面にスケールパターンが設けられたスケールと、円筒面を有し、スケールが該円筒面に沿って該円筒面の周方向に延びるように配置されるスケールベース部材と、スケールパターンに対向するよう配置され、スケールとの周方向での相対移動に伴ってスケールパターンに応じた電気信号を出力するセンサとを有する。スケールの周方向における一端部は円筒面に対して位置決めされ、スケールの周方向における他端部に、該スケールを円筒面に押し付けるための付勢力を作用させる付勢手段を有する。そして、スケールの表面は、スケールパターンが設けられたパターン領域と、スケールパターンが設けられていない非パターン領域とを有する。スケールベース部材は、スケールの裏面のうち、パターン領域の裏側となるパターン裏領域には円筒面が当接せず、非パターン領域の裏側となる非パターン裏領域には円筒面が当接する形状を有することを特徴とする。
なお、移動可能なレンズと、上記エンコーダと、該レンズの駆動に際して互いに相対移動が可能な部材であって、スケールベース部材としての第1の部材およびセンサを保持する第2の部材とを有するレンズ駆動装置、さらには該レンズ駆動装置と、レンズを含む光学系とを有する光学機器もそれぞれ、本発明の他の一側面を構成する。
本発明によれば、両面テープその他の接着材料を用いることなく、スケールをスケールベース部材の円筒面に沿うように保持することができる。しかも、スケールの裏面のうちパターン裏領域にはスケールベース部材の円筒面が当接しないようにスケールを保持することができる。したがって、両面テープの部分的な厚さのばらつき、スケールの貼り付け作業時に生ずるスケールの歪み、温度および湿度の変化に伴うスケールの伸縮による歪み等がスケールパターンに影響することを回避でき、高精度で高分解能な位置検出を行うことができる。そして、このようなエンコーダをレンズ駆動装置や光学機器に用いることで、これらをより高性能化することができる。
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
図2には、本発明の実施例1である光学式位置検出エンコーダを備えたレンズ駆動装置を含む光学機器としての交換レンズと、該交換レンズが装着されるデジタル一眼レフカメラとにより構成されるカメラシステムの構成を示している。1はカメラであり、2は交換レンズである。1aはカメラ1に設けられたマウント部、2aは交換レンズ2に設けられたマウント部である。これらマウント部1a,2aは、バヨネット結合によって着脱が可能である。カメラ1と交換レンズ2は、マウント部1a,2aに設けられた不図示の電気接点を介して電気的な通信を行う。
カメラ1において、3はメインミラー、4はペンタプリズム、5はファインダレンズである。交換レンズ2内の撮影光学系により形成された被写体像は、メインミラー3によって反射され、ペンタプリズム4で正立像に変換され、ファインダレンズ5を通して観察される。6はサブミラー、7は焦点検出ユニットである。撮影光学系からの光のうちメインミラー3を透過した光がサブミラー6で反射されて焦点検出ユニット7に導かれる。焦点検出ユニット7は、フィールドレンズ、二次結像レンズおよびAFセンサにより構成され、位相差検出方式によって撮影光学系の焦点状態を検出する。
8は撮像素子であり、CCDセンサやCMOSセンサ等の光電変換素子により構成されている。撮像素子8の受光面と焦点検出ユニット7のAFセンサの受光面とが共役の位置関係にあるため、焦点検出ユニット7によって、撮影光学系の撮像素子8上での焦点状態を検出することができる。9はカメラ1の背面に設けられたディスプレイパネルであり、撮像素子8を用いて生成された画像(ライブビュー画像や撮影画像)を表示する。
次に、交換レンズ2内の撮影光学系について説明する。物体側(以下、前側ともいう)から像側(以下、後側ともいう)に順に、L1は第1レンズ群、L2は第2レンズ群、L3は第3レンズ群、L4は第4レンズ群、L5は第5レンズ群、L6は第6レンズ群である。AXは撮影光学系の光軸である。光軸AXが延びる方向を、以下、光軸方向という。
第1レンズ群L1、第3レンズ群L3、第5レンズ群L5および第6レンズ群L6は、光軸方向において固定されたレンズ群である。一方、第2レンズ群L2および第4レンズ群L4は、光軸方向に移動してフォーカシングを行うフォーカスレンズ群である。光軸AXの上側には、第2レンズ群L2と第4レンズL4とが、撮影光学系が無限遠の被写体に合焦する状態での位置を示している。一方、光軸AXの下側には、第2レンズ群L2と第4レンズL4とが、撮影光学系が最至近距離の被写体に合焦する状態での位置を示している。
