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JP2015009126A - 画像処理装置、画像処理方法、撮影制御装置、放射線撮影システムおよびプログラム - Google Patents

画像処理装置、画像処理方法、撮影制御装置、放射線撮影システムおよびプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】 画素値の時間的な変動の仕方を考慮して造影剤領域を判定する。【解決手段】画像処理装置は、放射線動画像に含まれる複数のフレーム画像に基づいて第一の画像を生成する生成部と、複数のフレーム画像において、対応する画素位置における画素値の時間的な変化を測定する測定部と、測定された画素値を用いて、第一の画像における画素位置の画素値を変更する処理を行い第二の画像を取得する処理手段と、を有する。【選択図】 図1

Description

本発明は、画像処理装置、画像処理方法、撮影制御装置、放射線撮影システムおよびプログラムに関する。
放射線動画像の複数フレームに対して加算する処理や、あるいは時間方向に対応する複数の画素値から1つを選択する処理などのフィルタ処理により、ノイズ低減、高画質化、或いは特定の被写体領域を強調した画像を生成する技術が知られている。特許文献1には、リカーシブフィルタにより放射線動画像を処理してノイズを低減する技術が開示されている。
また、特許文献2には、造影剤を入れた画像で平均画像とボトムホールド画像を作成して両方を比較することにより得られる重み係数を用いて両画像を合成する技術が開示されている。
特開昭62−271668号公報 特開2011−36433号公報
しかしながら、複数のフレーム画像に基づいて画像を生成する際には、画像に重畳するノイズの影響を受けてしまい、被写体に関連する情報を適切に強調することやノイズを効果的に低減することができない場合がある。
本発明は、画素値の時間的な変動を考慮して適切な被写体画像を得ることができる技術を提供する。
本発明の一つの側面にかかる画像処理装置は、放射線動画像に含まれる複数のフレーム画像に基づいて第一の画像を生成する生成手段と、
前記複数のフレーム画像において、対応する画素位置における画素値の時間的な変化を測定する測定手段と、
前記画素値を用いて、前記第一の画像における前記画素位置の画素値を変更する処理を行い第二の画像を取得する処理手段と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、画素値の時間的な変動を考慮して適切な被写体画像を得ることができる。
実施形態にかかる放射線画像処理装置の構成図。 実施形態にかかる画像処理の流れを示すフローチャート。 造影領域判定部の構成の詳細を示す図。 造影剤が流入した領域の判定処理の流れを示すフローチャート。 画像の各位置におけるフレーム間の画素値変動の一例を示す図。 造影領域と判定されたフレームの数を画像の各位置について示す図。 造影剤が流入した領域の判定結果を示す図。 撮影部位、撮影条件ごとに造影剤判定に用いるパラメータを示す図。 他の実施形態にかかる画像処理装置の構成図。 他の実施形態にかかる放射線撮影システムの構成図。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって確定されるのであって、以下の個別の実施形態によって限定されるわけではない。
本実施形態では、放射線画像処理装置100に対して本発明を適用した例を説明する。1つの実施形態である放射線画像処理装置100は、外部から入力される放射線動画像に含まれる複数のフレーム画像を時間フィルタ処理または更に空間フィルタ処理も加えて第一の画像を生成し出力する生成回路を有する。また、放射線画像処理装置100は複数のフレーム画像において時間方向(時間の経過)に対応する特定位置における画素値の時間的な変動を測定する測定回路を有する。また、放射線画像処理装置100は測定回路により測定される時間的な変動に基づいて第一の画像における特定位置の画素値を変更する処理を行い第二の画像を得る処理回路を有する。本実施形態の1つの特徴は、時間方向に対応する特定位置において、画素値の時間的な変動を測定することで、放射線動画像に記録された時間的または空間的に変動するノイズと被写体成分とを分離しようとする点にある。これにより、少なくとも特定のパターンで変動するノイズと、それと異なる挙動を示す被写体成分とを分離することが可能となる。あるいは時間的に特定のパターンを示す被写体に関する変動を特定することができる。
