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JP2015045461A - 蓄熱装置 - Google Patents

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JP2015045461A
JP2015045461A JP2013177075A JP2013177075A JP2015045461A JP 2015045461 A JP2015045461 A JP 2015045461A JP 2013177075 A JP2013177075 A JP 2013177075A JP 2013177075 A JP2013177075 A JP 2013177075A JP 2015045461 A JP2015045461 A JP 2015045461A
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良夫 松村
Yoshio Matsumura
良夫 松村
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Abstract

【課題】自然エネルギを用いて蓄熱材の温度調整が容易であり、蓄積した熱気及び冷気が無駄に放出することなく、必要なときに熱冷気を取り出すことができる蓄熱装置を提供する。【解決手段】断熱材で構成された筐体と、この筐体の内部に設けられ、相変化温度が20℃〜30℃の潜熱蓄熱材が封入された蓄熱容器とを備えており、筐体の内部には空気流通ダクトと接続できる接続口と、排気口と、空気が移送できる流通経路とが設けられている。【選択図】 図1a

Description

本発明は、主に太陽熱や夜間冷気を蓄熱(蓄冷)しその熱を一定時間保持し、必要に応じて取り出すことができる蓄熱装置に関する。
太陽熱や夜間冷気を蓄熱(蓄冷)して、その熱を活用する技術は広く知られている。例えば、特許文献1には、潜熱蓄熱材が備わっている天井面材、具体的には蓄熱建材又は蓄熱材からなるボードを設置して、パッシブな(太陽熱を利用した)蓄冷機能を有する住宅が提案されている。しかしながら、前記の蓄熱材は露出したままであり、例えば断熱性筐体内に密閉されておらず、蓄熱した熱気が居住者の意図に反して室内に放熱してしまい、必要なときに活用できないという課題がある。
また、特許文献2には、空気吸込口及び送風口を有するハウジングと、ハウジング内部の空気を送風する送風部と、このハウジング内を通過する空気を冷却する蓄冷材パックとを有する蓄冷式冷風装置が記載されている。なお、ハウジングの内側には断熱材が設けられている。そして、この装置は、家庭用の冷凍庫等で冷却された蓄冷剤(摂氏−18℃に冷却された蓄冷剤)をその都度セットし、冷風機として使用される。このような構成により、熱交換の際に生じる結露水が流れ出さないようなハウジングとしたことを特徴としている。
特開2002−115343号公報 特開平9−257352号公報
しかしながら、特許文献1に記載の蓄熱材は、断熱性筐体で覆われているわけではなく、折角、蓄えた熱が居住者の意図に反して室内に放熱してしまい、必要なときに活用できないシステムとなっている。
また、特許文献2に記載の冷風装置は、家庭用の冷凍庫等で冷却された蓄冷剤を都度セットし、冷風機として使用することを前提にしている。従って、太陽熱や夜間冷気を活用するシステムにそのままこの装置を活用することはできない。即ち、この装置は、既に調温(コンディショニング)されている蓄冷剤を使用することを前提としており、本発明の対象とする蓄熱装置のように、調温と放熱を両立させる技術思想とは全く異なるからである。さらに蓄熱材として、室内環境に適した温度領域(20〜30℃)で相変化する材料を適用していくことは、何ら、記載又は示唆されていない。
