JP2015067866A - 蒸発源とこれを用いた真空蒸着装置及び真空蒸着方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、簡単な構造で坩堝の端部領域の温度低下を抑制でき、膜厚均一性を得ることができる直線状蒸発源とこの蒸発源を搭載した真空蒸着装置を提供することにある。【解決手段】本発明は蒸着材料を収納する蒸着材料部と、前記蒸着材料部の両端部に設けられ、前記蒸着材料部に比して熱容量が大きい熱容量部とを有する坩堝と、前記蒸着材料を加熱する加熱手段と、前記蒸着材料部に設けられ、前記加熱手段によって蒸発または昇華した蒸気を噴出する蒸気噴出口と、を有する。【選択図】図4
Description
本発明は蒸発源並びに真空蒸着装置及び真空蒸着方法に係り、特に、長手方向を有する直線状の蒸発源とこれを用いた真空蒸着装置及び真空蒸着方法に関する。
有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)は自発光素子であり、視認性、応答速度、消費電力の点で優れており、薄型軽量化ができることから携帯用ディスプレイとして実用化されている。そして、テレビや照明の分野へと適用範囲が拡大しようとしている。
有機EL素子は、一般的に、金属膜や透明導電膜からなる下部電極層と上部電極層の間に発光層を含む有機薄膜層を形成したものであり、この製造方法の一つとして真空蒸着法が用いられている。この方法では、有機EL素子を構成する材料からなる蒸着材料を加熱容器(坩堝)に入れ、坩堝を加熱することによって蒸発した蒸着材料を基板上に堆積させ、有機薄膜層や上部電極層を形成している。この時、蒸着で形成する有機薄膜層や上部電極層には膜厚の均一性が求められている。昨今の成膜基板の大形化に伴い、蒸発源を基板の幅を有する直線状の直線状蒸発源を用い、基板と相対的に移動させて成膜を行っている。
長手方向を有する直線状蒸発源では、一定の方向に延伸した坩堝を周囲に設けたヒータ線等の加熱手段により加熱している。このような蒸発源では、長手方向の膜厚分布を均一にするためには、気化した蒸着材料を噴出させる蒸気噴出口(ノズル)を配列し、それに対応した温度分布を坩堝で実現する必要がある。
しかし直線状蒸発源では、坩堝からの熱放散が長手方向の端部で大きいために両端近傍の蒸着材料の部分で温度が低くなり、この部分に対応する膜厚が減少する傾向があり、基板端部での膜厚の均一性が課題となった。
これを解決するために、特許文献1では、ノズル(放出孔)を直線状蒸発源の両端部側に密に配置し、噴出される長手方向の単位長さに対する蒸気量を一定にしようとしている。特許文献2では、上記課題の認識はないが、直線状蒸発源の両端部側面に誘導加熱コイルを設け、蒸着材料を加熱し、端部近傍の蒸着材料の部分で温度の低下を防止している。また、特許文献2では、直線状蒸発源の両端部側に、端部側面から離間した位置に断熱板を設けている。
しかしながら、特許文献1の方法では、長手方向の端部における熱拡散を防止できず、即ち熱利用は改善されておらず、また、加熱室内の温度分布の平坦化も改善されていないので、端部近傍の全領域に亘って膜厚分布を均一にすることはできない。
特許文献2の方法では、更に加熱手段が必要であり、部品数の増大とともに複雑になることから装置コストが上昇し、蒸発源の小形化を困難なものとしている。
本発明の目的は、簡単な構造で長手方向を有する坩堝の端部領域の温度低下を抑制でき、膜厚均一性を得ることができる直線状蒸発源とこの蒸発源を搭載した真空蒸着装置及び真空蒸着方法を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するため、少なくとも下記の特徴を有する。
