JP2015044325A - 加飾成形品及び加飾成形品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、スプレー塗布等の塗装法を用いた場合、塗装場所を確保しにくく、塗装時の経済性が悪いという問題がある。また、スプレー塗装によって成形品を加飾する場合、複数の塗膜を形成することとなるため、工程管理等が複雑化する。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[2]前記強化繊維シートは、無機繊維を含み、前記不織布シートに含まれる熱可塑性スーパーエンプラ繊維の繊維径は40μm以下であり、かつ前記熱可塑性スーパーエンプラ繊維の繊維径は前記無機繊維の繊維径の5倍以下であることを特徴とする[1]に記載の加飾成形品。
[3]前記繊維強化プラスチック成形体の厚みは0.05〜2mmであることを特徴とする[1]又は[2]に記載の加飾成形品。
[4]前記繊維強化プラスチック成形体用シートのJAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2に規定される透気度が250秒以下であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載の加飾成形品。
[5]前記繊維強化プラスチック成形体は、前記強化繊維シートの両面に前記不織布シートを貼合した繊維強化プラスチック成形体用シートを加熱加圧成形することにより形成されたものであることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか1項に記載の加飾成形品。
[6]前記バインダー成分は前記繊維強化プラスチック成形体の全質量に対して0.1〜10質量%となるように含有されていることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか1項に記載の加飾成形品。
[7]前記バインダー成分は前記熱可塑性スーパーエンプラ繊維と加熱溶融状態で相溶することを特徴とする[1]〜[6]のいずれか1項に記載の加飾成形品。
[8]前記バインダー成分は、メチル(メタ)アクリレート含有モノマー由来の繰り返し単位及びエチル(メタ)アクリレート含有モノマー由来の繰り返し単位のうち少なくとも一方を含む共重合体を含有することを特徴とする[1]〜[7]のいずれか1項に記載の加飾成形品。
[9]前記バインダー成分は、前記熱可塑性スーパーエンプラ繊維のガラス転移温度よりも低い融点を有するバインダー繊維を含有することを特徴とする[1]〜[8]のいずれか1項に記載の加飾成形品。
[10]前記バインダー繊維は、ポリエチレンテレフタレート又は変性ポリエチレンテレフタレートを含むことを特徴とする[9]に記載の加飾成形品。
[11]前記熱可塑性スーパーエンプラ繊維及び前記バインダー繊維は、チョップドストランドであることを特徴とする[9]又は[10]に記載の加飾成形品。
[12]前記不織布シートは表層領域と前記表層領域に挟まれた中間領域を有し、前記表層領域に含有されているバインダー成分は、前記中間領域に含有されているバインダー成分より多いことを特徴とする[1]〜[11]のいずれか1項に記載の加飾成形品。
[13]前記熱可塑性スーパーエンプラ繊維はポリエーテルイミド繊維又はポリカーボネート繊維から選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴とする[1]〜[12]のいずれか1項に記載の加飾成形品。
[14]前記熱可塑性スーパーエンプラ繊維はポリエーテルイミド繊維であることを特徴とする[1]〜[13]のいずれか1項に記載の加飾成形品。
[15]前記加飾フィルムは、貼合手段を介して前記繊維強化プラスチック成形体に積層されていることを特徴とする[1]〜[14]のいずれか1項に記載の加飾成形品。
