JP2015140573A - 中空セラミックボール部材、フラックボール、水圧破砕システム、および中空セラミックボール部材の製造方法 - Google Patents
中空セラミックボール部材、フラックボール、水圧破砕システム、および中空セラミックボール部材の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】 高い耐圧性を有しつつ、打撃力等の衝撃力で比較的簡単に破壊することができるセラミックボールを提供する。
【解決手段】 略球状の外周面と、内周面とを有する中空部材であって、少なくとも炭素を含むセラミックスを主成分とし、前記外周面を含む外側領域の炭素含有割合が、前記内周面を含む内側領域の炭素含有割合に比べて大きいことを特徴とする中空セラミックボール部材を提供する。
【選択図】 図1
【解決手段】 略球状の外周面と、内周面とを有する中空部材であって、少なくとも炭素を含むセラミックスを主成分とし、前記外周面を含む外側領域の炭素含有割合が、前記内周面を含む内側領域の炭素含有割合に比べて大きいことを特徴とする中空セラミックボール部材を提供する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、中空セラミックボール部材、フラックボール、水圧破砕システム、および中空セラミックボール部材の製造方法に関する。
近年、北米等を中心にいわゆるシェールガスの採取が活発に行われている。シェールガスとは頁岩(シェール)層から採取される天然ガスのことをいう。シェールガスを含む頁岩は、泥岩の一種で硬くかつ粒子が細かく流体を通し難いので、自然の状態では浸透率(物体における流体の流れやすさを表す値)が低く、従来はガスの商用採取は難しいと考えられていた。しかし近年、水圧破砕法(フラクチャリングともいう)とよばれる技術が確立したことにともない、シェールガスの商用採取が活発化している。水圧破砕法とは、坑井の周囲の地層(頁岩層等)に人工的に大きな割れ目(フラクチャー)をつくってガスを採取する技術である。水圧破砕法は、坑井を形成するための掘削装置と、形成した坑井内に導入した流体に圧力を加える圧力印加装置とを有し、圧力印加装置によって加えられた流体の圧力によって坑井の周囲にフラクチャーを形成する。水圧破砕システムでは、いわゆるフラックボールとよばれる球体を用いてフラクチャーを形成する場所を調整する。このフラックボールには、坑井の周囲の頁岩(シェール)に割れ目を形成することができるような例えば約70kPa以上の圧力を受けた場合でも変形しないような高い耐圧性が必要である。このようなフラックボールとしては、従来、下記特許文献1に記載されているような金属からなるボールや、繊維強化樹脂材料等からなるボールが用いられてきた。
このようなフラックボールは、フラクチャーの形成段階まで高い耐圧性が要求される一方で、シェールガスの採取の段階では、坑井内のガスの流れの障害とならないように破壊できることも要求されている。
しかしながら、例えば繊維強化樹脂材料等からなるボールや金属からなるボールは、高い水圧に耐えることができるものであるものの、例えばドリル等の工具で破壊することが困難でうまく破壊できなかったり、破壊の際に工具に与える損傷が大きく、頻繁に工具を取り換えなければならないという問題があった。またボール等を薬液で溶解する手法も用いられているが、溶解に多大な時間とコストを要するといった問題もあった。
上記課題を解決するために本発明は、略球状の外周面と、内周面とを有する中空部材であって、窒化珪素質焼結体を主成分とするとともに少なくとも炭素を含み、前記内周面を含む内側領域に比べて、前記外周面を含む外側領域の方が、前記炭素の含有割合がより大きいことを特徴とする中空セラミックボール部材を提供する。
また、坑井を形成するための掘削装置と、形成した坑井内に導入した流体に圧力を加える圧力印加装置とを有し、前記圧力印加装置によって加えられた前記流体の圧力によって前記坑井の周囲にフラクチャーを形成する水圧破砕システムに用いられる、前記フラクチ
ャーを形成する場所を調整する為のフラックボールであって、上述の中空セラミックボール部材を備えたことを特徴とするフラックボールを併せて提供する。
ャーを形成する場所を調整する為のフラックボールであって、上述の中空セラミックボール部材を備えたことを特徴とするフラックボールを併せて提供する。
また、坑井を形成するための掘削装置と、形成した坑井内に導入した流体に圧力を加える圧力印加装置と、上述のフラックボールとを備えた水圧破砕システムを併せて提供する。
