JP2015046759A - ビームフォーミング処理装置およびビームフォーミング処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】音声帯域の音を収音しビームフォーミングを行う場合に、ビームフォーミングに係る演算量の増加を抑制可能で、SN比を向上でき、音声品質の劣化を低減できる、ビームフォーミング処理装置を提供する。【解決手段】マイク部401−1〜401−Lで生成した収音信号Z1(n)〜ZL(n)を、変換部402−1〜402−Lによってフーリエ変換を行う。マイク間隔情報記憶部403は、複数のマイク部の相互間隔を表す情報を記憶する。音源距離情報記憶部404は、各マイク部に関する目的音距離を表す情報を記憶する。記憶した2つの情報を用いて、複数のマイク部の中から、各演算部407−1〜407−Mの演算に用いるマイク部の組合せを決定し、各演算部の演算結果毎の、合成部408における合成の際の周波数範囲を決定し、逆変換部409は、逆フーリエ変換を行い、時間領域の信号Y(n)を求める。【選択図】図4
Description
本発明は、一般的には、信号処理技術に関し、特には、音声処理技術に関する。
マイクロフォンに代表される収音手段により生成された信号(以下、収音信号と記載。)について、収音の目的となる音(以下、目的音と記載。)、例えば音声、の信号対雑音比(以下、SN比と記載。)を向上させる方法として、いわゆるビームフォーミング(Beam Forming)技術が知られている。
上記ビームフォーミング技術では、異なる位置に配置された複数の収音手段によりアレイ構成する。複数の収音信号の特性差、例えば位相差、を利用して目的音の音源の方向または目的音の到来方向にビームを形成することで、指向性を持たせ、その結果、雑音、妨害音といった不要な音を抑圧しながら目的音を強調する。
このようなビームフォーミング技術は、例えば、背景雑音が大きい中で行う音声認識処理、車室内でのハンズフリー通話といった、様々な場面で用いられている。
ビームフォーミングの方式としては、例えば、固定的なビームフォーミング方式(以下、固定ビームフォーミングと記載。)である遅延和(DS:Delay and Sum)法、適応的なビームフォーミング方式(以下、適応ビームフォーミングと記載。)として最小分散(MV:Minimum Variance)法が知られている。(非特許文献1)
DS法は、音源から各収音手段までの到達時間に差があることを利用しており、各収音手段が生成した収音信号に対し、遅延を付加し、それらの総和を取ることで、目的音の方向にビームを形成する方法である。
DS法は、音源から各収音手段までの到達時間に差があることを利用しており、各収音手段が生成した収音信号に対し、遅延を付加し、それらの総和を取ることで、目的音の方向にビームを形成する方法である。
非特許文献1に記載のMV法は、収音手段から目的音への方向を表すステアリング・ベクトル(Steering Vector)を用いて目的音の音源の方向にビームを形成し、一方で、不要な音の収音を最小にするようヌルビーム(Null Beam)を適応的に形成し、その結果として高いSN比の収音を可能にする方法である。
一方、ビームフォーミング技術が利用される他の分野として、複数のアンテナを用いたアレイ・アンテナ(Array Antenna)がある。(特許文献1)
特許文献1では、適応ビームフォーミングの演算量を低減するために、アレイを構成するアンテナ群をいくつかの集合(サブアレイ)に分割し、サブアレイ毎に適応ビームフォーミング演算を行い、さらに、各サブアレイで得られた演算結果を用いて適応ビームフォーミング演算を行う。このような2段階のビームフォーミング演算を行うことにより、アレイ・アンテナ全体としてのビームフォーミング結果を求めている。
浅野太 「音のアレイ信号処理−音源の定位・追跡と分離」4.5章、コロナ社、2011年
一般的に、適応ビームフォーミングは、固定ビームフォーミングと比較して目的音の方向に向いたビームに鋭い指向性を持たせることが可能である。しかし、収音手段の数(L)が増えるにつれて処理に必要な演算量がO(L3)オーダーで増加し、例えば上記MV法では、フィルタ係数決定に対してL3+2L2+Lのオーダーで演算量が増加する。
このため、音声のようなリアルタイム処理を必要とする音の場合には、演算装置、例えばCPUなどの演算装置、の負荷が重くなるという課題がある。
また、特許文献1では、演算量を低減することが可能であるが、SN比の向上が優先された方式であることから、音声に適用した場合には、複数段階の適応ビームフォーミング演算によって音声品質が劣化するという課題がある。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、複数の収音手段からの収音信号に対しビームフォーミングを適用する場合に、ビームフォーミングに係る演算量の増加を抑制可能であるとともに、SN比を向上でき、音声品質の劣化を低減できる、ビームフォーミング処理装置を提供することを目的とする。
本発明に係るビームフォーミング処理装置は、 複数の収音手段から収音信号を受けとるとともに、前記収音信号を対象とする第1のビームフォーミング演算の演算結果および第2のビームフォーミング演算の演算結果を合成するビームフォーミング処理装置であって、
前記複数の収音手段の収音手段同士の間隔を表す情報および前記複数の収音手段から目的音の音源までの距離を表す情報に基づいて、前記第1のビームフォーミング演算に用いる第1の収音手段の組合せおよび前記第2のビームフォーミング演算に用いる第2の収音手段の組合せと、前記合成に用いる前記第1のビームフォーミング演算の演算結果の周波数範囲および前記第2のビームフォーミング演算の演算結果の周波数範囲と、を決定する決定手段と、
前記決定手段で決定された前記第1の収音手段の組合せから受けとった収音信号の組に対し、前記第1のビームフォーミング演算を行い、前記決定手段で決定された前記第2の収音手段の組合せから受けとった収音信号の組に対し、前記第2のビームフォーミング演算を行う、演算手段と、
前記決定手段で決定された前記第1のビームフォーミング演算の演算結果の周波数範囲および前記第2のビームフォーミング演算の演算結果の周波数範囲に基づき、前記演算手段で求められた前記第1のビームフォーミング演算の演算結果と前記第2のビームフォーミング演算の演算結果とを合成する合成手段と、を備えることを特徴とする。