10は絞りであり、第2レンズ群L2と第3レンズ群L3との間に配置され、その絞り開口径を変化させることで撮像素子8に向かう光量を調節する。
図3には、交換レンズ2を分解して示している。11は第1レンズ群L1を保持した第1レンズユニット、12は第2レンズ群L2を保持した第2レンズユニットである。13は第3レンズ群L3および絞り10を保持した第3レンズユニットであり、14は第4レンズ群L4を保持した第4レンズユニットである。15は第5レンズ群L5および第6レンズ群L6を保持した第5レンズユニットである。
16は前側固定リングユニットであり、透明窓部16aを有する。17は後側固定リングユニットであり、18はメイン基板であり、19はレンズマウントユニットである。20はフォーカスユニットであり、第3レンズユニット13を光軸方向において固定して保持するとともに、第2レンズユニット12および第4レンズユニット14を光軸方向に移動させる機構(これについては後述する)を含む。20aはフォーカスユニット20に設けられたマニュアル操作リングである。撮影者がマニュアル操作リング20aを手動で回転操作して光軸回りで回転させることで、第2および第4レンズユニット12,14が光軸方向に移動し、マニュアルフォーカシングが行われる。20bは被写体距離を表示する距離指標であり、固定リングユニット16の透明窓部16aを通して撮影者が被写体距離を確認することができる。
カメラ1に搭載された不図示のカメラコントローラ(CPU等)は、焦点検出ユニット7により得られた焦点状態の検出結果に基づいて、合焦状態を得るために第2および第4レンズユニット12,14を光軸方向に移動させる量(フォーカス駆動量)を算出する。そして、カメラコントローラは、交換レンズ2のメイン基板18に搭載された不図示のレンズコントローラ(CPU等)に対して、算出したフォーカス駆動量を通信する。レンズコントローラは、交換レンズ2に搭載された、後述するフォーカスモータを駆動して第2および第4レンズユニット12,14を光軸方向に移動させる。これにより、オートフォーカス(AF)動作が行われる。マニュアルフォーカシングまたはAF動作によって撮影光学系の合焦状態が得られた後、カメラ1に設けられた不図示の撮影スイッチが操作されることに応じてメインおよびサブミラー3,6が光路外に退避され、撮像素子8による被写体像の光電変換が行われる。これにより、撮影画像が生成される。
次に、図4(a),(b)を用いて、フォーカスユニット20の構成についてさらに詳しく説明する。図4(a)は、フォーカスユニット20内に設けられたフォーカスレンズユニット23を分解して示している。第2レンズユニット12は、その外周部に3つのカムフォロワーピン12aを有する。第3レンズユニット13は、その外周部に3つの支持ピン13aを有する。さらに、第4レンズユニット14は、その外周部に3つのカムフォロワーピン14aを有する。
21は案内筒である。案内筒21の前側周壁部に光軸方向に延びるように形成された3本の直進溝部21aには、第2レンズユニット12の3つのカムフォロワーピン12aが係合している。これにより第2レンズユニット12が光軸方向に移動可能に保持される。また、案内筒21の後側周壁部に光軸方向に延びるように形成された3本の直進溝部21cには、第4レンズユニット14の3つのカムフォロワーピン14aが係合している。これにより第4レンズユニット14が光軸方向に移動可能に保持される。さらに、案内筒21の後側周壁部に形成された3つの穴部21bには、第3レンズユニット13の3つの支持ピン13aが係合しており、これにより第3レンズユニット13が光軸方向にて固定された状態で保持される。
22は案内筒21の内側に配置されたカム筒である。図4(b)には、カム筒22を示している。カム筒22には、第2レンズユニット12の3つのカムフォロワーピン12aおよび第4レンズユニット14のカムフォロワーピン14aがそれぞれ係合する3本ずつの第2カム溝部22aおよび第4カム溝部22cが形成されている。22dはカム筒22の外周に設けられた連動ピンであり、図4(a)に示すように案内筒21の後側周壁部に形成された周方向に延びる溝部21dから突出する部分(連動部)を有する。22bは周方向に延びる溝部であり、この溝部22bに回転しない第3レンズユニット13の支持ピン13aが挿入されることで、支持ピン13aに対するカム筒22の光軸回りでの回転が許容される。
