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JP2015040536A - スクロール圧縮機 - Google Patents

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JP2015040536A JP2013172970A JP2013172970A JP2015040536A JP 2015040536 A JP2015040536 A JP 2015040536A JP 2013172970 A JP2013172970 A JP 2013172970A JP 2013172970 A JP2013172970 A JP 2013172970A JP 2015040536 A JP2015040536 A JP 2015040536A
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尚夫 水野
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Abstract

【課題】漏れ量を抑えつつ、チップシールによる封止を確実に行うことで圧縮性能を向上させることができるスクロール圧縮機を提供すること。【解決手段】スクロール圧縮機は、固定スクロールのラップ21および旋回スクロールのラップの各々に周方向に沿って形成されたシール溝40に収容され、ラップ21および相手の端板300の間を封止するチップシール22と、チップシール22を背面22B側から相手の端板300に向けて押圧するバネ45と、を備える。バネ45は、チップシール22の内周側の端部222だけに配置される。【選択図】図3

Description

本発明は、スクロール圧縮機に関する。
空気調和機や冷凍庫などに、スクロール圧縮機が用いられる。
スクロール圧縮機は、固定スクロールと、旋回スクロールとを備えている。固定スクロールおよび旋回スクロールはいずれも、端板の一面側に、渦巻状のラップが設けられたものである。このような固定スクロールと旋回スクロールとを、ラップが噛み合うように対向させ、固定スクロールに対して旋回スクロールを公転旋回運動させる。すると、固定スクロールと旋回スクロールとの間に形成される圧縮室の容積が減少するのに伴って、気体が圧縮される。
固定スクロールおよび旋回スクロールの双方のラップの先端には、チップシールが設けられる。チップシールを収容するラップのシール溝に、圧縮室内で圧縮された気体が導入される。チップシールは、圧縮気体による背面側の圧力と表面側の圧力との差圧によって端板に押し付けられることでラップと端板との間の隙間を封止し、圧縮気体の漏れを防ぐ。
しかし、例えば起動時など、圧縮気体の圧力が小さければ、差圧も小さいために、チップシールを端板に押し付けて確実に封止することができない。
そこで、特許文献1では、チップシールの背面側に配置される筒状の弾性体により、差圧による封止を補助する。弾性体は、チップシールの周方向に沿って配置され、チップシールを端板に向けて押圧する。
また、特許文献2では、チップシールの背面に、弾性を有する複数のリップ部を形成する。それらのリップ部は、チップシールの周方向に間隔をおいてチップシールの背面から切り起こされており、シール溝の底面に突き当てられる。そして、リップ部の弾性力により、チップシールが端板に向けて押圧される。
特開平8−100776号公報 特開平7−229485号公報
特許文献1のようにチップシールの背面側に周方向に沿って筒状の弾性体を配置すると、弾性体の内部を通じて、圧縮気体が高圧の内周側から低圧の外周側へと漏れてしまう。
一方、特許文献2のようにリップ部を切り起こすと、チップシールの背面とシール溝の底面との間の隙間が大となる。そのため、リップ部とリップ部との間で、端板の半径方向内側から外側へと圧縮気体が漏れる量が、リップ部が形成されていない場合と比べて多い。
本発明は、上述の課題に基づいて、漏れ量を抑えつつ、チップシールによる封止を確実に行うことで圧縮性能を向上させることができるスクロール圧縮機を提供することを目的とする。
本発明は、渦巻状のラップおよび端板を有する固定スクロールと、渦巻状のラップおよび端板を有する旋回スクロールとが、各々のラップを内側にして相互に対向するスクロール圧縮機であって、ラップの周方向に沿って形成されたシール溝に収容され、ラップおよび相手の端板の間を封止するチップシールと、チップシールを背面側から相手の端板に向けて押圧する弾性体と、を備え、弾性体が、チップシールの内周側の端部だけに配置されることを特徴とする。
