JP2015164005A - 監視装置、監視方法及びプログラム - Google Patents
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Abstract
Description
このような監視方法によれば、障害の発生を事前に予測でき、障害発生前に対策を講じることができるため、保守作業員等の負担を軽減するとともに機器の稼働率を向上させることができる。
その一方で、システムの構成機器の数及び各々の間で送受信される情報量が増加し、これに伴って各々の構成機器において記録されるログ情報も膨大なものとなっている。このような膨大なログ情報の中から障害の実態を精度よく把握するのに必要な数値を個別に抽出しながら障害の解析を行うのは現実的ではない。
以下、第1の実施形態に係る監視装置を、図面を参照して説明する。
図1は、第1の実施形態に係る監視装置の機能構成を示す図である。
本実施形態に係る監視装置1は、例として、有料道路等に設けられる料金収受システムを監視する場合を説明する。
例えば、車両分離器により車両の進入が検知されると、当該検知情報に基づいて、料金収受機械が通行券を発行する。また、当該料金収受機械において通行券が取得されたことが検知されると、当該検知情報に基づいて、発進制御機の開閉バーが開かれる。このように、料金収受システムは、様々な装置がリアルタイムで情報通信を行いながら互いの処理動作を連携する。また、各構成機器2A、2B、・・・は、各々が実施する処理や情報の送受信の日時及びその内容をログ情報として定常的に記録し、蓄積している。
後述するように、本実施形態に係る監視装置1は、料金収受システム2を監視の対象とし、各構成機器2A、2B、・・・が記録するログ情報を取得する。なお、本実施形態に係る監視装置1は、同一の構成機器からなる複数の料金収受システム2が設置された料金所に設けられ、その各々からログ情報を取得して、当該複数の料金収受システム2毎に、ログ情報に基づく監視処理を行う。
なお、料金収受システム2が複数存在する場合は、取得したログ情報を、各料金収受システム2を識別する識別情報と関連付ける処理を行ってもよい。取得するログ情報を料金収受システム2ごとに識別することで、監視装置1は、複数の料金収受システム2各々について同時並列的に監視処理を行うことができる。
例えば、特徴ベクトル抽出部11は、ログ情報のうちある構成機器間で行われた特定の通信処理cについての記録を抽出し、所定の期間(例えば、直近の一週間)中に発生した当該特定の通信処理cにおける通信リトライ回数や通信データ量を数値として取得する。さらに、特徴ベクトル抽出部11は、各々の数値を、当該数値ごとに定められる平均値や標準偏差等に基づいて正規化する処理を行う。このようにすることで、異なる種類の数値の大小や増減を同一の尺度で表現することができる。特徴ベクトル抽出部11は、ログ情報及びそのログ情報から抽出した特徴ベクトルをログ情報データベース12に記憶して蓄積する。
また、本実施形態に係る特徴ベクトル抽出部11は、料金収受システム2の通常稼働時における複数のログ情報から平均特徴ベクトルを算出する平均特徴ベクトル算出部110を備えている。この平均特徴ベクトル算出部110については後述する。
なお、上述の変形例として、特徴ベクトル抽出部11は、ログ情報に記録された情報以外の情報、例えば、天候や温度、湿度等の入力を受け付けてもよい。そして、特徴ベクトル抽出部11は、ログ情報に基づく特徴ベクトルの抽出に際し、当該温度や湿度の依存性が高い数値について数値の補正を行う補正部を備えていてもよい。
障害情報処理部14は、関連付けた障害時特徴ベクトルと障害情報とを障害データベース15に記憶して蓄積する。この際、障害情報処理部14は、入力された障害情報のうち、障害が発生した構成機器名や型番、障害の原因等の情報に基づいて、特定の障害区分(カテゴリ)に分類しながら記憶する。このようにすることで、料金収受システム2において新たに発生した障害が過去に発生した障害と同一のものと判断される場合には、障害情報データベース15において、当該新たな障害に紐づいた障害時特徴ベクトルが同一の障害区分に分類されながら蓄積される。