また、中空セラミックボール部材の製造方法であって、特定温度で熱分解する樹脂からなる中子を作成する工程と、前記中子を囲むように前記中子の外周面に窒化珪素質焼結体の生成型体を被着させて、前記中子と、略球状の外周面を有する前記生成形体とからなる集合体を形成する工程と、前記集合体を前記特定温度より高い温度で加熱して前記中子を熱分解することで、前記生成型体を通じて前記中子の成分を前記集合体から放出する工程と、前記放出する工程の後に前記特定温度より高い温度に前記生成型体を加熱して前記生成型体を焼結させることで、略球状の外周面と、内周面とを有する中空部材であって、窒化珪素質焼結体を主成分とするとともに少なくとも炭素を含み、前記内周面を含む内側領域に比べて、前記外周面を含む側領域の方が前記炭素の含有割合がより大きい中空セラミックボール部材を得る工程とを有する中空セラミックボール部材の製造方法を併せ提供する。
本発明の中空セラミックボールおよびフラックボールは、高い耐圧性を有しつつ、打撃力等の衝撃力で比較的簡単に破壊することができる。本発明の水圧破砕システムは、高い水圧で比較的広範囲にフラクチャーを形成することができるとともに、簡単にフラックボールを破壊して低コストで多くのシェールガスを採取することができる。また、本発明の中空セラミックボール部材の製造方法では、上記した中空セラミックボールを比較的容易に作製することができる。
以下、本発明に係る実施の形態の例について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明の中空セラミックボールの一実施形態である中空セラミックボール1(以降、単に中空ボール1ともいう)について説明する図であり、図1(a)は概略斜視図、図1(b)は概略断面図である。
中空ボール1は、略球状の外周面1Aと、内周面1Bとを有する中空部材であって、少なくとも炭素を含むセラミックスを主成分とし、外周面1Aを含む外側領域1αの炭素含有割合が、内周面1Bを含む内側領域1βの炭素含有割合に比べて大きい。内周面1Bを含む内側領域1βの炭素含有割合が、に比べて外周面1Aを含む外側領域1αの方が、炭素の含有割合がより大きいとは、中空ボール1の断面において、外周面1Aの中心を通る仮想直線Vに沿って、それぞれ同一面積の、外周面1Aを含む一部分(外側領域1A)と内
周面1Bを含む一部分(内側領域1B)とを設定し、その部分における平均の炭素含有割合(質量%)を測定した場合に、外周面1Aを含む一部分に含まれる単位体積辺りの炭素含有割合がより大きいことをいう。このような炭素含有割合は、例えば中空ボール1の断面について日本電子社製波長分散型X線マイクロアナライザー装置(JXA−8530F)を用いて測定することで計測することができる。さらに、中空ボール1は、内周面1Bの側から外周面1Aの側に向かって炭素の含有割合が漸増している炭素漸増部6を有している。
中空ボール1は、略球状の外周面1Aと、内周面1Bとを有する中空部材であって、少なくとも炭素を含むセラミックスを主成分とし、外周面1Aを含む外側領域1αの炭素含有割合が、内周面1Bを含む内側領域1βの炭素含有割合に比べて大きい。内周面1Bを含む内側領域1βの炭素含有割合が、に比べて外周面1Aを含む外側領域1αの方が、炭素の含有割合がより大きいとは、中空ボール1の断面において、外周面1Aの中心を通る仮想直線Vに沿って、それぞれ同一面積の、外周面1Aを含む一部分(外側領域1A)と内
周面1Bを含む一部分(内側領域1B)とを設定し、その部分における平均の炭素含有割合(質量%)を測定した場合に、外周面1Aを含む一部分に含まれる単位体積辺りの炭素含有割合がより大きいことをいう。このような炭素含有割合は、例えば中空ボール1の断面について日本電子社製波長分散型X線マイクロアナライザー装置(JXA−8530F)を用いて測定することで計測することができる。さらに、中空ボール1は、内周面1Bの側から外周面1Aの側に向かって炭素の含有割合が漸増している炭素漸増部6を有している。
本実施形態の中空ボール1では、外周面1Aを含むごく一部の領域を除いた全体が炭素漸増部6となっている。炭素漸増部6以外の領域(外周面1Aを含むごく一部の領域)では、炭素の含有割合の値はほぼ一定で、炭素の含有割合は比較的高い。また、中空ボール1は、内側領域1βに比べて、外側領域1αの方が気孔率がより大きい。また、内周面1βの側から外周面1αの側に向かって気孔率の値が漸増する気孔率漸増部6(炭素漸増部6と一致)を備える。このような気孔率の値は、例えば中空ボール1の断面について所望付近から1箇所当たりの測定面積を2471μm×1853μmに設定した範囲を4箇所選び、この4箇所の範囲を撮影して得られた画像を画像解析ソフト「A像くん」(登録商標、旭化成エンジニアリング(株)製)を用いて、画像処理によって測定することができる。