放射線画像処理装置100は、少なくとも1つのCPU(central processing unit)やRAM(Random Access Memory)を有する。外部または内部の記憶装置から読み出したプログラムをRAMに展開しCPUが逐次または並列的にプログラムに含まれる指令を実行することで実現される。
または、後述する各ユニットに対応する専用のプロセッサや、あるいはFPGAにより実装された処理ユニットを結合し連関させることにより実施される。FPGA(Field-Programmable Gate Array)やGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサにプログラムを読み込ませ、必要なパラメータ等や画像データ等をロードさせた処理も可能である。CPUやGPU等を含め、どの物理的なユニットにどの処理を担当させるか、どの処理をまとめて特定のユニットに処理させるかについては、上述した以外にも種々の実施形態をとりうる。
実施形態に係る放射線画像処理装置を図1に基づいて説明する。当該実施形態は、本発明をいわゆるDSA(Digital Angiography Subtraction:デジタルサブトラクション血管造影)や放射線血管造影に関連する画像処理に適用したものである。放射線画像処理装置は、サブトラクション画像から最小値ホールド画像と平均値画像とを生成し、合わせてこれらを画素値の時間的変動に基づき特定される造影領域の内部と外部で合成比率を変えて合成し、画質の良いロードマップ画像を得る処理を実行する。ここで、ロードマップ画像は造影剤の流入領域を累積した画像となっており、血管位置が強調されているため血管に関する治療や手術で用いて有用な画像である。
かかるDSAに用いられる画像に対して、特定位置の画素値の変動を利用することにより、造影剤の流入領域を精度良く特定することができるのが実施形態の特徴の1つである。
放射線画像処理装置100は、入力部101、マスク像作成部102、サブトラクション像作成部103、最小値ホールド像作成部104、平均画像作成部105、造影領域判定部106、ロードマップ像作成部107を有する。
入力部101は、外部から放射線画像データを取得し、マスク像作成部102およびサブトラクション像作成部103に放射線画像データを入力する。またはこれに代えて、入力部101は取得した放射線画像データを不図示のメモリに格納する処理を行うことも可能であり、後述する各部(マスク像作成部102、サブトラクション像作成部103)はメモリから放射線画像データを取得することとしてもよい。あるいは、入力部101は、マスク像作成部102およびサブトラクション像作成部103への入力とメモリへの格納の両方の処理を行うことも可能である。
ここで取得される放射線画像データは、複数のフレーム画像を含む放射線動画像と、差分処理の対象となる放射線静止画像である。放射線動画像はユーザあるいは装置の自動制御により、被検者に造影剤が注入され、かかる造影剤が血管内を流れる様子を撮影したものである。また、放射線静止画像は、少なくとも注目されるべき領域に造影剤が流入する前に撮影された放射線画像である。
これら放射線画像データは、実施形態の1つでは放射線を電気信号に変換しデジタル放射線画像データを得る放射線動画像撮影装置から有線あるいは無線通信部を介して直接取得する。このようにすれば撮影時にリアルタイムで被写体血管を確認するために用いることができ有用である。また別の実施形態としてデータベースから取得することとすれば、既存の放射線画像データから造影剤流入領域の特定及びロードマップ画像の生成をすることができ有用である。
マスク像作成部102は、入力された放射線静止画像にノイズ低減処理等を施し、マスク画像を生成する。マスク像作成部102は、生成したマスク画像を、サブトラクション像作成部103、最小値ホールド像作成部104、平均画像作成部105、造影領域判定部106に入力し、または、これに代えて、あるいはこれとともに、マスク画像をメモリに記憶させる。
マスク画像は造影剤が流入する前の被写体を示す画像であり、造影剤が流入している最中の画像とマスク画像との差分を取ることで、通常、被写体成分等に埋もれてしまっている造影剤流入領域の画像成分を取り出すことができる。
なお、マスク画像として、入力された放射線画像をそのまま利用することも可能であり、その場合にはマスク像作成部102は不要となる。