例として、特徴ベクトル抽出部11は、料金収受システム2の特徴ベクトルとして、構成機器の一つ(構成機器2Aとする)である「中継通信機器(ルーター)」が出力するログ情報に基づき、図2に示すような12個の数値(特徴量)からなる特徴ベクトルを抽出する。ここで、数値P1、P2、・・・、P12は、中継通信機器(構成機器2A)と他の構成機器各々との間における通信状況の特徴や傾向を示すものとして選択された数値群(通信の頻度、通信リトライ回数、通信データ量等)である。数値P4は、例えば、構成機器Bとの間で行われる所定の通信処理cの通信リトライ回数、数値P10は、当該通信処理cの通信データ量である。
例えば、特徴ベクトル抽出部11は、数値P4(通信処理cの通信リトライ回数)、数値P10(通信処理cの通信データ量)がいずれも正規分布に従うものとして、図2における「50」を平均値μ、「0」及び「100」が各々−3σ、+3σ等に相当するようにその尺度を設定する。
なお、上述した正規化処理は、一例であって、選択された数値によっては他の統計分布に従うものもある。この場合、特徴ベクトル抽出部11は、数値ごとに適切な統計分布に基づいた正規化処理を行う。
なお、平均特徴ベクトル算出部110は、平均値μを算出するにあたって参照する複数の通常時特徴ベクトルの各数値P1、P2、・・・のうち明らかな異常値については棄却判定を行い、平均値μ等の算出処理に含まないものとしてもよい。
上述したように、障害情報処理部14は、障害時特徴ベクトルと、その障害についての障害情報と、を関連付けながら障害情報データベース15に記憶、蓄積する。
具体的には、まず、料金収受システム2の運用中に障害が発生し、その修繕作業が行われた際、或いは、料金収受システム2の定期点検や特別点検(料金所からの依頼により非定期に行われる点検)を通じて障害が認められた際、保守作業員が障害情報入力部13を通じて、その障害の内容を示す障害情報を入力する。このとき、障害情報処理部14は、入力される障害情報に基づいて、発生した障害を所定の区分に分類しながら記憶する。具体的には、図3に示すように、発生した障害は、障害の区分として、障害A、障害B、障害C、・・・等と分類される。例として、障害情報処理部14は、図3に示すように、構成機器2A(中継通信機器)の全体制御を司るプロセッサ部品に故障が発生していた場合を「障害A」、通信用のコネクタケーブルの劣化により引き起こされる通信回線品質が生じていた場合を「障害B」、通信制御用IC部品に故障が発生していた場合を「障害C」等と分類する。
以上のようにして、障害情報データベース15には、図3に示すような障害情報と障害時特徴ベクトルとが関連付けられた情報群が蓄積される。
障害Aの発生直前の状態を示す障害時特徴ベクトルVs1は、全体的に小さいチャートとなっている。ここで、障害Aにおいては、該当する構成機器2A(中継通信機器)の全体制御を司るプロセッサ部品の故障が発生していた。したがって、構成機器2Aにおいて通信処理が行われる頻度が低下し、通信リトライ回数(数値P4)、通信データ量(数値P10)をはじめ、その他の通信に関する数値も小さくなっている。
上述したように、障害予測部16は、料金収受システム2の通常稼働時に取得されるログ情報に基づいて抽出された通常時特徴ベクトルが、障害情報データベース15に蓄積された障害時特徴ベクトルの何れに類似するかの判断を行う。具体的には、障害予測部16は、料金収受システム2の通常稼働時において定期的(例えば一週間ごと)にログ情報データベース12にアクセスし、通常稼働時における当該定期期間内に蓄積されたログ情報に基づく特徴ベクトル(通常時特徴ベクトル)を参照する。