[16]繊維強化プラスチック成形体と、前記繊維強化プラスチック成形体の少なくとも一方の面に加飾フィルムを積層した加飾成形品の製造方法であって、強化繊維シートと不織布シートを少なくとも1枚ずつ貼合した繊維強化プラスチック成形体用シートを加熱加圧成形し、繊維強化プラスチック成形体を形成する工程と、前記繊維強化プラスチック成形体の少なくとも一方の面に加飾フィルムを貼合する工程を含み、前記加飾フィルムを貼合する工程では、真空成形法、真空圧空成形法及び熱転写法から選択される方法により加飾フィルムが貼合され、前記不織布シートは、熱可塑性スーパーエンプラ繊維とバインダー成分を含み、前記熱可塑性スーパーエンプラ繊維の限界酸素指数は24以上であることを特徴とする加飾成形品の製造方法。
[17]前記繊維強化プラスチック成形体を形成する工程の前に、さらに不織布シートを形成する工程を含み、前記不織布シートを形成する工程は、乾式不織布法又は湿式不織布法のいずれかの方法で不織布シートを形成する工程と、前記バインダー成分を含む溶液又は前記バインダー成分を含むエマルジョンを前記不織布シートに内添、塗布又は含浸させ、加熱乾燥させる工程を含むことを特徴とする[16]に記載の加飾成形品の製造方法。
[18]前記繊維強化プラスチック成形体を形成する工程では、前記熱可塑性スーパーエンプラ繊維のガラス転移温度以上の温度で加熱加圧成形されることを特徴とする[16]又は[17]に記載の加飾成形品の製造方法。
[19]前記繊維強化プラスチック成形体を形成する工程では、前記繊維強化プラスチック成形体用シートを150〜600℃で加熱加圧することを特徴とする[16]〜[18]のいずれか1項に記載の加飾成形品の製造方法。
このように、本発明の加飾成形品は、難燃性が高く、軽量で高強度であるため、電子機器の筐体の他に、スポーツ用品やレジャー用品、航空機用材料、内装材等の様々な分野で好ましく用いられる。
本発明は、繊維強化プラスチック成形体と、繊維強化プラスチック成形体の少なくとも一方の面に加飾フィルムを積層した加飾成形品に関する。ここで、繊維強化プラスチック成形体は、強化繊維シートと不織布シートを少なくとも1枚ずつ貼合した繊維強化プラスチック成形体用シートを加熱加圧成形したプラスチック成形体であり、不織布シートは、熱可塑性スーパーエンプラ繊維とバインダー成分を含む。さらに、熱可塑性スーパーエンプラ繊維の限界酸素指数は24以上である。本発明では、加飾成形品の繊維強化プラスチック成形体を上記のような構成とすることにより、軽量であり、かつ高強度の加飾成形品を得ることに成功した。さらに、本発明の加飾成形品は、難燃性が高く、意匠性に優れているという利点を有している。
プラスチック加飾技術は、非常に広範囲にわたり、多くの技術があるが、フィルム貼合・転写加飾技術は現在最も活発な動きのある加飾技術である。従来、家電、OA機器、携帯電話等に使用されているプラスチックの筐体の表面加飾には、二次加飾の印刷、塗装、蒸着、メッキ等が用いられてきた。しかし、近年は、製品形状が複雑化し、機能性付与が求められ、さらに環境負荷の問題、コスト面等から、フィルムを繊維強化プラスチック成形体等の成形品表面に貼合させる技術が用いられるようになっている。具体的には、印刷、塗装、真空蒸着、着色等で加飾したフィルムまたはシート(加飾フィルム)を用いて、フィルムを繊維強化プラスチック成形体等の成形品表面に貼合ことが行われている。また、印刷、塗装、真空蒸着等の加飾面を転写させる加飾技術であるフィルム貼合・転写加飾技術も多く用いられるようになっている。
成形品に後から貼合、転写させる二次加飾としては、オーバーレイ成形、ホットスタンプ、高圧法、水圧転写法がある。従来はインモールド成形が主であったが、新規真空・圧着法(オーバーレイ成形)として布施真空社がTOM(Three dimension Overlay Method)工法を開発して形状適応性がさらに広がっている。
これらの中でもTOM成形は、複雑な形状への加飾加工が可能なこと、エッジ部へのフィルム巻き込みが可能なため、成形した繊維強化プラスチックのエッジ部処理が不要となるため、好ましく使用される。
ここで、TOM成形とは、加熱されて軟らかくなったフィルムを大気圧力・圧縮空気圧力の力で型に押し付けて密着させて接着させる方法である。水圧転写とは、水溶性フィルムを水槽に浮かべ、基材をフィルムの上から水槽に沈め、水圧で転写して取り出す方法である。なおこの場合は、取り出し後転写部の保護・光沢仕上げのためコーティング加工することが好ましい。
