JP2015045003A - インクジェット用インクセット及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】良好な画質を提供するとともに、記録媒体への画像の定着性を向上させるインクジェット用インクセットを提供する。
【解決手段】水分散性ポリイソシアネートと、多価金属塩と、SP値が7.5(cal/cm3)1/2〜23.5(cal/cm3)1/2の溶剤とを含有する前処理剤、及び、ポリオールと、顔料分散体と、水とを含有するインクジェット用水性インク、を有する、インクジェット用インクセットである。
【選択図】なし
【解決手段】水分散性ポリイソシアネートと、多価金属塩と、SP値が7.5(cal/cm3)1/2〜23.5(cal/cm3)1/2の溶剤とを含有する前処理剤、及び、ポリオールと、顔料分散体と、水とを含有するインクジェット用水性インク、を有する、インクジェット用インクセットである。
【選択図】なし
Description
本発明は、インクジェット用インクセット及びインクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録システムは、流動性の高い液体インクを微細なノズルから噴射し、紙等の記録媒体に付着させて印刷を行う印刷システムである。このシステムは、比較的安価な装置で、高解像度、高品位の画像を、高速かつ低騒音で印刷可能、という特徴を有し最近急速に普及している。
インクとしては、安価に高画質の印刷物が得られることから、水性タイプのインクが普及している。水性インクは、水分を含有することにより乾燥性を高めたインクであり、油性インクに比べ普通紙に両面印字しても裏抜け(記録媒体裏面にインクが浸透すること)がしにくく、文字再現性がよいとの特徴がある。この水性インクの色剤には、大きく染料と顔料の2種類あるが、耐光性および耐水性が良好であることから顔料インクが急速に普及しつつある。
紙等の浸透性基材では、浸透剤を含む水性インクを用いると、浸透性基材への印刷後に顔料がインクとともに基材内部まで浸透し基材表面に留まらないため、画像濃度が低下することがある。また、インク中の浸透剤の量を減少させることで、顔料を基材表面に留めることができるが、印刷領域の乾燥に時間がかかることがある。また、多色の印刷では、乾燥に時間が掛かると、色同士が混合しやすくなるという問題がある。
OHTシート等の非浸透性基材では、水性インクを用いると、インクが基材表面に定着しにくく、画像の乾燥性が低下し、画像の滲みが発生することがある。
特許文献1の提案によれば、カラー画像の記録方法において、カラーインクが浸透性を有するとともに塩を含有し、ブラックインクがカラーインクの塩の作用により増粘又は凝集を起こす成分を含有する。これによって、カラーインクが記録紙に浸透し色の混合を防ぎ、ブラックインクはカラーインクの塩の作用によって凝集して記録紙の表面近傍に固定化されカラーインクとの混合を防ぎ、高画質なカラー画像を得ることができることが開示されている。しかし、特許文献1には、耐擦過性、耐水性、耐溶剤性等の定着性強化の効果については開示されていない。
特許文献2の提案によれば、アニオン性基を有する重合体で色材を包含した着色剤を含むインクと、カチオン性基を有する重合体で色材を包含した着色剤を含むインクとを、記録媒体上で接触させて凝集させることで、滲みや色の混合が無く、印刷濃度が高い画像を提供することができる。さらに、インクにポリマー微粒子を添加することで、コート紙等に対しても、定着性及び耐擦過性に優れることが開示されている。しかし、特許文献2では、定着性及び耐擦過性を得るためにインクにポリマー微粒子を添加すると、インクが高粘度になり、インクジェット用インクに適さないことがある。特に、架橋構造を有するポリマー微粒子を使用すると、インクが高粘度になる傾向がある。
本発明の目的としては、良好な画質を提供するとともに、記録媒体への画像の定着性を向上させるインクジェット用インクセット、及びインクジェット記録方法を提供することである。
本発明の一側面としては、水分散性ポリイソシアネートと、多価金属塩と、SP値が7.5(cal/cm3)1/2〜23.5(cal/cm3)1/2の溶剤とを含有する前処理剤、及び、ポリオールと、顔料分散体と、水とを含有するインクジェット用水性インク、を有する、インクジェット用インクセットである。
本発明の他の側面としては、水分散性ポリイソシアネートと、多価金属塩と、SP値が7.5(cal/cm3)1/2〜23.5(cal/cm3)1/2の溶剤とを含有する前処理剤を記録媒体に付着させる工程;及び、ポリオールと、顔料分散体と、水とを含有するインクジェット用水性インクを用いて、インクジェット記録法により前記記録媒体に画像を形成する工程;を含むインクジェット記録方法である。
本発明によれば、良好な画質を提供するとともに、記録媒体への画像の定着性を向上させるインクジェット用インクセット、及びインクジェット記録方法を提供することができる。
以下、本発明に係る実施の形態について説明するが、本実施の形態における例示が本発明を限定することはない。
インクジェット用インクセット(以下、単に「インクセット」と称することがある)は、水分散性ポリイソシアネートと、多価金属塩と、SP値が7.5(cal/cm3)1/2〜23.5(cal/cm3)1/2の溶剤とを含有する前処理剤、及び、ポリオールと、顔料分散体と、水とを含有するインクジェット用水性インク(以下、単に「インク」と称することがある)、を有することを特徴とする。このようなインクジェット用インクセットによれば、良好な画質を提供するとともに、記録媒体への画像の定着性を向上させることができる。