固定スクロールと旋回スクロールとの間に形成される圧縮室内の圧力が小さい場合は、圧縮室内の圧力とシール溝内の圧力との差も小さく、チップシールの背面とシール溝の底との間に圧縮気体が導入され難い。そのため、チップシールにより確実に封止するのに足りる差圧を生じさせることができないおそれがある。
このことに基づいてなされた本発明は、チップシールの内周側の端部を背面側から弾性体により押し上げる。そうすると、シール溝の底から離れたチップシールの内周側の端部を通り、チップシールの背面とシール溝の底との間に圧縮気体がスムーズに導入される。
こうして導入された圧縮気体は、チップシールの背面側から表面側へと圧力を作用させながら、シール溝に沿って外周側へと流れる。
それによって生じるチップシールの表面および背面の差圧により、チップシールが浮上し、端板に押し付けられる。
本発明では、弾性体により、チップシールの内周側の端部が押し上げられさえすれば、封止を確実に行うことができるので、チップシールの周方向に連続する弾性体を設けたり、チップシールの背面にリップ部を形成する必要がない。
つまり、弾性体を設ける箇所は、チップシールの内周側の端部だけで足りる。
このことと、弾性体の周囲が漏れ経路となることに基づいて、チップシールの内周側の端部だけに弾性体を配置する。そうすると、チップシールの周方向の広い範囲に亘り弾性体が配置される場合に比べて、漏れ量を低減できる。
本発明では、ラップおよびチップシールの少なくとも一方に凹部を形成することにより、凹部内に弾性体を保持するとよい。
チップシールを射出成形するとともにそのチップシールに凹部を形成することとすれば、チップシールの成形と同時に凹部を形成でき、後加工が不要である。また、チップシールに形成した凹部に弾性体を配置することにより、チップシールに対して弾性体を位置決めすることができる。
ラップおよびチップシールの双方に凹部を形成すると、それらの凹部により、弾性体を両側から安定して保持することができる。
本発明では、チップシールの内周側の端部に、シール溝の内周側の末端およびシール溝の底の双方に向けて開放された開放凹部を形成することができる。
その開放凹部の内側に、弾性体を配置することもできる。
チップシールに開放凹部が形成されると、チップシールの背面とシール溝の底との間に至るまでの圧縮気体の流路断面積が拡大されるので、圧力損失が減少する。したがって、よりスムーズに圧縮気体を導入させることができる。
本発明では、シール溝の内周側の末端に対向するチップシールの末端側面が、チップシールの表面側から背面側へと向かうにつれて、末端から次第に離れることが好ましい。
この構成によっても、チップシールの背面とシール溝の底との間に至るまでの圧縮気体の流路断面積が拡大されるので、圧力損失が減少する。したがって、よりスムーズに圧縮冷媒を導入させることができる。
また、上記構成によれば、シール溝に収容するときにチップシールの内周側の端部がシール溝の底に対して反っていても、チップシールの背面側がシール溝の末端に干渉するのを避けられる。このため、シール溝にチップシールを収め易い。
本発明のスクロール圧縮機によれば、漏れ量を抑えつつ、チップシールによる封止を確実に行うことで圧縮性能を向上させることができる。
第1実施形態に係るスクロール圧縮機の縦断面図である。 固定スクロールのラップおよび旋回スクロールのラップ(破断)を示す平面図である。 チップシールの内周側の端部付近の構成を示す図である。チップシールの幅方向中央で破断した縦断面図、および平面図を示す。図4〜図7においても同様である。 第1実施形態の変形例において、チップシールの内周側の端部付近の構成を示す図である。 第2実施形態において、チップシールの内周側の端部付近の構成を示す図である。 第2実施形態の変形例を示す図である。 第3実施形態において、チップシールの内周側の端部付近の構成を示す図である。 本発明の変形例を示す図である。
以下、添付図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
〔第1実施形態〕
図1に示すスクロール圧縮機10は、固定スクロール20と、固定スクロール20に対して公転旋回運動される旋回スクロール30と、旋回スクロール30に回転力を与えるモータ11と、これらを収容するハウジング14とを備える。
スクロール圧縮機10は、吸入配管16からハウジング14内に供給された冷媒を固定スクロール20と旋回スクロール30との間に吸い込み、旋回スクロール30の旋回に伴って圧縮された冷媒を吐出する。スクロール圧縮機10から吐出された冷媒は、吐出配管17を通じて図示しない冷媒回路へと吐出される。
モータ11は、ステータ12およびロータ13を備えて構成される。
