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JP2015054409A - 液体吐出装置、液体吐出ヘッド - Google Patents

液体吐出装置、液体吐出ヘッド Download PDF

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JP2015054409A JP2013187347A JP2013187347A JP2015054409A JP 2015054409 A JP2015054409 A JP 2015054409A JP 2013187347 A JP2013187347 A JP 2013187347A JP 2013187347 A JP2013187347 A JP 2013187347A JP 2015054409 A JP2015054409 A JP 2015054409A
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Abstract

【課題】複数の液体吐出ヘッド用基板を備えた液体吐出ヘッドが設けられた液体吐出装置において、一部の基板内の保護膜の変質に伴って記録にムラが生じることを抑制することが可能な液体吐出装置を提供する。【解決手段】液体吐出装置には、液体を吐出するためのエネルギーを発生するエネルギー発生素子14と、少なくともエネルギー発生素子を覆う位置に設けられ、液体と接する導電性保護膜10と、を備えた複数の液体吐出ヘッド用基板1を有する液体吐出ヘッドが設けられている。複数の液体吐出ヘッド用基板の導電性保護膜に対し、導電性保護膜の液体と接する面を陽極として通電可能である少なくとも一つの通電手段を備える。【選択図】図4

Description

本発明は、液体を吐出する液体吐出装置及び液体吐出ヘッドに関する。
液体を吐出する液体吐出ヘッドとしては、液体を吐出するために利用される熱エネルギーを発生する複数のエネルギー発生素子を有する液体吐出ヘッド用基板(以下、「基板」とも称する)と、液体を吐出する吐出口を備えた吐出口部材と、を有するものがある。エネルギー発生素子には、通電することで発熱する発熱抵抗層が用いられる。発熱抵抗層から生じた熱により液体に気泡を生じさせ、この発泡の圧力で液体を吐出口から吐出する。
エネルギー発生素子は絶縁膜で被覆され、その絶縁膜の上に気泡の発生、消滅に伴うキャビテーション衝撃や液体による化学的作用からエネルギー発生素子を保護するために、タンタル(Ta)といった導電性を有する保護膜が設けられている。
ここで、液体吐出ヘッドの絶縁膜に穴(ピンホール)等の欠損があると、エネルギー発生素子と保護膜とが導通してしまい、保護膜と液体との間で電気化学反応を起こし、保護膜が変質することが懸念される。この保護膜の変質によって、エネルギー発生素子から液体に伝わるエネルギーの熱効率が変化してしまうため、液体吐出ヘッド用基板の製造段階でエネルギー発生素子と保護膜との間の絶縁性を検査する必要がある。
特許文献1には、保護膜と流路内に充填された液体(インク)を介して電気的に導通しているか否かを検出するための回路を有する構成が開示されている。
この検査に関して、同一の液体吐出ヘッド用基板に設けられた保護膜は電気的に導通を保つように接続し、基板に設けられた端子を通じて検査を行うことで容易に検査を行うことができる。一方で、保護膜が液体吐出ヘッド用基板内で導通されていると、一部の保護膜の変質が基板内全体の保護膜に及ぶ恐れがある。
特開2000−280477号公報
上述のように、液体吐出ヘッド用基板に設けられた保護膜が電気的に接続された構成の基板を用いて、フルラインタイプのヘッドなどの複数の基板が搭載される液体吐出ヘッドを組み立てると、以下の課題が生じる恐れがある。
保護膜に欠損がある基板を使用して複数の基板が搭載される液体吐出ヘッドを組み立ててしまうと、1つのヘッドに搭載された複数の基板のうちの保護膜に欠損がある基板のみで保護膜の熱効率が変わり、液体の吐出に必要な最低投入エネルギーが変化する。フルラインタイプのヘッドなど、複数の基板を繋ぎ合わせて記録を行う液体吐出ヘッドにおいて、上記のように一部の基板のみで液体吐出特性が変化すると、記録にムラが生じてしまう。
