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JP2015151341A - 2剤混合型スキンケア剤並びにこれに用いられる磁性体粉含有剤及び液状剤 - Google Patents

2剤混合型スキンケア剤並びにこれに用いられる磁性体粉含有剤及び液状剤 Download PDF

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JP2015151341A JP2014023918A JP2014023918A JP2015151341A JP 2015151341 A JP2015151341 A JP 2015151341A JP 2014023918 A JP2014023918 A JP 2014023918A JP 2014023918 A JP2014023918 A JP 2014023918A JP 2015151341 A JP2015151341 A JP 2015151341A
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Abstract

【課題】低コストかつ長期間に渡って品質を維持できるスキンケア剤を提供する。
【解決手段】2剤混合型スキンケア剤1は、磁性体粉含有剤からなる第1剤2及び液状剤からなる第2剤3を混合して使用される。2剤混合型スキンケア剤1は、美容成分を含有すると共に、塗布された肌から磁力により磁性体粉21を吸着除去可能に構成されている。第1剤2は、レーザー回折散乱法により得られる粒径分布から求めた体積平均粒径が20〜150μmである磁性体粉21を含むと共に粉状を呈している。美容成分は、第1剤2及び第2剤3の少なくとも一方に含まれている。
【選択図】図1

Description

本発明は、磁性体粉及び美容成分を含有する2剤混合型のスキンケア剤に関する。
肌の美容のために用いられるスキンケア剤として、肌に塗布してから暫く時間を置いた後に除去することにより、肌の汚れや老廃物等をスキンケア剤とともに除去するものがある。このようなスキンケア剤を肌から除去する方法としては、コットン等による拭き取りや、ぬるま湯等により洗い落とす方法が一般的である。最近では、これらの一般的方法よりもより簡便に使用後のスキンケア剤を除去する方法が望まれている。
例えば特許文献1には、コーティングされた鉄粉を配合したパック剤が記載されている。パック剤中に鉄粉を配合することにより、使用後のパック剤を塗布された肌から磁力により容易に除去することができ、肌の汚れや老廃物をパック剤と一緒に除去することができる。
また、パック剤を用いて肌の汚れ等を除去する作業を行った後に、肌に栄養分を補給する栄養成分や、美白効果を付与する美白成分等の美容成分を肌内部に浸透させ、これらの美容成分による美容効果を得ることも、肌の美容には有効である。
特開2004−155720号公報
肌に塗布したスキンケア剤に含まれる磁性体粉は、磁性体粉全体に作用する磁力が大きいほど肌表面から容易に吸着除去することができる。それ故、磁性体粉全体に作用する磁力を大きくする観点からは、磁化の大きい鉄粉や黒酸化鉄を磁性体粉として用いることが好ましい。しかしながら、鉄粉や黒酸化鉄を含有するスキンケア剤は、時間が経つにつれて作製当初の香りが変化し、スキンケア剤として好ましくない異臭になるという問題がある。
この現象は、例えば以下のような原因により起こると考えられる。鉄粉の主成分である金属鉄は、容易に酸化される。また、黒酸化鉄の主成分であるマグネタイトは、2価の鉄と3価の鉄との両方を含む混合原子価化合物であるため、酸化剤または還元剤との接触により、鉄の酸化数が変化し得る。このように、鉄粉や黒酸化鉄を構成する粒子の表面は、化学反応が起こりやすい状態になっていると考えられる。そして、粒子表面の反応性が高い場合には、スキンケア剤に含まれる美容成分、油系成分及び香料等が粒子と接触して変質したり、粒子の表面に香料等が吸着されたりする等の現象が起こり、ひいてはスキンケア剤の香りを変化させると考えられる。
また、金属鉄やマグネタイトを含有する磁性体粉は、スキンケア剤に予め含まれる水分や、スキンケア剤に吸収された大気中の湿気等によって酸化され、さびが生じるという問題がある。さびが生じるまで酸化が進行した磁性体粉は、磁気特性が劣化するため、肌からの吸着除去が困難となる。また、磁性体粉のさびは、スキンケア剤に配合して使用する上で、外観上好ましいものではない。
上述したスキンケア剤の香りの変質やさびの発生等の対策として、例えば特許文献1のように、磁性体粉の表面にコーティングを施す方法がある。しかしながら、磁性体粉にコーティングを施す場合には、スキンケア剤全体のコストアップを招くという問題がある。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、低コストかつ長期間に渡って品質を維持できるスキンケア剤を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、磁性体粉含有剤からなる第1剤及び液状剤よりなる第2剤を混合して使用される2剤混合型のスキンケア剤であって、
該スキンケア剤は、美容成分を含有すると共に、塗布された肌から磁力により磁性体粉を吸着除去可能に構成されており、
上記第1剤は、レーザー回折散乱法により得られる粒径分布から求めた体積平均粒径が20〜150μmである上記磁性体粉を含むと共に粉状を呈しており、
上記美容成分は、第1剤及び上記第2剤の少なくとも一方に含まれていることを特徴とする2剤混合型スキンケア剤にある。
上記2剤混合型スキンケア剤(以下、適宜「スキンケア剤」という。)は、上記第1剤と上記第2剤とを混合して使用するよう構成されている。つまり、上記第1剤と上記第2剤とを別々に保管し、使用前に上記第1剤と上記第2剤とを混合して上記スキンケア剤を作製するように構成されている。そのため、上記第1剤に含まれる上記磁性体粉と、上記第2剤とが保管中に直接接触することがない。また、例えば、使用の都度、必要な量の上記スキンケア剤を作製することにより、上記磁性体粉と上記第2剤とが直接接触している時間を十分に短くすることができる。これらの結果、スキンケア剤の香りの変質やさびの発生等を防止することができる。
また、上記磁性体粉と上記第2剤とが直接接触している時間を十分に短くできるため、上記磁性体粉の表面にコーティング等を施す必要がない。そのため、上記スキンケア剤は、コストダウンが容易である。
また、上記第1剤が粉状を呈しているため、長期間に渡って上記第1剤の変質を抑制することができる。
また、上記磁性体粉は、上記特定の範囲の体積平均粒径を有している。そのため、上記第1剤と上記第2剤とを容易に混和することができる。また、上記特定の範囲の体積平均粒径を有していることにより、磁石等を近づけた際に、上記磁性体粉全体に作用する磁力が大きくなりやすい。その結果、上記磁性体粉は、使用済みのスキンケア剤や肌の汚れ等と共に肌表面から磁力により容易に吸着除去できる。
以上のように、上記スキンケア剤は、低コストかつ長期間に渡って品質を維持することができる。
実施例1における、スキンケア剤の作製方法を示す説明図。 実施例1における、スキンケア剤の使用方法を示す説明図。 実験例における、液だれ試験の試験方法を示す説明図。 実施例2における、美容器具の斜視図。 実施例2における、美容器具を磁力発生面と反対側(上方)から見た平面図。 実施例2における、美容器具を磁力発生面側(下方)から見た平面図。 図5のA−A線矢視断面図。 実施例2における、美容器具の制御部の構成を説明するブロック図。 実施例2における、美容器具の動作を説明するフローチャート。 実施例2における、イオン導入電流が流れている間の肌検知機能の動作を説明するフローチャート。 実施例2における、美容器具の作用電極及び対電極と人体とが接触している場合に、ステップS5において抵抗部の両端間に生じる電位差の波形図。 実施例2における、イオン導入電流の波形図。 実施例2における、美容器具を用いてスキンケア剤を除去する作業の説明図。 実施例2における、美容器具を用いて肌にイオン導入電流を流す作業の説明図。
上記スキンケア剤は、得ようとする美容効果に応じて、磁性体粉が肌から磁力により吸着除去される際に少なくとも一部が肌表面に残留するように構成されていてもよく、磁性体粉に伴って肌表面からほとんど全部が除去されるように構成されていてもよい。
