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JP2015015412A - 半導体装置 - Google Patents

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JP2015015412A
JP2015015412A JP2013142368A JP2013142368A JP2015015412A JP 2015015412 A JP2015015412 A JP 2015015412A JP 2013142368 A JP2013142368 A JP 2013142368A JP 2013142368 A JP2013142368 A JP 2013142368A JP 2015015412 A JP2015015412 A JP 2015015412A
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逸人 仲野
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逸人 仲野
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Abstract

【課題】半導体装置に対する温度変化に基づく故障の発生を抑制する
【解決手段】半導体装置1は、半導体素子20,21が100MPa以上、1000MPa以下、好ましくは、400MPa以上、800MPa以下の曲げ強度を有するようにした。これにより、半導体素子20,21の動作時の発熱等による温度変化、並びに半導体装置1の外部環境の温度変化により半導体装置1を封止するアンダーフィル材40が変形しても、半導体素子20,21の電極に配置されたポスト電極30eの下部領域に対する応力が緩和される。
【選択図】図1

Description

半導体装置に関する。
インバータ装置、無停電電源装置、工作機械、産業用ロボット等では、その本体装置とは独立して半導体装置(汎用モジュール)が使用されている。
このような半導体装置は、例えば、絶縁基板上に半田材を介してパワー半導体素子が配置されており、当該パワー半導体素子上に、ポスト電極が形成されたフレキシブルプリント基板が配置されて、パワー半導体素子の所定の電極に各ポスト電極を半田(接合材)により電気的に接合されている。半導体装置は、さらに、パワー半導体素子が配置された絶縁基板と、フレキシブルプリント基板とが樹脂で封止されて構成される(例えば、特許文献1参照)。
特開2009−64852号公報
しかし、このような半導体装置では、半導体素子の動作時の発熱等による温度変化、並びに、外部環境の温度変化が生じて半導体装置を封止する樹脂が変形すると、半導体装置の内部に応力が発生する。具体的には、半導体装置の内部の半導体素子の表面に過度な圧縮応力が発生すると、半導体素子の電極、並びに半導体素子の表面が損傷を受けて、半導体装置が故障してしまうことがある。
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、半導体装置に対する温度変化に基づく故障の発生を抑制することができる半導体装置を提供することを目的とする。
本発明では、上記問題を解決するために、絶縁基板と、前記絶縁基板の主面に配置された、100MPa以上、1000MPa以下の曲げ強度を有する半導体素子と、前記絶縁基板の前記主面に対向するように配置されたプリント基板と、前記プリント基板の主面に形成された金属箔の少なくとも一つと前記半導体素子の電極の少なくとも一つとを電気的に接続する複数のポスト電極と、前記絶縁基板と前記プリント基板との間隙を封止する封止樹脂と、を備えること半導体装置を提供することを目的とする。
このような半導体装置によれば、半導体装置に対する温度変化が生じても信頼性の低下を抑制することができる。
実施の形態における半導体装置の一例を示す図である。 実施の形態における半導体装置のポスト電極と半導体素子との接続構造の一例を示す図である。 実施の形態における半導体装置が備えるプリント基板の一例を示す図である。 実施の形態における半導体素子の三点曲げ試験の試験結果を示す図である。 実施の形態における半導体素子の厚さに対する三点曲げ試験の試験結果を示す図である。 故障が発生した半導体装置の要部の一例を示す図である。