前記複数の収音手段の収音手段同士の間隔を表す情報および前記複数の収音手段から目的音の音源までの距離を表す情報に基づいて、前記第1のビームフォーミング演算に用いる第1の収音手段の組合せおよび前記第2のビームフォーミング演算に用いる第2の収音手段の組合せと、前記合成に用いる前記第1のビームフォーミング演算の演算結果の周波数範囲および前記第2のビームフォーミング演算の演算結果の周波数範囲と、を決定する決定手段と、
前記決定手段で決定された前記第1の収音手段の組合せから受けとった収音信号の組に対し、前記第1のビームフォーミング演算を行い、前記決定手段で決定された前記第2の収音手段の組合せから受けとった収音信号の組に対し、前記第2のビームフォーミング演算を行う、演算手段と、
前記決定手段で決定された前記第1のビームフォーミング演算の演算結果の周波数範囲および前記第2のビームフォーミング演算の演算結果の周波数範囲に基づき、前記演算手段で求められた前記第1のビームフォーミング演算の演算結果と前記第2のビームフォーミング演算の演算結果とを合成する合成手段と、を備えることを特徴とする。
本発明のビームフォーミング処理装置によれば、複数の収音手段の収音手段同士の間隔を表す情報および複数の収音手段から目的音の音源までの距離を表す情報に基づいて、第1のビームフォーミング演算に用いる第1の収音手段の組合せおよび第2のビームフォーミング演算に用いる第2の収音手段の組合せと、合成に用いる前記第1のビームフォーミング演算の演算結果の周波数範囲および第2のビームフォーミング演算の演算結果の周波数範囲と、を決定する決定手段と、
第1の収音手段の組合せから受けとった収音信号の組に対し第1のビームフォーミング演算を行い、第2の収音手段の組合せから受けとった収音信号の組に対し第2のビームフォーミング演算を行う、演算手段と、
第1のビームフォーミング演算の演算結果の周波数範囲および第2のビームフォーミング演算の演算結果の周波数範囲に基づき、第1のビームフォーミング演算の演算結果と第2のビームフォーミング演算の演算結果とを合成する合成手段と、
を備えるようにしたので、ビームフォーミングに係る演算量の増加を抑制可能であるとともに、SN比を向上でき、音声品質の劣化を低減できる、ビームフォーミング処理装置を提供することができる。
第1の収音手段の組合せから受けとった収音信号の組に対し第1のビームフォーミング演算を行い、第2の収音手段の組合せから受けとった収音信号の組に対し第2のビームフォーミング演算を行う、演算手段と、
第1のビームフォーミング演算の演算結果の周波数範囲および第2のビームフォーミング演算の演算結果の周波数範囲に基づき、第1のビームフォーミング演算の演算結果と第2のビームフォーミング演算の演算結果とを合成する合成手段と、
を備えるようにしたので、ビームフォーミングに係る演算量の増加を抑制可能であるとともに、SN比を向上でき、音声品質の劣化を低減できる、ビームフォーミング処理装置を提供することができる。
以下に、本発明の各実施の形態について図を用いて説明する。
なお、各実施の形態の図において、同一ないしは同様なものについては同一ないしは同様の番号を付け、各実施の形態の説明においてその説明を一部省略する場合がある。
また、図の各要素は、本発明を説明するために便宜的に分けたものであり、その実装形態は図の構成、分割、名称等に限定されない。
また、以下の記載における各要素は、例えば「・・・手段」、「・・・回路」、「・・・機能単位」、「・・・処理」、「・・・ステップ」と置換えてもよい。
実施の形態1.
以下に、本発明の実施の形態1について図1および図2を用いて説明する。
図1は、本発明の実施の形態1における、ビームフォーミング処理装置の1例を示す概略構成を示す図である。
図1において、101−1ないし101−Lはマイクロフォン、102は処理部、103は入力用インターフェース(以下、入力I/Fと記載。また、図中ではINPUT I/Fと記載。)、104はCPU、105は読出し書込みメモリ(図中ではRAMと記載。)、106は読出し専用メモリ(図中ではROMと記載。)、107は出力用インターフェース(以下、出力I/Fと記載。また、図中ではOUTPUT I/Fと記載。)、108は制御用インターフェース(以下、制御I/Fと記載。また、図中ではCONT I/Fと記載。)、109は伝送路を示す。
なお、例えばマイクロフォン101を含まない、狭義のビームフォーミング処理装置を定義することが可能である。または、図示しないその他の構成要素を含む、広義のビームフォーミング処理装置を定義することも可能である。
また、本実施の形態においては、マイクロフォン101−1ないし101−Lが収音手段に対応し、主にCPU104が決定手段、演算手段および合成手段に対応する。
マイクロフォン101−1ないし101−Lは、音声帯域の音を収音可能な収音手段であり、各々のマイクロフォンにおいて収音信号が生成される。
以下の説明においては、本発明を分かりやすくするために簡略化し、全てのマイクロフォン101の特性が同一であるとして説明する。但し、マイクロフォン101の特性が同一であることは必ずしも必要ではなく、本発明が適用可能であれば上記構成に限定されない。
なお、以下の説明において、マイクロフォン101−1ないし101−Lを単に「マイクロフォン101」と記載する場合がある。
入力I/F103には、各マイクロフォン101からの収音信号を伝送する信号径路が接続され、各マイクロフォン101が生成する収音信号を受け取る。また、入力I/F103は、伝送路109を介して上記各構成要素と接続される。
なお、マイクロフォン101と入力I/F103とは物理的に一体的に構成されていても分離可能に構成されていてもよい。
入力I/F103の具体的な部品名としては、例えば、コネクタ、増幅器が想定される。
CPU104は、ビームフォーミングに必要な演算を含む、各種データおよび情報の処理を行う。また、CPU104は、図に示した各構成要素の制御を行う。
RAM105およびROM106は、(1)上記演算、処理および制御に必要なデータおよび情報、(2)マイクロフォン101同士の間隔(以下、マイク間隔と記載。)を表す情報、および(3)各マイクロフォン101から目的音の音源までの距離(以下、目的音距離と記載。)を表す情報、を記憶する。
また、RAM105およびROM106は、上記演算、処理および制御に必要なプログラムを記憶する。
出力I/F107は、各種データをビームフォーミング装置100の外部に出力するためのインターフェースであり、例えば、ビームフォーミング演算の演算結果を出力する。