上記スキンケア剤に含まれる美容成分としては、例えば、アスコルビン酸誘導体、コウジ酸、アルブチン、トラネキサム酸等の美白成分、アミノ酸、ビタミン、植物エキス、微生物発酵物等の栄養成分、及び保湿成分等の、肌に美容効果を与える美容成分を用いることができる。美容成分は、単独で含まれていても良く、複数の成分を併用しても良い。
磁性体粉との接触に伴う変質を防止する観点から、液状を呈する美容成分は、上記第2剤に配合する必要がある。一方、粉状を呈する美容成分は、上記第1剤に配合しても良く、上記第2剤に配合しても良い。
また、スキンケア剤は、15〜80質量%の磁性体粉と、20〜85質量%の上記第2剤とを含有していることが好ましい。この場合には、肌に塗布されたスキンケア剤に含まれる磁性体粉の量が比較的多くなるため、磁石等を接近させた際に、磁性体粉全体に作用する磁力が大きくなる。それ故、使用済みのスキンケア剤を肌の汚れ等と共に肌表面からより容易に吸着除去することができ、肌表面へのスキンケア剤等の残留を防止できる。
磁性体粉の含有量が15質量%未満の場合または上記第2剤の含有量が85質量%を超える場合には、磁性体粉の含有量が少ないため、磁石等を近づけた際に磁性体粉全体に作用する磁力が不十分となるおそれがある。そのため、使用済みのスキンケア剤を肌表面から吸着除去することが難しくなる。従って、スキンケア剤を肌表面から吸着除去し易くする観点から、磁性体粉の含有量は15質量%以上であることが好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましい。同様に、上記第2剤の含有量は、85質量%以下であることが好ましく、70質量%以下がより好ましい。
一方、磁性体粉の含有量が80質量%を超える場合または上記第2剤が20質量%未満の場合には、上記第2剤が不足するため、スキンケア剤が粘り気のある塊状を呈するおそれがある。それ故、スキンケア剤を肌に塗り広げることが困難となるおそれがある。従って、肌への塗布に好適な性状を有するスキンケア剤を得るためには、磁性体粉の含有量を80質量%以下とすることが好ましく、75質量%以下がより好ましく、70質量%以下がさらに好ましい。同様に、上記第2剤の含有量は、20質量%以上であることが好ましく、25質量%以上がより好ましい。
また、上記第1剤及び上記第2剤は、所定の使用量ごとに包装されていることが好ましい。「所定の使用量」は、1回分の使用量であっても良く、複数回分の使用量であっても良い。この場合には、第1剤及び第2剤を計量することなく、第1剤と第2剤との混合比率を適切な比率にすることができる。そのため、スキンケア剤をより簡便に作製することができる。また、この場合には、上記包装を開封するまで、第1剤及び第2剤を外気から遮断することが容易である。そのため、第1剤及び第2剤の品質をより長期間に渡って維持することができ、ひいてはスキンケア剤をより長期間に渡って保管することができる。なお、上記の包装としては、例えば、アルミパウチや小瓶等の従来公知の形態を採用することができる。
上述の場合において、上記第1剤及び上記第2剤は、スキンケア剤の変質が起こる前に使い切れる程度の量ごとに包装されていることがより好ましく、1回分の使用量ごとに包装されていることが特に好ましい。この場合には、スキンケア剤の変質を確実に防止することができる。スキンケア剤の1回分の使用量は、用途に応じて適宜設定することができる。例えばスキンケア剤が顔用に構成されている場合には、1回分の使用量は、通常、1〜20gの範囲内で設定することができる。また、スキンケア剤が全身用に構成されている場合には、1回分の使用量は、通常、400〜600gの範囲内で設定することができる。
また、表面が平滑なガラス板に1gのスキンケア剤を直径2cmの円板状に塗布した状態で上記ガラス板を水平面に対して60°の角度に傾けたときの、10秒後におけるスキンケア剤の移動距離が2cm以下となるように、上記スキンケア剤が構成されていてもよい。この場合には、スキンケア剤が適度な粘性を有するため、塗布時の塗り広げ易さに優れると共に、塗布された肌から垂れ落ちることを抑制でき、肌への塗布により好適な性状を有する。また、この場合には、スキンケア剤は、滑らかな肌触りを呈する。上述した移動距離の調整は、例えば、上記磁性体粉の含有量の調整や、上記第2剤の粘度の調整等により行うことができる。
また、スキンケア剤が上記特定の範囲の移動距離を有する場合には、磁性体粉がスキンケア剤中に分散している状態を長時間維持することができる。そのため、肌表面に塗布したスキンケア剤中に、吸着除去のために十分な量の磁性体粉が含まれる状態をより容易に実現できる。その結果、磁性体粉及び使用済みのスキンケア剤を肌表面からより容易に吸着除去することができ、使用済みのスキンケア剤や、磁性体粉中の微小な粒子の肌表面への残留をより抑制できる。
以下に、上記第1剤及び上記第2剤について、より詳細に説明する。
(第1剤)
上記第1剤は、磁性体粉を必須に含有する磁性体粉含有剤よりなり、粉状を呈している。磁性体粉含有剤は、磁性体粉のみから構成されていてもよく、さらに粉状を呈する成分を含有していても良い。上記の粉状成分は、液状を呈する成分に比べて、磁性体粉と接触しても変質しにくい性質を有する。それ故、上記第1剤に上記の粉状成分が配合されている場合にも、上記第1剤の変質を長期間に渡って抑制することができる。上述した粉状成分としては、例えば、粉状を呈する美容成分を配合することができる。また、上記第1剤は、増粘剤、界面活性剤、増量剤等の、化粧品に通常用いられる粉状の添加剤を含有していても良い。
磁性体粉は、強磁性体より構成されていることが好ましい。この場合には、磁石等を接近させた際に磁性体粉全体に作用する磁力が大きくなる。そのため、磁性体粉等を肌表面から容易に吸着除去することができる。強磁性体としては、例えば、鉄、ニッケル及びコバルトの単体金属や、これらの金属元素のうち少なくとも1種以上の元素を含む合金が挙げられる。なお、通常、これらの単体金属及び合金には、不可避不純物等の他の化学成分が含まれ得る。
また、磁性体粉は、強磁性を示すフェライトを主成分としていてもよい。ここで、「主成分」とは、最も含有量の多い化学成分であることを示している。すなわち、この場合の磁性体粉は、主成分としての強磁性を示すフェライトの他に、通常、ウスタイトやヘマタイト等の酸化度の異なる鉄系酸化物や、不可避不純物等を含有している。
上述した強磁性を示すフェライトとしては、スピネル型フェライトや、マグネトプランバイト型フェライト、ガーネット型フェライト、ペロブスカイト型フェライト等を用いることができる。これらのフェライトの中で、飽和磁化が高く、残留磁化及び保磁力の両方が低いソフトフェライトを主成分とすることが好ましい。ソフトフェライトの具体例としては、(MO)x(Fe23y(但し、x+y=100mol%であり、MはFe、Mn、Mg、Sr、Ca、Ba、Cu、Zn、Ni、Li、Co等の金属元素から選ばれる1種または2種以上の元素である。)で表される組成式を有するスピネル型フェライトが挙げられる。また、スピネル型フェライトの中でも、飽和磁化の高いフェライトを用いることがより好ましい。
一方、スキンケア剤に用いる磁性体粉は、構成する元素の種類が少ない方が好ましい。それ故、上記磁性体粉の中心部にフェライトを用いる場合には、当該フェライトとして、高い飽和磁化を有すると共にFe及びOの2種類の元素から構成されているマグネタイト(Fe34)を用いることがさらに好ましい。
また、磁性体粉は、レーザー回折散乱法により得られる粒径分布から求めた体積平均粒径が20〜150μmである。
体積平均粒径は、レーザー回折散乱法により得られた粒径分布において、体積分布モード、ふるい下表示により得られる累積50%粒子径(メジアン径)として算出される。
体積平均粒径が20μm未満の場合には、磁性体粉の粒径分布が、粒径が過度に小さい粒子の含有量が多い分布となりやすい。個々の粒子に作用する磁力は粒径が小さいほど弱くなる。そのため、粒径が過度に小さい粒子を多く含有する場合には、磁性体粉全体に作用する磁力が弱くなりやすい。その結果、磁性体粉及び使用済みのスキンケア剤等の肌からの吸着除去が難しくなり、場合によってはこれらが肌表面に残留するおそれがある。
一方、体積平均粒径が150μmを超える場合には、磁性体粉の粒径分布が、粒径が過度に大きい粒子の含有量が多い粒径分布となりやすい。そのため、この場合には、スキンケア剤の肌触りが悪くなる等、使用感が悪化するおそれがある。