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。
実施の形態における半導体装置は、半導体素子が主面に配置された絶縁基板と、絶縁基板の半導体素子が配置された主面に対向するように配置されたプリント基板と、プリント基板の主面に形成された金属箔の少なくとも一つと半導体素子の電極の少なくとも一つとを電気的に接続する複数のポスト電極と、絶縁基板とプリント基板との隙間を封止する封止樹脂とを備える。
半導体装置では、さらに、半導体素子が100MPa以上、1000MPa以下の曲げ強度を有するようにした。このため、半導体装置の半導体素子は、外部環境温度並びに半導体素子の動作時の発熱による温度変化により封止樹脂の変形に応じて半導体装置の内部に生じる圧縮応力を緩和して、半導体素子に生じる損傷を抑えることができるようになる。
以下、このような半導体装置について図1を用いて具体的に説明する。
図1は実施の形態における半導体装置の一例を示す図である。
なお、図1(A)は半導体装置の要部上面を、図1(B)は図1(A)の一点鎖線A−Bにおける半導体装置の要部断面をそれぞれ示している。
図示する半導体装置1は、絶縁基板10と、絶縁基板10に対向させたプリント基板30とがアンダーフィル材40(封止樹脂)の封止により、一体的になった構造をなし、絶縁基板10上に、複数の半導体素子20,21が実装されている。さらに、この半導体装置1は、樹脂ケースによりパッケージングされ(不図示)、汎用モジュールとして機能する。
絶縁基板10は、絶縁板10aと、絶縁板10aの下面にDCB(Direct Copper Bonding)法で形成された金属箔10bと、絶縁板10aの上面に同じくDCB法で形成された、複数の金属箔10c,10dを備えている。これらの金属箔10c,10dは、絶縁板10aの上面に選択的にパターン形成されている。
さらに、金属箔10c,10d上には、錫(Sn)−銀(Ag)系等の鉛(Pb)フリーの半田層11を介して、少なくとも一つの半導体素子20の主電極側(例えば、コレクタ電極)、または、半導体素子21のカソード電極が接合されている。
ここで、半導体素子20は、例えば、IGBT素子、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)等の縦型のパワー半導体素子を適用することができる。また、半導体素子21は、例えば、SBD(Schottky Barrier Diode)、FWD(Free Wheeling Diode)素子等のパワーダイオード素子を適用することができる。
さらに、半導体素子20は、その曲げ強度は、100MPa以上、1000MPa以下、好ましくは、400MPa以上、800MPa以下であり、例えば、シリコン(Si)または炭化シリコン(SiC)が用いられている。
なお、絶縁板10aは、例えば、アルミナ(Al23)焼結体、窒化シリコン(Si34)等のセラミックで構成され、金属箔10b,10c,10dは、銅(Cu)を主成分とする金属で構成されている。
また、半導体装置1においては、半導体素子20,21の上方に、インプラントプリント基板(プリント基板)30が絶縁基板10と対向するように配置されている。
このプリント基板30は、多層構造をなし、例えば、樹脂層30aを中心部に配置し、その上面に、少なくとも一つの金属箔30bが選択的にパターン形成されている。また、その下面においても、少なくとも一つの金属箔30cが選択的にパターン形成されている。
ここで、樹脂層30aの材質は、例えば、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂等である。また、必要に応じて、ガラス繊維で構成されたガラスクロスを樹脂層30a内部に含浸させたものを適用することもできる。また、金属箔30b,30cは、例えば、銅を主たる成分として構成されている。
また、プリント基板30の剛性については、所定の剛性を備えた硬いタイプのものでもよく、プリント基板30全体が歪曲可能になるフレキシブルなものであってもよい。
また、プリント基板30の最表面には、樹脂製の保護層31が形成されている。
また、半導体装置1においては、半導体素子20の主電極(例えば、エミッタ電極)が位置する領域直上のプリント基板30に、およそ線対称となるように、複数のスルーホール30dが設けられている。そして、このスルーホール30d内に、薄厚の筒状めっき層(図示しない)が設けられ、スルーホール30d内に、円筒状のポスト電極30eが筒状めっき層を介し、注入(インプラント)されている。