また、液体吐出ヘッドの使用に伴って一部の基板の保護膜や絶縁膜に穴が生じた場合にも同様の課題が生じる恐れがある。
そこで、本発明は、複数の液体吐出ヘッド用基板を備えた液体吐出ヘッドが設けられた液体吐出装置において、一部の基板内の保護膜の変質に伴って記録にムラが生じることを抑制することを目的とする。
本発明の液体吐出装置は、液体を吐出するためのエネルギーを発生するエネルギー発生素子と、少なくとも前記エネルギー発生素子を覆う位置に設けられ、液体と接する導電性保護膜と、を備えた複数の液体吐出ヘッド用基板を有する液体吐出ヘッドが設けられた液体吐出装置において、前記複数の液体吐出ヘッド用基板の前記導電性保護膜に対し、前記導電性保護膜の液体と接する面を陽極として通電可能である少なくとも一つの通電手段を備えることを特徴とする。
本発明によると、複数の液体吐出ヘッド用基板を備えた液体吐出ヘッドが設けられた液体吐出装置において、一部の基板内の保護膜の変質に伴って記録にムラが生じることを抑制することが可能となる。
第1の実施形態に係る記録素子基板と陽極印加回路の構成を説明するための模式図である。 インクジェット記録ヘッドの構成を示す図である。 記録素子基板を説明するための図である。 記録素子基板の層構成を示す断面模式図である。 電気配線基板を説明するための模式図である。 インクジェット記録装置を説明するための模式図である。 本発明の課題を説明するための模式断面図である。 本発明の課題を説明するための模式断面図である。 第1の実施形態に係る複数の記録素子基板と陽極印加回路との接続を説明するための模式図である。 陽極酸化回路によって保護膜を陽極酸化させる一連の動作を説明するためのフローチャートである。 第2の実施形態に係る複数の記録素子基板と陽極印加回路との接続を説明するための模式図である。 第3の実施形態に係る複数の記録素子基板と陽極印加回路との接続を説明するための模式図である。 第3の実施形態の変形例を示す図である。
(液体吐出ヘッド)
本発明の液体吐出ヘッドが適用されるインクジェット記録ヘッド100(以下、「記録ヘッド」とも称する)の構成を図2に示す。図2(a)は記録ヘッド100の側面図であり、図2(b)は記録ヘッド100の下面図、すなわちインクが吐出される面の側から見た図である。
本実施形態の記録ヘッド100は、記録ヘッドをスキャンすることなく幅広の記録が可能なインクジェット方式のフルライン型の記録ヘッド100である。使用が想定される被記録媒体の最大幅をカバーする範囲で複数の記録素子基板1100(液体吐出ヘッド用基板)が設けられている。
(記録素子基板)
次に、記録素子基板1100の構成について図3を用いて説明する。図3(a)は記録素子基板1100の斜視図であり、図3(b)は図3(a)のA−A断面図である。
記録素子基板1100は、例えば厚さ0.5〜1mmの基板1108に長溝状の貫通口からなるインク供給口1101が形成されている。そして、インク供給口1101の両側に熱作用部1102がそれぞれ1列ずつ千鳥状に配列されている。記録素子基板1100の端部には外部から電力を供給するための電極端子1103が設けられている。さらに、基板1108の上には、吐出口部材1110が設けられており、吐出口部材1110には、熱作用部1102に対応して、吐出口1105、発泡室1107、インク流路がフォトリソ技術により形成されている。そして、吐出口1105は熱作用部1102に対向するように設けられている。インク供給口1101から供給されたインクに熱作用部1102から熱エネルギーが付与されて気泡が発生し、インクが吐出される。
なお、図3(a)に示すように記録素子基板1100には複数の吐出口列1109が設けられており、本実施形態においては4つの吐出口列1109に対応して4つのインク供給口1101が設けられている。記録素子基板1100に設けられた複数のインク供給口1101は同一色のインクを供給する構成であってもよく、また、各インク供給口1101は例えばシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックといった4色のインクをそれぞれ供給する構成であってもよい。