本発明のインクセットは、コピー用紙、コピー用再生紙等の普通紙や、表面処理を行ったコート紙等の紙、布帛、皮革等の浸透性基材、及びOHTシート等のプラスチック製シート等の非浸透性基材に好ましく使用することができる。また、ポリカーボネートやポリイミド等のインク受容層が形成されていない基材では、通常インクが基材上で滲みやすいが、このような基材に対しても好ましく使用することができる。
記録媒体に前処理剤を付着させた後に、インクを用いて印刷することで、前処理剤中の多価金属塩がインク中の顔料を凝集させて、画像の濃度低下や、画像の滲みを防止し、良好な画質を提供することができる。また、前処理剤中の水分散性ポリイソシアネートが、インク中のポリオールと反応し、ウレタン架橋構造を構成することで、記録媒体への画像の定着性を向上させることができる。多価金属塩による顔料の凝集と、ウレタン架橋構造による定着性の向上とを組み合わせることで、画質と定着性とをともに向上させることができる。
浸透性基材では、前処理剤と架橋構造の作用によって、顔料が基材内部にまで浸透することを防止し、顔料が基材の表層に留まるため、画像濃度を高くし、画質を向上させることができる。非浸透性基材では、前処理剤によって顔料が基材表層で凝集するため、顔料の滲みを防止し、画質を向上させることができる。
特に、本発明によれば、インクの粘度を適性に調整しながら、記録媒体上にウレタン架橋構造を有する塗膜を形成することができる。インク中にウレタン架橋構造を有する樹脂を含ませることで、記録媒体上にウレタン架橋構造を形成することも可能であるが、インク中にウレタン架橋構造を有する樹脂を含有させると、インクの粘度が上昇し、インクジェットヘッドからのインクの吐出安定性が低下することがあるため、好ましくない。
本発明の前処理剤は、水分散性ポリイソシアネートと、多価金属塩と、SP値が7.5(cal/cm3)1/2〜23.5(cal/cm3)1/2の溶剤とを含有する。
水分散性ポリイソシアネートは、ポリイソシアネートに水分散性を付与させたものであり、後述するSP値が7.5(cal/cm3)1/2〜23.5(cal/cm3)1/2の溶剤中に分散可能であることが好ましい。また、インクのポリオールと反応させてウレタン架橋構造を形成させるため、ポリオールとの相溶性に優れたものを選択することが好ましい。
ポリイソシアネートは、水と反応すると失活するため、水中に安定に分散することが難しいという問題がある。そこで、ポリイソシアネートの周囲に、内側が疎水性で外側が親水性の層が形成されることで、この層によってポリイソシアネートが水から保護されて、水中でのポリイソシアネートの安定性を維持することができる。
このような水分散性ポリイソシアネートとしては、ポリイソシアネートと、末端がアルコキシ基で封鎖されたポリオキシアルキレン基及びイソシアネート基を含有するビニル系重合体とを含むものを好ましく使用することができる。
上記したポリイソシアネートとしては、例えば、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、エチル(2,6−ジイソシアナート)ヘキサノエート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートといった脂肪族ジイソシアネート;1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、1,8−ジイソシアナート−4−イソシアナートメチルオクタン、2−イソシアナートエチル(2,6−ジイソシアナート)ヘキサノエートといった脂肪族トリイソシアネート;
1,3−または1,4−ビス(イソシアナートメチルシクロヘキサン)、1,3−または1,4−ジイソシアナートシクロヘキサン、3,5,5−トリメチル(3−イソシアナートメチル)シクロヘキシルイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、2,5−または2,6−ジイソシアナートメチルノルボルナンといった脂環族ジイソシアネート;2,5−または2,6−ジイソシアナートメチル−2−イソシネートプロピルノルボルナンといった脂環族トリイソシアネート;m−キシリレンジイソシアネート、α,α,α’α’−テトラメチル−m−キシリレンジイソシアネートといったアラルキレンジイソシアネート;
m−またはp−フェニレンジイソシアネート、トリレン−2,4−または2,6−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、ジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナート−3,3’−ジメチルジフェニル、3−メチル−ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルエーテル−4,4’−ジイソシアネートといった芳香族ジイソシアネート;トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアナートフェニル)チオホスフェートといった芳香族トリイソシアネート;
上記した各種のポリイソシアネートのイソシアネート基どうしを環化二量化して得られるウレトジオン構造を有するポリイソシアネート;上記した各種のポリイソシアネートのイソシアネート基どうしを環化三量化して得られるイソシアヌレート構造を有するポリイソシアネート;上記した各種のポリイソシアネートを水と反応させることにより得られるビュレット構造を有するポリイソシアネート;上記した各種のポリイソシアネートを二酸化炭素と反応させて得られるオキサダイアジントリオン構造を有するポリイソシアネート;アロファネート構造を有するポリイソシアネート等が挙げられる。
また、上記した末端がアルコキシ基で封鎖されたポリオキシアルキレン基及びイソシアネート基を含有するビニル系重合体としては、例えば、アクリル系重合体、フルオロオレフィン系重合体、ビニルエステル系重合体、芳香族ビニル系重合体またはポリオレフィン系重合体に、末端がアルコキシ基で封鎖されたポリオキシアルキレン基及びイソシアネート基を付与したものが挙げられる。