本発明は、蒸着材料を収納する蒸着材料部と、前記蒸着材料部の両端部に設けられ、前記蒸着材料部に比して熱容量が大きい熱容量部とを有する坩堝と、前記蒸着材料を加熱する加熱手段と、前記蒸着材料部に設けられ、前記加熱手段によって蒸発または昇華した蒸気を噴出する蒸気噴出口と、を有することを特徴とする。
本発明は、蒸着材料を収納する蒸着材料部と、前記蒸着材料部の両端部に設けられ、前記蒸着材料部に比して熱容量が大きい熱容量部とを有する坩堝と、前記蒸着材料を加熱する加熱手段と、前記蒸着材料部に設けられ、前記加熱手段によって蒸発または昇華した蒸気を噴出する蒸気噴出口と、を有することを特徴とする。
また、前記坩堝は、前記結ぶ方向に延伸する長手方向を有し、前記蒸気噴出口は、前記長手方向に複数有する、前記蒸気噴出口は、前記長手方向に複数有してもよい。
さらに、前記熱容量部は、前記長手方向における単位長さあたりの熱容量が前記蒸着材料部に比して大きくしてもよい。
さらに、前記熱容量部は、前記長手方向における単位長さあたりの熱容量が前記蒸着材料部に比して大きくしてもよい。
また、前記加熱手段は、前記熱容量部を加熱する第1の加熱手段と、前記蒸着材料部を加熱とする第2の加熱手段と、前記第1の加熱手段と前記第2の加熱手段を選択的に行う制御手段を有してもよい。
さらに、前記熱容量部を加熱する第1の加熱手段と、前記蒸着材料部を加熱する第2の加熱手段とを有し、前記第1の加熱手段の加熱と、前記第1の加熱手段と前記第2の加熱手段の加熱とを選択的に行う制御手段を有してもよい。
また、前記第1の加熱手段は前記長手方向の前記熱容量部の側部に、第2の加熱手段は前記長手方向に前記蒸着材料部に沿って設けてもよい。
また、前記第1の加熱手段は前記長手方向の前記熱容量部の側部に、第2の加熱手段は前記長手方向に前記蒸着材料部に沿って設けてもよい。
さらに、前記蒸着材料と前記坩堝の内壁とで形成される坩堝空間を2つ以上に分割し、前記蒸気を前記蒸気噴出口に導くオリフィスを有する中間板を有してもよい。
また、前記蒸発源はデポジションアップ型であって、被処理対象である基板と前記蒸発源と相対的に移動させ、前記基板に前記蒸着材料を蒸着することを特徴とする。
さらに、前記蒸発源はサイドデポジション型であって、垂直状態にある基板に前記蒸着材料を蒸着することを特徴とする。
また、前記基板を水平状態から垂直状態に移動させて蒸着パターンを規定するマスクに正対させる基板旋回手段を有してもよい。
さらに、前記蒸発源はサイドデポジション型であって、垂直状態にある基板に前記蒸着材料を蒸着することを特徴とする。
また、前記基板を水平状態から垂直状態に移動させて蒸着パターンを規定するマスクに正対させる基板旋回手段を有してもよい。
さらに、長手方向に蒸着材料を収納する蒸着材料部に比して熱容量の大きい熱容量部を加熱し、その後前記蒸着材料部と前記熱容量部を共に加熱して、前記蒸着材料を被処理部に蒸着してもよい。
本発明により、長手方向を有する坩堝の端部領域の温度低下を抑制できる簡単な構造の直線状蒸発源とこの蒸発源を搭載した真空蒸着装置及び真空蒸着方法を提供できる。従って、成膜する基板が大形化した場合でも、蒸着形成する薄膜層の膜厚均一性に優れた簡単な構造の直線状蒸発源とこの蒸発源を搭載した真空蒸着装置を提供できる。
以下、実施の形態に従って図面等により本願発明を説明する。本発明は、蒸着形成する薄膜層の膜厚均一性をはかるために、坩堝1は、蒸着材料が加熱される蒸着材料部11と、坩堝1の長手方向の両端部に蒸着材料部11に比して熱容量が大きな部分である熱容量部10と、を有する。
以下の説明文は本願発明内容の具体例を示すものであり、本願発明がこれらの説明に限定されるものではない。従って、本明細書に開示される技術的思想内において当業者による様々な変更及び修正が可能である。