また、各々のポスト電極30eは、スルーホール30d内で半田付けされ、プリント基板30の主面に配設された金属箔30b,30cと導通された状態にある。プリント基板30の両面に金属箔30b,30cを配設する場合には、このように筒状めっき層を介してポスト電極30eを注入し、半田付けしておくことで、良好な電気的接続と機械的強度を確保することができる。なお、プリント基板30の片面に比較的肉厚の金属箔30cを形成しポスト電極30eを注入する場合は、筒状めっき層や半田付けを省略してもよい。
ここで、ポスト電極30eの配置においては、例えば、半導体素子20のエミッタ電極(図示しない、金属めっき)の領域直上には、5個を組としたポスト電極30eが列を構成し、それらが線対称となるように、2列に配置されている。そして、このようなポスト電極30eのピッチは、均一に構成されている。また、夫々のポスト電極30eの下端は、半導体素子20のエミッタ電極に、半田層12を介して電気的に接続されている。
また、半導体素子21のアノード側領域直上には、4個を組としたポスト電極30eが列を構成し、それらが線対称となるように、2列に配置されている。そして、このようなポスト電極30eのピッチは、均一に構成されている。また、夫々のポスト電極30eの下端が半導体素子21のアノード側に、半田層を介して電気的に接続されている。
これにより、半導体装置1においては、半導体素子20のエミッタ電極と、半導体素子21のアノード側との電気的な接続が、ポスト電極30e並びに金属箔30bを経由して確保されている。
なお、半導体素子20のコレクタ電極と、半導体素子21のカソード側との電気的な接続については、金属箔10c,10dを経由して確保されている。
また、ポスト電極30eの材質は、線膨張係数が14×10-6/K以上、17×10-6/K以下である、例えば、金(Au)、銅、または、これらの金属からなる合金を主たる成分として構成されている。各々のポスト電極30eの長さは、均一である。
また、上記の例では、半導体素子20のエミッタ電極に接合させたポスト電極30eの個数を10個に限定して例示したが、1個の半導体素子20に接合させるポスト電極30eは、この数に限るものではない。例えば、ポスト電極30eの径を0.3〜0.6mmとした場合、1個のポスト電極30eに、8〜20Aの電流が通電可能である。従って、この電流値から半導体素子20の容量に応じて、半導体素子20に接合させるポスト電極30eの本数を割り出し、その数において配置すればよい。
このような複数のポスト電極30eの配置により、例えば、半導体素子20においては、主電極間に大電流を通電させても、当該大電流が夫々のポスト電極30eを経由して、主電極に分散・通電することになる。
また、プリント基板30においては、半導体素子20のエミッタ電極領域外の上方に、別途、スルーホール30fが設けられ、当該スルーホール30f内にも、円筒状のポスト電極30gが注入・接合されている。そして、このポスト電極30gは、半導体素子20の制御電極(例えば、ゲート電極)に、半田層を介して、電気的に接続されている。
このように、半導体素子20の主面に配置された主電極または制御電極、半導体素子21のアノード側がポスト電極30e,30gに接合されている。
なお、上述したポスト電極30e,30gの構造については、棒状とは限らず、その内部を中空にさせたパイプ状にしてもよい。
さらに、半導体装置1においては、絶縁基板10とプリント基板30の間隙に、アンダーフィル材40を充填している。これにより、半導体装置1は、絶縁基板10とプリント基板30により一体化されている。なお、アンダーフィル材40の詳細については図2で説明する。
また、半導体装置1には、アンダーフィル材40で封止された絶縁基板10とプリント基板30等を取り囲むように、例えば、PPS(ポリ・フェニレン・サルファイド)製の樹脂ケース(図示しない)が備えられている。
あるいは、樹脂ケース(図示なし)を使用しないで、金属金型(図示なし)を用いて、半導体装置1を取り囲むようにエポキシ樹脂をポッティングあるいはトランスファーモールドして構成してもよい。
