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JP2015045295A - 内燃機関の多段過給装置 - Google Patents

内燃機関の多段過給装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 多段過給装置のアクチュエータへの熱の影響を低減する。
【解決手段】 多段過給装置12は、内燃機関本体2の排気通路11に接続される第1タービンハウジング27及び第1コンプレッサハウジング28を備えた第1過給装置21と、第1タービンハウジングに接続される第2タービンハウジング36及び第2コンプレッサハウジング37を備えた第2過給装置22と、第1タービンハウジングを迂回するように排気通路と第2タービンハウジングを接続するバイパス通路42と、バイパス通路に設けられた開閉弁45と、開閉弁を駆動する第1のアクチュエータ46とを有する。第1のアクチュエータは、第1コンプレッサハウジング又は第2コンプレッサハウジングに支持された第1の本体71Bと、本体に変位可能に支持され、開閉弁に連結された第1の出力部材75Bとを有する。
【選択図】 図4

Description

本発明は、内燃機関の多段過給装置に係り、詳しくは2つの過給装置が直列に配置された多段過給装置に関する。
内燃機関の給排気系に高圧段過給装置と低圧段過給装置との2つの過給装置を設け、内燃機関の回転数に応じて各過給装置に流入させる排気量を調節するようにした多段過給装置(シーケンシャルターボチャージャシステム)がある。このような多段過給装置は、内燃機関の低速回転時に比較的容積が小さい高圧段過給装置を使用し、高速回転時に高圧段過給装置よりも容積が大きい低圧段過給装置を使用することによって、幅広い回転数帯で過給効果を高めることができる。
多段過給装置は、2つの過給装置と、これらの過給装置同士を互いに接続する配管とを備えているため、大型化するという問題がある。特に、多段過給装置は、エンジン回転数に応じて使用する高圧段過給装置及び低圧段過給装置を選択可能にするために、バイパス通路と、バイパス通路に設けられたバイパス弁を駆動するアクチュエータとを有するため、各構成をコンパクトに配置することが困難である。このような問題に対して、高圧段過給装置及び低圧段過給装置の回転軸線を互いに平行に配置し、かつ回転軸線方向において各過給装置のタービン側及びコンプレッサ側が互いに一致するように配置し、かつ低圧段過給装置のタービンハウジングを高圧段過給装置のタービンハウジングよりも回転軸線方向にタービン側に偏倚させて配置したものがある(例えば、特許文献1)。このように配置すると、各過給装置において最も体積が大きいコンプレッサハウジング同士の干渉が避けられ、各過給装置の回転軸線間距離を近接させることができ、装置全体をコンパクトに配置することができる。
特開2011−174425号公報
このような多段過給装置では、バイパス弁を駆動するアクチュエータの配置自由度はコンパクト化の観点から制限され、排気通路のバイパス弁を駆動するアクチュエータはその近傍のタービンや排気通路に支持される。この場合には、タービンや排気通路を通過する排気の熱がアクチュエータに伝達され、アクチュエータが加熱されて変形や劣化を生じ、バイパス弁の開閉駆動が不安定になる虞がある。特に、過給装置では、可撓性の樹脂材料からなるダイヤフラムを利用したアクチュエータが使用される場合があり、このような場合にはダイヤフラムが劣化するという問題がある。