このように構成されたフォーカスレンズユニット23を含むフォーカスユニット20では、図3に示したマニュアル操作リング20aが回転操作されることによりカム筒22が案内筒21に対して光軸回りで回転する。また、後述するフォーカス駆動ユニットを通じてフォーカスモータの回転力がカム筒22に伝達されることで、カム筒22が案内筒21に対して光軸回りで回転する。そして、カム筒22が回転すると、第2および第4カム溝部22a,22cとカムフォロワーピン12a,14aとの係合作用によって第2および第4レンズユニット12,14が光軸方向に移動する。
図5(a),(b),(c)および図1には、レンズ駆動装置としてのフォーカス駆動ユニット24の構成を示している。図5(a)にはフォーカス駆動ユニット24の組み立て状態を示し、図5(b)には図5(a)に示したフォーカス駆動ユニット24の後側から見たときの構成を示している。図5(c)には、フォーカス駆動ユニット24を分解して示している。図1には、フォーカス駆動ユニット24の図5(b)に示したA−A線での断面を示している。
26は駆動リングであり、スケールベース部材および第1の部材に相当する。25は駆動ベースであり、第2の部材に相当する。駆動リング26は、駆動ベース25の外周にて該駆動ベース25に対して光軸回りで回転する。つまり、駆動リング26と駆動ベース25は相対回転が可能である。27は連結キーであり、駆動リング26に2本のビスによって固定されている(図7参照)。連結キー27は、図4(b)に示したカム筒22に設けられた連動ピン22dの連動部に係合する。
28はマニュアル連動リングであり、29は滑りリングである。滑りリング29の前側の内周面は駆動ベース25の前側筒部(大径部)における後端外周面に嵌合している。また、マニュアル連動リング28の前側の内周面は、滑りリング29の外周面に回転可能に嵌合している。
30はUSM(Ultra Sonic Motor)連動リングであり、31はUSMロータである。32は加圧用板バネを含むUSMステータユニットであり、33はステータ回転止めリングである。USMロータ31、USMステータユニット32およびステータ回転止めリング33によって、フォーカスモータとしての振動型モータが構成される。USMステータユニット32は、通電されることでその周方向(光軸回り方向)に進行する振動を発生し、上記加圧用板バネの付勢力によって加圧接触したUSMロータ31を光軸回りで回転駆動する。USM連動リング30は、USMロータ31と一体で光軸回りにて回転する。
34は差動コロであり、3つの差動コロ34が駆動リング26の外周に設けられた3つの軸部26aのそれぞれに回転可能に取り付けられている。これら差動コロ34は、USMステータユニット32の加圧用板バネの付勢力によってUSMロータ31を介して前側に付勢されたUSM連動リング30とマニュアル連動リング28との間に挟み込まれて駆動リング26を光軸方向に支持している。これにより、駆動リング26は、光軸方向における定位置にて回転可能に支持される。
上述したようにUSMロータ31とUSM連動リング30が光軸回りで回転すると、回転していないマニュアル連動リング28に対して差動コロ34が転動しながら駆動リング26が光軸回りで回転する。また、マニュアル連動リング28が光軸回りで回転されると、回転していないUSM連動リング30に対して差動コロ34が転動しながら駆動リング26が光軸回りで回転する。マニュアル連動リング28は、マニュアル操作リング20aと回転を伝達可能に係合している。このため、マニュアル操作リング20aが光軸回りで回転操作されることで、駆動リング26が光軸回りで回転する。つまり、駆動リング26を、常に電動および手動のいずれかでも回転させることが可能である。
35は上述した光学式位置検出エンコーダ(以下、単にエンコーダという)のスケールを構成するフィルムスケール(以下、単にスケールという)である。該スケール35は、帯状で可撓性を有する反射式スケールであり、駆動リング26にその内周側の円筒面としての内周面26hに沿うように取り付けられている(図7参照)。
36はエンコーダの光学読み取りセンサを構成するセンサヘッドであり、駆動ベース25の後側筒部(小径部)の外周面に取り付けられたセンサ保持部材としてのセンサホルダ37によって、スケール35に対向するように保持されている。
図1に示す38はガイドコロであり、39はガイドコロ38を回転可能に支持するコロ軸である。コロ軸39は駆動ベース25に固定されている。ガイドコロ38は、駆動リング26を駆動ベース25に対して光軸方向における定位置にて光軸回りで回転可能となるように支持している。