本発明の繊維強化プラスチック成形体は、強化繊維シートと不織布シートを少なくとも1枚ずつ貼合した繊維強化プラスチック成形体用シートを加熱加圧成形して形成したプラスチック成形体である。強化繊維シートと不織布シートは1枚ずつ貼合され加熱加圧成形されてもよいし、所望の厚さとなるように積層して加熱加圧成形されてもよい。
加熱加圧工程では、強化繊維シートと不織布シートを少なくとも1枚ずつ貼合した繊維強化プラスチック成形体用シートの表面温度がTg〜Tg+100℃となるように加熱することが好ましい。ここで、Tgは、熱可塑性樹脂のガラス転移温度を表す。なお、加熱温度は、熱可塑性樹脂繊維が流動する温度であって強化繊維は溶融しない温度帯であることが好ましい。
繊維強化プラスチック成形体用シートは、強化繊維シートと不織布シートを少なくとも1枚ずつ貼合したものである。強化繊維シートと不織布シートは1枚ずつ貼合してもよいが、所望の厚さとなるように複数枚を貼合してもよい。強化繊維シートと不織布シートを各々複数枚ずつ貼合する方法としては、強化繊維シートと不織布シートを交互に重ね合わせ、加熱加圧ロール等によって、不織布シート中の熱可塑性樹脂繊維が僅かに溶融する温度・圧力で圧着する方法が挙げられる。なお、貼合方法は、この方法に限定されるものではない。
強化繊維シートを複数枚重ね合わせ、その上下面に不織布シートを配することもできるが、強化繊維シートの層は薄いほうが加熱加圧成形の際に熱可塑性樹脂を短時間で強化繊維シート内に溶融浸透させることができる。このため、強化繊維シートを複数枚積層する場合は、不織布シートと交互に積層することが好ましい。
本発明で用いる繊維強化プラスチック成形体は、不織布シートと強化繊維シートを貼合した繊維強化プラスチック成形体用シートを加熱加圧工程で熱プレスすることにより成形することができる。本発明では、繊維強化プラスチック成形体用シートの透気度を上記範囲内とすることにより、加熱加圧工程における成形速度を高めることができ、生産効率を高めることができる。
本発明の繊維強化プラスチック成形体用シートに使用される強化繊維シートとしては、一般的な繊維強化プラスチックに使用される連続繊維を一方向に引き揃えたシート、或いはクロス状に織った織布を使用することができる。強化繊維シートの繊維の配向方向に沿って、繊維の強度は強くなる傾向があるため、強化繊維の配向方向を調節することによって、繊維強化プラスチック成形体の強度を調節することができる。なお、クロス状の繊維を織った強化繊維シートでは、クロス模様の縦横方向に強度を高めることができる。
強化繊維シートに使用する強化繊維として、炭素繊維等の無機繊維を使用した場合、不織布シートに含まれる熱可塑性スーパーエンプラ繊維の溶融温度で加熱加圧処理することにより曲げ強度・引張強度・弾性率が高い繊維強化プラスチック成形体を得ることができる。
強化繊維シートに使用する強化繊維として、アラミド繊維等の高耐熱性・高強度の有機繊維を使用した場合は、高度な平滑性の要求される精密な研磨用の機器に適する繊維強化プラスチック成形体を得ることができる。アラミド等の有機繊維を強化繊維として含有する繊維強化プラスチック成形体用シートから形成される繊維強化プラスチック成形体は、一般的に強化繊維として無機繊維を使用した繊維強化プラスチック成形体用シートから形成される繊維強化プラスチック体よりも耐摩耗性に優れる。また擦過等によって繊維強化プラスチック体の一部が削り取られたとしても、その削り粕が無機繊維よりも柔らかいので、被研磨物を傷つけるおそれが少ない。
本発明の繊維強化プラスチック成形体用シートに使用される不織布シートは、熱可塑性スーパーエンプラ繊維とバインダー成分を含有する不織布よりなる。熱可塑性スーパーエンプラ繊維は熱成形により溶融してマトリックス樹脂となる。
熱可塑性スーパーエンプラ繊維は、スーパーエンプラ(スーパーエンジニアリングプラスチック)と称される熱可塑性樹脂の繊維であり、耐熱性で難燃性の熱可塑性樹脂を繊維化したものである。熱可塑性スーパーエンプラ繊維としては、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)等を例示することができる。ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂は耐薬品性が高く、耐熱性が高いため、耐薬品性と高温時の強度に優れる繊維強化プラスチックを得ることができる。ポリエーテルケトンケトン(PEKK)樹脂を用いた場合は、他のスーパーエンプラよりも耐薬品性と高温時の強度に特に優れる繊維強化プラスチックを得ることができる。また、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂は炭素繊維やガラス繊維との密着性が優れ、また限界酸素指数が樹脂ブロックの状態で47と非常に高いため、強度と難燃性に優れる繊維強化プラスチックを得ることができる。