制御I/F108は、ビームフォーミング装置100の外部と各種制御データおよび情報をやりとりするためのインターフェースであり、例えばビームフォーミング装置100の使用者が装置の各種設定を人為的に行う場合に使用する。
次に、ビームフォーミング処理装置の動作原理について、簡単な例を用いて説明する。
図2は、本発明の実施の形態1における、ビームフォーミングの動作原理を示す図である。
図2では、マイクロフォンを総計3個用いた収音状況を表しており、各マイクロフォンにおいて直接音が収音される場合を示している。また、本発明の動作を分かりやすく説明するために、目的音の音源からの直接音を収音する場合を示している。さらに、動作原理を分かりやすくするため、目的音以外の音は省略している。
図において、101−1ないし101−3がマイクロフォン、201が目的音の音源、aがマイクロフォン101−1と101−2との間のマイク間隔、bが101−1と101−3との間のマイク間隔を示す。
マイクロフォン101−1と101−2の組合せ(以下、マイクセット1と記載。)において、生成された収音信号の組に対するビームフォーミング演算の演算結果を、BF出力1とする。
ここで、演算に用いるビームフォーミングの方式は特定の方式に限定されず、例えば上記MV法により演算を行う。
同様に、マイクロフォン101−1と101−3の組合せ(以下、マイクセット2と記載。)におけるビームフォーミング演算の演算結果をBF出力2とする。
なお、ビームフォーミングの方式およびアルゴリズムに関しては特に限定しない。
一般的に、マイクロフォン間隔とビームフォーミング特性(指向性パターン)との関係には次のような性質がある。
(1)マイク間隔が同じ場合、高音になるほど指向性が鋭くなる。即ち、主ビーム幅が狭くなる。そのため、高音になるほど、雑音などの目的音以外の音に対するブロック性能が向上する。
(2)マイク間隔が大きくなるほど指向性は鋭くなり、目的音以外の音に対するブロック性能が向上する。
上記性質を考慮すると、BF出力1とBF出力2に関しては、下記のような性質がある。
(1)マイクセット1の方が、マイクセット2に比べ音源201に近いので、BF出力1の方がBF出力2に比べ目的音の収音レベルを大きくでき、SN比が大きい。
但し、ビームフォーミングの性質により、BF出力1の低音域は高音域と比較して指向性が緩くなる。
(2)一方、マイクセット2はマイクロフォン間隔が広いので、BF出力2はBF出力1と比較して指向性が鋭くなる。
このように、マイク間隔と目的音距離とに依存して、各ビームフォーミング演算におけるSN比が、音域に依存して変化する。
そこで、音域毎に、BF出力1とBF出力2のうちでよりSN比が大きい方を用いて演算結果を合成する。
ここで、A1(λ、F)はBF出力1、A2(λ、F)はBF出力2、λは周波数、Fはデジタル処理を行う場合の処理単位としての収音信号のフレーム番号を、λTHRは2つの周波数範囲(ここでは低音域と高音域に対応。)を区分けする閾値周波数である。λTHRの決定方法については後述する。
即ち、マイク間隔および目的音距離に基づいて、ビームフォーミング演算毎のマイクセットを決定するとともに、ある周波数範囲についてはBF出力1を用い、他の周波数範囲についてはBF出力2を用いて合成後の信号Y(λ、F)を生成する。
図1を参照すると、CPU104は、メモリ(図中のRAM105、ROM106の少なくとも一方。)に記憶されているマイク間隔を表す情報および目的音距離を表す情報を用いて、(1)マイクロフォン101−1ないし101−3の中から、ビームフォーミング演算に用いるマイクセットを2組決定するとともに、(2)各マイクセットに対する演算結果(BF出力1、BF出力2)について、合成に用いる周波数範囲を決定し、(3)決定した周波数範囲に基づき、演算結果(BF出力1、BF出力2)を合成する。
以上、マイクロフォン101の総数が3個の場合について説明したが、図1に示すようにL個に一般化された場合でも基本的な考え方は同様である。
すなわち、総数L個のマイクロフォンから、マイクセットがM個決定される。これは、合成前の演算結果がM個あり、合成に用いる周波数範囲がM種類あることに対応する。
マイクセットの決定方法としては、例えばマイクロフォン101の並びが直線的な配置で、各マイク間隔が一定の場合、まず、最小のマイク間隔でマイクロフォンを複数個選択してマイクセット1とする。次に、マイクセットのマイク間隔より大きいマイク間隔でマイクロフォン101を複数個選択しマイクセット2とする。以下、同様にして、順次マイクセットを決めるという方法がある。
その際に、各マイクセットにおいては、目的音距離が最も小さいマイクロフォンから、順次マイクロフォンを選択する。
このようにすることで、各マイクセットの指向特性が明確に異なり、周波数帯域毎に適したマイクセットを使用しやすくなる。
なお、上記「複数個」の個数は、各種設定方法が適用可能であり、例えば、(1)予めメモリに設定する、(2)制御I/Fから入力する、(3)プログラム中で規定する、ことにより決定される。
なお、複数のマイクセットに共通するマイクロフォンが存在しても構わない。例えば目的音距離が最も近いマイクは全てのマイクセットに含めることにより、各ビームフォーミング処理結果において高いSN比が期待できる。
さらに、あるマイクロフォンと目的音距離が、音源に最も近いマイクロフォンに関するマイクロフォンと音源との距離より、例えば2倍以上離れていたら、そのマイクロフォンは使用しないようにしてもよい。これにより、マイク間隔が大きいことで主ローブの空間折り返しが発生し目的音以外の音に対するブロック性能が劣化すること、を低減できる。
マイクセットの他の決定方法として、例えば、まず、目的音距離が最も小さいマイクロフォン101を含み組合せをマイクセット1とし、次に、マイクセット1のマイクロフォン以外で目的音距離の小さいマイクを選択しマイクセット2とし、マイクセット1および2のマイクロフォン以外で音源との距離の小さいマイクを選択しマイクセット3とし、同様にして順次残りのマイクセットを決めるという方法がある。
この場合、例えば、各マイクセット101における複数のマイクロフォンは、最も小さいマイク間隔で配置されているものを選択する。
これにより、目的音距離が近いマイクロフォンを用いたほうがSN比は高いことから、よりSN比の大きいマイクロフォンを優先的に選択できる。
このように、マイク間隔および目的音距離をもとに、各マイクセットにおけるマイクロフォンの組合せを決定する。