マスク画像の元となる放射線画像データは、放射線撮影装置で得られた静止画像データでも、動画像撮影された1フレームの画像であっても良く、さらには、複数の放射線画像データを合成して得られた画像であってもよい。
後段の差分処理の前処理を兼ねる場合には、差分処理のためにマスク画像を対数変換する処理を行うこととする。
サブトラクション像作成部103(差分回路)は、マスク画像と放射線動画像の各フレーム画像を差し引きすることにより複数のサブトラクション像(第一の画像)を作成する。差し引きする処理の1実施形態では、各画像を対数変換し、得られた画素値の対数値同士を減算処理することにより行われる。これにより、マスク画像の撮影時と放射線動画像の各フレームとで変動のない被写体成分を低減または除去できるとともに、理想的には被写体の変動部分のみ、つまりは血管に流入する造影剤の画像成分のみを含むこととなる。現実的には、ノイズ成分のほか、被写体の体動や呼吸や脈拍による動きがキャンセルされずに残る可能性がある。ノイズ成分には、比較的分散の小さいランダムノイズのほか、X線ショットノイズがある。
X線ショットノイズとは、例えば、Si単結晶を材料とする基板に形成されたCMOS撮像素子に対して、Si単結晶にてX線が電気信号に変換されることにより生ずるノイズである。通常、X線センサには蛍光体が形成され、X線を可視光帯域の光に変更した上で可視光を検出する構成となっているが、蛍光体を透過してX線がSi基板に直接到達する可能性があり、これによって生ずるノイズである。例えば、マスク画像にショットノイズが入った場合、これを放射線動画像の各フレームから差分処理することにより、ショットノイズの反転により低画素値の領域が生ずることとなる。
なおここで、画素値が小さいとは、被写体内での吸収が大きく、X線センサへの到達線量が小さいことを意味する。つまり、サブトラクション像の画素値は造影剤や上述のノイズの影響で部分的に小さくなることを意味する。
望ましくは、取得される放射線動画像の複数フレーム間、及び当該複数フレームとマスク画像との間では位置合わせがなされており、1の画像における位置と他の画像における位置との対応をマップとして放射線画像処理装置100内のメモリに保持している。あるいは、2画像のサイズが等しい場合、同一の座標に位置する画素がそれぞれ対応としてもよく、そのために少なくとも一方の画像の移動や変形を前処理として行っても良い。このようにすれば、マップという形で画像間対応付けの情報を持たなくともよくなる。もちろん、これら画像の位置合わせ処理をサブトラクション像作成部103で前処理として行うこととしても、放射線画像処理装置100内の不図示の位置合わせ処理部で行うこととしてもよい。その場合の一実施形態として、入力部101とマスク像作成部102の出力側に位置合わせ処理部の入力側が結合され、位置合わせ処理部の出力側はサブトラクション像作成部103の入力側に結合される構成となる。
位置ずれが生じない、または、ほぼ生じないシステム下で撮影された画像を用いることももちろん可能である。例えば、下肢等の動きの少ない撮影部位で、かつ被写体の体動が生じないと仮定できる程度の極短時間の間に、造影剤を注入した撮影を行うことで得られる動画像に対しては、位置ずれの処理を行う必要がない。
最小値ホールド像作成部104は、サブトラクション像作成部103で得られた一連のサブトラクション像から、最小値ホールド(MIP:Minimum Intensity Projection)像を作成する。最小値ホールド像は、一連のサブトラクション画像の対応する各位置の画素から、画素値の最小値を取り出すことにより生成される。例えば、画像の右上を原点(0,0)としたとき、ある位置(x,y)において各サブトラクション像の画素値を集め、画素値の最小値を算出する。算出された最小値を最小値ホールド像における当該位置(x,y)の画素値とする。この処理を画像の各位置で実行し、最小値ホールド像を得る。つまり、ある位置について撮影の途中から造影剤が流入している場合、造影剤に対応する画素値を選択的に抽出することができる。しかしながら、単純に小さい画素値を選択してきている処理であるため、ショットノイズの影響を拾う可能性がある。
なお反転画像で処理する場合には、最大値ホールド像を生成することになる。ここで、最大値ホールド像は、一連のサブトラクション画像の対応する各位置の画素から、画素値の最大値を取り出すことにより生成される。
本実施形態では、最大値ホールド像を含めて最小値ホールド像と呼称することにする。なお、反転処理に関わらず、最小値ホールドではなく最大値ホールド画像に適用しても良い。その場合、CO造影など陰性造影剤に対応することが可能となる。
