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JP2015075463A - 太陽センサ - Google Patents

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JP2015075463A
JP2015075463A JP2013213766A JP2013213766A JP2015075463A JP 2015075463 A JP2015075463 A JP 2015075463A JP 2013213766 A JP2013213766 A JP 2013213766A JP 2013213766 A JP2013213766 A JP 2013213766A JP 2015075463 A JP2015075463 A JP 2015075463A
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泰貴 成澤
Yasutaka Narisawa
泰貴 成澤
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Abstract

【課題】太陽センサのコストを低減する、簡易な構成による太陽センサを提供する。【解決手段】太陽センサ10は、熱光学特性が異なる吸熱体2と吸熱体3の吸熱体対と、吸熱体2と吸熱体3のそれぞれの温度を測定する温度センサとを具備し、吸熱体対は、少なくとも3組設けられ、少なくとも3組の吸熱体対の指向方向4は互いに異なる方向を示し、太陽センサ10は、吸熱体2、3の熱光学特性に基づいて太陽方向を特定する。【選択図】図2

Description

本発明は、太陽センサに関し、特に温度センサを利用した太陽センサに関する。
人工衛星の姿勢を制御するためには、衛星がどの方向を向いているかを精密に測定する必要がある。衛星の方向を計測するセンサとして太陽センサが知られている。特に、太陽電池をエネルギー源とする人口衛星では、太陽の方向を精度良く特定するため、太陽センサが搭載されている。
太陽センサには太陽電池、CCD、フォトダイオード等に例示される光学センサを利用したものや、温度センサを利用したものが知られている。宇宙線や温度環境変化による測定精度への影響を抑制するため、温度センサを利用した温度センサは有効である。温度センサを利用した太陽センサが、例えば、特開平11−183161に記載されている(特許文献1参照)。
特許文献1に記載の太陽センサは、太陽光導入空間を有する本体と、該本体に固定された複数の温度センサと、太陽光導入空間を覆うとともに本体に対して相対移動可能な遮光カバーと、遮光カバーに穿設され、太陽光を、太陽光導入空間を介して温度センサに導くための入射口を供える。特許文献1に記載の太陽センサは、遮光カバーが本体に対して相対移動可能なことから、必要に応じて広い視野角と高い高度分解能を切り替えることができる。
特開平11−183161
太陽電池、CCD等の検知素子は高価でかつ故障の可能性がある。一方、特許文献1に記載の温度センサを使用する方式は、温度センサの故障の可能性は低いが、温度センサを多数使用するため、高価となる。
以上のことから、本発明の目的は、太陽センサのコストを低減することにある。
本発明の他の目的は、簡易な構成による太陽センサを提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明は、以下に述べられる手段を採用する。その手段を構成する技術的事項の記述には、[特許請求の範囲]の記載と[発明を実施するための形態]の記載との対応関係を明らかにするために、[発明を実施するための形態]で使用される番号・符号が付加されている。但し、付加された番号・符号は、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲を限定的に解釈するために用いてはならない。