次に、記録素子基板1100の層構成について図4を用いて説明する。なお、図4では吐出口部材1110は省略している。
基板1として、Si基板あるいは既に駆動用のICを作り込んだSi基板を用いる。基板1上には熱酸化等で形成された蓄熱層2が設けられおり、さらにその上にはCVD法等によって形成された蓄熱層4が設けられている。この上に、スパッタリング法で形成された配線層がフォトリソグラフィ法でパターン形成され、リアクティブイオンエッチング法でエッチングして形成された、Al,Cu,Al−Si,Al−Cu等からなる共通電極配線5が設けられている。その上には、スパッタリング法、プラズマCVD法によって形成されたSiO等からなる絶縁膜6が設けられている。フォトリソグラフィ法等によってその絶縁膜6にスルーホール用パターンが形成され、ドライエッチング法等でエッチングされてスルーホール部11が設けられている。
絶縁膜6の上には、反応性スパッタリングにより形成されたTaN,TaSiN等からなる発熱抵抗層7、Al、Cu、Al−Cu、Al−Si等からなる個別電極配線8が設けられている。この発熱抵抗層7と個別電極配線8とは、フォトリソグラフィ法を用いてパターンが形成され、リアクティブイオンエッチング法等で連続的にエッチングされ、更に、フォトリソグラフィ法、ウエットエッチングにより個別電極配線8の一部が除去されている。この個別電極配線8から露出した発熱抵抗層7の部分がエネルギー発生素子としての電気熱変換素子14となる。なお、発熱抵抗層7と個別電極配線8とが逆の積層順である構成であってもよい。
個別電極配線8の上には、プラズマCVD法によって形成された、SiNからなる絶縁膜9が設けられている。さらにその上には、スパッタリング法により形成された、導電性保護膜としての耐キャビテーション膜10(以下、「保護膜」とも称する)が設けられている。保護膜10は少なくとも電気熱変換素子14に対応する上部に設けられている。そして、保護膜10のうち、電気熱変換素子14に対応する上部に位置し、インクに接する部分が熱作用部1102として機能する。本実施形態では、保護膜10としてタンタル(Ta)膜が設けられている。なお、上記に示した記録素子基板1100を構成する各材料は一例であり、上記材料に限られるものではない。
(電気配線基板)
次に、電気配線基板1300の構成を図5に示す。図5では記録素子基板1100も合わせて示している。
電気配線基板1300は、外部から送られたインクを吐出するための電気信号や電力などを記録素子基板に付与する、記録素子基板1100とインクジェット記録装置3000本体との電気接続を行うための部材である。本実施形態の電気配線基板1300は、樹脂フィルム上に配線が形成されたフレキシブル配線基板である。
この電気配線基板1300は記録素子基板1100を組み込むための複数の開口部1330を有している。また、記録素子基板1100の電極端子1103に対応する電極端子(不図示)と、配線の端部に位置し、インクジェット記録装置3000本体からの電気信号を受け取るための電気信号接続部1310と電力を受け取るための電源接続部1320を有している。
電気配線基板1300と記録素子基板1100は、例えば、記録素子基板1100の電極端子1103と電気配線基板1300の電極端子とを金ワイヤを用いたワイヤボンディング技術により電気的に接続される。記録素子基板1100の電極端子1103、電気配線基板1300の電極端子、及びワイヤは封止剤1305により被覆され、インクによる腐食や外的衝撃から保護されている。
(インクジェット記録装置)
次に、インクジェット記録ヘッド100が搭載されるインクジェット記録装置3000の構成を、図6を用いて説明する。