本発明は、以上の背景を鑑み、多段過給装置のアクチュエータへの熱の影響を低減することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の多段過給装置(12)は、内燃機関本体(2)の排気通路(11)に接続される第1タービンハウジング(27)及び前記第1タービンハウジングに連結された第1コンプレッサハウジング(28)を備えた第1過給装置(21)と、前記第1タービンハウジングに接続される第2タービンハウジング(36)及び前記第2タービンハウジングに連結された第2コンプレッサハウジング(37)を備えた第2過給装置(22)と、前記第1タービンハウジングを迂回するように前記排気通路と前記第2タービンハウジングを接続するバイパス通路(42)と、前記バイパス通路に設けられた開閉弁(45)と、前記開閉弁を駆動する第1のアクチュエータ(46)とを有し、前記第1のアクチュエータは、前記第1コンプレッサハウジング又は前記第2コンプレッサハウジングに支持された第1の本体(71B)と、前記第1の本体に変位可能に支持され、前記開閉弁に連結された第1の出力部材(75B)とを有することを特徴とする。
この構成によれば、アクチュエータの本体が、第1タービンハウジングや第2タービンハウジング等の排気が通過する部材ではなく、吸気が通過する第1コンプレッサハウジング又は第2コンプレッサハウジングに支持されているため、排気によって加熱され難くなる。そのため、アクチュエータの本体は、排気による熱の影響を受け難く、変形や劣化を生じることなく、正常に動作することができる。
また、上記の発明において、前記第1のアクチュエータは、前記第1の本体の内室を区画するダイヤフラム(74)を有し、前記第1の出力部材は、一端側が前記ダイヤフラムに連結される一方、他端側が前記開閉弁に連結されているとよい。
この構成によれば、アクチュエータの本体は排気から熱の影響を受け難い位置に設けられているため、ダイヤフラムを有するアクチュエータであっても劣化することなく正常に動作することができる。
また、上記の発明において、前記第1過給装置は、前記第1タービンハウジング内に変位可能に設けられた可変ノズルベーン(31)と、前記可変ノズルベーンを駆動する第2のアクチュエータ(32)とを有し、前記第2のアクチュエータは、前記第1コンプレッサハウジング又は前記第2コンプレッサハウジングに支持された第2の本体(71A)と、前記本体に変位可能に支持され、前記可変ノズルベーンに連結された第2の出力部材(75A)とを有するとよい。
この構成によれば、可変ノズルベーンを駆動するアクチュエータの本体が、排気による熱の影響を受け難くなり、変形や劣化を生じることなく、正常に動作することができる。
また、上記の発明において、前記第2過給装置の回転軸線(D)は、上下方向において前記第1過給装置の回転軸線(C)よりも上方に平行となるように配置され、前記出力部材は、上下方向において前記第1過給装置の前記回転軸線と前記第2過給装置の前記回転軸線との間に、前記両回転軸線と平行に延在しているとよい。
この構成によれば、アクチュエータの出力部材が、上下方向において第1過給装置と第2過給装置の間を、各過給装置の回転軸線と平行に延在するため、出力部材が多段過給装置の外形に与える影響が小さく、多段過給装置をコンパクトにすることができる。
また、本発明の他の側面は、上記の多段過給装置(12)と内燃機関本体(2)とを備えた内燃機関(1)であって、前記内燃機関本体は、排気側が前側、吸気側が後側となり、後傾するように配置され、前記第2過給装置は、前記内燃機関本体の前側において、前記第1過給装置よりも上方かつ後方に配置され、前記アクチュエータは、前記第1過給装置の上方かつ前記第2過給装置の前方に配置されていることを特徴とする。
この構成によれば、第1過給装置及び第2過給装置が、後傾する内燃機関本体の前側面に沿って配置され、アクチュエータが、第1過給装置の上方かつ第2過給装置の前方に形成された空間(凹部)に配置される。そのため、内燃機関全体をコンパクトにすることができる。
以上の構成によれば、多段過給装置のアクチュエータへの熱の影響を低減することができる。
実施形態に係る内燃機関の正面図 実施形態に係る内燃機関の左側面図 実施形態に係る多段過給装置の模式図 実施形態に係る多段過給装置の正面図 実施形態に係る多段過給装置の右側面図 実施形態に係る多段過給装置の左側面図 実施形態に係る各アクチュエータの断面図
