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JP2015169363A - 蒸発器用内面溝付伝熱管 - Google Patents

蒸発器用内面溝付伝熱管 Download PDF

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Abstract

【課題】冷凍機油を含有する二酸化炭素を冷媒として使用する、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の蒸発器用内面溝付伝熱管において、伝熱性能を向上させる。
【解決手段】アルミニウムまたはアルミニウム合金により構成された伝熱管1を備えており、伝熱管1内面に、伝熱管1の管軸と平行または傾斜する方向に延びる複数個の溝11が形成されており、隣り合う溝11間には、複数個のフィン12が形成されており、伝熱管1の管外径をD単位:mm、溝11の個数をN、フィン12の高さをH単位:mm、フィン12の巾をW2単位:mmとしたとき、管外径および溝11の個数が、4≦N/D≦9の関係を満たしており、かつ、フィン12の高さおよびフィン12の巾が、0.5≦H/W2≦1.7の関係を満たしている。
【選択図】図12

Description

本発明は、熱交換器の蒸発器用内面溝付伝熱管に関し、特に、冷凍機油を含有する二酸化炭素を冷媒として使用する蒸発器用内面溝付伝熱管に関する。
従来、二酸化炭素冷媒を使用した熱交換器において、銅または銅合金製の伝熱管の内面に溝を形成した内面溝付管が使用されており、この伝熱管の内面溝により、伝熱管と冷媒との接触面積を増大し、伝熱性能を向上させている。
しかしながら、伝熱管を流通する二酸化炭素冷媒中には、圧縮機用の潤滑剤である冷凍機油が含まれている。このため、単に伝熱管の内面に溝を形成しただけでは、管内面に冷凍機油が滞留するおそれがある。
ところで、フィンアンドチューブ式熱交換器は、次のように製造される。すなわち、金属製の複数の板状部材(以下、外側フィンという)を相互に離間して配置し、複数の外側フィンに共通の貫通孔を設け、この貫通孔に伝熱管を通す。その後、伝熱管内に拡管子を挿通し、拡管子により管内面を機械的に拡管して伝熱管と外側フィンとを密着させる。
このため、伝熱管を機械拡管する際に、伝熱管内部における隣り合う溝間に形成されたフィンが潰れたり、倒れたりして、フィンアンドチューブ式熱交換器を組み立てたときに伝熱性能が低下するおそれがある。
これに対し、伝熱管やフィンの諸元を規定することで、冷凍機油の滞留を抑制するとともに、伝熱管の拡管時のフィン潰れやフィン倒れの発生を抑制した内面溝付伝熱管が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2009−228929号公報
ところで、冷凍機油を含有する二酸化炭素を冷媒として使用する蒸発器用内面溝付伝熱管において、構成材料を銅からアルミニウムまたはアルミニウム合金に変更して製造コストの低減を図りたいという要請がある。
しかしながら、以下の理由により、単に上記特許文献1に記載の内面溝付伝熱管の構成材料をアルミニウムまたはアルミニウム合金に変更しただけでは、伝熱性能が低下してしまう。
すなわち、アルミニウムは銅に対して材料強度が1/2程度しかないため、伝熱管の肉厚を増大させる必要がある。一方、伝熱管の肉厚を厚くした場合、伝熱管を従来と同様の大きさに拡管するためには、伝熱管により大きな荷重をかける必要がある。このため、伝熱管を機械拡管する際にフィンの頂点にかかる荷重が大きくなり、フィン潰れが発生しやすくなる。
これに対し、フィンの巾寸法(伝熱管の周方向の長さ)を大きくしてフィン潰れを抑制することが考えられる。しかしながら、フィンの巾寸法を大きくすると、溝面積または溝の巾寸法が小さくなるので、冷凍機油が伝熱管内に滞留し易くなり、伝熱性能が低下してしまう。