一の観点に関し、本発明による太陽センサ(10)は、熱光学特性が異なる第1吸熱体(2)と第2吸熱体(3)の吸熱体対と、第1吸熱体(2)と第2吸熱体(3)のそれぞれの温度を測定する温度センサ(20)とを具備する。ここで、吸熱体対は、少なくとも3組設けられ、少なくとも3組の吸熱体対の指向方向(4)は互いに異なる方向を示す。
又、本発明による太陽センサ(10)は、温度センサ(20)によって測定された、少なくとも3組の吸熱体対の温度に基づいて、太陽方向(4S)を特定する演算処理装置(40)を更に具備することが好ましい。
本発明に係る演算処理装置(40)は、太陽光による入熱量(Q)、地球からの赤外線の入熱量(q)、1吸熱体(2)及び第2吸熱体(3)の熱光学特性に基づいて、吸熱体の指向方向(4)に対する太陽光の入射角(θ)を算出する。
本発明に係る演算処理装置(40)は、少なくとも3組の吸熱体対の指向方向(4)に対する太陽光の入射角(θ)に基づいて、太陽方向(4S)を特定する。
本発明に係る第1吸熱体(2)及び第2吸熱体(3)は平板形状であることが好ましい。この際、指向方向(4)は、第1吸熱体(2)及び第2吸熱体(3)の法線方向である。
本発明に係る第1吸熱体(2)及び第2吸熱体(3)は、平板(1)に取り付けられることが好ましい。この際、指向方向(4)は、平板(1)の法線方向である。
本発明に係る吸熱体対は、少なくとも4組設けられることが好ましい。この際、少なくとも4組の吸熱体対のうち、少なくとも3組の吸熱体対は、太陽方向(4S)の特定に利用され、他の吸熱体対は、予備系として利用される。
本発明に係る第1吸熱体(2)及び第2吸熱体(3)は、人口衛星本体(101)に断熱して取り付けられることが好ましい。
他の観点に関し、本発明による太陽センサ(10)は、吸熱体(2、3)の熱光学特性に基づいて太陽方向(4S)を特定する。
本発明によれば、太陽センサのコストを低減することができる。
又、簡易な構成による太陽センサを実現できる。
図1は、本発明に係る人工衛星の構成の一例を示す図である。 図2は、本発明による太陽センサの構造の一例を示す図である。 図3は、本発明による太陽センサの構成の一例を示すブロック図である。 図4は、本発明に係る吸熱体に吸収される熱量を示す概念図である。 図5は、本発明による太陽センサによって測定される太陽方向の測定例を示す図である。 図6は、図5に示す測定例の正射図である。 図7は、本発明による太陽センサの構造の他の一例を示す図である。 図8は、本発明による太陽センサによって測定される太陽方向の測定例を示す正射図。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。図面において同一、又は類似の参照符号は、同一、類似、又は等価な構成要素を示している。同一の構成を個別に示す場合は参照符号にA、B、Cのいずれかを付して説明し、区別しないときはA、B、Cを付さずに参照符号のみにより説明する。
(構成)
図1から図3を参照して、本発明による太陽センサの構成を説明する。図1は、図1は、本発明に係る人工衛星の構成の一例を示す図である。図1を参照して、本発明に係る人工衛星は、衛星本体101及び太陽電池パネル102を具備する。本発明による太陽センサ10は、衛星本体101の表面上に設けられることが好ましい。特に、太陽センサ10は、太陽電池パネル102が太陽方向に向ける用途に利用される場合、衛星本体101において、太陽電池パネル102の受光面と同じ法線方向の面上に設けられることが好ましい。本一例では、太陽電池パネル102の法線方向を、人工衛星の機体座標系におけるz方向、太陽電池パネル102面方向を機体座標系のxy方向とし、太陽センサ10が、衛星本体101において機体座標系におけるZ方向を法線方向とする面上に設けられるものとして説明する。尚、太陽電池パネル102は必須の構成要素ではなく、他のエネルギー源(例えば原子力電源)を備えれば、人工衛星に設けられなくても良い。この場合、太陽センサ10は、太陽電池パネルの位置に関係なく、太陽光を受光可能な位置であれば、任意の位置に設置可能であることは言うまでもない。又、以下では、太陽方向を測定する際の基準軸として機体座標系のz軸を用いるが、機体座標系は太陽電池パネル102の向きに依らず任意に設定し得ることも言うまでもない。