なおここで、必ずしも最小値を得る必要はなく、たとえば、画素値のうち下から5%以下の画素値を除外した残りの画素値から最小の値を得ることとしてもよい。この場合には、厳密な意味での最小値ホールド像ではなく、一連のサブトラクション像の空間的な各位置において時間方向に見た一連の画素列から、造影剤領域に対応する範囲の画素値を生成して得られる画像である。このように処理することで、体動等の影響を低減することができる。
平均画像作成部105は、一連の複数のサブトラクション像の画素値を加算平均し平均画像を作成する。加算平均することにより、X線ショットノイズ等のノイズの影響は低減された画像が生成される。すなわち、平均画像作成部105は、複数のサブトラクション像のフレーム間で対応する画素について、画素値を加算平均した平均画像を作成する。一方で、造影剤流入領域にあっては、造影剤の流入していない期間の長さに応じて造影剤の影響も低減されることとなる。なお、ショットノイズは一連のサブトラクション像の中でごく一部にのみ存在すると考えられることから、ショットノイズが画像に与える影響の低減効果は、造影剤が画像に与える影響の低減効果よりもはるかに大きい。
造影領域判定部106は、一連のサブトラクション像の情報を用いて造影剤領域を判定する。判定結果をロードマップ像作成部に出力する。
造影領域判定部106の判定処理では、複数のサブトラクション像から得られる画像の各画素位置の画素値の時間的な変化の情報を用いて、画像の空間方向の各画素位置について、造影剤領域であるか否かを判定する。造影領域判定部106は、サブトラクション像の各画素の位置(x、y)に対応して、造影剤領域であるか否かを示す造影部判定結果の係数(例えば、0,1)を配置した造影剤領域マップデータを生成する。ここで、造影領域判定部106は、造影剤領域マップデータについて領域拡張処理等を行い、離散的に分布している造影剤領域を除去し、あるいは、近接する造影剤領域を結合する補正処理を行うことが可能である。これは、造影剤は血管に注入するものであるため、画像上では帯状の領域として現れることによる。
ロードマップ像作成部107は、平均画像と最小値ホールド像と造影領域判定部106の判定結果を用いて、画像の空間方向の各位置について、平均画像と最小値ホールド像の画素値について、それぞれの重みづけ係数を決定し、ロードマップ像を作成する。この重みづけ係数は、造影剤領域であるか否かの判定結果を用いて決定する。例えば、造影剤領域でないと判定された位置では上述のショットノイズ等のノイズの低減効果を重視して平均画像の重みづけ係数を大きくし、最小値ホールド像の重み付けを小さくする。逆に造影剤領域では、最小値ホールド像の重み付け係数の方を大きくし、平均画像の重みづけ係数を小さくする。平均画像は造影剤の影響が多少なりとも低減されてしまっているため、最小値ホールド像の重みを大きくし、造影剤領域を強調するためである。
出力部108はロードマップ像を、例えば、表示部に出力する。なお、出力先としては表示部に限らず、別途透視画像とのブレンディング処理等を行う画像処理装置等に出力してもよい。また、画像を保存する記憶媒体等に出力してもよい。
次に、図2に従い上述の放射線画像処理装置100が実行する処理の流れを詳細に説明する。ステップS201で入力部101は、外部から複数フレームの放射線画像データを取得する。取得した複数フレームの放射線画像データはマスク像作成部102とサブトラクション像作成部103に出力される。
ステップS202で、マスク像作成部102は、入力された複数フレームの放射線画像データから造影剤流入前の画像データを選択し、マスク像を作成する。ステップS203でサブトラクション像作成部103は作成されたマスク像と、入力された複数フレームのサブトラクション像を差分処理し、サブトラクション像を作成する。
以下、ステップS204乃至S206は並列に処理される。ステップS204では、最小値ホールド像作成部104で最小値ホールド像が生成され、平均画像作成部105で平均画像が生成され、造影領域判定部106で造影領域マップが生成され、ロードマップ像作成部107に入力される。造影領域判定結果は、各画素に0〜1までの係数αで表わされる。
ステップS207において、ロードマップ像作成部107は、ロードマップ像(第二の画像)を作成する。ロードマップ像の画素値は、各画素(x、y)について以下の式(1)で算出される。
IR = α×Imin+(1-α)×Imean…(1)
IR :ロードマップ像の画素値