従って、本発明の目的は、自然エネルギを用いて蓄熱材の温度調整が容易であり、蓄積した熱気及び冷気が無駄に放出することなく、必要なときに熱冷気を取り出すことができる蓄熱装置を提供することにある。
本発明によれば、蓄熱装置は、断熱材で構成された筐体(以下、断熱性筐体という)と、この筐体の内部に設けられ、相変化温度が20℃〜30℃の潜熱蓄熱材が封入された蓄熱容器とを備えており、筐体の内部には空気流通ダクトと接続できる接続口(以下、ダクト接続口という)と、排気口と、空気が移送できる流通経路とが設けられている。
このように、ダクトから自然エネルギを取り込むことで蓄熱材の調温を可能とし、かつ断熱性筐体により蓄熱した空気を放出しにくくしている。潜熱蓄熱材の相変化温度を20℃〜30℃に選定したのは、四季を通して、室内温度は20℃〜30℃であれば、快適な日常生活を過ごせるからであり、室温が24℃〜28℃であれば、特に最適な住環境が得られる。
断熱性筐体は、少なくとも厚さ20mm以上の発泡プラスチックで形成されていることが好ましい。さらに、断熱性筐体の内部には、蓄熱容器を挿入しかつ保持するための係止部が形成されていることが好ましい。本発明に係る断熱性筐体は、厚さが20mm未満では制作、取り付けの際に充分な強度が得られず、厚さの上限は強度、取り扱いやすさや経済性を考慮して、適宜、選択される。また、係止部の構造は、溝、凹部、凸部等の形状が選択される。
断熱性筐体には、空気流通ダクトと接続できる接続口と排気口とがそれぞれ少なくとも1つ形成されていることも好ましい。さらに、ダクト接続口の大きさは、直径75mm〜300mmであることも好ましい。本発明に係る断熱性筐体は、筐体(矩形状箱体)の側面にダクト接続口及び排気口を設けるものであるが、2つ以上の筐体を組み合わせて、各々の側面にダクト接続口及び排気口を設けても良い。また、ダクト接続口の直径が75mm未満では充分な送風量を確保できず、300mm超ではダクトも大きくなりコスト高となる。
断熱性筐体に形成されたダクト接続口と流通経路との間にチャンバが設けられていることも好ましい。
潜熱蓄熱材は、炭素数9〜23の高級アルカンと炭素数6〜20の高級アルコールとの混合物であることも好ましい。本発明に係る潜熱蓄熱材は、特定の炭素数を有する有機系混合物を選定することにより、各物質単独において存在する融解/凝固のバラツキを大幅に低減しつつ、外気が有する熱又は冷熱と潜熱蓄熱材との熱交換が効率的に行なえ、充分な融解作用と凝固作用とが得られるものである。
本発明に係る蓄熱装置は、種々の技術的効果及びその技術的効果から派生する経済的な効果を有する。即ち、本発明に係る蓄熱装置では、空気を移送させることで、自然エネルギである外気の熱又は冷熱を蓄熱容器内の潜熱蓄熱材に蓄熱させることにより、比較的簡単に必要なときにその熱を取り出して室内を調温することができる。また、外気を使用して室内の調温を行なうことができるため、省エネルギで、経済的である。さらに、比較的簡単な構造であり、かつ製造が容易である等の優れた効果を有する。なお、本発明のその他の効果は、実施形態の説明の中でも説明する。
本発明の第1の実施形態に係る蓄熱装置を概略的に示す斜視図である。 図1aに示す蓄熱容器を概略的に示す斜視図である。 本発明の第2の実施形態に係る蓄熱装置を概略的に示す斜視図である。 図2の第2の実施形態の耐熱性筐体を模式的に示す説明図である。 本発明に係る蓄熱装置を利用した空調システムを概略的に示す説明図である。 本発明に係る蓄熱装置を設置した家屋を模式的に示した説明図である。 図2の第2の実施形態の変更態様に係る蓄熱装置を概略的に示す説明図である。
(第1の実施形態)
以下、図1a及び図1bに基づき、本発明の第1の実施形態に係る蓄熱装置Sについて説明する。
図1aにおいて、矩形状の断熱性筐体1の内部の下段には、扁平状の蓄熱容器2が3つ設置されている。断熱性筐体1は断熱性を有する発泡プラスチックで構成され、その側面(図1にて向かって右壁面)には、空気流通ダクト(図示せず)と接続するためのダクト接続口3が、さらに左壁面には排気口4(図ではダクト接続口3と同一形状)が形成されている。