上記した末端がアルコキシ基で封鎖されたポリオキシアルキレン基のポリアルキレン基としては、例えば、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基またはポリオキシブチレン基が挙げられる。また、アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等の低級アルコキシ基が挙げられる。
このような水分散性ポリイソシアネートとしては、例えば、大日本インキ化学工業株式会社製のバーノックDNW−5000、DNW−5100等を好ましく使用することができる。これらの水分散性ポリイソシアネートは、水中で長時間に渡り安定して存在することができるため、前処理剤中に安定して処方することができる。
一方、水分散性ポリイソシアネートの他の例としては、ポリイソシアネートに親水性基を導入したものを使用することができる。ポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のイソシアヌレート体、イソホロンジイソシアネート(IPDI)のイソシアヌレート体、トリレンジイソシアネート(TDI)のイソシアヌレート体等を挙げることができる。親水性基としては、エチレンオキサイド基、プロピレンオキサイド基、ブチレンオキサイド基等を挙げることができる。
このような水分散性ポリイソシアネートとしては、例えば、住化バイエルウレタン株式会社製のバイヒジュール3100、VPLS2306、VPLS2319、VPLS2336、VPLS2150/1、VPLS2150BA等を挙げることができる。
水分散性ポリイソシアネートの含有量は、前処理剤全量に対し、0.5質量%〜3.0質量%が好ましい。この範囲であることで、架橋反応が進行し良好な塗膜を形成するという効果を得ることができる。すなわち、0.5質量%以上であることで、インク中のポリオールと架橋反応し塗膜形成を十分に行うことができる。また、水中でのNCO基(イソシアネート基)の消費を考慮すると、3.0質量%以下とすることが好ましい。
前処理剤中の多価金属塩は、インク中の顔料を凝集させる作用を有する。
多価金属塩は、2価以上の多価金属イオンとアニオンから構成される。2価以上の多価金属イオンとしては、たとえば、Ca2+、Mg2+、Cu2+、Ni2+、Zn2+、Ba2+、Al3+が挙げられる。アニオンとしては、Cl−、NO3 −、CH3COO−、I−、Br−、ClO3 −、SO4 2−が例示できる。塩として具体的には、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、硝酸銅、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アルミニウムなどが挙げられる。これらの金属塩は、単独で使用しても、複数種を混合して用いてもよい。
非浸透性基材を用いる場合は、未反応の多価金属塩が基材上に残留すると、空気中等から水分を吸収して潮解することがある。特に、前処理剤の付着後、インクの塗布前に乾燥工程を設けると、乾燥後に潮解によって基材の吸湿が促進することがある。そのため、非浸透性基材にも対応するために、多価金属塩は潮解性の低いものを好ましく用いることができる。好ましくは、JISによる規定において「潮解性」という表記を含まない多価金属塩が好ましい。このような多価金属塩としては、硫酸アルミニウム(Al2(SO4)3)、硫酸カルシウム(CaSO4)、酢酸マグネシウム四水和物(CH3COO)2Mg・4H2O)等を挙げることができる。
多価金属塩の含有量は、前処理剤全量に対し、0.1質量%以上が好ましく、さらに、0.5質量%以上がより好ましい。この範囲であることで、記録媒体上で顔料の凝集を引き起こすという効果を得ることができる。
溶剤のSP値は、7・5(cal/cm3)1/2〜23.5(cal/cm3)1/2であり、さらに10.0(cal/cm3)1/2〜23.5(cal/cm3)1/2がより好ましく、11.5(cal/cm3)1/2〜23.5(cal/cm3)1/2が一層好ましい。このような溶剤は、水分散性イソシアネートを良好に分散させることができる。
このSP値は、溶解度パラメータであり、分子の凝集エネルギー密度の平方根で定義される。種々の計算方法があるが、ここではFedorの提案した推算法(数1)により計算された値を用いる。
[数1]
δ(SP値)=[ΣEcoh/ΣV]1/2 ・・・(1)
ここで、Ecohは各官能基に固有の定数を示し、Vはモル分子を表す(「SP値基礎・応用と計算方法」、66〜67頁、(株)情報機構、2005年3月31日発行参照)。
[数1]
δ(SP値)=[ΣEcoh/ΣV]1/2 ・・・(1)
ここで、Ecohは各官能基に固有の定数を示し、Vはモル分子を表す(「SP値基礎・応用と計算方法」、66〜67頁、(株)情報機構、2005年3月31日発行参照)。
この溶媒のSP値が7.5(cal/cm3)1/2よりも低いと、インクと前処理剤の相溶性が十分に得られず、ポリイソシアネートとポリオールの反応速度が低下することがあるため好ましくない。
こうした溶解特性を満たす溶剤であって、本発明に好ましく用いられるものとしては、具体的には、次のものが挙げられる(括弧内は上記式(1)から求めたSP値の計算値)。水(23.5(cal/cm3)1/2)、グリセリン(16.5(cal/cm3)1/2)、エチレングリコール(14.2(cal/cm3)1/2)、イソプロパノール(11.5(cal/cm3)1/2)、エチレングリコールモノブチルエーテル(10.8(cal/cm3)1/2)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(7.8(cal/cm3)1/2)。これらの溶剤は、単独で、又は複数種を組み合わせて使用してもよい。