尚、通常熱可塑性スーパーエンプラ繊維には分類されないが、ポリカーボネート(PC)も難燃性に優れているため、本発明には含むものとする。本発明の熱可塑性スーパーエンプラ繊維は、2種類以上用いることもできる。また、本発明の効果を損ねない範囲で、また、ポリアミド、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、フェノール樹脂、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレン、エポキシ樹脂等の熱可塑性スーパーエンプラ繊維以外も添加することができる。
本発明では、熱可塑性スーパーエンプラ繊維が加熱加圧成形前には、繊維形態を維持しているため、繊維強化プラスチック成形体を形成する前は、シート自体がしなやかでドレープ性がある。このため、繊維強化プラスチック成形体用シートを巻き取りの形態で保管・輸送することが可能であり、ハンドリング性に優れるという特徴を有する。
本発明において、不織布シートに使用するバインダーとしては、一般的に不織布製造に使用されるアクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、熱可塑性樹脂、ウレタン樹脂、PVA樹脂等が使用できる。
なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方を含むことを意味し、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」の両方を含むことを意味する。
共重合ポリエチレンテレフタレートは、融点が140℃以下のものが好ましく、120℃以下ものがより好ましい。また、特公平1−30926号公報に記載のような変性ポリエステル樹脂を使用してもよい。変性ポリエステル樹脂の具体例として、特に、ユニチカ社製商品名「メルティ4000」(繊維全てが共重合ポリエチレンテレフタレートである繊維)が好ましく挙げられる。また、上記芯鞘構造のバインダー繊維としては、ユニチカ社製商品名「メルティ4080」や、クラレ社製商品名「N−720」等が好適に使用できる。
ここで、不織布シートの表層領域は、不織布シートを厚さ方向(Z軸方向)に略3分割した際に、外側に位置する2つの領域である。なお、中間領域はこれらの2つの領域に挟まれた間の領域をいう。表層領域に含有されているバインダー成分は、中間領域に含有されているバインダー成分より多いことが好ましく、表層領域に含有されているバインダー成分は、中間領域に含有されているバインダー成分の1.1〜1.5倍であることがより好ましい。
このような方法を採用する場合、湿式不織布法でウエットウエブを形成後、バインダーの水溶液、若しくはエマルジョンをウエブにディッピング若しくはスプレー等の方法で付与し、乾燥する方法が好ましい。この場合、ウエブ水分はバインダーの水溶液、若しくはエマルジョンのバインダー液濃度や、湿式不織布製造工程におけるウエットサクション、ドライサクションによる水分の吸引力の調整で行うことが可能である。
一方、あまりに強度縦横比が強いと横強度が弱くなり、ハンドリング性に劣る。この点を考慮すると、好ましい強度縦横比は15以下、より好ましくは10以下である。
本発明では、熱可塑性スーパーエンプラ繊維とバインダー繊維は、一定の長さにカットされたチョップドストランドであることが好ましい。このように、熱可塑性スーパーエンプラ繊維とバインダー繊維のチョップドストランドを含有する不織布シートとする場合、不織布シート中で熱可塑性スーパーエンプラ繊維とバインダー繊維のチョップドストランドが均一に混合している状態であることが望ましい。