記録装置3000は、長尺のフルラインタイプの記録ヘッド100を用いて、被記録媒第である記録シートを搬送方向(A方向)に連続搬送しながらプリントを行なうラインプリンタである。ロール状に巻かれた連続紙などの記録シート3200を保持するホルダ、記録シート3200を所定速度でA方向に搬送する搬送機構3300、記録シート3200に対して記録ヘッド100で記録を行なう記録部3100を備える。なお、記録シート3200は連続したロールシートに限らず、カットシートであってもよい。
記録部3100は、異なるインク色にそれぞれ対応した複数の記録ヘッド100を備える。本例ではシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色に対応した4つの記録ヘッド100としているが、色数は何色であってもよい。
(記録素子基板の欠損に関する課題)
次に、図7、図8に示す記録素子基板1100の部分断面図を用いて、記録素子基板1100の絶縁膜9や保護膜10に欠損が生じた場合の課題について説明する。
図7(a)、図8(a)は欠損のない記録素子基板1100である。12はインクを示している。図7(b)に示すように、記録素子基板1100の膜形成時にゴミ13が付着してしまうことがある。個別電極配線8の上にゴミ13が付着すると、このゴミ13が段差となって、その上に形成される絶縁膜9や保護膜10が薄く形成される部分が生じる場合がある。すると、記録ヘッド100にインクを充填して電気熱変換素子14を駆動した際に、熱的なストレスが加わり、膜が薄くなっている部分に亀裂が生じる恐れがある。その結果、図7(c)に示したように保護膜10からインク12が侵入して個別電極配線8まで達し、保護膜10と個別電極配線8との間でショートが発生してしまう。すると、Taを含む保護膜10の表面が電気的に陽極として作用し、インクとの間で電気化学反応が生じて保護膜10の表面や内部がすぐに酸化状態(「陽極酸化」とも称す)になってしまうことがある。
また、図8(b)に示すように、記録ヘッド100の製造時や記録ヘッド100の使用によって保護膜10に欠損が生じてしまう恐れもある。発熱抵抗層7を保護する保護膜10に欠損が生じ、さらに絶縁膜9にまで欠損が広がってしまうと、発熱抵抗層7までインク12が進入し、保護膜10と発熱抵抗層7との間でインクを介してショートが発生してしまう。すると同様に、Taを含む保護膜10の表面が電気的に陽極として作用し、インクとの間で電気化学反応が生じて保護膜10の表面や内部がすぐに酸化状態になってしまうことがある。
このように保護膜10に陽極酸化が生じると保護膜10の結晶状態が変化し、保護膜10の熱特性にも変化が生じてしまう。保護膜10は電気熱変換素子14の上に設けられているため、この熱特性の変化によってインクを吐出するために必要となる最低吐出必要エネルギーが変化してしまうことがある。
保護膜10の表面にインクが触れている場合、保護膜10の陽極酸化は、保護膜10のうちの電気的に導通している部分にすぐに伝播してしまう。例えば、ある1つの記録素子基板1100の1つの電気熱変換素子14上に欠損がある場合、該電気熱変換素子14の上に設けられた保護膜10が陽極酸化する。すると、陽極酸化した保護膜10と電気的に導通している保護膜10のインクとの接触部分は陽極酸化が進行してしまう。記録素子基板1100中の保護膜10が全て電気的に導通していれば、該記録素子基板1100においてほぼ一様に陽極酸化が生じてしまう。
上述したように、陽極酸化した保護膜10は吐出するための最低吐出必要エネルギーが変わるため、吐出するインク液滴の量の増減、吐出速度が加減するといった影響が出る。特に、上述した本実施形態のように複数の記録素子基板1100が搭載された記録ヘッド100では、陽極酸化が発生した記録素子基板1100に対応する部分の記録がムラとなってしまう。
なお、上述ではTa膜を例に説明したが、本実施形態に適用可能な保護膜10は、インクと接触した状態で電圧が印加されることで酸化反応が生じるものであればTa膜に限らない。
(陽極酸化検出方法)
本実施形態では、記録ヘッド100や記録装置3000に、保護膜10の陽極酸化を検知するための検知手段が設けられている。以下、保護膜10の陽極酸化の検知方法について説明する。