以下、図面を参照して、本発明を自動車用エンジンの多段過給装置に適用した実施形態について詳細に説明する。以下の説明では、自動車の前進方向を前方として各方向を定める。また、以下の説明で用いる「上流」および「下流」の語は、エンジンの吸排気系における一連のガスの流れ方向を基準とし、吸気系のエアインレットを最上流、排気系のマフラーを最下流として説明する。
図1は実施形態に係る内燃機関の正面図、図2は実施形態に係る内燃機関の左側面図である。図1及び図2に示すように、実施形態に係る内燃機関1は、内燃機関本体2を有している。内燃機関本体2は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンであってよい。内燃機関本体2は、直列に配置された複数の気筒を有する。内燃機関本体2は、シリンダ列が左右に延在するように、車体に対して横置きに配置される。内燃機関本体2は、下側からオイルパン5、シリンダブロック6、シリンダヘッド7、ヘッドカバー8を有する。内燃機関本体2は、シリンダ軸線Aが鉛直線Bに対して後傾するように車体に対して配置されている。シリンダブロック6は、下部が前後に張り出したクランクケース6Aを有し、その右端面にはトランスミッション9が接合されている。
シリンダヘッド7には、シリンダブロック6に形成された気筒に連続する吸気ポート及び排気ポートが形成されている。排気ポートはシリンダヘッド7の前側面に開口しており、吸気ポートはシリンダヘッド7の後側面に開口している。
シリンダヘッド7の前側面には、各排気ポートに接続する排気マニホールド11が締結されている。排気マニホールド11の下流端には、多段過給装置12が設けられている。なお、各排気ポートがシリンダヘッド7内で集合される場合には、排気マニホールド11はシリンダヘッド7と一体に形成され、多段過給装置12はシリンダヘッドに直接に接続される。多段過給装置12の排気側の下流側には、触媒コンバータ13が接続され、その下流にはDPF、NOx浄化装置、マフラーが直列に連結されている。
図示しないが、シリンダヘッド7の後側面には、各吸気ポートに連続する吸気マニホールドが締結されている。吸気マニホールドの上流側には、スロットルバルブ、インタークーラ、多段過給装置12の吸気側、エアフィルタ、エアインレットが直列に連結されている。
図1に示すように、正面視において、トランスミッション9の上方であって、シリンダヘッド7の左方には、車体に支持されたバッテリ15が配置されている。シリンダヘッド7とバッテリ15との間には、所定の隙間が形成されている。図2に示すように、内燃機関本体2の前方にはラジエータ17が配置されている。ラジエータ17は、フィンを有する水管を並列、又は折り曲げて平板状に配設した熱交換部17Aと、熱交換部17Aに空気を供給する箱形の軸流ファンであるファン17Bとを有する。熱交換部17Aは内燃機関本体2の前方において回転軸線が前後を向くように配置され、ファン17Bは熱交換部17Aの後方において主面が前後を向くように配置されている。シリンダブロック6が下部に前後に張り出したクランクケース6Aを有するため、また、内燃機関本体2が後傾して配置されているため、内燃機関本体2の前側とファン17Bの後側との間には、上方に進むほど前後における幅が広くなる空隙18が形成されている。
ラジエータ17及び内燃機関本体2の上方には、車体に支持されたエンジンフード19が配置される。空隙18の上部はエンジンフード19によって閉じられている。また、空隙18の左方にはバッテリ15が配置され、空隙18の右方には触媒コンバータ13が配置されている。すなわち、空隙18は、内燃機関本体2、ラジエータ17、エンジンフード19、バッテリ15、触媒コンバータ13によって画成された空間といえる。空隙18には、多段過給装置12が配置される。
図3は実施形態に係る多段過給装置の模式図であり、図4〜図6は実施形態に係る多段過給装置の正面図、右側面図及び左側面図である。図1〜図6に示すように、多段過給装置12は、高圧段過給装置(第1過給装置)21と、低圧段過給装置(第2過給装置)22とを備え、シーケンシャルターボチャージャシステムを構成している。