図2は、本発明による太陽センサの構造の一例を示す図である。図2を参照して、本発明による太陽センサ10は、熱光学特性の異なる2つの吸熱体2、3(例えば吸熱体2Aと吸熱体3A)による吸熱体対を少なくとも3つ具備する。1組の吸熱体対を構成する吸熱体2、3は、その指向方向が宇宙空間側の同一方向を向くように、衛星本体101に対して断熱して取り付けられる。又、複数の吸熱体対のそれぞれの指向方向は、互いに異なる独立な方向を向くように衛星本体101に設置される。例えば、吸熱体2Aと吸熱体3A、吸熱体2Bと吸熱体3B、吸熱体2Cと吸熱体3Cが、それぞれ個別の吸熱体対を構成する場合、吸熱体2Aと吸熱体3Aの指向方向4Aと、吸熱体2Bと吸熱体3Bの指向方向4Bと、吸熱体2Cと吸熱体3Cの指向方向4Cは相互に異なる方向を示す。具体的には、吸熱体対を構成する吸熱体2、3が平板形状である場合、指向方向4は吸熱体2、3による平面に対する法線方向によって示される。ここで平板形状とは、面方向の長さがその面方向の幅が厚さ方向の幅よりも十分大きい形状をいう。平板形状における平面の形状、すなわち吸熱体2、3における平面を法線方向から見た形状は、矩形、円、楕円、多角形の他、任意の形状を選択し得る。
本実施の形態における太陽センサ10は、それぞれの法線方向が相互に異なる平板1A、1B、1C上に平板形状の吸熱体対が取り付けられている。ここでは、法線方向が指向方向4Aである平板1A上に吸熱体2A、3Aが取り付けられ、法線方向が指向方向4Bである平板1B上に吸熱体2B、3Bが取り付けられ、法線方向が指向方向4Cである平板1C上に吸熱体2C、3Cが取り付けられる。ここで、機体座標系のz軸に対する指向方向4A、4B、4Cのなす角をそれぞれδ、δ、δとし、機体座標系のy軸に対する指向方向4A、4B、4Cのなす角をそれぞれψ、ψ、ψとする(図2、図5及び図6参照)。図2、図5及び図6に示す一例では、δ、δ、δは等しい値を示し、ψ、ψ、ψはそれぞれ異なる値を示す。平板1A、1B、1Cは、それぞれの影による他の吸熱体2、3への影響が少なくなる位置に配置されることが好ましい。例えば、図2に示すように、角錐台の側面(錐体面)を平板1A、1B、1Cとして利用することが好適である。尚、1組の吸熱体対を構成する吸熱体2、3の指向方向4が同一となり、複数の吸熱体対の指向方向4が相互に異なる方向となるように維持できれば、吸熱体2、3は平板上に設置されなくてもよい。又、平板1上に吸熱体2、3が設けられる場合、平板1の法線方向を吸熱体対(吸熱体2、3)の指向方向4として定義できる。このような場合、当該吸熱体2、3の形状は平板に限らず任意の形状を選択し得る。
吸熱体に対する吸熱条件を一致させるため、太陽センサ10に設けられる吸熱体2A、2B、2C、3A、3B、3Cは同じ形状及びサイズであることが好ましいが、異なる形状、サイズでも太陽方向は算出可能である。又、1組の吸熱体対における吸熱体2と吸熱体3の配置位置(相対位置)は、太陽センサ10に設けられる全ての吸熱体対において同じであることが好ましい。例えば、図2に示す一例では、衛星本体101側を下、宇宙空間側を上とし、法線方向に対して向かう方向に吸熱体対を見たとき、吸熱体2A、2B、2Cのそれぞれに対して吸熱体3A、3B、3Cが右側に配置される。
相互に対となる吸熱体2と吸熱体3は、異なる熱光学特性を示す。一方、太陽方向の算出容易性の観点から、吸熱体2A、2B、2Cは、同一の熱光学特性を有することが好ましい。同様に、吸熱体3A、3B、3Cは、同一の熱光学特性を有することが好ましい。ここで、熱光学特性は、太陽光に対する反射率、吸収率、透過率、赤外線に対する赤外放射率(熱輻射率)を示す。すなわち、吸熱体2と吸熱体3とでは、太陽光による温度上昇率が異なる。吸熱体2、3は、その材料、表面構造、表面材料、表面色等のいずれかを変更することで、その熱光学特性を変更することができる。吸熱体2、3は、過酷な宇宙環境(高真空、微小重力、放射線、紫外線、原子状酸素、温度サイクル)に耐え得る金属材料、無機材料、高分子材料のいずれか、あるいはこれらの複合材料が好適である。