保護膜10の陽極酸化の検知方法の1つには記録素子基板1100の最低吐出エネルギーを定期的に測定する方法がある。例えば、吐出に要する最低吐出必要エネルギーの変化を定期的に検出し、前回の測定値に対して所定の閾値以上に変化した場合に保護膜10が陽極酸化していると判断することができる。そのため、記録ヘッド100や記録装置3000には記録ヘッド100からインクの吐出有無を検知する手段が設けられている。この吐出有無検知手段としては、吐出液滴をセンサー等で検出したり、記録物をスキャンすることによる着弾の有無を用いたりする手段がある。また、電気熱変換素子14毎の最低吐出必要エネルギー、その代表値、統計値等のデータ等の少なくとも一方を保存するために、記録装置3000本体及び記録ヘッド100の少なくとも一方にEEPROM(書き換え可能なメモリー)等が設けられている。さらに、記録ヘッド100を使用中に定期的に最低吐出エネルギー変化を測定するためのタイマーを有する制御手段も設けられている。
また、電気熱変換素子14に電圧を印加した際の電流リーク値を検出したり、顕微鏡にて保護膜10の光学的な反射光の差異を検査してTa保護膜10における陽極酸化の有無を検知したりしてもよい。
(第1の実施形態)
図1は、本発明に係る第1の実施形態に係る記録素子基板1100と陽極酸化回路20の構成を説明するための模式図である。また、図9は、第1の実施形態に係る複数の記録素子基板1100と陽極酸化回路20との接続を説明するための模式図である。
記録素子基板1100に設けられた保護膜10全体は、記録素子基板1100内で電気的に接続されている。また、保護膜10は記録録素子基板1100の電極端子1103と電気的に接続されている。
記録ヘッド100には通電手段としての陽極酸化回路20が設けられている。図9に示すように、電気配線基板1300内の配線21を介して陽極酸化回路20と電極端子1103とが接続されて、陽極酸化回路20と記録素子基板1100の保護膜10が電気的に接続されている。
陽極酸化回路20は保護膜10のインクに接する面が陽極となるように保護膜10に通電可能な構成であり、上述の陽極酸化の検知手段による検知結果に基づいて通電の有無が決定される。したがって、陽極酸化回路20によって記録素子基板1100の保護膜10に強制的に陽極酸化を生じさせることが可能である。
また、複数の記録素子基板1100に対して陽極酸化回路20は独立した配線21を介して接続されており、陽極酸化回路20は、複数の記録素子基板1100のうちの通電を行う記録素子基板1100を選択可能である制御回路としても機能する。したがって、記録素子基板1100毎に独立して保護膜10に陽極酸化を生じさせることができ、記録素子基板1100の保護膜10の陽極酸化の有無やその度合いによって、記録素子基板1100毎に適宜陽極酸化を生じさせることが可能となる。
なお、通電の際に使用される電源は、陽極酸化回路20専用の電源でもよく、記録ヘッド100を駆動するための電源と共通化されたものでもよい。
(陽極酸化回路の動作)
次に、図10を用いて陽極酸化回路20の動作について説明する。図10には、陽極酸化回路20によって保護膜10を陽極酸化させるフローチャートを示す。
まず、上述した方法等で検知手段によって保護膜10の陽極酸化の有無を検知する。この検知は、記録ヘッド100の使用時に行ってもよく、また、記録ヘッド100の製造時に行ってもよい。
陽極酸化が検知された場合に、陽極酸化回路20により、陽極酸化が検知されなかった保護膜10が設けられた記録素子基板1100に対し選択的に通電を行い、記録素子基板1100の保護膜10に強制的に陽極酸化を生じさせる。これにより、記録ヘッド100内の全ての記録素子基板1100のTa保護膜10は陽極酸化した状態となる。
さらに、本実施形態では、陽極酸化検知手段によって記録素子基板1100の保護膜10が陽極酸化しているかを再度確認し、陽極酸化が不十分な保護膜10があった場合は、その保護膜10が設けられた記録素子基板1100に通電を行う。これにより、確実に複数の記録素子基板1100に対してばらつきなく陽極酸化を生じさせることが可能となるため、このように検知と通電とを再度行うことがより好ましい。