例えば、障害予測部16は、ログ情報データベース12を参照して、料金所の走行レーンごと(走行レーンX1、X2、X3、・・・)に設置された複数の料金収受システム2の各々に基づいて抽出された通常時特徴ベクトルV1、V2、V3、・・・(図4参照)を取得する。
例えば、通常時特徴ベクトルV1は、数値P1〜P12の各数値全てがほぼ平均値μに近い状態であり、障害予測部16は、障害時特徴ベクトルVs1、Vs2、Vs3(図3)には類似しないと判断する。よって、通常時特徴ベクトルV1が取得された料金収受システム2は、現時点において障害の予兆がなく、健全な状態にあると推測される。
障害予測部16は、通常時特徴ベクトルV1、V2、・・・及び障害時特徴ベクトルVs1、Vs2、・・・に含まれる数値(数値P1、P2、・・・)の各々の差から算出される相違度Dを算出し、当該相違度Dに基づいて、通常時特徴ベクトルV1、V2、・・・と、障害時特徴ベクトルVs1、Vs2、・・・との対比を行う。
ここで、相違度Dは、例えば、対比する特徴ベクトルに含まれる数値P1、P2、・・・ごとの差の絶対値の平均値である。具体的には、2つの特徴ベクトルの数値Pnについての差の絶対値を|ΔPn|で表すと、相違度D=(|ΔP1|+|ΔP2|+・・・+|ΔP12|)/12となる。なお、相違度Dの算出手法はこれに限定されず、例えば、各特徴ベクトルに含まれる数値ごとの差の二乗和の平方根により求められる値であってもよい。
障害予測部16は、この相違度Dが低いほど、2つの特徴ベクトルは類似していると判断する。
上記の例の場合、障害予測部16は、通常時特徴ベクトルV1、V2、・・・が現段階において記憶されている障害時特徴ベクトルVs1、Vs2、・・・のいずれよりも平均特徴ベクトルVaに類似すると判断し、これにより、障害予測部16は、走行レーンX1に設置された料金収受システム2の稼働状況は健全であると判定する。
逆に、例えば、「障害A」の障害時特徴ベクトルVs1の相違度Dが、RANK1であった場合、障害予測部16は、走行レーンX1の料金収受システム2に障害Aの予兆があると判断し、その旨を通知するための警報信号を出力する。
この場合、障害予測部16は、障害Cの障害時特徴ベクトルVs3との相違度Dと、平均特徴ベクトルVaとの相違度Dと、の差が所定の判定閾値ΔDth(例えば、ΔDth=1)を下回っていたことを受け、走行レーンX2の料金収受システム2に障害Cの予兆があると判断し、その旨を通知するための警告信号を出力してもよい。
さらに、障害予測部16は、異なる二つの障害(例えば、障害Aと障害C)との相違度が、それぞれRANK1、RANK2となっており、なおかつ、これらの相違度Dが近かった(ΔDthを下回っていた)場合は、この構成機器2A、2B、・・・に二つの障害A、障害Cが同時に発生し得ることを通知してもよい。
図5を用いて説明した障害予測部16の処理の具体的な処理フローの例を、図6を参照しながら説明する。
障害予測部16は、例えば、新たな通常時特徴ベクトルV1、V2、・・・が蓄積されるごとに、図6に示すような処理フローを開始する。
次に、障害予測部16は、障害情報データベース15を参照して、現時点における平均値特徴ベクトルVa、及び、現時点において記憶されている障害時特徴ベクトルVs1、Vs2、・・・(図3)を取得する(ステップS11)。
そして、障害予測部16は、取得した通常時特徴ベクトルV1と、平均特徴ベクトルVa、及び、各障害時特徴ベクトルVs1、Vs2、・・・、とが類似しているか否かの判断処理を行う(ステップS12)。この判断処理とは、具体的には、図5に示したような、相違度Dに基づくランキングを作成する処理である。
平均特徴ベクトルVaがRANK1であった場合(ステップS13:YES)は、障害予測部16は、さらに、平均特徴ベクトルVaの相違度Dに近い障害時特徴ベクトルがないかを判定する(ステップS14)。