図6(a)には、上述したエンコーダを模式的に示している。図6(a)中のY軸方向は撮影光学系の光軸方向に相当し、X軸方向は光軸回り方向に相当する。光軸方向は、駆動ベース25と駆動リング26の相対回転の中心軸が延びる方向であり、該相対回転の方向に直交する方向でもある。光軸回り方向は、駆動ベース25と駆動リング26との相対回転方向である。また、Z軸方向は、光軸に直交する方向(駆動ベース25と駆動リング26の径方向)に相当する。
スケール35におけるセンサヘッド36に対向する面(スケール35の表面)には、X軸方向に延びる2本の反射スケールパターン35a,35bが形成されている。
センサヘッド36におけるスケール35に対向する面には、LEDチップである光源36aが配置されているとともに、光源36aをY軸方向にて挟むように、それぞれ信号処理回路を内蔵した2つのフォトICチップ36b,36cが配置されている。フォトICチップ36b,36c上にはそれぞれ、受光素子であるフォトダイオードアレイ36e,36dが実装されている。
センサヘッド36におけるスケール35に対向する面には、LEDチップである光源36aが配置されているとともに、光源36aをY軸方向にて挟むように、それぞれ信号処理回路を内蔵した2つのフォトICチップ36b,36cが配置されている。フォトICチップ36b,36c上にはそれぞれ、受光素子であるフォトダイオードアレイ36e,36dが実装されている。
36fはプリント基板により形成されたベース基板である。ベース基板36fに実装された光源36aとフォトICチップ36b,36cは、ベース基板36f上に形成された不図示の透明樹脂層とさらに該樹脂層の上に配置された不図示の保護ガラスとによって覆われている。
センサヘッド36とスケール35とがX軸方向に相対移動する(本実施例では、スケール35がセンサヘッド36に対して移動する)と、光源36aから射出した光の一部は反射スケールパターン35aで反射してフォトダイオードアレイ36dに到達する。また、光源36aから射出した光の他の一部は反射スケールパターン35bにて反射してフォトダイオードアレイ36eに到達する。これにより、フォトICチップ36b,36cはそれぞれ、反射スケールパターン35a,35bを光学的に読み取って、該反射スケールパターン35a,35bのピッチに対応した周期の電気信号を出力する。
図6(b)には、スケール35およびこれに設けられた反射スケールパターン35a,35bを詳しく示している。スケール35は、図6(a)中のX軸方向を長手方向(以下、スケール長手方向ともいう)とし、Y軸方向を幅方向(以下、スケール幅方向ともいう)とする帯状に形成されている。第1のトラックとしての反射スケールパターン35aは、スケール35の長手方向に反射膜により形成された第1の反射部35cと非反射部とが交互に配置されて構成されている。第1の反射部35cは第1のピッチで配置されている。また、第2のトラックとしての反射スケールパターン35bは、スケール35の長手方向に反射膜により形成された第2の反射部35dと非反射部とが交互に配置されて構成されている。第2の反射部35dは、第1のピッチよりも若干大きな第2のピッチで配置されている。また、各第2の反射部35dは、スケール35の幅方向において複数の部分に分割されており、該複数の部分のスケール35の幅方向における長さ(および該複数の部分間の間隔)は、スケール35の長手方向に向かって変化している。
このように形成された反射スケールパターン35a,35bを光学的に読み取ったフォトICチップ36b,36cから出力される互いに異なる周期で振幅が変化する電気信号を用いて、いわゆるバーニア方式での高分解能での位置検出を行うことができる。ただし、スケール35に歪みが生じる等の要因によって反射スケールパターン35a,35b(反射部35c,35d)の精度が低下すると、フォトICチップ36b,36cから出力される信号が劣化し、この結果、位置検出の精度や分解能が低下する。このため、スケール35のうち特に反射スケールパターン35a,35bが設けられた部分の精度を高く維持する必要がある。