又、吸熱体2、3の表面を熱制御材料(例示:熱制御フィルム、塗料、熱制御ミラー、金属材料)によって覆ってもよい。吸熱体2、3として特性の異なる材料を利用する、あるいは、それぞれの表面を覆う熱制御材料として特性の異なる材料を利用することで、両者の熱光学特性を異なる特性とすることが可能となる。太陽方向を精度よく測定するためには、吸熱体2、3の熱光学特性の差が大きいことが好ましい。このため、熱光学特性に差を付けるため吸熱体2、3に利用する材料、表面構造、表面材料、表面色を適切に選択する必要がある。例えば、吸熱体2としてセラミックを利用し、吸熱体3として表面を研磨したアルミニウム合金を利用することで、吸熱体2の太陽光吸収率を高め、吸熱体3の太陽光反射率を高めることができる。あるいは、吸熱体2、3の材料を同一材料とした場合でも、吸熱体2の表面に黒色塗料を塗布することにより吸熱体2の太陽光吸収率を高め、吸熱体3の表面に白色塗料を塗布することで太陽光反射率を高めることができる。
図3は、本発明による太陽センサ10の構成の一例を示すブロック図である。図3を参照して、本発明による太陽センサ10は、吸熱体2、3に加えて、吸熱体2、3の温度を測定する温度センサ20、記憶装置30、及び演算処理装置40を具備する。詳細には、温度センサ20は、吸熱体2A、3A、2B、3B、2C、3Cに対応する複数の温度センサ21A、22A、21B、22B、21C、22Cを備える。温度センサ21A、22A、21B、22B、21C、22Cは、対応する吸熱体2A、3A、2B、3B、2C、3Cの温度を測定し、測定結果を演算処理装置40に出力する。記憶装置30には、吸熱体2、3の熱光学特性に関する各種情報や、太陽方向を算出するための各種パラメータ情報が記録されている。詳細には、記憶装置30には、吸熱体2、3のそれぞれの太陽光に対する吸収率α、地球からの赤外線に対する吸収率(放射率)εや、シュテファンボルツマン定数σ、指向方向4を特定するための方位角δ、ψ、太陽光による単位面積当たりの熱量Q、及び地球からの赤外線による単位面積当たりの熱量Qが記録されている。演算処理装置40は、測定された吸熱体温度と、記憶装置30内の各種情報とに基づいて太陽方向を算出する。算出された太陽方向は、図示しない姿勢制御装置に出力され、人口衛星の姿勢制御に利用される。尚、記憶装置30や演算処理装置40は、太陽センサ10とは異なる装置に搭載されても構わない。すなわち、他の装置(例示:姿勢制御装置)で利用される記憶装置や演算処理装置を太陽方向の測定処理に利用することができる。
本発明による太陽センサ10は、複雑な装置を必要とせず、吸熱体対(吸熱体2、3)及び温度センサ20を用意するだけで、太陽方向の測定が可能である。このように、本発明による太陽センサ10は、故障要因となる複雑な装置が排除された簡易な構成であるため、故障の発生が抑制される。又、本発明による太陽センサ10は、構成が簡易であり、熱的光学特性を適切に選択できれば、軽量で破壊され難い吸熱体2、3を利用し得ることから、太陽センサ10を軽量化することができる。更に、本発明による太陽センサ10は、少なくとも吸熱体2、3の数分の温度センサ21、22を用意すればよい。例えば、3組の吸熱体対が搭載されている場合、少なくとも3組の温度センサ対(温度センサ21、22)を用意すればよい。このように、太陽方向を測定するために、少ない数の温度センサ21、22を用意すればよいため、太陽センサ10全体のコストを削減することができる。
本発明に係る演算処理装置40は、温度センサ20よって測定された3組の吸熱体対(吸熱体2、3)の温度と、吸熱体対の熱光学的特性を利用して3組の吸熱体対の指向方向4A、4B、4Cのそれぞれにおける太陽入射角θSA、θSB、θSCを算出する。この際、熱光学特性の異なる2つの吸熱体2、3の温度を利用することで、地球からの熱放射や熱反射の影響を排除することができる。演算処理装置40は、太陽入射角θSA、θSB、θSCと、3組の吸熱体対(吸熱体2、3)の指向方向4A、4B、4Cから、太陽方向4Sを特定する太陽方位角δ、ψを算出する。