(実施形態1)
図1は、本発明における第1の実施の形態である真空蒸着装置20Aの構成の概略を示す模式図である。真空蒸着装置20Aは、デポジションアップ型の蒸発型100でフェイスダウン成膜ができる構成を有している。真空蒸着装置20Aは、真空蒸着室25内に、成膜される基板P、蒸着材料を有する蒸発源100、膜厚モニタ27がある。また、真空蒸着室25外には、基板Pに成膜される膜厚を制御するための膜厚制御計28、蒸発源100の温度を制御するための蒸発源電源9、及び膜厚制御計28と蒸発源電源29を連動させて制御し、蒸着データを記録するための制御用パソコン24ある。
図1は、本発明における第1の実施の形態である真空蒸着装置20Aの構成の概略を示す模式図である。真空蒸着装置20Aは、デポジションアップ型の蒸発型100でフェイスダウン成膜ができる構成を有している。真空蒸着装置20Aは、真空蒸着室25内に、成膜される基板P、蒸着材料を有する蒸発源100、膜厚モニタ27がある。また、真空蒸着室25外には、基板Pに成膜される膜厚を制御するための膜厚制御計28、蒸発源100の温度を制御するための蒸発源電源9、及び膜厚制御計28と蒸発源電源29を連動させて制御し、蒸着データを記録するための制御用パソコン24ある。
(実施例1)
図1〜図4により本実施形態1における第1の実施例の蒸発源100Aの概略を説明する。図2は図1のA側(蒸発源の上側)から見た蒸発源100Aの概略構成図である。図3は、図1のB側(蒸発源の長手方向の端部側)から見た蒸発源100Aの概略構成図である。図4は、図2における蒸発源のX-Y断面図で、本実施形態1における第1の実施例の蒸発源を示す図である。
図1〜図4により本実施形態1における第1の実施例の蒸発源100Aの概略を説明する。図2は図1のA側(蒸発源の上側)から見た蒸発源100Aの概略構成図である。図3は、図1のB側(蒸発源の長手方向の端部側)から見た蒸発源100Aの概略構成図である。図4は、図2における蒸発源のX-Y断面図で、本実施形態1における第1の実施例の蒸発源を示す図である。
図1で示す蒸発源100Aは、上部に蒸気噴出口2を有するデポジションアップ型の蒸発源である。図1では、蒸発源100Aにおいて、坩堝1の温度分布を改善するための熱拡散板や外部への熱放散を防止するリフレクタ、断熱材、冷却機構、膜厚補正板等は省略している。蒸気噴出口2は、一定方向に延伸した坩堝1の長手方向に配列されており、上方に蒸着材料からなる蒸気2jを噴出させる。
図2、図3に示すように、蒸発源100Aは、蒸気噴出口2を有する上面を除いて、四四つの側面及び底面に、リフレクタ4S、4E、4B(纏めた場合4)、断熱材5S、5E、5B(纏めた場合5)を設けている。なお、Sは長手方向側の側面を、Eは端部側の側面を、及びBは底面を示す。
また、蒸発源100Aは、坩堝1の長手方向側の左右側面に蒸着材料9に沿って加熱ヒータ(加熱手段)3を有している。さらに、蒸発源100Aは、その上面にリフレクタ4Tを有している。なお、リフレクタ4と断熱材5は必要に応じて、必要な場所に設ければよい。
図4において、坩堝1は、蒸着材料が加熱される蒸着材料部11と坩堝1の長手方向の両端部には、蒸着材料部11に比して熱容量が大きな部分である熱容量部10A(10)を有する。蒸着材料部11は、仕切り6Wで複数の材料室に分けられ、蒸着材料9を充填している。図2に示すように、蒸着材料9は、レフレクタ4Sと坩堝1の間に設けられた加熱ヒータ3で加熱され、蒸発または昇華する。蒸発または昇華した蒸着材料の蒸気が内在する第1の坩堝空間7を介して蒸気噴出口2が噴出される。
坩堝1の長手方向の両端部には、本実施例1の特徴である熱容量部10Aが蒸着材料部11と一体になって設けられている。