図7には、駆動リング26と、これに一体化されている差動コロ34、連結キー27およびスケール35とを含む駆動リングユニットを示している。なお、図7には、センサヘッド36およびガイドコロ38(コロ軸39)の駆動リングユニットに対する位置も併せて(空中に浮いた状態で)示している。ガイドコロ38(コロ軸39)は、駆動ベース25に径方向に移動可能に取り付けられたガイドコロホルダ45によって保持されるとともに、駆動ベース25側から駆動リング26側に向かって付勢されている。また、図8(a)には、駆動リングユニットの側面から見たときの構成を示し、図8(b)には、駆動リングユニットの図8(a)に示したB−B線での断面を示している。図9(a),(b)にはそれぞれ、図8(b)中のC−C線およびD−D線にて切断したときの駆動リング26および後述するスケール保持部材の断面を示している。さらに、図10(a),(b)には、スケール保持部材を拡大して示している。
図8(b)に示す26bは駆動リング26の内周面26hに設けられ、スケール35の長手方向(光軸回り方向および駆動リングの周方向に相当し、以下、単に周方向ともいう)の一端部35gを、周方向および径方向にて保持する保持突起である。スケール35は、駆動リング26の内周面26hの光軸方向両側に周方向に延びるように形成された段差部(光軸方向にて対向する壁部)26fによって光軸方向での変位が阻止されている。また、26gは、図1にも示すように、駆動リング26の内周面26hの一部領域に設けられた凹部であり、スケール35の裏面に沿って周方向に延びるように形成されている。
40はスケール35の周方向における他端部35eを保持する前述したスケール保持部材(付勢力伝達部材)である。スケール保持部材40は、駆動リング26に周方向に延びるように形成された保持溝部26e内に配置されている。スケール保持部材40の周方向の一端側には、径方向外側に立ち上がるように設けられたバネ受け部40aと周方向に延出する一対の突起部40bとが設けられている。バネ受け部40aのうち一端側の面には、スケール35の他端部35eが当接している。突起部40bは、スケール35の他端部35eを駆動リング26の内周面26hとの間で挟んで保持するとともに、スケール保持部材40の駆動リング26に対する径方向外側への抜けを阻止する。
また、スケール保持部材40には、立ち上がり部40aから周方向に延出する部分が設けられており、ここには周方向に延びるボール溝部40dが形成されている。41はボールであり、スケール保持部材40のボール溝部40dと駆動リング26に周方向に延びるように形成されたボール溝部26dとに光軸方向にて係合する。ボール41がボール溝部40d,26dに係合することにより、スケール保持部材40の周方向への移動が許容されつつ、該スケール保持部材40の一端側での光軸方向の位置決めがなされる。
さらに、スケール保持部材40の周方向の他端には、径方向外側に立ち上がるように立ち上がり部40eが設けられている。立ち上がり部40eは、図9(b)に示すように、保持溝部26eの光軸方向両側の内面に当接して、スケール保持部材40の他端側での光軸方向の位置決めをしている。また、図10(a),(b)に示すように、スケール保持部材40のうち駆動リング26の内周面26hに沿う部分の4箇所には球状突起部40cが設けられている。球状突起部40cは、図10(a)に示すように、駆動リング26の内周壁に当接してスケール保持部材40の径方向での位置決めをしている。このような構成により、スケール保持部材40は、保持溝部26e内での周方向の移動が許容されつつ、光軸方向および径方向への移動が阻止されて駆動リング26により保持されている。
42は圧縮コイルバネにより構成された付勢手段としてのスケール付勢バネであり、43はスケール付勢バネ42の脱落を防止するためのバネカバーである。スケール付勢バネ42は、駆動リング26に設けられた固定部26cとスケール保持部材40のバネ受け部40aのうちスケール35の他端部35eが当接する面とは反対側の面との間に配置されている。これにより、スケール付勢バネ42の付勢力は、スケール保持部材40を介してスケール35の他端部35eに、周方向のうちスケール35の一端部35g側に向かう付勢力として伝達される。そして、この付勢力により、スケール35の裏面(ただし、後述する非パターン裏領域)が駆動リング26の内周面26hに押し付けられる。すなわち、スケール付勢バネ42は、スケール保持部材40を介して、スケール35の他端部35eに該スケール35を駆動リング26の内周面26hに押し付けるための付勢力を作用させる。
このような構成によれば、温度変化や吸湿等によってスケール35が周方向に伸縮しても、スケール35の両端が駆動リング26に強固に(完全に)固定されている場合のようにスケール35に無理な力が作用し、スケール35に歪みが発生することを防止できる。したがって、スケール35における反射スケールパターン35a,35bの精度を良好に維持することができる。