以下、図4から図6を参照して、演算処理装置40による太陽方向4Sの具体的な算出方法について説明する。図4は、本発明に係る吸熱体2、3に吸収される熱量を示す概念図である。ここで、図4(a)は、吸熱体2、3に吸収される地球からの熱量を示す図であり、図4(b)は、吸熱体2、3に吸収される太陽からの熱量を示す図である。以下では、吸熱体2の吸収率をα、放射率をε、温度をTとし、吸熱体3の吸収率をα、放射率をε、温度をTとする。
1組の吸熱体対(吸熱体2、3)の指向方向4に対する角度(以下、地球入射角と称す)をθ、地球から当該吸熱体対(吸熱体2、3)に入射される単位面積当たりの熱量をQとすると、地球から当該吸熱体対に入射される熱量のうち、指向方向4の単位面積当たりの熱量qは(1)式で示される。同様に、1組の吸熱体対(吸熱体2、3)の指向方向4に対する角度(以下、太陽入射角と称す)をθ、太陽から当該吸熱体対(吸熱体2、3)に入射される単位面積当たりの熱量をQとすると、太陽から当該吸熱体対に入射される熱量のうち、指向方向4の単位面積当たりの熱量qは(2)式で示される。
Figure 2015075463
式(1)
Figure 2015075463
式(2)
ここで、吸熱体2における太陽光の吸収率をα、地球からの放射光(赤外光)の吸収率(=吸熱体2自身の放射率)をε、吸熱体2の温度をTとし、吸熱体3における太陽光の吸収率をα、地球からの放射光(赤外光)の吸収率(=吸熱体3自身の熱放射率)をε、吸熱体3の温度をTとする。このとき、シュテファンボルツマン係数をσとすると、吸熱体2に入射されるエネルギー(左辺)と、吸熱体2から放射されるエネルギー(右辺)が等しいことから(3)式が得られ、吸熱体3に入射されるエネルギー(左辺)と、吸熱体3から放射されるエネルギー(右辺)が等しいことから(4)式が得られる。
Figure 2015075463
Figure 2015075463
(3)式、(4)式による連立方程式を熱量q、qについて解くと、(5)式、(6)式のようになる。
Figure 2015075463
Figure 2015075463
(1)式を太陽入射角θで展開すると、太陽入射角θは、(7)式のように表され、(5)式によって求められる熱量q、及び既知のQによって一意に決定する。同様に、(2)式を地球入射角θで展開すると、地球入射角θは、(8)式のように表され、(6)式によって求められる熱量q、及び既知のQによって一意に決定する。
Figure 2015075463
Figure 2015075463
以上のように、本発明による太陽センサ10は、吸熱体2、3の温度を測定することにより、地球からの熱雑音を排除しながら、指向方向4に対する太陽光の入射角(太陽入射角θ)を計測することができる。又、本発明による太陽センサ10は、太陽入射角θのみならず、指向方向4に対する地球からの赤外線の入射角(地球入射角θ)も同時に計測することができる。
太陽センサ10は、上述のような、太陽入射角θの計測を指向方向4A、4B、4Cのそれぞれについて行い、それぞれに対する太陽入射角θSA、θSB、θSCを算出する。図5は、本発明による太陽センサ10によって測定される太陽方向4Sの測定例を示す図である。図6は、図5に示す測定例の正射図である。図5及び図6を参照して、指向方向4A、4B、4Cの交差する点Oを中心とした反球面(天球)を考えると、点Oから球面上の点41Aに向かう方向を指向方向4A、点Oから球面上の点41Bに向かう方向を指向方向4B、点Oから球面上の点41Cに向かう方向を指向方向4Cとして表される。このとき、指向方向4Aは、点Oを通るz軸に対する方位角δ、点Oを通るy軸に対する方位角ψによって決まる。指向方向4Bは、点Oを通るz軸に対する方位角δ、点Oを通るy軸に対する方位角ψによって決まる。指向方向4Cは、点Oを通るz軸に対する方位角δ、点Oを通るy軸に対する方位角ψによって決まる。ここで、点Oを中心とした半球面上に、指向方向4A、4B、4Cに対する太陽入射角θSA、θSB、θSCの軌跡が、太陽方向候補42A、42B、42Cとして描かれる。点Oから太陽方向候補42Aに向かう方向ベクトルは、指向方向4Aの吸熱体対(吸熱体2A、3A)を利用して計測された太陽方向の候補を示す。又、点Oから太陽方向候補42Bに向かう方向ベクトルは、指向方向4Bの吸熱体対(吸熱体2B、3B)を利用して計測された太陽方向の候補を示す。更に、点Oから太陽方向候補42Cに向かう方向ベクトルは、指向方向4Cの吸熱体対(吸熱体2C、3C)を利用して計測された太陽方向の候補を示す。従って、太陽方向候補42A、42B、42Cが一致する点41Sに対し点Oから向かう方向が太陽方向4Sとなる。