中空ボール1のセラミックスは窒化珪素を主成分とする、いわゆる窒化珪素質セラミックスである。窒化珪素質セラミックスは耐圧性が比較的高く、熱衝撃性も高い等の特徴をもっており、高い耐圧性が要求される用途などに好適に用いることができる。本実施形態の中空ボール1は、窒化珪素(Si3N4)を約80質量%以上含有している。本実施形態の中空ボール1は外周面1Aの直径が約5〜8cmであり、内周面1Bの直径が約2〜7cmとなっている。また、外側領域1αにおける炭素含有割合は平均して約0.006〜0.05質量%程度であり、内側領域1βにおける炭素含有割合は0.001〜0.005質量%程度となっている。
窒化珪素質セラミックスなどのセラミックスを作成する際に、焼成前の窒化珪素質セラミックスの生成形体に炭素が含まれている場合、炭素含有割合が大きいほどその部分の強度は低下する傾向がある。セラミックスに炭素が含まれるのは、その焼成の際に生成形体中に炭素原子が存在していたことを示す。炭素原子は、生成形体の作製に用いる後述の中子やバインダ等の樹脂やガラス成分に含まれており、セラミックスの焼成において焼成中の材料成分と反応して、セラミック結晶粒子の成長や焼結性に影響を及ぼす。生成形体中の炭素が比較的多い領域では、炭素の影響で機械的強度が比較的低くなる傾向にある。
例えば窒化珪素質セラミックスの焼成の際は、炭素原子の作用によって焼結中の窒化質珪素結晶粒の再配列が阻害され、炭素含有割合が大きい部分の気孔率が比較的大きくなってしまう傾向がある。このため中空ボール1は、全体的には比較的高純度の窒化珪素質セラミックスでありながら、外側面1Aを含む外側領域1αの側は炭素の含有割合が比較的大きく、かつ気孔率が高く、機械的強度が比較的低い。外側領域1αにおける気孔率は平均して約95%未満であり、内側領域1βにおける炭素含有割合は95%以上となっている。
中空ボール部材1は、炭素の含有割合が比較的小さい内側領域1βが充分に大きな機械的強度をもつので、中空ボール部材1全体に例えば水圧等の圧力がかかった場合に割れ難い。一方で、中空ボール部材1は、炭素の含有割合が比較的大きい外側領域1αの強度が比較的低いので、例えば外側面1Aに傷をつけるような力を加えた場合、外側面1Aが容易に傷ついて割れるか、または、この傷によって比較的小さな力でも中空ボール1が割れやすい状態となる。このような中空ボール1は、高い耐圧性を有しつつ、外側面1Aに傷をつけるような力で比較的簡単に破壊することができる。
このような中空ボール1は、例えば水圧破砕システムに用いるフラックボールに利用することができる。以下、本発明のフラックボールの一実施形態であるフラックボール10、本発明の水圧破砕システムの一実施形態である水圧破砕システム100(以降、単にシステム100ともいう)、およびシステム100によるシェールガスの採取の手順について説明する。図2Aおよび図2Bは、システム100を用いて水圧破砕法を実施している状態の断面図であり、図2A(a)は全体図、図2A(b)〜(c)、図2B(a)〜(c)はそれぞれ異なる場所や状態を示す部分図である。
システム100は、土壌に坑井102を形成するための掘削装置104と、形成した坑井102内に導入した流体116に圧力を加える圧力印加装置108と、圧力印加装置108によって加えられた流体116の圧力によって坑井102の周囲にフラクチャー110(図2B参照)を形成する水圧破砕システムである。システム100は、フラクチャー110を形成する場所を調整する為のフラックボール10を有している。本実施形態ではフラックボール10は、上述の中空ボール1をそのまま使用している。
図2A(a)に示すように、坑井102は掘削装置104によってシェールガスを含むと思われる頁岩(シェール)層120に沿って伸びるように形成される。坑井102を形成した後、坑井102内にはスリーブ105が挿入される。図2A(b)に示すように、スリーブ105の内部には、スリーブ105の内径を規定する(部分的に狭める)複数の台座部106が設けられている。このスリーブ105内に第1のフラックボール10が入れられる。台座部106に規定される内径は坑井の奥に近づくほど小さくなっており、第1のフラックボール10は内径が比較的小さいので、複数の台座部106を通り過ぎで最も奥の台座部106に引っかかる。