モータ11は、ステータ12に通電し、ロータ13を回転させることで、回転力を出力する。回転力は、ロータ13に結合されたシャフト15に伝達される。
シャフト15の端部には、軸心に対して偏心した偏心ピン151が設けられる。
固定スクロール20は、固定端板200と、固定端板200の一面側に立設される渦巻状のラップ21とを備えている。
旋回スクロール30も、旋回端板300と、旋回端板300の一面側に立設される渦巻状のラップ31とを備えている。
旋回スクロール30は、旋回端板300の背面に設けられるボス34により、上述の偏心ピン151に対して結合される。シャフト15が回転すると、旋回スクロール30は、図示しないオルダムリングにより自転が阻止されながら、シャフト15の軸心に対して公転旋回運動される。
図2に示すように、固定スクロール20のラップ21および旋回スクロール30のラップ31は、互いに所定量だけ偏心し、180度位相をずらして噛み合わせられる。
固定スクロール20と旋回スクロール30との間には、ラップ21,31の渦巻きの中心部(最内周部)に対して点対称に圧縮室18が形成される。旋回スクロール30の旋回に伴って、ラップ21の外周側の端部211とラップ31との間の吸込口が開閉され、ラップ31の外周側の端部311とラップ21との間の吸込口も開閉される。
旋回スクロール30が旋回されると、圧縮室18は容積を減少させながら次第に内周側に追い込まれる。圧縮室18内の冷媒は、固定端板200において渦巻きの中心部に形成された吐出ポート201(図1)から吐出される。
以下、固定スクロール20のラップ21、および旋回スクロール30のラップ31の各々に設けられるチップシール22について説明する。
固定スクロール20のラップ21の先端には、図2に示すように、ラップ21の周方向に沿ってチップシール22が設けられる。このチップシール22は、ラップ21と旋回端板300との間に介在しており、ラップ21の外周側の端部211から内周側の端部212までのほぼ全域に亘って設けられる。
旋回スクロール30にも同様に、ラップ31の先端に、チップシール22が設けられる。このチップシール22は、ラップ31と固定端板200との間に介在しており、ラップ31の外周側の端部311から内周側の端部312までのほぼ全域に亘って設けられる。
チップシール22は、樹脂、あるいは金属から形成される。チップシール22は、矩形状の横断面を有する。チップシール22の一端から他端まで、同一の横断面が連続する。
図3(a)に示すように、チップシール22は、ラップ21(または31)に形成されたシール溝40に収容される。
以下では、ラップ21に設けられるチップシール22を図示して説明するが、ラップ31に設けられるチップシール22も、ラップ21に設けられるチップシール22と同様に構成することができる。
シール溝40は、ラップ21の周方向に延びる一対の内側面41,42と、ラップ21の内周側の端部211で内側面41,42を結ぶ末端43と、ラップ21の外周側の端部212で内側面41,42を結ぶ末端(図3には図示なし)と、チップシール22の背面22Bに対向する底面44とを有する。
内側面41,42の各々とチップシール22の側面との間には、例えば数十μm程度の僅かなクリアランスが設定される。
シール溝40の内周側の末端43と、それに対向するチップシール22の末端側面22Cとの間には、所定の寸法の間隙Gが形成される。間隙Gの寸法は、例えば0.5〜2mm程度である。
シール溝40の外周側の末端とチップシール22との間には、間隙Gよりも狭い隙間が形成される。
チップシール22の末端側面22Cは、周方向外側に凸となるように円弧状に湾曲している。シール溝40の末端43も、末端側面22Cを受け入れるように円弧状に湾曲している。
末端43と末端側面22Cとの間の間隙Gから、チップシール22の背面22Bとシール溝40の底面44との間に圧縮冷媒が導入される。導入された圧縮冷媒は、シール溝40に沿って外周側へと流れる。すると、チップシール22の表面22A側の圧力が背面22B側よりも負圧となるので、図3(a)に示すように、チップシール22はシール溝40の底面44に対して浮上し、端板300に押し付けられる。すると、チップシール22と端板300との間の隙間が封止されるので、圧縮室18が気密に保たれる。
チップシール22が浮上したとき、底面44とチップシール22の背面22Bとの間に生じる隙間Sは、大きく誇張して図示されているが、例えば数十μm程度である。
ところで、スクロール圧縮機10の起動時は、圧縮室18内の冷媒の圧力が小さい。また、起動時以外でも、運転条件によっては、圧縮室18内の冷媒圧力が小さい場合がある。