次に、太陽方向4Sの計算方法の具体例を説明する。z軸に対する太陽方向4Sのなす角(以下、第1太陽方位角と称す)をδ、y軸に対する太陽方向4Sのなす角(以下、第2太陽方位角と称す)をψとすると、太陽方向候補42Aを示す方程式から(9)式が得られ、同様にして、太陽方向候補42Bを示す方程式から(10)式が得られ、太陽方向候補42Cを示す方程式から(11)式が得られる。
Figure 2015075463
Figure 2015075463
Figure 2015075463
ここで、(12)式、(13)式、(14)式のように、P、Q、Rを定義し、P、Q、Rについて、(9)式、(10)式、(11)式からなる連立方程式を解く。これにより得られたRを、(14)式から得られる(15)式に代入することで、z軸に対する第1太陽方位角δが算出される。続いて、(12)式から得られる(16)式、及び(13)式から得られる(17)式のそれぞれに第1太陽方位角δを代入することで、y軸に対する第2太陽方位角ψが0〜2πの範囲で一意に求まる。
Figure 2015075463
Figure 2015075463
Figure 2015075463
Figure 2015075463
Figure 2015075463
Figure 2015075463
図2、図5、及び図6に示す一例では、y軸に対する、指向方向4Aの方位角ψは90°、指向方向4Bの方位角ψは0°、指向方向4Cの方位角ψは−90°であるが、これは一例にすぎず、それぞれ異なる角度であればこれに限らない。又、本一例では、z軸に対する、指向方向4Aの方位角δ、指向方向4Bの方位角δ、及び指向方向4Cの方位角δが同じ値を示しているが、これに限らず、それぞれ異なる値を示してもよい。
例えば、図7及び図8に示すように、角錐台の底面が台形であり、指向方向4A、4B、4Cのy軸に対する方位角ψ、ψ、ψの大きさは互いに相違し、その絶対値は、90°未満又は90°を超えてもよい。又、指向方向4A、4B、4Cのz軸に対する方位角δ、δ、δの大きさは互いに相違してもよい。
以上のように、本発明による太陽センサ10は、吸熱体2、3の温度を測定することにより、地球からの熱雑音を排除しながら、太陽方向4S(第1太陽方位角δ、第2太陽方位角ψ)を計測することができる。又、本発明による太陽センサ10は、太陽方向4Sのみならず、地球方向(図示なし)も同様にして計測することができる。地球方向は、太陽入射角θに替えて、測定された地球入射角θを利用して上述と同様な方法により算出され得る。
本発明による太陽センサ10は、複数の吸熱体2、3の温度のみを利用して太陽方向を測定しているため、人口衛星の計算機のインタフェース回路を簡素化できる。又、温度センサ20の出力のみを利用して太陽方向を計算しているため、複雑な装置を排除でき故障発生の可能性を低減することができる。更に、太陽センサ自体が電力を消費しないため、人口衛星の消費電力を低減できる。更に、吸熱体2、3の大きさは太陽方向の検知に関係しないため、太陽センサ10を小型化できる。