図2A(c)に示すようにスリーブ105を閉塞するスリーブ105は台座部106が固定された内管112と、内官112の外側を囲む外管114とを備えている。内管112には内管開口112aが設けられており、外管114には外管開口114aが設けられている。図2A(c)に示されるように初期状態では、内管開口112aは外管114aによって閉塞され、外管開口114aが内管112によって閉塞されている。この状態で、坑井102内(より詳しくはスリーブ105内)に流体116が流入される。この流体116は水や油などを主成分とする液体に、ビーズとよばれるセラミック等からなる微小な粒体が混合されたものである。この状態で圧力印加装置108によって流体116に圧力が印加される。この圧力は例えば約70kPa以上と高い。スリーブ105では一定の圧力を超えると内管112が外管114に対して圧力方向に沿って移動できる構成となっている。この印加された圧力によって内管112が外管114に対して図中右側に向かって移動する。この移動によって最終的に内管開口112aと外観開口114aとが連通し、図2B(a)に示すように、高い圧力がかかった流体116がこの連通穴から噴出する。この噴出の圧力によって、頁岩層120にフラクチャー110が形成される。
フラクチャー110が形成された後は流体116が排出されるが、排出の際、流体116に含まれていたビーズがフラクチャー(割れ目)に挟まり込むように残留するので、フラクチャー110は細かい末端に至るまで割れ目が閉塞せずに残る。これにより、フラクチャー110は、坑井102(より詳しくはスリーブ105内の管路内)から末端の割れ目まで連通した状態となる。頁岩(シェール)層120に含まれていらシェールガスは、このフラクチャー110に入った後に坑井102(より詳しくはスリーブ105)まで流入する。
フラックボール10は上述の中空ボール1からなり、フラクチャー110を形成する為に必要な例えば70kPa程度の高い圧力がかかっても破壊されない、高い耐圧性を有し
ている。スリーブ105内には、所定間隔毎に複数の台座部106が配置されており、複数種類の直径を有する複数のフラックボール10を、直径が小さい方から順番に送り込むことで坑井102内の奥側の台座部106から順番にフラックボール10が引っかかる構成となっている。台座部106の1つ1つについて、上述した手順を繰り返すことで、図2B(b)に示されているような、坑井102に沿って並んだ複数のフラクチャー110が形成される。複数のフラクチャー110が形成された状態では、スリーブ105が複数のフラックボール10によって閉塞された状態であり、フラクチャー110からスリーブ105の管路内に流入したシェールガスが坑井102内を流れ難い。坑井102内をシェールガスが効率的良く流れるようにするには、図2B(c)に示すように、フラックボール10を無くす(破壊する)必要がある。フラックボール10は上述の中空ボール1からなり、高い耐圧性を有しながら、例えば外側面1Aに傷と付けるような比較的小さな力を加えることで比較易に破壊することができる。例えば、ドリル等の物体の表面を引っ掻くような力を加えることができる機構を有する装置を、スリーブ105内に挿入し、フラックボール10の外側面1Aを引っ掻いて破砕させるような力与えることで、フラックボール10を比較的容易に破壊することができる。破壊したフラックボール10の破片は、回収用流体や吸引機構等で回収することができる。このように水圧破砕システム100では、高い耐圧性を有するフラックボール10を用いて高い水圧で比較的広範囲にフラクチャーを形成することができるとともに、薬液等を用いずに比較的簡単にフラックボール10を破壊して低コストで多くのシェールガスを採取することができる。
ている。スリーブ105内には、所定間隔毎に複数の台座部106が配置されており、複数種類の直径を有する複数のフラックボール10を、直径が小さい方から順番に送り込むことで坑井102内の奥側の台座部106から順番にフラックボール10が引っかかる構成となっている。台座部106の1つ1つについて、上述した手順を繰り返すことで、図2B(b)に示されているような、坑井102に沿って並んだ複数のフラクチャー110が形成される。複数のフラクチャー110が形成された状態では、スリーブ105が複数のフラックボール10によって閉塞された状態であり、フラクチャー110からスリーブ105の管路内に流入したシェールガスが坑井102内を流れ難い。坑井102内をシェールガスが効率的良く流れるようにするには、図2B(c)に示すように、フラックボール10を無くす(破壊する)必要がある。フラックボール10は上述の中空ボール1からなり、高い耐圧性を有しながら、例えば外側面1Aに傷と付けるような比較的小さな力を加えることで比較易に破壊することができる。例えば、ドリル等の物体の表面を引っ掻くような力を加えることができる機構を有する装置を、スリーブ105内に挿入し、フラックボール10の外側面1Aを引っ掻いて破砕させるような力与えることで、フラックボール10を比較的容易に破壊することができる。破壊したフラックボール10の破片は、回収用流体や吸引機構等で回収することができる。このように水圧破砕システム100では、高い耐圧性を有するフラックボール10を用いて高い水圧で比較的広範囲にフラクチャーを形成することができるとともに、薬液等を用いずに比較的簡単にフラックボール10を破壊して低コストで多くのシェールガスを採取することができる。