本実施例1の熱容量部10Aは、坩堝1の長手方向の単位長さあたりにおいて、仕切り6W等の坩堝内部を構成する蒸着材料部11の熱容量よりも大きい熱容量を有する。熱容量は比熱と質量の積で見積もることができるので、熱容量部10Aは、蒸着材料部11の熱容量より比熱の大きな材料からなる部分を設けるか、質量の大きな部分を設ければよい。本実施例では、熱容量部10Aを坩堝1の両端に、第1の坩堝空間7や材料室6のない部分を設けることによって質量の大きな部分を形成している。
熱容量部10Aは、坩堝1の長手方向の両端部において熱ブロックとして機能を果たすので、両端部からの外側への熱放散を抑制することができ、蒸着材料部11端部内部の温度の低下を防止できる。その結果、坩堝1の長手方向の温度分布を小さくできる。このため、蒸発源100の長手方向に対して良好な膜厚分布を得ることができる。例えば、蒸着幅1メートルの直線状蒸発源の場合、リフレクタ4や断熱材5にもよるが、熱容量部10Aの厚みTを第1の坩堝空間7が存在する坩堝1の壁の厚みtの2倍以上にすることにより、温度分布幅を2℃以下、膜厚分布2%以下を実現できた。
本実施例の効果は、比熱の大きな材料を用いることによっても得ることができる。しかし、実施例1では、熱容量部10Aを蒸着材料部11と一体形成しているので、坩堝1の材料によって熱容量部10Aの大きさが決定されるので、単位体積当たりのエネルギーとして考える必要がある。すなわち、坩堝1を比熱と単位体積当たりの質量の積が大きい材料によって形成することが、熱容量部の小型の観点から望ましい。
因みに、坩堝1の材料としては、セラミック(PBN(Pyrolytic Boron Nitride)、アルミナ、カーボン材料、BN(Boron Nitride)コンポジット材料等)や金属(チタン、チタン合金、タンタル、モリブデン、タングステン、白金等)の材質で構成されている。
坩堝1の両端部に熱容量の大きな熱容量部10Aを設けると、蒸着材料部11の両端部内部では、多くの熱は熱容量部10Aに吸収されてしまう。その結果、坩堝1の加熱開始時には蒸着材料部11の両端部内部における蒸着材料9の温度上昇速度が小さくなる。そのため、加熱開始時には蒸着材料部11の長手方向の温度分布が大きくなり、蒸着材料部11の端部の蒸気噴出口2が詰まるという問題が発生する。これを防止するためには、坩堝1の加熱開始時には、その両端部に存在する熱容量部10Aのみを加熱し、熱容量部10Aを熱拡散防止ブロックのとして機能をもたせる必要がある。その後、熱容量部10Aと蒸着材料部11とを加熱して、坩堝1の長手方向の温度分布を小さく維持しながら、蒸着処理を行う。
図5は、上記を実現する一例を示す加熱ヒータ(加熱手段)3の等価回路とその動作を説明する図である。加熱ヒータ3は、蒸着材料部11を加熱する長さを有する蒸着材料部ヒータ9hと熱容量部10Aを加熱する熱容量部ヒータ10hとを有し、10h、9h、10hの順に直列に接続されている。また、加熱ヒータ3は、蒸着材料部ヒータ9hを短絡させる短絡線9bと、短絡線上に設けられ短絡を制御するスイッチSを有する。
かかる構成において、まず、坩堝1の加熱開始時にはスイッチSを閉じて、坩堝1の長手方向に両端部外部に存在する熱容量部ヒータ10hに電流を流し、熱容量部10Aを加熱する。次に、スイッチSを開にして、加熱ヒータ3全体に電流を流し、蒸着材料部11及び熱容量部10Aを加熱する。このスイッチSの切り替えタイミング、即ち熱容量部10Aの熱ブロック機能を果たせるタイミングを計る。これら一連の動作によって、蒸着材料部11の長手方向両端部の温度低下を低減し、蒸着材料部11の中央部と端部の温度差を少なくしながら、即ち坩堝1の長手方向の温度分布を小さく維持しながら、蒸着処理を行う。