一方、M個の周波数範囲の決定方法としては、例えば、M個の周波数範囲の境界を規定する複数の閾値周波数λ(λTHR1、λTHR2、・・・)を決定することにより、周波数範囲を決定する方法がある。
マイクロフォンの配置が直線的な配置の場合においては、主ローブの幅(2φ)を設定し、M個の周波数範囲の各々で2φ以下の主ローブ幅を実現するように閾値周波数λ(λTHR1、λTHR2、・・・)を決定する方法がある。なお、2φの値はどのように規定してもよいが、例えば、ビームフォーミング処理装置の想定される設置環境に応じて予め規定しておく。
上記マイクセットの選択方法などにより決定した、あるマイクセットのマイクロフォンの数をNとする。
マイクロフォンが不等間隔に配置される場合においては、各間隔をd1、・・・、dN1とすると、例えば下記式により求められる平均マイク間隔d
・・・・・数式4
で、マイクロフォン101が等間隔に配置されているものと見做し、上記同様にλを求め、周波数範囲を決定する。
・・・・・数式4
で、マイクロフォン101が等間隔に配置されているものと見做し、上記同様にλを求め、周波数範囲を決定する。
上記のようにDS法を想定した場合の式を用いることにより、簡単な式で閾値周波数の決定が可能になる。
閾値周波数の他の決定方法として、例えば以下の方法がある。
上記マイクセットの選択方法などにより決定した、あるマイクセットmと別のマイクセットnの平均マイク間隔をそれぞれdm、dnとし、dm<dnの関係にあるとする。また、dnは、dmの次に大きいものとする。
また、マイクセットmの中で中心に位置するマイクロフォンの、目的音距離をam、マイクセットnの中で中心に位置するマイクロフォンに係る目的音距離をanとする。
なお、マイクセットを構成するマイクロフォンの数が偶数の場合は、例えば中心部に位置する2つのマイクロフォンに関する目的音距離の統計平均を使用する。
am<anが成立する場合に、マイクセットmによるビームフォーミングのビームの指向特性はマイクセットnによる指向特性よりも幅が広くなり妨害音に対するブロック性能は落ちるが、マイク間隔は小さいので、マイクセットmの収音信号SN比はマイクセットnと比較して高い。
ここで,Nmはマイクセットmに含まれるマイクロフォンの個数である。
M個のマイクセットについて行われたビームフォーミング演算の演算結果A1(λ、F)、・・・、をAM(λ、F)を上記閾値周波数に従って合成する。
合成後の信号Y(λ、F)は、上記数式1をM個のマイクセットに拡張するとこにより、以下の形式の数式を用いて表すことができる。
・・・・・数式6
合成後の信号Y(λ、F)は、上記数式1をM個のマイクセットに拡張するとこにより、以下の形式の数式を用いて表すことができる。
・・・・・数式6
なお、数式6で等号が成立する周波数については、隣接する周波数範囲のいずれに含めてもよい。
図3は、上記決定方法を組合せた1例としての、本発明の実施の形態1におけるマイクセットおよび周波数範囲の決定方法のフローチャートを示す図である。
図3において、iがマイクセットを識別するためのインデックス、Mがマイクセットの個数を示す。
まず、CPU104は、インデックスiを1とする(ステップ301)。これは、まずマイクセット1に用いるマイクロフォンを決定することに対応する。
次に、CPU104は、メモリに記憶されている目的音距離の情報を元に、音源に最も近いマイクロフォン101(図中、マイクAと記載。)を、マイクセットi(i=1、・・・、M)に共通の要素として決定する(ステップ302)。
次に、CPU104は、メモリに記憶されているマイク間隔の情報を元に、マイクAとの間隔が小さい他のマイクロフォン(図中、マイクBと記載。)を1つ選択する(ステップ303)。
次に、CPU104は、メモリに記憶されている目的音距離の情報を元に、選択したマイクBと音源との距離が、マイクAと音源との距離の2倍以上かどうか確認する(ステップ304)。
2倍未満の場合(図中、NOの場合。)は、選択したマイクBをマイクセット1の要素として決定する。(ステップ305)
そして、マイクの選択するステップ(ステップ302)に移行し、選択されていないマイクロフォンの1つをマイクBとして、同様にして順次マイクセット1の要素を決定する。
そして、マイクの選択するステップ(ステップ302)に移行し、選択されていないマイクロフォンの1つをマイクBとして、同様にして順次マイクセット1の要素を決定する。
一方、2倍以上の場合(図中、YESの場合。)、選択したマイクBはマイクセット1の要素とせず、次のステップ(ステップ306)に移行し、インデックスiの値がマイクセットの個数(M)に等しいか確認する。
即ち、CPU104は、全てのマイクセットが決定されたかの確認を行う。
ステップ306において、全てのマイクセットが決定されていないと判断された場合(図中、NOの場合。)、CPU104は、インデックスiの値に1を加算する。(ステップ307)
これは、次のマイクセットの決定に移行することに対応する。
次のマイクセットの決定においては、ステップ302において、マイク同士の間隔が、既に決定したマイクセットのマイク同士の間隔より大きくなるようにして、マイクセットの要素を選択する。例えばマイクセット2の決定では、マイクセット1のマイク同士の間隔より大きくなるようにして要素を選択する。
以降、順次ステップ302ないしステップ307を繰り返し、残りのマイクセットの要素を決定する。
これは、次のマイクセットの決定に移行することに対応する。
次のマイクセットの決定においては、ステップ302において、マイク同士の間隔が、既に決定したマイクセットのマイク同士の間隔より大きくなるようにして、マイクセットの要素を選択する。例えばマイクセット2の決定では、マイクセット1のマイク同士の間隔より大きくなるようにして要素を選択する。
以降、順次ステップ302ないしステップ307を繰り返し、残りのマイクセットの要素を決定する。
一方、ステップ306において、全てのマイクセットが決定されたと判断された場合(図中、YESの場合。)、CPU104は、各マイクセット(i=1、・・・、M)におけるマイクロフォン隔の平均値を求める。(ステップ308)
なお、装置の適用場面において、配置されたマイクロフォンのマイク間隔が全て一定の場合は、(1)装置としてはステップ308の処理機能を有するが本ステップを省略するような処理フローにする、(2)装置からステップ308の処理動作を削除して実装するなど、各種処理形態または実装形態が適用可能である。
