JP2015089537A - 静電塗装装置 - Google Patents
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Abstract
Description
このような静電塗装装置では、被塗装物に形成する膜厚に応じて目標となる電圧値や電流値(目標駆動状態に相当する)を作業者が予め設定し、静電コントローラによってその目標駆動状態となるように制御が行われている。この目標駆動状態は、経験的な値やメーカの推奨値等が採用されていた。
しかしながら、駆動状態と塗着効率との関係を作業者に全て把握させたり、最適な塗着効率となるように作業者が塗装作業中に駆動状態を調整したりすることは、作業者の負担が増加してしまい、その実現には多くの困難が伴うのが実情である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、作業者の負担を伴うことなく塗着効率が最適となる駆動状態に制御することができる静電塗装装置を提供することにある。
このような構成によれば、塗料の種類が変更された場合であっても、その種類を入力するだけで塗着効率が最適となる駆動状態にて塗装を行うことができる。
請求項3の発明は、スプレーガンから被塗装物までの距離を検出する距離検出手段をさらに備え、目標駆動状態は、被塗装物までの距離に応じて区分けして設定されており、制御部は、被塗装物までの距離の変化に追従させて、駆動状態検出部で検出した駆動状態が目標駆動状態となるように制御する。
このような構成によれば、距離の変化に追従して塗着効率が最適となる駆動状態に制御されるので、作業者が手動で塗装をする際、多少のぶれがあったとしても、最適な駆動状態を維持することができる。また、塗装ロボットを使用する場合であれば、ロボットアームの位置に基づいて最適な駆動状態を検知することができる。
このような構成によれば、直流高電圧発生部の電流値を制御することは従来の静電塗装装置でも行われていることから、複雑な回路構成や部品の追加あるいは複雑な処理の追加等を行わなくても、最適な駆動状態に制御することができる。
請求項5の発明は、外部の機器との間で通信を行う通信手段をさらに備え、通信手段を介して、目標駆動状態を外部の機器から取得する。
このような構成によれば、新たな種類の塗料が追加されたり、形状等が異なる新たな被塗装物への塗装を行ったりする場合であっても、各静電塗装装置に個別に設定等を行わなくても、最適な駆動状態を取得することができる。
本実施形態では、粉体塗装を例にして説明するが、本発明は、粉体塗装に限らず、液体塗装にも適用することができる。
図1に示すように、静電塗装装置1は、スプレーガン2と、このスプレーガン2にケーブル3を介して接続されている静電コントローラ4とを備えている。このケーブル3は、スプレーガン2に対して電源(交流電圧)を供給するための電源線3aおよび3bと、後述する電流検出回路23(駆動状態検出部に相当する)のための電流検出線3cと、作業者がトリガ6を操作した際の操作信号を伝達するための信号線3d、3cとから構成されている。なお、ケーブル3は、その外周側が保護管3fにより保護されている。
静電コントローラ4は、制御部17により制御されている。この制御部17は、図示しないCPU、ROM及びRAMなどを備えたマイクロコンピュータにより構成されており、例えばROM等に記憶されているプログラムを実行することで、静電コントローラ4の全体を制御する。具体的には、作業者がトリガ6を操作してガン内蔵スイッチ6aがオンされると、発振回路24に対して制御指令を出力し、電源部21の出力(スプレーガン2に供給される電源)を調整する。一方、制御部17は、トリガ6の操作が解除されると、ガン内蔵スイッチ6aがオフされることから待機状態となる。なお、図示は省略するが、静電コントローラ4には、過電流を検出したりする周知の安全回路も勿論設けられている。