以上述べてきた通り、本実施例によれば、長手方向を有する坩堝1の蒸着材料部11端部領域の温度低下を抑制できる簡単な構造の直線状蒸発源を提供できる。
(実施例2)
図6は、本実施形態1における第2の実施例の蒸発源100Bを示す図で、実施例1の図4に対応する蒸発源100BのX-Y断面図である。
図6は、本実施形態1における第2の実施例の蒸発源100Bを示す図で、実施例1の図4に対応する蒸発源100BのX-Y断面図である。
実施例2の実施例1と異なる点は、次の2点である。その他の点は、実施例1と同じである。
第1に、実施例2の熱容量部10Bは、実施例1のように蒸着材料部11と一体になって形成されていなく分離して形成され、且つ引用文献2のように断熱板が端部側面から離間しているのではなく、蒸着材料部11の両端部側面に接触して設けられている点である。このように熱容量部10Bを蒸着材料部11と別に形成する場合、熱容量部10Bの材料は、蒸着材料部11の材料と切り離して考えることができるので、比熱の大きい材料を用いることが望ましい。勿論、熱容量部10Bを蒸着材料部11の構成材料と同じ材料で構成してもよい。
この結果、熱容量部10Bの構成は熱容量部10Aと基本的に同じであるので、熱容量部10Bによる効果は、実施例1と同様に得ることができる。
この結果、熱容量部10Bの構成は熱容量部10Aと基本的に同じであるので、熱容量部10Bによる効果は、実施例1と同様に得ることができる。
第2に、中間板8によって第1の坩堝空間7を第2の坩堝空間71と第3の坩堝空間72に分割し、中間板8に第2の坩堝空間71と第3の坩堝空間72と連通するオリフィス8Hによって繋いでいる。
中間板8により、第3の坩堝空間72で長手方向に対するコンダクタンスが大きくなり、第3の坩堝空間72において蒸着材料9の蒸気に長手方向の流れが発生する。その結果、第2の坩堝空間71での蒸着材料9の蒸気の圧力が均一化され、膜厚分布やその再現性を優れたものとすることができる。
上記説明では、第1に坩堝空間を2つに分割したが3つ以上でもよい。例えば、3つに分割した場合、真ん中の坩堝空間でも長手方向に対するコンダクタンスが大きくなり、更なる蒸気の均一化が図れる。
(実施例3)
図7は、本実施形態1における第3の実施例の蒸発源100Cを示す図で、実施例1の図2に対応する蒸発源100BのX-Y断面図である。
実施例3の実施例1と異なる点は、加熱手段3である。その他の点は基本的に同じである。実施例1では、蒸着材料部11と熱容量部10Aを加熱する蒸着材料部ヒータ9h、熱容量部ヒータ10hを坩堝1の長手方向側部に設けたのに対し、実施例3では、熱容量部10Aを加熱する加熱ヒータ10hを、坩堝1の長手方向であって熱容量部10Aの外側に設けた点である。蒸着材料部ヒータ9hの加熱長さは、蒸着材料9が存在する場所の長さに相当する長さとする。また、蒸着材料部ヒータ9h、熱容量部ヒータ10hは、実施例1で説明したように、坩堝1の加熱開始時と蒸着時に分けて、それぞれ図示しない別電源から電力が供給される。勿論、実施例1と同様に、スイッチSを設け、単一電源から電力を供給してもよい。
図7は、本実施形態1における第3の実施例の蒸発源100Cを示す図で、実施例1の図2に対応する蒸発源100BのX-Y断面図である。
実施例3の実施例1と異なる点は、加熱手段3である。その他の点は基本的に同じである。実施例1では、蒸着材料部11と熱容量部10Aを加熱する蒸着材料部ヒータ9h、熱容量部ヒータ10hを坩堝1の長手方向側部に設けたのに対し、実施例3では、熱容量部10Aを加熱する加熱ヒータ10hを、坩堝1の長手方向であって熱容量部10Aの外側に設けた点である。蒸着材料部ヒータ9hの加熱長さは、蒸着材料9が存在する場所の長さに相当する長さとする。また、蒸着材料部ヒータ9h、熱容量部ヒータ10hは、実施例1で説明したように、坩堝1の加熱開始時と蒸着時に分けて、それぞれ図示しない別電源から電力が供給される。勿論、実施例1と同様に、スイッチSを設け、単一電源から電力を供給してもよい。