ここで、図6(c)には、図8(b)に示した駆動リング26の内周面26hに設けられた凹部26gとスケール35との関係を、駆動リング26の内側(光軸側)から見て示している。この図において、点線により駆動リング26の内周面26hのうち凹部26gが形成された領域を示している。2点鎖線35e,35fは、図6(b)に示したスケール35の表面に設けられた反射スケールパターン35a,35bのスケール幅方向でのほぼ中心を示している。
スケール35の表面は、反射スケールパターン35a,35bが設けられたパターン領域35mと、反射スケールパターン35a,35bが設けられていない非パターン領域35nとを有する。そして、凹部26gは、スケール35の裏面のうちパターン領域35mの裏側に形成されている。つまり、駆動リング26は、スケール35の裏面のうちパターン領域35mの裏側となるパターン裏領域には内周面(円筒面)26hが当接せず、非パターン領域35nの裏側となる非パターン裏領域には内周面26hが当接する形状を有する。このように駆動リング26の内周面26hに凹部26gを設けることで、内周面26hの凸凹形状がスケール35のパターン領域35mに及ぼす影響を緩和して、反射スケールパターン35a,35bの精度を良好に保つことができる。
図11(a)〜(c)には、スケール35を駆動リング26およびスケール保持部材40に対して着脱する様子を示している。なお、図10(a),(b)にも示すように、スケール保持部材40のうち駆動リング26の内周面26hに沿う部分には、内周面26hとは反対側(駆動リング26の内側)に向かって突出する突起部40bが設けられている。
図11(c)は、スケール保持部材40が、その突起部40bがスケール35の他端部35eから周方向に離れる位置まで周方向他端側に移動(退避)され、スケール35の他端部35eは駆動リング26の内周面26hから浮き上がっている状態を示している。この状態では、駆動リング26の固定部26cとスケール保持部材40のバネ受け部40aとの間に配置されたスケール付勢バネ42の付勢力に抗してスケール保持部材40が移動されている。図11(b)は、図11(c)の状態からスケール35の他端部35eが駆動リング26の内周面26hに当接した状態を示している。さらに、図11(a)は、スケール保持部材40が、その突起部40bが駆動リング26の内周面26hとの間にスケール35の他端部35eを挟み込む位置まで、周方向一端側に移動した状態を示している。スケール保持部材40に突起部40fを設けることで、スケール保持部材40をスケール付勢バネ42の付勢力に抗して図11(a)に示した位置から図11(b),(c)に示した位置に容易に移動させることができる。このため、スケール35の駆動リング26およびスケール保持部材40に対する着脱作業性を向上させることができる。
また、本実施例では、スケール付勢バネ42をコイルバネによって構成している。これにより、スケール保持部材40の図11(a)に示した位置から図11(b),(c)に示した位置までの退避量を十分に確保しながらバネ定数を小さく設定することができ、前述したスケール35の周方向での伸縮に対して安定した付勢力を与えることができる。
本発明の実施例2について、図12〜図14を用いて説明する。実施例1ではスケール35を駆動リング26の内周面に対して押し付ける構成について説明した。本実施例では、スケールを駆動リングの円筒面である外周面に押し付ける構成について説明する。
図12および図13において、126はスケールベース部材としての駆動リングであり、不図示の固定部材に対して、光軸方向の定位置において光軸回りで回転する。135は可撓性を有するスケール(フィルムスケール)であり、実施例1のスケール35と同様の反射スケールパターンを有する。スケール135は、駆動リング126の外周面126hに沿うように配置されている。136はスケール135の反射スケールパターンを光学的に読み取るセンサヘッドであり、上記固定部材に固定されている。142は付勢手段としてのスケール引張りコイルバネである。
図14には、スケール135を示している。スケール135の一端部135gには、フランジ通過穴部135aとそれよりも径(スケール幅方向での幅)が小さい位置決め穴部135bとがスケール長手方向につながって形成されている。また、スケール135の他端部135eには、スケール長手方向に延びる位置決め溝部135cが形成されている。