なお、装置の適用場面において、配置されたマイクロフォンのマイク間隔が全て一定の場合は、(1)装置としてはステップ308の処理機能を有するが本ステップを省略するような処理フローにする、(2)装置からステップ308の処理動作を削除して実装するなど、各種処理形態または実装形態が適用可能である。
次に、CPU104は、合成に用いる各ビームフォーミング演算の演算結果の各周波数範囲を、上記説明した方法により決定する。
以上のように、本実施の形態のビームフォーミング処理装置によれば、(1)収音手段の総数より少ない数の収音手段を用いてビームフォーミング演算を行うことができるので、ビームフォーミング処理に係る演算量を低減することができ、(2)マイク間隔および目的音距離を考慮してビームフォーミングを適用することで、収音した音声のSN比を向上させるとともに、(3)ビームフォーミング演算が1段階でよいので、音声品質の劣化を低減することができる。
また、演算量が低減することにより、ビームフォーミング処理装置の消費エネルギーを低減することができる。
また、特定のマイクロフォンの数に依存しないので、汎用的な処理装置を構成できる。
なお、本実施の形態の図1中のCPU104は、マイクロプロセッサ(Microprocessor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)など、演算、制御等の機能を実現可能であればよい。また、アナログ処理、デジタル処理、両者の混在処理のいずれであってもよい。さらに、ハードウェアによる構成、ソフトウェアによる構成、両者の混在による構成など、実装方法は限定されない。
また、読出し書込みメモリ105は、図中では単にRAM(Random Access Memory)としているが、SRAM(Static RAM)、DRAM(Dynamic RAM)、SDRAM(Synchronous DRAM)、DDR−SDRAM(Double Data Rate SDRAM)など、データを揮発的に記憶保持可能なものであればよい。また、ハードウェアによる構成、ソフトウェアによる構成、両者の混在による構成など、実装方法は限定されない。
また、読出し専用メモリ106は、図中では単にROM(Read Only Memory)と記載しているが、EPROM(Electrical Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)など、データを記憶保持可能なものであればよく、本実施の形態に限定されない。また、ハードウェアによる構成、ソフトウェアによる構成、両者の混在による構成など実装方法は限定されない。
また、上記説明においては各ビームフォーミング演算の周波数範囲は限定していないが、合成に使用する演算結果毎の周波数範囲の決定に基づいて、各ビームフォーミング演算を各々の周波数範囲の範囲内に限定して行うようにしてもよい。
この場合、CPU104は、(1)収音信号を周波数領域の信号に変換し、(2)周波数領域の信号に変換された収音信号に対してビームフォーミング演算を行い、(3)上記数式6のように合成して合成後の信号Y(λ、F)を生成する。
即ち、各演算が限定された周波数範囲で行われ、全ての演算結果を合成することにより、合成後の信号Y(λ、F)の周波数範囲は、必要な周波数範囲を網羅する。
例えば図2のように、総個数3個のマイクロフォンで、各マイクセットのマイクロフォンの数が2個の場合に、全てのビームフォーミング演算に係る演算量は、マイクロフォンを2個用いた場合の1つのビームフォーミング演算の演算量相当になる。
従って、3個のマイクロフォン全てを用いてMVDR法でビームフォーミング演算を行う場合と比較して、演算量は(23+2x22+2)/(33+2x32+3)=3/8となり、さらに演算量を低減することができる。
マイクロフォンの数が大きい場合として例えば、9個マイクロフォンでMD法により演算を行う場合と、本実施の形態1において総個数9個で各マイクセットにおけるマイクロフォンの個数が3個の場合とで比較すると、演算量は(33+2x32+3)/(93+2x92+9)=4/75となり、マイクロフォンの数が大きい場合の演算量の増加を抑制できることが分かる。
ちなみに、DS法を用いた演算の場合には、演算量は1/3になり、同様に低減される。
実施の形態2.
以下に、本発明の各実施の形態2について図4を用いて説明する。
図4は、本発明の実施の形態2における、ビームフォーミング処理装置の概略構成を示す図である。
なお、図中の各要素は、本発明を説明するために便宜的に分けたものであり、その実装形態は図の構成、分割、名称等に限定されない。例えば図1に示した構成を採用し、図2の機能を実現することが可能である。
例えば、図4の変換部402、選択部406、演算部407、合成部408、逆変換部409を図1の主にCPU104により実現し、図4のマイク間隔情報記憶部403および目的音距離情報記憶部404を図1の読出し書込みメモリ105および読出し専用メモリ106の少なくとも一方により実現する。
例えば、図4の変換部402、選択部406、演算部407、合成部408、逆変換部409を図1の主にCPU104により実現し、図4のマイク間隔情報記憶部403および目的音距離情報記憶部404を図1の読出し書込みメモリ105および読出し専用メモリ106の少なくとも一方により実現する。
図4において、401(図中、401−1ないし401−Lと記載。)はマイク部、402(図中、402−1ないし402−Lと記載。)は変換部(図中、FFT1ないしFFTMと記載。)、403はマイク間隔情報記憶部(図中、DMICと記載。)、404は目的音距離情報記憶部(図中、DSOURCEと記載。)、405は処理部、406は選択部(図中、SELECTと記載。)、407(図中、407−1ないし407−Mと記載。)は演算部(図中、407−1ないしBF1ないしBFMと記載。)、408は合成部(図中、Synと記載。)、409は逆変換部(図中、IFFTと記載。)を示す。
本実施の形態においては、マイク部401−1ないし401−Lが収音手段に対応し、選択部406が決定手段、処理部407が演算手段、合成部408が合成手段に対応する。
また、以下の説明において、例えばマイク部401−1ないし401−Lを単に「マイク部401」と記載する場合がある。
マイク部401−1ないし401−Lは、音声帯域の音を収音可能であり、収音信号Z1(n)、・・・、ZL(n)を生成する。例えば、各マイク部401はマイクロフォンを備え、1つのマイク部が1つのマイクロフォンに対応する。