さらに、図1においては、特に、図示されていないが、プリント基板30には、外部接続用端子としてのリードフレームが複数個、垂直に貫通し、それらと半導体素子20,21の各電極との電気的な接続が確保されている。また、図1においては、特に、図示されていないが、絶縁基板10より広面積の金属ベース板を、この半導体装置1の基体としてもよい。例えば、金属箔10bの下に半田層を介して、数ミリ厚の金属ベース板を接合させてもよい。また、半導体素子20,21上に、放熱体として知られるヒートスプレッダを設置してもよい。
次に、半導体装置1のポスト電極30eと半導体素子20,21との接続構造の詳細について図2を用いて説明する。
図2は実施の形態における半導体装置のポスト電極と半導体素子との接続構造の一例を示す図である。
なお、図2では、図1の半導体装置1に配設したポスト電極30eと、ポスト電極30eに接合された半導体素子20の周辺の拡大図が示されている。
上述したように、半導体装置1は、金属箔10d上に、半田層11を介して半導体素子20の主電極(コレクタ電極)が接合されている。
また、半導体素子20の上方には、プリント基板30が配置され、プリント基板30内に、複数のスルーホール30dが形成されている。そして、スルーホール30dの内壁には、例えば、銅で構成された筒状めっき層30hが配置されている。
また、プリント基板30の上下の主面には、パターン形成された金属箔30b,30cが配設される。これらの金属箔30b,30cは、筒状めっき層30hで覆われ、筒状めっき層30hと電気的に接続されている。
また、上述したポスト電極30eは、筒状めっき層30h内部の中途まで注入され、半田層30iによって、筒状めっき層30hに固設されている。これにより、ポスト電極30eと、金属箔30b,30cとの電気的接続並びに接合部における機械的強度が確保される。
また、複数配置されたポスト電極30eの下端は、半導体素子20のもう一つの主電極(エミッタ電極)に、半田層12を介して電気的に接続されている。これにより、例えば、半導体素子20の制御電極がオン状態で、半導体素子20のエミッタ−コレクタ電極間が通電状態になると、金属箔30b,30cと金属箔10d間に、ポスト電極30eをそれぞれ介して大電流が通電する。
なお、半田層12の側面は、フィレット構造を形成し、ポスト電極30eの下端と、半導体素子20の主電極との接合を強固なものにしている。
さらに、半導体装置1においては、プリント基板30と絶縁基板10との間隙に、アンダーフィル材40が充填されている。このアンダーフィル材40は、その線膨張係数が、10×10-6/K以上、80×10-6/K以下である、例えば、エポキシ系樹脂を主たる成分とし、その硬化温度がおよそ180度であり、無機材料で構成されるフィラー材を含有している。フィラー材としては、例えば、窒化ボロン(BN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化シリコン(Si34)等の高熱伝導率を備えた無機材料を用いる。
次に、半導体素子20,21の上方に配置したプリント基板30の詳細に説明する。
図3は実施の形態における半導体装置が備えるプリント基板の一例を示す図である。
なお、図3(A)は、プリント基板の要部裏面図(図1に示す絶縁基板10側から眺めたプリント基板の主面)を、図3(B)は、図3(A)のA−Bにおけるプリント基板の要部断面図をそれぞれ示している。
プリント基板30は、一例として、インバータ回路を構成する6組のIGBTとFWDの並列接続回路を1パッケージに格納する半導体装置(6in1構造)に対応した構造のものが示されている。
上述したように、プリント基板30を構成する樹脂層30aのいずれかの主面には、複数の金属箔30c,30jがパターン形成されている。さらに、樹脂層30a並びに金属箔30c,30j上には、保護層31が形成されている。なお、図3(A)では、金属箔30c,30jのパターン形状を明確に示すために、プリント基板30の最表面に形成させた保護層31は図示していない。
このような金属箔30c,30jは、その一部が半導体素子20のエミッタ電極並びに半導体素子21のアノード側の領域上に位置するように配設されている。そして、当該プリント基板30に、ポスト電極30eを複数配置する。
例えば、半導体素子20のエミッタ電極並びに半導体素子21のアノード側の領域直上に位置する金属箔30c,30j内には、複数のポスト電極30eが線対称となるように配置されている。