図3に示すように、高圧段過給装置21は、高圧段シャフト24によって同軸かつ一体回転するように連結された高圧段タービンブレード25および高圧段コンプレッサブレード26と、高圧段タービンブレード25を収容する高圧段タービンハウジング(第1タービンハウジング)27と、高圧段コンプレッサブレード26を収容する高圧段コンプレッサハウジング(第1コンプレッサハウジング)28と、高圧段タービンハウジング27と高圧段コンプレッサハウジング28とを連結すると共に高圧段シャフト24を回転可能に支持する高圧段ベアリングハウジング29とを備えている。高圧段タービンハウジング27および高圧段コンプレッサハウジング28は、それぞれ中空円盤形状を呈し、それぞれの中心軸が高圧段シャフト24の軸線Cと同軸となるように、筒状の高圧段ベアリングハウジング29の両端に連結されている。
高圧段過給装置21は、高圧段タービンハウジング27内に複数の可変ノズルベーン31を有する可変ノズルターボである。可変ノズルベーン31は、第1アクチュエータ32によって駆動され、高圧段タービンハウジング27内の排気の流路断面積を変化させる。可変ノズルベーン31は、例えば、エンジン回転数が低い場合に流路断面積を絞ることによって過給効率を高め、エンジン回転数が高い場合に流路断面積を大きくすることによって排気圧力を下げ、排気抵抗を低減する。
低圧段過給装置22は、低圧段シャフト33によって同軸かつ一体回転するように連結された低圧段タービンブレード34および低圧段コンプレッサブレード35と、低圧段タービンブレード34を収容する低圧段タービンハウジング(第2タービンハウジング)36と、低圧段コンプレッサブレード35を収容する低圧段コンプレッサハウジング(第2コンプレッサハウジング)37と、低圧段タービンハウジング36と低圧段コンプレッサハウジング37とを連結するとともに低圧段シャフト33を回転可能に支持する低圧段ベアリングハウジング38とを備えている。低圧段タービンハウジング36および低圧段コンプレッサハウジング37は、それぞれ中空円盤形状を呈し、それぞれの中心軸が低圧段シャフト33の軸線Dと同軸となるように、筒状の低圧段ベアリングハウジング38の両端に連結されている。低圧段タービンハウジング36は、低圧段コンプレッサハウジング37に比べて径方向に小さく、容積が小さい。低圧段タービンハウジング36は高圧段タービンハウジング27よりも径方向に大きい。
高圧段タービンハウジング27の外周部には、排気入口となる管状の第1排気通路部材41の下流端が連結されている。高圧段タービンハウジング27の中心部であって、高圧段ベアリングハウジング29側と相反する側には、排気出口となる管状の排気連結通路部材42の上流端が連結されている。排気連結通路部材42の下流端は、低圧段タービンハウジング36の外周部に連結されており、低圧段タービンハウジング36の排気入口通路となる。低圧段タービンハウジング36の中央部であって、低圧段ベアリングハウジング38側と相反する側には、排気出口となる管状の第2排気通路部材43の下流端が連結されている。
また、第1排気通路部材41と排気連結通路部材42とは、高圧段タービンハウジング27を迂回する排気バイパス通路部材44によって連結されている。なお、排気バイパス通路部材44と排気連結通路部材42との連結形態は、様々な形態とすることができる。例えば、排気バイパス通路部材44の下流端を低圧段タービンハウジング36の外周部に連結し、排気バイパス通路部材44に排気連結通路部材42の下流端を連結してもよい。また、排気バイパス通路部材44および排気連結通路部材42を、それぞれ独立した状態で低圧段タービンハウジング36の外周部に個別に連結してもよい。
排気バイパス通路部材44の内部には、排気バイパス弁45が設けられている。排気バイパス弁45は、スイングバルブ(ポペットバルブ)であり、第2アクチュエータ46によって開閉駆動される。