図12および図13に示すように、駆動リング126の外周面126hには、固定突起126bが設けられている。固定突起126bは、フランジ部と位置決め軸部とを有する。また、駆動リング126の外周面126hにおける固定突起126bから周方向に離れた位置には、位置決めピン126dが設けられている。さらに、駆動リング126の外周面126hには、バネ掛け部126cが設けられている。
スケール135の一端部135gは、そのフランジ通過穴部135aが駆動リング126の固定突起126bのフランジ部を通過することで駆動リング126の外周面126hに当接する。そして、この状態からスケール135が他端部135eの側にスライドされることで位置決め穴部135bが固定突起126bの位置決め軸部に係合し、スケール135の一端部135gが駆動リング126により位置決め保持される。さらに、スケール135の他端部135eは、その位置決め溝部135cが駆動リング126の位置決めピン126dを通過することで、駆動リング126の外周面126hに当接する。そして、位置決め溝部135cが位置決めピン126dとスケール幅方向(光軸方向)において係合することで、スケール135の他端部135eは、駆動リング126に対して周方向への変位が許容された状態で光軸方向にて位置決めされる。
さらに、スケール引張りコイルバネ142の一方のフック部が駆動リング126のバネ掛け部126cに引っ掛けられ、該コイルバネ142の他方のフック部がスケール135の他端部135e(位置決め溝部135cの一部であるバネ掛け部)に引っ掛けられる。これにより、スケール135の他端部135eに、一端部135gとは反対側への付勢力(引張り力)が作用する。そして、この付勢力により、スケール135の裏面(ただし、後述する非パターン裏領域)が駆動リング126の外周面126hに押し付けられる。すなわち、スケール引張りコイルバネ142は、スケール135の他端部135eに該スケール135を駆動リング126の外周面126hに押し付けるための付勢力を作用させる。
このような構成によれば、高低温や吸湿等によってスケール135が周方向に伸縮しても、スケール135の両端が駆動リング26に強固に固定されている場合のようにスケール135に無理な力が作用し、スケール135に歪みが発生することを防止できる。したがって、スケール135における反射スケールパターンの精度を良好に維持することができる。
図13において、126gは駆動リング126の周壁部に周方向に延びるように形成された溝部(穴部)である。図14にはこの溝部126gとスケール135との関係を示している。図14には、二点鎖線により、溝部126gが形成された領域を示している。一方、スケール135の表面は、実施例1と同様に、反射スケールパターンが設けられたパターン領域135mと、反射スケールパターンが設けられていない非パターン領域135nとを有する。そして、駆動リング126の溝部126gは、スケール135の裏面のうちパターン領域135mの裏側に形成されている。つまり、駆動リング126は、スケール135の裏面のうちパターン領域135mの裏側となるパターン裏領域には外周面(円筒面)126hが当接せず、非パターン領域135nの裏側となる非パターン裏領域には外周面126hが当接する形状を有する。
このように駆動リング126に溝部126gを設けることで、外周面126hの凸凹形状がスケール135のパターン領域135mに及ぼす影響を緩和して、反射スケールパターンの精度を良好に保つことができる。
なお、上記各実施例では、付勢手段としてコイルバネを用いる場合について説明したが、他の種類のバネや弾性部材を付勢手段として用いてもよい。
また、上記各実施例では、スケールが固定されたセンサヘッドに対して移動する場合について説明したが、センサヘッドが固定されたスケールに対して移動してもよい。つまり、センサとスケールは相対移動すればよい。
また上記実施例では、光学式の位置検出エンコーダについて説明したが、これに代えて、スケールに磁気スケールパターンが形成され、センサとして磁気センサを有する磁気式の位置検出エンコーダを用いてもよい。
さらに上記実施例では、位置検出エンコーダを交換レンズに設けた場合について説明したが、同様の取り付け構造を用いて位置検出エンコーダをレンズ一体型カメラ(ビデオカメラ、スチルカメラ)や可動レンズを用いる他の各種光学機器に搭載してもよい。
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
位置検出等を高精度に行えるエンコーダを提供できる。
26,126 駆動リング
26g 凹部
35,135 フィルムスケール
36,136 センサヘッド
42 スケール付勢バネ
126g 凹部