従って、磁性体粉の吸着除去性と使用感とを両立させる観点から、磁性体粉の体積平均粒径は20〜150μmとする。同じ観点から、磁性体粉の体積平均粒径は、50〜75μmであることがより好ましい。
また、上記第1剤は、飽和磁化が70Am2/kg以上の磁性体粉を含有していることが好ましい。この場合には、磁性体粉全体に作用する磁力がより大きくなりやすい。その結果、磁性体粉を肌からより容易に吸着除去することができる。同じ観点から、磁性体粉の飽和磁化は、80Am2/kg以上であることがより好ましい。
(第2剤)
上記第2剤は、液状剤より構成されている。
上記の「液状」には、例えば、水等の粘度の低いもの、中程度の粘度を有するシロップ状のもの及び比較的高い粘度を有するペースト状のものが含まれる。また、上記第2剤として、上述した範囲より低粘度、あるいはより高粘度のものを用いてもよい。上記第2剤の粘度は、スキンケア剤の使用感、すなわち肌触りや塗布時の伸び易さ等が狙いとする特性になるように適宜選択することができる。また、上記第2剤の粘度を適切に選択することにより、磁性体粉が上記第2剤中に分散しやすくなる。その結果、スキンケア剤は、肌への塗布に好適な性状を有するものとなりやすい。
上記第2剤が油系である場合には、例えば、粘度の異なる油系成分を適宜組み合わせて用いることにより、上記第2剤の粘度を容易に調整することができる。すなわち、上記第2剤の粘度を高くする場合には、高粘度の油系成分の含有量を多くすれば良い。また、上記第2剤の粘度を低くする場合には、低粘度の油系成分の含有量を多くすれば良い。一方、上記第2剤が水系である場合には、増粘剤を用いることにより、上記第2剤の粘度を調整することができる。
また、上記第2剤が水系の場合には、増粘剤の存在により、スキンケア剤中において、磁性体粉を構成する粒子間に粘着性を付与することができる。そのため、増粘剤を含むスキンケア剤は、スキンケア剤を肌に塗布した状態において、磁性体粉の粒子が互いに粘着しやすくなり、使用済みのスキンケア剤が皮膜状に連なった状態で肌表面から剥がれ易くなる。その結果、スキンケア剤が肌表面から容易に吸着除去され、使用済みのスキンケア剤や、磁性体粉中の微小な粒子等の肌表面への残留を抑制できる。
増粘剤としては、例えば、グリセリン、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10−30))クロスポリマー、セルロース誘導体、キサンタンガム、グアーガム、デンプン及びその誘導体、アルギン酸塩及びその誘導体、寒天、ポリアクリル酸ソーダ、カルボキシビニルポリマー、ベントナイト等の、化粧品用として従来公知の増粘剤を用いることができる。これらの増粘剤は、単独で用いてもよく、複数種を併用しても良い。通常、増粘剤は上記第2剤に配合されるが、粉状を呈する増粘剤は、上記第1剤に配合することも可能である。
なお、上述した「油系」とは、上記第2剤に含まれる各成分の合計を100質量%としたときに、50質量%以上が水に溶解しない成分(油系成分)から構成されていることをいう。また、「水系」とは、上記第2剤に含まれる各成分の合計を100質量%としたときに、50質量%以上が水及び/または水溶性の成分から構成されていることをいう。
上記第2剤は、表面が平滑なガラス板に1gの上記第2剤を直径2cmの円板状に塗布した状態で上記ガラス板を水平面に対して60°の角度に傾けたときの、10秒後における上記第2剤の移動距離が4cm以下であることが好ましい。この場合には、上記第2剤が適度に大きな粘度を有するため、上記第1剤と混和する際に、磁性体粉を容易に分散させることができる。また、この場合には、得られるスキンケア剤の粘度が適度に大きくなるため、肌触り及び塗布時の伸び易さに優れると共に、塗布された肌から垂れ落ちることを抑制できる。そのため、スキンケア剤の作製をより容易に行うことができると共に、得られるスキンケア剤がより優れた性能を有する。同様の観点から、上述した上記第2剤の移動距離が2cm以下であることがより好ましい。
また、上記第2剤は、水系であることが好ましい。すなわち、上記第2剤は、水及び水溶性の成分の含有量の合計が50質量%以上であることが好ましい。この場合には、使用済みのスキンケア剤を磁力により吸着除去した後に、肌表面に残留する油系成分が少ないため、肌内部への美容成分等の浸透を阻害する油膜の形成が抑制される。そのため、使用者は、スキンケア剤を肌表面から吸着除去した後、そのまま化粧水等を使用することができ、化粧水等を使用する前に油膜除去のための洗顔等を別途行う必要がない。その結果、スキンケア剤は、美容効果を得るための作業が簡便になる。肌表面への油膜の形成を抑制する観点からは、水及び水溶性成分の含有量の合計は、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましい。
上記第2剤が水系の場合には、水を配合しない構成とすることもできるが、スキンケア剤全体に対して5〜73質量%となるように上記第2剤に水を配合してもよい。水の配合量が上記特定の範囲内である場合には、スキンケア剤は、磁性体粉が分散された滑らかなペースト状になりやすい。そのため、スキンケア剤は、肌に塗布する際に、塗り広げ易く、かつ、より滑らかな肌触りを呈する。
水の配合量が5質量%未満の場合には、水分が不足するため、得られるスキンケア剤が粘り気のある塊状を呈するおそれがある。また、この場合には、スキンケア剤は、肌に接触させた際にざらつきが感じられる等、肌触りが悪くなりやすく、場合によっては肌に過度に大きな刺激を与えるおそれがある。そのため、スキンケア剤を肌に塗り広げることが困難となるおそれがある。従って、肌への塗布に好適な性状を呈するスキンケア剤を得る観点から、水の配合量は5質量%以上とすることが好ましく、6質量%以上がより好ましい。
一方、水の配合量が73質量%を超える場合には、磁性体粉の量が不十分となることにより、磁石等を近づけた際に磁性体粉全体に作用する磁力が不十分となるおそれがある。それ故、場合によっては、使用済みのスキンケア剤等が肌表面に残留することも考えられる。また、この場合には、低粘度のためにスキンケア剤が肌表面から垂れ落ちる等の問題が生じるおそれがある。従って、適度に大きな粘度を有するスキンケア剤を得る観点から、水の配合量を73質量%以下とすることが好ましく、30質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。
また、上記第2剤が水系である場合には、上記第1剤または上記第2剤の少なくとも一方に、上記美容成分として水に溶解して電離するイオン導入成分が含有されていることが好ましい。この場合には、使用済みのスキンケア剤を肌表面から吸着除去した後に、肌表面にイオン導入成分が残留する。肌に残留したイオン導入成分は、肌自体が有する水分やスキンケア剤に含まれる水分等によって電離するため、肌に微弱な電流を流すことにより、イオン導入成分を肌内部に向けて移動させ、美容成分の肌への浸透を促進させることができる。その結果、より優れた美容効果を得ることができる。
また、スキンケア剤は、25℃における導電率が20μS/cm以上であることが好ましい。この場合には、イオン導入成分を肌内部へ浸透させるための微弱電流が流れ易くなるため、イオン導入を確実に行うことができる。その結果、より優れた美容効果を得ることができる。
(その他の添加剤)
スキンケア剤は、上述した各成分に加えて、さらに化粧品に通常用いられる添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、潤滑剤、抗菌剤、香料、増量剤、顔料、pH調整剤等がある。これらの添加剤は、本発明の作用効果を損なわない範囲で適宜添加することができる。
上記の添加剤は、美容成分と同様に、性状に応じて上記第1剤または上記第2剤のいずれに配合するかを選択できる。つまり、タルク、カオリン及びデキストラン等の粉状を呈する添加剤は、上記第1剤に含まれていても良く、上記第2剤に含まれていても良い。一方、ジメチコンや精油等の液状を呈する添加剤は、上記第1剤との接触による変質を防止する観点から、上記第2剤に配合する必要がある。