また、断熱性筐体1の内部壁面(図1aにて前後の壁面)には図1bに示す蓄熱容器2を挿入し保持するための係止部としての溝6が一定間隔で形成されている。ただし、図1aでは、溝6が10段形成されている。この溝6の少なくとも一部に蓄熱容器2が挿入され係止されている。蓄熱容器2が一定間隔の隙間をもってセットされることにより、この隙間(図1aでは15mmの隙間)が空気の流通経路5として機能している。
単なる一例であるが、本実施形態においては、断熱性筐体1の外形は580mm×280mm×505mmであり、その内部に180mm×280mm×34mmの寸法を有する蓄熱容器2が10個配置可能となっている。空気はダクト接続口3から入り、流通経路5を経由して排気口4に向かって流れる。
断熱性筐体1は、JIS A 9511で規定されているビーズ法ポリスチレンフォーム保温板の2号相当品を使用しており、厚さは約50mm、断熱性(λ)は約0.037W/mkの製品である。ただし、断熱性筐体1の材料はこれに限定されるわけではなく、押出法発泡ポリスチレンや発泡ポリプロピレン等の発泡プラスチック性断熱材又は高密度グラスウール等の繊維系断熱材での製作も可能である。しかし、本実施形態のように成形(製作)が容易で、断熱性が高く、湿気に強く、かつ強度を有する発泡プラスチックが好適である。
断熱性筐体1は、蓄熱容器2内の潜熱蓄熱材の蓄熱効果を高めると共に、潜熱蓄熱材に蓄熱された熱を保持するために必須である。断熱性筐体1の厚さは、蓄熱された熱の必要保持時間、断熱材の断熱特性により適宜設計され、本実施形態のように断熱性筐体1の壁部に一体的に溝6を形成し、蓄熱容器2をこれら溝6で保持しようとすると、溝を形成するためにある程度の厚さが必要である。また、蓄熱容器を保持するために必要な強度を有することが筐体に要求され、かつ保温性も考慮に入れると、20mm以上の厚さが必要となる。
ダクト接続口3は、断熱性筐体1の右側面に設けられており(本実施形態ではφ150mmの穴)これは、蓄熱装置が設置された住宅等において、太陽熱で加熱された空気や夜間冷気で冷やされた空気を流通させるための円形ダクト(図示せず)を接続するためである。そして、本蓄熱装置Sはこれらの熱を蓄熱容器2内の潜熱蓄熱材の調温(コンディショニング)として活用する。
また、このダクト接続口3は、断熱性筐体1の内部に形成された流通経路5と連通していることが必要で、ここから流入した空気が流通経路5を通り、排気口4から送出できるようになっている。そして、流通経路に空気を通過させる過程で、蓄熱容器2内の潜熱蓄熱材に蓄熱させることができる。
ダクト接続口3の大きさは、φ75mm〜φ300mmが実用的に好ましい。なお、本実施形態では排気口4も円形ダクトと接続するように構成し、φ150mmの穴を開けているが、円形である必要はなく矩形でも楕円形でも良い。また極端な場合、ほぼ全面を開口部とした排気口4としても良い。
図1aに示すように、断熱性筐体1内部に配置された蓄熱容器2とダクト接続口3との間には、ある程度の空間を有するチャンバ7を設けることが好ましい。このようなチャンバ7を設けることで、流入された空気が蓄熱容器2間に形成された流通経路5に分岐又は分散され、全体としての熱交換率が高まる。本実施形態では、蓄熱容器2とダクト接続口3との間には、200mmの空間を形成した。そして、チャンバ7は各蓄熱容器2間に形成された流通経路5と連通している。
断熱性筐体1の内部には、潜熱蓄熱材が封入された扁平形状の蓄熱容器2が少なくとも1つ配置されており、前述したように本実施形態では蓄熱容器2が10個配置可能であり、蓄熱容器2はダクト接続口3を介して流入されてきた空気と充分に接触し、この空気との熱交換がより効率的に行なわれるように配置されている。