実施例3においても、蒸着時における坩堝1の長手方向に両端部の温度低下を低減し、蒸発源100Cの長手方向に対して良好な膜厚分布を得ることができる。
以上説明した実施例1乃至3では、坩堝1は長手方向に複数の蒸発噴出口2を有していたが、所定方向に1つしか蒸発噴出口2を有していない場合でも、前記所定方向の両端側部に本実施例でいう熱容量部10を設けることで、坩堝1内の蒸着材料の蒸気温度が平坦化するので、蒸気温度を制御し易くなる利点がある。
(実施例4)
図8、図9は、実施形態1の真空蒸着装置20Aにおける基板Pと蒸発源100との移動に関する関係を示す図である。図8は、実施例1乃至4で示した蒸発源100を固定し、この蒸発源100の上方を図示しない駆動手段で移動させながら基板P上を蒸着する。一方、図9は、逆に基板Pを固定し、固定した基板Pの下方を実施例1、2で示した蒸発源100を図示しない移動手段で移動させながら基板P上に蒸着する。
図8、図9は、実施形態1の真空蒸着装置20Aにおける基板Pと蒸発源100との移動に関する関係を示す図である。図8は、実施例1乃至4で示した蒸発源100を固定し、この蒸発源100の上方を図示しない駆動手段で移動させながら基板P上を蒸着する。一方、図9は、逆に基板Pを固定し、固定した基板Pの下方を実施例1、2で示した蒸発源100を図示しない移動手段で移動させながら基板P上に蒸着する。
このような構成により、基板P全体に亘って膜厚均一性の優れたインライン型の真空蒸着装置20Aを提供できる。
(実施形態2)
図10は、本発明における第2の実施の形態である真空蒸着装置20Bの構成の模式図と動作説明図である。真空蒸着装置20Bは、真空蒸着室25Bと、真空蒸着室に基板Pを搬送する真空搬送室50とを有する。真空搬送室50は、全体を上下に移動可能(図示せず)で、左右に旋回可能な2リンク構造のアーム57を有し、その先端には基板搬送用の櫛歯状ハンド58を有する真空搬送ロボット50R有する。
図10は、本発明における第2の実施の形態である真空蒸着装置20Bの構成の模式図と動作説明図である。真空蒸着装置20Bは、真空蒸着室25Bと、真空蒸着室に基板Pを搬送する真空搬送室50とを有する。真空搬送室50は、全体を上下に移動可能(図示せず)で、左右に旋回可能な2リンク構造のアーム57を有し、その先端には基板搬送用の櫛歯状ハンド58を有する真空搬送ロボット50R有する。
一方、真空蒸着室25Bは、引出図Bに示すように、坩堝1の側壁に設けられた蒸気噴出口2から蒸気が噴出するサイドデポジション型の蒸発源200を有する。蒸発源200の他に真空蒸着室25Bは、真空搬送ロボット50Rから図示しない隔離弁を介して搬入された基板Pを保持する基板保持部90と、蒸発源200を上下方向移動させる蒸発源走査手段43、基板Pへの蒸着パターンを規定するマスク80とを有する。基板保持部90は、櫛歯状ハンド91と基板保持部9を旋回させて直立しているマスク80に正対させる基板旋回手段93とを有する。また真空蒸着装置20Bは、マスク80の上部にマスク80と基板Pとにそれぞれ存在するアライメントマーク85、84(引出図A参照)を撮像するアライメントカメラ86と、その撮像結果に基づいてマスク80移動させるアライメント駆動部(図示せず)とを有する。
このような構成によって、真空搬送ロボット50Rは、搬送してきた基板Pを、真空蒸着室25Bの基板保持部90に搬入する。そして、真空蒸着室20Bでは、搬入された基板Pを基板旋回手段93でマスク80に正対させ、アライメントし、蒸発源200を上下に移動させて基板Pに蒸着する。蒸着後、基板Pを水平状態に戻す。その後、真空搬送ロボット50Rにより基板Pを真空蒸着室25Bから搬出し、図示していない他の真空蒸着室等に搬送する。