また、上記第1剤または上記第2剤の少なくとも一方に、チキソトロピー性を付与するチキソ剤が含まれていることが好ましい。チキソトロピー性を付与されたスキンケア剤は、肌への塗布時等のスキンケア剤が流動している状態においては、スキンケア剤の粘度が低下する。また、肌への塗布が完了した後においては、スキンケア剤の流動が停止するため、粘度が上昇する。それ故、チキソ剤を含有するスキンケア剤は、上記第1剤と上記第2剤とを容易に混和することができる。また、チキソ剤を含有するスキンケア剤は、肌への塗布時においては塗布に好適な粘度を有するものとなり、塗布が完了すると肌から垂れ落ちにくくなる。その結果、上記スキンケア剤は、より容易に使用することができる。
チキソ剤としては、例えばベントナイト、12−ヒドロキシステアリン酸、結晶セルロース等の化粧品用として従来公知のチキソ剤が用いられる。
また、スキンケア剤は、上記第1剤または上記第2剤の少なくとも一方に、界面活性剤を含有していてもよい。界面活性剤は、磁性体粉をスキンケア剤中に分散させる作用を有する。そのため、界面活性剤を含むスキンケア剤は、磁性体粉が分散された状態をより確実に実現できる。その結果、スキンケア剤は、滑らかなペースト状を呈し、より滑らかな肌触りを呈する。
界面活性剤としては、例えば、ヤシ油脂肪酸PEG−7グリセリル、ラウリン酸ポリグリセリル−10、アルキル硫酸エステル塩、アシルアミノ酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルポリエチレングリコールエーテル、グリセリンポリプロピレングリコールエーテル、アルキルポリグリセリンエーテル、エチレンオキシド・プロピレンオキシドブロック共重合体等の、化粧品用として従来公知の界面活性剤を用いることができる。これらの界面活性剤は、単独で用いてもよく、複数種を併用しても良い。
(実施例1)
上記2剤混合型スキンケア剤(以下、適宜「スキンケア剤」という。)の実施例を説明する。図1に示すように、スキンケア剤1は、磁性体粉含有剤からなる第1剤2及び液状剤からなる第2剤3を混合して使用するよう構成されている。また、図2に示すように、スキンケア剤1は、美容成分としてのイオン導入成分31を含有すると共に、塗布された肌4から磁力により磁性体粉21を吸着除去可能に構成されている。第1剤2は、レーザー回折散乱法により得られる粒径分布から求めた体積平均粒径が20〜150μmである磁性体粉21を含むと共に粉状を呈している。以下、スキンケア剤1の構成を、作製方法及び使用方法に沿って詳説する。そして、第2剤3は、美容成分を含むと共に、液状を呈している。
<作製方法>
・第1剤2及び第2剤3の組成
第1剤2として、市販されている体積平均粒径80μmの鉄粉を準備した。また、下記の組成比に従って各成分を混合し、第2剤3を準備した。
・水:31.04質量%
・増粘剤
グリセリン:50.00質量%
ポリアクリル酸ナトリウム:0.02質量%
・チキソ剤
ベントナイト:0.30質量%
・界面活性剤
モノラウリン酸ポリグリセリル:0.40質量%
・美容成分(イオン導入成分31)
L−アスコルビン酸−2−リン酸ナトリウム:0.20質量%
・潤滑剤、pH調整剤、保存料等:残部
なお、美容成分として含有されるL−アスコルビン酸−2−リン酸ナトリウムは、第2剤3中において水に溶解しており、L−アスコルビン酸−2−リン酸イオン311(図2(c)参照)とナトリウムイオンとに電離している。また、上記2種のイオンのうち、L−アスコルビン酸−2−リン酸イオン311は、肌内部へ浸透させることにより、肌の美容効果を期待できる成分である。
・スキンケア剤1の作製
図1(a)に示すように、直径2.5cmの円筒状の側面511と、球面状を呈し、外方に膨出した底面512とを有する混合容器51を準備し、第1剤2を量り取った。次いで、混合容器51に第1剤2と同質量の第2剤3を加え、先端が円弧状を呈するヘラ52を用いて第1剤2及び第2剤3を攪拌して混和した(図1(b))。1分程度攪拌を継続し、目視により色調が均一になったと判断した時点で混和を完了した。以上により、スキンケア剤1を得た(図1(c))。
・スキンケア剤1の使用方法
図2(a)に示すように、美容効果を得たい部分の肌表面41にスキンケア剤1を塗布した。塗布時のスキンケア剤1の厚みは、肌4の色が透けて見えない程度の厚みとした。
肌4にスキンケア剤1を塗布してから数分間待った後、図2(b)に示すように、肌4に塗布したスキンケア剤1に磁石53を接近させた。これにより、磁性体粉21が肌表面41から磁力により吸着除去された。また、磁性体粉21と共に、磁性体粉21に付着した使用済みのスキンケア剤100及び肌4の汚れ400等が肌表面41から吸着除去された。なお、このステップにおいて用いる磁石53は、フェライト磁石やネオジム磁石等の永久磁石であっても良く、電磁石であっても良い。
本例のスキンケア剤1は、使用済みのスキンケア剤100等が磁力により吸着除去された後、イオン導入成分31を含む水溶液11が肌表面41に残留するよう構成されている。そして、イオン導入成分31であるL−アスコルビン酸−2−リン酸ナトリウムは、水溶液11中において電離している。これにより、図2(b)に示すように、スキンケア剤1が肌表面41から吸着除去されると共に、L−アスコルビン酸−2−リン酸イオン311を含む水溶液11が肌表面41に塗布された状態となる。
その後、図2(c)に示すように、L−アスコルビン酸−2−リン酸イオン311を含む水溶液11が塗布された状態の肌表面41に作用電極54を接触させ、水溶液11が塗布されていない部分の肌表面411に対電極55を接触させた。この状態において作用電極54と対電極55との間に電圧を印加することにより、肌4にイオン導入電流を流し、L−アスコルビン酸−2−リン酸イオン311を肌4へ浸透させた。以上により、スキンケア剤1による美容のための作業を完了した。
次に、本例の作用効果を説明する。スキンケア剤1は、第1剤2と第2剤3とを混合して使用するよう構成されている。そのため、第1剤2に含まれる磁性体粉21と、第2剤3とが保管中に直接接触することがない。また、混合後において、磁性体粉21と第2剤3とが直接接触する時間を十分に短くすることができる。これらの結果、スキンケア剤1の香りの変質やさびの発生等を防止することができる。
また、磁性体粉21と第2剤3とが直接接触する時間を十分に短くできるため、磁性体粉21の表面にコーティングを施す必要がない。そのため、スキンケア剤1は、コストダウンが容易である。
また、磁性体粉21は、特定の範囲の体積平均粒径を有している。そのため、磁性体粉21は、第2剤3との混和が容易であり、かつ、使用済みのスキンケア剤100や肌4の汚れ400等と共に肌表面41から磁力により容易に吸着除去できる。
また、本例においては、美容成分としてL−アスコルビン酸−2−リン酸ナトリウムを用いている。従来の1剤型のスキンケア剤では、アスコルビン酸イオンやアスコルビン酸誘導体イオン等と鉄粉とを共存させると、両者が反応して活性酸素を発生させ、スキンケア剤の変質を促進させるという問題があった。一方、本例のように、磁性体粉21と美容成分とを使用前に混合する2剤混合型の構成とすることにより、かかる問題を抑制することができ、アスコルビン酸等を美容成分として使用することができる。
以上のように、スキンケア剤1は、低コストかつ長期間に渡って品質を維持することができる。
なお、本例においては、イオン導入成分31を含有しているスキンケア剤1の例を示したが、イオン導入成分31に替えて、他の美容効果を発揮する美容成分を含む構成も可能である。本例の第2剤3は、80質量%以上が水及び水溶性成分から構成されているため、上述したように、使用済みのスキンケア剤100等を磁力により吸着除去した後に、肌内部への美容成分の浸透を阻害する油膜をほとんど形成しない。そのため、スキンケア剤1を肌表面41から吸着除去した後、美容成分が肌4に浸透しやすい状態となっており、十分な美容効果を期待することができる。
(実験例)
本例は、第1剤2及び第2剤3の組成を表1に示す種々の比率に変更してスキンケア剤1(試験剤1〜試験剤12)を作製した例である。なお、第1剤2に用いた磁性体粉21は、以下の通りである。
・鉄粉
市販されている体積平均粒径80μmの鉄粉を用いた。なお、鉄粉の飽和磁化は約180Am2/kgであった。
・黒酸化鉄粉
市販されている体積平均粒径70μmの黒酸化鉄粉を用いた。なお、黒酸化鉄粉の飽和磁化は約85Am2/kgであった。
また、表1に示す第1剤2、第2剤3及びスキンケア剤1を用いて、以下の評価を行った。
<液だれ試験>