本発明は上記点に鑑みて、冷凍機油を含有する二酸化炭素を冷媒として使用する、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の蒸発器用内面溝付伝熱管において、伝熱性能を向上させることを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、冷凍機油を含有する二酸化炭素を冷媒として使用する熱交換器の蒸発器用内面溝付伝熱管において、アルミニウムまたはアルミニウム合金により構成された伝熱管(1)を備えており、伝熱管(1)内面に、伝熱管(1)の管軸と平行または傾斜する方向に延びる複数個の溝(11)が形成されており、隣り合う溝(11)間には、複数個のフィン(12)が形成されており、伝熱管(1)の管外径をD(単位:mm)、溝(11)の個数をN、フィン(12)の高さをH(単位:mm)、フィン(12)の巾をW2(単位:mm)としたとき、管外径および溝(11)の個数が、4≦N/D≦9の関係を満たしており、かつ、フィン(12)の高さおよびフィン(12)の巾が、0.5≦H/W2≦1.7の関係を満たしていることを特徴とする。
これによれば、管外径および溝(11)の個数を4≦N/D≦9の関係を満たすようにすることで、伝熱性能を向上させることができる。また、フィン(12)の高さとフィン(12)の巾との比(H/W2)が小さくなると、溝(11)内に冷凍機油が滞留しやすくなり、これにより伝熱性能が急激に低下する。一方、フィン(12)の高さとフィン(12)の巾との比(H/W2)が大きくなると、拡管子等による伝熱管(1)の拡管の際にフィン(12)が倒れてしまうため、伝熱性能が低下する。このため、フィン(12)の高さおよびフィン(12)の巾が0.5≦H/W2≦1.7の関係を満たすようにすることで、伝熱性能を向上させることができる。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
本発明の実施形態におけるフィンアンドチューブ式熱交換器を示す概略斜視図である。 本発明の実施形態に係る内面溝付伝熱管の管軸直行断面図である。 本発明の実施形態に係る内面溝付伝熱管の管軸を含む縦断面図である。 図2のIV部拡大図である。 アルミニウムまたはアルミニウム合金により構成した内面溝付伝熱管および銅または銅合金により構成した内面溝付伝熱管について、溝数Nと管外径Dとの比N/Dとフィン巾W2との関係を示す特性図である。 アルミニウムまたはアルミニウム合金により構成した内面溝付伝熱管および銅または銅合金により構成した内面溝付伝熱管について、溝数Nと管外径Dとの比N/Dと溝巾W1との関係を示す特性図である。 アルミニウムまたはアルミニウム合金により構成した内面溝付伝熱管および銅または銅合金により構成した内面溝付伝熱管について、溝数Nと管外径Dとの比N/Dと熱伝達率向上比との関係を示す特性図である。 本発明の実施形態における内面溝付伝熱管の拡管子による拡管前後のフィン形状を示す模式図である。 本発明の実施形態に係る内面溝付伝熱管および比較例に係る内面溝付伝熱管について、溝数Nと管外径Dとの比N/Dとフィン巾W2との関係を示す特性図である。 本発明の実施形態に係る内面溝付伝熱管および比較例に係る内面溝付伝熱管について、溝数Nと管外径Dとの比N/Dと溝巾W1との関係を示す特性図である。 比較例における内面溝付伝熱管の拡管子による拡管前後のフィン形状を示す模式図である。 冷凍サイクルにオイルセパレータが設けられている場合における、本発明の実施形態に係る内面溝付伝熱管、比較例に係る内面溝付伝熱管および銅または銅合金により構成した内面溝付伝熱管について、溝数Nと管外径Dとの比N/Dと熱伝達率向上比との関係を示す特性図である。 冷凍サイクルにオイルセパレータが設けられていない場合における本発明の実施形態に係る内面溝付伝熱管、比較例に係る内面溝付伝熱管および銅または銅合金により構成した内面溝付伝熱管について、溝数Nと管外径Dとの比N/Dと熱伝達率向上比との関係を示す特性図である。 フィン高さHとフィン巾W2との比H/W2と熱伝達率向上比との関係を示す特性図である。 フィン高さHと伝熱管1の構成材料であるアルミニウムまたはアルミニウム合金の引張り強度σとの比H/σと熱伝達率向上比との関係を示す特性図である。 リード角θと熱伝達率向上比との関係を示す特性図である。 リード角θと冷媒の圧力損失上昇比との関係を示す特性図である。 リード角θと熱交換性能比との関係を示す特性図である。
以下、本発明の一実施形態について図に基づいて説明する。本実施形態に係る内面溝付伝熱管は、冷凍サイクルの冷凍機油を含有する二酸化炭素冷媒と空気との間で熱交換を行うフィンアンドチューブ式熱交換器に適用される。
図1に示すように、フィンアンドチューブ式熱交換器は、内面溝付伝熱管1(以下、伝熱管1という)、プレートフィン2、Uベント管3およびヘッダ4等から構成されている。