図3は、本発明のフラックボールの他の実施形態の断面図である。図3に示すフラックボール10’は、上述の中空ボール部材1の外周面1Aを覆う、中空ボール部材1に比べて弾性率が小さいコート層2を有する。コート層2は例えば、アラミド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フッ素樹脂またはエポキシ樹脂等の樹脂からなる。例えば上述の水圧破砕システム100のスリーブ105内にフラックボール10’を導入する際、スリーブ105の内面や台座部106にフラックボール10’は比較的高速度で(すなわち高いエネルギーで)衝突する。この衝突時の速度や方向等は制御が困難であり、衝突の仕方によっては衝撃力が大きくなり過ぎる場合もある。スリーブ105内面や台座部105から受ける衝撃力を必要以上に大きくしないように抑制したい場合など、本実施形態のように、コート層2を設けることもまた好ましい。
以下、本発明の中空セラミックボール部材の製造方法の一形態について説明する。図4は、中空ボール1の製造方法について説明する断面図である。
まず、図4(a)に示すように特定温度で熱分解する樹脂からなる中子42を作成する。例えば、加圧成型や射出成型等の樹脂成型法を用いて、例えばパラフィン等を主成分とする球体状の中子42を作成する。このような材質の中子42は、例えば特定温度である700℃程度の温度に加熱されると、この熱によって熱分解して気体状に蒸発してしまう。
次に、図4(b)に示すように、中子42を囲むように中子42の外周面に窒化珪素質焼結体の生成形体44を被着させて、中子42と、略球状の外周面を有する生成形体44とからなる集合体41を形成する。例えば、窒化珪素粉体とアルミナ等の助剤をボールミル混合して形成したスラリーにワックスやアクリル系樹脂などの保形剤をいれて熱風噴霧乾燥させることでできた生粉体を中子42の外周面に被着させた後、いわゆる冷間等方加圧によって全体を加圧することで、集合体41を形成することができる。
次に、集合体41を特定温度(本実施形態では700℃)より高い温度で加熱して中子42を熱分解することで、生成型体44を通じて中子42の成分を集合体41から放出する。生成形体44は焼成前の状態であり、中子42が熱分解して気体状に蒸発した場合は、中子42の成分は、生成形体44の内側から生成形体44の外側に向かって移動する。中子42の成分は、生成形体44に含まれていた炭素を取り込むながら移動(いわゆる脱脂散乱)する。この脱脂散乱によって、生成形体44の内側面に近い側に含まれていた炭
素は中子42に比較的多く取り込まれ、外側に向けて移動する。一方、生成形体44の外側面に近い側では、内側から移動してきた中子42の成分内に既に多くの炭素が含まれているので炭素が充分に取り込まれないか、内側から移動してきた多くの炭素が逆に成形体44に残留し易い。この中子42の熱分解によって、生成形体44内の炭素の含有割合は、内周面44Bの側から外周面44Aの側に向かって漸増した状態となる。
素は中子42に比較的多く取り込まれ、外側に向けて移動する。一方、生成形体44の外側面に近い側では、内側から移動してきた中子42の成分内に既に多くの炭素が含まれているので炭素が充分に取り込まれないか、内側から移動してきた多くの炭素が逆に成形体44に残留し易い。この中子42の熱分解によって、生成形体44内の炭素の含有割合は、内周面44Bの側から外周面44Aの側に向かって漸増した状態となる。
この状態で生成形体44を例えば1700〜1800℃で焼成して、窒化珪素質セラミックスからなる中空ボール1を得る。焼成後の中空ボール1では、内周面1Bを含む内側領域1βに比べて、外周面1Aを含む外側領域1αの方が、炭素の含有割合がより大きくなっている。上述したように、窒化珪素質セラミックスの焼成の際は、炭素原子の作用によって焼結中の窒化質珪素結晶粒の再配列が阻害され、炭素含有割合が大きい方が気孔率が比較的大きくなってしまうので、中空ボール1は、全体的には比較的高純度の窒化珪素質セラミックスでありながら、外側面1Aを含む外側領域1Aの側は炭素の含有割合が比較的大きくて気孔率が高く、機械的強度が比較的低い。このような中空セラミックボール部材の製造方法によって、上記した中空セラミックボールを比較的容易に作製することができる。