図3に示すように、表面が平滑なガラス板6上に、1gの第2剤3を直径2cmの円板状に塗布した(図3(a))。次いで、ガラス板6を水平面61に対して60°の角度に傾け、第2剤3をガラス板6の斜面に沿って流動させた(図3(b)、矢印601)。そして、ガラス板6を60°に傾けてから10秒後に、ガラス板6の傾きを戻し、第2剤3の流動を停止させた。この状態において、図3(c)に示すように、塗布時の位置301を基準として第2剤3の先端302が移動した距離dを計測した。以上により得られた距離dの値を表1中の「第2剤3の移動距離」欄に示す。
また、第2剤3に替えてスキンケア剤1を用い、上記と同様に液だれ試験を行った。その結果、得られた距離dの値を表1中の「スキンケア剤1の移動距離」欄に示す。
<分散のし易さ>
20mLのスクリュー瓶に5gの第2剤3を量り取った。次いで、スクリュー瓶に5gの第1剤2を加え、先端が幅7mmの長方形状を呈する金属製ヘラを用いて第1剤2と第2剤3とを攪拌して混和した。第1剤2と第2剤3との混合物の色調が均一になるまでの時間に基づいて、第1剤2の分散のし易さを評価した。その結果を表1に示す。なお、表1中の「分散のし易さ」欄に示した記号A〜Cは、以下の結果を示す記号である。
A:10秒以内に色調が均一になった
B:10秒超え30秒以内に色調が均一になった
C:30秒以内に色調が均一にならなかった
<分散後1分経過時点の磁性体粉21の状態>
色調が均一になるまで混和したスキンケア剤1を1分間静置し、磁性体粉21の沈降状態を目視にて観察した。その結果を表1に示す。なお、表1中の「分散後1分経過時点の磁性体粉21の状態」欄に示した記号A〜Cは、以下の結果を示す記号である。
A:磁性体粉21の沈降は見られなかった
B:若干の沈降が見られ、色調が不均一となった
C:磁性体粉21が沈降し、上層部が透明になった
<スキンケア剤1の塗布し易さ>
スキンケア剤1を肌4に塗布した時の塗布し易さを評価した。その結果を表1に示す。なお、表1中の「スキンケア剤1の塗布し易さ」欄に示した記号A〜Dは、以下の結果を示す記号である。
A:塗布後のスキンケア剤1が肌表面41に保持され、液だれがほとんど見られなかった
B:塗布後のスキンケア剤1が肌表面41から垂れ落ちる傾向がわずかにあった
C:Bよりも塗布後のスキンケア剤1が垂れ落ちる傾向が強かったが、使用に問題ない水準であった
D:スキンケア剤1の液だれが激しく、肌4に塗布された状態が維持できなかった
<スキンケア剤1の吸着除去のし易さ>
スキンケア剤1を肌4に塗布した後、数分間静置した。その後、表面磁束密度が2800Gの磁石53を、肌4に塗布したスキンケア剤1に接近させた。そして、磁石53と肌4との間隔が約10mmに達した時の、スキンケア剤1の吸着状態を目視観察した。その結果を表1に示した。なお、表1中の「スキンケア剤1の吸着除去のし易さ」欄に記載した記号は、それぞれ、以下の状態に対応する記号である。
A:スキンケア剤1が肌表面41に残留していない状態
B:肌表面41に粒状に残留したスキンケア剤1が2〜3箇所程度存在している状態
C:多量のスキンケア剤1が肌表面41に残留している状態
表1より知られるように、試験剤1〜12は、各評価項目において、使用に問題ないレベルの特性を示した。また、第2剤3の移動距離及びスキンケア剤1の移動距離が2cm以下である試験剤2〜試験剤6及び試験剤8〜12は、スキンケア剤1の液だれがほとんど発生せず、優れた特性を示した。一方、移動距離が2cmを超える試験剤1や試験剤7は、使用には問題ないレベルであるものの、試験剤2〜試験剤6等に比べて液だれが起こり易い傾向があった。
Figure 2015151341
(実施例2)
上記スキンケア剤を用いた美容方法に使用する美容器具の例について、図4〜図14を用いて説明する。美容器具7は、図4に示すように、略棒状の本体部71と、本体部71の一端に配置された吸着ヘッド部72と、本体部71の他端側に配置された作用電極54とを備えている。吸着ヘッド部72は、図6及び図7に示すように、肌4に塗布されたスキンケア剤1を磁力により吸着除去するための磁力発生面720を備えている。美容器具7は、図14に示すように、作用電極54を肌4に接触させた状態で、当該接触部にイオン導入電流を流すことが可能に構成されている。本体部71内には、図7に示すように、作用電極54に電力を供給するための電源部733と、上記接触部に流す電流を制御するための制御部73とが内蔵されている。
以下、美容器具7について詳説する。図4〜図6に示すように、美容器具7における本体部71の一端は、吸着ヘッド部72と、作用電極54とともに電源部733と人体の間に環状の電流経路を形成可能に構成された対電極55とを備えている。本体部71の他端は、作用電極54を備えている。なお、以下において、本体部71の長手方向における作用電極54が設けられた側を前方といい、吸着ヘッド部72が設けられた側を後方ということがある。また、美容器具7を前後方向から見たときの磁力発生面720側を下方とし、その反対側を上方ということがある。また、前後方向及び上下方向の双方と直交する方向を側方ということがある。これらの方向表示は便宜上のものであり、美容器具7の使用時における実際の向きとは何ら関係がない。
本体部71は、図4及び図7に示すように、側方から見て略弧状を呈し、前後方向(長手方向)の略中央部が両端部に対して上方に位置するように湾曲して形成されている。本体部71の前後方向の両端部は、図5及び図6に示すように、上下方向から見たときの外形線が略円弧状を呈している。また、本体部71の長手方向の中央部は、上下方向から見たときに両端に比べて幅狭に形成されている。
図4に示すように、本体部71の後方端部に配された吸着ヘッド部72は、本体部71の下方に向けて膨出した膨出部721を有している。また、膨出部721は、その頂面部分に磁力発生面720を有している。
膨出部721は、図7に示すように、平坦面よりなる磁力発生面720と、磁力発生面720の外周縁から延設されたヘッド側壁722とを有している。磁力発生面720は、図6に示すように、下方から見て略楕円形を呈しており、その長軸を前後方向(長手方向)に向けて配されている。また、ヘッド側壁722は、図7に示すように、磁力発生面720の外周縁から上方へ向かって徐々に拡径している。また、磁力発生面720とヘッド側壁722とは、緩やかな曲面によって接続されている。
図7に示すように、吸着ヘッド部72における膨出部721の内部には、略円柱状の永久磁石723が内蔵されている。永久磁石723は、膨出部721の内部において、一方の磁極面と磁力発生面720の内壁面とが当接するように配置されている。また、永久磁石723の他方の磁極面は、軟磁性体よりなるヨーク材724に覆われている。これにより、美容器具7は、永久磁石723から発生する磁力が下方に向けてより強く作用するように構成されている。
なお、本例の永久磁石723は、軸方向に着磁されたネオジム磁石である。当該ネオジム磁石を用いることにより、磁力発生面720の中央部から下方に20mm離れた点において測定した磁束密度が43mTとなった。
また、本体部71は、図7に示すように、磁力発生面720と反対側(上方)に対電極55を有している。図6に示すように、作用電極54は、電極面が磁力発生面720側(下方)を向くように配置されている。作用電極54及び対電極55は、それぞれ、側方方向における幅が本体部71の最大幅よりも幅狭になるよう形成されている。
本体部71の内部には、図7に示すように、電源部733と、制御部73と、LEDインジケータ713と、振動モータ714とが配されている。電源部733は、本体部71の内部において、長手方向の中央と作用電極54との間に配されており、本体部71内の空間に電池733aを収容可能に構成されている。また、電池733aは、図6及び図7に示すように、本体部71に対して着脱可能な蓋部733bを装着することにより本体部71内に保持される。
制御部73は、本体部71の長手方向の中央より吸着ヘッド部72側に配置されている。また、LEDインジケータ713は、図5及び図7に示すように本体部71内における長手方向の略中央部に配されている。LEDインジケータ713は、作用電極54から肌4にイオン導入電流が流れる際に上方に向けて発光するように構成されている。また、振動モータ714は、本体部71内における作用電極54側の端部に配置されている。振動モータ714は、作用電極54から肌4にイオン導入電流が流れる際に駆動され、振動を発生するように構成されている。