142 スケール引張りコイルバネ
26g 凹部
35,135 フィルムスケール
36,136 センサヘッド
42 スケール付勢バネ
126g 凹部
142 スケール引張りコイルバネ
Claims (5)
- 可撓性を有し、表面にスケールパターンが設けられたスケールと、
円筒面を有し、前記スケールが前記円筒面に沿って該円筒面の周方向に延びるように配置されるスケールベース部材と、
前記スケールパターンに対向するよう配置され、前記スケールとの前記周方向での相対移動に伴って前記スケールパターンに応じた電気信号を出力するセンサとを有するエンコーダであって、
前記スケールの前記周方向における一端部が前記円筒面に対して位置決めされ、
前記スケールの前記周方向における他端部に、該スケールを前記円筒面に押し付けるための付勢力を作用させる付勢手段とを有し、
前記スケールの前記表面は、前記スケールパターンが設けられたパターン領域と、前記スケールパターンが設けられていない非パターン領域とを有しており、
前記スケールベース部材は、前記スケールの裏面のうち、前記パターン領域の裏側となるパターン裏領域には前記円筒面が当接せず、前記非パターン領域の裏側となる非パターン裏領域には前記円筒面が当接する形状を有することを特徴とするエンコーダ。 - 前記スケールベース部材は、前記円筒面の一部領域に、前記パターン裏領域に対向して周方向に延びる凹部または溝部を有することを特徴とする請求項1に記載のエンコーダ。
- 前記スケールベース部材によって前記周方向に移動可能に保持され、前記付勢手段が発生する付勢力を前記スケールの前記他端部に伝達する付勢力伝達部材を有することを特徴とする請求項1または2に記載のエンコーダ。
- 移動可能なレンズと、
請求項1から3のいずれか一項に記載のエンコーダと、
前記レンズの駆動に際して互いに相対移動が可能な部材であって、前記スケールベース部材としての第1の部材および前記センサを保持する第2の部材とを有することを特徴するレンズ駆動装置。 - 請求項4に記載のレンズ駆動装置と、
前記レンズを含む光学系とを有することを特徴とする光学機器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2014044564A JP2015169540A (ja) | 2014-03-07 | 2014-03-07 | エンコーダ、レンズ駆動装置および光学機器 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2014044564A JP2015169540A (ja) | 2014-03-07 | 2014-03-07 | エンコーダ、レンズ駆動装置および光学機器 |
Publications (1)
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Family Applications (1)
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JP2014044564A Pending JP2015169540A (ja) | 2014-03-07 | 2014-03-07 | エンコーダ、レンズ駆動装置および光学機器 |
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JP (1) | JP2015169540A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2020042092A (ja) * | 2018-09-07 | 2020-03-19 | キヤノン株式会社 | 回転検出装置およびこれを備えた装置 |
JP2020086197A (ja) * | 2018-11-28 | 2020-06-04 | キヤノン株式会社 | 回転検出装置、および、それを用いたレンズ装置並びに撮像装置 |
-
2014
- 2014-03-07 JP JP2014044564A patent/JP2015169540A/ja active Pending
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JP7183010B2 (ja) | 2018-11-28 | 2022-12-05 | キヤノン株式会社 | 回転検出装置、および、それを用いたレンズ装置並びに撮像装置 |
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