図において、複数のマイク部401が、サンプリング処理された時間軸領域の収音信号Z1(n)、・・・、ZL(n)を生成する場合を示している。ここで、nは、サンプリングのタイミング、またはサンプリング後の収音信号の順番、を識別するパラメータである。
変換部402は、マイク部401で生成した収音信号に対し、フーリエ変換を行い、フーリエ変換後の信号として周波数領域の信号Z1(λ、F)、・・・、ZL(λ、F)を求める。ここで、Fはフーリエ変換の対象とする時間フレームを識別するパラメータである。変換部402は、変換手段に対応する。
マイク間隔情報記憶部403は、複数のマイク部401の相互間隔を表す情報を記憶する。
音源距離情報記憶部404は、各マイクロフォン部401に関する目的音距離を表す情報を記憶する。
選択部406は、マイク間隔情報記憶部403が記憶するマイク間隔を表す情報および音源距離情報記憶部404が記憶する目的音距離を表す情報を用いて、(1)複数のマイク部101−1、・・・、401−Lの中から、各演算部407−1、・・・、407−Mの演算に用いるマイク部401の組合せ(マイクセット)を決定するとともに、(2)演算部407−1、・・・、407−Mの演算結果毎の、合成部408における合成の際の周波数範囲を決定する。
選択部406における、マイクセットおよび周波数範囲の決定方法は、決定主体の名称は異なるが、上記実施の形態1で説明したものと同様であるので、以下では詳細な説明を省略する。
なお、各マイクセットを選択することは、フーリエ変換後の信号Z1(λ、F)、・・・、ZL(λ、F)の中から、各ビームフォーミング演算部405の演算に用いるマイクセットから受け取る収音信号の組、または、収音信号を受けとる信号径路の組、を決定することに相当するので、そのように言い換えても本発明のビームフォーミング処理装置と同様なビームフォーミング処理装置が得られる。
演算部407は、選択部406で決定されたマイクセット毎に、ビームフォーミング演算を行う。
合成部408は、選択部406が決定したM個の周波数範囲を表す情報λTHRを元に、M個の演算結果A1(λ、F)、・・・AM(λ、F)を合成し、合成後の信号Y(λ、F)を求める。
逆変換部409は、合成信号Y(λ、F)に対し逆フーリエ変換を行い、逆フーリエ変換後の信号として時間領域の信号Y(n)を求める。
次に、図4の動作の流れを説明する。
マイク部401が生成した収音信号Z1(n)、・・・、ZL(n)はそれぞれ、変換部402−1、・・・、402−Lによって、周波数領域の信号Z1(λ、F)、・・・、ZL(λ、F)に変換される。
各演算部に必要な信号Z1,1(λ、F)、・・・、ZM,NM(λ、F)は、周波数領域の信号Z1(λ、F)、・・・、ZL(λ、F)の中から、選択部の決定に従って決定される。
なお、Z1(λ、F)、・・・、ZL(λ、F)の各々とZ1,1(λ、F)、・・・、ZM,NM(λ、F)各々との対応関係は、選択部の決定に従って、1対1、1対多、対応無しなどとなる。
各マイクセットに対応する信号の組は、対応する演算部407によってビームフォーミング演算され、演算結果A1(λ、F)、・・・AM(λ、F)となる。
演算結果A1(λ、F)、・・・AM(λ、F)は、合成部408によって、演算結果毎に決定された周波数範囲を用いて、数式6により合成され、合成後の信号Y(λ、F)となる。
合成後の信号Y(λ、F)は、逆変換部409で逆フーリエ変換されて、合成後の信号Y(n)となる。
以上のように、本実施の形態のビームフォーミング処理装置によれば、上記実施の形態1と同様な効果を得ることができる。
本発明の実施の形態2の第1の変形例を、図5を用いて説明する。
図5において、図4と大きく異なる点は、制御部501が追加されている点である。なお、図中では、制御部501からの各種制御情報の流れを示す矢印は省略している。
図4においては、選択部406がマイクセットおよび周波数範囲を決定していたが、図5においては、制御部501がマイクセットおよび周波数範囲の決定を行うとともに、各部の制御を行う。
選択部406は、制御部501に従って、実際のマイク部401の選択動作のみを行い、マイクセットおよび周波数範囲の決定は行わない。
本発明の実施の形態2の第2の変形例を、図6を用いて説明する。
図6において、図5と大きく異なる点は、変換部402が、選択部406で決定されたマイクセットの収音信号に対しフーリエ変換を行う点である。
図5においては、フーリエ変換された周波数領域の信号Z1(λ、F)、・・・、ZL(λ、F)に対し選択が行われるが、図6においては、収音信号Z1(n)、・・・、ZL(n)のうち選択されたものに対しフーリエ変換が行われる。
これにより、変換部402の数を減らすことができる。
なお、図中では、各演算部407に必要な信号(Z1,1(λ、F)、・・・、ZM,NM(λ、F))毎に変換部402が存在するが、選択後の各信号に対しフーリエ変換がされることを示したものであり、同一の収音信号に対するフーリエ変換が別個に行われる必要はない。
なお、本実施の形態においては、マイク部401が、サンプリングされた収音信号を生成するようにしているが、マイク部401が時間領域のアナログ信号を生成し、かつビームフォーミング演算部107がデジタル処理で演算を行う場合に、アナログデジタル変換手段(図示しない)を備えても良い。
アナログデジタル変換手段は、変換部402と同様に、選択部406の前にあっても後にあってもよい。
また、本実施の形態においては、各収音信号に対し個別に変換部402でフーリエ変換を行うようにしているが、変換部402の処理タイミングについて各種方法が適用可能であり、例えば(1)全ての変換部402で同時並列処理で行う、(2)図の個数より少ない数の変換部402により時間差処理で行うといった方法が可能である。
また、本実施の形態においては、決定されたマイクロフォンの組合せに係る収音信号の組に対し個別にビームフォーミング演算を行うようにしているが、演算のタイミングについて各種方法が適用可能であり、例えば(1)同時並列処理で行う、(2)図の個数より少ない数の演算部407によって時間差処理で行うといった方法が可能である。
また、本実施の形態においては、変換部402でフーリエ変換を行っているが、時間領域から周波数領域への変換であればよく、本実施の形態に限定されない。同様に、逆変換部409についても、周波数領域から時間数領域への変換であればよく、本実施の形態に限定されない。
実施の形態3.