本実施形態の蓄熱容器2は塩化ビニールのブロー成形品で構成されているが、このようなプラスチック製に限定されるわけではなく、アルミ等の金属製でも良い。また、端部を封止した一定長の管(例えばφ10〜30mmのアルミ管)を蓄熱容器2とすることも可能であり、この管の外側(空気と接する側)にフィンをつけても良い。さらに、この場合、管を一定間隔で(流通経路をとって)あらかじめ組み立てておくこともできる。さらにまた、ラジエータのような構造のものをあらかじめ製作しておいても良い。この場合、蓄熱容器2と流通経路5とが一体的に形成されることとなり、これを断熱性筐体1の中に配置することによって、蓄熱装置Sが形成される。なおラジエータは一般的には放熱器として使用され、これを断熱性筐体で包むようなことはこれまで考えられていない。
蓄熱容器2には利用目的に応じた相変化温度(融点または凝固点)を有する潜熱蓄熱材が封入されており、これは硫酸ナトリウム+水塩(芒硝)、酢酸ナトリウム等の無機系材料、又はパラフィン、脂肪酸等の有機系材料が適宜使用される。
本実施形態の蓄熱装置Sは、住宅の室内環境を保持するために使用することを想定しており、太陽熱で暖められた空気や夜間冷気等の自然エネルギ(空気)で調温(コンディショニング)することを主目的としている。そこで、相変化温度が20℃〜30℃の潜熱蓄熱材が最適であり、これには、炭素数9〜23の高級アルカンと炭素数6〜20の高級アルコールの混合物を主成分とした製品が好適である。このうち、特に限定されないが、相変化温度が20〜22℃であることから、n−オクタデカン(炭素数18の高級アルカン)とラウリルアルコール(炭素数12の高級アルコール)の混合物が好ましく、相変化時の挙動のばらつきが低減し、安定する観点から、これら混合物中に占めるラウリルアルコールのモル分率が65〜89モル%であることが特に好ましい。また、相変化温度が26〜28℃であることから、n−オクタデカン(炭素数18の高級アルカン)とミリスチルアルコール(炭素数14の高級アルコール)の混合物も好ましく、相変化時の挙動のばらつきが低減し、安定する観点から、これら混合物中に占めるミリスチルアルコールのモル分率が10〜39モル%であることが特に好ましい。高級アルカン及び高級アルコールが有する高い潜熱量を保持しながら、融解温度を調整することが可能となり、両者を所定量混合することにより、高級アルコール、高級アルカンの各々が単体の場合に生じる融解/凝固のバラツキを大幅に低減することが可能となる。
なお、本蓄熱装置は住宅で火災の危険性の低い場所(床下等)に設置することを前提として、潜熱蓄熱材を選定したが有機系材料は一般的に燃えやすい。この危険性が高い場合(室内等に設置される場合)、蓄熱量や耐久性(相変化を繰り返した場合の劣化の度合い)はやや劣るが、無機系の材料、例えば芒硝と尿素の混合物等が適宜選択される。
次に、本実施形態における蓄熱装置Sの製造方法(組立て方法)について、図1aに基づき説明する。
本実施形態の蓄熱装置Sは、断熱性筐体1が分割ラインLで示す面で2つに分割できるようになっている。そのため、この装置の組立ては、半割りの断熱性筐体11及び12をあらかじめ準備し、一方の断熱性筐体(例えば右筐体11)の溝部6に蓄熱容器2を取り付け、その後残り半分の断熱性筐体(左筐体12)を接合させて完成する。
組立て工事の際は、半割りの断熱性筐体と蓄熱容器を別々に現地に送り、現地で上記の手順で組み立てる。そうすることで、物流費が軽減できるだけでなく、比較的重い潜熱蓄熱材が封入された蓄熱容器(実施形態では蓄熱容器一個の重量は約1kgあり10個で10kgとなる)の取り扱いが容易となる。一方、断熱性筐体をビーズ法発泡プラスチックで構成し蓄熱容器を溝に取り付けた状況で運搬すると、溝が破損する等の不具合が生じる懸念がある。また、経年劣化等により蓄熱容器を取り替えるような場合も、比較的簡単に取り外し/取り付けが可能となる。
(第2の実施形態)
次に、図2及び図3に基づき本発明の第2の実施形態に係る蓄熱装置SSについて説明する。