圧縮室18内の圧力が小さければ、圧縮室18内の圧力とシール溝40内の圧力との差も小さく、チップシール22の背面22Bと底面44との間に圧縮冷媒が導入され難い。そのため、チップシール22の表面22Aおよび背面22Bに、チップシール22により確実に封止するのに足りる差圧を生じさせることができないおそれがある。
そこで、弾性体であるバネ45により、チップシール22の内周側の端部222を予め押し上げておくことで、チップシール22の背面22B側に圧縮冷媒がスムーズに導入されるようにする。
バネ45は、本実施形態ではコイルバネであるが、板バネなどの他のバネや、ゴムなどのバルク状の弾性体も用いることができる。
バネ45は、ラップ21に形成された凹部46に配置される。
凹部46は、シール溝40の末端43よりも少し外周側で、底面44から孔加工により掘り下げられていて、底面44に円形に開口している。凹部46は、シール溝40の幅方向の中央に位置する。
凹部46の内側にバネ45が配置されると、ラップ21にバネ45が保持される。凹部46に配置されたバネ45の先端側は底面44から突出する。
バネ45の自然長L0は、凹部46の深さL1よりも長いことが必須であり、さらに、凹部46の底面44からラップ21の先端面21Sまでの高さL2よりも短いことが好ましい。
つまり、 L1 < L0 <L2 であると好ましい。
バネ45の自然長L0がL2よりも短いことにより、無負荷のときのバネ45の先端は、ラップ21の先端面21Sよりも下方に留まる。したがって、チップシール22をシール溝40に収容するときに、凹部46に配置されたバネ45の先端側が折れたり、バネ45により押し上げられたチップシール22がシール溝40から外れたりするのを防止できる。
ラップ21,31の各々のシール溝40にチップシール22を収容し、固定スクロール20と旋回スクロール30とをラップ21,31が噛み合うように組み付ける。
すると、バネ45の自然長L0がL1よりも長いためにバネ45が圧縮されるので、バネ45の弾性力により、チップシール22が背面22B側から端板300(または端板200)に向けて押圧される。
そのため、チップシール22の表面22Aおよび背面22Bの差圧が生じていなくても、チップシール22の内周側の端部222が押し上げられる。
その状態でスクロール圧縮機10を起動すると、起動直後で圧縮室18内の冷媒の圧力があまり上昇していないとしても、圧縮室18内の冷媒が、ラップ21,31の最内周側に位置する間隙G、次いで、底面44から離れたチップシール22の内周側の端部222を通り、チップシール22の背面22Bと底面44との間にスムーズに導入される。
こうして導入された冷媒は、チップシール22の背面22B側から表面22A側へと圧力を作用させながら、シール溝40に沿ってより低圧な外周側へと流れる。
それによって生じるチップシール22の表面22Aおよび背面22Bの差圧により、チップシール22の表面22Aが端板300(または端板200)に押し付けられるので、チップシール22による封止を確実に行うことができる。
以上で説明した本実施形態においては、バネ45により、チップシール22の内周側の端部222が押し上げられさえすれば、チップシール22による封止の用に足りる。そのため、チップシール22の周方向の広い範囲に亘り、加工が難しいリップ部などを含めて、チップシール22を背面22B側から押圧する弾性体を設ける必要がない。
このことと、弾性体の周囲が漏れ経路となることに基づいて、チップシール22の内周側の端部222に限定してバネ45を配置している。
つまり、バネ45が配置される凹部46内の断面積の分、チップシール22の端部222における漏れ面積は大きいものの、端部222以外の部分では、チップシール22の背面22Bと底面44との間が微小な隙間Sであるために漏れ面積が小さい。したがって、チップシール22の周方向の全体として、漏れ量を極力抑えられる。
上記の凹部46は、シール溝40の末端43から少し離れた位置にある。この凹部46に代えて、図4に示すように、シール溝40の末端43に連続して堀り下げられた凹部48を形成することもできる。
底面44に開口する凹部48の開口48Aの一部(末端43側)は、チップシール22の背面22Bには隠れずに、間隙Gに臨む。
凹部48に配置されたバネ45が、チップシール22の背面22Bの端縁部を押圧することにより、チップシール22の内周側の端部222が押し上げられる。
図4の構成によると、間隙Gからチップシール22の背面22Bに至るまでの間に狭い経路がないので、チップシール22の背面22Bに冷媒をよりスムーズに導入させることができる。
図3(a)や図4に示すようにラップ21に凹部46を形成するのに代えて、図3(b)に示すように、チップシール22に凹部52を形成することもできる。