以上の構成を有する記録ヘッド100で記録を行った。陽極酸化回路20を作動する前には記録に部分的なムラが確認されたが、陽極酸化回路20を作動した後は記録にムラが確認されず、良好な記録が行えたことが確認された。
このように、本実施形態によると、陽極酸化回路20によって保護膜10を陽極酸化させることができる。これにより、複数の記録素子基板1100の保護膜10の熱特性にばらつきが生じることを抑え、記録ヘッド100の記録品位の低下を抑え、製品の信頼性を高めることが可能となる。また、陽極酸化を生じる可能性がある保護膜10が設けられた記録素子基板1100を使用することができるので、記録ヘッド100の生産時の歩留りの向上が可能となる。
なお、陽極酸化回路20は、記録装置3000本体に搭載された構成であってもよい。
(第2の実施形態)
本発明に係る第2の実施形態について、図11を用いて説明する。図11は、第2の実施形態に係る複数の記録素子基板1100と陽極酸化回路20との接続を説明するための模式図である。
第1の実施形態では陽極酸化回路20が複数の記録素子基板1100の保護膜10に対し選択的に通電する構成であるのに対し、本実施形態では、複数の記録素子基板1100に対して一括して通電する構成である。図11に示すように、複数の記録素子基板1100と陽極酸化回路20とが配線21によって接続されており、複数の記録素子基板1100の保護膜10が電気的に接続されている。
本実施形態によると、陽極酸化回路20によって通電する記録素子基板1100を選択するための回路が必要ないため、回路を小型化することが可能となる。また、電気配線基板1300と記録素子基板1100とを接続する配線を削減できるため、電気配線基板1300及び記録ヘッド100を小型化することが可能となる。
なお、図10で示した陽極酸化回路20の動作フローについては、第1の実施形態では陽極酸化していない記録素子基板1100にのみ選択的に通電するのに対し、本実施形態では、複数の記録素子基板1100に一括して通電する。
なお、本実施形態では、すでに陽極酸化した保護膜10が設けられた記録素子基板1100に対しても陽極酸化を生じさせることになる。しかし、保護膜10の陽極酸化反応は瞬間的に生じ、その後の陽極酸化の影響は小さい。したがって、記録素子基板1100の欠損によって陽極酸化が生じた保護膜10に更に陽極酸化を生じさせても記録品位にはほぼ影響がないため、上述した本実施形態の構成であってもよい。
(第3の実施形態)
本発明に係る第3の実施形態について、図12を用いて説明する。図12は、第3の実施形態に係る複数の記録素子基板1100と陽極酸化回路20との接続を説明するための模式図である。
本実施形態では、各記録素子基板1100に陽極酸化回路20が設けられている。本実施形態においても図10で示した陽極酸化回路20の動作フローと同様に、陽極酸化の有無を検知し、この検知結果に基づいて陽極酸化させる必要がある保護膜10が設けられた記録素子基板1100の陽極酸化回路20を作動させる。本実施形態では、インクジェット記録装置3000本体から記録素子基板1100に供給される電気熱変換素子14を駆動するための電源等を用いて陽極酸化回路20の作動を行う。このとき、陽極酸化回路20の作動の有無の指定は、記録装置3000から記録時に使用されるデータ信号の一部を用いて電源の供給を制御することで行うことができる。
本実施形態では、記録素子基板1100の保護膜10を陽極酸化するための通電は、各記録素子基板1100に供給される電気熱変換素子14用の電源や駆動回路用の電源を共用できる。これにより、電気配線基板1300に陽極酸化回路20専用の配線21を設ける必要がなくなり、電気配線基板1300の大型化を抑えることが可能となる。
図13には、本実施形態の変形例を示す。上述の実施形態では、各記録素子基板1100内の保護膜10が記録素子基板1100内で電気的に接続された構成であったが、本変形例では、複数の保護膜10が設けられており、それらが記録素子基板1100内では電気的に接続されていない構成である。