図5に示すように、第1排気通路部材41の上流端は、接続フランジ部47を有する。接続フランジ部47が、排気マニホールド11の下流端にボルト締結されることによって、排気マニホールド11及び第1排気通路部材41の内部に形成された通路が互いに連通している。第2排気通路部材43は、その下流端に接続フランジ部48を有する。接続フランジ部48が、触媒コンバータ13の上流端にボルト締結されることによって、第2排気通路部材43及び触媒コンバータ13の内部に形成された通路が互いに連通している。
また、低圧段タービンハウジング36には、排気連結通路部材42と第2排気通路部材43とを直接に接続し、低圧段タービンハウジング36の内部を迂回するウェイストゲート通路51が形成されており、ウェイストゲート通路51にはウェイストゲートバルブ52が設けられている。ウェイストゲートバルブ52は、ウェイストゲート通路51に流入する排気量を調節し、低圧段タービンハウジング36に流入する排気量を調節する。ウェイストゲートバルブ52は、第3アクチュエータ54によって開閉駆動される。
低圧段コンプレッサハウジング37は、その中央部であって、低圧段ベアリングハウジング38側とは相反する側に吸気入口となる第1吸気通路部材61の下流端が接続され、その外周部に吸気出口となる吸気連結通路部材62の上流端が接続されている。高圧段コンプレッサハウジング28は、その高圧段ベアリングハウジング29側とは相反する中心部に吸気入口となる吸気連結通路部材62の下流端が接続され、その外周部に吸気出口となる第2吸気通路部材63の上流端が接続されている。第1吸気通路部材61の上流側は、エアフィルタの下流側に接続されている。第2吸気通路部材63の下流側は、インタークーラ、吸気マニホールドを順に介してシリンダヘッド7に接続されている。
吸気連結通路部材62と第2吸気通路部材63とは、高圧段コンプレッサハウジング28を迂回する吸気バイパス通路部材64によって互いに接続されている。吸気バイパス通路部材64の内部には、吸気バイパス弁65が設けられている。吸気バイパス弁65は、スイングバルブであり、第4アクチュエータ66によって開閉駆動される。吸気バイパス弁65は、吸気バイパス通路部材64に流入する吸気量を調節し、高圧段コンプレッサハウジング28に流入する吸気量を調節する。
図4に示すように、高圧段過給装置21と低圧段過給装置22とは、高圧段シャフト24の軸線Cと低圧段シャフト33の軸線Dとが互いに平行となり、かつ左右方向に延在するように配置されている。また、高圧段コンプレッサハウジング28に対して高圧段タービンハウジング27が設けられた方向と、低圧段コンプレッサハウジング37に対して低圧段タービンハウジング36が設けられた方向とが同一方向となっている。高圧段過給装置21は、低圧段過給装置22に対して、下方に配置されるとともに、軸線C方向に左方に偏倚して配置されている。また、正面視において、高圧段タービンハウジング27と低圧段コンプレッサハウジング37とは上下に互いに重なり合う部分を有するように配置されている。また、高圧段コンプレッサハウジング28の径が最大となる部分と、低圧段コンプレッサハウジング37の径が最大となる部分とが、軸線C方向に偏倚して互いに干渉しないように、高圧段過給装置21の低圧段過給装置22に対する位置が定められている。また、図5及び図6に示すように、高圧段過給装置21は、低圧段過給装置22に対して、前方に配置されている。詳細には、高圧段シャフト24の軸線Cは、低圧段シャフト33の軸線Dよりも前方に配置されている。これにより、図2に示すように、多段過給装置12は、後傾した内燃機関本体2の前側面に沿うように配置することができ、空隙18内に収まるように配置される。
以上の配置において、高圧段過給装置21と低圧段過給装置22とは、吸気連結通路部材62及び排気連結通路部材42の屈曲が大きくならない範囲で、多段過給装置12全体のサイズをコンパクトにするために互いに近接して配置されている。