次に、美容器具7における各部の間の電気的接続について図8を用いて説明する。電源部733は、制御部73内の制御用マイコン730及び電圧印加部731と、LEDインジケータ713と、振動モータ714とのそれぞれに接続されており、これらの各部に対して作動用電力を供給している。
また、制御部73は、制御用マイコン730と、電圧印加部731と、還流部732とを有している。制御部73は、電源部733、作用電極54、対電極55、LEDインジケータ713及び振動モータ714とそれぞれ接続されており、これらの各部の動作を制御可能に構成されている。制御用マイコン730は、各部の動作を制御する信号を入出力する機能を有する。電圧印加部731は、作用電極54と対電極55との間に電圧を印加する機能を有する。還流部732は、人体に流れる電流を作用電極54または対電極55から取り込み、電源部733へ還流させる機能を有する。
制御用マイコン730と電圧印加部731との間は、後述する電圧制御信号及び電流値選択信号を伝達できるよう互いに接続されている。還流部732は、電圧印加部731と、電源部733のマイナス極へ接続されている接地部731cとの間に配されている。また、還流部732は制御用マイコン730の後述するADC(Analog to Digital Converter)730aに接続されている。これにより、制御部73は、還流部732内の電位差を制御用マイコン730に入力できるよう構成されている。
制御用マイコン730は、ADC730aと、演算部730bと、信号出力部730cと、ディレイタイマー730dとを有している。ADC730aは、還流部732内の電位差をデジタル化する機能を有している。演算部730bは、作用電極54と対電極55とが人体とが接触しているか否かを判定する機能を有している。信号出力部730cは、作用電極54から美容効果を得たい肌表面41に流す電流を制御する機能を有している。
ADC730aは、制御部73の還流部732と接続されており、接地部731cの電位(以下、接地部731cの電位を「接地電位」という)に対する還流部732の電位差をデジタル化するよう構成されている。ADC730aによりデジタル化された上記電位差の値は、制御用マイコン730内において演算部730bへ伝達される。
演算部730bは、ADC730aより入力された上記電位差の値を所定の閾値と比較する。そして、演算部730bは、上記電位差の値が上記所定の閾値未満である場合に作用電極54または対電極55の少なくとも一方が人体と接触していないと判定し、上記電位差の値が上記所定の閾値以上である場合に作用電極54及び対電極55の双方と人体とが接触していると判定するよう構成されている。また、演算部730bは、上記判定の結果と、図9及び図10に示す予め設定された動作フローとの双方に基づいて信号出力部730cから出力する信号を制御可能に構成されている。なお、上記動作フローの詳細については後述する。
信号出力部730cは、演算部730bからの制御信号を受けて、電圧印加部731に対して電圧制御信号及び電流値選択信号を出力するよう構成されている。電圧制御信号は、電圧印加部731における後述する極性反転回路731aに入力され、作用電極54と対電極55との間に印加する電圧のオンオフ及び極性を制御する。また、電流値選択信号は、電圧印加部731における後述する定電流回路731bに入力され、作用電極54と対電極55との間に流れる電流値を制御する。
また、信号出力部730cは、LEDインジケータ713及び振動モータ714とも各々接続されている。信号出力部730cは、演算部730bにおける上記判定の結果、作用電極54及び対電極55の双方と人体とが接触していると判定された場合に、LEDインジケータ713及び振動モータ714のそれぞれを駆動させる駆動信号を出力するよう構成されている。
ディレイタイマー730dは、演算部730bにおける上記判定の結果、作用電極54または対電極55の少なくとも一方が人体と接触していないと判定された場合に、演算部730bにより起動される。ディレイタイマー730dは、演算部730bの動作を所定の時間停止させる機能を有する。これにより、美容器具7は、ディレイタイマー730dが起動してから上記所定の時間が経過するまでの間、演算部730bの動作停止に伴って各部の動作が停止される。また、ディレイタイマー730dは、上記所定の時間が経過した後に演算部730bの動作を再開させるよう構成されている。
電圧印加部731は、極性反転回路731aと定電流回路731bを有しており、両者が互いに接続されて構成されている。極性反転回路731aは、制御用マイコン730の信号出力部730cと互いに接続されている。また、極性反転回路731aは、作用電極54と対電極55との各々と接続されている。これにより、極性反転回路731aは、信号出力部730cから出力される電圧制御信号に基づいて作用電極54と対電極55との間の電位差を制御可能に構成されている。
定電流回路731bは、作用電極54と対電極55との間に流れる電流を一定値に保つ機能を有する。また、定電流回路731bは、制御用マイコン730の信号出力部730cと互いに接続されている。そして、定電流回路731bは、信号出力部730cから出力される電流値選択信号に基づいて作用電極54と対電極55との間に流れる電流を2段階に設定可能に構成されている。本例では、この電流の大きさは、イオン導入レベルと、イオン導入レベルよりも電流値の小さいスキンケアレベルとの2段階に設定されている。なお、イオン導入レベルは、後述するイオン導入ステップS8及びリセットパルスステップS9の実行中に適用され、スキンケアレベルはスキンケアステップS11の実行中に適用される。
還流部732は、電圧印加部731と接地部731cとの間に接続された抵抗器732aを有している。これにより、電圧印加部731側から取り込まれた電流は、抵抗器732a内を接地部731c側へ向かって流れ、接地部731cを介して電源部733のマイナス極へ還流される。また、還流部732における電圧印加部731と抵抗器732aとの間は、制御用マイコン730のADC730aと接続されている。これにより、ADC730aは、電圧印加部731と抵抗器732aとの間の点の接地電位に対する電位差が入力されるよう構成されている。
次に、図9及び図10に示す美容器具7の動作フローについて説明する。美容器具7は、電源部733より電源が供給されると、制御用マイコン730を初期化するステップS1を行う。このとき、制御用マイコン730は、定電流回路731bに対して電流値選択信号を出力し、電流値をイオン導入レベルに設定する。
その後、制御用マイコン730は、ディレイタイマー730dにより上記所定の時間の経過を待つステップS2を行う。なお、本例のディレイタイマー730dは、上記所定の時間を50〜1000ミリ秒の範囲で適宜設定することができる。
制御用マイコン730は、ステップS2に次いで、電源部733から電圧印加部731に作動用電力を供給するステップS3を行うとともに、信号出力部730cから電圧制御信号を出力する。これにより、制御用マイコン730は、対電極55に対して作用電極54が低電位となるように両電極間の電位差を制御しつつ、両電極間にパルス電圧を1回印加する。このようにして作用電極54と対電極55との間にパルス電圧が1回印加されるステップS4が実施される。本例において、ステップS4におけるパルス電圧の値は、5Vとした。
続いて、図9に示すように、還流部732における電位差を測定するステップS5が実施される。ステップS5において、作用電極54と対電極55との双方と肌4とが接触している場合には、対電極55から人体を介して作用電極54に上記パルス電圧によるパルス電流が流れる。当該パルス電流は、作用電極54から制御部73内へ取り込まれ、図11に示す波形F4のように、還流部732における抵抗器732aの両端間に電位差を生じさせる。そして、抵抗器732aの両端間に生じた電位差、すなわち接地電位を基準とした還流部732内の電位差は、制御用マイコン730のADC730aに入力され、その値の測定が行われる。
一方、作用電極54または対電極55の少なくとも一方が肌4と接触していない場合には、上記パルス電圧を印加しても抵抗器732aに電流が流れず、抵抗器732aの両端間に電位差が発生しない。そのため、作用電極54または対電極55の少なくとも一方が肌4と接触していない場合には、電位差の値は0Vとなる。