サイドデポジション型の蒸発源200は、デポアップ型の蒸発源100とは、内部構造は異なるが坩堝1の長手方向の両側部側面で温度の低下がすることは同じである。従って、サイドデポジション型の蒸発源200でも、実施形態1で示した実施例1乃至3の熱容量部10(10A、10B)を適用できる。また、中間板8についても、中間板8を複数の蒸気噴出口2に平行、蒸気材料9を納めている材料室6の列に対して垂直に設けることで、サイドデポジション型の蒸発源200でも、実施形態1の実施例2と同様に効果を奏することができる。
100、100A乃至100D、200:蒸発源
1:坩堝 2:蒸気噴出口(ノズル)
2j:蒸着材料からなる蒸気 3:加熱ヒータ(加熱手段)
4、4S、4E、4T、4B:リフレクタ
5、5S、5E、5B:断熱材 6:材料室
6W:材料室内に設けられた仕切り 7:第1の坩堝空間
71:第2の坩堝空間 72:第3の坩堝空間
8:中間板 8H:中間板に設けられたオリフィス
9:蒸着材料 9h:蒸着材料部ヒータ
10、10A、10B:熱容量部 10h:熱容量部ヒータ
11:蒸着材料部 20A、20B:真空蒸着装置
24:制御用パソコン 25:真空蒸着室
27:膜厚モニタ 28:膜厚制御計
29:蒸発源電源 43:蒸発源走査手段
50:真空搬送室 57:アーム
58:真空搬送ロボット櫛歯状ハンド 50R:真空搬送ロボット
80:マスク 90:基板保持部
91:基板保持部の櫛歯状ハンド 92:基板旋回手段
100、100A乃至100C:デポジションアップ型の蒸発型
200:サイドデポジション型の蒸発源 P:基板。
1:坩堝 2:蒸気噴出口(ノズル)
2j:蒸着材料からなる蒸気 3:加熱ヒータ(加熱手段)
4、4S、4E、4T、4B:リフレクタ
5、5S、5E、5B:断熱材 6:材料室
6W:材料室内に設けられた仕切り 7:第1の坩堝空間
71:第2の坩堝空間 72:第3の坩堝空間
8:中間板 8H:中間板に設けられたオリフィス
9:蒸着材料 9h:蒸着材料部ヒータ
10、10A、10B:熱容量部 10h:熱容量部ヒータ
11:蒸着材料部 20A、20B:真空蒸着装置
24:制御用パソコン 25:真空蒸着室
27:膜厚モニタ 28:膜厚制御計
29:蒸発源電源 43:蒸発源走査手段
50:真空搬送室 57:アーム
58:真空搬送ロボット櫛歯状ハンド 50R:真空搬送ロボット
80:マスク 90:基板保持部
91:基板保持部の櫛歯状ハンド 92:基板旋回手段
100、100A乃至100C:デポジションアップ型の蒸発型
200:サイドデポジション型の蒸発源 P:基板。
Claims (13)
- 蒸着材料を収納する蒸着材料部と、前記蒸着材料部の両端部に設けられ、前記蒸着材料部に比して熱容量が大きい熱容量部とを有する坩堝と、
前記蒸着材料を加熱する加熱手段と、
前記蒸着材料部に設けられ、前記加熱手段によって気化した蒸気を噴出する蒸気噴出口と、を有する
ことを特徴とする蒸発源。 - 請求項1に記載の蒸発源であって、
前記蒸着材料部は、前記結ぶ方向に延伸する長手方向を有し、
前記蒸気噴出口は、前記長手方向に複数有する、
ことを特徴とする蒸発源。 - 請求項2に記載の蒸発源であって、
前記熱容量部は、前記長手方向における単位長さあたりの熱容量が前記蒸着材料部に比して大きい、
ことを特徴とする蒸発源。 - 請求項1乃至3のいずれかに記載の蒸発源であって、
前記熱容量部は、同一材料で前記蒸着材料部と一体に形成されている、
ことを特徴とする蒸発源。 - 請求項1乃至3のいずれかに記載の蒸発源であって、