以上、本発明の実施形態および実施例について説明したが、本発明は上述の実施形態や実施例に限定されるものでない。本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良および変更を行なってもよいのはもちろんである。
1 中空ボール
1A 外周面
1B 内周面
1α 外側領域
1β 内側領域
6 炭素漸増部(気孔率漸増部)
10 フラックボール
42 中子
44 生成形体
100 システム
102 坑井
104 掘削装置
108 圧力印加装置
110 フラクチャー
116 流体
1A 外周面
1B 内周面
1α 外側領域
1β 内側領域
6 炭素漸増部(気孔率漸増部)
10 フラックボール
42 中子
44 生成形体
100 システム
102 坑井
104 掘削装置
108 圧力印加装置
110 フラクチャー
116 流体
Claims (9)
- 略球状の外周面と、内周面とを有する中空部材であって、
少なくとも炭素を含むセラミックスを主成分とし、
前記外周面を含む外側領域の炭素含有割合が、前記内周面を含む内側領域の炭素含有割合に比べて大きいことを特徴とする中空セラミックボール部材。 - 前記セラミックスは窒化珪素を主成分とすることを特徴とする請求項1記載の中空セラミックボール部材。
- 前記内周面から前記外周面に向かって前記炭素の含有割合が漸増する炭素漸増部を備えることを特徴とする請求項1または2記載の中空セラミックボール部材。
- 前記外側領域の気孔率が、前記内側領域の気孔率に比べて大きいことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の中空セラミックボール部材。
- 前記内周面の側から前記外周面の側に向かって前記気孔率の値が漸増する気孔率漸増部を備えることを特徴とする請求項4記載の中空セラミックボール部材。
- 坑井を形成するための掘削装置と、形成した坑井内に導入した流体に圧力を加える圧力印加装置とを有し、前記圧力印加装置によって加えられた前記流体の圧力によって前記坑井の周囲にフラクチャーを形成する水圧破砕システムに用いられる、前記フラクチャーを形成する場所を調整する為のフラックボールであって、請求項1〜5のいずれかに記載の中空セラミックボール部材を備えたことを特徴とするフラックボール。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の中空セラミックボール部材と、前記中空セラミックボールの前記外周面を覆う、前記中空セラミックボールに比べて弾性率が小さいコート層とを有することを特徴とする請求項6記載のフラックボール。
- 坑井を形成するための掘削装置と、形成した坑井内に導入した流体に圧力を加える圧力印加装置と、請求項6または7記載のフラックボールとを備えた水圧破砕システム。
- 中空セラミックボール部材の製造方法であって、
特定温度で熱分解する樹脂からなる中子を作成する工程と、
前記中子を囲むように前記中子の外周面に窒化珪素質焼結体の生成型体を被着させて、前記中子と、略球状の外周面を有する前記生成形体とからなる集合体を形成する工程と、
前記集合体を前記特定温度より高い温度で加熱して前記中子を熱分解することで、前記生成型体を通じて前記中子の成分を前記集合体から放出する工程と、
前記放出する工程の後に前記特定温度より高い温度に前記生成型体を加熱して前記生成型体を焼結させることで、略球状の外周面と、内周面とを有する中空部材であって、窒化珪素質焼結体を主成分とするとともに少なくとも炭素を含み、前記内周面を含む内側領域に比べて、前記外周面を含む側領域の方が前記炭素の含有割合がより大きい中空セラミックボール部材を得る工程とを有する中空セラミックボール部材の製造方法。
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Cited By (1)
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2014
- 2014-01-29 JP JP2014014028A patent/JP2015140573A/ja active Pending
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CN110078521A (zh) * | 2019-05-13 | 2019-08-02 | 西北工业大学 | 一种亚微米级氮化硅中空微球及制备方法 |
CN110078521B (zh) * | 2019-05-13 | 2021-06-11 | 西北工业大学 | 一种亚微米级氮化硅中空微球及制备方法 |
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