前処理剤には、粘度調整と保湿効果の観点から、水溶性有機溶剤を添加することができる。前処理剤に使用することができる水溶性有機溶剤としては、後述するインクに配合される水溶性有機溶剤と同様である。
さらに前処理剤には、防腐剤、粘度調製剤、酸化防止剤、界面活性剤、浸透剤などの、一般的にインクに配合される添加剤を任意で加えてもよい。
前処理剤の調整方法としては、特に限定されず、各成分を混合して調整することができる。なお、水分散性ポリイソシアネート以外の各成分を含む溶液を予め調整しておき、記録媒体に前処理剤を付着させる直前に、この溶液と水分散性ポリイソシアネートを混合し前処理剤を調整することで、前処理剤中での水分散性ポリイソシアネートの安定性を良好に確保したまま、記録媒体に前処理剤を付着させることができる。
本発明のインクジェット用水性インクは、ポリオールと、顔料分散体と、水とを含有する。
ポリオールは、前処理剤中の水分散性ポリイソシアネートと反応し、ウレタン架橋構造を形成する。
ポリオールとしては、特に限定されず、ポリウレタン樹脂の原材料として通常用いられるものを使用することができる。ポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリアセタールポリオール、ポリアクリレートポリオール、ポリエステルアミドポリオール、ポリチオエーテルポリオール、ポリブタジエン等のポリオレフィンポリオール等を、単独で、又は2種以上を併用することができる。
ポリオールは、水中に均一に分散させるため、エマルション型ポリオールであることが好ましい。エマルション型ポリオールとしては、通常の水溶性界面活性剤にて乳化されているものでも良いし、ポリオールの構造中に親水性の官能基をもち、水中に自己乳化可能なものでも良い。水溶性界面活性剤としては、アニオン系の脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル、スルホコハク酸塩、カチオン系アルキルアミン塩、アルキルベタイン等が挙げられる。親水性の官能基としては、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基などアニオン性基、アミノ基などのカチオン性基、ポリエチレンオキサイドのようなノニオン性基等が挙げられる。
エマルション型ポリオールを含むインクを、前処理剤が付着された記録媒体に印刷する場合では、前処理剤中の水分散性ポリイソシアネートとインク中のエマルション型ポリオールがそれぞれ分散性が良好で均一に分散されるため、両成分の反応性が高まり、記録媒体上にウレタン架橋構造を微細で複雑に形成し、インク塗膜の強度を増加させることができる。
なお、インク中にウレタン架橋構造を有する樹脂を含ませることで、記録媒体にウレタン架橋構造を有する塗膜を形成する場合では、このように架橋構造が微細で複雑に形成されないため、インク塗膜の強度を充分に得られないことがある。また、インク中に配合された樹脂の架橋構造が複雑になると、インクの粘度が上昇し、インクジェットヘッドからのインクの吐出安定性が低下することがある。
エマルション型ポリオールとしては、水中油(O/W)型樹脂エマルションの形態であることが好ましい。ポリオールは、上記した各ポリオールを使用することができる。ポリオールを分散させる分散媒としては水が好ましいが、インクジェット吐出安定性の点から、エマルション状態を破壊しない程度の量の水溶性溶剤を併用しても良い。
このようなエマルション型ポリオールとしては。例えば、大日本インキ化学工業株式会社製バーノックWE300等を好ましく挙げることができる。
ポリオールの含有量は、インク全量に対し、10質量%〜45質量%が好ましく、さらに、25質量%〜35質量%がより好ましい。この範囲であることで、インクジェット記録法により耐擦過性・耐剥離性に優れた画像を形成することができる。10質量%以上であることで、前処理剤中の水分散性ポリイソシアネートとの架橋反応による塗膜形成の効果を十分に得ることができる。45質量%以下であることで、粘度調整の観点から、インクジェット用インクとして適する。
顔料分散体としては、顔料が溶媒中に分散可能なものであって、インク中で顔料が分散状態となるものであればよい。例えば、顔料を顔料分散剤で水中に分散させたもの、自己分散性顔料を水中に分散させたもの、顔料を樹脂で被覆したマイクロカプセル化顔料を水中で分散させたもの等を使用することができる。なお、顔料分散体の溶媒に水を用いる場合には、インク中の水の一部を用いることができる。また、顔料と顔料分散剤の組み合わせや、自己分散性顔料をインクのその他の成分とともに混合することで、インク中で顔料が分散状態となった場合も、インク中に顔料分散体を含むことになる。
顔料としては、たとえば、アゾ系、フタロシアニン系、染料系、縮合多環系、ニトロ系、ニトロソ系等の有機顔料(ブリリアントカーミン6B、レーキレッドC、ウォッチングレッド、ジスアゾイエロー、ハンザイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アルカリブルー、アニリンブラック等);コバルト、鉄、クロム、銅、亜鉛、鉛、チタン、バナジウム、マンガン、ニッケル等の金属類、金属酸化物および硫化物、ならびに黄土、群青、紺青等の無機顔料、ファーネスカーボンブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック類を用いることができる。これらの顔料は、いずれか1種が単独で用いられるほか、2種以上が組み合わせて使用されてもよい。
インクに含まれる顔料(固形分)の配合量は、0.1質量%〜25質量%程度であることが好ましく、1質量%〜20質量%であることがより好ましく、5質量%〜15質量%であることが一層好ましい。
インク中に顔料を安定に分散させるために、高分子分散剤や界面活性剤に代表される公知の顔料分散剤を使用することが好ましい。