平均特徴ベクトルVaの相違度Dに近いものがない場合(ステップS14:NO)、障害予測部16は、この料金収受システム2の稼働状況は健全であると判断して処理を終了する。
また、監視装置1によれば、発生の兆候が認められる障害の種類を特定することができるので、その障害に応じた準備(緊急出動態勢)を整えておくことができる。これにより、障害の発生を未然に防ぐように対応でき、また、発生しても復旧時間を短縮することができるので、システムの稼働率を向上させることができる。
また、このようにすることで、構成機器及びその態様が異なる複数のシステムを同時に監視対象とすることもできる。
ここで、予め定められた固定値に従って稼働状況の健全性の可否判定を行った場合、システムの稼働時間に応じて本来的に変動していく数値が含まれていた場合、当該システムが健全であるにも関わらず、当該変動した数値と上記固定値との対比に基づいて「障害の予兆がある」と判定されてしまうことが想定される。本実施形態に係る監視装置1によれば、動的に算出される平均特徴ベクトルとの対比に基づいて判定を行うので、健全な数値変動の要素が除外され、一層精度よく障害の予測を行うことができる。
ここで、障害情報処理部14が同一の障害(例えば「障害A」)について複数の障害特徴ベクトルを蓄積した際に、同じ「障害A」に区分されるにも関わらず、当該複数の障害時特徴ベクトルの傾向に統一性が見いだせない場合、或いは、障害の傾向そのものを把握できない場合が想定される。この場合、保守作業員は、「障害A」としての傾向が見いだせるように、上記数値指定受付部を介して、特徴ベクトルの数値P1、P2、・・・を再選択する。保守作業員による指定を受け付けた障害情報処理部14は、ログ情報データベース12に蓄積されていたログ情報を参照して、各種特徴ベクトルを再抽出する。保守作業員は、再抽出された特徴ベクトルを確認しながら、障害の予測に必要な数値の組み合わせを検討することができる。
次に、第2の実施形態に係る監視装置1について説明する。
第2の実施形態に係る監視装置1は、障害予測部16における障害の予測処理の点で、第1の実施形態と異なる。以下、順を追って予測処理の例を説明する。
図7は、第2の実施形態に係る監視装置が監視対象とする料金収受システムの構成を示す図である。
第2の実施形態に係る監視装置1は、図7に示すような料金収受システム2のログ情報を取得して、障害発生の予測を行う。
監視対象とする料金収受システム2は、例として電子料金収受システムであって、図7に示すように、構成機器2Mが、構成機器2A、2B、2Cのそれぞれと個々に通信を行う態様で構成されている。例えば、構成機器2Mは、ICカードリーダ、構成機器2A、2B、2Cは、それぞれICカード、ICカードに対してデータ処理を行うデータ処理装置、読み取られたICカードのデータに基づいて課金等の料金収受処理を行う決済処理装置である。
本実施形態において、特徴ベクトル抽出部11は、図7に示した料金収受システム2の特徴ベクトルとして12個の数値が選択されている。ここで、数値Mは、構成機器2M自身の機械動作(ICカードの挿入、取り出し)に関する数値である。また、数値A1〜A7は、構成機器2Mから構成機器2Aに委託される処理に関する数値、数値B1〜B3は、構成機器2Mから構成機器2Bに委託される処理に関する数値、そして、数値C1は、構成機器2Mから構成機器2Cに委託される処理に関する数値である。
なお、本実施形態においては、図8に示すように、特徴ベクトルを構成する数値のうち、関連性の強い数値同士をチャート内において特定方向に偏るように設定している。例えば、構成機器2Aとの通信に関する数値A1〜A7は、全体としてチャートの右下側に偏るように隣接して設定される。
本実施形態に係る障害情報処理部14の処理は、第1の実施形態と同等である。すなわち、本実施形態に係る料金収受システム2に発生した障害についての障害情報と、その発生時直前に取得されていたログ情報に基づいて抽出された障害時特徴ベクトルと、を関連付けて障害情報データベース15に蓄積する。