第1の実施形態は一方向に空気が流れる蓄熱装置S(図1上、空気は右側面から左側面に流れる)であるが、第2の実施形態では、空気が2方向(前後、左右のXY方向)に流れるように構成している。ただし、図2及び図3において、図1と同一の構成要素は同一の符号を付してその説明が省略されている。
図2に示すように本蓄熱装置SSは、断熱性筐体21の4つの側面にダクト接続口、排気口、吸気口及び排気口が設けられている。即ち、断熱性筐体21の第1の側面(図2において右手前壁面)には、空気流通ダクト(図示せず)と接続するためのダクト接続口211が、第2の側面(図2において左奥壁面)には排気口212(ダクト接続口211と同一形状)が、第3の側面(図2において左手前壁面)には吸気口221が、第4の側面(図2において右奥壁面)には排気口222が形成されている。さらに、内部壁面には蓄熱容器2を挿入し保持するための係止部としての溝6が一定間隔で形成されている。これら溝6に複数の蓄熱容器2が挿入され係止されている。なお、図2においては、蓄熱容器2は示されていない。蓄熱容器2が一定間隔の隙間をもってセットされることにより、この隙間が空気の流通経路として機能している。
本実施形態における蓄熱装置SSは、特に、図2に示すように、断熱性筐体21の内部に蓄熱容器2を挿入し取り付けるための係止部(溝6又は切欠き部)がX方向に沿って一定間隔で形成されており、この係止部に蓄熱容器2を挿入されて係止されるように構成されている。これにより四方から空気が流れる流通経路が形成される。X方向とY方向との流通経路を形成するため、例えば、図示したX方向メクラ板(流通経路を塞ぐ板)261とY方向メクラ板262とが溝6の間に交互に設置されている。このようなY方向メクラ板262によってX方向流通経路251が、X方向メクラ板261によってY方向流通経路252が互いに交互に形成されている。
本蓄熱装置SSを使用する場合、ダクト接続口211から太陽熱で加熱された空気等を取り込み、蓄熱容器2内の潜熱蓄熱材に蓄熱すると共に排気口212に向かって流通経路を経由して送出される。一方、蓄えられた熱は、吸気口221から導入された空気と熱交換され、排気口222に向かって流通経路を経由して送出される。本実施形態のダクト接続口211、排気口212、吸気口221及び排気口222は、ダクト接続口211と同一形状(φ150mm)としているが、ダクト接続口211を除いて、空気ダクトと接続する形状とする必要はない。また、2方向に空気が流れる構造となっているため、蓄熱容器2の厚さは、第1の実施形態より薄い形状が(10〜20mm程度)熱交換効率を向上させる点から好ましい。
本実施形態に係る蓄熱装置のその他の構成及び作用並びに組立て方法等については、前述した第1の実施態様の場合とほぼ同様である。
次に、本実施形態に係る蓄熱装置を利用する空調システムについて説明する。まず、夏季に夜間冷気を蓄冷する空調システムの一形態の概要を説明する。
図4は、深夜から朝方の比較的涼しい夜間外気(冷気)を蓄冷し、それを日中は第1の実施形態に係る蓄熱装置Sにより保持しておき、夜間就寝前に室内にこの冷気を吹き出して室内を快適に保つことを目的として使用する場合の空調システムの構成を表している。
蓄熱装置Sは、図1bに示す蓄熱容器2内に封入した潜熱蓄熱材の相変化温度が28℃前後となるように設定されている。蓄熱装置Sのダクト接続口3は断熱ダクト431を介して電動三叉路シャッタ410と接続されている。電動三叉路シャッタ410は、さらに、屋外から外気を取り入れるためのダクト401と、室内から空気を取り入れるためのダクト403とに接続されている。従って、ダクト接続口3は電動三叉路シャッタ410の切替により、外気(夜間冷気)の取り込み口か又は室内空気の取り込み口としても機能する。一方、蓄熱装置Sの排気口4は断熱ダクト432を介してダクトファン422の吸入口に接続されている。ダクトファン422の排出口は断熱ダクト433を介して電動三叉路シャッタ411と接続されている。電動三叉路シャッタ411は、さらに、屋外に空気を放出するためのダクト402と、室内排出用ダクト404に接続されている。従って、蓄熱装置Sの排気口4は電動三叉路シャッタ411の切替により、外気への排出口か又は室内への排出口としても機能する。なお、図4に示した蓄熱装置Sを含む空調システム(ダクト、シャッタ、ファン、ダンパ等)は住宅の屋根裏等に設置される。