高分子分散剤としては、たとえば市販品として、日本ルーブリゾール(株)製のソルスパースシリーズ(ソルスパース20000、27000、41000、41090、43000、44000)、ジョンソンポリマー社製のジョンクリルシリーズ(ジョンクリル57、60、62、63、71、501)、第一工業製薬株式会社製のポリビニルピロリドンK−30、K−90等が挙げられる。
界面活性剤としては、たとえば、花王株式会社製デモールシリーズ(デモールN、RN、NL、RNL、T−45)などのアニオン性界面活性剤、花王株式会社製エマルゲンシリーズ(エマルゲンA−60、A−90、A−500、B−40、L−40、420)などの非イオン性界面活性剤が挙げられる。
多価金属塩を含む前処理剤との相互作用を考慮すると、顔料分散剤はアニオン性であることが好ましい。
これらの顔料分散剤は、複数種を組み合わせて使用することもできる。
これらの顔料分散剤は、複数種を組み合わせて使用することもできる。
顔料分散剤を使用する場合のインク中の配合量は、その種類によって異なり特に限定はされないが、一般に、有効成分(固形分量)の質量比で顔料1に対し、0.005〜0.5の範囲で使用されることが好ましい。
さらに、化学的または物理的処理により顔料の表面に親水性官能基が導入された自己分散性顔料を用いることが好ましい。自己分散性顔料に導入させる親水性官能基としては、イオン性を有するものが好ましく、顔料表面をアニオン性またはカチオン性に帯電させることにより、静電反発力によって顔料粒子を水中に安定に分散させることができる。アニオン性官能基としては、スルホン酸基、カルボキシル基、カルボニル基、ヒドロキシル基、ホスホン酸基等が好ましい。カチオン性官能基としては、第4級アンモニウム基、第4級ホスホニウム基などが好ましい。
これらの親水性官能基は、顔料表面に直接結合させてもよいし、他の原子団を介して結合させてもよい。他の原子団としては、アルキレン基、フェニレン基、ナフチレン基などが挙げられるが、これらに限定されることはない。顔料表面の処理方法としては、ジアゾ化処理、スルホン化処理、次亜塩素酸処理、フミン酸処理、真空プラズマ処理などが挙げられる。
このような自己分散性顔料としては、例えば、キャボット社製CAB−O−JETシリーズ(CAB−O−JET200、300、250C、260M、270C)、オリエント化学工業株式会社製CW−1、CW−2等を好ましく使用することができる。
水は、インク中に、30質量%〜80質量%程度含まれることが好ましく、40質量%〜60質量%であることがより好ましい。水としては、イオン交換水、蒸留水などの純水、または超純水を使用することが好ましい。なお、上記した顔料分散体に溶媒として水が含まれる場合は、顔料分散体中の水はインク中の水の一部に換算して、インクを調整する。
インクには、必要に応じて、水溶性有機溶剤を含ませてもよい。水溶性有機溶剤としては、室温で液体であり、水に溶解可能な有機化合物を用いることができる。たとえば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、2−メチル−2−プロパノール等の低級アルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール等のグリコール類;グリセリン;アセチン類(モノアセチン、ジアセチン、トリアセチン);トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル等のグリコール類の誘導体;トリエタノールアミン、1−メチル−2−ピロリドン、β−チオジグリコール、スルホランを用いることができる。平均分子量200、300、400、600等の平均分子量が190〜630の範囲にあるポリエチレングリコール、平均分子量400等の平均分子量が200〜600の範囲にあるジオール型ポリプロピレングリコール、平均分子量300、700等の平均分子量が250〜800の範囲にあるトリオール型ポリプロピレングリコール、等の低分子量ポリアルキレングリコールを用いることもできる。これらの水溶性有機溶剤は単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
水溶性有機溶剤は、粘度調整と保湿効果の観点から、インク中に1質量%〜80質量%含まれていることが好ましく、10質量%〜60質量%であることがより好ましい。
その他、インクには、上記の成分に加え、任意に、湿潤剤(保湿剤)、表面張力調整剤(浸透剤)、消泡剤、定着剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤等を適宜含有させることができる。
湿潤剤としては、多価アルコール類を使用することができる。
表面張力調整剤として、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、または高分子系、シリコーン系、フッ素系の界面活性剤を使用することができる。
この界面活性剤を配合することにより、インクジェット方式でインクを安定に吐出させることができ、かつ、インクの浸透を適切に制御することができるために好ましい。その添加量は、界面活性剤の種類によっても異なるが、インク中に0.1質量%〜10質量%の範囲であることが好ましい。この範囲を超えて界面活性剤を多く配合すると、インクの表面張力を低下させ、その結果布帛などの被印刷物上でのインクの浸透が速くなりすぎて、隠蔽性や発色性を妨げる恐れがある。