凹部52は、チップシール22の内周側の端部222の背面22Bから、チップシール22の表面22Aに向けて窪んでいる。
チップシール22は射出成形される。凹部52は、チップシール22の成形と同時に形成できるので、射出成形後、凹部52を形成するための加工が不要である。
凹部52にバネ51を配置すると、チップシール22に対してバネ51を位置決めすることができる。バネ51を保持したチップシール22をシール溝40に収容し、固定スクロール20および旋回スクロール30を組み付けると、バネ51が圧縮される。そして、バネ51の弾性力により、チップシール22の内周側の端部222が押し上げられる。
また、図3(c)に示すように、チップシール22に凹部52を形成するとともに、ラップ21にも凹部53を形成することができる。
凹部53は、チップシール22の凹部52に対向する位置で、底面44に開口する。
互いに対向する凹部52および凹部53の内側に、バネ55が両端側から安定して保持される。そのため、バネ55の挙動を安定させることができる。
〔第2実施形態〕
次に、図5を参照し、本発明の第2実施形態について説明する。
第2実施形態以降では、第1実施形態との相違点を中心に説明する。第1実施形態と同様の構成には同じ符号を付す。
図5(a)に示すように、チップシール61の内周側の端部222には、バネ51が配置される開放凹部62が形成される。
開放凹部62は、チップシール61の末端側面22Cと背面22Bとに亘って切り欠かれた形態とされる。開放凹部62は、チップシール61が射出成形されるのと同時に形成される。
チップシール61がシール溝40に収容されると、開放凹部62は、シール溝40の末端43および底面44の双方に向けて開放される。
この開放凹部62において、シール溝40の末端43とチップシール61の末端側面22Cとの間の間隙Gが底面44側で拡げられる。
間隙Gは、チップシール61の背面22Bと底面44との間よりも前段に位置しており、背面22Bと底面44との間へと圧縮冷媒を導く。
その間隙Gが拡げられることで圧縮冷媒の流路の断面積が拡大されると、圧力損失が減少する。そのため、チップシール61の背面22Bと底面44との間へとよりスムーズに圧縮冷媒を導入させることができる。
なお、図5(b)に示すように、チップシール61に開放凹部62を形成するとともに、ラップ21に凹部48を形成することもできる。
そうすると、流路断面積の拡大によって、圧縮冷媒をよりスムーズに導入させることができる上、開放凹部62および凹部48によりバネ55が両端側から保持されるために、バネ55の挙動を安定させることができる。
図6(a)および図6(b)は、第2実施形態の変形例を示す。
図6(a)に示すように、開放凹部62にはバネ51を配置せず、開放凹部62よりも少し外周側に、バネ51が配置される凹部52を形成することもできる。
また、図6(b)に示すように、開放凹部62と凹部52とを連続した空間とすることもできる。
なお、図6(a)に示す凹部52に代えて、ラップ21に凹部46(図3(a))を形成することもできる。あるいは、図3(c)と同様に、凹部52に対向する凹部53をラップ21に形成することもできる。
〔第3実施形態〕
次に、図7を参照し、本発明の第3実施形態について説明する。
図7(a)に示すチップシール71の内周側の末端側面72Cには傾斜が付けられている。
チップシール71の末端側面72Cは、表面22A側から背面22B側へと向かうにつれて、シール溝40の末端43から次第に離れる。
そのため、末端側面72Cと末端43との間の間隙Gが、底面44に向かうにつれて次第に拡がる。
ラップ21に形成された凹部46は、チップシール71の背面22Bに向けて開口する。
凹部46に保持されたバネ45は、チップシール71の内周側の端部222を背面22B側から押し上げる。
チップシール71の末端側面72Cに上記のような傾斜が付けられていると、チップシール71の背面22Bと底面44との間に至る間隙Gの流路断面積が拡大されるので、圧力損失が減少する。そのため、圧縮冷媒をよりスムーズに導入させることができる。
また、末端側面72Cに傾斜が付けられていると、図7(b)に示すように、シール溝40に収容するときにチップシール71の端部222が底面44に対して反っていても、チップシール71の背面22B側が末端43に干渉するのを避けられる。このため、シール溝40にチップシール71を収め易い。
さらに、末端側面72Cの傾斜により、射出成形したチップシール71を型から抜き易い。
なお、ラップ21に凹部46を形成する代わりに、チップシール71に凹部52(図3(b))を形成することもできる。あるいは、ラップ21およびチップシール71の双方に、互いに対向する凹部を形成することもできる。