伝熱管1は、内部を冷媒が流通する管であり、ヘアピン状(略U字状)に曲折されている。本実施形態では、伝熱管1は、アルミニウムまたはアルミニウム合金により構成されている。プレートフィン2は、空気と伝熱管1との伝熱面積を増大させて空気と冷媒との熱交換を促進する伝熱促進部材であり、プレート状(板状)に形成されている。Uベント管3は、U字状に形成されており、複数の伝熱管1の端部同士を接続する管である。ヘッダ4は、伝熱管1に対して冷媒の分配または集合を行うものである。
本実施形態のフィンアンドチューブ式熱交換器は、次のように製造される。まず、引き抜き加工により管を形成した後、この管の内面に転造加工を施すことにより管内面に溝が形成された伝熱管1を形成する。
次に、プレートフィン2に、伝熱管1が挿通される貫通孔を形成する。そして、複数のプレートフィン2を等間隔に配置した後、貫通孔に伝熱管1を挿通する。その状態で、伝熱管1内に拡管子を挿通し、拡管子により管内面を機械的に拡管して伝熱管1とプレートフィン2とを密着させる。その後、伝熱管1にUベント管3およびヘッダ4をろう付け接合する。これにより、図1に示すような、内部に冷媒流路が形成されたフィンアンドチューブ式熱交換器が完成する。
続いて、本実施形態の伝熱管1の詳細な構成について説明する。以下、特に明記しない限り「伝熱管1」とは、拡管前の伝熱管1を意味している。
図2および図3に示すように、伝熱管1の管内面には、複数の溝11が螺旋状に形成されている。溝11は、伝熱管1の管軸と傾斜する方向に延びている。また、伝熱管1の管内面には、螺旋状の溝11間の突起として螺旋状に延びるフィン12が形成されている。伝熱管1の管内面に溝11およびフィン12が形成されることにより、管内面と冷媒との接触面積が増え、伝熱性能が向上する。
図2に示すように、伝熱管1の外径(管外径)をD(単位:mm)とする。図3に示すように、溝11の管軸方向に対するリード角、すなわち伝熱管1の管内面における管軸方向に平行な直線Lと溝11が延びる方向とが成す角度(ねじれ角)をθ(単位:°)とする。
図4に示すように、伝熱管1の管軸直交断面において、底肉厚をt、フィンの高さ、すなわち溝の深さをH(単位:mm)とする。伝熱管1の管軸直交断面において、溝11の底面の巾(溝巾)、すなわち溝11の底面における伝熱管1の周方向の長さをW1(単位:mm)とする。伝熱管1の管軸直交断面において、フィン12の根本部分の巾(フィン巾)、すなわちフィン12の根本部分における伝熱管1の周方向の長さをW2(単位:mm)とする。1つの伝熱管1の有する溝11の個数(溝数)をNとする。
ここで、溝数Nと管外径Dとの比N/Dとフィン巾W2との関係を図5に示し、溝数Nと管外径Dとの比N/Dと溝巾W1との関係を図6に示す。また、溝数Nと管外径Dとの比N/Dと熱伝達率向上比との関係を図7に示す。
図7の縦軸は、伝熱管1を管内面に溝11およびフィン12がない平滑管としたフィンアンドチューブ式熱交換器に対する熱伝達率の向上比を示している。なお、後述する図12〜16の縦軸も、図7の縦軸と同様の熱交換率の向上比を示している。また、図5〜図7において、実線は伝熱管1をアルミニウムまたはアルミニウム合金により構成した場合(以下、Al溝付管という)を、破線は伝熱管1を銅または銅合金により構成した場合(以下、Cu溝付管という)をそれぞれ示している。
Al溝付管は、Cu溝付管と比較して構成材料の引張り強度が低下するので、伝熱管1の底肉厚tが増加する。このため、Al溝付管では、図5に示すように、溝数Nを同一とした場合のフィン巾W2がCu溝付管よりも大きくなるとともに、図6に示すように、溝数Nを同一とした場合の溝巾W1がCu溝付管よりも小さくなる。その結果、Al溝付管では、溝11に冷凍機油が滞留し易くなり、図7に示すように、フィン12による良好な伝熱促進効果が得られない可能性がある。
ところで、従来の伝熱管1は、構成材料として銅または銅合金が用いられ、拡管子による伝熱管1の拡管によってフィン12が潰れることを抑制するために、一定以上のフィン巾W2を確保している。
これに対し、本実施形態の伝熱管1は、構成材料としてアルミニウムまたはアルミニウム合金が用いられるとともに、図8に示すように、拡管後の溝巾W1’を一定以上確保するために、拡管前のフィン巾W2が従来よりも小さく設定されている。そこで、本発明者は、拡管後のフィン潰れを見越したフィン高さHと溝数Nとの最適仕様を検討した。