具体的には、アニオン性界面活性剤としては、花王株式会社製エマールシリーズ(エマール0、10、2F、40、20C)、ネオペレックスシリーズ(ネオペレックスGS、G−15、G−25、G−65)、ペレックスシリーズ(ペレックスOT−P、TR、CS、TA、SS−L、SS−H)、デモールシリーズ(デモールN、NL、RN、MS)が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、たとえば、花王株式会社製アセタミンシリーズ(アセタミン24、86)、コータミンシリーズ(コータミン24P、86P、60W、86W)、サニゾールシリーズ(サニゾールC、B−50)が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、エアプロダクツ社製サーフィノールシリーズ(サーフィノール104E、104H、420、440、465、485)などのアセチレングリコール系界面活性剤や、花王株式会社製エマルゲンシリーズ(エマルゲン102KG、103、104P、105、106、108、120、147、150、220、350、404、420、705、707、709、1108、4085、2025G)などのポリオキシエチレンアルキルエーテル系界面活性剤が挙げられる。
両性界面活性剤としては、花王株式会社製アンヒトールシリーズ(アンヒトール20BS、24B、86B、20YB、20N)などが挙げられる。
インクの粘度やpHを調整するために、インクに電解質を配合することもできる。電解質としては、たとえば、硫酸ナトリウム、リン酸水素カリウム、クエン酸ナトリウム、酒石酸カリウム、ホウ酸ナトリウムが挙げられ、2種以上を併用してもよい。硫酸、硝酸、酢酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、トリエタノールアミン等も、インクの増粘助剤やpH調整剤として用いることができる。
酸化防止剤を配合することにより、インク成分の酸化を防止し、インクの保存安定性を向上させることができる。酸化防止剤としては、たとえば、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ナトリウム、イソアスコルビン酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜二チオン酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウムを用いることができる。
防腐剤を配合することにより、インクの腐敗を防止して保存安定性を向上させることができる。防腐剤としては、たとえば、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン等のイソチアゾロン系防腐剤;ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン等のトリアジン系防腐剤;2−ピリジンチオールナトリウム−1−オキシド、8−オキシキノリン等のピリジン・キノリン系防腐剤;ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム等のジチオカルバメート系防腐剤;2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール、1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン等の有機臭素系防腐剤;p−ヒドロキシ安息香酸メチル、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、サリチル酸を用いることができる。
インクの粘度は、吐出ヘッドのノズル径や吐出環境等によってその適性範囲は異なるが、一般に、23℃において1〜30mPa・sであることが好ましく、5〜15mPa・sであることがより好ましく、インクジェット記録装置用として適している。ここで粘度は、25℃において0.1Pa/sの速度で剪断応力を0Paから増加させたときの10Paにおける値を表す。
インクの調整方法は、特に限定されないが、各成分を適宜混合することで所望のインクを得ることができる。例えば、水に適宜水溶性有機溶剤や浸透剤を添加した溶液にポリオールを分散させ、これに顔料分散体を混合することで得ることができる。
前処理剤中の水分散性ポリイソシアネートとインク中のポリオールの反応を促進させるために、記録媒体上での水分散性ポリイソシアネートのNCO基とポリオールのOH基とを、NCO基:OH基=0.15:1.0〜1.2:1.0の当量比の範囲にすることが望ましい。このモル比が0.15:1.0以上であることで、架橋反応によって塗膜を形成する効果を十分に得ることができる。また、水中でのNCO基の消費を考慮すると、1.2:1.0以下で調整することが望ましい。
記録媒体上で水分散性ポリイソシアネートのNCO基とポリオールのOH基とを上記モル比に調整するためには、前処理剤中の水分散性ポリイソシアネートの含有量及びインク中のポリオールの含有量をそれぞれ上述した範囲とするとよい。
また、前処理剤中の水分散性ポリイソシアネートとインク中のポリオールの反応を促進させるために、触媒を前処理剤またはインクに添加してもよい。触媒としては、例えば、トリエチレンジアミンやN−エチルモルホリンなどの3級アミンを使用することができる。触媒の含有量は、前処理剤またはインク全量に対して、0.005質量%〜0.2質量%であることが好ましい。
本発明のインクジェット記録方法は、上記前処理剤を記録媒体に付着させる工程と、上記インクジェット用水性インクを用いて、インクジェット記録法により記録媒体に画像を形成する工程と、を含む。ここで、記録媒体としては、上述した浸透性基材及び非浸透性基材のいずれも用いることができる。
記録媒体への前処理剤の付着方法は、特に限定されず、たとえば、インクジェット記録装置を用いてもよいし、ローラーやスプレーなどで必要量を塗布するようにしてもよい。その付着場所は、記録媒体全面でもよいし、画像形成部のみに選択的に付着させてもよい。あるいは、ベタ画像部分など、単位面積当たりある一定以上のインクが付着する箇所にのみ前処理剤を塗布することもできる。