その後、制御用マイコン730は、演算部730bにおいて、上記電位差と所定の閾値L(図11参照)との比較結果に基づいて作用電極54及び対電極55と人体との接触状態を判定するステップS6を行う。ステップS5において測定した電位差が閾値L未満となる場合には、制御用マイコン730は、作用電極54または対電極55の少なくとも一方が人体と接触していないと判定する(ステップS6、「No」)。この場合、制御用マイコン730は、ステップS2に戻ってディレイタイマー730dを起動する。そして、制御用マイコン730は、ステップS6において作用電極54または対電極55の少なくとも一方が人体と接触していないと判定されている間は、ステップS2〜ステップS6を繰り返す。なお、本例においては、閾値Lは50〜200mVの間で適宜設定することができる。
一方、図11に示すように、ステップS6において接地電位を基準とした還流部732内の電位差が閾値L以上となる場合、制御用マイコン730は、作用電極54及び対電極55の双方が人体と接触していると判定する(ステップS6、「Yes」)。この場合、図9に示すように、制御用マイコン730は、定電流回路731bに対して電流値選択信号を出力し、電流値をイオン導入レベルに設定するステップS7を行う。そして、制御用マイコン730は、ステップS7に次いで、作用電極54から肌4にイオン導入電流を流すように電圧印加部731へ電圧制御信号を送る。
イオン導入電流は、図9に示すように、作用電極54と肌4との接触部へ一方極性の電流(図12、F1)を流すイオン導入ステップS8と、上記接触部へ他方極性のパルス電流(図12、F2)を流すリセットパルスステップS9と、上記接触部へ極性が交互に入れ替わる電流(図12、F3)を流すスキンケアステップS11とを順次繰り返すように構成されている。これにより、肌4に流れるイオン導入電流の波形は、図12に示す基本波形F1〜F3が繰り返されるものとなる。
また、制御用マイコン730は、イオン導入電流が肌4に流れている間、信号出力部730cからLEDインジケータ713及び振動モータ714に駆動信号を出力する(図10、ステップT1)。これにより、LEDインジケータ713及び振動モータ714は作用電極54及び対電極55の双方と人体とが接触している間駆動される。
より詳細には、イオン導入ステップS8において、制御用マイコン730は、対電極55に対して作用電極54が低電位となるように両電極間の電位差を制御しつつ、両電極間にパルス電圧を複数回印加する。これにより、作用電極54は、図12に示す基本波形F1のように、肌4に負極性のパルス電流を複数回流すことができる。
リセットパルスステップS9において、制御用マイコン730は、対電極55に対して作用電極54が高電位となるように両電極間の電位差を制御しつつ、両電極間にパルス電圧を1回印加する。これにより、作用電極54は、図12に示す基本波形F2のように、肌4に正極性のパルス電流を流すことができる。
また、リセットパルスステップS9の後、制御用マイコン730は、図9に示すように、定電流回路731bに対して電流値選択信号を出力し、電流値をスキンケアレベルに設定するステップS10を行う。
制御用マイコン730は、図9に示すように、ステップS10を実施した後、スキンケアステップS11を実施する。スキンケアステップS11において、制御用マイコン730は、対電極55に対する作用電極54の電位差の高低が交互に入れ替わる矩形波を両電極の間に印加する。これにより、作用電極54は、図12に示す基本波形F3のように、正極性と負極性とが交互に入れ替わる矩形波電流を肌4に流すことができる。
また、図10に示すように、制御用マイコン730は、ステップS7〜S11と並行して、肌4に流れるイオン導入電流のパルスを用いて、作用電極54及び対電極55と人体との接触状態の判定を行う肌検知機能を有している。つまり、制御用マイコン730は、イオン導入ステップS8、リセットパルスステップS9及びスキンケアステップS11において肌4に流れるパルスを用いて、ステップS5と同様に、当該パルス電流に起因して発生する接地電位に対する還流部732の電位差の測定T2を行うよう構成されている。
そして、制御用マイコン730は、図10に示すように、上述した還流部732の電位差測定の結果に基づいて作用電極54及び対電極55と人体との接触状態を判定するステップT3を行う。ステップT3における作用電極54及び対電極55と人体との接触状態の判定は、1つのパルス電流に対する電位差測定の結果に基づいて行ってもよく、複数のパルス電流に対する電位差測定の結果を総合して行ってもよい。また、上述した接触状態の判定に用いるパルス電流は、イオン導入ステップS8、リセットパルスステップS9及びスキンケアステップS11の各ステップにおけるパルス電流から適宜選択することができる。
例えば本例では、ステップT3における接触状態の判定は、リセットパルスステップS9におけるパルス電流(図12、F2)に起因する抵抗器732aの両端間の電位差が閾値Lを所定の回数連続して下回るか否かを基準として実施される。つまり、本例の制御用マイコン730は、パルス電流(図12、F2)に起因する電位差が所定の回数連続して閾値L未満となる場合(ステップT3、「Yes」)には、作用電極54または対電極55の少なくとも一方が人体と接触していないと判定する。この場合には、制御用マイコン730はイオン導入電流の発生を停止するとともに、LEDインジケータ713及び振動モータ714への駆動信号の出力を停止する(ステップT4)。制御用マイコン730は、ステップT4の後、図9に示すステップS2〜ステップS6を繰り返すよう構成されている。
一方、制御用マイコン730は、上述した電位差が連続して閾値L未満となる回数が上記所定の回数に達しない間は(ステップT3、「No」)、作用電極54及び対電極55の双方と人体とが接触していると判定する。制御用マイコン730は、ステップT3において作用電極54及び対電極55の双方と人体とが接触していると判定されている間は、図9に示すステップS7〜ステップS11を繰り返して実行する。
次に、美容器具7の使用方法について説明する。
使用者は、スキンケア剤1を塗布した後、本体部71の作用電極54側を把持し、図13に示すように、吸着ヘッド部72の磁力発生面720側を肌4に近づける。このとき、磁力発生面720には、着脱可能なカバー部材を予め装着することもできる。カバー部材は、磁力発生面720を覆うことが可能なものであれば、形状や材質等が限定されることなく種々のものを使用することができる。本例では、シート状に成形したコットンが吸着ヘッド部72に巻き付けられている(図示略)。
これにより、上述のように、磁性体粉21と共に肌4の汚れ400等が肌表面41から除去され、吸着ヘッド部72に吸着される。また、スキンケア剤1が肌表面41から除去された後、イオン導入成分31を含む水溶液11が肌4に塗布された状態となる。なお、吸着ヘッド部72に吸着された使用済みのスキンケア剤100は、カバー部材ごと磁力発生面720から剥がして廃棄することができる。
このようにして使用済みのスキンケア剤100等を肌4から除去した後、使用者は、作用電極54が手から突出し、かつ、対電極55が手と接触するように本体部71を持ち替えて把持する。そして、図14に示すように作用電極54を肌表面41に接触させる。これにより、作用電極54と肌4との接触部に、図12に示す基本波形F1〜F3の繰り返しからなるイオン導入電流が流れる。なお、本例では、イオン導入ステップS8において、作用電極54が陰極、対電極55が陽極として機能し、作用電極54と接触している肌表面41には負極性の電流が流れる。これにより、美容器具7は、陰イオンであるL−アスコルビン酸−2−リン酸イオン311を肌内部へ浸透させることができる。
次に、美容器具7の作用効果について説明する。美容器具7は、スキンケア剤1を磁力により吸着除去するための吸着ヘッド部72を有している。そのため、図13に示すように、使用者が本体部71を把持してスキンケア剤1を塗布した肌表面41に吸着ヘッド部72を近づけると、その磁力により、磁性体粉21が吸着ヘッド部72に吸着される。その結果、美容器具7は、使用済みのスキンケア剤100を簡便に除去することができる。
また、美容器具7は、図4に示すように、肌4に接触させた状態で当該接触部にイオン導入電流を流すための作用電極54を有している。そのため、電荷を帯びた美容成分を予め肌4に塗布した使用者が、上述のように作用電極54を肌4に接触させてイオン導入電流を流すことにより、上記美容成分は、肌内部へ向けて移動しやすくなる。その結果、美容器具7は、美容成分の浸透を促進させ、美容効果を迅速に発揮させやすくなる。