具体的には、半導体素子20のエミッタ電極領域上の金属箔30c,30jには、5個を組とし、2組のポスト電極30eが線対称に2列になって配置している。従って、半導体素子20のエミッタ電極領域上の金属箔30c,30jには、合計10個のポスト電極30eが配置されている。
また、半導体素子21のアノード側領域上の金属箔30c,30jには、4個を組とし、2組のポスト電極が線対称に2列になって配置している。従って、半導体素子21のアノード側領域上の金属箔30c,30jには、合計8個のポスト電極30eが配置されている。
なお、同じ列内に配置されたポスト電極30eのピッチは、均一である。
また、上記の例では、ポスト電極30eの配置数について、特定の数値を例示したが半導体素子20,21それぞれ1個あたりに接合されるポスト電極30eの個数は、上述の如く、この数に限定されるものではない。
さらに、プリント基板30には、上記の金属箔30c,30jの他、線幅の狭い金属箔30k,30lがパターン形成され、その一部が半導体素子20の制御電極(例えば、ゲート電極)の領域上に位置するように配設されている。また、半導体素子20の制御電極の領域上に位置する金属箔30k,30l内には、ポスト電極30gが配置されている。
また、この図に示すように、半導体素子20,21搭載領域直上以外のプリント基板30の広い領域に、金属箔30jから、金属箔30ja,30jb,30jcを延出させている。上述したように、金属箔30jは、半導体素子20,21のエミッタ電極またはアノード側に導通している。
プリント基板30内に、このような金属箔30ja,30jb,30jcが存在すると、電磁シールドが促進され、半導体装置1の動作時におけるノイズ(例えば、半導体素子20のスイッチングにより発せられる放射ノイズ等)を低減させることができる。即ち、金属箔30ja,30jb,30jcは、電磁シールド用金属箔として機能する。
例えば、金属箔30ja,30jb,30jcの部分が存在しないプリント基板に比べ、金属箔30ja,30jb,30jcをパターン形成させたプリント基板30を半導体装置1に搭載した場合、当該放射ノイズが所定の周波数帯域内で5dB低減している。
なお、金属箔30ja,30jb,30jcについては、プリント基板30の裏面だけではなく、主面側に選択的に配置させてもよい。
また、金属箔30c,30ja,30jb,30jc,30k,30lを形成させた領域以外においては、複数の貫通孔32が形成されている。これらの貫通孔32は、図2に示すアンダーフィル材40を、絶縁基板10とプリント基板30の間隙に流入させるための注入口である。このような注入口をプリント基板30に複数個設けることにより、プリント基板30と絶縁基板10との間隙に、ペースト状のアンダーフィル材を円滑に流入させることができる。これにより、当該間隙に、流入させたアンダーフィル材を硬化させた後、アンダーフィル材40の内部にボイド等が残存することなく、アンダーフィル材40を絶縁基板10とプリント基板30との間隙に密に充填させることができる。
このような構成を有する半導体装置1の半導体素子20(並びに半導体素子21)の曲げ強度について説明する。
まず、半導体装置1に対して行った応力分布シミュレーションについて説明する。
このシミュレーションでは、有限要素法により、半導体装置1の外部環境温度を180度から−(マイナス)40度を経て200度まで変化させる温度サイクルを、2サイクル行った際の半導体装置1内の半導体素子20における応力分布の結果を得ることができる。
なお、半導体素子20,21として、シリコンが用いられたMOSFET、シリコンが用いられたFWD、炭化シリコンが用いられたMOSFET、炭化シリコンが用いられたSBDがシミュレーション対象の半導体装置1にそれぞれ備えられているものとする。
その結果、半導体素子20,21の素子強度を示すヤング率は、シリコンを用いた場合はいずれも112700MPaであり、炭化シリコンを用いた場合はいずれも441000MPaであった。応力分布のシミュレーション結果によれば、各半導体素子20,21に対する応力は、シリコンを用いたMOSFET及びFWDの場合が、炭化シリコンを用いたMOSFET及びSBDの場合よりも低いことが分かった。これらの結果を踏まえると、半導体素子20,21は素子強度が低い(または、高い)ほど、応力が低く(または、高く)なることが考えられる。
次いで、半導体装置1に備えられた半導体素子20,21に三点曲げ強度試験を行った結果について図4を用いて説明する。