加飾フィルムは上述した繊維強化プラスチック成形体に貼り合わされるフィルムである。加飾フィルムの材質としては、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、ポリプロピレン、ABS樹脂、AS樹脂、ノルボルネン系樹脂等が挙げられる。
中でも、ポリ塩化ビニル樹脂は、難燃性材料として好ましく使用される。
本発明の加飾成形品の製造工程は、強化繊維シートと不織布シートを少なくとも1枚ずつ貼合した繊維強化プラスチック成形体用シートを加熱加圧成形し繊維強化プラスチック成形体を形成する工程を含む。さらに、繊維強化プラスチック成形体の少なくとも一方の面に加飾フィルムを貼合する工程を含み、加飾フィルムを貼合する工程では、真空成形法、真空圧空成形法及び熱転写法から選択される方法により加飾フィルムが貼合されることが好ましい。なお、不織布シートは、熱可塑性スーパーエンプラ繊維とバインダー成分を含み、熱可塑性スーパーエンプラ繊維の限界酸素指数は24以上である。
また、上記において、一方の密閉空間側を真空化しておいて、他方の密閉空間のみを常圧に戻して繊維強化プラスチック成形体に加飾フィルムを貼合することもできる。その後、常圧から更に圧縮空気を導入などして圧空を加えて、貼付を確実なものにする方法も可能である。これを真空圧空成形法と称する。
これらの方法は、三次元形状(繊維強化プラスチック成形体のコーナー部分等)をもつ繊維強化プラスチック成形体への加飾フィルムを貼合することも可能とする。生産性の点も含め、柔らかなシートを貼合したときの風合いの良好さを維持可能である点から、真空成形(真空圧空成形)は、最も好適な方法である。
PEI繊維(Fiber Innovation Technology社製、繊維長13mm、繊維径15μm、限界酸素指数47)を、水中に投入した。投入した水の量は、PEI繊維に対し200倍となるようにした(繊維スラリー濃度として0.5%)。 このスラリーに、分散剤として商品名「エマノーン3199」(花王社製)をPEI繊維100質量部に対し1質量部となるよう添加して攪拌し、繊維を水中に均一に分散させた繊維スラリーを調製した。
次に、粒状ポリビニルアルコール(PVA)(ユニチカ社製、商品名「OV−N」)を、濃度が10%となるように水に添加し、攪拌してバインダースラリーを調製した。
この粒状PVAのスラリーを上記繊維スラリーに投入して湿式抄紙法でウエットウエブを形成し、180℃で加熱乾燥することにより表1に示すバインダー量で目付けが120g/m2である不織布を作製した。更に、上記不織布を、炭素繊維クロス(NEWS−COMPANY社製 炭素繊維クロス(3K コーティング無し))の上下にそれぞれ1枚ずつ配し、230℃の熱プレスにて加熱処理することで、表1に記載の透気度となる、目付け440g/m2の繊維強化プラスチック成形体用シートを得た。
次に、繊維強化プラスチック成形体用シートを、4枚積層し、310℃に予熱したホットプレスに挿入して60秒加熱加圧した後、230℃に冷却して繊維強化プラスチック成形体(板)を得た。
実施例1の炭素繊維クロスの代わりに、ガラス繊維クロス(SHINDO社製商品名「WF600G」)を用いた以外は実施例1と同様にして、加飾成形を施した。尚、繊維強化プラスチック成形体の厚みは1.0mmであった。
実施例1のTOM加飾の代わりに転写加飾を施した以外は実施例1と同様にして、加飾成形体を得た。転写フィルムは180℃で0.5MPaで転写加飾を行った(熱転写)。尚、繊維強化プラスチック成形体の厚みは1.0mmであった。
実施例3の炭素繊維クロスの代わりに、ガラス繊維クロス(SHINDO社製商品名「WF600G」)を用いた。なお、繊維強化プラスチック成形体用シートを、2枚積層し、310℃に予熱したホットプレスに挿入して60秒加熱加圧した後、230℃に冷却して繊維強化プラスチック成形体を得た。それ以外は実施例3と同様にして、加飾成形を施した。尚、繊維強化プラスチック成形体の厚みは0.5mmであった。
実施例1において繊維強化プラスチック成形体用シート4枚の代わりに2枚とした以外は実施例1と同様にして、加飾成形体を得た。尚、繊維強化プラスチック成形体の厚みは0.5mmであった。
実施例1において繊維強化プラスチック成形体用シート4枚の代わりに1枚とした以外は実施例1と同様にして、加飾成形体を得た。尚、繊維強化プラスチック成形体の厚みは0.25mmであった。