本実施形態に係る伝熱管1および比較例に係る伝熱管1について、溝数Nと管外径Dとの比N/Dとフィン巾W2との関係を図9に示し、溝数Nと管外径Dとの比N/Dと溝巾W1との関係を図10に示す。図9および図10において、実線は本実施形態に係る伝熱管1を、一点鎖線は比較例に係る伝熱管1をそれぞれ示している。
なお、比較例に係る伝熱管1は、図11に示すような従来の形状の伝熱管1、すなわち拡管子による伝熱管1の拡管によってフィン12が潰れることを抑制するために一定以上のフィン巾W2を確保した伝熱管1を、アルミニウムまたはアルミニウム合金により構成したものである。
本実施形態に係る伝熱管1は、図9に示すように溝数Nを同一とした場合のフィン巾W2が比較例に係る伝熱管1よりも小さく、図10に示すように溝数Nを同一とした場合の溝巾W1が比較例に係る伝熱管1よりも大きい。
続いて、本実施形態に係る伝熱管1、比較例の伝熱管1および従来技術であるCu溝付管について、溝数Nと管外径Dとの比N/Dと熱伝達率向上比との関係を図12および図3に示す。図12は、冷凍サイクルに、冷媒中に混入した圧縮機潤滑用の冷凍機油を冷媒から分離するオイルセパレータ(図示せず)が設けられている場合(オイルレートが1%未満)を示しており、図13は、冷凍サイクルにオイルセパレータが設けられていない場合(オイルレートが1〜5%)を示している。
また、図12および図13において、実線は本実施形態に係る伝熱管1を、一点鎖線は比較例に係る伝熱管1を、破線はCu溝付管をそれぞれ示している。なお、図12および図13中には、本実施形態に係る伝熱管1として、フィン高さHを0.15mmから0.3mmの間で4段階変化させた場合のそれぞれにおける溝数Nと管外径Dとの比N/Dと熱伝達率向上比との関係を示している。
図12に示すように、冷凍サイクルにオイルセパレータが設けられている場合、従来技術であるCu溝付管では、最大で平滑管の熱伝達率の2.1倍程度まで熱伝達率を向上させることができる。一方、比較例の伝熱管1、すなわちCu溝付管と同様の形状の伝熱管をアルミニウムまたはアルミニウム合金で構成したものでは、最大で平滑管の熱伝達率の1.3倍程度までしか熱伝達率を向上させることができない。
これに対し、本実施形態の伝熱管1では、従来技術であるCu溝付管と同様に、最大で平滑管の熱伝達率の2.1倍程度まで熱伝達率を向上させることができる。具体的には、溝数Nと管外径Dとの比N/Dを4以上、9以下の範囲とすることで、平滑管の熱伝達率の約1.7倍の熱伝達率を確保することができる。
また、図13に示すように、冷凍サイクルにオイルセパレータが設けられていない場合、従来技術であるCu溝付管では、最大で平滑管の熱伝達率の1.9倍程度まで熱伝達率を向上させることができる。一方、比較例の伝熱管1、すなわちCu溝付管と同様の形状の伝熱管をアルミニウムまたはアルミニウム合金で構成したものでは、最大で平滑管の熱伝達率の1.3倍程度までしか熱伝達率を向上させることができない。
これに対し、本実施形態の伝熱管1では、従来技術であるCu溝付管と同様に、最大で平滑管の熱伝達率の1.9倍程度まで熱伝達率を向上させることができる。具体的には、溝数Nと管外径Dとの比N/Dを4以上、7.5以下の範囲とすることで、平滑管の熱伝達率の約1.7倍の熱伝達率を確保することができる。
続いて、フィン高さHとフィン巾W2との比H/W2と熱伝達率向上比との関係を図14に示す。図14に示すように、フィン高さHとフィン巾W2との比H/W2が小さくなると、溝11内に冷凍機油が滞留しやすくなり、これにより伝熱性能が急激に低下する。一方、フィン高さHとフィン巾W2との比H/W2が大きくなると、拡管子による伝熱管1の拡管の際にフィン12が倒れるフィン倒れが発生し、伝熱性能が低下する。このため、フィン高さHとフィン巾W2との比H/W2を0.5以上、1.7以下の範囲とすることで、伝熱性能を向上させることができる。
続いて、フィン高さHと伝熱管1の構成材料であるアルミニウムまたはアルミニウム合金の引張り強度σとの比H/σと熱伝達率向上比との関係を図15に示す。なお、本実施形態では、伝熱管1の構成材料の引張り強度σは、95MPa以上に設定されている。
図15に示すように、フィン高さHと引張り強度σとの比H/σが小さくなると、フィン12による冷媒撹拌効果が小さくなることで伝熱性能が急激に低下する。一方、フィン高さHと引張り強度σとの比H/σが大きくなると、拡管子による伝熱管1の拡管の際にフィン12が倒れるフィン倒れが発生し、伝熱性能が低下する。