次に、図4に示す空調システムの動作及び使用形態を説明する。
例えば、夏季の深夜0時から朝方6時までの比較的涼しい時間帯の夜間冷気(25℃程度の外気)を蓄熱装置Sに蓄冷するため、電動三叉路シャッタ410及び411の両方は、屋外の外気と通じるように切替られ、ダクトファン422が稼働される。ファンを動作させることにより、屋外から断熱ダクト431を通して外気Aが吸入される。吸入された外気は蓄熱装置Sのダクト接続口3を介して蓄熱装置S内に移送され、このより低い温度の外気Aと蓄熱容器S内に封入された融解状態の潜熱蓄熱材(相変化温度28℃)との熱交換が行なわれる。液体の潜熱蓄熱材は外気に冷やされて固体に相変化し、外気が有する冷熱が蓄熱される。
その後、朝方から就寝時まではダクトファン422が作動を停止されている。蓄熱装置Sが断熱性筺体1で囲まれているため、この間、潜熱蓄熱材の蓄熱(蓄冷)状態が保持されている。就寝時、室内に熱がこもり室内温度が高い場合(例えば30℃)、両方の電動三叉路シャッタ410及び411を切替えて室内と通じるようにし、この状態でダクトファン422を稼働させると、28℃以下の冷気が室内に送出され、室内を快適な就寝環境とすることができる。
上述した実施形態では、図4に基づき、夏季に夜間冷気を蓄冷するシステムの概要を説明したが、本発明に係る蓄熱装置は、多様な使用例が想定され、種々の空調システムとして利用することができる。一例として、夏季での使用に際し、昼間や就寝時間などにおける比較的暑い空気の熱を蓄熱装置で熱交換させて室内の空調を行なう場合がある。この詳細な説明は省略する。
次に、本実施形態に係る蓄熱装置を利用する空調システムとして、冬季に太陽熱を蓄熱する空調システムの一形態の概要を説明する。
図5に示すように、戸建て住宅の家屋501の一方の軒先502から取り入れられた外気Bが、屋根503に設置された集熱器504で加熱され、その熱がダクト505を通って床下に導かれ、さらに第2の実施形態における蓄熱装置SSに導入される。
従来のこの種の空調システムでは、床下に導かれた外気Bの熱がコンクリートに蓄熱され、床暖房用として放熱されていた。しかしながら、このような従来の空調システムでは、コンクリート全体が断熱材で覆われているわけではなく、コンクリートは蓄熱もするが同時に室内に熱を放出することとなり、例えば日中、特に床暖房が必要ないときも放熱することとなる。そして、蓄熱した熱を深夜に利用しようとしても、既にコンクリートから放熱し終わって有効利用できないという問題があった。
これに対して、図5に示すように、蓄熱装置SSをコンクリート蓄熱の変わりに設置すれば、必要とする温度領域の熱を蓄えておけるだけでなく、断熱性筐体内に配置した蓄熱容器に潜熱蓄熱材を封入しているので、熱が放熱しにくく、必要なときに(例えば夜間等に)取り出すことができる。
即ち、図5に示すように、蓄熱装置SSを床下に設置し、家屋に設置したダクト505の先端部を蓄熱装置SSのダクト接続口211に接合し、集熱器で暖められた空気が蓄熱装置のX方向流通経路に流れるように構成し、昼間、蓄熱容器内の潜熱蓄熱材に蓄熱する。一方、蓄熱装置の排気口222の先端には、ダクトを介してダクトファン(図示なし)を取り付け、床下の空気が吸気口221を介して蓄熱装置に取り込まれ、Y方向流通経路を介して床下から吹き出す。このとき蓄熱材に蓄熱された熱がY方向を流れる空気と交換される。本例の蓄熱材として、24℃程度で相変化する材料が選定される。