前記熱容量部は、前記蒸着材料部と別々に形成されている、
ことを特徴とする蒸発源。 - 請求項1乃至4のいずれかに記載の蒸発源であって、
前記加熱手段は、前記熱容量部を加熱する第1の加熱手段と、前記蒸着材料部を加熱する第2の加熱手段とを有し、前記第1の加熱手段の加熱と、前記第1の加熱手段と前記第2の加熱手段の加熱と選択的に行う制御手段を有する、
ことを特徴とする蒸発源。 - 請求項6に記載の蒸発源であって、
前記第1の加熱手段及び第2の加熱手段は、前記蒸着材料部に沿って前記長手方向に設けられている、
ことを特徴とする蒸発源。 - 請求項6に記載の蒸発源であって、
前記第1の加熱手段は前記長手方向の前記熱容量部の側部に、第2の加熱手段は前記長手方向に前記蒸着材料部に沿って設けられている、
ことを特徴とする蒸発源。 - 請求項1乃至8のいずれかに記載の蒸発源であって、
前記蒸着材料と前記蒸着材料部の内壁とで形成される坩堝空間を2つ以上に分割し、前記蒸気を前記蒸気噴出口に導くオリフィスを有する中間板を有する、
ことを特徴とする蒸発源。 - 請求項1乃至9のいずれかに記載の蒸発源を有し、
前記蒸発源はデポジションアップ型であって、
被処理対象である基板と前記蒸発源と相対的に移動させ、前記基板に前記蒸着材料を蒸着する、
ことを特徴とする真空蒸着装置。 - 請求項1乃至9のいずれかに記載の蒸発源を有し、
前記蒸発源はサイドデポジション型であって、
垂直状態にある基板に前記蒸着材料を蒸着する、
ことを特徴とする真空蒸着装置。 - 請求項11に記載の真空蒸着装置であって、
前記基板を水平状態から垂直状態に移動させて蒸着パターンを規定するマスクに正対させる基板旋回手段を有する、
ことを特徴とする真空蒸着装置。 - 長手方向に蒸着材料を収納する蒸着材料部に比して熱容量の大きい熱容量部を加熱し、その後前記蒸着材料部と前記熱容量部を共に加熱して、前記蒸着材料を被処理部に蒸着することを特徴とする真空蒸着方法。
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JP2013203468A JP2015067866A (ja) | 2013-09-30 | 2013-09-30 | 蒸発源とこれを用いた真空蒸着装置及び真空蒸着方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN106148898A (zh) * | 2015-04-28 | 2016-11-23 | 中国建材国际工程集团有限公司 | 具有优化的热排放特性的孔板 |
WO2019186843A1 (ja) * | 2018-03-28 | 2019-10-03 | シャープ株式会社 | 蒸着源、蒸着装置および蒸着方法 |
-
2013
- 2013-09-30 JP JP2013203468A patent/JP2015067866A/ja active Pending
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CN106148898A (zh) * | 2015-04-28 | 2016-11-23 | 中国建材国际工程集团有限公司 | 具有优化的热排放特性的孔板 |
CN106148898B (zh) * | 2015-04-28 | 2020-02-07 | 中国建材国际工程集团有限公司 | 具有优化的热排放特性的孔板 |
WO2019186843A1 (ja) * | 2018-03-28 | 2019-10-03 | シャープ株式会社 | 蒸着源、蒸着装置および蒸着方法 |
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