このため、フィン高さHと引張り強度σとの比H/σを0.0014以上、0.004以下の範囲とすることで、伝熱性能を向上させることができる。特に、伝熱性能が最も高くなる溝数Nと管外径Dとの比N/Dが7の場合では、フィン高さHと引張り強度σとの比H/σを0.002以上、0.004以下の範囲とすることで、伝熱性能を向上させることができる。
続いて、リード角θと熱伝達率向上比との関係を図16に示し、リード角θと冷媒の圧力損失上昇比との関係を図17に示し、リード角θと熱交換器の性能比との関係を図18に示す。図17の縦軸は、伝熱管1を平滑管としたフィンアンドチューブ式熱交換器に対する冷媒の圧力損失の上昇比を示している。また、図18の縦軸に示す熱交換器の性能比は、伝熱管1を平滑管としたフィンアンドチューブ式熱交換器の熱交換性能を1として表した熱交換性能の値である。
図16に示すように、リード角θが10°より小さくなると、伝熱管1内の冷媒の流れが螺旋状から直線状に近くなるため、高渇き度領域においてドライアウトし、熱伝達率が低下する。一方、図17に示すように、リード角θが大きくなるにつれて、冷媒の圧力損失が上昇する。
このため、リード角θを10°以上、40°以下の範囲とすることで、図18に示すように熱交換性能を向上させることができる。具体的には、熱交換性能を平滑管の1.05倍まで向上させることができる。
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、以下のように種々変形可能である。
(1)上記実施形態では、溝11を、伝熱管1の管軸と傾斜する方向に延びるように形成した例について説明したが、これに限らず、溝11を、伝熱管1の管軸と平行に延びるように形成してもよい。
(2)上記実施形態では、伝熱管1を、引き抜き加工により管を形成した後、この管の内面に転造加工を施すことにより形成した例について説明したが、伝熱管1の製造方法はこれに限定されない。例えば、伝熱管1を、押出し成形により形成してもよいし、転造加工を施した板状部材を曲げて溶接したもの(電縫管)により構成してもよい。
1 内面溝付伝熱管
11 溝
12 フィン

Claims (5)

  1. 冷凍機油を含有する二酸化炭素を冷媒として使用する熱交換器の蒸発器用内面溝付伝熱管であって、
    アルミニウムまたはアルミニウム合金により構成された伝熱管(1)を備えており、
    前記伝熱管(1)内面に、前記伝熱管(1)の管軸と平行または傾斜する方向に延びる複数個の溝(11)が形成されており、
    隣り合う前記溝(11)間には、複数個のフィン(12)が形成されており、
    前記伝熱管(1)の管外径をD(単位:mm)、前記溝(11)の個数をN、前記フィン(12)の高さをH(単位:mm)、前記フィン(12)の巾をW2(単位:mm)としたとき、前記管外径および前記溝(11)の個数が、4≦N/D≦9の関係を満たしており、かつ、前記フィン(12)の高さおよび前記フィン(12)の巾が、0.5≦H/W2≦1.7の関係を満たしていることを特徴とする蒸発器用内面溝付伝熱管。
  2. 前記管外径および前記溝(11)の個数が、4≦N/D≦7.5の関係を満たしており、かつ、前記フィン(12)の高さおよび前記フィン(12)の巾が、0.5≦H/W2≦1.7の関係を満たしていることを特徴とする請求項1に記載の蒸発器用内面溝付伝熱管。
  3. 前記伝熱管(1)内面における前記管軸方向に平行な直線と前記溝(11)が延びる方向とが成す角度であるリード角(θ)が、10°以上、40°以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の蒸発器用内面溝付伝熱管。
  4. 前記伝熱管(1)の構成材料であるアルミニウムまたはアルミニウム合金の引張り強度をσ(単位:MPa)としたとき、前記フィン(12)の高さおよび前記構成材料の引張り強度が、0.0014≦H/σ≦0.004の関係を満たしていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の蒸発器用内面溝付伝熱管。
  5. 前記フィン(12)の高さおよび前記構成材料の引張り強度が、0.002≦H/σ≦0.004の関係を満たしていることを特徴とする請求項4に記載の蒸発器用内面溝付伝熱管。
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