PEI繊維のかわりにポリカーボネート繊維(繊維径15μm、繊維長25μm、限界酸素指数25)を用いた以外は実施例1と同様にして、加飾成形体を得た。尚、繊維強化プラスチック成形体の厚みは1.0mmであった。
ポリカーボネート/ABSの混合樹脂(ダイセル社製:商品名「ノバロイS1100」)を二軸混練押出機により溶融混練を行い、コンパウンドを作製し、日精樹脂工業社製 FNX140にて射出成形を行い1.0mm厚の成形体を得た。更に得られた成形体を用いて、実施例1と同様の方法(TOM加飾)で加飾成形品を得た。
ガラス繊維強化タイプのポリカーボネート/ABSの混合樹脂(ダイセル社製:商品名「ノバロイS1230」:ガラス繊維含有率30%)を二軸混練押出機により溶融混練を行い、日精樹脂工業社製 FNX140にて射出成形を行い、1.0mm厚の成形体を得た。尚、得られた射出成形品の表面性は悪く、ガラス繊維の突出が見られた。得られた成形体を用いて、実施例3と同様の方法(転写加飾)で加飾成形品を得た。
比較例2と同様の方法で厚みを0.5mmになるように調整した以外は、比較例2と同様にして加飾成形品を得ようとしたが、TOM成形方法では圧空で加飾フィルムを圧着させる際、端部に割れが生じ、加飾成形品を得ることが出来なかった。
(成形形状)
成形後の形状について、以下のとおり、官能評価により評価した。
A:非常に良好。
B:良好。
C:表面の平滑性が劣り、実用上問題が生じる。
D:成形できない。
装飾加工後の美匠性について、以下のとおり官能評価により評価した。
A:非常に良好。
B:良好。
C:表面の平滑性が劣り、実用上問題が生じる。
D:破損が生じ、加工できない。
加飾成形品の曲げ強度は、JIS K7074に準拠した方法で測定した。
加飾成形品の難燃性の評価は限界酸素指数テスト(ASTM D2863)に基づいて実施した。
また、比較例2で、強度向上のためガラス繊維を混錬すると、表面性が悪くなり求める美匠性が得られず、また強度、難燃性も依然不十分である。また、比較例3で明らかなように、射出成形法では0.5mm厚以下のものを作製することができない。
Claims (19)
- 繊維強化プラスチック成形体と、前記繊維強化プラスチック成形体の少なくとも一方の面に加飾フィルムを積層した加飾成形品であって、
前記繊維強化プラスチック成形体は、強化繊維シートと不織布シートを少なくとも1枚ずつ貼合した繊維強化プラスチック成形体用シートを加熱加圧成形したプラスチック成形体であり、
前記不織布シートは、熱可塑性スーパーエンプラ繊維とバインダー成分を含み、前記熱可塑性スーパーエンプラ繊維の限界酸素指数は24以上であることを特徴とする加飾成形品。 - 前記強化繊維シートは、無機繊維を含み、
前記不織布シートに含まれる熱可塑性スーパーエンプラ繊維の繊維径は40μm以下であり、かつ前記熱可塑性スーパーエンプラ繊維の繊維径は前記無機繊維の繊維径の5倍以下であることを特徴とする請求項1に記載の加飾成形品。 - 前記繊維強化プラスチック成形体の厚みは0.05〜2mmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の加飾成形品。
- 前記繊維強化プラスチック成形体用シートのJAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.5−2に規定される透気度が250秒以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の加飾成形品。
- 前記繊維強化プラスチック成形体は、前記強化繊維シートの両面に前記不織布シートを貼合した繊維強化プラスチック成形体用シートを加熱加圧成形することにより形成されたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の加飾成形品。
- 前記バインダー成分は前記繊維強化プラスチック成形体の全質量に対して0.1〜10質量%となるように含有されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の加飾成形品。