Imin :最小値ホールド像の画素値
Imean:平均値画像の画素値
α :造影部判定結果の係数
ステップS208で、出力部108はロードマップ像を外部に出力し、放射線画像処理装置100の処理を終える。 図3に基づいて造影領域判定部106の構成を説明する。図3に示す通り造影領域判定部106はサブトラクション像入力部301、画素値変動データ作成部302、解析部303、判定結果作成部304、判定結果出力部305を有する。
図4のフローチャートに従い、造影領域判定部106による画像処理の機能及び処理の手順について説明する。
ステップS401で、サブトラクション像入力部301はサブトラクション像作成部103からの入力を受け、一連のサブトラクション像を取得する。入力されたサブトラクション像は画素値変動データ作成部302に出力される。
ステップS402で、画素値変動データ作成部302は、画像の各位置(x,y)について、時間方向に画素値を並べる処理を行う。このようにして並べられた画素値が、各位置(x,y)における画素値変動データとなる。
図5は、ある位置(x,y)における画素値変動データを示す図であり、横軸にフレーム番号が時間方向に並べられ、縦軸に画素値が取られている。図5(a)では造影剤が流入しない画素の典型的な画素値変動データを示す。ノイズにより一定幅で画素値が変動するものの、概して入射X線量に応じた画素値を示し、造影剤が流入するほどの大きな変動は存在しない。
図5(b)は造影剤が流入しない画素であって、かつ大きなインパルスノイズが含まれる画素の典型的な画素値変動データを示す。図5(a)が示すデータに対し、X線ショットノイズ等のインパルスノイズにより極短時間の間画素値が変動している。
図5(c)は造影剤が流入する画素の典型的な画素値変動データを示す。造影剤が流入すると、造影剤が流入している間、即ち血管内に注入された一定量の造影剤が通り過ぎる間、画素値が大きく変動する。造影剤はX線吸収体であるため、画素値が大きく下がることとなる。実際には、図5(b)の変動モードと、図5(c)の変動モードが合成された変動モードを示す場合も考えられる。
このように、ある位置での時間的な変動のモードを見ることで、造影剤領域とそれ以外の領域の判定をすることができる。
説明を図4のフローチャートに戻し、ステップS403で、解析部303は画素値変動データから造影領域を判定する。解析部303は、造影領域の判定結果を、造影領域と判定されるフレーム数に対する、画素値閾値以下の画素値を持つ画素の連続フレーム数の割合を各画素について計算することによって取得する。解析部303は、各画素についてこの判定処理を行い、各位置についての判定結果を各位置の情報とともに判定結果作成部304に出力する。
図6は、閾値以下の画素値を持つ画素の連続フレーム数の一例である。図6において4×4で並べられた計16個の四角形のそれぞれが画像における各位置(x、y)を示している。図6の例では、4×4画素の例を示しているが、もちろん2688×2688画素程度の数であってもよい。また、画素ごとではなく、複数の画素を単位として、例えば、縦横2画素ずつ計4画素を一単位として、単位毎に造影剤領域か否かの判定をしてもよい。画素のピッチが造影剤流入領域に対して非常に小さい場合や、計算量を削減したい場合には有効である。
図7は、造影領域を判定するためのフレーム数の閾値(造影領域判定フレーム数)を40とした場合の造影領域の判定結果の一例である。複数のサブトラクション像のフレーム間で対応する画素について、画素値が画素閾値以下となる画素について連続したフレーム数が0の場合に判定結果(造影部判定結果の係数α)は0.0となる。画素値閾値以下の画素値を持つ画素の連続フレーム数が10フレームの場合には、連続フレーム数(=10)を造影領域判定フレーム数(=40)で割って、α=0.25となる。連続フレーム数が20フレームの場合にはα=0.5となり、連続フレーム数が40フレームの場合にはα=1.0となる。もちろん、造影領域判定フレーム数よりも連続フレーム数が小さい場合にはα=0としてもよいし、造影領域判定フレーム数と同じフレーム数である場合や造影領域判定フレーム数よりも連続フレーム数が大きい場合にはα=1としてもよい。
画素値の閾値及び造影領域と判定されるフレーム数の閾値(造影領域判定フレーム数)は被検体の検査部位、画像取得時のフレームレート、造影剤注入速度、造影剤濃度、造影剤の量、造影剤の種類のうち少なくともいずれか1つの情報に応じて決定される。