可変ノズルベーン31を駆動する第1アクチュエータ32と、排気バイパス弁45を駆動する第2アクチュエータ46と、ウェイストゲートバルブ52を駆動する第3アクチュエータ54と、吸気バイパス弁65を駆動する第4アクチュエータ66とは、それぞれダイヤフラムアクチュエータである。図7は実施形態に係る各アクチュエータの断面図である。図7に示すように、各アクチュエータ32、46、54、66は、内室を有する中空の本体71と、本体71の内室を第1室72及び第2室73に区画するように本体71内に設けられたダイヤフラム74と、一端が本体71内の第1室72に突入してダイヤフラム74に連結され、他端が本体71から突出したロッド(出力部材)75と、第1室72において本体71とダイヤフラム74との間に設けられ、ロッド75がハウジング内に突入する方向にダイヤフラム74を付勢する圧縮コイルばね76とを有している。各アクチュエータ32、46、54、66の構成において、第1アクチュエータ32の構成は符号に添字Aを付し、第2アクチュエータ46の構成は符号に添字Bを付し、第3アクチュエータ54の構成は符号に添字Cを付し、第4アクチュエータ66の構成は符号に添字Dを付す。また、各アクチュエータ32、46、54、66に共通する事項を説明する場合には、添字を省略して説明する。
各アクチュエータ32、46、54、66は、第2室73に圧縮空気が供給されることによって、ダイヤフラム74が圧縮コイルばね76の付勢力に抗して変形し、第2室73の容積が大きくなり、ロッド75の本体71からの突出量が増加する。各ロッド75の先端(外端)は、可変ノズルベーン31、排気バイパス弁45、ウェイストゲートバルブ52、吸気バイパス弁65にリンク機構78を介して接続されている。これにより、各アクチュエータ32、46、54、66に圧縮空気の供給、排出が行われ、ロッド75が進退することによって、可変ノズルベーン31、排気バイパス弁45、ウェイストゲートバルブ52、吸気バイパス弁65が変位(開閉)する。
図4〜図6に示すように、第1アクチュエータ32の本体71Aは、高圧段コンプレッサハウジング28に接合された支持部材81Aに支持されている。第2アクチュエータ46の本体71Bは、高圧段コンプレッサハウジング28に接合された支持部材81Bに支持されている。第4アクチュエータ66の本体71Dは、高圧段コンプレッサハウジング28に接合された支持部材81Dに支持されている。支持部材81A、81B、81Dは、高圧段コンプレッサハウジング28と別部材に形成され、高圧段コンプレッサハウジング28に接合された金属製のブラケットや、高圧段コンプレッサハウジング28と一体に形成された高圧段コンプレッサハウジング28の一部であってよい。第3アクチュエータ54の本体71Cは、低圧段コンプレッサハウジング37に接合された支持部材81Cに支持されている。支持部材81Cは、低圧段コンプレッサハウジング37と別部材に形成され、低圧段コンプレッサハウジング37に接合された金属製のブラケットや、低圧段コンプレッサハウジング37と一体に形成された低圧段コンプレッサハウジング37の一部であってよい。
第2アクチュエータ46の本体71Bは、図4に示すように正面視において、高圧段コンプレッサハウジング28の上方、かつ低圧段コンプレッサハウジング37の左方に配置されている。また、第2アクチュエータ46の本体71Bは、図6に示すように左側面視において、高圧段コンプレッサハウジング28の上方、かつ低圧段コンプレッサハウジング37の前方に配置されている。第3アクチュエータ54の本体71Cは、図4に示すように正面視において、高圧段ベアリングハウジング29の上方、かつ低圧段コンプレッサハウジング37の前方に配置されている。また、第3アクチュエータ54の本体71Cは、図6に示すように左側面視において、高圧段コンプレッサハウジング28の上方、かつ低圧段コンプレッサハウジング37の前方に配置されている。図4及び図6に示すように、第2アクチュエータ46の本体71Bは、第3アクチュエータ54の本体71Cに対して、下方かつ左方かつ前方に配置されている。
第2アクチュエータ46のロッド75Bと、第3アクチュエータ54のロッド75Cとは、互いに略平行になり、それぞれ左右方向に延びている。図4に示す正面視において、第2アクチュエータ46及び第3アクチュエータ54のロッド75B、75Cは、高圧段シャフト24の軸線C及び低圧段シャフト33の軸線Dとの間を、軸線C、Dと略平行に延びている。