例として、障害Aは、構成機器2Cの電子部品αの劣化によりソフトウェアが暴走し、料金収受システム2の運用を停止するに至った障害であったとする。この場合、障害Aの発生直前の状態を示す障害時特徴ベクトルVs1は、構成機器2Cに関わる数値Cのみが突出して増加し、それ以外の数値は平均値近傍となっている。
また、障害Bは、構成機器2Aとの通信に使用される構成機器2Mの信号接点金具の劣化(汚れ、摩耗)により通信異常が頻発した結果、料金収受システム2の運用において何度も通信処理のリトライがなされ、円滑な運用ができない状態となった障害を表している。障害Bの発生直前における障害時特徴ベクトルVs2は、数値A1〜A7のいくつかが平均値μより大きいチャートとなっている。
障害Cは、構成機器2Bの主要な電子部品である主制御用ICの熱損傷により機能が停止しため、料金収受システム2の運用を一時停止した障害を表している。これに関連して、障害Cの発生直前における障害時特徴ベクトルVs3は、数値B2、B3が突出して増加している。
本実施形態に係る障害予測部16は、第1の実施形態と同様に、ログ情報データベース12を参照して、通常稼働中における複数の料金収受システム2(図7)の各々のログ情報から抽出された通常時特徴ベクトルV1、V2、V3、・・・を取得する。例として、障害予測部16は、走行レーンX1〜X3に設置された3つの料金収受システム2のそれぞれについて、通常稼働中における直近の所定期間内のログ情報に基づいて抽出された通常時特徴ベクトルV1〜V3(図10)を取得した場合を考える。
図11には、障害A、B、Cについての障害時特徴ベクトルVs1、Vs2、Vs3(図9)及び走行レーンX1〜X3に設置された料金収受システム2それぞれについての通常時特徴ベクトルV1〜V3の重心位置を示している。ここで、重心位置とは、仮想空間であるチャート平面(xy平面)上における特徴ベクトルの各数値の平均値である。重心位置は、チャート平面上において、特徴ベクトルに含まれる数値により一意に定まる。
本実施形態に係る障害予測部16は、互いの特徴ベクトルの重心位置の距離に基づいて類似しているか否かの判断を行う。
ここで、本実施形態に係る障害予測部16は、例えば、通常時特徴ベクトルV1の重心位置(x1、y1)と、障害時特徴ベクトルVs1の重心位置(x2、y2)との距離dが所定の判定閾値dth以下となる場合に、通常時特徴ベクトルV1が障害時特徴ベクトルVs1に類似すると判断し、その旨を通知する処理を行う。これにより、保守作業員は、走行レーンX1の料金収受システム2について、構成機器2Cの修繕作業を要することを認知することができる。
なお、距離dは、d={(x1−x2)2+(y1−y2)2}1/2により求められる。
具体的には、例えば図11において、障害Cの障害時特徴ベクトルVs3の重心位置と、通常時特徴ベクトルV3の重心位置との距離dは比較的離れており、距離の判定閾値dthによっては障害Cの予兆が検出されない。しかし、図11に示すように、2つの特徴ベクトルの重心位置が推移した方位はいずれもチャート平面左側で、ほぼ一致している。この場合、障害予測部16は、通常時特徴ベクトルV3の重心位置の方位θが、障害時特徴ベクトルVs3の重心位置の方位θsに対しθs±Δθの範囲に収まるか否かを判定し、当該判定結果に基づいて料金収受システム2における障害Cの発生を予測するようにしてもよい。
以上のように、推移する方位θを対比することで、障害予測部16は、重心位置が所定の距離範囲内に近づく前に発生し得る障害を特定することができ、障害発生の兆候及びその原因箇所を早期に発見することができる。
第2の実施形態の変形例として、障害予測部16は、さらに、特徴ベクトルに含まれる数値(数値M、A1〜A7、B1〜B3、C1)のうち、特定の障害と関連性が高い数値である特徴値同士の比較に基づいて、通常時特徴ベクトルV1、V2、・・・と、障害時特徴ベクトルVs1、Vs2、・・・との類否判断を行うようにしてもよい。