前処理剤は乾燥速度が速いため、特に乾燥工程を設ける必要はなく、続いて画像形成工程を行なうことができる。
画像形成は、インクジェット記録法により行なわれる。インクジェットプリンターは、ピエゾ方式、静電方式、サーマル方式など、いずれの方式のものであってもよく、デジタル信号に基づいてインクジェットヘッドからインクを吐出させ、吐出されたインク液滴を記録媒体に付着させるようにする。
得られた印刷物は、架橋反応を促進させるために、熱処理を行うことが好ましい。熱処理は、25℃〜120℃の温度で、10分〜60分の時間で行うことが好ましい。例えば、100℃、30分で熱処理を行ってもよい。
前処理剤中の水分散性ポリイソシアネートとインク中のポリオールとは、水系溶剤中に分散しているため、架橋反応が促進される。そのため、比較的短時間及び低温での熱処理によっても、充分な架橋構造を得ることができる。そして、短時間及び低温の熱処理のため、耐熱性の低い記録媒体にも使用することができる。
記録媒体に非浸透性基材を用いる場合では、非浸透性基材に前処理剤をより強固に付着させるために、事前に非浸透性基材にコロナ処理を行ってもよい。コロナ処理は、基材の表面張力が53mN/m以下(測定法JIS K6768)となるように行うことが好まし。コロナ処理を行うことで、非浸透性基材の表面に水酸基が増加する。水酸基はイソシアネート基の反応基であるため、前処理剤中の水分散性ポリイソシアネートが非浸透性基材表面の水酸基と反応し、非浸透性基材と前処理剤との付着をより強固なものとすることができる。
以上のインクジェット記録方法によれば、前処理剤中の多価金属塩がインク中の顔料を凝集させることで、浸透性基材では基材への顔料の浸透を抑制して画像濃度を高くすることができ、非浸透性基材では基材表面での顔料の広がりを抑制して画像の滲みを防止することができ、画像性を向上させることができる。また、前処理剤中の水分散性ポリイソシアネートとインク中のポリオールとの反応によりウレタン架橋構造が形成され、記録媒体上に強固なインク膜を形成し、定着性を向上させることができる。さらに、本発明のインクセットは、ラインヘッド方式のインクジェットプリンターに好ましく使用することができる。
以下、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例及び比較例>
表1に示した組成で前処理剤を調整した。詳しくは、水または溶剤に浸透剤を添加した溶液に、多価金属塩を添加した。次に、この溶液に反応剤(水分散性ポリイソシアネート)を少しずつ添加し、分散させた。
表1に示した組成で前処理剤を調整した。詳しくは、水または溶剤に浸透剤を添加した溶液に、多価金属塩を添加した。次に、この溶液に反応剤(水分散性ポリイソシアネート)を少しずつ添加し、分散させた。
表2に示した組成でインクを調整した。詳しくは、水、水溶性有機溶剤、及び浸透剤を混合した溶液に、反応剤(エマルション型ポリオール)を少しずつ添加し、分散させた。次に、この溶液を、自己分散顔料分散体に少しずつ添加した。
使用した成分は以下のとおりである。
多価金属塩「Al2(SO4)3」(和光純薬工業株式会社製)
多価金属塩「CaCl2」(和光純薬工業株式会社製)
多価金属塩「BaSO4」(和光純薬工業株式会社製)
反応剤「バーノックDNW−5000」(水分散性ポリイソシアネート、NCO基13〜14wt%、大日本インキ化学工業株式会社製)
浸透剤「サーフィノール465」(アセチレングリコールエチレンオキサイド、エア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ社製)
溶剤「EGmBE」(エチレングリコールモノブチルエーテル、和光純薬工業株式会社製)
自己分散顔料分散体「COJ260M」(カーボンブラック、固形分10%、キャボット社製)
反応剤「バーノックWE300」(エマルション型ポリオール、水酸基80mgKOH/g、大日本インキ化学工業株式会社製)
水溶性溶剤「1,3−プロパンジオール」(シェルケミカルズジャパン株式会社製)
多価金属塩「Al2(SO4)3」(和光純薬工業株式会社製)
多価金属塩「CaCl2」(和光純薬工業株式会社製)
多価金属塩「BaSO4」(和光純薬工業株式会社製)
反応剤「バーノックDNW−5000」(水分散性ポリイソシアネート、NCO基13〜14wt%、大日本インキ化学工業株式会社製)
浸透剤「サーフィノール465」(アセチレングリコールエチレンオキサイド、エア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ社製)
溶剤「EGmBE」(エチレングリコールモノブチルエーテル、和光純薬工業株式会社製)
自己分散顔料分散体「COJ260M」(カーボンブラック、固形分10%、キャボット社製)
反応剤「バーノックWE300」(エマルション型ポリオール、水酸基80mgKOH/g、大日本インキ化学工業株式会社製)
水溶性溶剤「1,3−プロパンジオール」(シェルケミカルズジャパン株式会社製)
得られた前処理剤およびインクを使用して、表3及び表4に示す組み合わせで用紙の前処理および印刷を行なった。前処理は、エアブラシを用いて行い、用紙の単位面積あたり1.7mg/cm2となる量で、用紙表面全体に前処理剤を付着させた。
引き続き、エアブラシを用いて、用紙の単位面積あたり7.3mg/cm2となる量で、用紙表面にベタ画像を印刷した。
用紙は、表3に示す実施例1〜3では浸透性基材として普通紙(理想用紙薄口(A4サイズ)、理想科学工業株式会社製)を使用し、表4に示す実施例4及び5では非浸透性基材としてポリエステルフィルム(♯25−S10、東レ株式会社製)を使用した。また、表4に示す実施例6では、非浸透性基材としてコロナ放電処理がされ、基材の表面張力が53mN/m以下である用紙(♯25−S105、東レ株式会社製)を使用した。