- 前記バインダー成分は前記熱可塑性スーパーエンプラ繊維と加熱溶融状態で相溶することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の加飾成形品。
- 前記バインダー成分は、メチル(メタ)アクリレート含有モノマー由来の繰り返し単位及びエチル(メタ)アクリレート含有モノマー由来の繰り返し単位のうち少なくとも一方を含む共重合体を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の加飾成形品。
- 前記バインダー成分は、前記熱可塑性スーパーエンプラ繊維のガラス転移温度よりも低い融点を有するバインダー繊維を含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の加飾成形品。
- 前記バインダー繊維は、ポリエチレンテレフタレート又は変性ポリエチレンテレフタレートを含むことを特徴とする請求項9に記載の加飾成形品。
- 前記熱可塑性スーパーエンプラ繊維及び前記バインダー繊維は、チョップドストランドであることを特徴とする請求項9又は10に記載の加飾成形品。
- 前記不織布シートは表層領域と前記表層領域に挟まれた中間領域を有し、
前記表層領域に含有されているバインダー成分は、前記中間領域に含有されているバインダー成分より多いことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の加飾成形品。 - 前記熱可塑性スーパーエンプラ繊維はポリエーテルイミド繊維又はポリカーボネート繊維から選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の加飾成形品。
- 前記熱可塑性スーパーエンプラ繊維はポリエーテルイミド繊維であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の加飾成形品。
- 前記加飾フィルムは、貼合手段を介して前記繊維強化プラスチック成形体に積層されていることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の加飾成形品。
- 繊維強化プラスチック成形体と、前記繊維強化プラスチック成形体の少なくとも一方の面に加飾フィルムを積層した加飾成形品の製造方法であって、
強化繊維シートと不織布シートを少なくとも1枚ずつ貼合した繊維強化プラスチック成形体用シートを加熱加圧成形し、繊維強化プラスチック成形体を形成する工程と、
前記繊維強化プラスチック成形体の少なくとも一方の面に加飾フィルムを貼合する工程を含み、前記加飾フィルムを貼合する工程では、真空成形法、真空圧空成形法及び熱転写法から選択される方法により加飾フィルムが貼合され、
前記不織布シートは、熱可塑性スーパーエンプラ繊維とバインダー成分を含み、前記熱可塑性スーパーエンプラ繊維の限界酸素指数は24以上であることを特徴とする加飾成形品の製造方法。 - 前記繊維強化プラスチック成形体を形成する工程の前に、さらに不織布シートを形成する工程を含み、
前記不織布シートを形成する工程は、乾式不織布法又は湿式不織布法のいずれかの方法で不織布シートを形成する工程と、
前記バインダー成分を含む溶液又は前記バインダー成分を含むエマルジョンを前記不織布シートに内添、塗布又は含浸させ、加熱乾燥させる工程を含むことを特徴とする請求項16に記載の加飾成形品の製造方法。 - 前記繊維強化プラスチック成形体を形成する工程では、前記熱可塑性スーパーエンプラ繊維のガラス転移温度以上の温度で加熱加圧成形されることを特徴とする請求項16又は17に記載の加飾成形品の製造方法。
- 前記繊維強化プラスチック成形体を形成する工程では、前記繊維強化プラスチック成形体用シートを150〜600℃で加熱加圧することを特徴とする請求項16〜18のいずれか1項に記載の加飾成形品の製造方法。
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JP2013176049A JP6163970B2 (ja) | 2013-08-27 | 2013-08-27 | 加飾成形品及び加飾成形品の製造方法 |
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