本システムに利用する蓄熱装置SSは1つである必要はなく、2つ以上互いにつなげて設置しても良いことは明かである。
上述したように、冬季の日中に空気集熱器で暖められた25℃〜60℃の空気が蓄熱装置SSに引き込まれることで蓄熱し、例えば夜間に床暖房として利用したい場合、排気口222からダクトを介して取り付けたダクトファンを使用して、蓄熱装置から熱を供給して床を暖めることができる。
なお、第2の実施形態の変更態様に係る蓄熱装置SSSとして、図6に示すように、排気口222にダクト等を介さずに、直接、ファン601を取り付けても良いし、吸気口221に、ファン601が回転すると開閉するような断熱ダンパ602を、直接、取り付けても良い。
上述した実施形態では、図5及び図6に基づき、冬季に日中の暖かい空気を蓄熱する空調システムの概要を説明したが、本発明に係る蓄熱装置は多様な使用例が想定され、種々のシステムに利用することができる。例えば、冬季の昼間において、比較的暖かい空気の熱を蓄熱装置で熱交換させて室内の空調を行なうことができる。この詳細な説明は省略する。
本発明に蓄熱装置は、集合住宅、戸建住宅、事務所等の建屋の空調システムの基幹装置として利用でき、種々の用途があり、技術的、経済的な効果を有するものである。
1、21 断熱性筐体
2 蓄熱容器
3 ダクト接続口
4 排気口
5 流通経路
6 溝(係止部)
7 チャンバ
11 右筐体
12 左筐体
211 ダクト接続口
212 排気口
221 吸気口
222 排気口
251 X方向流通経路
252 Y方向流通経路
261 X方向メクラ板
262 Y方向メクラ板
401、402、403、404 ダクト
410、411 シャッタ
422 ダクトファン
431、432、433 断熱ダクト
501 家屋
502 軒先
503 屋根
504 集熱器
505 ダクト
601 ファン
602 断熱ダンパ
A、B 空気(外気)
S、SS、SSS 蓄熱装置

Claims (7)

  1. 断熱材で構成された筐体と、該筐体の内部に設けられ、相変化温度が20℃〜30℃の潜熱蓄熱材が封入された蓄熱容器とを備えており、前記筐体の内部には空気流通ダクトと接続できる接続口と、排気口と、空気が移送できる流通経路とが設けられていることを特徴とする蓄熱装置。
  2. 前記筐体は、少なくとも厚さ20mm以上の発泡プラスチックで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の蓄熱装置。
  3. 前記筐体の内部には、蓄熱容器を挿入しかつ保持するための係止部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の蓄熱装置。
  4. 前記筐体は、空気流通ダクトと接続できる接続口と排気口とがそれぞれ少なくとも1つ形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の蓄熱装置。
  5. 前記ダクト接続口の大きさは、直径75mm〜300mmであることを特徴とする請求項4に記載の蓄熱装置。
  6. 前記筐体に形成されたダクト接続口と流通経路の間にチャンバが設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の蓄熱装置。
  7. 前記潜熱蓄熱材は、炭素数9〜23の高級アルカンと炭素数6〜20の高級アルコールとの混合物であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の蓄熱装置。
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JP2021085613A (ja) * 2019-11-28 2021-06-03 学校法人慶應義塾 冷却装置、および、冷却方法

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