本実施形態に係る多段過給装置12は、内燃機関1の低回転時には、排気バイパス弁45、ウェイストゲートバルブ52、吸気バイパス弁65を全閉とし、高圧段タービンハウジング27および低圧段タービンハウジング36に排気を通過させるとともに、低圧段コンプレッサハウジング37および高圧段コンプレッサハウジング28に吸気を通過させる。また、可変ノズルベーン31を絞り、流路断面積を小さくして過給効率を高める。この状態では排気流量が比較的少ないため、高圧段過給装置21が主に作動した状態となる。
そして、内燃機関1の回転数が低回転から増加して中回転となると、可変ノズルベーン31を開き、流路断面積を大きくして排気圧力を下げる。更に、内燃機関1の回転数が増加すると、多段過給装置12は、ウェイストゲートバルブ52、吸気バイパス弁65の閉状態を維持したまま、過給圧が所定値を超えないように排気バイパス弁45の開度を調節し、高圧段タービンハウジング27に流入する排気流量を調節する。この状態では、高圧段過給装置21および低圧段過給装置22がともに作動した状態となる。
さらに、内燃機関1の回転数が中回転から増加して高回転となると、多段過給装置12は、排気バイパス弁45および吸気バイパス弁65を全開とするとともに、過給圧が所定値を超えないようにウェイストゲートバルブ52の開度を調節し、低圧段タービンハウジング36に流入する排気流量を調節する。この状態では、低圧段過給装置22が主に作動した状態となる。以上のようにして、多段過給装置12は、幅広いエンジン回転数帯で所定の過給圧を実現する。
本実施形態では、各アクチュエータ32、46、54、66が支持部材81を介して、高圧段タービンハウジング27又は低圧段タービンハウジング36ではなく、高圧段コンプレッサハウジング28又は低圧段コンプレッサハウジング37に支持されているため、多段過給装置12を流れる排気の影響を受けて各アクチュエータ32、46、54、66が高温になることが抑制される。すなわち、各アクチュエータ32、46、54、66が排気の熱害を受け難くなっている。特に、本実施形態では、各アクチュエータ32、46、54、66がダイヤフラム74を有するため、高温化を抑制することによって、ダイヤフラム74の劣化を抑制することができる。
低圧段過給装置22を高圧段過給装置21に対して上方かつ後方に配置し、低圧段過給装置22の前方かつ高圧段過給装置21の上方の空間に、第2アクチュエータ46及び第3アクチュエータ54を配置したため、多段過給装置12をコンパクトに形成することができる。また、多段過給装置12は、低圧段過給装置22が高圧段過給装置21に対して上方かつ後方に配置されているため、後傾して配置された内燃機関本体2の前側面に沿うことができ、空隙18に収まるように配置される。
また、多段過給装置12は、高圧段コンプレッサハウジング28に対して高圧段タービンハウジング27が設けられた方向と、低圧段コンプレッサハウジング37に対して低圧段タービンハウジング36が設けられた方向とが同一方向となっているため、高圧段タービンハウジング27と低圧段タービンハウジング36とが近接するとともに、高圧段コンプレッサハウジング28と低圧段コンプレッサハウジング37が近接し、排気連結通路部材42および吸気連結通路部材62を短縮することができる。
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、第1排気通路部材41、高圧段タービンハウジング27、排気連結通路部材42、排気バイパス通路部材44、低圧段タービンハウジング36、第2排気通路部材43、ウェイストゲート通路51の少なくとも一部を鋳造によって一体に成形してもよい。また、各アクチュエータ32、46、54、66の本体71は、吸気が通過する、高圧段コンプレッサハウジング28、低圧段コンプレッサハウジング37、第1吸気通路部材61、吸気連結通路部材62、第2吸気通路部材63、及び吸気バイパス通路部材64の少なくとも1つに支持部材81を介して支持されればよい。