そして、美容器具7は、吸着ヘッド部72と作用電極54との両方を有している。そのため、美容器具7は、上述のように、スキンケア剤1により肌4の汚れ400や老廃物を除去する作業と、電荷を帯びた美容成分をイオン導入電流により肌内部へ浸透させる作業との両方を、1つの器具によって実施することができる。その結果、使用者は、上記2つの作業について別々の器具を準備し、使い分ける必要がなくなる。
また、吸着ヘッド部72は、図4に示すように、本体部71の長手方向と略直交する方向(下方)に向けて磁力発生面720を有している。そのため、使用者は、本体部71を把持する際に、図13に示すように、磁力発生面720をスキンケア剤1が塗布された肌4に向けることが容易となる。その結果、美容器具7は使用者にとってより利便性の高いものとなる。
また、本体部71は、図5に示すように、対電極55を磁力発生面720と反対側(上方)に有し、かつ、図6に示すように、作用電極54は下方を向くよう配置されている。そのため、美容器具7は、上述のように、机上等に載置する際に、作用電極54と対電極55とが載置面を介して導通する可能性を低減でき、美容器具7の消費電力を低減しやすくなる。また、電源部733と人体との間に環状の電流経路が形成されるので、美容器具7はイオン導入電流を人体により効率よく流すことが可能となる。その結果、美容器具7は美容効果をより向上させることができる。
また、制御部73は、図8及び図9に示すように、作用電極54にパルス電圧を印加し、該パルス電圧を利用して制御部73内の電気的特性値を測定する手段と、当該電気的特性値に基づいて、作用電極54及び対電極55と人体とが接触しているか否かを判定する手段と、作用電極54及び対電極55の双方と人体とが接触していると判定された場合に、当該接触部にイオン導入電流を流す手段とを有しており、作用電極54または対電極55の少なくとも一方と人体とが接触していないと判定された場合には、ディレイタイマー730dにより所定時間の経過を待った後、再び上記電気的特性値の測定と上記判定とを実施するよう構成されている。
そのため、美容器具7は、別途スイッチ操作を必要とすることなく、作用電極54及び対電極55の双方とが人体と接触することを契機として接触部にイオン導入電流を流すことができる。これにより、使用者は、本体部71の対電極55側を把持して対電極55と手を接触させるとともに、美容効果を得たい部分と作用電極54とを接触させるだけで、容易に美容成分の浸透促進効果を得ることができる。
また、美容器具7は、ディレイタイマー730dを上述のように作動させることにより、上記電気的特性値の測定と上記判定とを実行する頻度を低減することができる。その結果、美容器具7は、待機状態、つまり作用電極54または対電極55の少なくとも一方と人体とが接触していない状態における消費電力を低減することができる。
また、制御部73は、図8及び図9に示すように、人体に流れる電流を取り込み電源部733へ還流させる還流部732を有し、かつ、電気的特性値として、接地電位に対する還流部732の電位差を測定し、該電位差が所定の閾値以上の場合に作用電極54及び対電極55の双方と人体とが接触していると判定するよう構成されている。そのため、制御部73は、上述のように回路構成を簡素化することが容易なものとなるとともに、作用電極54及び対電極55と人体とが接触しているか否かの判定精度を向上させることができる。
また、イオン導入電流は、図9及び図12に示すように、接触部へ一方極性の電流(図12、F1)を流すイオン導入ステップS8と、接触部へ他方極性のパルス電流(図12、F2)を流すリセットパルスステップS9と、接触部へ極性が交互に入れ替わる電流(図12、F3)を流すスキンケアステップS11とを順次繰り返すよう構成されている。そのため、上述のように、美容器具7は、美容成分の肌内部への浸透促進効果と、肌4の活性化効果との相乗効果により、美容効果をより向上させることが期待できる。
また、美容器具7は、作用電極54側の端部に振動モータ714を有しており、肌4にイオン導入電流が流れている間、振動モータ714が駆動されるよう構成されている。そのため、振動モータ714から発生する振動により、作用電極54と肌4の接触部分及びその周辺部分は、リンパの流れがよくなったり、血行が促進されたり、新陳代謝が向上されたりする等の効果を得られる可能性がある。その結果、美容器具7は、体感できる美容効果をより向上させることができるものとなる。
以上のように、美容器具7は、肌4の汚れ400や老廃物を除去する作業と、肌中へ美容成分を浸透させる作業とを連続して行う場合の利便性を向上させることができるものとなる。
なお、実施例2においては、磁性体粉21を吸着除去するための吸着ヘッド部72を有すると共に、肌4にイオン導入電流を流すイオン導入器としても構成されている美容器具7の例を示したが、磁性体粉21を吸着する作業と、イオン導入とを別々の器具を用いて行うことも可能である。磁性体粉21を吸着する作業のみを行う器具としては、例えば、美容器具7において吸着ヘッド部72のみを備え、作用電極54や制御部73等を設けない構成がある。また、イオン導入のみを行う器具としては、例えば、吸着ヘッド部72を設けず、作用電極54や制御部73等を備えた構成がある。また、美容器具7の形態は、実施例2に示した形状に限定されず、種々の形態をとることができる。例えば、本体部71を、球状や円筒状等の形状とすることも可能である。
1 スキンケア剤
2 第1剤
21 磁性体粉
3 第2剤

Claims (9)

  1. 磁性体粉含有剤からなる第1剤及び液状剤よりなる第2剤を混合して使用される2剤混合型のスキンケア剤であって、
    該スキンケア剤は、美容成分を含有すると共に、塗布された肌から磁力により磁性体粉を吸着除去可能に構成されており、
    上記第1剤は、レーザー回折散乱法により得られる粒径分布から求めた体積平均粒径が20〜150μmである上記磁性体粉を含むと共に粉状を呈しており、
    上記美容成分は、第1剤及び上記第2剤の少なくとも一方に含まれていることを特徴とする2剤混合型スキンケア剤。
  2. 表面が平滑なガラス板に1gの上記第2剤を直径2cmの円板状に塗布した状態で上記ガラス板を水平面に対して60°の角度に傾けたときの、10秒後における上記第2剤の移動距離が4cm以下であることを特徴とする請求項1に記載の2剤混合型スキンケア剤。
  3. 上記第1剤及び上記第2剤が、所定の使用量ごとに包装されていることを特徴とする請求項1または2に記載の2剤混合型スキンケア剤。
  4. 上記2剤混合型スキンケア剤は、15〜80質量%の上記磁性体粉と、20〜85質量%の上記第2剤とを含有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の2剤混合型スキンケア剤。
  5. 上記第1剤は、飽和磁化が70Am2/kg以上の上記磁性体粉を含有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の2剤混合型スキンケア剤。
  6. 上記第2剤は、水及び水溶性成分の含有量の合計が50質量%以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の2剤混合型スキンケア剤。
  7. 上記美容成分は、水に溶解して電離するイオン導入成分を含有していることを特徴とする請求項6に記載の2剤混合型スキンケア剤。
  8. 磁性体粉含有剤及び液状剤を混合して使用される2剤混合型のスキンケア剤に用いられる上記磁性体粉含有剤であって、
    該磁性体粉含有剤は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の上記第1剤よりなることを特徴とする2剤混合型スキンケア剤用の磁性体粉含有剤。
  9. 磁性体粉含有剤及び液状剤を混合して使用される2剤混合型のスキンケア剤に用いられる上記液状剤であって、
    該液状剤は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の上記第2剤よりなることを特徴とする2剤混合型スキンケア剤用の液状剤。
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