図7は、本発明の実施の形態3における、ビームフォーミング処理装置の概略構成を示す図である。
実施の形態2の図4と異なる点は、推定部701が追加されている点である。
推定部701は、ビームフォーミング演算部407の演算結果A1(λ、F)、・・・、AM(λ、F)の各々についてのSN比を推定する。推定方法は各種方法が適用可能であり、例えば、(1)実測、(2)予測、(3)平均化、(4)サンプリングによって行うことが可能である。従って、SN比を推定する元となる演算結果A1(λ、F)、・・・AM(λ、F)は、(1)過去の演算結果、(2)現在の演算結果、(3)両者の混合などが可能である。
また、推定されたSN比の表現形式としては各種表現形式を適用可能であり、例えば、(1)連続的な値として求める、(2)複数の区分した範囲をもとにした代表値として求める、さらに、(3)真数表現の値として求める、(4)対数(dB)表現の値として求めることが可能である。
選択部406は、SN比推定部420が求めたSN比も考慮して、マイクセットおよび周波数範囲を決定する。
合成部408で合成する際の周波数範囲は、例えば以下のようにして決定する。
まず、選択部406は、各演算部407の演算結果の周波数範囲が一部重複するように各々の演算部407の演算の周波数範囲を決定する。
推定部701は、各マイクセットに対するビームフォーミング演算結果のSN比(SNR1(λ)、・・・、SNRM(λ))を求める。
重複する周波数領域、例えば実施の形態1でもとめた閾値周波数の間の周波数領域(λTHR2<λ<λTHR1)、のなかでSNR2(λ)<SNR1(λ)を満たす最小のλをλ’THR1とする。他の重複した周波数領域についても同様に、λTHRk+1<λ<λTHR1kのなかでSNRk+1(λ)<SNRk(λ)を満たす最小のλをλ’THRkする。
合成部408は、合成処理を下記の計算により、合成後の信号Y(λ、F)を求める。
・・・・・数式7
以上のように、本実施の形態のビームフォーミング処理装置によれば、合成に用いる演算結果の演算結果毎の周波数範囲を、演算結果のSN比も考慮してよりSN比を高くするように出力信号の合成を行うことができ、実施の形態1に比べてSN比の向上した合成語の信号を得ることができる。
以上のように、本実施の形態のビームフォーミング処理装置によれば、合成に用いる演算結果の演算結果毎の周波数範囲を、演算結果のSN比も考慮してよりSN比を高くするように出力信号の合成を行うことができ、実施の形態1に比べてSN比の向上した合成語の信号を得ることができる。
本発明の実施の形態3の変形例を、図8を用いて説明する。
図8において、実施の形態1の図6と大きく異なる点は、推定部701が追加されている点である。
制御部501は、推定部701が求めたSN比も考慮して、マイクセットおよび周波数範囲を決定する。
なお、本実施の形態においては、推定部701においてSN比を「推定」しているが、SN比が得られればよく、例えば「決定」といった推定以外の概念も含む。
また、本発明の実施の形態おいては、目的音を含む音を実際に収音して推定しているが、例えば、(1)装置試験の際にテスト信号を用いて推定する、(2)装置の設置時にテスト信号を用いて推定する、などにより、別途メモリに記憶しておくようにしてもよい。
なお、上記各実施の形態では、マイクロフォン101およびマイクロフォン部401について、音声帯域の音を収音可能としているが、少なくとも音声帯域の音を収音可能であればよく、上記説明に限定されない。
また、例えば、用途に応じて、音声帯域のうち限定的な周波数範囲で収音するようにしてもよい。
また、上記各実施の形態では、音源が1つの場合について説明したが、音源が複数想定される場合にも適用可能である。その場合に、例えば、音源毎に上記各実施の形態の選択手段、演算手段および合成手段を複数備えるようにしてもよい。
また、上記各実施の形態では、目的音距離についての情報が予め与えられている場合に対応しているが、別途目的音距離を特定する特定手段を備え、または特定手段からの特定結果を受けとり、その特定された目的音距離をもとに、マイクセットと周波数範囲を決定するようにしても良い。
また、各実施の形態で示した図は、わかりやすく説明するため、詳細な機能、内部構造等を省略した図となっている。従って、本発明の処理装置の構成および実装においては、図に示した機能または構成要素のほかの機能または構成要素、例えば表示手段(機能)、通信手段(機能)、を含んでもよい。
なお、上記各実施の形態における装置の構成、機能および処理の分割のしかたは一例であり、装置の実装においては、同一または別々のハードウェアまたはソフトウェアまたはそれらの組合せとしてもよく、図に示す分割の仕方に限定されない。また、等価な機能を実現できればよく各本実施の形態に限定されない。
また、図の各部の間を結ぶ矢印によって運ばれる信号、データ、情報の内容は、分割のしかたによって変わることがあり、その場合、矢印によって運ばれる信号または情報が明示的に実装される情報か黙示的な情報か、また明示的に規定される情報か否か、といった情報の属性が異なってもよい。
また、上記各実施の形態における各種処理または動作は、(1)実質的に等価(または相当する)処理(または動作)に変形して実装する、(2)実質的に等価な複数の処理に分割して実装する、(3)複数のブロックに共通する処理はそれらを含むブロックの処理として実装する、(4)あるブロックがまとめて実装する、など本発明の課題及び効果の範囲で各種変形が可能である。
100 ビームフォーミング処理装置、101 マイクロフォン、102 処理部、103 入力I/F、104 CPU、105 RAM、10 ROM、107出力I/F、108制御I/F、109 伝送路、201 音源、401 マイク部、402 変換部、403 マイク間隔情報記憶部、404 目的音距離情報記憶部、405 処理部、406 選択部、407 演算部、408 合成部、409 逆変換部、501 制御部、701 推定部
Claims (7)
- 複数の収音手段から収音信号を受けとるとともに、前記収音信号を対象とする第1のビームフォーミング演算の演算結果および第2のビームフォーミング演算の演算結果を合成するビームフォーミング処理装置であって、