図4は実施の形態における半導体素子の三点曲げ試験の試験結果を示す図である。
なお、図4に示す三点曲げ強度試験では、半導体素子20,21として、シリコンが用いられたMOSFET(A)、炭化シリコンが用いられたMOSFET(B〜D)、炭化シリコンが用いられたSBD(E)を試験対象とした。また、図4は、縦軸は試験対象とした半導体素子20の種類を対応付けて、横軸は三点曲げ試験で得られる曲げ強度(MPa)を表しており、各種類について複数個試験した結果が含まれる曲げ強度の範囲を示している。
図4に示す試験結果によれば、(B)の半導体素子20(炭化シリコンが利用されたMOSFET)がその曲げ強度がおよそ1900MPa以上、およそ2800MPa以下の範囲内である。また、(A),(C)〜(E)の半導体素子20,21の曲げ強度は、1000MPa以下であって、特に、炭化シリコンに関する(C)〜(E)の半導体素子20,21の曲げ強度は、400MPa以上、800MPa以下である。なお、シリコンに関する(A)の半導体素子については後述する。
このような半導体素子20,21の曲げ強度は、製造過程における半導体素子20,21の基板の結晶成長の成長面の材質並びに方向、または、半導体素子20,21の厚さ等に応じて変化させることができる。
そこで、一例として、(A)の半導体素子20(シリコンが利用されたMOSFET)について、その厚さに対する曲げ強度について図5を用いて説明する。
図5は実施の形態における半導体素子の厚さに対する三点曲げ試験の試験結果を示す図である。
なお、図5では横軸は素子厚さ(μm)を、縦軸は曲げ強度(MPa)をそれぞれ示している。
(A)の半導体素子20の曲げ強度は、図5に示すように、その厚さに比例して増加することが分かる。図5によれば、素子厚さを500μmにすることで、曲げ強度をおよそ900MPaとすることができる。
また、素子厚さは、半導体素子20の製造上の限界、並びに半導体素子20の取り扱い易さ等を鑑みると、およそ100μm程度まで薄くすることができる。このような素子厚さを100μm程度にすることで、曲げ強度をおよそ100MPaとすることができる。即ち、(A)の半導体素子20の曲げ強度は、100MPa以上、900MPaとすることが考えられる。
上記の図4及び図5の記載並びにそれらの説明を鑑みると、半導体素子20,21の曲げ強度は、100MPa以上、1000MPa以下であって、好ましくは、400MPa以上、800MPa以下であることが考えられる。
次いで、このような(A)〜(E)の半導体素子20,21に対して行うヒートサイクル試験について説明する。
ヒートサイクル試験は、半導体装置1の外部環境温度を−(マイナス)40度から150度を経て再び−(マイナス)40度に変化させる温度サイクルごとに、半導体装置1に所定の電圧を印加した際のリーク電流を計測するものであり、これを500サイクル行う。
この試験結果によれば、図4に示した(A),(C)〜(E)の半導体素子20,21、即ち、曲げ強度が100MPa以上、1000MPa以下の半導体素子20,21は、半導体素子20の特性に大きな変動が生じることは無かった。このことから(A),(C)〜(E)の半導体素子20,21に不良の発生が認められず、(A),(C)〜(E)の半導体素子20,21を含む半導体装置1には故障が発生しなかったことが考えられる。
一方、図4に示した(B)の半導体素子20は、50サイクル程度でリーク電流が増加してしまい、(B)の半導体素子20を含む半導体装置1に故障が発生してしまったことが考えられる。
以下に、ヒートサイクル試験で生じた、(B)の半導体素子20を含む半導体装置1の故障について図6を用いて説明する。
図6は故障が発生した半導体装置の要部の一例を示す図である。
なお、図6では、図2の半導体装置1に配設したポスト電極30eと、ポスト電極30eに接合された半導体素子20の周辺の更なる拡大図が示されている。
半導体装置1では、曲げ強度が1000MPaを超える(B)の半導体素子20のアルミニウム(Al)等を主成分とするエミッタ電極20aに、ニッケル(Ni)等を主成分とする金属めっき20bが形成されている。
ポスト電極30eは、半導体素子20のエミッタ電極20a及び金属めっき20bの領域直上に配置されて、エミッタ電極20aに半田層12を介して電気的に接続されている。図6では図示を省略するプリント基板30と絶縁基板10との間隙に、アンダーフィル材40が充填されることで、半導体素子20と、ポスト電極30e、半田層12が封止される。