画素値の閾値、及び造影領域判定フレーム数の一例を図8に示す。例えば、部位が脳血管の場合、画素値閾値は1700、造影領域判定フレーム数は40である。部位が下肢静脈の場合、画素値閾値は2000、造影領域判定フレーム数は40となり、部位が脳血管の場合に比べて相違する。このように、撮影される手技(撮影手技)の情報に応じて、画素値の閾値、判定フレーム数(造影領域判定フレーム数)を切り替えることによって、精度よく造影領域の判定を行うことが可能となる。これは、撮影部位や造影剤濃度によって画像の画素値は変わるため閾値を変更する必要があり、撮影フレームレート、造影剤の注入量や注入速度によって造影剤が流入するフレーム数は変化するためである。その他、撮影に使用するセンサや照射条件によって個別の設定を予め定め、記憶部が記憶しておき、解析部303はこの設定情報を適宜用いて解析処理を行うことができる。
再び図4のフローチャートに説明を戻し、ステップS404で、判定結果作成部304は各画素の位置について、判定結果をまとめ、造影剤領域マップのデータを作成する。造影剤領域マップとは、各位置に判定結果の値を配置したマップデータであり、二次元の画像データとして扱えるデータである。
ステップS405で、判定結果出力部305は、この造影剤領域マップのデータを造影部判定結果として、ロードマップ像作成部107に出力する。
以上のとおり、画像の各位置における時間方向の画素値変動を解析することにより、造影剤領域であるか否かを判定することができる。また、この判定結果を用いて、平均画像と最小値ホールド像を合成し、ノイズが少なく精度の良いロードマップ像を生成することができる。
上述の実施形態では、平均画像作成部105は平均画像を作成し、ロードマップ像作成部107は平均画像と最小値ホールド像とを合成することによりロードマップ像を作成していたが、実施形態はこの処理に限定されない。図9は他の実施形態にかかる放射線画像処理装置900の構成例を示す図であり、図1で説明した放射線画像処理装置100の構成と同一の構成については、同一の参照番号を付して、説明を省略する。図9に示す放射線画像処理装置900では、図1で説明した平均画像作成部105が背景画素値作成部905に置き換えられる。
背景画素値作成部905は固定の背景画素値を算出し、ロードマップ像作成部907は、造影剤領域と判定された領域以外の領域の画素値を背景領域画素値に置き換えて、ロードマップ像を作成することも可能である。
背景画素値の算出処理としては、一連のサブトラクション像に関し、各画像について、画素値の頻度を求めるための統計処理(例えば、平均値、標準偏差の算出、ヒストグラムの生成)を行い、最頻値となる画素値を背景画素値として算出することが考えられる。このようにすることで、造影剤領域以外の領域について、ノイズの影響をより低減したロードマップ画像を得ることができる。
図10に基づいて、上述の画像処理装置を放射線撮影制御装置のユニットとして実装した場合の放射線撮影システム1000の構成例を説明する。実施形態にかかる放射線撮影システム1000は、X線発生部1001と、X線撮影装置1002と、撮影制御装置1003と、表示装置1004とを有する。
X線発生部1001は、放射線(X線)を発生する反射型または透過型のX線源1011と、X線絞り1012と、高圧発生部1013と、X線制御部1014とを有する。X線絞り1012は、X線源1011から発せられるX線をX線束の形状を整形する。高圧発生部1013は、X線源1011に高圧電源を供給する。X線制御部1014は、外部から入力された照射条件に応じてX線発生部1001の全体を制御する。
X線撮影装置1002は、放射線に基づく画像として、複数のフレーム画像の撮影を行う。ここで、X線撮影装置1002は、X線を可視光に変換する蛍光体と、蛍光体から発せられる可視光を検出して電気信号を得るセンサアレイと、駆動回路と、読出し回路と、生成部と、通信回路と、を有する。
駆動回路は、センサアレイを駆動して蓄積状態及び読出し状態を制御する。読出し回路は、センサアレイが蓄積状態で蓄積した電気信号を読み出す。生成部は、読み出された電気信号に基づきX線画像を生成する。通信回路は、生成されたX線画像を送信し、あるいはX線撮影装置1002の駆動条件や駆動タイミングを示す信号を受信する。
X線撮影装置1002は、被検者が横たわる撮影寝台1005の内部に配置され、天板及び被検体を透過したX線を検出し、上述のX線画像を取得する。X線源1011から一定間隔パルスまたは連続的にX線が照射され、X線撮影装置1002はこれを検出してX線動画像の各フレーム画像を生成する。