次に、前処理剤とインクで処理した用紙を100℃、30分間、恒温乾燥機内で放置することで熱処理を行った。
得られた印刷物について評価を行った。浸透性基材については、耐擦過性(乾)及び画像性(濃度)の評価を行い、結果を表3に示す。非浸透性基材については、耐擦過性(乾)・(湿)、画像剥離、及び画像性(滲み)の評価を行い、結果を表4に示す。
(耐擦過性(乾))
印刷物の画像形成面をクロックメーターで10往復擦り、画像の擦れを次の基準で評価した。○:ほとんど擦れがない、△:剥がれ又は擦れが若干ある、×:画像領域の9割以上が擦れる。
印刷物の画像形成面をクロックメーターで10往復擦り、画像の擦れを次の基準で評価した。○:ほとんど擦れがない、△:剥がれ又は擦れが若干ある、×:画像領域の9割以上が擦れる。
(耐擦過性(湿))
印刷物の画像形成面を水で湿らせたキムワイプ(登録商標、日本製紙クレシア株式会社製)で10往復擦り、画像の擦れを次の基準で評価した。○:ほとんど擦れがない、△:剥がれ又は擦れが若干ある、×:画像領域の9割以上が擦れる。
印刷物の画像形成面を水で湿らせたキムワイプ(登録商標、日本製紙クレシア株式会社製)で10往復擦り、画像の擦れを次の基準で評価した。○:ほとんど擦れがない、△:剥がれ又は擦れが若干ある、×:画像領域の9割以上が擦れる。
(耐剥離性)
耐剥離性はJIS K5600 5−6に従って評価した。詳しくは、印刷物の画像形成面に碁盤目状にカッターで傷をつけてから、その画像形成面にセロハンテープを貼り付け、剥離角度45度でセロハンテープを剥離し、画像の剥離を次の基準で評価した。○:画像の剥離が全くない、△:画像の半分が剥離する、×:画像の9割以上が剥離する。
耐剥離性はJIS K5600 5−6に従って評価した。詳しくは、印刷物の画像形成面に碁盤目状にカッターで傷をつけてから、その画像形成面にセロハンテープを貼り付け、剥離角度45度でセロハンテープを剥離し、画像の剥離を次の基準で評価した。○:画像の剥離が全くない、△:画像の半分が剥離する、×:画像の9割以上が剥離する。
(画像性(濃度))
印刷物の画像形成面のOD値をマクベス社製光学濃度計RD920で測定し、画像の濃度を次の基準で評価した。○:1.50以上、△:1.30以上1.50未満、×:1.30未満。
印刷物の画像形成面のOD値をマクベス社製光学濃度計RD920で測定し、画像の濃度を次の基準で評価した。○:1.50以上、△:1.30以上1.50未満、×:1.30未満。
(画像性(滲み))
印刷物の画像形成面の画像の滲みを目視で観察し、次の基準で評価した。◎:印字部の画像が広がることがなく輪郭部分が鮮明、○:印字部の画像が多少広がっているところがある、×:印字部の輪郭がわからないほど画像が広がっている。
印刷物の画像形成面の画像の滲みを目視で観察し、次の基準で評価した。◎:印字部の画像が広がることがなく輪郭部分が鮮明、○:印字部の画像が多少広がっているところがある、×:印字部の輪郭がわからないほど画像が広がっている。
表3及び表4に示すように、上記実施例は、各評価結果が良好であり、画像の定着性及び画像性が良好であることがわかった。
これに対し、比較例1及び4は前処理剤を用いないものであり、比較例2及び5は多価金属塩を用いないものであり、比較例3及び6は反応剤を用いないものであり、各実施例に比べて、画像の定着性及び画像性が良好ではなかった。
なお、比較例2及び5は、多価金属塩を用いないものであり、反応剤を用いているが、用紙上に顔料が安定に付着した状態を維持しにくく、用紙への画像の定着性が低下したと考えられる。比較例3及び6は、反応剤を用いないものであり、多価金属塩を用いているが、インク塗膜を安定に維持しにくく、時間経過に伴って画質が低下したと考えられる。
表2に示すインク1及び2の粘度を測定したところ、それぞれ6.04mPa・s、3.27mPa・sであった。粘度の測定は、汎用型応力制御レオメータ(AR−G2、ディー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)を用いて、測定条件25℃において0.1Pa/sの速度で剪断応力を0Paから10Paまで増加させることによって行った。これより、各実施例に使用したインク1の粘度は適性であり、インクジェット用水性インクとして使用可能であることがわかった。
Claims (6)
- 水分散性ポリイソシアネートと、多価金属塩と、SP値が7.5(cal/cm3)1/2〜23.5(cal/cm3)1/2の溶剤とを含有する前処理剤、及び、
ポリオールと、顔料分散体と、水とを含有するインクジェット用水性インク、
を有する、インクジェット用インクセット。 - 前記水分散性ポリイソシアネートは、
ポリイソシアネートと、
末端がアルコキシ基で封鎖されたポリオキシアルキレン基及びイソシアネート基を含有するビニル系重合体とを含む、請求項1に記載されたインクジェット用インクセット。 - 前記ポリオールがエマルション型ポリオールである、請求項1又は2に記載されたインクジェット用インクセット。
- 水分散性ポリイソシアネートと、多価金属塩と、SP値が7.5(cal/cm3)1/2〜23.5(cal/cm3)1/2の溶剤とを含有する前処理剤を記録媒体に付着させる工程;及び、
ポリオールと、顔料分散体と、水とを含有するインクジェット用水性インクを用いて、インクジェット記録法により前記記録媒体に画像を形成する工程;
を含むインクジェット記録方法。 - 前記水分散性ポリイソシアネートは、
ポリイソシアネートと、
末端がアルコキシ基で封鎖されたポリオキシアルキレン基及びイソシアネート基を含有するビニル系重合体とを含む、請求項4に記載されたインクジェット記録方法。 - 前記ポリオールがエマルション型ポリオールである、請求項4又は5に記載されたインクジェット記録方法。
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