図2は、発明者らが見いだした直流高電圧発生部9の駆動状態によって塗料の塗着効率が変化する実験結果の一例を示している。この図2の場合、同一の被塗装物32に対して同一の塗料11を同一の距離から塗布し、その際の塗着効率と直流高電圧発生部9の駆動状態(本実施形態では、直流高電圧発生部9の出力側の電流値)との関係が一例として示されている。ここで、塗着効率は、平面状の被塗装物32に対して正面からスプレーガンにて塗装を行った際における塗料11の使用量(噴霧量)と、実際に被塗装物32に塗装された塗料11の量(吸着量)との比で示されている。また、図2には、吐出量を100g/min(実線にて示すグラフG1)、200g/min(破線にて示すグラフG2)、および300g/min(二点鎖線にて示すグラフG3)に変化させた際の実験結果が示されている。なお、吐出量は目標となる膜厚に対して設定される値であり、本実施形態では、上記したように風量(メインエアーの風量、サブエアーの風量)を設定することで間接的に吐出量を設定している。勿論、ノズル5の径や形状等に基づいて、吐出量を直接的に設定してもよい。
そして、静電塗装装置1では、実際に塗装が行われる際、これらのデータに基づいて、塗着効率が最大となるように、直流高電圧発生部9の駆動状態が制御される。以下、塗装中における処理について、静電塗装装置1を主体として説明する。
このように、静電塗装装置1は、塗着効率が最大(または最大付近)となる目標駆動状態を予め記憶しておき、その目標駆動状態で塗装が行われるように制御を行っている。
静電塗装装置1では、作業者が駆動状態と塗着効率との関係を把握しておかなくても、また、最適な塗着効率となるように作業者が塗装作業中に駆動状態を調整しなくても、吐出量を設定するだけで塗着効率が最適となる駆動状態(目標駆動状態)が設定される。したがって、作業者の負担を伴うことなく、塗着効率が最適となる駆動状態にて塗装を行うことができる。また、塗着効率が向上することから、無駄な塗料の消費を抑制することができる。
本発明は、上記した各実施形態にて例示したものに限定されることなく、その範囲を逸脱しない範囲で任意に変形あるいは拡張することができる。
一実施形態では吐出量を直接的に入力したが、例えば吐出量とその吐出量で形成される膜厚との関係を予め調査しておき、膜厚を入力することで間接的に吐出量を入力する構成であってもよい。
実施形態で示したスプレーガン2や静電コントローラ4の構成は一例であり、例示した構成に限定されるものではない。
Claims (5)
- 直流高電圧発生部を有し、供給された塗料を帯電させて噴霧するスプレーガンと、
前記スプレーガンから噴霧される塗料の吐出量を直接的または間接的に特定可能な設定値を入力する入力手段、前記スプレーガンの前記直流高電圧発生部へ電源を供給する電源部、当該直流高電圧発生部の駆動状態を検出する駆動状態検出部、および、前記駆動状態検出部で検出した駆動状態が、前記入力手段に入力された設定値に応じて予め定められている目標駆動状態となるように前記電源部を制御する制御部を備える静電コントローラと、
を備えることを特徴とする静電塗装装置。 - 前記入力手段は、塗料の種類をさらに入力可能であり、
前記目標駆動状態は、塗料の種類に応じて区分けして設定されており、
前記制御部は、塗料の種類に応じて、前記駆動状態検出部で検出した駆動状態が前記目標駆動状態となるように制御することを特徴とする請求項1記載の静電塗装装置。 - 前記スプレーガンから前記被塗装物までの距離を検出する距離検出手段をさらに備え、
前記目標駆動状態は、前記被塗装物までの距離に応じて区分けして設定されており、
前記制御部は、前記被塗装物までの距離の変化に追従させて、前記駆動状態検出部で検出した駆動状態が前記目標駆動状態となるように制御することを特徴とする請求項1または2記載の静電塗装装置。 - 前記駆動状態は、前記直流高電圧発生部の電流値によって示されるものであり、
前記駆動状態検出部は、前記駆動状態として前記直流高電圧発生部の電流値を検出する電流検出回路により構成されており、
前記制御部は、前記電流検出回路により検出された電流値が前記目標駆動状態として予め設定されている目標電流値となるように制御することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の静電塗装装置。 - 前記外部の機器との間で通信を行う通信部をさらに備え、
前記通信部を介して、前記目標駆動状態を前記外部の機器から取得することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の静電塗装装置。
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