撮影制御装置1003は、撮影制御部1031と、画像処理部1032と、表示制御部1033と、を有する。撮影制御部1031は、X線撮影装置1002に対して駆動パラメータを送信するとともに、X線発生部1001のX線発生のタイミングとX線撮影装置1002の蓄積状態とを同期させる制御を行う。
表示部1004a(第一の表示領域)はロードマップ画像と合成された放射線動画像(X線動画像)を表示する。表示部1004b(第二の表示領域)はX線撮影装置1002の駆動条件や、X線発生部1001の照射条件を設定するための操作入力を受け付けるユーザインタフェース(GUI:Graphical User Interface)を表示する。
画像処理部1032は上述の実施形態で述べた放射線画像処理装置100をユニットとして撮影制御装置1003に組み込んだものである。X線動画像を構成する複数のフレーム画像を入力とし、ロードマップ画像を生成する。画像処理部1032は、その他、X線動画像に対するノイズ低減処理や階調処理を実行し、ロードマップ画像と合成し、表示制御部1033に出力する。ロードマップ画像をX線動画像との合成は、例えば、ロードマップ画像の画素値を反転処理させた上でX線動画像の各フレームに対して加算処理する。これにより、X線動画像の各フレームからロードマップ画像を差分処理した動画像データを得ることができる。この画像を表示制御部1033は表示部1004aで表示させることにより、造影剤の流入領域即ち血管領域が強調されるため、血管内のカテーテル挿入術やステント留置術を有効に支援することができる。
X線発生部1001のX線制御部1014、X線撮影装置1002、撮影制御装置1003は、少なくとも1つのCPUやRAMを有する。外部または内部の記憶装置から読み出したプログラムをRAMに展開しCPUが逐次または並列的にプログラムに含まれる指令を実行することで実現される。プログラムの実行により実装された各処理部を連関させることにより上記の処理が実施される。
(その他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

Claims (18)

  1. 放射線動画像に含まれる複数のフレーム画像に基づいて第一の画像を生成する生成手段と、
    前記複数のフレーム画像において、対応する画素位置における画素値の時間的な変化を測定する測定手段と、
    前記画素値を用いて、前記第一の画像における前記画素位置の画素値を変更する処理を行い第二の画像を取得する処理手段と、
    を有することを特徴とする画像処理装置。
  2. 前記生成手段は、前記複数のフレーム画像の各フレーム画像からマスク画像を差分することにより複数のサブトラクション像を前記第一の画像として作成する差分手段を有することを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
  3. 前記生成手段は、入力された画像にノイズ低減処理を施して、前記マスク画像を生成するマスク像作成手段を更に有することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
  4. 前記測定手段は、前記複数のサブトラクション像の間で対応する画素の画素値の最小値を保持する最小値ホールド像を取得する取得手段を有することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
  5. 前記測定手段は、前記複数のサブトラクション像のフレーム間で対応する画素について、画素値を加算平均した平均画像を作成する作成手段を有することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
  6. 前記測定手段は、前記複数のサブトラクション像のフレーム間で対応する画素について、画素値が画素閾値以下となる連続フレーム数を取得する判定手段を有することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
  7. 前記判定手段は、造影剤が流入している造影領域を判定するためのフレーム数の閾値と、前記連続フレーム数とを比較して、前記造影領域の判定結果を示す情報を取得することを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
  8. 前記画素閾値および前記フレーム数の閾値は、被検体の検査部位、前記放射線動画像の取得時のフレームレート、造影剤注入速度、造影剤濃度、造影剤の量、造影剤の種類のうち、少なくともいずれか1つの情報に応じて決定されることを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置。