1…内燃機関、2…内燃機関本体、11…排気マニホールド、12…多段過給装置、18…空隙、21…高圧段過給装置(第1過給装置)、22…低圧段過給装置(第2過給装置)、27…高圧段タービンハウジング(第1タービンハウジング)、28…高圧段コンプレッサハウジング(第1コンプレッサハウジング)、31…可変ノズルベーン、32…第1アクチュエータ、36…低圧段タービンハウジング(第2タービンハウジング)、37…低圧段コンプレッサハウジング(第2コンプレッサハウジング)、41…第1排気通路部材、42…排気連結通路部材、43…第2排気通路部材、44…排気バイパス通路部材、45…排気バイパス弁、46…第2アクチュエータ、51…ウェイストゲート通路、52…ウェイストゲートバルブ、54…第3アクチュエータ、61…第1吸気通路部材、62…吸気連結通路部材、63…第2吸気通路部材、64…吸気バイパス通路部材、65…吸気バイパス弁、66…第4アクチュエータ、71…本体、72…第1室、73…第2室、74…ダイヤフラム、75…ロッド、78…リンク機構、81…支持部材

Claims (5)

  1. 内燃機関本体の排気通路に接続される第1タービンハウジング及び前記第1タービンハウジングに連結された第1コンプレッサハウジングを備えた第1過給装置と、
    前記第1タービンハウジングに接続される第2タービンハウジング及び前記第2タービンハウジングに連結された第2コンプレッサハウジングを備えた第2過給装置と、
    前記第1タービンハウジングを迂回するように前記排気通路と前記第2タービンハウジングを接続するバイパス通路と、
    前記バイパス通路に設けられた開閉弁と、
    前記開閉弁を駆動する第1のアクチュエータとを有し、
    前記第1のアクチュエータは、前記第1コンプレッサハウジング又は前記第2コンプレッサハウジングに支持された第1の本体と、前記第1の本体に変位可能に支持され、前記開閉弁に連結された第1の出力部材とを有することを特徴とする多段過給装置。
  2. 前記第1のアクチュエータは、前記第1の本体の内室を区画するダイヤフラムを有し、
    前記第1の出力部材は、一端側が前記ダイヤフラムに連結される一方、他端側が前記開閉弁に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の多段過給装置。
  3. 前記第1過給装置は、前記第1タービンハウジング内に変位可能に設けられた可変ノズルベーンと、前記可変ノズルベーンを駆動する第2のアクチュエータとを有し、
    前記第2のアクチュエータは、前記第1コンプレッサハウジング又は前記第2コンプレッサハウジングに支持された第2の本体と、前記本体に変位可能に支持され、前記可変ノズルベーンに連結された第2の出力部材とを有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の多段過給装置。
  4. 前記第2過給装置の回転軸線は、上下方向において前記第1過給装置の回転軸線よりも上方に平行となるように配置され、
    前記出力部材は、上下方向において前記第1過給装置の前記回転軸線と前記第2過給装置の前記回転軸線との間に、前記両回転軸線と平行に延在していることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つの項に記載の多段過給装置。
  5. 請求項4に記載の多段過給装置と内燃機関本体とを備えた内燃機関であって、
    前記内燃機関本体は、排気側が前側、吸気側が後側となり、後傾するように配置され、
    前記第2過給装置は、前記内燃機関本体の前側において、前記第1過給装置よりも上方かつ後方に配置され、
    前記アクチュエータは、前記第1過給装置の上方かつ前記第2過給装置の前方に配置されていることを特徴とする内燃機関。
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