前記複数の収音手段の収音手段同士の間隔を表す情報および前記複数の収音手段から目的音の音源までの距離を表す情報に基づいて、前記第1のビームフォーミング演算に用いる第1の収音手段の組合せおよび前記第2のビームフォーミング演算に用いる第2の収音手段の組合せと、前記合成に用いる前記第1のビームフォーミング演算の演算結果の周波数範囲および前記第2のビームフォーミング演算の演算結果の周波数範囲と、を決定する決定手段と、
前記決定手段で決定された前記第1の収音手段の組合せから受けとった収音信号の組に対し、前記第1のビームフォーミング演算を行い、前記決定手段で決定された前記第2の収音手段の組合せから受けとった収音信号の組に対し、前記第2のビームフォーミング演算を行う、演算手段と、
前記決定手段で決定された前記第1のビームフォーミング演算の演算結果の周波数範囲および前記第2のビームフォーミング演算の演算結果の周波数範囲に基づき、前記演算手段で求められた前記第1のビームフォーミング演算の演算結果と前記第2のビームフォーミング演算の演算結果とを合成する合成手段と、
を備えたビームフォーミング処理装置。 - 前記決定手段は、
前記収音手段同士の間隔を表す情報および前記複数の収音手段から目的音の音源までの距離を表す情報に基づいて、閾値周波数を決定し、前記閾値周波数により前記合成に用いる第1のビームフォーミング演算の演算結果の周波数範囲および前記第2のビームフォーミング演算の演算結果の周波数範囲を決定する
請求項1に記載のビームフォーミング処理装置。 - 前記第1のビームフォーミング演算の演算結果のSN比および前記第2のビームフォーミング演算の演算結果のSN比を得るための推定手段
をさらに備え、
前記決定手段は、前記推定手段で求めた第1のビームフォーミング演算の演算結果のSN比および前記第2のビームフォーミング演算の演算結果のSN比にさらに基づいて、前記合成に用いる前記第1のビームフォーミング演算の演算結果の周波数範囲および前記第2のビームフォーミング演算の演算結果の周波数範囲を決定する
請求項1または2に記載のビームフォーミング処理装置。 - 前記収音信号を周波数領域の信号に変換する変換手段
をさらに備え、
前記演算手段は、
前記周波数領域の信号に変換された前記収音信号に対して、前記第1のビームフォーミング演算および前記第2のビームフォーミング演算を行うとともに、
前記第1のビームフォーミング演算の周波数範囲および前記第2のビームフォーミング演算の周波数範囲を、前記合成に用いる前記第1のビームフォーミング演算の演算結果の周波数範囲および前記第2のビームフォーミング演算の演算結果の周波数範囲に基づいて変更する
請求項1に記載のビームフォーミング処理装置。 - 前記決定手段は、
前記第1および第2のビームフォーミング演算のビームフォーミング特性における主ローブの幅が設定値以下になるように、前記演算の周波数範囲を決定する
請求項1に記載のビームフォーミング処理装置。 - 第1のビームフォーミング演算の演算結果および第2のビームフォーミング演算の演算結果を合成するビームフォーミング処理装置であって、
収音信号を生成する複数の収音手段と、
前記複数の収音手段の収音手段同士の間隔を表す情報および前記複数の収音手段から目的音の音源までの距離を表す情報に基づいて、前記第1のビームフォーミング演算に用いる第1の収音手段の組合せおよび前記第2のビームフォーミング演算に用いる第2の収音手段の組合せと、前記合成に用いる前記第1のビームフォーミング演算の演算結果の周波数範囲および前記第2のビームフォーミング演算の演算結果の周波数範囲と、を決定する決定手段と、
前記決定手段で決定された前記第1の収音手段の組合せから受けとった収音信号の組に対し、前記第1のビームフォーミング演算を行い、前記決定手段で決定された前記第2の収音手段の組合せから受けとった収音信号の組に対し、前記第2のビームフォーミング演算を行う、演算手段と、
前記決定手段で決定された前記第1のビームフォーミング演算の演算結果の周波数範囲および前記第2のビームフォーミング演算の演算結果の周波数範囲に基づき、前記演算手段で求められた前記第1のビームフォーミング演算の演算結果と前記第2のビームフォーミング演算の演算結果とを合成する合成手段と、
を備えたビームフォーミング処理装置。 - 複数の収音手段から収音信号を受けとるとともに、前記収音信号を対象とする第1のビームフォーミング演算の演算結果および第2のビームフォーミング演算の演算結果を合成するビームフォーミング処理方法であって、
前記複数の収音手段の収音手段同士の間隔を表す情報および前記複数の収音手段から目的音の音源までの距離を表す情報に基づいて、前記第1のビームフォーミング演算に用いる第1の収音手段の組合せおよび前記第2のビームフォーミング演算に用いる第2の収音手段の組合せと、前記合成に用いる前記第1のビームフォーミング演算の演算結果の周波数範囲および前記第2のビームフォーミング演算の演算結果の周波数範囲と、を決定する決定ステップと、
前記決定ステップで決定された前記第1の収音手段の組合せから受けとった収音信号の組に対し、前記第1のビームフォーミング演算を行い、前記決定手段で決定された前記第2の収音手段の組合せから受けとった収音信号の組に対し、前記第2のビームフォーミング演算を行う、演算ステップと、
前記決定ステップで決定された前記第1のビームフォーミング演算の演算結果の周波数範囲および前記第2のビームフォーミング演算の演算結果の周波数範囲に基づき、前記演算ステップで求められた前記第1のビームフォーミング演算の演算結果と前記第2のビームフォーミング演算の演算結果とを合成する合成ステップと、
を備えたビームフォーミング処理方法。
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CN109155886A (zh) * | 2016-05-25 | 2019-01-04 | 哈曼国际工业有限公司 | 非对称无源组延迟波束形成 |
WO2019049276A1 (ja) * | 2017-09-07 | 2019-03-14 | 三菱電機株式会社 | 雑音除去装置および雑音除去方法 |
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