本変形例では、図13に示すように、電気的に独立した保護膜10毎に陽極酸化回路20が設けられている。これにより、同一の記録素子基板1100内において分割された保護膜10単位で陽極酸化を生じさせる必要がある保護膜10に絞って通電を行うことが可能となる。
なお、上述の実施形態ではフルライン型の記録ヘッド100について説明したが、本発明はこれに限定されず、複数の記録素子基板1100を備える記録ヘッド100に適用可能である。
10 耐キャビテーション膜(導電性保護膜)
14 電気熱変換素子(エネルギー発生素子)
20 陽極酸化回路(通電手段)
100 インクジェット記録ヘッド(液体吐出ヘッド)
1100 記録素子基板(液体吐出ヘッド用基板)

Claims (11)

  1. 液体を吐出するためのエネルギーを発生するエネルギー発生素子と、少なくとも前記エネルギー発生素子を覆う位置に設けられ、液体と接する導電性保護膜と、を備えた複数の液体吐出ヘッド用基板を有する液体吐出ヘッドが設けられた液体吐出装置において、
    前記複数の液体吐出ヘッド用基板の前記導電性保護膜に対し、前記導電性保護膜の液体と接する面を陽極として通電可能である少なくとも一つの通電手段を備えることを特徴とする液体吐出装置。
  2. 前記通電手段は、前記複数の液体吐出ヘッド用基板の前記導電性保護膜に対して独立に通電可能であることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
  3. 前記通電手段は、前記複数の液体吐出ヘッド用基板の前記導電性保護膜に電気的に接続されており、通電する前記導電性保護膜を選択可能であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液体吐出装置。
  4. 前記通電手段は、前記複数の液体吐出ヘッド用基板の前記導電性保護膜に一括して通電可能であることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
  5. 前記導電性保護膜の陽極酸化を検知する検知手段を有し、
    前記検知手段の検知結果に基づいて前記通電手段による前記導電性保護膜への通電の有無を決定することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
  6. 前記液体吐出ヘッドには前記エネルギー発生素子と前記導電性保護膜との間に絶縁膜が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
  7. 液体を吐出するためのエネルギーを発生するエネルギー発生素子と、少なくとも前記エネルギー発生素子を覆う位置に設けられ、液体と接する導電性保護膜と、を備えた複数の液体吐出ヘッド用基板を有する液体吐出ヘッドにおいて、
    前記複数の液体吐出ヘッド用基板の前記導電性保護膜に対し、前記導電性保護膜の液体と接する面を陽極として通電可能である少なくとも一つの通電手段を備えることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  8. 前記通電手段は、前記液体吐出ヘッド用基板に設けられていることを特徴とする請求項7に記載の液体吐出ヘッド。
  9. 前記通電手段は、前記エネルギー発生素子を駆動するための電源を用いて前記導電性保護膜への通電を行うことを特徴とする請求項8に記載の液体吐出ヘッド。
  10. 前記エネルギー発生素子を駆動するための信号を用いて前記電源の供給を制御し、前記通電手段による前記導電性保護膜への通電を行うことを特徴とする請求項9に記載の液体吐出ヘッド。
  11. 前記エネルギー発生素子と前記導電性保護膜との間に絶縁膜を備えることを特徴とする請求項7乃至請求項10のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
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