以上、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は上記実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の変更があっても本発明に含まれる。例えば、上述の実施例では、3組の指向方向4A、4B、4Cに吸熱体対(吸熱体2、3)を設けた太陽センサ10を示したが、4組以上の指向方向4に吸熱体対(吸熱体2、3)を設けてもよい。例えば、4組以上の吸熱体対(吸熱体2、3)を用意し、そのうち3組の吸熱体対(吸熱体2、3)を測定系として利用し、他の吸熱体対を予備系として利用する。この場合、温度センサ21、22の数は、用意された全ての吸熱体対の数分用意する必要はなく、測定系として利用する数だけ用意し、測定系と予備系はスイッチ等により切り替え可能とすればよい。あるいは、温度センサ21、22の組を用意された吸熱体対の数だけ用意し、測定系と予備系に分けて利用してもよい。又、用意された複数組の吸熱体対(吸熱体2、3)のうち、太陽方向測定に利用する3組以上の吸熱体対を任意又は状況に応じて選択してもよい。例えば、用意された全ての吸熱体対を利用して同時的に又は任意の時刻に個別に太陽入射角θを測定し、太陽入射角θが相対的に小さい3つの吸熱体対を、太陽方向測定に利用する吸熱体対として選択する。これにより、指向方向4が太陽方向4Sに近い吸熱体対(吸熱体2、3)を利用して太陽方向4Sを測定できるため、測定精度が向上する。尚、太陽方向4Sを測定する際、3組以上の吸熱体対の温度を同時に測定することが好ましいが、3組以上の吸熱体対の全ての温度を測定する時間が、人口衛星に対する太陽の向きの変化速度に応じて設定される計測可能時間内であれば、同時に測定されなくてもよい。
1、1A、1B、1C :平板
2、2A、2B、2C、3、3A、3B、3C :吸熱体
4、4A、4B、4C :指向方向
4S :太陽方向
10 :太陽センサ
20、21、21A、21B、22、22A、22B :温度センサ
30 :記憶装置
40 :演算処理装置
101 :衛星本体
102 :太陽電池パネル


Claims (9)

  1. 熱光学特性が異なる第1吸熱体と第2吸熱体の吸熱体対と、
    前記第1吸熱体と前記第2吸熱体のそれぞれの温度を測定する温度センサと
    を具備し、
    前記吸熱体対は、少なくとも3組設けられ、
    少なくとも3組の前記吸熱体対の指向方向は互いに異なる
    太陽センサ。
  2. 請求項1に記載の太陽センサにおいて、
    前記温度センサによって測定された少なくとも3組の前記吸熱体対の温度に基づいて、太陽方向を特定する演算処理装置を更に具備する
    太陽センサ。
  3. 請求項2に記載の太陽センサにおいて、
    前記演算処理装置は、太陽光による入熱量、地球からの赤外線の入熱量、前記第1吸熱体及び前記第2吸熱体の熱光学特性に基づいて、前記吸熱体対の指向方向に対する太陽光の入射角を算出する
    太陽センサ。
  4. 請求項3に記載の太陽センサにおいて、
    前記演算処理装置は、少なくとも3組の前記吸熱体対の指向方向に対する太陽光の入射角に基づいて、太陽方向を特定する
    太陽センサ。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の太陽センサにおいて、
    前記第1吸熱体及び前記第2吸熱体は平板形状であり、
    前記指向方向は、前記第1吸熱体及び前記第2吸熱体の法線方向である
    太陽センサ。
  6. 請求項1から4のいずれか1項に記載の太陽センサにおいて、
    前記第1吸熱体及び前記第2吸熱体は、平板に取り付けられ、
    前記指向方向は、前記平板の法線方向である
    太陽センサ。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の太陽センサにおいて、
    前記吸熱体対は、少なくとも4組設けられ、
    少なくとも4組の前記吸熱体対のうち、少なくとも3組の前記吸熱体対は、太陽方向の特定に利用され、他の前記吸熱体対は、予備系として利用される
    太陽センサ。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載の太陽センサにおいて、
    前記第1吸熱体及び前記第2吸熱体は、人口衛星本体に断熱して取り付けられる
    太陽センサ。
  9. 吸熱体の熱光学特性に基づいて太陽方向を特定する太陽センサ。
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