このような半導体装置1では、外部環境温度が上昇すると、アンダーフィル材40が変形して、半導体装置1の内部に応力が発生する。特に、ポスト電極30eは、アンダーフィル材40と線膨張係数差もあり、その下部(図6中の範囲X近傍)に応力が集中してエミッタ電極20a及び金属めっき20bが損傷を受けてしまう。このため、半導体素子20はエミッタ電極20a及び金属めっき20bを介して、ポスト電極30eから適切に電圧が印加されなくなり、半導体素子20の機能が低下してしまう。ポスト電極30eの下部に更に応力が集中すると、半導体素子20に亀裂Yが発生してしまい、半導体装置1が故障してしまう。
一方、(A),(C)〜(E)の半導体素子20,21は、その曲げ強度が1000MPa以下であって、(B)の半導体素子20よりも小さいために、ポスト電極30eの下部に応力が集中しても、その応力を緩和することができる。このため、ポスト電極30eの下部(図6中の範囲X近傍)における損傷の発生を抑止し、半導体装置1の故障の発生を抑制することができるようになる。
このように、半導体装置1は、半導体素子20,21が主面に配置された絶縁基板10と、絶縁基板10の半導体素子20,21が配置された主面に対向するように配置されたプリント基板30と、プリント基板30の主面に形成された金属箔の少なくとも一つと半導体素子20,21の電極の少なくとも一つとを電気的に接続する複数のポスト電極30eと、絶縁基板10とプリント基板30との隙間を封止するアンダーフィル材40とを備え、さらに、半導体素子20,21が100MPa以上、1000MPa以下、好ましくは、400MPa以上、800MPa以下の曲げ強度を有するようにした。
これにより、半導体素子20,21の動作時の発熱等による温度変化、並びに半導体装置1の外部環境の温度変化により半導体装置1を封止するアンダーフィル材40が変形しても、半導体素子20,21の電極に配置されたポスト電極30eの下部領域に対する応力が緩和される。このため、半導体装置1では、ポスト電極30eの下部領域に対する損傷の発生が抑制されて、半導体装置1の故障の発生を抑制することができるようになる。
以上の結果から、半導体装置1の信頼性は高く、良好な動作特性を有する。また、半導体装置1のパワーサイクル耐量がより向上する。
1 半導体装置
10 絶縁基板
10a 絶縁板
10b,10c,10d,30b,30c,30j,30ja,30jb,30jc,30k,30l 金属箔
30e,30g ポスト電極
11,12,30i 半田層
20a エミッタ電極
20,21 半導体素子
30 プリント基板
30a 樹脂層
30d,30f スルーホール
30h 筒状めっき層
31 保護層
32 貫通孔
40 アンダーフィル材

Claims (5)

  1. 絶縁基板と、
    前記絶縁基板の主面に配置された、100MPa以上、1000MPa以下の曲げ強度を有する半導体素子と、
    前記絶縁基板の前記主面に対向するように配置されたプリント基板と、
    前記プリント基板の主面に形成された金属箔の少なくとも一つと前記半導体素子の電極の少なくとも一つとを電気的に接続する複数のポスト電極と、
    前記絶縁基板と前記プリント基板との間隙を封止する封止樹脂と、
    を備えることを特徴とする半導体装置。
  2. 前記半導体素子の曲げ強度は、400MPa以上、800MPa以下であることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
  3. 前記半導体素子は、炭化シリコンまたはシリコンが用いられていることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
  4. 前記ポスト電極は、銅により構成されていることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
  5. 前記封止樹脂は、10×10−6/K以上、80×10−6/K以下の線膨張係数を有することを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
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