  9. 前記判定手段は、前記サブトラクション像の各画素の位置に対応して、前記判定結果を示す情報を配置したマップデータを作成することを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置。
  10. 前記判定手段は、前記マップデータを用いて、近接する造影剤領域を結合する補正処理を行うことを特徴とする請求項9に記載の画像処理装置。
  11. 前記処理手段は、前記判定結果を示す情報を用いて、前記複数のサブトラクション像の間で対応する画素の画素値の最小値を保持する最小値ホールド像の重みづけ係数と、前記複数のサブトラクション像のフレーム間で対応する画素について、画素値を加算平均した平均画像の重みづけ係数を決定することを特徴とする請求項7または9に記載の画像処理装置。
  12. 前記処理手段は、前記最小値ホールド像の重みづけ係数を用いて画素値を変更した最小値ホールド像と、前記平均画像の重みづけ係数を用いて画素値を変更した平均画像と、を合成して前記第二の画像を取得することを特徴とする請求項11に記載の画像処理装置。
  13. 前記測定手段は、前記複数のサブトラクション像について、画素値の頻度を求めるための統計処理を行い、最頻値となる画素値を背景画素値として取得する取得手段を更に有することを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置。
  14. 前記処理手段は、前記フレーム数の閾値により造影剤領域と判定された領域以外の領域の画素値を、前記背景画素値に変更して前記第二の画像を取得することを特徴とする請求項13に記載の画像処理装置。
  15. 画像処理装置の画像処理方法であって、
    前記画像処理装置の生成手段が、放射線動画像に含まれる複数のフレーム画像に基づいて第一の画像を生成する生成工程と、
    前記画像処理装置の測定手段が、前記複数のフレーム画像において、対応する画素位置における画素値の時間的な変化を測定する測定工程と、
    前記画像処理装置の処理手段が、前記画素値を用いて、前記第一の画像における前記画素位置の画素値を変更する処理を行い第二の画像を取得する処理工程と、
    を有することを特徴とする画像処理方法。
  16. 放射線を発生させる発生手段と、前記放射線に基づく画像として複数のフレーム画像の撮影を行う撮影手段と、を同期させる制御を行う制御手段と、
    前記複数のフレーム画像に対して処理を行う画像処理手段と、を備え、
    前記画像処理手段が、
    放射線動画像に含まれる複数のフレーム画像に基づいて第一の画像を生成する生成手段と、
    前記複数のフレーム画像において、対応する画素位置における画素値の時間的な変化を測定する測定手段と、
    前記画素値を用いて、前記第一の画像における前記画素位置の画素値を変更する処理を行い第二の画像を取得する処理手段と、
    を有することを特徴とすることを特徴とする撮影制御装置。
  17. 放射線撮影システムであって、
    放射線を発生させる発生装置と、
    前記放射線に基づく画像として複数のフレーム画像の撮影を行う撮影装置と、
    前記発生装置および前記撮影装置を制御する撮影制御装置と、を有し、
    前記撮影制御装置は、
    放射線を発生させる発生手段と、前記放射線に基づく画像として複数のフレーム画像の撮影を行う撮影手段と、を同期させる制御を行う制御手段と、
    前記複数のフレーム画像に対して処理を行う画像処理手段と、を有し、
    前記画像処理手段が、
    放射線動画像に含まれる複数のフレーム画像に基づいて第一の画像を生成する生成手段と、
    前記複数のフレーム画像において、対応する画素位置における画素値の時間的な変化を測定する測定手段と、
    前記画素値を用いて、前記第一の画像における前記画素位置の画素値を変更する処理を行い第二の画像を取得する処理手段と、
    を有することを特徴とすることを特徴とする放射線撮影システム。
  18. コンピュータを、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の画像処理装置として機能させるためのプログラム。
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