本発明では、チップシールの内周側の端部を背面側から押圧するために、種々の弾性体を広く用いることができる。
図8(a)に示す弾性体73は、樹脂または金属から筒状に形成されており、チップシール22の周方向に軸線が沿うように配置される。
弾性体73は、底面44から窪む凹部74に配置される。
固定スクロール20および旋回スクロール30を組み付けると、図8(a)のVIII−VIII線断面図である図8(b)に示すように、弾性体73は圧縮され、チップシール22の内周側の端部222を押し上げる。
弾性体の形態によらず、チップシール22の内周側の端部222だけに弾性体が配置されることにより、チップシールの周方向の広い範囲に亘り弾性体が配置される場合に比べて漏れ量を低減できる。
本発明は、ラップ21,31の高さが途中で変化する3D(三次元)タイプのスクロール圧縮機にも適用できる。
3Dタイプのスクロール圧縮機では、ラップの高さを内周側では外周側よりも低くし、それに対応して、相手側の端板を内周側では外周側よりも内面側に突出するように形成することで、圧縮室の容積を周方向のみならず高さ方向にも減少させる。
この3Dタイプのスクロール圧縮機では、ラップに段差が形成され、段差よりも内周側と外周側とにチップシールが分割される。
本発明は、段差よりも内周側に位置する内周チップシールと、外周チップシールとのいずれについても適用できる。それらの内周チップシールおよび外周チップシールの各々における内周側の端部にバネ45等の弾性体を設けることができる。
ここで、図2に示すように、ラップ21とラップ31との間には、複数の圧縮室18が形成される。それらのうち相対的に外周側に位置する圧縮室18Aは、相対的に内周側に位置する圧縮室18Aに比べると内部の冷媒圧力が小さい。この圧力と、スクロール外部雰囲気の圧力との差圧が十分でないと、外周チップシールの背面と底面との間に冷媒を導入させることが困難である。
このような事情を抱える外周チップシールに対して、本発明をより好ましく用いることができる。
本発明のスクロール圧縮機は、冷媒、空気など、種々の作動流体を圧縮するために用いることができる。
また、本発明は、スクロールのシール、冷却、潤滑のためにオイルを用いるタイプのスクロール圧縮機にも、オイルを用いないオイルフリーのタイプのスクロール圧縮機にも適用できる。
上記以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
10 スクロール圧縮機
11 モータ
12 ステータ
13 ロータ
14 ハウジング
15 シャフト
18,18A,18B 圧縮室
20 固定スクロール
21 ラップ
21S 先端面
22 チップシール
22B 背面22B
22C 末端側面
30 旋回スクロール
31 ラップ
34 ボス
40 シール溝
41,42 内側面
43 末端
44 底面
45 バネ
46 凹部
48 凹部
48A 開口
51 バネ
52 凹部
53 凹部
55 バネ
61 チップシール
62 開放凹部
71 チップシール
73 弾性体
74 凹部
151 偏心ピン
200 固定端板
201 吐出ポート
222 チップシールの内周側の端部
300 旋回端板
G 間隙
S 隙間

Claims (5)

  1. 渦巻状のラップおよび端板を有する固定スクロールと、渦巻状のラップおよび端板を有する旋回スクロールとが、各々の前記ラップを内側にして相互に対向するスクロール圧縮機であって、
    前記ラップの周方向に沿って形成されたシール溝に収容され、前記ラップおよび相手の前記端板の間を封止するチップシールと、
    前記チップシールを背面側から相手の前記端板に向けて押圧する弾性体と、を備え、
    前記弾性体は、前記チップシールの内周側の端部だけに配置される、
    ことを特徴とするスクロール圧縮機。
  2. 前記ラップおよび前記チップシールの少なくとも一方には、前記弾性体が配置される凹部が形成される、
    請求項1に記載のスクロール圧縮機。
  3. 前記チップシールの内周側の端部には、前記シール溝の内周側の末端および前記シール溝の底の双方に向けて開放された開放凹部が形成される、
    請求項1または2に記載のスクロール圧縮機。
  4. 前記弾性体は、前記開放凹部の内側に配置される、
    請求項3に記載のスクロール圧縮機。
  5. 前記シール溝の内周側の末端に対向する前記チップシールの末端側面は、前記チップシールの表面側から背面側へと向かうにつれて、前記末端から次第に離れる、
    請求項1から4のいずれか一項に記載のスクロール圧縮機。
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