この場合、当該変形例に係る障害予測部16は、まず、第2の実施形態と同様に、その重心位置の対比に基づいて、通常時特徴ベクトルがいずれの障害時特徴ベクトルに類似しているかを判断する。しかし、この場合、通常時特徴ベクトルV4の重心位置は全体として平均値(原点0)に近いものとなっており、その推移する方位からも障害時特徴ベクトルVs1、Vs2、Vs3との共通性は見受けられない(図11参照)。したがって、障害予測部16は、重心位置に基づく類否判断によって、当該料金収受システム2は健全な稼働状態にあると判定する。
このようにすることで、当該変形例に係る障害予測部16は、重心位置の比較のみでは見逃されていた共通性に基づいて、一層精度よく障害の発生を予測することができる。
この場合、障害情報処理部14は、監視装置1が備える表示部(モニタ)を介して、蓄積された障害時特徴ベクトルのチャート図を保守作業員に表示させる表示指示部と、表示されたチャート図に基づいた保守作業員の判断による特徴値の指定を受け付ける特徴値指定受付部を備えるものとする。
上述の変形例の場合、類否判断の手法によっては判断結果が異なる場合がある。
この場合、障害予測部16は、図13に示すように、障害予測の通知処理として、当該判断方法ごとに予測される障害を表示するようにしてもよい。例えば、障害予測部16は、通常時特徴ベクトルV4と、各障害時特徴ベクトルVs1、Vs2、・・・、及び平均特徴ベクトルVaとの対比の結果を、その判断方法ごとに表示する。図13において、例えば、判断方法m1は「相違度D」に基づく判断、判断方法m2は「重心位置」に基づく判断、判断方法m3は「特徴値」に基づく判断である。
障害予測部16が、判断方法ごとにその判断結果を通知することにより、保守作業員は、障害の予兆を詳細かつ多角的に把握することができる。例えば、図13に示すような判断結果によれば、現段階における稼働状況は健全に近いものの、今後、障害Bの発生に進行する可能性があり、注視する必要があることを判断することができる。
このようにすることで、保守作業員は、今までに蓄積された障害時特徴ベクトルのいずれにも該当しない新たな現象が発生しつつある場合に、その現象に起因して障害が発生する前にそのことを認識し、対策を講じることができる。
10・・・ログ情報取得部
11・・・特徴ベクトル抽出部
12・・・ログ情報データベース
13・・・障害情報入力部
14・・・障害情報処理部
15・・・障害情報データベース
16・・・障害予測部
2・・・料金収受システム
2A、2B、2C、・・・構成機器
Claims (10)
- 少なくとも一つの構成機器を有するシステムを監視する監視装置であって、
前記構成機器が出力するログ情報を取得するログ情報取得部と、
前記ログ情報に基づいて複数種類の数値からなる特徴ベクトルを抽出する特徴ベクトル抽出部と、
前記システムで発生した障害についての障害情報の入力を受け付ける障害情報入力部と、
前記特徴ベクトルのうち前記障害の発生の所定時間前から当該障害の発生時までに取得されていたログ情報に基づいて抽出された障害時特徴ベクトルと、当該障害についての障害情報と、を関連付けて記憶する障害情報処理部と、
前記特徴ベクトルのうち前記システムの通常稼働時に取得されるログ情報に基づいて抽出された通常時特徴ベクトルが、前記障害時特徴ベクトルの何れに類似するかの判断に基づいて、前記システムで発生する障害を予測する障害予測部と、
を備える監視装置。 - 前記障害予測部は、
前記通常時特徴ベクトル及び前記障害時特徴ベクトルに含まれる数値の各々の差から算出される相違度を算出し、当該相違度に基づいて、前記通常時特徴ベクトルが前記障害時特徴ベクトルの何れに類似するかを判断する
ことを特徴とする請求項1に記載の監視装置。 - 前記障害予測部は、
仮想空間内において、前記特徴ベクトルに含まれる数値により一意に定まる重心位置の比較に基づいて、前記通常時特徴ベクトルが前記障害時特徴ベクトルの何れに類似するかを判断する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の監視装置。 - 前記障害予測部は、
前記特徴ベクトルに含まれる数値のうち特定の障害と関連性が高い特徴値同士の比較に基づいて、前記通常時特徴ベクトルが前記障害時特徴ベクトルの何れに類似するかを判断する
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の監視装置。 - 複数の通常時特徴ベクトルに含まれる数値ごとの平均値からなる平均特徴ベクトルを算出する平均特徴ベクトル算出部を備え、
前記障害予測部は、
前記通常時特徴ベクトルが前記障害時特徴ベクトルよりも前記平均特徴ベクトルに類似すると判断した場合に、前記システムは健全に稼働していると判定する
ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の監視装置。 - 前記障害予測部は、
前記通常時特徴ベクトルが前記障害時特徴ベクトルまたは前記平均特徴ベクトルのいずれにも類似しないと判断した場合に、前記システムにおいて未知の障害の予兆があると判定する
ことを特徴とする請求項5に記載の監視装置。 - 前記システムは、前記構成機器を二つ以上有し、
前記特徴ベクトル抽出部は、二つ以上の前記構成機器の間において行われる処理を示すログ情報に基づいて前記特徴ベクトルを抽出する
ことを特徴とする請求項1から請求項6の何れか一項に記載の監視装置。 - 前記特徴ベクトルを構成する数値の種別の指定を受け付ける数値指定受付部を備え、
前記特徴ベクトル抽出部は、当該指定を受け付けた際に、当該指定された種別の数値を含む特徴ベクトルを、前記ログ情報から再抽出する
ことを特徴とする請求項1から請求項7の何れか一項に記載の監視装置。 - 少なくとも一つの構成機器を有するシステムの監視方法であって、
ログ情報取得部が、前記構成機器が出力するログ情報の入力を受け付け、
特徴ベクトル抽出部が、前記ログ情報に基づいて複数種類の数値からなる特徴ベクトルを抽出し、
障害情報入力部が、前記システムで発生した障害についての障害情報の入力を受け付け、
障害情報処理部が、前記特徴ベクトルのうち前記障害の発生の所定時間前から当該障害の発生時までに取得されていたログ情報に基づいて抽出された障害時特徴ベクトルと、当該障害についての障害情報と、を関連付けて記憶し、
障害予測部が、前記特徴ベクトルのうち前記システムの通常稼働時に取得されるログ情報に基づいて抽出された通常時特徴ベクトルが、前記障害時特徴ベクトルの何れに類似するかの判断に基づいて、前記システムで発生する障害を予測する
ことを特徴とする監視方法。 - 少なくとも一つの構成機器を有するシステムを監視する監視装置のコンピュータを、
前記構成機器が出力するログ情報の入力を受け付けるログ情報入力手段、
前記ログ情報に基づいて複数種類の数値からなる特徴ベクトルを抽出する特徴ベクトル抽出手段、
前記システムで発生した障害についての障害情報の入力を受け付ける障害情報入力手段、
前記特徴ベクトルのうち前記障害の発生の所定時間前から当該障害の発生時までに取得されていたログ情報に基づいて抽出された障害時特徴ベクトルと、当該障害についての障害情報と、を関連付けて記憶する障害情報処理手段、
前記特徴ベクトルのうち前記システムの通常稼働時に取得されるログ情報に基づいて抽出された通常時特徴ベクトルが、前記障害時特徴ベクトルの何れに類似するかの判断に基づいて、前記システムで発生する障害を予測する障害予測手段、
として機能させるプログラム。
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